説明

混合気泡の製造方法及び該混合気泡を用いた容器のガス置換方法、並びに混合気泡の製造装置

【課題】簡単な装置で且つ低コストで混合気泡を安定して製造し、該混合気泡により容器詰のガス置換に利用して容器内の高脱酸素を安定して行なうことができ、果実缶詰の内容物の褐変や缶内面の脱錫や腐食を防ぐ。
【解決手段】内容物の液汁や気泡生成助剤を含む気泡生成液を製造してメインタンク2に貯留し、それに不活性ガスを混合して混合気泡液とした後に撹拌して混合気泡を生成し、該混合気泡の大きさを調整して取り出し、容器に詰めて容器のガス置換に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、特に金属缶等の容器のガス置換を行なうのに最適な混合気泡の製造方法、及び製造された混合気泡を用いた容器のガス置換方法並びに混合気泡の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器詰食品等の製造ラインにおけるガス置換包装方法は、容器内に窒素ガス等の不活性ガスを直接吹き込むことによって容器内の空気を不活性ガスに置換する不活性ガスフロー法、又は容器をチャンバー内でバキュームして空気を除去するバキューム法等が採用されている。しかしながら、前者は飲料缶等大量生産ラインには広く採用されているが、装置が高価であり、また、例えば容器が金属缶の場合、1缶当たりヘッドスペースの200倍から300倍の不活性ガスを必要とするため、ランニングコストが高く小ロット生産にはコスト高をもたらす。一方後者は、吸引率を高くすると容器が凹む問題があるため吸引率の限界があり脱酸素として不十分であった。すなわち、金属缶におけるバキュームシールは打検による密封検査が主目的で行われ、真空度は20〜30cmHg程度と低く、脱酸素としては不十分であった。さらに、合成樹脂の熱成形容器におけるガス置換方法として、ヘッドスペースにガス、水及び泡沫生成助剤からなる泡沫を充填してシール材で密封する方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
ところで容器が金属缶の場合、容器内の酸素の存在によって、内容物の酸化劣化のみならず、容器自体の腐食が進行し易くなるという問題点がある。特に、みかん缶詰等の内容物が褐変し易い果実缶詰の場合、脱錫により鉄面に対する錫の保護作用がなくなり、内容物が褐変するという問題がある。そのため、みかん缶詰の場合、錫めっき量が少ない錫量2.8g/mのプレーン缶(無塗装ブリキ缶)は使用できず、錫の厚みを厚くした高価なブリキの例えば錫量11.2g/mのプレーン缶を採用している。
さらに、金属缶では、内容物とヘッドスペースの界面にもいわゆる界面腐食が生じやすいという問題もある。したがって、従来これらの問題に対処するためには、金属缶内面の錫めっきを厚くしたり、内面塗装、樹脂フィルム被覆等の高価な内面処理が必要であり、コスト高をもたらしている。また、果実缶詰のように、錫の還元作用を利用して褐変を防止する場合には無塗装とする必要があるため、脱酸素は重要な課題となっていた。
また、金属缶では缶胴がブリキ、ティンフリースチール等のスチール製であっても、開缶のし易さの観点から缶蓋にはアルミニウム製のイージーオープン蓋(フルオープンエンド)を採用するのが一般的であるが、その場合種類の異なる金属同士の接触によるいわゆるガルバニック腐食が起こり、缶蓋と缶胴の巻締部近傍内面のアルミ蓋に腐食が生じやすくなり、穿孔による漏洩が生じ易いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2740861号公報
【特許文献2】特開平4−363135号公報
【特許文献3】特開平6−296844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように金属缶の場合は、他の材質の容器に比べて界面腐食やガルバニック腐食が生じるという問題点があるが、それらの発生原因は金属缶内の酸素の存在が影響していることが知られている。したがって、金属缶の場合は、内容物の酸化劣化を防ぐと共に金属缶の腐食を防ぐためにも、また低コストの金属缶を果実缶詰等の褐変しやすい内容物への適用を可能にするためにも、高価な設備を必要とすることなく、高度の脱酸素状況下で金属缶を密封保持できる技術の確立が求められている。また、内容物が固形物の場合、固形物間の隙間に存在する空気を高度にガス置換することは困難であり、従来そのような要求を満足する脱酸素技術は確立されていない。
【0006】
