説明

液滴塗布装置

【課題】塗布製品の品質を向上させる。
【解決手段】液滴塗布装置4は、塗布液を貯留する液室11a、その液室11a内の塗布液を吐出するための吐出口P2及び液室11aと吐出口P2とをつなぐノズル11bを有する本体部11と、液室11a内に設けられノズル11bの液室11a側の開口部P1に対して当接及び離間して開口部P1を開閉するプランジャ12と、そのプランジャ12をノズル11bの液室11a側の開口部P1に対して当接及び離間させる吐出駆動部14と、液室11a内の塗布液を撹拌する撹拌部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布対象物に液滴を塗布する液滴塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴塗布装置は、塗布液を貯留するシリンジやそのシリンジ内で上下移動可能なプランジャなどを備えており、シリンジの下部につながるノズルの吐出口からプランジャの上下移動により塗布液を液滴として吐出する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この吐出動作について詳述すると、液滴塗布装置は、ノズルのシリンジ側の開口部を塞いだ状態のプランジャを上昇させ、その上昇により生成された隙間に塗布液が供給された後、プランジャを下降させ、ノズルのシリンジ側の開口部に衝突させて塗布液をノズルの吐出口から液滴として吐出する。塗布液としては、例えば、フィラー(増粘材や増量材など)を含む粘性液体が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−282740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の液滴塗布装置においてフィラーを含む粘性液体を用いた場合には、シリンジ内の塗布液中のフィラーが時間経過と共に分離したり、あるいは、沈殿したりする。このため、塗布対象物に所望の濃度(密度)で塗布液を塗布することは困難となり、塗布製品の品質が低下してしまう。
【0006】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、塗布製品の品質を向上させることができる液滴塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る液滴塗布装置は、塗布液を貯留する液室、液室内の塗布液を吐出するための吐出口及び液室と吐出口とをつなぐ吐出流路を有する本体部と、液室内に設けられ、吐出流路の液室側の開口部に対して当接及び離間して開口部を開閉するプランジャと、プランジャを開口部に対して当接及び離間させる吐出駆動部と、液室内の塗布液を撹拌する撹拌部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗布製品の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す塗布装置が備える液滴塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す液滴塗布装置の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る液滴塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る液滴塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る液滴塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る液滴塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る塗布装置1は、基板などの塗布対象物Wが載置されるステージ2と、そのステージ2を移動させるステージ移動装置3と、ステージ2上の塗布対象物Wに向けて塗布液を吐出する液滴塗布装置4と、その液滴塗布装置4の吐出確認や撹拌動作時に塗布液を受け取る液受け部5と、各部を制御する制御装置6とを備えている。
【0012】
ステージ2は、塗布対象物Wが載置される載置面を有しており、ステージ移動装置3上に設けられている。このステージ2には、ロボットハンドなどの搬送装置との塗布対象物Wの受け渡しのため、棒状のリフトピン(図示せず)が昇降可能に複数個設けられている。
【0013】
ステージ移動装置3は、ステージ2をX軸方向に案内して移動させる移動機構及びY軸方向に案内して移動させる移動機構を有しており、ステージ2を支持してX軸方向及びY軸方向に移動させる。このステージ移動装置3は制御装置6に電気的に接続されており、その駆動が制御装置6により制御される。移動機構としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ式の移動機構やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式の移動機構などが用いられる。
【0014】
