説明

混合比の制御が可能な塗装装置及び塗装方法

【課題】 主剤ポンプと硬化剤ポンプのそれぞれのピストンストロークを調節するシーソー型2液型塗装装置において、塗装作業の開始時に作業者が入力する混合比、温度、圧力に合わせて、スピンドルモータ部の回転、ヒータ部の温度、ポンプの圧力をそれぞれ制御して、塗料の主剤と硬化剤の混合比を調整しながら塗装作業を行えるようにした塗装装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 スピンドルを備えたスピンドルモータ部であって、スピンドルが混合比調整部材の一端と係合し、混合比調整部材の一端がスピンドルの回転によってスピンドル上で変位するようにしてなるスピンドルモータ部と、塗料の主剤と硬化剤の測定された流量に基づいて両剤の混合比を算出し、算出される混合比が予め設定された混合比に対して所定の誤差範囲を逸脱した場合に、スピンドルの回転を制御する制御部とを備え、主剤と硬化剤の混合比が、スピンドル上における混合比調整部材の一端の位置に応じて調整されるようにした塗装装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業の開始時に作業者が入力する混合比、温度、圧力に合わせて、スピンドルモータ部の回転、ヒータ部の温度、ポンプの圧力をそれぞれ制御して、塗料の主剤と硬化剤の混合比を調整するようにした装置及びその塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、塗装作業は、船舶の製造時に、船舶の骨格として用いられる鉄材の腐食を防止し、船舶の寿命を長く維持する上で非常に重要な必須工程であり、船舶外板、露出した甲板部、上部構造部、ホールド部、バラストタンク部など船舶の多様な部分に対して、これまでは異なる重防蝕塗料組成物を用いてきた。
【0003】
このような船舶部分において、例えば、船舶外板は、常に水中に没している船底部と、水中に没していない(大気に暴露されている)外舷部と、船底部と外舷部の中間に位置して没水と暴露とが交互に繰り返される水線部とに大別することができる。船舶外板の塗装に際し、外舷部は強い太陽光線や荒波に晒されるので外舷部用塗料には耐候性が求められ、船底部は常に没水しているので船底部用塗料には防汚性が求められ、水線部は荒波に晒され、没水と暴露とが繰り返されるので水線部用塗料には耐候性、耐水性及び場合によっては防汚性が求められる。
【0004】
従って、上記した要求事項を満足する塗料で上記各部分を塗装するために、現在は、接着強度などを考慮して専用のプライマーを複数種類準備することによって、それぞれの接着強度と防蝕性を保障している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来技術による塗装作業は、弁制御方式、空圧制御方式、ギアポンプを用いる制御方式などに区分されている。
【0006】
弁制御方式は、空圧部または油圧部に流量センサを取り付け、これを用いて吐出端から出る塗料の主剤と硬化剤の流量を測定し、弁で制御する方法を用いるが、このような方法は流量、粘度、温度、弁の精度に影響され、弁で塗料の流量を調節できないため、高品質の塗装作業を行い難いという問題がある。
【0007】
空圧制御方式は、塗料の主剤と硬化剤の流量を測定し、塗料供給部分の空圧制御を通じて制御するため、低圧力では可能であるものの、高圧力範囲(例えば、プランジャ状のピストン塗装機は100〜400バールの圧力で塗料を吐出する)で圧力と流量を制御するのが現在では殆ど不可能であるという問題がある。
【0008】
ギアポンプを用いる制御方式は、優れた定量性を有しており、そのギア回転数を制御することで塗料の流量を調節することはできるが、これを塗装機と連通させると、塗料の交換時に連続した2個のポンプを洗浄しなければならないため、迅速な色替えが難しく、これにより生産性が低下してしまう。塗装機単独では定量性及び混合比の精度を確保するのが困難であり、ギアポンプ単独では高圧力(最大100バールの水準)を発生させ難く、塗料の顔料成分により深刻な摩耗が生じるため、メンテナンス費用をはじめ、設備費用が上昇し、実際に船舶用塗装装置には用いることができないという不具合がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、主剤ポンプと硬化剤ポンプのそれぞれのピストンストロークを調節するシーソー型2液型塗装装置において、塗装作業の開始時に作業者が入力する混合比、温度、圧力に合わせて、スピンドルモータ部の回転、ヒータ部の温度、ポンプの圧力をそれぞれ制御して、塗料の主剤と硬化剤の混合比を調整しながら塗装作業を行えるようにした塗装装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