説明

温度補償方法、補正値決定回路および温度補償発振回路

【課題】 少ないメモリ容量の記憶部を用いて温度補償を行う温度補償方法、補正値決定回路および温度補償発振回路を提供する。
【解決手段】 補正値決定回路20は、間欠的に温度を計測して、この計測結果をディジタル信号で出力する温度計測部22と、前記ディジタル信号のうち最下位ビットを除いた上位ビットを入力し、前記最下位ビットに応じて前記上位ビットを設定してアドレス値として出力するカウンタ28と、予め前記アドレス値と1対1に対応づけられて保存されている補正値を、前記カウンタ28から出力された前記アドレス値に応じて読み出して出力する記憶部30と、を備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償方法、補正値決定回路および温度補償発振回路に係り、特にディジタル方式で温度補償を行う温度補償方法、補正値決定回路および温度補償発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
温度補償発振回路は、温度補償型圧電発振器やリアルタイムクロックモジュールを構成することができる。図6は従来技術に係る温度補償型圧電発振器の構成を説明するブロック図である。従来のディジタル温度補償型圧電発振器1は、この圧電発振器1の周波数温度特性を補償するための補正値データを予め記憶部2に保存している。また圧電発振器1は、圧電振動子3の周囲温度を温度センサ9およびアナログ/ディジタル(A/D)コンバータ4を備えた温度計測部により計測して、この計測信号をディジタル信号で記憶部2に出力している。なおA/Dコンバータ4から出力されたディジタル信号は、全ての桁が記憶部2に入力される。そして圧電発振器1は、記憶部2に保存されている補正値をディジタル信号に応じて読み出して発振回路5に出力し、発振回路5に設けられている容量アレイ6の容量値を補正値に基づいて調整することにより圧電振動子3を温度補償している。
【0003】
また圧電発振器1は、上述した構成に加えて1Hzのタイミング信号を入力し、前記温度計測部を1秒毎に間欠的に動作させ、記憶部2で補正値を読み出す動作を1秒毎に間欠的に行わせる制御部7を備えるとともに、記憶部2から出力された補正値を保持するラッチ8を備えることにより、平均すると消費電流を抑えて、低消費電力化を図ることができる。
なお特許文献1には、メモリの容量を増やすことなく温度補償制御の精度を高めるために、制御する温度の隣接する二点間の既知の制御値を単純な平均値を用いて補間する温度補償圧電発振器が開示されている。
【特許文献1】特開平8−130411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した温度補償発振回路は、A/Dコンバータから出力されるディジタル信号の全ての桁を記憶部に入力し、このディジタル信号と1対1に対応した補正値を読み出して記憶部から出力している。このため記憶部は、大きなメモリ容量が必要になる課題があった。また記憶部は、記憶しなければならない補正値のデータ量が多いと、データの書き込み時間が長くなる課題があった。
【0005】
さらに特許文献1に係る温度補償圧電発振器は、補償情報読出回路やアドレス加算回路、複数のスイッチ回路等が必要になるので、発振器全体の構成が大きくなってしまう課題がある。
本発明は、少ないメモリ容量の記憶部を用いて温度補償を行う温度補償方法、補正値決定回路および温度補償発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る温度補償方法は、圧電振動子の温度を温度計測部で間欠的に計測して、この計測結果を最下位ビットと上位ビットとに分けたディジタル信号で出力し、前記上位ビットをアドレス値として記憶部に入力し、間欠的に計測した時間では前記アドレス値に1対1に対応した補正値を出力するとともに、間欠的に計測した前記時間の中間時点では前記最下位ビットに応じて設定された前記アドレス値に1対1に対応した補正値を出力し、前記補正値に基づいて周波数調整素子の素子値を調整して前記圧電振動子を温度補償する、ことを特徴としている。この場合、前記周波数調整素子は容量アレイまたは分周段であり、前記素子値は容量値または分周数である。そして前記圧電振動子の温度補償は、前記圧電振動子に接続された前記容量アレイの容量値を前記補正値に基づいて調整することにより、または前記圧電振動子を発振させる回路の後段に接続された前記分周段の分周数を前記補正値に基づいて調整することにより行われる。