液滴塗布装置4は、ステージ2上の塗布対象物Wに向けて塗布液を液滴として吐出(噴射)する塗布ヘッドである(詳しくは、後述する)。この液滴塗布装置4は、ステージ移動装置3により移動するステージ2上の塗布対象物Wに液滴を吐出可能にY軸方向にのびるコラムなどの支持部材(図示せず)に設けられており、さらに、その支持部材に沿ってY軸方向に移動可能に形成されている。液滴塗布装置4は制御装置6に電気的に接続されており、その駆動が制御装置6により制御される。なお、塗布液としては、例えば、フィラー(増粘材や増量材など)を含む粘性液体が用いられる。
【0015】
液受け部5は、例えば箱形状に形成されており、液滴塗布装置4の吐出確認や撹拌動作時に液滴塗布装置4から吐出された液滴を収容する。この液受け部5は、ステージ移動装置3に隣接する位置であって、Y軸方向に移動する液滴塗布装置4の移動直線の真下に設けられている。
【0016】
制御装置6は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータ、さらに、各種情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部、操作者からの操作を受け付ける操作部(いずれも図示せず)を備えている。各種情報には、塗布パターンや塗布対象物Wの移動速度などの塗布情報が含まれている。
【0017】
次に、前述の液滴塗布装置4の構成について図2を参照して詳しく説明する。
【0018】
図2に示すように、液滴塗布装置4は、シリンジなどの本体部11と、その本体部11の内部に設けられた棒状のプランジャ12と、そのプランジャ12を本体部11の上端で支持する支持部13と、プランジャ12を上下移動及び回転させる駆動部14と、本体部11の内部の塗布液を撹拌する撹拌部15とを備えている。
【0019】
本体部11は、塗布液を貯留する液室11aと、液室11a内の塗布液を吐出するためのノズル11bとを備えている。液室11aは、本体部11の内部の空間であり、塗布液を収容している。ノズル11bは、液室11aにつながる開口部P1と塗布液を吐出するための吐出口P2とを有しており、液室11a内の塗布液を吐出するときに塗布液が流れる吐出流路として機能する。なお、開口部P1は吐出流路の液室11a側の開口であり、吐出口P2は吐出流路の外部側の開口である。
【0020】
プランジャ12は、吐出流路となるノズル11bの開口部P1に対して当接及び離間してその開口部P1を開閉可能に液室11a内に設けられている。このプランジャ12は、その端部12aがノズル11bの開口部P1に当接する円柱形状に形成されている。プランジャ12は上下移動可能であり、ノズル11bの開口部P1を塞いだ状態から上昇し、その上昇により生成された隙間に塗布液が供給された後、下降し、その端部12aをノズル11bの開口部P1に衝突させる。これにより、塗布液がノズル11bの吐出口P2から液滴として吐出される。
【0021】
ここで、プランジャ12が上昇すると、その上昇により生成された隙間に塗布液がスムーズに供給されるが、これは、前述の液室11aの上方の空間、すなわち液室11a内において塗布液が存在していない空間に外部から気体が供給されており、その気体圧力により塗布液が加圧されているためである。
【0022】
支持部13は、プランジャ12を本体部11の液室11aの上端で上下移動及び回転可能に支持する支持部材であり、本体部11の上端部に着脱可能に設けられている。この支持部13は本体部11の上端部に設けられると、その底面により液室11aの上壁を形成することになる。
【0023】
駆動部14は、プランジャ12をノズル11bの開口部P1に対して当接及び離間させる吐出駆動部14aと、プランジャ12の軸を回転中心としてプランジャ12を回転させる回転駆動部14bとを備えている。これらの吐出駆動部14a及び回転駆動部14bは制御装置6に電気的に接続されており、その駆動が制御装置6により制御される。
【0024】
撹拌部15は、プランジャ12の周面から突出する複数の突起部15aである。これらの突起部15aは板状に、例えば直角三角形の板状にそれぞれ形成されている。この撹拌部15は、プランジャ12が上下移動あるいは回転することにより液室11a内の塗布液を撹拌する。これにより、液室11a内の塗布液が混ぜられるため、塗布液の濃度(密度)は液室11a内で均一となる。なお、撹拌部15の撹拌力は、制御装置6が吐出駆動部14aや回転駆動部14bに対する出力(印加電圧や印加電流など)を変更することで調整可能である。ただし、塗布時における吐出駆動部14aに対する出力は所定の吐出力を発生させる所定値に設定される。
【0025】
このような構成の塗布装置1は、制御装置6による制御に応じて、ステージ移動装置3及び液滴塗布装置4により、ステージ2と液滴塗布装置4とを相対移動させながら、ステージ2上の塗布対象物Wの被塗布面に向けてノズル11bの吐出口P2から液滴を吐出して塗布を行い、塗布対象物Wの被塗布面上に所定の塗布パターンを形成する。
【0026】
この塗布動作において、液滴塗布装置4は、吐出駆動部14aを用いて、ノズル11bの開口部P1を塞いだ状態のプランジャ12を上昇させ、その上昇により生成された隙間に塗布液が供給されることを待った後、プランジャ12を下降させてその端部12aをノズル11bの開口部P1に衝突させ、その衝撃により塗布液をノズル11bの吐出口P2から液滴として吐出する。このとき、プランジャ12は吐出駆動部14aにより上下に移動することになるが、このプランジャ12の上下移動により撹拌部15の各突起部15aも上下に移動し、撹拌部15は液室11a内の塗布液を撹拌することになる。
