説明

混合ガスからの水素ガス回収方法及び水素ガス回収装置

【課題】"Dry up"現象を生じることなく、高圧の水素ガスを高純度で分離して、かつ、ほぼ100%回収することができる混合ガスからの水素ガス回収方法及び水素ガス回収装置を提供すること。
【解決手段】本発明の混合ガスからの水素ガス回収装置10は、第1及び第2の"触媒を充填した反応装置"11、12を備え、前記第1の"触媒を充填した反応装置"11は、底部側に混合ガス供給配管13及び水素不飽和芳香族化合物循環配管14が接続されているとともに、頂部側に水素ガスが除去されたオフガス排出配管15及び反応生成物循環配管16が接続されており、前記第2の"触媒を充填した反応装置"12は、頂部側に水素ガス回収配管17及び前記反応生成物循環配管16が接続されているとともに、底部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管14が接続された構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油化学関連産業や鉄鋼関連産業等で発生する水素ガスを含む混合ガスから水素ガスを高純度で回収する水素ガス回収方法及び水素ガス回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスは従来から化学反応を目的とした原料として主として化学工業に多く使われてきたが、最近、自動車用の燃料としてガソリンに代わるクリーンな燃料として関心が高まりつつある。そのために、ガソリンの高騰を追風にして、この水素を如何に安く、かつ、高純度で回収して自動車業界に安定的に供給するための方法及び装置を提供することが現在関係業界に問われている課題である。
【0003】
従来から工業的に得られる水素ガスは、製鉄所のコークス炉から発生するコークス炉ガス(COG)、石油精製工場や石油化学工場から発生するナフサ接触分解ガス、化学反応時の生成ガス等、水素ガス以外に他のガスを含む混合ガスとして得られており、しかもこれらの混合ガス中の水素濃度は多岐に亘っている。
【0004】
これらの混合ガスから水素を分離・回収する従来技術としては、深冷分離法、膜分離法、PSA(圧力スイング吸着)法がよく知られている。深冷分離法は、極低温状態においても水素が凝縮液化しにくいことに着目して他の不純物を液化して除去する方法であるが、水素純度を高めるための予備精製が不可欠であり、かつ、極低温に冷却するため設備費、運転費ともに高価になるという問題点があった。また、膜分離法は、膜に対するガス透過速度の差を利用して分離する方法であるが、膜によっては精製度や寿命などの問題があり、広範には用いられていない。
【0005】
現在主流となっているのはPSA法であるが、吸着剤の保護のためBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)成分や窒化物、硫化物成分などの前除去処理が必要となり、設備費や運転費が高価となること、更には吸着空塔速度を高くできないために原料が大風量の場合は吸着塔が大きくなり、設備費が過大となるという問題がある。また、PSA法においては、製品水素を用いた脱着パージ操作が必要なため、製品水素の回収率が60〜70%に落ちてしまうという問題点もある。さらに原料ガスが低圧の場合はあらかじめ原料ガスを圧縮機などで高圧化しておかなければ、高圧の製品水素が得られないばかりか、製品純度や回収率が確保できないという問題点もある。
【0006】
一方、前記のような従来技術の問題点及び課題を解決するために、下記特許文献1には予め合成しておいた飽和芳香族化合物を"触媒を充填した反応装置"に供給して脱水素反応によって水素ガスを発生させる高圧水素供給・利用方法の発明が、また、下記特許文献2には第1の"触媒を充填した反応装置"を用いて混合ガス中の水素を水素不飽和芳香族化合物に添加させて反応生成物を得、第2の"触媒を充填した反応装置"において前記反応生成物を脱水素して水素を得る、水素ガスを含む混合ガスからの水素の選択的回収方法の発明が開示されている。
【0007】
このうち、下記特許文献2に開示されている水素ガスを含む混合ガスからの水素の選択的回収方法を図6を用いて説明する。なお、図6は下記特許文献2に開示された水素ガスを含む混合ガスからの水素の選択的回収方法を実施するための装置の概略図である。この水素ガスを含む混合ガスからの水素の選択的回収方法を実施するための装置50は、水素添加反応装置51及び脱水素反応装置52を備えている。そして、水素ガスを含む混合ガスとしてCOGが、また、水素化芳香族化合物としてデカリンがそれぞれ用いられている。水素ガスを含む混合ガスであるCOG及び脱水素反応装置52から返送されるナフタレンがそれぞれ水素添加反応装置51に供給され、混合ガス中の水素とナフタレンとが水素化触媒によって反応してデカリンが生成され、反応後の廃COGは水素添加反応装置51の頂部から排出される。
【0008】
水素添加反応装置51において生成したデカリンは水素添加反応装置51から配管53を経て脱水素反応装置52に供給され、ここでデカリンは脱水素触媒によって分解されて水素ガスとナフタレンとに変えられる。生成したナフタレンは配管54によって水素添加反応装置51に戻され、水素ガスは製品として脱水素反応装置52の頂部から回収される。