【0007】
これにより、温度計測部から出力されるディジタル信号のうち最下位ビットを使わず、上位ビットを使用して記憶部を参照するので、記憶部に保存される補正値のデータ量を半分にすることができ、記憶部のメモリ容量を小さくすることができる。また記憶部に保存するアドレス値と補正値を1対1に対応させたデータの書き込み量が減り、データの書き込み時間を短くすることができる。さらに温度計測部を間欠的に動作させており、間欠的に動作している中間時点では温度計測部が動作していないので、消費電流が増加するのを防ぐことができる。
【0008】
また上述した温度補償方法は、間欠的に計測した前記時間の前記中間時点で前記補正値の読み出しに用いられる前記最下位ビットは、直前に温度計測されて出力される前記ディジタル信号の最下位ビットが用いられ、前記最下位ビットが零のときは、直前に温度計測されて出力される前記ディジタル信号に応じた前記アドレス値をそのまま用い、前記最下位ビットが1のときは、直前に温度計測されて出力される前記ディジタル信号の上位アドレス値を設定して用いる、ことを特徴としている。これにより温度補償発振回路は、温度計測部が間欠的に動作する中間の時点においても記憶部を参照して補正値を出力することができるので、温度計測部から出力されたディジタル信号が全て記憶部に入力される場合、すなわち本発明と比べて2倍のデータ量で温度補償している場合と、同等の温度補償の効果を得ることができる。
【0009】
本発明に係る補正値決定回路は、間欠的に温度を計測して、この計測結果をディジタル信号で出力する温度計測部と、前記ディジタル信号のうち最下位ビットを除いた上位ビットを入力し、前記最下位ビットに応じて前記上位ビットを設定してアドレス値として出力するカウンタと、予め前記アドレス値と1対1に対応づけられて保存されている補正値を、前記カウンタから出力された前記アドレス値に応じて読み出して出力する記憶部と、を備えたことを特徴としている。この場合、前記記憶部の出力側に、前記補正値を保持するラッチを接続することができる。
【0010】
これにより、温度計測部から出力されるディジタル信号のうち最下位ビットを使わず、上位ビットを使用して記憶部を参照するので、記憶部に保存される補正値のデータ量を半分にすることができ、記憶部のメモリ容量を小さくすることができる。また記憶部に保存するアドレス値と補正値を1対1に対応させたデータの書き込み量が減り、データの書き込み時間を短くすることができる。さらに温度計測部を間欠的に動作させており、間欠的に動作している中間時点では温度計測部が動作していないので、消費電流が増加するのを防ぐことができる。
【0011】
そして前記カウンタは、前記最下位ビットが零のときは、入力した前記上位ビットをそのまま出力し、前記最下位ビットが1のときは、入力した前記上位ビットの上位アドレス値を設定し出力してなることを特徴している。これは、間欠的に温度計測して時間の中間時点で行われることを特徴としている。これにより温度補償発振回路は、温度計測部が間欠的に動作する中間の時点においても記憶部を参照して補正値を出力することができるので、温度計測部から出力されたディジタル信号が全て記憶部に入力される場合、すなわち2倍のデータ量で温度補償している場合と、同等の温度補償の効果がある。
【0012】
本発明に係る温度補償発振回路は、上述した補正値決定回路と、圧電振動子に接続され前記補正値決定回路によって決定された前記補正値に基づき温度補償を行う発振回路とを有し、前記温度計測部は、前記圧電振動子の温度を測定してなることを特徴している。これにより圧電振動子の周波数温度特性を温度補償することができる。
【0013】
そして前記発振回路は、前記補正値に応じて容量値を変化させる容量アレイを備えたことを特徴としている。容量アレイを構成しているコンデンサの容量値を変えることにより源振の発振周波数を調整して、圧電振動子を温度補償することができる。
【0014】