【0027】
このように塗布中のプランジャ12の上下移動により液室11a内の塗布液が撹拌されて混ぜられるので、塗布中でも液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度(密度)で均一に保つことが可能となる。これにより、塗布対象物Wに対して所望の濃度で塗布液を塗布することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0028】
一方、待機中などの塗布中以外のときには、プランジャ12の回転により液室11a内の塗布液を強く撹拌するため、液滴塗布装置4は液受け部5に対向する位置までY軸方向に移動する。液滴塗布装置4が液受け部5に対向すると、プランジャ12の端部12aが吐出駆動部14aにより所定距離だけノズル11bの開口部P1から離間し、その状態でプランジャ12は回転駆動部14bにより軸を回転中心として所定時間回転する。このプランジャ12の回転により撹拌部15の各突起部15aもプランジャ12の回転方向に回転し、撹拌部15は液室11a内の塗布液を撹拌することになる。
【0029】
このとき、プランジャ12の端部12aはノズル11bの開口部P1から所定距離だけ離間しているため、その隙間から塗布液が漏れ出すこともあるが、このような場合には、漏れ出した塗布液は液受け部5により回収される。これにより、装置の汚染や塗布対象物Wの汚染などを防止することができる。
【0030】
このようにプランジャ12の回転により液室11a内の塗布液が強く撹拌されて混ぜられるので、待機中などの塗布中以外のときにも液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度(密度)でより均一に保つことが可能となる。これにより、常に液室11a内の塗布液の濃度が均一になるので、塗布対象物Wに対して所望の濃度で塗布液を確実に塗布することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0031】
また、プランジャ12を回転させる場合には、プランジャ12の端部12aを所定距離だけ離間させてから回転させている。これにより、プランジャ12の端部12aとノズル11bの開口部P1との摩耗を防止することが可能となるので、この摩耗が原因となる吐出不良の発生を抑止することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0032】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、液室11a内の塗布液を撹拌する撹拌部15を設けることによって、液室11a内の塗布液が撹拌されて混ぜられる。これにより、液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度(密度)で均一に保つことが可能となるので、塗布対象物Wに対して所望の濃度で塗布液を塗布することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0033】
また、プランジャ12は端部12aがノズル11bの開口部P1に当接する円柱形状に形成されており、撹拌部15はプランジャ12の周面から突出する突起部15aであることから、上下方向に移動するプランジャ12に突起部15aを設けることで撹拌部15を形成することが可能となるので、簡単な構成で撹拌部15を形成することができる。その結果、装置の複雑化や装置の大型化、コストアップなどを防止することができる。
【0034】
また、撹拌部15の突起部15aが板状の突起部であることから、液室11a内の塗布液と突起部15aとの抵抗を大きくすることが可能であり、撹拌力を向上させることができる。したがって、液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度で均一に確実に保つことが可能であり、その結果、より確実に塗布製品の品質を向上させることができる。
【0035】
また、プランジャ12の軸を回転中心としてそのプランジャ12を回転させる回転駆動部14bを設けることによって、プランジャ12が液室11a内で回転することになり、このプランジャ12の回転により撹拌部15は液室11a内の塗布液を強く撹拌することが可能となる。これにより、塗布中以外の待機中などの場合でも液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度(密度)でより均一に保つことが可能となり、常に液室11a内の塗布液の濃度が均一になるので、塗布対象物Wに対して所望の濃度で塗布液を確実に塗布することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0036】
なお、前述の第1の実施形態においては、撹拌部15として直角三角形の板形状の突起部15aを用いているが、これに限るものではなく、例えば、図3に示すように、長方形であって一辺が外に向かって湾曲している板形状の突起部15aを用いるようにしても良く、突起部15aの形状は限定されるものではない。
【0037】
