液液混合処理装置
【課題】
液体と液体を効率よく攪拌、混合させることができる液液混合処理装置を提供する。及び、アルカリ性廃水の中和など液体と液体を効率よく反応させることができ液液混合処理装置を提供する。
【解決手段】
被処理液が収容された処理槽に、回転駆動機構を備えた回転軸にインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、回転領域に添加液を供給する添加液供給機構と回転領域に気体を供給する気体供給機構を設けて成る。添加液供給機構は、インペラの回転領域を部分的に覆う導入空間と供給源と導入空間を連通する供給路を備える。導入空間に供給された添加液は、インペラの回転によって生じる負圧により回転領域に引き込まれ、インペラの剪断力と微細気泡の液体分散力によって素早く均一に分散され、被処理液と効率よく攪拌、混合、反応する。
液体と液体を効率よく攪拌、混合させることができる液液混合処理装置を提供する。及び、アルカリ性廃水の中和など液体と液体を効率よく反応させることができ液液混合処理装置を提供する。
【解決手段】
被処理液が収容された処理槽に、回転駆動機構を備えた回転軸にインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、回転領域に添加液を供給する添加液供給機構と回転領域に気体を供給する気体供給機構を設けて成る。添加液供給機構は、インペラの回転領域を部分的に覆う導入空間と供給源と導入空間を連通する供給路を備える。導入空間に供給された添加液は、インペラの回転によって生じる負圧により回転領域に引き込まれ、インペラの剪断力と微細気泡の液体分散力によって素早く均一に分散され、被処理液と効率よく攪拌、混合、反応する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、液体と液体を適切に撹拌、混合するとともに、必要に応じ液体と液体の反応、例えばアルカリ性廃水の中和反応などを効率よく行わせるのに用いられる、液体と液体の混合処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体と液体の撹拌混合は、一般に処理槽内に設けた回転翼機構によって行われる。しかし、回転翼を回転させて撹拌するだけでは、短時間で2液の十分な混合が得られない。特に、廃水を浄化処理するために、廃水中に酸化剤水溶液を添加混合して廃水中に含まれるCOD成分を酸化分解させるような反応を伴う混合には適さない。
【0003】
このため、撹拌を微細気泡が生成されるバブリング撹拌手段によって行うものがある。この技術は、空気吸引パイプを兼ねた回転軸の下端部に複数枚のインペラを設けるとともに、インペラの背面部に相当する上記回転軸の軸周に複数の空気噴出孔を穿設したバブリング撹拌手段を、被処理液である廃水が収容された処理槽内に配置して成る。廃水と混合されて反応される添加液、例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液のような酸化剤水溶液は、バブリング撹拌手段によって生成された微細気泡を含む渦巻流に向けて供給される(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−328658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術は、バブリング撹拌手段によって生じた廃水の渦巻き流に酸化剤水溶液を単に接触させるに過ぎないものであるため、混合力が弱く、廃水と酸化剤水溶液との反応効率が悪い。これを解消するため、大きな渦巻き流を発生させるべくインペラを大きくすると、装置が大型化し、イニシアルコストも大きくなる。酸化剤水溶液を多量に添加すると、ランニングコストもアップする。
【0006】
また、上記先行技術は、通常、酸化剤水溶液の添加量が定量に設定されている。したがって、廃水の水量や水質変動に対しては、手動で添加液の添加量を調整せざるを得ない。しかし、例えば、中和反応などでは、添加量の微妙な調整が必要となり、上記先行技術のままでは、実質的に対応し得ない。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、比較的小型でありながら液体同志を所定領域で十分に混合でき、添加する添加液も必要十分な量の投与で足り、イニシアルコスト及びランニングコストの低減化を図ることのできる、液液混合処理装置を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、被処理液に添加する添加液の添加量を目標値に比例した一定値に保つことにより、被処理液の水質や水量変動に自動的に対応して所定の反応結果を得られる、液液混合処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、請求項1に係る本装置は、被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液を供給する添加液供給機構を設けて成る。添加液の供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備える。そして、添加液が、供給源から供給路を経て、導入空間よりインペラの回転領域内に導入されて、被処理液が、インペラのせん断力によって添加液と撹拌、混合される、ものである。
【0010】
回転翼機構は、回転駆動機構を処理槽外に、またインペラを処理槽内にそれぞれ位置させたものが一般的であるが、回転駆動機構も処理槽内に配置させる構造のものであっても良い。
添加液の供給機構を構成する導入空間は、例えばインペラの上方もしくは下方に所要の間隔をおいて配置された仕切り壁と、インペラの翼板上端とによって囲繞された空間である。仕切り壁は、インペラの回転領域の上面もしくは下面と対峙する水平部とこの水平板部より立下りもしくは立上った周壁部(立下り部もしくは立上り部)とによって形成される。供給路の先端は、導入空間を形成する上記水平部あるいは周壁部または水平部及び周壁部に開口する。
【0011】
本発明は、上記請求項1に係わる装置の構成に、インペラの回転領域内に気体を供給する気体供給機構を備えさせるようにすることもできる(請求項3)。
この場合、例えば、回転翼機構を構成する回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成する。気体供給機構は、気体の供給源と、上記放出口とを連通する供給路とを有する。そして、処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、回転軸の放出口(インペラ回転領域の中心側)より吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、ものである。気体の供給源が大気の場合、回転軸が上記放出口とを連通する供給路であっても良い。
【0012】
回転軸に設けられる放出口は、インペラが取付けられた回転軸の端部周面、すなわち、回転軸が上から下に延びている場合にはその下端部周辺に、また回転軸が下から上に延びている場合にはその上端部周辺に設けられる。この放出口は、回転軸の他端部周壁に形成された多数の通孔、スリットあるいは開口によって構成される。
【0013】
また、気体供給機構は、気体の供給源と、前記導入空間に気体を吐出する吐出口と、上記供給源と吐出口とを連通する供給路とを有するものであっても良い。この場合、処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項4)。
【0014】
気体供給機構と添加液供給機構は、ともに複数の供給路と吐出口とを有する構造のものであっても良い。
【0015】
請求項2に係る本発明装置は、被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液もしくは気体を供給する添加液供給機構と気体供給機構を設けて成る。両供給機構は、添加液および気体の各供給源と、添加液と気体を個別もしくは一緒にインペラ回転領域内もしくは近傍まで供給する供給路と、供給路先端に設けた吐出口とを備える。そして、処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、ものである。
ちなみに、請求項2以降の装置にあっては、添加液とともに気体を供給して、被処理液と添加液との混合を図るものである。
【0016】
請求項2記載の装置にあって、被処理液に添加液を供給するにあたっては、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構の供給路と上記放出口とを連通させるものであっても良い。この場合、処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラの回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項5)。
【0017】
請求項2記載の装置にあって、添加液と気体の供給機構の別の構成態様として、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構と気体供給機構の各供給路と上記放出口とを連通させるようにしても良い。この場合、処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液は、インペラのせん断力と、回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に同様に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項6)。
【0018】
請求項2記載の装置にあって、添加液と気体の供給機構をさらに別の構成態様にすることもできる。すなわち、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構の供給路と上記放出口とを連通させる。気体供給機構は、気体の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備えさせる。そして、処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記導入空間よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項7)。
