温湿度測定装置
【課題】切替に伴う出力値の変化を減少させることのできる温湿度測定装置を提供する。
【解決手段】測定環境の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第1センサユニット110と、雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第2センサユニット120と、出力値として使用する検出値を、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替えるCPU142とを備え、CPU142は、第1センサユニット110の検出値と第2センサユニット120の検出値との差に基づいて補正値を算出し、当該補正値に基づいて第2センサユニット120の検出値を補正し、第1センサユニット110の検出値から第2センサユニット120の検出値に切り替えるときに、補正された第2センサユニット120の検出値を出力値として使用する。
【解決手段】測定環境の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第1センサユニット110と、雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第2センサユニット120と、出力値として使用する検出値を、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替えるCPU142とを備え、CPU142は、第1センサユニット110の検出値と第2センサユニット120の検出値との差に基づいて補正値を算出し、当該補正値に基づいて第2センサユニット120の検出値を補正し、第1センサユニット110の検出値から第2センサユニット120の検出値に切り替えるときに、補正された第2センサユニット120の検出値を出力値として使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、温湿度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、湿度測定装置には、測定環境の雰囲気、例えば、薬品、溶剤等のガスや高湿度環境の影響により、湿度測定装置が有する感湿素子の性能が低下(以下、劣化という)してしまうという問題があった。このため、感湿素子を加熱すること(以下、加熱クリーニングという)により性能を回復させ、長時間安定して湿度を測定できる湿度測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−172776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の湿度測定装置では、感湿素子の加熱中及び加熱後の一定期間の間、感湿素子が加熱の影響を受けるので、雰囲気の湿度を正しく測定することができなかった。このため、感湿素子において加熱の影響がなくなるまでの間、湿度の測定を中断せざるを得ず、雰囲気の湿度を連続して測定することができなかった。
【0005】
この問題を解決するために、2つの湿度センサを備え、一方の湿度センサを加熱クリーニング中は他方の湿度センサで湿度を測定し、他方の湿度センサを加熱クリーニング中は一方の湿度センサで湿度を測定することで、雰囲気の湿度を連続して測定することが考えられる。しかし、この場合、2つの湿度センサを一方から他方に切り替えたときに、一方の湿度センサにおける器差と他方の湿度センサにおける器差とが異なる等の影響により、実際には測定環境に変化がないにもかかわらず、出力値が急激に変化する場合がある、という問題があった。
【0006】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、切替に伴う出力値の変化を減少させることのできる温湿度測定装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る温湿度測定装置は、測定環境の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第1のセンサユニットと、前述の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第2のセンサユニットと、出力値として使用する検出値を、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替える切替部と、第1のセンサユニットの検出値と第2のセンサユニットの検出値との差である検出差に基づいて、補正値を算出する算出部と、補正値に基づいて、第2のセンサユニットの検出値を補正する補正部と、を備え、切替部は、第1のセンサユニットの検出値から第2のセンサユニットの検出値に切り替えるときに、補正された第2のセンサユニットの検出値を出力値として使用する。
【0008】
かかる構成によれば、前述の検出差に基づいて補正値が算出され、当該補正値に基づいて第2のセンサユニットの検出値が補正され、第1のセンサユニットの検出値から第2のセンサユニットの検出値に切り替えるときに、補正された第2のセンサユニットの検出値が出力値として使用される。このように、前述の検出差に基づいて補正値を算出し、算出された補正値に基づいて第2のセンサユニットの検出値を補正することにより、第2のセンサユニットにおける器差を第1のセンサユニットにおける器差に合わせることができるので、第1のセンサユニットの検出値から補正された第2のセンサユニットの検出値に出力値を切り替えるときに、器差による出力値の変化を減少させることが可能となる。
【0009】
好ましくは、第1のセンサユニットは、前述の雰囲気の湿度を検出する第1の湿度センサと第1の湿度センサを加熱する第1のヒータとを有し、第2のセンサユニットは、前述の雰囲気の湿度を検出する第2の湿度センサと第2の湿度センサを加熱する第2のヒータとを有し、第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方を交互に駆動する駆動部を更に備え、算出部は、駆動部により第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が駆動される前における、第1の湿度センサの検出値と第2の湿度センサの検出値との差である湿度差に基づいて、補正値を算出する。
【0010】
かかる構成によれば、第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が交互に駆動され、駆動部により第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が駆動される前における前述の湿度差に基づいて、補正値が算出される。これにより、一方のセンサユニットの検出値を出力値として使用しているときに他方のセンサユニットのヒータを駆動することで、出力値として使用していない他方のセンサユニットの湿度センサが加熱され、当該湿度センサの性能を回復させることが可能となる。これにより、湿度の測定を中断することなく連続して湿度を測定することができるとともに、湿度の出力値の精度を維持することができる。
【0011】
また、第1の湿度センサ及び第2の湿度センサは、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や高湿度の影響を受けて劣化するので、本来の湿度よりも高い湿度を示す傾向があり、時間の経過とともに湿度差は更に大きくなる(拡がる)傾向にある。そして、ヒータの駆動直後は湿度センサの検出値が安定していない一方、ヒータの駆動直前は第1の湿度センサ及び第2の湿度センサともに、検出値が安定しているとともに、ヒータの駆動からある程度の時間が経過しているので、劣化していると考えられる。よって、駆動部により第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が駆動される前における湿度差に基づいて、補正値を算出することにより、第1の湿度センサ及び第2の湿度センサの両方の劣化を考慮した補正値を算出することが可能となる。これにより、第1の湿度センサの検出値から補正された第2の湿度センサの検出値に切り替えるときに、第1の湿度センサ及び第2の湿度センサの劣化による湿度の出力値の変化を減少させることができ、湿度の出力値の信頼性を更に高めることができる。
【0012】
好ましくは、算出部は、駆動部により第1のヒータが駆動される前における湿度差と駆動部により第2のヒータが駆動される前における湿度差との平均値に基づいて、補正値を算出する。
【0013】
かかる構成によれば、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差と駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差との平均値に基づいて、補正値が算出される。これにより、第1の湿度センサの検出値から補正された第2の湿度センサの検出値に切り替えたときの出力値の切替変化量と補正された第2の湿度センサの検出値から第1の湿度センサの検出値に切り替えたときの出力値の切替変化量とを同一にすることが可能となる。
【0014】
好ましくは、駆動部により第1のヒータが駆動されてから駆動部により第2のヒータが駆動されるまでの第1の時間と駆動部により第2のヒータが駆動されてから駆動部により第1のヒータが駆動されるまでの第2の時間とを計測する計時部を更に備え、算出部は、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第2の時間で重み付けし、駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、補正値を算出する。
【0015】
かかる構成によれば、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第2の時間で重み付けし、駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、補正値が算出される。ここで、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合、第1の湿度センサの検出値及び第2の湿度センサの検出値は、時間の経過とともに飽和する傾向にある。そのため、ヒータを駆動してから経過した時間により前述の湿度差は変化し、時間が経過するにつれて前述の湿度差は小さくなる。よって、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第2の時間で重み付けし、駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、補正値を算出することにより、第1のセンサの検出値から補正された第2のセンサの検出値に切り替えたときの出力値と補正された第2のセンサの検出値から第1のセンサの検出値に切り替えたときの出力値とを同一にすることが可能となる。これにより、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合に好適に用いることができる。
【0016】
好ましくは、前述の検出差と所定のしきい値とに基づいて、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があるか否かを判定する判定部を更に備える。
【0017】
かかる構成によれば、前述の検出差と所定のしきい値とに基づいて、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定される。これにより、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、異常がある旨を報知することが可能となる。これにより、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットの点検、修理、交換等を促すことができる。また、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常がないと判定されたときに、前述の検出差に基づく補正を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る温湿度測定装置によれば、前述の検出差に基づいて補正値を算出し、算出された補正値に基づいて第2のセンサユニットの検出値を補正することにより、第2のセンサユニットにおける器差を第1のセンサユニットにおける器差に合わせることができるので、第1のセンサユニットの検出値から補正された第2のセンサユニットの検出値に出力値を切り替えるときに、器差による出力値の変化を減少させることが可能となる。これにより、従来のように、実際には測定環境の雰囲気が変化していないにもかかわらず、測定環境の雰囲気が変化したと誤認されたり、装置自体の故障や測定異常を疑われたり、測定結果に基づく制御に悪影響を及ぼしたりするおそれを低減することができ、出力値の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における温湿度測定装置を説明する正面図である。
