説明

温排水回収熱交換器及び温排水回収熱交換装置

【課題】温排水回収熱交換器は外管と内管で構成することで熱交換効率に優れ、低温水は閉回路内で流動しつつ温排水と熱交換するので熱損失が少なく、また複数本の温排水回収熱交換器で熱交換器ユニットを構成し、熱交換器ユニットを組合せることによって蓄熱量を需要に対応させることができるようにした温排水回収熱交換器及び温排水回収熱交換装置を提供する。
【解決手段】軸方向一端が閉塞し、他端に加温水放出口5Cを有する直管からなる外管2に軸方向に挿装され、外筒2との間に熱交換流路7を形成する内管6し、軸方向一端側が流入口6Aに、他端側が流出口6Bになって温排水が流通する直管からなる内管6と、外管2の他端側から軸方向に挿装され、熱交換流路7に低温水を放出する低温給水管8とから構成し、温排水槽に沈水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学プラント工場、リネン工場、種々の製造工場、大型浴場等から排出される温排水を回収して熱交換に利用する温排水回収熱交換器及び温排水回収熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水熱交換器にはラジエーター式、コイル式が知られているが、流動抵抗が大きいために吐出圧の高い吐出ポンプを使用する必要や、配管に耐圧性を考慮する必要があり、このために機器として高価であるという問題がある。また、管路の温度変化も受けやすいし、ラジエーターやコイルの一部に腐食や温度変化による亀裂が発生した場合には全部を一体に交換しなければならず、修繕費用が極めて高額になるという欠点がある。他方、外管と内管を組合せ、両管の間を熱交換流路とする二重管式水熱交換装置も知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−72630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二重管式熱交換器は、構成が比較的単純で流動抵抗が少ないという利点があるが、更に特許文献1の技術は水路を形成する二重管からなる水熱交換器を水槽内に設けることで据付面積を従来の水熱交換装置に比べ小さくする構成にしている。しかし、水槽内に貯留する水を水路に吸引して内管14の冷媒との間で熱交換する構成であり、水槽内の貯留水の放熱量が大きく熱損失するという問題がある。また、使用目的に応じて蓄熱量を変更する構成になっていないため、畜熱量の異なる複数種の水熱交換装置が必要であるという問題がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の未解決の問題点に鑑みなされたもので、温排水回収熱交換器は直管の外管と内管で構成して熱交換効率に優れた二重管式に構成すると共に、低温水は閉回路内で流動させつつ温排水と熱交換するので熱損失が少なく、また複数本の温排水回収熱交換器で熱交換器ユニットを構成し、熱交換器ユニットを組合せることによって蓄熱量を需要に対応させることができるようにした温排水回収熱交換器及び温排水回収熱交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための請求項1に係る本発明を構成する手段は、軸方向一端が閉塞し、他端に加温水放出口を有する直管からなる外管と、該外管に軸方向に挿装されて外筒との間に熱交換流路を形成し、軸方向一端側が流入口に、他端側が流出口になって温排水が流通する直管からなる内管と、前記外管の他端側から軸方向に挿装され、前記熱交換流路に低温水を放出する低温給水管とから構成し、温排水槽に沈水することにある。
【0007】
そして、前記内管は、前記流入口を前記外管の軸中心に位置させ、前記流出口を該軸中心から偏心させて前記外管に挿嵌した構成にするとよい。
【0008】
そして、前記低温給水管は、噴出孔を少なくとも先端側に設ける構成にするとよい。
【0009】
