温度調整式圧着法
本発明の開示では、経皮経管冠動脈形成術又は他の管腔インターベンションのために、ポリマーステントをカテーテルに圧着する方法について述べる。本発明の方法は、ポリマーが周囲温度以外の標的温度である時に、ステントをカテーテルに圧着するステップを含む。ポリマーは任意で薬剤を含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮経管冠動脈形成術又は他の管腔インターベンションのために、ポリマーステントをカテーテルに圧着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮経管冠動脈形成術(PTCA)は心疾患を治療するための手技である。外科医は、バルーン部分を有するカテーテルアセンブリを上腕動脈又は大腿動脈を通して患者の心血管系に経皮的に導入する。外科医は、バルーン部分が閉塞部位を通過するまで、冠血管系を通してカテーテルアセンブリを進めていく。配置させると、外科医はバルーンを膨張させ、病変部のアテローム性プラークを放射状に圧迫して血管壁を再構築する。次に、外科医はバルーンを収縮させてカテーテルを除去する。
【0003】
PTCAの進歩は血管内ステントの使用を伴った。機械的にステントは足場として機能し、物理的に血管壁を開いた状態にし、所望すれば拡張させる。通常、ステントは小血管を通じて挿入されるように圧縮し、次に、配置されると大径に拡張する。Palmazに交付された米国特許第4,733,665号;Gianturcoに交付された米国特許第4,800,882号;及びWiktorに交付された米国特許第4,886,062号が、PTCA用ステントの例を開示している。
【0004】
この処置が起こる前に、その処置のための装置を製造しなければならない。ステントの圧着は、ステントの固定がこれに依存するという点において、この装置の製造において必要不可欠なステップである。一般的に、ステントの圧着はデリバリーカテーテル又はデリバリーバルーンにステントを固定する行為であり、医師が所望の治療部位にステントを送出するまで、ステントはカテーテル又はバルーンに固定された状態になる。現在のステント圧着技術は精巧である。少し前には、1つの方法ではロールクリンパを用いた。これは、その固有の剪断作用により多くのポリマーコーティングを損傷させた。次に登場したのはコレットクリンパであった。コレットクリンパにおいては、金属性の挟み口(jaw)が実質的にドリルチャックからなる部分の中に装着されている。ジョーは純粋に半径方向に動く。この動きは、ステント表面に対して垂直方向のみに力を印加するため、コーティングを剪断しないと思われた。しかし、ステント形状の一部では、圧着中にステントストラットがまとまってハサミを構成する(scissor together)ことが必要である。これらの形状において、クリンパが垂直方向の力のみを加えても、ステントストラットのハサミ作用が剪断を付与する。最後に、アイリス(iris)又はスライドウェッジクリンパは多少の剪断を伴って大部分は垂直力を付与する。
【0005】
ロールクリンパを用いるには、まず、ステントをカテーテルのバルーン部分に緩く摺動させる。このアッセンブリをロールクリンパのプレート間に配置する。自動化ロールクリンパでは、プレートが一体となって特定の量の力を印加する。次に、プレートはカテーテルに対して垂直方向に設定された距離を前後に動く。カテーテルはこの運動下で前後に回転し、ステント径が縮小する。この処理は2つ以上のステップに分けられ、各々がそれ自体のレベルの力、移動距離、及びサイクル数を有する。薬剤溶出コーティングを有するステントに関し、この処理ではカテーテル又はカテーテル壁に垂直な方向に相当な剪断を付与する。更に、ステントを圧着すると、ステント表面と圧着プレートの間に付加的相対運動がある。この結果、圧着処理は薬剤溶出ステントコーティングを損傷する傾向にある。
【0006】
コレットクリンパも同様に概念的に単純である。標準的ドリルチャックコレットは幾つかのパイの一切れ形ジョーを具備する。これらのジョーは外輪が回転すると半径方向に動く。このクリンパを用いるには、ステントをカテーテルのバルーン部分に緩く配置し、ジョーの間の中心空間に挿入する。外輪を回転させると、ジョーが内側に動く。このデバイスの課題は圧着エンドポイントを決定し、或いは設計することである。1つの案は、ジョーが完全に閉まるときに接触し、既知の径の中心孔が残存するように、ジョーを設計することである。この手法を用いて、コレットをコレット停止部に向けることにより、ステントは既知の外径に圧着される。これは理想的だと思われるが、問題が生じ得る。ステントストラットはその厚さに対して寛容性を有する。加えて、非適合バルーンの折畳み処理は必ずしも再現可能ではない。この結果、コレットクリンパは同じ最終径を得るために各ステントに異なる量の力を加える。この力と最終的な圧着径を慎重に選択しなければ、ステント及びバルーンの変動によりステントコーティング又はバルーンの損傷が生じ得る。
【0007】
更に、コレットジョーは半径方向に動くが、圧着する際に互いに接近して動く。この動作はストラットのハサミ運動と結び付いてコーティングに剪断を付与し、これも損傷になり得る。最後に、コレットクリンパの実際の接触面はジョー先端部である。これらの面は相当に小さく、圧着の最終ポイントで円筒面を形成するだけである。そのポイントの前では、ステント表面に印加されている荷重は不連続である。
【0008】
スライドウェッジ又はアイリスクリンパにおいて、隣接するパイの一切れ形部分は内側に動き、カメラの絞りにおけるリーフに酷似してねじれる。このクリンパは2種の異なるエンドポイントを有するように設計することができる。これは最終径で停止可能であり、或いは固定の力を印加して最終径を変動させることができる。コレットクリンパに関する考察から、ストラット及びバルーンの寸法の変動は圧着力を変化させないため、固定レベルの力を印加することには利点がある。スライドウェッジは主に垂直力を付与し、これはステントコーティングに対して最も損傷が少ない。ウェッジは互いの上を摺動するため、幾分かの接線力を付与する。しかし、剪断損傷はコレットクリンパと同じであるか、或いはそれ以下であることが多い。最後に、スライドウェッジクリンパは、圧着するときでもほぼ円筒形の内面をステントに提示する。これは圧着荷重がステントの外面全体にわたって配分されるということである。
【0009】
現在のステント圧着法はすべて全金属製ステント用に開発された。ステンレススチールのようなステント用金属は耐久性があり、誤用を受け入れることができる。圧着が強烈であった場合、通常、ステントではなく下層のバルーンを損傷させた。しかし、ポリマーコーティングは別の課題を提示する。
【0010】
更に、ポリマーステントの製造の一部として、脆性ポリマー材料はレーザーカットされる。ポリマーの脆性及びレーザーカットに誘発される応力により、ポリマーステントに応力亀裂が生じることが多い。
【0011】
薬剤溶出ステント領域において、一般的に、薬剤はポリマーと組み合わせてステントに配置され、或いはポリマーステント用のポリマー中に混合される。通常、この配置によりステントのすべての表面がコーティングされ、或いは薬剤がポリマーステント全体に配分される。次に、ステントがカテーテルに圧着される。概して、ポリマーコーティングは下層のステント材料より軟質、脆弱であって耐久性が劣る。スライドウェッジクリンパとの圧着時及び特定のステント用の圧着手順後、コーティングの損傷が認められることが多い。図1及び2は、圧着、把持、及び湿潤膨張試験後のポリ(エチレン―co―ビニルアルコール)(EVAL)上のElasteon 80A(ポリウレタン)コーティングを示す。
【0012】
把持はステントの保持を更に高めるために圧着後に行われる処理である。外側スリーブが圧着されたステントを拘束する。同時に、圧力と熱がステント−バルーン部分に印加される。この作用下において、バルーン材料は僅かに変形し、ストラット間で移動する。湿潤膨張試験において、最後のカテーテル上のステントアッセンブリが、37℃で30秒、脱イオン水に浸積される。次に、デバイス使用説明書に従ってバルーンが少なくとも公称圧力まで膨張される(8気圧)。この圧力を30秒保持した後、バルーンは収縮され、ステントが外れる。乾燥後、光学顕微鏡法又は走査型電子顕徽鏡法により、ステントをコーティングの損傷について検査することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ステント用コーティングにおけるポリマーの主たる目的は、薬剤を含有し、その放出を所望の速度にて制御することである。他の明らかなポリマーの仕様条件は、高レベルの血管生体適合性と、亀裂や剥離を生じることなく屈曲・延伸してステントの拡張に対応する性能である。これらの目的をすべて満たしながら、従来の圧着法に耐え得る、高レベルの靭性及び強度も有することは困難な課題となり得る。
【0014】
ステントのポリマーコーティングに対する損傷を最小にする圧着法が必要である。更に、ポリマーステントのポリマー基材における内部の応力又は歪みを最小にする圧着法も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は幾つかの実施形態を含み、その一部は医療デバイス又は埋め込み型医療デバイスを製造する体外方法に関する。これらのデバイスはコーティングを有する部分を含み得る。一部の実施形態において、コーティングはポリマー若しくはポリマーの組合せ又は薬剤を含む。コーティングを含む部材は、デバイスの他の部分又は別のデバイスに圧着される。一部の実施形態において、圧着は非周囲温度にて行われる。非周囲温度での圧着は、コーティング、コーティングを含む部材、医療デバイス、圧着デバイス、又はこれらの任意の組合せの温度を変化させるステップを含む場合もある。同様に、これらの方法を用いて製造する医療デバイスと、これらの方法を実施するためのデバイスも、本発明の一部である。一部の実施形態において、医療デバイスはステントであるか、或いはステントを含む。
【0016】
本発明の様々な実施形態において、特定の加熱・冷却プロファイルが用いられる。例えば、圧着方法の実施形態は、コーティングの温度を標的温度に調整し、続いて圧着工程を行い;圧着工程中にコーティングの温度を標的温度に調整し;圧着工程中にコーティングの温度を標的温度に調整し、コーティングの温度を標的温度のプラス又はマイナス5℃以内に維持し;コーティングの温度を標的温度に調整し、続いて圧着を行って、圧着工程中にコーティングの温度が標的温度のプラス又はマイナス10℃以内に維持するようにし;圧着工程中にコーティングの温度を周囲温度以外の温度に調整して標的温度に向け、コーティングの温度を標的温度に向かって調整し続けるステップを含む。又は、まず、コーティングの温度を標的温度に調整し、次にクリンパの挟み口を締めることができる。その後、温度を第二の温度に調整することができ、続いてクリンパの挟み口を開ける。
【0017】
前記標的温度がTg及びTg前後の間隔に基づく値をとる実施形態について説明するが、一部の実施形態の目的は、圧着中に変形及び剥離に基づく破壊を同時に最小限にすることである。一部の実施形態において、標的温度は最終的にはポリマーコーティングの主要破壊モード、コーティングのTg、周囲温度におけるポリマーコーティングのショアD硬度、及び数ある要因の中でも特に標的温度におけるポリマーコーティングのショア硬度に依存する。
【0018】
一部の実施形態において、本発明の方法は、コーティングされた部材がコーティングを含み得る、少なくとも1つのコーティングされた部材を含む医療デバイスを製造することに関連する。一部の実施形態において、コーティング又は部材はポリマー又はポリマーの組合せ及び薬剤を含む。典型的な方法は、素材の力学的挙動に、場合により圧着中の挙動に基づく標的温度を選択するステップを含む。この方法は、圧着ジョーの締めを任意の組合せのコーティング又は部材の温度調整と並列して行うステップを更に含む。例えば、次の加熱又は冷却方法が実用的である:
・コーティング又は部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着工程を行う;
・圧着工程中にコーティング又は部材の温度を標的温度に調整する;
・圧着工程中にコーティング又は部材の温度を標的温度に調整し、コーティング又は部材の温度を標的温度のプラス又はマイナス5℃以内に維持する;
・コーティング又は部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着を行って、圧着工程中にコーティング又は部材の温度が標的温度のプラス又はマイナス10℃以内に維持するようにする;
・圧着工程中にコーティング又は部材の温度を周囲温度以外の温度に調整して標的温度に向け、コーティング又は部材の温度を標的温度に向かって調整し続ける;
・これらの方法のいずれも、圧着後しばらくの間、圧着圧力を印加している間又は除圧後に、継続した加熱を任意で併用することが可能である。
【0019】
これらの実施形態又は他の実施形態において、加熱法は、クリンパを締め、部材の温度を第二の温度に調整し、クリンパを開けて第二の温度が標的温度以上又はそれ以下とするステップを含み得る。一部の医療デバイスはカテーテルを更に含む。これらのデバイスにおいて、本発明の方法の圧着工程は、部材をカテーテルに装着するのに用いることができる。
【0020】
本発明の方法は、周囲温度以上のTgを有することを特徴とするポリマー材料を含む、種々のポリマー材料に用いることができる。一部の実施形態において、本発明の方法は、ABS樹脂;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;アクリロニトリルスチレン共重合体;アルキド樹脂;生体分子;セルロースエーテル;セルロース;コポリ(エーテル−エステル);ポリカルボン酸とポリ−ヒドロキシカルボン酸の共重合体;ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体;シアノアクリレート;エポキシ樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;エチレン−ビニルアセテート共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体;ポリ(アミノ酸);ポリ(無水物);ポリ(ブチルメタクリレート);ポリ(エステルアミド);ポリ(エステル−ウレタン);ポリ(エーテル−ウレタン);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(オルソエステル);ポリ(シリコーン−ウレタン);ポリ(チロシン−アリレート);ポリ(チロシン由来のカーボネート);ポリアクリレート;ポリアクリル酸(polyacrylic acid);ポリアクリル酸(polyacrylic acids);ポリアクリロニトリル;ポリアクリロニトリル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアミド;ポリアミノ酸;ポリ無水物;ポリカーボネート;ポリカルボン酸;ポリシアノアクリレート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリ−ヒドロキシカルボン酸;ポリイミド;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンの共重合体;ポリケトン;ポリメタクリレート;ポリオレフィン;ポリオルソエステル;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン(polyphosphoesterurethanes);ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン(polyphosphoesters-urethane);ポリウレタン;ポリビニル芳香族化合物;ポリビニルエステル;ポリビニルエーテル;ポリビニルケトン;ポリビニリデンハリド;シリコーン;デンプン;ビニル共重合体ビニル−オレフィン共重合体;並びにビニルハリドポリマー及びコポリマーを含むポリマー材料に作用する。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0021】
一部の実施形態に有用なポリマーの具体例は次のポリマーを含む:デンプン、アルギン酸ナトリウム、レーヨン−トリアセテート、レーヨン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリイソシアネート、ポリイソブチレン、ポリエチリングリコール、ポリジオクサノン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、KYNAR(Atofina社から市販されているブランドポリ(ビニリデンフルオリド))、ポリアクリロニトリル、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(グリコリド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド−co−L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ナイロン66、ヒアルロン酸、フィブリノーゲン、フィブリン、エラスチン−コラーゲン、コラーゲン、セルロースプロピオネート、セルロースナイトレート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロース、セロファン、カルボキシメチルセルロース、又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、キチン、キトサン、EVAL、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(イミノ炭酸エステル)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(N−アセチルグルコサミン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、レーヨン、SOLEF21508(配合はSolvay Solexis社より得られる)、及びPEO/PLA。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0022】
本発明の一部の方法は薬剤含有部片に対して機能する。これらの実施形態の一部において、薬剤は次の種類から選択される:抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、抗酸化剤、又はこれらの組合せ。
【0023】
標的温度は多くの方法で選択可能である。例えば、標的温度は以下のようになり得る:
・ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
・ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
・周囲温度未満;
・室温未満;
・周囲温度超;
・室温超;
・−40℃以下;
・周囲温度とTg域の高Tgの間;
・周囲温度とTg域の低Tgの間;
・−40℃とTg域の高Tgの間;
・−40℃とTg域の低Tgの間;
・−40℃と周囲温度の間;
・80℃以上;
・80℃とTg域の高Tgの間;
・80℃とTg域の低Tgの間;又は
・80℃と周囲温度の間。
【0024】
本発明の実施形態の一部では、周囲温度又は周囲温度の前後枠を避けるように標的温度を選択する。他の実施形態では、コーティング中に存在する治療薬が実質的な分解を避けるように標的温度を選択する。
【0025】
一部の実施形態において、標的温度は上記の温度範囲のどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外する群から選択する。
【0026】
本発明の実施形態の一部では、圧着中に変形及び剥離に基づく破壊を同時に最小限にするように標的温度を選択する。本発明の実施形態の一部では、ショア硬度の向上をもたらすように標的温度を選択する。
【0027】
アニーリング温度は、標的温度について上述した温度のいずれからも選択可能である。更に、一部の実施形態において、アニーリング温度は上記の温度範囲のどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外する群から選択する。
【0028】
本発明の様々な実施形態ではポリマー材料の温度調整を為すための種々の方法を用いる。例えば、温度を変化させる次の方法はすべて本発明の範囲内にある:
・ポリマー材料又は部材を熱源と接触させる;
・ポリマー材料又は部材に加熱ガスを向ける;
・コーティング又はコーティングされた部材に熱放射又は赤外線放射するための加熱面近傍にポリマー材料又は部材を配置する;
・ポリマー材料又はポリマー材料又は部材を加熱面近傍に配置し、表面からコーティング又はコーティングされた部材への伝熱を可能にする;
・クリンパの挟み口を加熱し、ポリマー材料又は部材をクリンパの挟み口と熱接触させる;
・赤外線放射の通過を許容するクリンパの挟み口に対し、カテーテル上のステントに赤外線放射を浴びせる;
・カテーテル上のステントをインキュベータ又はオーブンの中で加熱し、圧着前にカテーテル上のステントを所望の温度に予備平衡させる。
【0029】
本発明の方法を実施する際に有用な本発明の一部のデバイスに対し、熱源は圧着デバイスと一体化される。一部の実施形態において、部材は自動拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトから選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1及び2はステントの外面上のコーティングが、一方では挟まれ、或いは皺で覆われて、他方では塗布が剥れていることを示す。同様に、図3及び4はEVAL上のSolef21508のトップコートを示す。Solef21508は、市販されている最も軟質のポリ(ヘキサフルオロプロペン−co−ビニリデンフルオリド)熱可塑性ポリマーである。
【0031】
図3及び4はストラットアームの高スポットにおける窪みを示す。これらの2つのステントの高スポットの大部分は同様の損傷を示す。これらの理由により、低ジュロメータ(例えば80A)ポリマーから製造されるポリマーコーティングは、品質保証試験に不合格になることが多い。硬質プラスチックであるEVALは標準的圧着に耐えるように思われるが、85ショアDの硬度を有する。比較のため、牛乳容器に使用される低密度ポリエチレンは47〜55ショアDである。
【0032】
本発明の実施形態の一部は、本質的にポリマーである基材材料を含有するステントと、これらのステントを製造する方法に関する。一部の方法はデリバリーデバイス又はバルーンへのステントの圧着に関する。
【0033】
一部の実施形態では圧着はTgより高い温度で行われ、一部の実施形態では圧着は周囲温度より高いが必ずしもTgより高くはない温度で行われる。ポリマーステントをデリバリーデバイスに圧着するためのデバイスも、本発明の実施形態として勘案する。このデバイスは、当該技術分野で公知であるように、或いは本明細書においてわかるように、如何なる圧着デバイスにも類似し得る。加えて、該デバイスは圧着中にステントを加熱できるように特に改変されている。一部の実施形態において、該デバイスは圧力と熱を同時に加えることができる。これらの実施形態又は他の実施形態において、圧着後、圧着デバイスは上昇した温度にてステントを保持でき、これは標的温度より高く、標的温度に等しく、又は標的温度より低くなるように選択することができ、或いは標的温度より高く、標的温度に等しく、又は標的温度より低い温度を特定的に除外するように選択することができる。一部の実施形態において、該デバイスは、ステントが他の手段によって加熱されながらポリマーステントを圧着する。
