説明

液溶性造粒物及び液溶性造粒物の製造方法

【課題】 含有される材料(有効成分)の溶出速度を設定することができる液溶性造粒物及び液溶性造粒物の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る液溶性造粒物1は、形状の核となる核粒子体10の表面に有効成分である化粧品材料11とバインダー材料12とが一様混合の硬質化状態となっており、各構成要素の重量比によって、化粧品材料11の液体(例えばお湯)に対する溶出速度が決定される。化粧品材料11自体では、造粒化することが困難であるが、核粒子体10とバインダー材料とを用いることにより造粒化し、低温焼結することによって適度の硬度を有する造粒体とする。造粒体とすることによって溶出速度を遅延させ、長期間の連続使用が可能で、かつ含有された有効成分の腐敗及び劣化を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含有された材料が溶出する溶出速度を適宜設定することによって、長期間の連続使用が可能で、かつ含有された材料の腐敗及び劣化の少ない液溶性造粒物(液溶性造粒物)及び液溶性造粒物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴は、身体の汚れ及び油脂成分を取り除くためのみならず、心身のリラクゼーションに効果があるとされ、近年では、一般家庭においても、入浴剤を浴槽に投入して気軽に入浴を楽しむようになってきている。また、入浴によって、副作用を伴うことなく、アトピー性皮膚炎を効果的に改善できるアトピー性皮膚炎改善用入浴剤についても提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−354547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の入浴剤は1回の入浴用であるが故に、利用者は、毎日の入浴毎に、入浴剤を一包ずつ入れなければならず、利用者に対する負担が大きかった。また、風呂場などに、1週間乃至1か月分の入浴剤を備蓄しておかなければならず、備蓄するための場所をとってしまうという問題があった。
【0004】
また、特許文献1に開示されている入浴剤を一例として、スキンケアのために用いられる化粧水は、肌のきめを整えるなどの美肌効果があるが、その材料は生物由来の素材からなり、水自体も生物であるために、各種の細菌によって腐敗が進行しやすく、その美肌効果の劣化が速いという問題点があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、液溶性造粒物に含有される材料(有効成分)の溶出速度を設定することができ、長期の連続使用であっても入浴者の肌に有効成分による効果を生じせしめることができ、かつ腐敗及び劣化の少ない液溶性造粒物及び液溶性造粒物の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る液溶性造粒物は、液体に浸漬されることによって、含有された材料が溶出する液溶性造粒物であって、前記材料が、バインダー材料と混合され、粒体の表面に硬質化状態で被覆されていることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、溶出させたい材料(有効成分)がバインダー材料と混合されて、粒体の表面に硬質化状態で被覆されている。適度の硬度を有する造粒物とすることによって、液体に浸漬されることによって溶出する有効成分の溶出速度を遅延させ、長期間の連続使用が可能で、かつ有効成分の腐敗及び劣化を抑制することができる。
【0008】
第2発明に係る液溶性造粒物は、第1発明において、前記材料は、化粧品種別許可基準に準拠した材料を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、溶出させたい材料(有効成分)が化粧品種別許可基準に準拠した材料であることにより、その安全性を確保することができ、取扱いが困難となることはない。したがって、一般家庭であっても、手軽に美肌効果のある入浴を楽しむことができ、簡単、安全かつ低コストで、皮膚の老化現象であるシミの軽減及び除去、並びに表皮細胞の回復を期待できる。
【0010】
第3発明に係る液溶性造粒物は、第1発明又は第2発明において、前記粒体は、メッシュサイズが32メッシュ以下の粉体を造粒化したものであることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、液溶性造粒物の形状を決定する核となる粒体が32メッシュ以下の粉体を造粒化したものであることにより、メッシュ内、すなわち粒体の外形より内側に溶出する材料(有効成分)を蓄積させて、さらに長期間の連続使用を可能にすることができる。
【0012】
