説明

温度検出機付き液滴吐出装置

【課題】 記録媒体にインクを吐出するインクの温度を正確に測定することができ、このインク温度に基づいて、インクの吐出状態や吐出量を適切な状態に維持して、高い印刷品質を得ることができるようにすること。
【解決手段】 記録媒体にインクを吐出して記録を行なうインクジェットヘッド1と、インクジェットヘッド1に接合され、インクジェットヘッド1を駆動させるための第1ICチップ34及び第2ICチップ35が設けられているFPC3と、FPC3の温度を検出するための第1温度検出部67及び第2温度検出部70と、FPC3に設けられ、第1温度検出部67と接続して、FPC3の熱を第1温度検出部67に伝導するための第1熱伝導用パターン66と、FPC3に設けられ、第2温度検出部70と接続して、FPC3の熱を第2温度検出部70に伝導するための第2熱伝導用パターン69とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被吐出媒体に液滴を吐出する吐出ヘッド内の液体の温度を測定するための温度検出部を備える温度検出機付き液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置の一例としてのインクジェットプリンタは、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを備える。インクジェットヘッドは、複数のノズルを有し、各ノズルに連通する圧力室を有するインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室内のインクに対してインクを吐出させる吐出圧を与える圧電アクチュエータとを有し、圧電アクチュエータの表面には、圧電アクチュエータを駆動するためのICチップが実装されたフィルム状のプリント回路基板(FPC)と電気的に接続されている。インクジェットヘッドは、ICチップから選択的に出力される駆動電圧により圧電アクチュエータが駆動して、多数の圧力室のうちの所望の圧力室の容積を変化させ、吐出圧が付与されることでその圧力室内のインクを、対応するノズルから吐出させることができるようになっている。
【0003】
このようなインクジェットヘッドでは、高い印刷品質を得るために、インクの吐出状態や吐出量を安定化させることが必要である。インクの吐出状態や吐出量が不安定となるのは、インクの温度変化による影響が大きく、例えば、吐出するインクの温度が低いと、インクの粘度が大きくなり、吐出できなくなったり、逆にインクの温度が高すぎると、粘度が小さくなって、吐出量が増大し、吐出方向が曲がったりする。インクの温度が高くなる要因の一つとして、圧電ユニットを駆動するためにICチップの発生する高熱が伝導されて、吐出ヘッドおよび流路ユニットを加熱することが考えられる。
【0004】
そのため、流路ユニットに収容されているインク温度や、流路ユニットが設けられている吐出ヘッドの温度を管理してインクを安定吐出させるために、特許文献1のような温度検出機付きインクジェットプリンタが発明されている。この温度検出機付きインクジェットプリンタは、ICチップが接触している放熱板の温度をサーミスタによって検出できるものが開示されている。
【0005】
このような温度検出機付きインクジェットプリンタによると、ICチップの発熱が伝熱された放熱板の温度をサーミスタによって検出された放熱板の温度に基づいて、流路ユニットに収容されているインクの温度や、この流路ユニットが設けられている吐出ヘッドの温度を演算によって推定することができ、その結果に基づいて、例えばICチップの駆動を停止させて、インク等の温度が許容範囲になるように制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−130837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の温度検出機付きインクジェットプリンタでは、サーミスタによって放熱板の温度を検出して、この検出温度に基づいて流路ユニットに収容されているインクの温度を求めているので、インクの温度を正確に求めることができないことがある。
【0008】
なぜなら、ICチップが発生する熱の大部分が放熱板を通ってこの放熱板から放熱されるので、放熱板の温度が流路ユニットに収容されているインクの温度よりもかなり高くなり、このように、インクよりもかなり高い温度データに基づいてインクの温度を求めると、誤差が大きくなり易いからである。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、吐出ヘッドや吐出ヘッド内に液体の温度を正確に測定することができ、この液体の温度に基づいて、液体の吐出状態や吐出量を適切な状態に維持して、高い印刷品質を得ることができるようにする温度検出機付き液滴吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る温度検出機付き液滴吐出装置は、液体流路に吐出圧が付与されて複数のノズルより選択的に液滴が吐出される吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに接合され、前記ノズルに前記吐出圧を付与して前記吐出ヘッドを駆動させるための第1駆動素子及び第2駆動素子が設けられている配線基板と、前記配線基板の温度を検出することができる第1温度検出部及び第2温度検出部と、前記配線基板に設けられ、前記吐出ヘッドとの前記接合領域から前記第1温度検出部まで延びて接続して、前記配線基板の熱を前記第1温度検出部に伝達するための第1熱伝導用パターンと、前記配線基板に設けられ、前記吐出ヘッドとの前記接合領域から前記第2温度検出部まで延びて接続して、前記配線基板の熱を前記第2温度検出部に伝達するための第2熱伝導用パターンとを備えることを特徴とするものである。
【0011】
この発明に係る温度検出機付き液滴吐出装置によると、第1及び第2駆動素子が駆動することによって、吐出ヘッドが液滴を吐出するとき、第1及び第2駆動素子が発熱し、この熱は、配線基板を通って吐出ヘッドに伝達され、この吐出ヘッド内に収容されている液体の温度を上昇させる。また、第1及び第2駆動素子が発生した熱および吐出ヘッドに伝達された熱は、配線基板に設けられている第1及び第2熱伝導用パターンを通って第1及び第2温度検出部に伝達される。これによって、第1及び第2温度検出部は、第1及び第2駆動素子の温度と対応する素子対応温度、ひいては、吐出ヘッド内に収容されている液体の温度と対応する液体対応温度を測定することができる。
【0012】
そして、配線基板には、2つの第1及び第2熱伝導用パターンを設けてあるので、配線基板の、第1熱伝導用パターンと第2熱伝導用パターンとの間の温度分布を知ることができ、その結果、吐出ヘッド内に収容されている液体の温度と対応する正確な液体対応温度を測定することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る温度検出機付き液滴吐出装置によると、第1及び第2駆動素子が実装されている配線基板に、第1及び第2熱伝導用パターンを設けて、配線基板の、第1熱伝導用パターンと第2熱伝導用パターンとの間の温度分布を知ることができる構成としたので、この配線基板と接合する吐出ヘッド内に収容されている液体の温度と対応する正確な液体対応温度を測定することができる。そして、この液体対応温度に基づいて、例えば被吐出媒体に吐出される液滴の吐出状態の品質の低下を抑制する制御を行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態に係る温度検出機付き液滴吐出装置が備えるインクジェットヘッドを示す斜視図である。
【図2】同実施形態のインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。
【図3】同実施形態の図2に示すプリント回路基板の一部を示す底面図である。
