説明

温水循環式暖房システム

【課題】 熱源機のガスの使用量を変化させ、ガスメータによるガスの誤遮断を確実に回避することができる温水循環式暖房システムを提供する。
【解決手段】 ガスメータ10を介して供給されたガスを熱源機3で燃焼して加熱した温水を利用し、浴室(被暖房空間)から導入する空気を加熱する浴室暖房乾燥機1(温水循環式暖房システム)は、熱源機3から導入した温水を流して熱源機3に戻す温水循環経路と、浴室から導入した空気を流して浴室に戻す空気循環経路と、温水循環経路の温水と空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない空気を加熱する熱交換器15と、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、ガス使用状態判別手段が、熱源機3のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、熱源機3に戻す温水の温度を変化させ、自らの熱負荷を変更する第1熱負荷変更手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機でガスを燃焼して加熱した温水を利用し、被暖房空間から導入する空気を加熱する温水循環式暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスメータを介して供給されたガスを熱源機で燃焼し、これにより加熱した温水を利用し、被暖房空間から導入する空気を加熱する温水循環式暖房システムが知られている。
ガスメータは、熱源機を含むガス使用箇所で使用したガスの総使用量を計量する。また、ガスメータは、ガスの総使用量が長時間(例えば、140分)変化しない場合に、ガス漏れ等の異常が発生したものと判別し、ガス供給元から供給されるガスを遮断することができる。
ここで、例えば、外気温が低い場合には、温水循環式暖房システムで被暖房空間を暖房しても被暖房空間の温度が再び下がり易い。したがって、特に暖房の設定温度が高く設定されている場合には、温水循環式暖房システムが熱源機に高い温度の温水を要求し続ける。これにより、熱源機は連続して同じペースでガスを燃焼し続ける。ガスメータは、ガスの総使用量が長時間変化しないので、ガスが熱源機で正常に燃焼しているにも関わらず遮断してしまうことがある。この現象を、以降「ガスメータによるガスの誤遮断」と称呼する。
【0003】
そこで、特許文献1の温水循環式暖房システムでは、熱源機に要求した温水の温度が設定時間にわたって一定である場合に、故意に、熱源機を一定期間停止することを要求する情報、あるいは一定期間異なる温度の温水を要求する情報を熱源機に出力している。これにより熱源機は、温水循環式暖房システムに、一定期間温水を供給しなくなるか、あるいは、一定期間供給する温水の温度を変更する。これにより、熱源機が温水循環式暖房システムに温水を供給するために燃焼するガスの量が変化する。したがって、温水循環式暖房システムが、ガスメータが計量するガスの総使用量を変化させ、ガスメータによりガスが誤遮断されることを防止している。
【0004】
【特許文献1】特開平11−248172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術を用いても、ガスメータによるガスの誤遮断を回避できないことがある。
例えば、同じ熱源機に、浴室暖房乾燥機やファンコンベクタ等の複数の温水使用端末が接続されていることがある。この場合、いずれかの温水循環式暖房システムが、ガスメータによるガスの誤遮断を回避するために、熱源機に、熱源機を停止する情報を出力しても、同じ熱源機に接続されている他の温水使用端末が動作している場合には、熱源機は停止しない。そして、熱源機は依然として同じペースでガスを燃焼し続ける。また、この場合、ある温水循環式暖房システムが、ガスメータによるガスの誤遮断を回避するために、熱源機に異なる温度の温水を要求する情報を出力しても、同じ熱源機に接続されている他の温水使用端末が変わらない状態で動作している場合には、熱源機は各温水使用端末に供給する温水の温度を変更しない。そして、熱源機は依然として同じペースでガスを燃焼し続ける。結果、この温水循環式暖房システムは、熱源機のガスの使用量を変化させることができず、ガスメータが計量しているガスの総使用量を変化させることができない。したがって、ガスメータによるガスの誤遮断を回避することができないといった事態が発生する。
本発明は、上記問題点を解決するために創案された。本発明では、ガスメータによるガスの誤遮断を確実に回避することができる温水循環式暖房システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1に記載の発明)
本発明は、ガスメータを介して供給されたガスを熱源機で燃焼し、これにより加熱した温水を利用し、被暖房空間から導入する空気を加熱する温水循環式暖房システムに具現化される。
その温水循環式暖房システムは、熱源機から導入した温水を流して熱源機に戻す温水循環経路と、被暖房空間から導入した空気を流して被暖房空間に戻す空気循環経路と、温水循環経路の温水と空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない、空気を加熱する熱交換手段と、熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、ガス使用状態判別手段が、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、熱源機に戻す温水の温度を変化させることで、自らの熱負荷を変更する第1熱負荷変更手段を備えている。
本発明は、温水循環式暖房システムとして、特に浴室暖房乾燥機に具現化される場合に有用である。
【0007】
熱源機にとって、戻ってきた温水の温度が低い場合には、温水の温度を目標温度(供給する温水の温度)に加熱するために多くのガスを燃焼する。戻ってきた温水の温度が高い場合には、このためのガスは少なくてよい。
この温水循環式暖房システムによれば、ガスメータがガスを誤遮断する可能性がある場合に、すなわち、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、自らの熱負荷を変更することができる。したがって、熱源機に、温水循環式暖房システムを含む複数の温水使用端末が接続されていても、熱源機のガスの使用量を故意に変化させることができる。ガスメータが計量するガスの総使用量を変化させ、ガスメータによるガスの誤遮断を確実に回避することができる。
