説明

清掃方法

【課題】装置本体の上方に形成された開口からドラムユニットを交換可能な画像形成装置において、感光体の表面にこびり付いた異物等を効果的に除去することができる清掃方法を提供する。
【解決手段】清掃方法は、上方に開放した開口10Aとベルトユニット70を有する装置本体10と、トップカバー11と、感光体ドラム51を有し、装置本体10に対して開口10Aを通って着脱可能なドラムユニット50Aと、を備えた画像形成装置を清掃する清掃方法であって、トップカバー11を開く第1ステップと、ドラムユニット50Aを装置本体10から取り出す第2ステップと、クリーニングシート100をベルトユニット70の上面に沿うように配置するとともに装置本体10に固定する第3ステップと、ドラムユニット50Aを装置本体10に装着する第4ステップと、トップカバー11を閉める第5ステップと、感光体ドラム51を回転させる第6ステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に開放した開口を有する装置本体と、当該開口を通って装置本体に対し着脱可能なドラムユニットとを備えた画像形成装置を清掃する清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置として、上方に開口を有する装置本体と、開口を開閉するトップカバーと、感光体を有するドラムユニットと、上面が感光体と対面するベルトユニットと、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、この画像形成装置では、ドラムユニットが、トップカバーを開くことで開放される開口を通って、装置本体に対して着脱可能となっている。そして、ドラムユニットを装置本体から取り外すと、ベルトユニットの上面が露出した状態になるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−32576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印字を繰り返していくうちに、感光体の表面に紙粉などの異物等がこびり付いてしまった場合、この異物等を効果的に取り除く必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような構成の画像形成装置において、感光体の表面にこびり付いた異物等を効果的に除去することが可能な清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の清掃方法は、上方に開放した開口と、ベルトユニットと、を有する装置本体と、開口を開閉するトップカバーと、ベルトユニットの上面に対面する感光体を有し、トップカバーが開いた状態において、装置本体に対して開口を通って着脱可能なドラムユニットと、を備えた画像形成装置を清掃する清掃方法であって、トップカバーを開く第1ステップと、第1ステップで開放された開口を通してドラムユニットを装置本体から取り出す第2ステップと、クリーニングシートをベルトユニットの上面に沿うように配置するとともに、装置本体に固定する第3ステップと、ドラムユニットを装置本体に装着する第4ステップと、トップカバーを閉める第5ステップと、感光体を回転させる第6ステップと、を備えている。
【0008】
このような清掃方法によれば、装置本体の上方に形成された開口からドラムユニットを交換可能な画像形成装置において、感光体の表面にこびり付いた異物等を効果的に除去することができる。
【0009】
そして、前記したベルトユニットは、感光体との間で記録シートを挟みながら当該記録シートを搬送する用紙搬送ベルトを有していることが望ましい。
【0010】
このようにベルトユニットが用紙搬送ベルトを有していると、感光体に紙粉が付着するため、感光体が汚れやすいが、前記した清掃方法によれば、前記した第6ステップにおいて、この感光体の汚れを効果的に除去することができる。
【0011】
また、前記した感光体は、ベルトユニットの上面に沿って複数配置されていてもよい。
【0012】
そして、前記した清掃方法の第3ステップにおいて、クリーニングシートは、装置本体の感光体よりも記録シート搬送方向上流側に設けられる固定部に固定されることが望ましい。
【0013】
このように、感光体よりも記録シート搬送方向上流側でクリーニングシートを固定することで、感光体を回転させたときに、クリーニングシートが記録シート搬送方向へ動いてしまうのを防止することができる。
【0014】
また、前記した固定部と、クリーニングシートに設けられ固定部と係合する被係合部とはともに、クリーニングシートを裏表逆に固定できないように、記録シート幅方向中央を基準として左右非対称に形成されているのが望ましい。
【0015】
このように固定部と被固定部を構成することで、前記した清掃方法において、クリーニングシートを裏表間違えずに、装置本体に固定することができる。
【0016】
そして、前記したクリーニングシートは、固定部と係合する被係合部を有しており、被係合部は、記録シート搬送方向の異なる位置に複数設けられていることが望ましい。
