説明

温度制御装置及びガス検出装置並びに温度制御方法

【課題】ホイートストンブリッジ回路を利用して制御対象の温度制御を行う場合に、過度の昇温を防止できる温度制御装置、及びその温度制御装置を用いたガス検出装置、並びに温度制御方法を提供すること。
【解決手段】可燃性ガス検出装置1では、両切替スイッチ523、524のオン・オフを切り替える際には、所定の重複期間TXにわたり、両切替スイッチ523、524が共にオンとなる期間を設定している。これにより、高温設定期間では、所定の高温(C2)が維持され、低温設定期間では、所定の(C2より低い)低温(C1)が維持されるが、両切替スイッチ523、524の切り替え時に、発熱抵抗体34の温度が急上昇することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被検出雰囲気中に存在する可燃性ガスの濃度測定や漏洩検知等に用いることができるガス検出装置や、例えばそのガス検出装置などに用いることができる温度制御装置及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境・自然保護などの社会的要求から、高効率で、クリーンなエネルギー源として燃料電池の研究が活発に行われている。その中で、低温作動、高出力密度等の利点により、家庭用、車載用などのエネルギー源として固体高分子型燃料電池(PEFC)や水素内燃機関が期待されている。
【0003】
これらのシステムでは、例えば、可燃性ガスである水素を燃料としているため、ガス漏れの検知が重要な課題の一つとして挙げられている。
この種の水素を検出するガス検出装置としては、例えばホイートストンブリッジ回路を利用したガス検出装置において、回路の一部の抵抗体として発熱抵抗体を設け、その発熱抵抗体から奪われる熱量によって気体の熱伝導率に換算し、その熱伝導率変化からガス濃度を検出する熱伝導式ガス検出装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−354210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、発熱抵抗体の温度の切り換えの際の安全性に関する検討が十分ではないという問題があった。
例えば、ホイートストンブリッジ回路を利用したガス検出装置において、ホイートストンブリッジ回路の4つの抵抗体の一つとして、2つのスイッチを用いて温度を切り換える一対の発熱抵抗体を用いた場合、即ち並列に配置された2つの発熱抵抗体を2つのスイッチでそれぞれ切り替える場合には、2つの温度に制御された発熱抵抗体の低温度・高温度における電圧から、水素濃度を算出している。
【0006】
しかし、その温度を切り換える際に、スイッチの一方をオンにすると同時に、もう一方をオフにすると、瞬間的に両スイッチがオフの状態となることがあり、その場合には、ホイートストンブリッジ回路の抵抗が無限大になる。その結果、発熱抵抗体が過度に昇温し、その熱衝撃によって、装置に破損が生じたり、可燃性ガスへの着火の危険性があり、安全に安定的にガスを検出することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ホイートストンブリッジ回路を利用して制御対象の温度制御を行う場合に、過度の昇温を防止できる温度制御装置、及びその温度制御装置を用いたガス検出装置、並びに温度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明では、第1態様として、第1固定抵抗体と抵抗値を異なる固定値に可変の切替抵抗体とが第1接続点を介して直列に接続された第1辺と、第2固定抵抗体と発熱により抵抗値が変化する発熱抵抗体とが第2接続点を介して直列に接続された第2辺とが、並列に接続されたホイートストンブリッジ回路と、前記第1接続点の電位と前記第2接続点の電位との電位差が供給される差動増幅回路と、を有し、前記電位差がゼロになるように、前記差動増幅回路の出力を、前記ホイートストンブリッジ回路に印加して、該ホイートストンブリッジ回路が平衡条件を満たす様に制御するとともに、前記切替抵抗体の抵抗値を切り替えることにより、前記発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する温度制御装置であって、前記切替抵抗体として、第1抵抗値を有する第1切替抵抗体と第2抵抗値を有する第2切替抵抗体とを並列に接続する構成を有するとともに、前記第1切替抵抗体の接続をオン・オフする第1スイッチと、前記第2切替抵抗体の接続をオン・オフする第2スイッチとを備え、前記第1スイッチをオフし第2スイッチをオンして両スイッチを切り替える場合、または、前記第1スイッチをオンし第2スイッチをオフして両スイッチを切り替える場合には、前記両スイッチがオンとなる所定の期間を設定することを特徴とする。
【0009】
本発明では、ホイートストンブリッジ回路の一部に設けられた切替抵抗体として、第1抵抗値を有する第1切替抵抗体と第2抵抗値を有する第2切替抵抗体とを並列に接続する構成を有するとともに、第1切替抵抗体の接続をオン・オフする第1スイッチと、第2切替抵抗体の接続をオン・オフする第2スイッチとを備えている。そして、第1スイッチをオフし第2スイッチをオンして両スイッチを切り替える場合、または、第1スイッチをオンし第2スイッチをオフして両スイッチを切り替える場合には、両スイッチがオンとなる所定の期間を設定している。