【0008】
(請求項2に記載の発明)
空気循環経路の空気の流れを促進する循環ファンを備え、第1熱負荷変更手段は、循環ファンの回転数を変化させることにより、温水循環経路から熱源機に戻す温水の温度を変化させることが好ましい。
循環ファンの回転数を少なくする方向に変化させれば、空気循環経路に導入される空気の量が減少する。したがって、熱源機が温水循環式暖房システムに供給した温水の熱量のうち空気と熱交換する熱量が減少する。この場合、熱源機が供給した温水が、比較的熱いまま熱源機に戻ってくる。熱源機に戻ってきた温水を目標温度まで加熱する際に、熱源機が使用するガスの量が減少する。
循環ファンの回転数を多くする方向に変化させれば、空気循環経路に導入される空気の量が増加する。したがって、熱源機が温水循環式暖房システムに供給した温水の熱量のうち空気と熱交換する熱量が増加する。この場合、熱源機が供給した温水が、比較的冷たくなって熱源機に戻ってくる。熱源機に戻ってきた温水を目標温度まで加熱する際に、熱源機が使用するガスの量が増加する。
循環ファンの回転数を変化させることにより、熱源機のガスの使用量を容易に変化させることができる。
【0009】
(請求項3に記載の発明)
本発明は、以下の温水循環式暖房システムにも具現化される。
温水循環式暖房システムは、熱源機から導入した温水を流して熱源機に戻す温水循環経路と、被暖房空間から導入した空気を流して被暖房空間に戻す空気循環経路と、温水循環経路の温水と空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない、空気を加熱する熱交換手段と、熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、ガス使用状態判別手段が、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることで、自らの熱負荷を変更する第2熱負荷変更手段を備えている。
【0010】
熱源機にとって、温水の循環量が多い場合には、温水の温度を目標温度(供給する温水の温度)に加熱するために多くのガスを燃焼する。温水の循環量が少ない場合には、このためのガスは少なくてよい。
この温水循環式暖房システムによれば、ガスメータがガスを誤遮断する可能性がある場合に、すなわち、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、自らの熱負荷を変更することができる。したがって、熱源機に、温水循環式暖房システムを含む複数の温水使用端末が接続されていても、熱源機のガスの使用量を故意に変化させることができる。ガスメータが計量するガスの総使用量を変化させることができる。これにより、ガスメータによるガスの誤遮断を確実に回避することができる。
【0011】
(請求項4に記載の発明)
温水循環経路に導入する温水の量を調節する制御弁を備え、第2熱負荷変更手段は、制御弁の開閉状態を変化させることで温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることが好ましい。
制御弁を閉める方向に変化させれば、温水循環経路を流れる温水の循環量が減少する。したがって、熱源機が温水使用端末に供給する温水の量が減少し、熱源機が使用するガスの使用量が減少する。
制御弁を開ける方向に変化させれば、温水循環経路を流れる温水の循環量が増加する。したがって、熱源機が温水使用端末に供給する温水の量が増加し、熱源機が使用するガスの使用量が増加する。
制御弁の開閉状態を変化させることにより、熱源機のガスの使用量を容易に変化させることができる。
【0012】
(請求項5に記載の発明)
本発明は、以下の温水循環式暖房システムにも具現化される。
温水循環式暖房システムは、熱源機に、熱源機をオフすることを要求する情報と要求する温水の温度を示す情報とのうち少なくとも一方を出力可能な熱源機設定手段と、熱源機から導入した温水を流して熱源機に戻す温水循環経路と、温水循環経路に導入した温水の温度指標を検出する入口温度検出手段と、被暖房空間から導入した空気を流して被暖房空間に戻す空気循環経路と、温水循環経路の温水と空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない、空気を加熱する熱交換手段と、熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、ガス使用状態判別手段が、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、熱源機設定手段により、熱源機に、熱源機をオフすることを要求する情報、あるいは要求する温水の温度を変更する情報を出力し、その後に入口温度検出手段で検出する温水の温度指標が変化しない場合には、自らの熱負荷を変更する第3熱負荷変更手段を備えている。
第3熱負荷変更手段は、熱源機に戻す温水の温度を変化させることで、自らの熱負荷を変更してもよいし、温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることで、自らの熱負荷を変更してもよい。
【0013】
本発明の温水循環式暖房システムでは、ガスメータがガスを誤遮断する可能性がある場合に、すなわち、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、まずは、熱源機に、熱源機をオフすることを要求する情報、あるいは熱源機に要求する温度を変更する情報を出力する「予備の処理」を実行してみる。
その後の熱源機の状態としては、以下に説明する2通りの状態が考えられる。
第1の状態は、熱源機が温水循環式暖房システムから出力された情報に従わず、入口温度検出手段で検出する温水の温度が変化しない状態である。これは、例えば、熱源機に、温水循環式暖房システムの他に温水使用端末が接続されている場合に起こりうる。この場合、温水循環式暖房システムが熱源機に熱源機を停止する情報を出力しても、同じ熱源機に接続されている他の温水使用端末が動作している場合には、熱源機は停止しない。熱源機は依然として同じペースでガスを燃焼し続ける。また、温水循環式暖房システムが熱源機に異なる温度の温水を要求する情報を出力しても、同じ熱源機に接続されている他の温水使用端末が変わらない状態で動作している場合には、熱源機は各温水使用端末に供給する温水の温度を変更しない。熱源機は依然として同じペースでガスを燃焼し続ける。この状態では、入口温度検出手段で検出する温水の温度が変化しない。