【0017】
このようにクリーニングシートを構成することで、クリーニングシートをずらすことで、1つのクリーニングシートで前記した清掃方法を複数回行うことができる。
【0018】
また、前記した装置本体が固定部を有する画像形成装置の清掃方法の第5ステップにおいて、トップカバーを、クリーニングシートの一端が、装置本体から露出するように閉めることが望ましい。
【0019】
このように、クリーニングシートの一端を装置本体から露出させることで、ユーザが、クリーニングシートが装置本体内に入っていることを外から見てわかりやすいので、誤ってクリーニングシートを装着したまま印字を行ってしまうのを防止することができる。また、もし、クリーニングシートが固定部に固定されていなかった場合、第6ステップで感光体を回転させると、クリーニングシートがずれていくので、クリーニングシートの装置本体外側に延出している部分もずれる。これにより、ユーザが、外側から見て、クリーニングシートがしっかりと固定されているか確認することができる。
【0020】
そして、前記したトップカバーを、クリーニングシートの一端が、装置本体から露出するように閉める第5ステップを有する清掃方法において、装置本体は、開口の縁にロック部を有し、トップカバーは、ロック部と係合する被ロック部を有していてもよい。
この場合、固定部は、ロック部であるのが望ましい。
【0021】
このように固定部をロック部とすることで、ロック部を、トップカバーのロックと、クリーニングシートの固定とに兼用することができる。また、固定部が開口の縁に設けられているので、ユーザが固定部を確認しながら、クリーニングシートを装置本体に固定することができる。
【0022】
そして、前記したトップカバーを、クリーニングシートの一端が、装置本体から露出するように閉める第5ステップを有する清掃方法は、第6ステップのあと、ドラムユニットを装置本体内に残した状態で、クリーニングシートの装置本体から延出した部分を引っ張ることで、クリーニングシートを装置本体から取り出す第7ステップをさらに備えているのが望ましい。
【0023】
このような清掃方法によれば、クリーニングシートを取り外すために、再びドラムユニットを着脱する操作が不要なので、清掃が簡便である。
【0024】
また、前記したトップカバーを、クリーニングシートの一端が、装置本体から露出するように閉める第5ステップを有する清掃方法は、第6ステップのあと、複数のドラムユニットのうち、最も固定部に近い位置に配置されるドラムユニットを、装置本体から取り外す第8ステップと、第8ステップのあと、クリーニングシートの装置本体から延出した部分を引っ張ることで、クリーニングシートを装置本体内から取り出す第9ステップと、をさらに備えていてもよい。
【0025】
固定部の近傍にドラムユニットが装着されていると、クリーニングシートが引っ張りづらいが、上記した清掃方法によれば、最低限のドラムユニットの着脱動作で、クリーニングシートを簡単に装置本体内から取り出すことができる。
【0026】
そして、前記した清掃方法は、第6ステップのあと、すべてのドラムユニットを取り外す第10ステップと、第10ステップのあと、クリーニングシートを装置本体内から取り外す第11ステップと、をさらに備えていてもよい。
【0027】
また、前記した画像形成装置は、トップカバーが閉じられた状態において、感光体およびベルトの一方を感光体およびベルトの他方へ向けて押圧する押圧部材をさらに備えていることが望ましい。
【0028】
このような押圧部材を設けることで、感光体がしっかりとクリーニングシートに押し付けられるので、より感光体の表面にこびり付いた異物等を効果的に除去することができる。
【0029】
なお、前記した押圧部材を備える画像形成装置は、感光体を露光する露光ユニットをさらに備えていてもよい。この場合、押圧部材は、露光ユニットであってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、装置本体の上方に形成された開口からドラムユニットを交換可能な画像形成装置において、感光体の表面にこびり付いた異物等を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る清掃方法により清掃可能なカラープリンタを示す図である。
【図2】ベルトユニットの斜視図である。
【図3】クリーニングシートの斜視図である。
【図4】カラープリンタのトップカバーを開いた状態を示す図である。
【図5】カラープリンタからプロセスユニットを外した状態を示す図である。
【図6】ベルトユニットにクリーニングシートを取り付けた状態を示す図である。
【図7】クリーニングシートを取り付けた状態でカラープリンタにプロセスユニットを装着した状態を示す図である。
【図8】第1の変形例に係るクリーニングシートをベルトユニットに取り付けた状態を示す図である。
【図9】第2の変形例に係るクリーニングシートをカラープリンタに取り付けた状態を示す図である。
【図10】第2の変形例に係るクリーニングシートを取り外すために、カラープリンタから手前側のプロセスユニットを外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細な構成について説明する。
