説明

温水装置

【課題】熱媒体を介して水を加熱して貯湯タンクに湯を溜めるコージェネレーションシステムを利用した温水装置であり、システム内の水の上水源側への逆流を阻止する。
【解決手段】上水源が断水すると循環ポンプfを駆動する回路が遮断され、循環ポンプfが緊急停止する。また上水源が断水すると、補給水開閉弁jと蓄電池pとをつなぐ回路が導通し、補給水開閉弁jが開く。その結果、上水導入路iと膨張タンクeの上部とを繋ぐ補給水路hが開かれ、上水導入路i側の負圧傾向は直ちに解消し、上水源側への逆流が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を作る機能を備えた装置の全般に採用できるものであり、給湯器、暖房機、給湯暖房機等に関するものである。特に本発明は、ガスエンジンや燃料電池等を熱源とし、熱媒体を介して水を加熱して貯湯タンクに湯を溜めるコージェネレーションシステムを利用し、さらに浴槽や洗濯機等に湯を供給する機能を備えるとともに暖房端末へ温水を供給可能な給湯暖房機に採用することが推奨されるものである。
【背景技術】
【0002】
浴槽や洗濯機に湯を供給する機能を備えた給湯器が知られている。例えば浴槽に湯を供給する機能を備えた給湯器は、浴槽の湯水を循環して追い焚きする追い焚き回路と、当該追い焚き回路と給湯回路とを接続する落とし込み流路を有し、給湯器で作った湯を落とし込み流路を経由して追い焚き回路に流し、追い焚き回路から浴槽に湯を供給する。
【0003】
上記した浴槽に湯を供給する機能を備えた給湯器(以下、落とし込み機能付給湯器と称する)は、水道から供給される上水を給湯回路で昇温し、落とし込み流路及び追い焚き回路を経て浴槽に湯を供給するものであるから、上水源と浴槽とがこれらの流路を通じて連通することとなる。
従ってこれら一連の流路に逆流が生ずれば、浴槽内の雑水が上水源側に逆流することとなり、上水が浴槽の水で汚染される。
そのため落とし込み機能付給湯器では、雑水の逆流を防止するために、落とし込み流路に逆流防止手段を設けている。
【0004】
逆流防止手段の代表例としてシスターン(特許文献1)や逆止弁、あるいはバネ等を利用した安全弁がある。
ここでシスターンは、上流側が高圧状態となった場合のみ上流側と下流側が接続されて連通し、一旦、上流側が無圧状態となると、上流側と下流側が断絶し、両者の間が大気開放状態となる構造を備えている。
一方、逆流防止手段として逆止弁を採用する場合には、信頼性を確保するために複数の逆止弁を直列に接続したものが利用される場合が多い。
【0005】
また近年、環境問題や省エネルギー等の観点から、コージェネレーションシステムの研究が盛んである(特許文献2)。
コージェネレーションシステムの一例として、例えばガスや液体燃料を使用するエンジンによって発電機を駆動し、さらにエンジンの発熱によって熱エネルギーを取り出すものがある。また燃料電池によって電力と熱を取り出す方策も研究されている。
コージェネレーションシステムにおいては、熱媒体の循環回路を設け、当該熱媒体の循環回路を経てエンジン等から熱エネルギーを取り出す。
【0006】
例えば特許文献2に記載のコージェネレーションシステムでは、エンジンを冷却する冷却装置と、熱媒・上水熱交換器を備え、冷却装置と、熱媒・上水熱交換器の一次側との間を循環する循環回路を構成し、当該熱媒・上水熱交換器の二次側に上水を通過させる。
そして熱媒・上水熱交換器でエンジンが発生した熱エネルギーを上水に移動させ、上水を昇温させる。
また特許文献2に記載のコージェネレーションシステムでは、貯湯タンクを備え、前記した熱媒・上水熱交換器で昇温した湯水を貯湯タンクに溜置く。そして必要に応じて貯湯タンクから湯を取り出し、一般給湯に使用したり、浴槽への湯の落とし込みに利用する。
【特許文献1】特開平10−184957号公報
【特許文献2】特開2004−263915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した様に、落とし込み機能付給湯器等では、雑水の逆流を防ぐために落とし込み流路にシスターンや逆止弁、安全弁等の逆流防止手段を設けている。
しかしながら、これらの逆流防止手段はいずれも機械式の構造であり、経年的に老化したり、固着して動きが悪くなることがある。
即ちシスターンや逆止弁等は、落とし込みのたびごとに開閉するものであるから、長期の使用によってシールが傷むことがあり、漏れが生じる場合がある。逆に安全弁は、動作頻度が極めて低く、弁等が固着して動かなくなる場合がある。
そのため市場において、より信頼性の高い逆流防止手段の開発が望まれている。
【0008】
またコージェネレーションシステムを採用する給湯器等においては、浴槽水等の雑水に限らず、システム内の水の逆流を阻止する要求がある。
即ちコージェネレーションシステムでは、前記した様に、エンジンを冷却する冷却装置と、熱媒・上水熱交換器の一次側との間を循環する循環回路を構成し、当該熱媒・上水熱交換器の二次側に上水を通過させて上水を昇温させる。
そのため前記した熱媒・上水熱交換器では、一次側に熱媒体が流れ、二次側に上水が通過することとなる。
そのため、万一、熱媒・上水熱交換器が一次側と二次側とが導通する状態で破損すると、一次側の熱媒体が二次側の上水に混入することとなる。そのためコージェネレーションシステムを採用する給湯器等においては、雑水に限らず、システム内の水の逆流を阻止する要望がある。
【0009】
本発明は、従来技術の上記した要望に応えるものであり、システム内の水、あるいは装置内の水の上水源側への逆流を、より完全に阻止することができる温水装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここでシステム内の水(雑水を含む)が逆流する条件を考えると、上水源が断水した場合に逆流が発生する。
即ち通常は、上水源は、相当の水圧を持っており、当該水圧は、コージェネレーションシステム内の圧力よりも高い。そのため上水源が正常であるならば、水は、常に上水側からシステム側に押圧されており、逆流は生じない。
これに対して、上水源の圧力が低下すると、システム内の圧力の方が、上水源よりも高くなる場合が生じ、雑水等が、上水源側に押し上げられて逆流が生じる場合がある。
【0011】
さらに上水源が断水状態となると、上水配管が負圧状態となる場合がある。即ち上水を加圧するポンプ等が停止すると、上水配管内の水が重力で落下し、落下する水に引かれて配管内が負圧状態となる。
そして配管内が負圧状態になると、浴槽や洗濯機内の水が大量に吸い上げられ、上水源側に混入してしまう。
そこで本発明は、上水源が断水状態であるか否かを判断する断水検知手段を設け、断水状態であるならば、上水に繋がる流路を大気開放して、上水側の負圧状態を解消することとした。
【0012】
上記した構想に基づいて完成された請求項1に記載の発明は、上水源に連通する上水導入路と、上水導入路から導入された水を昇温する昇温手段と、雑水回路に連通する雑水連通路を有し、上水導入路から導入された水を昇温手段で昇温して雑水連通路に供給することが可能な温水装置において、上水源が断水したことを検知する断水検知手段と、大気開放部を備えた液体貯留部と、上水導入路に連通し前記液体貯留部に上水を供給可能であると共に大気開放部とも連通する補給水路と、補給水路に設けられた開閉弁を備え、断水検知手段が上水の断水を検知すると、前記開閉弁を開くことを特徴とする温水装置である。
【0013】
本発明の温水装置は、基本構成として雑水回路に連通する雑水連通路を有するものであり、上水源と雑水側が連通する場合があり、逆流を阻止する要求がある。
ここで雑水回路は、浴槽の湯を循環させる回路や、洗濯機に湯を供給する回路、浴槽内や浴室を洗浄する回路、浴室内に霧やスチームを噴霧する回路、その他である。
本発明の温水装置では、上水源が断水したことを検知する断水検知手段と、上水導入路と大気開放部とを連通する補給水路とを有している。そして補給水路には、開閉弁が設けられている。
