説明

液面検出及び/又は気泡検出を統合したピペット装置

【課題】液体の吸引及び分配のためのピペット装置を提案する。
【解決手段】 圧力センサ(12)を有する圧力変換器(11)がガス充満スペース(15)に取り付けられた流体スペース(7)を備えたピペット装置(1)であって、前記流体スペース(7)は、ピペットチップ(2)と、前記ピペットチップ(2)をポンプ(4)に接続する第1チューブ(5)と、前記ポンプ(4)の動作部(6)とによって画成され、前記ピペット装置(1)は、前記流体スペース(7)内のシステム液体(8)のカラム(10)と作用的に接触しているインパルス生成手段(16、18、19)をさらに備え、前記インパルス生成手段(16、18、19)は、このシステム液体カラム10に垂直変動を導くように設計され、それによって、流体スペース(7)と空圧的に接続されたガス充満スペースにおいて圧力変動を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サンプル等の液体の、吸引(又は摂取)及び分配(又は配送)のためのピペット装置に関する。このタイプのピペット装置は、ピペット開口部(orifice)とポンプを有するピペットチップからなる。ピペットチップは、通常、第1チューブでポンプに接続される。ポンプの動作部分、第1チューブ及びピペットチップによって、流体スペースが画成される。実質的に連続的なシステム液体カラム(system liquid column)の端部において流体スペースにメニスカス(meniscus)が形成されるように、この流体スペースには、システム液体が少なくとも部分的に満たされる。ピペット装置は、圧力センサを有する圧力変換器と、圧力変換器から受けたデータを処理するように設計された第1データ処理ユニットとを備える。圧力変換器は、接続サイトを介して流体スペースに接続される。また、本発明は、そのようなピペット装置でピペットされる液面を見つける方法に関する。さらに、本発明は、そのようなピペット装置のシステム液体における気泡の存在を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬学研究及び臨床検査薬等の生化学応用産業では、液体ボリューム及び液体サンプルを取り扱うシステムが必要とされている。自動システムは、通常、作業台に置かれた液体コンテナ上で動作する1台以上のピペット装置からなる。そのようなシステムでは、多くの場合、光学的測定、ピペッティング、洗浄、遠心分離、培養、及びろ過等の、液体又はサンプル上で動作させることができる。デカルト又は極型(polar style)ロボット等の1台以上のロボットをそのような作業台上で動作させるように使用してもよい。これらのロボットによって、サンプルチューブ又はマイクロプレート等の液体コンテナを運ぶことができる。また、ロボットは、液体を吸引及び分配するピペッタ等の自動サンプルプロセッサ(RSP)、又は、液体を搬送するディスペンサ等として動作させることができる。通常は、集中管理システム又はコンピュータによって、これらのシステムをコントロールする。このようなシステムの第一の利点は、完全ハンズフリーオペレーションである。それによって、これらのシステムは、人間が介入することなく数時間又は数日にわたって動作させることができる。
【0003】
米国特許第5,723,795号と同様に、米国特許第4,675,301号及び米国特許第4,794,085号によって、モータで動作するポンプとピペット開口部のあるピペットチップとを有する典型的なピペット装置が知られている。ピペットチップはチューブによってポンプに接続される。このピペット装置は、接続サイトでチューブに流動可能に接続された圧力変換器をさらに備える。ポンプのモータドライブと圧力変換器とは、ポンプの駆動をモニタすると共に、圧力変換器から受け取ったデータを処理するデータ処理ユニットに電気的に接続される。米国特許第4,675,301号及び米国特許第4,794,085では、ポンプ、チューブ、及びピペットチップは、ガスで完全に満たされると記載されている。このアプローチの欠点の1つは、圧力変動の検出感度及び正確さに悪影響を与えるか、あるいは支障を来たすガスの圧縮性である。
【0004】
米国特許第5,723,795号によれば、同じ流体スペースはシステム液体で完全に満たされる。このアプローチの欠点には、圧力センサがシステム液体のコンポーネントによって覆われる可能性を含む。さらに、液体で満たされたチューブを動かすこと(例えば、ロボットによって所望のピペット位置で液面を下方に移動させる場合)によって、チューブ内の液体の慣性による見せかけの圧力信号を生じることがある。これらの信号は、移動の間、圧力センサの信号を使えなくするほど十分に大きい場合があり、信号が再び使えるようになるまで、見せかけの信号が消えるように移動の後に休止を必要とする。さらに、システム液体によって、センサにおけるメカニズム及び構造からの全ての機械的ノイズ又は振動は水圧的に連結されている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,723,795号
【特許文献2】米国特許第4,675,301号
【特許文献3】米国特許第4,794,085号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の第1の目的は、液体の吸引及び分配のためのピペット装置を提案することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、ピペット装置で採取する液体の液面を検出する別の方法を提案することである。
【0008】
本発明の第3の目的は、ピペット装置のシステム液体における気泡の存在を検出する別の方法を提案することである。
【0009】
これらの目的及びさらに別の目的は、独立形式請求項に記載の発明によって解決することができる。従属請求項によって、本発明の有利な改良と追加の特徴が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の目的は、ピペット開口部を有するピペットチップとポンプとを備えたピペット装置によって達成される。ピペットチップは、第1チューブによってポンプに接続される。実質的に連続的なシステム液体カラムの端部の流体スペースでメニスカスが形成されるように、ポンプの作動部、第1チューブ及びピペットチップによって、システム液体で少なくとも部分的に満たされた流体スペースを画成する。ピペット装置は、さらに圧力センサを有する圧力変換器を備え、好ましくは、圧力変換器から受け取ったデータを処理するように設計されたデータ処理ユニットをさらに備えてもよい。圧力変換器は、接続サイトを介して流体スペースに接続される。本発明によるピペット装置1は、流体スペース中のシステム液体のカラムと動作可能に接触しているインパルス生成手段をさらに備えたことを特徴とする。インパルス生成手段は、このシステム液体カラムにおける垂直方向の変動を導き、それによって流体スペースと空圧接続されガス充満スペースにおいて圧力変動を生じる。
【0011】
ピペット装置の第1の好ましい実施の形態では、圧力変換器で記録され、第1データ処理ユニットによって処理された圧力変動によって、液面がピペット開口部に侵入したか、あるいは離れたかについて示す。
【0012】
ピペット装置の第2の好ましい実施の形態では、圧力変換器で記録され、第1データ処理ユニットによって処理された圧力変動によって、流体スペースに含まれるシステム液体において、気泡が存在するか否かを示す。
【0013】
上記第2の目的は、採取される液面を検出する方法によって達成でき、この方法は第1の実施の形態によるピペット装置によって実施される。本発明による方法は、
(a)流体スペース(7)をシステム液体(8)で少なくとも部分的に満たし、流体スペース(7)内に実質的に連続的なシステム液体カラム(10)を形成するステップと、
(b)システム液体カラム(10)と作用的に接触したインパルス生成手段(16、18、19)によって、このシステム液体カラムにおいて垂直変動を導き、それによって、流体スペース(7)に空圧的に接続されガス充満スペースにおいて圧力変動を引き起こすステップと、