【0009】
水素添加反応装置51及び脱水素反応装置52には熱交換配管55、56を設けて、この配管中に水(水蒸気)、熱媒油等の熱媒体を循環させる。この熱媒体は、水素添加反応装置51に設けられた熱交換配管55を通って水素化反応によって発生する熱を回収し、熱媒体貯蔵設備57を通過して、熱媒体貯蔵設備57内に収容されている熱媒体と間接熱交換した後に脱水素反応装置52の要求する熱量に対応するまで必要に応じて再加熱された後、熱媒体ポンプ58を経て脱水素反応装置52の熱交換配管56を通過し、脱水素反応によって吸収される熱を反応系に与えて冷却されたのち、水素添加反応装置51に戻るようにされている。このようにして、下記特許文献2に開示された水素ガスを含む混合ガスからの水素の選択的回収方法を実施するための装置50では、両反応装置51及び52間の熱の輸送を可能にして水素化反応で発生する熱を有効に利用することができるというものである。
【0010】
【特許文献1】特開2005−200253号公報
【特許文献2】特開2005−200254号公報
【非特許文献1】斉藤泰和"燃料電池用水素の貯蔵・輸送法の開発"、"ECO INDUSTRY", Vol.7, No.8, p.29(2002)
【非特許文献2】岡田、斎藤、真壁、西島"有機ケミカルハイドライド法脱水素触媒の開発"、「触媒」、Vol.46, No.6, p.510 (2004)
【非特許文献3】神田、谷道、須田、山田"石炭系ナフタレンの水素化精製法の開発"、「三井造船技報」、156号、第1〜7頁(平成7年10月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されている従来法は、脱水素反応器の下部から脱水素原料を供給して液層を作り、上部に水素ガス排出口を設ける構造のため、脱水素反応によって生じた大量の水素が高温により蒸発した不飽和芳香族化合物及び反応生成物を過度に同伴してしまうため、高純度の水素ガスが得られなくなるとともに液層が存在しなくなるという、いわゆる"Dry up"現象が起きやすく、特に、脱水素反応器に供給する脱水素原料としてデカリンなど水素を多く含む飽和芳香族化合物を使用すると、デカリンが急速に脱水素されてしまうために大量の水素が発生し、上述の"Dry up"現象が著しくなる虞があるという問題点があった。
【0012】
本発明は、上述の従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、広範囲な濃度の水素ガスを含む混合ガスから、この混合ガス中に含まれる水素以外の不純物を除去するための特段の前処理や高圧ガス圧縮装置を使用することなしに、"Dry up"現象を生じることなく、高圧の水素ガスを高純度で分離して、かつ、ほぼ100%回収することができる混合ガスからの水素ガス回収方法及び水素ガス回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を解決するために、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法は、
第1の"触媒を充填した反応装置"を用いて混合ガス中の水素ガスを液状の水素不飽和芳香族化合物に添加させて液状の反応生成物を得、第2の"触媒を充填した反応装置"を用いて前記液状の反応生成物を脱水素して水素ガスを得る混合ガスからの水素ガス回収方法において、
前記第2の"触媒を充填した反応装置"の頂部側から前記液状の反応生成物を供給して触媒層内を通過させ、頂部側から水素ガスを回収するとともに、脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を底部側又は頂部側から回収して前記第1の"触媒を充填した反応装置"に循環することを特徴とする。
【0014】
この発明においては、第1の"触媒を充填した反応装置"における触媒としてはニッケル−モリブデン系、ニッケル−コバルト系触媒を用いることが好ましく、また、第2の"触媒を充填した反応装置"における触媒としては鉄系又は石油精製工場にて多用されている流動接触分解装置の廃触媒(ゼオライト系)を用いることが望ましい。
【0015】
また、本発明は、上記混合ガスからの水素ガス回収方法において、前記液状の反応生成物を、前記第2の"触媒を充填した反応装置"の前記触媒層内を頂部側から底部側へと通過させ、底部側から脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を回収して前記第1の"触媒を充填した反応装置"に循環することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記混合ガスからの水素ガス回収方法において、前記液状の反応生成物を、前記第2の"触媒を充填した反応装置"に設けられた中空部を頂部側から底部側へと通過させた後に、前記触媒層内を底部側から頂部側へと通過させ、頂部側から脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を回収して前記第1の"触媒を充填した反応装置"に循環することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記混合ガスからの水素ガス回収方法において、前記第2の"触媒を充填した反応装置"における