【図2】図1に示したII線矢視方向上面図である。
【図3】図1に示したIII線矢視方向側面図である。
【図4】図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサヘッドの脱着の様子を説明する斜視図である。
【図5】図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサキャップの脱着の様子を説明する斜視図である。
【図6】図1に示した温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。
【図7】図1に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。
【図8】図1に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートである。
【図9】CPUが使用する値の履歴を説明する表である。
【図10】本発明の第2実施形態における温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。
【図11】図10に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。
【図12】図10に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
【0021】
[第1実施形態]
図1乃至図9は、本発明の第1実施形態を示すためのものである。図1は、本発明の第1実施形態における温湿度測定装置を説明する正面図である。図1に示すように、温湿度測定装置100は、第1センサユニット110と、第2センサユニット120と、本体部130と、を備える。温湿度測定装置100は測定環境の雰囲気中に設置される。
【0022】
第1センサユニット110は、測定環境の雰囲気における温度及び湿度を検出する。第1センサユニット110は、本体部130の一方側(図1において右側)に配置された固定部材F1によって本体部130に固定されている。また、第1センサユニット110は、信号線等を束ねたケーブルC1によって本体部130に接続されている。
【0023】
第2センサユニット120は、測定環境の雰囲気における温度及び湿度を検出する。第2センサユニット120は、本体部130の他方側(図1において左側)に配置された固定部材F2によって本体部130に固定されている。また、第2センサユニット120は、信号線等を束ねたケーブルC2によって本体部130に接続されている。
【0024】
本体部130は、略直方体形状を呈する筐体(ケース)を有しており、この筐体の上面の略中央には、表示部131と、発光部132と、入力部133と、が設けられている。
【0025】
表示部131は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイであり、測定結果や各種の情報を表示する。発光部132は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光体であり、測定結果に基づいて発光する。入力部133は、複数のキー(ボタン)を有し、ユーザが当該キーを操作することよって、各種の情報が入力される。
【0026】
本実施形態では、第1センサユニット110及び第2センサユニット120は、固定部材F1,F2によって本体部130に固定される例を示したが、これに限定されない。第1センサユニット110及び第2センサユニット120は、ケーブルC1,C2を介して本体部130に接続されていればよく、本体部130と分離した構成を採用することもできる。この場合、温湿度測定装置100を測定環境の雰囲気中に設置しなくてもよく、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のみが測定環境の雰囲気中に配置されていればよい。
【0027】
図2は図1に示したII線矢視方向上面図であり、図3は図1に示したIII線矢視方向側面図である。図2に示すように、第1センサユニット110は、固定部材F1に接続されたケース111と、ケース111の内側に取り付けられたセンサプローブ112と、を備える。ケース111は、一方側(図2において右側)が開いたU字形状を有している。また、図3に示すように、ケース111は両端部に開口を有しており、センサプローブ112の一端部(図3において左端部)は、ケース111の開口を介してケーブルC1と接続している。
【0028】
図2に示すように、第2センサユニット110は、固定部材F2に接続されたケース121と、ケース121の内側に取り付けられたセンサプローブ122と、を備える。ケース121は、他方側(図2において左側)が開いたU字形状を有している。また、図示は省略するが、図3に示す第1センサユニット110の場合と同様に、ケース121は両端部に開口を有しており、センサプローブ122の一端部は、ケース121の開口を介してケーブルC2と接続している。
【0029】
図4は、図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサヘッドの脱着の様子を説明する斜視図である。図4に示すように、センサプローブ112は、センサボディ113と、センサヘッド114と、を備える。センサヘッド114の下部の台座部114aは、センサボディ113の上部に設けられたガイド部113aに嵌合可能に形成されており、センサヘッド114はセンサボディ113に脱着自在に装着される。
【0030】
また、センサヘッド114の台座部114aの上面には、雰囲気の相対湿度を検出する湿度エレメント115と、湿度エレメント115を加熱するヒータエレメント116と、が設けられている。センサヘッド114をセンサボディ113に装着すると、湿度エレメント115及びヒータエレメント116とセンサボディ113の下部のケーブルC1とが電気的に接続される。
【0031】
湿度エレメント115は、例えば湿度に応じて静電容量が変化する感湿素子であり、湿度に応じた信号(湿度検出信号)を出力する。なお、湿度エレメント115は、容量式(容量変化型)の感湿素子に限定されず、湿度に応じて電気抵抗が変化する抵抗式(抵抗変化型)の感湿素子であってもよく、その方式を問わない。また、感湿層の材料は、例えば高分子化合物やセラミック等であってよく、その材料を問わない。
【0032】
ヒータエレメント116は、湿度エレメント115の一方の面(図4において手前の面)に、接着剤等を介して固定されている。また、ヒータエレメント116は、雰囲気の温度を測定する温度エレメントを兼ねている。すなわち、ヒータエレメント116は、例えば測温抵抗体であり、湿度エレメント115の加熱を行っていないときは、雰囲気の温度に応じた信号(温度検出信号)を出力する温度エレメントとして機能することができる。
【0033】
なお、ヒータエレメント116が温度エレメントを兼ねる場合に限定されず、センサヘッド114は、ヒータエレメントと温度エレメントとをそれぞれ有するように構成することができる。
【0034】
図5は、図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサキャップの脱着の様子を説明する斜視図である。図5に示すように、センサプローブ112は、センサボディ113のコネクタ部113bに脱着可能に装着されるセンサキャップ117を更に備える。センサヘッド114が装着されたセンサボディ113に、センサキャップ117を装着すると、湿度エレメント115及びヒータエレメント116がセンサキャップ117によって覆われ、保護される。
【0035】
また、センサキャップ117の上面には、気体の流通を可能にするメッシュ117aが設けられている。これにより、湿度エレメント115が測定環境の雰囲気の湿度を測定する湿度センサとして機能するとともに、ヒータエレメント116が測定環境の雰囲気の温度を測定する温度センサとして機能する。
【0036】
なお、センサプローブ122の構成は、センサプローブ112と同様の構成である。すなわち、センサプローブ122は、センサボディ123と、センサヘッド124と、センサキャップ127と、を備え、センサヘッド124は、湿度エレメント125と、ヒータエレメント126と、を有する。よって、前述のセンサプローブ112の説明をもってセンサプローブ122の説明を省略する。
【0037】
図6は、図1に示した温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。図6に示すように、本体部130は、その筐体の内部に、湿度信号変換回路134,135と、温度信号変換回路136,137と、ヒータエレメント駆動回路138,139と、マイクロプロセッサ140と、アナログ出力部150と、デジタル通信部160と、電源部170と、が設けられている。
【0038】
湿度信号変換回路134は、第1センサユニット110の湿度エレメント115に接続されており、湿度エレメント115から入力される湿度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0039】
湿度信号変換回路135は、第2センサユニット120の湿度エレメント125に接続されており、湿度エレメント125から入力される湿度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0040】
温度信号変換回路136は、第1センサユニット110のヒータエレメント116に接続されており、ヒータエレメント116から入力される温度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0041】
温度信号変換回路137は、第2センサユニット120のヒータエレメント126に接続されており、ヒータエレメント126から入力される温度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0042】
ヒータエレメント駆動回路138は、第1センサユニット110のヒータエレメント116に接続されており、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号に基づいて、ヒータエレメント116に電流を流して駆動する。具体的には、ヒータエレメント駆動回路138は、湿度エレメント115の感湿層が高分子化合物の場合、ヒータエレメント116の温度が、例えば70℃〜180℃程度になるように駆動し、湿度エレメント115の感湿層がセラミックの場合、ヒータエレメント116の温度が、例えば700℃〜1200℃程度になるように駆動する。
【0043】
ヒータエレメント駆動回路139は、第2センサユニット120のヒータエレメント126に接続されており、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号に基づいて、ヒータエレメント126に電流を流して駆動する。具体的には、ヒータエレメント駆動回路139は、湿度エレメント125の感湿層が高分子化合物の場合、ヒータエレメント126の温度が、例えば70℃〜180℃程度になるように駆動し、湿度エレメント125の感湿層がセラミックの場合、ヒータエレメント126の温度が、例えば700℃〜1200℃程度になるように駆動する。
【0044】
本実施形態では、湿度信号変換回路134,135、温度信号変換回路136,137、及びヒータエレメント駆動回路138,139を、それぞれ第1センサユニット110用と第2センサユニット120用とにそれぞれ設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、湿度信号変換回路、温度信号変換回路、及びヒータエレメント駆動回路のうちの少なくとも1つについて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の兼用になるように構成することができる。
【0045】
