説明

液状食品加熱装置

【課題】 加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に開閉弁を閉じる場合でもノズル引き抜き時にノズルから残存の蒸気等が噴き出すことを防止できる液状食品加熱装置を提供する。
【解決手段】 加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜く前に第2開閉弁35を開けて第1管路P1内(蒸気生成器15の通水路内と第1開閉弁34内と蒸気噴出ノズル17内を含む)に存する蒸気を第2管路P2に導いて第1管路P1の内圧を低減させる。これにより、加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜いた後に第1開閉弁34を閉じる場合でもノズル引き抜き時に蒸気噴出ノズル17から残存の蒸気等が噴き出すことを確実に防止して、該噴出を原因とした加熱後スープSOの飛散及びカップ26や周囲機器等の汚損を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要加熱の液状食品を蒸気を利用して加熱する液状食品加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液状食品加熱装置は、水を加熱して蒸気を生成する蒸気生成器と、蒸気生成器の出口に一端を接続された管路と、管路の他端に接続された蒸気噴出用のノズルとを備える。この液状食品加熱装置では、液状食品にノズルを挿入した後に管路を通じてノズルに蒸気を送り込むことにより該ノズルから噴出される蒸気によって液状食品を加熱する。
【特許文献1】特許第3319818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記管路にはノズルへの蒸気供給を制御するための電磁式の開閉弁が一般に介装されているが、加熱された液状食品からノズルを引き抜く前に開閉弁を閉じると、開閉弁よりも下流側の管路内及びノズル内に残存している蒸気が凝縮して該凝縮により生じた負圧によって加熱された液状食品がノズル内に吸い込まれる不具合が生じる。そのため、開閉弁は加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に閉じることが望ましいと言える。
【0004】
しかし、加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に開閉弁を閉じるときには、管路及びノズルの内圧を充分に低下させておく必要がある。即ち、管路及びノズルの内圧が高い状態のままで加熱された液状食品からノズルを引き抜くと、ノズル引き抜き時にノズルから残存の蒸気等が噴き出し、該噴出圧力によって加熱された液状食品が飛散してカップや周囲機器等を汚してしまう。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたものであり、加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に開閉弁を閉じる場合でもノズル引き抜き時にノズルから残存の蒸気等が噴き出すことを防止できる液状食品加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、水を加熱して蒸気を生成する蒸気生成器と、蒸気生成器の出口に一端を接続された第1管路と、第1管路の他端に接続された蒸気噴出用のノズルと、第1管路の途中に介装された第1開閉弁とを備え、液状食品にノズルを挿入した後に第1開閉弁を開けて蒸気生成器で生成された蒸気を第1管路を通じてノズルに送り込むことにより該ノズルから噴出される蒸気によって液状食品を加熱する液状食品加熱装置において、第1管路に一端を接続された第2管路と、第2管路の途中に介装された第2開閉弁と、加熱された液状食品からノズルを引き抜く前に第2開閉弁を開けて第1管路内及び第1開閉弁内に存する蒸気を第2管路に導いて第1管路の内圧を低減させる第1動作制御手段と、第2開閉弁を開けた後に加熱された液状食品からノズルを引き抜く第2動作制御手段と、加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に第1開閉弁を閉じる第3動作制御手段とを備える、ことをその特徴とする。