そこで、本発明は、前記要求に応える脱酸素技術を提供しようとするものであり、簡単な装置で安定して且つ低コストで衛生的に不活性ガスの混合気泡を製造できる混合気泡の製造方法及びその製造装置、並びに該混合気泡を使用して内容物が固形物であっても金属缶等の容器内の高脱酸素を安定して行なうことができ、果実缶詰のように褐変しやすい内容物でも缶内面の脱錫や腐食を防ぎ安価な容器の採用を可能にする混合気泡の製造方法及び該混合気泡を用いた容器のガス置換方法、並びに混合気泡の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は前記問題点を解決するために種々研究した結果、ガス置換方法として、従来の単に不活性ガスをヘッドスペース内に吹き込むのに比べて、泡の中に不活性ガスを封じ込めて該泡を容器内に充填して密封することによって、密封後に消泡して高置換率でガス置換ができ、脱酸素を高度に高めることが可能であり、且つ該置換方法を金属缶に適用することによって金属缶の前記問題点を解決できると共に、泡に封じ込めるガスを選択することによって、ガス置換ばかりでなく負圧缶の製造や無菌缶あるいはリークテスター機能等の副次的機能を持たせることができることを見出した。しかしながら、気泡生成液にガスを吹き込んで攪拌して混合気泡を製造する場合、泡立ちが時間と共に減少して安定的に泡を発生させず、均一な混合気泡を得ることが困難である事が分かり、さらに研究した結果それを克服することができる本発明に到達したものである。
【0008】
前記課題を解決する本発明の混合気泡の製造方法は、(a)水、及び/又は内容物の液汁と気泡生成助剤との混合液、(b)内容物の液汁のみ、(c)又は前記液汁に水を混合した混合液の何れかから成る気泡生成液を製造し、該気泡生成液に不活性ガスを混合して混合気泡液とした後に撹拌して混合気泡を生成し、該混合気泡の大きさを調製して容器のガス置換に用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、混合気泡の大きさを調製して一様な大きさの混合気泡を得ることができ、該混合気泡を容器のガス置換に採用することにより、ガス置換率のバラツキが少ない安定した高度なガス置換を行なうことができる。
【0009】
前記気泡生成液中の気泡生成助剤の濃度をモニタリングして調整することにより、常に一定の泡立ちを得ることができる。前記混合気泡の大きさの調整は、例えば、気泡生成液の流速と不活性ガスの流量の調整或いは静的気泡発生ノズルの孔の大きさと不活性ガスの流量の調整によって行うことができる。また、前記混合気泡の生成時に、混合気泡に含まれる水、或いは液汁を回収、循環することによって、泡間に存在する気泡生成液を除去することができ、気泡生成液分の少ない混合気泡を得ることができ、ガス置換に使用するのに望ましい混合気泡を得ることができる。前記不活性ガスは、窒素ガス等の一種類の不活性ガスに限らず、2種以上の不活性ガスを混合して使用することができ、炭酸ガスと他の不活性ガスから成る場合、炭酸ガス濃度を25%〜50%にすると、該混合気泡の容器への充填密封後に炭酸ガスが内容物に吸収されることにより、容器変形を防止しつつ、内圧が負圧になる容器詰製品を得ることができ、缶詰の場合は打検適性に優れた缶詰を得ることができる。また、他のガスとしてヘリウムガスを、1〜10%含有させることにより、少ないヘリウムガス量で精密な漏洩検査が可能となり、密封保証に優れた高密封性容器詰製品を得ることができる。
【0010】
前記課題を達成する本発明の容器のガス置換方法は、前記混合気泡の製造方法によって得られた混合気泡を、内容物を充填する容器に充填して密封することを特徴とする。
本発明によれば、不活性ガスからなる混合気泡を容器のヘッドスペースに満杯状態で充填することにより、ヘッドスペースのガス(空気)全体を泡に置換した状態で密封できるから、密封後に自然に消泡することでヘッドスペースが不活性ガスに置換され、従来の置換方法と比べて、1容器当たりヘッドスペースとほぼ同量乃至数倍の不活性ガスの使用量でよく、顕著に不活性ガスの使用量を減らすことができるとともに高ガス置換を達成できる。
【0011】
前記内容物が固形物と液汁からなる場合、混合気泡を、内容物充填後の容器のヘッドスペースに充填することができるが、前記内容物の固有の気泡を除去した後、混合気泡を充填するのがより望ましい。また、前記内容物が固形物から成る場合、容器に混合気泡、内容物、及び混合気泡を順次充填することによって、固形物間の隙間に存在するガスも効果的に置換でき望ましい。また、内容物が固形物の場合、内容物の種類によっては容器にドライアイス、内容物、及び混合気泡を順次充填することも望ましい。以上のように混合気泡の充填量は、ヘッドスペースから盛り上がる量が望ましく、その場合密封直前に余分の混合気泡を除去してから密封するのが望ましい。前記混合気泡を無菌化して用いることによって、充填後から殺菌工程までの内容物の腐敗または品質低下を防止し、容器詰製品の品質を高く維持することができる。また、前記混合気泡を予め殺菌、或いは抗菌、殺菌、制菌成分を含有させることによって、安価な設備で混合気泡の衛生性を保つことができる。
前記容器がスチール製の缶胴とアルミニウム製のイージーオープン蓋であっても、本発明のガス置換方法によれば、脱酸素率が高くガルバニック腐食を防止できるので、特に塩分濃度が高いマッシュルーム水煮、銀杏水煮等の内容物に用いるブリキの無塗装缶や、魚肉缶等の内容物に用いることができるが塗膜欠陥があった場合に穿孔問題を生じ易いティンフリースチール塗装缶であっても、開缶が容易なスチール製の缶胴とアルミニウム製のイージーオープン蓋の容器を適用できる。
【0012】