【0034】
一部の実施形態において、圧着法は、
ステントを圧着デバイスに配置するステップ;
ステントを標的温度まで十分に長い時間加熱し、ステントが標的温度に実質的に達するようにするステップ;
ステントに圧力を印加し(半径方向の圧縮圧)、これをデリバリーデバイスに装着するステップ;
ステントをデリバリーデバイスに固定するのに適切であるように、ステントを半径方向の圧縮圧に保持し、圧着状態をポリマーステント又はコーティングに設定するのに十分な時間、ステントをアニーリング温度に保持するステップ;
ステント−デリバリーデバイスの組合せを取り外すステップ
を含む。
【0035】
ステントは最大で1時間、30秒から1時間、又は30秒、加熱可能である。一部の実施形態において、ステントを十分な時間加熱して材料がステントの脆性を適切に低下させるのに十分な延性を有するようになる。適切とは、問題のパラメータに対する値を有するということであり、当業者であれば本発明が特定の用途で機能することを予測するであろう。例えば、「ステントの脆性を適切に低下させる」とは、当業者が考えるように、ステントの脆性が、追加の加熱ステップ、追加費用、及び加熱ステップの複雑性を正当化するほどに低下するということである。
【0036】
一部の実施形態において、半径方向の圧縮圧は、ステント又はコーティングへの損傷が生じないように選択される。一部の実施形態において、半径方向の圧縮圧は、生じる如何なる損傷又は変形も、当業者にステントの使用を拒絶させるのには不十分であるように選択される。
【0037】
前述の実施形態又は他の実施形態において、可変温度とは周囲温度を超える温度のことである。これらの実施形態又は他の実施形態において、これは材料のTgに等しい、Tgより高い、或いはTgより低い温度のことである。一部の実施形態において、半径方向の圧縮圧を除去する前に、ステントは周囲温度以下に冷却される。
【0038】
前述の実施形態又は他の実施形態において、圧着状態を設定するのに十分な時間は、ポリマーステント又はコーティングが圧着に誘起された新規の形状を実質的に呈し、ステントが移植されるまでこの形状を実質的に保持するほどの時間である。これらの実施形態又は他の実施形態において、この時間は、1秒から2時間、2秒から1時間、3秒から30分、4秒から5分、1秒から5分、2秒から5分、又は3秒から5分である。
【0039】
この方法はポリマー鎖に増大した移動性を与え、そのためポリマー鎖は低エネルギー(応力印加の少ない)形状へと弛緩すると考えられる。この方法を用いることにより、亀裂が有意に減少したポリマーステントが生成される。
【0040】
別の製造工程において、ポリマーステントをEビーム放射により滅菌する場合がある。Eビームによる滅菌は、ポリマー(ステント)の高応力領域において高率のポリマー劣化を示すことが多い。しかし、押出並びにレーザーカットが誘発する応力及び歪みを緩和する本発明の熱圧着後、処理したステントのEビーム滅菌は亀裂を有意に減少させ、ポリマーの高応力領域においてあまり顕著でないポリマー劣化を示す。
【0041】
コーティングされたステント又はポリマーステントが周囲温度と異なり得る標的温度に保持される圧着法を開示する。周囲温度より低い温度は、剪断、締付、及び圧痕による損傷を避けるために、ポリマーの強度を高めるのに用いることができる。この方法は、周囲温度以下のガラス遷移温度(Tg)を有するポリマーに特に効果的であろう。加えて、本発明の方法は、ポリマー又はポリマー混合物のTgが周囲温度以下であるポリマー混合物に好適である。周囲温度を超える温度は、Tgが周囲温度又は室温を超え、より高いコーティングの延性が所望される場合に用いることができる。本発明の開示のために、周囲温度は、クリンパ、ステント、又はコーティングが意図的に加熱或いは冷却されていない場合のクリンパ、ステント、又はコーティングの温度である。通常、この温度は室温又は圧着装置、ステント、若しくはコーティングを取り囲む温度に近い。同様に、本発明の開示のために、標的温度は周囲温度とは数値的に異なる温度であり、クリンパ、ステント、バルーン、ポリマーコーティング、ポリマー、又はこれらの任意の組合せを意図的に加熱或いは冷却することによって生じる。本発明の開示のために、「ポリマー」、「ポリマーの組合せ」、及び「ポリマー混合物」は同義語であり、1つのポリマー、又は2つ以上のポリマーの場合には2つ以上のポリマーの混合物、配合物、共重合体、若しくは他の任意の組合せの組成物を意味する。この組合せは、2つ以上のポリマーが重合された後に生じ得て、或いはモノマーを1つ以上のポリマーに重合させている間に生じ得る。
【0042】
【表1】
【0043】
代表的な方法は、医療デバイス上のポリマーを標的温度まで、或いは標的温度に向けて加熱するステップを含む。次に、標的温度に達した後、或いはポリマーが標的温度に向けて温度を変化させている間に、ポリマーを含有する医療(medial)デバイスの部分を、医療デバイスの他の部分又は別の医療デバイスに圧着する。圧着デバイスのジョー又は表面からの局所圧力を原因とする凝集破壊及び接着破壊(又は変形及び剥離に基づく破壊)と、その直径の縮小を原因とするステントの変形を最小限にするように設計された温度領域にて圧着を行う。例えば、ステントを空気流により加熱し、アイリスクリンパによりデリバリーカテーテルに圧着することができる。更に、一部の実施形態において、ポリマーステント又はポリマーコーティングにおける内部応力が圧着後に経時的に減少するように、温度領域を選択する。
【0044】
加熱及び冷却は、ポリマー、クリンパ、又は医療デバイスの温度を「調整する」こととして一般的に考察する。温度の調整は、その温度を調整することになる対象物を熱源又はヒートシンクと熱接触させるステップを含む。本発明の開示のため、熱源(シンク)との熱接触とは、対象物に対する熱源(シンク)の配置を意味し、エネルギーが熱源から対象物に、或いは対象物からヒートシンクに流動し、或いは伝達する。熱接触は対象物の配置を包含する一般的な用語であり、放射、伝導、又は伝達は関連物品に、或いは関連物品からエネルギーを転移する。一部の実施形態において、熱接触は放射、伝導、伝達、又はこれらの任意の組合せのいずれも除外するように定義される。
【0045】
本発明の様々な実施形態が様々な加熱プロファイルを用いる。例えば、加熱プロファイルが、ある温度値を超える標的温度を選択してポリマーを軟化させることを求める場合、圧着前にポリマーを標的温度に調整し、次に圧着を行う(圧着前に幾分かの温度低下を伴うか、或いは伴わない);又は圧着前にポリマーを標的温度に調整し、圧着中に標的温度又はその近傍に維持する;又は圧着を開始し、ポリマーを標的温度に調整し、圧着を完了する。本発明の開示のため、「標的温度の近傍に維持する」とは、クリンパとの接触時点におけるポリマーの温度が、標的温度プラス又はマイナス20℃、15℃、10℃、5℃、2℃又は1℃であるということである。一部の実施形態において、「標的温度の近傍に維持する」とは、クリンパとの接触時点におけるポリマーの温度が、標的温度プラス又はマイナス10℃であるということである。
【0046】
圧着されたステント又は圧着されたポリマーステント上のポリマーは、2種類の主な破壊モードとして接着破壊及び凝集破壊を示す。接着破壊において、ポリマーは、金属製ステントへの接着不良又はポリマーステント中のポリマー分子間の接着不良に起因し、ステントから剪断分離される。これはポリマー分子間の相互作用不良に起因するポリマーの破壊である。高温、特にTg超の温度ではポリマー材料は軟質であるため、高温の圧着法が接着破壊を防止するのに役立つはずである。接着破壊は接着に基づく破壊又は剥離に基づく破壊と称されることもある。ポリマーが接着破壊を示す場合、該ポリマーはそのポリマーのTg超の圧着の候補になる。接着破壊は応力の増大によっても惹起される。ポリマーをそのTg超で加熱すると、その弾性率は低下し、ポリマー内の内部応力は低下する。ステントを圧着する際、ポリマーコーティングされていようと実質的にポリマーであろうと、ステントのある部分は延伸を受ける。延伸が過度に生じると、ポリマーに亀裂が生じる。ポリマーの最終的な延伸は温度に依存し、ポリマーをそのTg超で加熱すると最終的な延伸が増大し得て、これにより破壊を防止する。ポリマーが不十分な延伸により凝集破壊を示すと、これもまたそのポリマーのTg超の圧着の候補になる。
【0047】
凝集破壊において、ポリマーの最上層が機械的に窪み、変形し、或いは断裂する。これは、ポリマー分子間の相互作用不良に起因するポリマー層の破壊である。低温、特にTg未満の温度ではポリマー材料は硬質であるため、ポリマー表面に対する凝集損傷を防止するために低温の圧着法が適し得る。凝集破壊は凝集に基づく破壊又は変形に基づく破壊と称されることもある。ステント上のポリマーコーティングが圧縮荷重による凝集破壊を示す場合、該ポリマーはそのポリマーのTg未満の圧着の候補になる。
【0048】
一部の実施形態において、圧着後、設定、アニーリング、或いは医療デバイスの組立中にポリマーに機械的に応力を加えたことが原因による内部応力を除去するためにポリマーを加熱する。一部の実施形態において、ポリマーをアニーリング温度に加熱する。
【0049】
図5は温度を関数としてポリプロピレンの引張降伏応力を示す。この特性は硬度と同じではないが、相関する。双方ともポリマーを恒久的に変形させるのに必要な応力に関連する。一般的な熱可塑性材料では、低温により硬度が高まる。図6は熱可塑性材料の応力−歪み曲線の温度に伴う変化の仕方を示す。
【0050】
本発明の一部の実施形態では、標的温度はポリマーのTgに関連して選択する。Tgは、ポリマーの非結晶域が大気圧にて脆弱なガラス状態からプラスチック状態に変化する温度である。言い換えれば、Tgはポリマー鎖における部分運動の開始が生じる温度に対応し、図7に示すように、ポリマーの熱容量対温度グラフにおいて認識できる。非結晶又は半結晶ポリマーを加熱すると、温度が上昇するにつれてその膨張及び熱容量の係数がどちらも上昇し、分子運動の増大を示す。温度が上昇しても試料の実際の分子体積は一定である。従って、膨張係数の上昇は、この系の自由体積の増大及び分子の運動自由度の増大を示す。熱容量の増大は運動による熱放散の増大に対応する。
【0051】
所定のポリマーのTgは加熱率に依存し得て、ポリマーの熱履歴に影響され得る。更に、ポリマーの化学構造がポリマーの運動性に影響を与えることにより、Tgに大きく影響を及ぼす。一般的に、柔軟な主鎖組成物はTgを引き下げ、嵩高な側基はTgを引き上げる。同様に、柔軟な側基長の増大はTgを引き下げ、主鎖の極性の増大はTgを引き上げる。加えて、架橋の存在は所定のポリマーに認められるTgを引き上げ得て、薬剤又は治療剤の存在は可塑化効果によりポリマーのTgを変化させ得る。この可塑化効果の大きさは、薬剤とポリマーの混和性及び適合性並びにポリマー中の薬剤の荷重に依存する。
【0052】
例示として、半結晶ポリマーを加熱すると、温度がTgに達するにつれポリマーの結晶度が増大し始める。Tg以上において、分子運動の増大によりポリマー鎖がより熱力学的に安定した関係を選択するようになり、これによってポリマーの結晶度が増大する。図7において、第一の曲線60にTgが示されるが、これは熱容量の増大の半分が生じている温度である。次に、結晶度はTg後に急速に増大し、Tcにおいて最大に達する(第二の曲線62の頂点)。
【0053】
図7に認められるように、Tgは温度対熱容量曲線に幾分恣意的に配置されている。本発明の開示のため、Tg域はポリマー又はポリマーの組合せに対して複数の異なる方法で画定される。本発明の実施形態の一部は、これらのTg域の定義の任意の1つに根拠を置くことができる。
【0054】
(Tg域の定義1)
この定義では、図7においてTg1(100)として示されるように(この点を定義1の低Tgと規定する)、Tg域はポリマー(又はポリマーの組合せ)の温度対熱容量曲線上の熱容量の低下を示す初期点より高いか、或いは等しい。Tg域は図7における曲線上のTc(110)より低いか、或いは等しい(この点を定義1の高Tgと規定する)。本発明の開示において、このTg域をTg域の定義1と称する。当業者であれば図7における特有の曲線及び温度点が、ポリマー又はポリマーの組合せの性質に依存するということを認識するであろう。従って、図7における点の表示は、使用する特定のポリマー又はポリマーの組合せのための同様のグラフにおいて、図7の点に対応する点を伝達するように意図している。
【0055】
標的温度がTg1以上であってTg2以下であれば、Tg域の定義1の範囲内である。標的温度がTg2以下であれば、Tg域の定義1より低い。標的温度がTg1以上であれば、Tg域の定義1より高い。標的温度が低温以上であって高温以下であれば、高温と低温の間である。これらの概念は本発明の開示全体にわたってすべての温度及び範囲に対して適用される。
【0056】
(Tg域の定義2)
この定義では、Tg域は図7における点Tg1(100)より高いか、或いは等しく(定義2の低Tg)、図7における点140より低いか、或いは等しい(定義2の高Tg)。本発明の開示において、このTg域をTg域の定義2と称する。点140は材料の結晶化相転移の開始に対応する。
【0057】
(Tg域の定義3、4、5、及び6)
定義3では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTg(180)プラス40℃(定義3の高Tg)及びマイナス40℃(定義3の低Tg)である。
【0058】
定義4では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTgプラス20℃(定義4の高Tg)及び−20℃(定義4の低Tg)である。
【0059】
定義5では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTgプラ10℃(定義5の高Tg)及びマイナス10℃(定義5の低Tg)である。
【0060】
定義6では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTgプラ5℃(定義6の高Tg)及びマイナス5℃(定義6の低Tg)である。
【0061】
(Tg域の定義7)
この定義では、Tg域は図7における点Tg1(100)より高いか、或いは等しく(定義7の低Tg)、図7における点160より低いか、或いは等しい(定義7の高Tg)。本発明の開示において、このTg域をTg域の定義7と称する。点160は材料のガラス相遷移の消失又は終了に対応する。
【0062】
これらの実施形態は、Tg域が周囲温度、周囲温度+又は−1℃、或いは周囲温度+又は−5℃を特定的に除外する実施形態も含む。また、一部の実施形態において、標的温度は、含有する治療剤のどれもが実質的に分解する温度以下で最大になる。本発明の開示のため、「実質的に分解する」とは、当業者であれば分解により治療物質の有効性が過度に低減すると判断する程度の分解のことである。言い換えれば、当業者であれば加熱或いは冷却、圧着された組成物をインビボで使用することを拒否するほどに、分解により有効性が低減するであろう。
【0063】
ポリマーのショア硬度又はコーティング若しくはポリマーの破壊モードに基づき、幾つかの実施形態について述べることができる。余りに軟質であって、凝集又は変形破壊を示し、周囲温度又は室温未満のTgを有し、或いはショア60Aから80D(又はショア80Aから60D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより硬質化することによりポリマーを改善することができる。これは高Tg未満の標的温度を選択することにより実施可能である(本発明の開示で高Tg又は低Tgについて述べても、どのTg域の定義を用いているのか特定しない場合、本発明の開示では各範囲の定義の高Tg及び低Tgを対象にすることを意図する)。又は、低Tg未満の標的温度を選択することにより、圧着中にポリマーを硬質化することができる。又は、周囲温度未満の標的温度を選択することにより、ポリマーを硬質化することができる。又は、−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃未満の標的温度を選択することにより、ポリマーを硬質化することができる。一部の実施形態において、標的温度は周囲温度と高Tgの間;周囲温度と低Tgの間;又は−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃と高Tgの間;−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃と低Tgの間;又は−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃と周囲温度の間である。
【0064】
上述のTg域の定義に基づく標的温度の選択に加え、様々な実施形態を別様に述べることが可能である。余りに軟質であって、凝集又は変形破壊を示し、周囲温度又は室温未満のTgを有し、或いはショア60Aから80D(又はショア80Aから60D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより硬質化することによりポリマーを改善することができる。従って、ショア硬度の50%の上昇、或いはショア硬度の40%、30%、20%、又は10%の上昇を生じさせる標的温度を選択することにより、凝集又は変形破壊の改善を達成することができる。
【0065】
ショア60Aから60Dのショア硬度を有するポリマーを用いる医療デバイスは、圧着中に凝集破壊に遭遇することが多い。本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、ショアD硬度が30から80或いは35から60の低硬度を有するポリマーの使用を可能にする。又は、本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、45、40、35、又は30以下のショアD硬度を有するポリマーの使用を可能にする。
【0066】
余りに硬質であって、接着破壊を示し、不十分な延伸を有し、或いは周囲温度又は室温超のTgを有し、或いは60Dから95D(又は65Dから90D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより軟質化することによって、或いは圧着後に応力を緩和するためにポリマーにおいて温度上昇を維持することによって、ポリマーを改善することができる。これは高Tg超の標的温度を選択することにより実施可能である。又は、標的温度は低Tg超である。又は、標的温度は周囲温度超である。又は、標的温度は70℃、80℃、90℃、若しくは100℃である。一部の実施形態において、標的温度は周囲温度と高Tgの間;周囲温度と低Tgの間;70℃、80℃、90℃、若しくは100℃と高Tgの間;70℃、80℃、90℃、若しくは100℃と低Tgの間;又は70℃、80℃、90℃、若しくは100℃と周囲温度の間である。
【0067】
上述のTg域の定義に基づく標的温度の選択に加え、様々な実施形態を別様に述べることが可能である。余りに硬質であって、接着破壊を示し、周囲温度又は室温超のTgを有し、或いは60Dから95D(又は65Dから90D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより軟質化することによりポリマーを改善することができる。従って、ショア硬度の50%の低下、或いはショア硬度の40%、30%、20%、又は10%の低下を生じさせる標的温度を選択することにより、接着破壊の改善を達成することができる。
【0068】
ショア60Dからショア90Dのショア硬度を有するポリマーを用いる医療デバイスは、圧着中に接着又は延伸破壊に遭遇することが多い。本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、60Dから90D或いは65Dから85Dの高いショア硬度を有するポリマーの使用を可能にする。又は、本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、60D、70D、80D、又は90D以上のショアD硬度を有するポリマーの使用を可能にする。
【0069】
EVALを周囲温度で圧着すると、これはガラス状態にある(図6、曲線A)。そのガラス遷移温度(Tg)(55℃)より高い温度で圧着することにより、最終的な延伸性は高くなる(図6、曲線B)。これによりステント接合部分の外側の引張領域における亀裂が低減するはずである。PBMAでは、20℃のTg、0℃以下の低温での圧着により、剪断及び圧縮による圧着損傷が低減するはずである。同様に、KYNAR(ポリ(ビニリデンフルオリド)からなるポリマーであり、ペンシルベニア州フィラデルフィアのAtofina社から市販されている)では、−30℃のTg、−40℃の温度での圧着により、同様に窪み及び剪断損傷を低減するはずである。
【0070】
一部の実施形態において、ポリマーステントは標的温度に加熱した後、カテーテルのようなデリバリーデバイスに圧着する。標的温度は、定義1〜7、定義1〜7のいずれか、定義1〜7の任意の組合せ、又は定義1〜7のいずれでも若しくはいずれの組合せでも同様に除外する定義1〜7の任意の組合せのTg域より高い。
【0071】
一部の実施形態において、ポリマーステントは、標的温度に加熱させながら、カテーテルのようなデリバリーデバイスに圧着する。標的温度は、定義1〜7、定義1〜7のいずれか、定義1〜7の任意の組合せ、又は定義1〜7のいずれでも若しくはいずれの組合せでも同様に除外する定義1〜7の任意の組合せのTg域より高い。
【0072】
医療デバイスを圧着するデバイスは当該技術分野では公知である。一部の実施形態において、該デバイスはポリマーコーティングされたステントをPTCA用のカテーテルのバルーン部分に圧着するように設計する。スライディングウェッジ設計のようなクリンパでは、乾燥空気流又は不活性ガスがボアを通過することにより、温度を制御し得る。この空気は、まずチューブヒーター又は冷却熱交換器に通すことにより加熱或いは冷却することができる。ステントをカテーテル上に緩やかに配置し、次にアッセンブリをクリンパのボア内に挿入する。空気の通過により、ステントデリバリーシステム(SDS)は圧着温度に対して急速に平衡化するであろう。継続的に加熱或いは冷却された空気流により、圧着ジョーは所望の温度になるであろう。
【0073】
別の方法はクリンパ自体のジョーを加熱或いは冷却するステップを含む。電気加熱部材をクリンパの挟み口の中に設置することができる。熱電対とフィードバック制御装置を適切に配置することにより高温を維持できる。冷却剤が送出される通路を供給することにより、クリンパの挟み口の冷却を実行できる。これは圧着ジョーを加熱するのに用いることもできる。ジョーが導電材から構成されるのであれば、振動電界の利用により渦電流を介してこれらを加熱することができる。ジョーがIR透明材料で製造されるのであれば、カテーテル上のステントを赤外線により温度調節可能である。
【0074】
クリンパが周囲温度にあってもジョー自体が熱伝導性が低い材料からできている場合、カテーテルに緩やかに付着されたステントを圧着前に非周囲温度に予備平衡させる方法を検討できる。ステントは小さく、表面積対体積が高率であるため、所望の温度を維持するために温度制御された環境からクリンパへ迅速に移動させる必要があるであろう。インキュベータ又はオーブンでの加熱或いは冷却器での冷却により、圧着前にステントを所望の温度に予備平衡させることができる。
