説明

温感マッサージ料

【課題】塗布時の滑らかな伸び広がり、温感効果に優れ、安定性も良好である温感マッサージ料を提供すること。
【解決手段】成分(a)グリセリン、成分(b)グリセリン変性シリコーンを含有する第1剤と、成分(c)水への溶解熱が発熱反応であり、化粧品への適用が許容される塩を含有する第2剤とからなり、肌への適用時にこれを混合して使用することを特徴とする温感マッサージ料。更に、成分(d)として、球状粉体を含有する温感マッサージ料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温感マッサージ料に関し、更に詳細には、グリセリンおよびグリセリン変性シリコーンを含有する第1剤と、水への溶解熱が発熱反応である塩を含有する第2剤を肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料で、塗布時の滑らかな伸び広がりに優れ、温感効果を実感できる温感マッサージ料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、血行促進や新陳代謝促進等を期待し、使用時に暖かさ、温感を感じられるマッサージ料が開発されている。温感を感じられるマッサージ料は、例えば、第1剤、第2剤といった複数の製剤から構成され、肌に塗布する直前、もしくは肌に塗布している最中にこれらを混合することにより発熱反応を呈し、肌に適用したときに暖かさという温感効果を実感できる、顔もしくは全身の肌に適用可能な化粧料である。
こうした温感マッサージ料においては、温感効果を具現化するために、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールといったポリオールや、塩化カルシウム、塩化マグネシウムといった水への溶解熱が発熱反応の塩が用いられてきた。
しかし、ポリオールは、その固有の粘性によりべたつきを感じ、塗布時の伸び広がりが悪いといった使用性上の欠点があり、塩は、塗布時に塩自体の粒子のざらつきを感じ、滑らかな伸び広がり感が得られず、使用感が優れない場合があった。
【0003】
これらの改善のため、ポリオールの含有量や組合せを調整し、滑り性を良くする方法(特許文献1参照)や、塩を含有する発熱粉体の粒径を小さくする方法(特許文献2参照)、発熱性粉体をエタノールに溶解する方法(特許文献3参照)等が検討されている。
【特許文献1】特開平11−12126号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献2】特開2000−38333号公報(第1頁−第5頁)
【特許文献3】特開2001−139450号公報(第1頁−第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリオールの含有量を低減させると、十分な温感効果を得られず、ポリオールの組合せを調整しても、独特のべたつき感は解消しきれない場合があり、温感効果および使用性において、共に十分満足のいくものではなかった。
また、塩を含有する発熱粉体そのものの粒径を小さく規定しても、塩の種類によっては潮解性を有するため、大気中の水分を吸湿して粒径が次第に増大することにより、より一層のざらつき感を感じる場合もあった。
更に、エタノールに可溶な発熱性の塩をエタノールに溶解させても、エタノールの気化熱による清涼感を感じられ、使用感は良好になるものの、温感効果としては満足のいくものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、第1剤として、グリセリンおよびグリセリン変性シリコーンとを組み合わせ、且つ水への溶解熱が発熱反応であり化粧品への適用が許容される塩を第2剤とすることにより、従来にない滑らかな伸び広がりを実現するとともに、十分満足のいく温感効果が得られ、なお且つ安定性にも優れることを見出した。
更には、球状粉体を含有することにより、また、第2剤の塩を塩化カルシウムおよび/またはその水和物、塩化マグネシウムおよび/またはその水和物より選ばれる一種もしくは二種以上とすることにより、塗布時の使用性がより一層優れることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(a)および(b);
(a)グリセリン
(b)グリセリン変性シリコーン
を含有する第1剤と、
成分(c);
(c)水への溶解熱が発熱反応であり、化粧品への適用が許容される塩
を含有する第2剤、
とからなり、肌への適用時にこれを混合して使用することを特徴とする温感マッサージ料を提供するものである。
【0007】
また、更に成分(d)として、球状粉体を含有し、肌への適用時に混合して使用することを特徴とする温感マッサージ料を提供するものである。
そして、成分(c)が塩化カルシウムおよび/またはその水和物、塩化マグネシウムおよび/またはその水和物より選ばれる一種もしくは二種以上である肌への適用時に混合して使用することを特徴とする温感マッサージ料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料は、伸び広がりに優れ、充分な温感効果も得られ、安定性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料に用いられる第1剤に配合する成分(a)は、グリセリンで、温感効果を具現化するための必須成分である。
【0010】
成分(a)の含有量は、特に限定されないが、第1剤と第2剤を合わせた量の20〜80質量%(以下、単に「%」と略す)が好ましく、30〜70%がより好ましい。成分(a)をこの範囲で含有すると、温感効果に優れるマッサージ料を得ることができる。
【0011】
本発明に用いられる成分(b)は、成分(a)特有のべたつきを抑え、伸び広がりを良好にし、マッサージ化粧料としての使用性を向上させ、第1剤の安定性も向上させるために配合されるものであり、下記一般式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
