説明

混合ガス分離方法およびシステム

【課題】本発明の目的は、簡便な装置構成で二酸化炭素の分離を低廉に行うことができる、混合ガス分離方法およびシステムを提供することである。
【解決手段】二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離するに際し、上記混合ガスをアルカリ溶液中に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1工程と、電解槽内で上記炭酸塩溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する第2工程とを含み、上記第2工程で得られたアルカリ溶液を、上記第1工程のアルカリ溶液として再利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を含む混合ガス分離方法に関する。より詳しくは、本発明の混合ガス分離方法は、簡便な装置構成で二酸化炭素の分離を低廉に行うことができる混合ガス分離方法に関する。本発明は、該方法を実施するための混合ガス分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、京都議定書では、先進国全体で二酸化炭素に代表される温室効果ガスを1990年基準で5%削減する取り決めがなされている。二酸化炭素の排出削減技術は、省エネルギー、エネルギー転換、および回収・貯留の3つに大別することができるが、省エネルギーおよびエネルギー転換のみでは、速やかで充分な排出削減を実現することは困難である。このため、今後、二酸化炭素の回収・貯留技術が、その排出量削減のために益々重要な技術になると考えられる。
【0003】
二酸化炭素の回収・貯留に関連する技術としては、アミン法、PSA法、および膜分離法等が挙げられる。アミン法およびPSA法は、大規模排出源向けの技術であり、また、膜分離法は、小規模排出源向けの技術として知られている。特に、近年においては、膜分離法のような小規模排出源向け技術の需要が益々増大しているが、膜分離法には、二酸化炭素の分離に高圧を要するという欠点がある。そこで、このような高圧を必要としない、二酸化炭素の回収・貯留技術の開発が要請されている。
【0004】
このような比較的高圧を必要としない技術としては、化学吸着と電気分解とを組み合わせた、以下の技術が知られている。
【0005】
特許第3421832号明細書(特許文献1)には、飽和石灰水ないしはpH約9.5以上の濃厚な水酸化カルシウム水溶液を空気に接触させつつ、薄膜状にして循環散水することにより、空気中の二酸化炭素を能率的に捕集・吸収する、空気中二酸化炭素の吸収除去方法が開示されている。この技術によれば、空気中の二酸化炭素を石灰水により効率よく捕獲・吸収すること、および同時にアルカリ性の石灰水を短時間に中和することができる、とされている。
【0006】
特開2005−288313号公報(特許文献2)には、アルカリ溶液噴出部から噴出されたアルカリ溶液が、充填材中を下方から上方に流れる排ガスと気液接触し、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収し、その吸収された二酸化炭素を不溶性化合物として析出させ、さらに、不溶性化合物を捕集槽で回収し、捕集槽で回収された不溶性化合物が、混合槽でアルカリ物質と混合され、アルカリ溶液が再生される、排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法が開示されている。この技術によれば、排ガス中の二酸化炭素を不溶性化合物として捕集でき、さらに、発電用ボイラーのスチームなどを用いずに、この不溶性化合物からアルカリ溶液を再生することができる、とされている。
【0007】
特開2005−262051号公報(特許文献3)には、二酸化炭素を含む排ガスを二酸化炭素吸収装置に送給し、排ガスに対して0.01〜24 wt%水酸化ナトリウム水溶液を接触させ、得られた水溶液に塩化水素を加えて二酸化炭素を回収すると共に、二酸化炭素を回収した残りの液体分から、水酸化ナトリウムと塩化水素を分離・再生して、これらを再利用する二酸化炭素回収方法が開示されている。この技術によれば、排ガス中の二酸化炭素を、安価に効率よく回収できる、とされている。
【0008】
特開2005−211826号公報(特許文献4)には、アルカリ溶液噴出部から噴出されたアルカリ溶液が、充填材中を下方から上方に流れる排ガスと気液接触し、排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収し、その吸収された二酸化炭素を不溶性化合物として析出させ、その不溶性化合物を捕集槽で回収し、また、不溶性化合物の生成に寄与しなかった捕集槽の特に上部にあるアルカリ溶液が、再度、循環用配管によりアルカリ溶液噴出部に還流される、排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法が開示されている。この技術によれば、発電用ボイラーのスチームを多量に用いずに、二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液から二酸化炭素を取り出すことができ、排ガス中からの二酸化炭素の回収率を高くすることができる、とされている。