更に、請求項1記載の温排水回収熱交換器の複数本を支持体内に積重し、各温排水回収熱交換器は加温水放出口を隣接する他の温排水回収熱交換器の低温給水管に順次直列に連通することにより、始端に位置する低温給水管に低温水導入管を接続し、終端に位置する加温水放出口に加温水導出管を接続する温水路を形成した熱交換器ユニットに構成し、該熱交換器ユニットを温排水槽に沈水して各温排水回収熱交換器の内管に温排水を流動させ、前記始端の低温給水管に低温水を供給し、前記終端の加温水取出し口から加温水を取出すようにしたものからなる。
【0010】
そして、前記熱交換器ユニットを構成する各温排水回収熱交換器は、隣接する温排水回収熱交換器と着脱可能に連通する構成にするとよい。
【0011】
また、前記熱交換器ユニットは、前記温排水回収熱交換器に、加温水放出口を有する外管に低温給水管を挿装した単管式の温排水回収熱交換器を組合せる構成にするとよい。
【0012】
更に、前記温排水槽内に、前記熱交換器ユニットの各内管内に温排水を循環流動させる循環流動手段を設けるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は叙上の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)温排水回収熱交換器は温排水槽に沈水した状態で作動し、外管を流動する低温水は外管の外周側と内管の内周側から熱交換が行われるので熱交換効率に優れているし、安定した温度の加温水を供給することができる。
(2)温排水回収熱交換器は、直管の外管及び内管と低温給水管による単純な構成からなり、温排水及び低温水は円滑に流動するのでゴミやリント等の目詰まりがなく作動の安定性に優れているし、メンテナンス性にも優れている。
(3)上記1と同じ理由により、従来のコイル式熱交換器やラジエーター式熱交換器に比較して熱損失が少なく、伝熱面積当りの熱交換量が大きい。
(4)上記1と同じ理由により、従来のコイル式熱交換器やラジエーター式熱交換器に比較して流動抵抗は大幅に低減し、吐出能力が同じポンプを用いた場合には温排水を温排水回収熱交換器に数倍回循環させて熱交換させることができるから、低温水を昇温させた加温水の温度を安定的に保つことができる。
(5)内管は、外管に対して流入口を軸中心に位置させ、流出口を軸中心から偏心させて挿嵌し、加温水放出口及び低温給水管との干渉を回避する構成にしたから、表面積が広く温排水の循環流量の多い大径の内管を用いることにより熱交換効率を上げることができる。
(6)上記5と同じ理由により、管径の大きい加温水放出口及び低温給水管を使用できるから、熱交換能力を高めることができる。
(7)低温給水管は噴出孔を先端側に設け、低温水を熱交換流路の上流側に放出するようにしたから、低温水が熱交換流路を流れる時間が長くなり熱交換効率を高くすることができる。
(8)複数本の温排水回収熱交換器を隣接する温排水回収熱交換器と順次直列に連通して温水路を形成し、その始端の低温給水管に低温水を供給し、終端の加温水放出口から加温水を取出す熱交換器ユニットに構成したから、コンパクトな構成で大量の温排水と低温水の熱交換を行うことが出来るし、加温水の需要に応じて熱交換器ユニットの増減を容易に行うことができる。
(9)温排水回収熱交換器は着脱可能な接続管によって連通したから、加温水の需要に応じて温排水回収熱交換器の増減を容易に速やかに行うことができるし、一部の温排水回収熱交換器が腐食等で交換が必要な場合でも容易に新しい温排水回収熱交換器と交換することができる。
(10)熱交換器ユニットは、温排水回収熱交換器に単管式の温排水回収熱交換器を組合せて構成することにより、本装置の使用目的による使用負荷変動に合せた畜熱量を増やして加温水の温度の安定性を図ることができる。
(11)熱交換器ユニットはユニット単位でメンテナンスを行うことができるので作業効率がよいし、熱交換器ユニットの各温排水回収熱交換器の交換も容易に行うことができる。
(12)温排水槽内に、温排水を熱交換器ユニットの各内管内に循環流動させる循環流動手段を設けたから、温排水の循環を促進して熱交換効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は温排水回収熱交換器の縦断面図である。
【図2】図1中のII−II矢示方向拡大断面図である。