【0033】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0034】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10と、トップカバー11と、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部20と、給紙された用紙Sに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90と、制御部60とを主に備えている。
【0035】
トップカバー11は、装置本体10の上部に設けられ、装置本体10の上面に形成された上方に開放した開口10A(図4参照)を開閉するようになっている。このトップカバー11の上面には、装置本体10内から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ13が設けられており、下面には、後述するLEDユニット40を保持する4つの保持部14が設けられている。
【0036】
給紙部20は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Sは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0037】
画像形成部30は、露光ユニットの一例としての4つのLEDユニット40と、4つ(複数)のプロセスユニット50と、ベルトユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0038】
LEDユニット40は、トップカバー11の下部に設けられ、ヘッド部41と、ヘッド部41を支持する支持部42と、支持部42に設けられる押圧部材の一例としてのガイドローラ43とを主に備えている。
【0039】
ヘッド部41は、感光体の一例としての感光体ドラム51の軸方向(左右方向)に沿って延びており、トップカバー11を閉じたときに、その先端(下端)が感光体ドラム51の上面にそれぞれ対向して配置されるようになっている。このヘッド部41は、先端に左右方向に配列される複数の発光部(LED)を備えており、発光部が明滅することで帯電後の感光体ドラム51を露光するようになっている。
【0040】
支持部42は、ヘッド部41をトップカバー11に保持するための部材であり、その下部でヘッド部41を支持しつつ、上部が保持部14を介してトップカバー11に取り付けられている。これにより、LEDユニット40は、トップカバー11を開くことで、感光体ドラム51から離間する構成となっている(図4参照)。また、支持部42は、トップカバー11が閉じられた状態において、図示しない付勢手段により、下方へ向けて付勢されている。
【0041】
ガイドローラ43は、支持部42の左右下部に設けられる円筒状の部材であり、ガイドローラ43は、ヘッド部41よりも軸方向外側において、感光体ドラム51と当接して、感光体ドラム51に従動回転するようになっている。そして、このガイドローラ43は、上述したように支持部42が下方へ付勢されているため、感光体ドラム51を下方(ベルトユニット70)へ向けて押圧している。これにより、感光体ドラム51とヘッド部41との間隔が保持されるようになっている。
【0042】
プロセスユニット50は、トップカバー11と給紙トレイ21との間で前後方向に沿って並列配置されており、トップカバー11を開いたときに開放される装置本体10の開口10Aを通って、装置本体10に対し着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスユニット50は、感光体ドラム51および帯電器52が設けられたドラムユニット50Aと、現像ローラ53、供給ローラ54、層厚規制ブレード55およびトナー収容部56が設けられた現像ユニット50Bとを備えている。装置本体10は、各プロセスユニット50が装置本体10に装着されることで、4つの感光体ドラム51を後述するベルトユニット70の上面に沿って前後に並列配置された状態で支持している。
【0043】
ベルトユニット70は、装置本体10の給紙トレイ21とプロセスユニット50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設された無端状の用紙搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。用紙搬送ベルト73は、外側の面(上面)が各感光体ドラム51に対面しており、その内側には各転写ローラ74が各感光体ドラム51との間で用紙搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0044】
定着ユニット80は、プロセスユニット50およびベルトユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0045】