【0009】
特開2003−306788号公報(特許文献5)には、アノードとカソードとを設けた電解質膜のアノード側にナトリウムイオン源物質を接触させ、かつ該電解質膜のカソード側に被処理ガスを接触すると共に、この両極間に直流電圧を印加することにより、カソード側に被処理ガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離固定する二酸化炭素除去方法が開示されている。この技術によれば、二酸化炭素を効率的かつ低廉に分離することができる、とされている。
【0010】
特開2006−35059号公報(特許文献6)には、吸収塔のアルカリ溶液排出口から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口に還流させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路と、再生塔の再生アルカリ溶液排出口から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口に還流させ、二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路とを別個に独立して設けられている、排ガス中の二酸化炭素の回収システムが開示されている。この技術によれば、発電用ボイラーのスチームを多量に使用することなく、アルカリ溶液を再生でき、吸収装置と再生装置とにアルカリ溶液をそれぞれ個々に独立した還流ラインで循環可能な排ガス中の二酸化炭素の回収システムを提供することができる、とされている。
【0011】
特開2003−38934号公報(特許文献7)には、アノードとカソードとを設けた固体電解質のアノード側にナトリウムイオン源物質を接触させ、かつ該固体電解質のカソード側に一酸化炭素または二酸化炭素を含んだガスを接触すると共に、この両極間に直流電源によって直流電圧を印加することにより、カソード側にガス中の一酸化炭素及び二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離固定する、炭素ガス除去方法が開示されている。この技術によれば、炭酸ガスを効率的かつ低廉に分離することができる、とされている。
【0012】
特開2004−174369号公報(特許文献8)には、ナトリウムイオンを透過する電解質膜と、ナトリウム化合物の水溶液が供されるアノードと、被処理ガスが供されるカソードと、を備え、この両極間に直流電圧を印加してカソード側においてガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離除去するガス処理装置と、ナトリウムイオンを透過する電解質膜を設置してアノード室とカソード室を形成すると共に、アノード室に前記炭酸塩の水溶液を供給する経路と、カソード室に水を供給する経路と、を備え、前記両室の液相間に直流電圧を印加してカソード室において水酸化ナトリウムを生成する再生槽と、前記カソード室で生成した水酸化ナトリウムの水溶液をガス処理装置に供給する経路と、を具備する、ガス処理システムが開示されている。この技術によれば、より低廉かつ効率的さらに安定した二酸化炭素の除去を実現すると共に、除去した二酸化炭素成分を有効的に利用することができる、とされている。
【0013】
特開2004−174370号公報(特許文献9)には、ナトリウムイオン交換機能を有するポリマーからなる電解質膜にアノードとカソードとを設け、アノードにはナトリウム化合物の水溶液を接触すると共にカソードには二酸化炭素と水分とを含むガスを供し、この両極間に直流電圧を印加することにより、カソード側において前記ガス中の二酸化炭素を炭酸塩の形態で分離除去すると共に水素ガスを生成する、ガス処理方法が開示されている。この技術によれば、低廉かつ効率的に二酸化炭素を除去及び水素ガスを生成すると共に除去した二酸化炭素成分を有効利用することができる、とされている。
【0014】
特開2001−347135号公報(特許文献10)には、小規模、あるいは中規模の焼却設備で焼却の際に生じた排ガスを水又は水溶液で洗浄し、洗浄後の水又は水溶液を電気分解する、排ガス処理方法が開示されている。この技術によれば、排ガス中のダイオキシン等の有害物質を分解除去することができる、とされている。
【0015】
【特許文献1】特許第3421832号明細書
【特許文献2】特開2005−288313号公報
【特許文献3】特開2005−262051号公報
【特許文献4】特開2005−211826号公報
【特許文献5】特開2003−306788号公報
【特許文献6】特開2006−35059号公報
【特許文献7】特開2003−38934号公報
【特許文献8】特開2004−174369号公報
【特許文献9】特開2004−174370号公報
【特許文献10】特開2001−347135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述のように、種々のガス処理方法が開示されているが、特許文献1〜4および6に開示されている技術は、いずれも、従来の二酸化炭素をアルカリ水溶液により単に化学的に吸収する技術であり、その後の二酸化炭素の回収技術については触れていない。また、特許文献5および7〜10に開示されている技術は、いずれも、吸収技術の他に回収技術についても言及しているが、これらの回収技術においては、二酸化炭素を炭酸塩として分離固定した後に、たとえアルカリ溶液を再利用する場合であっても、その再利用に高熱が必要となる。このため、簡便な装置構成で二酸化炭素の分離を低廉に行うことができない。
