説明

液状洗剤中の酵素の安定化

本発明は、酸化防止剤を液状洗剤組成物に添加することによって、90%より少ない水を含んでなる液状洗剤組成物中の洗浄性酵素を貯蔵間に安定化することに関する。このような酸化防止剤は非常に少量で添加することのみが必要である。酸化防止剤はオキシドレダクターゼ、例えば、カタラーゼであることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状洗剤中の酵素を安定化する方法ならびに漂白剤を含まない安定化された液状洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
洗濯物および皿の洗浄のための洗剤は、広範な種類の成分の複雑な混合物から成り、これらの成分は下記のリストから選択される多数の成分を包含する: イオン性および非イオン性界面活性剤、溶媒、ビルダー、香料、酵素および漂白成分 (このリストは完全なものではない) 。このような複雑な混合物において、安定性の問題は広く知られている。安定性の問題は洗剤の物理的安定性に関係するか、あるいは洗剤中の個々の成分の機能的安定性に関係することがある。特に、貯蔵間に洗剤中の酵素活性を維持することは、特に洗剤が漂白成分をまた含む場合、1つの課題である。
【0003】
漂白成分、例えば、過酸素漂白剤を含んでなる洗剤は、液状洗剤配合物または乾燥洗剤配合物の両方中の酵素が酸化されるために、酵素の安定性が減少することがある。ペルオキシドは、タンパク質中のアミノ酸残基のあるものを酸化することによって、酵素を害する。特にメチオニン残基はペルオキシドにより酸化されやすい。特にメチオニンが活性部位中にまたはそれに密接して存在する場合、これは活性を喪失させるが、活性部位から遠くに位置するアミノ酸残基の酸化でさえ酵素の性能に影響を与えることがある。乾燥洗剤配合物において、酵素はWO 01/23513に記載されているように、例えば、酵素の封入により安定化することができる。それ以上の安定化は、例えば、WO 02/38717に記載されているように少量のカタラーゼを封入された酵素に添加することによって、達成することができる。
【0004】
漂白剤、例えば、過炭酸塩および過ホウ素酸塩は粉末状洗剤において普通に使用され、ここで洗浄サイクル間に水を添加するとき、漂白剤は、漂白アクチベーター、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン (TAED) およびノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩 (NOBS) と一緒に、過酸 (例えば、過酢酸) 、過酸化水素または他の関係する種を発生させる作用をする。次いで、過酸または他の活性酸素種は、布帛上または皿洗浄機においてある種の汚れを漂白または白色化する作用をする。しかしながら、洗剤粉末中の漂白剤の存在は、しばしば、洗剤中にまた存在する酵素の安定性に強い負の作用をする。結局、例えば、酵素および漂白剤を別々に配合することによって、洗剤粉末中の酵素分子および漂白剤を分離するために大きい注意が払われてきている。酵素含有粒体中に活性酸素種が浸透することを減少するような方法において製造される粒体で、酵素を配合することができるであろう。
【0005】
粒体中の酸化に対して酵素を保護するそれ以上の手段として、酸化防止剤、例えば、チオ硫酸塩、メチオニンまたはカタラーゼを添加して、WO 02/38717に記載されているように貯蔵間の酵素活性の安定化を促進することができる。WO 02/38717において、比較的少量のカタラーゼは、粒体内に区画化しかつ濃縮する場合、洗剤全体を通じて均質に分散されるのと反対に、酵素または他の過酸化物感受性活性成分と一緒に、貯蔵間に過酸または関係する種の作用から酵素または他の活性成分を十分に保護したことが強調されている。上記出願において、汚れ除去作用を破壊しないために、カタラーゼまたは他の酸化防止剤は貯蔵間または洗浄サイクル間に漂白剤を不活性化しないことが重要である。
【0006】
液状洗剤中において漂白剤はめったに使用されない。なぜなら、主として有意な量の水、すなわち、>1%の水を含有する液状洗剤中で漂白剤それ自体の安定性は低いからである。また、漂白剤の存在は、このような洗剤中に存在する酸化感受性酵素および他の酸化感受性化合物の貯蔵安定性に負に大きく影響を与えるであろう。しかしながら、多数の液状洗剤は種々の理由で非常に低いレベルの過酸化物をなお含有する。過酸化物の機能は洗浄サイクル間において漂白剤として作用することではなく、例えば、それらが液状洗剤中に存在する他の成分のあるものの製造において、例えば、界面活性剤の製造において、漂白剤として使用された場合、過酸化物は不純物として存在することがある。
【0007】
また、ある場合において、ペルオキシドは貯蔵間に液状洗剤中で生成することさえあることを我々は発見した。このような液状洗剤中でペルオキシドのレベルは典型的には1重量%よりも非常に低いにもかかわらず、ペルオキシドは驚くべきことには液状洗剤中に同様に存在する酵素の安定性に有意な負の作用を有する。したがって、このような液状洗剤において、酵素の安定性を増加させることが要求されている。
【発明の開示】
【0008】
発明の要約
液状洗剤中に存在するか、あるいは生成したこのような少量のペルオキシドでさえ貯蔵間の酵素の安定性に有意な有害な作用を有すること、およびいくつかのオキシドレダクターゼを包含する酸化防止剤は90%より少ない水を含んでなる濃厚液状洗剤中でそれらの活性を発揮することができ、そのようにすることによって、洗剤中に存在する他の酵素および酸化感受性化合物を安定化できることが発見された。
【0009】
第1の面において、本発明は、液状洗剤組成物に酸化防止剤を添加することを含んでなる、90%より少ない水を含んでなる液状洗剤組成物中の洗浄性酵素を安定化する方法に関する。
第2の面において、本発明は、洗浄性酵素と、90%より少ない水と、オキシドレダクターゼとを含んでなる液状洗剤組成物に関する。
