説明

液滴噴射装置

【課題】アンキャッピング時におけるキャップ12の傾斜姿勢を安定させる。
【解決手段】
キャッピング状態では、キャリッジ2の搬送方向の両端面に設けられた突起部2c、2dと、アンキャッピング時にこれと係合する、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dの上下方向の離間距離が搬送方向上流側の方が短くなっている。これにより、アンキャッピング時に、突起部2c、2dとフック11c、11dが係合するまでに、キャップホルダ11が降下する距離が、搬送方向の上流側の方が短い。そして、2組の突起部2c、2dとフック11c、11dが係合した状態では、キャップホルダ11は、水平面に対して傾斜した姿勢でキャリッジ2に吊り下げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を噴射する液滴噴射ヘッドを備えた液滴噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴噴射ヘッドを備えた液滴噴射装置において、液滴噴射ヘッド内の液体流路に異物や気泡等が混入する、あるいは、ノズル内の液体が乾燥して増粘するなどして、ヘッドの液滴噴射性能が低下した場合に、前記異物や気泡、あるいは、増粘した液体をノズルから排出して、性能を回復させるメンテナンス装置を備えたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記液滴噴射装置としてのインクジェットプリンタが開示され、このプリンタは、インクジェットヘッドの液滴噴射面を覆うキャップ部材と、キャップ部材に接続されたポンプ(吸引手段)等を備えている。そして、キャップ部材は、適宜のキャップ駆動機構によって駆動されて、液滴噴射面に密着し(キャッピング)、その状態で、ポンプがキャップ部材内の空気を吸引排出して、キャップ内圧を低下させることによって、ノズルからキャップ部材内へ、インク中の異物や気泡、あるいは、増粘インク等をインクとともに排出する(吸引パージ)。
【0004】
ところで、上記パージの終了後には、インク噴射面に密着したキャップ部材内にはインクが充満しており、このキャップ部材をインク噴射面から離間させる際(アンキャッピング時)には、インクが飛散する虞がある。そこで、特許文献1は、キャップ部材をインク噴射面に対して傾けながら、離間させるように構成されている。
【0005】
具体的には、キャップ部材と、キャップ部材を取り囲むように配置されたガイド部材とを有し、キャップ部材がその底面に固定されたキャッププレートにおいてバネによって上方に付勢されている。また、ガイド部材の内面には、キャップ部材の底面に固定されたキャッププレートの一端部と係合する突起が設けられている。
【0006】
キャッピング時には、バネによってキャップは水平姿勢に保たれ、インク噴射面に押し付けられる。そして、アンキャッピング時には、まず、ガイド部材が降下するが、その時、キャップ部材はバネで水平姿勢に押し付けられたままであり、さらにガイド部材が降下すると、上記突起によってキャップ部材の一端部が押し下げられ、キャップ部材が傾いて、インク噴射面から離間する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−240938公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、アンキャッピング時に、キャップ部材がバネによって上方へ付勢された状態で、一端部が押し下げられて傾く際に、バネの付勢力は常に安定しておらず、それによってキャップ部材の姿勢が不安定となり、傾き角度が安定しない。
【0009】
本発明の目的は、アンキャッピング時におけるキャップ部材の傾斜姿勢を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明の液滴噴射装置は、ノズルが開口する水平な液滴噴射面を有する液滴噴射ヘッドと、前記液滴噴射面と上下方向に関して対向した状態で昇降可能で、且つ、水平面に対して傾動自在に構成され、前記液滴噴射面に密着することによって前記ノズルを覆う、液体を排出する排出口を有するキャップ部材と、前記キャップ部材を昇降駆動して前記液滴噴射面に対して離接させるキャップ昇降手段を備え、前記液滴噴射ヘッドと前記キャップ部材は、水平な第1方向に関して相対移動可能であり、前記キャップ部材が前記液滴噴射面と対向する位置と対向しない位置とを取り得るように構成され、前記液滴噴射ヘッドには、前記液滴噴射面を、前記第1方向と直交する水平な第2方向に関して挟むように配置された2つの第1係合部が設けられるとともに、前記キャップ部材には、このキャップ部材が前記液滴噴射面に密着した状態では前記液滴噴射ヘッドの前記2つの第1係合部よりも上方に離れて位置し、前記キャップ部材が降下するときに前記2つの第1係合部とそれぞれ係合する2つの第2係合部が設けられ、前記キャップ部材が前記液滴噴射面に密着した状態での、前記2つの第1係合部のうち一方の前記第1係合部とこれに係合可能な前記第2係合部の上下方向の離間距離が、他方の第1係合部とこれに係合可能な前記第2係合部の前記離間距離とは異なっていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、アンキャッピング時には、2組の第1係合部と第2係合部がそれぞれ係合することによって、キャップ部材の降下が規制され、キャップ部材は、液滴噴射ヘッドに対して、吊り下げた状態に固定される。このとき、キャッピング状態での、一方の第1係合部と第2係合部との離間距離が、もう一方の第1係合部と第2係合部の離間距離と異なるので、キャップ部材の第2方向における一端部と、他の端部の降下距離が異なる。これにより、キャップ部材を液滴噴射面に対して傾けて、液滴噴射ヘッドに吊り下げられた状態で、姿勢を固定することができる。なお、「液滴噴射ヘッドに設けられた第1係合部」とは、液滴噴射ヘッドに直接だけでなく、液滴噴射ヘッドと一体化された別部材に設けられた形態も含む概念である。また、「キャップ部材に設けられた第2係合部」も同様に、キャップ部材に直接だけでなく、キャップ部材と一体化された別部材に設けられた形態も含む概念である。