〔式中R1は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又はフッ素置換アルキル基、R2は下記式(A)、(B)又は(C)、
【0014】
【化2】

【0015】
(但し、Qは炭素数1〜10の炭化水素基、lは1〜20、mは1〜20の正の整数である。)で示される基、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、又は上記式(A)、(B)、(C)で示される基、a、bはそれぞれ0以上の整数であるが、bが0のときR3の少なくとも1つは上記式(A)、(B)、(C)で示される基を示す。〕、
もしくは下記一般式(2)
【0016】
【化3】

【0017】
(但し、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、w、zはそれぞれ1以上の整数である)、もしくは下記一般式(3)、
【0018】
【化4】

【0019】
(但し、nは1以上の整数である)で示されるグリセリン変性シリコーンである。
【0020】
本発明に用いられる成分(b)は、上記の一般式(1)、(2)、(3)に示すごとく、シリコーン鎖に(ポリ)グリセリンがスペーサーを介して結合している化合物である。上記一般式(1)で表される化合物において、R1は炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又はフッ素置換アルキル基であるが、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デケル基、フェニル基、トリフロロプロピル基などが挙げられる。またR2が上記式(A)又は(B)である一般式(1)のポリグリセリン変性シリコーンは特公昭62−34039号に、またR2が上記式(C)である一般式(1)のポリグリセリン変性シリコーンは特開平4−20531号に、各々界面活性剤としての利用が提案されており、それらの製造方法が開示されているが、その製法に限定されるものではない。また、市販品として、INCI名がポリグリセリル−3 ジシロキサン ジメチコンであり、特開2002−179798号公報に記載のKF−6100(信越化学工業社製)やINCI名がポリグリセリル−3 ポリジメチルシロキシエチル ジメチコンであるKF−6104(信越化学工業社製)等がある。
【0021】
本発明の肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料に用いられる成分(b)の含有量は、特に限定されないが、第1剤と第2剤を合わせた量の0.1〜10%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。成分(b)をこの範囲で含有すると、成分(a)特有のべたつきを抑え、伸び広がりを良好にし、マッサージ化粧料としての使用性を向上させることができる。
【0022】
一方、本発明の第2剤に配合する成分(c)の水への溶解熱が発熱反応であり、化粧品への適用が許容される塩は、イオン結晶構造を有している塩が、イオンが解離した状態を経て水和することにより溶解し、この時のエネルギー準位が元のイオン結晶状態のエネルギー準位より低くなるために発熱反応となる塩であり、塩化マグネシウム、塩化カルシウムやその水和物等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
成分(c)の由来物質、製法、粒径等は特に制限はないが、温感効果の高さから、塩化カルシウム及び/又はその水和物、塩化マグネシウム及び/又はその水和物がより好ましい。
市販品として、無水塩化マグネシウム(特級)、塩化マグネシウム六水和物(食品添加物)、無水塩化カルシウム(特級)、塩化カルシウム二水和物(食品添加物)(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0023】
本発明の成分(c)の含有量は、特に制限されないが、第1剤と第2剤を合わせた量の20〜80%が好ましく、更には30〜70%がより好ましい。成分(c)をこの範囲で含有すると、適用時に第1剤と混合し用いることにより、発熱反応による温感効果が十分に発揮される。
【0024】
また、本発明の温感マッサージ料には更に成分(d)として、球状粉体を配合することにより、成分(c)のざらつきが抑えられ、また、伸び広がり、マッサージ効果がより良好なものとすることができる。
成分(d)の球状粉体としては、その形状が、略球状も含め球状であれば特に限定されず、多孔質、無孔質、中空状等の粒子構造も問わない。例えば、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、スチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、四フッ化エチレン、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、セルロース、ウレタン等の有機球状粉体、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウムの無機球状粉体が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。またこれらの、有機−有機粉体もしくは無機−無機粉体、もしくは有機−無機粉体のように組み合わされた複合粉体や、伸展性の向上等のために、シリコーン類、フッ素化合物類等の油剤類を用いて通常公知の方法により、表面処理したものを用いても良い。
また、成分(d)の平均粒子径は1〜200μmが、伸び広がりの点で好ましく、5〜100μmがより好ましい。
成分(d)は、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0025】