第2の状態は、熱源機が温水循環式暖房システムから出力された情報に従い、入口温度検出手段で検出する温水の温度が変化する状態である。
【0014】
ここで、温水循環式暖房システムは、自らの熱負荷を変更すると、導入した空気の暖房能力が若干低下する。温水循環式暖房システムが浴室暖房乾燥機であり、乾燥運転が実施されているときには乾燥能力が若干低下する。一時的に低下した暖房能力や乾燥能力を元のレベルに戻すには時間がかかり、暖房効率や乾燥効率が若干低下する。
一方、熱源機がオフする時間が短時間であれば、あるいは、熱源機から供給される温水の温度が下がる時間が短時間であれば、暖房能力や乾燥能力が著しく低下することはない。
本発明の温水循環式暖房システムは、まずは、前述した「予備の処理」を実行してみた結果、熱源機の状態が上記第1状態、あるいは上記第2状態のいずれの状態であるかを判別し、上記第1状態であることを判別した場合にみ、自らの熱負荷を変更する。また、上記第2状態であることを判別した場合には、「予備の処理」により既に熱源機のガスの使用量が変更されている状態であるので、自らの熱負荷を変更する必要はない。
これにより、ガスメータによるガスの誤遮断を回避するために、自らの熱負荷を変更する回数を極力減らすことができる。本発明の温水循環式暖房システムを用いれば、ガスメータによるガスの誤遮断を確実に回避し、なおかつ、この回避動作により発生する暖房能力や乾燥能力の低下を極力抑制することができる。
【0015】
(請求項6に記載の発明)
温水循環式暖房システムは、熱源機に、要求する温水の温度を示す情報を出力可能な熱源機設定手段を備え、ガス使用状態判別手段は、熱源機設定手段が設定時間に亘って同じ温度を示す情報を熱源機に出力している場合に、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別することが好ましい。
これによれば、ガス使用状態判別手段は、熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するために、自らが熱源機に出力した温度設定値とその出力時間を認識していればよい。ガス使用状態判別手段が熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別することが容易である。
【0016】
(請求項7に記載の発明)
温水循環式暖房システムは、温水循環経路に導入した温水の温度指標を検出する入口温度検出手段を備え、ガス使用状態判別手段は、入口温度検出手段で検出する温度指標が設定時間に亘って同じ温度を示している場合に、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別してもよい。
入口温度検出手段により検出する温水の入口温の温度指標は、熱源機がガスを燃焼して温水を加熱した結果の温度を示している。本発明のガス使用状態判別手段は、熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するために、上記温度指標が設定時間に亘って同じ温度を示しているか否かを見ているので、正確にこれを判別することができる。
【0017】
(請求項8に記載の発明)
温水循環式暖房システムは、空気循環経路に導入した空気の流れを推進する循環ファンを備え、ガス使用状態判別手段は、循環ファンの回転数が設定時間に亘って同じ回転数である場合に、熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別してもよい。
循環ファンの回転数が変化すると、温水循環経路から熱源機に戻す水の温度が変化する。これにより、熱源機のガスの使用量が変化し、ガスメータのガスの総使用量が変化することが想定される。したがって、本発明のガス使用状態判別手段は、熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するために、自らの循環ファンの回転数の設定値とその設定値を設定している時間を認識していればよいので、容易にこれを判別することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の温水循環式暖房システムによれば、熱源機のガスの使用量を変化させることにより、ガスメータで計量するガスの総使用量を変化させ、ガスメータによりガスが誤遮断されること確実に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。
(第1特徴) ガスメータは、ガスの総使用量が長時間に亘って変化しない場合に、ガス供給元から供給されるガスを遮断することができる。
(第2特徴) 熱源機は、温水循環式暖房システムを含む複数の高温端末に温水を供給している。
(第3特徴) 温水循環式暖房システムは、浴室暖房乾燥機である。
(第4特徴) 制御弁は熱動弁である。
【実施例】
【0020】
(第1実施例)
本発明の温水循環式暖房システムを具現化した浴室暖房乾燥機の第1実施例を図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施例の浴室暖房乾燥機は、ファンコンベクタとともに熱源機に接続されている。熱源機には、ガスメータを介してガスが供給されている。このガスメータは、ガスの総使用量が長時間(本実施例では、140分)に亘って変化しない場合に、ガスの供給を遮断する。浴室暖房乾燥機は、「ガスメータによるガスの誤遮断」を回避するために、熱源機から供給された温水の温度(入口温)が所定時間にわたって一定であると判別した場合に、自らの熱負荷を変更することができる「負荷変動処理」を実行する。
図1は、浴室暖房乾燥機とファンコンベクタが熱源機に接続されている構成を示す。図2は、浴室暖房乾燥機の外観を示す図である。図3、図4は、ガスメータによるガスの誤遮断を防止するための、浴室暖房乾燥機のコントローラの動作を示すフローチャートである。図5は、循環ファンの回転数と温水の温度の関係を示すグラフである。
【0021】
図1に示すように、熱源機3にはガスメータ10を介してガスが供給される。
熱源機3は、供給されたガスを燃焼して温水を加熱し、この温水を、温水供給口31から温水往路4を介して浴室暖房乾燥機1に供給する。そして、熱源機3は、浴室暖房乾燥機1内を循環した後に温水復路5を介して温水回収口32から戻ってきた温水を、再び加熱して浴室暖房乾燥機1に供給する。同様にファンコンベクタ2も、温水往路と温水復路をもって熱源機3と接続されている。