【0012】
第2の発明の液滴噴射装置は、前記第1の発明において、前記排出口に接続される吸引手段をさらに備え、前記排出口は、前記キャップ部材の前記第2方向における2つの端部のうち、前記上下方向の離間距離が小さい方の前記第1係合部と前記第2係合部が配置されている側の端部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
この第2の発明によれば、アンキャッピング時に、キャップ部材が降下する場合に、液滴噴射面とキャップ部材の、離間距離が小さいほうの第1係合部と第2係合部が配置されている側の端部に、毛管力によって液体が吸い寄せられてできるブリッジを効率良く、吸引することができる。
【0014】
第3の発明の液滴噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記2つの第1係合部は、互いの高さ位置が異なり、前記2つの第2係合部は、互いの高さ位置が等しいことを特徴とする。
【0015】
この第3の発明によれば、2つの第2係合部の高さを等しくすることで、キャップ部材を簡単に形成でき、加工精度の管理が容易になる。
【0016】
第4の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記液滴噴射ヘッドの液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向していない状態では、前記第2係合部は、対応する前記第1係合部と同じ高さ位置かそれよりも低い位置にあり、少なくとも、前記キャップ部材が前記液滴噴射面に密着した状態での、前記一方の第1係合部とこれに係合する第2係合部、及び、前記他方の第1係合部とこれに係合する第2係合部の前記離間距離が小さい方の、前記第1係合部と前記第2係合部との少なくとも一方の、前記第1方向における端部に、前記液滴噴射ヘッドと前記キャップ部材とが前記第1方向に相対移動して、前記液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向する際に、前記第2係合部を前記第1係合部の上側に乗り上げさせるためのガイド面が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この第4の発明によれば、液滴噴射面とキャップ部材が対向するように、液滴噴射ヘッドとキャップ部材が、水平な第1方向に関して相対移動する際に、第2係合部を第1係合部にスムーズに乗り上げさせることができる。
【0018】
第5の発明の液滴噴射装置は、前記第2係合部には、前記第1方向における端部から斜め上に突出する突出部が設けられ、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記液滴噴射ヘッドの液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向していない状態では、前記第2係合部は、対応する前記第1係合部よりも低い位置にあり、前記第2係合部の前記第1方向における端部、及び前記突出部に、前記液滴噴射ヘッドと前記キャップ部材とが前記第1方向に相対移動して、前記液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向する際に、前記第2係合部を前記第1係合部の上側に乗り上げさせるためのガイド面が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この第5の発明によれば、液滴噴射ヘッドとキャップ部材が対抗していない状態で、第2係合部が対応する第1係合部よりも低い位置にある場合にでも、第2係合部の端部、及び突出部にガイド面が設けられていることにより、このガイド面に沿って、第2係合部が第1係合部に乗り上げることができる。
【0020】
第6の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第5の何れかの発明において、前記液滴噴射ヘッドは、前記第1方向に往復移動するキャリッジに搭載されて、前記キャリッジと共に前記キャップ部材に対して前記第1方向に移動可能であり、前記キャリッジに前記2つの第1係合部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この第6の発明によれば、水平な第1方向に移動可能なキャリッジに搭載された液滴噴射ヘッドを備えた液滴噴射装置において、アンキャッピング時のキャップ部材の傾斜姿勢を固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アンキャッピング時に、キャップ部材が第1係合部と第2係合部が係合して、液滴噴射ヘッドに吊り下げられる際、キャッピング時の、2組の第1係合部と第2係合部との上下方向の離間距離が違っていることによって、キャップ部材が降下する場合に、キャップ部材の第2方向における一端部と、他の端部の降下距離が異なる。これにより、キャップ部材を液滴噴射面に対して傾けて、液滴噴射ヘッドに吊り下げられた状態で、姿勢を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】キャリッジとキャップホルダを説明するための図である。