また、前述の第1の実施形態においては、撹拌部15として複数の突起部15aを設けているが、これに限るものではなく、撹拌部15として突起部15aを一つだけ設けるようにしても良く、その突起部15aの数は限定されるものではない。
【0038】
また、前述の第1の実施形態においては、待機中などの塗布中以外のときにプランジャ12の回転により液室11a内の塗布液を撹拌しているが、これに限るものではなく、塗布液の種類などに応じて塗布中以外のときに液室11a内の塗布液を強く撹拌する必要がない場合には、プランジャ12の回転にかえてプランジャ12の上下移動により液室11a内の塗布液を撹拌するようにしても良い。
【0039】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図4を参照して説明する。
【0040】
本発明の第2の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0041】
図4に示すように、本発明の第2の実施形態に係る液滴塗布装置4では、複数の突起部15aがプランジャ12の軸方向に配列されている。例えば、図4では、二つの突起部15aがプランジャ12の軸方向に配列されており、この配列が二つ設けられている。これにより、撹拌時における液室11a内の塗布液の流動を激しくすることができる。
【0042】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、板状の突起部15aをプランジャ12の軸方向に複数配列することによって、プランジャ12の軸方向に突起部15aを一つだけ設けた場合に比べ、撹拌時における液室11a内の塗布液の流動が激しくなるので、撹拌力を向上させることが可能となる。これにより、液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度で均一に確実に保つことができ、その結果、より確実に塗布製品の品質を向上させることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図5を参照して説明する。
【0044】
本発明の第3の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0045】
図5に示すように、本発明の第3の実施形態に係る液滴塗布装置4では、複数の突起部15aは棒状の突起部であり、それらの棒状の突起部15aがプランジャ12の周面に螺旋状に配列されている。これにより、撹拌時における液室11a内の塗布液の流動を激しくすることができる。
【0046】
なお、駆動部14は吐出駆動部14aのみを備えている。これは、棒状の突起部15aが螺旋状に複数設けられているので、プランジャ12の上下移動により十分に液室11a内の塗布液を撹拌することができるためである。ただし、必ずしも駆動部14を吐出駆動部14aのみで構成する必要は無く、第1の実施形態と同様に吐出駆動部14aに加えて回転駆動部14bを設けても良い。この場合には、さらに撹拌力を向上させることができる。
【0047】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、棒状の突起部15aをプランジャ12の周面に螺旋状に複数配列することによって、撹拌時における液室11a内の塗布液の流動が激しくなるので、より撹拌力を向上させることが可能となる。これにより、液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度で均一に確実に保つことができ、その結果、より確実に塗布製品の品質を向上させることができる。
【0048】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について図6を参照して説明する。
【0049】
本発明の第4の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第4の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0050】
図6に示すように、本発明の第4の実施形態に係る液滴塗布装置4では、本体部11が外部から液室11a内に異なる種類の複数の液体、例えば二つの液体を供給可能に形成されている。さらに、撹拌部15が、液室11a内に供給された複数の液体を撹拌して混合し、液室11a内で塗布液を生成する。
【0051】
本体部11には、第1の貫通孔H1及び第2の貫通孔H2が形成されている。これらの第1の貫通孔H1及び第2の貫通孔H2は本体部11の液室11aの上端側に設けられている。第1の貫通孔H1には第1の供給流路21が接続されており、第2の貫通孔H2には第2の供給流路22が接続されている。これらの第1の供給流路21及び第2の供給流路22はチューブなどの配管により構成されている。
【0052】
第1の供給流路21の一端が第1の貫通孔H1に嵌められて液室11aに接続されており、その他端部が第1の液体を供給する第1の液体供給部(図示せず)に接続されている。同様に、第2の供給流路22の一端が第2の貫通孔H2に嵌められて液室11aに接続されており、その他端部が第2の液体を供給する第2の液体供給部(図示せず)に接続されている。これにより、第1の液体及び第2の液体が液室11a内に供給される。