【図4】図2に示す流路ユニットと圧電ユニットとを接着した状態にして図2に示すA−A線に沿って切断して示すインクジェットヘッドの一部断面図である。
【図5】同実施形態のインクジェットヘッドの一部を示す平面図である。
【図6】同実施形態のインクジェットヘッドの一部を示す図であり、(a)は、B−B断面図、(b)は部分切欠き底面図である。
【図7】同実施形態のインクジェットヘッド並びに第1及び第2温度検出部の制御回路を示すブロック図である。
【図8】同実施形態の第1及び第2温度検出機並びに制御部によってインクの温度を制御したときの液体対応温度と時間との関係を示す図である。
【図9】同発明の他の実施形態のインクジェットヘッドの一部を示す平面図である。
【図10】同発明の更に他の実施形態のインクジェットヘッドの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る温度検出機付き液滴吐出装置(以下、単に「液滴吐出装置」と言うこともある。)の一実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。この液滴吐出装置は、一例としてインクジェットプリンタに実装されるインクジェットヘッド1に適用されている。以下、インクジェットヘッド1によるインクの吐出方向を下方として説明する。
【0016】
このインクジェットヘッド1は、図1に示すように、流路ユニット4と、圧電ユニット5とを備えている。そして、圧電ユニット5の上面には、可撓性を有するフィルム状のプリント回路基板(FPC)3が接合されている。そして、このFPC3に第1温度検出機61、及び第2温度検出機62が設けられている。この第1及び第2温度検出機61、62は、流路ユニット4内に収容されているインクの温度を測定するためのものである。圧電ユニット5と接合されたFPC3は、図1に示すように、圧電ユニット5と接合された領域から両側に引き出された各端部である引き出し部3a、3bが折り曲げられて図示しないキャリッジ内に組み立てられるものである。
【0017】
図2はインクジェットヘッド1の分解斜視図である。図2に示すインクジェットヘッド1(液滴吐出ヘッド)は、複数枚のプレートを積層して構成される流路ユニット4と、流路ユニット4の上方から重ねられて積層される圧電ユニット5とを備えている。この圧電ユニット5の上面にFPC3が接合されている。圧電ユニット5の上面には、多数の表面電極6(駆動電極)がAg−Pd系の材料を用いて印刷形成されており、表面電極6がFPC3の下面に形成された配線43の多数の端子部43a等(図3参照)と電気的に接続されている。また、FPC3には、圧電ユニット5に印加する駆動電圧をこの配線43に供給するための駆動回路を内蔵した第1及び第2ICチップ34、35が実装され、所謂COFの形態をなしている。FPC3の一方の引き出し部3aの下面に第1ICチップ34が実装され、他方の引き出し部3bの下面に第2ICチップ35が実装されている。
【0018】
この図1に示すインクジェットヘッド1は、図示しない略箱状のキャリッジの下面側にフレーム2を介して固定され、このキャリッジにはカートリッジ等のインクタンク(図示略)から供給されるインクを一時貯留するバッファタンク(図示略)が搭載されている。キャリッジに搭載されたインクジェットヘッド1は、走査方向(図2のX方向)に往復移動しながら、走査方向と直交する搬送方向(図2のY方向)に搬送される記録媒体(被吐出媒体)である用紙等に向けてインクを吐出するようになっている。
【0019】
図2に示す流路ユニット4の上面のY方向一端部には、例えば4つのインク流入口8がX方向に並んで形成され、これらインク流入口8がフィルタ9で覆われ、各インク流入口8には、バッファタンクから供給される複数色の各インクがこのフィルタ9を通過して流路ユニット4内に流入する。
【0020】
図4は、図2に示す流路ユニット4と圧電ユニット5とを接着した状態にして、図2に示すA−A線に沿って切断した状態を示すインクジェットヘッド1の一部断面図である。図4及び図2に示すように、フレーム2は、平面視枠形状に形成され、中央に矩形の開口部2aを有している。この開口部2aの内縁部は、流路ユニット4の外形よりも小さく、圧電ユニット5の外形よりも大きい寸法である。また、フレーム2には、流路ユニット4の4つの各インク流入口8に連通する4つの貫通孔2bが並んで形成されている。また、図4に示すように、フレーム2の下面は流路ユニット4の上面周縁部と接着固定されている。FPC3の両方の各引き出し部3a、3bは、フレーム2の開口部2aを通って引き出され、圧電ユニット5はこの開口部2a内に配置されている。そして、開口部2aの内縁部と流路ユニット4及び圧電ユニット5との間隙には、合成樹脂製の封止材が充填されている。
【0021】
流路ユニット4は、図4に示すように、圧力室層11、接続流路層12、マニホールド層13、ダンパ層14及びノズル層15がこの順で上側から積層されて構成されている。なお、接続流路層12、マニホールド層13、ダンパ層14は2層からなる。各層11〜15には孔や溝が形成され、各層11〜15が積層接合されることにより該孔や溝が互いに連通する形状となっている。そして、このように形成された流路ユニット4内には、インク流入孔8(図2参照)からノズル20までの間にインクが通るインク流路4aが多数形成されている。
【0022】
図2に示す各インク流入口8は、図4に示す流路ユニット4のマニホールド層13に形成された共通インク室16に連通していて、各共通インク室16は、接続流路17を介してその上方の圧力室18に連通している。なお、これら各共通インク室16は、Y方向に延びており、各接続流路17は、接続流路層12にY方向に配列されている。そして、圧力室18は、圧力層11にY方向に配列されている。
【0023】
圧力室18は、図4及び図2に示すように、X方向に長寸の平面視矩形状に形成された圧力室孔10で形成され、この圧力室孔10の下側開口は、接続流路層12で閉鎖されている。そして、上側開口は、圧電ユニット5の下面で閉鎖されている。また、各圧力室孔10は、インク色に対応してY方向に配列された複数の孔列がX方向に千鳥状に並んでおり、略マトリクス状に配置されている。各圧力室18は、接続流路層12からダンパ層14まで貫通する流出路19を介して、ノズル層15に形成されたノズル20に連通している。ノズル層15の下面には、各ノズル20の噴射口が圧力室孔10と同様に略マトリクス状に配列されている。また、ダンパ層14には、所謂クロストーク現象を抑制すべくダンパ室14aが形成されている。
【0024】
圧電ユニット5は、図4に示すように、多数枚の圧電シート21〜26と絶縁性を有するトップシート27とが積層されたY方向に長寸の平面視区形状に構成されている。圧電シート21〜26は、それぞれ厚みが30μm程度のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミックス材料で形成されている。圧電シート21〜26のうち最下層の圧電シート21から上方へ数えて奇数番目の圧電シート21、23、25の上面には、流路ユニット4の全ての各圧力室孔10に対応するように配置された共通電極28が印刷形成されている。同じく偶数番目の圧電シート22、24の上面には、各圧力室孔10に対し個別に対応するよう配置された多数の個別電極29が印刷形成されている。共通電極28及び個別電極29は、各圧電シート21〜26及びトップシート27に形成されたスルーホール内の中継配線(図示略)を介し、最上層のトップシート27の上面に印刷形成された表面電極6(図2参照)に導通されている。
【0025】
また、圧電ユニット5の最上層のトップシート27のY方向の両端においては、表面電極6が形成されていない第1余肉部78および第2余肉部79が存在している(図5参照)。そして第1および第2余肉部78、79には、表面電極6とは別に、圧電ユニット5の駆動に関与しないダミー表面電極6a、6bが表面電極6とともに印刷形成されている。これから第1余肉部78、第2余肉部79およびダミー表面電極6a、6bについては後で詳しく説明する。