【図3】吸引パージの一連の動作を説明する図である。
【図4】ガイド面を説明する図である。
【図5】吸引パージ後のインクの充満状態を示す図である。
【図6】変更例のガイド面の位置を説明する図である。
【図7】別の変形例の突起部とフックの位置関係を説明する図である。
【図8】さらに別の変形例の係合部の位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、インクジェットヘッド3から記録用紙Pに対して、インクを噴射することにより、記録用紙Pに所望の文字や画像などを記録(印刷)するプリンタ1に、本発明を適用したものである。
【0025】
<プリンタの概略構成>
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、プリンタ1(液滴噴射装置)は、一方向に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド(液滴噴射ヘッド)3及びサブタンク4a〜4dと、記録用紙Pを図1の搬送方向に搬送する搬送機構5と、インクを貯留するインクカートリッジ6a〜6dと、インクジェットヘッド3の噴射性能が低下したときにその性能を回復させるメンテナンスユニット7などを備えている。
【0026】
キャリッジ3は、図1の左右方向(走査方向)に平行に延びる2本のガイド軸16、24に沿って往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ3には、無端ベルト17が連結されており、キャリッジ駆動モータ18によって無端ベルト17が走行駆動されたときに、キャリッジ2は、無端ベルト17の走行に伴って走査方向に移動するようになっている。この走査方向が本発明の第1方向に相当する。
【0027】
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4a〜4dが搭載されている。インクジェットヘッド3は、圧電式のアクチュエータ46により、インクを複数のノズル45から噴射させる。複数のノズル45は、走査方向と直交する搬送方向に複数並べて配置されてノズル列を形成しているとともに、このノズル列が走査方向に4列配列されている。この搬送方向が本発明の第2方向に相当する。そして、このインクジェットヘッド3の下面が、複数のノズル45がそれぞれ開口するインク噴射面3a(液滴噴射面)となっており、ノズル列ごとに、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクが噴射される。本実施形態では、このインク噴射面3aが水平面に対して平行に形成されており、走査方向(第1方向)、搬送方向(第2方向)は、共にこの水平面内に含まれている。また、本実施形態で上下方向とは、この水平面と直交する方向を指し、キャリッジ2のインク噴射面3aが形成されている側を下方とする。また、インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面(図1の紙面向こう側の面)に設けられたノズル45から、搬送機構5により図1の下方(搬送方向)に搬送される記録用紙Pにインクを噴射する。これにより、記録用紙Pに所望の文字や画像などが記録される。
【0028】
さらに、このキャリッジ2の搬送方向の両側面には、高さ位置の異なる突起部2c、2d(第1係合部)が設けられている。この突起部2c、2dは、直方体形状のもので、キャリッジの走査方向全体に延在している。なお、本実施形態では、キャリッジ2に突起部2c、2dが設けられているが、インクジェットヘッド3に直接突起部2c、2dを設けてもよいし、インクジェットヘッド3に固定されている他の部材に突起部2c、2dを設けてもよい。
【0029】
4つのサブタンク4a〜4dは、走査方向に沿って並べて配置されている。また、これら4つのサブタンク4a〜4dには、チューブジョイント20が一体的に設けられている。そして、これらのチューブジョイント20に連結された可撓性のチューブ10a〜10dを介して、4つのサブタンク4a〜4dと4つのインクカートリッジ6a〜6dとがそれぞれ接続されている。
【0030】
搬送機構5は、インクジェットヘッド3よりも搬送方向上流側(図1上側)に配置された給紙ローラ21と、インクジェットヘッド3よりも搬送方向下流側に配置された排紙ローラ22とを有している。給紙ローラ21と排紙ローラ22は、それぞれ、給紙モータ23と排紙モータ25により回転駆動される。そして、この搬送機構5は、給紙ローラ21により、記録用紙Pを図1の上方からインクジェットヘッド3に供給するとともに、排紙ローラ22により、インクジェットヘッド3によって文字や画像などが記録された記録用紙Pを図1の下方に排出するように構成されている。
【0031】
4つのインクカートリッジ6a〜6dには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のインクがそれぞれ貯留されており、これらのインクカートリッジ6a〜6dは、ホルダ50に着脱自在に装着されている。4つのインクカートリッジ6a〜6dに貯留された4色のインクは、サブタンク4a〜4dに一時的に貯留された後、インクジェットヘッド3に供給される。