【0010】
従って、従来の様に、両スイッチのオン・オフを切り替える際に、瞬間的に両スイッチがオフとなることがなく、よって、ホイートストンブリッジ回路の抵抗が無限大になることはない。
【0011】
その結果、発熱抵抗体が過度に昇温して装置が破損することはないという効果を奏する。また、この温度制御装置を例えば可燃性ガスの検出に用いる場合は、発熱抵抗体が過度に昇温することが無いので、可燃性ガスへの着火の危険性が無いという顕著な効果を奏する。
【0012】
(2)本発明では、第2態様として、前記請求項1に記載の温度制御装置を備え、被検出雰囲気内の可燃性ガスの濃度を検出するガス検出器において、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを駆動して、前記発熱抵抗体が予め設定された二つの設定温度にそれぞれ対応する各抵抗値となるように、該発熱抵抗体の通電状態を一定の周期時間毎に切り替える制御を行う通電制御手段と、前記被検出雰囲気内の温度である環境温度の変化により抵抗値が変化する測温抵抗体と、前記通電制御手段から前記発熱抵抗体への通電時に検出される該発熱抵抗体の両端電圧と、前記測温抵抗体の抵抗値が変化することにより生じる電圧差に基づく環境温度とを用いて、前記被検出雰囲気内の可燃性ガスの濃度を演算するガス濃度演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
第2態様の可燃性ガス検出装置では、ガス濃度演算手段が、通電制御手段から発熱抵抗体への通電時に検出される発熱抵抗体の両端電圧と、測温抵抗体の抵抗値が変化することにより生じる電圧差(温度電圧)に基づく環境温度とを用いて、被検出雰囲気内の可燃性ガスの濃度を演算することができる。
【0014】
なお、通電制御手段から発熱抵抗体への通電時に検出される発熱抵抗体の両端電圧としては、発熱抵抗体が予め設定された二つの設定温度のうちの一方に制御されている際に検出してもよく、また、発熱抵抗体が予め設定された二つの設定温度に制御されている際のそれぞれ(それぞれの設定温度)において検出してもよい。
【0015】
特に、この可燃性ガス検出装置では、上述した温度制御装置を用いるので、ホイートストンブリッジ回路に配置された両スイッチのオン・オフを切り替える際に、両スイッチが瞬間的に同時にオフすることはない。よって、両スイッチの切り替えの際に、ホイートストンブリッジ回路の抵抗が無限大になることはない。その結果、発熱抵抗体が過度に昇温し、その熱衝撃によって、装置に破損が生じたり、可燃性ガスに着火することが無いという顕著な効果を奏する。
【0016】
(3)本発明では、第3態様として、前記二つの設定温度は、当該設定温度のうち高温側を第1設定温度、低温側を第2設定温度に予め設定されており、前記ガス濃度演算手段は、前記第1設定温度時に検出される前記発熱抵抗体の両端電圧を高温時電圧、前記第2設定温度時に検出される前記発熱抵抗体の両端電圧を低温時電圧とし、該高温時電圧と該低温時電圧との比に基づいて、前記被検出雰囲気内の湿度を算出し、該湿度を用いて前記可燃性ガスの濃度を補正することを特徴とする。
【0017】
第3態様の可燃性ガス検出装置では、ガス濃度演算手段は、第1設定温度時に検出される発熱抵抗体の両端電圧を高温時電圧、第2設定温度時に検出される発熱抵抗体の両端電圧を低温時電圧とし、これら高温時電圧と低温時電圧との比に基づいて、被検出雰囲気内の湿度を算出し、その湿度を用いて可燃性ガスの濃度を補正することができる。
【0018】
つまり、高温時電圧と低温時電圧との比における高分解能を確保することができるため、被検出雰囲気内の湿度を精度よく算出することができ、これを用いて可燃性ガスの濃度を補正する結果、可燃性ガスの濃度を精度よく検出することができる。
【0019】
(4)本発明では、第4態様として、第1固定抵抗体と抵抗値を異なる固定値に可変の切替抵抗体とが第1接続点を介して直列に接続された第1辺と、第2固定抵抗体と発熱により抵抗値が変化する発熱抵抗体とが第2接続点を介して直列に接続された第2辺とが、並列に接続されたホイートストンブリッジ回路と、前記第1接続点の電位と前記第2接続点の電位との電位差が供給される差動増幅回路と、前記切替抵抗体として、第1抵抗値を有する第1切替抵抗体と第2抵抗値を有する第2切替抵抗体とを並列に接続する構成を有するとともに、前記第1切替抵抗体の接続をオン・オフする第1スイッチと、前記第2切替抵抗体の接続をオン・オフする第2スイッチと、を備えた温度制御装置を用いて、前記発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する温度制御方法であって、前記電位差がゼロになるように、前記差動増幅回路の出力を、前記ホイートストンブリッジ回路に印加して、該ホイートストンブリッジ回路が平衡条件を満たす様に制御するとともに、前記第1スイッチ及び第2スイッチを駆動して前記両切替抵抗体の抵抗値を切り替えて、前記発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する際に、前記第1スイッチをオフし第2スイッチをオンして両スイッチを切り替える場合、または、前記第1スイッチをオンし第2スイッチをオフして両スイッチを切り替える場合には、前記両スイッチがオンとなる所定の期間を有する様に制御することを特徴とする。
【0020】