【0007】
この液状食品加熱装置によれば、加熱された液状食品からノズルを引き抜く前に第2開閉弁を開けて第1管路内及び第1開閉弁内に存する蒸気を第2管路に導いて第1管路の内圧を低減させることができるので、加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に開閉弁を閉じる場合でもノズル引き抜き時にノズルから残存の蒸気等が噴き出すことを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に開閉弁を閉じる場合でもノズル引き抜き時にノズルから残存の蒸気等が噴き出すことを確実に防止できる。
【0009】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図8は本発明の第1実施形態を示す。図1は液状食品加熱装置の構成図、図2は図1に示した液状食品加熱装置の回路図、図3〜図7は図1に示した液状食品加熱装置の動作説明図、図8は図1に示した液状食品加熱装置で実行される液状食品加熱のフローチャートである。
【0011】
まず、図1を参照して、液状食品加熱装置のメカニズムについて説明する。
【0012】
図1中の符号11は水タンク、12はシスターン、13は軟水フィルタ、14は殺菌フィルタ、15は蒸気生成器、16は水供給ノズル、17は蒸気噴出ノズル、18は蒸気噴出ノズル用の昇降機構、19〜24は材料貯蔵庫、25はカップ用の移動機構、26はカップ、27は電磁式の第1ポンプ、28は電磁式の第2ポンプ、29は電磁式の第3ポンプ、30は第1逆止弁、31は第2逆止弁、32は流量センサ、33は流量調整弁、34は電磁式の第1開閉弁、35は電磁式の第2開閉弁、36は電磁式の第3開閉弁、37は電磁式の第4開閉弁である。
【0013】
また、P1は蒸気生成器15の出口と蒸気噴出ノズル17とを結ぶ第1管路であり、該第1管路P1には第1開閉弁34が介装されている。P2は第1管路P1における第1開閉弁の上流側とシスターン12とを結ぶ第2管路であり、該第2管路P2には第2開閉弁35が介装されている。P3はシスターン12と蒸気生成器15の入口とを結ぶ第3管路であり、該第3管路P3には第3ポンプ29と流量調整弁33が順に介装されている。P4は第3管路P3における流量調整弁33の下流側とシスターン12とを結ぶ第4管路であり、該第4管路P4には第3開閉弁36が介装されている。P5は管路P3における第3ポンプ29と流量調整弁33の間と第4管路P4における第3開閉弁36の下流側とを結ぶ第5管路であり、該第5管路P5には第4開閉弁37が介装されている。P6は水タンク11の出口と軟水フィルタ13の入口とを結ぶ第6管路であり、該第6管路P6には第1ポンプ27が介装されている。P7は軟水フィルタ13の出口と殺菌フィルタ14の入口とを結ぶ第7管路である。P8は殺菌フィルタ14の出口とシスターン12とを結ぶ第8管路であり、該第8管路P8には第1逆止弁30が介装されている。P9はシスターン12と水供給ノズル16とを結ぶ第9管路であり、該第9管路P9には流量センサ32と第2ポンプ28と第2逆止弁31が順に介装されている。
【0014】
因みに、第5管路P5及び第4開閉弁37は第3ポンプ29のエア抜き用のものであり、第4開閉弁37はエア抜きを行うとき以外は閉じている。
【0015】
水タンク11は原料水、例えば水道水を貯留するためのもので、貯留水の水位を検出するための水位センサFS1(図2参照)を内蔵している。図示を省略したが、水タンク11には該水タンク11への水補給を行う回路、例えば開閉弁付きの水道管が接続されている。勿論、この水タンク11は、水位センサFS1を有さず、且つ、水補給を行う回路が接続されていない手動補給式の水タンクであってもよい。
【0016】
シスターン12は原料水、例えば水道水を電気分解して塩素濃度を高める役割を果たすもので、貯留水の水位を検出するための水位センサFS2(図2参照)と陽極12a及び陰極12b(図2参照)を内蔵している。本実施形態ではこのシスターン12が請求範囲における「水貯留部」に該当する。
【0017】
軟水フィルタ13は原料水、例えば水道水からミネラル分を除去する役目を果たし、殺菌フィルタ14は原料水、例えば水道水から雑菌や不純物を除去する役目を果たす。
【0018】
