説明

液状物充填包装体用のホルダー

【課題】軟質液体包装袋からなる液状物充填包装体を最後まで安定して自立させると共に、液状物充填包装体内の被包装物の吐出を補助することができ、さらには収納性と耐衝撃性に優れる安価なホルダーを提供する。
【解決手段】液状被包装物をプラスチックフィルム製の軟質液体包装袋に収容してなる液状物充填包装体の略下半分に外嵌めして、これの自立保持に寄与すると共に、前記軟質液体包装袋の一側縁上部に設けられた液体注出ノズルから袋内被包装物を注出させるために、当該液状物充填包装体の胴部を加圧できるようにしてなるホルダー1であって、前記液状物充填包装体の立ち姿の下で形作られる立体形状に適合する形である、下部1aが多角形で、上部1bが楕円形シェル構造の上すぼまりの筒状体からなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物充填包装体用のホルダーに関し、一側縁上部に液体注出ノズルを備える軟質液体包装袋内に、醤油や液体調味料、飲料、医薬品、化粧品の如き液状被包装物を充填してなる液状物充填包装体の自立保持および注出援助ならびにエコ減容化などに著効を示すホルダーについて提案する。
【背景技術】
【0002】
飲食品用包装袋を自立保持するためのホルダーに関しては、特許文献1に開示されたものがある。このホルダーは、湯戻しされる即席乾燥食品や電子レンジ加熱調理用の食品などを収容する包装袋の下部に装着される筒状部材からなるホルダーにおいて、該筒状部材の上端開口部の最大径を、収納される包装袋の、その位置における幅よりも小さくなるように形成することで、収納される包装袋の両側縁が、筒状部材の上端開口部によって互いに近づく方向に押圧され、それによって包装袋の上部開封部を開口した状態で安定して維持することができるというものである。
【0003】
また、軟質液体包装袋内に液状被包装物を充填してなる液状物充填包装体については、発明者らの提案に係る特許文献1および2に開示されたものがある。これらの文献に開示されている液状物充填包装体は、セルフシール逆止機能付きのフィルム状逆止ノズルを備えてなり、醤油その他の液体調味料やサラダオイルのような流体物を、液中シール充填することにより、実質的に液状の被包装物のみを内包(ガスレス状態で充填された)液状物充填包装体として用いられる。そして、この液状物充填包装体では、フィルム状逆止ノズルを構成する積層プラスチックフィルムの内表面同士が密着することで外側逆止機能を発揮し、袋内への大気の侵入が阻止され、これによって袋内被包装物が酸化等の化学変化を起すことがなく、長期に亘って当初のままの品質に維持できるという利点があるが、それ自体は自立性も定型性も有していないため、その搬送、保管、使用等に当っては、自立型の包装袋(スタンディングポーチ:外袋)内に収納することで使用形態としている。
【0004】
【特許文献1】特開2010−1059号公報
【特許文献2】特開2010−18323号公報
【特許文献3】特開2010−260614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体注出ノズルを有する液状物充填包装体用のホルダーとしては、液状物充填包装体を安定して保持すると共に、液状物充填包装体を傾動させて、液状被包装物を複数回にわたって液体注出ノズルから注出するのを補助する機能を有することが必要とされる。したがって、例えば、特許文献1のホルダーを利用した場合には、高い自立性と共に耐衝撃性を付与するため、ホルダー材料として、固く、厚みのある紙材料やプラスチック材料等を用いる必要があり、コストが高くなるという問題点がある。しかも、特許文献1に記載のホルダーは、平面視楕円形の筒状体からなるため、これを複数個並べて配置した際の納まりが悪く、無駄なスペースが発生すると共に、液状物充填包装体をホルダー内に収納した状態で商品棚に陳列したり、箱等に収納した場合の収納性が悪く、また耐衝撃性に劣るという問題点がある。
【0006】