【0019】
請求項2記載の装置にあって、添加液と気体の供給機構を請求項5とは反対の構成にすることもできる。
すなわち、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成する。添加液供給機構は、インペラの回転領域に対面する吐出口を有する。気体供給機構は、供給路が上記放出口と連通されている。そして、処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、ものである(請求項8)。
【0020】
また、本発明は、処理槽を複数にした場合にも同様に適用可能である。
すなわち、被処理液が収容された第一の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第一の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に向けて添加液を供給する添加液供給機構を設ける。第一の処理槽に、第一の処理槽からの一次処理水を受容する第二の処理槽を併設する。この第二の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第二の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に気体を供給する気体供給機構を設ける。そして、第一の処理槽内では、被処理液と添加液とをインペラのせん断力によって撹拌混合し、第二の処理槽内では、一次処理水をインペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、ものである(請求項9)。
【0021】
請求項9記載の装置にあって、次の構成を付加するようにしても良い。
すなわち、本装置では、気体供給機構が、第一の処理槽に設けたインペラの回転領域に向けても気体を供給する。そして、第一の処理槽内で、被処理液と添加液とをインペラのせん断力と微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する(請求項10)。
【0022】
請求項9、10の装置にあって、第一の処理槽に設ける添加液供給機構を次の構成にすることもできる。
すなわち、添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備える。そして、第一の処理槽内で、被処理液と導入空間よりインペラ回転領域内に供給された添加液とを、インペラのせん断力と、第一及び第二の処理槽もしくは第二の処理槽に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、ものである(請求項11)。
【0023】
請求項9、10の装置にあって、第一の処理槽に設ける添加液供給機構の別の構成態様として、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構の供給路と上記放出口とを連通させるようにしても良い(請求項12)。
【0024】
請求項9、10の装置は、次の変形例にすることもできる。
すなわち、第一の処理槽に設けた回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成する。添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備える。気体供給機構は、供給路が上記放出口と連通されている。そして、処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内に導入空間より供給された添加液とが、インペラのせん断力と、上記放出口よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項13)。
【0025】
本発明装置において、適用される被処理液と添加液の種類は別段制限されるものではないが、例えば中和装置として利用する場合、被処理液は、アルカリ性もしくは酸性の廃水であり、添加液は、この廃水を中和する中和剤となる。また、気体の種類も装置の目的に応じて種々の気体が採用される。一般的には、空気を用いるが、中和装置の場合、炭酸ガスが用いられる。これにより、アルカリ性もしくは酸性の廃水を、中和剤と炭酸ガスとによって二段階で中和することが可能となる。
【0026】
本発明装置には、添加液の流量を、比例制御する自動制御装置を更に設けるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、被処理液が収容された処理槽内に設けたインペラの回転領域内に添加液を供給するようにしたので、インペラの回転によって生じる負圧により、添加液が回転領域内に無理なく引き込まれ、インペラのせん断力を利用して両液を確実に混合処理することができる。このため、小型の混合処理装置を提供できるばかりでなく、添加液を必要十分な量にすることができるので、イニシアルコストやランニングコストを低減化することができる。
【0028】
特に、請求項1,3,4,11及び13に係る発明によれば、インペラの上方もしくは下方に導入空間を設けたので、添加液を被処理液中に離散させることなくインペラの回転領域及びその周辺に素早くしかも均一に分散供給でき、両液を無駄なく混合処理することができる。
【0029】
請求項5,6,7及び12に係る発明によれば、添加液が供給管路を介して回転軸端部に形成された放出口からインペラの回転領域の内側に供給されるので、添加液を被処理液中に離散させることなくインペラの回転領域にのみ均一に分散供給でき、両液を無駄なく混合処理することができる。
【0030】
請求項2から14に係る発明によれば、被処理液が収容された処理槽内に、添加液だけでなく気体を供給するので、被処理液の見かけ上の比重が小さくなってインペラによる撹拌を無理なく行うことができるばかりでなく、インペラの回転領域内で発生する微細気泡の渦巻き流によってもせん断作用が得られ、被処理液と添加液の混合処理を効率良く行うことができる。
【0031】
請求項15に係る発明によれば、インペラ回転領域内に供給される添加液の流量が目標値に比例した一定値に保たれるので、被処理液の水質や水量変動に自動的に対応して所定の反応結果を得ることができる。特に、請求項14に係る発明のように、中和装置として利用する場合には、添加液の添加量を微妙に制御することができ、安定したしかも経済効率に富んだ装置を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図示した例とともに詳説する。
図1は、本発明の一実施形態に係る装置の概念構成図、図9はその要部の拡大図である。
図中符合1は、被処理液である例えばセメント工場などの廃水が収容された処理槽で、内部に回転翼機構2が設置されている。回転翼機構2は、槽外に固定されたモ−タ3と、このモータ3によって回転駆動される回転軸4と、回転軸4の下端周面に放射方向に突設したインペラ5とを備える。回転翼機構2は、回転軸4の一部を被処理液中に没入して設置されている。
【0033】
インペラ5は、各翼板5aの下端が底板5bによって連結される一方、各翼板5aの上端5cが外側端に切欠き6を有する。
7は、インペラ5の上方に設けられた添加液の導入空間である。導入空間7は、回転軸4を長手方向に覆うガイド8の下端に固着された仕切り壁9と、インペラ翼板5aの上端5cとによって形成されている。仕切り壁9は、インペラ上端5cと間隔をおいて対向する水平部9aと、水平部9aの外周端からインペラ翼板5aの上端にある切欠き6まで立下った立下り部9bとを備える(図9の要部拡大図参照)。
【0034】
11は、処理槽1外に設置した添加液(例えばセメント廃水の場合は硫酸)の供給源10と上記導入空間7とを連通する供給管路である。供給管路11の先端は、導入空間7を形成する仕切り壁9の水平部9aに開口され(吐出口を成す)、添加液が導入空間7の上方からインペラ5の回転領域に向けて放出される。
【0035】
12は、供給管路11の中途に介装した、添加液の流量を制御する制御装置である。
この制御装置12は、流量を、目標値に比例した一定値に保つ比例制御装置から成る。
【0036】
図示しないが、供給管路の先端は、仕切り壁の立下り部に開口させることもできる。添加液は、供給管路を経て導入空間内に水平方向に吐出される。こうした添加液の供給手段は、仕切り壁の立下り部と水平部の両方に設けるものであっても良い。
また、仕切り壁は水平部のみによって構成しても良い。導入空間は、この水平部のみから成る仕切り壁とインペラ翼板の上端との間に形成される空間部である。供給管路の先端は、水平部に開口される。
導入空間は、インペラの下方に設けることもできる。この場合、翼板は、上端が上板によって連結され、底板を有しない。供給管路の先端は、上記した実施例と同じ位置に開口される。
また、回転翼機構は、水中に没するタイプにすることもできる。
【0037】
いずれにしろ、このようにして構成された混合処理装置は、モ−タ3を駆動して回転軸4とインペラ5を回転させると、インペラ5の回転領域に負圧を生じる。供給管路11を介して導入空間7に供給された添加液は、導入空間7の上部が仕切り壁9の水平部9aと立下り部9bとによって囲繞されているため、上方に放散されることなく、インペラ5の負圧力を受けてインペラ5の回転領域外端から内方に引きずり込まれる。引きずり込まれた添加液は、インペラ翼板5aのせん断力を受けて微細化され、インペラ翼板5aの撹拌力とあいまって、インペラ5の回転領域内及び周辺部の被処理液中に素早くしかも均一に分散されて、被処理液と効率良く混合される。
このとき、添加液は、制御装置12によってその流量が比例制御されている。例えば、本装置がセメント廃水を被処理液とする中和装置の場合、添加液としての硫酸が、セメント廃水のpH値や液量に応じて適切な量、供給される。この結果、添加液の添加量によって微妙にpH値が変動し易い中和装置にあって、pH値の変動に即座に対応して安定した混合を行うことができる。
また、インペラ5は、翼板5aの上端を円板状の上板によって連結した通常のインペラであっても良い。この場合、導入空間に供給された添加液は、導入空間の外周端からインペラの回転領域外周へと回り込むようにして引きずり込まれ、被処理液と混合処理される。