【図3】図3及び図4は第1の変形例に係り、図3は温排水回収熱交換器の横断面図である。
【図4】図3中のIV−IV矢示方向拡大断面図である。
【図5】図5乃至図7は第2の変形例に係り、図5は温排水回収熱交換器の縦断面図である。
【図6】図5中のVI−VI矢示方向拡大断面図である。
【図7】図5中のVII−VII矢示方向拡大断面図である。
【図8】温排水回収熱交換器で構成した温排水回収熱交換装置の全体構成図である。
【図9】熱交換器ユニットの構成説明図である。
【図10】温排水回収熱交換装置の右側面図である。
【図11】図11及び図12は第2の実施の形態に係り、図11は単管式の温排水回収熱交換器の断面図である。
【図12】二重管式と単管式の温排水回収熱交換器を組合せた温排水回収熱交換装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。図1乃至図10は第1の実施の形態を示す。図1及び図2は、後述する温排水槽22に沈水した状態で使用する温排水回収熱交換器1を示す。2は該温排水回収熱交換器1を構成するステンレススチール製の外管で、該外管2は直管からなる外管本体3と、外側に凸湾曲状に突出し、中央に管挿嵌穴4Aを形成した環状板からなり、該外管本体3の軸方向一端を閉塞する一側閉塞板4と、中央に管挿嵌穴5A、外側に小径の管挿通穴5B及び小径管からなる加温水放出口5Cを夫々有する円板からなり、外筒本体3の軸方向他端を閉塞する他側閉塞板5とから構成してある。
【0016】
6はステンレススチール製の直管からなり、軸方向一側開口が温排水の流入口6Aに、他側開口が温排水の流出口6Bになった内管で、該内管6は前記一側閉塞板4の管挿嵌穴4Aと他側閉塞板5の管挿嵌穴5Aに挿着することにより外管2に挿嵌してあり、内管6と外管2との間は熱交換流路7になっている。
【0017】
8は外管2の管挿通穴5Bから熱交換流路7に挿装したステンレススチール製の低温給水管を示し、該低温給水管8は基端側が給水口8Aになり、先端側8Bには先端面8Cに噴出孔8D(図示せず。)と、周面に軸方向に沿って複数の噴出孔8D、8D、・・・をV字方向に形成したものからなっている。そして、低温給水管8は外管2の管挿通穴5Bから軸方向に挿装してあり、先端側8Bは支持片9によって外管2に支持させることで振動を防止して強度性を保ってある。
【0018】
上述の如く、低温給水管8は先端面8Cと、先端側8Bの外周に軸方向に沿って複数の噴出孔8D、8D、・・・をV字方向に形成することにより、外管2内の一端側に低温水を分散して噴出するようにしてある。これにより、低温水を熱交換流路7内の一端側から他端側に流動させて熱交換の効率化を図ると共に、低温水を分散して噴出することで温度差による外管2及び内管6の金属疲労を防止している。
【0019】
次に、上述の構成からなる本実施の形態に係る温排水回収熱交換器1の作用について説明する。温排水槽22に沈水した温排水回収熱交換器1は、温排水槽内の約30〜35℃の温排水が内管6の流入口6Aから流入して流出口6Bから温排水槽22に流出する。この際、外管2の一側閉塞板4は凸湾曲状に形成してあるから、温排水は円滑に流入することで流動抵抗となる渦の発生を可及的に抑制してある。
【0020】
他方、低温給水管8には例えばリネン工場の低温水導入管10が接続してあり、洗浄等の作業により温度が低下した約12℃の低温水が低温給水管8に供給される。低温水は低温給水管8の各噴出孔8Dから熱交換流路7に放出されて流動し、この間に内管6に接触して熱交換が行われて約22℃の加温水に生成され、加温水放出口5Cに接続した加温水導出管11から洗浄装置に供給される。なお、低温給水管8に供給する低温水としては、地下水、解氷用温水、ハウス用暖房機の循環水等、種々の低温水がある。
【0021】
図3及び図4は本実施の形態の第1の変形例に係る温排水回収熱交換器12を示す。13は外管で、該外管13は外管本体13Aと、2個の管挿嵌穴13B、13Bを有し、外管本体13Aの一側に固着した一側閉塞板13Bと、2個の管挿嵌穴13C、13C、管挿通穴(図示せず。)及び加温水放出口13Cを有して外管本体13Aの他側に固着した他側閉塞板13Cとから構成してある。14、14は軸方向一端側が流入口14A、他端側が流出口14Bになった直管からなり、前記外管13に軸方向に沿って平行に挿嵌した2本の内管を示す。