【0017】
従って、本発明の目的は、簡便な装置構成で二酸化炭素の分離を低廉に行うことができる、混合ガス分離方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離するに際し、上記混合ガスをアルカリ溶液中に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1工程と、電解槽内で上記炭酸塩溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する第2工程とを含み、上記第2工程で得られたアルカリ溶液を、上記第1工程のアルカリ溶液として再利用する混合ガス分離方法に関する。本発明の混合ガス分離方法は、例えば、排ガスから二酸化炭素を回収して、地球温暖化の抑制等を実現することができる。本発明の混合ガス分離方法は、上記第2工程での電気分解において、印加電圧、溶液濃度、溶液温度、および電極材料のうちの少なくとも1種を制御すること、および/または、上記電解槽をイオン交換膜で分離し、アノード側からカソード側に炭酸塩溶液中の陽イオンを通過させることが望ましい。さらに、上記のようにイオン交換膜を用いる場合には、上記第2工程での電気分解において、上記イオン交換膜とアノードとの間の炭酸塩溶液、および上記イオン交換膜とカソードとの間の電解質溶液を、それぞれアノードおよびカソードの電解質溶液と混在させないことが望ましい。ここで、濃縮液とは、カソード側に存在する中性塩の水溶液をいう。加えて、炭酸溶液の槽と濃縮液の槽とを交互に複数配設することがさらに望ましい。
【0019】
本発明は、二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離するシステムであって、上記混合ガスをアルカリ溶液に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1システムと、上記炭酸塩水溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する第2システムとを含み、上記第2システムで得られたアルカリ溶液を、上記第1システムのアルカリ溶液として再利用する混合ガス分離システムを包含する。当該システムにおいても、上記の印加電圧等の運転条件、およびイオン交換膜の使用が望ましい。また、第2システムでの電気分解において、イオン交換膜とアノードとの間、およびイオン交換膜とカソードとの間に、それぞれバイポーラ膜を配設することが望ましい。この場合には、上記バイポーラ膜とアノードとの間、および上記バイポーラ膜とカソードとの間に、それぞれイオン交換膜をさらに配設することができる。さらに、上記バイポーラ膜および上記イオン交換膜を交互に複数配設することがより一層望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の混合ガス分離方法は、簡便な装置構成で二酸化炭素の分離を低廉に行うことができる。このため、本発明は、地球温暖化対策として排ガス中の二酸化炭素の取り扱いが益々重要視されている近年において、特に、二酸化炭素の回収・貯留を効率よく行うことができるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の好適な実施形態を示すが、これは本発明の単なる一例であって、当業者は適宜設計変更可能である。
1.混合ガス分離方法
本発明は、二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離する方法に関する。当該分離方法は、混合ガスをアルカリ溶液中に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1工程と、電解槽内で炭酸塩溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する第2工程とから構成される。当該分離方法では、第2工程で得られたアルカリ溶液を、第1工程のアルカリ溶液として再利用する。以下、上記各工程について詳述する。
【0022】
(第1工程)
図1は、本発明の混合ガス分離方法における第1工程を示す模式図である。同図に示すように、第1工程においては、外部から供給されたアルカリ溶液に、Air(二酸化炭素を含む混合ガス)を送給し、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスをOutlet Airとして外部に廃棄する。
【0023】