第3の面において、本発明は、貯蔵間の液状洗剤中の酵素を安定化するためのオキシドレダクターゼの使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、漂白剤それら自体が添加されていない液状洗剤組成物中の酵素の安定化に関する。本発明による液状洗剤組成物は1%より少ない過酸素種を含んでなる。過酸素種の含有率は、例えば、下記の文献に開示されているようにして測定することができる: BinderおよびMenger、2000、Assay of peracid in the presence of excess hydrogen peroxide、Analytical Letters 33 (3) 、479-388。
【0011】
「漂白剤」は、本発明の関係において、塩素/臭素型の物質、例えば、ナトリウムまたはカルシウムの次亜塩素酸塩または次亜臭素酸塩ならびに塩素化リン酸三ナトリウム、N-クロロ-イソシアヌレートまたは酸素型、例えば、過臭素酸塩または過炭酸塩を意味し、これらは過酸生成漂白アクチベーター、例えば、TAEDまたはNOBS、過酸化水素または、例えば、不飽和脂肪酸の、他のヒドロペルオキシドと組合わせることができる。
【0012】
本発明において、液状洗剤中の酵素、特にタンパク質分解酵素は不安定性であることが見出された。漂白剤を添加しないので、酵素は非常に少量の過酸化物の存在により影響を受けることは期待されない。しかしながら、本発明において、酸化防止剤、例えば、メチオニンまたはチオ硫酸塩またはオキシドレダクターゼ、例えば、ペルオキシダーゼまたはカタラーゼの添加により、液状洗剤中の酵素を安定化することが発見された。
【0013】
酵素の命名法 (発行: Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology、Academic Press (1992)) に従い、オキシドレダクターゼは、例えば、ヒドロゲナーゼ、オキシダーゼおよびペルオキシダーゼについての一般用語である。カタラーゼ (E. C. 1.11.1.6) は、過酸化水素が水素ドナーおよび水素アクセプターの両方として作用する、ペルオキシダーゼの特別のサブグループに属する。他のペルオキシダーゼは電子アクセプターとして過酸化水素を有するが、電子ドナーは種々の有機または無機の化合物、例えば、グルタチオン、塩化物、臭化物、NADH、Mn(II) または脂肪酸であることができる。
【0014】
本発明の関係において、酵素の安定化は、酸化防止剤、ことにオキシドレダクターゼ、例えば、ペルオキシダーゼ、特にカタラーゼの存在が、例えば、洗浄性酵素中のメチオニン残基の酸化を防止または減少し、貯蔵間の液状洗剤中でより活性酵素の高い比率を維持すること意味する。
あるいは、酸化の防止は、活性酵素における構造的変化を防止することによって活性酵素を安定化することに導くことができ、構造的変化はそうでなければ酵素をプロテアーゼからのタンパク質分解的攻撃をいっそう受け易くする。
【0015】
オキシドレダクターゼのグループの範囲内において、ペルオキシダーゼおよびことにカタラーゼは、それらまたはそれらの反応生成物が洗剤の臭いに影響を与えるないので、本発明による酸化防止剤として特に適する。また、他の酸化防止剤は有効であるが、洗剤に悪臭を与える酸化防止剤を選択しないように注意すべきである。特に、硫黄を含有する多数の酸化防止剤、例えば、メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、メチオニンまたはチオ硫酸塩を使用することもできるが、これらのいくつかは特徴ある良くない臭いを有し、これはある場合において望ましくないことがある。悪臭の知覚は、使用する酸化防止剤の濃度および洗剤中の他の成分、例えば、香料の濃度に依存するであろう。
【0016】
酸化性化合物は、過酸、ペルオキシド、他のペルオキソ化合物または他の活性酸素種 (例えば、過ホウ素酸塩および過炭酸塩) であることができる。それらの存在は洗剤の他の成分により引き起こされることがある。酸化性化合物は計画的に添加されてきているか、あるいは完全な洗剤の貯蔵間にペルオキシド発生系を介して生成されることがある。こうして、界面活性剤のツイーン-20およびトリトンX-100の貯蔵間の過酸化物生成は下記の文献に記載された: J. Jaeger、K. SorensenおよびS. P. Wolff、J. Biochem. Biophys. Methods (1994) 77-81。
【0017】
酵素
本発明に従い安定化できる酵素は「洗浄性酵素」(detersive enzyme)と呼び、洗浄性酵素はここにおいて洗浄サイクル間にそれらの作用を発揮する任意の酵素、例えば、洗浄用途においてクリーニング作用、布帛ケアー作用、再付着防止作用および汚れ除去作用を有する酵素を意味する。洗浄性酵素はこのような目的のために添加される。適当な酵素は、以後詳しく説明するように、リアーゼまたはヒドロラーゼ (EC 3.-.-.-) 、特にプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ペクチン酸リアーゼ、カルボヒドラーゼおよび/またはセルラーゼを包含する。
【0018】
本発明の関係において好ましいヒドロラーゼは次の通りである: カルボン酸エステルヒドロラーゼ (EC 3.1.1.-) 、例えば、リパーゼ (EC 3.1.1.3); フィターゼ (EC 3.1.3.-) 、例えば、3-フィターゼ (EC 3.1.3.8) および6-フィターゼ (EC 3.1.3.26); グリコシダーゼ (EC 3.2.-.-、これは本明細書において「カルボヒドラーゼ」として示すグループの中に入る) 、例えば、α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1); ペプチダーゼ (EC 3.4.-.-、また、プロテアーゼとして知られている); および他のカルボニルヒドロラーゼ。
【0019】
本発明の関係において、用語 「カルボヒドラーゼ」 は、ことに5および6員環構造の炭水化物連鎖 (例えば、デンプンまたはセルロース) を破壊できる酵素 (すなわち、グリコシダーゼ EC 3.2.-.-) ばかりでなく、かつまた炭水化物、例えば、6員環構造、例えば、D-グルコースを5員環構造、例えば、D-フルクトースに異性化できる酵素を意味するために使用される。
【0020】