アナログ出力部150は、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号、データを電圧信号又は電流信号に変換して本体部130の外部に出力するためのものである。アナログ出力部150は、出力端子を含み、当該出力端子に接続された外部機器、例えば温湿度制御用のコントローラにアナログ信号を出力する。
【0046】
デジタル通信部160は、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号、データを本体部130の外部に出力するためのものである。デジタル通信部160は、出力端子を含み、当該出力端子に接続された外部機器、例えば中央監視装置にデジタル信号を出力する。なお、デジタル通信部160は、単にオン/オフを出力する接点(ピン)を含む出力端子であってもよい。
【0047】
電源部170は、温湿度測定装置100の各部に電力を供給するためのものである。なお、電源部170は、本体部130の内部に設けられる場合に限定されず、本体部130の外部に設けるようにしてもよい。
【0048】
マイクロプロセッサ140は、A/D変換器141と、CPU142と、ROM143と、RAM144と、不揮発性のメモリ145と、を備える。また、マイクロプロセッサ140は、前述の表示部131、発光部132、入力部133、アナログ出力部150、及びデジタル通信部160に接続されている。
【0049】
A/D変換器141は、マイクロプロセッサ140に入力された電圧信号、すなわち、アナログ信号をデジタル信号に変換してCPU142に出力する。本実施形態では、A/D変換器141は、湿度信号変換回路134から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第1センサユニット110の湿度検出値HUM1とし、湿度信号変換回路135から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第2センサユニット120の湿度検出値HUM2とし、温度信号変換回路136から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第1センサユニット110の温度検出値TEM1とし、温度信号変換回路137から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第2センサユニット120の温度検出値TEM2として、CPU142に出力する。
【0050】
CPU142は、RAM143及びメモリ144に対してデータの読み出しや書き込みを行いながら、ROM142に記憶されたプログラムに基づいて各種の演算を行う。また、CPU142は、表示部131、発光部132、及びヒータエレメント駆動回路138,139に制御信号、データを出力しながら、温湿度測定装置100の動作を制御する。具体的には、CPU142は、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を、第1センサユニット110及び第2センサユニット110のうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替える。また、CPU142は、ヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が交互に駆動されるように、ヒータエレメント駆動回路138,139を制御する。
【0051】
次に、温湿度測定装置100が湿度及び温度を測定する動作について説明する。
【0052】
図7は、図1に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。例えば、電源スイッチが投入されて温湿度測定装置100が起動したとき、或いは入力部133からリセット信号が入力されたときに、CPU142は、図7に示す温湿度測定処理S100を実行する。すなわち、まず、CPU142は、初期処理を行う(S101)。
【0053】
初期処理S101では、CPU142は、A/D変換器141から入力される温度検出値TEM2を温度出力値TEMとし、A/D変換器141から入力される湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、CPU142は、ヒータエレメント116の駆動までの時間を示す待ち時間TW1の計測を開始する。さらに、CPU142は、メモリ145に予め記憶されたデータを読み出して、待ち時間TW1等の各種の値を設定する。
【0054】
なお、CPU142は、例えば、マイクロプロセッサ140に内蔵された水晶振動子等のクロック信号に基づいて、時間を計測することができる。
【0055】
次に、CPU142は、初期処理S101又は後述の切替処理S114において計測を開始した待ち時間TW1について、時間を経過したか否かを判定し(S102)、待ち時間TW1を経過するまでS102のステップを繰り返す。
【0056】
S102の判定の結果、待ち時間TW1を経過した場合、CPU142は、待ち時間TW1の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2を用いて、以下の式(1)から湿度差Hdef1を算出する(S103)。
Hdef1=HUM1−HUM2 …(1)
これにより、ヒータエレメント116が駆動される前における、湿度差Hdef1が算出される。
【0057】
本実施形態では、式(1)において、1回分の検出値HUM1及び検出値HUM2を用いて湿度差Hdef1を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、k(kは2以上の整数)回分の湿度検出値HUM1の平均値HUM1midとk回分の湿度検出値HUM2の平均値HUM2midとを算出した上で、以下の式(1)’から湿度Hdef1を算出するようにしてもよい。
Hdef1=HUM1mid−HUM2mid …(1)’
【0058】
次に、CPU142は、S103において算出した湿度差Hdef1が所定のしきい値未満であるか否かを判定する(S104)。所定のしきい値は、初期処理S101で設定され、例えば±5%である。
【0059】
S104の判定の結果、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の両方に異常がないと考えられる。一方、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満でない、すなわち、所定のしきい値以上である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に、異常があると考えられる。よって、CPU142は、エラー処理を行う(S105)。
【0060】
エラー処理S105では、CPU142は、発光部132に制御信号を出力して、発光部132を点灯又は点滅させる。このように、湿度差Hdef1と所定のしきい値とに基づいて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定されるので、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、発光部132を点灯又は点滅させる等して、異常がある旨を報知することが可能となる。
【0061】
本実施形態では、エラー処理S105において、CPU142は、発光部132を点灯又は点滅させるようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、異常がある旨を表示部131に表示(報知)するようにしてもよいし、温湿度測定装置100が、スピーカ等の音声出力手段を備え、音声出力手段により異常がある旨を報知するようにしてもよいし、又は表示部131、発光部132、及び音声出力手段のうちの少なくとも二つを組み合わせて使用してもよい。
【0062】
S104の判定の結果、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満である場合、又はエラー処理S105の後、CPU142は、第1センサユニット110の加熱処理を行う(S106)。加熱処理S106では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路138に制御信号を出力して、第1センサユニット110のヒータエレメント116を所定時間駆動し、ヒータエレメント116は湿度エレメント115を加熱する。これにより、第2センサユニット120の湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用しているときに、第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動することで、湿度出力値HUMとして使用していない第1センサユニット110の湿度エレメント115が加熱され、湿度エレメント115の性能を回復させることができる。
【0063】
また、CPU142は、ヒータエレメント116の駆動を停止した後、湿度エレメント115の湿度検出信号が安定するまでの時間を示す安定時間TS1の計測を開始する。
【0064】
ヒータエレメント116の駆動を停止した後、CPU142は、第1センサユニット110への切替処理を行う(S107)。切替処理S107では、CPU142は、安定時間TS1を経過した後に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を第2センサユニット120の検出値から第1センサユニット110の検出値に切り替える。すなわち、CPU142は、温度検出値TEM1を温度出力値TEMとして使用し、湿度検出値HUM1を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動までの時間を示す待ち時間TW2の計測を開始する。
【0065】
本実施形態では、切替処理S107において、安定時間TS1を経過した後に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を第2センサユニット120の検出値から第1センサユニット120の検出値に切り替えるようにしたが、これに限定されない。CPU142は、ヒータエレメント116の駆動を停止した後に、A/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、後述の式(2)から温度差Tdefを算出する。そして、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなるまで温度差Tdefの算出を繰り返し、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなったときに、CPU142は、第2センサユニット120の検出値から第1センサユニット120の検出値に切り替えるようにしてもよい。
【0066】
次に、CPU142は、切替処理S107において計測を開始した待ち時間TW2について、時間を経過したか否かを判定し(S108)、待ち時間TW2を経過するまでS108のステップを繰り返す。
【0067】
S108の判定の結果、待ち時間TW2を経過した場合、CPU142は、補正値算出処理を行う(S109)。補正値算出処理S109では、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、以下の式(2)及び式(3)から温度補正値Tcorを算出する。
Tdef=TEM1−TEM2 …(2)
Tcor=Tcor’+Tdef …(3)
但し、Tcor’は前回の温度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。
【0068】
本実施形態では、式(2)において、1回分の温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて温度差Tdefを算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、m(mは2以上の整数)回分の温度検出値TEM1の平均値TEM1midとm回分の温度検出値TEM2の平均値TEM2midとを算出した上で、以下の式(2)’から温度差Tdefを算出するようにしてもよい。
Tdef=TEM1mid−TEM2mid …(2)’
【0069】
また、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2を用いて、以下の式(4)乃至式(6)から湿度補正値Hcorを算出する。
