説明

減速装置

【課題】軸受の負荷容量の最適化を図るとともに、軸受間の与圧荷重をバランスさせ、長期間使用可能な減速装置を提供する。
【解決手段】固定部151、152と、回転部122と、を有する減速機121と、回転部122に固定された先端側部材116と、先端側部材116の自重によって回転部122を回転させる回転負荷と逆方向の負荷を先端側部材116に対して与える負荷補償機構118と、を備えた減速装置G1において、固定部151、152と回転部122との間で且つ、減速機121の軸方向において負荷補償機構118が接続されている位置に、メイン軸受158が配置されており、メイン軸受158の負荷容量が、メイン軸受158を含めて固定部151、152と回転部122との間に配置された全軸受161中で最大とされるとともに、全軸受161全体で与圧がバランスされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、産業用ロボット2の関節部に組み込まれた減速装置1が開示されている。
【0003】
図7に産業用ロボット2の関節構造の概略側面図を示し、図8に減速装置1の概略正面図を示す。
【0004】
減速装置1は、キャリア(固定部)3と、キャリア3の半径方向において嵌合され、キャリア3に対して回転可能なケーシング(回転部)4と、を有する減速機5と、ケーシング4に固定された(産業用ロボット2の)先端側部材6と、先端側部材6の自重によってケーシング4を回転させる回転負荷と逆方向の負荷を先端側部材6に対して与える負荷補償機構7と、を備えている。
【0005】
減速機5のケーシング4とキャリア3との間には、軸方向において、負荷補償機構7が接続されている位置に軸受8(8A、8B)が配置されており、負荷補償機構7が接続されていない位置に軸受9が配置されている。軸受8、9には、軸方向の両側から与圧荷重が付与されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−142848号公報(請求項1、段落[0028]、[0029]、[0034]、図1、2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軸受8は、2個の個別軸受8A、8Bにより構成されているのに対し、軸受9は、1個の個別軸受9Aにより構成されている。このため、軸受8、9間では、与圧荷重のバランスが取れておらず、これに伴って、特にスラスト荷重に対する抗力にアンバランスが生じていた。そのため、軸受8、9間の寿命に差異が生じ、軸受9側が軸受8側に比べて早く破損する恐れがあった。
【0008】
本発明では、上記問題を解決するため、軸受の負荷容量の最適化を図るとともに、軸受の寿命を伸ばすことによって、より長期間使用可能な減速装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、固定部と、該固定部の半径方向において嵌合され、該固定部に対して回転可能な回転部と、を有する減速機と、前記回転部に固定された先端側部材と、前記先端側部材の自重によって回転部を回転させる回転負荷と逆方向の負荷を該先端側部材に対して与える負荷補償機構と、を備えた減速装置において、前記固定部と前記回転部との間で且つ、前記減速機の軸方向において前記負荷補償機構が接続されている位置に、メイン軸受が配置されており、該メイン軸受の負荷容量が、該メイン軸受を含めて前記固定部と前記回転部との間に配置された全軸受中で最大とされるとともに、該全軸受全体で与圧がバランスされている構成とすることにより、上記課題を解決した。
【0010】
本発明では、メイン軸受の負荷容量が、該メイン軸受を含めて前記固定部と前記回転部との間に配置された全軸受中で最大とされるとともに、該全軸受全体で与圧がバランスされている構成としている。この結果、負荷補償機構が接続されていても十分なラジアル抗力を得ることができると共に、軸受間に付与する与圧をバランスさせることにより、スラスト荷重に対する抗力のアンバランスをなくすことができる。これにより、軸受の破損をより回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軸受の負荷容量の最適化を図るとともに、軸受の寿命を伸ばすことによって、より長期間使用可能な減速装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の一例にかかる減速装置の縦断面図
【図2】本発明の他の実施形態の一例にかかる減速装置の縦断面図
【図3】本発明のさらに他の実施形態の一例にかかる減速装置の縦断面図
【図4】本発明の別の実施形態の一例にかかる減速装置の縦断面図
【図5】本発明の更に別の実施形態の一例にかかる減速装置の縦断面図
【図6】本発明の実施形態の一例が適用された産業用ロボットの関節構造の概略側面図