本発明の温水装置では、断水検知手段が上水の断水を検知すると、前記開閉弁を開く。その結果、補給水路を経由して温水装置内に空気が導入され、上水側の負圧が解消する。
従って温水装置内の水が上水側に逆流することはない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記昇温手段は、昇温された水を主体とする熱媒体が循環する熱媒体循環回路と、熱媒体循環回路を流れる熱媒体と上水導入路から導入された水との間で熱交換を行う熱媒・上水熱交換器を備え、前記断水検知手段は上水導入路に連通する流路に設けられた圧力センサーであり、前記昇温手段の熱媒体循環回路に前記液体貯留部があることを特徴とする請求項1に記載の温水装置である。
【0015】
本発明の温水装置は、基本構成として熱媒・上水熱交換器を備えており、逆流を阻止する要求がある。
また本実施形態では、熱媒体循環回路に液体貯留部を備えている。この液体貯留部は、例えば膨張タンクを併用することができる。即ち熱媒体を循環させる回路においては、内部の熱媒体の熱による体積変化を吸収するために、膨張タンクと称されるタンクを設ける場合が多い。膨張タンクは、大気開放型のタンクであり、熱媒体の補給口を兼ねている場合が多い。例えば膨張タンクに水位センサーを設け、膨張タンク内の水位が一定以下となった場合には、自動的に熱媒体を補給する。熱媒体が水を主体とするものであるならば、膨張タンクに水を供給することとなる。
この様な補給機能付の膨張タンクでは、水を補給する補給水路を備えており、当該補給水路は、上水源に繋がり、膨張タンクの上に開く。
本発明は、補給水路として、液体貯留部に水を補給する補給水路を利用するものであり、発明を実施する上で、新たな部品の追加が少ない。
【0016】
請求項3に記載の発明は、熱媒体循環回路には熱媒体を循環させる熱媒循環ポンプが設けられており、前記断水検知手段が断水を検知すると、熱媒循環ポンプが停止することを特徴とする請求項2に記載の温水装置である。
【0017】
本発明の温水装置は、熱媒・上水熱交換器から上水側への熱媒体の侵入をより完全に阻止するための方策を備えたものである。即ち本発明の温水装置では、断水検知手段が断水を検知すると、熱媒循環ポンプが停止する。そのため熱媒体循環回路側の圧力は消失する。そのため万一、上水源が断水しても、熱媒体循環回路側の圧力が低下するから、熱媒・上水熱交換器の一次側たる熱媒体循環回路から、熱媒・上水熱交換器の二次側たる上水側に熱媒体が移動することはない。
【0018】
請求項4に記載の発明は、暖房器具との間で熱媒体を循環させる循環回路を構成する暖房熱媒回路を有し、前記暖房熱媒回路には液体貯留部があることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温水装置である。
【0019】
本発明の温水装置では、暖房器具との間で熱媒体を循環させる循環回路を構成する暖房熱媒回路を有している。そして暖房熱媒回路の膨張タンク等を利用するものである。
前記した熱媒体循環回路と同様に、暖房熱媒回路においても熱媒体の熱による体積変化を吸収するために、膨張タンクと称されるタンクを設ける場合が多い。膨張タンクは、大気開放型のタンクであり、熱媒体の補給口を兼ねている場合が多い。また膨張タンクに水位センサーを設け、膨張タンク内の水位が一定以下となった場合には、自動的に熱媒体を補給する構成を備えるものが多い。
本発明は、補給水路として、液体貯留部に水を補給する補給水路を併用するものであり、発明を実施する上で、新たな部品の追加が少ない。
【0020】
また前記した様に、雑水連通路の代表例として、浴槽に連通する風呂落とし込み流路が挙げられる。
【0021】
即ち請求項5に記載の発明は、雑水連通路は、浴槽に連通する風呂落とし込み流路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温水装置である。
【0022】
請求項6に記載の発明は、上水源に連通する上水導入路と、昇温された水を主体とする熱媒体が循環する熱媒体循環回路と、熱媒体循環回路を流れる熱媒体と上水導入路から導入された水との間で熱交換を行う熱媒・上水熱交換器を備えた温水装置において、上水源が断水したことを検知する断水検知手段を備え、前記熱媒体循環回路又は他の熱媒体循環回路には大気開放部を備えた液体貯留部があり、上水導入路と連通し前記液体貯留部に水を補給する補給水路を有し、当該補給水路には開閉弁が設けられ、断水検知手段が上水の断水を検知すると、前記開閉弁を開くことを特徴とする温水装置である。
【0023】
本発明の温水装置は、基本構成として熱媒・上水熱交換器を備えており、逆流を阻止する要求がある。
また本実施形態では、熱媒体循環回路に膨張タンクの様な液体貯留部を備えている。
本発明は、請求項2に記載の発明と同様、補給水路として、液体貯留部に水を補給する補給水路を併用するものであり、発明を実施する上で、新たな部品の追加が少ない。
【0024】
請求項7に記載の発明は、熱媒体循環回路は、エンジン、燃料電池、ヒートポンプ、燃焼装置の少なくともいずれかによって熱媒体を昇温するものであり、上水導入路から導入された水を溜置く貯湯タンクを有し、前記熱媒・上水熱交換器は、熱媒体循環回路を流れる熱媒体と貯湯タンク内に溜置かれた上水導入路から導入された水との間で熱交換を行うことを特徴とする請求項2又は6に記載の温水装置である。
【0025】
本発明は、エンジン、燃料電池、ヒートポンプ、燃焼装置の少なくともいずれかによって熱媒体を昇温するものである。ここで、エンジン、燃料電池を利用する場合には、コージェネレーションシステムを構築することができる。
またヒートポンプを利用する場合には、熱効率が高いという効果がある。燃焼装置は、単独で熱源として利用しても良いが、エンジン、燃料電池、ヒートポンプと併用して利用される場合もある。
【0026】
請求項8に記載の発明は、開閉弁を動作させる予備電源を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温水装置である。
【0027】
本発明の温水装置では、開閉弁を動作させる予備電源を備えている。これは、断水の際に同時に停電が発生する場合が多いという経験則に基づくものである。本発明の温水装置では、開閉弁を動作させる予備電源を備えているから、停電を伴う断水であっても、開閉弁を開くことができ、逆流を阻止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の温水装置は、システム内の水の逆流を、より完全に阻止することができ、安全性に対する信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態の温水装置の作動原理図である。
図1に示す温水装置aは、本発明の基本構成を説明するために、単純化した回路構成としている。より具体的に説明すると、図1に示す温水装置aは、熱回収回路bと風呂落とし込み流路cのみを有する温水装置である。実際に製作される温水装置は、この基本構成に加えて、給湯回路や追い焚き回路を備える場合が多い。より実際的な温水装置については後記する。
【0030】
図1に示す温水装置aは、装置外の熱源機に接続されて使用されるものである。熱源機として、エンジン、燃料電池、ヒートポンプ、燃焼装置等が採用可能である。
温水装置aは、内部に熱媒・上水熱交換器dを備えている。そして熱媒・上水熱交換器dの一次側を含む流路によって熱媒体が循環する熱回収回路(熱媒体循環回路)bを構成している。また熱媒・上水熱交換器dの二次側を含む流路によって浴槽に連通する風呂落とし込み流路cを構成している。
【0031】
熱回収回路(熱媒体循環回路)bは、装置外の熱源機との間で環状の流路を形成するものであり、膨張タンク(液体貯留部)e、熱媒循環ポンプfを備えている。
即ち熱回収回路(熱媒体循環回路)bは、熱源機、熱媒・上水熱交換器dの一次側、膨張タンクe、熱媒循環ポンプfが順次接続されて熱源機に戻る環状流路である。