触媒層を前記触媒層の底部側から頂部側へ流れる加熱媒体により高温に加熱したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記混合ガスからの水素ガス回収方法において、前記第2の"触媒を充填した反応装置"における触媒層で発生する水素ガスと水素ガス中に含まれる前記水素不飽和芳香族化合物と反応生成物の蒸気を、前記第2の"触媒を充填した反応装置"の頂部側から供給される液状の反応生成物の冷熱によって冷却して、前記蒸気が凝縮して液中に回収されるようにしたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記混合ガスからの水素ガス回収方法において、前記水素不飽和芳香族化合物がナフタレン又はナフタレンのメチル化物であり、前記反応組成物がテトラリン又はテトラリンのメチル化物であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記混合ガスからの水素ガス回収方法において、
前記第2の"触媒を充填した反応装置"における底部付近の反応生成物中の各成分のモル濃度を下記式(1)を満たすように制御したことを特徴とする。
[水素]/([ナフタレン]+[テトラリン])<1 (1)
【0021】
更に、本発明の混合ガスからの水素ガス回収装置は、
第1及び第2の"触媒を充填した反応装置"を備えた混合ガスからの水素ガス回収装置において、
前記第1の"触媒を充填した反応装置"は、底部側に混合ガス供給配管及び水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されているとともに、頂部側に水素ガスが除去されたオフガス排出配管及び反応生成物循環配管が接続されており、
前記第2の"触媒を充填した反応装置"は、頂部側に水素ガス回収配管及び前記反応生成物循環配管が接続されているとともに、底部側又は頂部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されていることを特徴とする。
【0022】
この発明においては、第1の"触媒を充填した反応装置"における触媒としはニッケル−モリブデン系触媒を用いることが好ましく、また、第2の"触媒を充填した反応装置"における触媒としてはニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系、鉄系又は石油精製工場にて多用されている流動接触分解装置の廃触媒(ゼオライト系)を用いることが望ましい。
【0023】
また、本発明は、混合ガスからの水素ガス回収装置の発明において、前記第2の"触媒を充填した反応装置"は、底部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されており、前記液状の反応生成物は前記第2の"触媒を充填した反応装置"の前記触媒層内を頂部側から底部側へと通過するようになされていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、混合ガスからの水素ガス回収装置の発明において、前記第2の"触媒を充填した反応装置"は、頂部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されているとともに、部分的に触媒層の頂部から底部まで貫通する中空部を備え、前記液状の反応生成物は前記第2の"触媒を充填した反応装置"の前記中空部を頂部側から底部側へ通過した後に、前記触媒層内を底部側から頂部側へと通過するようになされていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、混合ガスからの水素ガス回収装置の発明において、前記第2の"触媒を充填した反応装置"は触媒層内を底部側から頂部側に向かって加熱媒体が流れる加熱媒体流路を備えていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、混合ガスからの水素ガス回収装置の発明において、前記反応生成物循環配管には昇圧ポンプが設けられていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、混合ガスからの水素ガス回収装置の発明において、前記水素不飽和芳香族化合物がナフタレン又はナフタレンのメチル化物であり、前記反応生成物がテトラリン又はテトラリンのメチル化物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上記のような構成を備えることにより次のような優れた効果を奏する。すなわち、本発明の第2の"触媒を充填した反応装置"で生起する脱水素反応は吸熱反応であり、しかも脱水素反応の原料である反応生成物は液状であるとともに第2の "触媒を充填した反応装置"の頂部より供給されるため、触媒層は頂部側が低温となるとともに底部側が高温となる。従って、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法によれば、第2の"触媒を充填した反応装置"内では、触媒層の頂部側では脱水素反応が起こり難く、触媒層の底部側で脱水素反応が速く進行する。
【0029】