本発明の第4態様では、第1、第2スイッチを駆動して両切替抵抗体の抵抗値を切り替えて、発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する際に、第1スイッチをオフし第2スイッチをオンして両スイッチを切り替える場合、または、第1スイッチをオンし第2スイッチをオフして両スイッチを切り替える場合には、両スイッチがオンとなる所定の期間を有する様に制御するので、上述した第1態様と同様な作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】可燃性ガス検出装置の全体構成図である。
【図2】可燃性ガス検出装置の主要部となるガス検出素子の構成を示す説明図である。
【図3】ガス濃度演算処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】(a)は切替スイッチ部等の構成を示す説明図、(b)は接点の切り替え状態を示すタイミングチャート、(c)は発熱抵抗体の温度の変化を示すタイミングチャートである。
【図5】両切替スイッチの制御処理を示すフローチャートである。
【図6】スイッチング制御と発熱抵抗体の温度と端子間電圧体との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
ここでは、温度制御装置を備えたガス検出装置として、水素ガス等の可燃性ガスの濃度を検知する可燃性ガス検出装置を例に挙げて説明する。
【0023】
a)まず、本実施形態の可燃性ガス検出装置の構成について説明する。
なお、図1は、本発明が適用された可燃性ガス検出装置1の全体構成図である。図2は、可燃性ガス検出装置1の主要部となるガス検出素子3の構成を示す説明図であり、(a)が平面図(但し、内部構成も一部示す)、(b)が(a)におけるA−A断面図である。
【0024】
[全体構成]
可燃性ガス検出装置1は、熱伝導式のガス検出素子3を用いて、可燃性ガスの濃度を検出するものであり、例えば、燃料電池自動車の車内に設置され、水素の漏れを検出する目的等に用いられる。
【0025】
図1に示すように、可燃性ガス検出装置1は、ガス検出素子3(図2参照)を駆動制御する制御回路5と、制御回路5の動作を制御する切替信号CG1を生成するとともに、制御回路5から得られる検出信号V1,VTに基づいて、被検出ガス中に含まれる可燃性ガスのガス濃度を演算する処理(ガス濃度演算処理)を少なくとも含む各種処理を実行するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)7と、直流電源Vccから可燃性ガス検出装置1への電源供給経路を導通,遮断することで制御回路5,マイコン7を起動,停止する起動スイッチ9とを備えている。
【0026】
なお、制御回路5(但し、後述する発熱抵抗体34および測温抵抗体35を除く),マイコン7,起動スイッチ9は単一の回路基板上に構成され、この回路基板とは別体にガス検出素子3は構成されている。
【0027】
[ガス検出素子]
次に、ガス検出素子3について説明する。
図2に示すように、ガス検出素子3は、平板形状の基部30を備え、基部30の一方の面(以下「表面」という)には、複数の電極31が形成され、他方の面(以下「裏面」という)には、基部30の中心付近に、基部30の一方の方向に沿って一つの凹部301が形成されている。
【0028】
なお、ガス検出素子3は、縦横ともに数mm(例えば3mm×3mm)程度の大きさであり、例えば、シリコン製の基板を用いたマイクロマシニング技術(マイクロマシニング加工)により製造される。
【0029】
電極31は、基部30の一方の辺(図2(a)中では下方の辺)に沿って配置された二つの電極311,312(以下「第1電極群」ともいう)と、他方の辺(図2(a)中では上方の辺)に沿って配置された二つの電極314,315(以下「第2電極群」ともいう)とからなる。これらのうち、電極312,315を、以下ではグランド電極ともいう。また、電極31を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)又は金(Au)が用いられる。
【0030】
基部30は、シリコン製の基板32と、基板32の一方の面に形成された絶縁層33とからなり、絶縁層33が部分的(ここではほぼ正方形)に露出するように基板32の一部を除去することで凹部301が形成されたダイアフラム構造をなしている。つまり、基部30では、絶縁層33側(基板32が除去されていない方)が基部30の表面となり、基板32側(基板32の一部が除去されている方を含む)が基部30の裏面となる。
【0031】
絶縁層33には、凹部301により基部30の裏面に露出した部位に、渦巻き状配線された線状の発熱抵抗体34が埋設されているとともに、第2電極群314,315が形成された側の基部30の長辺に沿って、温度測定に用いる測温抵抗体35が埋設されている。
【0032】
なお、絶縁層33は、単一の材料で形成されてもよいし、異なる材料を用いて複数層を成すように形成されてもよい。また、絶縁層33を構成する絶縁性材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO2)や窒化珪素(Si34)が用いられる。
【0033】
発熱抵抗体34は、自身の温度変化により抵抗値が変化する温度抵抗係数が大きい導電性材料からなり、また、測温抵抗体35は、電気抵抗が温度に比例して変化(本実施形態では、温度の上昇に伴って抵抗値が増大)する導電性材料からなる。但し、発熱抵抗体34および測温抵抗体35は、いずれも同じ抵抗材料、本実施形態では白金(Pt)で形成されている。