【0026】
なお、圧電ユニット5は、振動板と共通電極と個別電極とをそれぞれ形成した2枚の圧電シートを積層し、圧電横効果による変形を用いる所謂ユニモルフタイプの圧電ユニットを用いてもよい。
【0027】
上記構成のインクジェットヘッド1においては、フレーム2の貫通孔2b(図2参照)と連通したインク流入口8(図2参照)に供給されたインクが、図4に示す共通インク室16、接続流路17、圧力室18及び流出路19内に充填される。そして、この状態で、FPC3上の第1及び第2ICチップ34、35から供給される駆動電圧が選択的に個別電極29に印加されると、印加された個別電極29と共通電極28との間の活性部に電位差が生じ、該活性部に電界が作用して積層方向の歪み変形が発生する。このように活性部が変形すると、最下層の圧電シート21が圧力室18内に突出して圧力室18の内圧が上昇し、インクが流出路19を通じてノズル20の噴射口より外部下方に吐出される。
【0028】
図5は、インクジェットヘッド1の平面図である。このインクジェットヘッド1の上面に圧電ユニット5が設けられており、この圧電ユニット5のトップシート27上に形成されている表面電極6は、共通用表面電極と個別用表面電極とを有している。共通用表面電極は、図には示さないが、トップシート27の短辺縁部に沿ってX方向に延在し、スルーホールが形成され、スルーホール内には中継配線をなす導電材が充填されている。そして、この共通用表面電極は、中継配線を介して圧電ユニット5内の共通電極28(図4参照)と導通されている。個別用表面電極は、X方向に長い平面視長方形状に形成され、各圧力室18及び各個別電極29に対応して設けられており、それぞれY方向に配列された複数の電極列がX方向に千鳥状に並ぶように、略マトリクス状に配置されている。個別用表面電極の一端部には、スルーホールが形成され、このスルーホール内には、中継配線をなす導電材が充填されている。各個別用表面電極は、この中継配線を介して直下に配置された対応する圧電ユニット5内の個別電極29(図4参照)と導通されている。
【0029】
図6(b)は、インクジェットヘッド1の底面図であり、図6(a)は、図6(b)のB−B線に沿って示す断面図である。図6(a)、(b)に示すように、FPC3は、ポリイミドなどの樹脂材からなり絶縁性及び可撓性を有する帯状のベースフィルム41(基材)を有し、このベースフィルム41の下面(圧電ユニット5との接合面)である一方面41aに端子部43a及び配線43を形成し、さらにその上を絶縁材からなる被覆層(図示せず)で被覆してなる。端子部43aは、被覆層を開口して下面側に出力用配線43が露出した状態となっている。
【0030】
図6(a)に示すように、ベースフィルム41の一方面41aの略中央部が、圧電ユニット5に対して重ねられ、FPC3の両方の各端部の引き出し部3a、3bは、この圧電ユニット5に重ねられる範囲の外側(図6(a)の右側及び左側)に引き出されている。第1及び第2ICチップ34、35は、ベースフィルム41のそれぞれの引き出し部3a、3bの下面側となる一方面41aに実装されている。また、図5のインクジェットヘッド1の平面図に示すように、FPC3の引き出し部3aの端縁部の端子部は、第1FPC64の端子部と接合され、引き出し部3bの端縁部の端子部は、第2FPC65の端子部と接合されてフレキシブル配線板として一体化されている。第1及び第2FPC64、65も、可撓性を有するフィルム状のプリント回路基板で、FPC3の入力用配線44および共通配線(図示せず)および基端部66b、第1温度検出部67、第2温度検出部70、第1、2出力用配線がX方向に沿って形成されている。第1および第2FPC64,65の端部は、図示しないキャリッジ上の中継基板を介してインクジェットプリンタ本体側の制御部63と電気的に接続されている。
【0031】
FPC3は、図6(a)、(b)に示すベースフィルム41の一方面(下面)41aには、それぞれの表面電極6に対応するよう配置された複数の個別用端子部43a(図3参照)、及び図示しない共通用配線を有し、各個別用端子部43aからは、第1及び第2ICチップ34、35に接続する複数の個別用配線43が形成されている。なお、FPC3には、第1及び第2ICチップ34、35から各端部に向かってFPC3の一方面41aに入力用配線44が形成され制御部63と電気的に接続されている。入力用配線44には、圧電アクチュエータの駆動様態を指定する波形信号線や、個別用端子部へ出力される駆動信号をチャンネルごと指示する印字データ線、クロック信号などの複数の制御信号線や、また、駆動回路自体の電源電圧線とその接地電圧線などの各種の配線などがある。
【0032】
つまり、図6(a)、(b)に示すインクジェットヘッド1は、図2に示す圧電ユニット5の上面に略マトリクス状に配置されている多数の各表面電極6(個別用表面電極及び共通用表面電極)と、図3に示すFPC3の下面に略マトリクス状に配置されている多数の各個別用端子部43a及び共通用配線とが、それぞれ導電性のバンプ51など導電性の材料を介して電気的に接合している。
【0033】
次に、図1及び図5〜図8を参照して、本発明に係る温度検出機付き液滴吐出装置が備える第1及び第2温度検出機61、62、並びに制御部63を説明する。
【0034】
本発明の第1及び第2温度検出機61,62は、FPC3、第1FPC64および第2FPC65を含むフレキシブル配線板に設けられている。FPC3に実装されている第1および第2ICチップ34、35は、その駆動により発生する熱によって、キャリッジ内の雰囲気温度を上昇させるとともに、FPC3やその配線43およびバンプ51を介して、圧電ユニット5および流路ユニット4側へ熱が伝熱され、インクジェットヘッド内に収容されているインクに対して温度変化を与えてしまう。
【0035】
そこで、図5及び図7に示す第1及び第2温度検出機61、62、並びに制御部63は、このインクジェットヘッド1の温度を測定することにより、流路ユニット内に収容されているインクの温度をできる限り真値に近い形で測定することができ、このインクの温度に基づき、インクの吐出状態や吐出量を適切な状態に維持して、高い印刷品質を得ることができるようにするものである。
【0036】
第1温度検出機61は、図5に示すように、第1熱伝導用パターン66、第1温度検出部67、及び第1出力配線パターン68を備えている。また、第2温度検出機62は、第2熱伝導用パターン69、第2温度検出部70、及び第2出力配線パターン71を備える。
【0037】
図5及び図6に示すように、第1熱伝導用パターン66は、例えば銅等の高い熱伝導率を有する熱伝導材料を印刷形成したものであり、FPC3が備えるベースフィルム41の下面に、他の配線43とともに形成されている。そしてこの第1熱伝導用パターン66は、FPC3の引き出し方向と平行する右側の第1縁部72に沿いながら引き出し部3aに向かう方向に延びて形成され、更に、同方向に延びて第1FPC64が備えるベースフィルム74の上面を通って、このベースフィルム74の上面に実装されている第1温度検出部67と熱的に接続している。
【0038】
第1温度検出部67は、たとえば、サーミスタを使用しているが、これ以外の温度検出部を使用してもよい。そして、第1温度検出部67には、第1出力配線パターン68が電気的に接続され、この第1出力配線パターン68を介して図7に示す制御部63と電気的に接続している。この第1出力配線パターン68は、第1FPC64が備えるベースフィルム74の上面に2本形成されている。この第1出力配線パターン68は、中継基板を介して第1温度検出部67から出力される第1検出温度信号を制御部63に伝達するためのものである。
【0039】