そして、この触媒層の底部側で発生した水素ガスと不飽和芳香族化合物ガスは、触媒層内を頂部側に向かって移動するが、この間に脱水素反応の原料である反応生成物の冷熱により不飽和芳香族化合物ガス及び気化した反応生成物は凝縮して液中に潜熱を放出する。従って、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法では、上述のような従来例の混合ガスからの水素ガス回収方法と比すると、脱水素反応速度が向上しても"Dry up"現象が生じることがなくなり、しかも、回収された水素ガス中の芳香族化合物ガス濃度は非常に小さくなり、純度99.5%以上という非常に高純度の水素ガスを回収することができるようになる。なお、得られる水素ガスの圧力は、常圧から数10MPa程度まで適宜に設定することができる。
【0030】
また、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法によれば、液状の反応生成物は第2の"触媒を充填した反応装置"の触媒層内を頂部側から底部側へと通過し、底部側から脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を回収するようにしたため、触媒層の底部側で発生した水素ガスと芳香族化合物ガスは液状の反応生成物の流れとは逆方向に流れる。そのため、芳香族化合物ガスは頂部から供給される温度が低い液状の反応生成物によって効率よく冷却されて凝縮・液化されるため、"Dry up"現象が生じることがなくなるとともに得られる水素ガスの純度は大きく向上する。
【0031】
また、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法によれば、液状の反応生成物は第2の"触媒を充填した反応装置"に設けられた中空部を頂部側から底部側へと通過した後に、触媒層内を底部側から頂部側へと通過するため、液状の反応生成物は第2の"触媒を充填した反応装置"に設けられた中空部を通過する間に予熱されてから触媒層を通過するので、脱水素反応速度が向上する。しかも、発生した水素ガスと不飽和芳香族化合物ガスは、触媒層内を頂部側に向かって未反応の反応生成物と同方向に移動するが、触媒層の頂部側には低温・液状の脱水素原料である反応生成物が供給されているから、芳香族化合物ガスは有効に冷却されて凝縮・液化されるため、"Dry up"現象が生じることがなくなるとともに得られる水素ガスの純度は大きく向上する。
【0032】
加えて、触媒層内で発生した水素ガスと不飽和芳香族化合物ガスは触媒層内を頂部側に向かって移動するため、この水素ガスと不飽和芳香族化合物ガスの移動に伴って周囲の未反応の液状の反応生成物も触媒層内を頂部側に向かって移動するので、第2の"触媒を充填した反応装置"内において中空部を介した液状の反応生成物の循環流が自動的に形成されるため、別途液状の反応生成物を循環させるための装置を設けなくてもすむようになる。
【0033】
また、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法によれば、触媒層を安定して頂部側を低温に、底部側を高温に保つことができるので、より良好に上記発明の効果を奏することができる混合ガスからの水素ガス回収方法となる。
【0034】
また、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法によれば、特に水素不飽和芳香族化合物としてナフタリンを用い、このナフタリンに水素添加した反応生成物としてテトラリンを使用すると、ナフタリンの水素添加反応速度及びテトラリンの脱水素反応速度はともに速く、しかも両者ともに約80℃以上で液状となるが沸点が200℃以上と高いので、効率よく多量の水素ガスを回収できるようになる。加えて、第1の"触媒を充填した反応装置"内で行われる反応は水素添加反応であるから、原料ガス中にBTX成分や窒化物、硫化物、一酸化炭素等の不純物ガスが含まれていてもこれらの不純物ガスはナフタリンとテトラリンとの混合物からなる液状の反応生成物中には移行することがないため、高純度の水素ガスを回収できるようになる。
【0035】
また、本発明の混合ガスからの水素ガス回収方法によれば、上記式(1)が成立する反応条件とすると、反応の平衡がナフタレンが生成する側にずれるため、水素ガスが発生しやすくなり、安定的に多量の水素ガスを回収できるようになる。
【0036】
更に、本発明の混合ガス中の水素ガス回収装置によれば、それぞれ上記混合ガスからの水素ガス回収方法発明の効果を奏することができる混合ガス中の水素ガス回収装置が得られる。
【0037】
また、本発明の混合ガス中の水素ガス回収装置によれば、第2の"触媒を充填した反応装置"から高圧かつ高純度の水素ガスを回収できるようになるので、回収された水素ガスを高圧を要する水素ボンベに水素ガスを高圧充填する場合や水添脱硫プロセス等において使用する場合等においても加圧設備が簡単になるか不要となることもあり、工業的に非常に有利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
一般に、芳香族化合物の水素添加反応は次のような反応式で遂行される。
10(ナフタレン)+5H → C1018(デカリン) (1)
10(ナフタレン)+2H → C1012(テトラリン) (2)
(ベンゼン) +3H → C12(シクロヘキサン) (3)