蒸気生成器15は、入口及び出口を有する細長い通水路(図示省略)と、通水路を通過する水をその通過過程で加熱して蒸気を生成するための電熱式のヒータ15a(図2参照)とを内蔵している。また、蒸気生成器15には通水路を含む生成器本体の温度を検出する温度センサTS1(図2参照)が設けられている。
【0019】
蒸気噴出ノズル17は有底の円筒状を成し、カップ26内に挿入される下部に複数の蒸気噴出孔17aを有する。
【0020】
蒸気噴出ノズル用昇降機構18は、メインフレーム18aと、複数のガイドロッド18cを介して設けられたサブフレーム18bと、ガイドロッド18cに沿って上下移動可能なスライダ18dと、スライダ18dを上方に付勢する複数のコイルバネ18eと、上下1対のプーリ18fと、両プーリ18fに巻き付けられた無端ベルト18gと、一方のプーリ18fを回転駆動するモータ18hと、スライダ18dの昇降位置を検出する位置センサS11,S12(図2参照)とを有する。スライダ18dはブラケット等を介して無端ベルト18gに連結されており、該スライダ18dには蒸気噴出ノズル17が縦向きに取り付けられている。各位置センサS11,S12はスライダ18d(蒸気噴出ノズル17)の上昇位置と下降位置をそれぞれ定める。
【0021】
材料貯蔵庫19〜24は、加熱対象となる液状食品、例えば未加熱スープを調合するのに必要な材料、具体的にはスープベースとなる複数種類のスープ粉末と複数種類の乾燥具材が種別に貯蔵している。因みに、スープ粉末はコンソメスープ用粉末やクリームスープ用粉末等であり、乾燥具材は乾燥野菜や乾燥肉等である。各材料貯蔵庫19〜24は前面下部に供給口(符号無し)を有すると共に、所定量の材料を供給口から送出するための機構(図示省略)と、該機構を動作させるためのモータ(19a〜24a,図2参照)を有する。
【0022】
カップ用移動機構25は、フレーム25aと、左右1対のプーリ25bと、両プーリ25bに巻き付けられた無端ベルト25cと、一方のプーリ25bを回転駆動するモータ25cと、ブラケット等を介して無端ベルト25cに連結された逆円錐台状のカップホルダ25eと、カップホルダ25eの左右位置を検知する位置センサS21〜S2n(図2参照)とを有する。各位置センサS21〜S2nは材料貯蔵庫19〜24と水供給ノズル16に対応して配置されており、材料供給及び水供給を行う際のカップホルダ25e(カップ26)の停止位置を定める。
【0023】
カップ26は紙或いはプラスチックから逆円錐台状に形成されており、カップホルダ25eへの嵌め込み及び取り出しを可能としている。
【0024】
次に、図2を参照して、液状食品加熱装置のコントロールシステムについて説明する。
【0025】
図2中の51は主制御部、52はシスターン用駆動部、53は蒸気生成器用駆動部、54はモータ駆動部、55は材料貯蔵庫用駆動部、56はポンプ駆動部、57は開閉弁駆動部、58は水位センサ用検知部、59は温度センサ用検知部、60は位置センサ用検知部、61は流量センサ用検知部、62はメニュー選択器である。
【0026】
主制御部51はマイクロコンピュータから成り、各検知部58〜60とメニュー選択器62からの信号に基づき、メモリに格納されている各種プログラムに従って各駆動部52〜57に制御信号を送出する。
【0027】
シスターン用駆動部52は、主制御部51からの制御信号に基づいてシスターン12の陽極12a及び陰極12bに所定の電力を供給する。蒸気生成器用駆動部53は、主制御部51からの制御信号に基づいて蒸気生成器15のヒータ15aに所定の電力を供給する。モータ駆動部54は、主制御部51からの制御信号に基づいて蒸気噴出ノズル用昇降機構18のモータ18hとカップ用移動機構25のモータ25dのそれぞれに所定の電力を供給する。材料貯蔵庫用駆動部55は、主制御部51からの制御信号に基づいて各材料貯蔵庫19〜24のモータ19a〜24aに所定の電力を供給する。ポンプ駆動部56は、主制御部51からの制御信号に基づいて第1〜第3ポンプ27〜29のそれぞれに所定の電力を供給する。開閉弁駆動部57は、主制御部51からの制御信号に基づいて第1〜第4開閉弁34〜37のそれぞれに所定の電力を供給する。
【0028】