制御部63は、インクジェットプリンタ本体側に搭載されており、図7には詳しく示さないが、インクジェットプリンタの全ての動作を制御するための制御部であり、プロセッサ63d、ROM63c、RAM63bのほか、ASIC63a(Application Specific Integrated Circuit)などで主に構成されている。ROM63cには、プロセッサ63dがインクジェットプリンタの各種のインクを吐出する制御プログラムや駆動波形信号を記憶している。RAM63cには、プロセッサ63dがプログラムを実行する際に用いる各種データを一時記録する記録領域として、またはプログラムを作動するための作業領域として使用される。また、ASIC63aには、インクジェットヘッド(キャリッジ)を往復操作するキャリッジモータを駆動させるモータドライバや、記録用紙の搬送装置を駆動する搬送モータを駆動させるモータドライバなどのモータドライバ63eや、第1および第2ICチップ34、35、第1温度検出部67および第2温度検出部70などが接続されている。また、図示していないが、ICチップ34、35を駆動させるための電源や、駆動電圧を印加させるための吐出用電源なども接続されている。
【0040】
第1および第2ICチップ34、35は、FPC3の各入力用配線、中継基板を介してASICと電気的に接続され、ASICから入力された信号に基づいて所定のタイミングでインクを選択的に吐出させることができる。また、ASICは、FPCの第1および第2温度出力用線を介して、第1温度検出部67および第2温度検出部70から出力される第1検出温度信号および第2検出温度信号によって、第1および第2ICチップに対して駆動を制御するように構成されている。
【0041】
図5に示す第1熱伝導用パターン66は、FPC3におけるこの第1熱伝導用パターン66が形成されている部分の熱を第1温度検出部67に伝導することができるものであり、そして、第1温度検出部67は、その伝導されてくる熱に基づいて、FPC3の第1縁部72に沿う部分の温度を検出することができる。
【0042】
また、図5に示すように、第1熱伝導用パターン66は、先端部66aと、基端部66bとを有している。この第1熱伝導用パターン66の先端部66aは、第1ICチップ34と、第2ICチップ35との間に延びて形成され、基端部66bは、この先端部66aと第1温度検出部67とを互いに接続するものである。
【0043】
第1熱伝導用パターン66の先端部66aは、図5に示すように、第2ICチップ35から第1ICチップ34に向かうに従って線幅が広がる略直角三角形状であり、その先端部近傍の幅広な部分が第2ICチップ35から遠く、第1ICチップ34に近くなる位置に配置されているため、第2ICチップ35よりも近い距離にある第1ICチップ34の発生する熱を多く伝導され、第1ICチップ34の発生する熱が第1温度検出部67に伝導され易くした形状である。
【0044】
また、第1熱伝導用パターン66の基端部66bは、図3、5に示すように、線幅がd1に形成され、駆動電極に接続される他の複数の出力用配線43よりも幅広に形成されている。基端部66bの幅d1を幅広にしたのは、先端部66aに流入した熱を第1温度検出部67に効率よく伝導できるようにするためである。
【0045】
2本の各第1出力配線パターン68の線幅d2は、第1熱伝導用パターン66の基端部66bの線幅d1よりも幅狭に形成されている(d1>d2)。第1出力配線パターン68の幅d2をd1よりも幅狭にしたのは、第1温度検出部67に伝導されてきた熱が、この第1出力配線パターン68から放熱しないようにすることで、第1温度検出部67が、第1熱伝導用パターン66に流入してきた熱に基づいてその温度を正確に検出できるようにするためである。
【0046】
また、図5及び図6に示すように、第1熱伝導用パターン66の先端縁部近傍(幅広部分)は、圧電ユニット5の上面における第1余肉部78上に形成された第1ダミー表面電極6aと第1伝熱用接続部76を介して接合している。第1伝熱用接続部76は、ハンダバンプによって構成され、図6(a)にあるように圧電ユニット5の表面の他の導電性のバンプ51よりも大きい径となっている。第1伝熱用接続部76があることで、FPC3上に伝熱されている熱だけでなく、温められた圧電ユニットおよび流路ユニット側の熱を第1熱伝導用パターンに伝熱することができるため、よりインクジェットヘッドとして伝熱された正確な温度を測定することができる。なお、第1伝熱用接続部76は、ここではハンダを用いているが、その他に、導電性があり伝熱性のよい接着剤材料を用いるのが好ましい。
【0047】
そして、第1熱伝導用パターン66の先端部66aの幅広部分に設けられた第1伝熱用接続部76のハンダバンプは、他の導電性のバンプ51よりも大きい径であることで、さらに第2ICチップ35よりも、第1ICチップ34の発生する熱によるインクジェットヘッドに与えられた熱影響を、第1温度検出部67に伝導させやすくなり測定しやすくなる。つまり、第1熱伝導用パターン66は、第2ICチップ35よりも第1ICチップ34の発熱に支配的な温度変化を拾いやすいように構成されている。なお、幅広部分に設けられていれば、ハンダバンプの数はひとつに限られることはない。
【0048】
次に、図5を参照して第2温度検出機62を説明する。この第2温度検出機62は、第2熱伝導用パターン69、第2温度検出部70、第2出力配線パターン71、及び第2伝熱用接続部77を備えており、これらは、第1温度検出機61が備える第1熱伝導用パターン66、第1温度検出部67、第1出力配線パターン68、及び第1伝熱用接続部76と点対称の位置関係に配置されていて、同等の大きさ及び形状に形成されている。第1温度検出機61と第2温度検出機62とは、圧電ユニット5との接合領域(電極形成領域A)を中心に点対称の関係になっていることから、第1と第2温度検出機61,62への熱影響が略同じと考えられる。また、第2温度検出機62の第2熱伝導用パターン69、第2温度検出部70、第2出力配線パターン71、及び第2伝熱用接続部77は、第1温度検出機61の第1熱伝導用パターン66、第1温度検出部67、第1出力配線パターン68、及び第1伝熱用接続部76と同等のものであるので、詳細な説明を省略するが、図5に示すように、第2熱伝導用パターン69は、先端部69aと、基端部69bとを有している。この第2熱伝導用パターン69の先端部69aは、第1ICチップ34と、第2ICチップ35との間に形成され、基端部69bは、この先端部69aと第2温度検出部70とを接続するものである。第2熱伝導用パターン69の先端部69aは、第1ICチップ34から第2ICチップ35に向かうに従ってその線幅が広がる略直角三角形状であり、その先端部近傍の幅広な部分が第1ICチップ34から遠く、第2ICチップ35に近くなるように配置されているため、第1ICチップ34よりも近い距離にある第2ICチップ35の発生する熱を多く伝導され、第2ICチップ34の発生する熱が第2温度検出部70に伝導され易くした形状となっている。そして、その第2熱伝導用パターン69の先端縁部近傍(幅広部分)は、圧電ユニット5の第2余肉部79の上面に形成されたダミー表面電極6bとの間をハンダバンプである第2伝熱用接続部77を介して接合されている。そして、幅広部分に設けられたハンダバンプが、他の導電性のバンプよりも大きい径であることで、さらに第2ICチップ35の発生する熱が第2温度検出部70に伝導されやすくなる。つまり、第2熱伝導用パターン67は、第1ICチップ34よりも第2ICチップ35の発熱に支配的な温度変化を拾いやすいように構成されている。
【0049】
よって、FPC3におけるこの第2熱伝導用パターン69が形成されている部分の熱を第2温度検出部70に伝導することができるものであり、そして、第2温度検出部70は、その伝導されてくる熱に基づいて、FPC3の第2縁部73に沿う部分の温度を検出することができる。
【0050】
第2出力配線パターン71も、第1出力配線パターンと同様に第2温度検出部70と電気的に接続され、この第2出力配線パターン71を介して図7に示す制御部63と電気的接続している。この第2出力配線パターン71は、第2FPC65が備えるベースフィルム75の上面に2本形成されている。