また、水素化芳香族化合物の脱水素反応は次のような反応式で遂行される。
1018(デカリン) → C10(ナフタリン)+5H (4)
1012(テトラリン) → C10(ナフタレン)+2H (5)
12(シクロヘキサン) → C(ベンゼン) +3H (6)
【0039】
すなわち、反応論的には水素添加反応により2〜5分子の水素ガスが芳香族化合物に付加され、逆に脱水素反応により2〜5分子の水素が発生する。上記非特許文献1、2に開示されているように、既にこのような芳香族化合物の特性を利用して水素の貯蔵や輸送を行うことが試みられている。以下に示す実施例では、水素添加の段階で芳香族化合物が原料ガス中のBTX、窒化や硫化成分に汚染されないことに着目して水素のみを芳香族化合物に反応付加させ、かつ高圧でも"Dry up"しないようにするため、前記反応式(5)に示されるように、テトラリンはデカリンやシクロヘキサンに比べて分子当たりの水素発生量が少なく、かつテトラリンの一部しかナフタレンに変換しないようにして、脱水素反応を行わせて高純度水素を回収する装置を作製した。
【実施例1】
【0040】
この実施例1で用いた混合ガスからの水素ガスを回収するための装置の動作を図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は実施例1で使用した混合ガスからの水素ガスを回収するための装置の概略図であり、図2は実施例1で使用した脱水素反応装置の概略を示す縦断面図であり、図3は実施例1で使用した脱水素反応装置の概略を示す横断面図であり、また、図4は実施例1で使用した脱水素反応装置における触媒層での水素ガス発生状態を示す模式図である。
【0041】
この実施例1で使用した混合ガスからの水素ガスを回収するための装置10は、第1の"触媒を充填した反応装置"である水素添加反応装置11及び第2の"触媒を充填した反応装置"である脱水素反応装置12を備えている。そして、水素添加反応装置11は、底部側に例えばCOGガス等の水素を含む混合ガスが導入される原料ガス供給配管13及び水素不飽和芳香族化合物循環配管14が接続されているとともに、頂部側に水素ガスが除去されたオフガスを排出するオフガス排出配管15及び反応生成物循環配管16が接続されている。また、脱水素反応装置12は、頂部側に水素ガス回収配管17、及び、昇圧ポンプ18を介して前記反応生成物循環配管16が接続されているとともに、底部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管14が接続されている。
【0042】
更に、水素添加反応装置11及び脱水素反応装置12には加熱媒体流路19、20が設けられ、いずれも触媒層内を底部側から頂部側に向かって加熱媒体が流れるようにされている。そして、脱水素反応装置12の加熱媒体流路20の頂部側は加熱媒体循環流路21を経て水素添加反応装置11の加熱媒体流路19の底部側に接続され、また、水素添加反応装置11の加熱媒体流路19の頂部側は、配管22及び23により、熱交換器24及び循環ポンプ25を経て脱水素反応装置12の加熱媒体流路20の底部側に接続されている。
【0043】
この水素添加反応装置11及び脱水素反応装置12の加熱媒体流路19、20、加熱媒体循環流路21、配管22及び23、熱交換器24及び循環ポンプ25には、水(水蒸気)、熱媒油等の熱媒体が循環させられており、この熱媒体によって、水素添加反応装置11内の触媒層温度をナフタレンが固化しない約80℃以上となるように加熱し、また、水素添加反応装置11から回収された熱媒体は、配管22により熱交換器24に供給されて約400℃近くまで加熱され、その後循環ポンプ25により所定の圧力にまで加圧されて脱水素反応器12の加熱媒体流路20の底部側に供給されるようになっている。
【0044】
この混合ガスからの水素ガスを回収するための装置10においては、脱水素反応装置12での反応は吸熱反応であって脱水素反応に必要な温度は水素添加反応装置11内の温度よりも高い温度が必要であるため、水素添加反応装置11内で生じる水素化反応によって発生する反応熱を加熱媒体流路19を通る熱媒体により回収し、配管22を介して熱交換器24で更に加熱して循環ポンプ25を経て脱水素反応装置12に供給し、脱水素反応装置12から流出した加熱媒体流路20を通る熱媒体中の熱を加熱媒体循環流路21において回収した後、水素添加反応装置11の加熱媒体流路19に循環するようにしている。
【0045】
ここで脱水素反応装置12の概略を図2〜図4を用いて説明する。脱水素反応装置12内部には、多数のチューブ型の触媒層(Ni−Mo系)26が設置されてその外側を熱媒体が底部側から頂部側へと流れるようになされた加熱媒体流路20を備えている。熱媒体は、加熱媒体流路20の底部側から入口温度が400℃以下(例えば390℃)で供給され、この加熱媒体流路20内を頂部側へ向かって流れる間に冷却され、加熱媒体流路20の頂部側から流出される。
【0046】