第4発明に係る液溶性造粒物は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記粒体と、前記材料と、前記バインダー材料との重量比が、1:x:0.5(x≧5)であることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、粒体、溶出させたい材料(有効成分)及びバインダー材料の重量比を1:x:0.5(x≧5)とすることにより、336時間以上の連続使用が可能となる。例えば、1日の入浴時間を40分とした場合、1つの液溶性造粒物で504回の入浴が可能となり、浴槽の側面に液溶性造粒物を掛けておくようにすれば、従来のように入浴毎に入浴剤を入れる必要はなく、利用者は極めて簡単に取り扱うことができる。
【0014】
第5発明に係る液溶性造粒物は、第2発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記材料は、色素、香料、抗菌剤及び/又は天然鉱物をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、色素、香料、抗菌剤及び天然鉱物などを添加して、添加物に固有の効果を生じさせることができる。例えば、色素を添加するようにすれば、色素が溶出させたい材料(有効成分)と同様の溶出性を示すことから、有効成分が溶出されているか否かを液体(お湯)の着色度合いによって判断することができる。また、香料を添加するようにすれば、その香りによって入浴者のストレスを軽減するアロマセラピー効果をもたらすことができる。
【0016】
第6発明に係る液溶性造粒物の製造方法は、液体に浸漬されることによって、含有された材料が溶出する液溶性造粒物の製造方法であって、前記材料とバインダー材料との混合物に、その形状の核子を混入して造粒化し、200℃以下の温度で焼結して、前記材料を前記核子の表面に硬質化させることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、バインダー材料を用いて、溶出させたい材料(有効成分)に、その形状の核となる核子(粒体)を混入して造粒体に成形する。例えば、それ自体公知のカルバーコーティングマシンを用いて、各構成要素を回転ドラムに配置し、回転ドラムを回転させて、粒体を核とする造粒体を得ることができる。造粒体は、粒体と相似する形状を呈し、この時点では硬質化するまでにはいたらないので、造粒体を200℃以下にて低温焼結することにより、造粒体を構成する各材料間に結合を生じさせ、形状を保持した状態で硬質化させる。
【0018】
第7発明に係る液溶性造粒物の製造方法は、第6発明において、前記材料及び前記バインダー材料の重量比を調整して、前記材料の溶出速度を設定することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、溶出させたい材料(有効成分)及びバインダー材料の重量比によって、有効成分の溶出速度が決定されることから、使用用途に応じて、その重量比を調整して、所望する溶出速度となるように設定することができる。液溶性造粒物の耐用期間(使用期間)は、核子(粒体)の表面に硬質化した有効成分を含む層の厚みによって決定されることから、例えば層の厚みを厚くすることによって、耐用期間を長くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、溶出させたい材料(有効成分)がバインダー材料と混合されて、粒体の表面に硬質化状態で被覆されていることとしたので、液体に浸漬されることによって溶出する有効成分の溶出速度を遅延させ、長期間の連続使用が可能で、かつ有効成分の腐敗及び劣化を抑制することができる。
【0021】
本発明によれば、溶出させたい材料(有効成分)が化粧品種別許可基準に準拠した材料を含むこととしたので、その安全性を確保でき、一般家庭であっても、手軽に美肌効果のある入浴を楽しむことができ、簡単、安全かつ低コストで、皮膚の老化現象であるシミの軽減及び除去、並びに表皮細胞の回復を期待できる。
【0022】
本発明によれば、液溶性造粒物の形状を決定する核となる粒体が32メッシュ以下の粉体を造粒化したものであることとしたので、メッシュ内、すなわち粒体の外形より内側に溶出する材料(有効成分)を蓄積させて、さらに長期間の連続使用を可能にすることができる。
【0023】
本発明によれば、粒体、溶出させたい材料(有効成分)及びバインダー材料の重量比を1:x:0.5(x≧5)とすることとしたので、336時間以上の連続使用が可能となる。例えば、1日の入浴時間を40分とした場合、1つの液溶性造粒物で504回の入浴が可能となり、浴槽の側面に液溶性造粒物を掛けておくようにすれば、従来のように入浴毎に入浴剤を入れる必要はなく、利用者は極めて簡単に取り扱うことができる。
【0024】
