渦電流式膜厚計
【課題】渦電流式膜厚計を用いて、半導体基板上又は液晶ディスプレイ用のガラス基板上に形成された導電性薄膜の成膜状態を検査しようとした場合、被測定物が熱を持ち、その熱によって検出コイルの温度が上昇して測定誤差が生じることがあった。検出コイルの温度が上昇することによって、検出コイルの抵抗値が大きくなり、ブリッジのバランスが崩れて出力電圧が余分に発生し、測定対象物の膜厚が正しく計れないというものであった。
【解決手段】被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を遮蔽板を用いて検出コイルに到達するのを防止することにより熱の影響によるインピ−ダンスの変化が生じないようにする。または、被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を、積極的に検出コイル及び参照コイルに導いて熱の影響によるインピ−ダンスの変化を後段のブリッジにて相殺する。これらの手段により、被測定物が高温でも膜厚が正しく計れるようになった。
【解決手段】被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を遮蔽板を用いて検出コイルに到達するのを防止することにより熱の影響によるインピ−ダンスの変化が生じないようにする。または、被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を、積極的に検出コイル及び参照コイルに導いて熱の影響によるインピ−ダンスの変化を後段のブリッジにて相殺する。これらの手段により、被測定物が高温でも膜厚が正しく計れるようになった。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄膜等の導電性の被膜の厚さを非接触で測定する渦電流式膜厚計に関し、詳しくは検出コイルが被測定物から受ける熱の対策に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上、又は液晶ディスプレイ用のガラス基板上に形成された導電性薄膜の成膜状態を非破壊で検査する導電膜検査装置として渦電流式膜厚計が用いられている。
【0003】
渦電流式膜厚計は、導体を交番磁界中に置くと、その導体内に磁界を打ち消す方向に渦電流が流れ、この渦電流の大きさや分布が、導体の形状、導電率、内部欠陥などにより変化することを利用して被膜の電気抵抗値を測定するという原理に基いた計測装置である。これは、渦電流により発生する磁界が相互誘導作用により検出コイルのインピ−ダンスを変化させるので、このインピ−ダンスの変化を電圧値や位相の変化として検出することにより、被検査物である導体の状態を知る方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、膜厚測定装置について、図9〜11を使用して説明する。図9に膜厚測定装置91の概略全体構成を示す。図9に示すように、膜厚測定装置91は、例えば、駆動系(移動機構)3によって駆動される基板ステ−ジ93a上に支持されたシリコンウエハ等の基板50の上方に配置される測定部92を有している。
【0005】
この駆動系93は、コンピュ−タ94からの命令によって動作するように構成され、基板ステ−ジ93aを上下及び水平方向に移動させることにより、測定部92と基板50との相対的な位置を変えるようになっている。
【0006】
測定部92は、例えば、プラスチック等の絶縁材料からなる支持部92aが設けられ、この支持部92aに、渦電流コイルセンサ(以下「渦電流センサ」という)20と,レ−ザ変位センサ(以下「レ−ザセンサ」という)30が取り付けられている。
【0007】
ここで、渦電流センサ20は、基板50の近傍に配置され、基板50上に形成された導電膜(測定対象膜)51に近接するようになっている。
【0008】
この渦電流センサ20は絶縁材料からなる本体部2内に、後述する検出コイル3と参照コイル4が埋め込まれて構成されている(図11)。更に、検出コイル3と参照コイル4はインダクタンスメ−タ95に接続されている。
【0009】
また、レ−ザセンサ30は、渦電流センサの上方の所定の位置に取り付けられている。
【0010】
このレ−ザセンサ30は、レ−ザセンサコントロ−ラ96によって制御されるもので、基板50上の導電膜51上の所定の位置を照射することにより導電膜51表面までの距離を高精度に測定するものである。
【0011】
さらに、これらインダクタンスメ−タ5とレ−ザセンサコントロ−ラ6はコンピュ−タ94に接続され、コンピュ−タ94においてデ−タ解析を行なうようになっている。
【0012】
図10は、渦電流センサ20の構成を示す回路図、図11は、渦電流センサ20の検出コイル3と参照コイル4の相対的な位置関係を説明する図である。検出コイル3が基板50上の導電膜51に近接している。
【0013】
図10に示すように、渦電流センサ20はMaxwellブリッジと呼ばれるブリッジ回路(以下、ブリッジとする)10を持っている。渦電流センサ20の検出コイル3と参照コイル4が直列に接続されている様子を示している。検出コイル3のみ、基板50と相互に影響することを太い矢印で示している。
【0014】
渦電流センサ20は、ブリッジ10に交流電圧源26より印加した交流電圧(VD)によって発生するコイルの両端の電圧において、検出コイル3の両端には基板50と相互の影響により発生する電圧が含まれることから、検出コイル3と参照コイル4の端子間電圧の差分(VS)をブリッジ10によって得て、測定回路27を経てコンピュ−タ94ヘ送り、予め記憶しておいたデ−タと照合することにより、膜厚を得るというものである。
【0015】
膜厚を得る為の具体的な方法を図12〜13を用いて詳細に説明する。
【0016】
渦電流式膜厚計20の構成例を図12に示す。検出コイル(ピックアップコイル)3が測定対象の導電膜51に0.3mm程度に近接して配置され、参照コイル4は検出コイル3から数mm程度の所に配置され、図13のようなブリッジ型回路を形成し、交流電圧が印加されて発生する電圧から膜厚を知ることが出来る。
【0017】
R1、L1が検出及び参照コイルの抵抗、自己インダクタンスで、導電膜51に誘起された渦電流による検出コイルのインピーダンスの変化を成分ごとに、Re、 Leとおくと下記となる。
【0018】
【表1】
【0019】
ここで、I1の経路のインピーダンスをZ1としてI1とdI1/dtは下記と書ける。
【0020】
【表2】
【0021】
これらを用いてVxを書き変えると、下記となる。
【0022】
【表3】
【0023】
これからVxの振幅│Vx│は下記と書ける。
【0024】
【表4】
【0025】
したがって、式(1)からは交流電圧信号Vxの測定において位相検波時の参照信号の位相設定によって、Re, Leが独立に測定できることが分かる。
【0026】
導電膜51での渦電流による検出コイルのインピーダンスの変化は、図14のように導電膜51の薄膜を一つのループと見なしてRe, Leを考えると分かりやすい。相互インダクタンスをMCL、仮想ループの抵抗、自己インダクタンスをRL, LLとすると検出コイルのインピーダンスZCは下記となる。
【0027】
【表5】
【0028】
RLが導電膜51のシート抵抗に比例して変化すると、Re, Leが変化し、(1)式の出力電圧が変化する。よって、シート抵抗とVxの関係が存在し、導電膜51の材料に応じた「膜厚とシート抵抗の関係」を用いれば、Vxの測定結果から導電膜51の膜厚が求まる。
【0029】