前記課題を達成する本発明の混合気泡の製造装置は、(a)水及び/又は内容物の液汁と気泡生成助剤との混合液、又は(b)内容物の液汁、(c)又は前記液汁に水を混合した混合液の何れかから成る気泡生成液をタンクに供給する気泡生成液供給手段、不活性ガス供給手段、前記気泡生成液と前記不活性ガスを混合、撹拌する撹拌混合手段、前記撹拌混合手段で生成される混合気泡の大きさを調製する混合気泡調製手段、及び前記撹拌混合手段で生成された混合気泡を前記タンクから取り出す混合気泡取出し手段から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の混合気泡の製造装置は、前記気泡生成液中の気泡生成助剤の濃度のモニター手段及び調製機構を有するのが望ましい。それにより、気泡生成液を常に一定状態に保つ事ができ、長時間の連続稼動であっても安定して一定状態の泡立ちを得ることができる。その結果、それにより製造された泡を容器に充填することによって、安定して均一のガス置換率を得ることができる。
また、本発明の混合気泡の製造装置は、前記調製手段として撹拌混合手段内の圧力と外気圧の圧力を調製するものを採用できる。また、前記撹拌混合手段に、混合気泡に含まれる水、或いは液汁の回収循環手段を連結することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る混合気泡の製造方法及び製造装置によれば、不活性ガスの混合気泡を安定して製造でき、しかも混合気泡の大きさを調整して所望する一様な大きさの混合ガスを得ることができる。不活性ガスに炭酸ガスやヘリウムガス等必要に応じて所望するガスを混合することにより、それらのガスが混入した気泡を用途に応じて製造できる。また、製造中気泡生成液の濃度や液中の気泡生成助剤の濃度を常に監視して調整することによって、長時間にわたって安定して泡立ち均一な混合気泡を製造することができる。
【0015】
また、本発明に係る容器のガス置換方法によれば、不活性ガスからなる混合気泡を容器のヘッドスペースに満杯状態で充填することにより、ヘッドスペースのガス全体を混合気泡に置換できるから、従来の置換方法と比べて顕著に不活性ガスの使用量を減らすことができるとともに、高ガス置換を達成できる。不活性ガスの使用量が少ないにも関わらず容器内の脱酸素率を飛躍的に高めることができる。その結果、従来容器内の酸素の存在によって起こっていた例えば内容物の酸化劣化、褐変、金属容器における内面腐食等の様々な不都合を解消することができ、低コスト容器材を使用することを可能とした。また、不活性ガスを泡状態で容器に封入するので、従来の不活性ガスフローの場合と比べて特段に効率的に不活性ガスを充填でき、不活性ガス量を少なくして高ガス置換ができ経済的である。さらに、泡に含まれる混合ガスを構成するそれぞれのガスの割合も正確に制御できるので、たとえば炭酸ガスを混合する場合の炭酸ガス量を調整することにより、容器の負圧度を適正に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る混合気泡の製造装置の模式図である。
【図2】(a)〜(d)は種々の形態に係る静的気泡発生ノズルを示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る混合気泡の製造装置の模式図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態に係る混合気泡の製造装置の模式図である。
【図5】(a)〜(d)は種々の形態に係る動的気泡発生ノズルを示す模式図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係る混合気泡の製造装置の模式図である。
【図7】貯留された混合気泡の取出し装置の実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明のガス置換方法を適用した実施例に係るみかん缶詰の缶胴内面の脱錫状況示す写真である。
【図9】界面腐食が生じている比較例のみかん缶詰の缶胴内面の写真である。
【図10】界面腐食と不均一脱錫が生じているみかん缶詰の缶胴内面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を基に詳細に説明する。
図1は、本発明に係る混合気泡の製造装置の一実施形態を模式的に示しているものであり、本実施形態は、静的気泡発生ノズルを用いている。
混合気泡の製造装置1は、メインタンク2に気泡生成液供給手段3、不活性ガス供給手段4、気泡生成助剤補給手段5、タンク内の混合気泡を取り出す混合気泡取出手段6、及び作業終了後にタンク内に残留する気泡液を排出する気泡液排出手段7がそれぞれ接続されて成る。また、メインタンク内には図示を省略しているが、気泡発生液(混合気泡液)を攪拌する攪拌混合手段が設けられている。尚、発生させる気泡量が液量や容器の大きさに対して多い場合には、気泡の発生に伴い気泡発生液が攪拌されるため、攪拌混合手段を必要としない。気泡生成液供給手段3は、気泡液として水及び/又は内容物の液汁と気泡生成助剤を混合して調製した混合気泡液を図示のように適宜の供給手段によりタンク2内に供給する。尚、混合気泡液は、水及び/又は内容物の液汁を気泡生成液供給手段3よりメインタンク2に供給すると共に、気泡生成助剤補給手段5より気泡生成助剤を供給して、メインタンク2内で混合して気泡生成液12を調製してもよい。