このように構成される画像形成部30では、回転駆動する感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40により露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部56内のトナーは、供給ローラ54を介して現像ローラ53に供給され、現像ローラ53と層厚規制ブレード55との間に進入して一定の厚さの薄層として現像ローラ53上に担持される。
【0046】
そして、現像ローラ53上に担持されたトナーが感光体ドラム51に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、給紙部20から供給された用紙Sが、感光体ドラム51と用紙搬送ベルト73(転写ローラ74)に挟まれながら搬送されることで、感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0047】
排紙部90は、定着ユニット80から搬出された用紙Sを案内するための排紙経路91と、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラ92とを主に備えている。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ92によって排紙経路91を搬送され、装置本体10の外部に排出されて排紙トレイ13上に載置される。
【0048】
制御部60は、CPU,ROM,RAMなどを有し、予め用意されたプログラムに従って、上述の通常の印刷動作やクリーニングモードを実行するように構成されている。具体的には、制御部60は、ユーザにより入力された信号に基づいてクリーニングモードを実行する場合、感光体ドラム51を所定の速度で所定時間回転させるようになっている。
【0049】
<ベルトユニットとクリーニングシートの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分であるベルトユニット70と、本発明の清掃方法で用いるクリーニングシート100の詳細構成について説明する。
【0050】
ベルトユニット70は、図2に示すように、筐体75と用紙搬送ベルト73を備えている。
【0051】
筐体75は、用紙搬送ベルト73に対し左右両側に配置される一対のローラ保持部75Aと、一対のローラ保持部75Aの前端部を連結するとともに、上方へ向かって延びるクリーニングシート保持部75Bとを有している。
【0052】
ローラ保持部75Aは、図示しない駆動ローラ71、従動ローラ72および4つの転写ローラ74を前後方向に並べて回転可能に支持するように構成されている。
【0053】
クリーニングシート保持部75Bは、用紙搬送方向の最上流側に配置されているプロセスカートリッジ50と対面する後面(図1参照)に、固定部の一例としての一対の第1フック部76,77と、第2フック部78とを有している。つまり、第1フック部76,77は、装置本体10の感光体ドラム51よりも用紙搬送方向上流側に設けられている。
【0054】
第1フック部76,77は、先端が上方を向くように形成されたフックであり、左右方向の離れた位置に配置されている。そして、右側の第1フック部76と左側の第1フック部77は、用紙幅方向(左右方向)の中央を基準として左右非対称に形成されている。例えば、右側の第1フック部76は、左側の第1フック部77よりも幅が小さくなっている。
【0055】
第2フック部78は、先端が下方を向くように形成されたフックであり、一対の第1フック部76,77の間に配置されている。
【0056】
このように構成されたベルトユニット70は、図1に示すように、上面、具体的には、用紙搬送ベルト73の上面が4つの感光体ドラム51に対面するように、装置本体10に設けられている。
【0057】
クリーニングシート100は、図3に示すように、樹脂などから形成される1枚のシート部材から構成され、クリーニング部110と、被保持部120とを有している。
【0058】
クリーニング部110は、ベルトユニット70に配置されたときに感光体ドラム51と接触する面に、研磨剤を有する研磨層が設けられている。
【0059】
被保持部120は、クリーニング部110の一端に設けられ、被係合部の一例としての一対の孔121,122と、被係止部123とを有している。
【0060】
孔121,122は、クリーニングシート100がベルトユニット70に配置されたときに、第1フック部76,77と対応する位置に形成されている。この孔121,122は、クリーニングシート100を裏表逆に固定できないように、用紙幅方向中央を基準として左右非対称に形成されている。例えば、孔121,122は、対応する第1フック部76,77に合わせた大きさで形成され、大きい方の左側の第1フック部77は、小さい方の右側の第1フック部76に対応する孔121には入らないようになっている。
被係止部123は、一対の孔121,122の間に配置される被保持部120の端部である。
【0061】
<清掃方法>
次に、クリーニングシート100を用いた感光体ドラム51の清掃方法について説明する。
【0062】