また、翼板5aは、上端の切欠きを有しない構造のものであっても良い。
【0038】
図2は、本発明の異なる実施形態に係る装置の概念構成図である。
回転翼機構22は、回転軸24が中空になっていて、インペラ25の取付けられた下部外周には図示しない多数の通孔が形成されている。通孔は、従来と同様に小径の円形孔によって構成される。勿論、スリットや各種形状の開口であっても良い。
気体の供給源33からの連通管34の先端は、回転軸24を長手方向に覆うガイド28の上部に開口される。これより、開口部に放出された気体は図示しないが、回転軸24の上部に設けられた通孔より回転軸24の内部を通り、回転軸下端外周の通孔から放出される。気体供給源が大気の場合は回転軸が連通管34となり、気体は回転軸上部通孔より回転軸24の内部を通り、回転軸下端外周の通孔から放出される。
添加液の導入空間27を形成する構成は、上記図1の実施例と同じである。導入空間27は、インペラ25の上方に形成されており、添加液の供給管路31の先端は、仕切り壁の水平部及び/もしくは立下り部に開口されている。なお、図中符合30は、添加液の供給源である。
【0039】
本実施形態に係る装置では、インペラ25の回転領域内に負圧によって添加液が供給されるだけでなく、通孔から気体が放出される。気体は、上記負圧によって気体供給源から連通管を介して吸引され、インペラ回転領域内に放出されるが、場合によっては、強制的に送気するようにしても良い。放出された気体は、インペラ25のせん断力によって微細な気泡となって、インペラ25の回転領域内及びその周辺に渦流を生じさせる。このため、被処理液と添加液は、インペラ25のせん断力及び撹拌力だけでなく、渦流によって、より一層良好に混合処理される。また、気泡が液中に導入されることで、見かけ上の比重が小さくなって少ない動力で高い撹拌力が得られる。
【0040】
気体の供給は、回転軸の下方から行うようにしても良い。図3は、その例を示す。
この場合、回転翼機構42の回転軸44の少なくとも下端部44aが中空になっており、その回転軸下端部44aの周面には多数の通孔(図示せず)が形成されている。気体の供給源53と回転軸下端部44aとは、連通管54を介して接続されている。
また、添加液の導入空間47は、インペラの下方に設けられている。図中符合49は、導入空間を形成するための仕切り壁、50は添加液の供給源、51は添加液の供給管路で、その先端が仕切り壁の水平部及び/もしくは立上り部に開口している。なお、本図から図8までは、図1及び図2よりも記載を簡略化してある一方、供給管路先端及び連通管先端に吐出口を長方形状に記載してある。
【0041】
気体を回転軸の中空部を通してインペラの回転領域内方から放散する図2や図3の実施形態において、添加液の供給手段については、前記図1の実施形態で述べた各種の手段(例えば仕切り壁が水平部のみから成っていて供給管路の先端がこの水平部に開口するなど)を採用することができる。
また、気体は、仕切り壁が水平部と立下り部(あるいは立上り部)の両部から成る場合、連通管を中途で分岐させてこれらの両部に分岐管の先端を開口させるようにしても良い。
また、図示しないが、図2と図3とは逆に、添加液を中空回転軸下端外周の通孔よりインペラ回転領域内に吐出し、気体を導入空間よりインペラの回転領域に吐出するようにしても良い。
【0042】
図4は、本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図である。
本実施形態では、気体の連通管74の先端を、添加液の供給管路の先端と同じように、導入空間を形成する仕切り壁69の水平部及び/もしくは立下り部に開口させるようにしてある。70は添加液供給源、73は気体供給源である。
気体は、添加液と同様に、インペラ65の回転に伴う負圧によってインペラ65の回転領域内に引き込まれるとともにインペラ65の翼板によってせん断される。インペラの撹拌とせん断並びに気体の渦流作用などによって添加液が被処理液と混合処理されることは、図2及び図3の実施形態と同様である。
気体を仕切り壁から導入する場合、仕切り壁の構成は上記した各実施例の種々の態様のものを採用できる。
【0043】
図5は、本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図である。
この例では、回転翼機構82に仕切り壁による導入空間が形成されていない。その代わりに、回転翼機構82の回転軸84が中空に形成され、回転軸下端部周面に穿設された多数の通孔を通して、インペラ85の回転領域中に内側から添加液と気体が供給される。すなわち、同図に見られるように、添加液の供給管路91の先端は、回転軸下端に連通され、一方、気体の連通管94の先端は、回転軸上端に連通されている。添加液は、回転軸84の下方から通孔を通過してインペラ回転領域内に吐出され、気体は、回転軸84の上端から導かれて通孔よりインペラ回転領域内に放出される。
図中符合90は添加液の供給源、93は気体の供給源をそれぞれ示す。
本装置における添加液と被処理液の混合処理は、図2から図4に示すものと同様にして行われる。
【0044】
図6は、図5の装置の変形例を示す概念構成図である。
本装置では、回転軸の少なくとも下端部が中空になっていて、添加液と気体とが回転軸104の下方より供給され、回転軸下端部周面に形成された通孔を介してインペラ105の回転領域内に放出される。
図中符合110は添加液の供給源、111は添加液の供給管路、113は気体の供給源、114は気体の連通管を示す。
また、図示しないが、図6とは逆に、添加液と気体を中空回転軸の上端から回転軸下端部に形成された通孔に向けて供給するようにしても良い。
【0045】
図7は、図5や図6と同様に、回転翼機構122が導入空間を持たない装置の他例を示す概念構成図である。
本装置では、回転軸124の少なくとも下端部が中空に形成され、この中空になった回転軸下端部外周に多数の通孔が設けられている。そして、供給源130より延びた添加液供給管路131の先端が回転軸下端に連通されている。気体の供給源133から延びた連通路134の先端は、インペラ125の回転領域に近接した位置(この場合、インペラ125の翼板上端に近接した位置)に吐出口が開口している。
したがって、回転軸124の回転とともに、添加液は、回転軸下端部の通孔よりインペラ回転領域内に放出され、気体は、インペラ回転によって生じた負圧によりインペラ翼板の上方より、インペラ回転領域内に導かれる。
【0046】
添加液と気体の供給手段については、図7と逆にすることもできる。気体の連通路の先端を回転軸の下端部に連通させ、添加液の供給管路の先端をインペラの回転領域に近接した位置に配置する。
また、回転軸全体を中空にすることで、気体もしくは添加液を回転軸の上端から供給するようにしても良い。
また、回転軸端部外周に通孔設け、その通孔より供給するようにしても良い。
インペラの回転領域に近接して設けられる連通路先端もしくは供給管路先端の吐出口の配置位置は、インペラの回転領域の水平方向位置であっても良い。
【0047】
この他、回転翼機構が導入空間を持たない装置の例として、気体の連通路先端および添加液の供給管路先端の吐出口を、インペラの回転領域に近接した位置に対向配置することもできる。
【0048】
図8は、本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図である。
この実施形態では、処理槽141が隔壁141Gによって第一の処理槽141Fと第二の処理槽141Sとに分かれている。
第一の処理槽141Fには、被処理液が収容されるとともに、回転軸144Fの下端に複数枚の翼板を有するインペラ145Fを備えた第一の回転翼機構142Fが設置されている。第一の回転翼機構142Fは、前記した図1の実施形態に示す回転翼機構と同じ構造を有する。すなわち、回転軸144F下端に設けられたインペラ145Fの上方に、翼板上端と仕切り壁とによって囲繞された導入空間147を有する。
また、第一の処理槽141Fには、インペラの回転領域に向けて添加液を供給する添加液供給機構が設けられている。この供給機構は、添加液の供給源150と、これから延びる供給管路151を有し、供給管路の先端吐出口を仕切り壁の水平部及び/もしくは立ち下がり部に開口させてある。
【0049】
第二の処理槽141Sは、第一の処理槽141Fからの一次処理水を受容するもので、この第二の処理槽内には、回転軸144Sの下端に複数枚の翼板を有するインペラを備えた第二の回転翼機構142Sが設置されている。
第二の回転翼機構142Sの回転軸144Sは、中空に形成され、上部及びインペラ145Sの取付けられている下端部周面に多数の通孔を備え、気体を回転軸下端部の通孔よりインペラ回転領域に放出する。
【0050】
したがって、本実施形態に係る装置は、第一の処理槽141Fにおいて、第一の回転翼機構142Fのインペラ145Fが回転すると、その回転領域に生じた負圧によって、添加液が導入空間147からインペラ回転領域内に引き込まれる。そして、添加液をインペラ145Fのせん断力によって微細化して被処理液中に均一に分散させるとともにインペラ145Fの撹拌力によって被処理液と混合する。
混合処理された一次処理水は、第二の処理槽内に流れ込む。第二の処理槽141Sでは、第二の回転翼機構142Sがインペラ145Sを回転させる。これに伴って生じた負圧によって気体供給源153から気体が回転軸内部を通り、通孔から回転領域内に気泡となって放出される。この気泡はインペラ145Sによって細分化され、微細気泡となる。微細気泡の渦流とインペラ145Sの上記した作用力とによって、被処理液と添加液は、更に混合処理される。
【0051】
本混合処理装置を、中和装置として利用する場合、被処理液が、アルカリ性の廃水であれば、添加液を、この廃水を中和する中和剤としての例えば硫酸を用い、また、気体を併用する場合には、炭酸ガスを用いるようにしても良い。特に前記した比例制御を用いた自動制御装置を利用することにより、所定のpH値への中和を容易に行うことができる。また、弱酸である炭酸ガスを併用することで、添加量の微妙な調整が必要となる中性域付近での中和を容易に行うことができる。
酸性の廃水に対しては、添加液として、アルカリ性の中和剤が用いられる。
【0052】
