液滴吐出制御装置
【課題】駆動信号の駆動パルス数を増加させることなく、ノズル毎の液滴吐出特性のバラツキやインク温度変化に対処することができる液滴吐出制御装置を提供する。
【解決手段】液滴の吐出量を制御する複数の駆動パルスを時系列的に配置した駆動信号を生成する駆動信号生成部32cと、駆動信号生成部で生成する駆動信号の各駆動パルスの波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部32fと、駆動パルスの波高値を選択するタイミング信号発生部で発生するタイミング信号数に応じたビット数の複数のパターンデータ列を格納するパターンデータ列格納部35eと、印字データに基づいてパターンデータ格納部で格納するパターンデータ列を選択するパターンデータ列選択部37と、パターンデータ列選択部で選択されたパターンデータ列に基づいて駆動信号の前記アクチュエータへの供給を制御する供給制御部40とを備えている。
【解決手段】液滴の吐出量を制御する複数の駆動パルスを時系列的に配置した駆動信号を生成する駆動信号生成部32cと、駆動信号生成部で生成する駆動信号の各駆動パルスの波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部32fと、駆動パルスの波高値を選択するタイミング信号発生部で発生するタイミング信号数に応じたビット数の複数のパターンデータ列を格納するパターンデータ列格納部35eと、印字データに基づいてパターンデータ格納部で格納するパターンデータ列を選択するパターンデータ列選択部37と、パターンデータ列選択部で選択されたパターンデータ列に基づいて駆動信号の前記アクチュエータへの供給を制御する供給制御部40とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタなどの液滴吐出制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出制御装置の1つであるインクジェット式プリンタは、記録ヘッドに形成した複数のノズルからインク滴(液滴)を吐出して所定の記録媒体上に画像形成を行う。この記録ヘッドとして、アクチュエータによってノズルに連通する圧力室に圧力変動を発生させ、ノズル開口部からインク滴を吐出させるものが知られている。
このようなインクジェット式プリンタでは、駆動信号発生回路で第1パルス、第2パルス、第3パルス及び第4パルスの合計4つの駆動パルスから単一の駆動信号を生成し、一印刷周期内で、各駆動パルスのいずれか1つ又は複数を選択することにより、同一のノズルから重量の異なるインク滴が吐出され、プリンタコントローラからの階調データは2ビットに圧縮されて、この階調データがプリントヘッド内のデコーダ及び制御ロジックによって4ビットの印字データに翻訳されることにより、プリントヘッドへのデータ転送量を減少させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一印刷周期毎に出力される駆動信号を第1〜第3の駆動パルスで構成し、各駆動パルスをパルス頂部がパルス幅方向に分割された2個の波形要素で構成し、各波形要素に対応したビットデータで印刷データを形成することにより、駆動信号中に明示的に含まれる駆動パルスの他に、各波形要素を連結してなる新たな駆動パルスを選択することができるインクジェット式プリンタヘッドの駆動装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−81013号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平10−81014号公報(第1頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている従来例にあっては、圧電振動子に印加される駆動信号の第1パルス〜第4パルスの駆動パルスの波形はその波高値を変更できないため、複数のノズルは各ノズル毎にインク滴吐出特性が異なり、このインク滴吐出特性を補正するために波高値を変更することはできず、ノズル毎にインク滴特性のバラツキによって印刷された画像に操作方向のバンディング(濃度ムラ、スジ)が発生して印字品質を高く維持することができないという未解決の課題がある。この場合のインク滴吐出特性は、インク流路構成や使用される圧電振動子の個体差等によって決定される。
【0005】
すなわち、例えば、1ノズル列180ノズルで2ノズル列を千鳥状に配置したプリントヘッドでは、夫々のノズル列でのノズル間隔は180〔npi〕であり、ノズル列が千鳥状に配列されて360〔npi〕を実現するようにしている。このようなノズル列を有するプリントヘッドでは、両端数ノズルの吐出量が多くなったり、ノズル列毎に印字濃度が異なったりする現象が発生する。
【0006】
このようにノズル毎にインク滴吐出特性が異なる場合に対処するためには、波高値の異なる波形を有する多数の駆動パルスを用意して、これらをノズルのインク滴吐出特性に応じて選択することが考えられるが、この場合には駆動信号を形成する駆動パルス数が増加することにより、一印刷周期が長くなり、印字速度が低下するという新たな未解決の課題を有することになる。すなわち、例えば、図18に示すように、微振動を生じさせる第1パルスと、中ドットを形成するパルスと小ドットを形成するパルスとを一組とする4組のパルス列を組み合わせて計9個の駆動パルスで駆動信号を形成することになり、4つの駆動パルスで駆動信号を形成する場合の倍以上の印字周期を必要とすることになる。
【0007】
また、インクジェット式プリンタには、温度によってインク粘度が変化し、これによってノズルからの吐出量が変動してしまう問題があり、この問題を解決するには、駆動パルスをインク温度に合わせて補正する必要がある。このためには、インク温度に合わせた複数の駆動信号を装置内に保持し、温度検出結果に基づいて該当する駆動信号を適宜選択して使用するようにしている。この場合にも、温度に応じて波高値の異なる複数の駆動信号を設ける必要があるので、駆動パルス数が増加するこめ、駆動パルスとこれを選択するためのタイミングデータの両データを複数保持する必要があり、装置のメモリ容量の増大や処理時間の増加を招くという未解決の課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、駆動信号の駆動パルス数を増加させることなく、ノズル毎の液滴吐出特性のバラツキやインク温度変化によるインク粘度変化に対処することができる液滴吐出制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る液滴吐出装置は、液体を液滴として記録媒体に吐出する複数のノズルと、駆動信号の入力によって前記ノズルから液滴を記録媒体に対して吐出させる当該ノズル毎に設けられたアクチュエータと、印刷データを複数ビットの印字データに変換するデータ展開手段と、該データ展開手段で変換した印字データに基づいて前記アクチュエータに駆動信号を供給して駆動制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、液滴の吐出量を制御する複数の駆動パルスを時系列的に配置した前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、該駆動信号生成部で生成する駆動信号の各駆動パルスの波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部と、駆動パルスの波高値を選択する前記タイミング信号発生部で発生するタイミング信号数に応じたビット数の複数のパターンデータ列を格納するパターンデータ列格納部と、前記印字データに基づいて前記パターンデータ列格納部で格納するパターンデータ列を選択するパターンデータ列選択部と、該パターンデータ列選択部で選択されたパターンデータ列に基づいて前記駆動信号の前記アクチュエータへの供給を制御する供給制御部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
この第1の発明では、駆動信号生成部で複数の駆動パルスを含む駆動信号を生成すると共に、タイミング信号発生手段で、各駆動パルスを所定数に分割して波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させ、さらにパターンデータ列格納部に格納している複数のパターンデータ列をパターンデータ列選択部で印字データに基づいて選択し、供給制御部で選択したパターンデータ列に基づいて駆動信号のアクチュエータへの供給を制御することにより、駆動信号からパターンデータ列に応じた波高値の駆動パルスを得ることができる。このため、パターンデータ列を選択することにより、駆動パルス数を増加させることなく、異なる波高値の駆動パルスを形成することができ、ノズル毎に液滴吐出特性に応じて印字データを設定して最適なパターンデータ列を選択するか、インク温度を検出して、検出したインク温度に応じて印字データを設定して最適なパターンデータ列を選択することにより、各ノズルから吐出される液滴の吐出量を最適に制御して高品質の印刷を行うことができる。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記印字データは、前記各ノズルの液滴吐出特性を考慮したデータとされていることを特徴としている。
この第2の発明では、外部のホストコンピュータ等から入力される印刷データを、各ノズルの液滴吐出特性を考慮したデータとすることにより、データ展開部で展開された印字データで液滴吐出特性のバラツキを補正する最適なパターンデータ列を選択することができる。
【0012】
さらに、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記液体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部で検出した温度に応じて前記データ展開部で展開した印字データを補正してパターンデータ選択部に供給する印字データ補正部とを有することを特徴としている。
この第3の発明では、温度検出部で検出した液体温度に基づいて印字データ補正部でデータ展開部で展開した印字データを補正することにより、液体温度による液滴吐出量の変化に対応した最適な液滴吐出量を設定することができ、液体温度変化にかかわらず高品質の印刷特性を維持することができる。
【0013】
さらにまた、第4の発明は、第1〜第3の何れか1つの発明において、前記パターンデータ列格納部は、前記データ展開手段から印字データと共に供給される複数のパターンデータ列を格納するシフトレジスタで構成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、パターンデータ列格納部がシフトレジスタで構成されているので、データ展開手段から複数のパターンデータ列をシリアルデータとして供給することができ、データ展開手段との間の信号ラインを必要最小限とすることができる。
【0014】
なおさらに、第5の発明は、第1〜第4の何れか1つの発明において、前記駆動信号は、ノズルから液滴を吐出させない程度に前記アクチュエータを駆動する駆動パルスを含んで構成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、ノズルから液滴を吐出させない点度にアクチュエータを駆動する駆動パルスを含んでいるので、この駆動パルスを液滴の吐出間隔が開いているノズルについて選択することにより、ノズル近傍での液滴の乾燥を防止して液滴吐出特性の劣化を防止することができる。
【0015】
また、第6の発明は、第1〜第5の何れか1つの発明において、前記印字データはノズル毎に4ビットで構成され、且つ駆動信号の駆動パルスが4つの波形から構成されていることを特徴としている。
この第6の発明では、印字データが4ビットであるので、16通りの波高値選択を行うことができ、パターンデータ列格納部で16個のパターンデータ列を格納することにより、4つの駆動パルスから波高値の異なる16通りの駆動信号を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の液滴吐出制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の液滴吐出装置をインクジェット式プリンタに適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図中、1は記録媒体としての記録用紙2を多数枚収納する給紙ユニットであって、この給紙ユニット1から記録用紙2が1枚ずつ給紙される。この給紙ユニット1から給紙された記録用紙2は電動モータ3aで回転駆動される給紙ローラ3でゲートローラ4に搬送される。このゲートローラ4は互いに転接する上下一対のローラで構成され、給紙ローラ3で搬送された記録用紙2の先端がゲートローラ4に接触するまでは停止又は待機状態にあり、記録用紙2の先端が接触してから一対のローラの何れか一方を電動モータ4aで回転駆動することにより、記録用紙2の先端を搬送方向と直交する方向に一致させて記録用紙2を整列させて後段の搬送手段としての搬送機構5に受け渡す。
【0017】
この搬送機構5は、ゲートローラ4側に回転自在に配設された従動ローラ6と、この従動ローラ6に対してゲートローラ4とは反対側の記録用紙2の排紙側に所定間隔を保って互い平行に配設された電動モータ7aによって回転駆動される駆動ローラ7と、これら従動ローラ6及び駆動ローラ7間に張設された幅広帯状で記録用紙2を静電力で吸着保持して搬送する静電吸着搬送ベルト8とで構成されている。ここで、従動ローラ6及び駆動ローラ7は互いに同一外径に形成されている。従動ローラ6の上側に記録用紙2を静電吸着搬送ベルト8に圧着する圧着ローラ9が配設されている。
【0018】
また、静電吸着搬送ベルト8はその張力が図示しないテンションローラ等によって調整されている。また、静電吸着搬送ベルト8は、基材となる樹脂として、ポリアミド系合成繊維、ポリエステル、ポリウレタン、PET、ポリカーボネートや、シリコン系、PVDF系等のフッ素系樹脂を適用し、これにカーボンブラックや導電性フィラーを混入させて、体積抵抗値を108 〜1015Ω・cm程度、より好ましくは109 〜1012Ω・cm程度に調整し、厚みを耐久性と柔軟性、高速での帯電及び除電特性から見て0.05〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.2mm程度に選定する。