関係するカルボヒドラーゼは下記のものを包含する (括弧中はEC番号である): α-アミラーゼ (EC 3.2.1.1) 、β-アミラーゼ (EC 3.2.1.2) 、グルカン1,4-α-グルコシダーゼ (3.2.1.3) 、エンド-1,4-β-グルカナーゼ (セルラーゼ、EC 3.2.1.4) 、エンド-1,3(4)-β-グルカナーゼ (EC 3.2.1.6) 、エンド-1,4-β-キシラナーゼ (EC 3.2.1.8) 、デキシトラナーゼ (EC 3.2.1.11) 、キチナーゼ (3.2.1.14) 、ポリガラクトウロナーゼ (EC 3.2.1.15) 、チソザイム (EC 3.2.1.17) 、β-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.21) 、α-ガラクトシダーゼ (EC 3.2.1.22) 、β-ガラクトシダーゼ (EC 3.2.1.23) 、アミロ-1,6-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.33) 、キシラン1,4-β-キシロシダーゼ (3.2.1.37) 、グルカンエンド-1,3 -β-グルコシダーゼ (3.2.1.39) 、α-デキストリンエンド-1,6-α-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.41) 、スクロースα-グルコシダーゼ (3.2.1.48) 、グルカンエンド-1,3-α-グルコシダーゼ (3.2.1.59) 、グルカンエンド-1,4-β-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.74) 、グルカンエンド-1,6-β-グリコシダーゼ (EC 3.2.1.75) 、アラビナンエンド-1,5-α-L-アラビノシダーゼ (EC 3.2.1.99) 、ラクターゼ (EC 3.2.1.108) 、キトサナーゼ (EC 3.2.1.132) およびキシロースイソメラーゼ (EC 5.3.1.5) 、エンド-マンナナーゼ (EC 3.2.1.78) 。
【0021】
商業的に入手可能なプロテアーゼ (ペプチダーゼ) の例は下記のものである: KannaseTM、EverlaseTM、EsperaseTM、AlcalaseTM、NeutraseTM、DurazymTM、SavinaseTM、PyraseTM、パンクレアチントリプシンNOVO (PTN) 、Bio-FeedTM ProおよびClear-LensTM Pro (すべてはNovozymes A/S、デンマーク国バグスバードから入手可能である) 。
【0022】
他の商業的に入手可能なプロテアーゼの例は、MaxataseTM、MaxacalTM、MaxapemTM、OpticleanTMおよびPurafectTM (Genencor International Inc.から入手可能である) である。
商業的に入手可能なリパーゼの例は次の通りである: LipexTM、LipoprimeTM、LipolaseTM、LipolaseTM Ultra、LipozymeTM、PalataseTM、NovozymeTM 435およびLecitaseTM (すべてはNovozymes A/Sから入手可能である) 。
【0023】
他の商業的に入手可能なリパーゼは下記のものを包含する: LumafastTM (シュードモナス・メンドシナ (Pseudomonas mendocina) リパーゼ、Genencor International Inc. から入手可能である); LipomaxTM (シュードモナス・シュードアルカリゲネス (Pseudomonas pseudoalcaligenes) リパーゼ、Genencor Int. Inc. から入手可能である); およびバシラス (Bacillus) 種リパーゼ (Genencor Int. Inc. から入手可能である) 。それ以上のリパーゼは他の供給会社から入手可能である。
【0024】
商業的に入手可能なカルボヒドラーゼの例は次の通りである: Alpha-Gal TM、Bio-FeedTM Alpha、Bio-FeedTM Beta、Bio-FeedTM Plus.、NovozymeTM 188、CelluclastTM、CellusoftTM、CeremylTM、CitrozymTM、DenimaxTM、DezymeTM、DextrozymeTM、FinizymTM、FungamylTM、GamanaseTM、GlutinexTM、LactozymTM、MaltogenaseTM、PentopanTM、PectinexTM、PromozymeTM、PulpzymeTM、NovamylTM、TermamylTM、AMGTM (アミログルコシダーゼ、Novozymes A/S) 、MaltogenaseTM、SweetzymeTM
MannawayTMおよびAquazymTM (すべてはNovozymes A/Sから入手可能である) 。
【0025】
このような酵素は、本明細書において洗浄性酵素として記載し、通常、当業者に知られている洗浄効果を提供するために十分なレベルで洗剤組成物中に添加される。通常、このレベルは0.001 % (w/w) 〜5 % (w/w) の範囲であろう。典型的な量は液状洗剤組成物の0.01〜1重量%の範囲である。
【0026】
酸化防止剤
本発明において、用語 「酸化防止剤」 は、過酸化水素および/または他の過酸素種に対して活性である酸化防止剤化合物を包含する。酸化防止剤は抗酸化剤、例えば、メルカプトエタノール、ンブチル化ヒドロキシトルエン (BHT) 、ブチル化ヒドロキシアニソール (BHA) 、アスコルビン酸塩、メチオニンまたはチオ硫酸塩および酵素 (基質として過酸化水素を有する酵素、すなわち、オキシドレダクターゼ活性を有する酵素) を包含する。本発明による酵素の必須要素は、洗剤組成物への酵素の添加である。本発明による酸化防止剤は、本発明の濃厚洗剤組成物中で抗酸化作用を発揮する酸化防止剤を含んでなる。
【0027】
酸化防止剤はH2O2スカベンジング物質を包含し、分解、中和または吸着プロセスまたはそれらの組合わせを介してH2O2と反応する化合物から選択される。分解プロセスを介してH2O2と反応する適当な化合物は、メチオニン、チオ硫酸塩、アスコルビン酸塩、オキシドレダクターゼ、例えば、ペルオキシダーゼまたはカタラーゼから選択される。酸化防止剤のアスコルビン酸塩、メチオニンおよびカタラーゼは酸化防止剤として特に有効であることが証明されることを我々は発見した。本発明の特定の態様において、酸化防止剤はアスコルビン酸塩、メチオニンおよびカタラーゼから成る群から選択される。