ここで、二酸化炭素を含む混合ガスとしては、空気(二酸化炭素含有量:0.0036%以上)、自動車排ガス(二酸化炭素含有量:約10%)、火力発電所排ガス(二酸化炭素含有量:3〜14%)、セメント製造プラントでの排ガス(二酸化炭素含有量:約20%)、鉄鋼プラントでの排ガス(二酸化炭素含有量:約25%)、および化学プラントでの排ガス(二酸化炭素含有量:約30〜50)が挙げられる。特に、火力発電所における排ガス中の二酸化炭素含有量は、燃料が石炭の場合には3〜14%、石油の場合には11〜12%、およびLNGの場合には3〜9%である。また、アルカリ溶液としては、NaOHの他に、KOH、およびCa(OH)等を用いることができるが、以下の例では、アルカリ溶液としてNaOHを用いた場合について説明する。なお、この際に生じる主な反応(反応式1)は以下のとおりである。
2NaOHaq+CO→NaCOaq+HO (反応式1)
【0024】
また、第1工程では、COの水溶液中での平衡関係から、上記のNaCOaqの他、NaHCOaqも生成される。ここで、炭酸塩溶液を得るに際し、炭酸塩(NaCOおよびNaHCO)が析出しないように運転条件を設定することが肝要である。具体的には、混合ガスおよびアルカリ溶液の流量等の諸条件を適宜調整することが好ましい。なお、上記反応は、常温、常圧の穏和な条件下で進行するため、加熱および加圧を必要とせず、エネルギー的に無理のない工程が実現可能である。
【0025】
このように、炭酸塩の析出を防止することにより、高温が必要となる炭酸塩の分離過程を省略することができるのみならず、後述するように、NaOH溶液を再利用することができ、結果として、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0026】
(第2工程)
図2は、本発明の混合ガス分離方法における第2工程を示す模式図である。同図に示すように、第2工程においては、第1工程で生成した炭酸塩溶液(NaHCOを含むNaCO溶液)を電解槽に取り込み、炭酸塩溶液を電気分解して、二酸化炭素を回収する。電解槽には、イオン交換膜が配設されており、アノード側には第1工程で生成された炭酸塩溶液が供給され、カソード側には外部から水が供給される。なお、この際に生じるアノード側での反応(反応式2〜4)およびカソード側での反応(反応式5)は以下のとおりである。
CO2−→CO+1/2O+2e (反応式2)
2HCO→2CO+1/2O+HO+2e (反応式3)
2OH→HO+1/2O+2e (反応式4)
2HO+2e→H+2OH (反応式5)
【0027】
上記各式に示したとおり、アノード側では、炭酸イオン(CO2−)、重炭酸イオン(HCO)、および水酸化物イオン(OH)が酸化され、二酸化炭素と酸素との混合ガスが発生する。また、カソード側では、水が電気分解されて水素が発生する。
【0028】
これらの電解反応が進むと、アノード側ではナトリウムイオンが過剰となる。本発明では、第1工程使用したアルカリ溶液(NaOH)を第2工程で再び生成し、これを再度第1工程で使用することで全体として二酸化炭素の分離を効率的に行おうとするものである。このため、過剰となったナトリウムイオンをカソード側で生成した水酸化物イオンと反応させてNaOHを再生すれば、上記効率的な分離が達成できる。しかしながら、この際、アノード側で生じる他の陰イオンについては、アノード側に留まらせることが効率的な二酸化炭素発生に好適であるため、ナトリウムイオンのみをカソード側からアノード側に移動させることが好ましい。そこで、図2に示すように、電解槽中にイオン交換膜を設置し、ナトリウムイオンのみの移動を可能とさせることがよい。このようなイオン交換膜によれば、ナトリウムイオンのみがイオン交換膜を通って、カソード側に移動し、水素発生反応で生じた水酸化物イオンと反応して、水酸化ナトリウムを生成し、アルカリ溶液が再生される。
なお、以上のイオン交換膜は、あくまでも本願の混合ガス分離方法をさらに好適に行うための要素であり、本願においては必須構成要件ではない。
【0029】
また、アノード側では徐々に炭酸塩溶液の濃度が低下するため、低濃度化したNaHCOを含むNaCO溶液は、図2に示すように、外部に一端除去され、可能であれば高濃度化した後に、再度電解槽のアノード側に供給される。
【0030】
このような第2工程では、最終的な二酸化炭素の回収率を向上させることが肝要である。アノード側では、電解反応として、上記反応式2〜4で示す反応が競合して起こる。このため、これら反応の寄与率により、アノードで発生する混合気体中の二酸化炭素濃度が決定される。従って、上記寄与率を好適に制御することが肝要である。
【0031】
具体的には、両電極に印加する電圧を好適に制御することで、反応式2〜4の反応の寄与率を制御することができる。アノードで発生する二酸化炭素を含む混合気体において、二酸化炭素分率を理論的に最大にするには、反応式2〜4のうち、反応式3のみが生じるようにすることが理想的であり、その際の二酸化炭素分率は80%程度となる。その際、電極近傍での「物質移動」および「電子移動」が、電極反応の挙動に大きな影響を与える。このため、各種反応種濃度、および電極材料による電極触媒能などを変化させることで、さらに高い二酸化炭素分率を得ることができる。
【0032】
このように、二酸化炭素が生成されるアノード側の反応を好適に制御することで、二酸化炭素回収の効率を向上させることができる。また、上記例では、二酸化炭素の回収プロセスを従来技術とは異なり、炭酸塩の形態を経ないことを前提とした電気分解により行っている。即ち、炭酸塩の析出はアルカリ溶液の消費であり、しかも炭酸塩からアルカリ溶液の再生には高熱が必要となるため、図2に示す例では、二酸化炭素の回収装置を簡素化することができ、小規模な二酸化炭素排出源に対しても適用できるという点で、低廉な二酸化炭素の回収を実現することができる。なお、上記反応は、常温、常圧の穏和な条件下で進行するため、加熱および加圧を必要とせず、エネルギー的に無理のない工程が実現可能であるとともに、塩化水素等のように電極を腐食させ、環境を汚染するような化学物質を使用しない、という利点も有する。