【0034】
そして、発熱抵抗体34は、発熱抵抗体34が形成された平面と同じ平面に埋設された配線36、および配線膜37を介して第1電極群311,312に接続され、測温抵抗体35は、測温抵抗体35が形成された平面と同じ平面に埋設された配線膜(図示せず)を介して第2電極群314,315に接続されている。
【0035】
なお、配線36や配線膜37を構成する材料としては、発熱抵抗体34および測温抵抗体35と同じ抵抗材料が用いられている。また、基部30の表面に形成される電極31と基部30(絶縁層33)の内部に形成される配線膜37とはコンタクトホール(接続導体)によって接続される。
【0036】
つまり、発熱抵抗体34は、一端が電極311、他端がグランド電極312と導通し、測温抵抗体35は、一端が電極314、他端がグランド電極315と導通するように接続されている。
【0037】
このように構成されたガス検出素子3は、凹部301が形成された裏面を被検出雰囲気内に晒すように配置した状態で使用される。
[制御回路]
次に、制御回路5の構成について説明する。
【0038】
前記図1に示すように、制御回路5は、発熱抵抗体34への通電制御を行い、発熱抵抗体34の両端電圧に対応する検出信号V1を出力する通電制御回路50と、測温抵抗体35への通電を行い、被検出雰囲気の温度を表す温度検出信号VTを出力する温度調整回路80とを備えている。
【0039】
[通電制御回路]
通電制御回路50は、発熱抵抗体34を含んで構成されたブリッジ回路(ホイーストンブリッジ回路)51と、ブリッジ回路51で検出される電位差を増幅する増幅回路53と、増幅回路53の出力に従って、ブリッジ回路51に流れる電流を増減調整する電流調整回路55を備えている。
【0040】
電流調整回路55は、ブリッジ回路51に直流電源Vccを供給する前記電源ラインに接続され、増幅回路53の出力である調整信号Cに従って通電状態(オン抵抗)が変化するトランジスタからなる。具体的には、調整信号Cが大きいほど、オン抵抗が大きくなって、ブリッジ回路51に流れる電流が減少し、逆に、調整信号が小さいほど、オン抵抗が小さくなって、ブリッジ回路51に流れる電流が増大するように構成されている。
【0041】
増幅回路53は、演算増幅器531と、演算増幅器531の非反転入力端子および反転入力端子のそれぞれに接続された固定抵抗532,533と、演算増幅器531の反転入力端子と出力端子との間に並列接続された固定抵抗534,およびコンデンサ535とによって構成された周知の差動増幅回路からなる。
【0042】
つまり、非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より大きい場合に、増幅回路53の出力である調整信号Cが大きくなり(ひいては、ブリッジ回路51に流れる電流が減少し)、逆に、非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より小さい場合に、調整信号Cが小さくなる(ひいては、ブリッジ回路51に流れる電流が増大する)ように構成されている。
【0043】
ブリッジ回路51は、発熱抵抗体34および2個の固定抵抗511,512、抵抗値を切替可能な可変抵抗部52からなり、固定抵抗511と発熱抵抗体34、固定抵抗512と可変抵抗部52をそれぞれ直列接続し、各直列回路のうち、発熱抵抗体34および可変抵抗部52側の各端部PGを接地し、固定抵抗511,512側の各端部を電源側(電流調整回路55)に接続することで構成されている。
【0044】
そして、固定抵抗511と発熱抵抗体34との接続点P+は、固定抵抗532を介して演算増幅器531の非反転入力端子に接続され、固定抵抗512と可変抵抗部52との接続点P−は、固定抵抗533を介して演算増幅器531の反転入力端子に接続されている。さらに、接続点P+の電位を、検出信号V1としてマイコン7に供給するように構成されている。
【0045】
また、可変抵抗部52は、抵抗値の異なる2個の固定抵抗(第1固定抵抗521,第2固定抵抗522)と、マイコン7からの切替信号CG1に従って、第1,第2固定抵抗521,522のいずれか一方を有効に動作させる切替スイッチ部520(即ち第1切替スイッチ523,第2切替スイッチ524の一対の切替スイッチ)とからなり、両切替スイッチ523,524により可変抵抗部52の抵抗値を切り替えることで、ブリッジ回路51のバランス(平衡状態)を変化させることができるように構成されている。
【0046】
詳しくは、第1固定抵抗521のオン・オフを切り換えるのが、第1切替スイッチ523であり、第2固定抵抗522のオン・オフを切り換えるのが、第2切替スイッチ524である。
【0047】
なお、第1固定抵抗521は、発熱抵抗体34が第1設定温度CH(例えば、400℃)となる抵抗値を有し、第2固定抵抗522は、発熱抵抗体34が第1設定温度CHより低く設定された第2設定温度CL(例えば、300℃)となる抵抗値を有する。従って、第1切替スイッチ523が発熱抵抗体34を高温側に切り替える接点Hであり、第2切替スイッチ524が発熱抵抗体34を低温側に切り替える接点Lである(図4参照)。
【0048】