また、熱源機3には、信号線6が接続される端子33が設けられている。浴室暖房乾燥機1は、温水の供給を要求する情報(熱源機3をオンすることを要求する情報)や、温水の供給を停止する情報(熱源機3をオフすることを要求する情報)や、要求する温水の温度を示す情報を、信号線6と端子33を介して熱源機3に出力する。同様にファンコンベクタ2も、温水の供給を要求する情報や、温水の供給を停止する情報や、要求する温水の温度を示す情報を熱源機3に出力する。熱源機3は、各温水使用端末から入力された情報により、各温水使用端末への温水の供給あるいは停止(熱源機3のオンあるいはオフ)や、供給する温水の温度を決定する。そして、必要に応じてガスを燃料し、温水復路から戻ってきた温水を加熱して各温水使用端末に供給する。
各温水使用端末では、熱源機3から導入した温水を循環し、各温水使用端末が導入した被暖房室の空気と熱交換を行う。これにより、各温水使用端末は、加熱された空気を被暖房空間に供給することができる。
【0022】
ここで、浴室暖房乾燥機1の詳細な構成を、図1及び図2を参照して説明する。
浴室暖房乾燥機1は、樹脂等のケーシング101で覆われている。浴室暖房乾燥機1には、電源用のコネクタ19と漏電ブレーカ19aを介し、電源電圧が供給される。
浴室暖房乾燥機1は、浴室暖房乾燥機1の動作を制御するコントローラ17を備えている。コントローラ17には、浴室の暖房運転や乾燥運転等のモードを切り替えたり、暖房の温度を設定したりするための操作部18が接続されている。なお、操作部18がリモコンであって、操作部18とコントローラ17は無線で通信してもよい。コントローラ17は、操作部18で設定されたモードや温度に基づき、接続端子17aから信号線6を介し、熱源機3に温水の供給を要求する情報や、温水の供給を停止する情報や、要求する温水の温度を示す情報を出力する。熱源機3は、それらの情報に基づき、必要に応じて必要な温度の温水を浴室暖房乾燥機1に供給する。
【0023】
また、浴室暖房乾燥機1は、温水往路4が接続されている温水導入口11と、温水復路5が接続される温水送出口12を備えている。
温水導入口11は、温水循環往路11aの一端と接続されている。温水循環往路11aの他端は熱交換器15の熱供給側入口と接続されている。熱交換器15の熱供給側出口は、温水循環復路12aの一端と接続されている。温水循環復路12aの他端は温水送出口12と接続されている。温水導入口11と、温水循環往路11aと、熱交換器15の熱供給側経路と、温水循環復路12aと温水送出口12の間で温水が循環する経路を「温水循環経路」と称呼する。
なお、温水循環往路11aには、熱動弁(請求項で言う制御弁)11bとサーミスタ11cが設けられている。熱動弁11bは、コントローラ17により開閉制御される。これにより温水循環往路11aに導入する温水の循環量を変化させることができる。熱動弁11bを閉じた状態では、温水は温水循環経路11aに導入されない。コントローラ17は、サーミスタ11cにより、導入された温水の温度(以降、入口温と称呼する。)を算出することができる。
また、温水循環復路12aにはサーミスタ12bが設けられている。コントローラ17は、サーミスタ12bにより、熱源機3に戻す温水の温度(以降、出口温と称呼する。)を算出することができる。
【0024】
一方、浴室暖房乾燥機1は、空気吸入口13と空気送出口14を備えている。
空気吸入口13から吸入される空気は、熱交換器15の熱需要側入口に導入される。また、熱交換器15の熱需要側出口から送出される暖められた空気は、空気送出口14から浴室に送出される。なお、空気送出口14には、ルーバー14dが配置されており、空気を送出する方向を変化させることができる。ルーバー14dの向きは、コントローラ17により制御される。
空気吸入口13と、空気循環往路13aと、熱交換器15の熱需要側経路と、空気循環復路14aと、空気送出口14との間で空気が流れる経路を「空気循環経路」と称呼する。空気循環経路には、循環ファン14bが設けられている。循環ファン14bは、空気循環経路に積極的に浴室内の冷たい空気を導入し、熱交換器15で加熱された暖かい空気を送出し、空気循環経路の空気の流れを促進する。コントローラ17により循環ファンモータ14c(図1では省略されている。)の回転数を変化させ、循環ファン14bの回転数を変化させることができる。
図1では、循環ファン14bが空気循環復路14aに配置されている場合について説明したが、循環ファン14bは空気循環往路13aに配置されていてもよい。
空気循環往路13aには、サーミスタ13bが設けられている。コントローラ17は、サーミスタ13bにより浴室の空気の温度(室温)を算出することができる。
また、浴室暖房乾燥機1は、さらに換気ファン16を備えている。換気ファン16は、浴室内の空気を、浴室暖房乾燥機1のケーシング101内を介して浴室の外部に排気する。換気ファン16の回転数は、コントローラ17により変化させることができる。
【0025】
この構成により、熱源機3の温水供給口31から送出された温水は、温水循環経路を循環し、熱源機3に戻ってくる。なお、途中、熱交換器15で熱交換器15に導入された空気と熱交換を行い、その温度が下がった状態で熱源機3に戻ってくる。そして、熱交換器15で加熱された空気は、空気送出口14から浴室内に戻される。
操作部18で乾燥運転が設定されている場合には、浴室暖房乾燥機1は、浴室の空気を暖房するとともに、浴室の湿った空気を換気ファン16で排気する。これにより、浴室の空気を暖めながら循環するとともに、適宜湿った空気を排気し、浴室内に干した濡れた衣類等を乾燥させることができる。
【0026】
以上説明したように、図1に示したシステムでは、複数の温水使用端末(浴室暖房乾燥機1とファンコンベクタ2)が、同じ熱源機3に接続されている。
浴室暖房乾燥機1は、特に、同じ運転状態が数時間に亘って継続されることが多い温水使用端末である。例えば、浴室暖房乾燥機1で、前述した乾燥運転を実行しているときには、浴室内に干した洗濯物を乾燥するために、高温の温水を熱源機3に要求し続ける時間が長い。特に、浴室内の元の温度が低い場合には、外気の温度が低いことが多い。この場合、浴室暖房乾燥機1を運転しても、一旦暖まった浴室内の空気が冷え易い。したがって、高温の温水を熱源機3に要求し続ける時間が特に長い。このような場合は、熱源機3のガスの燃焼状況が変化せず、熱源機3のガスの使用量が長時間に亘って変化しない。ガスの総使用量が長時間に亘って(例えば、140分以上)変動しないと、ガスメータ10がガスを誤遮断してしまう。
【0027】