図8のような複数の処理槽の場合、第一の回転翼機構と添加液供給機構の構成は、図1から図7に述べた各種の実施形態のものを組み合わせて採用することができる。例えば、回転軸を中空にして添加液及び/もしくは気体を回転軸の通孔より放出させる。また、第一の処理槽に、添加液供給機構と気体供給機構を併設し、気体による分散作用を第一の処理槽と第二の処理槽とで二度にわたって行うようにすることもできる。これらは、被処理液と添加液との関係などによって適宜選択される。
【0053】
図8のような複数の処理槽の場合、第二の回転翼機構と気体供給機構の構成は、図1から図7に述べた各種の実施形態のものを組み合わせて採用することができるが、液体分散力が得られる気泡を生成するものであればどのようなものを用いても良い。例えば、特公昭62−15249号公報、同62−34436号公報などに開示されているものを使用することができる。これらは、被処理液と添加液との関係などによって適宜選択される。
【0054】
図8のような複数の処理槽の場合、処理槽の数は2槽に限定したものではない。処理槽の数、処理槽に設置する回転翼機構と添加液供給機構の構成並びに回転翼機構と気体供給機構の構成は、被処理液と添加液との関係などによって適宜選択される。
【0055】
水中モ−タを用い、被処理液中に本装置を浸漬して使用する場合、回転軸の下端にモ−タを取付け、インペラを回転軸の上端に配置し、上記実施形態とは上下逆にして実施することもできる。添加液及び/もしくは気体を中空の回転軸から放出する場合には、回転軸の上端部周面に通孔が設けられる。
なお、図1の実施形態に関して述べた添加液の自動制御装置は、図2以降の装置においても添加液を供給する際に必要に応じて採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の概念構成図。
【図2】本発明の異なる実施形態に係る装置の概念構成図。
【図3】本発明の別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図4】本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図5】回転翼機構が導入空間を持たない本発明の別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図6】図5の装置の変形例に係る装置の概念構成図。
【図7】回転翼機構が導入空間を持たない装置の他例を示す概念構成図。
【図8】複数の処理槽を持つ本発明の別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図9】図1の装置の要部拡大図。
【符号の説明】
【0057】
1,141 処理槽
2,22,42,62,82,102,122,142F,142S 回転翼機構
3 モ−タ
4,24,44,64,84,104,124,144F,144S 回転軸
5,25,45,65,85,105,125,145F,145S インペラ
6 切欠き
7,27,47,147 導入空間
8 ガイド
9,29,49,79 仕切り壁
12 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、液体と液体を適切に撹拌、混合するとともに、必要に応じ液体と液体の反応、例えばアルカリ性廃水の中和反応などを効率よく行わせるのに用いられる、液体と液体の混合処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体と液体の撹拌混合は、一般に処理槽内に設けた回転翼機構によって行われる。しかし、回転翼を回転させて撹拌するだけでは、短時間で2液の十分な混合が得られない。特に、廃水を浄化処理するために、廃水中に酸化剤水溶液を添加混合して廃水中に含まれるCOD成分を酸化分解させるような反応を伴う混合には適さない。
【0003】
このため、撹拌を微細気泡が生成されるバブリング撹拌手段によって行うものがある。この技術は、空気吸引パイプを兼ねた回転軸の下端部に複数枚のインペラを設けるとともに、インペラの背面部に相当する上記回転軸の軸周に複数の空気噴出孔を穿設したバブリング撹拌手段を、被処理液である廃水が収容された処理槽内に配置して成る。廃水と混合されて反応される添加液、例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液のような酸化剤水溶液は、バブリング撹拌手段によって生成された微細気泡を含む渦巻流に向けて供給される(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−328658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術は、バブリング撹拌手段によって生じた廃水の渦巻き流に酸化剤水溶液を単に接触させるに過ぎないものであるため、混合力が弱く、廃水と酸化剤水溶液との反応効率が悪い。これを解消するため、大きな渦巻き流を発生させるべくインペラを大きくすると、装置が大型化し、イニシアルコストも大きくなる。酸化剤水溶液を多量に添加すると、ランニングコストもアップする。
【0006】
また、上記先行技術は、通常、酸化剤水溶液の添加量が定量に設定されている。したがって、廃水の水量や水質変動に対しては、手動で添加液の添加量を調整せざるを得ない。しかし、例えば、中和反応などでは、添加量の微妙な調整が必要となり、上記先行技術のままでは、実質的に対応し得ない。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、比較的小型でありながら液体同志を所定領域で十分に混合でき、添加する添加液も必要十分な量の投与で足り、イニシアルコスト及びランニングコストの低減化を図ることのできる、液液混合処理装置を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、被処理液に添加する添加液の添加量を目標値に比例した一定値に保つことにより、被処理液の水質や水量変動に自動的に対応して所定の反応結果を得られる、液液混合処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、請求項1に係る本装置は、被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液を供給する添加液供給機構を設けて成る。添加液の供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備える。そして、添加液が、供給源から供給路を経て、導入空間よりインペラの回転領域内に導入されて、被処理液が、インペラのせん断力によって添加液と撹拌、混合される、ものである。
【0010】
回転翼機構は、回転駆動機構を処理槽外に、またインペラを処理槽内にそれぞれ位置させたものが一般的であるが、回転駆動機構も処理槽内に配置させる構造のものであっても良い。
添加液の供給機構を構成する導入空間は、例えばインペラの上方もしくは下方に所要の間隔をおいて配置された仕切り壁と、インペラの翼板上端とによって囲繞された空間である。仕切り壁は、インペラの回転領域の上面もしくは下面と対峙する水平部とこの水平板部より立下りもしくは立上った周壁部(立下り部もしくは立上り部)とによって形成される。供給路の先端は、導入空間を形成する上記水平部あるいは周壁部または水平部及び周壁部に開口する。
【0011】
本発明は、上記請求項1に係わる装置の構成に、インペラの回転領域内に気体を供給する気体供給機構を備えさせるようにすることもできる(請求項3)。
この場合、例えば、回転翼機構を構成する回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成する。気体供給機構は、気体の供給源と、上記放出口とを連通する供給路とを有する。そして、処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、回転軸の放出口(インペラ回転領域の中心側)より吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、ものである。気体の供給源が大気の場合、回転軸が上記放出口とを連通する供給路であっても良い。
【0012】
回転軸に設けられる放出口は、インペラが取付けられた回転軸の端部周面、すなわち、回転軸が上から下に延びている場合にはその下端部周辺に、また回転軸が下から上に延びている場合にはその上端部周辺に設けられる。この放出口は、回転軸の他端部周壁に形成された多数の通孔、スリットあるいは開口によって構成される。
【0013】
また、気体供給機構は、気体の供給源と、前記導入空間に気体を吐出する吐出口と、上記供給源と吐出口とを連通する供給路とを有するものであっても良い。この場合、処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項4)。
【0014】
気体供給機構と添加液供給機構は、ともに複数の供給路と吐出口とを有する構造のものであっても良い。
【0015】
請求項2に係る本発明装置は、被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液もしくは気体を供給する添加液供給機構と気体供給機構を設けて成る。両供給機構は、添加液および気体の各供給源と、添加液と気体を個別もしくは一緒にインペラ回転領域内もしくは近傍まで供給する供給路と、供給路先端に設けた吐出口とを備える。そして、処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、ものである。
ちなみに、請求項2以降の装置にあっては、添加液とともに気体を供給して、被処理液と添加液との混合を図るものである。
【0016】
請求項2記載の装置にあって、被処理液に添加液を供給するにあたっては、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構の供給路と上記放出口とを連通させるものであっても良い。この場合、処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラの回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項5)。
【0017】