(c)ガス充満スペース(15)における圧力変動を圧力変換器(11)で記録し、記録されたデータを第1データ処理ユニット(13)で処理するステップと、
(d)処理されたデータに従って、液面(17)がピペットチップ(2)の開口部(3)に侵入したか、あるいは離れたかを決定するステップと
を含む。
【0014】
第3の目的は、ピペット装置のシステム液体における気泡の存在を検出する方法によって達成され、この方法は、上記第2の好ましい実施の形態によるピペット装置で実施される。この発明による方法は、
(a)流体スペースをシステム液体で少なくとも部分的に満たし、流体スペース内に実質的に連続的なシステム液体カラムを形成するステップと、
(b)システム液体カラムと作用的に接触したインパルス生成手段によって、このシステム液体カラムにおける垂直変動を導き、それによって、流体スペースと空圧的に接触したガス充満スペースにおいて圧力変動を引き起こすステップと、
(c)ガス充満スペースにおける圧力変動を圧力変換器で記録し、記録したデータを第1データ処理ユニットで処理するステップと、
(d)処理されたデータに従って流体スペース内にあるシステム液体に気泡があるかどうかを決定するステップと
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点は以下の通りである。
システム液体を動かすためのポンプの作動部分(例えばピストン)は、圧縮できないシステム液体カラムと直接的に接触している。このように、ポンプの作動面は、ポンプからチューブ又はピペットチップまで動かされ、例えば圧力変換器の近くに動かされる。
圧力変換器のセンサは乾燥しており、システム液体から生じる堆積物を受けない。
システムから圧力センサへの機械的振動の液体伝導は、圧力センサの前方のガスが満たされたスペースのダンピング効果によって限定される。
スペースを満たすガスがダンパとして働くので、本発明の装置を備えるピペットロボットの突然の動きでさえ圧力変換器のセンサ信号を邪魔しない。そのため、ロボットが動いている間のシステム液体の慣性から生じるみせかけの圧力信号は除去される。
圧力変換器の周辺のガススペースがあまりに小さいので、最小限の圧縮可能な媒体によってシステム液体を採取するサンプル液体から分離する。
非伝導性液体と同様に電気伝導性液体上の液面検出器(LLD)も実現できる。
本発明によるLLDに、容量性のLLD等の他のLLD技術を同時に追加することによって、液面検出の安全性を高めることができる。
本発明によるピペット装置は、例えば、容量性技術又は伝導性技術とは異なり、ガスで満たされた気泡と真の液体メニスカスとを区別する能力がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明によるデバイス及び/又は本発明による方法は、概略的及び具体的な図面によってより詳細に説明されるが、これらの図面は本発明の範囲を制限するものではない。
【0017】
図1は、チューブにメニスカスを有するピペット装置の第1の変形の垂直断面図である。このピペット装置1は、ピペット開口部3を有するピペットチップ2とポンプ4とを備える。周知のように、従来のピペットチップを1回使い捨てのチップとして、あるいは再利用可能なチップとして使用してもよい。ポンプは、「CAVRO XP3000プラス・モジュラーデジタルポンプ」(テカン・システムズ社(Tecan Systems Inc.)、2450 ザンカーロード(Zanker Road)、サンノゼ、カリフォルニア州95138、米国)のようなピストンポンプであってもよく、あるいは米国特許第5,638,986号で知られているものと同様のベローズポンプ(bellows pump)であってもよい。
【0018】
ピペットチップ2は、第1チューブ5を介してポンプ4に接続される。ポンプ4の作動部6は、好ましくはピストン又はベローズとして具体化され、この作動部6と第1チューブ5とピペットチップ2とによって、少なくとも部分的にシステム液体8で満たされた流体スペース7を画成する。このようにシステム液体で満たすことによって、実質的に連続的なシステム液体カラム10の端部の流体スペース7にメニスカス9が形成される。図1では、メニスカス9は、第1チューブ5の内部であって、ピペットチップ2の外側に示されている。
【0019】
さらに、ピペット装置1は、圧力センサ12を有する圧力変換器11を備え、また、好ましくは第1データ処理ユニット13を備える。データ処理ユニット13は、圧力変換器11から受け取ったデータを処理するように設計される。
【0020】
圧力変換器11は、接続サイト14を介して流体スペース7に接続される。この接続サイト14は、流体スペース7と空圧的に接続され、ガス充満スペース15を有する。ここでは圧力センサ12は本質的に第1チューブ5と同調しているので、圧力センサ12によってガス充満スペース15を限定する。ガス充満スペース15は、空気又は窒素N等の化学的に不活性なガスで満たすことが好ましい。
【0021】
ピペット装置1は、インパルス生成手段16、18、19を備え、インパルス生成手段16、18、19は、電気的にコントロールされ、流体スペース7内のシステム液体カラム10と作用的に接触し、このシステム液体カラム10内に垂直変動を導くように設計され、その結果、ガス充満スペース内に圧力変動をもたらす。
【0022】
ガス充満スペース15における圧力変動を利用する2つの主要な用途がある。
【0023】
(A)圧力変換器11で記録され、第1データ処理ユニット13によって処理された圧力変動によって、液面17がピペット開口部3に侵入したか、あるいは離れたかを示す。このように、ガス充満スペース15における圧力変動の検出及び解釈は、採取される液体の液面を検出するために使用できる。この圧力モニタ液面検出器(pLLD)は、吸引され分配される液体の電気伝導率から独立している。
【0024】
(B)圧力変換器11で記録され、第1データ処理ユニット13によって処理された圧力変動によって、流体スペース7に含まれるシステム液体8において気泡が存在するか否かを示す。
【0025】
まず、ガス充満スペース15における圧力変動の第1の主要な用途である、採取される液体の液面検出の観点で、このような相互の動きが導かれることについて説明する。本発明との関連で、「液面(liquid level)17」、「液面(liquid surface)」、及び「液体(サンプル液体又は他の液体)と周囲の雰囲気との間の相境界(phase border)」の用語は、同義語として扱われ、理解される。
【0026】
第1の変形例のピペット装置を示す図1からわかるように、システム液体カラム10のメニスカス9は、第1チューブ内に配置することが好ましい。このケースでは、ガス充満スペース15は、ピペットチップ2の本質的部分31と、チューブ5の本質的部分32である。この変形例では、接続サイト14は、ピペットチップ2(図4参照)の壁又は第1チューブ5(図1参照)の壁に配置してもよい。ここで接続サイト14は、ピペット開口部3とメニスカス9との間に配置され、圧力変換器11は、ガスで満たされた流体スペース7の部分33に対して開放された接続サイト14に直接取り付けられている。ピペットチップ2は、例えば、単一及び複数のピペット針と同様に、使い捨て可能な単一のピペットチップ使い捨て可能な複数のピペットチップとを含むグループから選択される。
【0027】
この第1の実施の形態の利点は、例えば、自動化サンプル処理装置(図示せず)における多数(例えば8又は12の)ピペッタを並列に配置できるシンプルな構成である。ただ1つのピペッタチャネルをロボットアーム(図示せず)に合わせた場合には、圧力変換器11で記録されたデータを第1データ処理ユニット13によって処理するには十分であるかもしれない。ポンプのドライブ22のコントロールは、手動で行ってもよい。
【0028】