【0053】
このような構成の液滴塗布装置4は、第1の液体及び第2の液体が液室11a内に供給されると、プランジャ12の回転により液室11a内の第1の液体及び第2の液体を撹拌する。このとき、液滴塗布装置4は液受け部5に対向しており、プランジャ12の端部12aが吐出駆動部14aにより所定距離だけノズル11bの開口部P1から離間し、その状態でプランジャ12は回転駆動部14bにより軸を回転中心として回転する。このプランジャ12の回転により撹拌部15の各突起部15aもプランジャ12の回転方向に回転し、撹拌部15は、液室11a内の第1の液体及び第2の液体を撹拌して混合し、液室11a内で塗布液を生成する。
【0054】
以上説明したように、本発明の第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、液室11a内で複数の液体を撹拌して塗布液を生成することによって、複数液の混合により塗布液の性質が徐々に変わるような場合(例えば、徐々に硬化する場合)でも、使用直前に液の混合を行うことが可能となる。したがって、このような場合でも、液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度で均一に確実に保つことができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0055】
なお、前述の第4の実施形態においては、プランジャ12の回転により液室11a内の第1の液体及び第2の液体を撹拌して混合しているが、これに限るものではなく、塗布液の種類などに応じてプランジャ12の上下移動により液室11a内の第1の液体及び第2の液体を撹拌して混合することが可能であれば、プランジャ12の回転にかえてプランジャ12の上下移動により液室11a内の第1の液体及び第2の液体を撹拌して混合するようにしても良い。
【0056】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について図7を参照して説明する。
【0057】
本発明の第5の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第5の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0058】
図7に示すように、本発明の第5の実施形態に係る液滴塗布装置4では、撹拌部15は、本体部11を回転可能に支持する本体支持部31と、その本体支持部31により支持された本体部11を回転させる本体回転駆動部32とを備えている。
【0059】
本体支持部31は、複数の回転補助部31aと、それらの回転補助部31aを介して本体部11を支持する支持体31bとにより構成されている。各回転補助部31aは、本体部11を回転可能にする部材であり、支持体31bの内面に固定されて設けられている。これらの回転補助部31aとしては、例えば、ベアリングなどが用いられる。支持体31bは筒状に、さらに、その底面から本体部11のノズル11bが突出するように形成されており、塗布液の吐出が可能に本体部11を支持している。この支持体31bはコラムなどの支持部材に固定されている。
【0060】
本体回転駆動部32は、本体部11を挟み込む回転アーム32aと、本体部11の軸を回転中心として回転アーム32aを回転させるアーム回転駆動部32bとを備えている。このアーム回転駆動部32bは制御装置6に電気的に接続されており、その駆動が制御装置6により制御される。本体回転駆動部32は、回転アーム32aにより本体部11を保持し、保持した本体部11をアーム回転駆動部32bにより回転させ、本体部11の液室11a内の塗布液を撹拌する。なお、撹拌部15の撹拌力は、制御装置6がアーム回転駆動部32bに対する出力(印加電圧や印加電流など)を変更することで調整可能である。
【0061】
このような構成の液滴塗布装置4は、塗布前に撹拌部15により液室11a内の塗布液を所定時間撹拌する。撹拌部15は、本体支持部31により支持された本体部11を本体回転駆動部32により所定時間回転させる。この回転による遠心力により、液室11a内の塗布液が撹拌されて混ぜられる。その後、液滴塗布装置4は、液室11a内の塗布液をノズル11bの吐出口P2から液滴として吐出させ、ステージ2上の塗布対象物Wに対する塗布を行う。
【0062】
このとき、本体部11を回転させることで液室11a内の塗布液を撹拌することが可能になるので、第1の実施形態に比べ、プランジャ12の端部12aを所定距離だけ離間させてから回転させる必要がなくなる。このため、ノズル11bの吐出口P2から塗布液が漏れ出すことがなくなるので、液受け部5を省くことができる。
【0063】
以上説明したように、本発明の第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、撹拌部15により本体部11の軸を中心として本体部11を回転させることによって、この回転による遠心力により、液室11a内の塗布液が撹拌されて混ぜられる。これにより、液室11a内の塗布液の濃度を所定の濃度(密度)で均一に保つことが可能となるので、塗布対象物Wに対して所望の濃度で塗布液を塗布することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0064】