このように構成された通電制御回路50では、直流電源Vccからブリッジ回路51への通電を開始すると、増幅回路53および電流調整回路55は、接続点P+,P−間に生じる電位差がゼロになるようにブリッジ回路51に流れる電流を調整する。これにより、発熱抵抗体34の抵抗値(ひいては温度)が、可変抵抗部52によって決まる一定値(ひいては第1設定温度CHまたは第2設定温度CL)に制御される。
【0049】
具体的には、被検出雰囲気中の可燃性ガスの含有量(濃度)が変化し、発熱抵抗体34が発生させる熱量より、可燃性ガスによって奪われる熱量が大きくなった場合には、発熱抵抗体34の温度が低下することによって、発熱抵抗体34の抵抗値が減少する。逆に、発熱抵抗体が発生させる熱量より、可燃性ガスによって奪われる熱量が小さくなった場合には、発熱抵抗体34の温度が上昇することによって、発熱抵抗体34の抵抗値が増大する。
【0050】
これに対して、増幅回路53および電流調整回路55は、発熱抵抗体34の抵抗値が減少すると、ブリッジ回路51に流れる電流、ひいては発熱抵抗体34が発生させる熱量を増大させ、逆に、発熱抵抗体34の抵抗値が増大すると、ブリッジ回路51に流れる電流、ひいては発熱抵抗体34が発生させる熱量を減少させることで、発熱抵抗体34の抵抗値(ひいては温度)を一定の大きさに保つ。
【0051】
つまり、接続点P+の電位を表す検出信号V1からは、発熱抵抗体34に流れる電流の大きさ、即ち、発熱抵抗体34の温度(抵抗値)を一定に保つために必要な熱量(さらには、可燃性ガスによって奪われる熱量)がわかり、その熱量は可燃性ガスのガス濃度に応じた大きさとなるため、検出信号V1から可燃性ガスのガス濃度がわかることになる。なお、詳細には、可燃性ガスのガス濃度を算出する際に、被検出雰囲気内の湿度Hを用いて補正するが、これについては後述の「ガス濃度演算処理」にて説明する。
【0052】
[温度測定回路]
次に、温度調整回路80は、測温抵抗体35を含んで構成されたブリッジ回路(ホイーストンブリッジ)81と、ブリッジ回路81から得られる電位差を増幅する増幅回路83とを備えている。
【0053】
増幅回路83は、演算増幅器831と、演算増幅器831の非反転入力端子および反転入力端子のそれぞれに接続された固定抵抗832,833と、演算増幅器831の反転入力端子と出力端子との間に並列接続された固定抵抗834,コンデンサ835によって構成された周知の差動増幅回路からなる。
【0054】
ブリッジ回路81は、測温抵抗体35および3個の固定抵抗811,812,813からなり、固定抵抗811と測温抵抗体35、固定抵抗812と固定抵抗813をそれぞれ直列接続し、各直列回路のうち、測温抵抗体35および固定抵抗813側の各端部を接地し、固定抵抗811,812側の各端部を直流電源Vccに接続することで構成されている。
【0055】
そして、固定抵抗811と測温抵抗体35との接続点P−が固定抵抗833を介して演算増幅器831の反転入力端子に接続され、固定抵抗812と固定抵抗813との接続点P+が固定抵抗832を介して演算増幅器831の非反転入力端子に接続されている。また、演算増幅器831の出力を温度検出信号VTとしてマイコンに供給するように構成されている。
【0056】
測温抵抗体35は、ガス検出素子3が晒される被検出雰囲気の温度が、予め設定された基準温度の時に、温度検出信号VTが基準値となるように設定される。
そして、被検出雰囲気の温度変化に伴って、測温抵抗体35の抵抗値が変化することにより電位差が生じ、この電位差を増幅したものが温度検出信号VTとして出力される。
【0057】
なお、ガス検出素子3と制御回路5との接続において、ガス検出素子3の各電極31(311,312,314,315)は、電極311が通電制御回路50の接続点P+に、電極314が温度調整回路80の接続点P−に、グランド電極312,315が制御回路5に共通のグランドラインに接続される。
【0058】
[マイコン]
マイコン7は、ガス濃度演算処理等を実行するための各種のプログラムやデータを格納する記憶装置(ROM,RAM等)、この記憶装置に記憶されたプログラムを実行するCPU、各種信号を入出力するためのIOポート、計時用タイマー等を備えた周知のものである。
【0059】
ここで、第1設定温度CH(400℃)の時に検出される検出信号V1の信号レベルを高温時電圧(高温側ヒータ電圧)VH1、第2設定温度CL(300℃)時に検出される検出信号V1の信号レベルを低温時電圧(低温側ヒータ電圧)VL1、温度調整回路80から読み込んだ温度検出信号VTの信号レベルを温度電圧VTというものとする。
【0060】
そして、記憶装置には、被検出雰囲気内の環境温度Tと温度電圧VTとの相関関係を表す温度換算データ、被検出雰囲気内の湿度Hと高温時電圧VH1,低温時電圧VL1,温度電圧VTとの相関関係を表す湿度換算データ、高温時電圧VH1または低温時電圧VL1(本実施形態では高温時電圧VH1を使用)と可燃性ガスのガス濃度Xとの相関関係を表す濃度換算データが少なくとも記憶されている。なお、各換算データは、具体的には、換算用マップデータや換算用計算式等からなり、実験等により得られたデータに基づいて予め作成されたものである。
【0061】
なお、湿度換算データには、環境温度T(ひいては温度電圧VT)と後述する電圧比VC(0)との相関関係を表す電圧比換算用マップデータ、後述する電圧比差ΔVCと湿度Hとの相関関係を表す湿度換算用マップデータが含まれている。さらに、濃度換算データには、温度電圧VTと後述する高温時電圧VH1(0)との相関関係を表す高温時電圧換算用マップデータ、高温時電圧VH1および湿度Hと後述する高温時電圧変化ΔVH1(H)との相関関係を表す湿度電圧変化換算用マップデータ、温度電圧VTおよび高温時電圧VH1と後述するガス感度G(VT)との相関関係を表すガス感度換算用マップデータが含まれている。