また本発明に係る温度補償発振回路は、前記発振回路の出力側に計時回路を接続したことを特徴としている。これにより温度補償発振回路は、容量緩急方式のリアルタイムクロックモジュールを構成することができる。また温度補償発振回路は、温度計測部を間欠的に動作させ、この間欠時間および間欠時間の中間時点において補正値を切り換えて圧電振動子の温度補償をしているので、記憶部に保存されている補正値のデータ量が半分になっていても、平均すれば計時に大きな誤差を生じることはない。
【0015】
さらに本発明に係る温度補償発振回路は、入力した前記補正値に基づいて分周数を調整して前記発振回路から出力されるクロック信号の周波数を変化させる分周段を備えた計時回路を前記発振回路の出力側に接続したことを特徴としている。これにより温度補償発振回路は、発振回路から出力される源振を分周段で調整する、論理緩急方式のリアルタイムクロックモジュールを構成することができる。そして計時回路の桁上げタイミングを分周段で作ることができる。また温度補償発振回路は、温度計測部を間欠的に動作させ、この間欠時間および間欠時間の中間時点において補正値を切り換えて圧電振動子の温度補償をしているので、記憶部に保存されている補正値のデータ量が半分になっていても、平均すれば計時に大きな誤差を生じることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係る温度補償方法、補正値決定回路および温度補償発振回路の最良の実施形態について説明する。まず第1の実施形態について説明する。図1は補正値決定回路のブロック図である。図2は第1の実施形態に係る温度補償発振回路のブロック図である。温度補償発振回路10は、補正値決定回路20と、圧電振動子40に接続され補正値決定回路20によって決定された補正値に基づき温度補償を行う発振回路42を有する構成である。
【0017】
図1に示される補正値決定回路20は、温度計測部22、カウンタ28、記憶部30、ラッチ32および制御部34を備えている。温度計測部22は、圧電振動子40の温度を計測する温度センサ24と、この温度センサ24から出力される計測結果をアナログ信号からディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル(A/D)コンバータ26を備えている。このA/Dコンバータ26の後段にカウンタ28および制御部34が接続されている。
【0018】
カウンタ28は、A/Dコンバータ26から出力されるディジタル信号のうち、最下位ビットを除いた上位ビットを入力する。すなわち図1に示される場合、A/Dコンバータ26は8ビットの出力O7〜O0を有しており、この8ビットのうち上位の7ビットの出力O7〜O1をカウンタ28は入力する。そしてカウンタ28は、上位ビットを入力するとアドレス値を出力する。
【0019】
制御部34は、A/Dコンバータ26から出力されるディジタル信号のうち、最下位ビットを入力する。すなわち図1に示される場合、A/Dコンバータ26の8ビットの出力O7〜O0のうち、最下位の出力O0を制御部34は入力する。そして制御部34は、最下位ビットの情報「0」または「1」に応じて、且つ温度を計測するタイミングに応じて、カウンタ28から出力されるアドレス値を設定する。また制御部34は、タイミング信号を入力して、このタイミング信号に基づいて温度計測部22およびカウンタ28を間欠的に動作させるとともに、ラッチ32を制御している。そして制御部34は、図1に示される場合、2Hzのタイミング信号を入力する構成である。
【0020】
そしてカウンタ28の後段に記憶部30が接続されている。記憶部30は、アドレス値と1対1に対応付けられた補正値を予め保存しており、カウンタ28からアドレス値を入力すると、このアドレス値に応じた補正値を読み出して出力するものである。なお記憶部30は、図1に示される場合、カウンタ28からの出力A6〜A0を入力する。この記憶部30の後段にラッチ32が接続されている。ラッチ32は、記憶部30から出力される補正値を入力すると、この補正値を次の補正値が入力されるまで保持するものである。
【0021】