しかも、特許文献2および3に記載の液状物充填包装体のように、逆止機能を有する液体注出ノズルを備える液状物充填包装体を、特許文献1のホルダーによって保持した場合には、液状物充填包装体内に十分な被包装物がある場合には、ホルダーの自立性と共に、液状物充填包装体の下部が被包装物の重みによって膨張することで安定して自立させることができるが、液状物充填包装体が、ノズルの外側逆止機能によって、袋内被包装物の注出と共に、その注出体積分に相当する量だけ順次に潰れ変形していくと、特許文献1のホルダーの自立性のみでは安定して自立させることが難しいという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、軟質液体包装袋からなる液状物充填包装体を最後まで安定して自立させると共に、液状物充填包装体内の被包装物の吐出を補助することができ、さらには収納性と耐衝撃性に優れる安価なホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術が抱えている上述した課題を克服できるホルダーを開発すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、下記の要旨構成に係る液状物充填包装体用のホルダーを開発した。
【0009】
即ち、本発明は、液状被包装物をプラスチックフィルム製の軟質液体包装袋に収容してなる液状物充填包装体の略下半分に外嵌めして、これの自立保持に寄与すると共に、前記軟質液体包装袋の一側縁上部に設けられた液体注出ノズルから袋内被包装物を注出させるために、当該液状物充填包装体の胴部を加圧できるようにしてなるホルダーであって、前記液状物充填包装体の立ち姿の下で形作られる立体形状に適合する形である、下部が多角形で、上部が楕円形シェル構造の上すぼまりの筒状体からなることを特徴とする液状物充填包装体用のホルダーである。
【0010】
また、本発明の液状物充填包装体用のホルダーにおいて、
(1)前記筒状体は、下部が六角形からなり、対向する頂角部にそれぞれ、前記液状物充填包装体の胴部長辺側に沿う対向する六角辺部を加圧して、平らになるまで押し潰すことができるようにした折畳み線を設けてなること、
(2)前記液体注出ノズルは、外気の侵入を阻止する逆止機能を有すること、
(3)前記筒状体は、その内径が、立ち姿における前記液状物充填包装体の、対応する位置での最大径よりも大きくなるように構成されていること、
(4)前記筒状体は、その上部楕円形シェル構造部分に指掛り孔を有すること、
(5)前記筒状体は、1枚のシートを、横方向に設けられた折線に沿って多角形に折り曲げて形成してなり、かつ該シートの両遊端部を互いに接着して組み立ててなること、
(6)前記シートの両遊端部は、前記軟質液体包装袋の、一の側部シール部に貼着または融着されていること、
(7)前記折線は、上端の少なくとも一部に引裂き伝播防止用ノッチを設けてなること、
(8)前記軟質液体包装袋は、非自立型の軟質プラスチック製の内袋と、その内袋を収納するための積層プラスチックフィルムからなる自立型外袋と、で構成されていること、
(9)前記軟質液体包装袋は、袋本体の下端に自立用底部を有する自立型の液体包装袋からなること、
(10)前記筒状体は、下部多角形の下端部に、下端面中心を含むように多角辺部を跨がって配設された帯状の底板を有し、該底板の、略中央位置に折れ線を設けてなること、
(11)前記筒状体は、上部楕円形シェル構造部分の表面に滑り止め加工を施した加工面を有すると共に、下部六角形部分表面に耐摩耗加工を施した加工面を有すること、
(12)前記筒状体は、紙製材料または弾性樹脂材料からなること、
(13)前記筒状体の高さは、前記軟質液体包装袋の高さの1/3〜2/3であること、
がより好ましい実施形態となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液状物充填包装体用のホルダーでは、ホルダー(筒状体)の形状を、装着する液状物充填包装体の立ち姿の下で形作られる立体形状に適合する形、即ち、下部が多角形、上部が楕円形シェル構造の上すぼまり形状とすることで、ホルダーの剛性が向上して、液状物充填包装体の安定した自立保持を補助することができると共に、ホルダー下部を多角形としたことで、その複数個を組み合わせて隙間なく配置することができるため、収納性や商品棚等への陳列性に優れ、さらに輸送時などにおける衝撃を吸収することができる。
【0012】
とくに、本発明では、ホルダー下部を六角形とし、対向する頂角部にそれぞれ折畳み線を設けて、平らになるまで押し潰すことができるようにしたことで、袋内被包装物が減少した場合にも、収納(装着)する液体包装袋の形状に合わせてホルダーを変形させて液状物充填包装体を押圧することで、最後まで注出させることができる。
【0013】