【0075】
本発明の方法は医療デバイスを提供する。この医療デバイスは、一部の実施形態では、ポリマーでコーティングされ、或いはポリマーから構成される部材又は部分を含有する。一部の実施形態において、本発明の圧着工程において使用される圧着デバイスは、該部材又は部分を医療デバイスの他の部分又は別の医療デバイスに圧着するために使用する前に、加熱或いは冷却することができる。この加熱又は冷却により材料の温度が変化するため、周囲温度以外の標的温度にて圧着が効果的に行われる。ポリマーの温度を修正する他の方法には、特に医療デバイスの基材の加熱又は冷却或いは強制空気による直接的な材料の加熱又は冷却が含まれる。
【0076】
本発明の一部の実施形態では、動脈、静脈、神経血管、尿道、胆管、前立腺、血管内、尿管、気管支、食道、卵管(fallopial)、気管、喉頭、消化管、リンパ管、耳管(eustachiaic)、膵臓、大脳、他の泌尿生殖器、他の消化管、又は他の呼吸器の内腔若しくは通路における配置に適合するように医療デバイスを選択する。
【0077】
本発明の方法は、周囲温度超のTgを有することを特徴とするポリマー材料を含む、種々のポリマー材料に用いることができる。一部の実施形態において、該方法は、ABS樹脂;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;アクリロニトリルスチレン共重合体;アルキド樹脂;生体分子;セルロースエーテル;セルロース;コポリ(エーテル−エステル);ポリカルボン酸とポリ−ヒドロキシカルボン酸の共重合体;ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体;シアノアクリレート;エポキシ樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;エチレン−ビニルアセテート共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体;ポリ(アミノ酸);ポリ(無水物);ポリ(ブチルメタクリレート);ポリ(エステルアミド);ポリ(エステル−ウレタン);ポリ(エーテル−ウレタン);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(オルソエステル);ポリ(シリコーン−ウレタン);ポリ(チロシン−アリレート);ポリ(チロシン由来のカーボネート);ポリアクリレート;ポリアクリル酸(polyacrylic acid);ポリアクリル酸(polyacrylic acids);ポリアクリロニトリル;ポリアクリロニトリル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアミド;ポリアミノ酸;ポリ無水物;ポリカーボネート;ポリカルボン酸;ポリシアノアクリレート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリ−ヒドロキシカルボン酸;ポリイミド;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンの共重合体;ポリケトン;ポリメタクリレート;ポリオレフィン;ポリオルソエステル;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン(polyphosphoesterurethanes);ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン(polyphosphoesters-urethane);ポリウレタン;ポリビニル芳香族化合物;ポリビニルエステル;ポリビニルエーテル;ポリビニルケトン;ポリビニリデンハリド;シリコーン;デンプン;ビニル共重合体ビニル−オレフィン共重合体;並びにビニルハリドポリマー及びコポリマーを含むポリマー材料に作用する。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0078】
一部の実施形態に有用なポリマーの具体例は次のポリマーを含む:デンプン、アルギン酸ナトリウム、レーヨン−トリアセテート、レーヨン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリイソシアネート、ポリイソブチレン、ポリエチリングリコール、ポリジオクサノン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、KYNAR(Atofina社から市販されているブランドポリ(ビニリデンフルオリド))、ポリアクリロニトリル、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(グリコリド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド−co−L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ナイロン66、ヒアルロン酸、フィブリノーゲン、フィブリン、エラスチン−コラーゲン、コラーゲン、セルロースプロピオネート、セルロースナイトレート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロース、セロファン、カルボキシメチルセルロース、又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、キチン、キトサン、EVAL、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(イミノ炭酸エステル)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(N−アセチルグルコサミン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、レーヨン、SOLEF21508(配合はSolvay Solexis社より得られる)、及びPEO/PLA。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0079】
本発明に用いるポリマーは、ポリマー分子の均質混合物のようなポリマーの混合物を含み得て、或いは層構造に配置されたポリマーの組合せを用いることができる。当業者であれば、最適標的温度がポリマー又はポリマーの組合せの全体的な熱挙動に基づいて選択できるということを認識するであろう。
【0080】
一部の実施形態では、小型の疎水性薬物のような従来の薬剤を本発明のポリマー(上記のいずれの実施形態においても考察したような)に加え、これらを生体安定性の薬剤システムにする。一部の実施形態では従来の薬剤とグラフト結合し、或いは従来の薬剤と本発明のポリマーを混合する。本発明のポリマーは、生体有益性のポリマー層としての、下塗り又はトップコード層として機能することができる。
【0081】
選択された薬剤は血管平滑筋細胞活性を阻害することができる。より具体的には、薬剤活性は、再狭窄を予防し、抑制し、低減し、或いは治療するために平滑筋細胞の異常な或いは不適切な移動又は増殖を阻害することを目的とし得る。薬剤は、本発明の実施において治療効果又は予防効果を与えることが可能な任意の物質を含むことも可能である。このような活性剤の例には、抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、及び抗酸化剤のような物質とこれらの組合せ及び任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、誘導体、塩とこれらの組合せが含まれる。
【0082】
抗増殖物質の一例はアクチノマイシンD又はその誘導体と類似体である(Sigma−Aldrich社製 1001 West Saint Paul Avenue, Milwaukee, WI 53233;又はMerk社から得られるCOSMEGEN)。アクチノマイシンDの同義語には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンII、アクチノマイシンX1、及びアクチノマイシンC1が含まれる。抗腫瘍薬の例にはパクリタキセル及びドセタキセルが含まれる。抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、及び抗トロビン剤の例には、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロビン剤)、ジピリダモール、糖タンパクIIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤(Biogen社から市販)、並びに7E−3B(登録商標)(Centocor社から市販されている抗血小板剤)が含まれる。細胞分裂阻害剤の例には、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、及びミュータマイシン(mutamycin)が含まれる。細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤の例には、アンギオペプチン(Ibsen社から市販されているソマトスタチン類似体)、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、例えばCAPTOPRIL(Squibb社から市販)、CILAZAPRIL(Hoffman−LaRoche社から市販)、又はLISINOPRIL(ニュージャージー州ホワイトハウスステーション、Merk & Co.から市販)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール降下剤、Merck & Co.から市販)、モノクローナル抗体(例えば、PDGF受容体)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤(Glazo社から市販)、セラミン(PDGFアンタゴニスト)、セロトニン遮断薬、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、及び一酸化窒素が含まれる。他の有用な薬剤には、アルファインターフェロン、遺伝子処理した上皮細胞、デキサメタゾン、エストラジオール、クロベタゾールプロピオネート、シスプラシン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、及びカルボプラチンが含まれ得る。組成物の薬剤への暴露によって薬剤の組成又は特性を不利になるように変化させてはならない。従って、本発明の実施形態を含有する薬剤は、組成物に適合性のある薬剤を選択する。ラパマイシンは好適な薬剤である。加えて、メチルラパマイシン(ABT−578)、エベロリムス、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、又はその機能的類似体若しくは構造誘導体も好適である。40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの類似体又は誘導体の例には、特に40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン及び40−O−2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチル−ラパマイシンが含まれる。当業者にとっては、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンのような薬剤の放出速度を有利に調節するための種々の方法及びコーティングは既知であろう。
【0083】
一部の実施形態では、抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、若しくは抗酸化剤のような物質又は任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、誘導体、塩やこれらの組合せの少なくとも1つも、或いは如何なる組合せも含有しないように薬剤を選択する。
【0084】
本発明の一部の実施形態では、アクチノマイシンD、アクチノマイシンDの誘導体と類似体、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンII、アクチノマイシンX1、アクチノマイシンC1、パクリタキセル、ドセタキセル、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロビン剤)、ジピリダモール、糖タンパクIIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤及び7E−3B、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、ミュータマイシン(mutamycin)、アンギオペプチン、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、CAPTOPRIL、CILAZAPRIL、又はLISINOPRIL、カルシウムチャネル遮断薬、ニフェジピン、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン、モノクローナル抗体、PDGF受容体、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、セラミン、PDGFアンタゴニスト、セロトニン遮断薬、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素、アルファインターフェロン、遺伝子処理した上皮細胞、デキサメタゾン、エストラジオール、クロベタゾールプロピオネート、シスプラシン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、カルボプラチン、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン又は40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの機能的類似体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの構造誘導体、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、並びに40−O−2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチル−ラパマイシン、又は任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、誘導体、塩やこれらの組合せの少なくとも1つも、或いは如何なる組合せも含有しないように薬剤を選択する。
【0085】
本発明の一部の実施形態は薬剤又は薬剤の組合せを含み、その一部は薬剤又は薬剤の組合せを必要とする。上記で具体的に一覧にした薬剤の中で、本発明の一部の実施形態では、これらの薬剤のどの1つも或いはどの組合せも除外する。
【0086】
一部の実施形態は他のポリマーと多層配置されて組み合わされたポリマーを含む。例えば、1つのポリマーは、デバイス、医療デバイス、埋め込み型医療デバイス、又はステントにコーティングされたポリマーのように、別のポリマーの上又は下に重なることが可能である。ポリマーはこの点で巧みに用いることができ、或いはまず別のポリマーと混合することが可能である。
【0087】
本発明において有用な埋め込み型デバイスの例には、自動拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトが含まれる。該デバイスの下層構造は実質的に如何なる設計でも可能である。該デバイスは、金属材料又は合金、例えばコバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素ステンレススチール、例えばBIODUR108、コバルトクロム合金L−605、“MP35N”、“MP20N”、ELASTINITE(ニチノール)、タンタル、ニッケルチタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。“MP35N”及び“MP20N”は、ペンシルベニア州ジェンキンタウン、Standard Press Steel Co.から市販されている、コバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金に対する商品名である。“MP35N”はコバルト35%、ニッケル35%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。“MP20N”はコバルト50%、ニッケル20%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。当然であるが、当業者であれば、本発明の方法はその製造において圧着工程を用いる医療デバイスのみに有用であることを認識するであろう。
【0088】
薬剤溶出ステントの統合性を検査するために種々の特殊な試験が用いられる。これらのすべてにおいて、圧着及び加熱−圧力処理を含む、すべてのステント−カテーテルアッセンブリ処理を経ている完成ユニットを試験する。1つの試験は走査型電子顕徽鏡法による、コーティングされたステントの検査である。これは、カテーテルからステント−バルーン部分を切断することにより完成ユニットに対して行うことができ、或いは空気中での乾燥膨張又は水性溶液中での湿潤膨張によって、カテーテルからステントを取り外すことができる。SEM下にて損傷コーティングの表面領域の部分を評価することができる。損傷コーティングは変形し、断裂し、或いは除去されているコーティングである。この表面領域の部分が5〜10%を超えると、薬剤放出速度及び総薬剤含量が影響を受得る。圧着損傷に関係する、コーティングの統合性の別の尺度は、水性溶液中でステントを膨張させたときに放出される粒子の数と大きさである。予めろ過した水の溶液中にステントを配置し、利用可能な幾つかの粒子計測器のうちの1つにより放出粒子を計測する。計測器の例は、光散乱により機能するMalvern社製の計測器、Hiac−Roycoのような光遮蔽により機能する計測器、又は導電性により機能するCoulterカウンタであろう。放出粒子の数と大きさの増大はコーティングの破壊を示唆し、これは完全に剪断されたコーティング片又はステントの拡張中に伝搬して粒子を遊離させるコーティングの亀裂の形態で、圧着損傷によって影響を受ける。更に別のコーティングの圧着損傷の影響を計測する方法は急性血栓形成試験であり、この一例はSukavaneshvarらが詳述している試験である。ASAIO Journal, Aug 11,2000, p 301 and ASIAO Journal, July 5, 2000, p M393の方法では、チューブ中に配置されたステントを、血小板が放射性標識化されているウシ血液の血流に暴露した。血小板と血栓の蓄積が急性血栓形成の尺度である。コーティングの亀裂及び欠陥の影響は、コーティングされていないステント又はコーティングが亀裂及びコーティングの欠陥をより少なく、或いは全く有さないステントと比較できる。
【実施例1】
【0089】
(図1及び2のステントを製造するために用いる)
次の構成材料を混合して第一の組成物を調製した。
(a)2.0質量%のポリ(エチレン―co―ビニルアルコール)(EVAL)EC−151A及び
(b)バランス、ジメチルアセトアミド
【0090】
第一の組成物を13mm TETRAベアステント(Guidant Corporationから市販)の表面上に塗布した。まず、ステントは0.071インチのテーパマンドレル上に通すことにより予備拡張させた。コーティングに噴霧して乾燥させ、プライマ層を形成した。約60℃に維持された0.046ファンノズルを有し、給圧2.5psi(0.17気圧)及び微粒化圧約15psi(1.02気圧)を備えたスプレーコーターを用いた。コーティングを1パスあたり10μgにて塗布し、この間に空気流中で60℃にて10秒、ステントを乾燥させた。約70μgの液状コーティングを塗布した。ステントを140℃で1時間、焼成し、約50μgのEVALから構成されるプライマ層を生成した。
【0091】
プライマ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法、装置、及び配合を用いて、プライマ層に擬似リザバ層を塗布した。この場合、約340μgの液状コーティングを塗布し、続いて、例えば50℃で約2時間、焼成して乾燥させ、約300μgの擬似薬剤−ポリマーリザバ層を生成した。
【0092】
次の構成材料を混合して第二の組成物を調製することができる。
(a)2.0質量%のElast−Eon 80A及び
(b)バランス、ジメチルアセトアミド
【0093】
第二の組成物を乾燥した擬似薬剤リザバ層に塗布してトップコート層を形成できる。擬似薬剤リザバ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法及び装置を用いた。約340μgの液状トップコートを塗布し、続いて80℃で2時間、焼成し、約300μgのElast−Eon 80Aトップコート層を生成した。
【0094】
スライドウェッジクリンパを用いて、ステントを13mm Tetraカテーテル(Guidant Corporationから市販)に圧着した。バルーン配置圧12気圧で、37℃にて脱イオン水中でステントを拡張させた。SEMによる検査で図1及び2を生成した。
【実施例2】
【0095】
(図3のステントを製造するために用いる)
次の構成材料を混合して第一の組成物を調製した。
(a)4.0質量%のポリ(エチレン―co―ビニルアルコール)(EVAL)EC−151A及び
(b)バランス、80/20重量比のジメチルアセトアミドとペンタンの混合物
【0096】
第一の組成物を13mm TETRAベアステント(Guidant Corporationから市販)の表面上に塗布した。まず、ステントは0.071インチのテーパ心金上に通すことにより予備拡張させた。コーティングに噴霧して乾燥させ、プライマ層を形成した。スプレーコーターは約60℃に維持された0.046ファンノズルを有し、給圧2.5psi(0.17気圧)及び微粒化圧約15psi(1.02気圧)であった。コーティングを1パスあたり10μgにて塗布し、この間に空気流中で60℃にて10秒、ステントを乾燥させた。約65μgの液状コーティングを塗布した。ステントを140℃で1時間、焼成し、約60μgのEVALから構成されるプライマ層を生成した。
【0097】
プライマ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法、装置、及び配合を用いて、プライマ層に擬似リザバ層を塗布した。この場合、約340μgの液状コーティングを塗布し、続いて、例えば80℃で約2時間、焼成して乾燥させ、約315μgの擬似薬剤−ポリマーリザバ層を生成した。
【0098】
次の構成材料を混合して第二の組成物を調製することができる。
(a)2.0質量%のSolef21508及び
(b)バランス、50/25/25重量比のアセトン、シクロヘキサノン、及びAMS Defluxer
【0099】
AMS Defluxerはジクロロペンタフルオロプロパンとメタノールの混合物であり、テキサス州アマリロのTech Spray Inc.から市販されている。
【0100】