また図2に示される温度補償発振回路10は、ラッチ32の後段に圧電振動子40を備えた発振回路42を接続した構成である。発振回路42は、圧電振動子40を発振させるものであり、補正値に応じて容量値(素子値)が変化する容量アレイ44(周波数調整素子)を備えている。図3は容量アレイを説明する回路図である。容量アレイ44は、圧電振動子40のゲートg側およびドレインd側のそれぞれに容量値の異なる複数のコンデンサ46を並列接続し、ラッチ32から出力される補正値によってオン/オフ制御されるスイッチ48を各コンデンサ46に直列接続した構成である。また圧電振動子40は、例えばATカット等の圧電振動子や音叉型圧電振動子、弾性表面波共振子等であればよい。
【0022】
次に、補正値決定回路20および温度補償発振回路10の動作について説明する。まず温度計測部22は、制御部34に入力されるタイミング信号に基づいて間欠的に動作する。すなわち温度センサ24は、圧電振動子40の温度を間欠的に計測すると、この計測結果をアナログ信号で出力する。A/Dコンバータ26は、アナログ信号を入力すると、ディジタル信号に変換して出力する。
【0023】
カウンタ28は、A/Dコンバータ26から出力されたディジタル信号を最下位ビットと上位ビットに分割したうちの上位ビットを入力する。また制御部34は、ディジタル信号を最下位ビットと上位ビットに分割したうちの最下位ビットを入力する。そしてタイミング信号に基づいて温度計測部22が間欠的に動作したときには、カウンタ28は入力した上位ビットをアドレス値として記憶部30にそのまま出力する。また温度計測部22が間欠的に動作しているときの間欠時間の中間時点では、カウンタ28は、制御部34に入力された最下位ビットの情報「0」または「1」に応じてアドレス値を設定する。この設定に用いられる最下位ビットは、中間のタイミングの直前において温度計測部22が動作したときに、A/Dコンバータ26から制御部34へ出力したものを用いている。そして最下位ビットが「0」の場合、カウンタ28から出力されるアドレス値の調整を行わず、カウンタ28に入力された上位ビットをそのままアドレス値として出力する。一方、最下位ビットが「1」の場合、カウンタ28に入力された上位ビットをアドレス値として出力するときに、このアドレス値よりも1つ上位のアドレス値を出力する。
【0024】
なおタイミング信号が2Hzの場合には、1秒毎に温度センサ24とA/Dコンバータ26が動作して、1秒毎に圧電振動子40の温度が計測される。そしてA/Dコンバータ26から出力されたディジタル信号のうち上位ビットがカウンタ28に入力され、そのまま出力される。また温度計測が行われる1秒毎の中間、すなわち温度計測されてから0.5秒後の時には、直前に温度計測されてA/Dコンバータ26から出力された最下位ビットの情報「0」または「1」に応じてカウンタ28から出力されるアドレス値が設定される。
【0025】
この後、記憶部30は、アドレス値を入力すると、このアドレス値に1対1に対応した補正値を読み出す。すなわちA/Dコンバータ26から入力した上位ビットをアドレス値としてそのままカウンタ28から入力する場合には、このアドレス値に1対1に対応した補正値を記憶部30で読み出す。またA/Dコンバータ26から入力した上位ビットに基づいたアドレス値よりも1つ上位のアドレス値をカウンタ28から入力する場合には、この上位アドレス値に1対1に対応した補正値を記憶部30で読み出す。そして記憶部30は、読み出した補正値をラッチ32に出力する。ラッチ32は補正値を入力すると、新たな補正値が入力されるまでこれを保持するとともに、発振回路42に設けられた容量アレイ44に出力する。この容量アレイ44は、補正値が入力されると、この補正値に応じて各スイッチ48をオンまたはオフして容量値を調整する。これにより圧電振動子40の発振周波数が調整される。このように発振回路42から出力されるクロック信号は、温度補償されて出力される。
【0026】
このような補正値決定回路20および温度補償発振回路10は、A/Dコンバータ26から出力されるディジタル信号のうち最下位ビットを使わず、上位ビットを使用して記憶部30を参照するので、記憶部30で保存する補正値のデータ量は半分にすることができ、記憶部30のメモリ容量を小さくすることができる。これにより記憶部30に保存するアドレス値と補正値を1対1に対応させたデータの書き込み量が減り、データの書き込み時間を短くすることができる。
【0027】