しかも、本発明では、ホルダーの内径が、立ち姿における液状物充填包装体の、対応する位置での最大径よりも大きいため、該ホルダーと、液状物充填包装体とが干渉することなく外嵌めすることができる。そのため、液状物充填包装体が逆止機能を有する場合においても、該逆止機能がホルダーによって阻害されることがない。
【0014】
また、本発明によれば、ホルダー(筒状体)の上部楕円形シェル構造部分に指掛り用の窓孔が設けられているため、該窓孔を介して簡単に液状物充填包装体をホルダーごと持ち上げたり、液状物充填包装体を安定して傾動させて被包装物を注出することができる。さらに、窓孔から直接、液状物充填包装体の胴部を手指で押圧することもできるため、被包装物の注出量の微妙なコントロールが可能である。
【0015】
また、本発明のホルダーでは、1枚のシートを横方向に設けられた折線に沿って折り曲げて組み立てることができるため、加工が容易であり、さらにそれを紙製シートによって形成した場合には、使用後の廃棄が容易である。また、本発明では、前記シートの両遊端部を、装着する液状物充填包装体の、一の側部シール部に貼着または融着することで、ホルダーと液状物充填包装体とを一体化することができ、また、その接合箇所を一箇所のみとすることで輸送時等における衝撃をホルダーに吸収させて、液状物充填包装体の破損等を阻止することができる。
【0016】
また、本発明のホルダーの下部多角形の下端部には、下端面の中心を含むように、多角辺部を跨がって配設された帯状の底板を有することで、使用時において該ホルダーから液状物充填包装体がズレ落ちるおそれがなく、さらに、その底板を帯状とすることで、加工が容易で、低コストで作製することができる。また、前記底板は、略中央位置に折れ線が設けられているため、上記のようにホルダーを、平らになるまで押し潰した際にも、該折れ線を中心として2つに折り曲がることになり、底板が邪魔になることがない。
【0017】
さらに、本発明のホルダーでは、上部楕円形シェル構造部分に滑り止め加工が施されているため、ホルダーを持ち上げたり、傾動させた際に手指が滑ることがなく、また、下部多角形部分には耐摩耗加工が施されているため、取り扱い等によってホルダーが変形したり損傷したりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液状物充填包装体用ホルダーの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の液状物充填包装体用ホルダーに、液状物充填包装体を保持させた状態を例示する斜視図である。
【図3】本発明の液状物充填包装体用のホルダーが複数個並んだ状態を例示す正面図である。
【図4】本発明の液状物充填包装構造体用のホルダーが複数個並んだ状態を例示す底面図である。
【図5】図1の液状物充填包装体用のホルダーに液状物充填包装体を保持させた状態を例示する他の斜視図である。
【図6】本発明に係る液状物充填包装体の一実施形態を示す図である。
【図7】本発明に係る液状物充填包装体の他の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の液状物充填包装構造体用のホルダーの展開図である。
【図9】本発明の液状物充填包装構造体用のホルダーの底板の一例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る液状物充填包装体用のホルダー(以下、単に「ホルダー」という。)は、液体注出ノズルを有するフレキシブル包装袋内に、被包装物である液状物を液中シール充填してなる液状物充填包装体の下部に装着し、該液状物充填包装体の安定した自立と、被包装物の注出を補助するためのホルダーとして開発されたものである。
【0020】
本発明のホルダーは、図1の一実施形態に示すように、装着する液状物充填包装体の立ち姿の下で形作られる立体形状に適合する形、即ち、下部1aが多角形で、上部1bが楕円形シェル構造の上すぼまり形の筒状体からなるところに特徴がある。なお、楕円形シェル構造とは、平面視楕円形で、シート状部材の側面を上すぼまり形となるように内向きに湾曲させた構造を指し、図1においては、一対のシート状部材が、上方に向かって互いに近づく方向に湾曲した状態となっている。
【0021】
このように、本発明のホルダーでは、液状被包装物によって膨張した液状物充填包装体の下部を、ホルダー下部の多角形部分によって安定して自立保持することができると共に、ホルダー上部を楕円形シェル構造として、ホルダー上部と下部の形状を異ならせることで、ホルダーの弾性復元力が高くなってホルダー形状を保つことができ、また剛性を向上させることができる。