第二の組成物を乾燥した擬似薬剤リザバ層に塗布してトップコート層を形成できる。擬似薬剤リザバ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法及び装置を用いた。約345μgの液状トップコートを塗布し、続いて50℃で2時間、焼成し、325μgのSolef21508トップコート層を生成した。
【0101】
スライドウェッジクリンパを用いて、ステントを13mm Tetraカテーテル(Guidant Corporationから市販)に圧着した。この後、ステントを加熱及び圧力処理に付し、ここでバルーンをシースで拘束し、カテーテルに空気圧を加え、バルーンに熱を加えた。ユニットをパッケージングし、線量35KGyにて電子ビーム放射により滅菌した。3つの緩徐な90度の屈曲を有するブロック内に組み込まれた可撓性シリコーンチューブにガイドカテーテルが接続された装置において、ステントコーティングの性能を評価した。37℃の脱イオン水をガイドカテーテル中に再循環させた。ガイドカテーテルに取り付けられた回転止血弁中に、ガイドカテーテル中に、湾曲シリコーンチューブ中にステントを通し、12気圧の圧力にて配置した。ステントをチューブから取り外した後、SEMによる検査で図3及び4を生成した。
【実施例3】
【0102】
(図10に示すステントを製造するために用いる)
ステントをポリマーチューブからレーザーカットし、次に所望の径に圧着する。スライドウェッジ型加熱クリンパを用いる。圧着処理中、ステントはマンドレルワイヤに支持される。
パラメータ:
チューブ材料: 100%ポリ(L−ラクチド)
チューブOD: 0.084”
チューブID: 0.070”
予熱温度: 30℃
予熱時間: 30秒
圧着温度: 30℃
降下時間: 3〜5秒
マンドレル径: 0.031”
圧着後停止時間: 99.9秒
圧着サイクル数: 1
【0103】
ジュロメータ硬さの測定に適切な規格はASTM D2240又はISO868である。
【0104】
本発明の特定の実施形態を示して説明したが、本発明の実施形態から逸脱することなくより広範な態様において変更および改変が可能であることは当業者には明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲はその範囲内で、本発明の実施形態の真の精神および範囲内に含まれるものとして、こうしたあらゆる変更および改変を包含するものとする。加えて、種々の実施形態について上述した。便宜的に、当業者であればそれらが必ずしも限定的であることを意図しない場合に、互いを含まずに読み得るように、本発明の実施形態を構成する態様の組合せを一覧にした。しかし、1つの実施形態の態様の列挙はすべての実施形態においてその使用を開示することを意図するものであり、必要以上に実験を行うことなく、その態様は実施形態に組み込まれる。同様に、実施形態の構成部分としての態様の列挙は、その態様を特定的に除外する補足的な実施形態が存在するという暗黙の了解である。本明細書で挙げたすべての特許、試験手順、及び他の文書は、この資料が本明細書と一致する範囲で、また、このような組込みが許容される法域に対して、参照して組み込まれる。
【0105】
更に、一部の実施形態では範囲を列挙している。これを行う場合、それは複数の範囲を1つの範囲として開示し、エンドポイントを含む、その範囲内のすべてのポイントを開示することを意味する。1つの態様に対する特定の値又は条件を開示する実施形態では、別の点では同一であっても、その態様の値又は条件を特定的に除外する補足的な実施形態が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1において製造されるコーティングを示す写真図である。これは、圧着、把持、及び湿潤膨張試験後のEVAL上のElasteon 80Aコーティングである。
【図2】実施例1において製造される別のコーティングを示す写真図である。これは、圧着、把持、及び湿潤膨張試験後のEVAL上のElasteon 80Aコーティングである。
【図3】実施例3の手順を用いて製造される、EVAL上のSolef21508のトップコートを示す写真図である。
【図4】実施例3の手順を用いて製造される、EVAL上のSolef21508の別のトップコートを示す写真図である。
【図5】温度の関数としてポリプロピレンの引張降伏応力を示すグラフ図である。
【図6】熱可塑性ポリマーの応力−歪み曲線の温度に伴う変化を示すグラフ図である。
【図7】典型的な熱可塑性ポリマーの熱容量対温度を示すグラフ図である。
【図8】ステント−デリバリーデバイスの組合せを示す断面図である。
【図9】熱圧着後のポリマーステントを示す写真図である。
【図10】熱圧着後の実施例3のポリマーステントを示す写真図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮経管冠動脈形成術又は他の管腔インターベンションのために、ポリマーステントをカテーテルに圧着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮経管冠動脈形成術(PTCA)は心疾患を治療するための手技である。外科医は、バルーン部分を有するカテーテルアセンブリを上腕動脈又は大腿動脈を通して患者の心血管系に経皮的に導入する。外科医は、バルーン部分が閉塞部位を通過するまで、冠血管系を通してカテーテルアセンブリを進めていく。配置させると、外科医はバルーンを膨張させ、病変部のアテローム性プラークを放射状に圧迫して血管壁を再構築する。次に、外科医はバルーンを収縮させてカテーテルを除去する。
【0003】
PTCAの進歩は血管内ステントの使用を伴った。機械的にステントは足場として機能し、物理的に血管壁を開いた状態にし、所望すれば拡張させる。通常、ステントは小血管を通じて挿入されるように圧縮し、次に、配置されると大径に拡張する。Palmazに交付された米国特許第4,733,665号;Gianturcoに交付された米国特許第4,800,882号;及びWiktorに交付された米国特許第4,886,062号が、PTCA用ステントの例を開示している。
【0004】
この処置が起こる前に、その処置のための装置を製造しなければならない。ステントの圧着は、ステントの固定がこれに依存するという点において、この装置の製造において必要不可欠なステップである。一般的に、ステントの圧着はデリバリーカテーテル又はデリバリーバルーンにステントを固定する行為であり、医師が所望の治療部位にステントを送出するまで、ステントはカテーテル又はバルーンに固定された状態になる。現在のステント圧着技術は精巧である。少し前には、1つの方法ではロールクリンパを用いた。これは、その固有の剪断作用により多くのポリマーコーティングを損傷させた。次に登場したのはコレットクリンパであった。コレットクリンパにおいては、金属性の挟み口(jaw)が実質的にドリルチャックからなる部分の中に装着されている。ジョーは純粋に半径方向に動く。この動きは、ステント表面に対して垂直方向のみに力を印加するため、コーティングを剪断しないと思われた。しかし、ステント形状の一部では、圧着中にステントストラットがまとまってハサミを構成する(scissor together)ことが必要である。これらの形状において、クリンパが垂直方向の力のみを加えても、ステントストラットのハサミ作用が剪断を付与する。最後に、アイリス(iris)又はスライドウェッジクリンパは多少の剪断を伴って大部分は垂直力を付与する。
【0005】
ロールクリンパを用いるには、まず、ステントをカテーテルのバルーン部分に緩く摺動させる。このアッセンブリをロールクリンパのプレート間に配置する。自動化ロールクリンパでは、プレートが一体となって特定の量の力を印加する。次に、プレートはカテーテルに対して垂直方向に設定された距離を前後に動く。カテーテルはこの運動下で前後に回転し、ステント径が縮小する。この処理は2つ以上のステップに分けられ、各々がそれ自体のレベルの力、移動距離、及びサイクル数を有する。薬剤溶出コーティングを有するステントに関し、この処理ではカテーテル又はカテーテル壁に垂直な方向に相当な剪断を付与する。更に、ステントを圧着すると、ステント表面と圧着プレートの間に付加的相対運動がある。この結果、圧着処理は薬剤溶出ステントコーティングを損傷する傾向にある。
【0006】
コレットクリンパも同様に概念的に単純である。標準的ドリルチャックコレットは幾つかのパイの一切れ形ジョーを具備する。これらのジョーは外輪が回転すると半径方向に動く。このクリンパを用いるには、ステントをカテーテルのバルーン部分に緩く配置し、ジョーの間の中心空間に挿入する。外輪を回転させると、ジョーが内側に動く。このデバイスの課題は圧着エンドポイントを決定し、或いは設計することである。1つの案は、ジョーが完全に閉まるときに接触し、既知の径の中心孔が残存するように、ジョーを設計することである。この手法を用いて、コレットをコレット停止部に向けることにより、ステントは既知の外径に圧着される。これは理想的だと思われるが、問題が生じ得る。ステントストラットはその厚さに対して寛容性を有する。加えて、非適合バルーンの折畳み処理は必ずしも再現可能ではない。この結果、コレットクリンパは同じ最終径を得るために各ステントに異なる量の力を加える。この力と最終的な圧着径を慎重に選択しなければ、ステント及びバルーンの変動によりステントコーティング又はバルーンの損傷が生じ得る。
【0007】
更に、コレットジョーは半径方向に動くが、圧着する際に互いに接近して動く。この動作はストラットのハサミ運動と結び付いてコーティングに剪断を付与し、これも損傷になり得る。最後に、コレットクリンパの実際の接触面はジョー先端部である。これらの面は相当に小さく、圧着の最終ポイントで円筒面を形成するだけである。そのポイントの前では、ステント表面に印加されている荷重は不連続である。
【0008】
スライドウェッジ又はアイリスクリンパにおいて、隣接するパイの一切れ形部分は内側に動き、カメラの絞りにおけるリーフに酷似してねじれる。このクリンパは2種の異なるエンドポイントを有するように設計することができる。これは最終径で停止可能であり、或いは固定の力を印加して最終径を変動させることができる。コレットクリンパに関する考察から、ストラット及びバルーンの寸法の変動は圧着力を変化させないため、固定レベルの力を印加することには利点がある。スライドウェッジは主に垂直力を付与し、これはステントコーティングに対して最も損傷が少ない。ウェッジは互いの上を摺動するため、幾分かの接線力を付与する。しかし、剪断損傷はコレットクリンパと同じであるか、或いはそれ以下であることが多い。最後に、スライドウェッジクリンパは、圧着するときでもほぼ円筒形の内面をステントに提示する。これは圧着荷重がステントの外面全体にわたって配分されるということである。
【0009】
現在のステント圧着法はすべて全金属製ステント用に開発された。ステンレススチールのようなステント用金属は耐久性があり、誤用を受け入れることができる。圧着が強烈であった場合、通常、ステントではなく下層のバルーンを損傷させた。しかし、ポリマーコーティングは別の課題を提示する。
【0010】
更に、ポリマーステントの製造の一部として、脆性ポリマー材料はレーザーカットされる。ポリマーの脆性及びレーザーカットに誘発される応力により、ポリマーステントに応力亀裂が生じることが多い。
【0011】
薬剤溶出ステント領域において、一般的に、薬剤はポリマーと組み合わせてステントに配置され、或いはポリマーステント用のポリマー中に混合される。通常、この配置によりステントのすべての表面がコーティングされ、或いは薬剤がポリマーステント全体に配分される。次に、ステントがカテーテルに圧着される。概して、ポリマーコーティングは下層のステント材料より軟質、脆弱であって耐久性が劣る。スライドウェッジクリンパとの圧着時及び特定のステント用の圧着手順後、コーティングの損傷が認められることが多い。図1及び2は、圧着、把持、及び湿潤膨張試験後のポリ(エチレン―co―ビニルアルコール)(EVAL)上のElasteon 80A(ポリウレタン)コーティングを示す。
【0012】
把持はステントの保持を更に高めるために圧着後に行われる処理である。外側スリーブが圧着されたステントを拘束する。同時に、圧力と熱がステント−バルーン部分に印加される。この作用下において、バルーン材料は僅かに変形し、ストラット間で移動する。湿潤膨張試験において、最後のカテーテル上のステントアッセンブリが、37℃で30秒、脱イオン水に浸積される。次に、デバイス使用説明書に従ってバルーンが少なくとも公称圧力まで膨張される(8気圧)。この圧力を30秒保持した後、バルーンは収縮され、ステントが外れる。乾燥後、光学顕微鏡法又は走査型電子顕徽鏡法により、ステントをコーティングの損傷について検査することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ステント用コーティングにおけるポリマーの主たる目的は、薬剤を含有し、その放出を所望の速度にて制御することである。他の明らかなポリマーの仕様条件は、高レベルの血管生体適合性と、亀裂や剥離を生じることなく屈曲・延伸してステントの拡張に対応する性能である。これらの目的をすべて満たしながら、従来の圧着法に耐え得る、高レベルの靭性及び強度も有することは困難な課題となり得る。
【0014】
ステントのポリマーコーティングに対する損傷を最小にする圧着法が必要である。更に、ポリマーステントのポリマー基材における内部の応力又は歪みを最小にする圧着法も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は幾つかの実施形態を含み、その一部は医療デバイス又は埋め込み型医療デバイスを製造する体外方法に関する。これらのデバイスはコーティングを有する部分を含み得る。一部の実施形態において、コーティングはポリマー若しくはポリマーの組合せ又は薬剤を含む。コーティングを含む部材は、デバイスの他の部分又は別のデバイスに圧着される。一部の実施形態において、圧着は非周囲温度にて行われる。非周囲温度での圧着は、コーティング、コーティングを含む部材、医療デバイス、圧着デバイス、又はこれらの任意の組合せの温度を変化させるステップを含む場合もある。同様に、これらの方法を用いて製造する医療デバイスと、これらの方法を実施するためのデバイスも、本発明の一部である。一部の実施形態において、医療デバイスはステントであるか、或いはステントを含む。
【0016】
本発明の様々な実施形態において、特定の加熱・冷却プロファイルが用いられる。例えば、圧着方法の実施形態は、コーティングの温度を標的温度に調整し、続いて圧着工程を行い;圧着工程中にコーティングの温度を標的温度に調整し;圧着工程中にコーティングの温度を標的温度に調整し、コーティングの温度を標的温度のプラス又はマイナス5℃以内に維持し;コーティングの温度を標的温度に調整し、続いて圧着を行って、圧着工程中にコーティングの温度が標的温度のプラス又はマイナス10℃以内に維持するようにし;圧着工程中にコーティングの温度を周囲温度以外の温度に調整して標的温度に向け、コーティングの温度を標的温度に向かって調整し続けるステップを含む。又は、まず、コーティングの温度を標的温度に調整し、次にクリンパの挟み口を締めることができる。その後、温度を第二の温度に調整することができ、続いてクリンパの挟み口を開ける。
【0017】
前記標的温度がTg及びTg前後の間隔に基づく値をとる実施形態について説明するが、一部の実施形態の目的は、圧着中に変形及び剥離に基づく破壊を同時に最小限にすることである。一部の実施形態において、標的温度は最終的にはポリマーコーティングの主要破壊モード、コーティングのTg、周囲温度におけるポリマーコーティングのショアD硬度、及び数ある要因の中でも特に標的温度におけるポリマーコーティングのショア硬度に依存する。
【0018】
一部の実施形態において、本発明の方法は、コーティングされた部材がコーティングを含み得る、少なくとも1つのコーティングされた部材を含む医療デバイスを製造することに関連する。一部の実施形態において、コーティング又は部材はポリマー又はポリマーの組合せ及び薬剤を含む。典型的な方法は、素材の力学的挙動に、場合により圧着中の挙動に基づく標的温度を選択するステップを含む。この方法は、圧着ジョーの締めを任意の組合せのコーティング又は部材の温度調整と並列して行うステップを更に含む。例えば、次の加熱又は冷却方法が実用的である:
・コーティング又は部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着工程を行う;
・圧着工程中にコーティング又は部材の温度を標的温度に調整する;
・圧着工程中にコーティング又は部材の温度を標的温度に調整し、コーティング又は部材の温度を標的温度のプラス又はマイナス5℃以内に維持する;
・コーティング又は部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着を行って、圧着工程中にコーティング又は部材の温度が標的温度のプラス又はマイナス10℃以内に維持するようにする;
・圧着工程中にコーティング又は部材の温度を周囲温度以外の温度に調整して標的温度に向け、コーティング又は部材の温度を標的温度に向かって調整し続ける;
・これらの方法のいずれも、圧着後しばらくの間、圧着圧力を印加している間又は除圧後に、継続した加熱を任意で併用することが可能である。
【0019】
これらの実施形態又は他の実施形態において、加熱法は、クリンパを締め、部材の温度を第二の温度に調整し、クリンパを開けて第二の温度が標的温度以上又はそれ以下とするステップを含み得る。一部の医療デバイスはカテーテルを更に含む。これらのデバイスにおいて、本発明の方法の圧着工程は、部材をカテーテルに装着するのに用いることができる。
【0020】
本発明の方法は、周囲温度以上のTgを有することを特徴とするポリマー材料を含む、種々のポリマー材料に用いることができる。一部の実施形態において、本発明の方法は、ABS樹脂;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;アクリロニトリルスチレン共重合体;アルキド樹脂;生体分子;セルロースエーテル;セルロース;コポリ(エーテル−エステル);ポリカルボン酸とポリ−ヒドロキシカルボン酸の共重合体;ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体;シアノアクリレート;エポキシ樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;エチレン−ビニルアセテート共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体;ポリ(アミノ酸);ポリ(無水物);ポリ(ブチルメタクリレート);ポリ(エステルアミド);ポリ(エステル−ウレタン);ポリ(エーテル−ウレタン);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(オルソエステル);ポリ(シリコーン−ウレタン);ポリ(チロシン−アリレート);ポリ(チロシン由来のカーボネート);ポリアクリレート;ポリアクリル酸(polyacrylic acid);ポリアクリル酸(polyacrylic acids);ポリアクリロニトリル;ポリアクリロニトリル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアミド;ポリアミノ酸;ポリ無水物;ポリカーボネート;ポリカルボン酸;ポリシアノアクリレート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリ−ヒドロキシカルボン酸;ポリイミド;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンの共重合体;ポリケトン;ポリメタクリレート;ポリオレフィン;ポリオルソエステル;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン(polyphosphoesterurethanes);ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン(polyphosphoesters-urethane);ポリウレタン;ポリビニル芳香族化合物;ポリビニルエステル;ポリビニルエーテル;ポリビニルケトン;ポリビニリデンハリド;シリコーン;デンプン;ビニル共重合体ビニル−オレフィン共重合体;並びにビニルハリドポリマー及びコポリマーを含むポリマー材料に作用する。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0021】
一部の実施形態に有用なポリマーの具体例は次のポリマーを含む:デンプン、アルギン酸ナトリウム、レーヨン−トリアセテート、レーヨン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリイソシアネート、ポリイソブチレン、ポリエチリングリコール、ポリジオクサノン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、KYNAR(Atofina社から市販されているブランドポリ(ビニリデンフルオリド))、ポリアクリロニトリル、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(グリコリド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド−co−L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ナイロン66、ヒアルロン酸、フィブリノーゲン、フィブリン、エラスチン−コラーゲン、コラーゲン、セルロースプロピオネート、セルロースナイトレート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロース、セロファン、カルボキシメチルセルロース、又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、キチン、キトサン、EVAL、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(イミノ炭酸エステル)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(N−アセチルグルコサミン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、レーヨン、SOLEF21508(配合はSolvay Solexis社より得られる)、及びPEO/PLA。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0022】
本発明の一部の方法は薬剤含有部片に対して機能する。これらの実施形態の一部において、薬剤は次の種類から選択される:抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、抗酸化剤、又はこれらの組合せ。
【0023】
標的温度は多くの方法で選択可能である。例えば、標的温度は以下のようになり得る:
・ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
・ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
・周囲温度未満;
・室温未満;
・周囲温度超;
・室温超;
・−40℃以下;
・周囲温度とTg域の高Tgの間;