Hdef2=HUM1−HUM2 …(4)
Hdef=(Hdef1+Hdef2)/2 …(5)
Hcor=Hcor’+Hdef …(6)
但し、Hcor’は前回の湿度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。また、湿度差Hdef1は前述のS103において算出された値である。
【0070】
本実施形態では、式(4)において、1回分の湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2を用いて湿度差Hdef2を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、k回分の湿度検出値HUM1の平均値HUM1midとk回分の湿度検出値HUM2の平均値HUM2midとを算出した上で、以下の式(4)’から湿度Hdef2を算出するようにしてもよい。
Hdef2=HUM1mid−HUM2mid …(4)’
【0071】
本実施形態では、式(6)において、1回分の湿度差Hdef1及び湿度差Hdef2を用いて湿度差平均値Hdefを算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、算出したn(nは湿度差算出の回数を示す添字であって、正の整数である)回分の湿度差Hdef1n及び湿度差Hdef2nをメモリ145に記憶しておき、以下の式(6)’から湿度差平均値Hdefを算出するようにしてもよい。
Hdef={(Hdef1n+Hdef12+…+Hdef1n)−(Hdef2n+Hdef22+…+Hdef2n)}/2n …(6)’
【0072】
次に、CPU142は、補正値算出処理S109において算出した温度差Tdef及び湿度差Hdef2の両方が、所定のしきい値未満であるか否かを判定する(S110)。所定のしきい値は、初期処理S101において設定され、温度差Tdefの場合には例えば±1℃であり、湿度差Hdef1の場合には例えば±5%である。
【0073】
S110の判定の結果、温度差Tdef及び湿度差Hdef1の両方が所定のしきい値未満である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の両方に異常がないと考えられる。よって、CPU142は、補正処理を行う(S111)。補正処理S105では、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された温度検出値TEM2と、補正値算出処理S109において算出された温度補正値Tcorと、を用いて、以下の式(6)から補正後温度検出値TEM2’を算出する。
TEM2’=TEM2+Tcor …(7)
【0074】
また、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM2と、補正値算出処理S109において算出された温度補正値Hcorと、を用いて、以下の式(8)から補正後湿度検出値HUM2’を算出する。
HUM2’=HUM2+Hcor …(8)
【0075】
一方、S110の判定の結果、温度差Tdef及び湿度差Hdef1のうちの少なくとも一方が所定のしきい値未満でない、すなわち、所定のしきい値以上である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に、異常があると考えられる。よって、CPU142は、補正処理S111を行わずに、エラー処理を行う(S112)。
【0076】
エラー処理S112では、CPU142は、発光部132に制御信号を出力して、発光部132を点灯又は点滅させる。このように、温度差Tdef及び湿度差Hdef1と所定のしきい値とに基づいて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定されるので、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、発光部132を点灯又は点滅させる等して、異常がある旨を報知することが可能となる。また、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の両方に異常がないと判定されたときに、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2に基づく補正処理S111を行うことが可能となる。
【0077】
なお、エラー処理S112において、前述のエラー処理S105と同様に、CPU142は、異常がある旨を表示部131に表示(報知)するようにしてもよいし、温湿度測定装置100が、スピーカ等の音声出力手段を備え、音声出力手段により異常がある旨を報知するようにしてもよいし、又は表示部131、発光部132、及び音声出力手段のうちの少なくとも二つを組み合わせて使用してもよい。
【0078】
補正処理S111又はエラー処理S112の後、CPU142は、第2センサユニット120の加熱処理を行う(S113)。加熱処理S113では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路139に制御信号を出力して第2センサユニット120のヒータエレメント126を所定時間駆動し、ヒータエレメント126は湿度エレメント125を加熱する。これにより、第1センサユニット110の湿度検出値HUM1を湿度出力値HUMとして使用しているときに、第2センサユニット120のヒータエレメント126を駆動することで、湿度出力値HUMとして使用していない第2センサユニット120の湿度エレメント125が加熱され、湿度エレメント125の性能を回復させることができる。
【0079】
また、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動を停止した後、湿度エレメント125の湿度検出信号が安定するまでの時間を示す安定時間TS2の計測を開始する。
【0080】
ヒータエレメント126の駆動を停止した後、CPU142は、第2センサユニット120への切替処理を行う(S114)。切替処理S114では、CPU142は、安定時間TS2を経過した後に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を第1センサユニット110の検出値から第2センサユニット120の検出値に切り替える。すなわち、S110の判定の結果、補正処理S111が行われた場合に、CPU142は、補正後温度検出値TEM2’を温度出力値TEMとして使用し、補正後温度検出値HUM2’を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。このように、温度差Tdef及び湿度差Hdef1、Hdef2に基づいて温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorを算出し、当該温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorに基づいて第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2を補正することにより、第2センサユニット120における器差を第1センサユニット110における器差に合わせることができるので、第1センサユニット110の温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1から第2センサユニット120の補正後温度検出値TEM2’及び補正後湿度検出値HUM2’に切り替えるときに、器差による温度出力値TEM及び湿度出力値HUMの変化を減少させることが可能となる。
【0081】
一方、エラー処理S112が行われた場合に、CPU142は、温度検出値TEM2を温度出力値TEMとして使用し、湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、補正処理S111が行われた場合とエラー処理S112が行われた場合のどちらの場合も、CPU142は、待ち時間TW1の計測を開始する。
【0082】
なお、切替処理S114において、前述の切替処理S107と同様に、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動を停止した後に、A/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、前述の式(2)から温度差Tdefを算出する。そして、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなるまで温度差Tdefの算出を繰り返し、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなったときに、CPU142は、第1センサユニット110の検出値から第2センサユニット120の検出値に切り替えるようにしてもよい。
【0083】
なお、S110〜S112は、補正値算出処理S109の後から切替処理S114の前の間であればよく、加熱処理S113の後に行うようにしてもよい。
【0084】
切替処理S114の後、CPU142は、例えば、電源スイッチが切断されて温湿度測定装置100が停止するか、或いは入力部133からリセット信号が入力されるまで、S102〜S114のステップを繰り返す。
【0085】
なお、繰り返しにおけるS104では、CPU142は、湿度検出値HUM2に代えて補正後湿度検出値HUM2’を用いて式(1)から湿度差Hdef1を算出する。同様に、繰り返しにおける補正値算出処理S109では、CPU142は、温度検出値TEM2に代えて補正後温度検出値TEM2’を用いて式(2)から温度差Tdefを算出し、湿度検出値HUM2に代えて補正後湿度検出値HUM2’を用いて式(4)から湿度差Hdef2を算出する。
【0086】
本実施形態では、初期処理S101、切替処理S107、及び切替処理S114において、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMを表示部131に出力して表示させるようにしたが、これに限定されない。表示部131に代えて、CPU142は、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMを出力するようにしてもよい。また、CPU142は、表示部131とともに、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMするようにしてもよい。これにより、温湿度測定装置100に接続する外部機器に温度出力値TEM及び湿度出力値HUMを出力することが可能となる。
【0087】
本実施形態では、エラー処理S105及びエラー処理S112において、発光部132に制御信号を出力して、発光部132を点灯又は点滅させるようにしたが、これに限定されない。発光部132に代えて、CPU142は、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、制御信号を出力するようにしてもよい。また、CPU142は、発光部132とともに、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、制御信号を出力するようにしてもよい。これにより、温湿度測定装置100に接続する外部機器に異常がある旨を報知することが可能となる。
【0088】
次に、温湿度測定装置100が測定する湿度の時間変化について、具体例を用いて説明する。
【0089】
図8は、図1に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートであり、図9は、CPUが使用する値の履歴を説明する表である。なお、説明の簡略化のため、以下において測定環境の雰囲気の湿度は一定のままであるとする。また、図8において、湿度検出値HUM1を一点鎖線で示し、湿度検出値HUM2を破線で示し、補正後湿度検出値HUM2’を実線で示し、湿度出力値HUMを太線で示すものとする。
【0090】
図8に示すように、時刻t1の直前、すなわち、ヒータエレメント115を駆動して湿度エレメント116を加熱する直前に、CPU142は、湿度エレメント115の検出値である湿度検出値HUM1と湿度エレメント125の検出値である湿度検出値HUM2との湿度差Hdef1を算出し、メモリ145に書き込む(図7のS103参照)。図9に示すように、時刻t1の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「53」[%]、湿度検出値HUM2が「50」[%]である場合、湿度差Hdef1は「3」[%]となる。