そこで、以下に、図3、図4のフローチャートを用い、浴室暖房乾燥機1のコントローラ17が、ガスメータ10(併せて図1参照)によるガスの誤遮断を回避するための動作を説明する。この動作は、浴室暖房乾燥機1が乾燥運転を行なっているときに実行する。
この動作を実行するためのプログラムは、コントローラ17の記憶手段に記憶されている。そして、コントローラ17のマイコンは、適宜、記憶手段からプログラムを読み出して実行する。
【0028】
図3に示すステップS10の処理で、コントローラ17は、循環ファン14bのモータを作動する。また、換気ファン16のモータを作動する。また、熱動弁11bを開く。これにより、温水循環経路に温水を導入することができる。また、熱源機3に、80℃を温水を要求する情報を出力する。この情報は、コントローラ17から信号線6と端子33を介して熱源機3に入力される。
コントローラ17は、ステップS12の処理に進み、サーミスタ11c(併せて図1参照)により、温水の現在の入口温を算出する。そして、温水の基準の入口温として記憶する。入口温の変化が所定範囲内である場合にその値がインクリメントされるカウンタTA(安定認識時間カウンタ)と、入口温の変化が所定範囲を超える場合にその値がインクリメントされるカウンタTK(変化認識時間カウンタ)に”0”を代入する。
そして、コントローラ17は、ステップS14の処理に進み、基準の入口温から現在の入口温を減じた値の絶対値の温度が3℃以下であるか否かを判別する。絶対値の温度が3℃以下である場合(ステップS14のYES)には、コントローラ17は、ステップS16の処理に進む。絶対値の温度が3℃未満である場合(ステップS14のNO)には、コントローラ17は、ステップS22の処理に進む。
ステップS16の処理では、コントローラ17は、カウンタTKに”0”を代入するとともに、カウンタTAの値をインクリメントする。
コントローラ17は、ステップS18の処理に進み、カウンタTAの値が「安定判定時間TAMAX」を超えているか否かを判別する。なお、「安定判定時間TAMAX」は、入口温の変化が所定範囲内である状態が続くことにより、熱源機3のガスの使用量に変化がない状態が”設定時間”に亘ってあるか否かを判別する場合の、”設定時間”(閾値の時間)であり、予め設定された値である。コントローラ17は、カウンタTAの値が「安定判定時間TAMAX」以下の場合(ステップS18のNO)には、ステップS14の処理に戻る。カウンタTAの値が「安定判定時間TAMAX」を超えている場合(ステップS18のYES)には、ステップS20の処理に進む。
ステップS20の処理では、コントローラ17は、自らの熱負荷を変更する「負荷変動処理」を実行し、ステップS12の処理に戻る。なお、「負荷変動処理」については詳細を後述する。
【0029】
なお、ステップS14の処理で絶対値の温度が3℃未満であることが判別され(ステップS14のNO)、ステップS22の処理に進んだ場合には、コントローラ17は、カウンタTKをインクリメントする。
コントローラ17は、ステップS24の処理に進み、カウンタTKの値が「変化判定時間TKMAX」を超えているか否かを判別する。なお、「変化判定時間TKMAX」は、入口温の変化が所定範囲以上である状態が、熱源機3のガスの使用量に変化がある状態であることを判別するのに足りる時間に亘って継続しているか否かを判別する場合の閾値の時間であり、予め設定された値である。カウンタTKの値が「変化判定時間TKMAX」以下の場合(ステップS24のNO)には、コントローラ17は、ステップS14の処理に戻る。カウンタTKの値が「変化判定時間TKMAX」を超えている場合(ステップS24のYES)には、コントローラ17は、ステップS26の処理に進む。
ステップS26の処理で、コントローラ17は、カウンタTAに”0”を代入する。また、温水の現在の入口温を基準の入口温として記憶し、ステップS14の処理に戻る。
【0030】
このように、コントローラ17は、ステップS12,S14,S16,S18の処理で、入口温の変化が所定範囲内である状態が安定判定時間TMAXを超えて継続している場合には、熱源機3のガスの使用量が安定判定時間TMAXに亘って変化していないことを判別し、後述する「負荷変動処理」を実行することができる。
また、ステップS12,S14,S22,S24,S26の処理で、入口温の変化が所定範囲以上である状態が変化判定時間TKMAXを超えて継続している場合には、熱源機3のガスの使用量が変化したことを判別し、そのままの運転状態を継続することができる。
これらのステップS12,S14,S16,S18,S22,S24,S26の処理が、請求項に記載されている「ガス使用状態判別手段」の一実施例である。
【0031】
次に、図4を参照し、図3のフローチャートのステップS20で示した「負荷変動処理」の詳細を説明する。
「負荷変動処理」では、コントローラ17は、まずステップS202で、熱源機3にオフする指示を出力する。
コントローラ17は、ステップS204の処理に進み、サーミスタ11cにより、温水の現在の入口温を算出する。そして、基準の入口温と比較して変化があるか否かを判別する。変化があることを判別した場合(ステップS204のYES)には、コントローラ17はステップS212の処理に進む。また、変化がないことを判別した場合(ステップS204のNO)には、コントローラ17はステップS206の処理に進む。
ステップS206の処理では、コントローラ17は、入口温が変化した状態が所定時間継続し、熱源機3のガスの使用量が変化したことを判別できる時間が経過したか否かを判別する。その時間が経過していなければ(ステップS206のNO)、ステップS204に戻る。その時間が経過してれば(ステップS206のYES)、ステップS208の処理に進む。
ステップS208の処理で、コントローラ17は、浴室暖房乾燥機1の自らの熱負荷を変更する。コントローラ17は、循環ファン14bの回転数を変更することにより自らの熱負荷を変更する。
【0032】
ここで、図5を参照して循環ファン14bの回転数と熱負荷の関係について説明する。
循環ファン14bの回転数が増加すると、空気循環経路の空気の循環が一層促進される。これにより、熱交換器15での熱交換する対象の量が増えることにより熱交換が活発になり、図5に点線で示すように、浴室暖房乾燥機1を出て熱源機3に戻る温水の温度(出口温)が低下する。
熱源機3にとって、戻ってきた温水の温度が低い場合には、温水の温度を目標温度(図5に実線で示す入口温とほぼ同じ温度)に加熱するために多くのガスを燃焼する。したがって、循環ファン14の回転数を変更すると、熱源機3にとっては熱負荷が変更され、熱源機3のガスの使用量が変化することとなる。