【0019】
また、搬送機構5は、従動ローラ6の下側で静電吸着搬送ベルト8に接触する導電性ゴム材で構成された帯電ローラ10を有し、この帯電ローラ10に高圧電源11から例えば+2kVの電圧が印加されている。
さらに、静電吸着搬送ベルト8には、その側縁にリニアスケール(図示せず)が形成され、このリニアスケールをエンコーダ14で検出することにより記録用紙の搬送位置を検出するようにしている。この場合リニアスケールとしては光を透過しないライン部とライン部間の光を透過する透過部とで構成する光学式又は磁性材でライン部を形成した磁気式の何れでも適用することができ、これに応じてエンコーダ14も光学式又は磁気式を適用することができる。
【0020】
一方、搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8で吸着保持されて搬送される記録用紙2に僅かな間隔(例えば1mm前後)を保って対向する位置に画像形成部としての記録ヘッドユニット12が配設されている。この記録ヘッドユニット12は、図2に示すように、記録用紙2に対してブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインク液滴を吐出する4つのライン型の記録ヘッド13K、13C、13M、13Yが記録用紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって順に所定間隔を保って配設されている。各記録ヘッド13K〜13Yの夫々は、インク液滴を吐出する多数のノズルを形成したインク液滴吐出面14を有する例えばn=6個の分割ヘッド15を記録用紙2の搬送方向に2列に千鳥状に配列したヘッド列16A及び16Bを有し、各ヘッド列16A及び16Bの分割ヘッド15のインク液滴吐出面14には、図3に示すように、例えば180個のノズル17を記録用紙2の幅方向に一列に整列されたノズル列が一方のノズル列のノズル17が他方のノズル列のノズル間に位置するように千鳥状に配列されて形成されている。
【0021】
そして、図4に示すように、上記各ノズル17を含んでインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)100が構成されている。
このインクジェット式記録ヘッド100は、図4に示すように、振動板121と、この振動板121を変位させる圧電式アクチュエータ122と、内部に液体であるインクが充填され振動板121の変位により内部の圧力が増減されるキャビティ(圧力室)123とを備えており、このキャビティ123にノズル17が連通し、キャビティ123内の圧力の増減によりノズル17からインクを液滴として吐出する。
【0022】
さらに詳述すると、インクジェットヘッド100は、ノズル17が形成されたノズル基板125と、キャビティ基板126と、振動板121と、複数の圧電素子127を積層した積層型の圧電式アクチュエータ122とを備えている。
キャビティ基板126は、図示のように所定形状に形成され、これにより、キャビティ123と、これに連通するリザーバ128とが形成されている。また、リザーバ128は、インク供給チューブ129を介してインクカートリッジ133に接続されている。
【0023】
圧電式アクチュエータ122は、対向して配置される櫛歯状の電極131、132と、その電極131、132の各櫛歯と交互に配置される圧電素子127とからなる。また、圧電式アクチュエータ122は、その一端側が図4に示すように中間層130を介して振動板121と接合されている。
このような構成からなる圧電式アクチュエータ122では、第1電極131と第2電極132との間に印加される駆動信号源からの駆動信号により、図4に示すように上下方向に伸び縮みするモードを利用している。この圧電式アクチュエータ122は、圧電素子127が積層されているために、大きな駆動力が得られるのが特徴である。
【0024】
したがって、圧電式アクチュエータ122では、図4に示すように、駆動信号が印加されると、振動板121に変位が生じてキャビティ123内の圧力が変化して、ノズル124からインク滴が吐出される。
そして、各記録ヘッドユニット12Y〜12Kの夫々は、記録用紙2の搬送方向と直交する方向即ち記録用紙2の幅方向にインク液滴を吐出するノズルを微小間隔で多数配置した記録領域が形成され、黒色についてはブラックの記録ヘッド13Kのみでインク液滴を吐出し、黒を含む他の色の記録ヘッド13Y〜13Kで吐出したインク液滴を記録用紙2上で重畳させることにより、カラー印刷を行うことができる。
【0025】
そして、搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8で搬送された記録用紙2は、記録ヘッドユニット12Y〜12Kで吐出されたインク液滴によって画像が形成された後、駆動ローラ7側に達すると、静電吸着搬送ベルト8の外周面に接触する剥離爪21によって静電吸着搬送ベルト8から分離され、駆動ローラ7より記録用紙2の搬送方向の下流側に配設された排紙ユニット22に受け渡される。
【0026】
そして、給紙ユニット1、給紙ローラ3、ゲートローラ4、搬送機構5及び記録ヘッド13K〜13Yの駆動制御が図5に示す制御装置30によって行われる。
この制御装置30は、図5に示すように、ホストコンピュータ31から印刷データが入力されるプリンタコントローラ32と、このプリンタコントローラ32にフレキシブルフラットケーブル33を介して接続されたヘッド駆動回路34とを備えている。
【0027】
プリンタコントローラ32は、ホストコンピュータ31から入力される印刷データを入力インタフェース部32aを介して受けると共に、エンコーダECから出力されるパルスが入力される例えばマイクロコンピュータで構成される制御部32bと、駆動信号COMを生成する駆動信号生成部としての駆動信号生成回路32cと、制御部32bから出力される印字データSI及びパターンデータSPをシリアル転送する際のクロック信号SCKを発生する発振回路32dと、制御部32bから出力される印字データSI、パターンデータSP、その他のラッチ信号LAT、タイミング信号CHと、駆動信号COM及びクロック信号SCKとをヘッド駆動回路34に出力する出力インタフェース部32eとを備えている。
【0028】
ここで、制御部32bは、所定の演算処理を実行する中央処理装置(CPU)32f、中央処理装置32fで実行するプログラムを格納するROM32g及び中央処理装置32fの演算処理過程で必要なデータ及び演算結果データを記憶するRAM32hを少なくとも備えており、記録用紙2の印刷制御を行う印刷制御処理及び記録ヘッド13K〜13Yの各ノズルからのインク滴吐出制御を行うインク滴吐出制御処理を実行する。
【0029】
印刷制御処理は、図6に示すように、先ず、ステップS1で印刷する印刷情報が入力されているか否かを判定し、印刷情報が入力されていないときにはこれが入力されるまで待機し、印刷情報が入力されたときにはステップS2に移行する。
このステップS2では、給紙ユニット1及び給紙ローラ3のモータ駆動回路23に駆動信号を出力して、給紙ユニット1から記録用紙2を、給紙ローラ3を介して給紙し、次いでステップS3に移行して、用紙通過センサ24から用紙先端検出信号が入力されたか否かを判定し、用紙先端検出信号が入力されていないときには用紙先端検出信号が入力されるまで待機し、用紙先端検出信号が入力されたときにはステップS4に移行する。
【0030】
このステップS4では、記録用紙2の先端がゲートローラ4に達するに十分な整列時間が経過したか否かを判定し、整列時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、整列時間が経過したときには、ステップS5に移行して、ゲートローラ4のモータ駆動回路25に対して駆動指令を出力すると共に、搬送機構5おける駆動ローラ7のモータ駆動回路26に対して駆動指令を出力し、さらに帯電ローラ10に高電圧を印加してからステップS6に移行する。
【0031】
このステップS6では、ゲートローラ4を駆動してからエンコーダECから入力されるパルスを計数し、その計数値が予め設定した所定値に達することにより記録用紙2の情報記録領域が先頭の記録ヘッド13Kによる記録領域に達したか否かを判定し、エンコーダECのパルス計数値が所定値に達していないときにはこれが所定値に達するまで待機し、所定値に達したときにはステップS7に移行して、記録ヘッド13Kで、印刷情報で設定されたノズルによるインク液滴吐出制御処理を起動して記録ヘッド13Kの印刷処理を行う。
【0032】
次いで、ステップS8に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Kから次の記録ヘッド13Cの記録領域に達したか否かをエンコーダECから入力されるパルスの計数値が第2の所定値に達したか否かにより判定し、パルス計数値が第2の所定値に達していないときには第2の所定値に達するまで待機し、第2の所定値に達したときにはステップS9に移行する。
【0033】
このステップS9では、印刷情報に基づく記録ヘッド13Cでのインク液滴吐出制御処理を起動して前記ステップS7と同様の記録ヘッド13Cの印刷処理を行う。
次いで、ステップS10に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Cから次の記録ヘッド13Mの記録領域に達したか否かをエンコーダECから入力されるパルスの計数値が第3の所定値に達したか否かにより判定し、パルス計数値が第3の所定値に達していないときには第3の所定値に達するまで待機し、第3の所定値に達したときにはステップS11に移行して、印刷情報に基づく記録ヘッド13Mでのインク液滴吐出制御処理を起動して前記ステップS7及びS9と同様の記録ヘッド13Mの印刷処理を行う。
【0034】
次いで、ステップS12に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Mから次の記録ヘッド13Yの記録領域に達したか否かをエンコーダECから入力されるパルスの計数値が第4の所定値に達したか否かにより判定し、パルス計数値が第4の所定値に達していないときには第4の所定値に達するまで待機し、第4の所定値に達したときにはステップS13に移行して、印刷情報に基づく記録ヘッド13Yでのインク液滴吐出制御処理を起動して印刷情報に基づく記録ヘッド13Yの印刷処理を行ってから前記ステップS1に戻る。
【0035】
また、各記録ヘッド13K〜13Yに対するインク液滴吐出制御処理は、図7に示すように、先ず、ステップS21で、ホストコンピュータ31から入力されるキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータの何れか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データが入力されると、この印刷データをRAM32hに一時記憶し、この印刷データを解析して、各ノズルのインク滴吐出量を決定する階調値を、ヘッド駆動回路34へシリアル転送する4ビットの印字データSIに展開する。
【0036】
次いで、ステップS22に移行して、例えばROM32gに格納されている工場出荷時に測定された各ノズル毎のインク滴吐出特性のバラツキを補正する補正値を読込み、次いでステップS23に移行して、読込んだ各ノズル毎の補正値に基づいて各ノズル毎の印字データSIを補正し、次いでステップS24に移行して、1行分の各ノズルに対する印字データSIの補正が完了したか否かを判定し、補正が完了していないときには前記ステップS23に戻り、補正が完了したときにはステップS25に移行して補正した印字データSIと予めROM32gに格納された複数のパターンデータ列を有するパターンデータSPとをシリアルデータとして出力インタフェース部ヘッド駆動回路34へシリアル転送する。ここで、パターンデータSPは、図8に示すように、4ビットの印字データSIに対応して16通りで且つ46ビットのバターンデータ列P1〜P16が設定され、印字データ「0000」、「0100」、「1000」及び「1100」に対応するパターンデータ列P1〜P4が後述する駆動信号COMの第1駆動パルスDP1を選択するパターンデータとされ、印字データ「0001」、「0101」、「1001」及び「1101」に対応するパターンデータ列P5〜P8が駆動信号COMの第3駆動パルスDP3を選択するパターンデータとされ、印字データ「0010」、「0110」、「1010」に対応するパターンデータP9〜P12が駆動信号COMの第2駆動パルスDP3を選択するパターンデータとされ、印字データ「0011」、「0111」、「1011」及び「1111」に対応するパターンデータP13〜P16が駆動信号COMの第2駆動パルスDP2及びDE4を選択するパターンデータとされている。
【0037】
次いで、ステップS26に移行して、印字データSI及びパターンデータSPのシリアル転送が終了したか否かを判定し、シリアル転送が終了していないときにはこれが終了するまで待機し、シリアル転送が終了したときにはステップS27に移行して、ラッチ信号LATを出力し、次いでステップS28に移行して所定時間経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS29に移行して、所定時間毎に順次タイミング信号CHを出力してからステップS30に移行して、該当する記録ヘッド13K〜12cで印刷データの印刷が完了したか否かを判定し、印刷が完了していないときには前記ステップS21に戻り、印刷が完了したときには処理を終了する。
【0038】
この図7の処理において、ステップS27〜S29の処理がタイミング信号発生部に対応している。