【0032】
熱回収回路(熱媒体循環回路)bに設けられた膨張タンクeは、自動給水機能を備えたものである。即ち膨張タンクeは、水位センサーgを備え、さらに膨張タンクeの上部には補給水路hが開口している。補給水路hは、上水源に連通する上水導入路iから分岐されたものであり、上水を通過させる流路である。補給水路hには、補給水開閉弁jが設けられている。補給水開閉弁jは、電磁弁であり、多くの場合、膨張タンクeと一体化されている。
膨張タンクeは、大気開放形のタンクであり、上部が開放された水槽である。従って膨張タンクeでは、その上面全域が大気開放部として機能する。
【0033】
前記した様に膨張タンクeは、自動給水機能を備え、水位センサーgが一定以下の水位を検知すると、補給水開閉弁jが開き、上水導入路iから補給水路hを経て水が供給される。補給水路hから膨張タンクeに給水され、水位センサーgが一定以上の水位を検知すると、補給水開閉弁jが閉じ、水の補給が停止される。
【0034】
一方、風呂落とし込み流路cは、上水源に連通する上水導入路iから落とし込み開閉弁kを経て熱媒・上水熱交換器dの二次側を通過し、浴槽に至る流路であり、その中途に逆流防止装置nが設けられている。逆流防止装置nは、機械式の装置であり、具体的には逆止弁が2個、直列に接続されたものである。
【0035】
また上水導入路iには圧力スイッチ(圧力センサー)mが設けられている。
次に電気回路について説明する。
本実施形態の温水装置aは、図示しない制御装置を有し、当該制御装置が内蔵するマイクロコンピュータによって動作する。即ち熱媒循環ポンプfや落とし込み開閉弁k、補給水開閉弁jは原則としてマイクロコンピュータによって制御される。
例えば前記した様に膨張タンクeは、自動給水機能を備え、水位センサーgが一定以下の水位を検知すると、補給水開閉弁jが開くが、この際の補給水開閉弁jの開閉は、マイクロコンピュータからの指令による。
具体的には、水位センサーgの信号はマイクロコンピュータに入力され、水位センサーgが一定以下の水位を検知すると、マイクロンピュータから補給水開閉弁jを開く信号が発せられる。
一方、水位センサーgが一定以上の水位を検知すると、その信号を受けてマイクロンピュータから補給水開閉弁jを閉じる信号が発信され、補給水開閉弁jが閉じて、水の補給が停止される。
【0036】
本実施形態の温水装置aでは、前記したマイクロコンピュータの制御と平行してアナログ回路による逆流防止機能(負圧破壊機能)及び停電に備えた補償機能を備えている。
即ち本実施形態の温水装置aは、商用電源oによって動作するが、内部に予備電源として蓄電池pを搭載している。なお予後電源は、極僅かの時間だけ補給水開閉弁jを動作させることができればよく、コンデンサーでもよい。
また圧力スイッチmの信号は、リレーqに送信される。リレーqは、前記した熱媒循環ポンプfを駆動する回路の一部と、補給水開閉弁jを動作させる回路の一部に挿入されている。より具体的には、熱媒循環ポンプfを駆動する回路にリレーqのA接点が接続されている。なおここで言うA接点は、コイルに通電したときに接点がONするタイプの接点である。
また補給水開閉弁jと、蓄電池pとをつなぐ回路にリレーqのB接点(コイルに通電したときに接点がOFFとなるタイプの接点)が接続されている。従って上水源が正常であり、圧力スイッチmが圧力を検知してオン状態となれば、熱媒循環ポンプfを駆動する回路がつながる。一方、圧力スイッチmが圧力を検知してオン状態である場合は、補給水開閉弁jと蓄電池pとをつなぐ回路は遮断されている。
【0037】
これに対して上水源が断水し、圧力スイッチmが圧力を検知しなくなれば、前記したマイクロコンピュータの制御に係わらず、熱媒循環ポンプfを駆動する回路が遮断される。一方、圧力スイッチmが圧力を検知しなくなれば、前記したマイクロコンピュータの制御に係わらず、補給水開閉弁jと蓄電池pとをつなぐ回路が接続状態となり、補給水開閉弁jが開く。
【0038】
次に本実施形態の温水装置aの機能について説明する。
前記した様に図1に示す温水装置aは、熱回収回路bと風呂落とし込み流路cのみを有する温水装置であり、外部の熱源機と一体となって使用される。
そして温水装置aは、上水源が正常である場合であって、落とし込み開閉弁kが開かれると、上水導入路iから導入された上水が昇温されて浴槽に供給される。
即ち上水源が正常である場合は、圧力スイッチmが圧力を検知してオン状態となっている。そのため、熱媒循環ポンプfを駆動する回路がつながり、熱媒循環ポンプfが駆動する。
その結果、熱回収回路(熱媒体循環回路)bに流れが生じ、熱源機によって昇温された熱媒体が熱媒・上水熱交換器dの一次側を通過する。
また上水源が正常である場合は、補給水開閉弁jと蓄電池pとをつなぐ回路が遮断されているから、補給水開閉弁jは閉じられ、膨張タンクeへの給水は停止している。
【0039】
この状態で、落とし込み開閉弁kを開くと、上水源が正常であるから上水導入路iから上水が導入され、風呂落とし込み流路cに流れ込み、熱媒・上水熱交換器dの二次側を通過する。そして熱媒・上水熱交換器dの二次側を通過する際に上水は昇温され、浴槽に流れ込む。
【0040】
次に上水源が断水した場合における温水装置aの動作について説明する。
上水源が断水すると圧力スイッチmが圧力を検知しなくなってオフ状態となる。そのため、リレーqの接点が切れ、熱媒循環ポンプfを駆動する回路が遮断され、熱媒循環ポンプfが緊急停止する。
その結果、熱回収回路(熱媒体循環回路)bの内圧が消失する。従って万一、熱媒・上水熱交換器dに一次〜二次間導通の破損箇所があっても熱回収回路(熱媒体循環回路)b内の熱媒体が二次側に混入することはない。
【0041】
また上水源が断水すると、上水導入路iが負圧状態になろうとするが、この状況は直ちに解消する。
即ち上水源が断水すると、圧力スイッチmが圧力を検知しなくなってオフ状態となり、リレーqのB接点に接続された補給水開閉弁jと蓄電池pとをつなぐ回路が導通する。その結果、補給水開閉弁jが開く。その結果、上水導入路iと膨張タンクeの上部とを繋ぐ補給水路hが開かれる。
しかしながら、この条件下で補給水開閉弁jが開く場合は、上水源が断水しているから、上水源側から補給水路h側への水の供給はない。従って補給水路hから膨張タンクeに対しての給水は無く、膨張タンクeが溢れる懸念はない。
そしてこの条件下で補給水開閉弁jが開く場合は、上水源が断水し、上水導入路i側が負圧傾向にあり、且つ補給水路hは膨張タンクeの上部に開口しており、大気開放状態であるから、補給水路hに外気が流れ込む。その結果、上水導入路i側の負圧傾向は直ちに解消し、上水源側への逆流が阻止される。
【0042】
以上説明した第一実施形態は、熱回収回路(熱媒体循環回路)bに設けられた膨張タンクeを利用して上水導入路i側の負圧傾向を解消するものであるが、他の部位に設けられた大気開放タンクを利用することも可能である。
例えば暖房機能を備えた温水装置であれば、暖房器具との間で熱媒体を循環させる循環回路を構成する暖房熱媒回路があり、この暖房熱媒回路には膨張タンクが設けられる場合が多い。そのため暖房機能を備えた温水装置であるならば、暖房熱媒回路に設けられている膨張タンクを利用して上水導入路i側の負圧傾向を解消することも可能である。
【0043】
また上記した実施形態では、逆流防止機能(負圧破壊機能)の動作を通常のマイクロコンピュータの制御から切り離し、アナログ回路によって補給水開閉弁jの緊急開動作と、熱媒循環ポンプfの緊急停止動作を実行せしめたが、マイクロコンピュータによって逆流防止機能の動作を実行させてもよい。
【0044】
即ち、圧力スイッチmの検出信号を、制御部であるマイクロコンピュータに入力し、圧力スイッチmが所定の正圧を検出しなくなればマイクロコンピュータからリレーqに所定の信号を送って補給水開閉弁jを開く。
熱媒循環ポンプfは、マイクロコンピュータの信号によって発停制御されるが、圧力スイッチmが所定の正圧を検出しなくなった場合には、他の動作信号に優先してマイクロコンピュータから熱媒循環ポンプfの停止信号が発せられる。