【0022】
本実施の形態によれば、外管13内に直管からなる2本の内管14、14を設けることにより伝熱面積が拡大し、熱交換効率を1本の内管に比して少なくとも50%高くすることができるから、例えばモヤシ栽培工場や工場における機械冷却用のように排出量の多い温排水をより有効に利用することができる。
【0023】
図5乃至図7は本実施の形態の第2の変形例を示す。図において、15は温排水回収熱交換器を示す。16は該温排水回収熱交換器15を構成する外管で、該外管16は直管からなる外管本体17と、外側に凸湾曲状に突出し、軸中心O−Oに管挿嵌穴18Aを形成した環状板からなり、該外管本体17の軸方向一端を閉塞する一側閉塞板18と、外筒本体17の軸方向他端を閉塞する円板からなる他側閉塞板19とから構成してあり、該他側閉塞板19には軸中心O−Oに対して横方向一側に偏心させて管挿嵌穴19A、横方向他側に偏心させて管挿通穴19B及び小径管からなる加温水放出口19Cが夫々形成してある。
【0024】
20は前記外管16に挿嵌した内管を示す。該内管20は軸方向一端側が流入口20Aに、他端側が流出口20Bになった直管である点では第1の実施の形態の内管6と異なるところはないが、大径管である点が異なる。即ち、外管16の他側閉塞板19に形成する管挿嵌穴19Aは、軸中心O−Oに対して横方向一側に偏心させて管挿通穴19B及び加温水放出口19Cと干渉しないようにすることにより、内管20には第1の実施の形態における内管6より大径の管を用いている。これにより、内管20は外周面及び内周面の面積が拡大するので熱交換効率を高めることができるし、内管20は内径も拡大するので温排水の流動量も増大することから、熱交換効率を高めることができる。
【0025】
更に、管挿嵌穴19Aを一側に偏心させて他側閉塞板19の中央から他側の余白を拡大すると共に、管挿通穴19B及び加温水放出口19Cも他側に偏心させることでより太い管径にすることができるから、熱交換効率の向上を図ることができる。
【0026】
次に、上述の構成からなる温排水回収熱交換器1(12、15)を用いた温排水回収熱交換装置21について図8乃至図10に基づき説明する。図において、22はコンクリート製或いはFRP製の温排水槽を示し、該温排水槽22は四角形の底部22Aと、該底部22Aの四辺から起立する前壁部22B、後壁部22Cと、該後壁部22Cの上端側に形成したオバーフロー用切欠き部22Dと、該切欠き部22Dに連通して後壁部22Cに形成した排出路22Eと、左右側壁部22F、22Fとから構成してある。
【0027】
前記温排水槽22の前壁部側22Bには温排水供給手段23が設けてあり、該温排水供給手段23は温排水の排出路に配置した揚水ポンプ23Aと、該揚水ポンプ23Aに基端が接続し、先端が温排水槽22内に臨んだ揚水管23Bとから構成してある。該温排水供給手段23によって温排水槽22に供給される温排水には、リネン工場の洗浄水、大衆浴場の排水、その他各種工場排水があるが、後述する循環流動手段31によって温排水槽22内を幾度か循環流動することにより低温水との間で熱交換が行われ、切欠き部22Dから排出路22Eに流出する。この流出する温排水は外部に放出してもよいし、回収して再利用してもよい。
【0028】
24は温排水回収熱交換装置21を構成し、温排水槽22に沈水する鋼材或いは合成樹脂材からなる支持体を示す。該支持体24は前後に離間して起立する左右一対の縦支柱24A、24A、・・と、該前後一対の縦支柱24A、24A間に架設した下横材24B及び上横材24Cと、前側及び後側の各一対の縦支柱24A、24A間に架設した上下の横連結材24D、24Dとにより正面及び側面において略ロ字状に構成してある。そして、各縦支柱24Aの上端には吊上げ用環25が設けてあり、支持体24はクレーンによって吊上げ可能になっている。
【0029】