請求項2記載の装置にあって、添加液と気体の供給機構の別の構成態様として、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構と気体供給機構の各供給路と上記放出口とを連通させるようにしても良い。この場合、処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液は、インペラのせん断力と、回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に同様に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項6)。
【0018】
請求項2記載の装置にあって、添加液と気体の供給機構をさらに別の構成態様にすることもできる。すなわち、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構の供給路と上記放出口とを連通させる。気体供給機構は、気体の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備えさせる。そして、処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記導入空間よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項7)。
【0019】
請求項2記載の装置にあって、添加液と気体の供給機構を請求項5とは反対の構成にすることもできる。
すなわち、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成する。添加液供給機構は、インペラの回転領域に対面する吐出口を有する。気体供給機構は、供給路が上記放出口と連通されている。そして、処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、ものである(請求項8)。
【0020】
また、本発明は、処理槽を複数にした場合にも同様に適用可能である。
すなわち、被処理液が収容された第一の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第一の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に向けて添加液を供給する添加液供給機構を設ける。第一の処理槽に、第一の処理槽からの一次処理水を受容する第二の処理槽を併設する。この第二の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第二の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に気体を供給する気体供給機構を設ける。そして、第一の処理槽内では、被処理液と添加液とをインペラのせん断力によって撹拌混合し、第二の処理槽内では、一次処理水をインペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、ものである(請求項9)。
【0021】
請求項9記載の装置にあって、次の構成を付加するようにしても良い。
すなわち、本装置では、気体供給機構が、第一の処理槽に設けたインペラの回転領域に向けても気体を供給する。そして、第一の処理槽内で、被処理液と添加液とをインペラのせん断力と微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する(請求項10)。
【0022】
請求項9、10の装置にあって、第一の処理槽に設ける添加液供給機構を次の構成にすることもできる。
すなわち、添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備える。そして、第一の処理槽内で、被処理液と導入空間よりインペラ回転領域内に供給された添加液とを、インペラのせん断力と、第一及び第二の処理槽もしくは第二の処理槽に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、ものである(請求項11)。
【0023】
請求項9、10の装置にあって、第一の処理槽に設ける添加液供給機構の別の構成態様として、回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成し、添加液供給機構の供給路と上記放出口とを連通させるようにしても良い(請求項12)。
【0024】
請求項9、10の装置は、次の変形例にすることもできる。
すなわち、第一の処理槽に設けた回転翼機構の回転軸の少なくとも前記他端部を中空に形成するとともに他端部周壁に放出口を形成する。添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備える。気体供給機構は、供給路が上記放出口と連通されている。そして、処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内に導入空間より供給された添加液とが、インペラのせん断力と、上記放出口よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される(請求項13)。
【0025】
本発明装置において、適用される被処理液と添加液の種類は別段制限されるものではないが、例えば中和装置として利用する場合、被処理液は、アルカリ性もしくは酸性の廃水であり、添加液は、この廃水を中和する中和剤となる。また、気体の種類も装置の目的に応じて種々の気体が採用される。一般的には、空気を用いるが、中和装置の場合、炭酸ガスが用いられる。これにより、アルカリ性もしくは酸性の廃水を、中和剤と炭酸ガスとによって二段階で中和することが可能となる。
【0026】
本発明装置には、添加液の流量を、比例制御する自動制御装置を更に設けるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、被処理液が収容された処理槽内に設けたインペラの回転領域内に添加液を供給するようにしたので、インペラの回転によって生じる負圧により、添加液が回転領域内に無理なく引き込まれ、インペラのせん断力を利用して両液を確実に混合処理することができる。このため、小型の混合処理装置を提供できるばかりでなく、添加液を必要十分な量にすることができるので、イニシアルコストやランニングコストを低減化することができる。
【0028】
特に、請求項1,3,4,11及び13に係る発明によれば、インペラの上方もしくは下方に導入空間を設けたので、添加液を被処理液中に離散させることなくインペラの回転領域及びその周辺に素早くしかも均一に分散供給でき、両液を無駄なく混合処理することができる。
【0029】
請求項5,6,7及び12に係る発明によれば、添加液が供給管路を介して回転軸端部に形成された放出口からインペラの回転領域の内側に供給されるので、添加液を被処理液中に離散させることなくインペラの回転領域にのみ均一に分散供給でき、両液を無駄なく混合処理することができる。
【0030】
請求項2から14に係る発明によれば、被処理液が収容された処理槽内に、添加液だけでなく気体を供給するので、被処理液の見かけ上の比重が小さくなってインペラによる撹拌を無理なく行うことができるばかりでなく、インペラの回転領域内で発生する微細気泡の渦巻き流によってもせん断作用が得られ、被処理液と添加液の混合処理を効率良く行うことができる。
【0031】
請求項15に係る発明によれば、インペラ回転領域内に供給される添加液の流量が目標値に比例した一定値に保たれるので、被処理液の水質や水量変動に自動的に対応して所定の反応結果を得ることができる。特に、請求項14に係る発明のように、中和装置として利用する場合には、添加液の添加量を微妙に制御することができ、安定したしかも経済効率に富んだ装置を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図示した例とともに詳説する。
図1は、本発明の一実施形態に係る装置の概念構成図、図9はその要部の拡大図である。
図中符合1は、被処理液である例えばセメント工場などの廃水が収容された処理槽で、内部に回転翼機構2が設置されている。回転翼機構2は、槽外に固定されたモ−タ3と、このモータ3によって回転駆動される回転軸4と、回転軸4の下端周面に放射方向に突設したインペラ5とを備える。回転翼機構2は、回転軸4の一部を被処理液中に没入して設置されている。
【0033】
インペラ5は、各翼板5aの下端が底板5bによって連結される一方、各翼板5aの上端5cが外側端に切欠き6を有する。
7は、インペラ5の上方に設けられた添加液の導入空間である。導入空間7は、回転軸4を長手方向に覆うガイド8の下端に固着された仕切り壁9と、インペラ翼板5aの上端5cとによって形成されている。仕切り壁9は、インペラ上端5cと間隔をおいて対向する水平部9aと、水平部9aの外周端からインペラ翼板5aの上端にある切欠き6まで立下った立下り部9bとを備える(図9の要部拡大図参照)。
【0034】
11は、処理槽1外に設置した添加液(例えばセメント廃水の場合は硫酸)の供給源10と上記導入空間7とを連通する供給管路である。供給管路11の先端は、導入空間7を形成する仕切り壁9の水平部9aに開口され(吐出口を成す)、添加液が導入空間7の上方からインペラ5の回転領域に向けて放出される。
【0035】
12は、供給管路11の中途に介装した、添加液の流量を制御する制御装置である。
この制御装置12は、流量を、目標値に比例した一定値に保つ比例制御装置から成る。
【0036】
図示しないが、供給管路の先端は、仕切り壁の立下り部に開口させることもできる。添加液は、供給管路を経て導入空間内に水平方向に吐出される。こうした添加液の供給手段は、仕切り壁の立下り部と水平部の両方に設けるものであっても良い。
また、仕切り壁は水平部のみによって構成しても良い。導入空間は、この水平部のみから成る仕切り壁とインペラ翼板の上端との間に形成される空間部である。供給管路の先端は、水平部に開口される。
導入空間は、インペラの下方に設けることもできる。この場合、翼板は、上端が上板によって連結され、底板を有しない。供給管路の先端は、上記した実施例と同じ位置に開口される。
また、回転翼機構は、水中に没するタイプにすることもできる。