しかし、自動化ピペッタ又は多数の自動化ピペッタを実験室のワークステーション(図示せず)のロボットアームに配置した場合には、ガス充満スペース15における圧力変動に従って、このモータドライブ22をモニタするために、第2データ処理ユニット21をポンプ4のモータドライブ22と第1データ処理ユニット13とに接続することが好ましい。このガス充満スペース15における圧力変動は、圧力変換器11によって記録され、第1データ処理ユニット13によって処理される。全てのピペッタは、実験室のワークステーションの中央計算機である第2データ処理ユニット21でコントロールできる。図2は、チューブに配置されたメニスカスを持つピペット装置の第2の変形例の垂直断面図である。図1の第1の変形例とは対照的に、ここでは第1チューブ5は使い捨てピペットチップ用のアダプタ23を備える。また、第1チューブ5は、内側チューブ24と外側チューブ25とを備える。外側チューブ25は、接続サイト14を備える。内側チューブと外側チューブとは、互いに同軸的に延在し、それぞれの間に第1の同軸のガススペース26を画成する。この第1の同軸のガススペース26は、アダプタ23に固定された使い捨てピペットチップ内に配置された第2の同軸のガススペース27と空圧的に接続される。
【0029】
この第2の実施の形態の利点は、システム液体8とピペットチップ2内のサンプル液体とを完全に分離することである。この好ましい構成によって、システム液体とサンプル液体との混合を避けることができる。また、ガス充満スペース15における圧力変動に従って、このモータドライブ22をモニタするために、第2データ処理ユニット21をポンプ4のモータドライブ22と第1データ処理ユニット13とに接続することが好ましい。このガス充満スペース15における圧力変動は、圧力変換器11によって記録され、第1データ処理ユニット13によって処理される。全てのピペッタチャネルは、個々のピペッタに統合された第2データ処理ユニット21で個々にコントロールできる。実験室のワークステーションの中央コンピュータによって、全てのピペッタチャネルを同期させることができる。
【0030】
内側チューブ24は、第1の実施の形態において、ポンプ4から第2の同軸のガススペース27まで達する第1チューブ5の単一のプラスチック部分を構成する連続チューブとして実現できる。この実施の形態では、シンプルな構成の利点と、第1チューブ5の全体に沿って全く滑らかな表面を有するという利点がある。しかし、チューブの柔軟性を減らすために、このような第1チューブの直径を相対的に小さくする必要がある。第2の実施の形態では、内側チューブ24は、第1チューブ5に接続され、ポンプ4に導く、非弾性の、固いチューブ5’として実現できる。内側チューブ24’は、第2同軸ガススペース27に直接に達する。
【0031】
両方のケースで、使い捨て可能なピペットチップ用のアダプタ23は、内側に少なくとも3つの距離ガイド36を有し、これらの距離ガイド36によって内側チューブ24、24’の中央の位置を外側チューブ25に同軸に固定する。これらの距離ガイド36は、互いに距離を空けて配置され、それによって、ガス(及び、ガスの圧力変動)も容易に第1同軸ガススペース26から第2同軸ガススペース27へ通る。
【0032】
また、ピペットチップの容量より多い容量のためのディスペンサとして機能するために(特に、固定されたチップを使う場合)、図2のピペット装置1は、第1チューブ5をピペットチップ2及び第2チューブ29に導き、液体容器30に導かれる3ウエイバルブ28を有するポンプ4を備える。この配置では、液体容器30に蓄えられた大量のサンプル液体をポンプで第1チューブ5内に注入し、ピペット装置1の適当な場所に分配される。また、このケースでは、ピペット装置1は完全にディスペンサとして使用され、接続サイト14と分配する液体とが接触する可能性はない。それによって、圧力変換器11での圧力モニタが保証される。圧力変換器11の外側チューブ25との簡易な接続を実現するために、ガス充満スペース15を含む追加のチューブ34によって、センサ12を接続サイト14に接続する。
【0033】
また、図2で示されるように、液体容器30がシステム液体8の貯蔵用に利用できる。これによって、チューブ5、29全体とピペットチップ2とをシステム液体8で3ウエイバルブ28を介してフラッシュできる。
【0034】
図3は、ピペットチップに配置されたメニスカスを有するピペット装置の第3の変形例の垂直断面図である。この変形例は、ガス充満スペース15は、追加のチューブ34におけるボリュームとして画成され、追加のチューブ34によってセンサ12を接続サイト14に接続し、追加のチューブ34はフレキシブルメンブラン35によって流体スペース7からシールされるということで特徴づけられる。ピペット装置1のレイアウトによれば、流体スペース7全体を実質的に連続的なシステム液体カラム10で満たすことができる。ガス充満スペース15によって圧力センサ12を乾燥状態に保っているので、圧力センサ12をシステム液体8のコンポーネントで覆うことができない。このガスが満たされたスペース15は、最小限のエクステンションであるので、フレキシブルメンブラン35と圧力センサ12との間には単に薄いギャップがあるだけである。このピペット装置1では、所定量のサンプル液体8をサンプルの液体容器から吸引できる。このような容器としては、どんな種類のサンプルチューブ、マイクロプレート・ウエル、トラフ(trough)等の実験器具であってもよい。システム液体8とサンプル液体との間にエアギャップがあろうとなかろうと吸引できる。
【0035】
図4は、ピペットチップ内に配置されたメニスカスを有するピペット装置の第4の変形例の垂直断面図である。このピペット装置1は、第1の変形例(図1参照)に従うものと同様である。しかし、図4に示すように、これらの変形例の間には特徴的な違いがある。
(1)ピペットチップ2を第1チューブ5に接続する使い捨てピペットチップ用のアダプタ23がある。
(2)接続サイト14は、チューブ5に適合しておらず、ピペットチップ2(図示)又はアダプタ23に配置してもよい。
(3)圧力センサ12を有する圧力変換器11は、ガス充満スペース15を有する追加のチューブ34によって、ピペットのガスを満たす本質的な部分に接続される。
(4)圧縮部材19は、第1チューブ5内に統合されている。この圧縮部材19は、チューブ5の一部として存在してもよく(図4及び8B参照)、あるいは、圧縮部材19はチューブ5の外側に配置してもよく(図9Aを見る)、圧縮部材19はチューブ5との親密コンタクトを有する。この圧縮部材は、電気的にコントロールされたインパルス生成手段16であって、好ましくはチューブ形状の圧電性アクチュエータ20として実現される。
【0036】
ここで、特に電気的にコントロールされたインパルス生成手段16は、必ずしも上記(4)から導かれるように物理的にポンプと接続される必要はないことを明らかにしておく。しかし、インパルス生成手段16とポンプ動作とを同期させることが好ましい。
【0037】
ピペットチップへの圧力変換器11を取り付けることの別例の方法を、図1の第1の変形例と図4の第4の変形例とを比較する場合について、図5に示した。第1チューブ5がアダプタ23を貫いているので、使い捨てピペットチップ用アダプタ23によって、ピペットチップ2を第1チューブ5に接続する。さらにまた、追加のチューブ34はシールプラグとして実現されるアダプタ23も貫いている。圧力センサ12を有する圧力変換器11は、追加のチューブ34に接続される。システム液体8のメニスカス9(図示せず)は、第1チューブ5内に配置され、それによって、ピペットチップは、ガス充満スペース15として機能し、ピペットチップは、追加のチューブ34によって広げられ、圧力センサ12及び採取されるサンプル液体の液面17と接する空のピペットチップ2の開口部3によって制限される。図1で示されるように、圧力センサ12とサンプル液体又はシステム液体との間で適当なメンブランがない。図3及び4で示すように、圧力変換器11は、圧力センサ12を統合した集積回路チップとして実現でき、それによって、第1チューブ5の外側ではわずかな圧縮ボリュームが必要となるだけであり、図1−5に示す少なくとも1つのピペット装置を備えた、マルチピペッタ型液体取り扱いシステムの好ましい圧縮のために有利となる。このようなマルチピペッタは、これらのピペット装置1の8台又は12台からなることが好ましい。このような液体取り扱いシステムは、さらに液体取り扱いロボットと制御ユニット(図示せず)からなることが好ましい。
【0038】