【0045】
次に、本発明の第二実施形態の温水装置について説明する。
図2は、本発明の第二実施形態の温水装置の作動原理図である。
図2に示す温水装置a’についても本発明の基本構成を説明するために単純化した回路構成としている。より具体的に説明すると、図2に示す温水装置a’は、熱回収回路bと風呂落とし込み流路c’と、貯湯回路uと、給湯回路vと、暖房回路wを有する温水装置である。
図2に示す温水装置a’が内蔵する熱回収回路bは、先の第一実施形態と同一であるから、同一の部材に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
即ち第二実施形態の温水装置の熱回収回路bは、装置外の熱源機との間で環状の流路を形成するものであり、膨張タンクe、熱媒循環ポンプfを備え、熱源機、熱媒・上水熱交換器dの一次側、膨張タンクe、熱媒循環ポンプfが順次接続されて熱源機に戻る環状流路である。
【0046】
前記した様に膨張タンクeは、自動給水機能を備え、水位センサーgが一定以下の水位を検知すると、補給水開閉弁jが開き、上水導入路iから補給水路hを経て水が供給される。補給水路hから膨張タンクeに給水され、水位センサーgが一定以上の水位を検知すると、補給水開閉弁jが閉じ、水の補給が停止される。
膨張タンクeの機械的構成は、先の実施形態と同一であるが、本実施形態では、補給水開閉弁jの電気回路は、先のそれとは異なり、リレーや補助電源に接続されてはいない。
【0047】
先に説明した第一実施形態では、熱媒・上水熱交換器dの二次側が風呂落とし込み流路cの一部を構成していたが、第二実施形態の温水装置a’では、貯湯タンクを中心とする貯湯回路に接続されている。
即ち貯湯回路は、熱媒・上水熱交換器dの二次側と、貯湯タンクと、貯湯開閉弁、貯湯循環ポンプを含む環状流路である。
より具体的には、貯湯回路uは、貯湯タンクrの下部、貯湯開閉弁s、貯湯循環ポンプt、熱媒・上水熱交換器dの二次側が順次接続されて貯湯タンクrの上部に接続される環状流路である。
本実施形態では、熱回収回路(熱媒体循環回路)bの循環ポンプfと、貯湯循環ポンプtを駆動すると、熱源機によって昇温された熱媒体が熱媒・上水熱交換器dの一次側を通過し、熱媒・上水熱交換器dの二次側には、貯湯タンクrの下部から排出された水が通過する。そして貯湯タンクrの下部から排出された水は、熱媒・上水熱交換器dで昇温され、貯湯タンクrの上部から貯湯タンクrに戻る。その結果、貯湯タンクrの上部に高温の湯水が溜まる。
【0048】
給湯回路vは、上水導入路iと、貯湯タンクr、湯水混合弁xを含む主流路と、上水導入路iから分岐されたバイパス流路yによって構成される回路である。
即ち給湯回路vの主流路は、上水導入路iから貯湯タンクrの下部に入り、貯湯タンクrの上部から湯水混合弁xたる三方弁の一つのポートに至る流路である。バイパス流路yは、上水導入路iから分岐された湯水混合弁xの一つのポートに至る流路である。
また給湯回路vの残る一つのポートはカラン等の給湯栓に接続されている。
【0049】
そしてカラン等の給湯栓を開くと、前記した給湯回路vの主流路に水流が生じる。即ち給湯栓を開くと、上水源の水圧によって貯湯タンクrの下部から貯湯タンクr内に水が導入され、貯湯タンクr内に溜まった高温の湯が貯湯タンクrの上部から押し出される。そして押し出された高温の湯は、湯水混合弁xに導入され、バイパス流路yを流れる冷水と混合されて適温に調節され、カランから排出される。
【0050】
また第二実施形態の温水装置a’では、湯水混合弁xの下流側が分岐されて風呂落とし込み流路c’に繋がっている。
本実施形態では、風呂落とし込み流路c’に、逆流防止手段としてシスターンzが設けられている。
第二実施形態の温水装置a’では、風呂落とし込み流路c’に設けられた開閉弁k’を開くと、給湯回路で作られた適温の湯がシスターンzを経て浴槽に供給される。
【0051】
次に暖房回路wについて説明する。暖房回路wは、暖房温水回路Dと、暖房熱媒回路Eによって構成されている。
ここで暖房温水回路Dは、貯湯タンクrと、暖房循環ポンプFと、暖房熱交換器Gを備えた回路である。
即ち暖房温水回路Dは、貯湯タンクrの上部から暖房循環ポンプFに繋がり、さらに暖房熱交換器Gの一次側を経て貯湯タンクrの下部側に戻る循環回路である。
【0052】
そして暖房熱交換器Gの二次側によって暖房熱媒回路Eが形成されている。暖房熱媒回路Eは外部の暖房機器Iに接続されて一連の循環回路を構成するものであり、その一部に膨張タンク(液体貯留部)e’を備えている。
即ち暖房熱媒回路Eは、暖房機器I、膨張タンクe’、熱媒循環ポンプf’、暖房熱交換器Gの二次側が順次接続されて暖房機器Iに戻る環状流路である。
【0053】
ここで膨張タンクe’は、前記した第一実施形態のそれと同一の構造を持つものであり、自動給水機能を備えたものである。即ち膨張タンクe’は、水位センサーg’を備え、さらに膨張タンクe’の上部には補給水路h’が開口している。補給水路h’は、上水源に連通する上水導入路iから分岐されたものであり、上水を通過させる流路である。補給水路h’には、補給水開閉弁j’が設けられている。
そして膨張タンクe’は、水位センサーg’が一定以下の水位を検知すると、補給水開閉弁j’が開き、上水導入路iから補給水路h’を経て水が供給される。補給水路h’から膨張タンクe’に給水され、水位センサーg’が一定以上の水位を検知すると、補給水開閉弁j’が閉じ、水の補給が停止される。
膨張タンクe’についても大気開放形のタンクであり、上部が開放された水槽である。従って膨張タンクe’では、その上面全域が大気開放部として機能する。
【0054】
本実施形態の温水装置a’では、暖房回路wの暖房循環ポンプFと熱媒循環ポンプf’とを駆動すると、暖房機器Iに熱エネルギーが供給される。
即ち暖房温水回路Dに設けられた暖房循環ポンプFを回転すると、暖房温水回路Dに水流が生じ、貯湯タンクrの上部に溜められた高温の湯が暖房温水回路Dに流れ、暖房熱交換器Gの一次側を高温の湯が通過する。
一方、暖房熱媒回路Eにおいても熱媒体の流れが生じ、暖房熱交換器Gの二次側に熱媒体が通過する。その結果、暖房熱交換器Gの二次側を流れる熱媒体が昇温され、暖房機器Iに高温の熱媒体が流れる。
【0055】
次に上水源が断水した場合における温水装置a’の動作について説明する。
先の実施形態では、熱回収回路(熱媒体循環回路)bに設けた膨張タンク(液体貯留部)eを利用して上水源の負圧を解消したのに対し、本実施形態では、暖房熱媒回路Eに設けられた膨張タンク(液体貯留部)e’を利用して上水源の負圧を解消する。
【0056】
即ち上水源が断水すると圧力スイッチmが圧力を検知しなくなってオフ状態となり、先の実施形態と同様に熱媒循環ポンプf’が緊急停止する。
【0057】
また上水源が断水すると、圧力スイッチmが圧力を検知しなくなってオフ状態となり、リレーqのB接点に接続された補給水開閉弁j’と蓄電池pとをつなぐ回路が導通する。その結果、補給水開閉弁j’が開く。そして上水導入路iと膨張タンクe’の上部とを繋ぐ補給水路h’が開かれ、上水源の負圧が解消される。
【0058】
また本実施形態においても、補給水開閉弁j’が開く場合は、上水源が断水しているから、上水源側から補給水路h’側への水の供給はない。従って補給水路h’から膨張タンクe’に対しての給水は無く、膨張タンクe’が溢れる懸念はない。
【0059】
次に、本発明を採用したより実際的な温水装置について説明する。
図3は、本発明の第三実施形態である給湯装置の配管系統図である。
【0060】
図3において、1は本発明の第三実施形態の温水装置である。本実施形態の温水装置1は、コージェネレーションシステムを採用したものである。温水装置1は、大別して発電部2と給湯部3とにより構成されるコージェネレーション系を形成している。発電部2は、ガスエンジン5を備えたものであり、コージェネレーション系の外にある電気機器等の外部負荷に電力を供給すると共に、発電に伴い発生した排熱により湯水を加熱することができる。また、給湯部3は、燃焼装置6(熱源機)を備えたものであり、主として給湯栓7や床暖房やファンコンベクタ等の暖房装置8等に供給される湯水を加熱するものである。