【0051】
また、図5に示すように、圧電ユニット5の上面には、略マトリクス状に多数の各表面電極6が配置されている。これら表面電極6は、図3に示すFPC3の下面に略マトリクス状に配置されている多数の各個別用端子部43a及び共通用配線と、それぞれバンプ51を介して電気的に接合している。
【0052】
そして、図5に示すように、圧電ユニット5の上面のこれら略マトリクス状に配置された多数の表面電極6の電極形成領域Aは、平面視が略平行四辺形の形状であり、その上辺は、略長方形の板状体である圧電ユニット5の上縁部と間隔を隔てて平行し、その下辺は、圧電ユニット5の下縁部と間隔を隔てて平行している。また、電極形成領域Aの左辺は、圧電ユニット5の左縁部と間隔を隔てて配置され、所定の角度だけ右側に傾斜し、その右辺は、圧電ユニット5の右縁部と間隔を隔てて配置され、所定の角度だけ右側に傾斜している。
【0053】
このように、図5に示す電極形成領域Aは、平面視が略平行四辺形の形状であるので、圧電ユニット5の上面の右側部分には、図5の下側に向かって広がる略直角三角形の第1余肉部78が存在している。そして、圧電ユニット5の上面の左側部分には、図5の上側に向かって広がる略直角三角形の第2余肉部79が存在している。
【0054】
そして、圧電ユニット5にFPC3を重ねて接合するとき、第1余肉部78と対向するFPC3の下面には、個別用端子部43a及び共通用配線が設けられていない領域であり、この領域に対応する位置に略直角三角形の第1熱伝導用パターン66が設けられている。第2余肉部79と対向するFPC3の下面も、個別用端子部43a及び共通用配線が設けられていない領域であり、この領域に対応する位置に略直角三角形の第2熱伝導用パターン69が設けられている。つまり、FPC3に形成された第1および第2熱伝導用パターンは、駆動とは関係のない端子部領域を除いた余肉部分に形成されているため、改めて熱伝導用パターンを形成する面積を必要とすることがなく、コンパクトに形成することができる。
【0055】
また、図5に示すハンダバンプである第1伝熱用接続部76は、FPC3の引き出し部3b側であって、多数の表面電極6が設けられている電極形成領域Aの外側に配置されたダミー表面電極6aと第1熱伝導用パターン66とを接合している。第2伝熱用接続部77は、FPC3の引き出し部3a側であって、多数の表面電極6が設けられている電極形成領域Aの外側に配置されたダミー表面電極6bと第2熱伝導用パターン69と結合している。第1および第2伝熱用接続部76、77は、ダミー表面電極6a、6bと接合させたほうがより伝熱させやすくさせる点において好ましいが、必ずしもダミー表面電極6a、6bがなくてもよく、圧電ユニットの最上層21上に直接接合してもよい。また、図5にあるような圧電ユニット5の上面の第1余肉部78および第2余肉部79は、必ずしも略直角三角形状でなくてもよく、FPC3に形成された第1および第2熱伝導用パターンが上述のような直角三角形状であれば、本発明の効果を得ることができうる。
【0056】
上記のように構成された温度検出機付き液滴吐出装置によると、例えばインクジェットヘッド1がインクを吐出して記録媒体に印刷による記録を行なうとき、第1及び第2ICチップ34、35が発熱し、この熱が、FPC3を通ってインクジェットヘッド1に伝導され、このインクジェットヘッド1内に収容されているインクの温度を上昇させる。また、第1及び第2ICチップ34、35が発生した熱、及びインクジェットヘッド1に伝導された熱は、FPC3に設けられている第1及び第2熱伝導用パターン66、69を通って第1及び第2温度検出部67、70のそれぞれに伝導される。これによって、第1及び第2温度検出部67、70は、第1及び第2ICチップ34、35の温度と対応する素子対応温度、ひいては、インクジェットヘッド1内に収容されているインクの温度と対応する液体対応温度を測定することができる。
【0057】
そして、FPC3には、2つの第1及び第2熱伝導用パターン66、69を互いに間隔を隔てて設けてあるので、FPC3の、第1熱伝導用パターン66と第2熱伝導用パターン69との間の温度分布を知ることができ、その結果、制御部63は、この温度分布に基づいてインクジェットヘッド1内に収容されているインクの温度と対応する正確な液体対応温度を測定することができる。そして、制御部63は、この液体対応温度に基づいて、例えば後述するように、記録媒体に吐出されるインクの吐出状態の品質の低下を抑制する制御を行えるようにすることができる。
【0058】
そして、図5及び図6に示すように、第1熱伝導用パターン66の幅広の先端部66aとインクジェットヘッド1とが、第1伝熱用接続部76を介して互いに積極的に熱伝導するように接合しているので、第1温度検出部67は、インクジェットヘッド1の第1伝熱用接続部76が設けられている部分の温度を、これら第1伝熱用接続部76及び第1熱伝導用パターン66を介して正確に検出することができる。
【0059】
そして、第2熱伝導用パターン69の幅広の先端部69aとインクジェットヘッド1とが、第2伝熱用接続部77を介して互いに積極的に熱伝導するように接合しているので、第2温度検出部70は、インクジェットヘッド1の第2伝熱用接続部77が設けられている部分の温度を、これら第2伝熱用接続部77及び第2熱伝導用パターン69を介して正確に検出することができる。
【0060】
また、図5に示す第1及び第2ICチップ34、35が発生するそれぞれの熱は、これら第1及び第2ICチップ34、35が設けられているFPC3の各引き出し部3a、3bの部分から、第1ICチップ34と第2ICチップ35との間に設けられるFPC3とインクジェットヘッド1との接合部(表面電極6、バンプ51及び端子部43a等の接合部分である電極接合領域A)を通ってインクジェットヘッド1に伝導される。
【0061】
そして、第1及び第2温度検出部67、70がFPC3の各引き出し側部分に配置されていて、第1及び第2熱伝導用パターン66、69は、FPC3の引き出し方向と略平行すると共に、第1ICチップ34と第2ICチップ35との間の前記接合部の領域(電極接合領域A)の左右の各側方位置に形成されているので、FPC3の第1熱伝導用パターン66が設けられている部分であって、第1及び第2ICチップ34、35間の領域Aの熱分布は、熱が第1ICチップ34と第2ICチップ35との間を通る間にならされ、そのならされた温度を第1温度検出部67が検出することができる。そして、第2温度検出部70は、FPC3の第2熱伝導用パターン69が設けられている部分であって、第1及び第2ICチップ34、35間の領域Aの熱分布は、熱が第1ICチップ34と第2ICチップ35との間を通る間にならされ、そのならされた温度を検出することができる。その結果、インクジェットヘッド1内に収容されているインクの温度と対応する正確な液体対応温度を測定することができる。
【0062】
更に、図5に示す第1熱伝導用パターン66は、第2ICチップ35から第1ICチップ34に向かうに従って横幅が広がった直角三角形状であるので、矢印80で示すように、第2ICチップ35よりも第1ICチップ34の発生する熱の方を第1温度検出部67に伝導し易く、その結果、第1温度検出部67は、第1ICチップ34の第1素子対応温度を測定することができる。そして、第2熱伝導用パターン69は、第1ICチップ34から第2ICチップ35に向かうに従って横幅が広がった直角三角形状であるので、矢印81で示すように、第1ICチップ34よりも第2ICチップ35の発生する熱の方を第2温度検出部70に伝導し易く、その結果、第2温度検出部70は、第2ICチップ35の第2素子対応温度を測定することができる。
【0063】