【0091】
時刻t1において湿度エレメント115が加熱されると(図7の加熱処理S106参照)、湿度検出値HUM1は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t2において、すなわち、時刻t1から安定時間TS1が経過したときに、湿度出力値HUMが湿度検出値HUM2から湿度検出値HUM1に切り替えられる(図7の切替処理S107参照)。
【0092】
湿度エレメント115,125は、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や、例えば相対湿度90%以上の高湿度の影響を受けて劣化する。そのため、図8に示すように、実際には雰囲気の湿度が変化していないにもかかわらず、湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2は、時間の経過とともに上昇する。
【0093】
時刻t3の直前、すなわち、時刻t2から待ち時間TW2が経過したときに、ヒータエレメント125を駆動して湿度エレメント126を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef2、湿度差平均値Hdef、湿度補正値Hcorを算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S109参照)。図9に示すように、時刻t3の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「52」[%]、湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、湿度差Hdef2は「1」[%]となり、湿度差Hdef2は時刻t1で算出された「3」[%]のままであり、湿度差平均値Hdefは「2」[%]となり、前回湿度補正値Hcor’は初期処理S101で設定された「0」[%]であり、湿度補正値Hcorは「2」[%]となる。
【0094】
また、CPU142は、時刻t3の直前に、補正後湿度検出値HUM2’を算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S111参照)。図9に示すように、時刻t3の直前に、例えば、湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、補正後湿度検出値HUM2’は「53」[%]となる。
【0095】
時刻t3において湿度エレメント125が加熱されると(図7の加熱処理S113参照)、湿度検出値HUM2は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t4において、すなわち、時刻t3から安定時間TS2が経過したときに、湿度出力値HUMが湿度検出値HUM1から補正後湿度検出値HUM2’に切り替えられる(図7の切替処理S114参照)。これにより、補正前の切替変化量val1から補正後の切替変化量val1’に減少する。
【0096】
ここで、湿度エレメント115及び湿度エレメント125は、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や高湿度の影響を受けて劣化するので、本来の湿度よりも高い湿度を示す傾向があり、時間の経過とともに湿度差は更に大きくなる(拡がる)傾向にある。そして、ヒータエレメント116,126の駆動直後(図8において時刻t1,t3の直後)は湿度エレメント115,125の検出値が安定していない一方、ヒータエレメント116,126の駆動直前(図8において時刻t1,t3の直前)は湿度エレメント115及び湿度エレメント125ともに、検出値が安定しているとともに、ヒータエレメント116,126の駆動からある程度の時間が経過しているので、劣化していると考えられる。よって、ヒータエレメント駆動回路138,139によりヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が駆動される前における湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115及び湿度エレメント125の両方の劣化を考慮した湿度補正値Hcorを算出することが可能となる。
【0097】
また、このように、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前(図8において時刻t1の直前)における湿度差Hdef1と、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前(図8において時刻t3の直前)における湿度差Hdef2と、の平均値である湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val1’と湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val2’とを同一にすることが可能となる。
【0098】
時刻t5の直前、すなわち、時刻t4から待ち時間TW1が経過したときに、ヒータエレメント115を駆動して湿度エレメント116を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef1を算出し、メモリ145に書き込む(図7のS103参照)。図9に示すように、時刻t5の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「53」[%]、補正後湿度検出値HUM2’が「52」[%]である場合、湿度差Hdef1は「1」[%]となる。
【0099】
時刻t5において湿度エレメント115が加熱されると(図7の加熱処理S106参照)、湿度検出値HUM1は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t6において、すなわち、時刻t5から安定時間TS1が経過したときに、湿度出力値HUMが補正後湿度検出値HUM2’から湿度検出値HUM1に切り替えられる(図7の切替処理S107参照)。これにより、補正前の切替変化量val2から補正後の切替変化量val2’に減少する。
【0100】
時刻t7の直前、すなわち、時刻t6から待ち時間TW2が経過したときに、ヒータエレメント125を駆動して湿度エレメント126を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef2、湿度差平均値Hdef、湿度補正値Hcorを算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S109参照)。図9に示すように、時刻t7の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「52」[%]、補正後湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、湿度差Hdef2は「−1」[%]となり、湿度差Hdef2は時刻t5の直前で算出された「1」[%]のままであり、湿度差平均値Hdefは「0」[%]となり、前回湿度補正値Hcor’は時刻t3の直前で算出された「2」[%]であり、湿度補正値Hcorは「2」[%]となる。
【0101】
また、CPU142は、時刻t7の直前に、補正後湿度検出値HUM2’を算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S111参照)。図9に示すように、時刻t7の直前に、例えば、湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、補正後湿度検出値HUM2’は「53」[%]となる。
【0102】
時刻t7において湿度エレメント125が加熱されると(図7の加熱処理S113参照)、補正後湿度検出値HUM2’は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t8において、すなわち、時刻t7から安定時間TS2が経過したときに、湿度出力値HUMが湿度検出値HUM1から補正後湿度検出値HUM2’に切り替えられる(図7の切替処理S114参照)。
【0103】
本実施形態では、第1センサユニット110をメイン(マスタ)とし、第2センサユニット120をサブ(スレーブ)として、第2のセンサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2を補正するようにしたが、これに限定されず、第2センサユニット120をメイン(マスタ)とし、第1センサユニット110をサブ(スレーブ)として、第1のセンサユニット120の温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1を補正するようにしてもよい。
【0104】
また、第1センサユニット110及び第2センサユニット120は、温度及び湿度の両方を測定するようにしたが、温度及び湿度のうちの少なくとも一方を測定するようにしてもよい。特に、第1センサユニット110及び第2センサユニット120が湿度のみを測定する場合は、本発明は湿度測定装置である。
【0105】
このように、本実施形態における温湿度測定装置100及び温湿度測定方法によれば、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorが算出され、当該温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorに基づいて第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2が補正され、第1センサユニット110の温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1から第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2に切り替えるときに、補正後温度検出値TEM2’ が温度出力値TEMとして、補正後湿度検出値HUM2’が湿度出力値HUMとして使用される。このように、温度差Tdef及び湿度差Hdef1、Hdef2に基づいて温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorを算出し、当該温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorに基づいて第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2を補正することにより、第2センサユニット120における器差を第1センサユニット110における器差に合わせることができるので、温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1から第2センサユニット120の補正後温度検出値TEM2’及び補正後湿度検出値HUM2’に切り替えるときに、器差による温度出力値TEM及び湿度出力値HUMの変化を減少させることが可能となる。これにより、従来のように、実際には測定環境が変化していないにもかかわらず、測定環境が変化したと誤認されたり、装置自体の故障や測定異常を疑われたり、測定結果に基づく制御に悪影響を及ぼしたりするおそれを低減することができ、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMの信頼性を高めることができる。
【0106】
また、本実施形態における温湿度測定装置100によれば、ヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が交互に駆動され、ヒータエレメント駆動回路138,139によりヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が駆動される前における湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて、湿度補正値Hcorが算出される。これにより、一方のセンサユニットの検出値を出力値として使用しているときに他方のセンサユニットのヒータエレメントを駆動することで、湿度出力値HUMとして使用していない他方のセンサユニットの湿度エレメントが加熱され、当該湿度エレメントの性能を回復させることが可能となる。これにより、湿度の測定を中断することなく連続して湿度を測定することができるとともに、湿度出力値HUMの精度を維持することができる。