水位センサ用検知部58は、水タンク11の水位センサFS1とシスターン12の水位センサFS2からの信号を変換して主制御部51に送出する。温度センサ用検知部59は、蒸気生成器15の温度センサTS1からの信号を変換して主制御部51に送出する。位置センサ用検知部60は、蒸気噴出ノズル用昇降機構18の位置センサS11,S12とカップ用移動機構25の位置センサS21〜S2nからの信号を変換して主制御部51に送出する。流量センサ用検知部61は、流量センサ32からの信号を変換して主制御部51に送出する。
【0029】
メニュー選択器62は、液状食品、例えばスープのメニューに対応したボタン群と調理開始ボタンとを少なくとも有する。各メニューに対応する調理データ、即ち、未加熱スープの調合に必要な材料種類及び加熱時間等は主制御部51のメモリに格納されている。
【0030】
次に、図3〜図8を参照して、液状食品加熱装置の動作を液状食品としてスープを例に挙げて説明する。
【0031】
水タンク11の貯留水の水位は水位センサFS1からの信号に基づいて水補給を行う回路を動作させることによって一定に保たれている。また、シスターン12の貯留水の水位も水位センサFS2からの信号に基づいて第1ポンプ27を動作させることによって一定に保たれている。
【0032】
第1ポンプ27を動作させると、図3に矢印で示すように、水タンク11の貯留水が第6管路P6を通じて軟水フィルタ13に送り込まれ、該軟水フィルタ13から第7管路P7を通じて殺菌フィルタ14に送り込まれ、該殺菌フィルタ14から第8管路P8及び第1逆止弁30を通じてシスターン12に送り込まれる。シスターン12では陽極12a及び陰極12bへの電力供給によって定期的に電気分解が実施され、該電気分解により貯留水の塩素濃度が高められて該貯留水の安全性が向上する。
【0033】
液状食品加熱装置の主電源が投入されると、蒸気生成器15のヒータ15aに電力が供給され、通水路を含む生成器本体が温度センサTS1からの信号に基づいて所定温度、即ち、通水路を通過する水をその通過過程で加熱して蒸気(過熱蒸気)を生成するのに適した温度に昇温され、且つ、保持される(図8のステップST1,ST2参照)。
【0034】
そして、カップ用移動機構25のカップホルダ25eに空のカップ26が嵌め込まれた状態でメニュー選択器62において所定のメニューボタンと調理開始ボタンが押されると(図8のステップST3参照)、メニューに対応する調理データ、即ち、未加熱スープの調合に必要な材料種類及び加熱時間等が読み出される。
【0035】
そして、図4に矢印で示すように、カップ用移動機構25のカップホルダ25eが所定の材料貯蔵庫(19〜24)の供給口の下側に停止して、カップ26内に選択メニューに対応した所定量の材料が投入され、続いて、カップホルダ25eが水供給ノズル16の下側に停止して、カップ26内に所定量の水が投入され、これにより未加熱スープSOが調合される(図8のステップST4参照)。カップ用移動機構25のカップホルダ25eの移動及び停止はモータ25dの動作によって無端ベルト25cを動かして所定の位置センサ(S21〜S2n)の検出信号に基づいてモータ25を停止させることによって行われる。また、カップ26内への材料投入はモータ(19a〜24a)の動作によって材料供給機構を動かすことによって行われ、カップ26内への水投入は第2ポンプ28を動作させることによって行われる。
【0036】
第2ポンプ28を動作させると、図4に矢印で示すように、シスターン12の貯留水が第9管路P9,流量センサ32,第2ポンプ28及び第2逆止弁31を通じて水供給ノズル16に送り込まれる。水供給ノズル16からカップ26内への水投入は、流量センサ32で検出される流量が所定量に達したときに第2ポンプ28を停止させることによって停止する。
【0037】
未加熱スープSOの調合が完了した後は、図5に矢印で示すように、カップ用移動機構25のカップホルダ25eが蒸気噴出ノズル17の下側に停止し、蒸気噴出ノズル用昇降機構18のスライダ18dが下降して蒸気噴出ノズル17の下部がカップ26内の未加熱スープSOに挿入される(図8のステップST5,ST6参照)。カップ用移動機構25のカップホルダ25eの移動及び停止はモータ25dの動作によって無端ベルト25cを動かして所定の位置センサ(S21〜S2n)の検出信号に基づいてモータ25を停止させることによって行われる。また、蒸気噴出ノズル17の未加熱スープSOへの挿入はモータ18hの動作によって無端ベルト18gを動かして位置センサS11の検出信号に基づいてモータ18hを停止させることによって行われる。