本発明によれば、溶出させたい材料(有効成分)が色素、香料、抗菌剤及び天然鉱物を含むこととしたので、それら添加物に固有の効果を生じさせることができる。例えば、色素を添加するようにすれば、色素が有効成分と同様の溶出性を示すことから、有効成分が溶出されているか否かを液体(お湯)の着色度合いによって判断することができる。また、香料を添加するようにすれば、その香りによって入浴者のストレスを軽減するアロマセラピー効果をもたらすことができる。
【0025】
本発明によれば、バインダー材料を用いて、溶出させたい材料(有効成分)に、その形状の核となる核子(粒体)を混入して造粒体に成形し、造粒体を200℃以下にて低温焼結することにより、造粒体を構成する各材料間に結合を生じさせ、生じた結合力によって造粒時の形状を保持した状態で造粒体を硬質化させて適度の硬度を有する液溶性造粒物とすることができる。
【0026】
本発明によれば、溶出させたい材料(有効成分)及びバインダー材料の重量比を調整することにより、使用用途に応じて、有効成分の溶出速度を制御することができる等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は本発明に係る液溶性造粒物の構造を示す断面図である。
本発明に係る液溶性造粒物1は、形状の核となる核子(粒体)である核粒子体10の表面に、溶出させたい材料(有効成分)である化粧品材料11とバインダー材料12とが一様混合の硬質化状態となっており、各構成要素の重量比によって、化粧品材料11の液体(例えばお湯)に対する溶出速度が決定される。化粧品材料11自体では、造粒化することが困難であるが、核粒子体10とバインダー材料とを用いることにより造粒化し、低温焼結することによって適度の硬度を有する造粒体とする。したがって、粉末状の化粧品材料11を用いれば、その有効成分が容易に溶出するが、造粒体とすることによって溶出速度を遅延させ、長期間の連続使用が可能で、かつ含有された有効成分の腐敗及び劣化を抑制することができる。
【0028】
核粒子体10は、例えばメッシュサイズが32メッシュ以下のゼオライトを造粒して、粒径を略3mmφとした造粒体である。なお、核粒子体10としては、厚生省食品添加物既存物物質120号に指定されている材料(上述したゼオライト、又はトルマリンなど)を用いることが安全性の観点から好適であるが、例えばチタン、プラスチック(ビーズ)、ジルコニア、ゲルマニウム、希土類などでもよく、その材質が限定されるものではなく、例えば焼成処理によって所定形状に造粒できる材料であればよい。
【0029】
化粧品材料11としては、甘茶エキス及びアロエエキスなどのエキス類、スクワラン、オリーブオイル及び蜜蝋などのオイル類、酸化マグネシウム、アスコルビン酸、クエン酸、重炭酸ナトリウム、シルクプロテイン及びアミノ酸などの化学薬品類、化粧品種別許可基準に登録されている材料のほか、ウンデシレン酸モノグリセライドなどの同基準に未登録の材料であってもよく、その目的に応じて適宜選択される。また、フコイダン、生食、ガバノアナタケ及びセイヨウニチニチソウなどの健康食品類を混合するようにしてもよい。例えば、スクワランは、肌をきめやかにするとともに、シミの発生防止、肌の保湿効果に優れるとされており、また、シルクプロテインは美白に効果があるとされている。また、酸化マグネシウムは、液体に溶解した油脂分を吸着して、浴槽の滑りを除去する効果があるとされている。これらの効果に基づいて、混合する材料を適宜選択して所望する液溶性造粒物とする。本発明の主旨は、含有する化粧品材料11が液体に溶出する溶出速度を適宜設定することにあり、化粧品材料11については特に限定されるものではなく、所望に合わせて混合する材料を決定すればよい。
【0030】
また、従来の入浴剤と同様、色素、香料、抗菌剤及び天然鉱物などを添加して、添加物に固有の効果を出すようしにしてもよい。例えば、色素は赤色2号及び青色1号などの食品添加物認定材料並びに天然色素などであり、香料はアセト酢酸エチル及び酢酸テルピニルなど食品添加物認定材料、並びに天然香料などである。また、抗菌剤は、抗菌効果のあるものであれば限定されるものではないが、例えば、貝殻などから生成される焼成カルシウムなどの食品添加物認定材料、アパサイト、銀イオン及びヨウ素などである。さらに、天然鉱物は、トルマリン、ゼオライトなどの食品添加物製造用剤が好ましいが、ラジウム鉱石、遠赤外線放射鉱石などであってもよく、入浴時に使用できるものであれば限定されるものではない。例えば、色素を添加するようにすれば、液溶性造粒物1に含有される有効成分が溶出されているか否かをお湯の着色度合いによって判断することができる。また、香料を添加するようにすれば、その香りによって入浴者のストレスを軽減するアロマセラピー効果をもたらすことができる。
【0031】