感光体ドラム51の表面に紙粉などの異物がこびりつき、清掃が必要となったとき、ユーザは、まず、図4に示すように、カラープリンタ1のトップカバー11を開く(第1ステップ)。このとき、トップカバー11とともにLEDユニット40も上方に移動する。
【0063】
そして、トップカバー11を開くことで開放された開口10Aを通して、4つのプロセスユニット50を、図5に示すように、すべて装置本体10から取り出す(第2ステップ)。これにより、ベルトユニット70の上面が露出した状態になる。
【0064】
次に、図6に示すように、クリーニングシート100をベルトユニット70の上面に沿うようにして配置する。具体的には、研磨層が設けられている面が上になるようにクリーニング部110を用紙搬送ベルト73上に配置し、被保持部120をベルトユニット70のクリーニングシート保持部75Bに配置する。そして、クリーニングシート100の孔121,122を、ベルトユニット70の第1フック部76,77に引っかけ、被係止部123をベルトユニット70の第2フック部78に引っかける。これにより、クリーニングシート100が装置本体10に固定される(第3ステップ)。
【0065】
そして、第3ステップでクリーニングシート100を装置本体10に固定した後、図7に示すように、4つのプロセスユニット50を装置本体10に装着して(第4ステップ)、トップカバー11を閉める(第5ステップ)。次に、ユーザは、クリーニングモードを実行することで、4つの感光体ドラム51を所定時間回転させる(第6ステップ)。
【0066】
これにより、感光体ドラム51が、クリーニングシート100の研磨層に接触しながら回転するので、感光体ドラム51の表面にこびり付いた異物等を研磨層によって効果的に除去することができる。
【0067】
そして、クリーニングモードが終了し、4つの感光体ドラム51の回転が停止した後、ユーザは、トップカバー11を開いて、4つのプロセスユニット50を取り外し(第10ステップ)、クリーニングシート100を装置本体10内から取り外す(第11ステップ)。
【0068】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
感光体ドラム51は、用紙搬送ベルト73との間で用紙Sを挟むため、紙粉等の異物が付着しやすいが、上記した清掃方法を行うことで、効果的に異物を除去することができる。
【0069】
クリーニングシート100は、装置本体10の4つの感光体ドラム51よりも用紙搬送方向上流側に設けられている第1フック部76,77に係止されているので、感光体ドラム51を回転させたとき、クリーニングシート100が搬送方向へ動くのを防止することができる。
【0070】
そして、一対の第1フック部76,77と、一対の孔121,122とはともに、用紙幅方向中央を基準として左右非対称に形成されているので、第3ステップにおいて、クリーニングシート100が裏表間違えて装置本体10に固定されるのを防止することができる。
【0071】
また、クリーニングシート100は、先端が上方を向く第1フック部76,77と、先端が下方を向く第2フック部78の両方に係止されているので、クリーニングシート100が前後方向(ベルトユニット70における用紙搬送方向)にずれてしまうのを防止することができる。
【0072】
そして、トップカバー11が閉じられた状態では、感光体ドラム51は、LEDユニット40のガイドローラ43によって下方、つまり、ベルトユニット70に向けて押圧されているので、第6ステップにおいて、感光体ドラム51がしっかりとクリーニングシート100の研磨層に押し付けられる。これにより、感光体ドラム51の表面にこびり付いた異物等をより効果的に除去することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0074】
前記実施形態では、クリーニングシート100に一対の孔121,122と被係止部123とがそれぞれ1つずつ設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、クリーニングシート100に一対の孔121,122と、第2フック部78に係止される被係止孔124とがそれぞれ用紙搬送方向の異なる位置に複数設けられていてもよい。
【0075】
このように一対の孔121,122と被係止孔124を複数設けることで、クリーニングシート100を用紙搬送方向にずらして使用することができるので、1つのクリーニングシート100で本発明の清掃方法を複数回行うことができる。
【0076】
そして、前記実施形態では、ベルトユニット70に第2フック部78が設けられていたが、本発明はこれに限定されず、第2フック部78は設けなくてもよい。この場合、例えば、図9に示すように、クリーニングシート100’は、装置本体10内に固定されたときに、前端がトップカバー11と装置本体10の間を通って、装置本体10の外側まで延出するような大きさで形成されていてもよい。
【0077】