本発明によるピペット装置1のガス充満スペース15において圧力変動を導く多くの方法がある。シンプルな実施の形態としては、液体取り扱いワークステーションのZドライブの振動である。これらの垂直の振動によって、第1チューブ5の内側のシステム液体8のカラム10を振動させ、その結果、圧力センサ12の前方のガス充満スペース15において所望の圧力変動又は圧力振動が得られる。また、チューブをたたくことも同様の効果が得られるかもしれない。そのような実施の形態では、所望のパフォーマンスを達成するために自動化ピペットアームの垂直変動のコントロールがほとんど必要ないか、あるいはわずかな変化のコントロールしか必要でないという利点がある。しかし、そのような実施の形態では、再現性(たたくこと)の欠如という欠点を伴い、また、Zドライブでの振動によって装置の寿命に支障を来たす場合があり、あるいはまた、そのような振動は、研究室の人によって感知される場合がある。
【0039】
圧力センサ12の前方のガス充満スペース15において、圧力変動又は圧力振動がどのように生じるかに応じて、多くの好ましい圧力変動が可能であり、その選択枝を図6に示した。そこで、ピペット装置1の流体スペース内のシステム液体カラムの選択された垂直変動の概要が時間基準の図に記載されている。このような動きとしては、連続的な(図6のA)及び不連続の(図6のB)双方向振動がある。どちらも様々な多数の振動のペンデュラス(pendulous)で示している。また、そのような動きは、単一(図6のC)及び反復(図6のD)の双方向パルスからなる。どちらも単一のペンデュラス(pendulous)振動を表す。シリーズは、異なる長さであってもよい。そのような圧力変動を引き起こすことができる方法としては、液体カラム10を往復させて動かすことができる作動部材を使用することである。そのような作動部材は、ポンプピストン(図1−3参照)、ポンプベローズ(図示せず)、及び圧縮部材19(図4参照)を備える。追加の往復運動する部材を図9で示した。
【0040】
また、そのような動きは、多数のシングル下向きステップ変動(図6のE)又はシングル上向きステップ変動(図6のF)の形式の液体カラム10のステップ状の一定方向の下方又は上方の変動を含む。そのような動きは、少ない反復されたシングル下向き(図6のG)又はシングル上向き(図6のH)のステップ変動のシリーズの形式である、液体カラム10のステップ状の一方向下向き又は上向き変動を含む。そのような圧力変動を引き起こすことができる方法としては、一方向に液体カラム10を動かすことができる作動部材を使用することである。そのような作動部材は、ポンプピストン(18、図1-3参照)、ポンプベローズ(図示せず)を備える。好ましくは、ステップは、吸引ステップである。そのような圧力変動を引き起こすことができる方法は、三角状又は鋸歯状の波形を利用することである。
【0041】
また、これらの動きのどのような組み合わせも適用できる。図6のE〜6Hでは、例えば、液体カラムの上昇(advancing)は、常に液体カラムのリトラクション(retraction)によって続くので、圧力変動を引き起こすことができる。しかし、上昇が速く実行され(グラフの垂直な太い線)、リトラクションはゆっくり行われる(グラフの傾いた細い線)。短い静止時間(グラフの太い水平線)を速い変動に先行させることが好ましい。
【0042】
本発明によるピペット装置1のガス充満スペース15において圧力変動を導くことは、ピストン(18)又はポンプのベローズによって行うことができる。図7は、ピストン18の作動面に圧電性アクチュエータ20を有するピストン型ポンプの垂直断面図である。吸引又は分配について、ピストン18は従来どおりに動く(図7A)。ピペット装置1のガス充満スペース15において圧力変動を導くために、アクティブな圧電性メンブラン20が用いられる(図7B)。図8は、チューブの一部である圧電性アクチュエータを有するピストン型ポンプの垂直断面図である。吸引又は分配について、ピストン18は従来どおりに動く(図8A)。ピペット装置1のガス充満スペース15において圧力変動を導くために、圧電性チューブ20によって圧縮が行われる(図8B)。図6A−6Dに示すように、図7及び図8によるインパルス生成手段を主に反復変動のために利用できる。
【0043】
図9は、ポンプとは別の、また、ガス充満スペース15において圧力変動を導くために利用できる別例のインパルス生成手段を示す図である。
【0044】
図9Aは、電気機械の変形例を示す図である。第1チューブ5は、シリンダ37を介して導かれる。シリンダ37の内側では、ソレノイド39によって駆動され、ウエッジ40を搬送するピストン38は、第1チューブ5の閉じた面に対して本質的に垂直な方向に動く。この動きによって可逆的に第1チューブ5を変形させる。シリンダ37は、空気で満たすことが好ましい。ウエッジ40は、チューブ5を叩く際にそのチューブ5を切らないように、弾力性のあるプラスチック材料からなることが好ましい。固い底41によって、ピストン38に対して反対側のシリンダを閉じることが好ましい。また、ウェッジ(40)の代わりに、固体材料からなる他の幾何学的形状、例えばボール状及び平らあるいはカーブしたピストンも利用できる。
【0045】
図9Bは、第1の水圧式の変形例を示す図である。第1チューブ5は、シリンダ37の壁を通って導かれる。シリンダ37の中で、第1チューブ5が開放される。シリンダ37は、システム液体8(ピペッタについて)又はサンプル液体(ディスペンサについて)等で満たされる。ソレノイド39によって駆動されるピストン38は、第1チューブ5の開放部分に対して、本質的に垂直な方向に動く。この動きによって、チューブ5にある液体と同様にシリンダ37の液体に圧力波が導かれる。固い底41によって、ピストン38に対して反対側のシリンダを閉ざすことが好ましい。
【0046】
図9Cは、第2の水圧式の変形例を示す図である。第1チューブ5は、シリンダ37の壁を通って導かれる。シリンダ37の中で、第1チューブ5が開放される。シリンダは、システム液体8(ピペッタについて)又はサンプル液体(ディスペンサについて)等で満たされる。パッシブメンブラン42によって底41の反対側のシリンダ37を閉じる。それは圧電性スタック43によって駆動され、第1チューブ5の開放部分に対して本質的に垂直方向に動く。この動きによって、チューブ5にある液体と同様にシリンダ37の液体に圧力波が導かれる。固い底41によって、メンブラン42に対して反対側のシリンダを閉ざすことが好ましい。シリンダ37の容積は、切り取られたチューブ5の容積より大きいことが好ましい。しかし、それは図9A及び9Bに示された変形例より相当に小さくてもよい。別例の変形例(図示せず)では、メンブラン42は、アクティブ圧電性メンブランがあって、圧電性スタックが存在しない。メンブラン42の後面のシリンダは空気で満たすことが好ましい。
【0047】
図9Dは、第3の水圧式の変形例を示す図である。第1チューブ5は、シリンダ37の壁を通って導かれる。シリンダ37の中で、第1チューブ5が開放される。シリンダは、システム液体8(ピペッタについて)又はサンプル液体(ディスペンサについて)等で満たされる。パッシブメンブラン42によって、底41の反対側のシリンダ37を閉じる。メンブラン42の後面のシリンダを空気で満たすことが好ましい。メンブラン42は、ヒータ44で加熱された場合に空気の急な膨張によって駆動される。それによって、メンブラン42は、第1チューブ5の開放部分に対して本質的に垂直方向に部分的に動く。この動きによって、チューブ5にある液体と同様にシリンダ37の液体に圧力波が導かれる。固い底41によって、ピストン38に対して反対側のシリンダを閉ざすことが好ましい。シリンダ37の容積は、切り取られたチューブ5の容積より大きいことが好ましい。しかし、それは図9A及び9Bに示された変形例より相当に小さくてもよい。
【0048】
図9A−9Dによるインパルス生成手段は、図6A−6Dに示すような往復運動について主に利用できる。これらのインパルス生成手段は、第1チューブ5の一部(図9B−9D参照)であるか、又は、第1チューブ5について作用(図9A参照)している圧縮部材19とみなされる。
【0049】