【0061】
温水装置1は、発電部2および給湯部3の駆動を司る制御部100を持つ駆動制御装置102を具備している。制御部100は、発電部2および給湯部3に設けられた各センサの検知信号に基づいて弁の開閉を行ったり、ポンプやガスエンジン5、燃焼装置6等の駆動を司るものである。制御部100には停電時に備えて蓄電池が内蔵されている。本実施形態では、蓄電池は、制御部100を動作させるだけでなく、短時間だけではあるが電磁弁等を動作させるだけの容量を備えている。
【0062】
発電部2は、大別してガスエンジン5と、ガスエンジン5によって駆動する発電機10とを具備している。発電部2において発生した電力は、コージェネレーション系の外部にある電気機器等の外部負荷に供給される。
【0063】
給湯部3は、ガスエンジン5を冷却するための冷却回路12と、燃料ガスを燃焼し湯水を加熱する燃焼装置6と、冷却回路12内を流れるガスエンジン5の排熱により加熱された湯水と熱交換を行う排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30と、貯湯タンク31とを具備している。
【0064】
冷却回路12は、発電部2の外部、さらに詳細には給湯部3側にある排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30および暖房熱交換器57を経由して湯水を循環させるものである。冷却回路12は、ガスエンジン5からバイパス分岐点Aを経て排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30に向けて湯水を流す往き側冷却水路13と、その分岐水路である往き側分岐水路61、並びに、排熱熱交換器30からガスエンジン5側へと湯水を戻す戻り側冷却水路15と、暖房熱交換器57から戻る湯水が前記戻り側冷却水路15に合流する戻り側合流水路62とから構成されている。即ち、ガスエンジン5には排熱熱交換器30と暖房熱交換器57とが前記各水路によって並列に接続されている。冷却回路12内を流れる湯水は、戻り側冷却水路15の中途に設けられた熱媒循環ポンプ16によって圧送され、戻り側冷却水路15側から往き側冷却水路13側へと流れる。戻り側冷却水路15内を流れる湯水は、ガスエンジン5の駆動に伴い発生した排熱により加熱され往き側冷却水路13へと流出する。
【0065】
戻り側冷却水路15の中途には、上記した熱媒循環ポンプ16の他に冷却水タンク(液体貯留部)22とサーモスタット式の三方弁25とが設けられている。また、三方弁25は、後述する戻り側合流水路62に設けられている三方弁23と連通する連通流路24に接続されている。さらに、戻り側冷却水路15と往き側冷却水路13との間には、両者をバイパスするバイパス流路26が設けられている。
【0066】
冷却水タンク22には、外部から湯水を補給するための補給水路27が設けられており、その中途に設けられている補給水弁28によって冷却水タンク22への給水量が調整される。即ち冷却水タンク22には水位センサー11が挿入されており、当該水位センサー11が水位を検知しなくなると、補給水弁28が開かれる。冷却水タンク22の上部にはオーバーフロー口14があり、冷却水タンク22は、オーバーフロー口14によって大気開放されている。
補給水路27は、外部から湯水を供給する上水導入路85から分岐されており、上水源に繋がっている。
【0067】
三方弁25は、ガスエンジン5側から排出される湯水の温度に応じて排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30および暖房熱交換器57側への湯水の往来を調整するものである。
【0068】
また給湯部3は、加熱循環回路32と、ガスエンジン5および燃焼装置6において発生した熱によって加熱された湯水を給湯栓7を介して外部に供給する給湯回路33とを備え、これに加えて暖房装置8等の熱負荷に接続される暖房熱媒回路35と、湯水を浴槽に供給して循環させる浴槽循環回路(追い焚き回路)36とを有する。
【0069】
なお燃焼装置6は、内部に1系統の熱交換器6aを備えたものであり、バーナ6bの熱を受けて内部を通過する湯水を加熱するものである。
本実施形態では、熱源たる燃焼装置6の熱交換器6aと、排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30が直列に接続されている。
【0070】
また、本実施形態の温水装置1は、加熱循環回路32と、貯湯タンク31とから構成される流水回路(閉回路)Hが形成されている。
【0071】
加熱循環回路32は、高温湯往き側流路38、熱交換部45および高温湯戻り側流路41からなる。
即ち加熱循環回路32は、燃焼装置6の出湯口37に接続された高温湯往き側流路38と、熱交換部45及び燃焼装置6の入湯口40に接続された高温湯戻り側流路41によって構成される一連の循環回路である。
また高温湯往き側流路38は、燃焼装置6の出湯口37と熱交換部45の間の往き側分岐点120で分岐され、給湯回路33側と接続されている。即ち出湯口37と熱交換部45の間の往き側分岐点120で、給湯往路83が分岐されている。給湯往路83は混合弁80に繋がる。
またさらに給湯往路83からは、貯湯タンク31に至る貯湯部給湯管87が分岐されている。より具体的には、往き側分岐点120から枝分けされた給湯往路83は、分岐部D1 において、混合弁80側と、貯湯タンク31に繋がる貯湯部給湯管87とに分岐されている。貯湯部給湯管87が分岐される分岐部D1 の上流側(燃焼装置6側)に、高温湯分配制御比例弁84が設けられている。即ち高温湯分配制御比例弁84は、給湯往路83であって往き側分岐点120と分岐部D1 の間に設けられている。
【0072】
貯湯タンク31には、内部に貯湯されている湯水の高さ方向の温度分布を検知するために、最上部温度センサ34a、上部温度センサ34b、中部温度センサ34cおよび下部温度センサ34dが設けられている。また、高温湯戻り側流路41には、熱交換部45側から順に、湯水を循環させる循環ポンプ47と、排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30に入水される湯の温度を検知する排熱熱交入水温度センサ114と、圧力センサー64と、排熱熱交換器30と、燃焼装置6への入水温度を検知する温水装置入水温度センサ115と、高温湯戻り側流路41を流れる水量を検知する循環流量センサ50と、燃焼装置6に流入する水量を調整する循環水比例弁51とが接続されている。
なお圧力センサー64の取り付け位置は、外部から湯水を供給する上水導入路85とも連通しており、上水導入路85の圧力が測定される。
【0073】
排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30は、上記した発電部2においてガスエンジン5の駆動に伴い発生した排熱により加熱された湯水と熱交換を行うことにより高温湯戻り側流路41を流れる湯水を加熱するものである。そのため、通常ガスエンジン5の駆動中は、排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30において加熱された湯水が高温湯戻り側流路41を介して燃焼装置6に流入する。
【0074】
熱交換部45は、加熱循環回路32の一部を構成するものであり、熱交換分岐流路94の先端に設けられており、暖房熱媒回路35の中途に設けられた負荷熱交換器42と、負荷熱交出口電磁弁52とを有する流路45aと、浴槽循環回路(追い焚き回路)36の中途に設けられた追焚熱交換器43と追焚熱交出口電磁弁53とを有する流路45bとが並列に配されたものである。そのため、負荷熱交換器42および追焚熱交換器43への湯水の流入は、負荷熱交出口電磁弁52および追焚熱交出口電磁弁53によって調整される。