成分(d)の市販品としては、シリカマイクロビート P−1505、シリカマイクロビート N−1505、シリカマイクロビートP−1500、シリカマイクロビートN−1500(いずれも触媒化成工業社製)、PLASTIC POWDER D−400(根上工業社製)、マツモトマイクロスフェアー M311(松本油脂製薬社製)、ナイロンパウダー SP−500(東レ社製)、トスパール105、トスパール120、トスパール130、トスパール145、トスパール240、トスパール3120、トスパール2000、(以上、東芝シリコーン社製)や、KSP−100、KSP−300(信越化学工業社製)、ゴッドボールシリーズ(鈴木油脂工業社製)、サンスフェアシリーズ(旭硝子社製)、サイロスフェアシリーズ(富士シリシア化学社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明の温感マッサージ料に用いられる成分(d)の含有量は、特に制限されないが、第1剤と第2剤を合わせた量の1〜30%が好ましく、更には5〜20%がより好ましい。成分(d)を、成分(a)および(b)を含有する第1剤および/もしくは成分(c)を含有する第2剤に、この範囲で含有すると、伸び広がりに優れた温感マッサージ料を得ることができる。
【0027】
本発明の温感マッサージ料には、上記(a)〜(d)成分の他に、感触調整、保存安定性の向上等を目的とし、発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ適宜、界面活性剤、粉体、油剤、高分子、水、色素、香料、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン等の保湿剤、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の防腐剤等を含有することができる。
【0028】
本発明の温感マッサージ料に含有可能な成分(b)以外の界面活性剤としては、通常化粧品に用いられている界面活性剤であれば、何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0029】
本発明の温感マッサージ料に含有可能な粉体としては、通常化粧用粉体として用いられている成分(d)の球状粉体以外の粉体を含有可能である。
具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体等が挙げられる。更に、これら粉体を、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の通常公知の処理剤により、表面処理を施して含有することも可能であり、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0030】
本発明の温感マッサージ料には、更に油剤を含有することにより、伸び広がり等塗布時の感触を調整することができる。
ここで用いられる油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、炭酸ジアルキルエステル、コレステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0031】
本発明の温感マッサージ料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、成分(a)、(b)、及び必要に応じ上記任意成分をホモミキサーで混合し第1剤となし、成分(c)及び必要に応じ任意成分を加えたものを第2剤とする方法が挙げられる。
成分(d)を配合する場合は、成分(a)、(b)を含有する第1剤に成分(d)をアジデスパーにて混合分散するか、もしくは、成分(c)を含有する第2剤に成分(d)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)等で混合分散する方法、第1剤と第2剤のそれぞれに成分(d)を混合させる方法が挙げられる。
そして、第1剤、第2剤を樹脂チューブ、ガラス瓶、フィルム等の容器に充填し、肌への適用時に混合して使用すればよい。
【0032】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0033】
本発明品1〜14および比較品1〜11:温感マッサージ料
表1及び表2に示す組成の温感マッサージ料を下記製造方法により調製し、(イ)塗布時の伸び広がりの良さ、(ロ)塗布時のなめらかさ、(ハ)ざらつき感のなさ、(ニ)温感効果、(ホ)第1剤の安定性の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1及び表2に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
(製造方法)
A:成分1〜7をホモミキサーにて混合分散する。
B:成分8〜10をAに添加し、ホモミキサーにて混合分散する。
C:Bを樹脂容器に充填し、温感マッサージ料・第1剤を得た。
D:成分11〜17をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて均一分散する。
E:Dを樹脂容器に充填し、温感マッサージ料・第2剤を得た。
【0037】
〔(イ)〜(ニ)の評価〕
化粧品評価専門パネル30名に、本発明品1〜14、比較品1〜11の温感マッサージ料を第1剤と第2剤を混合して使用してもらい、(イ)塗布時の伸び広がりの良さ、(ロ)塗布時のなめらかさ、(ハ)ざらつき感のなさについては、下記評価基準(1)に従って、(ニ)温感効果については、暖かさを感じ、気持ちよいと感じるか、評価基準(2)に従って5段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準(1):
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
評価基準(2):
[評価結果] :[評 点]
適度な暖かさを感じ、温熱による気持ちよさを感じた : 5点
暖かさを感じ、やや気持ちよいと感じた : 4点
暖かさは感じたが、気持ちよいとまでは感じなかった : 3点
極僅かに暖かさを感じたが、気持ちよいとは感じなかった : 2点
暖かさを少しも感じなかった : 1点
【0038】
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0039】