なお、検出コイル3と参照コイル4は図11のように、絶縁体で出来た本体部2の下端と中にそれぞれ接着、固定されている。渦電流センサ20は上方から支持され導電膜51には接触しない。
【0030】
また、従来、前記検出コイルが周囲の温度変化等の影響を受け測定値にドリフトが発生することがあるが、CPUを用いて予めメモリ装置に記憶された設計上の膜厚値を参照して補正処理を行なう装置があった(例えば、特許文献2参照)。
【0031】
さらに、前記検出コイルと前記参照コイルを直列接続し前記ブリッジ回路でインダクタンス成分の変化量を測定する方法が開示されている。また、インダクタンス成分のドリフト現象に対して測定値を補正する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照)。
【0032】
【特許文献1】特開平5−149927号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2001−343205号公報(第4頁、図1)
【特許文献3】特開2002−148010号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
半導体基板上、又は液晶ディスプレイ用のガラス基板上に形成された導電性薄膜の成膜状態を検査しようとした場合、被測定物が熱を持ち、その熱によって前記検出コイルの温度が上昇して測定誤差が生じることがあった。前記検出コイルの温度が上昇することによって、前記検出コイルの抵抗値が大きくなり、前記ブリッジ回路の出力のバランスが崩れて出力電圧を余分に発生し、前記被測定物の膜厚が正しく計れないというものであった。この場合、センサである前記検出コイル部分が前記被測定物と近接して、局所的に加熱されるため、特許文献2や特許文献3に開示されたような方法で周囲環境から予めメモリ装置に記憶された設計上の膜厚値を参照して補正処理を行なっても補正しきれなかった。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、前記課題を解決するため、渦電流式膜厚計の前記本体部に熱をコイルに対し遮蔽、又は導く手段を設けることにより、前記ブリッジ回路が前記検出コイル及び前記参照コイルの両方で生じる熱の影響又はその対策より副次的に生じる影響を相殺し、誤差の少ない計測を可能とするものである。
【0035】
本発明の第1の手段は、直接原因である被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を遮蔽板(以下、熱シ−ルドとする)を用いて前記検出コイルに到達するのを防止することにより熱の影響によるインピ−ダンスの変化が生じないようにするものである。
【0036】
また、本発明の第2の手段は、直接原因である前記被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を、積極的に前記検出コイル及び前記参照コイルに導いて熱の影響によるインピ−ダンスの変化を後段の前記ブリッジ回路にて相殺するものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明の第1の手段によれば、前記熱シ−ルドにより、前記被測定物からの熱による前記検出コイルの温度上昇が抑えられる。従って前記検出コイルの温度による抵抗値の変化も押さえられ、前記被測定物が高温でも正しい膜厚測定が可能になる。
また、前記熱シ−ルドにスリットを設けたので、前記熱シ−ルドでの渦電流の前記ブリッジ回路出力への影響は小さくなった。
また、前記参照コイル近くにも前記熱シ−ルドと同じ形状のダミ−を置くので、前記熱シ−ルドの前記ブリッジ回路出力への影響は相殺される。
【0038】
本発明の第2の手段によれば、前記被測定物からの熱による前記検出コイル及び前記参照コイルの温度上昇は、前記ブリッジ回路により相殺される。前記被測定物が高温でも正しい膜厚測定が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
まず、本発明の第1の手段につき説明する。
【0041】
図1に本発明の実施の形態の渦電流式センサの斜視図を示す。また、図2に、縦断面図を示す。検出コイル3と参照コイル4が絶縁体で出来た本体部2の下端と中にそれぞれ接着、固定されている。
【0042】
さらに、検出コイル3の下方には、熱シ−ルド5が接着固定されている。熱シ−ルド5は、導電性材料(金属)からなる厚膜を有し、スリット5bによって分割された切片5aの集合体である。
【0043】
また、参照コイル4の下方には、ダミ−6が接着固定されている。ダミ−5は、導電性材料(金属)からなる厚膜を有し、スリット6bによって分割された切片6aの集合体である。
【0044】
図1及び図2のように、検出コイル3と基板50の間に金属の膜(熱シールド)5を入れ、基板50からの熱流入を防ぐ。熱シールド5へ流入した熱は本体部20上方の図示しない熱浴に逃がすように熱伝達経路を設けておく。
【0045】
金属の膜(熱シールド)5があるとそこに渦電流が誘起されるため、本来の導電膜51の膜厚が正しく測れず、また検出感度が低下するので、そこでの渦電流の影響を小さくするために、渦電流の経路の径を小さくする。即ち、例えば図1及び図2のようなスリット5bを入れる。
【0046】
また、熱シールド5での渦電流の影響をなくすために、図1及び図2のように参照コイル4の下にも熱シールド5と同じ形状、厚さの金属膜(ダミー)6を置く。それにより、熱シールド5の影響が相殺されてブリッジ10出力に現れない。つまり、熱シールド5による検出コイル3のインピーダンス変化が、ダミー6による参照コイル4のインピーダンス変化と同じになり、両コイルのインピーダンスの差が起源のブリッジ10出力は0のままである。よって、ブリッジ10出力には、基板50の導電膜51のシート抵抗の情報のみが現れ、正しい測定が可能になる。
【0047】
熱シールド5により、基板50からの熱による検出コイル3の温度上昇が抑えられるので、検出コイル3の抵抗値の温度による変化が抑えられ、余分なブリッジ10出力がなくなり、高温の導電膜51でも正しい膜厚測定が可能になる。
【0048】
また、熱シールド5にスリット5bがあるので、熱シールド5での渦電流のブリッジ10出力への影響が小さい。さらに、参照コイル4の近くにも熱シールド5と同じ形状のダミー6を置くので、熱シールド5のブリッジ10出力への影響は相殺される。
【0049】
以上の効果を具体的に示すため、計算モデルにより見積もりを行なった。
図1及び2の構成に関する例を述べる。熱シールド5による感度低下を簡略化したモデル(図14)で見積もった。
【0050】
まず、スリット5bがない熱シールド5による感度低下を見積もった。検出コイル3と参照コイル4のインピーダンス変化を計算しブリッジ10の出力を求めた。
【0051】
熱シールド5による感度低下の計算方法は、検出コイル3の下に同心円の5つの仮想ループを置き、ここでは導電膜51と熱シールド5に見立てた(図4参照)。簡単化して導電膜51と熱シールド5は同じ高さにあるとしている(0.3mm程度異なっても計算結果に大きい影響はない)。半径0.5, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5 mmの5つのループ(幅0.5mm)を仮定し、導電膜51を3つ目のループ、熱シールド5をその他のループに対応させた。
【0052】