【0022】
さらに、本発明では、図2の一使用形態に示すように、ホルダー上部1bが上すぼまり形状となっているため、ホルダー上部1bと液状物充填包装体2胴部とが近接した状態となり、液状被包装物の注出時等に、液状物充填包装体2上部がふらつくのを抑制して指向性を向上できると共に、ホルダー1を介して液状物充填包装体2胴部を加圧した際の力が伝わりやすく、液状物充填包装体2の上部側縁に設けられた液体注出ノズル4からの被包装物の注出量をコントロールし易いという効果が期待できる。
【0023】
なお、ホルダー下部の形状は、三角形、四角形などのいずれの多角形状でもよく、このように多角形状とすることで、液状物充填包装体の下部を安定して自立保持することができると共に、図4のホルダー下部の形状が(a)三角形、(b)四角形および(c)六角形の場合の底面図に示したように、複数個のホルダーを隙間なく配置することができ、箱に収納したり、商品棚に陳列等する際の収納性や安定性に優れ、さらには輸送時などにおける外部から衝撃を、ホルダーによって吸収することができるため、ホルダー内の液状物充填包装体の破損等を抑制することができるという効果が期待できる。
【0024】
さらに、図3に示したように、液状物充填包装体2をホルダー1を介して商品棚等に陳列した場合、液状物充填包装体2の側面(通常は商品名等の印刷面)が、需要者に向って表示されることになるため、需要者が商品を選択しやすく、販売量の向上も期待できる。
【0025】
なお、本発明のホルダーにおいては、下部形状が六角形であることが好ましく、さらに、ホルダー下部の対向する頂角部にそれぞれ折畳み線を設け、ホルダーの液状物充填包装体の胴部長辺側に沿う対向する六角辺部(以下、「表裏面」という。)を加圧して、図5に一実施形態として示したように相互に平らになるまで押し潰すことができるようにすることが好ましい。これによれば、ホルダーの表裏面を前記折畳み線に沿って押し潰すことができるため、この押し潰し力をコントロールすることで、液状物充填包装体内の液状被包装物の微妙な注出量の調整が可能であると共に、液状物充填包装体内の被包装物が減少した場合にも、ホルダーの高い弾性復元力によってホルダー形状を保つことができるため、液状物充填包装体を最後まで安定して自立保持することができる。
【0026】
また、図1に示すようなホルダー下部1a形状が六角形からなり、表裏面を前記折畳み線に沿って相互に平らになるまで押し潰すことのできるホルダー1は、とくに逆止機能を有するフィルム状液体注出ノズルを備える液状物充填包装体において好適に用いることができる。逆止機能を有するフィルム状液体注出ノズルを備える液状物充填包装体では、その液体注出ノズルの外側逆止機能によって、上記したように被包装物の注出量に応じて袋本体が潰れ変形し、これが堰き止め作用となって、被包装物の流れが淀んだり、最終的には流路が遮断されてしまうおそれがある。この点に関しても、図1に示すホルダーによれば、ホルダーによる押し潰し力(加圧力)によって、袋内に残留する被包装物を押し出して、全量を最後まで注出させることができると共に、ホルダーの高い安定性と弾性復元力によって液状物充填包装体を最後まで自立保持できるようになる。
【0027】
なお、前記フィルム状液体注出ノズルの逆止機能とは、平坦で密着可能な表裏2枚のプラスチックフィルムを重ね合わせて対面させ、かつ重なり合うそれらのフィルム相互間に形成される注出通路が、毛細管作用による液状物の常時介在によって相互に強く密着し、外気の、包装袋本体部内への侵入を確実に阻止する機能である。なお、この液体注出ノズルの逆止作用は、包装袋の本体部分を液体注出ノズルの開口部(注ぎ口)が下方に向く姿勢となるように傾動させて液状被包装物を注出した後、包装袋の起立復帰によって、液体注出ノズルが水頭圧の作用から開放されて製造時の元形状に復帰することに加え、液体注出ノズル内の液状被包装物の一部が、袋本体部内へ還流するに際して、減圧により液状被包装物によって濡れた表裏一対のフィルムどうしの内表面(注出通路)が、相互に吸着し合うこと等によって自動的に行われる(セルフシール)。そして、このような密着は、包装袋からの液状被包装物の注出に伴って、収縮ないしは潰れ変形された袋本体部分が、それに固有の弾性復元力に基づいて、その内部を減圧傾向へと作用するときに、より確実になる。
【0028】