・周囲温度とTg域の低Tgの間;
・−40℃とTg域の高Tgの間;
・−40℃とTg域の低Tgの間;
・−40℃と周囲温度の間;
・80℃以上;
・80℃とTg域の高Tgの間;
・80℃とTg域の低Tgの間;又は
・80℃と周囲温度の間。
【0024】
本発明の実施形態の一部では、周囲温度又は周囲温度の前後枠を避けるように標的温度を選択する。他の実施形態では、コーティング中に存在する治療薬が実質的な分解を避けるように標的温度を選択する。
【0025】
一部の実施形態において、標的温度は上記の温度範囲のどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外する群から選択する。
【0026】
本発明の実施形態の一部では、圧着中に変形及び剥離に基づく破壊を同時に最小限にするように標的温度を選択する。本発明の実施形態の一部では、ショア硬度の向上をもたらすように標的温度を選択する。
【0027】
アニーリング温度は、標的温度について上述した温度のいずれからも選択可能である。更に、一部の実施形態において、アニーリング温度は上記の温度範囲のどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外する群から選択する。
【0028】
本発明の様々な実施形態ではポリマー材料の温度調整を為すための種々の方法を用いる。例えば、温度を変化させる次の方法はすべて本発明の範囲内にある:
・ポリマー材料又は部材を熱源と接触させる;
・ポリマー材料又は部材に加熱ガスを向ける;
・コーティング又はコーティングされた部材に熱放射又は赤外線放射するための加熱面近傍にポリマー材料又は部材を配置する;
・ポリマー材料又はポリマー材料又は部材を加熱面近傍に配置し、表面からコーティング又はコーティングされた部材への伝熱を可能にする;
・クリンパの挟み口を加熱し、ポリマー材料又は部材をクリンパの挟み口と熱接触させる;
・赤外線放射の通過を許容するクリンパの挟み口に対し、カテーテル上のステントに赤外線放射を浴びせる;
・カテーテル上のステントをインキュベータ又はオーブンの中で加熱し、圧着前にカテーテル上のステントを所望の温度に予備平衡させる。
【0029】
本発明の方法を実施する際に有用な本発明の一部のデバイスに対し、熱源は圧着デバイスと一体化される。一部の実施形態において、部材は自動拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトから選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1及び2はステントの外面上のコーティングが、一方では挟まれ、或いは皺で覆われて、他方では塗布が剥れていることを示す。同様に、図3及び4はEVAL上のSolef21508のトップコートを示す。Solef21508は、市販されている最も軟質のポリ(ヘキサフルオロプロペン−co−ビニリデンフルオリド)熱可塑性ポリマーである。
【0031】
図3及び4はストラットアームの高スポットにおける窪みを示す。これらの2つのステントの高スポットの大部分は同様の損傷を示す。これらの理由により、低ジュロメータ(例えば80A)ポリマーから製造されるポリマーコーティングは、品質保証試験に不合格になることが多い。硬質プラスチックであるEVALは標準的圧着に耐えるように思われるが、85ショアDの硬度を有する。比較のため、牛乳容器に使用される低密度ポリエチレンは47〜55ショアDである。
【0032】
本発明の実施形態の一部は、本質的にポリマーである基材材料を含有するステントと、これらのステントを製造する方法に関する。一部の方法はデリバリーデバイス又はバルーンへのステントの圧着に関する。
【0033】
一部の実施形態では圧着はTgより高い温度で行われ、一部の実施形態では圧着は周囲温度より高いが必ずしもTgより高くはない温度で行われる。ポリマーステントをデリバリーデバイスに圧着するためのデバイスも、本発明の実施形態として勘案する。このデバイスは、当該技術分野で公知であるように、或いは本明細書においてわかるように、如何なる圧着デバイスにも類似し得る。加えて、該デバイスは圧着中にステントを加熱できるように特に改変されている。一部の実施形態において、該デバイスは圧力と熱を同時に加えることができる。これらの実施形態又は他の実施形態において、圧着後、圧着デバイスは上昇した温度にてステントを保持でき、これは標的温度より高く、標的温度に等しく、又は標的温度より低くなるように選択することができ、或いは標的温度より高く、標的温度に等しく、又は標的温度より低い温度を特定的に除外するように選択することができる。一部の実施形態において、該デバイスは、ステントが他の手段によって加熱されながらポリマーステントを圧着する。
【0034】
一部の実施形態において、圧着法は、
ステントを圧着デバイスに配置するステップ;
ステントを標的温度まで十分に長い時間加熱し、ステントが標的温度に実質的に達するようにするステップ;
ステントに圧力を印加し(半径方向の圧縮圧)、これをデリバリーデバイスに装着するステップ;
ステントをデリバリーデバイスに固定するのに適切であるように、ステントを半径方向の圧縮圧に保持し、圧着状態をポリマーステント又はコーティングに設定するのに十分な時間、ステントをアニーリング温度に保持するステップ;
ステント−デリバリーデバイスの組合せを取り外すステップ
を含む。
【0035】
ステントは最大で1時間、30秒から1時間、又は30秒、加熱可能である。一部の実施形態において、ステントを十分な時間加熱して材料がステントの脆性を適切に低下させるのに十分な延性を有するようになる。適切とは、問題のパラメータに対する値を有するということであり、当業者であれば本発明が特定の用途で機能することを予測するであろう。例えば、「ステントの脆性を適切に低下させる」とは、当業者が考えるように、ステントの脆性が、追加の加熱ステップ、追加費用、及び加熱ステップの複雑性を正当化するほどに低下するということである。
【0036】
一部の実施形態において、半径方向の圧縮圧は、ステント又はコーティングへの損傷が生じないように選択される。一部の実施形態において、半径方向の圧縮圧は、生じる如何なる損傷又は変形も、当業者にステントの使用を拒絶させるのには不十分であるように選択される。
【0037】
前述の実施形態又は他の実施形態において、可変温度とは周囲温度を超える温度のことである。これらの実施形態又は他の実施形態において、これは材料のTgに等しい、Tgより高い、或いはTgより低い温度のことである。一部の実施形態において、半径方向の圧縮圧を除去する前に、ステントは周囲温度以下に冷却される。
【0038】
前述の実施形態又は他の実施形態において、圧着状態を設定するのに十分な時間は、ポリマーステント又はコーティングが圧着に誘起された新規の形状を実質的に呈し、ステントが移植されるまでこの形状を実質的に保持するほどの時間である。これらの実施形態又は他の実施形態において、この時間は、1秒から2時間、2秒から1時間、3秒から30分、4秒から5分、1秒から5分、2秒から5分、又は3秒から5分である。
【0039】
この方法はポリマー鎖に増大した移動性を与え、そのためポリマー鎖は低エネルギー(応力印加の少ない)形状へと弛緩すると考えられる。この方法を用いることにより、亀裂が有意に減少したポリマーステントが生成される。
【0040】
別の製造工程において、ポリマーステントをEビーム放射により滅菌する場合がある。Eビームによる滅菌は、ポリマー(ステント)の高応力領域において高率のポリマー劣化を示すことが多い。しかし、押出並びにレーザーカットが誘発する応力及び歪みを緩和する本発明の熱圧着後、処理したステントのEビーム滅菌は亀裂を有意に減少させ、ポリマーの高応力領域においてあまり顕著でないポリマー劣化を示す。
【0041】
コーティングされたステント又はポリマーステントが周囲温度と異なり得る標的温度に保持される圧着法を開示する。周囲温度より低い温度は、剪断、締付、及び圧痕による損傷を避けるために、ポリマーの強度を高めるのに用いることができる。この方法は、周囲温度以下のガラス遷移温度(Tg)を有するポリマーに特に効果的であろう。加えて、本発明の方法は、ポリマー又はポリマー混合物のTgが周囲温度以下であるポリマー混合物に好適である。周囲温度を超える温度は、Tgが周囲温度又は室温を超え、より高いコーティングの延性が所望される場合に用いることができる。本発明の開示のために、周囲温度は、クリンパ、ステント、又はコーティングが意図的に加熱或いは冷却されていない場合のクリンパ、ステント、又はコーティングの温度である。通常、この温度は室温又は圧着装置、ステント、若しくはコーティングを取り囲む温度に近い。同様に、本発明の開示のために、標的温度は周囲温度とは数値的に異なる温度であり、クリンパ、ステント、バルーン、ポリマーコーティング、ポリマー、又はこれらの任意の組合せを意図的に加熱或いは冷却することによって生じる。本発明の開示のために、「ポリマー」、「ポリマーの組合せ」、及び「ポリマー混合物」は同義語であり、1つのポリマー、又は2つ以上のポリマーの場合には2つ以上のポリマーの混合物、配合物、共重合体、若しくは他の任意の組合せの組成物を意味する。この組合せは、2つ以上のポリマーが重合された後に生じ得て、或いはモノマーを1つ以上のポリマーに重合させている間に生じ得る。
【0042】
【表1】
【0043】
代表的な方法は、医療デバイス上のポリマーを標的温度まで、或いは標的温度に向けて加熱するステップを含む。次に、標的温度に達した後、或いはポリマーが標的温度に向けて温度を変化させている間に、ポリマーを含有する医療(medial)デバイスの部分を、医療デバイスの他の部分又は別の医療デバイスに圧着する。圧着デバイスのジョー又は表面からの局所圧力を原因とする凝集破壊及び接着破壊(又は変形及び剥離に基づく破壊)と、その直径の縮小を原因とするステントの変形を最小限にするように設計された温度領域にて圧着を行う。例えば、ステントを空気流により加熱し、アイリスクリンパによりデリバリーカテーテルに圧着することができる。更に、一部の実施形態において、ポリマーステント又はポリマーコーティングにおける内部応力が圧着後に経時的に減少するように、温度領域を選択する。
【0044】
加熱及び冷却は、ポリマー、クリンパ、又は医療デバイスの温度を「調整する」こととして一般的に考察する。温度の調整は、その温度を調整することになる対象物を熱源又はヒートシンクと熱接触させるステップを含む。本発明の開示のため、熱源(シンク)との熱接触とは、対象物に対する熱源(シンク)の配置を意味し、エネルギーが熱源から対象物に、或いは対象物からヒートシンクに流動し、或いは伝達する。熱接触は対象物の配置を包含する一般的な用語であり、放射、伝導、又は伝達は関連物品に、或いは関連物品からエネルギーを転移する。一部の実施形態において、熱接触は放射、伝導、伝達、又はこれらの任意の組合せのいずれも除外するように定義される。
【0045】
本発明の様々な実施形態が様々な加熱プロファイルを用いる。例えば、加熱プロファイルが、ある温度値を超える標的温度を選択してポリマーを軟化させることを求める場合、圧着前にポリマーを標的温度に調整し、次に圧着を行う(圧着前に幾分かの温度低下を伴うか、或いは伴わない);又は圧着前にポリマーを標的温度に調整し、圧着中に標的温度又はその近傍に維持する;又は圧着を開始し、ポリマーを標的温度に調整し、圧着を完了する。本発明の開示のため、「標的温度の近傍に維持する」とは、クリンパとの接触時点におけるポリマーの温度が、標的温度プラス又はマイナス20℃、15℃、10℃、5℃、2℃又は1℃であるということである。一部の実施形態において、「標的温度の近傍に維持する」とは、クリンパとの接触時点におけるポリマーの温度が、標的温度プラス又はマイナス10℃であるということである。
【0046】
圧着されたステント又は圧着されたポリマーステント上のポリマーは、2種類の主な破壊モードとして接着破壊及び凝集破壊を示す。接着破壊において、ポリマーは、金属製ステントへの接着不良又はポリマーステント中のポリマー分子間の接着不良に起因し、ステントから剪断分離される。これはポリマー分子間の相互作用不良に起因するポリマーの破壊である。高温、特にTg超の温度ではポリマー材料は軟質であるため、高温の圧着法が接着破壊を防止するのに役立つはずである。接着破壊は接着に基づく破壊又は剥離に基づく破壊と称されることもある。ポリマーが接着破壊を示す場合、該ポリマーはそのポリマーのTg超の圧着の候補になる。接着破壊は応力の増大によっても惹起される。ポリマーをそのTg超で加熱すると、その弾性率は低下し、ポリマー内の内部応力は低下する。ステントを圧着する際、ポリマーコーティングされていようと実質的にポリマーであろうと、ステントのある部分は延伸を受ける。延伸が過度に生じると、ポリマーに亀裂が生じる。ポリマーの最終的な延伸は温度に依存し、ポリマーをそのTg超で加熱すると最終的な延伸が増大し得て、これにより破壊を防止する。ポリマーが不十分な延伸により凝集破壊を示すと、これもまたそのポリマーのTg超の圧着の候補になる。
【0047】
凝集破壊において、ポリマーの最上層が機械的に窪み、変形し、或いは断裂する。これは、ポリマー分子間の相互作用不良に起因するポリマー層の破壊である。低温、特にTg未満の温度ではポリマー材料は硬質であるため、ポリマー表面に対する凝集損傷を防止するために低温の圧着法が適し得る。凝集破壊は凝集に基づく破壊又は変形に基づく破壊と称されることもある。ステント上のポリマーコーティングが圧縮荷重による凝集破壊を示す場合、該ポリマーはそのポリマーのTg未満の圧着の候補になる。
【0048】
一部の実施形態において、圧着後、設定、アニーリング、或いは医療デバイスの組立中にポリマーに機械的に応力を加えたことが原因による内部応力を除去するためにポリマーを加熱する。一部の実施形態において、ポリマーをアニーリング温度に加熱する。
【0049】
図5は温度を関数としてポリプロピレンの引張降伏応力を示す。この特性は硬度と同じではないが、相関する。双方ともポリマーを恒久的に変形させるのに必要な応力に関連する。一般的な熱可塑性材料では、低温により硬度が高まる。図6は熱可塑性材料の応力−歪み曲線の温度に伴う変化の仕方を示す。
【0050】
本発明の一部の実施形態では、標的温度はポリマーのTgに関連して選択する。Tgは、ポリマーの非結晶域が大気圧にて脆弱なガラス状態からプラスチック状態に変化する温度である。言い換えれば、Tgはポリマー鎖における部分運動の開始が生じる温度に対応し、図7に示すように、ポリマーの熱容量対温度グラフにおいて認識できる。非結晶又は半結晶ポリマーを加熱すると、温度が上昇するにつれてその膨張及び熱容量の係数がどちらも上昇し、分子運動の増大を示す。温度が上昇しても試料の実際の分子体積は一定である。従って、膨張係数の上昇は、この系の自由体積の増大及び分子の運動自由度の増大を示す。熱容量の増大は運動による熱放散の増大に対応する。
【0051】
所定のポリマーのTgは加熱率に依存し得て、ポリマーの熱履歴に影響され得る。更に、ポリマーの化学構造がポリマーの運動性に影響を与えることにより、Tgに大きく影響を及ぼす。一般的に、柔軟な主鎖組成物はTgを引き下げ、嵩高な側基はTgを引き上げる。同様に、柔軟な側基長の増大はTgを引き下げ、主鎖の極性の増大はTgを引き上げる。加えて、架橋の存在は所定のポリマーに認められるTgを引き上げ得て、薬剤又は治療剤の存在は可塑化効果によりポリマーのTgを変化させ得る。この可塑化効果の大きさは、薬剤とポリマーの混和性及び適合性並びにポリマー中の薬剤の荷重に依存する。
【0052】
例示として、半結晶ポリマーを加熱すると、温度がTgに達するにつれポリマーの結晶度が増大し始める。Tg以上において、分子運動の増大によりポリマー鎖がより熱力学的に安定した関係を選択するようになり、これによってポリマーの結晶度が増大する。図7において、第一の曲線60にTgが示されるが、これは熱容量の増大の半分が生じている温度である。次に、結晶度はTg後に急速に増大し、Tcにおいて最大に達する(第二の曲線62の頂点)。
【0053】
図7に認められるように、Tgは温度対熱容量曲線に幾分恣意的に配置されている。本発明の開示のため、Tg域はポリマー又はポリマーの組合せに対して複数の異なる方法で画定される。本発明の実施形態の一部は、これらのTg域の定義の任意の1つに根拠を置くことができる。
【0054】
(Tg域の定義1)
この定義では、図7においてTg1(100)として示されるように(この点を定義1の低Tgと規定する)、Tg域はポリマー(又はポリマーの組合せ)の温度対熱容量曲線上の熱容量の低下を示す初期点より高いか、或いは等しい。Tg域は図7における曲線上のTc(110)より低いか、或いは等しい(この点を定義1の高Tgと規定する)。本発明の開示において、このTg域をTg域の定義1と称する。当業者であれば図7における特有の曲線及び温度点が、ポリマー又はポリマーの組合せの性質に依存するということを認識するであろう。従って、図7における点の表示は、使用する特定のポリマー又はポリマーの組合せのための同様のグラフにおいて、図7の点に対応する点を伝達するように意図している。
【0055】
標的温度がTg1以上であってTg2以下であれば、Tg域の定義1の範囲内である。標的温度がTg2以下であれば、Tg域の定義1より低い。標的温度がTg1以上であれば、Tg域の定義1より高い。標的温度が低温以上であって高温以下であれば、高温と低温の間である。これらの概念は本発明の開示全体にわたってすべての温度及び範囲に対して適用される。
【0056】
(Tg域の定義2)
この定義では、Tg域は図7における点Tg1(100)より高いか、或いは等しく(定義2の低Tg)、図7における点140より低いか、或いは等しい(定義2の高Tg)。本発明の開示において、このTg域をTg域の定義2と称する。点140は材料の結晶化相転移の開始に対応する。
【0057】
(Tg域の定義3、4、5、及び6)
定義3では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTg(180)プラス40℃(定義3の高Tg)及びマイナス40℃(定義3の低Tg)である。
【0058】
定義4では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTgプラス20℃(定義4の高Tg)及び−20℃(定義4の低Tg)である。
【0059】
定義5では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTgプラ10℃(定義5の高Tg)及びマイナス10℃(定義5の低Tg)である。
【0060】
定義6では、Tg域はポリマー(又は組合せ)に対して従来測定されているTgプラ5℃(定義6の高Tg)及びマイナス5℃(定義6の低Tg)である。
【0061】
(Tg域の定義7)
この定義では、Tg域は図7における点Tg1(100)より高いか、或いは等しく(定義7の低Tg)、図7における点160より低いか、或いは等しい(定義7の高Tg)。本発明の開示において、このTg域をTg域の定義7と称する。点160は材料のガラス相遷移の消失又は終了に対応する。
【0062】
これらの実施形態は、Tg域が周囲温度、周囲温度+又は−1℃、或いは周囲温度+又は−5℃を特定的に除外する実施形態も含む。また、一部の実施形態において、標的温度は、含有する治療剤のどれもが実質的に分解する温度以下で最大になる。本発明の開示のため、「実質的に分解する」とは、当業者であれば分解により治療物質の有効性が過度に低減すると判断する程度の分解のことである。言い換えれば、当業者であれば加熱或いは冷却、圧着された組成物をインビボで使用することを拒否するほどに、分解により有効性が低減するであろう。
【0063】
ポリマーのショア硬度又はコーティング若しくはポリマーの破壊モードに基づき、幾つかの実施形態について述べることができる。余りに軟質であって、凝集又は変形破壊を示し、周囲温度又は室温未満のTgを有し、或いはショア60Aから80D(又はショア80Aから60D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより硬質化することによりポリマーを改善することができる。これは高Tg未満の標的温度を選択することにより実施可能である(本発明の開示で高Tg又は低Tgについて述べても、どのTg域の定義を用いているのか特定しない場合、本発明の開示では各範囲の定義の高Tg及び低Tgを対象にすることを意図する)。又は、低Tg未満の標的温度を選択することにより、圧着中にポリマーを硬質化することができる。又は、周囲温度未満の標的温度を選択することにより、ポリマーを硬質化することができる。又は、−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃未満の標的温度を選択することにより、ポリマーを硬質化することができる。一部の実施形態において、標的温度は周囲温度と高Tgの間;周囲温度と低Tgの間;又は−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃と高Tgの間;−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃と低Tgの間;又は−30℃、−40℃、−50℃、若しくは−60℃と周囲温度の間である。
【0064】
上述のTg域の定義に基づく標的温度の選択に加え、様々な実施形態を別様に述べることが可能である。余りに軟質であって、凝集又は変形破壊を示し、周囲温度又は室温未満のTgを有し、或いはショア60Aから80D(又はショア80Aから60D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより硬質化することによりポリマーを改善することができる。従って、ショア硬度の50%の上昇、或いはショア硬度の40%、30%、20%、又は10%の上昇を生じさせる標的温度を選択することにより、凝集又は変形破壊の改善を達成することができる。
【0065】
ショア60Aから60Dのショア硬度を有するポリマーを用いる医療デバイスは、圧着中に凝集破壊に遭遇することが多い。本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、ショアD硬度が30から80或いは35から60の低硬度を有するポリマーの使用を可能にする。又は、本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、45、40、35、又は30以下のショアD硬度を有するポリマーの使用を可能にする。
【0066】
余りに硬質であって、接着破壊を示し、不十分な延伸を有し、或いは周囲温度又は室温超のTgを有し、或いは60Dから95D(又は65Dから90D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより軟質化することによって、或いは圧着後に応力を緩和するためにポリマーにおいて温度上昇を維持することによって、ポリマーを改善することができる。これは高Tg超の標的温度を選択することにより実施可能である。又は、標的温度は低Tg超である。又は、標的温度は周囲温度超である。又は、標的温度は70℃、80℃、90℃、若しくは100℃である。一部の実施形態において、標的温度は周囲温度と高Tgの間;周囲温度と低Tgの間;70℃、80℃、90℃、若しくは100℃と高Tgの間;70℃、80℃、90℃、若しくは100℃と低Tgの間;又は70℃、80℃、90℃、若しくは100℃と周囲温度の間である。
【0067】