導電膜51はCu 厚さ1μm相当のシート抵抗とし、熱シールド5はCu 100μm相当とした。検出コイル3はソレノイドで長さ1.71 mm、外径2.4 mm、内径0.4 mm。1層につき10巻き、6層、合計60巻き、コイル下端から導電膜51までの距離h=0.3 mm、コイルの自己インダクタンスLC = 1.75 x10 -6 H、コイルの抵抗RC = 0.66Ωとした。導電膜51に見立てた3つ目のループがないときのインピーダンス変化も計算し、それをダミー6による参照コイル4のインピーダンス変化とし、それら値を用いて式(1)(表3参照)からブリッジ10の出力を計算した(両コイルのRの差をRe、Lの差をLeとして計算)。
【0053】
熱シールド5とダミー6がある場合、ブリッジ10に5MHz、振幅1Vの交流電圧を印加したときのブリッジ10出力振幅は、2.40mVとなった(図4参照)。
【0054】
一方、上記3つ目のループだけが存在するとき、即ち熱シールド5とダミー6がない場合には、出力振幅は5.16mVとなった(図3参照)。つまり、スリット5b、6bがない熱シールド5とダミー6があると、膜厚計の感度がおよそ半分になると言える。
【0055】
次に熱シールド5にスリット5bを入れた場合を簡略化したモデル(図14)で考える。熱シールド5のループの寸法を変えて、検出コイル3のR、Lの変化を調べることにする。ループサイズを変えたときの、「検出コイル3のR、Lの変化量Re, Le」を図14のモデルを用いて比べた。大きいシ−ルドによる検出コイル3のRとLの変化量を図5に示す。小さいシ−ルドによる検出コイル3のRとLの変化量を図6に示す。
【0056】
図5はループ半径1.5 mm、幅0.5 mmで、図6はル−プ半径0.15 mm、幅0.05 mmである。式(2)、(3)(表5参照)に値を入れプロットした結果である。1MHzと10MHzの場合を示した。RLはループの抵抗、コイルは前述のソレノイドで、ループの自己インダクタンスLL、コイルとの相互インダクタンスMCLは図中に示した。上記の半径が1/10のループでは幅も1/10なので、熱シールド5の厚さが同じなら(シート抵抗が同じなら)RLは同じである。熱シールド5が厚さ1μmの銅の場合のRLを図中に矢印で示した。ループ径を小さくするとRe, Leは大幅に小さくなることが分かる。
【0057】
熱シールド5は熱を逃がすために厚いものを想定しており、例えばCuが100μmとすると、1/ RLは250程度である。また、各周波数でReとωLeの大きい方同士を比較すると(ブリッジ10出力への寄与が大きい方を比較)、1MHz、10MHzの何れにおいても3桁大きさが異なることが分かる。図中のReとωLeによるブリッジ10出力分を図5、6の右の縦軸にVxとして示した。1/ RLが250の領域で、大きさが一桁小さいコイルでは、このVxも3桁小さいことが分かる。熱シールド5全体の面積を一致させるには、ループ径1/10のものが100個必要なので上記から (1/1000)かける100=1/10で、ブリッジ10出力への寄与は大きいループに比べ1/10になる。よって、感度の低下分も1/10程度になると考えられる。
【0058】
大きいループの熱シールド5による感度低下分が約50%なので、小さいループではその1/10で、感度低下分は数%程度と見積もることができる。ループを小さくすれば(その分、数が増えても)コイルへの影響は小さくなる。低温実験で使用するコイルフォイルやCuの核断熱消磁冷却での銅線の束やバルク部品へのスリットと同様で渦電流の影響が小さくなる。
【0059】
よって、図1の構成で感度低下が少ないまま基板50からの熱の影響を防ぎ、熱シールド5の導電性をキャンセルし、導電膜51の膜厚を正しく測定できる。
【0060】
また、熱シールド5と、参照コイル4下のダミー6を熱的に接続し(小さい熱抵抗でつなぐ)、検出系上方の図示しない熱浴との間に熱抵抗を設けると、検出コイル3と参照コイル4の温度差がより小さくなり、基板50からの熱の影響をよりキャンセルすることができる。尚、前記熱抵抗は、取りつけ、取り外しが容易なジャンパ線状にして調整可能にしても良い。
【0061】
以上が、本発明の第1の手段についての解説である。
【0062】
次に、本発明の第2の手段につき、説明する。
【0063】
図7は本発明の実施の形態の渦電流センサ−71の斜視図を示す。また、図8は、縦断面図である。尚、使用するブリッジ回路は図10である。
【0064】
本発明の第1の手段とは異なり、検出コイル73及び参照コイル74に基板50からの熱を積極的に取り込んで熱の影響をブリッジ回路10(図10)によってキャンセルするものである。
【0065】
検出コイル73及び参照コイル74には平面コイルを用いる。平面コイルは、平面上に渦巻き状に巻いたコイルである。参照コイル74は、本体部72の窪んだ位置(凹部)72aに取り付け、基板50からの熱輻射、空気の対流による熱流入がある。平面コイルでは、導電膜51からの距離が大きくなると、導電膜51のコイルインピーダンスへの影響は急速に小さくなる。一方、基板50からの熱によるコイルの温度上昇はそれほど急速には小さくならない。
【0066】
そのため、図7及び図8の配置により検出コイル73と参照コイル74は同程度の温度になって熱の影響をキャンセルし、導電膜51からの距離の違いによって各コイルのインピーダンス変化分が異なり、基板50の導電膜51の膜厚情報がブリッジ10(図10)に出力される。
【0067】
よって、ブリッジ出力10には、基板50の導電膜51のシート抵抗の情報のみが現れ、正しい測定が可能になる。
【0068】
以上が、本発明の第2の手段についての解説である。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて、種々の変形が可能である。
【0070】
例えば、第1の手段において、熱シ−ルド5とダミ−6を接続することにより、検出コイル3と参照コイル4との温度差を小さくする。これにより、基板50の導電膜51に発生した渦電流による「検出コイル3のインピ−ダンスの変化」のみを捉えるようにしても良い。
【0071】
また、第1の手段において、熱シ−ルド5とダミ−6をさらに図示しない熱浴(熱をそこに逃がすための熱容量の大きい物体)との間を接続し、各接続部において、熱抵抗を設定可能に形成しても良い。熱抵抗値を適宜設定することにより、検出コイル3と参照コイル4との温度差を小さくする。これにより、基板50の導電膜51に発生した渦電流による「検出コイル3のインピ−ダンスの変化」のみを捉えるようにしても良い。
【0072】
また、第2の手段において、参照コイル74は、本体部72の窪んだ位置(凹部)72aに取り付け、基板50からの熱輻射、空気の対流による熱流入があるようにしたが、本体部72に設けた貫通孔(穴)や段差に取り付けても良い。検出コイル73よりも導電膜51から離れ、且つ、基板50からの熱輻射、空気の対流による熱流入に曝されるように参照コイル74を取り付けられれば、本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の手段の渦電流式センサ1の斜視図である。 検出コイル3と参照コイル4が、本体部2の下端と中に固定されている。 検出コイル3の下方には、熱シ−ルド5が固定されている。また、参照コイル4の下方には、ダミ−6が固定されている。
【図2】本発明の第1の手段の渦電流式センサ1の断面図である。 検出コイル3と測定対象である導電膜51の間に熱シ−ルドが固定された状態になる。
【図3】本発明の第1の手段の計算モデル(熱シ−ルドのない場合)である。 検出コイル3には、実線で示される導電膜51に相当する3番のル−プの影響が出る。一方、参照コイル4には、何も影響がない。