、塗装装置は、スピンドルを備えたスピンドルモータ部であって、スピンドルが混合比調整部材の一端と係合し、混合比調整部材の一端がスピンドルの回転によってスピンドル上で変位するようにしてなるスピンドルモータ部と、塗料の主剤と硬化剤の測定された流量に基づいて両剤の混合比を算出し、算出される混合比が予め設定された混合比に対して所定の誤差範囲を逸脱した場合に、スピンドルの回転を制御する制御部とを備え、主剤と硬化剤の混合比が、スピンドル上における混合比調整部材の一端の位置に応じて調整されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の様態によれば、スピンドルを有するスピンドルモータ部を備えた塗装装置を用いて塗装を行う方法であって、主剤と硬化剤の混合比を設定するステップと、設定された混合比となるようにスピンドルを回転させるステップと、主剤と硬化剤の混合比を算出するために、両剤の流量を測定するステップと、算出される混合比が設定された混合比に対して誤差範囲を逸脱した場合に、算出される混合比を調整するためにスピンドルを回転させるステップと、調整された混合比で主剤と硬化剤をポンピングするステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シーソー型2液型塗装装置において、塗装作業の開始時に作業者が入力する混合比、温度、圧力に合わせて、スピンドルモータ部の回転、ヒータ部の温度、ポンプの圧力をそれぞれ制御して、塗料の主剤と硬化剤の混合比を5%単位で調整しながら塗装作業を行うことで、従来技術のように、弁で塗料の流量を調節できず、高品質の塗装を行うことができないという欠点や、高圧力範囲で圧力と流量の制御が不可能であるという欠点、ギアポンプと塗装機を連結する場合の塗料の交換時に洗浄及び迅速な色替えが困難であるという欠点、単独で塗装機を用いる場合に混合比の精度を向上させ難いという欠点をいずれも解決できるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明は、シーソー型2液型塗装装置にスピンドルモータ部を設け、スピンドルモータ部のスピンドルのスクリュー部が、主剤ポンプと硬化剤ポンプのストロークを調整するシーソー部の混合比調整部材の一端と係合している。スクリュー部上における混合比調整部材の一端の位置と開始点から終了点まで一定間隔で対応するようにスピンドルの回転数を記憶させ、スピンドルの回転数を制御して塗料の主剤と硬化剤の混合比を調整及び制御することができ、最上の塗装品質を期待できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の好適な実施形態に従って混合比の制御が可能な塗装装置の立体図及びブロック構成図を図1及び図2に示す。塗装装置は、制御部10と、スピンドルモータ部20と、圧力レギュレータ30と、メインポンプ40と、主剤注入部50と、硬化剤注入部60と、主剤ヒータ部70と、主剤センサ部80と、硬化剤ヒータ部90と、硬化剤センサ部100と、ミキサ部110と、高圧スプレーガン120と、シーソー部130とを含む。図3は、図2に示されたスピンドルモータ部20の斜視図である。図3において、モータ36はスピンドル26と結合され、スピンドル26の一端にはスクリュー部26aを含む。図4は、従来のシーソー型塗装機にモータ36を取り付けた図面である。図4において、シーソー部130は、混合比調整部材131及びシーソー部材132を含み、スクリュー部26aは混合比調整部材131の上端と係合している。従来のシーソー型塗装機においては、主剤ポンプ41と硬化剤ポンプ42のストロークを調整するためにシーソー部材132の水平位置が混合比調整部材131によって変えられるのであるが、これについての詳細な説明は省略する。図5(A)及び(B)は、スピンドル26の回転位置別の塗装装置の作動図である。図6(A)及び(B)は、混合比の制御が可能な塗装方法を順に示す図である。制御部10には、塗料の主剤と硬化剤の混合比が例えば基本混合比2:1、3:1、4:1であるときのスピンドル26の回転数が予め記憶される。それぞれの回転数については、基本混合比に対応する混合比調整部材131の上端の位置に達するのに必要なスピンドル26の回転数が算出される。
【0016】