上述のTg域の定義に基づく標的温度の選択に加え、様々な実施形態を別様に述べることが可能である。余りに硬質であって、接着破壊を示し、周囲温度又は室温超のTgを有し、或いは60Dから95D(又は65Dから90D)のショア硬度を有するポリマーでは、圧着中にポリマーをより軟質化することによりポリマーを改善することができる。従って、ショア硬度の50%の低下、或いはショア硬度の40%、30%、20%、又は10%の低下を生じさせる標的温度を選択することにより、接着破壊の改善を達成することができる。
【0068】
ショア60Dからショア90Dのショア硬度を有するポリマーを用いる医療デバイスは、圧着中に接着又は延伸破壊に遭遇することが多い。本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、60Dから90D或いは65Dから85Dの高いショア硬度を有するポリマーの使用を可能にする。又は、本発明の圧着法により製造する本発明の医療デバイスは、60D、70D、80D、又は90D以上のショアD硬度を有するポリマーの使用を可能にする。
【0069】
EVALを周囲温度で圧着すると、これはガラス状態にある(図6、曲線A)。そのガラス遷移温度(Tg)(55℃)より高い温度で圧着することにより、最終的な延伸性は高くなる(図6、曲線B)。これによりステント接合部分の外側の引張領域における亀裂が低減するはずである。PBMAでは、20℃のTg、0℃以下の低温での圧着により、剪断及び圧縮による圧着損傷が低減するはずである。同様に、KYNAR(ポリ(ビニリデンフルオリド)からなるポリマーであり、ペンシルベニア州フィラデルフィアのAtofina社から市販されている)では、−30℃のTg、−40℃の温度での圧着により、同様に窪み及び剪断損傷を低減するはずである。
【0070】
一部の実施形態において、ポリマーステントは標的温度に加熱した後、カテーテルのようなデリバリーデバイスに圧着する。標的温度は、定義1〜7、定義1〜7のいずれか、定義1〜7の任意の組合せ、又は定義1〜7のいずれでも若しくはいずれの組合せでも同様に除外する定義1〜7の任意の組合せのTg域より高い。
【0071】
一部の実施形態において、ポリマーステントは、標的温度に加熱させながら、カテーテルのようなデリバリーデバイスに圧着する。標的温度は、定義1〜7、定義1〜7のいずれか、定義1〜7の任意の組合せ、又は定義1〜7のいずれでも若しくはいずれの組合せでも同様に除外する定義1〜7の任意の組合せのTg域より高い。
【0072】
医療デバイスを圧着するデバイスは当該技術分野では公知である。一部の実施形態において、該デバイスはポリマーコーティングされたステントをPTCA用のカテーテルのバルーン部分に圧着するように設計する。スライディングウェッジ設計のようなクリンパでは、乾燥空気流又は不活性ガスがボアを通過することにより、温度を制御し得る。この空気は、まずチューブヒーター又は冷却熱交換器に通すことにより加熱或いは冷却することができる。ステントをカテーテル上に緩やかに配置し、次にアッセンブリをクリンパのボア内に挿入する。空気の通過により、ステントデリバリーシステム(SDS)は圧着温度に対して急速に平衡化するであろう。継続的に加熱或いは冷却された空気流により、圧着ジョーは所望の温度になるであろう。
【0073】
別の方法はクリンパ自体のジョーを加熱或いは冷却するステップを含む。電気加熱部材をクリンパの挟み口の中に設置することができる。熱電対とフィードバック制御装置を適切に配置することにより高温を維持できる。冷却剤が送出される通路を供給することにより、クリンパの挟み口の冷却を実行できる。これは圧着ジョーを加熱するのに用いることもできる。ジョーが導電材から構成されるのであれば、振動電界の利用により渦電流を介してこれらを加熱することができる。ジョーがIR透明材料で製造されるのであれば、カテーテル上のステントを赤外線により温度調節可能である。
【0074】
クリンパが周囲温度にあってもジョー自体が熱伝導性が低い材料からできている場合、カテーテルに緩やかに付着されたステントを圧着前に非周囲温度に予備平衡させる方法を検討できる。ステントは小さく、表面積対体積が高率であるため、所望の温度を維持するために温度制御された環境からクリンパへ迅速に移動させる必要があるであろう。インキュベータ又はオーブンでの加熱或いは冷却器での冷却により、圧着前にステントを所望の温度に予備平衡させることができる。
【0075】
本発明の方法は医療デバイスを提供する。この医療デバイスは、一部の実施形態では、ポリマーでコーティングされ、或いはポリマーから構成される部材又は部分を含有する。一部の実施形態において、本発明の圧着工程において使用される圧着デバイスは、該部材又は部分を医療デバイスの他の部分又は別の医療デバイスに圧着するために使用する前に、加熱或いは冷却することができる。この加熱又は冷却により材料の温度が変化するため、周囲温度以外の標的温度にて圧着が効果的に行われる。ポリマーの温度を修正する他の方法には、特に医療デバイスの基材の加熱又は冷却或いは強制空気による直接的な材料の加熱又は冷却が含まれる。
【0076】
本発明の一部の実施形態では、動脈、静脈、神経血管、尿道、胆管、前立腺、血管内、尿管、気管支、食道、卵管(fallopial)、気管、喉頭、消化管、リンパ管、耳管(eustachiaic)、膵臓、大脳、他の泌尿生殖器、他の消化管、又は他の呼吸器の内腔若しくは通路における配置に適合するように医療デバイスを選択する。
【0077】
本発明の方法は、周囲温度超のTgを有することを特徴とするポリマー材料を含む、種々のポリマー材料に用いることができる。一部の実施形態において、該方法は、ABS樹脂;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;アクリロニトリルスチレン共重合体;アルキド樹脂;生体分子;セルロースエーテル;セルロース;コポリ(エーテル−エステル);ポリカルボン酸とポリ−ヒドロキシカルボン酸の共重合体;ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体;シアノアクリレート;エポキシ樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;エチレン−ビニルアセテート共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体;ポリ(アミノ酸);ポリ(無水物);ポリ(ブチルメタクリレート);ポリ(エステルアミド);ポリ(エステル−ウレタン);ポリ(エーテル−ウレタン);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(オルソエステル);ポリ(シリコーン−ウレタン);ポリ(チロシン−アリレート);ポリ(チロシン由来のカーボネート);ポリアクリレート;ポリアクリル酸(polyacrylic acid);ポリアクリル酸(polyacrylic acids);ポリアクリロニトリル;ポリアクリロニトリル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアミド;ポリアミノ酸;ポリ無水物;ポリカーボネート;ポリカルボン酸;ポリシアノアクリレート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリ−ヒドロキシカルボン酸;ポリイミド;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンの共重合体;ポリケトン;ポリメタクリレート;ポリオレフィン;ポリオルソエステル;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン(polyphosphoesterurethanes);ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン(polyphosphoesters-urethane);ポリウレタン;ポリビニル芳香族化合物;ポリビニルエステル;ポリビニルエーテル;ポリビニルケトン;ポリビニリデンハリド;シリコーン;デンプン;ビニル共重合体ビニル−オレフィン共重合体;並びにビニルハリドポリマー及びコポリマーを含むポリマー材料に作用する。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0078】
一部の実施形態に有用なポリマーの具体例は次のポリマーを含む:デンプン、アルギン酸ナトリウム、レーヨン−トリアセテート、レーヨン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリイソシアネート、ポリイソブチレン、ポリエチリングリコール、ポリジオクサノン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、KYNAR(Atofina社から市販されているブランドポリ(ビニリデンフルオリド))、ポリアクリロニトリル、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(グリコリド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド−co−L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ナイロン66、ヒアルロン酸、フィブリノーゲン、フィブリン、エラスチン−コラーゲン、コラーゲン、セルロースプロピオネート、セルロースナイトレート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロース、セロファン、カルボキシメチルセルロース、又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、キチン、キトサン、EVAL、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(イミノ炭酸エステル)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(N−アセチルグルコサミン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリド、レーヨン、SOLEF21508(配合はSolvay Solexis社より得られる)、及びPEO/PLA。一部の実施形態では、上記一覧のポリマーをどれでも或いはどの組合せでも特定的に除外するようにポリマー群を選択する。
【0079】
本発明に用いるポリマーは、ポリマー分子の均質混合物のようなポリマーの混合物を含み得て、或いは層構造に配置されたポリマーの組合せを用いることができる。当業者であれば、最適標的温度がポリマー又はポリマーの組合せの全体的な熱挙動に基づいて選択できるということを認識するであろう。
【0080】
一部の実施形態では、小型の疎水性薬物のような従来の薬剤を本発明のポリマー(上記のいずれの実施形態においても考察したような)に加え、これらを生体安定性の薬剤システムにする。一部の実施形態では従来の薬剤とグラフト結合し、或いは従来の薬剤と本発明のポリマーを混合する。本発明のポリマーは、生体有益性のポリマー層としての、下塗り又はトップコード層として機能することができる。
【0081】
選択された薬剤は血管平滑筋細胞活性を阻害することができる。より具体的には、薬剤活性は、再狭窄を予防し、抑制し、低減し、或いは治療するために平滑筋細胞の異常な或いは不適切な移動又は増殖を阻害することを目的とし得る。薬剤は、本発明の実施において治療効果又は予防効果を与えることが可能な任意の物質を含むことも可能である。このような活性剤の例には、抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、及び抗酸化剤のような物質とこれらの組合せ及び任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、誘導体、塩とこれらの組合せが含まれる。
【0082】
抗増殖物質の一例はアクチノマイシンD又はその誘導体と類似体である(Sigma−Aldrich社製 1001 West Saint Paul Avenue, Milwaukee, WI 53233;又はMerk社から得られるCOSMEGEN)。アクチノマイシンDの同義語には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンII、アクチノマイシンX1、及びアクチノマイシンC1が含まれる。抗腫瘍薬の例にはパクリタキセル及びドセタキセルが含まれる。抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、及び抗トロビン剤の例には、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロビン剤)、ジピリダモール、糖タンパクIIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤(Biogen社から市販)、並びに7E−3B(登録商標)(Centocor社から市販されている抗血小板剤)が含まれる。細胞分裂阻害剤の例には、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、及びミュータマイシン(mutamycin)が含まれる。細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤の例には、アンギオペプチン(Ibsen社から市販されているソマトスタチン類似体)、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、例えばCAPTOPRIL(Squibb社から市販)、CILAZAPRIL(Hoffman−LaRoche社から市販)、又はLISINOPRIL(ニュージャージー州ホワイトハウスステーション、Merk & Co.から市販)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール降下剤、Merck & Co.から市販)、モノクローナル抗体(例えば、PDGF受容体)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤(Glazo社から市販)、セラミン(PDGFアンタゴニスト)、セロトニン遮断薬、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、及び一酸化窒素が含まれる。他の有用な薬剤には、アルファインターフェロン、遺伝子処理した上皮細胞、デキサメタゾン、エストラジオール、クロベタゾールプロピオネート、シスプラシン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、及びカルボプラチンが含まれ得る。組成物の薬剤への暴露によって薬剤の組成又は特性を不利になるように変化させてはならない。従って、本発明の実施形態を含有する薬剤は、組成物に適合性のある薬剤を選択する。ラパマイシンは好適な薬剤である。加えて、メチルラパマイシン(ABT−578)、エベロリムス、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、又はその機能的類似体若しくは構造誘導体も好適である。40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの類似体又は誘導体の例には、特に40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン及び40−O−2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチル−ラパマイシンが含まれる。当業者にとっては、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンのような薬剤の放出速度を有利に調節するための種々の方法及びコーティングは既知であろう。
【0083】
一部の実施形態では、抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、若しくは抗酸化剤のような物質又は任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、誘導体、塩やこれらの組合せの少なくとも1つも、或いは如何なる組合せも含有しないように薬剤を選択する。
【0084】
本発明の一部の実施形態では、アクチノマイシンD、アクチノマイシンDの誘導体と類似体、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンII、アクチノマイシンX1、アクチノマイシンC1、パクリタキセル、ドセタキセル、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロビン剤)、ジピリダモール、糖タンパクIIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤及び7E−3B、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、ミュータマイシン(mutamycin)、アンギオペプチン、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、CAPTOPRIL、CILAZAPRIL、又はLISINOPRIL、カルシウムチャネル遮断薬、ニフェジピン、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン、モノクローナル抗体、PDGF受容体、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、セラミン、PDGFアンタゴニスト、セロトニン遮断薬、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素、アルファインターフェロン、遺伝子処理した上皮細胞、デキサメタゾン、エストラジオール、クロベタゾールプロピオネート、シスプラシン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、カルボプラチン、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン又は40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの機能的類似体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの構造誘導体、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、並びに40−O−2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチル−ラパマイシン、又は任意のプロドラッグ、代謝物質、類似体、同族体、誘導体、塩やこれらの組合せの少なくとも1つも、或いは如何なる組合せも含有しないように薬剤を選択する。
【0085】
本発明の一部の実施形態は薬剤又は薬剤の組合せを含み、その一部は薬剤又は薬剤の組合せを必要とする。上記で具体的に一覧にした薬剤の中で、本発明の一部の実施形態では、これらの薬剤のどの1つも或いはどの組合せも除外する。
【0086】
一部の実施形態は他のポリマーと多層配置されて組み合わされたポリマーを含む。例えば、1つのポリマーは、デバイス、医療デバイス、埋め込み型医療デバイス、又はステントにコーティングされたポリマーのように、別のポリマーの上又は下に重なることが可能である。ポリマーはこの点で巧みに用いることができ、或いはまず別のポリマーと混合することが可能である。
【0087】
本発明において有用な埋め込み型デバイスの例には、自動拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトが含まれる。該デバイスの下層構造は実質的に如何なる設計でも可能である。該デバイスは、金属材料又は合金、例えばコバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素ステンレススチール、例えばBIODUR108、コバルトクロム合金L−605、“MP35N”、“MP20N”、ELASTINITE(ニチノール)、タンタル、ニッケルチタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、又はこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。“MP35N”及び“MP20N”は、ペンシルベニア州ジェンキンタウン、Standard Press Steel Co.から市販されている、コバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンの合金に対する商品名である。“MP35N”はコバルト35%、ニッケル35%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。“MP20N”はコバルト50%、ニッケル20%、クロム20%、及びモリブデン10%からなる。当然であるが、当業者であれば、本発明の方法はその製造において圧着工程を用いる医療デバイスのみに有用であることを認識するであろう。
【0088】
薬剤溶出ステントの統合性を検査するために種々の特殊な試験が用いられる。これらのすべてにおいて、圧着及び加熱−圧力処理を含む、すべてのステント−カテーテルアッセンブリ処理を経ている完成ユニットを試験する。1つの試験は走査型電子顕徽鏡法による、コーティングされたステントの検査である。これは、カテーテルからステント−バルーン部分を切断することにより完成ユニットに対して行うことができ、或いは空気中での乾燥膨張又は水性溶液中での湿潤膨張によって、カテーテルからステントを取り外すことができる。SEM下にて損傷コーティングの表面領域の部分を評価することができる。損傷コーティングは変形し、断裂し、或いは除去されているコーティングである。この表面領域の部分が5〜10%を超えると、薬剤放出速度及び総薬剤含量が影響を受得る。圧着損傷に関係する、コーティングの統合性の別の尺度は、水性溶液中でステントを膨張させたときに放出される粒子の数と大きさである。予めろ過した水の溶液中にステントを配置し、利用可能な幾つかの粒子計測器のうちの1つにより放出粒子を計測する。計測器の例は、光散乱により機能するMalvern社製の計測器、Hiac−Roycoのような光遮蔽により機能する計測器、又は導電性により機能するCoulterカウンタであろう。放出粒子の数と大きさの増大はコーティングの破壊を示唆し、これは完全に剪断されたコーティング片又はステントの拡張中に伝搬して粒子を遊離させるコーティングの亀裂の形態で、圧着損傷によって影響を受ける。更に別のコーティングの圧着損傷の影響を計測する方法は急性血栓形成試験であり、この一例はSukavaneshvarらが詳述している試験である。ASAIO Journal, Aug 11,2000, p 301 and ASIAO Journal, July 5, 2000, p M393の方法では、チューブ中に配置されたステントを、血小板が放射性標識化されているウシ血液の血流に暴露した。血小板と血栓の蓄積が急性血栓形成の尺度である。コーティングの亀裂及び欠陥の影響は、コーティングされていないステント又はコーティングが亀裂及びコーティングの欠陥をより少なく、或いは全く有さないステントと比較できる。
【実施例1】
【0089】