【0028】
特定の態様において、酸化防止剤はオキシドレダクターゼ (EC 1.-.-.-) 、より特にペルオキシダーゼ (EC 1.11.1.-) 、なおより特にカタラーゼ (E. C. 1.11.1.6) である。
本発明のそれ以上の態様において、酸化防止剤は洗浄性酵素の添加前に洗剤中に存在する。
【0029】
酸化防止剤の添加は、特定の態様において、洗剤組成物の貯蔵間に洗浄性酵素を安定化する働きをするであろう。安定化効果は、低いレベルの酸化防止剤の添加により、達成可能である。酸化防止剤それ自体が酵素である場合、例えば、オキシドレダクターゼ (EC 1.-.-.-) の形態である場合、安定化効果を得るために必要な酵素のレベルは、洗剤組成物に適する洗浄性酵素のレベルよりも非常に低い。オキシドレダクターゼ、例えば、カタラーゼの形態である酸化防止剤の量は、タンパク質基準で洗剤に関して50 μg/g洗剤より少ない、特に20 μg/g洗剤より少ない、より特に1 μg/g洗剤より少ない、なおより特に0. 5 μg/g洗剤より少ない量である。本発明の特定の態様において、メチオニンおよび/またはアスコルビン酸塩の量は洗剤に関してタンパク質基準で0.1 mg/g洗剤より多い、例えば、0.5 mg/g洗剤より多い、なお1 mg/g洗剤より多い量で添加すべきである。本発明の特定の態様において、この量は10 mg/g洗剤を超えるべきではない。
【0030】
前述したように、洗浄性酵素は典型的には0.01〜10 mg/g洗剤に対応する量で存在し、こうして本発明の1つの態様において、酸化防止剤/洗浄性酵素のモル比は1:10000〜1:5、特に1:5000〜1:10、より特に1:3000〜1:100である。
【0031】
本発明によるカタラーゼは、特定の態様において、細菌または真菌、特にフィラメント状真菌から得ることができる。より特定の態様において、カタラーゼは、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) 、シタリジウム・サーモフィルム (Scytalidium thermophilum) 、ミクロコッカス・ルテウス (Micrococcus luteus) 、ストレプトマイセス・ケリコロル (Streptomyces coelicolor) 、サーモミセス・ラヌギノスス (Thermomyces lanuginosus) およびバシラス・サチリス (Bacillus subtilis) から成る群から得ることができる。
【0032】
特に、カタラーゼはアスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) またはシタリジウム・サーモフィルム (S. thermophilum) からのカタラーゼである。商業的に入手可能なカタラーゼの例は、TerminoxTMおよびTerminox UltraTM (Novozymes A/S、デンマーク国バグスバード) およびCatalase T 100TM (Genencor International Inc.) である。
【0033】
液状組成物
本発明の液状洗剤組成物は、1つの態様において、実質的に非水性 (または無水) である。用語 「実質的に非水性」 は、この関係において使用するとき、必須または任意の成分中の不純物としてこのような好ましい組成物中に非常に少量の水を添加することができるが、本発明の非水性液状洗剤組成物中の水の量が、いずれの場合においても、組成物の約30重量%を超えるべきではないことを意味する。より好ましくは、非水性洗剤組成物の水分は約10重量%より少ないであろう。
【0034】
本発明による液状洗剤組成物は、他の態様において、30%より多いが、90%より少ない水を含んでなる濃厚液状洗剤組成物である。液状洗剤組成物中に含まれる水の量は、特に85重量%より少なく、より特に75重量%より少なく、例えば、60重量%より少ない。洗剤は前述の水を含有するが、 水の量は少なくとも1重量%、より特に少なくとも5重量%、より特に20重量%、なおより特に少なくとも30重量%であるべきである。液状洗剤組成物は、特定の態様において、30〜70重量%の水を含んでなる。より特定の態様において、液状洗剤はその40〜60重量%の水を含んでなる。最も特定の態様において、液状洗剤はその80〜90重量%の水を含んでなる。
【0035】
本発明のそれ以上の態様において、本発明は、洗浄性酵素と、90 % (w/w) より少ない水と、酸化防止剤とを含んでなる液状洗剤組成物に関する。
本発明による液状洗剤組成物は、通常洗濯または皿洗浄において使用する普通の組成物である。
【0036】
界面活性剤
本発明の洗剤組成物は1種または2種以上の界面活性剤系を含んでなり、ここで界面活性剤は半極性を包含する非イオンおよび/またはアニオンおよび/またはカチオンおよび/または双生イオンであることができる。本発明における洗剤組成物の界面活性剤混合物成分の量は、他の組成物成分の特質および量に依存して、そして究極的に形成される組成物の必要な流動学的性質に依存して変化することができる。一般に、この界面活性剤混合物は組成物の約0.1〜90重量%を構成する量で使用されるであろう。さらに詳しくは、界面活性剤混合物は組成物の約10〜60重量%を構成するであろう。
【0037】
添加するとき、洗剤は通常約1〜約40%のアニオン界面活性剤、例えば、線状アルキルベンゼンスルホネート、α-オレフィンスルホネート、アルキルサルフェート (脂肪族アルコールサルフェート) 、アルコールエトキシサルフェート、第二級アルカンスルホネート、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-またはアルケニルコハク酸または石鹸を含有するであろう。高度に好ましいアニオン界面活性剤は、線状アルキルベンゼンスルホネート (LAS) 物質である。このような界面活性剤およびそれらの製造は、例えば、米国特許第2,220,099号および米国特許第2,477,383号 (引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されている。ナトリウムおよびカリウムの線状直鎖状アルキルベンゼンスルホンネートはことに好ましく、ここでアルキル基中の平均炭素数は約11〜14である。ナトリウムC11-C14、例えば、C12 LASはことに好ましい。他の有用なアニオン界面活性剤はWO 99/0478、pp. 11-13 (引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されている。