制御部10は、塗装作業の開始時に作業者が混合比、温度、圧力を入力すると、そのうちの入力された混合比に応じて混合比調整部材131の上端が移動するようにスピンドルモータ部20を制御する。その後、制御部10は、主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100に設けられている流量計85により流速を測定し、流量を積算して1分当たりの流量を算出するが、当初は塗装装置と連結されているホース及びフィッティングに空気が充満しており、これを除去してから塗料で充填しなければならないため、塗装装置の動作後、初期の所定時間(例えば動作開始から0〜2分の範囲)のデータを除いてその時間以降に測定された流量算出値をデータとして認め、この認められたデータに基づいて塗料の主剤と硬化剤の混合比を算出し、作業者により入力された混合比と算出される混合比とを比較して、算出される混合比が、入力された混合比に対して所定の設定範囲(例えば±5%の範囲)以内であれば、スピンドルモータ部20のスクリュー部26a上において混合比調整部材131の上端の位置を動かさないように制御するのに対し、所定の設定範囲を逸脱すると、即ち、+5%を上回ると、図3に示すスクリュー部26aの初期位置である「0」ポイント(S1)方向に混合比調整部材131の上端が移動するようにスピンドルモータ部20を1回転させ、−5%を下回ると、図3に示すスクリュー部26aの「終端」ポイント(S2)方向に混合比調整部材131の上端が移動するようにスピンドルモータ部20を1回転させるように制御する。
【0017】
制御部10はまた、塗装作業の開始時に作業者が混合比、温度、圧力をそれぞれ入力すると、そのうちの入力された温度に応じて適正温度を維持するように、主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100に連結されている温度センサ95により測定されたデータをフィードバックして主剤ヒータ部70及び硬化剤ヒータ部90をそれぞれ加熱するように制御する。ここで、制御部10は、主剤ヒータ部70及び硬化剤ヒータ部90のそれぞれに設けられているバイメタル式装置を含む電源スイッチ装置75により、設定温度を超えないように制御することもできる。
【0018】
制御部10は更に、主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100に連結された圧力センサ105により得られた測定圧力が圧力設定範囲の上下限を超えると圧力を遮断するように、圧力レギュレータ30を制御する。
【0019】
スピンドルモータ部20は、制御部10の制御に応じて動作する電気式あるいは機械式モータであって、図3に示すスピンドルモータ部20の断面図に示されているように、固定軸28の両側に設けられたベアリング32と、スピンドル26の回転部26bを回転させるカップリング34と、カップリング34を回転させるかまたは停止させる回転ブレーキ(図示せず)を含むモータ36とを含む。スピンドル26の一方の側にスクリュー部26aが形成され、スピンドル26の他方の側には回転のための回転部26bが形成される。スピンドル26は、固定軸28を貫通しており、固定軸28の両側には、ベアリング32を固定軸28に密着させるように凹溝28aが形成され、ベアリング32の一方の側は、ナット31で止められている。
【0020】
スピンドルモータ部20は、制御部10の移動制御に応じて、電気式である場合は電磁気力により行われる回転ブレーキを含むモータ36をまず作動させてカップリング34を回転させ、次いで、回転部26bを回転させてメインポンプ40内の塗料の主剤と硬化剤の混合比を調整する。ここで、スピンドルモータ部20の回転部26bが回転するとき、スピンドル26がそれと共に回転する。圧力が圧力設定範囲の上下限を超える場合、圧力レギュレータ30は制御部10の制御に応じて圧力が圧力設定範囲の上下限内にあるように圧力を調整する。また、圧力レギュレータ30は塗装作業が終了する場合、メインポンプ40に加えられる圧力を遮断して内部の圧力を除去する。
【0021】
メインポンプ40は、主剤ポンプ41と硬化剤ポンプ42を含み、スピンドル26の回転によって主剤注入部50と硬化剤注入部60から注入される主剤と硬化剤の混合比を調整しながらミキサ部110にポンピングする。また、メインポンプ40は、圧力レギュレータ30の調整により圧力設定の上下限範囲を超えない範囲内で主剤と硬化剤をミキサ部110にポンピングする。
【0022】
主剤注入部50は、制御部10の制御に応じて主剤をメインポンプ40に注入し、硬化剤注入部60は、制御部10の制御に応じて硬化剤をメインポンプ40に注入する。
【0023】
主剤ヒータ部70及び硬化剤ヒータ部90は、制御部10の制御に応じて温度調節のために、ミキサ110に流入する主剤と硬化剤を加熱する。ここで、主剤ヒータ部70及び硬化剤ヒータ部90にはバイメタル式装置を含む電源スイッチ装置75が設けられて制御部10の設定温度を超えないように温度を調節することもできる。
【0024】