そして、図5に示すように、第2温度検出機62は、第2熱伝導用パターン69、第2温度検出部70、第2出力配線パターン71、及び第2伝熱用接続部77を備えており、これらは、第1温度検出機61が備える第1熱伝導用パターン66、第1温度検出部67、第1出力配線パターン68、及び第1伝熱用接続部76と電極接合領域Aに対して点対称の位置、及び同等の大きさ、形状に形成されている。
【0064】
これによって、第1及び第2ICチップ34、35が発生する熱が第1熱伝導用パターン66を通って第1温度検出部67に伝導される熱の伝わり方と、第2及び第1ICチップ34が発生する熱が第2熱伝導用パターン69を通って第2温度検出部70に伝導される熱の伝わり方とを一致又は略一致させることができる。これによって、例えば第1及び第2温度検出部67、70によって検出されたそれぞれの検出温度(検出温度信号)を平均することによって、つまり、複雑な補正をすることなしに正確な素子対応温度及び液体対応温度を測定することができる。
【0065】
また、図5及び図6に示すように、インクジェットヘッド1(圧電ユニット5)の上面のうち、多数の表面電極6が設けられていない略直角三角形の形状の第1余肉部78及び第2余肉部79(電極形成領域Aの外側の領域)と対向するFPC3の各領域は、端子部43aや配線が形成されていない領域であり、このようなFPC3におけるそれぞれの不使用領域に第1及び第2熱伝導用パターン66、69を設けているので、これら第1及び第2熱伝導用パターン66、69を設けるための領域をFPC3に新たに設ける必要が無く、FPC3及びインクジェットヘッド1(圧電ユニット5)の大型化を防ぐことができる。
【0066】
更に、図1に示すように、可撓性を有するFPC3(このFPC3には、第1FPC64及び第2FPC65が接続されている。)を、折り曲げて組み立てる作業を行なうときに、FPC3の引き出し部3a、3b側の最も外側に配置されている表面電極6とFPC3とを接合するそれぞれの接合部(表面電極6、バンプ51及び端子部43a等の接合部分)に対して、引っ張り荷重等が集中的に掛かろうとする。特に本実施形態のような電極形成領域が平行四辺形である場合、その4つの頂点のうち、もっともX方向側外側位置に配置されている頂点の接合部(図1における、最上列の最右端の接合部と、最下列の最左端部の接合部)において、引っ張り荷重等の集中が大きくなる。
【0067】
そこで、図1に示すように、多数の表面電極6のうち、引き出し部3a側の最も外側に配置されている表面電極6よりも更にこの引き出し方向の外側の箇所に、第1伝熱用接続部76が設けられている。また、引き出し部3b側の最も外側に配置されている表面電極6よりも更にこの引き出し方向の外側の箇所に第2伝熱用接続部77を設けられている。これによって、表面電極6とFPC3との接合部に対して、引っ張り荷重等が掛からないようにすることができる。特に、上述した電極形成領域Aの接合部のうち、引っ張り荷重等がかかりやすい接合部において、力の集中を緩和することができる。また、第1および第2伝熱用接続部76、77とは、ハンダバンプにより形成されていて、その直径が他の駆動用のバンプ51よりも大きい径で形成されているとともに、ハンダバンプが溶融してダミー表面電極6a、6bと合金化していることで、さらに補強力が大きくすることができる。その結果、伝熱を目的として配置された第1伝熱用接続部76と第2伝熱用接続部77とが、引っ張り荷重等に対する補強バンプとして機能をかねることができ、表面電極6とFPC3との電気的不具合の発生を効果的に防止することができる。
【0068】
そして、図5に示すように、第1温度検出部67(又は第2温度検出部70)に接続されてFPC3の温度を検出するための第1熱伝導用パターン66(又は第2熱伝導用パターン69)の基端部66b(又は69b)の横幅d1を、他の駆動配線43よりもその幅が幅広に形成されていることで、この第1熱伝導用パターン66(又は第2熱伝導用パターン69)の熱伝導効率を高くすることができる。そして、第1温度検出部67(又は第2温度検出部70)から出力される第1検出温度信号(又は第2検出温度信号)を制御部63に伝達するための第1出力配線パターン68(又は第2出力配線パターン71)の横幅d2を、第1及び第2熱伝導用パターン66、69の基端部66b、69bの横幅d1よりも小さくすることによって、第1温度検出部67(又は第2温度検出部70)に伝導されてくる熱が、この第1出力配線パターン68(又は第2出力配線パターン71)を通って放熱されることを抑制することができる。これによって、正確な素子対応温度及び液体対応温度を測定することができる。
【0069】
次に、図7及び図8を参照して、温度検出機付き液滴吐出装置が備えている制御部63を説明する。この制御部63は、図7に示すように、第1ICチップ34、第2ICチップ35、第1温度検出部67、第2温度検出部70がフレキシブル配線材および中継基板を介して電気的に接続されている。そして、第1及び第2ICチップ34、35には、圧電ユニット5の各表面電極6と出力用の配線43によって電気的に接続されている。
【0070】
図8は、液滴吐出装置が駆動して被吐出媒体に吐出を行なっているときに、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号と、時間との関係を示す図である。
【0071】
この制御部63は、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差が第1設定値T1以上であるか否かを判定し、温度差が第1設定値T1以上であると判定したときに、第1及び第2検出温度信号の温度差(信号値の差)が第1設定値T1よりも小さい第2設定値T2以下となるまで、温度が高い方の第1又は第2検出温度信号を出力した第1及び第2温度検出部67、70に対して、第1及び第2熱伝導用パターン66、69を介して熱が伝導され易いように設けられている方の第1又は第2ICチップ34、35の駆動を停止、又は記録速度(印刷速度)と対応するこの液滴吐出装置の駆動速度を設定速度よりも低下させるように制御される。なお、第1設定値T1、第2設定値T2は、あらかじめROM63b内に格納されている。
【0072】
つまり、図8に示すように、制御部63は、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差に基づいて、温度が高いと判断された第1又は第2ICチップ34、35の駆動を停止、又は吐出速度と対応する駆動速度を設定速度よりも低下させることができる。これによって、第1及び第2ICチップ34、35間の温度差を第1設定値T1と対応する所定の温度差よりも小さくすることができる。このように、第1及び第2ICチップ34、35間の温度差が所定の温度差を超えないようにすることによって、第1及び第2ICチップ34、35間での温度差に基づく動作状態の差が所定以上に大きくならないようにすることができ、第1及び第2ICチップ34、35間における記録媒体に記録される記録画質の品質のばらつきを低く抑えることができる。
【0073】
そして、制御部63は、一方のICチップの駆動を停止、又は記録速度と対応する駆動速度を設定速度よりも低下させるときは、記録画質の解像度が低下しないように、インクジェットヘッド1のパス数を適切な倍数、例えば2倍に増加させることとする。
【0074】
上記実施形態の制御部63に代えて、下記の制御部としてもよい。この制御部は、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差が第1設定値T1以上であるときに、第1及び第2検出温度信号の温度差が第1設定値T1よりも小さい第2設定値T2以下となるまで、温度が高い方の第1又は第2検出温度信号を出力した第1及び第2温度検出部67、70に対して、第1及び第2熱伝導用パターン66、69を介して熱が伝導され易いように設けられている方の第1又は第2ICチップ34、35に対する駆動電圧を、予めROM63bに記憶されている温度差と駆動電圧とを対応させるテーブルに従って変更することができるように構成されている。