26、26、26は前記支持体24に収容した3組の熱交換器ユニットを示す。該各熱交換器ユニット26は温排水回収熱交換器1(12、15)を複数本、本実施の形態では9本組合せて1ユニットに構成してあり、各温排水回収熱交換器1(12、15)の加温水放出口5Cと隣接する温排水回収熱交換器1の低温給水管8を接続管27によって着脱可能に接続して順次直列に連通することにより、低温水が温度を次第に高めていく温水路を形成してあり、該温水路の始端に位置する給水口8Aに低温水導入管10、終端に加温水導出管11が着脱可能に接続してある。
【0030】
各熱交換器ユニット26の低温水導入管10はヘッダー28を介して工場からの低温水が供給されるようになっている。また、各熱交換器ユニット26の加温水導出管11はヘッダー29を介して工場に加温水を供給するようになっている。なお、図3中、30、30、・・は温排水回収熱交換器1、1、・・を支持体24内で安定させるために設けた半円柱状のスペーサーである。
【0031】
31は温排水槽22内に設けた循環流動手段を示す。該循環流動手段31は、熱交換器ユニット26の下流側に配置した吸引ポンプ31Aと、該吸引ポンプ31Aに基端を接続し、熱交換器ユニット26の上流側に配管した導管31Bと、熱交換器ユニット26の前側即ち流入口6Aに対向して該導管31Bの先端に形成した複数の噴出し口31C、31C、・・とから構成してある。
【0032】
上述の構成からなる循環流動手段31は、吸引ポンプ31Aにより吸込んだ温排水を各熱交換器ユニット26の内管6(14、20)に向けて噴出することで、温排水は内管6(14、20)内を流動するが、外管2及び内管6(14、20)は流動抵抗の小さい直管からなり、吸引ポンプ31Aの負荷は小さいので従来のコイル式熱交換器に用いる吐出ポンプと同等の能力の吸引ポンプを使用した場合に、同じ消費電力でも温排水の循環流動を例えば3回行うことが可能であり、温排水と低温供給水との熱交換を再三行うことで熱交換効率を高めることができる。
【0033】
図11及び図12は本発明の第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して援用し、その説明を省略する。図において41は単管式の温排水回収熱交換器、42は該温排水回収熱交換器41を構成するステンレススチール製の外管で、該外管42は直管からなる外管本体42Aと、該外管本体42Aの軸方向一端を閉塞する一側閉塞板42Bと、外管本体42Aの軸方向他端を閉塞する他側閉塞板42Cと、該他側閉塞板42Cに形成した小径の管挿通穴42D及び小径管からなる加温水放出口42Eとから構成してある。
【0034】
そして、前記外管42には、管挿通穴42Dを介して低温給水管8が先端側8Bを一側閉塞板42B寄りに位置するように挿装してあり、先端側8Bは支持片9によって外管本体42Aに支持させてある。
【0035】
43は温排水回収熱交換装置を示し、該温排水回収熱交換装置43は支持体24に、複数本の二重管式の温排水回収熱交換器1、1、・・・と上述の構成からなる複数本の単管式の温排水回収熱交換器41、41、・・・を組合せて構成した3組の熱交換器ユニット44、44、44を収容して構成してある。各熱交換器ユニット44は隣接する温排水回収熱交換器1、1の加温水放出口5Cと低温給水管8を接続管27で接離可能に連通し、また一部の温排水回収熱交換器1及び単管式の温排水回収熱交換器41は低温給水管8と加温水放出口42Eを接続管27によって着脱可能に連通することにより構成してある。
【0036】
本実施の形態による温排水回収熱交換装置43によれば、各熱交換器ユニット44を二重管式の温排水回収熱交換器1と単管式の温排水回収熱交換器41を組合せて構成することにより、熱交換器ユニット44の蓄熱量を増大してあるから、加温水の使用側の負荷変動に余裕を持って対応することができ、供給する加温水の温度変動を可及的に防止して安定した温度で供給することができる。
【0037】
なお、二重管式の温排水回収熱交換器1及び単管式の温排水回収熱交換器41は着脱可能に連通したから、両式温排水回収熱交換器1、41は必要に応じて組合せを変更することが容易であり、使用現場の需要に対応した温排水回収熱交換装置として使用することができる。
【0038】