【0037】
いずれにしろ、このようにして構成された混合処理装置は、モ−タ3を駆動して回転軸4とインペラ5を回転させると、インペラ5の回転領域に負圧を生じる。供給管路11を介して導入空間7に供給された添加液は、導入空間7の上部が仕切り壁9の水平部9aと立下り部9bとによって囲繞されているため、上方に放散されることなく、インペラ5の負圧力を受けてインペラ5の回転領域外端から内方に引きずり込まれる。引きずり込まれた添加液は、インペラ翼板5aのせん断力を受けて微細化され、インペラ翼板5aの撹拌力とあいまって、インペラ5の回転領域内及び周辺部の被処理液中に素早くしかも均一に分散されて、被処理液と効率良く混合される。
このとき、添加液は、制御装置12によってその流量が比例制御されている。例えば、本装置がセメント廃水を被処理液とする中和装置の場合、添加液としての硫酸が、セメント廃水のpH値や液量に応じて適切な量、供給される。この結果、添加液の添加量によって微妙にpH値が変動し易い中和装置にあって、pH値の変動に即座に対応して安定した混合を行うことができる。
また、インペラ5は、翼板5aの上端を円板状の上板によって連結した通常のインペラであっても良い。この場合、導入空間に供給された添加液は、導入空間の外周端からインペラの回転領域外周へと回り込むようにして引きずり込まれ、被処理液と混合処理される。
また、翼板5aは、上端の切欠きを有しない構造のものであっても良い。
【0038】
図2は、本発明の異なる実施形態に係る装置の概念構成図である。
回転翼機構22は、回転軸24が中空になっていて、インペラ25の取付けられた下部外周には図示しない多数の通孔が形成されている。通孔は、従来と同様に小径の円形孔によって構成される。勿論、スリットや各種形状の開口であっても良い。
気体の供給源33からの連通管34の先端は、回転軸24を長手方向に覆うガイド28の上部に開口される。これより、開口部に放出された気体は図示しないが、回転軸24の上部に設けられた通孔より回転軸24の内部を通り、回転軸下端外周の通孔から放出される。気体供給源が大気の場合は回転軸が連通管34となり、気体は回転軸上部通孔より回転軸24の内部を通り、回転軸下端外周の通孔から放出される。
添加液の導入空間27を形成する構成は、上記図1の実施例と同じである。導入空間27は、インペラ25の上方に形成されており、添加液の供給管路31の先端は、仕切り壁の水平部及び/もしくは立下り部に開口されている。なお、図中符合30は、添加液の供給源である。
【0039】
本実施形態に係る装置では、インペラ25の回転領域内に負圧によって添加液が供給されるだけでなく、通孔から気体が放出される。気体は、上記負圧によって気体供給源から連通管を介して吸引され、インペラ回転領域内に放出されるが、場合によっては、強制的に送気するようにしても良い。放出された気体は、インペラ25のせん断力によって微細な気泡となって、インペラ25の回転領域内及びその周辺に渦流を生じさせる。このため、被処理液と添加液は、インペラ25のせん断力及び撹拌力だけでなく、渦流によって、より一層良好に混合処理される。また、気泡が液中に導入されることで、見かけ上の比重が小さくなって少ない動力で高い撹拌力が得られる。
【0040】
気体の供給は、回転軸の下方から行うようにしても良い。図3は、その例を示す。
この場合、回転翼機構42の回転軸44の少なくとも下端部44aが中空になっており、その回転軸下端部44aの周面には多数の通孔(図示せず)が形成されている。気体の供給源53と回転軸下端部44aとは、連通管54を介して接続されている。
また、添加液の導入空間47は、インペラの下方に設けられている。図中符合49は、導入空間を形成するための仕切り壁、50は添加液の供給源、51は添加液の供給管路で、その先端が仕切り壁の水平部及び/もしくは立上り部に開口している。なお、本図から図8までは、図1及び図2よりも記載を簡略化してある一方、供給管路先端及び連通管先端に吐出口を長方形状に記載してある。
【0041】
気体を回転軸の中空部を通してインペラの回転領域内方から放散する図2や図3の実施形態において、添加液の供給手段については、前記図1の実施形態で述べた各種の手段(例えば仕切り壁が水平部のみから成っていて供給管路の先端がこの水平部に開口するなど)を採用することができる。
また、気体は、仕切り壁が水平部と立下り部(あるいは立上り部)の両部から成る場合、連通管を中途で分岐させてこれらの両部に分岐管の先端を開口させるようにしても良い。
また、図示しないが、図2と図3とは逆に、添加液を中空回転軸下端外周の通孔よりインペラ回転領域内に吐出し、気体を導入空間よりインペラの回転領域に吐出するようにしても良い。
【0042】
図4は、本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図である。
本実施形態では、気体の連通管74の先端を、添加液の供給管路の先端と同じように、導入空間を形成する仕切り壁69の水平部及び/もしくは立下り部に開口させるようにしてある。70は添加液供給源、73は気体供給源である。
気体は、添加液と同様に、インペラ65の回転に伴う負圧によってインペラ65の回転領域内に引き込まれるとともにインペラ65の翼板によってせん断される。インペラの撹拌とせん断並びに気体の渦流作用などによって添加液が被処理液と混合処理されることは、図2及び図3の実施形態と同様である。
気体を仕切り壁から導入する場合、仕切り壁の構成は上記した各実施例の種々の態様のものを採用できる。
【0043】
図5は、本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図である。
この例では、回転翼機構82に仕切り壁による導入空間が形成されていない。その代わりに、回転翼機構82の回転軸84が中空に形成され、回転軸下端部周面に穿設された多数の通孔を通して、インペラ85の回転領域中に内側から添加液と気体が供給される。すなわち、同図に見られるように、添加液の供給管路91の先端は、回転軸下端に連通され、一方、気体の連通管94の先端は、回転軸上端に連通されている。添加液は、回転軸84の下方から通孔を通過してインペラ回転領域内に吐出され、気体は、回転軸84の上端から導かれて通孔よりインペラ回転領域内に放出される。
図中符合90は添加液の供給源、93は気体の供給源をそれぞれ示す。
本装置における添加液と被処理液の混合処理は、図2から図4に示すものと同様にして行われる。
【0044】
図6は、図5の装置の変形例を示す概念構成図である。
本装置では、回転軸の少なくとも下端部が中空になっていて、添加液と気体とが回転軸104の下方より供給され、回転軸下端部周面に形成された通孔を介してインペラ105の回転領域内に放出される。
図中符合110は添加液の供給源、111は添加液の供給管路、113は気体の供給源、114は気体の連通管を示す。
また、図示しないが、図6とは逆に、添加液と気体を中空回転軸の上端から回転軸下端部に形成された通孔に向けて供給するようにしても良い。
【0045】
図7は、図5や図6と同様に、回転翼機構122が導入空間を持たない装置の他例を示す概念構成図である。
本装置では、回転軸124の少なくとも下端部が中空に形成され、この中空になった回転軸下端部外周に多数の通孔が設けられている。そして、供給源130より延びた添加液供給管路131の先端が回転軸下端に連通されている。気体の供給源133から延びた連通路134の先端は、インペラ125の回転領域に近接した位置(この場合、インペラ125の翼板上端に近接した位置)に吐出口が開口している。
したがって、回転軸124の回転とともに、添加液は、回転軸下端部の通孔よりインペラ回転領域内に放出され、気体は、インペラ回転によって生じた負圧によりインペラ翼板の上方より、インペラ回転領域内に導かれる。
【0046】
添加液と気体の供給手段については、図7と逆にすることもできる。気体の連通路の先端を回転軸の下端部に連通させ、添加液の供給管路の先端をインペラの回転領域に近接した位置に配置する。
また、回転軸全体を中空にすることで、気体もしくは添加液を回転軸の上端から供給するようにしても良い。
また、回転軸端部外周に通孔設け、その通孔より供給するようにしても良い。
インペラの回転領域に近接して設けられる連通路先端もしくは供給管路先端の吐出口の配置位置は、インペラの回転領域の水平方向位置であっても良い。
【0047】
この他、回転翼機構が導入空間を持たない装置の例として、気体の連通路先端および添加液の供給管路先端の吐出口を、インペラの回転領域に近接した位置に対向配置することもできる。
【0048】
図8は、本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図である。
この実施形態では、処理槽141が隔壁141Gによって第一の処理槽141Fと第二の処理槽141Sとに分かれている。
第一の処理槽141Fには、被処理液が収容されるとともに、回転軸144Fの下端に複数枚の翼板を有するインペラ145Fを備えた第一の回転翼機構142Fが設置されている。第一の回転翼機構142Fは、前記した図1の実施形態に示す回転翼機構と同じ構造を有する。すなわち、回転軸144F下端に設けられたインペラ145Fの上方に、翼板上端と仕切り壁とによって囲繞された導入空間147を有する。
また、第一の処理槽141Fには、インペラの回転領域に向けて添加液を供給する添加液供給機構が設けられている。この供給機構は、添加液の供給源150と、これから延びる供給管路151を有し、供給管路の先端吐出口を仕切り壁の水平部及び/もしくは立ち下がり部に開口させてある。
【0049】
第二の処理槽141Sは、第一の処理槽141Fからの一次処理水を受容するもので、この第二の処理槽内には、回転軸144Sの下端に複数枚の翼板を有するインペラを備えた第二の回転翼機構142Sが設置されている。
第二の回転翼機構142Sの回転軸144Sは、中空に形成され、上部及びインペラ145Sの取付けられている下端部周面に多数の通孔を備え、気体を回転軸下端部の通孔よりインペラ回転領域に放出する。
【0050】
したがって、本実施形態に係る装置は、第一の処理槽141Fにおいて、第一の回転翼機構142Fのインペラ145Fが回転すると、その回転領域に生じた負圧によって、添加液が導入空間147からインペラ回転領域内に引き込まれる。そして、添加液をインペラ145Fのせん断力によって微細化して被処理液中に均一に分散させるとともにインペラ145Fの撹拌力によって被処理液と混合する。