〔(ホ)第1剤の安定性 の評価〕
発明品及び比較品の温感マッサージ料の第1剤をガラス瓶(釜屋化学工業社製)に充填し、50℃に設定した恒温槽(ヤマト科学社製)に静置し、1週間後に目視による観察を行い、安定性(透明性)の確認を実施し、以下に示す判定基準に従って判定した。
[評点の平均点] :[判 定]
透明で均一な一層の状態である : ◎
やや白濁しているが、均一な一層の状態である : ○
均一な一層の状態であるが、完全に白濁している : △
二層に分離した状態である : ×
【0040】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明品1〜14の温感マッサージ料は、水を含まないものも含め、「温感効果」に優れ、「塗布時の伸び広がりの良さ」、「塗布時のなめらかさ」、「ざらつき感のなさ」、「安定性」についても優れた効果を発揮する温感マッサージ料であった。これに対して、成分(a)を含有しない比較品1では、「塗布時の伸び広がりの良さ」、「塗布時のなめらかさ」、「温感効果」が良好ではなかった。また、成分(b)を含有しない比較品2では、「塗布時の伸び広がりの良さ」、「塗布時のなめらかさ」、「ざらつき感のなさ」が良好ではなかった。同様に、成分(b)を含有しない比較品3は、成分(d)の球状粉体を配合しても、「塗布時の伸び広がりの良さ」、「塗布時のなめらかさ」が良好ではなかった。そして、成分(c)を含有しない比較品4および5では、「温感効果」が得られず、更に、成分(b)の代わりに非イオン性界面活性剤を用いた比較品6および比較品7、カチオン性界面活性剤を用いた比較品8および比較品9、アニオン性界面活性剤を用いた比較品10および11では「安定性」が良好ではなかった。
【実施例2】
【0041】
実施例2:温感マッサージ料
(成分) (%)
(第1剤)
1.グリセリン 35
2.グリセリン変性シリコーン(注1) 5
3.シリコーン油(注10) 2
4.エチルヘキサン酸セチル 2
(第2剤)
5.塩化カルシウム・二水和物 30
6.球状粉体(注11) 20
7.赤色226号 1
8.黄酸化鉄 1
9.セリサイト 残量
10.防腐剤 適量
注10:KF96(10cs) (信越化学工業社製)
注11:(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー,
KSP−102 (信越化学工業社製)
【0042】
(製造方法)
A:成分1〜4をホモミキサーにて混合する。
B:Aをフィルム容器に充填し、肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料の第1剤を得た。
C:成分5〜10をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する
D:Cを樹脂容器に充填して、肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料の第2剤を得た。
実施例2の温感マッサージ料は、「塗布時の伸び広がりの良さ」、「塗布時のなめらかさ」、「ざらつき感のなさ」、「温感効果」、「安定性」の全ての項目に優れた、肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料であった。
【実施例3】
【0043】
実施例3:温感マッサージ料
(成分) (%)
(第1剤)
1.グリセリン 45
2.グリセリン変性シリコーン(注1) 1
3.シリコーン油(注12) 1
4.イソノナン酸イソトリデシル 1
5.精製水 残量
6.防腐剤 適量
(第2剤)
7.塩化カルシウム・六水和物 40
8.球状粉体(注13) 5
9.黄色4号 1
10.窒化ホウ素(注14) 1
11.硫酸バリウム 残量
12.防腐剤 適量
注12:KF96(6cs)(信越化学工業社製)
注13:シリカマイクロビート N−1505(日本触媒工業社製)
注14:トレセラム(T−BN−LB)(東レ社製)
【0044】
(製造方法)
A:成分1〜4をホモミキサーにて混合する。
B:成分5〜6をホモミキサーにて混合する。
C:AにBを添加し、ホモミキサーにて混合する。
D:Cを樹脂容器に充填し、肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料の第1剤を得た。
E:成分7〜12をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する
F:Eをフィルム容器に充填して、肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料の第2剤を得た。
実施例3の肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料は、「塗布時の伸び広がりの良さ」、「塗布時のなめらかさ」、「ざらつき感のなさ」、「「温感効果」、「安定性」の全ての項目に優れた、肌への適用時に混合して使用する温感マッサージ料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)および(b);
(a)グリセリン
(b)グリセリン変性シリコーン
を含有する第1剤と、
成分(c);
(c)水への溶解熱が発熱反応であり、化粧品への適用が許容される塩
を含有する第2剤、
とからなり、肌への適用時にこれを混合して使用することを特徴とする温感マッサージ料。
【請求項2】
更に、 成分(d)として、球状粉体を含有することを特徴とする請求項1記載の温感マッサージ料。
【請求項3】
成分(c)が、塩化カルシウムおよび/またはその水和物であることを特徴とする請求項1又は2記載の温感マッサージ料。

【公開番号】特開2006−306843(P2006−306843A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84336(P2006−84336)
【出願日】平成18年3月25日(2006.3.25)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】