気泡生成液12は、必ずしも気泡生成助剤を必要とせずに、内容物の液汁が泡立ちやすい液汁(例えばミルク入りコーヒー飲料、茶飲料等)であれば、液汁のみ、又は前記液汁に水を混合したものであってもよい。尚、図示していないが、常に一定の混合気泡の発生を確保するために、気泡生成液の状況(内容物の液汁だけの場合は液汁濃度、気泡生成助剤を用いる場合は気泡生成液中の気泡生成助剤の濃度)をモニタリングする監視装置が設けられている。
【0018】
不活性ガス供給手段4として、本実施形態では必要に応じて窒素ガスと炭酸ガスの2種類のガスを混合あるいはどちらか一方を選択して供給できるようになっており、ガス混合装置15にそれぞれ窒素ガス供給源又は炭酸ガス供給源に連通している窒素ガス供給管16と炭酸ガス供給管17がそれぞれ流量調節弁18、19を介して接続されている。ガス混合装置15には、そのほか必要に応じて後述するように容器の正確な漏洩検査を必要する場合、ヘリウムガス供給管を接続してヘリウムガスを混合するようにすることもできる。あるいは、窒素ガスを混合しない場合は、窒素ガス供給管16からヘリウムガスを供給するようにする。すなわち、図示の実施形態では2本のガス供給管を有しているので、2種類のガスを混合することが可能である。3種類以上のガスを混合する場合には、ガス供給管を適宜増加すれば良い。
ガス混合装置15とメインタンク2を接続する供給管の先端部には、静的に気泡生成液内に気泡を発生させる静的気泡発生ノズル20がメインタンク底部を貫通して設けられている。静的気泡発生ノズル20は、公知の種々の形態のものが採用でき、その数例が図2に模式的に示されている。尚、図1において、21は気泡液供給弁、22は気泡取出弁、23は排出弁であり、それぞれ開閉弁で構成されている。
【0019】
図2において、(a)は焼結体で形成された静的気泡発生ノズル20−1、(b)は多孔板で形成された静的気泡発生ノズル20−2、(c)は単孔からなる単孔ノズル20−3、(d)はリングスパージャーからなる静的気泡発生ノズル20−4を示しており、それぞれのノズルにおいて、ノズル孔の大きさと混合ガスの流量を調整することによって、発生する混合気泡の大きさを調整することができる。
【0020】
次に、以上のような構成からなる混合気泡の製造装置1を用いて、混合気泡の製造方法及び製造された混合気泡による容器のガス置換方法の実施形態を説明する。
まず、気泡生成液を製造するが、気泡生成液としては(a)水及び/又は内容物の液汁と気泡生成助剤を混合して得るか、(b)気泡生成助剤を用いないで内容物の液汁、又は(c)前記液汁に水を混合して気泡生成液を得る。気泡生成助剤として、内容物が食品の場合は、食品添加物として認められているグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル類、茶抽出液、卵白アルブミン、ゼラチン、牛乳、大豆タンパク質等の食品または食品に含まれている成分が採用できる。気泡生成液の製造は、前記(a)、(b)あるいは(c)の気泡生成液12を調整し、それを気泡生成液供給手段3によりメインタンク2内に供給する。あるいは他の方法として、気泡生成助剤を添加する場合は、水及び又は内容物の液汁を気泡生成液供給手段3によりメインタンク2に供給すると共に、気泡生成助剤を気泡生成助剤補給手段5より供給して、メインタンク2内で混合して気泡生成液を調製してもよい。
【0021】
次いで、不活性ガス供給手段4より窒素ガス又は炭酸ガスを所定の比率で混合して、混合ガスを静的気泡生成ノズル20を介してメインタンク2内に貯留されている気泡生成液内に下方位置から吹き込み、攪拌混合手段により攪拌することによって、気泡生成液内に混合気泡が発生して、メインタンク2のヘッドスペース内に混合気泡13が充満する。ここで、気泡の大きさはガス置換率に影響を及ぼすので、気泡の大きさを調整する必要があるが、本実施形態の場合には、静的気泡発生ノズル20の孔の大きさと不活性ガスの流量で調製することができる。例えば、静的気泡発生ノズル20の孔を小さくし流量を多くすることによって、混合気泡径を小さくすることができ、ガス置換に好適なる混合気泡を得ることができる。
【0022】
また、混合気泡13の発生状況、特に泡の大きさは気泡生成液の状態にも大きく影響され、本発明者の実験によれば、気泡生成助剤の濃度が低下すると、気泡が装置内で破泡し泡が大きくなってくる。また、取り出した気泡も消泡しやすくなる。そこで、本発明では、気泡生成助剤を使用する場合には、気泡生成液内の気泡生成助剤濃度を、直接的又は間接的にモニターし、それに応じて気泡生成助剤を気泡生成助剤補給手段5から気泡生成液12に投入混合し、濃度を調節している。モニタリング方法として、直接的には濃度を赤外線吸収などの既知の分析方法を用いることができる。また、間接方法としては、色の変化や気泡の大きさ、或いは破泡速度乃至泡密度を目視、あるいはレンズで拡大して測定する方法や、ヘイズメーターの光散乱を利用して曇り度(ヘイズ)、光の直線透過率、あるいは散乱透過率を測定することによりモニターできる。また、光線が白色光線であれば、気泡が小さい程、散乱光が増え、白く見える現象も利用できる。さらに、モニタリングのための光線は、メインタンク2内、或いは気泡取出手段6内の気泡相、または取り出した気泡そのものを透過させてモニタリングすることもできる。そして、モニタリングの結果に基づいて、ポンプ11を駆動して気泡生成助剤タンク10からの気泡生成助剤供給量を制御して、一定濃度を維持するように制御している。