またタイミング信号に基づいて温度計測部22を動作させる間欠時間と、この間欠時間の中間時点とで圧電振動子40を温度補償しているので、間欠時間の中間時点を計算する回路を設ける必要がなく、補正値決定回路20および温度補償発振回路10の構成を小さくすることができる。
【0028】
また温度計測部22を間欠的に動作させて、この間欠時間において温度補償するとともに、間欠時間の中間時点においても温度補償しているので、A/Dコンバータ26から出力されたディジタル信号の全桁が記憶部30に入力される場合、すなわち本実施形態に比べて2倍のデータ量で温度補償している場合と同等の温度補償の効果がある。なお、このデータとは、アドレス値と補正値を1対1に対応させて記憶部30に保存される情報のことである。
また温度計測部22は間欠時間のときのみ動作し、間欠時間の中間時点では動作しないので、消費電流を従来の間欠的に動作する温度補償発振回路と同等にすることができる。
【0029】
次に、第2の実施形態について説明する。第2に実施形態では、第1の実施形態で説明した温度補償発振回路に計時回路を接続して容量緩急方式のリアルタイムクロックモジュールを形成した構成について説明する。このため第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した温度補償発振回路と同様の構成部分の説明を省略し、同番号を付す。
【0030】
図4は第2の実施形態に係る温度補償発振回路のブロック図である。温度補償発振回路10を構成している発振回路42の後段には、計時回路50が接続されている。この計時回路50は、分周回路52および時計・カレンダー回路54を備えている。分周回路52は、発振回路42から出力されたクロック信号を入力すると、このクロック信号を所定の分周数で分周して出力する。時計・カレンダー回路54は、分周回路52から出力されたクロック信号を入力して、このクロック信号に基づいて時計やカレンダーを表示または出力する。
【0031】
これにより温度補償発振回路10は、リアルタイムクロックモジュールを構成することができる。そして温度補償発振回路10は、温度センサ24およびA/Dコンバータ26を間欠的に動作させ、この間欠時間および間欠時間の中間時点において補正値を切り換えて圧電振動子40を温度補償しているので、記憶部30に保存されているデータの量が半分になっていても、平均すれば大きな誤差が生じることはない。
【0032】
次に、第3の実施形態について説明する。第3に実施形態では、第1の実施形態で説明した補正値決定回路と、圧電振動子に接続され補正値決定回路によって決定された補正値に基づき温度補償を行う発振回路と、計時回路を用いて論理緩急方式のリアルタイムクロックモジュールを形成した構成について説明する。このため第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した補正値決定回路(温度補償発振回路)と同様の構成部分の説明を省略または簡略し、同番号を付す。
【0033】
図5は第3の実施形態に係る温度補償発振回路のブロック図である。温度補償発振回路10は、補正値決定回路20、圧電振動子40が接続された発振回路42および計時回路60を備えている。そして補正値決定回路20を構成しているラッチ32の後段および発振回路42の後段には、計時回路60が接続されている。計時回路60は、分周段62(周波数調整素子)および時計・カレンダー回路64を備えている。分周段62は、ラッチ32から出力された補正値を入力し、この補正値に基づいて分周数(素子値)を調整している。また分周段62は、発振回路42から出力されたクロック信号を入力して、このクロック信号の周波数を分周数に基づいて分周して歩度調整している。時計・カレンダー回路64は、分周段62から出力されたクロック信号を入力して、このクロック信号に基づいて時計やカレンダーを表示または出力する。
【0034】
これにより温度補償発振回路10は、リアルタイムクロックモジュールを構成することができる。そして温度補償発振回路10は、温度センサ24およびA/Dコンバータ26を間欠的に動作させ、この間欠時間および間欠時間の中間時点において補正値を切り換えて圧電振動子40の温度補償をしているので、記憶部30に保存されているデータの量が半分になっていても、平均すれば大きな誤差が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】補正値決定回路のブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る温度補償発振回路のブロック図である。