また、本発明のホルダーは、その内径を、液状物充填包装体の、ホルダー内に収納した状態(立ち姿)での対応する位置における最大径よりも大きくすることが好ましい。これによれば、ホルダーを液状物充填包装体下部に外嵌めした際に、ホルダーによって液状物充填包装体胴部が押圧されることがないため、液状被包装物が液体注出ノズルから不測に漏出するおそれがなく、とくに、本発明のホルダーを、逆止機能を有するフィルム状液体注出ノズルを備える液状物充填包装体に装着する場合には、液状物充填包装体の使用開始前に液状被包装物が逆止ノズルの注出通路内に進入して滞留するのを抑制することができるため、これによって注出通路が膨らませる向きに永久変形してしまうことがなく、注出通路内表面同士の密着が阻害されて逆止機能を発揮できなくなる、というおそれがない。
なお、筒状体の内径は、液状物充填包装体の収納状態(立ち姿)での対応する位置における最大径よりも3〜20mm大きくすることが好ましい。
【0029】
なお、ホルダー下部の多角形部分は、ホルダー全体高さの1/2〜2/3(楕円形シェル構造部分はその残り:全体高さの1/3〜1/2)とすることが、上記自立安定性や弾性復元力、注出補助等の効果を有効に発揮する上で好ましい。
【0030】
なお、本発明に係る液状物充填包装体とは、図6に示すように、液体注出ノズル4を有する軟質液体包装袋3内に、被包装物である液状物を液中シール充填してなる内袋5を、自立用外袋6内に収納したものの他、図7に示すように軟質液体包装袋3の下端部に自立用底部7を設けてなるものであってもよい。
【0031】
また、本発明に係る液状物充填包装体では、該包装体全体を液体注出ノズルの開口部(注ぎ口)が下方に向く姿勢となるように傾動させること、さらには、包装体の胴部側面を加圧することにより所要の注出を行うことができるが、注出量のコントロールには前記傾動角度や加圧力の微妙な調整が必要である。
【0032】
そこで、本発明のホルダーでは、図1に例示したように表裏面の上部、すなわち楕円形シェル構造1b部分に指掛り孔10を設けることが好ましく、これによって、指掛り孔10に指を掛けてホルダー1ごと液状物充填包装体2を安定して傾動させることができると共に、該指掛り孔10を介して液状物充填包装体2の胴部を手指で直接、加圧することで、被包装物の注出量の微妙なコントロールができるという効果が期待できる。
【0033】
さらに、前記液体注出ノズルが、セルフシール逆止機能を有する場合には、これによって外気の軟質液体包装袋内への侵入を抑制することができるため、開口部(注ぎ口)に蓋栓等を用いる必要がないという特徴があるが、その反面、持ち運び等の際に、誤って液状物充填包装体の胴部を加圧してしまうと、袋内被包装物が液体注出ノズルの開口部から不測に吐出されてしまうおそれがあった。この点に対しても、図1に例示する本発明のホルダー1によれば、液状物充填包装体を、ホルダー1の表裏面にそれぞれ設けられた指掛り孔10に指を掛けて持ち運ぶことができるため、直接、ホルダー1の表裏面、即ち液状物充填包装体胴部を握持する必要がなく、不測に被包装物が吐出されることを抑制することができる。
【0034】
また、本発明のホルダーは、1枚のシートを、横方向に設けられた折線に沿って折り曲げた後、該シートの両遊端部を互いに接着して組み立てることで簡単に形成することができる。例えば、ホルダー下部が六角形からなる場合には、図8に示すような1枚のシート11を、シート11中央部の折畳み線15を含む5箇所に設けられた折線16a〜16dに沿って折り曲げて組み立てた後、両遊端部11a、11bを相互に接着剤等を用いて接合することで形成することができる。本発明のホルダーは、液状物充填包装体とは別体として形成することができる他、例えば図2に示すように、前記両遊端部11a、11bを、液状物充填包装体2の一方の側部シール部12に接着剤等によって貼着するか、ヒートシール等によって融着させることで、液状物充填包装体2と一体に形成してもよい。
【0035】
そして、ホルダーが、前記したように液状物充填包装体と別体からなる場合、あるいは一体からなる場合のいずれであっても、ホルダーを液状物充填包装体の一方の側部シール部と接合することが好ましく、これにより、液状物充填包装体が、ホルダーからズレ落ちることを防止できると共に、衝撃がその接合箇所に吸収されるため、耐衝撃性に優れ、ホルダー内に保持した液状物充填包装体が、変形や破損等することを阻止することができる。
【0036】