【図7】従来の産業用ロボットの概略正面図
【図8】従来の減速装置の一例を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態にかかる減速装置G1の縦断面図、図6は、該減速装置G1が組み込まれている産業用ロボット112の関節構造を示している。
【0015】
図1及び図6を参照して、この減速装置G1は、減速機121と、該減速機121のケーシング122に固定されたアーム(先端側部材)116と、アーム116の自重によってケーシング122を回転させる回転負荷と逆方向の負荷をアーム116に対して与える負荷補償機構118と、を備えている。
【0016】
前記減速機121は、第1、第2フランジ体(固定部)151、152と、第1、第2フランジ体151、152の半径方向において嵌合され、第1、第2フランジ体151、152に対して回転可能なケーシング(回転部)122と、を有するもので、いわゆる振分タイプの内接噛合遊星歯車式減速機である。
【0017】
減速機121の入力軸126は、モータ軸124と同軸である。減速装置G1の入力軸126の負荷側の先端にはスパーピニオン128が固定されている。このスパーピニオン128は、3個(1個のみ図示)のスパーギヤ132と噛合している。このスパーピニオン128とスパーギヤ132の噛合により、3本(1本のみ図示)の偏心体軸130が同時に回転可能である。それぞれの偏心体軸130には、偏心体134、136が一体的に形成されている。偏心体134、136には、ころ142、144を介して外歯歯車138、140が嵌入されている。該外歯歯車138、140は内歯歯車150と内接噛合している。内歯歯車150の内歯は、ケーシング122に取り付けられた円筒状ころ148によって構成されている。外歯歯車138、140の外歯の数は、内歯歯車150の内歯の数(円筒状ころ148の数)より1だけ多い。前記偏心体軸130は、テーパードローラ軸受146、148を介して第1、第2フランジ体151、152に回転自在に支持されている。この第1、第2フランジ体151、152は、ボルト154によって連結されている。第1、第2フランジ体151、152は、後述するメイン軸受158及びサブ軸受160により、ケーシング122に対して回転可能に支持されている。また、第1フランジ体151は、後述する旋回台114にボルト159を介して固定・連結されている。
【0018】
一方、前記負荷補償機構118は、ピストンロッド166及びこのピストンロッド166を収納するケース162から構成されている。
【0019】
円筒状のケース162の基端部は、旋回台114に回転可能に連結されている。
【0020】
ピストンロッド166(減速機121側)は、一対の軸受168、170を介して、連結部材156と回転自在に連結されており、支持部166Aを中心として回転する。連結部材156は、ボルト167により、ケーシング122に固定されている。
【0021】
ピストンロッド166(減速機121と反対側)は、自身の先端にピストン164が形成されており、ピストン164が軸方向に移動可能な態様でケース162に収納されている。ケース162の内部で、且つピストン164と先端壁172との間には、コイルバネ169が配置されている。
【0022】
減速機121は、モータ120から入力された回転を減速し、ケーシング122を通じてアーム116に伝達する。ケーシング122に取付けられているアーム116を水平な軸線A回りに回転させ、搬送物を所定の位置に運ぶことができる。搬送物を運ぶ際、アーム116の自重により増加した回転負荷は、負荷補償機構118により相殺され、減速機121の負荷は基本的に搬送物によって発生するトルクのみとなる。
【0023】
ここで、メイン軸受158(158A、158B)と、サブ軸受160(160A、160B)の構成について説明する。
【0024】
メイン軸受158と、サブ軸受160は、外歯歯車138、140の両側に軸方向に離れた状態で配置されている。メイン軸受158は、第1、第2フランジ体151、152とケーシング122との間で且つ、減速機121の軸方向において負荷補償機構118が接続されている位置に配置されている。サブ軸受160は、第2フランジ体152とケーシング122との間で、軸方向において負荷補償機構118が接続されていない位置に配置されている。
【0025】
より具体的には、メイン軸受158は、2個の個別軸受(アンギュラ玉軸受)158A、158Bで構成されている。同様に、サブ軸受160も同一の2個の個別軸受160A、160Bで構成されている。
【0026】
なお、サブ軸受については、メイン軸受との与圧をバランスさせる機能のみを有し、本来の軸受としての機能を有しない部材でもよい。
【0027】