【0038】
蒸気噴出ノズル17の未加熱スープSOへの挿入が完了した後は、第1開閉弁34を開け第2開閉弁35と第3開閉弁36を閉じ、且つ、第3ポンプ29を動作させて未加熱スープSOの加熱を開始する(図8のステップST7,ST8参照)。
【0039】
第3ポンプ29を動作させると、図5に矢印で示すように、シスターン12の貯留水が第3管路P3,第3ポンプ29及び流量調整弁33を通じて蒸気生成器15の入口に送り込まれる。先に述べたように蒸気生成器15は所定温度に保持されているため、蒸気生成器15の入口に送り込まれた水は通水路を通過する過程で加熱されて蒸気(過熱蒸気)となる。蒸気生成器15で生成された蒸気はその出口から第1管路P1及び第1開閉弁34を通じて蒸気噴出ノズル17に送り込まれ、該蒸気噴出ノズル17の下部に設けられた複数の蒸気噴出孔17aから未加熱スープSOに噴出され、未加熱スープSOはこの噴出蒸気によって撹拌されると同時に高温度に加熱される。この蒸気噴出による未加熱スープSOの加熱は予め定めた加熱時間だけ継続される。
【0040】
加熱時間が経過したときは、第3ポンプ29が停止されて基本的な加熱動作が完了する(図8のステップST9,ST10参照)。
【0041】
第3ポンプ29を停止しても蒸気生成器15aの通水路には多少の水が残存しているため、第3ポンプ29を停止しても実際上では蒸気生成はしばらくの間、具体的には数秒程度続く。そのため、ここでは蒸気生成器15における蒸気生成量がある程度減少するまでの時間を考慮して遅延時間を予め設定しておき、該遅延時間が経過するのを待つ(図8のステップST11参照)。遅延時間が経過したときは、第2開閉弁35を開いて第2管路P2を第1管路P1と連通させる(図8のステップST12参照)。この遅延時間は必ずしも必要なものではないが、蒸気生成量が減少してから第2開閉弁35を開けたほうが後述の内圧低減を瞬時に行うことができる。
【0042】
遅延時間が経過すると蒸気生成器15における蒸気生成量は減少するが、蒸気生成器15における蒸気生成は微少ながらも継続していて、且つ、蒸気生成器15の出口と蒸気噴出ノズル17とを結ぶ第1管路P1内(蒸気生成器15の通水路内と第1開閉弁34内と蒸気噴出ノズル17内を含む)には未だ蒸気が存在していて該第1管路P1の内圧は高いため、遅延時間が経過した直後に蒸気噴出ノズル17を加熱後スープSOから引き抜くときと、ノズル引き抜き時に蒸気噴出ノズル17から残存の蒸気等が噴き出し、該噴出圧力によって加熱後スープSOが飛散してカップ26や周囲機器等を汚してしまう。
【0043】
そのため、前記ステップST12において加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜く前に第2開閉弁35を開いて第2管路P2を第1管路P1と連通させることによって、図6に矢印で示すように、第1管路P1内(蒸気生成器15の通水路内と第1開閉弁34内と蒸気噴出ノズル17内を含む)に残存する蒸気を第2管路P2に導いて第1管路P1の内圧を低減させる処理を行う。第2開閉弁35の開放によって第2管路P2に導かれた蒸気は該第2管路P2及び第2開閉弁35を通じてシスターン12に戻されて再利用される。
【0044】
内圧低減後の第1管路P1の内圧は大気圧と同じか大気圧よりも僅かに大きな圧力となり、蒸気生成が完全に停止する時間まで放置しない限りは大気圧よりも低くなることはないため、蒸気噴出ノズル17内に加熱後スープSOが吸い込まれることはない。
【0045】
第2開閉弁35を開いた後は、図7に矢印で示すように、蒸気噴出ノズル用昇降機構18のスライダ18dが上昇して蒸気噴出ノズル17の下部がカップ26内の加熱後スープSOから引き抜かれる(図8のステップST13参照)。蒸気噴出ノズル17の加熱後スープSOからの引き抜きはモータ18hの動作によって無端ベルト18gを動かして位置センサS12の検出信号に基づいてモータ18hを停止させることによって行われる。
【0046】
蒸気噴出ノズル17の加熱後スープSOからの引き抜きが完了した後は、第1開閉弁34を閉じると共に、第3開閉弁36を開けて第4管路P4を第3管路P3と連通させる(図8のステップST14,ST15参照)。