上述した各実施の形態の説明から明らかなように、本発明によれば温排水回収熱交換装置21(43)を構成する熱交換器ユニット26(44)の組合せ数を必要に応じて変更することで、構成に無駄のない温排水回収熱交換装置21(43)にすることができる。
【0039】
また、熱交換器ユニット26(44)を構成する各温排水回収熱交換器1(12、15、41)は接続管27に着脱可能に連通してあるから、一部の温排水回収熱交換器1(12、15、41)が腐食等によって交換が必要な場合にも、当該温排水回収熱交換器1(12、15、41)のみを交換することで温排水回収熱交換装置21(43)を稼働することができるので、維持費が極めて低廉である。
【0040】
なお、外管2及び内管6に螺旋状のスパイラル管を用いてもよい。これにより外管2及び内管6は温排水及び低温水との接触面積が拡大するので熱交換の効率を約1,5倍高めることができる。また、スパイラル管からなる外管2及び内管6は温度変化による歪、応力を吸収するので強度性、耐久性に優れているし、周辺機器に対する歪みによる影響がないから装置全体の耐久性を高めることができる。
【符号の説明】
【0041】
1、12、15、41 温排水回収熱交換器
2、13、16、42 外管
5C、13C、19C、42E 加温水放出口
6、14、20 内管
6A、14A、20A 流入口
6B、14B、20B 流出口
7 熱交換流路
8 低温給水管
8B 先端側
8D 噴出孔
21、43 温排水回収熱交換装置
22 温排水槽
24 支持体
26、44 熱交換器ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一端が閉塞し、他端に加温水放出口を有する直管からなる外管と、該外管に軸方向に挿嵌されて外筒との間に熱交換流路を形成し、軸方向一端側が流入口に、他端側が流出口になって温排水が流通する直管からなる内管と、前記外管の他端側から軸方向に挿装され、前記熱交換流路に低温水を放出する低温給水管とから構成し、温排水槽に沈水してなる温排水回収熱交換器。
【請求項2】
前記内管は、前記流入口を前記外管の軸中心に位置させ、前記流出口を該軸中心から偏心させて前記外管に挿嵌してあることを特徴とする請求項1記載の温排水回収熱交換器。
【請求項3】
前記低温給水管は、噴出孔を少なくとも先端側に設けてあることを特徴とする請求項1記載の温排水回収熱交換器。
【請求項4】
請求項1記載の温排水回収熱交換器の複数本を支持体内に積重し、各温排水回収熱交換器は加温水放出口を隣接する他の温排水回収熱交換器の低温給水管に順次直列に連通することにより、始端に位置する低温給水管に低温水導入管を接続し、終端に位置する加温水放出口に加温水導出管を接続する温水路を形成した熱交換器ユニットに構成し、該熱交換器ユニットを温排水槽に沈水して各温排水回収熱交換器の内管に温排水を流動させ、前記始端の低温給水管に低温水を供給し、前記終端の加温水放出口から加温水を取出すようにしてなる温排水回収熱交換装置。
【請求項5】
前記熱交換器ユニットを構成する各温排水回収熱交換器は、隣接する温排水回収熱交換器と着脱可能に連通してあることを特徴とする請求項4記載の温排水回収熱交換装置。
【請求項6】
前記熱交換器ユニットは、加温水放出口を有する外管に低温給水管を挿装した単管式の温排水回収熱交換器を、前記温排水回収熱交換器と組合せて構成してあることを特徴とする請求項4記載の温排水回収熱交換装置。
【請求項7】
前記温排水槽内に、前記熱交換器ユニットの各内管内に温排水を循環流動させる循環流動手段を設けてあることを特徴とする請求項4記載の温排水回収熱交換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−133201(P2011−133201A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295568(P2009−295568)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(509063373)有限会社理温テック (3)
【Fターム(参考)】