【0038】
添加するとき、洗剤は通常約0.2%〜約40%の非イオン界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグルコシド、アルキルメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、またはグルコサミンのN-アシルN-アシル誘導体 (「グルカミド」) を含有するであろう。このような有用な非イオン界面活性剤はWO 99/0478、pp. 13-14 (引用することによって本明細書の一部とされる) に記載されている。
【0039】
洗剤は、また、両性イオンおよび/または双生イオン界面活性剤を含有することができる。
アルコール、非イオン、両性イオンおよび双生イオン界面活性剤は、米国特許第3,664,961号 (1972年5月23日発行) に記載されている。
【0040】
非水性液状洗剤
洗剤組成物を形成するために、前述の界面活性剤 (混合物) を、非水性液状希釈剤、例えば、液状アルコールアルコキシレート物質または非水性、低極性有機溶媒、例えば、WO 99/0478 (pp. 14-17) に記載されている溶媒と組合わせることができる。使用する1種または2種以上の非水性、低極性有機溶媒は、もちろん、本発明における液状洗剤組成物において使用する他の組成物成分、例えば、酵素および/またはアクチベーターと適合性でありかつ非反応性であるべきである。このような溶媒成分は、一般に、組成物の約1〜60重量%の量で使用されるであろう。より好ましくは、非水性、低極性有機溶媒は、組成物の約5〜40重量%、最も好ましくは組成物の約1〜25重量%を構成するであろう。
【0041】
EDDS
本発明の組成物は、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.05%〜約2%のエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸 (EDDS) またはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、または置換アンモニウム塩、またはそれらの混合物を含有することができる。液状洗剤組成物に好ましいEDDS成分は、遊離酸の形態およびそのナトリウム塩またはカリウム塩である。EDDSは米国特許第4,704,233号に記載されている。
EDDSは、洗浄液中で希釈時の非水性液状洗剤組成物中の酵素、ことにアミラーゼの効能を改良する。
【0042】
キレート化剤
また、本発明による液状洗剤組成物は0〜65 % w/wの他のキレート化剤を含有することができる。このようなキレート化剤は、アミノカルボン酸塩、アミノホスホン酸塩、多機能性置換芳香族キレート化剤、二リン酸塩、三リン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル-またはアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩または層状化ケイ酸塩 (例えば、SKS-6、Hoechst) およびそれらの混合物から成る群から選択することができる。それ以上のキレート化剤はWO 99/00478に記載されている。
【0043】
酵素安定剤
また、液状洗剤中の1種または2種以上の酵素は、液相中に安定剤、例えば、ポリオール、例えば、ポリエチレングリコールまたはグリセロール、糖または糖アルコール、乳酸、短鎖カルボン酸、例えば、ホルメートまたはアセテート、ホウ酸、またはホウ酸誘導体、例えば、芳香族ボレートエステル、またはフェニルホウ素酸、例えば、4-ホルミルホウ素酸を使用して普通に安定化することができ、そして組成物は、例えば、WO 92/19709およびWO 92/19708に記載されているように、配合することができる。
さらに、本発明の酵素は、WO 97/07202に開示されている洗剤配合物に添加することができる。
【0044】
酵素粒子以外の粒状物質
本発明の液状洗剤組成物は、液相内に分散または懸濁した、粒状物質をさらに含んでなることができる。一般に、このような粒状物質は約0.1〜1500 μmの範囲の大きさである。さらに詳しくは、このような物質は約5〜500 μmの範囲の大きさである。
本発明において利用する粒状物質は、1種または2種以上の洗剤組成物成分を含んでなることができ、このような成分は粒子の形態で組成物の液相中に実質的に溶解しない。利用できる粒状物質の種類は、下記の有用成分の非限定的リストから選択することができる。
【0045】
例えば、本発明における非水性液状洗剤組成物中に懸濁させることができる粒状物質は、非水性液相中に完全にまたは部分的に不溶性である、補助的アニオン界面活性剤を包含する。このような溶解性を有するアニオン界面活性剤の最も普通の種類は、第一級または第二級アルキルサルフェートのアニオン界面活性剤を含んでなる。このような界面活性剤は、C8-C20脂肪族アルコールの硫酸塩イオンにより生成されるものである。このような有用な界面活性剤のそれ以上の例は、WO 99/00478 (pp. 21-22) に記載されている。必要な粒状物質のすべてまたは一部分として、補助的アニオン界面活性剤、例えば、アルキルサルフェートは一般に組成物の約1〜10重量%、より好ましくは約1〜5重量%を構成する。粒状物質のすべてまたは一部分として使用するアルキルサルフェートは、本発明における液相の一部分として本質的に利用するアルキルエーテルサルフェートの一部分を形成できる非アルコキシル化アルキルサルフェート物質と別々に製造し、添加することができる。
【0046】
固体状有機ビルダー物質