【0075】
負荷熱交換器42に接続されている暖房熱媒回路35は、暖房装置8に湯水を供給する負荷往き側流路55と、暖房装置8側から湯水を戻す負荷戻り側流路56とを有する。負荷往き側流路55には、負荷(暖房装置8)側に送る湯水(熱媒体)の温度を測定する負荷往き側温度センサ111が設けられている。
負荷戻り側流路56の中途には、暖房熱交換器57と、負荷戻り側流路56に湯水を補給する補給水タンク(液体貯留部)58と、負荷戻り側流路56から補給水タンク58に流入する湯水の温度を検知する湯温センサ54と、負荷戻り側流路56内に湯水を循環させるための循環ポンプ60とが設けられている。
【0076】
負荷戻り側流路56に設けられた補給水タンク58は、前述した冷却水タンク22と同様の構造を持ち、外部から湯水を供給するための補給水路76が設けられており、その中途に設けられている補給水弁46によって補給水タンク58への給水量が調整される。即ち補給水タンク58には水位センサー77が挿入されており、当該水位センサー77が水位を検知しなくなると、補給水弁46が開かれる。補給水タンク58の上部にはオーバーフロー口78があり、補給水タンク58は、オーバーフロー口78によって大気開放されている。
補給水路76は、外部から湯水を供給する上水導入路85から分岐されており、上水源に繋がっている。
【0077】
また、暖房熱媒回路35には、暖房装置8への湯水の流入を阻止する弁(図示せず)が閉止状態である場合に循環ポンプ60等に過負荷が作用するのを防止すべく、負荷往き側流路55と負荷戻り側流路56とをバイパスするバイパス流路63が設けられている。
【0078】
暖房熱交換器57には、上記した発電部2の往き側冷却水路13から分岐された往き側分岐水路61と、戻り側冷却水路15から分岐された戻り側合流水路62とが接続されており、ガスエンジン5の排熱により加熱された高温の湯水が循環する。そのため、暖房装置8において放熱して低温となった湯水は、暖房熱交換器57において往き側分岐水路61により供給された高温の湯水と熱交換し、加熱される。暖房熱交換器57において加熱された湯水は、補給水タンク58を経て負荷熱交換器42に流入し、必要に応じて負荷熱交換器42での熱交換によりさらに加熱されたのち再び暖房装置8側へと送り込まれる。
【0079】
追焚熱交換器43に接続されている浴槽循環回路(追い焚き回路)36は、浴槽側に湯水を送り込む浴槽往き側流路65と、浴槽側から湯水を戻す浴槽戻り側流路66とを備えている。浴槽戻り側流路66の中途には、浴槽の湯の温度を検知する浴槽内湯温センサ110と、浴槽内の水位を検知する水位センサ67と、循環ポンプ68と、水流スイッチ70とが設けられている。また、浴槽戻り側流路66の中途、さらに詳細には循環ポンプ68の上流側(循環ポンプ68と水位センサ67の間)には、後述する給湯回路33から分岐された風呂落とし込み流路71が接続されている。風呂落とし込み流路71には、シスターン44と、給湯回路33側から浴槽戻り側流路66側への通水のみを許す逆止弁72と、浴槽戻り側流路66側に流入する水量を調整する注湯弁73と、風呂落とし込み流路71内を流れる湯水の流量を検知する流量センサ75とが設けられている。
なお本実施形態では、シスターン44と逆止弁72とが、機械的な逆流防止装置として機能する。
【0080】
給湯回路33は、具体的には、混合弁80を介して高温湯往き側流路38の中途で分岐された給湯往路83と、外部から湯水を供給する上水導入路85とが接続されたものであり、その中途には、流量センサ81と、総量制御比例弁82と、給湯温度センサ95とが設けられている。
【0081】
上水導入路85は、中途に減圧弁88と、混合弁80側に湯水を導く逆止弁90と、外部から導入される湯水の温度を検知する入水温度センサ93が設けられた流路であり、混合弁80に接続されている。
【0082】
上水導入路85の中途には、外部から導入された湯水を貯湯タンク31側に向けて供給する貯湯部給水管91が接続されている。貯湯部給水管91は、貯湯タンク31の底部側に接続されており、中途に上水導入路85側から貯湯タンク31側へ湯水を導く逆止弁86が設けられている。
そして貯湯部給水管91の中途であって逆止弁86の下流側には、負圧破壊弁付き安全弁89が設けられている。
負圧破壊弁付き安全弁89は、貯湯部給水管91内が異常な高圧になった場合にも低圧になった場合にも開く弁である。即ち負圧破壊弁付き安全弁89は、バネで付勢された弁が2個並列かつ逆向きに設けられたものであり、貯湯部給水管91内が異常な高圧になった場合には、一方の弁が開いて貯湯部給水管91内の圧力を外部に逃がす。
逆に貯湯部給水管91内が負圧状態となると、他方の弁が開いて負圧状態を解消する。即ち負圧状態を破壊する。
【0083】
また貯湯タンク31の上部には、給湯往路83から分岐され、貯湯タンク31への湯水の流出入を行うための貯湯部給湯管87が接続されている。貯湯タンク31には、貯湯部給湯管87を通って貯湯タンク31の外部に流出する湯水と略同量の湯水が貯湯部給水管91を介して給水されるため、貯湯タンク31は常に満水状態に維持される。
【0084】
続いて、本実施形態の温水装置1における湯水の流れについて説明する。
温水装置1は、後述する駆動制御装置102によって多数の運転モードで駆動制御されるものであり、各モード毎に湯水の流れが異なる。また主として貯湯タンク31内の湯を利用する場合と、燃焼装置6を熱源とする場合があり、両者によって湯水の流れが異なる。
本明細書では、代表的なものに限って説明することとする。最初に主として貯湯タンク31内の湯を利用する場合について説明する。
貯湯タンク31内の湯を利用する動作として、代表的なものに貯湯タンク31に湯水を貯湯する排熱貯湯運転モードと、給湯栓7から湯水を排出する給湯運転モードと、浴槽内に湯水を落とし込む落とし込み運転モードがある。
【0085】
先ず、排熱貯湯運転モードである場合における湯水の流れについて、図4を参照しながら説明する。図4は、図3に示す給湯装置が排熱貯湯運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。排熱貯湯運転モードである場合、発電部2においてガスエンジン5が駆動を開始し、それに伴い熱媒循環ポンプ16が作動して冷却回路12内を湯水が循環し始める。冷却回路12内を流れる湯水は、ガスエンジン5の駆動に伴い発生する排熱により加熱される。また、ガスエンジン5の駆動に伴い、発電機10において発生した電力は、コージェネレーション系の外部にある電気機器等において消費される。
【0086】
一方、給湯部3では、循環ポンプ47が駆動を開始し、貯湯タンク31の底部から貯湯タンク31内の湯水が高温湯戻り側流路41側に流入する。高温湯戻り側流路41内を流れる湯水は、排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30においてガスエンジン5によって加熱された湯水と熱交換を行って加熱された後、燃焼装置6の入湯口40から燃焼装置6へ流入する。
【0087】
排熱貯湯運転モードでは燃焼装置6は燃焼停止状態であるため、入湯口40から流入した湯水は、燃焼装置6内を素通りし、出湯口37に接続された高温湯往き側流路38へと流出する。そして、高温湯往き側流路38内を流れる湯水が所定温度以上であるならば、高温湯分配制御比例弁84が開成される。また、ここで混合弁80は、給湯往路83に対して閉止状態とされているので、貯湯部給湯管87を介して貯湯タンク31内に徐々に貯湯される。そのため、貯湯タンク31内に貯湯されている湯水は、下方から上方に向けて次第に高温となっている。即ち、貯湯タンク31内に貯湯されている湯水は、上下方向に層状の温度分布を形成している。貯湯タンク31内に貯湯されている湯水の略全体が所定温度以上となると、排熱貯湯モードによる湯水の貯湯が完了する。さらに具体的には、貯湯タンク31の下部温度センサ34dが所定の温度に達すると、駆動制御装置102は下部温度センサ34dよりも上方に貯湯されている湯水が所定温度に達しているものと判断し、排熱貯湯モードを完了させる。