【0023】
一方、内容物の液汁の起泡性を利用する場合には、内容物の液汁そのものを缶詰製造ラインの液汁タンクから液汁を前記メインタンク2に取り入れ、気泡生成助剤は不要となるが、一定の起泡性を維持するためには常に新しい液汁を取り入れ、古い液汁を戻すようにするのが望ましい。図3はその場合の混合気泡の製造装置の実施形態を模式的に示している。即ち、図3に示す混合気泡の製造装置30では、メインタンク2への気泡生成液供給手段3は液汁送液管31に連結され、液汁送液管31から分岐してメインタンク2に気泡生成液12を供給できるようになっている。また、メインタンク2の下方部には気泡生成液戻し管32が液汁送液管31との間に連結され、ポンプ33によりメインタンク2内の気泡生成液12を液汁送液管31に戻すことができるようになっている。それにより、メインタンク2内の気泡生成液12を常に新しい状態に保って、安定した起泡性を確保できるようにしている。
尚、本実施形態においては、図示しないが内容物の液汁を水で希釈して気泡生成液としても良い。
【0024】
以上のようにして、本発明の混合気泡発生装置によれば、生成する混合気泡の大きさを内容物等の条件に応じて、最適大きさに制御でき、且つ安定して一定大きさの混合気泡を得ることができる。そして、混合気泡発生装置で発生した混合気泡は、メインタンク2のヘッドスペースに充満するので、適宜の混合気泡取出手段6により気泡取出弁22を開くことにより取り出すことができ、一定大きさの混合気泡を安定して容器に供給することができる。混合気泡のメインタンク2からの取り出しは、メインタンク2のヘッドスペスース内は、混合気泡の充満により陽圧状態になっているので、図示のように気泡取出弁22を開くことによって、自然に気泡を取り出すことができる。したがって、この混合気泡発生装置を缶詰製造ラインに配置することによって、混合気泡を直接容器内に充填して、容器内を混合気泡によりガス置換を行なうことが可能となる。
【0025】
次に、前記混合気泡発生装置を使用して行なう本発明のガス置換方法の実施形態について説明する。
ガス置換方法として、本実施形態では、前記混合気泡発生装置1を缶詰製造ラインの内容物充填装置の前後に配置して、コンベヤで搬送されてくる空缶にまず混合気泡を充填し、次いで内容物を充填し、その上にさらに混合気泡を充填する。このように、空缶に混合気泡を充填してから内容物を充填することにより、特に固形物の場合投入される固形物の表面に泡の付着率が向上して固形物間に存在する空気が泡によって除去され、内容物充填後のみに混合気泡を充填する場合と比べて、脱酸素効果を高めることができる。そして、金属缶のヘッドスペースより盛り上がっている余分な混合気泡を適宜手段で除去して密封することによって、従来のガス置換方法では達成できなかった高ガス置換率を簡易な装置で達成できる。それにより、後述する実施例に示すように、缶詰の脱酸素率を飛躍的に向上させることができ、みかん缶詰における缶内面のガルバニック腐食や界面腐食を効果的に防ぐことができ、脱錫が減少し、果実のような褐変し易い内容物でも、高価なブリキの錫量が多いプレーン缶を使用することなく、安価な錫メッキ量の少ないプレーン缶や塗装缶、TFS缶も使用可能とすることができる。
【0026】
混合気泡に含まれる混合ガスを窒素ガスと炭酸ガスにすることによって、金属缶等の容器密封後に消泡することによって泡に含まれる炭酸ガスと窒素ガスがヘッドスペース内に存在することになるが、炭酸ガスは内容物に吸収され易いので、その分容器内が負圧になり、打検適正に優れた缶詰が得られる。したがって、混合気泡に含まれる窒素ガスと炭酸ガスの割合を調節することによって、置換後の容器内の炭酸ガスと窒素ガスの割合を0〜100%に調節することができ、それに応じて容器の負圧度の調製が可能となる。尚、一般に食品の炭酸ガスの吸収量は温度の他、内容物のpHなどによって異なり、炭酸ガスの吸収量が高い中性乃至アルカリ性の内容物の場合には、例えば炭酸ガスを25%〜50%とすることによって、真空度(負圧度)が大きくなり打検適性に優れた缶詰を製造することができる。また、炭酸ガスの吸収量が低い酸性の内容物の場合には、例えば炭酸ガスを50%以上に適宜調整する。さらに、混合気泡に含まれるガスとして、窒素ガスと炭酸ガスのほかにヘリウムガスを添加することによって、得られた缶詰の密封度をより高度に検出することが可能となる。従来、高度の密封度を必要とする場合、ヘリウムガスを充填することによって容器からの微小漏れも検出することが可能となり、密封度検査に採用されているが、窒素ガスの吹き込みによりガス置換を行なう場合、ヘリウムガスが外部に逃げ易く、容器内に一定量残留させるためには多量のヘリウムガスを必要とし、高価なヘリウムガスの無駄が多いという問題点があった。本発明の方法によれば、泡の中にヘリウムガスを含ませるので、ヘリウムガスが外部に逃げることなく容器内に封入されるので、ガス置換と共に少量のヘリウムガスで精密な漏洩検査を行なうことができ効率が良い。
【0027】