なお、前述の第5の実施形態においては、塗布中以外の待機中などの場合に本体回転駆動部32により本体部11を回転させているが、これに限るものではなく、塗布中の本体部11の回転が液滴の塗布不良を生じさせない場合には、塗布中に本体部11を回転させるようにしても良い。この場合には、常に液室11a内の塗布液の濃度が均一になるので、塗布対象物Wに対して所望の濃度で塗布液を確実に塗布することができ、その結果、塗布製品の品質を向上させることができる。
【0065】
(他の実施形態)
本発明に係る前述の実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。前述の実施形態は種々変更可能であり、例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても良く、さらに、異なる実施形態に係る構成要素が適宜組み合わされても良い。
【0066】
前述の実施形態においては、フィラーを含有する塗布液を用いているが、これに限るものではなく、樹脂などの高分子材料の微粒子や金属などの微粒子を含有する塗布液、あるいは、互いに溶け難い液体同士を混合した塗布液などを用いるようにしても良い。
【0067】
また、回転による攪拌を行なう場合、その回転は、一方向への連続回転でも良いし、所定の角度ずつの往復回転(回動)でも良い。
【0068】
また、突起部の形状や配置も上述の第1〜第3の実施形態に例示したものに限られるものではなく、種々変更が可能であり、第1〜第3の実施形態の構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0069】
例えば、板状の長尺の突起部を、プランジャ12の外周に、第3の実施形態の如くに、螺旋状に巻きつける如くに配置しても良い。
【0070】
また、プランジャ12の外周に、板状の突起部をフランジ状にして設けても良く、また、複数本の棒状の突起部を、プランジャ12の軸心に対して放射状に設けても良い。このようにする場合、フランジ状の板状の突起部や放射状の棒状の突起部をプランジャ12の軸心に沿う方向に複数個配置するようにしても良い。また、フランジ状の板状の突起部や放射状の棒状の突起部を1つだけ設ける場合であって、塗布液が沈降し易い微粒子を含有する塗布液の場合には、プランジャ12の先端側、すなわち、液室11aの底部側に配置すると、沈降した微粒子に対する攪拌効率が向上するので好ましい。
【符号の説明】
【0071】
4 液滴塗布装置
11 本体部
11a 液室
11b ノズル(吐出流路)
12 プランジャ
14a 吐出駆動部
14b 回転駆動部
15 撹拌部
15a 突起部
31 本体支持部
32 本体回転駆動部
P1 開口部
P2 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を貯留する液室、前記液室内の前記塗布液を吐出するための吐出口及び前記液室と前記吐出口とをつなぐ吐出流路を有する本体部と、
前記液室内に設けられ、前記吐出流路の前記液室側の開口部に対して当接及び離間して前記開口部を開閉するプランジャと、
前記プランジャを前記開口部に対して当接及び離間させる吐出駆動部と、
前記液室内の前記塗布液を撹拌する撹拌部と、
を備えることを特徴とする液滴塗布装置。
【請求項2】
前記プランジャは端部が前記開口部に当接する円柱形状に形成されており、
前記撹拌部は前記プランジャの周面から突出する突起部であることを特徴とする請求項1記載の液滴塗布装置。
【請求項3】
前記突起部は板状の突起部であることを特徴とする請求項2記載の液滴塗布装置。
【請求項4】
前記板状の突起部は前記プランジャの軸方向に複数配列されていることを特徴とする請求項3記載の液滴塗布装置。
【請求項5】
前記突起部は棒状の突起部であり、
前記棒状の突起部は前記プランジャの周面に螺旋状に複数配列されていることを特徴とする請求項2記載の液滴塗布装置。
【請求項6】
前記プランジャの軸を回転中心として前記プランジャを回転させる回転駆動部を備えることを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の液滴塗布装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記液室内に外部から複数の液体を供給可能に形成されており、
前記撹拌部は、前記液室内に供給された前記複数の液体を撹拌して混合し、前記液室内で前記塗布液を生成することを特徴とする請求項1記載の液滴塗布装置。
【請求項8】
前記撹拌部は、
前記本体部を回転可能に支持する本体支持部と、
前記本体支持部により支持された前記本体部を回転させる本体回転駆動部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の液滴塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−135702(P2012−135702A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287881(P2010−287881)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】