また、本発明のホルダーは、上記したように下部が多角形、上部が楕円形シェル構造からなり、上部と下部の形状が異なるところに特徴があるが、このような形状をホルダーの使用終了時点まで維持させるためには、図8に例示すように、ホルダー1を構成するシート11の、折り線16a〜16dの上端部にそれぞれ引裂き伝播防止用ノッチ17(図では半円弧形ノッチ)を設けることが好ましく、これらのノッチ17によって、折り線16a〜16dが、それより上部へと延びるのを効果的に阻止し、ホルダー1の上部形状を楕円形シェル構造1bに保つことができる。
【0037】
また、シート11の中央部に設けられた折畳み線15は、ホルダー1の表面と裏面との境界部分であり、ホルダー1として組み立てた場合、常に鋭角に折り曲げられた状態になるため、折畳み線15の上端は、使用時における衝撃等によって、とくに切れたり裂けたりし易い部分となる。したがって、折畳み線15についても、その上端に円形等の引裂き伝播防止用ノッチ17を設け、そのノッチ17によって上端からの切断とその伝播を抑制することが好ましい。
【0038】
さらに、前記シート11は、紙製材料または弾性樹脂材料からなることが好ましく、これにより、簡単に折り曲げて組立ができると共に、保形性にも優れ、ホルダーの押し潰しによる液状物充填包装体胴部の押圧が容易で、被包装物の注出量のコントロールと、被包装物の最後までの吐出に有利である。とくに、紙製材料からなる場合には、使用後の廃棄が容易であるという利点もある。
【0039】
また、ホルダーの高さは、ホルダー内に保持される液状物充填包装体の高さの1/3〜2/3であることが好ましく、より好ましくは1/2程度とする。これにより、液状物充填包装体を安定して支持することができると共に、ホルダーを介して液状物充填包装体の胴部を加圧し、被包装物を注出する際の注出量のコントロールが容易となる。
【0040】
また、本発明のホルダー下端部には、その下端面の中心を含むように、多角辺部を跨がって配設された帯状の底板を有することが好ましい。例えば、下部形状が六角形からなるホルダーでは、図9の底面図に示したように、対向する六角辺である表面の下端中央部と、裏面の下端中央部とを跨るように帯状(矩形状)の底板13が設けられている。これにより、ホルダー内に液状物充填包装体を保持した状態で、それを傾動あるいは持ち上げた際に、該液状物充填包装体が、ホルダーからずれ落ちるのを効果的に阻止することができる。
【0041】
なお、底板の形成方法は、とくに限定されるものではなく、例えば、図8のようなホルダー組み立て前のシート11において、表面となる部分の下端中央部および裏面となる部分の下端中央部から板片をそれぞれ突出させておき、図9に示したように、ホルダー1の組み立て時に、該板片の遊端部どうしを相互に融着させて形成することや、ホルダーの組み立て後に、ホルダーとは別体からなる帯状(矩形状)の底板片をホルダーの表裏面下端中央部を跨るように接着剤等によって貼りつけて形成してもよい。なお、図9に示したように、底板13は、ホルダー1の表裏面と平行な方向の略中央位置に折り線14を有することが好ましく、これによって、ホルダー1を表裏面が平らになるまで押し潰した際に、底板13が折り線14に沿って二つに折り畳まれるため邪魔になることがない。
【0042】
また、本発明のホルダーでは、上部の楕円形シェル構造部分表面に滑り止め処理を施し、一方、下部の多角形部分表面に耐摩耗加工を施すことが好ましい。これにより、ホルダー上部の楕円形シェル構造部分において、ホルダーを持ち上げたり、傾動させた際の手指のすべり落ちを抑制することができ、また、下部の六多角形部分においては、取り扱い等によってホルダーが変形したり損傷したりするのを抑制することができる。なお、滑り止め処理としては、ホルダーの表面にコーティング剤を塗布したり、凹凸やエンボス加工を施すこと、耐摩耗加工としては、ホルダーの表面にUVコートやニスコート、プレスコート、ラミネート加工などを施すことにより形成すること好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のホルダーは、図示例だけに限らず、本発明思想を逸脱しない範囲内において、その構成を部分的に変更することは可能であり、醤油やソース、ドレッシングなどの調味液、各種飲料の他、マヨネーズや化粧料の如き粘稠物を液中シール充填した液状物充填包装体のホルダーとして使うことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 液状物充填包装体用のホルダー
1a 下部
1b 上部
2 液状物充填包装体