また、混合気泡を予め殺菌するか、あるいは混合気泡に抗菌、殺菌、制菌成分を含有させることによって、密封後ヘッドスペース内を無菌状態に維持することができる。その場合、装置そのものを予め殺菌しておくことによって、簡単な設備で無菌充填と同様な効果を得ることが可能である。混合気泡の殺菌法としては、メインタンク2内に供給される気泡生成液を予め殺菌すると共に、ガス混合装置15に供給される炭酸ガスや窒素ガスを、除菌フイルターを通して混合装置4に供給することによって、除菌された混合気泡をメインタンク2内に発生させることができる。
【0028】
図4は、本発明に係る他の実施形態の混合気泡製造装置を模式的に示している。本実施形態において、前記実施形態と共通する部分は前記実施形態と同様な符号付して説明を省略し、相違している部分のみについて説明する。本実施形態の混合気泡の製造装置において、前記実施形態と最も相違しているところは、混合気泡の発生メカニズムとして、動的気泡発生ノズルを採用した点である。即ち、本実施形態の混合気泡の製造装置40では、混合気泡発生装置として、気液二層流体方式ノズル41をガス混合装置15に接続すると共に気泡生成液循環管路に接続されている。気泡生成液循環管路42は、図示のように、メインタンク2の下部とポンプ43を介して動的気泡発生ノズル41につながり、その出口管45がメインタンク2の底部に連通している。気泡生成液循環管路42は、動的気泡発生ノズル41の上流側で流量調節弁44の位置で分岐して分岐管42−2を介して再びポンプ43の上流側に連通しており、動的気泡発生ノズル41への流量を流量調節弁44で制御して、余分な気泡生成液12を再びポンプ43の上流に戻すようにしている。尚、気泡生成液循環管路42には気泡生成助剤補給手段5が連結され、メインタンク2内の気泡生成液12内の気泡生成助剤の濃度が低下した場合、動的気泡発生ノズル41に送り込まれる気泡生成液12に適宜気泡生成助剤を補給して、気泡生成液内の気泡生成助剤の濃度を一定に保つようにしている。
【0029】
前記構成において、メインタンク2内の気泡生成液12は、気泡生成液循環管路42を通ってポンプ43により加圧されて流量調節弁44を介して動的気泡発生ノズル41に供給される。一方、窒素ガスと炭酸ガスの混合ガスが混合ガス装置15から動的気泡発生ノズル41に供給される。気液二層流体方式の動的気泡発生ノズル41では、加圧された気泡生成液12が気泡生成液循環管路42から供給されることにより、高圧気泡生成液流に混合ガスが自吸されて剪断作用を受けることにより微細混合ガス気泡となって吐出管45を通って気泡生成液中に吐出される。メインタンク2内の気泡生成液に供給された混合気泡は、浮力によりヘッドスペース内に上昇してメインタンク2のヘッドスペース内に充満する。
【0030】
図5は、従来公知の気液二層流体方式の動的気泡発生ノズルの一例を示している。図において(a)はエジェクター型動的気泡発生ノズル、(b)はインジェクター型動的気泡発生ノズル、(c)はベンチュリー型動的気泡発生ノズ、(d)はスリット型動的気泡発生ノズルを示している。図中Gは気体、Lは液体を示し、それぞれの導入方向を矢印で図示している。
【0031】
前記実施形態に係る混合気泡製造装置40において、ポンプ43によって動的気泡発生ノズル41に送り込まれる気泡生成液の流速(圧力)とガス混合装置15から供給される混合ガスの流量を制御することにより、気泡の大きさが調製できる。また、容器内に充填する混合気泡はなるべくその外周面への気泡生成液付着量、即ち泡と泡の間に含まれる気泡生成液が少ないのが望ましい。しかしながら、短時間に気泡を多く作る場合には、気泡が短時間に製造されるため、泡と泡の間に気泡生成液が多く含まれる。そのため、図示した例ではメインタンク2のヘッドスペ―スを大きくして上方に気泡取出チャンバー46を構成して、該気泡取出チャンバー46に混合気泡取出手段6のパイプを連結することにより、ヘッドスペース内で気泡生成液を多く含む嵩密度の高い気泡は気泡生成液側に移動し、一方嵩密度の低い混合気泡は気泡取出チャンバー46に移動するようにして、気泡生成液の付着が少ない混合気泡を取り出すようにしている。尚、この実施形態ではメインタンク2内に気泡取出チャンバー46を設けたが、メインタンク2のヘッドスペースと混合気泡取出手段6の間に別の気泡取出チャンバー部を設けてもよい。
【0032】
図6は、本発明のさらに他の実施形態に係る混合気泡の製造装置の模式図であり、図4に示す混合気泡の製造装置50において、メインタンク2内に混合気泡間に付着している気泡生成液を除去する気泡生成液除去手段51を付加した実施形態を示している。本実施形態では、メインタンク2内の気泡生成液12の液面近傍に仕切板52を傾斜状に設けて、気泡生成液12内を浮上してくる混合気泡13が該仕切板52に当たってそれに沿って移動することにより、泡間の気泡生成液を除くようにしてある。本実施形態では図示のように仕切板52の上方にさらに別の仕切板53を配置して除去効率を高めるようにしてある。尚、仕切板52、53は、通常の板状体のほか網状のものも採用可能である。
【0033】