(図1及び2のステントを製造するために用いる)
次の構成材料を混合して第一の組成物を調製した。
(a)2.0質量%のポリ(エチレン―co―ビニルアルコール)(EVAL)EC−151A及び
(b)バランス、ジメチルアセトアミド
【0090】
第一の組成物を13mm TETRAベアステント(Guidant Corporationから市販)の表面上に塗布した。まず、ステントは0.071インチのテーパマンドレル上に通すことにより予備拡張させた。コーティングに噴霧して乾燥させ、プライマ層を形成した。約60℃に維持された0.046ファンノズルを有し、給圧2.5psi(0.17気圧)及び微粒化圧約15psi(1.02気圧)を備えたスプレーコーターを用いた。コーティングを1パスあたり10μgにて塗布し、この間に空気流中で60℃にて10秒、ステントを乾燥させた。約70μgの液状コーティングを塗布した。ステントを140℃で1時間、焼成し、約50μgのEVALから構成されるプライマ層を生成した。
【0091】
プライマ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法、装置、及び配合を用いて、プライマ層に擬似リザバ層を塗布した。この場合、約340μgの液状コーティングを塗布し、続いて、例えば50℃で約2時間、焼成して乾燥させ、約300μgの擬似薬剤−ポリマーリザバ層を生成した。
【0092】
次の構成材料を混合して第二の組成物を調製することができる。
(a)2.0質量%のElast−Eon 80A及び
(b)バランス、ジメチルアセトアミド
【0093】
第二の組成物を乾燥した擬似薬剤リザバ層に塗布してトップコート層を形成できる。擬似薬剤リザバ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法及び装置を用いた。約340μgの液状トップコートを塗布し、続いて80℃で2時間、焼成し、約300μgのElast−Eon 80Aトップコート層を生成した。
【0094】
スライドウェッジクリンパを用いて、ステントを13mm Tetraカテーテル(Guidant Corporationから市販)に圧着した。バルーン配置圧12気圧で、37℃にて脱イオン水中でステントを拡張させた。SEMによる検査で図1及び2を生成した。
【実施例2】
【0095】
(図3のステントを製造するために用いる)
次の構成材料を混合して第一の組成物を調製した。
(a)4.0質量%のポリ(エチレン―co―ビニルアルコール)(EVAL)EC−151A及び
(b)バランス、80/20重量比のジメチルアセトアミドとペンタンの混合物
【0096】
第一の組成物を13mm TETRAベアステント(Guidant Corporationから市販)の表面上に塗布した。まず、ステントは0.071インチのテーパ心金上に通すことにより予備拡張させた。コーティングに噴霧して乾燥させ、プライマ層を形成した。スプレーコーターは約60℃に維持された0.046ファンノズルを有し、給圧2.5psi(0.17気圧)及び微粒化圧約15psi(1.02気圧)であった。コーティングを1パスあたり10μgにて塗布し、この間に空気流中で60℃にて10秒、ステントを乾燥させた。約65μgの液状コーティングを塗布した。ステントを140℃で1時間、焼成し、約60μgのEVALから構成されるプライマ層を生成した。
【0097】
プライマ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法、装置、及び配合を用いて、プライマ層に擬似リザバ層を塗布した。この場合、約340μgの液状コーティングを塗布し、続いて、例えば80℃で約2時間、焼成して乾燥させ、約315μgの擬似薬剤−ポリマーリザバ層を生成した。
【0098】
次の構成材料を混合して第二の組成物を調製することができる。
(a)2.0質量%のSolef21508及び
(b)バランス、50/25/25重量比のアセトン、シクロヘキサノン、及びAMS Defluxer
【0099】
AMS Defluxerはジクロロペンタフルオロプロパンとメタノールの混合物であり、テキサス州アマリロのTech Spray Inc.から市販されている。
【0100】
第二の組成物を乾燥した擬似薬剤リザバ層に塗布してトップコート層を形成できる。擬似薬剤リザバ層に塗布するために用いるのと同じ噴霧技法及び装置を用いた。約345μgの液状トップコートを塗布し、続いて50℃で2時間、焼成し、325μgのSolef21508トップコート層を生成した。
【0101】
スライドウェッジクリンパを用いて、ステントを13mm Tetraカテーテル(Guidant Corporationから市販)に圧着した。この後、ステントを加熱及び圧力処理に付し、ここでバルーンをシースで拘束し、カテーテルに空気圧を加え、バルーンに熱を加えた。ユニットをパッケージングし、線量35KGyにて電子ビーム放射により滅菌した。3つの緩徐な90度の屈曲を有するブロック内に組み込まれた可撓性シリコーンチューブにガイドカテーテルが接続された装置において、ステントコーティングの性能を評価した。37℃の脱イオン水をガイドカテーテル中に再循環させた。ガイドカテーテルに取り付けられた回転止血弁中に、ガイドカテーテル中に、湾曲シリコーンチューブ中にステントを通し、12気圧の圧力にて配置した。ステントをチューブから取り外した後、SEMによる検査で図3及び4を生成した。
【実施例3】
【0102】
(図10に示すステントを製造するために用いる)
ステントをポリマーチューブからレーザーカットし、次に所望の径に圧着する。スライドウェッジ型加熱クリンパを用いる。圧着処理中、ステントはマンドレルワイヤに支持される。
パラメータ:
チューブ材料: 100%ポリ(L−ラクチド)
チューブOD: 0.084”
チューブID: 0.070”
予熱温度: 30℃
予熱時間: 30秒
圧着温度: 30℃
降下時間: 3〜5秒
マンドレル径: 0.031”
圧着後停止時間: 99.9秒
圧着サイクル数: 1
【0103】
ジュロメータ硬さの測定に適切な規格はASTM D2240又はISO868である。
【0104】
本発明の特定の実施形態を示して説明したが、本発明の実施形態から逸脱することなくより広範な態様において変更および改変が可能であることは当業者には明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲はその範囲内で、本発明の実施形態の真の精神および範囲内に含まれるものとして、こうしたあらゆる変更および改変を包含するものとする。加えて、種々の実施形態について上述した。便宜的に、当業者であればそれらが必ずしも限定的であることを意図しない場合に、互いを含まずに読み得るように、本発明の実施形態を構成する態様の組合せを一覧にした。しかし、1つの実施形態の態様の列挙はすべての実施形態においてその使用を開示することを意図するものであり、必要以上に実験を行うことなく、その態様は実施形態に組み込まれる。同様に、実施形態の構成部分としての態様の列挙は、その態様を特定的に除外する補足的な実施形態が存在するという暗黙の了解である。本明細書で挙げたすべての特許、試験手順、及び他の文書は、この資料が本明細書と一致する範囲で、また、このような組込みが許容される法域に対して、参照して組み込まれる。
【0105】
更に、一部の実施形態では範囲を列挙している。これを行う場合、それは複数の範囲を1つの範囲として開示し、エンドポイントを含む、その範囲内のすべてのポイントを開示することを意味する。1つの態様に対する特定の値又は条件を開示する実施形態では、別の点では同一であっても、その態様の値又は条件を特定的に除外する補足的な実施形態が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1において製造されるコーティングを示す写真図である。これは、圧着、把持、及び湿潤膨張試験後のEVAL上のElasteon 80Aコーティングである。
【図2】実施例1において製造される別のコーティングを示す写真図である。これは、圧着、把持、及び湿潤膨張試験後のEVAL上のElasteon 80Aコーティングである。
【図3】実施例3の手順を用いて製造される、EVAL上のSolef21508のトップコートを示す写真図である。
【図4】実施例3の手順を用いて製造される、EVAL上のSolef21508の別のトップコートを示す写真図である。
【図5】温度の関数としてポリプロピレンの引張降伏応力を示すグラフ図である。
【図6】熱可塑性ポリマーの応力−歪み曲線の温度に伴う変化を示すグラフ図である。
【図7】典型的な熱可塑性ポリマーの熱容量対温度を示すグラフ図である。
【図8】ステント−デリバリーデバイスの組合せを示す断面図である。
【図9】熱圧着後のポリマーステントを示す写真図である。
【図10】熱圧着後の実施例3のポリマーステントを示す写真図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー又はポリマーの組合せと任意で薬剤を含む部材を含む医療デバイスを製造する方法であって、
前記部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着工程を行うステップ、
圧着工程中に前記部材の温度を標的温度に調整するステップ、
圧着工程中に前記部材の温度を標的温度に調整し、前記部材の温度を標的温度のプラスマイナス5℃以内に維持するステップ、
前記部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着を行って、圧着工程中に前記部材の温度が標的温度のプラスマイナス10℃以内に維持するようにするステップ、又は
圧着工程中に前記部材の温度を周囲温度以外の温度に調整して標的温度に向け、前記部材の温度を標的温度に向かって調整し続けるステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記圧着工程が、クリンパを締め、前記部材の温度を第二の温度に調整し、クリンパを開けるステップを有し、前記第二の温度は標的温度を超える又は標的温度未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の温度がアニーリング温度である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスがカテーテルを更に含み、前記圧着工程により前記部材がカテーテルに装着される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、周囲温度未満のTgを有するポリマーを含み、或いは周囲温度超のTgを有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、ポリ(エステルアミド);ABS樹脂;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;アクリロニトリルスチレン共重合体;アルキド樹脂;セルロースエーテル;セルロース;コポリ(エーテル−エステル);ポリカルボン酸とポリ−ヒドロキシカルボン酸の共重合体;ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体;シアノアクリレート;エポキシ樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;エチレン−ビニルアセテート共重合体;ポリ(アミノ酸);ポリ(無水物);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(オルソエステル);ポリ(チロシン−アリレート);ポリ(チロシン由来のカーボネート);ポリアクリレート;ポリアクリル酸;ポリアクリル酸;ポリアクリロニトリル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアミド;ポリアミノ酸;ポリ無水物;ポリ無水物;ポリカーボネート;ポリカルボン酸;ポリシアノアクリレート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリ−ヒドロキシカルボン酸;ポリイミド;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンの共重合体;ポリケトン;ポリメタクリレート;ポリオレフィン;ポリオルソエステル;ポリオルソエステル;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン;ポリウレタン;ポリウレタン;ポリ(エーテル−ウレタン);ポリ(エステル−ウレタン);ポリ(シリコーン−ウレタン);ポリビニルアルコール;ポリビニル芳香族化合物;ポリビニルエステル;ポリビニルエーテル;ポリビニルケトン;ポリ(ビニリデンフルオリド);ポリ(ビニリデンクロリド);ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン);ポリ(ビニリデンフルオリド−co−クロロトリフルオロエチレン);ポリ(ビニルフルオリド);ポリ(ビニルクロリド);ポリビニリデンハリド;シリコーン;デンプン;ビニル共重合体ビニル−オレフィン共重合体;ビニルハリドポリマー及びコポリマー;並びにビニルハリドポリマービニルハリドポリマー共重合体のうちの1つ又は任意の組合せであるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、デンプン、アルギン酸ナトリウム、レーヨン−トリアセテート、レーヨン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリイソシアネート、ポリイソブチレン、ポリエチリングリコール、ポリジオクサノン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリアクリロニトリル、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(グリコリド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド−co−L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ナイロン66、ヒアルロン酸、フィブリノーゲン、フィブリン、エラスチン−コラーゲン、コラーゲン、セルロースプロピオネート、セルロースナイトレート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロース、セロファン、カルボキシメチルセルロース、又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のうちの1つ又は任意の組合せであるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記部材が自動拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記部材が抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、抗酸化剤、又はこれらの組合せから選択される薬剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
60℃以上;
60℃とTg域の高Tgの間;
60℃とTg域の低Tgの間;又は
60℃と周囲温度の間
である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
治療剤が実質的に分解する温度より低い温度に前記標的温度が限定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度を除外し、周囲温度プラスマイナス1℃を除外し、又は、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
デリバリーカテーテル又はデリバリーカテーテルのバルーンにステントを圧着する方法であって、
前記カテーテル又はバルーンに対して前記ステントの位置を合わせるステップと、
前記カテーテル又はバルーンに前記ステントを標的温度にて圧着するステップと
を含み、
標的温度が前記周囲温度以外の温度である方法。
【請求項14】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
60℃以上;
60℃と高Tgの間;
60℃と低Tgの間;又は
60℃と周囲温度の間
である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
60℃以上;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
60℃と高Tgの間;
60℃と低Tgの間;又は
60℃と周囲温度の間
である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、周囲温度未満のTgを有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、周囲温度超のTgを有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度未満;
室温未満;
周囲温度超;
室温超;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
80℃以上;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティング中に存在する治療剤が実質的に分解する温度より低い温度に標的温度が限定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティング中に存在する薬剤が、その目的とする使用には実質的に不十分となる温度より低い温度に標的温度が限定される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記標的温度が、圧着中に変形及び剥離に基づく破壊を同時に最小限にするように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が周囲温度を除外する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス1℃を除外する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
標的温度がショア硬度に変化を生じさせるように選択され、
前記変化がプラス50%;又は
前記変化がマイナス50%
である、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記変化がプラス20%;又は
前記変化がマイナス20%
である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記標的温度が、
60Aから80Dのショア硬度を有し、圧着中に主に変形に基づく破壊を示し、室温超のTgを有し、或いは周囲温度超のTgを有するポリマーでは:
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;であって、
60Dから95Dのショア硬度を有し、圧着中に主に剥離に基づく破壊を示し、室温超のTgを有し、或いは周囲温度未満のTgを有するポリマーでは:
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
60Aから80Dのショア硬度を有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
60Dから95Dのショア硬度を有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
室温超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
室温超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
周囲温度超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
周囲温度未満のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度がポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下である、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が周囲温度未満である、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が−40℃以下である、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が周囲温度とTg域の高Tgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が−40℃とTg域の高Tgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度がポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上である、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が周囲温度超である、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が80℃以上である、請求項28に記載の方法。
【請求項45】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が80℃とTg域の高Tgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記標的温度が、圧着中に変形又は剥離に基づく破壊を最小限にするように選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が周囲温度を除外する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス1℃を除外する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
標的温度がショア硬度に変化を生じさせるように選択され、
前記変化がプラス50%;又は
前記変化がマイナス50%
である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記変化がプラス20%;又は
前記変化がマイナス20%
である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記温度の調整が、前記コーティング又はコーティングされた部材をヒートシンク又は熱源と熱接触させるように配置するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項53】
前記温度の調整が、
前記コーティング又はコーティングされた部材をヒートシンク又は熱源と熱接触させるステップと、
前記コーティング又はコーティングされた部材に加熱ガス又は冷却ガスを向けるステップと、
前記コーティング又はコーティングされた部材に熱放射又は赤外線放射を照射する、或いはコーティング又はコーティングされた部材から熱放射又は赤外線放射を吸収するための加熱面又は冷却面の近傍に、コーティング又はコーティングされた部材を配置するステップと、