【0062】
b)次に、本実施形態の可燃性ガス検出装置1における動作について説明する。
[ガス濃度演算処理]
ここでは、マイコン7のCPUが実行するガス濃度演算処理を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0063】
前記マイコン7は、起動スイッチ9がオンされることによって直流電源Vccから給電が開始されると起動して、マイコン7の各部を初期化後、ガス濃度演算処理を開始する。また、第1切替スイッチ523及び第2切替スイッチ524をオンし、発熱抵抗体34への通電を開始するとともに、測温抵抗体35への通電も開始する。
【0064】
なお、ガス濃度Xを求める演算では、低温時電圧VL1または高温時電圧VH1のいずれか或いは両方から濃度換算データを用いてガス濃度Xを求め(本実施形態では高温時電圧VH1からガス濃度Xを求めている)、さらには、温度電圧VTから温度換算データを用いて環境温度Tを求め、演算結果であるガス濃度Xを、同じく演算結果である環境温度Tだけを用いて補正する方法もあるが、ここでは、環境温度Tに加えて湿度Hを用いてガス濃度Xを求めるものとする。
【0065】
本処理(ガス濃度演算処理)が実行されると、まず、S110では、通電制御回路50から低温時電圧VL1,高温時電圧VH1を取得するとともに、温度調整回路80から温度電圧VTを取得する。
【0066】
ここで、低温時電圧VL1,高温時電圧VH1を取得する処理について、図4に基づいて詳しく説明する。
ここでは、切替信号CG1によりブリッジ回路51の抵抗値、即ち、発熱抵抗体34の設定温度を、一定の周期時間TW(例えば、200msec)の間(以下「低温測定期間」という)、第2設定温度CLに保持した後、設定を切り替えて、再び一定の周期時間TW(例えば、200msec)の間(以下「高温測定期間」という)、第1設定温度CHに保持する制御を行う。
【0067】
詳しくは、図4(a)、(b)に示す様に、第1切替スイッチ523(接点H)をオンするとともに、第2切替スイッチ524(接点L)をオフする動作を、高温設定期間にわたり維持することにより、即ち、ブリッジ回路51の抵抗として、(高温用の)第1固定抵抗521を接続する動作を高温設定期間にわたり維持することにより、第1設定温度CHに保持する。
【0068】
そして、高温設定期間の終了後、第1切替スイッチ523をオフするとともに、第2切替スイッチ524をオンする動作を、低温設定期間にわたり維持することにより、即ち、ブリッジ回路51の抵抗として、(低温用の)第2固定抵抗522を接続する動作を低温設定期間にわたり維持することにより、第2設定温度CLに保持する。
【0069】
特に本実施形態では、図4(b)に示す様に、両切替スイッチ523、524のオン・オフを切り替える際には、所定の重複期間TX(例えば1.0msec〜10msecの中から設定される所定値)にわたり、両切替スイッチ523、524が共にオンとなる期間を設定している。この重複期間TXは、高温設定期間から低温設定期間への切り替えと、低温設定期間から高温設定期間への切り替えの両方に設定されている。なお、制御の開始時には、重複期間TXにわたり、両切替スイッチ523、524が共にオンとなる期間を設定している。
【0070】
これにより、図4(c)に示す様に、発熱抵抗体34の温度が変化する。即ち、高温設定期間では、所定の高温(C2)が維持され、低温設定期間では、所定の(C2より低い)低温(C1)が維持される。よって、その両切替スイッチ523、524の切り替え時に、発熱抵抗体34の温度が急上昇することはない。
【0071】
次に、上述した両切替スイッチ523、524の動作(スイッチング制御)を、図5フローチャート及び図6タイミングチャートを用いて更に詳細に説明する。なお、図6は、切替動作に伴う発熱抵抗体34の温度及び両端電圧の変化を示している。
【0072】
図5及び図6に示す様に、両切替スイッチ523、524(接点H、L)は、制御開始時には、同時にオンされているので、発熱抵抗体34の温度は最も低い温度に制御される。
【0073】
従って、S200では、両切替スイッチ523、524のオンから、所定の重複期間TXが経過した後に、第2切替スイッチ524のみオフとする。これにより、発熱抵抗体34の温度が高温(C2)に制御される。
【0074】
続くS210では、高温時電圧VH1を読み込む。
続くS220では、第2切替スイッチ524のオフの期間が経過した後に、この第2切替スイッチ524もオンとする。即ち、両切替スイッチ523、524を共にオンの状態とする。これにより、発熱抵抗体34の温度は最も低い温度に制御される。
【0075】
続くS230では、両切替スイッチ523、524のオンから、重複期間TXが経過した後に、第1切替スイッチ523のみオフとする。発熱抵抗体34の温度が低温(C1)に制御される。
【0076】
続くS240では、低温時電圧VL1を読み込む。
続くS250では、第1切替スイッチ523のオフの期間が経過した後に、この第1切替スイッチ523もオンとする。即ち、両切替スイッチ523、524を共にオンの状態とする。
【0077】
以後、同様な動作を繰り返し、発熱抵抗体34の加熱状態を高温又は低温に周期的に繰り替える。