この脱水素反応装置12においては、反応生成物循環配管16を経て比較的低温(約200℃)のテトラリンを主体とする反応液が高圧(例えば5MPa)で頂部側から導入される。そして、テトラリンは、チューブ型の触媒層26の頂部側から内部に入り、底部側まで流下する間に徐々に温度が上昇して最終的には約380℃になるが、その間に徐々に脱水素反応を起こしてナフタレンを生成し、それとともに生成した水素ガス及びナフタレンガスがチューブ型の触媒層26内を泡27(図4参照)となって上昇する。この脱水素反応装置12では、発生した高圧水素ガス中にテトラリンやナフタレンの蒸気が入ってくるが、上部に反応生成物の液層28が存在し、かつその温度が比較的低いために、テトラリンやナフタリンの蒸気は凝縮し、蒸発潜熱分の熱を放出して元の液体に戻る。すなわち、熱交換が自動的に脱水素反応装置12内部で行われることになる。また、ナフタレンやテトラリンはメチル化物でも全く同じように反応する。
【0047】
一方、テトラリンの脱水素の反応式は(5)式で表され、反応の平衡値は図5A〜図5Dに示すとおりである(上記非特許文献3参照)。ここでmは、
m=[水素]/([ナフタレン]+[テトラリン])で
表される水素と(テトラリン+ナフタレン)のモル比を表し(ただし、[水素]:水素のモル数、[ナフタレン]:ナフタレンのモル数、[テトラリン]:テトラリンのモル数である)、また図5A〜図5D内の数値は圧力(単位:atm)を表す。
【0048】
図5によれば、mが1を越えていると各圧力毎の約380℃におけるナフタレンのモル分率は殆ど変わらないが、mが1以下であると特に20atm以上の高圧におけるナフタレンのモル分率が急激に大きくなる。すなわち、テトラリンが流下して温度が上がっても、mが1を越えていると脱水素反応が進行し難くなるために水素ガスが発生し難くなり、mが1よりも小さくなると脱水素反応が進行しやすくなってナフタレンの比率が上がり、それに伴い水素ガスが多量に発生するようになる。
【0049】
例えば、380℃、50atmの条件下では、m=1.5の場合(図5B参照)ではナフタレン分率が約30%(テトラリン70%)であるが、m=0.5(図5D参照)ではナフタレン分率は60%程度になり、m=1.5の場合よりテトラリンのナフタレンへの転換がずっと進むことが分かる。従って、実施例1においては、脱水素反応装置12の頂部側でmが下記(1)式の条件を満たすように小さくするとともに高圧にすることにより、テトラリンの脱水素反応率を抑えることなく、"Dry up"現象が起きないようにして、高圧かつ高純度の水素ガスを回収することができるようになる。
m=[水素]/([ナフタレン]+[テトラリン])<1 (1)
【0050】
この実施例1の混合ガスからの水素ガスを回収するための装置10では、脱水素反応装置12におけるテトラリンの脱水素により残ったナフタレンは、水素不飽和芳香族化合物循環配管14を経て隣接する元の水素添加反応装置11に戻され、再び水素化されてテトラリンが製造される。従ってこの実施例1の混合ガスからの水素ガスを回収するための装置10によれば、特段の前処理なしに広範囲の水素を含む混合ガスから高純度の高圧水素ガスをほぼ100%回収することができるようになる。
【0051】
なお、脱水素反応装置12の頂部側に設けられた水素ガス回収配管17を経て回収された水素は、例えば高圧に圧縮されて水素ボンベに充填され、燃料電池用等の原料に利用することができる。製品水素をボンベに高圧充填する場合は数10MPaまで加圧する必要があり、相当の設備と圧縮のための電力を要するが、本方法ではテトラリンなどの水素化芳香族化合物を昇圧ポンプ18により昇圧して脱水素反応装置12に供給することにより、高圧の水素が得られるので、水素ボンベ高圧充填が大変に簡単になるか不要になることもあり工業的に非常に有利になる。また高圧を要する脱硫プロセスの水添用水素として直接使用することも可能である。また、この実施例のサイクルはナフタレン−テトラリンを媒体とする水素精製回収システムであるが、テトラリンが脱水素される際に高純度のナフタレンに精製されているため、これを一部抜き出すことにより製品化することも可能である。
【0052】
[実験例1]
ここでは、図1に示した実施例1の混合ガスからの水素ガスを回収するための装置10の脱水素反応装置12の反応状態を確認するため、脱水素反応装置12を単独で用いてテトラリンの脱水素反応によって得た水素ガスの発生量及び純度を測定した。まず、脱水素反応装置12の反応生成物循環配管16から200℃のテトラリン79.0kg/Hrとナフタレン4.0kg/Hrを循環供給し、加熱媒体流路20に380℃の加熱媒体を供給し、水素ガスの圧力が5MPaとなる圧力条件下で30分間、Ni−Mo系触媒を用いて反応させた。そうすると、ナフタレン40.3kg/Hr、テトラリン41.6kg/Hrと水素12.7Nm/Hrを得た。なお、発生水素ガス中には殆どナフタレンやテトラリンの蒸気は含まれなかった。この実験例1での条件は、図5に示した平衡図ではほぼm=0.5の場合に相当する。
【0053】
[実験例2]
実験例1の場合と同様にして、脱水素反応装置12を単独で用いてテトラリンの脱水素反応によって得た水素ガスの発生量及び純度を測定した。まず、脱水素反応装置12の反応生成物循環配管16から200℃のテトラリン57.9kg/Hrとナフタレン30.2kg/Hrを循環供給し、加熱媒体流路20に380℃の加熱媒体を供給し、水素ガスの圧力が5MPaとなる圧力条件下で30分間、Ni−Mo系触媒を用いて反応させた。そうすると、フタレン51.8kg/Hr、テトラリン35.6kg/Hrと水素ガス11.2Nm/Hrを得た。なお、発生水素ガス中には殆どナフタレンやテトラリンの蒸気は含まれなかった。この実験例2の条件は、図5に示した平衡図ではほぼm=0.6の場合に相当する。