このような化合物は、本発明における組成物の洗濯および/または漂白の使用間に直面するカルシウム、または他のイオンの水硬度の作用に反作用する働きをする。このような物質の例は、アルカリ金属のクエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、脂肪酸塩、カルボキシメチルコハク酸塩、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩およびポリアセチルカルボン酸塩を包含する。特定の例は、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのオキシジコハク酸塩、メリット酸塩、ベンゼンポリカルボン酸塩およびクエン酸塩を包含する。他の例は有機ホスホン酸塩型の金属イオン封鎖剤、例えば、商品名Dequest (Monsanto) で販売されているものおよびアルカンヒドロキシホスホン酸塩である。
【0047】
クエン酸塩は高度に好ましい。他の適当な有機ビルダーは、ビルダー特性を有することが知られている高分子量のポリマーおよびコポリマーを包含する。例えば、このような物質は適当なポリアクリル酸、ポリマレイン酸、およびポリアクリル酸/ポリマレイン酸コポリマーおよびそれらの塩、例えば、商標Sokalan (BASF) で販売されているものを包含する。有機ビルダーの他の適当な種類は、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち、「石鹸」を含んでなる。これらは、約8〜約24の炭素原子、好ましくは約12〜18の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびアルキルアミニウムの塩を包含する。
【0048】
石鹸は脂肪および油の直接けん化により、または遊離脂肪酸の中和により製造することができる。ココナツ油および獣脂に由来する脂肪酸混合物のナトリウム塩およびカリウム塩、すなわち、ナトリウムおよびカリウムの獣脂石鹸およびココナツ石鹸は特に有効である。必要な粒状物質のすべてまたは一部分として使用する場合、有機洗剤ビルダーは一般に本発明における組成物の約1〜20重量%を構成することができる。さらに詳しくは、このようなビルダー物質は組成物の約4%〜10重量%を構成することができる。
【0049】
また、固体状無機アルカリ性源化合物を本発明の洗剤組成物に添加することができる。このような化合物は、本発明の組成物から形成された水性洗浄溶液を一般にアルカリ性とする働きをする物質を含んでなることができる。このような物質は、洗剤ビルダーとして、すなわち、洗剤の性能に対する水硬度の悪い作用に反作用する物質として、作用するか、あるいは作用しないことができる。このようなアルカリ性源の例は、水溶性アルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩、ケイ酸塩およびメタケイ酸塩を包含する。生態学的理由で好ましくないが、水溶性リン酸塩をアルカリ性源として使用こともできる。これらはアルカリ金属のピロリン酸塩、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩およびホスホン酸塩を包含する。これらアルカリ性源のすべてのうちで、アルカリ金属の炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムは最も好ましい。
【0050】
アルカリ性源は、水和可能な塩の形態である場合、非水性液状洗剤組成物中の乾燥剤として働くこともできる。また、乾燥剤であるアルカリ性源の存在は、これらの組成物成分、例えば、水による不活性化を受けやすい過酸素漂白剤を化学的に安定化するに関して利益を提供することができる。粒状物質のすべてまたは一部分として使用する場合、アルカリ性源化合物は一般に本発明における組成物の約1〜15重量%を構成するであろう。より好ましくは、アルカリ性源は組成物の約2〜10重量%を構成することができる。このような物質は、水溶性であるが、一般に非水性洗剤組成物中で不溶性であり、そしてこのような物質は一般に非水性液相中に離散粒子の形態で分散するであろう。
【0051】
任意の洗剤成分
また、洗剤は他の任意の洗剤成分を含有することができる。任意の成分は液相中に溶解するか、あるいは液相中に微細粒子または液体粒子の形態で分散することができる。使用できる典型的な物質の種類は、下記の有用成分の非限定的リストから選択することができる:
【0052】
- 無機洗剤ビルダー また、本発明の洗剤組成物は、必要に応じて、前に列挙したもの以外の、またアルカリ性源またはキレート化剤として機能する1または2以上の種類の無機洗剤ビルダーを含有することができる。このような任意のビルダーは、例えば、アルミノケイ酸塩、例えば、ゼオライトを包含することができる。アルミノケイ酸塩ゼオライトおよび洗剤ビルダーとしてのそれらの使用は、Corkill 他、米国特許第4,605,509号 (1986年8月12日発行) にいっそう詳細に記載されている。また、結晶質層状化ケイ酸塩、例えば、この米国特許第4,605,509号に記載されているものは、本発明における洗剤組成物において使用するために適当である。使用する場合、任意の無機洗剤ビルダーは本発明における組成物の約2〜15重量%を構成することができる。
【0053】
- 増粘剤、粘度調節剤および/または分散剤 また、本発明の洗剤組成物は、懸濁液中で固体状粒子成分を懸濁させて維持する組成物の能力を増強する働きをするポリマー物質を含有することができる。こうして、このような物質は増粘剤、粘度調節剤および/または分散剤として作用することができる。このような物質はしばしばポリマーのポリカルボキシレートであるが、他のポリマー物質、例えば、ポリビニルピロリドン (PVP) 、カルボキシメチルセルロース、ポリ (エチレングリコール) 、ポリ (ビニルアルコール) 、ポリ (ビニルピリジン-N-オキシド) 、ポリ (ビニル-イミダゾール) およびポリマーのアミン誘導体、例えば、第四級化、エトキシル化ヘキサメチレンジアミンを包含することができる。ポリマーのポリカルボキシレート物質は、適当な不飽和モノマーを好ましくはそれらの塩の形態で重合または共重合することによって製造することができる。
【0054】
重合して適当なポリマーのポリカルボキシレートを生成できる不飽和モノマーの酸は、アクリル酸、マレイン酸 (または無水マレイン酸) 、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸およびラウリルメタクリル酸を包含する。カルボキシレート基を含有しないモノマーのセグメント、例えば、ビニルメチル、スチレンおよびその他が本発明におけるポリマーのポリカルボキシレート中に存在することは、このようなセグメントがポリマーの約40重量%より多くを構成しなかぎり、適当である。特に適当なポリマーのポリカルボキシレートはアクリル酸に由来することができる。本発明において有用である、このようなアクリル酸に基づくポリマーは、重合したアクリル酸の水溶性塩である。