【0088】
続いて、温水装置1が給湯運転モードである場合における湯水の流れを図5を参照しながら説明する。図5は、図3に示す給湯装置が貯湯タンク内の湯水を用いて給湯を行う場合の作動原理図である。
貯湯タンク31内に湯水が十分貯湯されている場合、給湯栓7が開栓されると、上水導入路85を介して外部から供給される低温の水の一部は、混合弁80に向けて供給される。一方、外部から供給される低温の水の一部は、上水導入路85から分岐された貯湯部給水管91を介して貯湯タンク31の底部に流入する。ここで、高温湯戻り側流路41の中途に設けられた循環ポンプ47は停止しており、高温湯分配制御比例弁84は閉止あるいは大幅に開度が絞られている。そのため、貯湯タンク31の底部から湯水が流入しても、湯水は殆ど高温湯戻り側流路41をはじめとする閉回路H側には流出しない。そのため、貯湯タンク31の底部から湯水が流入すると、この湯水によって貯湯タンク31内に貯湯されている湯水が上方に押し上げられる。その結果、貯湯タンク31の上部側に貯湯されている高温の湯水が貯湯部給湯管87から排出される。貯湯部給湯管87から排出された湯水は給湯往路83内を流れ、混合弁80側へと流れる。
【0089】
混合弁80は、給湯往路83に対して開成されているため、貯湯部給湯管87から排出された湯水は混合弁80に流入する。混合弁80に流入した高温の湯水は、上水導入路85を介して供給された低温の水と混合されて適温となり、給湯回路33を介して給湯栓7から排出される。さらに詳細には、貯湯タンク31から流出し、給湯往路83内を流れる湯水の温度を検知する湯温センサ92と、外部から供給される湯水の温度を検知する入水温度センサ93と、混合弁80において混合され排出される湯水の温度を検知する給湯温度センサ95との検知温度に応じて、給湯栓7から排出される湯水の温度が適温となるように混合弁80における湯水の混合比率が調整される。混合弁80において混合された湯水は、給湯回路33および給湯栓7を介して外部に供給される。
【0090】
続いて、温水装置1が落とし込み運転モードである場合における湯水の流れを図6を参照しながら説明する。図6は、図3に示す給湯装置が落とし込み運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。
【0091】
本実施形態の温水装置1では、注湯弁73が開成され、流量センサ75が水流を検知すると、落とし込み運転モードが開始する。貯湯タンク31内に湯水が十分貯湯されている場合、落とし込み運転モードが開始すると、上記した給湯運転モードにおけるのと同様に浴槽へ落とし込まれる湯水の温度が調整され給湯回路33へと流出する。給湯回路33へ流入した湯水は、給湯回路33から分岐された風呂落とし込み流路71を流れ、浴槽戻り側流路66に流入する。
【0092】
続いて暖房運転モードにおける湯水の流れについて図7および図8を参照しながら説明する。
図7、図8は、図3に示す給湯装置が暖房運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。
コージェネレーションシステム1が暖房運転を開始すると、暖房循環ポンプ60が起動し、暖房循環回路35内の湯水が循環をはじめる。ここで、温度センサ54の検知温度、即ち暖房装置8側から戻る湯水の温度が所定温度以下である場合には、暖房循環回路35内を循環する湯水を加熱すべくガスエンジン5が起動する。また、暖房装置8側から戻る湯水の温度が極めて低い場合や、暖房装置8における設定温度が高い場合等は、ガスエンジン5に加えて燃焼装置6が起動する。即ち、暖房運転では、暖房熱交換器57における熱交換によって暖房循環回路35内を循環する湯水を加熱し、更に場合によっては、暖房熱交換器42における熱交換を行うことによって暖房循環回路35内を循環する湯水を加熱する。
【0093】
さらに具体的には、図7の様に、発電装置2のガスエンジン5が起動すると、熱媒循環ポンプ16が作動して冷却回路12内を湯水が循環する。冷却回路12内を流れる湯水は、ガスエンジン5の駆動に伴い発生する排熱により加熱され、高温となる。
【0094】
冷却回路12内の湯水が低温である間は、三方弁23およびサーモスタット式の三方弁25の作用により往き側冷却水路13とバイパス流路26と戻り側冷却水路15とで構成される閉回路内を湯水が循環する。冷却回路12内を流れる湯水が所定温度以上に加熱されると、三方弁23およびサーモスタット式の三方弁25の作用により、湯水が往き側分岐水路61および戻り側分岐水路62内を流れ、高温の湯水が暖房熱交換器57に供給される。暖房装置8側から負荷戻り側流路56を介して戻る湯水は、暖房熱交換器57において発電装置2側から供給される高温の湯水と熱交換を行い加熱される。ここで、暖房熱交換器57の下流側にある温度センサ54の検知温度が暖房装置8の設定温度である場合には、暖房熱交換器57において加熱された湯水を暖房熱交換器42側に送り込み、暖房熱交換器42に接続された負荷往き側流路55を介して暖房装置8に供給する。
【0095】
一方、暖房装置8側から戻る湯水の温度が低い場合や、暖房装置8における設定温度が高い場合、即ち、暖房熱交換器57において熱交換を行うだけでは暖房装置8の設定温度に到達しない場合には、図8の様に、燃焼装置6の駆動が開始されると共に循環ポンプ47が駆動を開始する。循環流量センサ50が加熱循環回路32における流水を検知すると、燃焼装置6における燃焼作動が開始される。燃焼装置6における燃焼作動によって加熱され、高温となった湯水は、熱交換部45の流路45aにある負荷熱交換器42を通過して燃焼装置6側へと戻り、暖房熱媒回路35を介して暖房装置8へ熱供給を行う。
【0096】
次に上水源が断水した場合における温水装置1の動作について説明する。
本実施形態の温水装置1では、上水源が断水した場合、風呂落とし込み流路71に設けられたシスターン44と逆止弁72とが、機械的な逆流防止装置として機能し、浴槽の湯が上水源側に逆流することを防ぐ。
また負圧破壊弁付き安全弁89が、上水源の負圧状態を解消する。
そしてさらにそれに加えて、本実施形態の温水装置1では、補給水弁28,46が電気式の負圧破壊弁として機能し、上水源の負圧状態を解消して浴槽の湯等の逆流を阻止する。
【0097】
即ち本実施形態の温水装置1では、圧力センサー64の検知信号が駆動制御装置102の制御部100に入力されている。そして断水が発生し、圧力センサー64が負圧を検知すると、補給水弁28,46に開信号が発信され、補給水弁28,46が強制的に開かれる。
ここで補給水弁28は、補給水路27を経由して外部から湯水を供給する上水導入路85に連通するものであり、ガスエンジン5を冷却するための冷却回路12に設けられた冷却水タンク(液体貯留部)22に開いている。冷却水タンク22は、前記した様にオーバーフロー口14によって大気開放されている。従って圧力センサー64が負圧を検知し、補給水弁28が開かれると、上水導入路85が大気開放状態となり、上水源の負圧が解消される。
【0098】
補給水弁46についても同様であり、補給水路76を経由して外部から湯水を供給する上水導入路85に連通するものであり、暖房熱媒回路35に設けられた補給水タンク(液体貯留部)58に開いている。そして補給水タンク58は、前記した様にオーバーフロー口78によって大気開放されている。従って圧力センサー64が負圧を検知し、補給水弁46が開かれると、上水導入路85が大気開放状態となり、上水源の負圧が解消される。
そのため仮に30,42,43の熱交換器の一次〜二次間の導通破損が生じていたとしても浴槽の湯等の逆流が発生しない。
【0099】