【実施例2】
【0054】
実施例2では、脱水素反応装置として図6及び図7に示した構成の脱水素反応装置12'を使用した以外は実施例1の混合ガスからの水素ガスを回収するための装置10と同様の構成のものを使用した。なお、図6は実施例2で使用した脱水素反応装置の概略を示す縦断面図であり、また、図7は実施例2で使用した脱水素反応装置の概略を示す横断面図である。また、図6及び図7においては図1〜図3に示した実施例1の脱水素反応装置12と同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
【0055】
この脱水素反応装置12'は、内部に多数のチューブ型の触媒層(Ni−Mo系)26が設置され、その多数のチューブ型の触媒層26の外側を熱媒体が底部側から頂部側へと流れるようになされた加熱媒体流路20を備えているとともに、例えば中央部に触媒層の頂部から底部まで貫通する中空部30を備えている。熱媒体は、加熱媒体流路20の底部側から入口温度が400℃以下(例えば390℃)で供給され、この加熱媒体流路20内を頂部側へ向かって流れる間に冷却され、加熱媒体流路20の頂部側から加熱媒体循環流路21に流出される。
【0056】
この脱水素反応装置12'においても、実施例1の場合と同様に、反応生成物循環配管16を経て比較的低温(約200℃)のテトラリンを主体とする反応液が高圧(例えば5MPa)で頂部側から導入される。そして、テトラリンは、中空部30内を通過する間に予熱されてから約380℃に維持されているチューブ型の触媒層26の底部側から触媒層内に入るので、チューブ型の触媒層26内では直ちに脱水素反応を起こしてナフタレンを生成し、それとともに生成した水素ガス及びナフタレンが泡となってチューブ型の触媒層26内を底部側から頂部側に向かって移動する。その際、この水素ガスとナフタレンガスの移動に伴って周囲の未反応の液状の反応生成物もチューブ型の触媒層26内を頂部側に向かって移動するとともに、加熱媒体流路20を流れる高温の流体によって加熱されることにより生起されるサーモサイフォン循環によって、中空部30を介した液状の反応生成物の循環流31が自動的に形成される。そのため、別途液状の反応生成物を循環させるための装置を設けなくてもすむ。
【0057】
そして、この実施例2の脱水素反応装置12'の頂部側には、反応生成物の液層28が存在し、かつその温度が比較的低いために、テトラリンやナフタリンの蒸気は凝縮し、蒸発潜熱分の熱を放出して元の液体に戻るとともに、脱水素反応によって生成した水素ガスが離脱するため、m=[水素]/([ナフタレン]+[テトラリン])の値が小さくなる。従って、実施例2の脱水素反応装置12'によれば、脱水素反応速度は大きくなって非常に効率よく脱水素反応が進行するが、触媒層の頂部側では常に液状の反応生成物が存在しているために"Dry up"現象が生じることがなくなり、しかも得られる水素ガスの純度は大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1で使用した混合ガスからの水素ガスを回収するための装置の概略図である。
【図2】実施例1で使用した脱水素反応装置の概略を示す縦断面図である。
【図3】実施例1で使用した脱水素反応装置の概略を示す横断面図である。
【図4】実施例1で使用した脱水素反応装置における触媒層での水素ガス発生状態を示す模式図である。
【図5】図5A〜図5Dは、それぞれmの値を変化させた際のナフタレン−テトラリン平衡図である。
【図6】実施例2で使用した脱水素反応装置の概略を示す縦断面図である。
【図7】実施例2で使用した脱水素反応装置の概略を示す横断面図である。
【図8】従来の水素ガスを含む混合ガスからの水素の選択的回収方法を実施するための装置の概略図である。
【符号の説明】
【0059】
10 混合ガスからの水素ガスを回収するための装置
11 水素添加反応装置
12 脱水素反応装置
13 原料ガス供給配管
14 水素不飽和芳香族化合物循環配管
15 オフガス排出配管
16 反応生成物循環配管
17 水素ガス回収配管
18 昇圧ポンプ
19、20 加熱媒体流路
21 加熱媒体循環流路
22、23 配管
24 熱交換器
25 循環ポンプ
26 触媒層
27 泡
28 反応生成物の液層
30 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の"触媒を充填した反応装置"を用いて混合ガス中の水素ガスを液状の水素不飽和芳香族化合物に添加させて液状の反応生成物を得、第2の"触媒を充填した反応装置"を用いて前記液状の反応生成物を脱水素して水素ガスを得る混合ガスからの水素ガス回収方法において、
前記第2の"触媒を充填した反応装置"の頂部側から前記液状の反応生成物を供給して触媒層内を通過させ、頂部側から水素ガスを回収するとともに、脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を底部側又は頂部側から回収して前記第1の"触媒を充填した反応装置"に循環することを特徴とする混合ガスからの水素ガス回収方法。
【請求項2】