本発明による、採取する液体の液面17を検出する方法は、ピペット装置1で実行される。このピペット装置1は、ピペット開口部3を有するピペットチップ2と、ポンプ4とを備える。ピペットチップ2は、第1チューブ5によってポンプ4に接続される。ポンプ4の作動部6、チューブ5、及びピペットチップ2によって、流体スペース7を画成する。ピペット装置1は、圧力センサ12を有する圧力変換器11をさらに備え、圧力変換器11から受け取ったデータを処理するように設計された第1データ処理ユニット13をさらに備えることが好ましい。圧力変換器11は、接続サイト14を介して流体スペース7に接続される。接続サイト14は、流体スペース7と空圧的に接続されており、圧力センサ12によって制限されるガス充満スペース15を備える。ガス充満スペース15は、空気又はN等の化学的に不活性なガスで満たされることが好ましい。ピペット装置1は、流体スペース7の中のシステム液体カラム10と作用的に接触し、電気的にコントロールされたインパルス生成手段16、18、19をさらに備えることが好ましい。
【0050】
創造性のある方法は、
(a)流体スペース7を少なくともシステム液体8で部分的に満たし、流体スペース7の中に実質的に連続的なシステム液体カラム10を形成するステップと、
(b)システム液体カラム10と作用的に接触するインパルス生成手段16,18,19によって、このシステム液体カラム10において垂直変動を導き、それによって、流体スペース7と空圧的に接続されたガス充満スペース15において圧力変動を引き起こすステップと、
(c)ガス充満スペース15における圧力変動を圧力変換器11で記録し、第1データ処理ユニット13で記録されたデータを処理するステップと、
(d)処理されたデータに従って、液面17がピペットチップ2の開口部4を貫いたかあるいは離れたかを決定するステップと
を含む。
【0051】
この圧力モニタ型液面検出器(pLLD)は、ピペット開口部4を液面17に向かって移動させる間に、上記ステップ(b)において、このシステム液体カラム10を不連続振動、単一のパルス振動、あるいは単一ステップ変動させることによって実行できる。また、液面検出は、ピペット開口部4を液面17に向かって移動させる間に、ステップ(b)でこのシステム液体カラム10を連続振動、反復パルス振動、あるいは反復ステップ変動させることによっても実行できる。液面17にむかって動かすことにより、液面17を貫くか、又は、離れる。
【0052】
第1の実施例(図10を参照)では、圧力モニタ型液面検出器(pLLD)用に自動サンプルプロセッサ(RSP)のZロッドの突飛な動きが用いられた。
【0053】
RSPのチャネルII、IV、VI、及びVIIIは、第1データ処理ユニット13に接続された圧力センサ12を備える。チャネルII、IV、VI、及びVIIIのそれぞれの希釈(dilutor)ポンプ4のプランジャ又はピストン18の動きをモニタし、記録するために、さらにリニア・ポテンシオメータを備える。2つの異なるスピードで切り替えてZロッドを動かす修正DCサーボファームウェアによってZ変動させることができる。データロガーの走査レートは、2000/秒であった。
【0054】
指示電圧は、圧力変換器11の信号増幅器のゲートで測定される。図10〜14における指示電圧は、圧力差に換算すると、0.02Vが1mbarに相当する。
【0055】
記録されたプロセスは、
i)使い捨てピペットチップ2に関する全てのアダプタ23をシステム液体8でフラッシングするステップと、
ii)10μlのトレーリング(trailing)・エアギャップを吸引するステップと、
iii)使い捨てピペットチップ2をピックアップ(200μl、標準、ろ過済み)するステップと、
iv)液体容器(トラフ)にわたって取り付けられた4台のピペット装置1を有するRSPのアームを変動させるステップと、
v)振動を開始するステップと、
vi)液面17に向かってのZ変動させるステップと
を含む。
【0056】
記録は、図10で示され、使い捨てピペットチップ2をピックアップし(50)、液面17を検出する(52)ことが明らかにわかる。
【0057】
第2の実施例(図11参照)では、ピペット装置1のポンプピストン18の振動を圧力モニタ型液面検出器(pLLD)用に利用している。
【0058】
ポンプピストン18をコントロールするために修正ファームウェアが使われ、Zロッド変動が標準だったこと以外は、装置及びプロセスは、第1の実施例と同様のものである。記録は、図11で示されており、使い捨てピペットチップ2をピックアップし(50)、空気中のピペットチップ2の振動を検出し(51)、液面17を貫いているピペットチップ2の振動を検出する(52)ことがはっきりとわかる。異なる振幅であることは、ピペットチップの実際の位置(空気/液体)を区別することに役立つ。ピストン変動は、図6Aで説明したものと同様である。指示電圧は、圧力変換器11の信号増幅器のゲートで測定される。ポンプピストン18の実際の動きは、+/−6ステップ(合計3000ピストンステップ変動の範囲内)。1000μlのピペットチップ2のポンプピストン振動を利用する場合、3ステップが1μlのシステム液体カラム10の変位量に相当する。ここでは、システム液体カラムを約+/−2μlについて振動させた。振動圧力測定によって、ピペットチップ2についてフィルタの有無を識別することができる。
【0059】
フィルタ処理ピペットチップを取り付けた場合、圧力振動測定(図11参照)はより小さい振幅となるが、圧力モニタ型液面検出器用には十分な特性である。
【0060】
第3の実施例(図12参照)では、図9Aによる修正ピンチバルブでの振動を圧力モニタ型液面検出器(pLLD)用に用いた。
【0061】
ポンプピストン18をコントロールするためのファームウェアと、Zロッド変動が標準だったことを除くと、装置及びプロセスは、第2の実施例と同様である。ピストンを振動させる代わりに、電磁弁を5Hzで振動させ、1000μlのピペットチップ2を用いた。記録は、図12で示されており、使い捨てピペットチップ2をピックアップし(50)、空気中のピペットチップ2の振動を検出し(51)、液面17を貫いているピペットチップの振動を検出する(52)ことがはっきりとわかる。異なる振幅及び特性であることは、ピペットチップの実際の位置(空気/液体)を区別することに役立つ。ピストン変動は、図8Aで説明したものと同様である。さらに、フィルタ処理ピペットチップが取り付けられた。動作周波数5Hz(1秒につき5ストロークのピンチバルブ)が1000μlの使い捨てピペットチップ2を有するpLLDのために良好な値であることが分かった。
【0062】
第4の実施例(図13参照)では、ピペット装置1のガス充満スペース15の圧力測定(pLLD)が、容量的液面検出器(cLLD)と組み合わせて行われた。
【0063】
チャネルIIは、標準のcLLDユニットを備え、RSPのチャネルIVは、本発明による圧力センサ12を備える。チャネルII及びIVのそれぞれの希釈(dilutor)ポンプ4のプランジャ又はピストン18の動きをモニタし、記録するために、ポンプは、さらにリニア・ポテンシオメータを備える。Zロッドの変動は、標準のファームウェアで実行された。ポンプピストン18は、1秒につき200ステップで定義された低速で液体を吸引するために駆動された。また、上述のように、利用されたピストンポンプは合計3000ピストン・ステップ変動を遂行できた。また、データロガーの走査レートは、2000/秒であった。
【0064】
記録プロセスは、
i)使い捨てピペットチップ2に関する全てのアダプタ23をシステム液体8でフラッシングするステップと、
ii)10μlのトレーリング・エアギャップを吸引するステップと、
iii)使い捨てピペットチップ2をピックアップ(200μl又は1000μl、フィルタの有無の標準)するステップと、
iv)液体容器(トラフ)にわたって取り付けられた2台のピペット装置1を有するRSPアームを変動させるステップと
を含む。
【0065】
チャネルIIのピペットチップ2において、チャネルIIのピペットチップでの液面17を二重に検出する安全モードを持つように、容量性LLDが2度遂行された。検出された液面17の高さ又はZレベルが第2データ処理ユニット21で保存され、ここでcLLD用にのみ使用されるチャネルIIのピペットチップは、水平方向のX及びYへの移動を除いて、垂直のZ値について引っ込められている。
【0066】