また、駆動信号生成回路32cでは、図8に示すように、制御部32bから入力されるラッチ信号LATに基づいて、圧電式アクチュエータ122をノズル17からインク滴を吐出させない程度に微振動させる第1駆動パルスDP1、圧電式アクチュエータ122を比較的大きく伸張及び圧縮させてノズル17から中ドットのインク滴を吐出させる第2駆動パルスDP2、圧電式アクチュエータ122を比較的小さく伸張及び圧縮させてノズル17から小ドットのインク滴を吐出させる第3の駆動パルスDP3及び第2の駆動パルスDP2と同一の中ドットのインク滴を吐出させる第4の駆動パルスDP4とを時系列的に配列させた駆動信号COMを生成する。
【0039】
また、ヘッド駆動回路34は、プリンタコントローラ32の出力インタフェース部32eからシリアル転送されてくる印字データSIの各ノズル17に対する第1ビット目を格納するシフトレジスタ35aと、印字データSIの各ノズル17に対する第2ビット目を格納するシフトレジスタ35bと、印字データSIの各ノズル17に対する第3ビット目を格納するシフトレジスタ35cと、印字データSIの各ノズル17に対する第4ビット目を格納するシフトレジスタ35dと、プリンタコントローラ32の出力インタフェース部32eからシリアル転送されてくるパターンデータSPを格納するパターンデータ列格納部としてのシフトレジスタ35eとを有し、これらシフトレジスタ35a〜35eが直列に接続されている。
【0040】
そして、各シフトレジスタ35a〜35dには、これらシフトレジスタ35a〜35dに格納されている印字データSIを出力インタフェース32eから出力されるラッチ信号LATによってラッチするラッチ回路36a〜36dが接続され、このラッチ回路36a〜36dでラッチされた印字データSIがデコーダ37に直接供給されていると共に、シフトレジスタ35eに格納されているパターンデータSPがラッチ信号LAT、タイミング信号が入力された制御ロジック38を介してパターンデータ列選択部としてのデコーダ37に供給されている。
【0041】
このデコーダ37では、各ノズル17毎に、4ビットの印字データに基づいてパターンデータSPの46ビットのパターンデータ列を選択し、このパターンデータ列のビットデータをラッチ信号LAT及びタイミング信号CHが入力される毎に、順次駆動パルス選択信号SDとしてレベルシフタ39に供給する。
このレベルシフタ39は、電圧増幅器として機能し、入力される各ノズル毎の駆動パルス選択信号SDをスイッチ回路を駆動できる電圧(例えば数十ボルト程度)に昇圧した電気信号を出力する。
【0042】
このレベルシフタ39で昇圧された駆動パルス選択信号SDは、スイッチ手段として機能する供給制御部としてのスイッチ回路39に供給される。このスイッチ回路40にはその入力側にプリンタコントローラ32の出力インタフェース部32eから入力される駆動信号COMが供給され、出力側が圧電式アクチュエータ122に接続されている。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
【0043】
先ず、インクジェット式プリンタの電源が投入されると、制御装置30が作動状態となって、プリンタコントローラ32の制御部32bにおける中央処理装置32fで図6の印刷制御処理を実行開始する。
このとき、外部のホストコンピュータ31から印刷情報がプリンタコントローラ32に入力されていないときには、これが入力されるまで待機し(ステップS1)、給紙ユニット1、給紙ローラ3、ゲートローラ4、搬送機構5、記録ヘッド13Y〜13Kが作動停止状態にある。
【0044】
この作動停止状態から、外部のホストコンピュータ31から印刷情報がプリンタコントローラ32に入力されると、給紙ユニット1が駆動されると共に、モータ駆動回路23に駆動指令を出力して給紙ローラ3が駆動され(ステップS2)、これによって給紙ユニット1に収納されている記録用紙2が1枚だけ給紙されて給紙ローラ3によってゲートローラ4側に搬送される。
【0045】
このとき、記録用紙2の先端が搬送ローラ3より後方位置にある用紙通過センサ24で検出されて、用紙先端検出信号がプリンタコントローラ32に入力されると、この用紙先端検出信号が入力された時点から記録用紙2の先端がゲートローラ4に接触してその先端が搬送方向と直交する幅方向に一致する整列状態となるに十分な調整時間が経過したときに、モータ駆動回路24及び25に駆動指令を出力して、ゲートローラ4及び搬送機構5の駆動ローラ7が駆動開始されると共に、帯電ローラ10に高電圧電源11から高電圧の印加が開始される。
【0046】
これによって、ゲートローラ4に先端が接触している記録用紙2がゲートローラ4によって搬送機構5側に搬送され、この搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8上に受け渡される。このとき、静電吸着搬送ベルト8は従動ローラ6の下側で静電吸着搬送ベルト8に接触する帯電ローラ10で帯電されており、圧着ローラ9によって記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8に圧着されるので、記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8にこれから浮き上がることなく密着状態で静電吸着保持されて搬送される。
【0047】
そして、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Yの記録領域に到達すると、図7に示す記録ヘッド13Yに対するインク滴吐出制御処理が起動され、先ず、印刷データの階調値に基づいて4ビットの印字データSIが展開され、この印字データSIが、工場出荷時に測定された各ノズルのインク滴吐出特性のバラツキを補正する補正データで補正され、1行分の各ノズル17に対する印字データの補正が終了すると、この補正された印字データSI及びパターンデータSPがその順にヘッド駆動回路34のシフトレジスタ35eにシリアル転送される。このとき、シフトレジスタ35a〜35eが直列に接続されていることから、印字データSIの各ノズル17に対する第1ビット目がシフトレジスタ35aに格納され、第2ビット目がシフトレジスタ35bに格納され、第3ビット目がシフトレジスタ35cに格納され、第4ビット目がシフトレジスタ35dに格納され、パターンデータSPがシフトレジスタ35eに格納される。
【0048】
そして、印字データSI及びパターンデータSPのシフトレジスタ35a〜35eへのシリアル転送が終了すると、先ず、ラッチ信号LATが駆動信号生成回路32c及びヘッド駆動回路34に出力される。
このため、駆動信号生成回路32cで図8に示す第1駆動パルスDP1〜第4駆動パルスDP4が時系列的に配列された電圧信号でなる駆動信号COMが出力開始され、これと同時にヘッド駆動回路34のラッチ回路36a〜36dにシフトレジスタ35a〜35dに格納されている印字データSIがラッチされると共に、制御ロジック36にもラッチ信号LATが供給されることにより、シフトレジスタ35eに格納されているパターンデータSPが制御ロジック36に読込まれてデコーダ37に供給される。
【0049】
このため、デコーダ37で各ノズル17毎に4ビットの印字データSIに基づいてパターンデータSPのパターンデータ列P1〜P16の選択が行われる。
すなわち、今、記録用紙2の記録領域の先頭が空白行であるときには、記録ヘッド13Kの各ノズル17からインク滴が吐出されないように制御されるので、このときには、ノズル17及びキャビティ123内のインクが乾燥しないように圧電アクチュエータ122をノズル17からインク滴を吐出しない程度に微振動させる。
【0050】
このため、印字データSIとしては、図8に示す駆動信号COMのうち微振動を発生させる第1駆動パルスDP1のみを選択すればよく、パターンデータ列P2〜P4の何れかがノズル17のインク滴吐出特性に合わせて選択される。
したがって、インク滴を多く吐出されるノズル17については印字データSIが「0100」に設定されてパターンデータSPのパターンデータ列P2が選択され、インク滴が少なく吐出されるノズル17については印字データSIが「1100」に設定されてパターンデータSPのパターンデータ列P4が選択される。このため、例えば印字データSIが「1100」に設定された場合には、図9に示すように、ラッチ信号LATが入力された時点で“1”が出力され、その後タイミング信号CHが入力される毎に、“1”、“1”、“0”、“1”、“1”、“1”が駆動パルス選択信号SDとしてレベルシフタ39に出力され、このレベルシフト39で昇圧されて駆動信号COMが供給されているスイッチ回路40に供給される。
【0051】
したがって、スイッチ回路40で、駆動信号COMの第1駆動パルスDP1を通過させるように開制御されるので、駆動信号COMの第1駆動パルスDP1がそのまま圧電アクチュエータ122に供給されることになり、第1の駆動パルスDP1の電圧が増加する増加領域で圧電アクチュエータ122収縮してキャビティ123が膨張してリザーバ128からインクが流入するがその流入量は少なく、その後、第1の駆動パルスDP1の電圧が減少する減少領域で圧電アクチュエータ122が伸張してキャビティ123が収縮することにより、キャビティ123内のインクがノズル17から吐出されることなくリザーバ128に戻される。結局、キャビティ123内のインクが微振動されて乾燥することが抑制される。
【0052】
その後、駆動信号COMの第2駆動パルスDP2〜第4駆動パルスDP4がスイッチ回路40に入力されている間では、パターンデータ列P4の各ビットが“0”に設定されているので、スイッチ回路40がオフ状態に制御されて、駆動信号COMが圧電アクチュエータ122に供給されることはなく、ノズル17からインク滴が吐出されることはない。
一方、記録用紙2のインク滴を吐出して印字する部分が記録ヘッド13Kのノズル17位置に達し、このときに形成するドットが大ドットであり、ノズル17から多めのインク滴が吐出される特性であるときには、印字データSIとして例えば図10に示すように「0111」が設定され、これによってデコーダ37でパターンデータ列P14が選択される。
【0053】
この選択されたパターンデータ列P14は、ラッチ信号LATと第1回目から第6回目のタイミング信号CH1〜CH6が入力されるまでの間ではビットデータが“0”を維持することにより、駆動信号COMの第1駆動パルスDP1がスイッチ回路40に供給されている間はスイッチ回路40がオフ状態を維持することにより、圧電アクチュエータ122には図10に示すように第1駆動パルスDP1は入力されず、その後第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4がスイッチ回路40に供給されているときに、パターンデータ列P14のビットが夫々“1”、“1”、“0”、“0”、“0”、“1”、“1”、“1”、“0”、“0”、“0”、“1”、“1”に設定されているので、第2駆動パルスDP2及びDP4の電圧が増加開始して全波高値の半分程度に達するまではスイッチ回路40がオン状態に制御されることにより、圧電アクチュエータ122に供給される駆動電圧が増加し、その後全波高値の半分を超えるとスイッチ回路40がオフ状態となることにより、圧電アクチュエータ122の電圧が保持状態となり、その後、第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4が全波高値の半分まで低下したときに再度スイッチ回路40がオン状態に制御され、この状態が第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4が中間電位より低下するまで継続されるので、圧電アクチュエータ122に供給される電圧は中間電圧より低い最小波高値の半分程度まで減少し、その後、スイッチ回路40がオフ状態となることにより、この低い電圧が維持されてから第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4が中間電圧に復帰する区間で再度スイッチ回路40がオン状態となることにより、圧電アクチュエータ122に供給される電圧が中間電圧に復帰する。
【0054】
このように、圧電アクチュエータ122に大きな振幅の第2駆動パルスDP2及びDP4が印加されると、圧電アクチュエータ122が大きく収縮してキャビティ123の膨張が大きくなってリザーバ128から流入するインク量が増加し、その後、圧電アクチュエータが大きく伸張してキャビティ123が大きく収縮するので、ノズル17から中ドットを形成するインク滴が2回吐出され、これらが記録用紙2上で重畳されるので、大ドットを形成することができる。
【0055】
この大ドットを形成する場合に、ノズル17が少なめのインク滴を吐出する特性となっている場合には、その程度によって印字データSIとして「1011」又は「1111」が設定されて、圧電アクチュエータ122に印加される第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4の中間電圧より高い方向及び低い方向の双方で波高値が高くなるので、これに応じて圧電アクチュエータ122の収縮量及び伸張量が増加してノズル17から吐出されるインク滴量が増加されて、ノズルのインク滴吐出特性を補正した適正なインク滴吐出量に制御することができる。
【0056】
同様に、中ドットを形成する場合には、印字データSIをノズルのインク滴吐出特性に合わせて「0010」、「0110」、「1010」及び「1110」の中から選択して設定することにより、第2駆動パルスDP2のみを圧電アクチュエータ122に印加してインク滴を吐出させることにより中ドットを形成することができ、さらに小ドットを形成する場合には、印字データSIをノズルのインク滴吐出特性に合わせて「0001」、「0101」、「1001」及び「1101」の中から選択して設定することにより、第3駆動パルスDP3のみを圧電アクチュエータ122に印加してインク滴を吐出させることより小ドットを形成することができる。
【0057】
その後、記録用紙2の情報記録領域の先端が順次記録ヘッド12Cの記録領域に到達すると、記録ヘッド13Cから印刷情報に基づいてシアンのインク液滴が記録用紙2の情報記録領域に吐出されて記録され、その後、記録用紙2の情報記録領域の先端が順次記録ヘッド13M及び13Yの記録領域に到達すると、印刷情報に基づいて各記録ヘッド13M及び13Yからのマゼンタ及びイエローのインク液滴の吐出が制御されることにより、記録用紙2の情報記録領域に印刷情報に基づいたカラー印刷が行われる。