【0033】
図4に戻って、コントローラ17は、ステップS208の処理を終えたら、ステップS210の処理に進む。ここで、コントローラ17は、熱源機3のガスの使用量が変化したことが判別される閾値の時間(予め設定された時間)が経過したか否かを判別する。経過していなければ(ステップS208のNO)、待機する。経過していれば(ステップS208のYES)ステップS212の処理に進む。
ステップS212の処理でコントローラ17は、ステップS206で変更した熱負荷を元に戻す。すなわち、循環ファン14bの回転数を元に戻す。そして、熱源機3に80℃の温水を要求する。
【0034】
このように、コントローラ17は、ステップS202,S204,S206の処理で、まず、熱源機3に、熱源機3をオフすることを要求する情報を出力してみる。熱源機3がコントローラ17から出力された情報に従わず、サーミスタ12bで検出する入口温が変化しないことがある。これは、本実施例のように熱源機3に、浴室暖房乾燥機1を含む複数の温水使用端末が接続されている場合に起こりうる(併せて図1参照)。例えば、浴室暖房乾燥機1のコントローラ17が熱源機3をオフすることを要求する情報を熱源機3に出力しても(ステップS202)、ファンコンベクタ2が動作していれば、熱源機3はオフしない。したがって、サーミスタ12bで検出する入口温が変化しない。この場合に、浴室暖房乾燥機1は、コントローラ17の指示により自らの熱負荷を変化させる。本実施例では、ステップS208,S210で循環ファン14bの回転数を変更している。
このように、まずは、熱源機3にオフすることを要求する「予備の処理」を実行してみて、それでも入口温が変化しない場合には、自らの熱負荷を変更する。
本実施例のステップS20の「負荷変動処理」は、請求項に記載されている、熱源機に戻す温水の温度を変化させることで自らの熱負荷を変更する「第1熱負荷変更手段」と、「予備の処理」を実行してみてから自らの熱負荷を変更するか否かを決定する「第3熱負荷変更手段」の一実施例である。
【0035】
本実施例の浴室暖房乾燥機1によれば、ガスメータ10がガスを誤遮断する可能性がある場合(浴室暖房乾燥機1の入口温が所定時間以上にわたって一定であることが判別された場合)に、まずは、熱源機3に熱源機3をオフすることを要求する情報を出力してみる。それでも入口温が変化しない場合には、循環ファン14bの回転数を変化させ、熱源機3に戻す温水の温度を変化させることで自らの熱負荷を変更している。
これにより、熱源機3に、浴室暖房乾燥機1を含む複数の温水使用端末が接続されていても(第1実施例ではファンコンベクタ2が接続されている。)、熱源機3が使用するガスの使用量を故意に強制的に変化させることができる。これにより、ガスメータが検出するガスの総使用量が変化し、ガスメータ10によるガスの誤遮断を確実に回避することができる。
また、本実施例の浴室暖房乾燥機1の「負荷変動処理」では、まずは、熱源機3に熱源機3をオフすることを要求する情報を出力する「予備の処理」を実行してみた結果、それでも入口温が変化しない場合には、自らの熱負荷を変更している。
これにより、ガスメータ10によるガスの誤遮断を回避するために、自らの熱負荷を変更する回数を極力減らすことができる。本実施例の浴室暖房乾燥機1を用いれば、さらに、ガスメータ10によるガスの誤遮断を回避する動作により発生する暖房能力や乾燥能力の低下を極力抑制することができる。
【0036】
第1実施例の浴室暖房乾燥機1のコントローラ17は、ステップS20の「負荷変動処理」で、まず、熱源機3をオフすることを要求する情報を熱源機3に出力する「予備の処理」を実行してみている(図4に示すステップS202)が、ステップS20の「負荷変動処理」では、そのまま自らの熱負荷を変更してもよい。
【0037】
本実施例のコントローラ17は、「負荷変動処理」の「予備の処理」として、熱源機3をオフすることを要求する情報を熱源機3に出力してみているが、熱源機3に要求する温水の温度を変更してみてもよい。そして、ステップS204で、同様に入口温に変化があるか否かを判別してもよい。
【0038】
また、コントローラ17は、「負荷変動処理」のステップS208で、自らの熱負荷を変更する手段として、熱動弁11bの開度を変更してもよい。
熱源機3にとって、戻ってきた温水が同じ温度であっても循環量が多い場合には、温水の温度を目標温度に加熱するために多くのガスを燃焼する。戻ってきた温水の循環量が少ない場合には、このためのガスの使用量は少なくてよい。
したがって、制御弁11bを閉める方向に変化させれば、浴室暖房乾燥機1に供給される温水の量が減少する。したがって、熱源機3が温水使用端末に供給する温水の総量が減少し、熱源機3が使用するガスの使用量が減少する。あるいは、制御弁11bを開ける方向に変化させれば、浴室暖房乾燥機1に供給される温水の量が増加する。したがって、熱源機3が温水使用端末に供給する温水の総量が増加し、熱源機3が使用するガスの使用量が増加する。これにより、浴室暖房乾燥機1は、熱源機3のガスの使用量を変化させることができる。これにより、温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることができ、浴室暖房乾燥機1が、熱源機3のガスの使用量を変化させることができる。
この場合の「負荷変動処理」は、請求項に記載されている、温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることで自らの熱負荷を変更する「第2熱負荷変動手段」の一実施例である。
なお「熱動弁11bの開度を変更する」とういう概念には、「熱動弁11bを閉じる」という概念も含まれる。
【0039】
また、コントローラ17は、「負荷変動処理」のステップS208で、自らの熱負荷を変更する手段として、循環ファン14bの回転数を変更しているが、換気ファン16の回転数を変更してもよい。
換気ファン16の回転数を少なくする方向に変化させれば、浴室内の暖かい空気が浴室外に排出される量が減る。これにより、空気循環経路13aに浴室から比較的暖かい空気が導入される。したがって、熱源機3が浴室暖房乾燥機1に供給した温水の熱量のうち空気と熱交換する熱量が減少し、供給した温水が比較的熱いまま熱源機3に戻ってくる。熱源機3が戻ってきた温水を目標温度(本実施例では80℃)まで加熱する際に、使用するガスの使用量が減少する。あるいは、換気ファン16の回転数を多くする方向に変化させれば、空気循環経路に浴室から外部の温度に近い比較的冷たい空気が導入される。したがって、熱源機3が、戻ってきた温水を目標温度まで加熱する際に、使用するガスの使用量が増加する。これにより、熱源機3に戻す温水の温度を変化させることができ、浴室暖房乾燥機1が、熱源機3のガスの使用量を変化させることができる。