【0055】
酸の形態のこのようなポリマーの平均分子量は、好ましくは約2,000〜10,000、より好ましくは約4,000〜7,000、最も好ましくは約4,000〜5,000の範囲である。このようなアクリル酸ポリマーの水溶性塩は、例えば、アルカリ金属塩を包含することができる。この型の可溶性ポリマーは既知の物質である。洗剤組成物におけるこの型のポリマーの使用は、例えば、Francis I. Diehl、米国特許第3,308,067号 (1967年3月7日発行) に開示された。また、このような物質はビルダー機能を実行することができる。使用する場合、任意の増粘剤、粘度調節剤および/または分散剤は約0.1〜4重量%の程度に組成物中に存在すべきである。さらに詳しくは、このような物質は本発明における洗剤組成物の約0.5〜2重量%を構成することができる。
【0056】
- 任意の増白剤、泡抑制剤および/または香料 ここにおける本発明の洗剤組成物は、また、必要に応じて慣用の増白剤、泡抑制剤および/または香料物質を含有することができる。このような増白剤、泡抑制剤、シリコーン油、漂白触媒、および香料は、もちろん、液状洗剤組成物の環境中で他の組成物成分と適合性でありかつ非反応性でなくてはならない。存在する場合、増白剤、泡抑制剤および/または香料物質は、典型的には、本発明における組成物の0.01〜5重量%を構成するであろう。適当な漂白触媒は、米国特許第5,246,621号、米国特許第5,244,594号、米国特許第5,114,606号および米国特許第5,114,611号に開示されているマンガンに基づく錯塩である。
【0057】
- 任意の有機添加物 本発明の洗剤組成物は、有機添加物を含有することができる。好ましい有機添加物は、水素化ヒマシ油およびその誘導体である。水素化ヒマシ油は、商業的に入手可能であり、例えば、商品名CATORWAX.RTM. (NL Industries, Inc.、ニュージャージー州ハイスタウン) で種々の銘柄で販売されている。他の適当な水素化ヒマシ油誘導体は、Thixcin R、Thixcin E、Thixatrol ST、Perchem RおよびPerchem STである。ことに好ましい水素化ヒマシ油はThixatrol STである。ヒマシ油は、例えば、ステレアミドとの混合物として添加することができる。
【0058】
有機添加物は非水性液状希釈剤中に部分的に溶解するであろう。適当な相安定性および許容可能なレオロジーに必要な構造化液相を形成するために、有機添加物は一般に液相の約0.05〜20重量%の程度に存在する。より好ましくは、有機添加物は本発明の洗剤組成物の液相の約0.1〜10重量%を構成するであろう。
- 他の任意の成分、例えば、布帛コンディショナーは、粘土、発泡ブースター、耐蝕剤、汚れ懸濁剤、汚れ再付着防止剤、色素、殺菌剤、ハイドロトープおよび曇り抑制剤を包含する。
【0059】
pH
濃厚液状洗剤のアルカリ性を測定することは困難であり、そして異なる洗剤をpHに関して比較するとき、1%の水溶液のpHをしばしば使用する。本発明において考えられる洗剤の1 % (w/w) の水溶液は、典型的にはpH 7〜11、好ましくはpH 7〜10、さらにより好ましくはpH 7〜約9.6である。
【実施例】
【0060】
実施例1典型的なアメリカの液状洗剤中のSavinaseの安定性
ユニレバー (Unilever) からの商業的に入手可能な洗剤(Wisk) を85℃に5分間加熱して、酵素活性を不活性化した。冷却後、0.5% (w/w) のSavinase 16 LTM (Novozymes A/S、デンマーク国バグスベード) を洗剤に添加し、試料を密閉したバイアル中で18℃または37℃において2数週インキュベートした。残留活性は、-18℃において貯蔵した並行試料の活性に関する、37℃において貯蔵した試料の活性である。
【0061】
インキュベーション後、N,N-ジメチルカゼイン (DMC) の加水分解に基づくアッセイにより、残留プロテアーゼ活性を決定した。簡単に述べると、8分の前インキュベーション期間後に、プロテアーゼ活性を420 nmにおいて10分間分光光度測定により追跡した。このアッセイをpH 8.3および37℃において実施する。このアッセイにおいて、下記の溶液を使用する:
【0062】
DMC-基質: 90 mMの四ホウ酸ナトリウム、120 mMのリン酸ナトリウム、0.2%のBrij 35中の0.4%のN,N-ジメチルカゼイン、pH 8.0に調節した。
TNBS溶液: 水中の1.73 mMの2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸。
釈緩衝液: 0.15 MのKCl、0.05 Mのホウ酸、0.16 Mの硫酸ナトリウム、0.2%のBrij 35、pH 9.0に調節した。
このアッセイのために、80 μlのTNBS溶液を45 μlの試料または標準 (希釈緩衝液中で希釈した) と混合し、160 μlのDMC-基質の添加により反応を開始した。
【0063】
結果を表1に表す。
下記の洗剤組成物を使用して、同一手順を実施した: この液状洗剤組成物において、添加したSavinase 16 Lは洗剤の0.005% (w/w) のカタラーゼ (Terminox Ultra 50LTM) の最終濃度を生ずる、1% (w/w) のTerminox Ultra 50LTM (Novozymes A/S、デンマーク国バグスベード) (これはシタリジウム・サーモフィルム (Scytalidium thermophilum) に由来するカタラーゼである) をさらに含有した。
【0064】
【表1】

【0065】
上記表1中のデータが明瞭に示すように、Terminox Ultra 50LTM中に存在するカタラーゼの添加により、洗剤組成物の貯蔵間のプロテアーゼは安定化される。
【0066】
実施例2カタラーゼによるWisk (Unilever) 中のSavinase変異型の安定化