【0032】
<メンテナンスユニットの構成>
次に、メンテナンスユニット7について説明する。メンテナンスユニット7は、走査方向に関するキャリッジ2の移動範囲のうちの、記録用紙Pと対向する印刷領域よりも外側(図1における右側)の領域(メンテナンス位置)に配置されている。
【0033】
メンテナンスユニット7は、インクジェットヘッド3のインク噴射面3aに密着可能なキャップ12(キャップ部材)を有するキャップホルダ11と、キャップ12に備えられた排出口12e、12fに接続された吸引ポンプ14(吸引手段)と、キャップを昇降駆動するキャップ駆動機構9(キャップ昇降手段)と、吸引ポンプ14の接続先を切り換える切換装置15などを備えている。
【0034】
図1及び図2を参照しつつメンテナンスユニット7について説明する。図2(a)は、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)がメンテナンス位置に移動してキャッピング状態である場合の、キャリッジ2とキャップ12、およびキャップ12を搭載したキャップホルダ11の斜視図である。図2(b)はキャップホルダ11のみの上面図である。図2(c)は、図2(a)において一点鎖線で示す平面Aでの断面図である。
【0035】
図2(b)に示すように、キャップ12は、ゴムや合成樹脂などの可撓性を有する材料で形成されており、ブラックインクのノズル列に対応する部分12aと、カラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)のノズル列に対応する部分12bの2つに仕切られている。また、それぞれの部分12a、12bの搬送方向上流側には、吸引パージの際に排出されたインクを吸引排出する排出口12e、12fが設けられている。この排出口12e、12fは、それぞれの部分12a、12bの搬送方向上流側に設けられており、吸引パージの後の、アンキャッピング時にこの搬送方向上流側に形成されるインクブリッジ12iを効率良く吸引することができるように構成されている。そして、メンテナンス位置にキャリッジ2(インクジェットヘッド3)が移動してきたときに、このキャップ12は、インクジェットヘッド3の複数のノズル45が配置されたインク噴射面3aと対向する。この状態で、後述するキャップ駆動機構9によって上方に駆動されることにより、キャップ12は、インクジェットヘッド3のインク噴射面3aに密着し、部分12aがブラックインクのノズル列を覆い、部分12bが3列のカラーインクのノズル列を覆う。
【0036】
キャップホルダ11は、キャップ12が搭載される水平な底部11bと、底部11bの下面に設けられ、後述するキャップスライドカム19に摺動するピン11pと、底部11bの搬送方向の両端部から、それぞれ上方に立ち上がる2つの側壁11sと、2つの側壁11sの上端部に、内側に突出したフック11c、11d(第2係合部)を有している。このフック11c、11dの高さ位置は、加工精度の管理が容易となるように、同じとなっている。キャップ12は、キャップホルダ11の底部11bにインクジェットヘッド3のインク噴射面3aと平行に搭載されている。また、フック11c、11dの走査方向の一端部(図1の印刷領域側)には側壁11sから斜め上方向に突出する突出部11eが形成されており、フック11c、11dと、この突出部11eの下面がガイド面11gを構成している。これによって、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dが、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dにスムーズに乗り上げることができる。
【0037】
図2(c)に示すように、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dは、搬送方向の上流側の方が、上下方向の高さ位置が高くなっている。また、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dは、内側に突出しているが、キャリッジ2との間には隙間d1を残している。さらに、このキャッピング状態では、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dと、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dの上下方向の離間距離d2、d3が互いに異なっている。これにより、アンキャッピング時に、突起部2cとフック11cの離間距離d2だけ、キャップ12が水平姿勢を保ったまま降下し、その後、突起部2cとフック11cとが係合し、キャップ12がその係合部を中心に回転しながら、突起部2dとフック11dが係合するまで下降して、水平面に対して傾いた状態で、姿勢が固定される。
【0038】
<キャップ駆動機構の構成>
次に、キャップ駆動機構9について説明する。図3は、キャップホルダ11とこれを昇降させるキャップ駆動機構9を示す側面図である。キャップ駆動機構9は、搬送方向に移動可能であり、その移動によってキャップホルダ11を昇降駆動するキャップスライドカム19と、キャップスライドカム19を搬送方向に移動させる駆動モータ8などを有している。
【0039】