【図4】本発明の第1の手段の計算モデル(熱シ−ルドのある場合)である。 検出コイルには、実線で示される導電膜51に相当する3番目のル−プの他に、熱シ−ルド5に相当する1、2、4、5番目のル−プの影響が出る。一方、参照コイルには、ダミ−6に相当する1、2、4、5番目のル−プの影響が出る。
【図5】本発明の第1の手段による感度低下の計算結果のグラフ(熱シ−ルドにスリットのない場合)である。
【図6】本発明の第1の手段による感度低下の計算結果のグラフ(熱シ−ルドにスリットのある場合)である。図5に比べて大幅にRe、Leが大幅に小さくなっているのが分かる。これにより、スリットの有効性が確かめられた。
【図7】本発明の第2の手段の実施の形態の渦電流式センサ71の斜視図である。 検出コイル73は、本体部72の下端に固定されている。一方、参照コイル74は、凹部72aに取り付けられている。これにより、基板50からの熱は、参照コイル74と検出コイル73の両方に届く。また、検出コイル73には導電膜51の影響が及ぶが、参照コイル74には導電膜51の影響は及ばないようになる。
【図8】本発明の第2の手段の実施の形態の渦電流式センサ71の断面図である。
【図9】渦電流式膜厚測定装置91の概略全体構成図である。 駆動系(移動機構)93によって駆動される基板ステ−ジ93a上に支持されたシリコンウエハ等の基板50の上方に配置される測定部92を有している。駆動系93は、コンピュ−タ94からの命令によって動作するように構成され、基板ステ−ジ93aを上下及び水平方向に移動させることにより、測定部92と基板50との相対的な位置を変えるようになっている。
【図10】渦電流式膜厚計(渦電流センサ)20の回路図である。 ブリッジ10によって、参照コイル4と検出コイル3の出力の差分を得て測定回路27で受けるように構成されている。
【図11】渦電流センサ20の検出コイル3と参照コイル4の相対的な位置関係を説明する図である。検出コイル3は、基板50の導電膜51に近い本体部2の下端にある。一方、参照コイル、基板50の導電膜51から離れている。
【図12】渦電流式センサ20の斜視図である。 計算モデルの基となる渦電流式センサ20の構成品の配置を示す図である。測定対象である導電膜51、検出コイル3、参照コイル4の配置の概略位置を示す。
【図13】渦電流式センサの回路図である。 参照コイル4にL1、R1が対応する。検出コイル3に、L2、R2が対応する。
【図14】渦電流式センサ20の計算モデルである。 検出コイル3と導電膜51の関係を計算モデル化した。導電膜51に相当するのがル−プである。検出コイル3と導電膜51が互いに受ける影響が相互インダクタンスMCLである。
【符号の説明】
【0074】
1・・・渦電流センサ−(渦電流式膜厚計)、2・・・本体部、3・・・検出コイル、4・・・参照コイル、5・・・熱シ−ルド、5a・・・切片、5b・・・スリット、6・・・ダミ−、6a・・・切片、6b・・・スリット、
10・・・インダクタンスブリッジ(ブリッジ)、14・・・基準抵抗、15・・・基準抵抗、
20・・・渦電流センサ−(渦電流式膜厚計)、21・・・並列接続点、22・・・並列接続点、23・・・接続中点、24・・・接続中点、26・・・交流電圧源、27・・・測定回路
30・・・レ−ザ変位センサ−、
50・・・基板、51・・・導電膜、
71・・・渦電流センサ−(渦電流式膜厚計)、72・・・本体部、72a・・・凹部、73・・・平面コイル(検出コイル)、74・・・平面コイル(参照コイル)
91・・・膜厚測定装置、92・・・測定部、92a・・・支持部、93・・・駆動系(移動機構)、93a・・・基板ステ−ジ、94・・・コンピュ−タ、95・・・インダクタンスメ−タ、96・・・レ−ザセンサコントロ−ラ、
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄膜等の導電性の被膜の厚さを非接触で測定する渦電流式膜厚計に関し、詳しくは検出コイルが被測定物から受ける熱の対策に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上、又は液晶ディスプレイ用のガラス基板上に形成された導電性薄膜の成膜状態を非破壊で検査する導電膜検査装置として渦電流式膜厚計が用いられている。
【0003】
渦電流式膜厚計は、導体を交番磁界中に置くと、その導体内に磁界を打ち消す方向に渦電流が流れ、この渦電流の大きさや分布が、導体の形状、導電率、内部欠陥などにより変化することを利用して被膜の電気抵抗値を測定するという原理に基いた計測装置である。これは、渦電流により発生する磁界が相互誘導作用により検出コイルのインピ−ダンスを変化させるので、このインピ−ダンスの変化を電圧値や位相の変化として検出することにより、被検査物である導体の状態を知る方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、膜厚測定装置について、図9〜11を使用して説明する。図9に膜厚測定装置91の概略全体構成を示す。図9に示すように、膜厚測定装置91は、例えば、駆動系(移動機構)3によって駆動される基板ステ−ジ93a上に支持されたシリコンウエハ等の基板50の上方に配置される測定部92を有している。
【0005】
この駆動系93は、コンピュ−タ94からの命令によって動作するように構成され、基板ステ−ジ93aを上下及び水平方向に移動させることにより、測定部92と基板50との相対的な位置を変えるようになっている。
【0006】
測定部92は、例えば、プラスチック等の絶縁材料からなる支持部92aが設けられ、この支持部92aに、渦電流コイルセンサ(以下「渦電流センサ」という)20と,レ−ザ変位センサ(以下「レ−ザセンサ」という)30が取り付けられている。
【0007】
ここで、渦電流センサ20は、基板50の近傍に配置され、基板50上に形成された導電膜(測定対象膜)51に近接するようになっている。
【0008】
この渦電流センサ20は絶縁材料からなる本体部2内に、後述する検出コイル3と参照コイル4が埋め込まれて構成されている(図11)。更に、検出コイル3と参照コイル4はインダクタンスメ−タ95に接続されている。
【0009】
また、レ−ザセンサ30は、渦電流センサの上方の所定の位置に取り付けられている。
【0010】
このレ−ザセンサ30は、レ−ザセンサコントロ−ラ96によって制御されるもので、基板50上の導電膜51上の所定の位置を照射することにより導電膜51表面までの距離を高精度に測定するものである。
【0011】
さらに、これらインダクタンスメ−タ5とレ−ザセンサコントロ−ラ6はコンピュ−タ94に接続され、コンピュ−タ94においてデ−タ解析を行なうようになっている。
【0012】
図10は、渦電流センサ20の構成を示す回路図、図11は、渦電流センサ20の検出コイル3と参照コイル4の相対的な位置関係を説明する図である。検出コイル3が基板50上の導電膜51に近接している。
【0013】
図10に示すように、渦電流センサ20はMaxwellブリッジと呼ばれるブリッジ回路(以下、ブリッジとする)10を持っている。渦電流センサ20の検出コイル3と参照コイル4が直列に接続されている様子を示している。検出コイル3のみ、基板50と相互に影響することを太い矢印で示している。
【0014】
渦電流センサ20は、ブリッジ10に交流電圧源26より印加した交流電圧(VD)によって発生するコイルの両端の電圧において、検出コイル3の両端には基板50と相互の影響により発生する電圧が含まれることから、検出コイル3と参照コイル4の端子間電圧の差分(VS)をブリッジ10によって得て、測定回路27を経てコンピュ−タ94ヘ送り、予め記憶しておいたデ−タと照合することにより、膜厚を得るというものである。