メイン軸受158の負荷容量は、メイン軸受158を含めて第1、第2フランジ体151、152とケーシング122との間に配置された全軸受161中で最大とされている。本実施形態では、メイン軸受158の負荷容量(個別軸受158A、158Bの負荷容量の合計値)とサブ軸受160の負荷容量(個別軸受160A、160Bの負荷容量の合計値)は、同一となっている。
【0028】
メイン軸受158の2個の個別軸受158A、158Bは、軸方向に並列に近接した状態で配置されており、これらの個別軸受158A、158Bの接触角は同一方向に傾斜している。また、サブ軸受160の個別軸受160A、160Bも近接した状態で配置されており、2つの個別軸受160A、160Bの接触角は同一方向に傾斜しており、且つこの傾斜は軸受158とは逆方向である。
【0029】
メイン軸受158の個別軸受158A、158B及びサブ軸受160の個別軸受160A、160Bには、軸方向の両側から与圧荷重が付与されている。以上の構成により、メイン軸受158とサブ軸受160の与圧はバランスされている。
【0030】
次に、減速装置G1の作用について説明する。
【0031】
まず、減速機121の作用について説明する。
【0032】
減速機121では、3本の偏心体軸130に組み込まれた偏心体134、136が同時に同一の回転速度で回転することによって、外歯歯車138、140が揺動回転する。この実施形態では内歯歯車150がケーシング122に固定されているため、減速機121の入力軸126が1回回転すると、外歯歯車138、140は1回揺動して内歯歯車150の噛合位置が1歯だけ(歯数差分だけ)ずれる。この結果、内歯歯車150は、外歯歯車138、140に対して両者の歯数差に相当する角度だけ相対回転する。外歯歯車138、140と内歯歯車150との相対回転は、3本の偏心体軸130の軸心周りの公転が拘束されているため、結果としてケーシング122から取り出される。これにより、ケーシング122に取り付けられているアーム116が軸線A回りに回転し、搬送物を搬送する。
【0033】
この際、負荷補償機構118は、アーム116の自重によってケーシング122を回転させる回転負荷と逆方向の負荷をアーム116に対して与える。
【0034】
例えば、アーム116が直立状態から水平方向に傾斜し、搬送物を運ぶ場合、ピストンロッド166がケース162から突出し、ピストン164が減速機121に向かって移動することにより、コイルバネ169が圧縮される。これにより、コイルバネ169からアーム116に付与される(アーム116の自重により増加した負荷と反対方向の)負荷も増大する。この結果、アーム116が水平に近づいてより自重による負荷が大きくなるにつれて負荷補償機構118による逆方向の付加も大きくなるため、相殺後のアーム116に付与される自重による負荷は、アーム116が傾斜してもあまり変動しない。
【0035】
ここで、メイン軸受158の負荷容量は、全軸受161中で最大とされている。本実施形態では、メイン軸受158の負荷容量とサブ軸受160の負荷容量は、同一となっている。
【0036】
メイン軸受158と、サブ軸受160には、軸方向の両側から共通の与圧荷重が付与されている。メイン軸受158とサブ軸受160の与圧の作用線は、逆方向である。このため、メイン軸受158とサブ軸受160の与圧はバランスしている。
【0037】
よって、いずれの方向にスラスト負荷(ケーシング122の回転平面をねじる方向にかかる負荷)がかかっても良好にケーシング122を支持することができる。メイン軸受158には、負荷補償機構118により大きなラジアル負荷がかかる可能性があるが、メイン軸受158は、全軸受161中で最大であるため(本実施形態では、メイン軸受158とサブ軸受160が同一である)、負荷補償機構118の負荷も安定して支持することができる。
【0038】
さらに、メイン軸受158の個別軸受158A、158Bは、負荷補償機構118があっても、小さめの各個別軸受158A、158Bにて荷重を分担することができる。なお、本実施形態においては、サブ軸受160の負荷容量についても、同様に、各個別軸受160A、160Bが、サブ軸受160側の負荷を分担して受け持つことができている。
【0039】
よって、本実施形態を用いることにより、全軸受161の負荷容量の最適化を図るとともに、全軸受161の寿命を伸ばすことによって、より長期間使用可能な減速装置G1を得ることができる。
【0040】
次に、他の実施形態について説明する。
【0041】
図2に他の実施形態に係る減速装置G2を示す。
【0042】
メイン軸受258には、個別軸受258A、258B(ころ軸受:258A、玉軸受:258B)が配置されている。これに対し、サブ軸受260は、個別軸受260Aのみが配置されている。個別軸受260Aは、個別軸受258Bと与圧荷重及び負荷容量が同一である。
【0043】