【0033】
図2に示す第2工程においては、イオン交換膜を境に、アノード側には炭酸塩溶液(中性塩溶液)と電解質溶液とが混在する一方、カソード側には中性塩の濃縮液と電解質溶液とが混在する。これに対し、アノード側においては、炭酸塩溶液(中性塩溶液)の槽と電極が浸漬されている電解質溶液の槽とを、何らかの要素において分離するとともに、カソード側においては、中性塩の濃縮液の槽と電極が浸漬されている電解質溶液の槽とを同様に分離することで、二酸化炭素の回収効率をさらに向上させることができる。
【0034】
具体的には、イオン交換膜とアノードとの間、およびイオン交換膜とカソードとの間に、それぞれバイポーラ膜を配設し(図2には図示せず)、上記溶液の混在状態を回避することで、二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。なお、バイポーラ膜は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を貼り合わせた構造のものであり、水を解離させて水素イオンと水酸化物イオンを膜のそれぞれの面から発生させる働きを持つ膜である。
【0035】
また、このような溶液の分離状態を前提に、アノード側の炭酸溶液の槽とカソード側の中性塩の濃縮液の槽を交互に複数配設し、これらを両極がそれぞれ浸漬された電解質溶液の槽で挟むことにより(図2には図示せず)、さらに二酸化炭素の回収効率をさらに向上させることができる。
【0036】
以上のように、第1工程および第2工程を通して、最終的に生成される物質は、二酸化炭素、酸素、およびクリーンなエネルギー媒体である水素のみであり、他の物質の生成はない。このため、本発明の混合ガス分離方法は、環境影響が極めて小さい方法である。また、これらの物質、例えば、アノード側で回収された二酸化炭素と酸素との混合ガスは、酸素富化ガスとして燃焼プロセスに利用することができる他、カソード側で回収された水素とともに溶融炭酸塩型燃料電池の燃料として利用することができる。このため、本発明の混合ガス分離方法により、二酸化炭素回収だけでなく、生成エネルギー利用法のさらなる高度化も同時に図ることができる。
【0037】
2.混合ガス分離システム
本発明は、二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離するシステムに関する。当該分離システムは、混合ガスをアルカリ溶液に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1システムと、電解槽内で炭酸塩水溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液を生成し、二酸化炭素を回収する第2システムとから構成される。当該分離システムでは、第2システムで得られたアルカリ溶液を、第1システムのアルカリ溶液として再利用する。
【0038】
図3は、本発明の混合ガス分離システム全体を示す模式図であり、これは、図1,2の組み合わせに相当する。
【0039】
即ち、図3に示す混合ガス分離システムは、本発明の混合ガス分離方法を実施するためのものである。当該システムは、図3の左側に示すタンクを備える第1システムと、同図の右側に示す電解槽を備える第2システムとから構成される。
【0040】
図3の左側に示す第1システムでは、外部から供給されたアルカリ溶液(NaOH)に、Air(二酸化炭素を含む混合ガス)を送給し、炭酸塩溶液(NaHCOを含むNaCO溶液)を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスをOutlet Airとして外部に廃棄する。
【0041】
また、同図の右側に示す第2システムでは、第1システムで生成した炭酸塩溶液(NaHCOを含むNaCO溶液)を電解槽に取り込み、炭酸塩溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する。なお、第1システムおよび第2システムでの反応は、上述した混合ガス分離方法の欄(第1工程および第2工程)で説明したとおりである。
【0042】
このようなシステムは、以下の利点(1)〜(4)を有する。
(1)第1システムにおいて、炭酸塩の析出を防止することができるため、高温が必要となる炭酸塩の分離過程を省略することができるのみならず、第2システムで生成したNaOHを第1システムで再利用することができる。このため、二酸化炭素回収の効率を向上させることができ、しかも、両システムでの反応が、常温、常圧の穏和な条件下で進行するため、加熱および加圧を必要とせず、エネルギー的に無理のないシステムが構成可能である。
(2)第2システムにおいて、二酸化炭素が生成されるアノード側の反応を好適に制御することで、二酸化炭素回収の効率を向上させることができる。