第一に、空気中のピペットチップ2での圧力測定だけが開始される(60)(図13参照)。チャネルIVのチップ2は、空気中にあるが(60)、以前に検出された液面に近く、チャネルIVのピペット装置1が取り付けられた自動サンプルプロセッサ(RSP)のZロッドによって、ゆっくりした吸引(200ポンプステップ/秒=66μl/秒)及びチップの下方への変動が開始される(61)。その時、圧力の変化は記録されなかった。そして、チャネルIVのピペットチップ2は、液面17に向かって液面を貫くまで動かされ(62)、直ちに液体の吸引が始まり、大きな圧力低下が記録された。この吸引についての時間は、200μlピペットチップについて40msであった。この後、ポンプピストン18は、完全終止まで引かれた(63)。このようにポンプピストン18を突然止め、従ってシステム液体カラム10も止まると、独特の圧力振動が認められた(64)。この振動は、ピペット装置1の流体スペース7にあるシステム液体カラム10の質量慣性モーメントによって生じる。
【0067】
チャネルIVのピペットチップ2は、30ステップまで縮まり(65)、希釈はゼロ位置に設定された。これは、以前に吸引された液体及び気体を処理する結果となる(66-67)。このような分配によって、ピペットチップ開口部3に気泡が生じる場合、気泡が壊れる時に明確な圧力ピークとして検出される(67)。ブレーキを掛ける液体フィルムのみがピペットチップ開口部3に形成される場合には、ピークの代わりにプラトーとして記録される(68)。図13で見られるように、どちらの現象もしばしば生じる。記録された圧力が、最初に記録されたレベル(60)とほぼ同じレベルにまで低下した場合(69)には、この分配によってピペットチップ2が完全に空になったことがわかる。また、ピペットチップ2が空である場合、ポンプピストンを止めても(70)ガス充満スペース15には何も圧力変動が生じない。これに続いて、RSPアームは使い捨てトレイに動いて、チャネルIVのピペットチップ2がそこに放出される。
【0068】
また、フィルタが有るか又は無しの標準のピペットチップを使って、同じ手順が実行され、非常に似通った結果が得られた。また、15ステップ/秒又は3μl/秒のより低速ピストンによっても同様の再現可能な結果が明らかになった。しかし、全ての処理スピードを増やすためには、より高いピストンスピードが好まれる。この手順を使うことによって、ピペットチップ開口部2が液面17に向かって近づくスピードは、pLLDに関して、20mm/秒又は40mm/秒であった(図13参照)。これは、標準的なcLLDについて利用されるおよそ60mm/秒の標準的な接近スピードに匹敵する。
【0069】
最初に指摘したように、図7、8、及び9A−9Dによるインパルス生成手段16は、図6A−6Dで記載したように、ピペット装置1の流体スペース7の中の液体カラム10の往復運動用に主に利用できる。そのような往復運動を導くことについて、ガス充満スペース15における圧力変動と、流体スペース7に含まれるシステム液体8における気泡の検出の第2の主な利用の観点でここに説明する。
【0070】
システム液体8において通常、気泡として存在するガス又は空気は、ピペット採取の精度について耐えられないくらいに影響する。しかし、そのようなガス気泡は、液体取り扱い用の自動サンプルプロセッサのオペレーターにとってしばしば目に見えない。一方では、これらの気泡は小さすぎるか、あるいは、隠れた位置で現われる。今日まで、拡張型の高価な重力測定の品質管理による場合にのみ、そのような気泡の存在及びその効果を検出することが可能であった。
【0071】
リキッドシステム、すなわち本発明によるピペット装置1の実質的に連続的なシステム液体カラム10は、実装された圧力変換器11と圧力センサ12(図14参照)でモニタされる独特の振動数を有する。正しく機能しているシステムでは、システム液体8には気泡がほとんどないか、あるいは全くない。これによって、システム液体カラム10が固くなり、高周波数で振動させることができる。システム液体カラム10を最初に変動させる際の周波数(61)と最後における周波数(63)は、同様である。そのため、吸引手順又は分配手順の開始と終わりで、システム液体カラム10の特有の振動数を、本発明のピペット装置1のガス充満スペース15において圧力センサ12で検出できる。吸引(63)の終わりのこの圧力振動と、図13のプランジャの完全終止(63)の後の圧力振動(64)とを比較すれば、その振動グラフの類似は明らかである。
【0072】
システム振動は、本発明による電気的にコントロールされているインパルス生成手段16で生成することが好ましく、このシステム振動は、システム液体8におけるガス又は空気の気泡の不存在(図15A参照)又は存在(図15B参照)と関連している。システム液体8の気泡の量が、なお合理的に正確なピペット採取ができる量であるかを決定するために、周波数限界を評価することができる。そこで、もはや重力測定の品質管理は必要ではない。図15Bからわかるように、システム液体8で気泡が存在することによって、システムは、減少した振動数を有するソフトなものになる。このように、図15Aで示されるような振動を有するシステムでは、重力測定の品質管理にパスできる。図15Bで示されるような振動を引き起こすシステムでは、その品質管理にパスできない。図15のグラフのより簡単な比較対照のために、同様の時間ウィンドウ(点線)を引いた。このグラフから見積もられるように、気泡の存在について示された振動周波数は、気泡がないシステムの振動数のおよそ半分でしかない。
【0073】
本発明によるピペット装置1のシステム液体8における気泡の存在を検出する方法は、
(a)流体スペース7を少なくともシステム液体8で部分的に満たし、流体スペース7内に実質的に連続的なシステム液体カラム10を形成するステップと、
(b)システム液体カラム10と作用的に接触するインパルス生成手段16,18,19によって、このシステム液体カラム10において垂直変動を導き、それによって、流体スペース7と空圧的に接続したガス充満スペース15において圧力変動を引き起こすステップと、
(c)ガス充満スペース15における圧力変動を圧力変換器11で記録し、記録されたデータを第1データ処理ユニット13で処理するステップと、
(d)処理されたデータに従って、流体スペース7のシステム液体8に気泡があるか否かを決定するステップと
を含む。
【0074】
この方法の利点は、以下の通りである。
・知られている重力測定の品質管理では、一時的な情報だけを提供していたが、この液体取り扱いシステムでは、パフォーマンスの品質の点で永久にコントロールできる。
・オンライン制御のために、システム液体8の気泡によって引き起こされたピペットエラーを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】チューブにメニスカスを有するピペット装置の第1の変形例を示す垂直断面図である。
【図2】チューブにメニスカスを有するピペット装置の第2の変形例を示す垂直断面図である。
【図3】ピペットチップにメニスカスを有するピペット装置の第3の変形例を示す垂直断面図である。
【図4】ピペットチップにメニスカスを有するピペット装置の第4の変形例の垂直断面図である。
【図5】図1の第1の変形例の別例を示す図である。
【図6】ピペット装置の流体スペース内のシステム液体カラムについて選択された垂直変動の概要を示す図であって、Aは、連続的な双方向の振動であり、Bは、不連続な双方向の振動であり、Cは、単一の双方向パルス変動であり、Dは、反復双方向のパルス変動であり、Eは単一の一定方向の下向きのステップ変動であり、Fは、単一の一定方向の上向きのステップ変動であり、Gは、反復一定方向の下向きのステップ変動であり、Hは、反復一定方向の上向きのステップ変動である。
【図7A】ピストンの作動面に圧電性アクチュエータを有するピストン型ポンプのプランジャの動きを示す垂直断面図である。
【図7B】ピストンの作動面に圧電性アクチュエータを有するピストン型ポンプの圧電性アクチュエータの動きを示す垂直断面図である。
【図8A】チューブの一部が圧電性アクチュエータであるピストン型ポンプのプランジャの動きを示す垂直断面図である。
【図8B】チューブの一部が圧電性アクチュエータであるピストン型ポンプの圧電性アクチュエータの動きを示す垂直断面図である。