【0058】
このように、上記実施形態によれば、工場出荷時等に各記録ヘッド13K〜13Yの各ノズル17のインク滴吐出特性を測定して、その補正値を設定しておき、この補正値で印刷データを展開した印字データSIを補正することにより、ノズル17にインク滴吐出特性のバラツキがあっても、ノズル毎に個別に圧電アクチュエータ122に印加する駆動信号の波高値を変更して、各ノズル17から吐出されるインク滴吐出量を印刷データの階調値に応じた最適な値に制御することができるので、印字品質を従来例に比較して格段に向上させることができる。しかも、この場合、駆動信号生成回路32cで生成される駆動信号COMにおける駆動パルス数を増加させる必要がないので、印刷周期が長くなることはなく、印字データSIを変更するだけで容易に駆動信号の波高値を変更することができる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、ノズル17のインク吐出特性のバラツキを補正するために、駆動信号COMの各駆動パルスDP1〜DP4波高値を変更する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図11に示すように、記録ヘッドユニット12の近傍にインク温度を検出する温度検出部としての温度センサ50を設け、この温度センサ50で検出した温度を制御部32bに入力して、この制御部の中央処理装置32fで、インク滴吐出制御処理において、図12に示すように、前述した図7におけるステップS22及びS23を省略し、これらに代えて温度センサ50で検出した検出温度を読込み、この検出温度に基づいてインク粘度変化に応じた印字データSIを補正する印字の温度補正値を算出するステップS32と、このステップS32で算出した温度補正値で印字データSIを一律に補正するステップS33とを設けることにより、温度変化によるインク粘度の変化を考慮した最適なインク滴吐出量に制御することができ、インク温度の変化によってノズル17から吐出されるインク滴吐出量の変化を確実に抑制することができる。
【0060】
また、上記実施形態においては、パターンデータSPのパターンデータ列P1〜P16を46ビットで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、駆動信号COMの駆動パルスDP1〜DP4の分割数即ちタイミング信号CHの配置の仕方に応じて適宜変更することができ、波高値の変化段数を増加したい場合には、駆動パルスDP1〜DP4に対するタイミング信号CHの数を増加させ、逆に波高値の変化段数を減少したい場合には駆動パルスDP1〜DP4に対するタイミング信号CHの数を減少させればよく、これに応じてパターンデータ列のビット数を変化させればよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、駆動信号COMを第1駆動パルスDP1〜第4駆動パルスDP4の4つの駆動パルスを時系列的に配列して構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、印刷データの階調数に応じて駆動パルス数を任意に設定することができ、これに応じてタイミング信号CHの配列及びパターンデータSPのビット数を適宜設定すればよい。
【0062】
さらに、上記実施形態においては、各ノズル17のインク滴吐出特性のバラツキを工場出荷時の測定結果で補正値を設定し、これをROM32gに記憶しておく場合について説明したが、これに限定されるものではなく、記録ヘッドユニット12の下流側に記録用紙2に印刷されたデータを検出するイメージスキャナを配置し、このイメージスキャナで読取った画像データを解析してノズル単位のインク滴吐出特性やノズルをグループ化してグループ単位のインク滴吐出特性を調整するようにして、リアルタイムにノズルのインク滴吐出量を制御するようにしてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態においては、駆動信号生成回路32cで複数の駆動パルスを時系列的に発生させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、駆動パルス毎に駆動信号生成回路を設けるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、記録用紙2の搬送位置を検出する搬送位置検出手段として静電吸着搬送ベルト8に形成したリニアスケールを検出するエンコーダECで検出する場合について説明したが、これに限定されるものでなく、駆動ローラ7を駆動する駆動モータ7aの回転軸や従動ローラ6の回転軸にロータリエンコーダを設けるようにしてもよい他、ゲートローラ4の駆動開始時刻からの経過時間で記録用紙2の搬送位置を検出するようにしてもよい。また、ゲートローラ4からの記録用紙2の搬送開始タイミングは、静電吸着搬送ベルト8の側縁に少なくとも1箇所のインデックス部を設け、このインデックス部をインデックス検出部で検出し、このインデックス検出部でのインデックス検出タイミングに基づいてゲートローラ4を駆動開始すると共に、エンコーダECの計数を開始するようにしてもよい。
【0064】
さらにまた、上記実施形態では、搬送機構5として搬送ベルト8を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、搬送ベルトに代えて静電吸着ドラムを適用し、この静電吸着ドラムで記録用紙を静電吸着して搬送し、その搬送途上に記録ヘッドユニット12を設けるようにしてもよい。
なおさらに、上記実施形態においては、静電吸着方式を採用して記録用紙2を搬送ベルト8に吸着するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、搬送ベルト8に透孔を形成すると共に、その内側に空気を吸引する空気吸引機構を設け、この空気吸引機構で空気を吸引することにより、記録用紙2を搬送ベルト8に吸着するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、圧電式(ピエゾ方式)による積層アクチュエータ122を有するインクジェットヘッド100を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図13に示すように、圧電材料301を上下電極302,303で挟んだ簡単な構造のアクチュエータを使用して振動板121を振動させ、振動モードとして図13で上下方向に撓むモードを利用したピエゾ方式のユニモルフアクチュエータ304を適用したり、図14に示すように圧電材料311の両端部に電極312が両端側にあって圧力室313形成し、アクチュエータはノズルを1つおきに駆動し、駆動信号が与えられると図14で破線図示のように圧力室313内の圧力が変化してノズル314からインク液が吐出される構成を有するピエゾ方式のシェアモード1アクチュエータ315を適用したり、図15に示すように、圧電材料321の表面に電極322,323が交互に設けられ、駆動信号が与えられると図15の破線のように変形して圧力室324内の圧力が変化してノズル325からインク滴が吐出される4ピエゾ方式のエアモード2アクチュエータを適用したりすることもできる。
【0066】
また、ピエゾ方式に限らず、図16及び図17に示すように、通常は基板331上に発熱体332とそのドライバ333への接続線334、耐キャビテーション膜335、隔壁336、ノズル壁337を使用して、天板338を接合させ、天板338に形成したインク流入口340からリザーバ341にインクを流入させ、このインクをノズル壁337で囲まれた圧力室342に供給し、ドライバ333からの駆動信号がヘッドユニットの圧力室240に配設された各発熱体332に伝達されると発熱体332は瞬間的に300℃以上の温度に発熱し耐キャビテーション膜335上に膜沸騰による気泡が発生し、その圧力変化によってインク滴がノズル孔339から吐出され、インク滴が吐出された直後に気泡が発生し、その圧力変化によってインク滴が吐出され、インク液滴が吐出された直後、気泡は急激に収縮して元の状態に復帰するようにした膜沸騰インクジェット方式を適用することもできる。
【0067】
さらに、上記各実施形態では、記録ヘッドユニット12のヘッド駆動回路34をハードウェアで構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロコンピュータ等を使用してソフトウェアで構成することもできる。
さらにまた、上記実施形態では、印字データSIとパターンデータSPとを同時にシリアル転送する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、シフトレジスタ35eをシフトレジスタ35a〜35dとは切り離して、パターンデータSPについては最初に1回のみヘッド駆動回路34にシリアル転送し、その後は印字データSIのみをシリアル転送するようにしてもよい。
【0068】
なおさらに、上記実施形態では、ヘッド駆動回路34でレベルシフタ39を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、デコーダ37の出力が直接スイッチ回路40を駆動可能な電圧である場合にはレベルシフタ215を省略することができる。
また、上記実施形態では、本発明をインクジェット式プリンタに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の液滴を吐出させる液滴吐出装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態におけるインクジェット式プリンタの概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の記録ヘッドユニットを示す底面図である。
【図3】ヘッドのノズル基板の構成を示す底面図である。
【図4】図1に示すインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。
【図5】本発明に適用し得る制御装置の一例を示すブロックである。
【図6】制御装置で実行する印刷制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】制御装置で実行するインク滴吐出制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の動作の説明に供する駆動信号、ラッチ信号、タイミング信号、印字データ及びパターンデータの関係を示す波形図である。
【図9】ノズルを微振動させる場合のアクチュエータに供給する駆動信号及びパターンデータの関係を示す波形図である。
【図10】ノズルから大ドットを形成するインク滴を吐出させる場合のアクチュエータに供給する駆動信号及びパターンデータの関係を示す波形図である。
【図11】制御装置の他の例を示すブロック図である。
【図12】制御装置で実行するインク液滴吐出制御処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図13】ピエゾ式におけるユニモルフアクチュエータを示す断面図である。
【図14】ピエゾ式におけるシェアモード1アクチュエータを示す断面図である。
【図15】ピエゾ方式におけるシェアモード2アクチュエータを示す断面図である。
【図16】膜沸騰インクジェット方式のヘッドユニットを示す天板を除去した斜視図である。
【図17】図20の断面図である。
【図18】従来の駆動信号波形パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1…給紙ユニット、2…記録用紙、5…搬送機構、8…静電吸着搬送ベルト、12…記録ヘッドユニット、13K〜13Y…記録ヘッド、15…分割ヘッド、17…ノズル、30…制御装置、31…ホストコンピュータ、32…プリンタコントローラ、32a…入力インタフェース部、32b…制御部、32c…駆動信号生成回路、34…ヘッド駆動回路、35a〜35e…シフトレジスタ、36a〜36d…ラッチ回路、37…デコーダ、38…制御ロジック、39…レベルシフタ、40…スイッチ回路、50…温度センサ、100…インクジェットヘッド、122…圧電式アクチュエータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタなどの液滴吐出制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出制御装置の1つであるインクジェット式プリンタは、記録ヘッドに形成した複数のノズルからインク滴(液滴)を吐出して所定の記録媒体上に画像形成を行う。この記録ヘッドとして、アクチュエータによってノズルに連通する圧力室に圧力変動を発生させ、ノズル開口部からインク滴を吐出させるものが知られている。
このようなインクジェット式プリンタでは、駆動信号発生回路で第1パルス、第2パルス、第3パルス及び第4パルスの合計4つの駆動パルスから単一の駆動信号を生成し、一印刷周期内で、各駆動パルスのいずれか1つ又は複数を選択することにより、同一のノズルから重量の異なるインク滴が吐出され、プリンタコントローラからの階調データは2ビットに圧縮されて、この階調データがプリントヘッド内のデコーダ及び制御ロジックによって4ビットの印字データに翻訳されることにより、プリントヘッドへのデータ転送量を減少させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一印刷周期毎に出力される駆動信号を第1〜第3の駆動パルスで構成し、各駆動パルスをパルス頂部がパルス幅方向に分割された2個の波形要素で構成し、各波形要素に対応したビットデータで印刷データを形成することにより、駆動信号中に明示的に含まれる駆動パルスの他に、各波形要素を連結してなる新たな駆動パルスを選択することができるインクジェット式プリンタヘッドの駆動装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−81013号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開平10−81014号公報(第1頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている従来例にあっては、圧電振動子に印加される駆動信号の第1パルス〜第4パルスの駆動パルスの波形はその波高値を変更できないため、複数のノズルは各ノズル毎にインク滴吐出特性が異なり、このインク滴吐出特性を補正するために波高値を変更することはできず、ノズル毎にインク滴特性のバラツキによって印刷された画像に操作方向のバンディング(濃度ムラ、スジ)が発生して印字品質を高く維持することができないという未解決の課題がある。この場合のインク滴吐出特性は、インク流路構成や使用される圧電振動子の個体差等によって決定される。