【0107】
また、湿度エレメント115及び湿度エレメント125は、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や高湿度の影響を受けて劣化するので、本来の湿度よりも高い湿度を示す傾向があり、時間の経過とともに湿度差は更に大きくなる(拡がる)傾向にある。そして、ヒータエレメント116,126の駆動直後(図8において時刻t1,t3の直後)は湿度エレメント115,125の検出値が安定していない一方、ヒータエレメント116,126の駆動直前(図8において時刻t1,t3の直前)は湿度エレメント115及び湿度エレメント125ともに、検出値が安定しているとともに、ヒータエレメント116,126の駆動からある程度の時間が経過しているので、劣化していると考えられる。よって、ヒータエレメント駆動回路138,139によりヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が駆動される前における湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115及び湿度エレメント125の両方の劣化を考慮した湿度補正値Hcorを算出することが可能となる。これにより、湿度検出値HUM1から補正後湿度検出値HUM2’に切り替えるときに、湿度エレメント115及び湿度エレメント125の劣化による湿度出力値HUMの変化を減少させることができ、湿度出力値HUMの信頼性を更に高めることができる。
【0108】
また、本実施形態における温湿度測定装置100によれば、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef2とヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef1との平均値である湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorが算出される。これにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val1’と湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val2’とを同一にすることが可能となる。
【0109】
また、本実施形態における温湿度測定装置100によれば、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2と所定のしきい値とに基づいて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定される。これにより、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、異常がある旨を報知することが可能となる。これにより、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットの点検、修理、交換等を促すことができる。また、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの両方に異常がないと判定されたときに、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2に基づく補正を行うことが可能となる。
【0110】
[第2実施形態]
図10乃至図13は、本発明の第2実施形態を示すためのものである。なお、特に記載がない限り、前述した実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。また、図示しない構成部分は、前述した実施形態と同様とする。
【0111】
図10は本発明の第2実施形態における温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。図10に示すように、本実施形態の温湿度測定装置100Aは、本体部130の筐体の内部に、タイマー146を備える。タイマー146は、ヒータエレメント116,126の駆動間隔時間を計測するためのものである。タイマー146は、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号により時間の計測を開始又は終了し、その経過時間をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0112】
次に、温湿度測定装置100Aが湿度及び温度を測定する動作について説明する。
【0113】
図11は、図10に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。例えば、電源スイッチが投入されて温湿度測定装置100Aが起動したとき、或いは入力部133からリセット信号が入力されたときに、CPU142は、図10に示す温湿度測定処理S200を実行する。すなわち、まず、CPU142は、初期処理を行う(S201)。
【0114】
初期処理S201では、CPU142は、A/D変換器141から入力される温度検出値TEM2を温度出力値TEMとし、A/D変換器141から入力される湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、CPU142は、待ち時間TW1の計測を開始する。さらに、CPU142は、メモリ145に予め記憶されたデータを読み出して、待ち時間TW1等の各種の値を設定する。さらにまた、CPU142は、タイマー146に駆動信号を出力し、第2センサユニット120のヒータエレメント126を駆動してから第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動するまでの時間を示す第2時間T2の計測を開始する。
【0115】
なお、初期処理S201において、ヒータエレメント126を駆動していないため、第2時間T2は、厳密には、第2センサユニット120のヒータエレメント126を駆動してから第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動するまでの時間に該当しないが、便宜上、かかる差異を無視する。
【0116】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S102〜S105の各ステップを行う。
【0117】
S104の判定の結果、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満である場合、又はエラー処理S105の後、CPU142は、第1センサユニット110の加熱処理を行う(S206)。加熱処理S206では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路138に制御信号を出力して、第1センサユニット110のヒータエレメント116を所定時間駆動し、ヒータエレメント116は湿度エレメント115を加熱する。これとともに、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第2時間T2の計測を終了する。また、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動してから第2センサユニットのヒータエレメント126を駆動するまでの時間を示す第1時間T1の計測を開始する。さらに、CPU142は、ヒータエレメント116の駆動を停止した後、安定時間TS1の計測を開始する。
【0118】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S107〜S108の各ステップを行う。
【0119】
S108の判定の結果、待ち時間TW2を経過した場合、CPU142は、補正値算出処理を行う(S209)。補正値算出処理S209では、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、以下の式(2)及び式(3)から温度補正値Tcorを算出する。
Tdef=TEM1−TEM2 …(2)
Tcor=Tcor’+Tdef …(3)
但し、Tcor’は前回の温度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。
【0120】
また、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2と、タイマー146から入力される第1時間T1とを用いて、以下の式(4)、式(9)、及び式(6)から湿度補正値Hcorを算出する。
Hdef2=HUM1−HUM2 …(4)
Hdef=(T2×Hdef1+T1×Hdef2)/(T1+T2) …(9)
Hcor=Hcor’+Hdef …(6)
但し、Hcor’は前回の湿度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。また、湿度差Hdef1は前述のS103において算出された値である。さらに、第2時間T2は前述の加熱処理S206において計測された時間である。
【0121】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S110〜S112の各ステップを行う。
【0122】
補正処理S111又はエラー処理S112の後、CPU142は、第2センサユニット120の加熱処理を行う(S213)。加熱処理S213では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路139に制御信号を出力して第2センサユニット120のヒータエレメント126を所定時間駆動し、ヒータエレメント126は湿度エレメント125を加熱する。これとともに、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第1時間T1の計測を終了する。また、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第2時間T2の計測を開始する。さらに、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動を停止した後、湿度エレメント125の湿度検出信号が安定するまでの時間を示す安定時間TS2の計測を開始する。
【0123】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S114のステップを行い、切替処理S114の後、CPU142は、例えば、電源スイッチが切断されて温湿度測定装置100が停止するか、或いは入力部133からリセット信号が入力されるまで、S102〜S114のステップを繰り返す。
【0124】
次に、温湿度測定装置100Aが測定する湿度の時間変化について、具体例を用いて説明する。
【0125】
図12は、図10に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートである。なお、説明の簡略化のため、以下において測定環境の雰囲気の湿度は一定のままであるとする。また、図12において、湿度検出値HUM1を一点鎖線で示し、湿度検出値HUM2を破線で示し、補正後湿度検出値HUM2’を実線で示し、湿度出力値HUMを太線で示すものとする。
【0126】
図12に示すように、時刻t1,t3の直前、すなわち、ヒータエレメント115を駆動して湿度エレメント116を加熱する直前に、CPU142は、湿度エレメント115の検出値である湿度検出値HUM1と湿度エレメント125の検出値である湿度検出値HUM2との湿度差Hdef1を算出する(図11のS103参照)。例えば、時刻t1の直前に、湿度差Hdef1が「0.5」[%]であるとする。
【0127】
時刻t3の直前、すなわち、ヒータエレメント125を駆動して湿度エレメント126を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef2、湿度差平均値Hdef、湿度補正値Hcorを算出する(図11の補正値算出処理S209参照)。例えば、時刻t3の直前に、湿度差Hdef2が「−1.5」[%]であり、前回湿度補正値Hcor’は初期処理S201で設定された「0」[%]であり、第1時間T1が「8」[時間]、第2時間T2が「24」[時間]であるとすると、湿度補正値Hcorは「0」[%]となる。これにより、湿度検出値HUM2と補正後湿度検出値HUM2’とが一致する。
【0128】