【0075】
つまり、この制御部は、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差に基づいて、温度が高いと判断された第1又は第2ICチップ34、35に対する駆動電圧を、予めROM63bに記憶されている温度差と駆動電圧(この駆動電圧は、例えば定格電圧よりも低い電圧である。)とを対応させるテーブルに従って変更することができる。これによって、上記実施形態と同様に、第1及び第2ICチップ34、35間の温度差を第1設定値T1と対応する所定の温度差よりも小さくすることができる。よって、第1及び第2ICチップ34、35間における記録媒体に記録される記録画質の品質のばらつきを低く抑えることができる。この場合も、記録画質の解像度が低下しないように、インクジェットヘッド1のパス数を適切な倍数、例えば2倍に増加させることとする。
【0076】
また、上記実施形態の制御部63に代えて、下記の制御部としてもよい。この制御部63は、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差が第1設定値T1以上であるときに、第1及び第2検出温度信号の温度差が第1設定値T1よりも小さい第2設定値T2以下となるまで、温度が高い方の第1又は第2検出温度信号を出力した第1及び第2温度検出部67、70に対して、第1及び第2熱伝導用パターン66、69を介して熱が伝導され易いように設けられている方の第1又は第2ICチップ34、35に対する駆動電圧波形を、予めROM63bに記憶されている温度差と駆動電圧波形とを対応させるテーブルに従って変更するように構成されている。
【0077】
なお、ROM63bに記憶されている駆動電圧波形の立上り時間Tr及び立下り時間Tfは、定格の立上り時間Tr及び立下り時間Tfと同一、又はそれよりも長く設定されている。つまり、第1及び第2検出温度信号の温度差が大きくなるときは、室温が上昇している場合があり、この室温の上昇によって、第1及び第2ICチップ34、35に駆動電圧を供給する制御部63における駆動電圧波形の立上り時間Tr及び立下り時間Tfの設定値に誤差が生じ、それらの設定時間が小さくなることがある。
【0078】
また、第1及び第2検出温度信号の温度差が大きくなるときは、インクの温度が高くなるときであり、インクの温度が高くなると、インクの粘土が小さくなり、吐出時にしぶきが発生したり、吐出量が多くなることがある。
【0079】
そこで、駆動電圧波形の立上り時間Tr及び立下り時間Tfを、現在設定されている時間よりも長くなるように設定を自動的に変更することによって、吐出時のしぶきを解消したり、吐出量を適切な量に調整することができる。
【0080】
つまり、この制御部は、第1及び第2温度検出部67、70から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差に基づいて、温度が高いと判断された第1又は第2ICチップ34、35に対する駆動電圧波形を、予めROM63bに記憶されている温度差と駆動電圧波形とを対応させるテーブルに従って変更することができる。これによって、上記実施形態と同様に、第1及び第2ICチップ34、35間の温度差を第1設定値T1と対応する所定の温度差よりも小さくすることができる。よって、第1及び第2ICチップ34、35間における記録媒体に記録される記録画質の品質のばらつきを低く抑えることができる。この場合も、記録画質の解像度が低下しないように、インクジェットヘッド1のパス数を適切な倍数、例えば2倍に増加させることとする。
【0081】
更に、上記実施形態では、図5に示すように、第1及び第2熱伝導用パターン66、69のそれぞれの横幅の狭い方の各端部が、それぞれと対応する第1及び第2温度検出部67、70と接続する構成としたが、これに代えて、図9に示すように、第1及び第2熱伝導用パターン66、69のそれぞれの線幅の広い方の各端部が、それぞれと対応する第1及び第2温度検出部67、70と接続する構成としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、図5に示すように、第1及び第2熱伝導用パターン66、69のそれぞれは、平面視が略直角三角形の形状としたが、これに代えて、図10に示すように、一定の線幅で形成された帯状体としても良い。図10の実施形態では、圧電ユニット5の電極形成領域Aが、Y方向に長い略長方形状となっていて、第1余肉部77および第2余肉部76はX方向に長い長方形状になっている。そして、圧電ユニット5の上に接合されるFPC3の第1および第2熱伝導用パターン66,67は、第1余肉部および第2余肉部に対応して、線幅同一で、第1ICチップ34と第2ICチップ35との間を外縁に沿って延びるように形成された長方形状の熱伝導用パターンとなっている。また、図10に示すように、第1及び第2熱伝導用パターン66、69のそれぞれは、2つ以上の第1又は第2伝熱用接続部76、77を介して圧電ユニット5の上面と接合している。この実施形態の場合でも、本実施形態と同じように、第1及び第2ICチップ34、35との間を通る間のインクジェットヘッドの熱を伝導させて各温度検出部で温度検出させることができる。しかしながら、その形状が線幅同一の長方形状であることから、図5の実施形態よりも、熱分布がならされて各温度検出部に伝熱されインクジェットヘッドとして平均的な温度として検出する結果となる。ICチップの駆動状況の変化をより明確に検出するには、図5の実施形態の場合のように、第1熱伝導用パターン66が、第2ICチップ35よりも第1ICチップ34の熱影響を支配的に広いやすいように構成され、第2熱伝導用パターン67が、第1ICチップ34よりも第2ICチップ35の熱影響を支配的に変化を拾いやすいように構成されているのが好ましい。
【0083】
なお、図10に示す圧電ユニット5の電極領域AがY方向に長い略長方形状で、第1および第2余肉部がX方向に長い長方形状の実施形態であっても、図5に示すように、第1および第2熱伝導用パターン66、69が平面視略長方形状となっていてもよい。
【0084】
そして、上記実施形態では、本発明を1つの圧電ユニット5を備える液滴吐出装置に適用したが、これに代えて、2つ以上の圧電ユニット5(ラインヘッド)を備える液滴吐出装置に適用することができ、その場合、1つずつの圧電ユニット5単位での温度分布の測定変化を取りうることができる。また、圧電ユニットに限らず、インクを抵抗体により加熱してインクを吐出させるタイプの液滴吐出装置に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明に係る温度検出機付き液滴吐出装置は、記録媒体にインクを吐出する吐出ヘッドやインクの温度を正確に測定することができ、このインク温度に基づいて、インクの吐出状態や吐出量を適切な状態に維持して、高い印刷品質を得ることができるようにする優れた効果を有し、このような温度検出機付き液滴吐出装置に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0086】
1 インクジェットヘッド
2 フレーム
2a 開口部
2b 貫通孔
3 プリント配線基板(FPC)
3a、3b 引き出し部
4 流路ユニット
4a インク流路
5 圧電ユニット
6 表面電極
6a、6b ダミー表面電極
8 インク流入口
9 フィルタ
10 圧力室孔
11 圧力室層
12 接続流路層
13 マニホールド層
14 ダンパ層
14a ダンパ室
15 ノズル層
16 共通インク室
17 接続流路
18 圧力室
19 流出路
20 ノズル
21〜26 圧電シート
27 トップシート
28 共通電極
29 個別電極
34 第1ICチップ
35 第2ICチップ
41 ベースフィルム
41a 一方面
43 個別用配線
43a 端子部
44 入力用配線
51 バンプ
61 第1温度検出機
62 第2温度検出機