前記液状の反応生成物を、前記第2の"触媒を充填した反応装置"の前記触媒層内を頂部側から底部側へと通過させ、底部側から脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を回収して前記第1の"触媒を充填した反応装置"に循環することを特徴とする請求項1に記載の混合ガスからの水素ガス回収方法。
【請求項3】
前記液状の反応生成物を、前記第2の"触媒を充填した反応装置"に設けられた中空部を頂部側から底部側へと通過させた後に、前記触媒層内を底部側から頂部側へと通過させ、頂部側から脱水素により生成した液状の水素不飽和芳香族化合物を回収して前記第1の"触媒を充填した反応装置"に循環することを特徴とする請求項1に記載の混合ガスからの水素ガス回収方法。
【請求項4】
前記第2の"触媒を充填した反応装置"における触媒層を前記触媒層の底部側から頂部側へ流れる加熱媒体により高温に加熱したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合ガスからの水素ガスの回収方法。
【請求項5】
前記第2の"触媒を充填した反応装置"における触媒層で発生する水素ガスと水素ガス中に含まれる前記水素不飽和芳香族化合物と反応生成物の蒸気を、前記第2の"触媒を充填した反応装置"の頂部側から供給される液状の反応生成物の冷熱によって冷却して、前記蒸気が凝縮して液中に回収されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合ガスからの水素ガスの回収方法。
【請求項6】
前記水素不飽和芳香族化合物がナフタレン又はナフタレンのメチル化物であり、前記反応組成物がテトラリン又はテトラリンのメチル化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の混合ガスからの水素ガス回収方法。
【請求項7】
前記第2の"触媒を充填した反応装置"における底部付近の反応生成物中の各成分のモル濃度を下記式(1)を満たすように制御したことを特徴とする請求項6に記載の混合ガスからの水素ガス回収方法。
[水素]/([ナフタレン]+[テトラリン])<1 (1)
(ただし、[水素]:水素のモル数、[ナフタレン]:ナフタレンのモル数、[テトラリン]:テトラリンのモル数を示す。)
【請求項8】
第1及び第2の"触媒を充填した反応装置"を備えた混合ガスからの水素ガス回収装置において、
前記第1の"触媒を充填した反応装置"は、底部側に混合ガス供給配管及び水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されているとともに、頂部側に水素ガスが除去されたオフガス排出配管及び反応生成物循環配管が接続されており、
前記第2の"触媒を充填した反応装置"は、頂部側に水素ガス回収配管及び前記反応生成物循環配管が接続されているとともに、底部側又は頂部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されていることを特徴とする混合ガスからの水素ガス回収装置。
【請求項9】
前記第2の"触媒を充填した反応装置"は、底部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されており、前記液状の反応生成物は前記第2の"触媒を充填した反応装置"の前記触媒層内を頂部側から底部側へと通過するようになされていることを特徴とする請求項8に記載の混合ガスからの水素ガス回収装置。
【請求項10】
前記第2の"触媒を充填した反応装置"は、頂部側に前記水素不飽和芳香族化合物循環配管が接続されているとともに、部分的に触媒層の頂部から底部まで貫通する中空部を備え、前記液状の反応生成物は前記第2の"触媒を充填した反応装置"の前記中空部を頂部側から底部側へ通過した後に、前記触媒層内を底部側から頂部側へと通過するようになされていることを特徴とする請求項8に記載の混合ガスからの水素ガス回収装置。
【請求項11】
前記第2の"触媒を充填した反応装置"は触媒層内を底部側から頂部側に向かって加熱媒体が流れる加熱媒体流路を備えていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の混合ガスからの水素ガス回収装置。
【請求項12】
前記反応生成物循環配管には昇圧ポンプが設けられていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の混合ガスからの水素ガス回収装置。
【請求項13】
前記水素不飽和芳香族化合物がナフタレン又はナフタレンのメチル化物であり、前記反応生成物がテトラリン又はテトラリンのメチル化物であるであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の混合ガスからの水素ガス回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−153726(P2007−153726A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133142(P2006−133142)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(505417367)株式会社エプシロン (10)
【Fターム(参考)】