ここで、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合、図12に示すように、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1及び湿度エレメント125の湿度検出値HUM2は、時間の経過とともに飽和する傾向にある。そのため、ヒータエレメント116,126を駆動してから経過した時間により湿度差Hdef1,Hdef2は変化し、時間が経過するにつれて湿度差Hdef1,Hdef2は小さくなる。よって、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef1を第2時間T2で重み付けし、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef2を第1時間T1で重み付けした湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMと湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMとを同一にすることが可能となる。
【0129】
このように、本実施形態における温湿度測定装置100Aによれば、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef1を第2時間T2で重み付けし、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef2を第1時間T1で重み付けした湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorが算出される。ここで、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合、図12に示すように、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1及び湿度エレメント125の湿度検出値HUM2は、時間の経過とともに飽和する傾向にある。そのため、ヒータエレメント116,126を駆動してから経過した時間により湿度差Hdef1,Hdef2は変化し、時間が経過するにつれて湿度差Hdef1,Hdef2は小さくなる。よって、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef1を第2時間T2で重み付けし、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef2を第1時間T1で重み付けした湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMと湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMとを同一にすることが可能となる。これにより、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合に好適に用いることができる。
【0130】
なお、前述の各実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0131】
100,100A…温湿度測定装置
110…第1センサユニット
115,125…湿度エレメント
116,126…ヒータエレメント
120…第2センサユニット
138,139…ヒータエレメント駆動回路
142…CPU
146…タイマー
【技術分野】
【0001】
本発明に係るいくつかの態様は、温湿度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、湿度測定装置には、測定環境の雰囲気、例えば、薬品、溶剤等のガスや高湿度環境の影響により、湿度測定装置が有する感湿素子の性能が低下(以下、劣化という)してしまうという問題があった。このため、感湿素子を加熱すること(以下、加熱クリーニングという)により性能を回復させ、長時間安定して湿度を測定できる湿度測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−172776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の湿度測定装置では、感湿素子の加熱中及び加熱後の一定期間の間、感湿素子が加熱の影響を受けるので、雰囲気の湿度を正しく測定することができなかった。このため、感湿素子において加熱の影響がなくなるまでの間、湿度の測定を中断せざるを得ず、雰囲気の湿度を連続して測定することができなかった。
【0005】
この問題を解決するために、2つの湿度センサを備え、一方の湿度センサを加熱クリーニング中は他方の湿度センサで湿度を測定し、他方の湿度センサを加熱クリーニング中は一方の湿度センサで湿度を測定することで、雰囲気の湿度を連続して測定することが考えられる。しかし、この場合、2つの湿度センサを一方から他方に切り替えたときに、一方の湿度センサにおける器差と他方の湿度センサにおける器差とが異なる等の影響により、実際には測定環境に変化がないにもかかわらず、出力値が急激に変化する場合がある、という問題があった。
【0006】
本発明のいくつかの態様は前述の問題に鑑みてなされたものであり、切替に伴う出力値の変化を減少させることのできる温湿度測定装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る温湿度測定装置は、測定環境の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第1のセンサユニットと、前述の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第2のセンサユニットと、出力値として使用する検出値を、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替える切替部と、第1のセンサユニットの検出値と第2のセンサユニットの検出値との差である検出差に基づいて、補正値を算出する算出部と、補正値に基づいて、第2のセンサユニットの検出値を補正する補正部と、を備え、切替部は、第1のセンサユニットの検出値から第2のセンサユニットの検出値に切り替えるときに、補正された第2のセンサユニットの検出値を出力値として使用する。
【0008】
かかる構成によれば、前述の検出差に基づいて補正値が算出され、当該補正値に基づいて第2のセンサユニットの検出値が補正され、第1のセンサユニットの検出値から第2のセンサユニットの検出値に切り替えるときに、補正された第2のセンサユニットの検出値が出力値として使用される。このように、前述の検出差に基づいて補正値を算出し、算出された補正値に基づいて第2のセンサユニットの検出値を補正することにより、第2のセンサユニットにおける器差を第1のセンサユニットにおける器差に合わせることができるので、第1のセンサユニットの検出値から補正された第2のセンサユニットの検出値に出力値を切り替えるときに、器差による出力値の変化を減少させることが可能となる。
【0009】
好ましくは、第1のセンサユニットは、前述の雰囲気の湿度を検出する第1の湿度センサと第1の湿度センサを加熱する第1のヒータとを有し、第2のセンサユニットは、前述の雰囲気の湿度を検出する第2の湿度センサと第2の湿度センサを加熱する第2のヒータとを有し、第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方を交互に駆動する駆動部を更に備え、算出部は、駆動部により第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が駆動される前における、第1の湿度センサの検出値と第2の湿度センサの検出値との差である湿度差に基づいて、補正値を算出する。
【0010】
かかる構成によれば、第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が交互に駆動され、駆動部により第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が駆動される前における前述の湿度差に基づいて、補正値が算出される。これにより、一方のセンサユニットの検出値を出力値として使用しているときに他方のセンサユニットのヒータを駆動することで、出力値として使用していない他方のセンサユニットの湿度センサが加熱され、当該湿度センサの性能を回復させることが可能となる。これにより、湿度の測定を中断することなく連続して湿度を測定することができるとともに、湿度の出力値の精度を維持することができる。
【0011】
また、第1の湿度センサ及び第2の湿度センサは、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や高湿度の影響を受けて劣化するので、本来の湿度よりも高い湿度を示す傾向があり、時間の経過とともに湿度差は更に大きくなる(拡がる)傾向にある。そして、ヒータの駆動直後は湿度センサの検出値が安定していない一方、ヒータの駆動直前は第1の湿度センサ及び第2の湿度センサともに、検出値が安定しているとともに、ヒータの駆動からある程度の時間が経過しているので、劣化していると考えられる。よって、駆動部により第1のヒータ及び第2のヒータのうちの一方が駆動される前における湿度差に基づいて、補正値を算出することにより、第1の湿度センサ及び第2の湿度センサの両方の劣化を考慮した補正値を算出することが可能となる。これにより、第1の湿度センサの検出値から補正された第2の湿度センサの検出値に切り替えるときに、第1の湿度センサ及び第2の湿度センサの劣化による湿度の出力値の変化を減少させることができ、湿度の出力値の信頼性を更に高めることができる。
【0012】
好ましくは、算出部は、駆動部により第1のヒータが駆動される前における湿度差と駆動部により第2のヒータが駆動される前における湿度差との平均値に基づいて、補正値を算出する。
【0013】
かかる構成によれば、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差と駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差との平均値に基づいて、補正値が算出される。これにより、第1の湿度センサの検出値から補正された第2の湿度センサの検出値に切り替えたときの出力値の切替変化量と補正された第2の湿度センサの検出値から第1の湿度センサの検出値に切り替えたときの出力値の切替変化量とを同一にすることが可能となる。
【0014】
好ましくは、駆動部により第1のヒータが駆動されてから駆動部により第2のヒータが駆動されるまでの第1の時間と駆動部により第2のヒータが駆動されてから駆動部により第1のヒータが駆動されるまでの第2の時間とを計測する計時部を更に備え、算出部は、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第2の時間で重み付けし、駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、補正値を算出する。
【0015】
かかる構成によれば、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第2の時間で重み付けし、駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、補正値が算出される。ここで、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合、第1の湿度センサの検出値及び第2の湿度センサの検出値は、時間の経過とともに飽和する傾向にある。そのため、ヒータを駆動してから経過した時間により前述の湿度差は変化し、時間が経過するにつれて前述の湿度差は小さくなる。よって、駆動部により第1のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第2の時間で重み付けし、駆動部により第2のヒータが駆動される前における前述の湿度差を第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、補正値を算出することにより、第1のセンサの検出値から補正された第2のセンサの検出値に切り替えたときの出力値と補正された第2のセンサの検出値から第1のセンサの検出値に切り替えたときの出力値とを同一にすることが可能となる。これにより、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合に好適に用いることができる。