63 制御部
63a ASIC
63b RAM
63c ROM
63d プロセッサ
63e ドライバ
64 第1プリント回路基板(第1FPC)
65 第2プリント回路基板(第2FPC)
66 第1熱伝導用パターン
66a 先端部
66b 基端部
67 第1温度検出部
68 第1出力配線パターン
69 第2熱伝導用パターン
69a 先端部
69b 基端部
70 第2温度検出部
71 第2出力配線パターン
72 第1縁部
73 第2縁部
74、75 ベースフィルム
76 第1伝熱用接続部
77 第2伝熱用接続部
78 第1余肉部
79 第2余肉部
80、81 矢印
A 電極形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流路に吐出圧が付与されて複数のノズルより選択的に液滴が吐出される吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに接合され、前記ノズルに前記吐出圧を付与して前記吐出ヘッドを駆動させるための第1駆動素子及び第2駆動素子が設けられている配線基板と、
前記配線基板の温度を検出することができる第1温度検出部及び第2温度検出部と、
前記配線基板に設けられ、前記吐出ヘッドとの前記接合領域から前記第1温度検出部まで延びて接続して、前記配線基板の熱を前記第1温度検出部に伝達するための第1熱伝導用パターンと、
前記配線基板に設けられ、前記吐出ヘッドとの前記接合領域から前記第2温度検出部まで延びて接続して、前記配線基板の熱を前記第2温度検出部に伝達するための第2熱伝導用パターンとを備えることを特徴とする温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項2】
前記吐出ヘッドは、前記第1熱伝導用パターンに接合される第1伝熱用接続部と、前記第2熱伝導用パターンと接合される第2伝熱用接続部とを有し、
前記配線基板は、可撓性を有し、前記吐出ヘッドの表面から両側に引き出され、
前記第1駆動素子および前記第1温度検出部は、前記配線基板の引き出されている一方側に設けられ、
前記第2駆動素子および前記第2温度検出部は、前記配線基板の引き出されている他方側に設けられ、
前記第1熱伝導用パターンは、前記配線基板の引き出し方向と略平行する前記配線基板の第1縁部に沿って設けられ、前記第2駆動素子から前記第1駆動素子に向かうに従って幅が広がり、前記第2駆動素子よりも前記第1駆動素子の発生する熱が第1温度検出部に伝達され易くした形状であり、
前記第2熱伝導用パターンは、前記第1縁部と対向して略平行に前記配線基板に形成されている第2縁部に沿って設けられ、前記第1駆動素子から前記第2駆動素子に向かうに従って幅が広がり、前記第1駆動素子よりも前記第2駆動素子の発生する熱が第2温度検出部に伝達され易くした形状であることを特徴とする請求項1記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項3】
前記第1駆動素子及び前記第1熱伝導用パターンと、前記第2駆動素子及び前記第2熱伝導用パターンとは、点対称の位置に設けられ、かつ、前記第1及び第2熱伝導用パターンは、点対称の形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項4】
前記吐出ヘッドの表面に複数の表面電極が設けられ、これら複数の表面電極が前記配線基板に設けられている複数の各端子と電気的に接合し、
前記配線基板には、この配線基板が引き出される方向に対して直行する方向に前記第1及び第2駆動素子が配置され、これら第1及び第2駆動素子は、前記各端子を挟んで設けられていて、前記第1及び第2熱伝導用パターンは、前記配線基板の前記端子が設けられていない領域であって、前記複数の端子を両側から挟み込むように形成され、そして、
前記配線基板の前記端子が設けられていない領域は、前記吐出ヘッドの表面のうち前記複数の表面電極が設けられていない領域と対向していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項5】
前記第1熱伝導用接続部は、前記配線基板が引き出される一方側であって、前記複数の表面電極が設けられている領域の外側に配置され、かつ、前記第1熱伝導用パターンの前記幅広に形成された領域に位置して接合され、
前記第2熱伝導用接続部は、前記配線基板が引き出される他方側であって、前記複数の端子が設けられている領域の外側に配置され、かつ、前記第2熱伝導用パターンの前記幅広に形成された領域に位置して接合され、前記第1及び第2伝熱用接続端子は、前記前記複数の表面電極が設けられていない領域で、前記幅広に形成された領域に設けられていることを特徴とする請求項4記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項6】
前記第1温度検出部が出力する第1検出温度信号を制御部に伝達するための第1出力配線パターンが前記配線基板に設けられ、前記第1出力配線パターンが、前記第1熱伝導用パターンよりも横幅が小さく形成され
前記第2温度検出部が出力する第2検出温度信号を制御部に伝達するための第2出力配線パターンが前記配線基板に設けられ、前記第2出力配線パターンが、前記第2熱伝導用パターンよりも横幅が小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項7】
制御部は、前記第1及び第2温度検出部から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差が第1設定値以上であるときに、前記第1及び第2検出温度信号の温度差が前記第1設定値よりも小さい第2設定値以下となるまで、前記温度が高い方の第1又は第2検出温度信号を出力した前記第1又は第2温度検出部に対して、前記第1又は第2熱伝導用パターンを介して熱が伝達され易いように設けられている方の前記第1又は第2駆動素子の駆動を停止、又は駆動速度を設定速度よりも低下させることを特徴とする請求項2記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項8】
制御部は、前記第1及び第2温度検出部から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差が第3設定値以上であるときに、前記第1及び第2検出温度信号の温度差が前記第3設定値よりも小さい第4設定値以下となるまで、前記温度が高い方の第1又は第2検出温度信号を出力した前記第1又は第2温度検出部に対して、前記第1又は第2熱伝導用パターンを介して熱が伝達され易いように設けられている方の前記第1又は第2駆動素子に対する駆動電圧を、予め記憶部に記憶されている温度差と駆動電圧とを対応させるテーブルに従って変更することを特徴とする請求項2記載の温度検出機付き液滴吐出装置。
【請求項9】
制御部は、前記第1及び第2温度検出部から出力される第1及び第2検出温度信号の温度差が第5設定値以上であるときに、前記第1及び第2検出温度信号の温度差が前記第5設定値よりも小さい第6設定値以下となるまで、前記温度が高い方の第1又は第2検出温度信号を出力した前記第1又は第2温度検出部に対して、前記第1又は第2熱伝導用パターンを介して熱が伝達され易いように設けられている方の前記第1又は第2駆動素子に対する駆動電圧波形を、予め記憶部に記憶されている温度差と駆動電圧波形とを対応させるテーブルに従って変更することを特徴とする請求項2記載の温度検出機付き液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−214793(P2010−214793A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64714(P2009−64714)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】