(3)第2システムにおいて、二酸化炭素の回収を、従来技術とは異なり、炭酸塩の形態を経ないことを前提とした電気分解により行っているため、二酸化炭素の回収システムを簡素化することができ、小規模な二酸化炭素排出源に対しても適用できるという点で、低廉な二酸化炭素の回収を実現することができる。
(4)第1システムおよび第2システムを通して、最終的に生成される物質は、二酸化炭素、酸素、およびクリーンなエネルギー媒体である水素のみであり、他の物質の生成はない。このため、当該システムは、環境影響が極めて小さいシステムである。また、これらの物質、例えば、アノード側で回収された二酸化炭素と酸素との混合ガスは、酸素富化ガスとして燃焼プロセスに利用することができる他、当該混合ガスをカソード側で回収された水素とともに溶融炭酸塩型燃料電池の燃料として利用することができる。このため、本発明の混合ガス分離システムにより、二酸化炭素回収だけでなく、生成エネルギー利用システムのさらなる高度化も同時に図ることができる。
【0043】
このようなシステムは、さらに、以下の利点(5)を有する。
(5)第2システムにおいて、電解反応の条件設定、例えば、印加電圧の制御等、および/または電解槽中へのイオン交換膜の配設により、反応による生成気体の組成の制御が可能性である。
【0044】
以上に示すシステムにおいては、上記混合ガス分離方法の欄で記載したように、炭酸塩溶液(中性塩溶液)の槽と電極が浸漬されている電解質溶液の槽とを、何らかの要素(例えば、バイポーラ膜)において分離するとともに、カソード側においては、中性塩の濃縮液の槽と電極が浸漬されている電解質溶液の槽とを同様に分離することで、二酸化炭素の回収効率をさらに向上させることができる。また、アノード側の炭酸溶液の槽とカソード側の中性塩の濃縮液の槽を交互に複数配設し、これらを両極がそれぞれ浸漬された電解質溶液の槽で挟むことにより、さらに二酸化炭素の回収効率をさらに向上させることができる。
【実施例】
【0045】
以下に本発明の実施例を示し、本発明の効果を実証する。
(第1工程)
二酸化炭素を含む混合ガス(成分:窒素85%、二酸化炭素15%)をアルカリ溶液(水酸化ナトリウム)を入れた容器にバブリングすることでガス中の二酸化炭素のみが吸収され、炭酸塩溶液(炭酸水素ナトリウム水溶液)を生成するとともに、気相中に残存した二酸化炭素以外のガスを廃棄した。
【0046】
(第2工程)
まず、本例第2工程において採用した原理を示す。図4は、本例第2工程の電気分解の基本原理を示す模式図である。同図に示すように、脱塩槽には炭酸塩水溶液を導入し、陽イオン交換膜を挟んで濃縮槽には中性塩溶液を導入する。脱塩槽の濃縮槽とは逆側にはバイポーラ膜を隔てて陽極室があり、電解質溶液(硫酸ナトリウムなど)で満たされている。一方、濃縮槽の脱塩槽とは逆側には同じくバイポーラ膜を隔てて陰極室があり、電解質溶液(硫酸ナトリウム)で満たされている。陽イオン交換膜は陽イオンのみを透過させる働きを持つ膜である。一方、バイポーラ膜は、水を分解して水素イオンと水酸化物イオンとを供給する膜である。電極間に外部から電位差を与えると、(例えば、供給室の炭酸塩が炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの場合には)、脱塩槽の炭酸塩水溶液からナトリウムイオンが陽イオン交換膜を通過して濃縮槽側に移動する。同時に、脱塩槽では、脱塩槽と陽極室の間のバイポーラ膜から水素イオンが供給されて電荷の中性が保たれる。一方、濃縮槽にはナトリウムイオンが入り込むと同時に、陰極と濃縮槽との間のバイポーラ膜から水酸化物イオンが供給されて電荷の中性が保たれる。その結果、脱塩槽ではpHが低下する一方、濃縮槽ではナトリウムイオンと水酸化物イオンの濃度が上昇する。脱塩槽では、pHの低下により反応式(6)、反応式(7)に従って二酸化炭素ガスが発生する。一方、濃縮槽では、水酸化ナトリウムが生成する。このような原理により、炭酸水溶液から二酸化炭素ガスと水酸化ナトリウムを回収できることになる。
CO2−+H→HCO (反応式6)
HCO+H→CO+HO (反応式7)
【0047】
次に、上記原理を用いた、本実施例の第2工程で使用可能な具体的な二酸化炭素回収装置を詳説する。
図5は、本例第2工程の電気分解において使用可能な二酸化炭素回収実験装置を示す模式図である。同図に示すように、電気透析槽は、両端に電極室があり、その間に脱塩槽と濃縮槽とが交互にサンドイッチ状に配置された構造になっている。即ち、この構造は、図4に示す基本原理の構造を複数組み合わせた構造である。脱塩槽と濃縮槽とは、陽イオン交換膜またはバイポーラ膜で仕切られている。脱塩槽には炭酸塩水溶液を、濃縮槽には適当な電解質溶液を液体ポンプで流通させる。溶液はそれぞれのタンクから、各脱塩セルに分岐させながら液体ポンプで導入する。セル通過後のそれぞれの溶液は、脱塩槽から排出された流れ、または濃縮槽から排出された流れごとに合流させる。脱塩槽から排出される溶液から発生する二酸化炭素ガスは、気液分離器によって分離される。分離させた二酸化炭素ガスは流量を測定後、その組成をガスクロマトグラフィによって決定する。また、分離後の溶液は脱塩溶液用のタンクに戻され、再び脱塩槽に送り込まれる。濃縮槽に送り込む電解質溶液も同様に、セルを通過後合流してタンクに戻され、再び濃縮槽に送り込まれる。各電極室は電解質溶液で満たされ、その中に電極が浸されており、これらは外部直流電源に接続されている。