以上のような混合気泡製造装置で製造された混合気泡は、上述したように缶詰製造ライン等で直接容器内に充填することにより、効果的なガス置換方法を達成できるが、内容物の充填密封ラインへの配置のほか、混合気泡製造装置で製造した気泡を一旦他の容器に取出して保存しておき、間接的に他の内容物充填容器のガス置換に利用することもできる。図7は、他の容器に一旦保存した混合気泡をその容器から取り出すための装置の一例を示している。
【0034】
図7の実施形態では、耐圧タンク60内にパウチ状容器等の可撓性容器61を収納してなる二重容器を用いている。可撓性容器61の気泡注入・取出口64に気泡注入・取出弁62が設けられている気泡注入・取出パイプ63が連結されている。耐圧タンク60には、窒素ボンベ等の加圧ガスボンベ65が繋いであり、窒素ボンベ側のレギュレータと弁の開閉により、耐圧タンク60内の圧力を調製できるようになっている。耐圧タンク60内の圧力を開放状態にして、可撓性容器61内に混合気泡を注入・取出パイプ63を介して前記のような混合気泡製造装置から取り入れる。この後、気泡注入・取出弁64を閉めて密封し、且つ耐圧タンク60に加圧ボンベ65から加圧ガスを供給して内圧を所望の圧力まで上昇させ、可撓性容器61を一定圧力下に保持することによって、混合気泡を可撓性容器61内に長時間貯留できる。可撓性容器61内に貯留された混合気泡の取出しは、注入・取出弁62を開けることにより、耐圧タンク60内の圧力により気泡を適宜取り出すことができる。尚、このとき耐圧タンク60に取り付けてある弁を閉めて、加圧ガスボンベ65を切り離せば、耐圧タンク60のみを持ち運ぶことができ、任意の場所で気泡を取り出すことができる。尚、可撓性容器61の底部に溜まった起泡液は気泡を取り出すのと同様に、耐圧タンク60の内圧を利用して、前記気泡発生装置にもどすことができる。
【実験例】
【0035】
[実験例1]
図4に示す混合気泡製造装置において、気液二層流体方式のバブル発生装置としてベンチェリー型ジェットを使用して次のような条件で混合気泡を製造した。
(1)気泡生成液
みかん缶詰シラップ:気泡生成助剤(太陽化学製サンソフトQ−14S)=重量比100:0.4(1kg:4g)
(2)不活性ガス(混合ガス)
窒素ガス:炭酸ガス=混合比7:3(流量:1L/分)
(3)混合気泡の生成
前記(1)、(2)の条件において、メインタンクから取リ出した時の混合気泡のヘイズメーターよる曇り度(ヘイズ)が90%以上となるように、メインタンク内の気泡生成液をモニターして不活性ガスの供給量、気泡生成液の循環速度を変えて生成された混合気泡を生成した。尚、取り出した混合気泡のヘイズメーターでの測定は光路長2mmで行った。本実験により、混合気泡の曇り度を監視して、曇り度が常に一定以上になるように、不活性ガスの供給量及び気泡生成液の循環速度を制御することによって、長時間稼動を続けても常に一定曇り度以上、即ち泡が大きくなる傾向を抑制して一定直径以下の泡を生成することができることが確認された。
【0036】
[実験例2]
実験例1と同じ条件の気泡生成液及び不活性ガスを使用して、途中での気泡生成助剤補給手段からの気泡生成助剤の補給を行なわず、一定条件下で60分間稼動した。その結果、メインタンクから取リ出した時の混合気泡のヘイズメーターよる曇り度(ヘイズ)は90%未満であった。これは、気泡直径が大きくなったことを意味し、前記気泡生成助剤が減少したためと思われる。
【0037】
[実験例3]
(1)金属缶
缶胴:内径74.1mm、ブリキ製溶接塗装缶(内容積220ml)
天蓋:アルミニウム製イージーオープン蓋
地蓋:ブリキ塗装蓋
前記金属缶に内容物(みかん+シラップ)を充填後、実験例1で得られた混合気泡をヘッドスペース(35ml)に満杯状態で充填、密封直後に缶内の酸素濃度を測定し結果、0.2mlであった。つまり、缶内の残存酸素量を97.3%も減少させることができた。尚、測定はヘッドスペースのガスを、シリコーン系消泡剤を所定量含むpH4以下に調整した飽和食塩水中で捕集し、マイクロシリンジでサンプリングしてガスクロマトグラフにより組成分析して行った。
【0038】
[実験例4]
醤油モデル液190gを前記金属缶(n=10缶)に充填後、前記実験例1で得られた混合気泡でヘッドスペース(35ml)をガス置換して密封し、初期残存酸素量と、30℃、40日間保存後の開缶時におけるそれぞれのアルミニウム製イージーオープン蓋内面の腐食深度(ガルバニック腐食)の程度を確認した。
尚、前記アルミニウム製イージーオープン蓋内面の塗膜には、それぞれ一部に加熱した先端が鋭利な半田コテで欠陥を付与した。
確認した結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明により、缶内の残存酸素量をバキューム置換の場合と比べて大幅に低減させることができ、且つ蓋内面のガルバニック腐食も大幅に低減できることが確認された。
【0039】
[実験例5]
実験例4において、実験例1で得られた混合気泡を用いずに従来のバキュームによる脱気を行い、同様の評価を行った。
評価した結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、泡間に気泡生成液の存在が少なくほぼ一定大きさの不活性ガス泡を長時間安定して製造することができるので、該不活性ガス泡を容器詰食品や食品以外の薬品等酸素の存在を好まない内容物の容器への密封包装にヘッドスペースに充填することによって従来の不活性ガスフロー方式のガス置換方法と比べて飛躍的にガス置換率を向上させることができ、包装分野において広く利用でき、産業上の利用可能性が高い。特に、缶詰製造分野に適用することによって、内容物が果実であっても褐変することを防止でき、かつ缶の腐食を防止できるので、利用性が高い。