バインダー材料12としては、キトサンのような動物性油脂及び植物性油脂が好ましいが、合成のりのような化学系材料であってもよい。バインダー材料12は、核粒子体10の表面に有効成分である化粧品材料11が一様に混合された状態を維持するためのものであり、液溶性造粒物を製造するに際して重要な役割を担うとともに、化粧品材料11の溶出速度を制御する。
【0032】
図2は本発明に係る液溶性造粒物の製造方法を説明するための説明図である。
本発明に係る液溶性抗菌剤1の製造方法は、カルバーコーティングマシンの回転ドラム30に、まず、化粧品材料11と、バインダー材料12とを配置した後、一様に撹拌して混合する。そして、ゼオライトを900℃にて焼成処理した球状(例えば3mmφ)の核粒子体10(ここでは複数とする)を、回転ドラム30の略中心Cに配置する(図2(a))。そして、回転ドラムを回転させて、化粧品材料11とバインダー材料12とを一様に混合して核粒子体10を核とする球状(例えば10mmφ)の造粒体20を得る(図2(b))。造粒体20は、核粒子体10と相似する形状を呈し、この時点では成形されているが、硬質化するまでにはいたらない。
【0033】
そして、造粒体20を200℃以下にて低温焼結することにより、造粒体20を構成する各材料間に結合が生じ、生じた結合力によって、形状を保持した状態で造粒体20が硬質化して液溶性造粒物1が製造される。ところで、バインダー材料12の替わりに水を用いた場合、この焼結処理によって、成形した造粒体が脱水・崩壊してしまい、安定な形状を保持できない虞があるとともに、十分な結合力が生じずに硬度が低下する虞がある。したがって、バインダー材料12を用いて、焼成処理によって造粒体20を十分な硬質化状態にすることが望ましい。
【0034】
このようにして製造された液溶性造粒物1を、液体中に投入した場合、液溶性造粒物1の液体に対する接触面積が粉末状の化粧品材料11と比べて小さくなり、有効成分の溶出を抑制することができる。また、各構成要素の重量比によって、化粧品材料11の液体に対する溶出速度を調整することができる。
【0035】
次に、評価サンプルとして、核粒子体10、化粧品材料11、バインダー材料12及び色素13の重量比を1:5:0.5:0.0557とした液溶性造粒物1を製造して、その液溶性を評価した。なお、化粧品材料11の配合を、スクワランが20〜40%、シルクプロテインが5〜20%、ウンデシレン酸モノグリセライドが5〜20%、酸化マグネシウムが20〜70%とした。スクワランはシミの発生防止及び肌の保湿効果に有効であることから、化粧品材料11に占めるスクワランの配合率を30%以上とすることが好ましい。また、酸化マグネシウムは浴槽の滑りを除去する効果があることから、酸化マグネシウムの配合率を30%以上とすることが好ましい。
【0036】
液溶牲造粒物1を43℃のお湯100ccに投入し、168時間経過後に液溶性造粒物1を取り出す。そして、新しい43℃のお湯100ccに液溶牲造粒物1を再投入し、168時間経過後に液溶性造粒物1に含有した色素の溶出状態を評価した。つまり、溶出した色素によってお湯が変色することから、お湯の色を評価することにより液溶性造粒物1の液溶性を評価した。お湯の色は、未使用状態の液溶性造粒物1を用いた場合と同色を呈しており、液溶性造粒物1の液溶性が336時間変化しないことを確認した。したがって、核粒子体10、化粧品材料11及びバインダー材料12の重量比を1:x:0.5(x≧5)とすることにより、336時間以上の連続使用が可能となる。例えば、1日の入浴時間を40分とした場合、1つの液溶性造粒物で504回以上の入浴が可能となり、浴槽の側面に液溶性造粒物を掛けておくようにすれば、従来のように入浴毎に入浴剤を入れる必要はなく、利用者は極めて簡単に取り扱うことができる。
【0037】
ここで、有効成分の溶出速度は、液溶性造粒物1を構成する各要素の重量比によって決定されることから、所望の溶出速度となるように、使用用途に応じて重量比を調整すればよい。本実施形態では、主として一般家庭用の入浴剤としての用途に好適となるように、核粒子体10、化粧品材料11、バインダー材料12及び色素13の重量比を1:5:0.5:0.0557とした液溶性造粒物1を製造した。また、入浴剤として用いる場合には、有効成分の溶出が始まるタイミングが重要であるが、本発明の液溶性造粒物1は、水中への投入後、遅くとも40分以内に有効成分の溶出が始まることを確認した。
【0038】
また、同一の重量比であっても、液溶性造粒物1の耐用期間(使用期間)は、核粒子体10の表面に硬質化した有効成分(化粧品材料11)を含む層の厚みによって決定されることから、例えば層の厚みを厚くすることによって、耐用期間を長くすることができる。
【0039】
次に、液溶性造粒物1の美肌効果を評価した。