キャップスライドカム19は、キャップホルダ11の下方に配置されており、搬送方向上流側に延在した水平面19aと、水平面19aと連続し、搬送方向下流側に延在しながら上方に傾斜した斜面19bと、斜面19bと連続し、搬送方向下流側に延在した水平面19cを有している。そして、キャップスライドカム19の水平面19a、斜面19b及び水平面19cのいずれかの面にキャップホルダ11のピン11pが摺動可能に接触して、その高さ位置は決められている。
【0040】
具体的には、駆動モータ8により、キャップスライドカム19は、キャップホルダ11の下方を搬送方向に移動する。すると、このキャップスライドカム19の移動によって、キャップホルダ11のピン11pが、キャップスライドカム19の水平面19a、斜面19b及び水平面19cにわたって摺動しながら、これらの面の、前記水平面と直交する上下方向に関する高さ位置に対応して昇降する。
【0041】
<吸引パージ実行時の一連の動作>
次に、吸引パージ実行時の一連の動作を、図3〜図5を参照して説明する。図3は、キャップホルダ11が退避位置にある状態から、キャリッジ2がメンテナンス位置に移動し、キャッピング状態となり、吸引パージを行った後、アンキャッピング状態を経て、再び退避位置に戻るまでを説明する側面図である。図4は、図2(a)において二点鎖線で示す平面Cにおける断面を、搬送方向の下流側から見て、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)が、メンテナンス位置に移動する際に、フック11c、及び突出部11eに設けられたガイド面11gによって、フック11cが突起部2cにスムーズに乗り上げ、キャップホルダ11が上方に持ち上げられることを示す図である。図5は、図2(a)において一点鎖線で示す平面Aにおける断面図であり、カラーインクの吸引パージを行った後、アンキャッピングにおいてキャップホルダ11の傾斜姿勢が固定されて、インクブリッジが形成されるまでのキャップ12内のインクの状態を説明する図である。
【0042】
まず、図3(a)に示すように、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)がメンテナンス位置に移動していない状態では、キャップスライドカム19は、搬送方向の一方(図3(a)の右側端部)に位置している。このとき、キャップホルダ11のピン11pはキャップスライドカム19の水平面19aに接触して降下した状態となっており、キャップホルダ11は、インクジェットヘッド3のインク噴射面3aから離間した退避位置に位置する。
【0043】
次にキャリッジ2(インクジェットヘッド3)がメンテナンス位置に移動すると、キャリッジ2に設けられた2つの突起部2c、2dに、キャップホルダ11のフック11c、11dがそれぞれガイド面11gに沿って乗り上げることで、図3(b)に示すように、キャップホルダ11は、キャリッジ2に吊り下げられた状態となる。このとき、キャップホルダ11のピン11pは、キャップスライドカム19の水平面19aから離れている。
【0044】
ここでキャップホルダ11が図3(a)から図3(b)のようにキャリッジ2に吊り下げられた状態になる際の、ガイド面11gの効果について図4を参照しつつ説明する。
【0045】
図4(a)に示すように、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)とキャップホルダ11が対向していない状態では、一点鎖線Dで示すように、フック11cの下側の端面は、突起部2cの上側の端面よりも低い位置にある。そして、キャリッジ2が走査方向に沿って、メンテナンス位置に向かって移動すると、図4(b)に示すように、突起部2cの先端が、フック11c、及び突出部11eに設けられたガイド面11gに接触する。すると、図4(c)に示すように、フック11cは、突起部2cが移動するに従って、ガイド面11gによって、スムーズに突起部2cの上に乗り上げ、キャップホルダ11が上に持ち上げられる。なお、フック11d、及び突出部11eに設けられたガイド面11gも同様の効果を有し、突起部2dの上にフック11dがスムーズに乗り上げ、キャップホルダ11が上方に持ち上げられる。このとき、突起部2c、は突起部2dよりも高さ位置が高いため、キャップホルダ11の持ち上げられる高さは、フック11c側の方がフック11d側よりも高くなり、図3(b)に示すように、キャリッジ2がメンテナンス位置に到達すると、キャップホルダ11は、フック11c側を上にして傾いた状態でキャリッジ2に吊り下げられる。
【0046】
図3に戻って、駆動モータ8によりキャップスライドカム19が搬送方向(図3の左方)に移動すると、キャップホルダ11のピン11pは、斜面19bに接触して、斜面19bを摺動しながら上昇する。そして、図3(c)に示すように、キャップスライドカム19はさらに左方に移動し、キャップ12がキャッピング位置に位置すると停止する。すると、キャップホルダ11のピン11pが、キャップスライドカム19の水平面19cと接触する位置まで移動し、キャップ12はインクジェットヘッド3のインク噴射面3aに密着する。(キャッピング)
【0047】
その後、吸引ポンプ14によって、インク噴射面3aとキャップ12によって形成された密閉空間を負圧にすることで、ノズル45からインクを吸引する(吸引パージ)。なお、切換装置15により、ブラックインクの吸引パージを行う場合は、キャップ12の部分12aとインク噴射面3aのブラックインク用のノズル45が配置された領域によって形成された密閉空間を、吸引ポンプ14と連通させ、カラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)の吸引パージを行う場合は、キャップ12の部分12bとインク噴射面3aのカラーインク用のノズル45が配置された領域によって形成された密閉空間を、吸引ポンプ14と連通させる。この吸引パージにより、インク中のゴミや気泡、増粘インクをインクとともに排出する。