前記コーティング又はコーティングされた部材を加熱面又は冷却面の近傍に配置し、コーティング又はコーティングされた部材への伝熱或いはコーティング又はコーティングされた部材から表面への伝熱を可能にするステップと、
クリンパの挟み口を加熱或いは冷却するステップと、
コーティング又はコーティングされた部材を前記クリンパの挟み口と熱接触させるステップと、
赤外線放射の通過を許容するクリンパの挟み口に対し、カテーテル上のステントに赤外線放射を照射するステップと、
カテーテル上の前記ステントをインキュベータ又はオーブンの中で加熱し、或いはカテーテル上の前記ステントを冷却器の中で冷却し、圧着前にカテーテル上のステントを所望の温度に予備平衡させるステップと
を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記温度の調整が、前記コーティング又はコーティングされた部材をヒートシンク又は熱源と熱接触させるように配置するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒートシンク又は熱源が圧着デバイスと一体化している、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒートシンク又は熱源が圧着デバイスと一体化している、請求項29に記載の方法。
【請求項57】
デリバリーカテーテル又は前記デリバリーカテーテルのバルーンにステントを圧着する方法であって、
前記カテーテル又はバルーンに対して前記ステントの位置を合わせるステップと、
前記カテーテル又はバルーンに前記ステントを圧着するステップと
を含み、
圧着が標的温度で行われ、前記標的温度が周囲温度以外の温度である方法。
【請求項58】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度未満;
室温未満;
周囲温度超;
室温超;
−40℃以下;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
80℃以上;
80℃と高Tgの間;
80℃と低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;又は
−40℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
80℃と高Tgの間;
80℃と低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
周囲温度超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;又は
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
周囲温度未満のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
80℃と高Tgの間;
80℃と低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項1】
ポリマー又はポリマーの組合せと任意で薬剤を含む部材を含む医療デバイスを製造する方法であって、
前記部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着工程を行うステップ、
圧着工程中に前記部材の温度を標的温度に調整するステップ、
圧着工程中に前記部材の温度を標的温度に調整し、前記部材の温度を標的温度のプラスマイナス5℃以内に維持するステップ、
前記部材の温度を標的温度に調整し、続いて圧着を行って、圧着工程中に前記部材の温度が標的温度のプラスマイナス10℃以内に維持するようにするステップ、又は
圧着工程中に前記部材の温度を周囲温度以外の温度に調整して標的温度に向け、前記部材の温度を標的温度に向かって調整し続けるステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記圧着工程が、クリンパを締め、前記部材の温度を第二の温度に調整し、クリンパを開けるステップを有し、前記第二の温度は標的温度を超える又は標的温度未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の温度がアニーリング温度である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスがカテーテルを更に含み、前記圧着工程により前記部材がカテーテルに装着される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、周囲温度未満のTgを有するポリマーを含み、或いは周囲温度超のTgを有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、ポリ(エステルアミド);ABS樹脂;アクリルポリマー及びアクリルコポリマー;アクリロニトリルスチレン共重合体;アルキド樹脂;セルロースエーテル;セルロース;コポリ(エーテル−エステル);ポリカルボン酸とポリ−ヒドロキシカルボン酸の共重合体;ビニルモノマー同士及びオレフィンとの共重合体;シアノアクリレート;エポキシ樹脂;エチレンビニルアルコール共重合体;エチレン−α−オレフィン共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;エチレン−ビニルアセテート共重合体;ポリ(アミノ酸);ポリ(無水物);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(オルソエステル);ポリ(チロシン−アリレート);ポリ(チロシン由来のカーボネート);ポリアクリレート;ポリアクリル酸;ポリアクリル酸;ポリアクリロニトリル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアミド;ポリアミノ酸;ポリ無水物;ポリ無水物;ポリカーボネート;ポリカルボン酸;ポリシアノアクリレート;ポリエステル;ポリエーテル;ポリ−ヒドロキシカルボン酸;ポリイミド;ポリイソブチレンとエチレン−α−オレフィンの共重合体;ポリケトン;ポリメタクリレート;ポリオレフィン;ポリオルソエステル;ポリオルソエステル;ポリオキシメチレン;ポリホスファゼン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン;ポリウレタン;ポリウレタン;ポリ(エーテル−ウレタン);ポリ(エステル−ウレタン);ポリ(シリコーン−ウレタン);ポリビニルアルコール;ポリビニル芳香族化合物;ポリビニルエステル;ポリビニルエーテル;ポリビニルケトン;ポリ(ビニリデンフルオリド);ポリ(ビニリデンクロリド);ポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン);ポリ(ビニリデンフルオリド−co−クロロトリフルオロエチレン);ポリ(ビニルフルオリド);ポリ(ビニルクロリド);ポリビニリデンハリド;シリコーン;デンプン;ビニル共重合体ビニル−オレフィン共重合体;ビニルハリドポリマー及びコポリマー;並びにビニルハリドポリマービニルハリドポリマー共重合体のうちの1つ又は任意の組合せであるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、デンプン、アルギン酸ナトリウム、レーヨン−トリアセテート、レーヨン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリイソシアネート、ポリイソブチレン、ポリエチリングリコール、ポリジオクサノン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリアクリロニトリル、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(グリコリド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L−ラクチド−co−L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ナイロン66、ヒアルロン酸、フィブリノーゲン、フィブリン、エラスチン−コラーゲン、コラーゲン、セルロースプロピオネート、セルロースナイトレート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロース、セロファン、カルボキシメチルセルロース、又はポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のうちの1つ又は任意の組合せであるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記部材が自動拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフトから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記部材が抗増殖剤、抗腫瘍薬、抗消炎薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン剤、抗トロビン剤、細胞分裂阻害剤、抗生物質、抗酸化剤、又はこれらの組合せから選択される薬剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
60℃以上;
60℃とTg域の高Tgの間;
60℃とTg域の低Tgの間;又は
60℃と周囲温度の間
である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
治療剤が実質的に分解する温度より低い温度に前記標的温度が限定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度を除外し、周囲温度プラスマイナス1℃を除外し、又は、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
デリバリーカテーテル又はデリバリーカテーテルのバルーンにステントを圧着する方法であって、
前記カテーテル又はバルーンに対して前記ステントの位置を合わせるステップと、
前記カテーテル又はバルーンに前記ステントを標的温度にて圧着するステップと
を含み、
標的温度が前記周囲温度以外の温度である方法。
【請求項14】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
60℃以上;
60℃と高Tgの間;
60℃と低Tgの間;又は
60℃と周囲温度の間
である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
60℃以上;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
60℃と高Tgの間;
60℃と低Tgの間;又は
60℃と周囲温度の間
である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、周囲温度未満のTgを有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー又はポリマーの組合せが、周囲温度超のTgを有するポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度未満;
室温未満;
周囲温度超;
室温超;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
80℃以上;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティング中に存在する治療剤が実質的に分解する温度より低い温度に標的温度が限定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティング中に存在する薬剤が、その目的とする使用には実質的に不十分となる温度より低い温度に標的温度が限定される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記標的温度が、圧着中に変形及び剥離に基づく破壊を同時に最小限にするように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が周囲温度を除外する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス1℃を除外する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
標的温度がショア硬度に変化を生じさせるように選択され、
前記変化がプラス50%;又は
前記変化がマイナス50%
である、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記変化がプラス20%;又は
前記変化がマイナス20%
である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記標的温度が、
60Aから80Dのショア硬度を有し、圧着中に主に変形に基づく破壊を示し、室温超のTgを有し、或いは周囲温度超のTgを有するポリマーでは:
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;であって、
60Dから95Dのショア硬度を有し、圧着中に主に剥離に基づく破壊を示し、室温超のTgを有し、或いは周囲温度未満のTgを有するポリマーでは:
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
60Aから80Dのショア硬度を有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
60Dから95Dのショア硬度を有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
室温超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
室温超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
周囲温度超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
−40℃とTg域の高Tgの間;
−40℃とTg域の低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
周囲温度未満のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度とTg域の高Tgの間;
周囲温度とTg域の低Tgの間;
80℃とTg域の高Tgの間;
80℃とTg域の低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度がポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下である、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が周囲温度未満である、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が−40℃以下である、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が周囲温度とTg域の高Tgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が−40℃とTg域の高Tgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度がポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上である、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が周囲温度超である、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が80℃以上である、請求項28に記載の方法。
【請求項45】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が80℃とTg域の高Tgの間である、請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記標的温度が、圧着中に変形又は剥離に基づく破壊を最小限にするように選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が周囲温度を除外する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス1℃を除外する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域が、周囲温度プラスマイナス5℃を除外する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
標的温度がショア硬度に変化を生じさせるように選択され、
前記変化がプラス50%;又は
前記変化がマイナス50%
である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記変化がプラス20%;又は
前記変化がマイナス20%
である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記温度の調整が、前記コーティング又はコーティングされた部材をヒートシンク又は熱源と熱接触させるように配置するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項53】
前記温度の調整が、
前記コーティング又はコーティングされた部材をヒートシンク又は熱源と熱接触させるステップと、
前記コーティング又はコーティングされた部材に加熱ガス又は冷却ガスを向けるステップと、
前記コーティング又はコーティングされた部材に熱放射又は赤外線放射を照射する、或いはコーティング又はコーティングされた部材から熱放射又は赤外線放射を吸収するための加熱面又は冷却面の近傍に、コーティング又はコーティングされた部材を配置するステップと、
前記コーティング又はコーティングされた部材を加熱面又は冷却面の近傍に配置し、コーティング又はコーティングされた部材への伝熱或いはコーティング又はコーティングされた部材から表面への伝熱を可能にするステップと、
クリンパの挟み口を加熱或いは冷却するステップと、
コーティング又はコーティングされた部材を前記クリンパの挟み口と熱接触させるステップと、
赤外線放射の通過を許容するクリンパの挟み口に対し、カテーテル上のステントに赤外線放射を照射するステップと、
カテーテル上の前記ステントをインキュベータ又はオーブンの中で加熱し、或いはカテーテル上の前記ステントを冷却器の中で冷却し、圧着前にカテーテル上のステントを所望の温度に予備平衡させるステップと
を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記温度の調整が、前記コーティング又はコーティングされた部材をヒートシンク又は熱源と熱接触させるように配置するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒートシンク又は熱源が圧着デバイスと一体化している、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒートシンク又は熱源が圧着デバイスと一体化している、請求項29に記載の方法。
【請求項57】
デリバリーカテーテル又は前記デリバリーカテーテルのバルーンにステントを圧着する方法であって、
前記カテーテル又はバルーンに対して前記ステントの位置を合わせるステップと、
前記カテーテル又はバルーンに前記ステントを圧着するステップと
を含み、
圧着が標的温度で行われ、前記標的温度が周囲温度以外の温度である方法。
【請求項58】
前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度未満;
室温未満;
周囲温度超;
室温超;
−40℃以下;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;
−40℃と周囲温度の間;
80℃以上;
80℃と高Tgの間;
80℃と低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
圧着中に主に変形に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;又は
−40℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
圧着中に主に剥離に基づく破壊を示すポリマーでは、前記標的温度が、
ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
80℃と高Tgの間;
80℃と低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
周囲温度超のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以下;
周囲温度未満;
室温未満;
−40℃以下;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
−40℃と高Tgの間;
−40℃と低Tgの間;又は
−40℃と周囲温度の間;
である、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
周囲温度未満のTgを有するポリマーでは、前記標的温度が、
前記ポリマー又はポリマーの組合せのTg域の定義1、定義2、定義3、定義4、定義5、定義6、又は定義7によって画定される範囲内以上;
周囲温度超;
室温超;
80℃以上;
周囲温度と高Tgの間;
周囲温度と低Tgの間;
80℃と高Tgの間;
80℃と低Tgの間;又は
80℃と周囲温度の間
である、請求項57に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−512908(P2007−512908A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542693(P2006−542693)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/040121
【国際公開番号】WO2005/053937
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(504183388)アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド (40)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/040121
【国際公開番号】WO2005/053937
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(504183388)アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド (40)
【Fターム(参考)】
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