これによって、図6に示す様に、両切替スイッチ523、524の切り替え時に、端子間電圧が急上昇することはなく、発熱抵抗体34の温度も急上昇することはない。
【0078】
そして、これと並行して、低温測定期間中に低温時電圧VL1、高温測定期間中に高温時電圧VH1、両期間のいずれかのタイミングで温度電圧VTを検出する。なお、本実施形態では、高温測定期間中に温度電圧VTを検出した。
【0079】
前記図3に戻り、S120では、S110にて取得した低温時電圧VL1,高温時電圧VH1を次式(1)の入力値として、電圧比VCを算出する。
VC=VH1/VL1…(1)
また、これと並行して、S130では、S110にて取得した温度電圧VTと、電圧比換算用マップデータとに基づいて、環境温度T(ひいては温度電圧VT)においてガス濃度X、及び、湿度Hがゼロのときの電圧比VC(0)を算出する。
【0080】
そして、S140では、S120にて算出した電圧比VCと、S130にて算出したVC(0)とを次式(2)の入力値として、環境温度T(ひいては温度電圧VT)における電圧比差ΔVCを算出する。
【0081】
ΔVC=VC−VC(0)…(2)
次に、S150では、S140にて算出した電圧比差ΔVCと、湿度換算用マップデータとに基づいて、電圧比差ΔVCのときの湿度Hを算出する。
【0082】
また、これと並行して、S160では、S110にて取得した高温時電圧VH1,温度電圧VTと、高温時電圧換算用マップデータとに基づいて、環境温度T(ひいては温度電圧VT)においてガス濃度X、及び、湿度Hがゼロのときの高温時電圧VH1(0)を算出する。
【0083】
続いて、S170では、S110にて取得した高温時電圧VH1、およびS150にて算出した湿度Hと、湿度電圧変化換算用マップデータとに基づいて、高温時電圧VH1のうち湿度Hによってもたらされた電圧変化分を表す高温時電圧変化ΔVH1(H)を算出する。
【0084】
そして、S180では、S110にて取得した高温時電圧VH1と、S160にて算出した高温時電圧VH1(0)と、S170にて算出した高温時電圧変化ΔVH1(H)とを次式(3)の入力値として、高温時電圧VH1のうち可燃性ガスによってもたらされた電圧変化分を表す高温時電圧変化ΔVH1(G)を算出する。
【0085】
ΔVH1(G)=VH1−VH1(0)−ΔVH1(H)…(3)
また、これと並行して、S190では、S110にて取得した高温時電圧VH1,温度電圧VTと、ガス感度換算用マップデータとに基づいて、高温時電圧VH1について環境温度T(ひいては温度電圧VT)毎に予め設定された可燃性ガスに対する感度(単位はガス濃度Xの逆数)を表すガス感度G(VT)を算出する。
【0086】
最後に、S200では、S180にて算出した高温時電圧変化ΔVH1(G)と、S190にて算出したガス感度G(VT)とを次式(4)の入力値として、可燃性ガスのガス濃度Xを算出し、S110に戻る。
【0087】
X=ΔVH1(G)/G(VT)…(4)
このように、本処理では、周期時間TW毎に切替信号CG1を切替スイッチ部520に出力することにより、固定抵抗512と可変抵抗部52との接続点P−から端部PG(可変抵抗部52における接地側端部)への通電経路(可変抵抗部52における通電経路)を、第1、第2固定抵抗521,522のいずれか一方側から他方側に切り替え、これにより高温時電圧VH1,低温時電圧VL1,温度電圧VTを取得する。そして、温度電圧VTから環境温度T、さらには、高温時電圧VH1と低温時電圧VL1の比から被検出雰囲気内の湿度Hを求め、これら環境温度Tと湿度Hとを用いてガス濃度Xを補正するようにしている。
【0088】
[効果]
以上、説明したように、本実施形態の可燃性ガス検出装置1では、両切替スイッチ523、524のオン・オフを切り替える際には、所定の重複期間TXにわたり、両切替スイッチ523、524が共にオンとなる期間を設定している。これにより、高温設定期間では、所定の高温(C2)が維持され、低温設定期間では、所定の(C2より低い)低温(C1)が維持されるが、両切替スイッチ523、524の切り替え時に、発熱抵抗体34の温度が急上昇することはない。
【0089】
つまり、本実施形態では、上述した重複期間TXを設定することにより、両切替スイッチ523、524の切り替え時に、瞬間的に両切替スイッチ523、524がオフとなることが無いので、ブリッジ回路51の抵抗が無限大になることはない。それにより、発熱抵抗体34が過度に昇温することが無いので、過度の昇温度による熱衝撃によって、装置が破損したり可燃性ガスが高濃度であるときに当該可燃性ガスに着火したりすることが無いという顕著な効果を奏する。
【0090】
[特許請求の範囲との関係]
なお、本実施形態において、通電制御回路50が通電制御手段、マイコン7がガス濃度演算手段に相当する。
【0091】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0092】
(1)例えば、前記実施形態では、上述した構成の温度制御回路を可燃性ガス検出装置に用いたが、それ以外の各種の制御装置に利用できる。例えば、被検出雰囲気の湿度を検出する湿度検出装置に適用できる。
【0093】