【0015】
膜厚を得る為の具体的な方法を図12〜13を用いて詳細に説明する。
【0016】
渦電流式膜厚計20の構成例を図12に示す。検出コイル(ピックアップコイル)3が測定対象の導電膜51に0.3mm程度に近接して配置され、参照コイル4は検出コイル3から数mm程度の所に配置され、図13のようなブリッジ型回路を形成し、交流電圧が印加されて発生する電圧から膜厚を知ることが出来る。
【0017】
R1、L1が検出及び参照コイルの抵抗、自己インダクタンスで、導電膜51に誘起された渦電流による検出コイルのインピーダンスの変化を成分ごとに、Re、 Leとおくと下記となる。
【0018】
【表1】
【0019】
ここで、I1の経路のインピーダンスをZ1としてI1とdI1/dtは下記と書ける。
【0020】
【表2】
【0021】
これらを用いてVxを書き変えると、下記となる。
【0022】
【表3】
【0023】
これからVxの振幅│Vx│は下記と書ける。
【0024】
【表4】
【0025】
したがって、式(1)からは交流電圧信号Vxの測定において位相検波時の参照信号の位相設定によって、Re, Leが独立に測定できることが分かる。
【0026】
導電膜51での渦電流による検出コイルのインピーダンスの変化は、図14のように導電膜51の薄膜を一つのループと見なしてRe, Leを考えると分かりやすい。相互インダクタンスをMCL、仮想ループの抵抗、自己インダクタンスをRL, LLとすると検出コイルのインピーダンスZCは下記となる。
【0027】
【表5】
【0028】
RLが導電膜51のシート抵抗に比例して変化すると、Re, Leが変化し、(1)式の出力電圧が変化する。よって、シート抵抗とVxの関係が存在し、導電膜51の材料に応じた「膜厚とシート抵抗の関係」を用いれば、Vxの測定結果から導電膜51の膜厚が求まる。
【0029】
なお、検出コイル3と参照コイル4は図11のように、絶縁体で出来た本体部2の下端と中にそれぞれ接着、固定されている。渦電流センサ20は上方から支持され導電膜51には接触しない。
【0030】
また、従来、前記検出コイルが周囲の温度変化等の影響を受け測定値にドリフトが発生することがあるが、CPUを用いて予めメモリ装置に記憶された設計上の膜厚値を参照して補正処理を行なう装置があった(例えば、特許文献2参照)。
【0031】
さらに、前記検出コイルと前記参照コイルを直列接続し前記ブリッジ回路でインダクタンス成分の変化量を測定する方法が開示されている。また、インダクタンス成分のドリフト現象に対して測定値を補正する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照)。
【0032】
【特許文献1】特開平5−149927号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2001−343205号公報(第4頁、図1)
【特許文献3】特開2002−148010号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
半導体基板上、又は液晶ディスプレイ用のガラス基板上に形成された導電性薄膜の成膜状態を検査しようとした場合、被測定物が熱を持ち、その熱によって前記検出コイルの温度が上昇して測定誤差が生じることがあった。前記検出コイルの温度が上昇することによって、前記検出コイルの抵抗値が大きくなり、前記ブリッジ回路の出力のバランスが崩れて出力電圧を余分に発生し、前記被測定物の膜厚が正しく計れないというものであった。この場合、センサである前記検出コイル部分が前記被測定物と近接して、局所的に加熱されるため、特許文献2や特許文献3に開示されたような方法で周囲環境から予めメモリ装置に記憶された設計上の膜厚値を参照して補正処理を行なっても補正しきれなかった。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、前記課題を解決するため、渦電流式膜厚計の前記本体部に熱をコイルに対し遮蔽、又は導く手段を設けることにより、前記ブリッジ回路が前記検出コイル及び前記参照コイルの両方で生じる熱の影響又はその対策より副次的に生じる影響を相殺し、誤差の少ない計測を可能とするものである。
【0035】
本発明の第1の手段は、直接原因である被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を遮蔽板(以下、熱シ−ルドとする)を用いて前記検出コイルに到達するのを防止することにより熱の影響によるインピ−ダンスの変化が生じないようにするものである。
【0036】
また、本発明の第2の手段は、直接原因である前記被測定物からの熱(輻射熱、空気の熱対流)を、積極的に前記検出コイル及び前記参照コイルに導いて熱の影響によるインピ−ダンスの変化を後段の前記ブリッジ回路にて相殺するものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明の第1の手段によれば、前記熱シ−ルドにより、前記被測定物からの熱による前記検出コイルの温度上昇が抑えられる。従って前記検出コイルの温度による抵抗値の変化も押さえられ、前記被測定物が高温でも正しい膜厚測定が可能になる。
また、前記熱シ−ルドにスリットを設けたので、前記熱シ−ルドでの渦電流の前記ブリッジ回路出力への影響は小さくなった。
また、前記参照コイル近くにも前記熱シ−ルドと同じ形状のダミ−を置くので、前記熱シ−ルドの前記ブリッジ回路出力への影響は相殺される。
【0038】
本発明の第2の手段によれば、前記被測定物からの熱による前記検出コイル及び前記参照コイルの温度上昇は、前記ブリッジ回路により相殺される。前記被測定物が高温でも正しい膜厚測定が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
まず、本発明の第1の手段につき説明する。
【0041】
図1に本発明の実施の形態の渦電流式センサの斜視図を示す。また、図2に、縦断面図を示す。検出コイル3と参照コイル4が絶縁体で出来た本体部2の下端と中にそれぞれ接着、固定されている。
【0042】
さらに、検出コイル3の下方には、熱シ−ルド5が接着固定されている。熱シ−ルド5は、導電性材料(金属)からなる厚膜を有し、スリット5bによって分割された切片5aの集合体である。
【0043】
また、参照コイル4の下方には、ダミ−6が接着固定されている。ダミ−5は、導電性材料(金属)からなる厚膜を有し、スリット6bによって分割された切片6aの集合体である。
【0044】
図1及び図2のように、検出コイル3と基板50の間に金属の膜(熱シールド)5を入れ、基板50からの熱流入を防ぐ。熱シールド5へ流入した熱は本体部20上方の図示しない熱浴に逃がすように熱伝達経路を設けておく。
【0045】
金属の膜(熱シールド)5があるとそこに渦電流が誘起されるため、本来の導電膜51の膜厚が正しく測れず、また検出感度が低下するので、そこでの渦電流の影響を小さくするために、渦電流の経路の径を小さくする。即ち、例えば図1及び図2のようなスリット5bを入れる。
【0046】
また、熱シールド5での渦電流の影響をなくすために、図1及び図2のように参照コイル4の下にも熱シールド5と同じ形状、厚さの金属膜(ダミー)6を置く。それにより、熱シールド5の影響が相殺されてブリッジ10出力に現れない。つまり、熱シールド5による検出コイル3のインピーダンス変化が、ダミー6による参照コイル4のインピーダンス変化と同じになり、両コイルのインピーダンスの差が起源のブリッジ10出力は0のままである。よって、ブリッジ10出力には、基板50の導電膜51のシート抵抗の情報のみが現れ、正しい測定が可能になる。