混合処理された一次処理水は、第二の処理槽内に流れ込む。第二の処理槽141Sでは、第二の回転翼機構142Sがインペラ145Sを回転させる。これに伴って生じた負圧によって気体供給源153から気体が回転軸内部を通り、通孔から回転領域内に気泡となって放出される。この気泡はインペラ145Sによって細分化され、微細気泡となる。微細気泡の渦流とインペラ145Sの上記した作用力とによって、被処理液と添加液は、更に混合処理される。
【0051】
本混合処理装置を、中和装置として利用する場合、被処理液が、アルカリ性の廃水であれば、添加液を、この廃水を中和する中和剤としての例えば硫酸を用い、また、気体を併用する場合には、炭酸ガスを用いるようにしても良い。特に前記した比例制御を用いた自動制御装置を利用することにより、所定のpH値への中和を容易に行うことができる。また、弱酸である炭酸ガスを併用することで、添加量の微妙な調整が必要となる中性域付近での中和を容易に行うことができる。
酸性の廃水に対しては、添加液として、アルカリ性の中和剤が用いられる。
【0052】
図8のような複数の処理槽の場合、第一の回転翼機構と添加液供給機構の構成は、図1から図7に述べた各種の実施形態のものを組み合わせて採用することができる。例えば、回転軸を中空にして添加液及び/もしくは気体を回転軸の通孔より放出させる。また、第一の処理槽に、添加液供給機構と気体供給機構を併設し、気体による分散作用を第一の処理槽と第二の処理槽とで二度にわたって行うようにすることもできる。これらは、被処理液と添加液との関係などによって適宜選択される。
【0053】
図8のような複数の処理槽の場合、第二の回転翼機構と気体供給機構の構成は、図1から図7に述べた各種の実施形態のものを組み合わせて採用することができるが、液体分散力が得られる気泡を生成するものであればどのようなものを用いても良い。例えば、特公昭62−15249号公報、同62−34436号公報などに開示されているものを使用することができる。これらは、被処理液と添加液との関係などによって適宜選択される。
【0054】
図8のような複数の処理槽の場合、処理槽の数は2槽に限定したものではない。処理槽の数、処理槽に設置する回転翼機構と添加液供給機構の構成並びに回転翼機構と気体供給機構の構成は、被処理液と添加液との関係などによって適宜選択される。
【0055】
水中モ−タを用い、被処理液中に本装置を浸漬して使用する場合、回転軸の下端にモ−タを取付け、インペラを回転軸の上端に配置し、上記実施形態とは上下逆にして実施することもできる。添加液及び/もしくは気体を中空の回転軸から放出する場合には、回転軸の上端部周面に通孔が設けられる。
なお、図1の実施形態に関して述べた添加液の自動制御装置は、図2以降の装置においても添加液を供給する際に必要に応じて採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の概念構成図。
【図2】本発明の異なる実施形態に係る装置の概念構成図。
【図3】本発明の別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図4】本発明の更に別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図5】回転翼機構が導入空間を持たない本発明の別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図6】図5の装置の変形例に係る装置の概念構成図。
【図7】回転翼機構が導入空間を持たない装置の他例を示す概念構成図。
【図8】複数の処理槽を持つ本発明の別の実施形態に係る装置の概念構成図。
【図9】図1の装置の要部拡大図。
【符号の説明】
【0057】
1,141 処理槽
2,22,42,62,82,102,122,142F,142S 回転翼機構
3 モ−タ
4,24,44,64,84,104,124,144F,144S 回転軸
5,25,45,65,85,105,125,145F,145S インペラ
6 切欠き
7,27,47,147 導入空間
8 ガイド
9,29,49,79 仕切り壁
12 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液を供給する添加液供給機構を設けて成り、
上記添加液の供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
添加液が、供給源から供給路を経て、導入空間よりインペラの回転領域中に導入され、
被処理液が、インペラのせん断力によって添加液と撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項2】
被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液もしくは気体を供給する添加液供給機構と気体供給機構を設け、
上記両供給機構は、添加液および気体の各供給源と、添加液と気体を個別もしくは一緒にインペラ回転領域内もしくは近傍まで供給する供給路と、供給路先端に設けた吐出口とを備え、
処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
更に、前記インペラの回転領域内に気体を供給する気体供給機構を備え、
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
当該気体供給機構は、気体の供給源と、上記放出口とを連通する供給路とを有し、
処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、回転軸の放出口より吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
更に、前記インペラの回転領域内に気体を供給する気体供給機構を備え、
当該気体供給機構は、気体の供給源と、前記導入空間に気体を吐出する吐出口と、上記供給源と吐出口とを連通する供給路とを有し、
処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、導入空間よりインペラ回転領域内に導入された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項5】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、供給路と上記放出口が連通され、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラの回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項6】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構と気体供給機構は、ともに、各供給路と上記放出口とが連通され、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に同様に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項7】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、供給路と上記放出口が連通され、
前記気体供給機構は、気体の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記導入空間よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項8】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、インペラの回転領域に対面する吐出口を有し、
前記気体供給機構は、供給路が上記回転軸の他端部周壁に形成された放出口と連通され、
処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に放出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項9】
被処理液が収容された第一の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第一の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に向けて添加液を供給する添加液供給機構を設け、
第一の処理槽に、第一の処理槽からの一次処理水を受容する第二の処理槽を併設し、
この第二の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第二の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に向けて気体を供給する気体供給機構を設け、
第一の処理槽内では、被処理液と添加液とをインペラのせん断力によって添加液と撹拌混合し、
第二の処理槽内では、一次処理水をインペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
前記気体供給機構は、さらに、前記第一の処理槽に設けたインペラの回転領域に向けて気体を供給し、
第一の処理槽内で、被処理液と添加液とをインペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする液液混合処理機構。
【請求項11】
前記第一の処理槽に設けた添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
第一の処理槽内で、被処理液と導入空間よりインペラ回転領域内に供給された添加液とを、インペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする請求項9および10記載の液液混合処理装置。
【請求項12】
前記第一の処理槽に設けた回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、供給路と上記放出口が連通され、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする請求項9および10記載の液液混合処理装置。