【0047】
以上により一連の調合及び加熱動作を終了するが、第3ポンプ29を停止しても第3管路P3における第3ポンプ29の下流側(流量調整弁33内と蒸気生成器15の通水路内を含む)には水が残存していて、該残存水には汚損や雑菌繁殖の恐れがあるため衛生上で好ましいとは言えない。
【0048】
そのため、前記ステップST15では加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜いた後に第3開閉弁36を開けて第4管路P4を第3管路P3と連通させることによって、図7に示すように、第3管路P3内における第3ポンプ29の下流側に存する水を第4管路P4に導いてシスターン12に戻す水抜き処理を行う。シスターン12に戻された水は前記残存蒸気と同様に再利用される。
【0049】
前述の液状食品加熱装置では、加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜く前に第2開閉弁35を開けて第1管路P1内(蒸気生成器15の通水路内と第1開閉弁34内と蒸気噴出ノズル17内を含む)に存する蒸気を第2管路P2に導いて第1管路P1の内圧を低減させることができるので、加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜いた後に第1開閉弁34を閉じる場合でもノズル引き抜き時に蒸気噴出ノズル17から残存の蒸気等が噴き出すことを確実に防止して、該噴出を原因とした加熱後スープSOの飛散及びカップ26や周囲機器等の汚損を回避することができる。
【0050】
また、第2管路P2の一端は第1管路P1の第1開閉弁34の上流側に接続されているので、加熱時間経過後も蒸気生成器15で継続的に生成される蒸気を効果的に第2管路P2に導いて第1管路P1の内圧低減を的確に行うことができる。
【0051】
さらに、加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜くときの第1管路P1の内圧は大気圧と同じか大気圧よりも僅かに大きな圧力となり、蒸気生成が完全に停止する時間まで放置しない限りは大気圧よりも低くなることはないため、蒸気噴出ノズル17内に加熱後スープSOが吸い込まれて該蒸気噴出ノズル17の内部が汚れてしまうこともない。
【0052】
さらに、第2管路P2の他端は蒸気用水を貯留するシスターン12に接続されているので、第2開閉弁35の開放によって第2管路P2に導かれた蒸気を該第2管路P2及び第2開閉弁35を通じてシスターン12に戻して再利用することができる。
【0053】
さらに、所定の加熱時間が経過した後は所定の遅延時間が経過するのを待って第2開閉弁35を開けるようにしているので、該遅延時間を利用して蒸気生成器15における蒸気生成量をある程度減少させて、蒸気生成量が減少してから第2開閉弁35を開けることによって前記の内圧低減を瞬時に行うことができる。
【0054】
さらに、加熱後スープSOから蒸気噴出ノズル17を引き抜いた後に第3開閉弁36を開けて第3管路P4内のポンプ29の下流側に存する水を第4管路P4に導いて水抜きを行うことができるので、第3ポンプ29を停止した後に第3管路P3における第3ポンプ29の下流側(流量調整弁33内と蒸気生成器15の通水路内を含む)に水が残存することを防止して、該水残存を原因とした汚損や雑菌繁殖の恐れを回避することができる。
【0055】
さらに、第4管路P4の他端は蒸気用水を貯留するシスターン12に接続されているので、第3開閉弁36の開放によって第4管路P4に導かれた水を該第4管路P4及び第3開閉弁36を通じてシスターン12に戻して再利用することができる。
【0056】
尚、前述の実施形態では、第2管路P2の一端を第1管路P1における第1開閉弁の上流側に接続したものを示したが、第2管路P2の一端を第1管路P1における第1開閉弁の下流側に接続しても前記同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
また、前述の実施形態では、第2管路P2による蒸気の戻し先と第4管路P4による水の戻し先を何れもシスターン12としたが、同様の水貯留部である水タンク11を両方の戻し先となるように管路接続形態を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態を示す液状食品加熱装置の構成図である。