なお本実施形態についても、先の実施形態と同様に冷却回路12に設けられた熱媒循環ポンプ16が停止し、冷却回路12の内圧が消失する。従って万一、排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)30に破損箇所があっても冷却回路12内の熱媒体が二次側に混入することはない。
同様の理由から暖房熱媒回路35の循環ポンプ60や浴槽循環回路36の循環ポンプ68も停止させることが望ましい。
【0100】
以上説明した実施形態では、断水を検知したときに、熱媒体が循環する回路に設けられたタンクに給水する弁を開いて、上水源の負圧状態を解消したが、他の部位に設けられた弁を開いて大気開放状態とし、上水源の負圧状態を解消してもよい。
【0101】
また特願2007−282439号に開示した様な排気ガスの水封機能を備えた温水装置であるならば、断水を検知したときに、水封のための注水電磁弁を強制的に開いてもよい。
【0102】
図9は、水封のための注水電磁弁を備えた温水装置の作動原理図である。
図9に示した温水装置200についても、風呂落とし込み流路205を備えている。風呂落とし込み流路205は、熱交換器206の二次側が分岐されたものであり、上水源に連通する上水導入路207と連通する。風呂落とし込み流路205には、落とし込み開閉弁208と逆流防止装置210が設けられている。逆流防止装置210は、機械式の装置であり、具体的には逆止弁が2個、直列に接続されたものである。
温水装置200では、上水導入路207には圧力スイッチ(圧力センサー)211が設けられている。
【0103】
図9に示した温水装置200は、潜熱回収型の燃焼装置201を備え、燃料に含まれる水素が燃焼する際に発生する水蒸気が排気通路内で液化してドレンが発生する。このドレンは、強酸性であるから、処理槽202内で中和処理した後に排水されるが、処理槽202は排気通路と連通するから温水装置200を室内に設置する場合には、排気ガスが排出しない様な構成とする必要がある。
そこで処理槽(液体貯留部)202を複数槽に分けて、その内の一つの槽で排気ガスを水封する。
この構成を採用する場合には、処理槽202内に常に所定の水位の水が存在することが必須であり、その水位を維持するために補給水路204及び注水電磁弁203が設けられている。
【0104】
本実施形態の温水装置200では、上水源が断水し、圧力スイッチ211が圧力を検知しなくなれば、注水電磁弁203が開かれる。
【0105】
この注水電磁弁203は、上水源に連通するから、上水源が断水した際に当該注水電磁弁203を強制的に開くと、上水源の負圧状態が解消する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第一実施形態の温水装置の作動原理図である。
【図2】本発明の第二実施形態の温水装置の作動原理図である。
【図3】本発明の第三実施形態である給湯装置の配管系統図である。
【図4】図3に示す給湯装置が排熱貯湯運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。
【図5】図3に示す給湯装置が貯湯タンク内の湯水を用いて給湯を行う場合の作動原理図である。
【図6】図3に示す給湯装置が落とし込み運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。
【図7】図3に示す給湯装置が暖房運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。
【図8】図3に示す給湯装置が暖房運転モードで運転を行っている場合の作動原理図である。
【図9】水封のための注水電磁弁を備えた温水装置の作動原理図である。
【符号の説明】
【0107】
a,a’ 温水装置
b 熱回収回路(熱媒体循環回路)
c,c’ 風呂落とし込み流路
d 熱媒・上水熱交換器
e,e’ 膨張タンク(液体貯留部 大気開放部)
f,f’ 熱媒循環ポンプ
h,h’ 補給水路
i 上水導入路
j,j’ 補給水開閉弁
m 圧力スイッチ(圧力センサ−)
p 蓄電池
r 貯湯タンク
E 暖房熱媒回路

1 温水装置
11,77 水位センサー
14,78 オーバーフロー口(大気開放部)
15 戻り側冷却水路
16 熱媒循環ポンプ
22 冷却水タンク(液体貯留部)
27,76 補給水路
28 補給水弁
30 排熱熱交換器(熱媒・上水熱交換器)
31 貯湯タンク
35 暖房熱媒回路
36 浴槽循環回路(追い焚き回路)
44 シスターン
57 暖房熱交換器
58 補給水タンク(液体貯留部)
64 圧力センサ
85 上水導入路
200 温水装置
202 処理槽(液体貯留部)
204 補給水路
205 風呂落とし込み流路
207 上水導入路
208 落とし込み開閉弁
210 逆流防止装置
211 圧力スイッチ(圧力センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上水源に連通する上水導入路と、上水導入路から導入された水を昇温する昇温手段と、雑水回路に連通する雑水連通路を有し、上水導入路から導入された水を昇温手段で昇温して雑水連通路に供給することが可能な温水装置において、上水源が断水したことを検知する断水検知手段と、大気開放部を備えた液体貯留部と、上水導入路に連通し前記液体貯留部に上水を供給可能であると共に大気開放部とも連通する補給水路と、補給水路に設けられた開閉弁を備え、断水検知手段が上水の断水を検知すると、前記開閉弁を開くことを特徴とする温水装置。
【請求項2】
前記昇温手段は、昇温された水を主体とする熱媒体が循環する熱媒体循環回路と、熱媒体循環回路を流れる熱媒体と上水導入路から導入された水との間で熱交換を行う熱媒・上水熱交換器を備え、前記断水検知手段は上水導入路に連通する流路に設けられた圧力センサーであり、前記昇温手段の熱媒体循環回路に前記液体貯留部があることを特徴とする請求項1に記載の温水装置。
【請求項3】
熱媒体循環回路には熱媒体を循環させる熱媒循環ポンプが設けられており、前記断水検知手段が断水を検知すると、熱媒循環ポンプが停止することを特徴とする請求項2に記載の温水装置。
【請求項4】
暖房器具との間で熱媒体を循環させる循環回路を構成する暖房熱媒回路を有し、前記暖房熱媒回路には液体貯留部があることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温水装置。
【請求項5】
雑水連通路は、浴槽に連通する風呂落とし込み流路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温水装置。
【請求項6】
上水源に連通する上水導入路と、昇温された水を主体とする熱媒体が循環する熱媒体循環回路と、熱媒体循環回路を流れる熱媒体と上水導入路から導入された水との間で熱交換を行う熱媒・上水熱交換器を備えた温水装置において、上水源が断水したことを検知する断水検知手段を備え、前記熱媒体循環回路又は他の熱媒体循環回路には大気開放部を備えた液体貯留部があり、上水導入路と連通し前記液体貯留部に水を補給する補給水路を有し、当該補給水路には開閉弁が設けられ、断水検知手段が上水の断水を検知すると、前記開閉弁を開くことを特徴とする温水装置。
【請求項7】
熱媒体循環回路は、エンジン、燃料電池、ヒートポンプ、燃焼装置の少なくともいずれかによって熱媒体を昇温するものであり、上水導入路から導入された水を溜置く貯湯タンクを有し、前記熱媒・上水熱交換器は、熱媒体循環回路を流れる熱媒体と貯湯タンク内に溜置かれた上水導入路から導入された水との間で熱交換を行うことを特徴とする請求項2又は6に記載の温水装置。
【請求項8】
開閉弁を動作させる予備電源を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−84998(P2010−84998A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253944(P2008−253944)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】