本実施形態では、メイン軸受258の2個の個別軸受258A、258Bのうち、1つの個別軸受258Aが与圧を必要としないころ軸受である。メイン軸受258の負荷容量は、個別軸受258Aの負荷容量分、サブ軸受260より大きくなっている。
【0044】
即ち、本実施形態においても、該メイン軸受258(負荷補償機構218が接続されている位置)の負荷容量が、メイン軸受258を含めて第1、第2フランジ体251、252とケーシング222との間に配置された全軸受261中で最大とされている。
【0045】
一方、個別軸受258Aの転動体258Y1の形状は、ころ(軸方向に若干長い円筒形状)であるため、その作用線は軸と垂直である。このため、個別軸受258Aは与圧を必要としない。個別軸受258B、260Aは、接触角が逆方向(作用線の傾きが逆方向)で、且つ同一の軸受容量で同一の与圧荷重がかかっている。
【0046】
これにより、上記実施形態と同様に個別軸受258B、260A間の与圧のバランスを取ることができ、結果として、全軸受261の負荷容量の最適化を図るとともに、全軸受261の寿命を伸ばすことによって、より長期間使用可能な減速装置G2を得ることができる。
【0047】
なお、本実施形態においても、サブ軸受は、メイン軸受との与圧をバランスさせる機能のみを有し、本来の軸受としての機能を有しない部材でもよい。
【0048】
他の構造については、上記の実施形態(図1参照)と同様である。
【0049】
図3に更に他の実施形態に係る減速装置G3を示す。
【0050】
本実施形態では、全軸受361が、メイン軸受358のみで構成されている。
【0051】
また、メイン軸受358の2個の個別軸受358A、358Bは、接触角が逆方向の一対のアンギュラ玉軸受であり、個別軸受358A、358B間の与圧のバランスをとることができる。
【0052】
これにより、該メイン軸受358(負荷補償機構318が接続されている位置)の負荷容量が、メイン軸受358を含めて第1、第2フランジ体351、352とケーシング322との間に配置された全軸受361中で最大とされるとともに、全軸受361全体で与圧がバランスされている。
【0053】
また、副次的な効果として、本実施形態では、上記実施形態と異なり、サブ軸受(負荷補償機構318が配置されていない側)を有していないため、減速装置G3全体として軸方向の寸法を短縮することができる。特に、メイン軸受358周辺のケーシング322や第2フランジ体352の軸方向長さをよりコンパクトにすることができる。
【0054】
図4に別の実施形態に係る減速装置G4を示す。
【0055】
本実施形態においても、全軸受461が、メイン軸受458のみ(負荷補償機構418が接続されている位置のみ)で構成されている。
【0056】
本実施形態においては、メイン軸受458が、クロスローラ軸受である。メイン軸受458の内輪458Xが第1、第2フランジ体451、452と兼用されていると共に、メイン軸受458の外輪458Zがケーシング422と兼用されている。
【0057】
このクロスローラ軸受458の転動体458Yの自転軸は、交互に90度だけ傾いているため、転動体458Yの支持面と内外輪458X、458Zとの間に隙間を有さず自転軸が安定している。なお、クロスローラ軸受458は、与圧を必要としない。
【0058】
よって、該メイン軸受458(負荷補償機構418が接続されている位置)の負荷容量が、メイン軸受458を含めて第1、第2フランジ体451、452とケーシング422との間に配置された全軸受461中で最大とされるとともに、全軸受461全体で与圧がバランスされている。
【0059】
また、メイン軸受(クロスローラ軸受)458は、自身のみにより、軸方向及び半径方向からの荷重を受けることができるコンパクトな構造であることに加えて、負荷補償機構418が配置されていない側にはサブ軸受460が配置されていないため、減速装置G4の全体(軸方向及び半径方向)として寸法を短縮することができる。
【0060】
図5に更に別の実施形態に使用されている減速装置G5について説明する。
【0061】
本実施形態においては、メイン軸受558の内輪558Xが第1フランジ体551と兼用されていると共に、メイン軸受558の外輪558Zがケーシング522と兼用されている。本実施形態では、メイン軸受558の転動体558Yが、ころで構成されている。メイン軸受558の転動体558Yが、外歯歯車538、540と内接噛合する内歯歯車550の内歯を構成する円筒状ころ548と同径であり、且つ円筒状ころ548と同軸に配置されている。
【0062】
本実施形態においては、メイン軸受558の他にサブ軸受560を有しており、メイン軸受558の負荷容量は、サブ軸受560の負荷容量(個別軸受560A、560Bの負荷容量の合計値)よりも大きくなっている。なお、サブ軸受を配置せずに、メイン軸受のみの構成としてもよい。
【0063】
また、メイン軸受558及びサブ軸受560の個別軸受560A、560Bは、いずれも与圧を必要としておらず、与圧は全軸受561でバランスされている。