【0005】
すなわち、例えば、1ノズル列180ノズルで2ノズル列を千鳥状に配置したプリントヘッドでは、夫々のノズル列でのノズル間隔は180〔npi〕であり、ノズル列が千鳥状に配列されて360〔npi〕を実現するようにしている。このようなノズル列を有するプリントヘッドでは、両端数ノズルの吐出量が多くなったり、ノズル列毎に印字濃度が異なったりする現象が発生する。
【0006】
このようにノズル毎にインク滴吐出特性が異なる場合に対処するためには、波高値の異なる波形を有する多数の駆動パルスを用意して、これらをノズルのインク滴吐出特性に応じて選択することが考えられるが、この場合には駆動信号を形成する駆動パルス数が増加することにより、一印刷周期が長くなり、印字速度が低下するという新たな未解決の課題を有することになる。すなわち、例えば、図18に示すように、微振動を生じさせる第1パルスと、中ドットを形成するパルスと小ドットを形成するパルスとを一組とする4組のパルス列を組み合わせて計9個の駆動パルスで駆動信号を形成することになり、4つの駆動パルスで駆動信号を形成する場合の倍以上の印字周期を必要とすることになる。
【0007】
また、インクジェット式プリンタには、温度によってインク粘度が変化し、これによってノズルからの吐出量が変動してしまう問題があり、この問題を解決するには、駆動パルスをインク温度に合わせて補正する必要がある。このためには、インク温度に合わせた複数の駆動信号を装置内に保持し、温度検出結果に基づいて該当する駆動信号を適宜選択して使用するようにしている。この場合にも、温度に応じて波高値の異なる複数の駆動信号を設ける必要があるので、駆動パルス数が増加するこめ、駆動パルスとこれを選択するためのタイミングデータの両データを複数保持する必要があり、装置のメモリ容量の増大や処理時間の増加を招くという未解決の課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、駆動信号の駆動パルス数を増加させることなく、ノズル毎の液滴吐出特性のバラツキやインク温度変化によるインク粘度変化に対処することができる液滴吐出制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る液滴吐出装置は、液体を液滴として記録媒体に吐出する複数のノズルと、駆動信号の入力によって前記ノズルから液滴を記録媒体に対して吐出させる当該ノズル毎に設けられたアクチュエータと、印刷データを複数ビットの印字データに変換するデータ展開手段と、該データ展開手段で変換した印字データに基づいて前記アクチュエータに駆動信号を供給して駆動制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、液滴の吐出量を制御する複数の駆動パルスを時系列的に配置した前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、該駆動信号生成部で生成する駆動信号の各駆動パルスの波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部と、駆動パルスの波高値を選択する前記タイミング信号発生部で発生するタイミング信号数に応じたビット数の複数のパターンデータ列を格納するパターンデータ列格納部と、前記印字データに基づいて前記パターンデータ列格納部で格納するパターンデータ列を選択するパターンデータ列選択部と、該パターンデータ列選択部で選択されたパターンデータ列に基づいて前記駆動信号の前記アクチュエータへの供給を制御する供給制御部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
この第1の発明では、駆動信号生成部で複数の駆動パルスを含む駆動信号を生成すると共に、タイミング信号発生手段で、各駆動パルスを所定数に分割して波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させ、さらにパターンデータ列格納部に格納している複数のパターンデータ列をパターンデータ列選択部で印字データに基づいて選択し、供給制御部で選択したパターンデータ列に基づいて駆動信号のアクチュエータへの供給を制御することにより、駆動信号からパターンデータ列に応じた波高値の駆動パルスを得ることができる。このため、パターンデータ列を選択することにより、駆動パルス数を増加させることなく、異なる波高値の駆動パルスを形成することができ、ノズル毎に液滴吐出特性に応じて印字データを設定して最適なパターンデータ列を選択するか、インク温度を検出して、検出したインク温度に応じて印字データを設定して最適なパターンデータ列を選択することにより、各ノズルから吐出される液滴の吐出量を最適に制御して高品質の印刷を行うことができる。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記印字データは、前記各ノズルの液滴吐出特性を考慮したデータとされていることを特徴としている。
この第2の発明では、外部のホストコンピュータ等から入力される印刷データを、各ノズルの液滴吐出特性を考慮したデータとすることにより、データ展開部で展開された印字データで液滴吐出特性のバラツキを補正する最適なパターンデータ列を選択することができる。
【0012】
さらに、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記液体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部で検出した温度に応じて前記データ展開部で展開した印字データを補正してパターンデータ選択部に供給する印字データ補正部とを有することを特徴としている。
この第3の発明では、温度検出部で検出した液体温度に基づいて印字データ補正部でデータ展開部で展開した印字データを補正することにより、液体温度による液滴吐出量の変化に対応した最適な液滴吐出量を設定することができ、液体温度変化にかかわらず高品質の印刷特性を維持することができる。
【0013】
さらにまた、第4の発明は、第1〜第3の何れか1つの発明において、前記パターンデータ列格納部は、前記データ展開手段から印字データと共に供給される複数のパターンデータ列を格納するシフトレジスタで構成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、パターンデータ列格納部がシフトレジスタで構成されているので、データ展開手段から複数のパターンデータ列をシリアルデータとして供給することができ、データ展開手段との間の信号ラインを必要最小限とすることができる。
【0014】
なおさらに、第5の発明は、第1〜第4の何れか1つの発明において、前記駆動信号は、ノズルから液滴を吐出させない程度に前記アクチュエータを駆動する駆動パルスを含んで構成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、ノズルから液滴を吐出させない点度にアクチュエータを駆動する駆動パルスを含んでいるので、この駆動パルスを液滴の吐出間隔が開いているノズルについて選択することにより、ノズル近傍での液滴の乾燥を防止して液滴吐出特性の劣化を防止することができる。
【0015】
また、第6の発明は、第1〜第5の何れか1つの発明において、前記印字データはノズル毎に4ビットで構成され、且つ駆動信号の駆動パルスが4つの波形から構成されていることを特徴としている。
この第6の発明では、印字データが4ビットであるので、16通りの波高値選択を行うことができ、パターンデータ列格納部で16個のパターンデータ列を格納することにより、4つの駆動パルスから波高値の異なる16通りの駆動信号を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の液滴吐出制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の液滴吐出装置をインクジェット式プリンタに適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図中、1は記録媒体としての記録用紙2を多数枚収納する給紙ユニットであって、この給紙ユニット1から記録用紙2が1枚ずつ給紙される。この給紙ユニット1から給紙された記録用紙2は電動モータ3aで回転駆動される給紙ローラ3でゲートローラ4に搬送される。このゲートローラ4は互いに転接する上下一対のローラで構成され、給紙ローラ3で搬送された記録用紙2の先端がゲートローラ4に接触するまでは停止又は待機状態にあり、記録用紙2の先端が接触してから一対のローラの何れか一方を電動モータ4aで回転駆動することにより、記録用紙2の先端を搬送方向と直交する方向に一致させて記録用紙2を整列させて後段の搬送手段としての搬送機構5に受け渡す。
【0017】
この搬送機構5は、ゲートローラ4側に回転自在に配設された従動ローラ6と、この従動ローラ6に対してゲートローラ4とは反対側の記録用紙2の排紙側に所定間隔を保って互い平行に配設された電動モータ7aによって回転駆動される駆動ローラ7と、これら従動ローラ6及び駆動ローラ7間に張設された幅広帯状で記録用紙2を静電力で吸着保持して搬送する静電吸着搬送ベルト8とで構成されている。ここで、従動ローラ6及び駆動ローラ7は互いに同一外径に形成されている。従動ローラ6の上側に記録用紙2を静電吸着搬送ベルト8に圧着する圧着ローラ9が配設されている。
【0018】
また、静電吸着搬送ベルト8はその張力が図示しないテンションローラ等によって調整されている。また、静電吸着搬送ベルト8は、基材となる樹脂として、ポリアミド系合成繊維、ポリエステル、ポリウレタン、PET、ポリカーボネートや、シリコン系、PVDF系等のフッ素系樹脂を適用し、これにカーボンブラックや導電性フィラーを混入させて、体積抵抗値を108 〜1015Ω・cm程度、より好ましくは109 〜1012Ω・cm程度に調整し、厚みを耐久性と柔軟性、高速での帯電及び除電特性から見て0.05〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.2mm程度に選定する。
【0019】
また、搬送機構5は、従動ローラ6の下側で静電吸着搬送ベルト8に接触する導電性ゴム材で構成された帯電ローラ10を有し、この帯電ローラ10に高圧電源11から例えば+2kVの電圧が印加されている。
さらに、静電吸着搬送ベルト8には、その側縁にリニアスケール(図示せず)が形成され、このリニアスケールをエンコーダ14で検出することにより記録用紙の搬送位置を検出するようにしている。この場合リニアスケールとしては光を透過しないライン部とライン部間の光を透過する透過部とで構成する光学式又は磁性材でライン部を形成した磁気式の何れでも適用することができ、これに応じてエンコーダ14も光学式又は磁気式を適用することができる。
【0020】
一方、搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8で吸着保持されて搬送される記録用紙2に僅かな間隔(例えば1mm前後)を保って対向する位置に画像形成部としての記録ヘッドユニット12が配設されている。この記録ヘッドユニット12は、図2に示すように、記録用紙2に対してブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインク液滴を吐出する4つのライン型の記録ヘッド13K、13C、13M、13Yが記録用紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって順に所定間隔を保って配設されている。各記録ヘッド13K〜13Yの夫々は、インク液滴を吐出する多数のノズルを形成したインク液滴吐出面14を有する例えばn=6個の分割ヘッド15を記録用紙2の搬送方向に2列に千鳥状に配列したヘッド列16A及び16Bを有し、各ヘッド列16A及び16Bの分割ヘッド15のインク液滴吐出面14には、図3に示すように、例えば180個のノズル17を記録用紙2の幅方向に一列に整列されたノズル列が一方のノズル列のノズル17が他方のノズル列のノズル間に位置するように千鳥状に配列されて形成されている。
【0021】
そして、図4に示すように、上記各ノズル17を含んでインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)100が構成されている。
このインクジェット式記録ヘッド100は、図4に示すように、振動板121と、この振動板121を変位させる圧電式アクチュエータ122と、内部に液体であるインクが充填され振動板121の変位により内部の圧力が増減されるキャビティ(圧力室)123とを備えており、このキャビティ123にノズル17が連通し、キャビティ123内の圧力の増減によりノズル17からインクを液滴として吐出する。
【0022】
さらに詳述すると、インクジェットヘッド100は、ノズル17が形成されたノズル基板125と、キャビティ基板126と、振動板121と、複数の圧電素子127を積層した積層型の圧電式アクチュエータ122とを備えている。
キャビティ基板126は、図示のように所定形状に形成され、これにより、キャビティ123と、これに連通するリザーバ128とが形成されている。また、リザーバ128は、インク供給チューブ129を介してインクカートリッジ133に接続されている。
【0023】
圧電式アクチュエータ122は、対向して配置される櫛歯状の電極131、132と、その電極131、132の各櫛歯と交互に配置される圧電素子127とからなる。また、圧電式アクチュエータ122は、その一端側が図4に示すように中間層130を介して振動板121と接合されている。