(2)また、前記実施形態の可燃性ガス検出装置1では、被検出雰囲気内の湿度Hを用いてガス濃度Xを算出しているが、これに限定されるものではなく、少なくとも、発熱抵抗体の両端電圧(VH1,VH2)と、測温抵抗体の温度電圧VTとを用いてガス濃度Xを算出する構成でもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…可燃性ガス検出装置、3…ガス検出素子、5…制御回路、7…マイコン、9…起動スイッチ、34…発熱抵抗体、35…測温抵抗体、50…通電制御回路、51…ブリッジ回路、52…可変抵抗部、55…電流調整回路、80…温度調整回路、81…ブリッジ回路、87…スイッチング回路、511,512,521,522…固定抵抗、520…切替スイッチ部、521、522…切替抵抗体、523、524…切替スイッチ、CH…第1設定温度、CL…第2設定温度、TW…周期時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定抵抗体と抵抗値を異なる固定値に可変の切替抵抗体とが第1接続点を介して直列に接続された第1辺と、第2固定抵抗体と発熱により抵抗値が変化する発熱抵抗体とが第2接続点を介して直列に接続された第2辺とが、並列に接続されたホイートストンブリッジ回路と、
前記第1接続点の電位と前記第2接続点の電位との電位差が供給される差動増幅回路と、
を有し、
前記電位差がゼロになるように、前記差動増幅回路の出力を、前記ホイートストンブリッジ回路に印加して、該ホイートストンブリッジ回路が平衡条件を満たす様に制御するとともに、
前記切替抵抗体の抵抗値を切り替えることにより、前記発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する温度制御装置であって、
前記切替抵抗体として、第1抵抗値を有する第1切替抵抗体と第2抵抗値を有する第2切替抵抗体とを並列に接続する構成を有するとともに、前記第1切替抵抗体の接続をオン・オフする第1スイッチと、前記第2切替抵抗体の接続をオン・オフする第2スイッチとを備え、
前記第1スイッチをオフし第2スイッチをオンして両スイッチを切り替える場合、または、前記第1スイッチをオンし第2スイッチをオフして両スイッチを切り替える場合には、前記両スイッチがオンとなる所定の期間を設定することを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の温度制御装置を備え、被検出雰囲気内の可燃性ガスの濃度を検出するガス検出器において、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを駆動して、前記発熱抵抗体が予め設定された二つの設定温度にそれぞれ対応する各抵抗値となるように、該発熱抵抗体の通電状態を一定の周期時間毎に切り替える制御を行う通電制御手段と、
前記被検出雰囲気内の温度である環境温度の変化により抵抗値が変化する測温抵抗体と、
前記通電制御手段から前記発熱抵抗体への通電時に検出される該発熱抵抗体の両端電圧と、前記測温抵抗体の抵抗値が変化することにより生じる電圧差に基づく環境温度とを用いて、前記被検出雰囲気内の可燃性ガスの濃度を演算するガス濃度演算手段と、
を備えたことを特徴とするガス検出装置。
【請求項3】
前記二つの設定温度は、当該設定温度のうち高温側を第1設定温度、低温側を第2設定温度に予め設定されており、
前記ガス濃度演算手段は、前記第1設定温度時に検出される前記発熱抵抗体の両端電圧を高温時電圧、前記第2設定温度時に検出される前記発熱抵抗体の両端電圧を低温時電圧とし、該高温時電圧と該低温時電圧との比に基づいて、前記被検出雰囲気内の湿度を算出し、該湿度を用いて前記可燃性ガスの濃度を補正することを特徴とする請求項2に記載のガス検出装置。
【請求項4】
第1固定抵抗体と抵抗値を異なる固定値に可変の切替抵抗体とが第1接続点を介して直列に接続された第1辺と、第2固定抵抗体と発熱により抵抗値が変化する発熱抵抗体とが第2接続点を介して直列に接続された第2辺とが、並列に接続されたホイートストンブリッジ回路と、
前記第1接続点の電位と前記第2接続点の電位との電位差が供給される差動増幅回路と、
前記切替抵抗体として、第1抵抗値を有する第1切替抵抗体と第2抵抗値を有する第2切替抵抗体とを並列に接続する構成を有するとともに、前記第1切替抵抗体の接続をオン・オフする第1スイッチと、前記第2切替抵抗体の接続をオン・オフする第2スイッチと、
を備えた温度制御装置を用いて、前記発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する温度制御方法であって、
前記電位差がゼロになるように、前記差動増幅回路の出力を、前記ホイートストンブリッジ回路に印加して、該ホイートストンブリッジ回路が平衡条件を満たす様に制御するとともに、
前記第1スイッチ及び第2スイッチを駆動して前記両切替抵抗体の抵抗値を切り替えて、前記発熱抵抗体の温度を所定の設定温度に切り替え制御する際に、前記第1スイッチをオフし第2スイッチをオンして両スイッチを切り替える場合、または、前記第1スイッチをオンし第2スイッチをオフして両スイッチを切り替える場合には、前記両スイッチがオンとなる所定の期間を有する様に制御することを特徴とする温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208074(P2012−208074A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75423(P2011−75423)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】