【0048】
図5(a)は、カラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)の吸引パージが終了した状態を示す図であり、キャップ12の部分12bがインクで充満している。
【0049】
次に、吸引パージが終了すると、キャップ12をインク噴射面3aから離間させる。駆動モータ8により、キャップスライドカム19が搬送方向(図3の右方)に移動すると、キャップホルダ11のピン11pは、キャップスライドカム19の水平面19cを摺動し、さらにキャップスライドカム19が移動すると、キャップスライドカム19の斜面19bに摺動しながら降下する。しかし、キャップホルダ11のピン11pが斜面19bの下端に到達する前に、図5(b)に示すように、キャリッジ2に設けられた突起部2cと、キャップホルダ11に設けられたフック11cが係合する。なお、キャップホルダ11は、キャッピング位置からこの位置に到達するまで、水平姿勢のまま、図2(c)で示した離間距離d2だけ降下する。その後、キャップホルダ11はこの係合部Bを軸に傾き始める。さらに、キャップホルダ11のピン11pが斜面19bを降下すると、突起部2dとフック11dが係合し、キャップホルダ11は、それ以上降下せずに、フック11c側を上にして、キャリッジ2に傾斜姿勢で吊り下げられた状態となる。このとき、図3(d)に示すようにキャップホルダ11のピン11pは、斜面19bの下端まで降下せずに、キャップスライドカム19の水平面19aから離れた状態になる。また、図5(c)に示すように、インク噴射面3aとキャップ12との距離は、キャッピング状態での離間距離が小さいほうの突起部2cとフック11cが配置されている側である、搬送方向上流側が最も小さく、この部分に毛管力によりインクが吸い寄せられて、インクブリッジ12iが形成される。
【0050】
そして、キャップ12内に残っているカラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)を吸引ポンプ14によって排出口12fから排出する。図5(c)に示すように、この排出口12fはインクブリッジ12iが形成される、搬送方向の上流側に形成されているため、効率良くインクを吸引することができる。なお、インクブリッジ12iが形成される部分は、この部分に限られず、突起部2c、2d及びフック11c、11dの高さ位置を変更することで搬送方向下流側に形成されるようにすることもできる。このように、アンキャップ時に、キャリッジホルダ11の傾斜姿勢を固定できることで、インクブリッジ12iの形成部分が予測でき、設計段階で、インクの飛散に対して、周辺部材の配置変更などの対策を取ることができる。
【0051】
この後、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)が、走査方向に沿って、メンテナンス位置から印刷領域に移動することで、キャリッジ2の突起部2c、2dと、キャップホルダ11のフック11c、11dが係合しなくなり、図3(a)に示した位置に戻ったキャップスライドカム19の水平面19aと、キャップホルダ11の下面が接触して、キャップホルダ11は、退避位置に戻る。
【0052】
以上、本実施形態のプリンタ1によれば、アンキャッピング時には、突起部2cとフック11c、及び、突起部2dとフック11dがそれぞれ係合することによって、キャップ12の降下が規制され、キャップ12がインクジェットヘッド3に対して、吊り下げられた状態に固定される。このとき、キャッピング状態での、突起部2cとフック11cの離間距離が、突起部2dとフック11dの離間距離が異なるので、キャップ12の搬送方向における一端部と他端部の降下距離が異なる。これにより、キャップ12をインク噴射面3aに対して傾けて、インクジェットヘッド3に吊り下げられた状態で、姿勢を固定することができる。
【0053】
また、アンキャッピング時に、キャップ12が降下する場合に、インク噴射面3aとキャップ12の離間距離が小さい突起部2cとフック11cが配置されている側に排出口12e、12fを設けることで、毛管力によってインクが吸い寄せられてできるインクブリッジ12iを効率良く吸引することができる。
【0054】
また、キャップホルダ11のフック11c、11dが同じ高さ位置に設けられていることで、キャップホルダ11を簡単に形成でき、加工精度の管理が容易になる。
【0055】
さらに、フック11c、11d、及び突出部11eに、ガイド面11gが形成されていることで、インク噴射面3aとキャップ12が対向するようにキャリッジ2が移動する際に、フック11c、11dを突起部2c、2dにスムーズに乗り上げさせることができる。
【0056】
また、インク噴射面3aとキャップ12が対向していない状態では、フック11c、11dは、対応する突起部2c、2dよりも高さ位置が低い位置にあり、フック11c、11d、及び突出部11eに設けられたガイド面11gにより、キャリッジ2がメンテナンス位置に移動する際に、フック11c、11dが対応する突起部2c、2dの上にガイド面に沿って乗り上げることができる。
【0057】
<変形例>