主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100には、流量計85、温度センサ95及び圧力センサ105が設けられ、流量計85は流速を測定し、流量を積算して制御部10に供給し、温度センサ95により得られたデータは制御部10にフィードバックされ、圧力センサ105により得られた測定圧力は制御部10に供給されるようにした。ここで、流量計85により測定される流量の値は流量計85の精度と正確度に基づくため、流量計85に対する検証をまず行い、用いる流体の粘度別に1分当りの流量実測値(例えば比重を利用して重さを体積に換算した値)と流量計85の測定値が1%以内の精度を有することを検証しなければならない。
【0025】
ミキサ部110は、メインポンプ40から混合比が調整されてポンピングされる主剤と硬化剤とを混合し、混合済みの塗料が高圧スプレーガン120から噴射されて被塗物に付着される(実際の塗装作業が行われる)ようにする。塗装作業を終了するときに、主剤と硬化剤の混合を行ったミキサ部110に洗浄剤(例えばシンナー)を注入して洗浄する。
【0026】
このように、本発明では、シーソー型2液型塗装装置において、塗装作業の開始時に作業者が入力する混合比、温度、圧力に合わせて、スピンドルモータ部の回転、ヒータ部の温度、ポンプの圧力をそれぞれ制御して、塗料の主剤と硬化剤の混合比を調整しながら塗装作業を行うことで、従来技術のように、弁で塗料の流量を調節できず、高品質の塗装を行うことができないという欠点や、高圧力範囲で圧力と流量の制御が不可能であるという欠点、ギアポンプと塗装機を連結する場合の塗料の交換時に洗浄及び迅速な色替えが困難であるという欠点、単独で塗装機を用いる場合に混合比の精度を向上させ難いという欠点をいずれも解決できる。
【0027】
次に、前述したような構成を有する本発明の実施形態に従って2液型の塗料の混合比を制御して塗装するステップについて説明する。
【0028】
図6(A)及び(B)は、本発明の好適な実施形態による塗装方法を順次示すフローチャートである。
【0029】
まず、塗装作業の開始時に作業者により入力されるデータを判断する(S401)。
【0030】
前記判断(S401)の結果、入力されたデータが混合比である場合(S403)、制御部10では前述した予め記憶された混合比に関する情報を用いて、入力された混合比に応じて混合比調整部材131の上端を移動させる(S405)ようにスピンドルモータ部20を制御する。
【0031】
その後、制御部10では、主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100に設けられた流量計85により塗料の主剤と硬化剤の流量を測定する。当初は塗装装置と連結されているホース及びフィッティングに空気が充填されており、これを除去してから塗料で充填しなければならないため、塗装装置の始動後、初期の特定時間(例えば動作開始から0〜2分の範囲)のデータは除いてその時間以降に測定された流量算出値をデータとして認め、この認められたデータに基づいて主剤と硬化剤の混合比を算出する(S407)。
【0032】
次に、制御部10は、作業者により入力された混合比と算出される混合比とを比較して、算出される混合比が入力された混合比の所定の設定範囲(例えば±5%の範囲)以内であるかをチェックする(S409)。
【0033】
前記チェック(S409)の結果、所定の設定範囲以内であれば、スピンドルモータ部20が停止するように制御する。すると、スピンドルモータ部20では制御部10の停止制御により回転ブレーキを含むモータ36が停止して、結果的に、回転部26bを停止させる(S411)。
【0034】
前記チェック(S409)の結果、所定の設定範囲を逸脱していたら(S413)、即ち、+5%の範囲を上回ると、図3に示すスクリュー部26aの「0」ポイント(S1)方向に混合比調整部材131の上端が移動するように、スピンドルモータ部20を1回転させ(S415)、−5%の範囲を下回ると、図3に示すスクリュー部26aの「終端」ポイント(S2)方向に混合比調整部材131の上端が移動するように、スピンドルモータ部20を1回転させる(S417)ように制御する。このとき、スピンドルモータ部20が電気式である場合、制御部10の制御に応じて電磁気力により行われる回転ブレーキを含むモータ36が動作してカップリング34を回転させ、次いで、回転部26bを回転させる。そうすると、回転部26bが回転し、回転部26bと共にスピンドル26が回転して、スクリュー部26a上における混合比調整部材131の上端の位置が制御される。スクリュー部26a上における混合比調整部材131の上端の位置に応じてメインポンプ40に備えられている主剤ポンプ及び硬化剤ポンプのそれぞれのストロークが制御され、主剤と硬化剤の混合比が調整される。
【0035】
ここで、制御部10は、流量をリアルタイムで測定し、実測混合比を計算して、入力された混合比と比較し、所定の設定範囲(±5%範囲)内に収まるかまたは超えるかを再び点検して、所定の設定範囲内に収まるまでスピンドルモータ部20の回転を制御する。