3 軟質液体包装袋
4 液体注出ノズル
5 内袋
6 自立用外袋
7 自立用底部
10 指掛かり孔
11a、11b 遊端部
12 側部シール部
13 底板
14 折り線
15 折畳み線
16a〜16d 折り線
17 引裂き伝播防止用ノッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状被包装物をプラスチックフィルム製の軟質液体包装袋に収容してなる液状物充填包装体の略下半分に外嵌めして、これの自立保持に寄与すると共に、前記軟質液体包装袋の一側縁上部に設けられた液体注出ノズルから袋内被包装物を注出させるために、当該液状物充填包装体の胴部を加圧できるようにしてなるホルダーであって、
前記液状物充填包装体の立ち姿の下で形作られる立体形状に適合する形である、下部が多角形で、上部が楕円形シェル構造の上すぼまりの筒状体からなることを特徴とする液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項2】
前記筒状体は、下部が六角形からなり、対向する頂角部にそれぞれ、前記液状物充填包装体の胴部長辺側に沿う対向する六角辺部を加圧して、平らになるまで押し潰すことができるようにした折畳み線を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項3】
前記液体注出ノズルは、外気の侵入を阻止する逆止機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項4】
前記筒状体は、その内径が、立ち姿における前記液状物充填包装体の、対応する位置での最大径よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項5】
前記筒状体は、その上部楕円形シェル構造部分に指掛り孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項6】
前記筒状体は、1枚のシートを、横方向に設けられた折線に沿って多角形に折り曲げて形成してなり、かつ該シートの両遊端部を互いに接着して組み立ててなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項7】
前記シートの両遊端部は、前記軟質液体包装袋の、一の側部シール部に貼着または融着されていることを特徴とする請求項6に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項8】
前記折線は、上端の少なくとも一部に引裂き伝播防止用ノッチを設けてなることを特徴とする請求項6または7に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項9】
前記軟質液体包装袋は、非自立型の軟質プラスチック製の内袋と、その内袋を収納するための積層プラスチックフィルムからなる自立型外袋と、で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液状物充填用軟質液体包装袋のホルダー。
【請求項10】
前記軟質液体包装袋は、袋本体の下端に自立用底部を有する自立型の液体包装袋からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項11】
前記筒状体は、下部多角形の下端部に、下端面中心を含むように多角辺部を跨がって配設された帯状の底板を有し、該底板の、略中央位置に折れ線を設けてなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用のホルダー。
【請求項12】
前記筒状体は、上部楕円形シェル構造部分の表面に滑り止め加工を施した加工面を有すると共に、下部六角形部分表面に耐摩耗加工を施した加工面を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用のホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−240720(P2012−240720A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113650(P2011−113650)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(307028493)株式会社悠心 (31)
【Fターム(参考)】