【0048】
さらに、上記装置を用いることを前提に、実際に行なった実験条件について詳述する。(1)溶液
脱塩槽溶液には炭酸水素ナトリウム溶液を用い、その濃度を0.6〜1.0Mとし、その流量を1L/minとした。また、濃縮槽溶液には炭酸ナトリウム溶液を用い、その濃度を金属イオン濃度で0.1〜0.5Mとし、その流量を3L/minとした。さらに、陽極室溶液には濃度0.25Mの硫酸ナトリウム溶液を用い、その流量を5L/minとし、陽極には白金を用いた。加えて、陰極室溶液には濃度0.25Mの硫酸ナトリウム溶液を用い、その流量を5L/minとし、陰極には白金を用いた。
【0049】
(2)電流密度
電流密度は、9.5mA/cmとした。
【0050】
(3)脱塩槽と濃縮槽との数
図5に示す例では、脱塩槽と濃縮槽とを交互に合計4槽用いているが、実際にはこれらの槽は合計で10槽とした。また、これらの10槽の全容積は15.75cm(図5における紙面に垂直方向の面積210cmに、図5における横方向の長さ0.75mmを乗じた容積)であった。
【0051】
(4)バイポーラ膜およびイオン交換膜
バイポーラ膜は、ネオセプタBP−1E(アストン社製)を用いた。これは、スチレン、クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼンの炭化水素をベースとして陽イオン交換基または陰イオン交換基を導入した陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を貼り合わせた構造を持つ。有効膜面積を210cmとした。陽イオン交換膜は、旭硝子製の炭化水素系高分子である(セレミオンCMV)とし、有効膜面積を210cmとした。
【0052】
(実施結果)
以下に、実施結果を示す。図6は、1次側である脱塩槽のpH(縦軸)と電気透析時間(横軸)との関係、および2次側である濃縮槽のpH(縦軸)と電気透析時間(横軸)との関係、ならびに二酸化炭素発生速度(縦軸)と電気透析時間(横軸)との関係を示すグラフである。同図によれば、電気透析開始後10分程度で、二酸化炭素発生量はほぼ一定値に達し、その値は1.5×10−4mol/s程度であった。また、脱塩槽のpHは時間とともに減少し、80分後には6程度になった。これに対し、濃縮槽のpHは時間とともに上昇し、80分後には14程度になった。
【0053】
以上の結果から、本実施例のシステムにより、簡便な装置構成で二酸化炭素の分離を低廉に行なうことができることが確認された。また、本実施例のシステムにより、定常時の二酸化炭素の発生速度は、系に流している全電流値から計算した理論発生速度の60%程度であることが判明した。この値は、従来技術においては実現し得ない値である。ここで、上記理論発生速度とは、すべての電流(=イオンの移動)が二酸化炭素発生に使用されたと仮定した場合の二酸化炭素発生速度である。従って、本実施例のシステムにより、二酸化炭素の回収・貯留のための回収部分を効率よく行うことができることも併せて確認された。
【0054】
(参考データ)
なお、参考データとして、図7に、二酸化炭素の発生速度(縦軸)と電流値である電流密度(横軸)との関係、およびエネルギー所要量(縦軸)と電流密度(横軸)との関係を示すグラフを掲載する。ここで、図7の縦軸は、1kgのCOを回収するのに必要なエネルギーを意味する。電流密度は、2.4〜9.5mA/cmの範囲で変化させた。同図に示すように、二酸化炭素の発生速度は、電流値(電流密度)の増加に対してほぼ比例して増加した。また、二酸化炭素回収の所要エネルギーは、0.8〜1.0kWh/kg−COであった。
【0055】
また、参考データとして、図8に、二酸化炭素の発生速度(縦軸)とセル数(横軸)との関係を示すグラフを掲載する。ここで、セル数とは、図5における脱塩槽と濃縮槽とからなる槽の合計数(合計段数)を意味する。同図に示すように、セル数が増大すると、二酸化炭素の発生速度が上昇することが判る。これは、セル数が増大すると、セルと両電極室とからなる電気透析槽全体に占める、電気分解に係る部分(両電極室)の割合が減少し、換言すれば二酸化炭素発生に係る部分(セル)の割合が増大するためであると考えられる。
【0056】
さらに、参考データとして、図9に、電極電圧/全電圧(縦軸)とセル数(横軸)との関係、およびエネルギー所要量(縦軸)とセル数(横軸)との関係を示すグラフを掲載する。同図に示すように、セル数が増大すると、電極電圧/全電圧およびエネルギー所要量がともに低減されることが判る。これは、セル数が増大すると、結果的に、両電極以外の部分に印加される電圧が増大し、これにより、電気分解に係る部分(両電極室)以外の二酸化炭素発生に係る部分(セル)で使用される電力の割合が増大するためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の混合ガス分離方法およびシステムは、地球温暖化対策として二酸化炭素回収・貯留技術の開発が要請されている近年において、特に二酸化炭素の回収を、効率良く、しかも低廉に行うことができる点で有望である。
また、本発明の混合ガス分離方法およびシステムは、二酸化炭素の発生源としての大気のみならず、二酸化炭素の集中発生源に対しても適用することができ、汎用性が高い点で有望である。