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、排出口12e、12fは、キャップホルダ11の搬送方向における2つの端部のうち、キャッピング状態での離間距離が小さい方の突起部2cとフック11cが配置されている側の端部に設けられているが、他の部分に排出口12e、12fを設けてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、吸引パージを行う場合について本発明を適用したが、インクジェットヘッド3のインク流路上流側に設けられた加圧ポンプにより、ノズル45からインクを加圧排出する加圧パージを行う場合にも本発明は適用できる。
【0060】
また、本実施形態では、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11d、及び突出部11eにガイド面11gが設けられているが、図6に示すように、キャリッジ2に設けた突起部2c、2dにガイド面2gが設けられてもよいし、その両方にガイド面2g、11gが設けられてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dの高さ位置が異なり、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dの高さ位置を等しくすることで、キャップ12がインク噴射面3aに密着した状態での2組の突起部2c、2dとフック11c、11dの離間距離が異なるように構成しているが、図7に示すように、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dの高さ位置を同じとし、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dの高さ位置が異なるように構成してもよい。これにより、2つの突起部2c、2dの高さ位置が同じなので、キャリッジ2を簡単に形成でき、加工精度の管理が容易になる。さらに、2組の突起部2c、2dとフック11c、11dの、キャッピング状態での離間距離が異なっていれば、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dの高さ位置が異なり、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dの高さ位置も異なる構成としてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、キャリッジ2に設けられた突起部2c、2dと、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dが係合するように構成しているが、図8に示すように、キャリッジ2に、搬送方向に関して内側を向いたフック2e、2fが設けられ、キャップホルダ11に、キャッピング状態で、フック2e、2fと係合するように、外側を向いたフック11c、11dが設けられてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、キャリッジ2に突起部2c、2dが設けられているが、突起部2c、2dはインクジェットヘッド3に直接設けられてもよいし、キャリッジ2と一体化した別部材に設けられてもよい。また、本実施形態で、キャップホルダ11に設けられたフック11c、11dも、キャップ12に直接設けられてもよいし、キャップ12と一体化した別部材に設けられてもよい。
【0064】
さらに、本実施形態では、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)がキャップホルダ11に対向する位置に移動する場合に、フック11c、11dが突起部2c、2dにスムーズに乗り上げさせることができるように、2つのフック11c、11dに突出部11eを設け、その突出部11eにガイド面11gを設けているが、キャップ昇降機構により、キャップホルダ11が、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)に対向する際に、突起部2c、2dが、対応するフック11c、11dよりも上に位置するように、退避位置から高さ方向に上昇した位置に固定されるようにすれば、突出部11eを設けずに、フック11c、11dの、印刷領域側の端部を切り欠いたガイド面11gを設けて、キャリッジ2(インクジェットヘッド3)とキャップ12を対向させてもよい。さらに、この場合、ガイド面11gも設けずにキャリッジ2(インクジェットヘッド3)とキャップ12を対向させるようにしてもよい。
【0065】
本実施形態では、走査方向に往復移動可能で、インクジェットヘッド3を搭載した、キャリッジ2を有するインクジェットプリンタ1に本発明を適用したが、用紙幅に対応する長さのノズル列を有し、用紙幅方向に、移動しないヘッドを有するラインプリンタにも本発明を適用してもよい。この場合、キャップ部材が用紙幅方向に移動することによって、ヘッドがキャップ部材に対向する位置と、対向しない位置とを取る。
【0066】
また、本実施形態では、文字や画像等を印刷するためのインクを噴射するインクジェットプリンタ1に本発明を適用しているが、他の、液体を噴射する液滴噴射装置に本発明を適用することも可能であり、例えば、電気回路の配線をプリントするための導電性液体を噴射する装置にも、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 インクジェットプリンタ(液滴噴射装置)
2 キャリッジ
2c、2d 突起部(第1係合部)
2e、2f フック
2g ガイド面