このような構成からなる圧電式アクチュエータ122では、第1電極131と第2電極132との間に印加される駆動信号源からの駆動信号により、図4に示すように上下方向に伸び縮みするモードを利用している。この圧電式アクチュエータ122は、圧電素子127が積層されているために、大きな駆動力が得られるのが特徴である。
【0024】
したがって、圧電式アクチュエータ122では、図4に示すように、駆動信号が印加されると、振動板121に変位が生じてキャビティ123内の圧力が変化して、ノズル124からインク滴が吐出される。
そして、各記録ヘッドユニット12Y〜12Kの夫々は、記録用紙2の搬送方向と直交する方向即ち記録用紙2の幅方向にインク液滴を吐出するノズルを微小間隔で多数配置した記録領域が形成され、黒色についてはブラックの記録ヘッド13Kのみでインク液滴を吐出し、黒を含む他の色の記録ヘッド13Y〜13Kで吐出したインク液滴を記録用紙2上で重畳させることにより、カラー印刷を行うことができる。
【0025】
そして、搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8で搬送された記録用紙2は、記録ヘッドユニット12Y〜12Kで吐出されたインク液滴によって画像が形成された後、駆動ローラ7側に達すると、静電吸着搬送ベルト8の外周面に接触する剥離爪21によって静電吸着搬送ベルト8から分離され、駆動ローラ7より記録用紙2の搬送方向の下流側に配設された排紙ユニット22に受け渡される。
【0026】
そして、給紙ユニット1、給紙ローラ3、ゲートローラ4、搬送機構5及び記録ヘッド13K〜13Yの駆動制御が図5に示す制御装置30によって行われる。
この制御装置30は、図5に示すように、ホストコンピュータ31から印刷データが入力されるプリンタコントローラ32と、このプリンタコントローラ32にフレキシブルフラットケーブル33を介して接続されたヘッド駆動回路34とを備えている。
【0027】
プリンタコントローラ32は、ホストコンピュータ31から入力される印刷データを入力インタフェース部32aを介して受けると共に、エンコーダECから出力されるパルスが入力される例えばマイクロコンピュータで構成される制御部32bと、駆動信号COMを生成する駆動信号生成部としての駆動信号生成回路32cと、制御部32bから出力される印字データSI及びパターンデータSPをシリアル転送する際のクロック信号SCKを発生する発振回路32dと、制御部32bから出力される印字データSI、パターンデータSP、その他のラッチ信号LAT、タイミング信号CHと、駆動信号COM及びクロック信号SCKとをヘッド駆動回路34に出力する出力インタフェース部32eとを備えている。
【0028】
ここで、制御部32bは、所定の演算処理を実行する中央処理装置(CPU)32f、中央処理装置32fで実行するプログラムを格納するROM32g及び中央処理装置32fの演算処理過程で必要なデータ及び演算結果データを記憶するRAM32hを少なくとも備えており、記録用紙2の印刷制御を行う印刷制御処理及び記録ヘッド13K〜13Yの各ノズルからのインク滴吐出制御を行うインク滴吐出制御処理を実行する。
【0029】
印刷制御処理は、図6に示すように、先ず、ステップS1で印刷する印刷情報が入力されているか否かを判定し、印刷情報が入力されていないときにはこれが入力されるまで待機し、印刷情報が入力されたときにはステップS2に移行する。
このステップS2では、給紙ユニット1及び給紙ローラ3のモータ駆動回路23に駆動信号を出力して、給紙ユニット1から記録用紙2を、給紙ローラ3を介して給紙し、次いでステップS3に移行して、用紙通過センサ24から用紙先端検出信号が入力されたか否かを判定し、用紙先端検出信号が入力されていないときには用紙先端検出信号が入力されるまで待機し、用紙先端検出信号が入力されたときにはステップS4に移行する。
【0030】
このステップS4では、記録用紙2の先端がゲートローラ4に達するに十分な整列時間が経過したか否かを判定し、整列時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、整列時間が経過したときには、ステップS5に移行して、ゲートローラ4のモータ駆動回路25に対して駆動指令を出力すると共に、搬送機構5おける駆動ローラ7のモータ駆動回路26に対して駆動指令を出力し、さらに帯電ローラ10に高電圧を印加してからステップS6に移行する。
【0031】
このステップS6では、ゲートローラ4を駆動してからエンコーダECから入力されるパルスを計数し、その計数値が予め設定した所定値に達することにより記録用紙2の情報記録領域が先頭の記録ヘッド13Kによる記録領域に達したか否かを判定し、エンコーダECのパルス計数値が所定値に達していないときにはこれが所定値に達するまで待機し、所定値に達したときにはステップS7に移行して、記録ヘッド13Kで、印刷情報で設定されたノズルによるインク液滴吐出制御処理を起動して記録ヘッド13Kの印刷処理を行う。
【0032】
次いで、ステップS8に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Kから次の記録ヘッド13Cの記録領域に達したか否かをエンコーダECから入力されるパルスの計数値が第2の所定値に達したか否かにより判定し、パルス計数値が第2の所定値に達していないときには第2の所定値に達するまで待機し、第2の所定値に達したときにはステップS9に移行する。
【0033】
このステップS9では、印刷情報に基づく記録ヘッド13Cでのインク液滴吐出制御処理を起動して前記ステップS7と同様の記録ヘッド13Cの印刷処理を行う。
次いで、ステップS10に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Cから次の記録ヘッド13Mの記録領域に達したか否かをエンコーダECから入力されるパルスの計数値が第3の所定値に達したか否かにより判定し、パルス計数値が第3の所定値に達していないときには第3の所定値に達するまで待機し、第3の所定値に達したときにはステップS11に移行して、印刷情報に基づく記録ヘッド13Mでのインク液滴吐出制御処理を起動して前記ステップS7及びS9と同様の記録ヘッド13Mの印刷処理を行う。
【0034】
次いで、ステップS12に移行して、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Mから次の記録ヘッド13Yの記録領域に達したか否かをエンコーダECから入力されるパルスの計数値が第4の所定値に達したか否かにより判定し、パルス計数値が第4の所定値に達していないときには第4の所定値に達するまで待機し、第4の所定値に達したときにはステップS13に移行して、印刷情報に基づく記録ヘッド13Yでのインク液滴吐出制御処理を起動して印刷情報に基づく記録ヘッド13Yの印刷処理を行ってから前記ステップS1に戻る。
【0035】
また、各記録ヘッド13K〜13Yに対するインク液滴吐出制御処理は、図7に示すように、先ず、ステップS21で、ホストコンピュータ31から入力されるキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータの何れか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データが入力されると、この印刷データをRAM32hに一時記憶し、この印刷データを解析して、各ノズルのインク滴吐出量を決定する階調値を、ヘッド駆動回路34へシリアル転送する4ビットの印字データSIに展開する。
【0036】
次いで、ステップS22に移行して、例えばROM32gに格納されている工場出荷時に測定された各ノズル毎のインク滴吐出特性のバラツキを補正する補正値を読込み、次いでステップS23に移行して、読込んだ各ノズル毎の補正値に基づいて各ノズル毎の印字データSIを補正し、次いでステップS24に移行して、1行分の各ノズルに対する印字データSIの補正が完了したか否かを判定し、補正が完了していないときには前記ステップS23に戻り、補正が完了したときにはステップS25に移行して補正した印字データSIと予めROM32gに格納された複数のパターンデータ列を有するパターンデータSPとをシリアルデータとして出力インタフェース部ヘッド駆動回路34へシリアル転送する。ここで、パターンデータSPは、図8に示すように、4ビットの印字データSIに対応して16通りで且つ46ビットのバターンデータ列P1〜P16が設定され、印字データ「0000」、「0100」、「1000」及び「1100」に対応するパターンデータ列P1〜P4が後述する駆動信号COMの第1駆動パルスDP1を選択するパターンデータとされ、印字データ「0001」、「0101」、「1001」及び「1101」に対応するパターンデータ列P5〜P8が駆動信号COMの第3駆動パルスDP3を選択するパターンデータとされ、印字データ「0010」、「0110」、「1010」に対応するパターンデータP9〜P12が駆動信号COMの第2駆動パルスDP3を選択するパターンデータとされ、印字データ「0011」、「0111」、「1011」及び「1111」に対応するパターンデータP13〜P16が駆動信号COMの第2駆動パルスDP2及びDE4を選択するパターンデータとされている。
【0037】
次いで、ステップS26に移行して、印字データSI及びパターンデータSPのシリアル転送が終了したか否かを判定し、シリアル転送が終了していないときにはこれが終了するまで待機し、シリアル転送が終了したときにはステップS27に移行して、ラッチ信号LATを出力し、次いでステップS28に移行して所定時間経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS29に移行して、所定時間毎に順次タイミング信号CHを出力してからステップS30に移行して、該当する記録ヘッド13K〜12cで印刷データの印刷が完了したか否かを判定し、印刷が完了していないときには前記ステップS21に戻り、印刷が完了したときには処理を終了する。
【0038】
この図7の処理において、ステップS27〜S29の処理がタイミング信号発生部に対応している。
また、駆動信号生成回路32cでは、図8に示すように、制御部32bから入力されるラッチ信号LATに基づいて、圧電式アクチュエータ122をノズル17からインク滴を吐出させない程度に微振動させる第1駆動パルスDP1、圧電式アクチュエータ122を比較的大きく伸張及び圧縮させてノズル17から中ドットのインク滴を吐出させる第2駆動パルスDP2、圧電式アクチュエータ122を比較的小さく伸張及び圧縮させてノズル17から小ドットのインク滴を吐出させる第3の駆動パルスDP3及び第2の駆動パルスDP2と同一の中ドットのインク滴を吐出させる第4の駆動パルスDP4とを時系列的に配列させた駆動信号COMを生成する。
【0039】
また、ヘッド駆動回路34は、プリンタコントローラ32の出力インタフェース部32eからシリアル転送されてくる印字データSIの各ノズル17に対する第1ビット目を格納するシフトレジスタ35aと、印字データSIの各ノズル17に対する第2ビット目を格納するシフトレジスタ35bと、印字データSIの各ノズル17に対する第3ビット目を格納するシフトレジスタ35cと、印字データSIの各ノズル17に対する第4ビット目を格納するシフトレジスタ35dと、プリンタコントローラ32の出力インタフェース部32eからシリアル転送されてくるパターンデータSPを格納するパターンデータ列格納部としてのシフトレジスタ35eとを有し、これらシフトレジスタ35a〜35eが直列に接続されている。
【0040】
そして、各シフトレジスタ35a〜35dには、これらシフトレジスタ35a〜35dに格納されている印字データSIを出力インタフェース32eから出力されるラッチ信号LATによってラッチするラッチ回路36a〜36dが接続され、このラッチ回路36a〜36dでラッチされた印字データSIがデコーダ37に直接供給されていると共に、シフトレジスタ35eに格納されているパターンデータSPがラッチ信号LAT、タイミング信号が入力された制御ロジック38を介してパターンデータ列選択部としてのデコーダ37に供給されている。
【0041】
このデコーダ37では、各ノズル17毎に、4ビットの印字データに基づいてパターンデータSPの46ビットのパターンデータ列を選択し、このパターンデータ列のビットデータをラッチ信号LAT及びタイミング信号CHが入力される毎に、順次駆動パルス選択信号SDとしてレベルシフタ39に供給する。
このレベルシフタ39は、電圧増幅器として機能し、入力される各ノズル毎の駆動パルス選択信号SDをスイッチ回路を駆動できる電圧(例えば数十ボルト程度)に昇圧した電気信号を出力する。
【0042】
このレベルシフタ39で昇圧された駆動パルス選択信号SDは、スイッチ手段として機能する供給制御部としてのスイッチ回路39に供給される。このスイッチ回路40にはその入力側にプリンタコントローラ32の出力インタフェース部32eから入力される駆動信号COMが供給され、出力側が圧電式アクチュエータ122に接続されている。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
【0043】
先ず、インクジェット式プリンタの電源が投入されると、制御装置30が作動状態となって、プリンタコントローラ32の制御部32bにおける中央処理装置32fで図6の印刷制御処理を実行開始する。
このとき、外部のホストコンピュータ31から印刷情報がプリンタコントローラ32に入力されていないときには、これが入力されるまで待機し(ステップS1)、給紙ユニット1、給紙ローラ3、ゲートローラ4、搬送機構5、記録ヘッド13Y〜13Kが作動停止状態にある。
【0044】
この作動停止状態から、外部のホストコンピュータ31から印刷情報がプリンタコントローラ32に入力されると、給紙ユニット1が駆動されると共に、モータ駆動回路23に駆動指令を出力して給紙ローラ3が駆動され(ステップS2)、これによって給紙ユニット1に収納されている記録用紙2が1枚だけ給紙されて給紙ローラ3によってゲートローラ4側に搬送される。
【0045】