【0047】
熱シールド5により、基板50からの熱による検出コイル3の温度上昇が抑えられるので、検出コイル3の抵抗値の温度による変化が抑えられ、余分なブリッジ10出力がなくなり、高温の導電膜51でも正しい膜厚測定が可能になる。
【0048】
また、熱シールド5にスリット5bがあるので、熱シールド5での渦電流のブリッジ10出力への影響が小さい。さらに、参照コイル4の近くにも熱シールド5と同じ形状のダミー6を置くので、熱シールド5のブリッジ10出力への影響は相殺される。
【0049】
以上の効果を具体的に示すため、計算モデルにより見積もりを行なった。
図1及び2の構成に関する例を述べる。熱シールド5による感度低下を簡略化したモデル(図14)で見積もった。
【0050】
まず、スリット5bがない熱シールド5による感度低下を見積もった。検出コイル3と参照コイル4のインピーダンス変化を計算しブリッジ10の出力を求めた。
【0051】
熱シールド5による感度低下の計算方法は、検出コイル3の下に同心円の5つの仮想ループを置き、ここでは導電膜51と熱シールド5に見立てた(図4参照)。簡単化して導電膜51と熱シールド5は同じ高さにあるとしている(0.3mm程度異なっても計算結果に大きい影響はない)。半径0.5, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5 mmの5つのループ(幅0.5mm)を仮定し、導電膜51を3つ目のループ、熱シールド5をその他のループに対応させた。
【0052】
導電膜51はCu 厚さ1μm相当のシート抵抗とし、熱シールド5はCu 100μm相当とした。検出コイル3はソレノイドで長さ1.71 mm、外径2.4 mm、内径0.4 mm。1層につき10巻き、6層、合計60巻き、コイル下端から導電膜51までの距離h=0.3 mm、コイルの自己インダクタンスLC = 1.75 x10 -6 H、コイルの抵抗RC = 0.66Ωとした。導電膜51に見立てた3つ目のループがないときのインピーダンス変化も計算し、それをダミー6による参照コイル4のインピーダンス変化とし、それら値を用いて式(1)(表3参照)からブリッジ10の出力を計算した(両コイルのRの差をRe、Lの差をLeとして計算)。
【0053】
熱シールド5とダミー6がある場合、ブリッジ10に5MHz、振幅1Vの交流電圧を印加したときのブリッジ10出力振幅は、2.40mVとなった(図4参照)。
【0054】
一方、上記3つ目のループだけが存在するとき、即ち熱シールド5とダミー6がない場合には、出力振幅は5.16mVとなった(図3参照)。つまり、スリット5b、6bがない熱シールド5とダミー6があると、膜厚計の感度がおよそ半分になると言える。
【0055】
次に熱シールド5にスリット5bを入れた場合を簡略化したモデル(図14)で考える。熱シールド5のループの寸法を変えて、検出コイル3のR、Lの変化を調べることにする。ループサイズを変えたときの、「検出コイル3のR、Lの変化量Re, Le」を図14のモデルを用いて比べた。大きいシ−ルドによる検出コイル3のRとLの変化量を図5に示す。小さいシ−ルドによる検出コイル3のRとLの変化量を図6に示す。
【0056】
図5はループ半径1.5 mm、幅0.5 mmで、図6はル−プ半径0.15 mm、幅0.05 mmである。式(2)、(3)(表5参照)に値を入れプロットした結果である。1MHzと10MHzの場合を示した。RLはループの抵抗、コイルは前述のソレノイドで、ループの自己インダクタンスLL、コイルとの相互インダクタンスMCLは図中に示した。上記の半径が1/10のループでは幅も1/10なので、熱シールド5の厚さが同じなら(シート抵抗が同じなら)RLは同じである。熱シールド5が厚さ1μmの銅の場合のRLを図中に矢印で示した。ループ径を小さくするとRe, Leは大幅に小さくなることが分かる。
【0057】
熱シールド5は熱を逃がすために厚いものを想定しており、例えばCuが100μmとすると、1/ RLは250程度である。また、各周波数でReとωLeの大きい方同士を比較すると(ブリッジ10出力への寄与が大きい方を比較)、1MHz、10MHzの何れにおいても3桁大きさが異なることが分かる。図中のReとωLeによるブリッジ10出力分を図5、6の右の縦軸にVxとして示した。1/ RLが250の領域で、大きさが一桁小さいコイルでは、このVxも3桁小さいことが分かる。熱シールド5全体の面積を一致させるには、ループ径1/10のものが100個必要なので上記から (1/1000)かける100=1/10で、ブリッジ10出力への寄与は大きいループに比べ1/10になる。よって、感度の低下分も1/10程度になると考えられる。
【0058】
大きいループの熱シールド5による感度低下分が約50%なので、小さいループではその1/10で、感度低下分は数%程度と見積もることができる。ループを小さくすれば(その分、数が増えても)コイルへの影響は小さくなる。低温実験で使用するコイルフォイルやCuの核断熱消磁冷却での銅線の束やバルク部品へのスリットと同様で渦電流の影響が小さくなる。
【0059】
よって、図1の構成で感度低下が少ないまま基板50からの熱の影響を防ぎ、熱シールド5の導電性をキャンセルし、導電膜51の膜厚を正しく測定できる。
【0060】
また、熱シールド5と、参照コイル4下のダミー6を熱的に接続し(小さい熱抵抗でつなぐ)、検出系上方の図示しない熱浴との間に熱抵抗を設けると、検出コイル3と参照コイル4の温度差がより小さくなり、基板50からの熱の影響をよりキャンセルすることができる。尚、前記熱抵抗は、取りつけ、取り外しが容易なジャンパ線状にして調整可能にしても良い。
【0061】
以上が、本発明の第1の手段についての解説である。
【0062】
次に、本発明の第2の手段につき、説明する。
【0063】
図7は本発明の実施の形態の渦電流センサ−71の斜視図を示す。また、図8は、縦断面図である。尚、使用するブリッジ回路は図10である。
【0064】
本発明の第1の手段とは異なり、検出コイル73及び参照コイル74に基板50からの熱を積極的に取り込んで熱の影響をブリッジ回路10(図10)によってキャンセルするものである。
【0065】
検出コイル73及び参照コイル74には平面コイルを用いる。平面コイルは、平面上に渦巻き状に巻いたコイルである。参照コイル74は、本体部72の窪んだ位置(凹部)72aに取り付け、基板50からの熱輻射、空気の対流による熱流入がある。平面コイルでは、導電膜51からの距離が大きくなると、導電膜51のコイルインピーダンスへの影響は急速に小さくなる。一方、基板50からの熱によるコイルの温度上昇はそれほど急速には小さくならない。
【0066】
そのため、図7及び図8の配置により検出コイル73と参照コイル74は同程度の温度になって熱の影響をキャンセルし、導電膜51からの距離の違いによって各コイルのインピーダンス変化分が異なり、基板50の導電膜51の膜厚情報がブリッジ10(図10)に出力される。
【0067】
よって、ブリッジ出力10には、基板50の導電膜51のシート抵抗の情報のみが現れ、正しい測定が可能になる。
【0068】
以上が、本発明の第2の手段についての解説である。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて、種々の変形が可能である。
【0070】