【0036】
一方、メインポンプ40では、スピンドルモータ部20の回転に応じて主剤注入部50と硬化剤注入部60から注入される主剤と硬化剤の混合比を調整しながら、ミキサ部110にポンピングする(S419)。
【0037】
前記判断(S401)の結果、入力されるデータが温度である場合(S421)、入力温度付近に維持するように、主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100に連結されている温度センサ95により測定されたデータをフィードバックして、主剤ヒータ部70及び硬化剤ヒータ部90は、ミキサ部110に流入する塗料の温度を制御するために塗料を加熱する。ここで、主剤ヒータ部70及び硬化剤ヒータ部90には、バイメタル式装置を含む電源スイッチ装置75を設けて制御部10の設定温度を超えないように温度を調節することもできる。
【0038】
また、前記判断(S401)の結果、入力されるデータが圧力である場合(S425)、主剤センサ部80及び硬化剤センサ部100に連結されている圧力センサ105により得られた測定圧力が入力圧力の設定範囲の上下限内にあるように、圧力レギュレータ30を制御する。圧力設定範囲の上下限を超える場合、圧力レギュレータ30は、メインポンプ40に供給される圧力を圧力設定範囲の上下限内にするように、制御部10により制御される(S427)。
【0039】
メインポンプ40は、圧力レギュレータ30の圧力遮断によって圧力設定範囲の上下限を超えない範囲で主剤と硬化剤をミキサ部110にポンピングする。
【0040】
ミキサ部110では、メインポンプ40から混合比が調整されてポンピングされる主剤と硬化剤とを混合して(S429)、高圧スプレーガン120を用いて実際の塗装作業が行われる(S431)ようにする。ここで、塗装作業を終了するときに、主剤と硬化剤の混合を行ったミキサ部110に洗浄剤(例えばシンナー)を注入して洗浄し、圧力レギュレータ30に関してはメインポンプ40に加えられる圧力を遮断して内部の圧力を除去する。
【0041】
このように、本発明では、シーソー型2液型塗装装置のスピンドルモータ部を設け、スピンドルモータ部のスクリュー部が、主剤ポンプと硬化剤ポンプのストロークを調整するシーソー部の混合比調整部材の上端と係合している。スクリュー部上における混合比調整部材の上端の位置と開始点から終了点まで対応するようにスピンドルの回転数を記憶させ、スピンドルの回転数を制御して主剤と硬化剤の混合比を調整及び制御することができるため、最上の塗装品質を期待できる。
【0042】
以上、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の実施形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】混合比の制御が可能な装置の斜視図である。
【図2】本発明の好適な実施形態による混合比の制御が可能な塗装装置のブロック図である。
【図3】図2に示したスピンドルモータ部の斜視図である。
【図4】シーソー型塗装機にモータを取り付けた断面図である。
【図5】(A)及び(B)よりなる、図2に示したスピンドルモータ部の回転位置別塗装装置の作動図である。
【図6】(A)及び(B)よりなる、本発明の好適な実施形態による混合比の制御が可能な塗装方法を順次示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10 制御部
20 スピンドルモータ部
30 圧力レギュレータ
40 メインポンプ
50 主剤注入部
60 硬化剤注入部
70 主剤ヒータ部
80 主剤センサ部
90 硬化剤ヒータ部
100 硬化剤センサ部
110 ミキサ部
120 高圧スプレーガン
130 シーソー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装装置であって、
スピンドルを備えたスピンドルモータ部であって、前記スピンドルが混合比調整部材の一端と係合し、前記混合比調整部材の前記一端が前記スピンドルの回転によって前記スピンドル上で変位するようにしてなるスピンドルモータ部と、
塗料の主剤と硬化剤の測定された流量に基づいて両剤の混合比を算出し、前記算出される混合比が予め設定された混合比に対して所定の誤差範囲を逸脱した場合に、前記スピンドルの回転を制御する制御部とを備え、
前記主剤と前記硬化剤の混合比が、前記スピンドル上における前記混合比調整部材の前記一端の位置に応じて調整されるようにしたことを特徴とする塗装装置。
【請求項2】
前記主剤及び前記硬化剤を、前記設定された混合比でそれぞれポンピングするメインポンプと、
前記メインポンプによりポンピングされた前記主剤及び硬化剤を混合するためのミキサ部と、