このとき、記録用紙2の先端が搬送ローラ3より後方位置にある用紙通過センサ24で検出されて、用紙先端検出信号がプリンタコントローラ32に入力されると、この用紙先端検出信号が入力された時点から記録用紙2の先端がゲートローラ4に接触してその先端が搬送方向と直交する幅方向に一致する整列状態となるに十分な調整時間が経過したときに、モータ駆動回路24及び25に駆動指令を出力して、ゲートローラ4及び搬送機構5の駆動ローラ7が駆動開始されると共に、帯電ローラ10に高電圧電源11から高電圧の印加が開始される。
【0046】
これによって、ゲートローラ4に先端が接触している記録用紙2がゲートローラ4によって搬送機構5側に搬送され、この搬送機構5の静電吸着搬送ベルト8上に受け渡される。このとき、静電吸着搬送ベルト8は従動ローラ6の下側で静電吸着搬送ベルト8に接触する帯電ローラ10で帯電されており、圧着ローラ9によって記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8に圧着されるので、記録用紙2が静電吸着搬送ベルト8にこれから浮き上がることなく密着状態で静電吸着保持されて搬送される。
【0047】
そして、記録用紙2の情報記録領域の先端が記録ヘッド13Yの記録領域に到達すると、図7に示す記録ヘッド13Yに対するインク滴吐出制御処理が起動され、先ず、印刷データの階調値に基づいて4ビットの印字データSIが展開され、この印字データSIが、工場出荷時に測定された各ノズルのインク滴吐出特性のバラツキを補正する補正データで補正され、1行分の各ノズル17に対する印字データの補正が終了すると、この補正された印字データSI及びパターンデータSPがその順にヘッド駆動回路34のシフトレジスタ35eにシリアル転送される。このとき、シフトレジスタ35a〜35eが直列に接続されていることから、印字データSIの各ノズル17に対する第1ビット目がシフトレジスタ35aに格納され、第2ビット目がシフトレジスタ35bに格納され、第3ビット目がシフトレジスタ35cに格納され、第4ビット目がシフトレジスタ35dに格納され、パターンデータSPがシフトレジスタ35eに格納される。
【0048】
そして、印字データSI及びパターンデータSPのシフトレジスタ35a〜35eへのシリアル転送が終了すると、先ず、ラッチ信号LATが駆動信号生成回路32c及びヘッド駆動回路34に出力される。
このため、駆動信号生成回路32cで図8に示す第1駆動パルスDP1〜第4駆動パルスDP4が時系列的に配列された電圧信号でなる駆動信号COMが出力開始され、これと同時にヘッド駆動回路34のラッチ回路36a〜36dにシフトレジスタ35a〜35dに格納されている印字データSIがラッチされると共に、制御ロジック36にもラッチ信号LATが供給されることにより、シフトレジスタ35eに格納されているパターンデータSPが制御ロジック36に読込まれてデコーダ37に供給される。
【0049】
このため、デコーダ37で各ノズル17毎に4ビットの印字データSIに基づいてパターンデータSPのパターンデータ列P1〜P16の選択が行われる。
すなわち、今、記録用紙2の記録領域の先頭が空白行であるときには、記録ヘッド13Kの各ノズル17からインク滴が吐出されないように制御されるので、このときには、ノズル17及びキャビティ123内のインクが乾燥しないように圧電アクチュエータ122をノズル17からインク滴を吐出しない程度に微振動させる。
【0050】
このため、印字データSIとしては、図8に示す駆動信号COMのうち微振動を発生させる第1駆動パルスDP1のみを選択すればよく、パターンデータ列P2〜P4の何れかがノズル17のインク滴吐出特性に合わせて選択される。
したがって、インク滴を多く吐出されるノズル17については印字データSIが「0100」に設定されてパターンデータSPのパターンデータ列P2が選択され、インク滴が少なく吐出されるノズル17については印字データSIが「1100」に設定されてパターンデータSPのパターンデータ列P4が選択される。このため、例えば印字データSIが「1100」に設定された場合には、図9に示すように、ラッチ信号LATが入力された時点で“1”が出力され、その後タイミング信号CHが入力される毎に、“1”、“1”、“0”、“1”、“1”、“1”が駆動パルス選択信号SDとしてレベルシフタ39に出力され、このレベルシフト39で昇圧されて駆動信号COMが供給されているスイッチ回路40に供給される。
【0051】
したがって、スイッチ回路40で、駆動信号COMの第1駆動パルスDP1を通過させるように開制御されるので、駆動信号COMの第1駆動パルスDP1がそのまま圧電アクチュエータ122に供給されることになり、第1の駆動パルスDP1の電圧が増加する増加領域で圧電アクチュエータ122収縮してキャビティ123が膨張してリザーバ128からインクが流入するがその流入量は少なく、その後、第1の駆動パルスDP1の電圧が減少する減少領域で圧電アクチュエータ122が伸張してキャビティ123が収縮することにより、キャビティ123内のインクがノズル17から吐出されることなくリザーバ128に戻される。結局、キャビティ123内のインクが微振動されて乾燥することが抑制される。
【0052】
その後、駆動信号COMの第2駆動パルスDP2〜第4駆動パルスDP4がスイッチ回路40に入力されている間では、パターンデータ列P4の各ビットが“0”に設定されているので、スイッチ回路40がオフ状態に制御されて、駆動信号COMが圧電アクチュエータ122に供給されることはなく、ノズル17からインク滴が吐出されることはない。
一方、記録用紙2のインク滴を吐出して印字する部分が記録ヘッド13Kのノズル17位置に達し、このときに形成するドットが大ドットであり、ノズル17から多めのインク滴が吐出される特性であるときには、印字データSIとして例えば図10に示すように「0111」が設定され、これによってデコーダ37でパターンデータ列P14が選択される。
【0053】
この選択されたパターンデータ列P14は、ラッチ信号LATと第1回目から第6回目のタイミング信号CH1〜CH6が入力されるまでの間ではビットデータが“0”を維持することにより、駆動信号COMの第1駆動パルスDP1がスイッチ回路40に供給されている間はスイッチ回路40がオフ状態を維持することにより、圧電アクチュエータ122には図10に示すように第1駆動パルスDP1は入力されず、その後第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4がスイッチ回路40に供給されているときに、パターンデータ列P14のビットが夫々“1”、“1”、“0”、“0”、“0”、“1”、“1”、“1”、“0”、“0”、“0”、“1”、“1”に設定されているので、第2駆動パルスDP2及びDP4の電圧が増加開始して全波高値の半分程度に達するまではスイッチ回路40がオン状態に制御されることにより、圧電アクチュエータ122に供給される駆動電圧が増加し、その後全波高値の半分を超えるとスイッチ回路40がオフ状態となることにより、圧電アクチュエータ122の電圧が保持状態となり、その後、第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4が全波高値の半分まで低下したときに再度スイッチ回路40がオン状態に制御され、この状態が第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4が中間電位より低下するまで継続されるので、圧電アクチュエータ122に供給される電圧は中間電圧より低い最小波高値の半分程度まで減少し、その後、スイッチ回路40がオフ状態となることにより、この低い電圧が維持されてから第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4が中間電圧に復帰する区間で再度スイッチ回路40がオン状態となることにより、圧電アクチュエータ122に供給される電圧が中間電圧に復帰する。
【0054】
このように、圧電アクチュエータ122に大きな振幅の第2駆動パルスDP2及びDP4が印加されると、圧電アクチュエータ122が大きく収縮してキャビティ123の膨張が大きくなってリザーバ128から流入するインク量が増加し、その後、圧電アクチュエータが大きく伸張してキャビティ123が大きく収縮するので、ノズル17から中ドットを形成するインク滴が2回吐出され、これらが記録用紙2上で重畳されるので、大ドットを形成することができる。
【0055】
この大ドットを形成する場合に、ノズル17が少なめのインク滴を吐出する特性となっている場合には、その程度によって印字データSIとして「1011」又は「1111」が設定されて、圧電アクチュエータ122に印加される第2駆動パルスDP2及び第4駆動パルスDP4の中間電圧より高い方向及び低い方向の双方で波高値が高くなるので、これに応じて圧電アクチュエータ122の収縮量及び伸張量が増加してノズル17から吐出されるインク滴量が増加されて、ノズルのインク滴吐出特性を補正した適正なインク滴吐出量に制御することができる。
【0056】
同様に、中ドットを形成する場合には、印字データSIをノズルのインク滴吐出特性に合わせて「0010」、「0110」、「1010」及び「1110」の中から選択して設定することにより、第2駆動パルスDP2のみを圧電アクチュエータ122に印加してインク滴を吐出させることにより中ドットを形成することができ、さらに小ドットを形成する場合には、印字データSIをノズルのインク滴吐出特性に合わせて「0001」、「0101」、「1001」及び「1101」の中から選択して設定することにより、第3駆動パルスDP3のみを圧電アクチュエータ122に印加してインク滴を吐出させることより小ドットを形成することができる。
【0057】
その後、記録用紙2の情報記録領域の先端が順次記録ヘッド12Cの記録領域に到達すると、記録ヘッド13Cから印刷情報に基づいてシアンのインク液滴が記録用紙2の情報記録領域に吐出されて記録され、その後、記録用紙2の情報記録領域の先端が順次記録ヘッド13M及び13Yの記録領域に到達すると、印刷情報に基づいて各記録ヘッド13M及び13Yからのマゼンタ及びイエローのインク液滴の吐出が制御されることにより、記録用紙2の情報記録領域に印刷情報に基づいたカラー印刷が行われる。
【0058】
このように、上記実施形態によれば、工場出荷時等に各記録ヘッド13K〜13Yの各ノズル17のインク滴吐出特性を測定して、その補正値を設定しておき、この補正値で印刷データを展開した印字データSIを補正することにより、ノズル17にインク滴吐出特性のバラツキがあっても、ノズル毎に個別に圧電アクチュエータ122に印加する駆動信号の波高値を変更して、各ノズル17から吐出されるインク滴吐出量を印刷データの階調値に応じた最適な値に制御することができるので、印字品質を従来例に比較して格段に向上させることができる。しかも、この場合、駆動信号生成回路32cで生成される駆動信号COMにおける駆動パルス数を増加させる必要がないので、印刷周期が長くなることはなく、印字データSIを変更するだけで容易に駆動信号の波高値を変更することができる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、ノズル17のインク吐出特性のバラツキを補正するために、駆動信号COMの各駆動パルスDP1〜DP4波高値を変更する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図11に示すように、記録ヘッドユニット12の近傍にインク温度を検出する温度検出部としての温度センサ50を設け、この温度センサ50で検出した温度を制御部32bに入力して、この制御部の中央処理装置32fで、インク滴吐出制御処理において、図12に示すように、前述した図7におけるステップS22及びS23を省略し、これらに代えて温度センサ50で検出した検出温度を読込み、この検出温度に基づいてインク粘度変化に応じた印字データSIを補正する印字の温度補正値を算出するステップS32と、このステップS32で算出した温度補正値で印字データSIを一律に補正するステップS33とを設けることにより、温度変化によるインク粘度の変化を考慮した最適なインク滴吐出量に制御することができ、インク温度の変化によってノズル17から吐出されるインク滴吐出量の変化を確実に抑制することができる。
【0060】
また、上記実施形態においては、パターンデータSPのパターンデータ列P1〜P16を46ビットで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、駆動信号COMの駆動パルスDP1〜DP4の分割数即ちタイミング信号CHの配置の仕方に応じて適宜変更することができ、波高値の変化段数を増加したい場合には、駆動パルスDP1〜DP4に対するタイミング信号CHの数を増加させ、逆に波高値の変化段数を減少したい場合には駆動パルスDP1〜DP4に対するタイミング信号CHの数を減少させればよく、これに応じてパターンデータ列のビット数を変化させればよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、駆動信号COMを第1駆動パルスDP1〜第4駆動パルスDP4の4つの駆動パルスを時系列的に配列して構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、印刷データの階調数に応じて駆動パルス数を任意に設定することができ、これに応じてタイミング信号CHの配列及びパターンデータSPのビット数を適宜設定すればよい。
【0062】