例えば、第1の手段において、熱シ−ルド5とダミ−6を接続することにより、検出コイル3と参照コイル4との温度差を小さくする。これにより、基板50の導電膜51に発生した渦電流による「検出コイル3のインピ−ダンスの変化」のみを捉えるようにしても良い。
【0071】
また、第1の手段において、熱シ−ルド5とダミ−6をさらに図示しない熱浴(熱をそこに逃がすための熱容量の大きい物体)との間を接続し、各接続部において、熱抵抗を設定可能に形成しても良い。熱抵抗値を適宜設定することにより、検出コイル3と参照コイル4との温度差を小さくする。これにより、基板50の導電膜51に発生した渦電流による「検出コイル3のインピ−ダンスの変化」のみを捉えるようにしても良い。
【0072】
また、第2の手段において、参照コイル74は、本体部72の窪んだ位置(凹部)72aに取り付け、基板50からの熱輻射、空気の対流による熱流入があるようにしたが、本体部72に設けた貫通孔(穴)や段差に取り付けても良い。検出コイル73よりも導電膜51から離れ、且つ、基板50からの熱輻射、空気の対流による熱流入に曝されるように参照コイル74を取り付けられれば、本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の手段の渦電流式センサ1の斜視図である。 検出コイル3と参照コイル4が、本体部2の下端と中に固定されている。 検出コイル3の下方には、熱シ−ルド5が固定されている。また、参照コイル4の下方には、ダミ−6が固定されている。
【図2】本発明の第1の手段の渦電流式センサ1の断面図である。 検出コイル3と測定対象である導電膜51の間に熱シ−ルドが固定された状態になる。
【図3】本発明の第1の手段の計算モデル(熱シ−ルドのない場合)である。 検出コイル3には、実線で示される導電膜51に相当する3番のル−プの影響が出る。一方、参照コイル4には、何も影響がない。
【図4】本発明の第1の手段の計算モデル(熱シ−ルドのある場合)である。 検出コイルには、実線で示される導電膜51に相当する3番目のル−プの他に、熱シ−ルド5に相当する1、2、4、5番目のル−プの影響が出る。一方、参照コイルには、ダミ−6に相当する1、2、4、5番目のル−プの影響が出る。
【図5】本発明の第1の手段による感度低下の計算結果のグラフ(熱シ−ルドにスリットのない場合)である。
【図6】本発明の第1の手段による感度低下の計算結果のグラフ(熱シ−ルドにスリットのある場合)である。図5に比べて大幅にRe、Leが大幅に小さくなっているのが分かる。これにより、スリットの有効性が確かめられた。
【図7】本発明の第2の手段の実施の形態の渦電流式センサ71の斜視図である。 検出コイル73は、本体部72の下端に固定されている。一方、参照コイル74は、凹部72aに取り付けられている。これにより、基板50からの熱は、参照コイル74と検出コイル73の両方に届く。また、検出コイル73には導電膜51の影響が及ぶが、参照コイル74には導電膜51の影響は及ばないようになる。
【図8】本発明の第2の手段の実施の形態の渦電流式センサ71の断面図である。
【図9】渦電流式膜厚測定装置91の概略全体構成図である。 駆動系(移動機構)93によって駆動される基板ステ−ジ93a上に支持されたシリコンウエハ等の基板50の上方に配置される測定部92を有している。駆動系93は、コンピュ−タ94からの命令によって動作するように構成され、基板ステ−ジ93aを上下及び水平方向に移動させることにより、測定部92と基板50との相対的な位置を変えるようになっている。
【図10】渦電流式膜厚計(渦電流センサ)20の回路図である。 ブリッジ10によって、参照コイル4と検出コイル3の出力の差分を得て測定回路27で受けるように構成されている。
【図11】渦電流センサ20の検出コイル3と参照コイル4の相対的な位置関係を説明する図である。検出コイル3は、基板50の導電膜51に近い本体部2の下端にある。一方、参照コイル、基板50の導電膜51から離れている。
【図12】渦電流式センサ20の斜視図である。 計算モデルの基となる渦電流式センサ20の構成品の配置を示す図である。測定対象である導電膜51、検出コイル3、参照コイル4の配置の概略位置を示す。
【図13】渦電流式センサの回路図である。 参照コイル4にL1、R1が対応する。検出コイル3に、L2、R2が対応する。
【図14】渦電流式センサ20の計算モデルである。 検出コイル3と導電膜51の関係を計算モデル化した。導電膜51に相当するのがル−プである。検出コイル3と導電膜51が互いに受ける影響が相互インダクタンスMCLである。
【符号の説明】
【0074】
1・・・渦電流センサ−(渦電流式膜厚計)、2・・・本体部、3・・・検出コイル、4・・・参照コイル、5・・・熱シ−ルド、5a・・・切片、5b・・・スリット、6・・・ダミ−、6a・・・切片、6b・・・スリット、
10・・・インダクタンスブリッジ(ブリッジ)、14・・・基準抵抗、15・・・基準抵抗、
20・・・渦電流センサ−(渦電流式膜厚計)、21・・・並列接続点、22・・・並列接続点、23・・・接続中点、24・・・接続中点、26・・・交流電圧源、27・・・測定回路
30・・・レ−ザ変位センサ−、
50・・・基板、51・・・導電膜、
71・・・渦電流センサ−(渦電流式膜厚計)、72・・・本体部、72a・・・凹部、73・・・平面コイル(検出コイル)、74・・・平面コイル(参照コイル)
91・・・膜厚測定装置、92・・・測定部、92a・・・支持部、93・・・駆動系(移動機構)、93a・・・基板ステ−ジ、94・・・コンピュ−タ、95・・・インダクタンスメ−タ、96・・・レ−ザセンサコントロ−ラ、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照コイルと検出コイルが直列に接続された回路と、2個の基準抵抗が直列に接続されたインダクタンスブリッジを用い、測定対象物の表面に形成された導電膜の近傍の所定の位置に配置可能に構成され、前記参照コイルよりも前記基準コイルを前記導電膜に近接した位置に配置可能であり、前記導電膜に対して所定の渦電流を発生させ且つ当該渦電流による磁界を検出する渦電流コイルセンサであって、前記測定対象物からの熱をコイルに対し遮蔽するか、又は前記熱を前記コイルに対し導くかのいずれかの手段を有することを特徴とする渦電流式膜厚計。
【請求項2】
前記手段として、前記測定対象物から前記熱を遮蔽するために前記検出コイルと前記測定対象物の間に熱シ−ルドを有することを特徴とする請求項1に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項3】
前記熱シ−ルドが、前記導電膜に発生する前記渦電流による磁界の検出ができるように、前記熱シ−ルドに発生する渦電流の径を小さくするためのスリットを有することを特徴とする請求項2に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項4】
前記参照コイルの近傍に前記熱シ−ルドに対応するダミ−を有することを特徴とする請求項2または3に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項5】