さらに、本発明の混合ガス分離方法およびシステムは、二酸化炭素回収技術として実用化されることで、人為的二酸化炭素発生量の約2/3を占める、分散型発生源からの二酸化炭素の回収、固定が可能となる。このため、本発明は、温暖化防止のための1つの有効な解決手段となる点で有望である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の混合ガス分離方法における第1工程を示す模式図である。
【図2】本発明の混合ガス分離方法における第2工程を示す模式図である。
【図3】本発明の混合ガス分離システム全体を示す模式図である。
【図4】実施例の第2工程における電気分解の基本原理を示す模式図である。
【図5】実施例の第2工程における電気分解において使用可能な二酸化炭素回収実験装置を示す模式図である。
【図6】1次側である脱塩槽のpH(縦軸)と電気透析時間(横軸)との関係、および2次側である濃縮槽のpH(縦軸)と電気透析時間(横軸)との関係、ならびに二酸化炭素発生速度(縦軸)と電気透析時間(横軸)との関係を示すグラフである。
【図7】二酸化炭素の発生速度(縦軸)と電流値である電流密度(横軸)との関係、およびエネルギー所要量(縦軸)と電流密度(横軸)との関係を示すグラフである。
【図8】二酸化炭素の発生速度(縦軸)とセル数(横軸)との関係を示すグラフである。
【図9】電極電圧/全電圧(縦軸)とセル数(横軸)との関係、およびエネルギー所要量(縦軸)とセル数(横軸)との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離する方法であって、
前記混合ガスをアルカリ溶液中に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1工程と、
電解槽内で前記炭酸塩溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する第2工程と
を含み、前記第2工程で得られたアルカリ溶液を、前記第1工程のアルカリ溶液として再利用することを特徴とする、混合ガス分離方法。
【請求項2】
前記第2工程での電気分解において、印加電圧、溶液濃度、溶液温度、および電極材料のうちの少なくとも1種を制御することを特徴とする、請求項1に記載の混合ガス分離方法。
【請求項3】
前記第2工程での電気分解において、前記電解槽をイオン交換膜で分離し、アノード側からカソード側に炭酸塩溶液中の陽イオンを通過させることを特徴とする、請求項1または2に記載の混合ガス分離方法。
【請求項4】
前記第2工程での電気分解において、前記イオン交換膜とアノードとの間の炭酸塩溶液、および前記イオン交換膜とカソードとの間の電解質溶液を、それぞれアノードおよびカソードの電解質溶液と混在させないことを特徴とする、請求項3に記載の混合ガス分離方法。
【請求項5】
炭酸溶液の槽と濃縮液の槽とを交互に複数配設することを特徴とする、請求項4に記載の混合ガス分離方法。
【請求項6】
二酸化炭素を含む混合ガスから、二酸化炭素を分離するシステムにおいて、
前記混合ガスをアルカリ溶液に送給して、炭酸塩溶液を生成するとともに、二酸化炭素以外のガスを廃棄する第1システムと、
電解槽内で前記炭酸塩水溶液を電気分解して、二酸化炭素とアルカリ溶液とを生成し、二酸化炭素を回収する第2システムと
を含み、前記第2システムで得られたアルカリ溶液を、前記第1システムのアルカリ溶液として再利用することを特徴とする、混合ガス分離システム。
【請求項7】
前記第2システムでの電気分解において、印加電圧、溶液濃度、溶液温度、および電極材料のうちの少なくとも1種を制御することを特徴とする、請求項6に記載の混合ガス分離システム。
【請求項8】
前記第2システムでの電気分解において、前記電解槽をイオン交換膜で分離し、アノード側からカソード側に炭酸塩溶液中の陽イオンを通過させることを特徴とする、請求項6または7に記載の混合ガス分離システム。
【請求項9】
前記第2システムでの電気分解において、前記イオン交換膜とアノードとの間、および前記イオン交換膜とカソードとの間に、それぞれバイポーラ膜を配設したことを特徴とする、請求項8に記載の混合ガス分離システム。
【請求項10】
前記第2システムでの電気分解において、前記バイポーラ膜とアノードとの間、および前記バイポーラ膜とカソードとの間に、それぞれイオン交換膜をさらに配設したことを特徴とする、請求項9に記載の混合ガス分離システム。
【請求項11】
前記バイポーラ膜および前記イオン交換膜を交互に複数配設したことを特徴とする、請求項9または10に記載の混合ガス分離システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−100211(P2008−100211A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107655(P2007−107655)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年度卒業論文発表会 国立大学法人東京大学主催 平成19年2月21〜22日開催 平成19年2月21日配布
【出願人】(504014060)
【Fターム(参考)】