前述の洗剤組成物中の貯蔵間の洗浄性酵素の安定性を決定する実験において、他のプロテアーゼ、位置99に挿入を有する (S99SE = 99aE) を有するSavinaseの変異型 (WO 89/06279に開示されている) (スブチリシン309) を使用した。結果を下記表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
データから明らかなように、また、Savinase変異型はカタラーゼの添加により安定化される。実施例1において前述したように、残留プロテアーゼ活性を測定した。
【0069】
実施例3
商業的に入手可能な洗剤 (Wisk、Unilever) を85℃に5分間加熱して、酵素活性を不活性化した。冷却後、一部分を2つの部AによびB、に分割した。部Aに0.5% (w/w) のSavinase変異型を添加し、そして部Bに0.5% (w/w) のSavinase変異型 + 0.1% (w/w) のメチオニンを添加した。試料を密閉バイアル中で-18℃または37℃において2週間インキュベートした後、残留活性を決定した。結果を下記表に示す。
【0070】
【表3】

貯蔵中のプロテアーゼ活性に対するメチオニンの安定化作用は明瞭に証明される。
【0071】
実施例4
商業的に入手可能な洗剤 (Wisk、Unilever) を85℃に5分間加熱して、酵素活性を不活性化した。冷却後、一部分を2つの部AによびB、に分割した。部Aに0.5% (w/w) のSavinase変異型を添加し、そして部Bに0.5% (w/w) のSavinase変異型 + 0.1% (w/w) のアスコルビン酸塩を添加した。試料を密閉バイアル中で-18℃または37℃において2週間インキュベートした後、残留活性を決定した。結果を下記表に示す。
【0072】
【表4】

貯蔵中のプロテアーゼ活性に対するアスコルビン酸塩の安定化作用は明瞭に証明される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
90%より少ない水を含んでなる液状洗剤組成物中の洗浄性酵素を安定化する方法において、酸化防止剤を液状洗剤組成物に添加することを含んでなり、この酸化防止剤がカタラーゼ、メチオニンおよびアスコルビン酸塩から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記洗浄性酵素がプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ペクチン酸リアーゼ、カルボヒドラーゼおよび/またはセルラーゼから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液状洗剤がその85重量%より少ない水を含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記液状洗剤がその少なくとも1重量%の水を含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記液状洗剤がその30〜70重量%の水を含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記液状洗剤が1%より少ない過酸素種を含んでなる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カタラーゼがアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) 、シタリジウム・サーモフィルム (Scytalidium thermophilum) 、ミクロコッカス・ルテウス (Micrococcus luteus) 、ストレプトマイセス・ケリコロル (Streptomyces coelicolor) 、サーモミセス・ラヌギノスス (Thermomyces lanuginosus) およびバシラス・サチリス (Bacillus subtilis) から成る群から得ることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酵素添加前に酸化防止剤が洗剤中に存在する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
貯蔵間に洗浄性酵素を安定化する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
カタラーゼを洗剤に関して50 μg/g洗剤より少ない量で添加する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
メチオニンまたはアスコルビン酸塩を洗剤に関して0.1 mg/ g洗剤より少ない量で添加する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
洗浄性酵素と、90 % (w/w) より少ない水と、カタラーゼ、メチオニンおよびアスコルビン酸塩から成る群から選択される酸化防止剤とを含んでなる液状洗剤組成物。
【請求項13】
前記カタラーゼが洗剤に関して50 μg/g洗剤より少ない量で添加されている、請求項12に記載の液状洗剤。
【請求項14】
前記メチオニンまたはアスコルビン酸塩が洗剤に関して0.1 mg/ g洗剤より少ない量で添加されている、請求項12に記載の液状洗剤。
【請求項15】
液状洗剤の85重量%より少ない水を含んでなる、請求項12に記載の液状洗剤。
【請求項16】
前記液状洗剤がその少なくとも1重量%の水を含んでなる、請求項12に記載の液状洗剤。
【請求項17】
前記液状洗剤がその30〜70重量%の水を含んでなる、請求項12に記載の液状洗剤。
【請求項18】
貯蔵間に液状洗剤中ので洗浄性酵素を安定化するためのカタラーゼ、メチオニンおよびアスコルビン酸塩から成る群から選択される酸化防止剤の使用。

【公表番号】特表2007−524744(P2007−524744A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553438(P2006−553438)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000124
【国際公開番号】WO2005/080540
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】