【0040】
(第2実施例)
次に、浴室暖房乾燥機1の第2実施例を図6を参照しながら説明する。
本実施例の浴室暖房乾燥機1は、循環ファン14bの回転数が所定時間にわたって一定である場合に、熱源機3のガス使用量が所定時間にわたって一定であることを判別する。
この浴室暖房乾燥機1の構成は、第1実施例の浴室暖房乾燥機1の構成と同様であるので、その説明を省略する。
第2実施例の浴室暖房乾燥機1は、第1実施例の浴室暖房乾燥機1とは、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するためのステップ(図3に示すステップS12,S14,S26)が相違する。以下では、第1実施例と相違するステップについてのみ説明する。その他のステップについては、図3に示す第1実施例の場合と同様である。
【0041】
第1実施例のステップS12と対応する第2実施例のステップS12aでは、コントローラは、現在の循環ファン14bの設定回転数を基準の回転数として記憶する。また、現在の設定回転数が基準の回転数と同じである場合にその値がインクリメントされるカウンタTA(安定認識時間カウンタ)と、現在の設定回転数が基準の回転数と相違する場合にその値がインクリメントされるカウンタTK(変化認識時間カウンタ)に”0”を代入する。そして、コントローラは、ステップS14aの処理に進む。
第1実施例のステップS14と対応するステップS14aでは、循環ファン14bの基準の回転数が現在の回転数と一致するか否かを判別する。一致する場合には、(ステップS14aのYES)には、コントローラ17は、ステップS16の処理に進む。一致しない場合には、(ステップS14aのNO)には、コントローラ17は、ステップS22の処理に進む。
また、第1実施例のステップS26と対応するステップS26aでは、コントローラ17は、カウンタTAに”0”を代入する。また、循環ファン14bの現在の設定回転数を基準の回転数として記憶し、ステップS14aの処理に戻る。
上記したように、循環ファン14bの回転数に基づいても、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別することができる。
本実施例では、循環ファンの回転数をモニタするわけではなく、設定回転数と基準回転数とを比較しているが、循環ファンの回転数をモニタし、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別してもよい。
【0042】
なお、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間に亘ってないか否かを判別するために、熱源機3に要求している温水の温度を示す情報を用いてもよい。
コントローラは、例えば、操作部18(併せて図1参照)で操作された運転モード(浴室暖房運転や乾燥運転等)により熱源機3に要求する温水の温度を決定する。そして、熱源機3にこの情報を出力する(請求項に記載されている熱源機設定手段の動作)。この情報に基づいて熱源機3はガスを燃焼し温水を加熱するので、熱源機3のガス使用量の変化を判別することができる。
この構成によれば、コントローラは、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間に亘ってないか否かを、自らが熱源機3に要求した温度の情報とその情報の出力時間により判別することができ、コントローラの処理が簡単である。
【0043】
また、浴室暖房乾燥機1は、出口温(熱源機3に戻る温水の温度であり、サーミスタ12bにより算出した温水の温度)の変化、浴室内の室温(サーミスタ13bにより算出した空気の温度)の変化、換気ファン16の回転数等に基づいて、熱源機3のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別することができる。これらのパラメータが変化すれば、熱源機3が供給する温水の温度を目標温度に加熱するまでの燃焼するガスの使用量が変化するので、熱源機3のガス使用量の変化を判別することができる。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0045】
ガスメータ10には、熱源機3を含むガス使用箇所によるガスの総使用量に基づいて、ガスを遮断するための基準時間(ガスの総使用量が長時間にわたって変動しない場合を検出するための基準時間(例えば、140分))を変化させる機能を有するものがある。
例えば、ガスの総使用量が、0.25(kg/h)以上0.42(kg/h)未満である場合には、当初の基準時間は160分に設定されている。したがって、ガスの総使用量が160分にわたって変動しない場合にはガスを遮断する。しかしながら、ガスの総使用量が100分にわたって変動しなかったが、100分を超えた時点で変更された時には、この基準時間は、100分に2.2を乗じた値に変更される。その後は、ガスの総使用量が220分にわたって変動しない場合に、ガスを遮断する。すなわち、ガスメータは、ガスの使用量が同じ状態が100分継続しても正常であることを判別し、学習をして基準時間を長くすることができる。
このため、浴室暖房乾燥機1側で、浴室暖房乾燥機1の運転状態(要求設定温度や、入口温や、出口温や、循環ファンの回転数等の状態)により、熱源機3のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別する際の「安定判定時間TAMAX」を変化させることができるように構成することが好ましい。これによれば、ガスメータ10の基準時間の変更に対処し、ガスメータによるガスの誤遮断防止のために、浴室暖房乾燥機1の熱負荷が不要に変更されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】浴室暖房乾燥機1がファンコンベクタ2とともに熱源機3に接続されている構成を示す。
【図2】浴室暖房乾燥機1の外観を示す図である。
【図3】浴室暖房乾燥機1のコントローラ17が、ガスメータ10によるガス供給の遮断を回避するために実行するためのプログラムのフローチャートである。