3 インクジェットヘッド(液滴噴射ヘッド)
3a インク噴射面(液滴噴射面)
4a、4b、4c、4d サブタンク
5 搬送機構
6a、6b、6c、6d インクカートリッジ
7 メンテナンスユニット
8 駆動モータ
9 キャップ駆動機構(キャップ昇降手段)
10a、10b、10c、10d チューブ
11 キャップホルダ
11b 底部
11c、11d フック(第2係合部)
11e 突出部
11g ガイド面
11p ピン
11s 側壁
12 キャップ(キャップ部材)
12e、12f 排出口
12i インクブリッジ
14 吸引ポンプ
15 切換装置
16 ガイド軸
17 無端ベルト
18 キャリッジ駆動モータ
19 キャップスライドカム
20 チューブジョイント
21 給紙ローラ
22 排紙ローラ
23 給紙モータ
24 ガイド軸
25 排紙モータ
45 ノズル
46 アクチュエータ
50 ホルダ
P 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが開口する水平な液滴噴射面を有する液滴噴射ヘッドと、
前記液滴噴射面と上下方向に関して対向した状態で昇降可能で、且つ、水平面に対して傾動自在に構成され、前記液滴噴射面に密着することによって前記ノズルを覆う、液体を排出する排出口を有するキャップ部材と、
前記キャップ部材を昇降駆動して前記液滴噴射面に対して離接させるキャップ昇降手段を備え、
前記液滴噴射ヘッドと前記キャップ部材は、水平な第1方向に関して相対移動可能であり、前記キャップ部材が前記液滴噴射面と対向する位置と対向しない位置とを取り得るように構成され、
前記液滴噴射ヘッドには、前記液滴噴射面を、前記第1方向と直交する水平な第2方向に関して挟むように配置された2つの第1係合部が設けられるとともに、
前記キャップ部材には、このキャップ部材が前記液滴噴射面に密着した状態では前記液滴噴射ヘッドの前記2つの第1係合部よりも上方に離れて位置し、前記キャップ部材が降下するときに前記2つの第1係合部とそれぞれ係合する2つの第2係合部が設けられ、
前記キャップ部材が前記液滴噴射面に密着した状態での、前記2つの第1係合部のうち一方の前記第1係合部とこれに係合可能な前記第2係合部の上下方向の離間距離が、他方の第1係合部とこれに係合可能な前記第2係合部の前記離間距離とは異なっていることを特徴とする液滴噴射装置。
【請求項2】
前記排出口に接続される吸引手段をさらに備え、
前記排出口は、前記キャップ部材の前記第2方向における2つの端部のうち、前記上下方向の離間距離が小さい方の前記第1係合部と前記第2係合部が配置されている側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。
【請求項3】
前記2つの第1係合部は、互いの高さ位置が異なり、前記2つの第2係合部は、互いの高さ位置が等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
【請求項4】
前記液滴噴射ヘッドの液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向していない状態では、前記第2係合部は、対応する前記第1係合部と同じ高さ位置かそれよりも低い位置にあり、
少なくとも、前記キャップ部材が前記液滴噴射面に密着した状態での、前記一方の第1係合部とこれに係合する第2係合部、及び、前記他方の第1係合部とこれに係合する第2係合部の前記離間距離が小さい方の、前記第1係合部と前記第2係合部の少なくとも一方の、前記第1方向における端部に、前記液滴噴射ヘッドと前記キャップ部材とが前記第1方向に相対移動して、前記液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向する際に、前記第係合部を前記第係合部の上側に乗り上げさせるためのガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液滴噴射装置。
【請求項5】
前記第2係合部には、前記第1方向における端部から斜め上に突出する突出部が設けられ、
前記液滴噴射ヘッドの液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向していない状態では、前記第2係合部は、対応する前記第1係合部よりも低い位置にあり、前記第2係合部の前記第1方向における端部、及び前記突出部に、前記液滴噴射ヘッドと前記キャップ部材とが前記第1方向に相対移動して、前記液滴噴射面と前記キャップ部材とが対向する際に、前記第2係合部を前記第1係合部の上側に乗り上げさせるためのガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液滴噴射装置。
【請求項6】
前記液滴噴射ヘッドは前記第1方向に往復移動するキャリッジに搭載されて、前記キャリッジと共に前記キャップ部材に対して前記第1方向に移動可能であり、
前記キャリッジに前記2つの第1係合部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液滴噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−176531(P2012−176531A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40360(P2011−40360)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】