【0064】
即ち、この実施形態においても、該メイン軸受558(負荷補償機構518が接続されている位置)の負荷容量が、メイン軸受558を含めて第1、第2フランジ体551、552とケーシング522との間に配置された全軸受561中で最大とされるとともに、全軸受561全体で与圧がバランスされている。
【0065】
副次的な効果として、メイン軸受558の転動体558Yがころであるとともに、メイン軸受558の内輪558Xを、第1フランジ体551と兼用させている。これにより、第1フランジ体551の外径を最大限大きく確保することができ、結果として、減速装置G5全体としての剛性を高めることができる。
【0066】
ころ558Yは、内歯を構成するころ548とは分断されているため、内歯歯車550で生じている振動等は、ころ558Yに伝達されない。
【0067】
なお、ころとピンは、別々に製造しても、もしくは一体としてもよい。どちらにしても、両者を配置するためのケーシングにおける加工を一体的に行うことができるため、製造コストを低減することができる。また、メイン軸受と内歯歯車のころを一体として加工する場合には、製造コストを更に低減することができる。
【0068】
また、上記の実施形態では、軸受の配置方式として、正面組合せ方式を用いているが、背面組合せ方式にしてもよい。
【0069】
なお、実施形態に記載されている構成部品・要素のうち、特に記載されていないものであっても、構成部品の寸法、材質、形状、その他相対配置などは特に特定的な断りがない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0070】
116…アーム(先端側部材)
118…負荷補償機構
121…減速機
122…ケーシング(回転部)
151、152…第1、第2フランジ体(固定部)
158…メイン軸受
161…全軸受
G1…減速装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、該固定部の半径方向において嵌合され、該固定部に対して回転可能な回転部と、を有する減速機と、
前記回転部に固定された先端側部材と、
前記先端側部材の自重によって回転部を回転させる回転負荷と逆方向の負荷を該先端側部材に対して与える負荷補償機構と、
を備えた減速装置において、
前記固定部と前記回転部との間で且つ、前記減速機の軸方向において前記負荷補償機構が接続されている位置に、メイン軸受が配置されており、
該メイン軸受の負荷容量が、該メイン軸受を含めて前記固定部と前記回転部との間に配置された全軸受中で最大とされるとともに、該全軸受全体で与圧がバランスされている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記全軸受には、前記メイン軸受の他、軸方向において前記負荷補償機構が接続されていない位置に配置されているサブ軸受が含まれる
ことを特徴とする減速装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記全軸受が、前記メイン軸受のみで構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記メイン軸受が2以上の個別軸受で構成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記2以上の個別軸受のうち、少なくとも1つの個別軸受が与圧を必要としないころ軸受である
ことを特徴とする減速装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記メイン軸受が、クロスローラ軸受である
ことを特徴とする減速装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記メイン軸受の内輪が固定部と兼用されていると共に、前記メイン軸受の外輪が
回転部と兼用されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記減速装置が、該減速機に備えられている外歯歯車と内歯歯車が内接噛合する内接噛合型揺動歯車減速装置であり、
前記メイン軸受の転動体が、前記内接噛合の内歯歯車の内歯を構成する円筒状ころと同径であり、且つ該円筒状ころと同軸に配置されている
ことを特徴とする減速装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−99507(P2011−99507A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254211(P2009−254211)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】