前記メインポンプに供給される前記主剤及び硬化剤の圧力を調節する圧力レギュレータと、
前記ミキサ部に流入する前記主剤及び前記硬化剤をそれぞれ加熱する主剤ヒータ部及び硬化剤ヒータ部と、
前記主剤及び前記硬化剤の流量、温度、圧力を測定するための主剤センサ部及び硬化剤センサ部と、
前記ミキサ部内の混合された塗料を高圧スプレーで噴射する高圧スプレーガンとを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の塗装装置。
【請求項3】
前記制御部が、塗装作業のための温度設定が維持されるように前記センサ部を用いて前記主剤ヒータ部及び前記硬化剤ヒータ部の加熱を制御することを特徴とする請求項2に記載の塗装装置。
【請求項4】
前記主剤ヒータ部及び前記硬化剤ヒータ部が、バイメタル式装置をそれぞれ備えることを特徴とする請求項3に記載の塗装装置。
【請求項5】
前記制御部が、塗装作業のための圧力設定が維持されるように前記センサ部を用いて前記圧力レギュレータを制御することを特徴とする請求項2に記載の塗装装置。
【請求項6】
前記スピンドルモータ部が、
前記スピンドルを支持する固定軸と、
前記固定軸を基準に両側に形成されているベアリングと、
前記混合比調整部材と係合する前記スピンドルの一端に形成されているスクリュー部と、
前記スピンドルの他端に設けられている回転部と、
前記回転部と結合するカップリングと回転ブレーキを備え、前記カップリングを回転及び停止させるモータと、
前記ベアリングとカップリングとの間に配置されているナットとを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の塗装装置。
【請求項7】
前記所定の誤差範囲が±5%であることを特徴とする請求項6に記載の塗装装置。
【請求項8】
前記設定された混合比に対する前記算出される混合比の誤差が+5%を上回った場合に、前記混合比調整部材の前記一端が前記スクリュー部の自由端の方向に変位するように前記スピンドルを回転させることを特徴とする請求項7に記載の塗装装置。
【請求項9】
前記設定された混合比に対する前記算出される混合比の誤差が−5%を下回った場合に、前記混合比調整部材の前記一端が前記スクリュー部の前記自由端と反対の方向に変位するように前記スピンドルを回転させることを特徴とする請求項7に記載の塗装装置。
【請求項10】
スピンドルを有するスピンドルモータ部を備えた塗装装置を用いて塗装を行う方法であって、
前記主剤と前記硬化剤の混合比を設定するステップと、
前記設定された混合比となるように前記スピンドルを回転させるステップと、
前記主剤と前記硬化剤の混合比を算出するために、両剤の流量を測定するステップと、
前記算出される混合比が前記設定された混合比に対して所定の誤差範囲を逸脱した場合に、前記算出される混合比を調整するために前記スピンドルを回転させるステップと、
前記調整された混合比で前記主剤と前記硬化剤をポンピングするステップとを含む方法。
【請求項11】
前記所定の誤差範囲が±5%であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記主剤と前記硬化剤の温度を設定するステップと、
前記主剤と前記硬化剤の温度を測定して前記設定された温度から外れないように制御するステップとを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記主剤と前記硬化剤の圧力を設定するステップと、
前記主剤と前記硬化剤の圧力を測定して前記設定された圧力から外れないように制御するステップとを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の混合比制御可能塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−269013(P2009−269013A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166775(P2008−166775)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(508192407)三星重工業株式会社 (21)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG HEAVY IND.CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】530,Jangpyeong−ri,Shinhyeon−eup,Geoje−si,Gyeongsangnam−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】