また、上記のような前端が装置本体10の外側まで延出するクリーニングシート100’を用いる場合、トップカバー11の下面の手前側に凹部(被ロック部)11Aを設け、装置本体10の開口10A(図10参照)の縁に、トップカバー11を閉じたときに凹部11Aと係合する凸部(ロック部)15を設けてもよい。このように装置本体10に凸部15を設けた場合、この凸部15をクリーニングシート100’の固定部として利用することができる。
【0078】
そして、クリーニングシート100’を用いて清掃をする場合には、第5ステップにおいて、トップカバー11を、クリーニングシート100’の前端が、装置本体10から露出するように閉める。
【0079】
これによれば、ユーザが、クリーニングシート100’が装置本体10内に入っていることを外から見てわかりやすいので、誤ってクリーニングシート100’を装着したまま印字を行ってしまうのを防止することができる。
【0080】
そして、凸部(固定部)15が開口10Aの縁に設けられているので、装置本体10の内部に固定部を設ける場合に比べて、ユーザが固定部の位置を確認しやすく、クリーニングシート100’を固定しやすい。
【0081】
また、もし、クリーニングシート100’が凸部10Aにしっかりと固定されていなかった場合、第6ステップで感光体ドラム51を回転させると、クリーニングシート100’がずれていくので、クリーニングシート100’の装置本体10外側に延出している部分もずれていく。したがって、ユーザが、外側から見て、クリーニングシート100’がしっかりと固定されているか確認することができる。
【0082】
また、上記したクリーニングシート100’を用いる場合、第6ステップのあと、プロセスユニット50を装置本体10内に残した状態で、クリーニングシート100’の装置本体10から延出した部分を引っ張ることで、クリーニングシート100’を装置本体10から取り外すことができる(第7ステップ)ので、前記実施形態のような、再びプロセスユニット50を着脱する操作が不要なので、清掃方法を簡便にすることができる。
【0083】
ところで、4つのプロセスユニット50のうち、最も凸部10Aに近い位置に配置されている最前部のプロセスユニット50と、ベルトユニット70のクリーニングシート保持部75Bの距離が近い場合には、プロセスユニット50が装着されたままでは、クリーニングシート100’を引っ張りづらいことがある。そのため、第6ステップのあと、図10に示すように、4つのプロセスユニット50のうち最前部のプロセスユニット50を、装置本体10から取り外し(第8ステップ)、その後、クリーニングシート100’の装置本体10から延出した部分を引っ張り、クリーニングシート100’を装置本体10から取り出してもよい(第9ステップ)。
【0084】
このように、最前部のプロセスユニット50だけを取り外すことで、最小限のプロセスユニット50の着脱操作のみで、クリーニングシート100’を取り出すことができる。
【0085】
前記実施形態では、固定部の一例としての第1フック部76,77がベルトユニット70に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、装置本体10のうちのベルトユニット70以外の部分に設けてもよい。
【0086】
前記実施形態では、押圧部材の一例として、LEDユニット40のガイドローラ43を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、装置本体10にバネを設け、当該バネによって感光体ドラム51をベルトユニット70に向けて押圧してもよい。
また、前記実施形態では、押圧部材によって感光体ドラム51がベルトユニット70に向けて押圧されていたが、本発明はこれに限定されず、押圧部材によってベルトユニット70が感光体ドラム51に向けて押圧されていてもよい。
【0087】
前記実施形態では、ベルトユニット70は、感光体ドラム51との間で用紙Sを挟みながら当該用紙Sを搬送する用紙搬送ベルト73を有していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルトユニットは、感光体ドラム43から一時的にトナー像が転写される中間転写ベルトを有していてもよい。
【0088】
前記実施形態では、感光体として感光体ドラム51を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
また、前記実施形態では、感光体ドラム51が4つ設けられていたが、本発明はこれに限定されず、感光体ドラム51は3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0089】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、複合機やコピー機に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0090】
1 カラープリンタ
10 装置本体
10A 開口
11 トップカバー
40 LEDユニット
43 ガイドローラ
50A ドラムユニット
51 感光体ドラム
70 ベルトユニット
73 用紙搬送ベルト
76 第1フック部
77 第1フック部