【図4】図3に示すステップS20のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図5】循環ファン14bの回転数と熱負荷の関係を示すグラフである。
【図6】コントローラが、ガスメータ10によるガス供給の遮断を回避するために実行するための別のプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 浴室暖房乾燥機
2 ファンコンベクタ
3 熱源機
4 温水往路
5 温水復路
6 信号線
10 ガスメータ
11 温水導入口
11a 温水循環往路
11b 熱動弁
11c,12b,13b サーミスタ
12 温水送出口
12a 温水循環復路
13 空気吸入口
13a 空気循環往路
14 空気送出口
14a 空気循環復路
14b 循環ファン
14c 循環ファンモータ
15 熱交換器
16 換気ファン
17 コントローラ
17a 信号端子
18 操作部
19 コネクタ
19a 漏電ブレーカ
31 温水供給口
32 温水回収口
33 端子
101 ケーシング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータを介して供給されたガスを熱源機で燃焼し、これにより加熱した温水を利用し、被暖房空間から導入する空気を加熱する温水循環式暖房システムであり、
前記熱源機から導入した温水を流して前記熱源機に戻す温水循環経路と、
前記被暖房空間から導入した空気を流して前記被暖房空間に戻す空気循環経路と、
前記温水循環経路の温水と前記空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない、空気を加熱する熱交換手段と、
前記熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、
前記ガス使用状態判別手段が、前記熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、前記熱源機に戻す温水の温度を変化させることで、自らの熱負荷を変更する第1熱負荷変更手段を備えることを特徴とする温水循環式暖房システム。
【請求項2】
前記空気循環経路の空気の流れを促進する循環ファンを備え、
前記第1熱負荷変更手段は、前記循環ファンの回転数を変化させることにより、前記温水循環経路から前記熱源機に戻す温水の温度を変化させることを特徴とする請求項1の温水循環式暖房システム。
【請求項3】
ガスメータを介して供給されたガスを熱源機で燃焼し、これにより加熱した温水を利用し、被暖房空間から導入する空気を加熱する温水循環式暖房システムであり、
前記熱源機から導入した温水を流して前記熱源機に戻す温水循環経路と、
前記被暖房空間から導入した空気を流して前記被暖房空間に戻す空気循環経路と、
前記温水循環経路の温水と前記空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない、空気を加熱する熱交換手段と、
前記熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、
前記ガス使用状態判別手段が、前記熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、前記温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることで、自らの熱負荷を変更する第2熱負荷変更手段を備えることを特徴とする温水循環式暖房システム。
【請求項4】
前記温水循環経路に導入する温水の量を調節する制御弁を備え、
前記第2熱負荷変更手段は、前記制御弁の開閉状態を変化させることで前記温水循環経路を流れる温水の循環量を変化させることを特徴とする請求項3の温水循環式暖房システム。
【請求項5】
ガスメータを介して供給されたガスを熱源機で燃焼し、これにより加熱した温水を利用し、被暖房空間から導入する空気を加熱する温水循環式暖房システムであり、
前記熱源機に、前記熱源機をオフすることを要求する情報と要求する温水の温度を示す情報とのうち少なくとも一方を出力可能な熱源機設定手段と、
前記熱源機から導入した温水を流して前記熱源機に戻す温水循環経路と、
前記温水循環経路に導入した温水の温度指標を検出する入口温度検出手段と、
前記被暖房空間から導入した空気を流して前記被暖房空間に戻す空気循環経路と、
前記温水循環経路の温水と前記空気循環経路の空気との間で熱交換を行ない、空気を加熱する熱交換手段と、
前記熱源機のガス使用量の変化が設定時間の間にあるか否かを判別するガス使用状態判別手段と、
前記ガス使用状態判別手段が、前記熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別した場合に、前記熱源機設定手段により、前記熱源機に、前記熱源機をオフすることを要求する情報、あるいは要求する温水の温度を変更する情報を出力し、その後に前記入口温度検出手段で検出する温水の温度指標が変化しない場合には、自らの熱負荷を変更する第3熱負荷変更手段を備えることを特徴とする温水循環式暖房システム。
【請求項6】
前記熱源機に、要求する温水の温度を示す情報を出力可能な熱源機設定手段を備え、
前記ガス使用状態判別手段は、前記熱源機設定手段が設定時間に亘って同じ温度を示す情報を前記熱源機に出力している場合に、前記熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別することを特徴とする請求項1〜5の温水循環式暖房システム。
【請求項7】
前記温水循環経路に導入した温水の温度指標を検出する入口温度検出手段を備え、
前記ガス使用状態判別手段は、前記入口温度検出手段で検出する温度指標が設定時間に亘って同じ温度を示している場合に、前記熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別することを特徴とする請求項1〜5の温水循環式暖房システム。
【請求項8】
前記空気循環経路に導入した空気の流れを推進する循環ファンを備え、
前記ガス使用状態判別手段は、前記循環ファンの回転数が設定時間に亘って同じ回転数である場合に、前記熱源機のガス使用量が設定時間に亘って変化していないことを判別することを特徴とする請求項1〜5の温水循環式暖房システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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