【図9A】ポンプとは別の別例のインパルス生成手段(電気−機械変化型)を貫く部分断面図である。
【図9B】ポンプとは別の別例のインパルス生成手段(第1の水圧変化型)を貫く部分断面図である。
【図9C】ポンプとは別の別例のインパルス生成手段(第2の水圧変化型)を貫く部分断面図である。
【図9D】ポンプとは別の別例のインパルス生成手段(第3の水圧変化型)を貫く部分断面図である。
【図10】自動サンプルプロセッサのZロッドの突飛な動きを、圧力モニタ型液面検出器(pLLD)に用いた場合を示す図である。
【図11】ピペット装置のポンプピストンの振動を、圧力モニタ型液面検出器(pLLD)に用いた場合を示す図である。
【図12】修正ピンチバルブでの振動を図9Aに示すように、圧力モニタ型液面検出器(pLLD)に用いた場合を示す図である。
【図13】ピペット装置(pLLD)のガス充満スペースの圧力測定は、容量性液面検出器(cLLD)との組み合わせで行われることを示す図である。
【図14】ピペット装置の実質的に連続的なシステム液体カラムは、特有の振動数を有し、それは実装された圧力変換器及び圧力センサによってモニタできることを示す図である。
【図15A】好ましくは電気的にコントロールされたインパルス生成手段で生成したシステム振動であって、システム液体中のガス泡又は気泡の存在/不存在に関連し、ここではシステム液体中にガス泡又は気泡が存在しないことを示す図である。
【図15B】システム液体中にガス泡又は気泡が存在することを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサ(12)を有する圧力変換器(11)がガス充満スペース(15)に取り付けられた流体スペース(7)を備えたピペット装置(1)であって、
前記流体スペース(7)は、ピペットチップ(2)と、前記ピペットチップ(2)をポンプ(4)に接続する第1チューブ(5)と、前記ポンプ(4)の動作部(6)とによって画成され、
前記ピペット装置(1)は、前記流体スペース(7)内のシステム液体(8)のカラム(10)と作用的に接触しているインパルス生成手段(16、18、19)をさらに備え、
前記インパルス生成手段(16、18、19)は、このシステム液体カラム10に垂直変動を導くように設計され、それによって、流体スペース(7)と空圧的に接続されたガス充満スペースにおいて圧力変動を生じる、ピペット装置。
【請求項2】
前記圧力変換器(11)で記録され、第1データ処理ユニット(13)によって処理された圧力変動によって、液面(17)がピペットチップ(2)の開口部(3)に侵入したか離れたかを示す、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項3】
前記圧力変換器(11)で記録され、第1データ処理ユニット(13)によって処理された圧力変動によって、流体スペース(7)に含まれるシステム液体(8)に気泡が存在するか否かを示す、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項4】
前記圧力変換器(11)で記録され、第1データ処理ユニット(13)によって処理された圧力変動によって、ピペットチップ(2)にフィルタが存在するか否かを示す、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項5】
システム液体カラム(10)は、実質的に連続的であって、システム液体カラム(10)によって、流体スペース(7)において、ポンプ(4)の作動部(6)に対して遠位の端部にメニスカス(9)を形成する、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項6】
前記インパルス生成手段(16)は、電気的にコントロールされ、ポンプ(4)のモータ駆動ピストン(18)と、ポンプ(4)のモータ駆動ベローズと、圧縮部材(19)とを含むグループから選択される、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項7】
前記圧縮部材(19)は、ポンプ(4)から離れて配置され、前記第1チューブ(5)の部分として実現される、請求項6に記載のピペット装置。
【請求項8】
前記圧縮部材(19)は、前記第1チューブ(5)上で、あるいは、前記第1チューブ(5)におけるシステム液体カラム(10)上で作用する、請求項7に記載のピペット装置。
【請求項9】
電気的にコントロールされた前記インパルス生成手段(16)は、ポンプピストン(18)、ポンプベローズ、あるいは圧縮部材(19)の一部の圧電性アクチュエータ(20)である、請求項6に記載のピペット装置。
【請求項10】
電気的にコントロールされた前記インパルス生成手段(16)は、第1チューブ(5)の部分と、前記第1チューブ(5)の実質的に連続的なシステム液体カラム(10)で作用する攪拌媒体とを備えた貫流部材である、請求項7に記載のピペット装置。
【請求項11】
前記攪拌媒体は、第1チューブ(5)の連続的及び弾力的部分の外側で機能する固体材料である、請求項10に記載のピペット装置。
【請求項12】
前記攪拌媒体は、前記第1チューブ(5)の中断部分におけるシステム液体(8)で作用するピストン(38)又はメンブラン(42)である、請求項10に記載のピペット装置。
【請求項13】
前記第1チューブ(5)の中断部分におけるシステム液体(8)で作用する前記メンブラン(42)は、活性圧電性メンブラン又は受動的メンブランである、請求項10に記載のピペット装置。
【請求項14】
前記第1チューブ(5)の中断部分におけるシステム液体(8)で作用する前記受動的メンブラン(42)は、圧電性積層体(43)又は電気ヒータ(44)によって拡張される気体ボリュームによって活性化される、請求項13に記載のピペット装置。
【請求項15】
前記圧力変換器(11)で記録され、第1データ処理ユニット(13)によって処理された前記ガス充満スペース(15)の前記圧力変動に従ってモータドライブ(22)をモニタするために、前記第2データ処理ユニット(21)は、ポンプ(4)のモータドライブ(22)と前記第1データ処理ユニット(13)とに接続される、請求項2から4のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項16】
前記システム液体カラム(10)の前記メニスカス(9)は、ピペットチップ(2)の中にある、請求項5に記載のピペット装置。
【請求項17】
ガス充満スペース(15)は、ピペットチップ(2)の本質的部分(31)である、請求項16に記載のピペット装置。
【請求項18】
システム液体カラム(10)のメニスカス(9)は、第1チューブ(5)の内側に配置され、前記ガス充満スペース(15)は、ピペットチップ(2)の本質的部分(31)及びチューブ(5)の本質的部分(32)である、請求項5に記載のピペット装置。
【請求項19】
前記圧力変換器(11)は、前記ピペットチップ(2)の壁、又は、前記第1チューブ(5)の壁に配置された接続サイト(14)を経由して流体スペース(7)に接続された、請求項16又は18に記載のピペット装置。
【請求項20】
前記圧力変換器(11)は、ピペット開口部(3)とメニスカス(9)の間に配置された接続サイト(14)を介して流体スペース(7)に接続され、前記圧力変換器(11)は、ガスで充満した流体スペース(7)の部分(33)に対して開放されている接続サイト(14)に直接接続される、請求項17に記載のピペット装置。
【請求項21】
ピペットチップ(2)は、使い捨ての単一及び複数のピペットチップ、単一及び複数のピペット針を含むグループから選択される、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項22】
前記第1チューブ(5)は、使い捨てのピペットチップ用アダプタ(23)と、内側チューブ(24)と、接続サイト(14)を有する外側チューブ(25)とを備え、前記内側チューブ及び前記外側チューブとは互いに同軸的に延在し、それらの間に第1の同軸のガススペース(26)を画成し、前記第1の同軸のガススペース(26)は、前記アダプタ(23)に固定された使い捨てピペットチップに配置された第2の同軸ガススペース(27)に空圧的に接続された、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項23】