【図2】図1に示した液状食品加熱装置の回路図である。
【図3】図1に示した液状食品加熱装置の動作説明図である。
【図4】図1に示した液状食品加熱装置の動作説明図である。
【図5】図1に示した液状食品加熱装置の動作説明図である。
【図6】図1に示した液状食品加熱装置の動作説明図である。
【図7】図1に示した液状食品加熱装置の動作説明図である。
【図8】図1に示した液状食品加熱装置で実行される液状食品加熱のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
12…シスターン、15…蒸気生成器、17…蒸気噴出ノズル、SO…スープ(液状食品)、P1…第1管路、34…第1開閉弁、P2…第2管路、35…第2開閉弁、P3…第3管路、29…第3ポンプ、P4…第4管路、36…第3開閉弁、51…主制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して蒸気を生成する蒸気生成器と、蒸気生成器の出口に一端を接続された第1管路と、第1管路の他端に接続された蒸気噴出用のノズルと、第1管路の途中に介装された第1開閉弁とを備え、液状食品にノズルを挿入した後に第1開閉弁を開けて蒸気生成器で生成された蒸気を第1管路を通じてノズルに送り込むことにより該ノズルから噴出される蒸気によって液状食品を加熱する液状食品加熱装置において、
第1管路に一端を接続された第2管路と、
第2管路の途中に介装された第2開閉弁と、
加熱された液状食品からノズルを引き抜く前に第2開閉弁を開けて第1管路内及び第1開閉弁内に存する蒸気を第2管路に導いて第1管路の内圧を低減させる第1動作制御手段と、
第2開閉弁を開けた後に加熱された液状食品からノズルを引き抜く第2動作制御手段と、
加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に第1開閉弁を閉じる第3動作制御手段とを備える、
ことを特徴とする液状食品加熱装置。
【請求項2】
第2管路の一端は第1管路の第1開閉弁の上流側に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液状食品加熱装置。
【請求項3】
加熱された液状食品からノズルを引き抜くときの第1管路の内圧は大気圧と同じか大気圧よりも僅かに大きな圧力である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液状食品加熱装置。
【請求項4】
第2管路の他端は水貯留部に接続されていて、第1管路から第2管路に導かれた蒸気は水貯留部に戻される、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液状食品加熱装置。
【請求項5】
水貯留部に一端を接続され蒸気生成器の入口に他端を接続された第3管路と、
第3管路に介装された給水用のポンプと、
液状食品にノズルを挿入した後にポンプを動作させ第2開閉弁を開ける前にポンプを停止させる第4動作制御手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液状食品加熱装置。
【請求項6】
第3管路のポンプの下流側に一端を接続された第4管路と、
第4管路に介装された第3開閉弁と、
加熱された液状食品からノズルを引き抜いた後に第3開閉弁を開けて第3管路内に存する水を第4管路に導いて水抜きを行う第4動作制御手段とを備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の液状食品加熱装置。
【請求項7】
第4管路の他端は水貯留部に接続されていて、第3管路から第4管路に導かれた水は水貯留部に戻される、
ことを特徴とする請求項6に記載の液状食品加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−229063(P2007−229063A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52015(P2006−52015)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】