【図3】容量アレイを説明する回路図である。
【図4】第2の実施形態に係る温度補償発振回路のブロック図である。
【図5】第3の実施形態に係る温度補償発振回路のブロック図である。
【図6】従来技術に係る温度補償型圧電発振器の構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
10………温度補償発振回路、20………補正値決定回路、22………温度計測部、24………温度センサ、26………アナログ/ディジタル(A/D)コンバータ、28………カウンタ、30………記憶部、34………制御部、40………圧電振動子、42………発振回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子の温度を温度計測部で間欠的に計測して、この計測結果を最下位ビットと上位ビットとに分けたディジタル信号で出力し、
前記上位ビットをアドレス値として記憶部に入力し、間欠的に計測した時間では前記アドレス値に1対1に対応した補正値を出力するとともに、間欠的に計測した前記時間の中間時点では前記最下位ビットに応じて設定された前記アドレス値に1対1に対応した補正値を出力し、
前記補正値に基づいて周波数調整素子の素子値を調整して前記圧電振動子を温度補償する、
ことを特徴とする温度補償方法。
【請求項2】
間欠的に計測した前記時間の前記中間時点で前記補正値の読み出しに用いられる前記最下位ビットは、直前に温度計測されて出力される前記ディジタル信号の最下位ビットが用いられ、
前記最下位ビットが零のときは、直前に温度計測されて出力される前記ディジタル信号に応じた前記アドレス値をそのまま用い、
前記最下位ビットが1のときは、直前に温度計測されて出力される前記ディジタル信号の上位アドレス値を設定して用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度補償方法。
【請求項3】
間欠的に温度を計測して、この計測結果をディジタル信号で出力する温度計測部と、
前記ディジタル信号のうち最下位ビットを除いた上位ビットを入力し、前記最下位ビットに応じて前記上位ビットを設定してアドレス値として出力するカウンタと、
予め前記アドレス値と1対1に対応づけられて保存されている補正値を、前記カウンタから出力された前記アドレス値に応じて読み出して出力する記憶部と、
を備えたことを特徴とする補正値決定回路。
【請求項4】
前記カウンタは、前記最下位ビットが零のときは、入力した前記上位ビットをそのまま出力し、前記最下位ビットが1のときは、入力した前記上位ビットの上位アドレス値を設定し出力してなることを特徴とする請求項3に記載の補正値決定回路。
【請求項5】
請求項3または4に記載の補正値決定回路と、圧電振動子に接続され前記補正値決定回路によって決定された前記補正値に基づき温度補償を行う発振回路とを有し、
前記温度計測部は、前記圧電振動子の温度を測定してなることを特徴とする温度補償発振回路。
【請求項6】
前記発振回路は、前記補正値に応じて容量値を変化させる容量アレイを備えたことを特徴とする請求項5に記載の温度補償発振回路。
【請求項7】
前記発振回路の出力側に計時回路を接続したことを特徴とする請求項6に記載の温度補償発振回路。
【請求項8】
入力した前記補正値に基づいて分周数を調整して前記発振回路から出力されるクロック信号の周波数を変化させる分周段を備えた計時回路を前記発振回路の出力側に接続したことを特徴とする請求項5に記載の温度補償発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−67676(P2007−67676A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249646(P2005−249646)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】