【符号の説明】
【0042】
1、30、40、50 混合気泡の製造装置
2 メインタンク
3 気泡生成液供給手段
4 不活性ガス供給手段
5 気泡生成助剤補給手段
6 混合気泡取出手段
7 気泡液排出手段
10 気泡生成助剤タンク
11、33、43 ポンプ
12 気泡生成液
15 ガス混合装置
16 窒素ガス供給管
17 炭酸ガス供給管
18、19、44 流量調整弁
20 静的気泡発生ノズル
21 気泡生成液供給弁
22 気泡取出弁
23 排出弁
31 内容物送給缶
32 気泡生成液戻し管
41 気液二流体方式の動的気泡発生ノズル
42 気泡生成液循環管路
45 吐出管
51 気泡生成液除去手段
52、53 仕切板
60 耐圧タンク
61 可撓性容器
62 気泡注入・取出弁
65 加圧ガスボンベ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水及び又は内容物の液汁と気泡生成助剤との混合液、(b)内容物の液汁、又は(c)前記液汁と水を混合した混合液の何れかから成る気泡生成液を製造し、前記気泡生成液に不活性ガスを混合して混合気泡液とした後に撹拌して混合気泡を生成し、該混合気泡の大きさを調整して容器のガス置換に用いることを特徴とする混合気泡の製造方法。
【請求項2】
前記気泡生成液中の気泡生成助剤の濃度をモニタリングして調整する請求項1に記載の混合気泡の製造方法。
【請求項3】
前混合記気泡の大きさの調整を、気泡液の流速と不活性ガスの流量を調整することにより、または静的気泡発生ノズルの孔の大きさと不活性ガスの流量を調整することによって行う請求項1又は2に記載の混合気泡の製造方法。
【請求項4】
前記混合気泡の生成時に、混合気泡に含まれる水、或いは液汁を回収、循環する請求項1乃至3の何れか1項に記載の混合気泡の製造方法。
【請求項5】
前記不活性ガスが、炭酸ガスと他の不活性ガスから成り、炭酸ガス濃度が50%以上である請求項1乃至4の何れか1項に記載の混合気泡の製造方法。
【請求項6】
前記他のガスがヘリウムガスから成り、1〜10%含有する請求項5に記載の混合気泡の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載した混合気泡の製造方法によって得られた混合気泡を、内容物を充填する容器に充填して密封することを特徴とする容器のガス置換方法。
【請求項8】
前記内容物が固形物と液汁からなり、混合気泡を、内容物充填後の容器のヘッドスペースに充填する請求項7に記載の容器のガス置換方法。
【請求項9】
前記内容物の固有の気泡を除去した後、混合気泡を充填する請求項8に記載の容器のガス置換方法。
【請求項10】
前記内容物が固形物から成り、容器に混合気泡、内容物、及び混合気泡を順次充填する請求項7に記載の容器のガス置換方法。
【請求項11】
前記内容物が固形物から成り、容器にドライアイス、内容物、及び混合気泡を順次充填する請求項7に記載の容器のガス置換方法。
【請求項12】
前記混合気泡の充填後に余分の混合気泡を除去する請求項7乃至11の何れか1項に記載の容器のガス置換方法。
【請求項13】
前記混合気泡を無菌化して用いる請求項7乃至12の何れか1項に記載の容器のガス置換方法。
【請求項14】
前記混合気泡を予め殺菌、或いは抗菌、殺菌、制菌成分を含有させる請求項13に記載の容器のガス置換方法。
【請求項15】
前記容器がスチール金属缶と、アルミニウム金属蓋である請求項7〜14何れか1項に記載の容器のガス置換方法。
【請求項16】
(a)水及び又は内容物の液汁と気泡生成助剤の混合液、又は(b)内容物の液汁、又は(c)前記液汁と水を混合した混合液の何れかから成る気泡生成液をタンクに供給する気泡生成液供給手段、不活性ガス供給手段、前記気泡生成液と前記不活性ガスを混合、撹拌する撹拌混合手段、前記撹拌混合手段で生成される混合気泡の大きさを調製する混合気泡調製手段、及び前記撹拌混合手段で生成された混合気泡を前記タンクから取り出す混合気泡取出し手段から成ることを特徴とする混合気泡の製造装置。
【請求項17】
前記気泡生成液中の気泡生成助剤の濃度のモニター手段及び調製機構を有する請求項16に記載の混合気泡の製造装置。
【請求項18】
前記調製手段が撹拌混合手段内の圧力と外気圧の圧力を調製である請求項16又は17に記載の混合気泡の製造装置。
【請求項19】
前記撹拌混合手段に、混合気泡に含まれる水、或いは液汁の回収循環手段を連結した請求項16乃至18の何れか1項に記載の混合気泡の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−235207(P2011−235207A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106623(P2010−106623)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】