【請求項13】
前記第一の処理槽に設けた回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
前記気体液供給機構は、供給路が上記回転軸の他端部周壁に形成された放出口と連通され、
処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内に導入空間より供給された添加液とが、インペラのせん断力と、上記回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項9および10記載の液液混合処理装置
【請求項14】
前記被処理液が、アルカリ性もしくは酸性の廃水であり、
前記添加液が、この廃水を中和する中和剤であり、
前記気体が、炭酸ガスであって、
アルカリ性もしくは酸性の廃水が、中和剤と炭酸ガスとによって二段階で中和される、
請求項2から13のいずれかに記載の液液混合処理装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の装置において、
前記添加液の流量を、比例制御する自動制御装置を更に備えた、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項1】
被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液を供給する添加液供給機構を設けて成り、
上記添加液の供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
添加液が、供給源から供給路を経て、導入空間よりインペラの回転領域中に導入され、
被処理液が、インペラのせん断力によって添加液と撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項2】
被処理液が収容された処理槽内に、一端部に回転駆動機構を備えた回転軸の他端部に複数枚のインペラを設けて成る回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域内に添加液もしくは気体を供給する添加液供給機構と気体供給機構を設け、
上記両供給機構は、添加液および気体の各供給源と、添加液と気体を個別もしくは一緒にインペラ回転領域内もしくは近傍まで供給する供給路と、供給路先端に設けた吐出口とを備え、
処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラ回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
更に、前記インペラの回転領域内に気体を供給する気体供給機構を備え、
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
当該気体供給機構は、気体の供給源と、上記放出口とを連通する供給路とを有し、
処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、回転軸の放出口より吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
更に、前記インペラの回転領域内に気体を供給する気体供給機構を備え、
当該気体供給機構は、気体の供給源と、前記導入空間に気体を吐出する吐出口と、上記供給源と吐出口とを連通する供給路とを有し、
処理槽内の被処理液と、導入空間よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、導入空間よりインペラ回転領域内に導入された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項5】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、供給路と上記放出口が連通され、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、インペラの回転領域内もしくは近傍に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項6】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構と気体供給機構は、ともに、各供給路と上記放出口とが連通され、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に同様に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項7】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、供給路と上記放出口が連通され、
前記気体供給機構は、気体の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記導入空間よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項8】
前記回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、インペラの回転領域に対面する吐出口を有し、
前記気体供給機構は、供給路が上記回転軸の他端部周壁に形成された放出口と連通され、
処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、上記回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に放出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項2記載の液液混合処理装置。
【請求項9】
被処理液が収容された第一の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第一の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に向けて添加液を供給する添加液供給機構を設け、
第一の処理槽に、第一の処理槽からの一次処理水を受容する第二の処理槽を併設し、
この第二の処理槽内に、一方の端部に回転駆動機構を有する回転軸の他端部に複数枚のインペラを備えて成る第二の回転翼機構を設置するとともに、上記インペラの回転領域に向けて気体を供給する気体供給機構を設け、
第一の処理槽内では、被処理液と添加液とをインペラのせん断力によって添加液と撹拌混合し、
第二の処理槽内では、一次処理水をインペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
前記気体供給機構は、さらに、前記第一の処理槽に設けたインペラの回転領域に向けて気体を供給し、
第一の処理槽内で、被処理液と添加液とをインペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする液液混合処理機構。
【請求項11】
前記第一の処理槽に設けた添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
第一の処理槽内で、被処理液と導入空間よりインペラ回転領域内に供給された添加液とを、インペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする請求項9および10記載の液液混合処理装置。
【請求項12】
前記第一の処理槽に設けた回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、供給路と上記放出口が連通され、
処理槽内の被処理液と、回転軸の放出口よりインペラ回転領域内に吐出された添加液とが、インペラのせん断力と、吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合する、
ことを特徴とする請求項9および10記載の液液混合処理装置。
【請求項13】
前記第一の処理槽に設けた回転翼機構は、回転軸の少なくとも前記他端部が中空に形成されるとともに他端部周壁に放出口が形成されており、
前記添加液供給機構は、処理槽外に設けた添加液の供給源と、回転翼機構のインペラの回転領域上方もしくは下方に設けられて回転翼を上方もしくは下方から部分的に覆う導入空間と、供給源と導入空間とを連通する供給路とを備え、
前記気体液供給機構は、供給路が上記回転軸の他端部周壁に形成された放出口と連通され、
処理槽内の被処理液と、インペラ回転領域内に導入空間より供給された添加液とが、インペラのせん断力と、上記回転軸の放出口よりインペラの回転領域内に吐出された気体によって形成される微細気泡の液体分散力とによって撹拌、混合される、
ことを特徴とする請求項9および10記載の液液混合処理装置
【請求項14】
前記被処理液が、アルカリ性もしくは酸性の廃水であり、
前記添加液が、この廃水を中和する中和剤であり、
前記気体が、炭酸ガスであって、
アルカリ性もしくは酸性の廃水が、中和剤と炭酸ガスとによって二段階で中和される、
請求項2から13のいずれかに記載の液液混合処理装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の装置において、
前記添加液の流量を、比例制御する自動制御装置を更に備えた、
ことを特徴とする液液混合処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−296126(P2008−296126A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144714(P2007−144714)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(392031848)
【出願人】(396026802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(392031848)
【出願人】(396026802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]