液溶性造粒物1を41℃のお湯4000ccに投入した状態で、被験者(48歳女性)の左手を毎日30分間漬け、マイクロスコープVH−5000(キーエンス社製)を用いて、使用前後における表皮細胞の形状変化を評価した。図3は使用開始前の表皮細胞の形状を示すマイクロスコープ像、図4は使用開始24日後の表皮細胞の形状を示すマイクロスコープ像である。
【0040】
使用開始前は、被験者の左手には明確なシミが存在し(図3(a))、加えて、表皮細胞の形状がバラバラで、かつ感触がざらざらしていたが(図3(b))、使用開始初日から、左手に保湿効果が現れた(すべすべになった)との被験者からの報告があり、さらに使用開始7日後にシミが薄くなってきたとの報告があった。使用開始24日後にマイクロスコープにて同一箇所を再測定したところ、左手に存在していたシミが使用開始前よりも薄くなり(図4(a)、加えて、表皮細胞の形状は殆どが三角形でキメが整っていた(図4(b))。
【0041】
上述した如く、本発明に係る液溶性造粒物は、長期の連続使用が可能で、その有効成分の腐敗及び劣化が少ないことを確認した。長期の連続使用が可能であることから、浴槽の側面に液溶性造粒物を掛けておくようにすれば、従来のように入浴毎に入浴剤を入れる必要はなく、利用者に手間をとらせることはない。また、液溶性造粒物を常時備蓄しておく必要性がなくなり、備蓄のための場所が不要となる。したがって、一般家庭であっても、本発明に係る液溶性造粒物を利用することで、手軽に美肌効果のある入浴を楽しむことができ、簡単かつ低コストで、皮膚の老化現象であるシミの軽減及び除去、並びに表皮細胞の回復を期待できる。
【0042】
以上、本発明に係る液溶性造粒物及び液溶性造粒物の製造方法について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施の形態に係る発明の構成及び機能に様々な変更又は改良を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る液溶性造粒物の構造を示す断面図である。
【図2】本発明に係る液溶性造粒物の製造方法を説明するための説明図である。
【図3】使用開始前の表皮細胞の形状を示すマイクロスコープ像(写真)である。
【図4】使用開始24日後の表皮細胞の形状を示すマイクロスコープ像(写真)である。
【符号の説明】
【0044】
1 液溶性造粒物
10 核粒子体
11 化粧品材料
12 バインダー材料
20 造粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に浸漬されることによって、含有された材料が溶出する液溶性造粒物であって、
前記材料が、バインダー材料と混合され、粒体の表面に硬質化状態で被覆されていること
を特徴とする液溶性造粒物。
【請求項2】
前記材料は、化粧品種別許可基準に準拠した材料を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の液溶性造粒物。
【請求項3】
前記粒体は、メッシュサイズが32メッシュ以下の粉体を造粒化したものであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液溶性造粒物。
【請求項4】
前記粒体と、前記材料と、前記バインダー材料との重量比が、1:x:0.5(x≧5)であること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液溶性造粒物。
【請求項5】
前記材料は、色素、香料、抗菌剤及び/又は天然鉱物をさらに含むこと
を特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の液溶性造粒物。
【請求項6】
液体に浸漬されることによって、含有された材料が溶出する液溶性造粒物の製造方法であって、
前記材料とバインダー材料との混合物に、その形状の核子を混入して造粒化し、
200℃以下の温度で焼結して、前記材料を前記核子の表面に硬質化させること
を特徴とする液溶性造粒物の製造方法。
【請求項7】
前記材料及び前記バインダー材料の重量比を調整して、前記材料の溶出速度を設定すること
を特徴とする請求項6に記載の液溶性造粒物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−143637(P2006−143637A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334541(P2004−334541)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成16年9月29日から10月1日 山形県機械工業展運営委員会開催の「第38回 山形県機械工業展(テクノロードやまがた2004)」に出品
【出願人】(598110828)有限会社 やまがたスリートップ (4)
【出願人】(597014741)ネムール株式会社 (4)
【Fターム(参考)】