さらに、上記実施形態においては、各ノズル17のインク滴吐出特性のバラツキを工場出荷時の測定結果で補正値を設定し、これをROM32gに記憶しておく場合について説明したが、これに限定されるものではなく、記録ヘッドユニット12の下流側に記録用紙2に印刷されたデータを検出するイメージスキャナを配置し、このイメージスキャナで読取った画像データを解析してノズル単位のインク滴吐出特性やノズルをグループ化してグループ単位のインク滴吐出特性を調整するようにして、リアルタイムにノズルのインク滴吐出量を制御するようにしてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態においては、駆動信号生成回路32cで複数の駆動パルスを時系列的に発生させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、駆動パルス毎に駆動信号生成回路を設けるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、記録用紙2の搬送位置を検出する搬送位置検出手段として静電吸着搬送ベルト8に形成したリニアスケールを検出するエンコーダECで検出する場合について説明したが、これに限定されるものでなく、駆動ローラ7を駆動する駆動モータ7aの回転軸や従動ローラ6の回転軸にロータリエンコーダを設けるようにしてもよい他、ゲートローラ4の駆動開始時刻からの経過時間で記録用紙2の搬送位置を検出するようにしてもよい。また、ゲートローラ4からの記録用紙2の搬送開始タイミングは、静電吸着搬送ベルト8の側縁に少なくとも1箇所のインデックス部を設け、このインデックス部をインデックス検出部で検出し、このインデックス検出部でのインデックス検出タイミングに基づいてゲートローラ4を駆動開始すると共に、エンコーダECの計数を開始するようにしてもよい。
【0064】
さらにまた、上記実施形態では、搬送機構5として搬送ベルト8を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、搬送ベルトに代えて静電吸着ドラムを適用し、この静電吸着ドラムで記録用紙を静電吸着して搬送し、その搬送途上に記録ヘッドユニット12を設けるようにしてもよい。
なおさらに、上記実施形態においては、静電吸着方式を採用して記録用紙2を搬送ベルト8に吸着するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、搬送ベルト8に透孔を形成すると共に、その内側に空気を吸引する空気吸引機構を設け、この空気吸引機構で空気を吸引することにより、記録用紙2を搬送ベルト8に吸着するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、圧電式(ピエゾ方式)による積層アクチュエータ122を有するインクジェットヘッド100を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図13に示すように、圧電材料301を上下電極302,303で挟んだ簡単な構造のアクチュエータを使用して振動板121を振動させ、振動モードとして図13で上下方向に撓むモードを利用したピエゾ方式のユニモルフアクチュエータ304を適用したり、図14に示すように圧電材料311の両端部に電極312が両端側にあって圧力室313形成し、アクチュエータはノズルを1つおきに駆動し、駆動信号が与えられると図14で破線図示のように圧力室313内の圧力が変化してノズル314からインク液が吐出される構成を有するピエゾ方式のシェアモード1アクチュエータ315を適用したり、図15に示すように、圧電材料321の表面に電極322,323が交互に設けられ、駆動信号が与えられると図15の破線のように変形して圧力室324内の圧力が変化してノズル325からインク滴が吐出される4ピエゾ方式のエアモード2アクチュエータを適用したりすることもできる。
【0066】
また、ピエゾ方式に限らず、図16及び図17に示すように、通常は基板331上に発熱体332とそのドライバ333への接続線334、耐キャビテーション膜335、隔壁336、ノズル壁337を使用して、天板338を接合させ、天板338に形成したインク流入口340からリザーバ341にインクを流入させ、このインクをノズル壁337で囲まれた圧力室342に供給し、ドライバ333からの駆動信号がヘッドユニットの圧力室240に配設された各発熱体332に伝達されると発熱体332は瞬間的に300℃以上の温度に発熱し耐キャビテーション膜335上に膜沸騰による気泡が発生し、その圧力変化によってインク滴がノズル孔339から吐出され、インク滴が吐出された直後に気泡が発生し、その圧力変化によってインク滴が吐出され、インク液滴が吐出された直後、気泡は急激に収縮して元の状態に復帰するようにした膜沸騰インクジェット方式を適用することもできる。
【0067】
さらに、上記各実施形態では、記録ヘッドユニット12のヘッド駆動回路34をハードウェアで構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロコンピュータ等を使用してソフトウェアで構成することもできる。
さらにまた、上記実施形態では、印字データSIとパターンデータSPとを同時にシリアル転送する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、シフトレジスタ35eをシフトレジスタ35a〜35dとは切り離して、パターンデータSPについては最初に1回のみヘッド駆動回路34にシリアル転送し、その後は印字データSIのみをシリアル転送するようにしてもよい。
【0068】
なおさらに、上記実施形態では、ヘッド駆動回路34でレベルシフタ39を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、デコーダ37の出力が直接スイッチ回路40を駆動可能な電圧である場合にはレベルシフタ215を省略することができる。
また、上記実施形態では、本発明をインクジェット式プリンタに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の液滴を吐出させる液滴吐出装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態におけるインクジェット式プリンタの概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の記録ヘッドユニットを示す底面図である。
【図3】ヘッドのノズル基板の構成を示す底面図である。
【図4】図1に示すインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。
【図5】本発明に適用し得る制御装置の一例を示すブロックである。
【図6】制御装置で実行する印刷制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】制御装置で実行するインク滴吐出制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の動作の説明に供する駆動信号、ラッチ信号、タイミング信号、印字データ及びパターンデータの関係を示す波形図である。
【図9】ノズルを微振動させる場合のアクチュエータに供給する駆動信号及びパターンデータの関係を示す波形図である。
【図10】ノズルから大ドットを形成するインク滴を吐出させる場合のアクチュエータに供給する駆動信号及びパターンデータの関係を示す波形図である。
【図11】制御装置の他の例を示すブロック図である。
【図12】制御装置で実行するインク液滴吐出制御処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図13】ピエゾ式におけるユニモルフアクチュエータを示す断面図である。
【図14】ピエゾ式におけるシェアモード1アクチュエータを示す断面図である。
【図15】ピエゾ方式におけるシェアモード2アクチュエータを示す断面図である。
【図16】膜沸騰インクジェット方式のヘッドユニットを示す天板を除去した斜視図である。
【図17】図20の断面図である。
【図18】従来の駆動信号波形パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1…給紙ユニット、2…記録用紙、5…搬送機構、8…静電吸着搬送ベルト、12…記録ヘッドユニット、13K〜13Y…記録ヘッド、15…分割ヘッド、17…ノズル、30…制御装置、31…ホストコンピュータ、32…プリンタコントローラ、32a…入力インタフェース部、32b…制御部、32c…駆動信号生成回路、34…ヘッド駆動回路、35a〜35e…シフトレジスタ、36a〜36d…ラッチ回路、37…デコーダ、38…制御ロジック、39…レベルシフタ、40…スイッチ回路、50…温度センサ、100…インクジェットヘッド、122…圧電式アクチュエータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を液滴として記録媒体に吐出する複数のノズルと、駆動信号の入力によって前記ノズルから液滴を記録媒体に対して吐出させる当該ノズル毎に設けられたアクチュエータと、印刷データを複数ビットの印字データに変換するデータ展開手段と、該データ展開手段で変換した印字データに基づいて前記アクチュエータに駆動信号を供給して駆動制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、液滴の吐出量を制御する複数の駆動パルスを時系列的に配置した前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、該駆動信号生成部で生成する駆動信号の各駆動パルスの波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部と、駆動パルスの波高値を選択する前記タイミング信号発生部で発生するタイミング信号数に応じたビット数の複数のパターンデータ列を格納するパターンデータ列格納部と、前記印字データに基づいて前記パターンデータ格納部で格納するパターンデータ列を選択するパターンデータ列選択部と、該パターンデータ列選択部で選択されたパターンデータ列に基づいて前記駆動信号の前記アクチュエータへの供給を制御する供給制御部とを備えていることを特徴とする液滴吐出制御装置。
【請求項2】
前記印字データは、前記各ノズルの液滴吐出特性を考慮したデータとされていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項3】
前記液体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部で検出した温度に応じて前記データ展開部で展開した印字データを補正してパターンデータ選択部に供給する印字データ補正部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項4】
前記パターンデータ列格納部は、前記データ展開手段から印字データと共に供給される複数のパターンデータ列を格納するシフトレジスタで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項5】
前記駆動信号は、ノズルから液滴を吐出させない程度に前記アクチュエータを駆動する駆動パルスを含んで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項6】
前記印字データはノズル毎に4ビットで構成され、且つ駆動信号の駆動パルスが4つの波形から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項1】
液体を液滴として記録媒体に吐出する複数のノズルと、駆動信号の入力によって前記ノズルから液滴を記録媒体に対して吐出させる当該ノズル毎に設けられたアクチュエータと、印刷データを複数ビットの印字データに変換するデータ展開手段と、該データ展開手段で変換した印字データに基づいて前記アクチュエータに駆動信号を供給して駆動制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、液滴の吐出量を制御する複数の駆動パルスを時系列的に配置した前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、該駆動信号生成部で生成する駆動信号の各駆動パルスの波高値を選択可能な位置にタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部と、駆動パルスの波高値を選択する前記タイミング信号発生部で発生するタイミング信号数に応じたビット数の複数のパターンデータ列を格納するパターンデータ列格納部と、前記印字データに基づいて前記パターンデータ格納部で格納するパターンデータ列を選択するパターンデータ列選択部と、該パターンデータ列選択部で選択されたパターンデータ列に基づいて前記駆動信号の前記アクチュエータへの供給を制御する供給制御部とを備えていることを特徴とする液滴吐出制御装置。
【請求項2】
前記印字データは、前記各ノズルの液滴吐出特性を考慮したデータとされていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項3】
前記液体の温度を検出する温度検出部と、該温度検出部で検出した温度に応じて前記データ展開部で展開した印字データを補正してパターンデータ選択部に供給する印字データ補正部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項4】
前記パターンデータ列格納部は、前記データ展開手段から印字データと共に供給される複数のパターンデータ列を格納するシフトレジスタで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項5】
前記駆動信号は、ノズルから液滴を吐出させない程度に前記アクチュエータを駆動する駆動パルスを含んで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液滴吐出制御装置。
【請求項6】
前記印字データはノズル毎に4ビットで構成され、且つ駆動信号の駆動パルスが4つの波形から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液滴吐出制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−256220(P2006−256220A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79315(P2005−79315)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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