前記熱シ−ルドに接続して前記熱シ−ルドの熱を逃がす熱浴を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項6】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−が導電性の材料からなる厚膜を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項7】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−の厚膜の導電性の材料が、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、金、銀のいずれかであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項8】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−の厚膜の導電性の材料が同じ材料であることを特徴とする請求項7に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項9】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−の厚膜の導電性の材料が異なる材料であることを特徴とする請求項7に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項10】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−を接続し、前記参照コイルと前記検出コイルの温度差を小さくすることを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項11】
前記熱シ−ルド及び前記ダミ−を接続し、さらに熱浴に接続するのに、前記熱シ−ルド及び前記ダミ−と熱浴の間に熱抵抗を挿入したことを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項12】
前記熱シ−ルド及び前記ダミ−を接続し、さらに熱浴に接続するのに、前記熱シ−ルド及び前記ダミ−と前記熱浴の間に前記熱抵抗を挿入し、前記熱抵抗の値が設定可能であることを特徴とする請求項11に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項13】
前記手段として、前記測定対象物からの前記熱を前記参照コイルに導く構造を有することを特徴とする請求項1に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項14】
前記構造が、前記渦電流コイルセンサの本体部に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項15】
前記構造が、前記本体部に形成された凹部、貫通孔、段差のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項1】
参照コイルと検出コイルが直列に接続された回路と、2個の基準抵抗が直列に接続されたインダクタンスブリッジを用い、測定対象物の表面に形成された導電膜の近傍の所定の位置に配置可能に構成され、前記参照コイルよりも前記基準コイルを前記導電膜に近接した位置に配置可能であり、前記導電膜に対して所定の渦電流を発生させ且つ当該渦電流による磁界を検出する渦電流コイルセンサであって、前記測定対象物からの熱をコイルに対し遮蔽するか、又は前記熱を前記コイルに対し導くかのいずれかの手段を有することを特徴とする渦電流式膜厚計。
【請求項2】
前記手段として、前記測定対象物から前記熱を遮蔽するために前記検出コイルと前記測定対象物の間に熱シ−ルドを有することを特徴とする請求項1に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項3】
前記熱シ−ルドが、前記導電膜に発生する前記渦電流による磁界の検出ができるように、前記熱シ−ルドに発生する渦電流の径を小さくするためのスリットを有することを特徴とする請求項2に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項4】
前記参照コイルの近傍に前記熱シ−ルドに対応するダミ−を有することを特徴とする請求項2または3に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項5】
前記熱シ−ルドに接続して前記熱シ−ルドの熱を逃がす熱浴を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項6】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−が導電性の材料からなる厚膜を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項7】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−の厚膜の導電性の材料が、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、金、銀のいずれかであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項8】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−の厚膜の導電性の材料が同じ材料であることを特徴とする請求項7に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項9】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−の厚膜の導電性の材料が異なる材料であることを特徴とする請求項7に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項10】
前記熱シ−ルドと前記ダミ−を接続し、前記参照コイルと前記検出コイルの温度差を小さくすることを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項11】
前記熱シ−ルド及び前記ダミ−を接続し、さらに熱浴に接続するのに、前記熱シ−ルド及び前記ダミ−と熱浴の間に熱抵抗を挿入したことを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の渦電流式膜厚計。
【請求項12】
前記熱シ−ルド及び前記ダミ−を接続し、さらに熱浴に接続するのに、前記熱シ−ルド及び前記ダミ−と前記熱浴の間に前記熱抵抗を挿入し、前記熱抵抗の値が設定可能であることを特徴とする請求項11に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項13】
前記手段として、前記測定対象物からの前記熱を前記参照コイルに導く構造を有することを特徴とする請求項1に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項14】
前記構造が、前記渦電流コイルセンサの本体部に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の渦電流式膜厚計。
【請求項15】
前記構造が、前記本体部に形成された凹部、貫通孔、段差のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の渦電流式膜厚計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−285804(P2007−285804A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111841(P2006−111841)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]