前記内側チューブ(24)は、ポンプ(4)から第2の同軸のガススペース(27)に到達する第1チューブ(5)の共通のプラスチック部分で構成された連続チューブである、請求項22に記載のピペット装置。
【請求項24】
前記内側チューブ(24’)は、非弾性的な固いチューブ(5’)であって、前記ポンプ(4)に導く前記第1チューブ(5)に接続され、前記第2の同軸のガススペース(27)に達する、請求項22に記載のピペット装置。
【請求項25】
前記ポンプ(4)は、3ウエイバルブ(28)を有し、前記第1チューブ(5)が前記3ウエイバルブ(28)から前記ピペットチップ(2)及び液体容器(30)に通じている第2チューブ(29)の方へ導く、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項26】
前記ガス充満スペース(15)は、センサ(12)を接続サイト(14)に接続する追加のチューブ(34)において所定体積を有する、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項27】
前記ガス充満スペース(15)は、センサ(12)を接続サイト(14)に接続すると共に、フレキシブルメンブラン(35)によって前記流体スペース(7)を密閉する追加のチューブ(34)において所定体積として画成される、請求項1に記載のピペット装置。
【請求項28】
容器配置用の作業台を備えた液体取り扱いシステムであって、
前記液体取り扱いシステムは、請求項1から27のいずれか一項に記載の少なくとも一つのピペット装置を備えた、液体取り扱いシステム。
【請求項29】
前記液体取り扱いシステムは、さらに液体取り扱いロボットと、制御ユニットとを備えた、請求項28に記載の液体取り扱いシステム。
【請求項30】
流体スペース(7)を備えたピペット装置(1)であって、圧力変換器(11)が前記流体スペース(7)のガス充満スペース(15)に取り付けられ、前記流体スペースは、ピペットチップ(2)と、前記ピペットチップ(2)をポンプ(4)に接続する第1チューブ(5)と、前記ポンプ(4)の動作部分とによって規定される、ピペット装置(1)についての液面検出方法であって、
(a)前記流体スペース(7)をシステム液体(8)で少なくとも部分的に満たし、前記流体スペース(7)内に実質的に連続的なシステム液体カラム(10)を形成するステップと、
(b)システム液体カラム(10)と作用的に接触するインパルス生成手段(16,18,19)によってシステム液体カラム(10)に垂直変動を導き、それによって、前記流体スペース(7)と空圧的に接続されたガス充満スペース(15)において圧力変動を引き起こすステップと、
(c)ガス充満スペース(15)の圧力変動を圧力変換器(11)で記録し、前記記録されたデータを第1データ処理ユニット(13)で処理されたデータを処理するステップと、
(d)前記処理されたデータに従って、液面(17)が前記ピペットチップ(2)の開口部(4)の中に入ったか、あるいは離れたかを決定するステップと
を含む、ピペット装置(1)についての液面検出方法。
【請求項31】
前記ステップ(c)において、前記圧力変換器(11)で記録され、前記第1データ処理ユニット(13)で処理された前記圧力変動によって、前記ピペットチップ(2)にフィルタが存在するか否かを示す、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ステップ(d)における決定は、吸引プロセスの最初又は最後の部分の間に圧力変換器(11)によって記録された圧力振動数に基づいて実行される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(b)における前記システム液体カラム(10)の垂直変動は、不連続又は連続的な双方向の振動であって、前記垂直変動は、ピストン(18)又はポンプ(4)のベローズの振動によって引き起こされ、あるいはポンプ(4)の一部のメンブラン(20、42)又は圧縮部材(19)の振動で引き起こされる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ステップ(b)における前記システム液体カラム(10)の垂直変動は、単一又は反復の双方向の振動であって、ピストン(18)でのインパルス又はポンプ(4)のベローズによって引き起こされ、あるいは、ピストン(18)の一部又は圧縮部材(19)のメンブラン(20,42)によるインパルスによって引き起こされる、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記ステップ(b)における前記システム液体カラム(10)の垂直変動は、ピストン(18)又はポンプ(4)のベローズの単一又は反復の上向き又は下向きの変動によって生じる単一の又は反復の一定方向下向き又は上向きのステップ変動である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記ステップ(b)における前記システム液体カラム(10)の不連続振動、単一パルス、又は単一ステップ変動は、前記ピペットチップ開口部(4)を液面(17)の方へ動かす2つのステップの間で実行される、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ステップ(b)における前記システム液体カラム(10)の連続振動、反復パルス、又は反復ステップ変動は、前記ピペットチップ開口部(4)を液面(17)の方へ動かす間に実行される、請求項30から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
流体スペース(7)を有するピペット装置(1)であって、圧力変換器(11)が前記流体スペース(7)のガス充満スペース(15)に取り付けられ、前記流体スペース(7)は、ピペットチップ(2)と、前記ピペットチップ(2)をポンプ(4)に接続する第1チューブ(5)と、前記ポンプ(4)の動作部(6)とによって画成される、ピペット装置(1)の気泡検出方法であって、
(a)前記流体スペース(7)をシステム液体(8)で少なくとも部分的に満たし、前記流体スペース(7)内に実質的に連続的なシステム液体カラム(10)を形成するステップと、
(b)前記システム液体カラム(10)と作用的に接触するインパルス生成手段(16,18,19)によって、前記システム液体カラム(10)に垂直変動を導き、前記流体スペース(7)と空圧的に接続されたガス充満スペース(15)において圧力変動を引き起こすステップと、
(c)前記ガス充満スペース(15)の圧力変動を前記圧力変換器(11)で記録し、前記記録されたデータを第1データ処理ユニット(13)で処理するステップと、
(d)処理されたデータに従って、前記流体スペース(7)内の前記システム液体(8)に気泡があるか否かを決定するステップと
を含む、ピペット装置(1)の気泡検出方法。
【請求項39】
前記ステップ(d)における決定は、吸引プロセスの最初の部分又は最後の部分の間に圧力変換器(11)で記録された圧力振動数に基づいて実行される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項1から29のいずれか一項に記載のピペット装置又は液体取り扱いシステムの、液体の吸引及び液体の分配についての用途。
【請求項41】
請求項30から37のいずれか一項に記載の液面検出方法の、液体の吸引及び液体の分配についての用途。
【請求項42】
請求項38又は39に記載の気泡検出方法の、液体の吸引及び液体の分配についての用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2006−170987(P2006−170987A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−353303(P2005−353303)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】