100 クリーニングシート
121 孔
122 孔
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開放した開口と、ベルトユニットと、を有する装置本体と、
前記開口を開閉するトップカバーと、
前記ベルトユニットの上面に対面する感光体を有し、前記トップカバーが開いた状態において、前記装置本体に対して前記開口を通って着脱可能なドラムユニットと、を備えた画像形成装置を清掃する清掃方法であって、
前記トップカバーを開く第1ステップと、
前記第1ステップで開放された前記開口を通して前記ドラムユニットを前記装置本体から取り出す第2ステップと、
クリーニングシートを前記ベルトユニットの前記上面に沿うように配置するとともに、前記装置本体に固定する第3ステップと、
前記ドラムユニットを前記装置本体に装着する第4ステップと、
前記トップカバーを閉める第5ステップと、
前記感光体を回転させる第6ステップと、を備えた清掃方法。
【請求項2】
前記ベルトユニットは、前記感光体との間で記録シートを挟みながら当該記録シートを搬送する用紙搬送ベルトを有することを特徴とする請求項1に記載の清掃方法。
【請求項3】
前記感光体は、前記ベルトユニットの前記上面に沿って複数配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の清掃方法。
【請求項4】
前記第3ステップにおいて、前記クリーニングシートは、前記装置本体の前記感光体よりも記録シート搬送方向上流側に設けられる固定部に固定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の清掃方法。
【請求項5】
前記固定部と、前記クリーニングシートに設けられ前記固定部と係合する被係合部とはともに、前記クリーニングシートを裏表逆に固定できないように、記録シート幅方向中央を基準として左右非対称に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の清掃方法。
【請求項6】
前記クリーニングシートは、前記固定部と係合する被係合部を有し、
前記被固定部は、記録シート搬送方向の異なる位置に複数設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の清掃方法。
【請求項7】
前記第5ステップにおいて、前記トップカバーを、前記クリーニングシートの一端が、前記装置本体から露出するように閉めることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の清掃方法。
【請求項8】
前記装置本体は、前記開口の縁にロック部を有し、
前記トップカバーは、前記ロック部と係合する被ロック部を有し、
前記固定部は、前記ロック部であることを特徴とする請求項7に記載の清掃方法。
【請求項9】
前記第6ステップのあと、前記ドラムユニットを前記装置本体内に残した状態で、前記クリーニングシートの前記装置本体から延出した部分を引っ張ることで、前記クリーニングシートを前記装置本体内から取り出す第7ステップをさらに備えていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の清掃方法。
【請求項10】
前記第6ステップのあと、前記複数のドラムユニットのうち、最も前記固定部に近い位置に配置される前記ドラムユニットを、前記装置本体から取り外す第8ステップと、
前記第8ステップのあと、前記クリーニングシートの前記装置本体から延出した部分を引っ張ることで、前記クリーニングシートを前記装置本体内から取り出す第9ステップと、をさらに備えていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の清掃方法。
【請求項11】
前記第6ステップのあと、すべての前記ドラムユニットを取り外す第10ステップと、
前記第10ステップのあと、前記クリーニングシートを前記装置本体内から取り出す第11ステップと、をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の清掃方法。
【請求項12】
前記画像形成装置は、前記トップカバーが閉じられた状態において、前記感光体および前記ベルトユニットの一方を前記感光体および前記ベルトユニットの他方へ向けて押圧する押圧部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の清掃方法。
【請求項13】
前記画像形成装置は、前記感光体を露光する露光ユニットをさらに備え、
前記押圧部材は、前記露光ユニットであることを特徴とする請求項12に記載の清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97135(P2013−97135A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239037(P2011−239037)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】