【0016】
好ましくは、前述の検出差と所定のしきい値とに基づいて、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があるか否かを判定する判定部を更に備える。
【0017】
かかる構成によれば、前述の検出差と所定のしきい値とに基づいて、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定される。これにより、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、異常がある旨を報知することが可能となる。これにより、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットの点検、修理、交換等を促すことができる。また、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常がないと判定されたときに、前述の検出差に基づく補正を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る温湿度測定装置によれば、前述の検出差に基づいて補正値を算出し、算出された補正値に基づいて第2のセンサユニットの検出値を補正することにより、第2のセンサユニットにおける器差を第1のセンサユニットにおける器差に合わせることができるので、第1のセンサユニットの検出値から補正された第2のセンサユニットの検出値に出力値を切り替えるときに、器差による出力値の変化を減少させることが可能となる。これにより、従来のように、実際には測定環境の雰囲気が変化していないにもかかわらず、測定環境の雰囲気が変化したと誤認されたり、装置自体の故障や測定異常を疑われたり、測定結果に基づく制御に悪影響を及ぼしたりするおそれを低減することができ、出力値の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における温湿度測定装置を説明する正面図である。
【図2】図1に示したII線矢視方向上面図である。
【図3】図1に示したIII線矢視方向側面図である。
【図4】図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサヘッドの脱着の様子を説明する斜視図である。
【図5】図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサキャップの脱着の様子を説明する斜視図である。
【図6】図1に示した温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。
【図7】図1に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。
【図8】図1に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートである。
【図9】CPUが使用する値の履歴を説明する表である。
【図10】本発明の第2実施形態における温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。
【図11】図10に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。
【図12】図10に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
【0021】
[第1実施形態]
図1乃至図9は、本発明の第1実施形態を示すためのものである。図1は、本発明の第1実施形態における温湿度測定装置を説明する正面図である。図1に示すように、温湿度測定装置100は、第1センサユニット110と、第2センサユニット120と、本体部130と、を備える。温湿度測定装置100は測定環境の雰囲気中に設置される。
【0022】
第1センサユニット110は、測定環境の雰囲気における温度及び湿度を検出する。第1センサユニット110は、本体部130の一方側(図1において右側)に配置された固定部材F1によって本体部130に固定されている。また、第1センサユニット110は、信号線等を束ねたケーブルC1によって本体部130に接続されている。
【0023】
第2センサユニット120は、測定環境の雰囲気における温度及び湿度を検出する。第2センサユニット120は、本体部130の他方側(図1において左側)に配置された固定部材F2によって本体部130に固定されている。また、第2センサユニット120は、信号線等を束ねたケーブルC2によって本体部130に接続されている。
【0024】
本体部130は、略直方体形状を呈する筐体(ケース)を有しており、この筐体の上面の略中央には、表示部131と、発光部132と、入力部133と、が設けられている。
【0025】
表示部131は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイであり、測定結果や各種の情報を表示する。発光部132は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光体であり、測定結果に基づいて発光する。入力部133は、複数のキー(ボタン)を有し、ユーザが当該キーを操作することよって、各種の情報が入力される。
【0026】
本実施形態では、第1センサユニット110及び第2センサユニット120は、固定部材F1,F2によって本体部130に固定される例を示したが、これに限定されない。第1センサユニット110及び第2センサユニット120は、ケーブルC1,C2を介して本体部130に接続されていればよく、本体部130と分離した構成を採用することもできる。この場合、温湿度測定装置100を測定環境の雰囲気中に設置しなくてもよく、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のみが測定環境の雰囲気中に配置されていればよい。
【0027】
図2は図1に示したII線矢視方向上面図であり、図3は図1に示したIII線矢視方向側面図である。図2に示すように、第1センサユニット110は、固定部材F1に接続されたケース111と、ケース111の内側に取り付けられたセンサプローブ112と、を備える。ケース111は、一方側(図2において右側)が開いたU字形状を有している。また、図3に示すように、ケース111は両端部に開口を有しており、センサプローブ112の一端部(図3において左端部)は、ケース111の開口を介してケーブルC1と接続している。
【0028】
図2に示すように、第2センサユニット110は、固定部材F2に接続されたケース121と、ケース121の内側に取り付けられたセンサプローブ122と、を備える。ケース121は、他方側(図2において左側)が開いたU字形状を有している。また、図示は省略するが、図3に示す第1センサユニット110の場合と同様に、ケース121は両端部に開口を有しており、センサプローブ122の一端部は、ケース121の開口を介してケーブルC2と接続している。
【0029】
図4は、図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサヘッドの脱着の様子を説明する斜視図である。図4に示すように、センサプローブ112は、センサボディ113と、センサヘッド114と、を備える。センサヘッド114の下部の台座部114aは、センサボディ113の上部に設けられたガイド部113aに嵌合可能に形成されており、センサヘッド114はセンサボディ113に脱着自在に装着される。
【0030】
また、センサヘッド114の台座部114aの上面には、雰囲気の相対湿度を検出する湿度エレメント115と、湿度エレメント115を加熱するヒータエレメント116と、が設けられている。センサヘッド114をセンサボディ113に装着すると、湿度エレメント115及びヒータエレメント116とセンサボディ113の下部のケーブルC1とが電気的に接続される。
【0031】
湿度エレメント115は、例えば湿度に応じて静電容量が変化する感湿素子であり、湿度に応じた信号(湿度検出信号)を出力する。なお、湿度エレメント115は、容量式(容量変化型)の感湿素子に限定されず、湿度に応じて電気抵抗が変化する抵抗式(抵抗変化型)の感湿素子であってもよく、その方式を問わない。また、感湿層の材料は、例えば高分子化合物やセラミック等であってよく、その材料を問わない。
【0032】
ヒータエレメント116は、湿度エレメント115の一方の面(図4において手前の面)に、接着剤等を介して固定されている。また、ヒータエレメント116は、雰囲気の温度を測定する温度エレメントを兼ねている。すなわち、ヒータエレメント116は、例えば測温抵抗体であり、湿度エレメント115の加熱を行っていないときは、雰囲気の温度に応じた信号(温度検出信号)を出力する温度エレメントとして機能することができる。
【0033】
なお、ヒータエレメント116が温度エレメントを兼ねる場合に限定されず、センサヘッド114は、ヒータエレメントと温度エレメントとをそれぞれ有するように構成することができる。
【0034】
図5は、図2及び図3に示したセンサプローブにおけるセンサキャップの脱着の様子を説明する斜視図である。図5に示すように、センサプローブ112は、センサボディ113のコネクタ部113bに脱着可能に装着されるセンサキャップ117を更に備える。センサヘッド114が装着されたセンサボディ113に、センサキャップ117を装着すると、湿度エレメント115及びヒータエレメント116がセンサキャップ117によって覆われ、保護される。
【0035】
また、センサキャップ117の上面には、気体の流通を可能にするメッシュ117aが設けられている。これにより、湿度エレメント115が測定環境の雰囲気の湿度を測定する湿度センサとして機能するとともに、ヒータエレメント116が測定環境の雰囲気の温度を測定する温度センサとして機能する。
【0036】
なお、センサプローブ122の構成は、センサプローブ112と同様の構成である。すなわち、センサプローブ122は、センサボディ123と、センサヘッド124と、センサキャップ127と、を備え、センサヘッド124は、湿度エレメント125と、ヒータエレメント126と、を有する。よって、前述のセンサプローブ112の説明をもってセンサプローブ122の説明を省略する。
【0037】
図6は、図1に示した温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。図6に示すように、本体部130は、その筐体の内部に、湿度信号変換回路134,135と、温度信号変換回路136,137と、ヒータエレメント駆動回路138,139と、マイクロプロセッサ140と、アナログ出力部150と、デジタル通信部160と、電源部170と、が設けられている。
【0038】
湿度信号変換回路134は、第1センサユニット110の湿度エレメント115に接続されており、湿度エレメント115から入力される湿度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0039】
湿度信号変換回路135は、第2センサユニット120の湿度エレメント125に接続されており、湿度エレメント125から入力される湿度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0040】
温度信号変換回路136は、第1センサユニット110のヒータエレメント116に接続されており、ヒータエレメント116から入力される温度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0041】
温度信号変換回路137は、第2センサユニット120のヒータエレメント126に接続されており、ヒータエレメント126から入力される温度検出信号を電圧信号に変換し、変換した電圧信号をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0042】
ヒータエレメント駆動回路138は、第1センサユニット110のヒータエレメント116に接続されており、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号に基づいて、ヒータエレメント116に電流を流して駆動する。具体的には、ヒータエレメント駆動回路138は、湿度エレメント115の感湿層が高分子化合物の場合、ヒータエレメント116の温度が、例えば70℃〜180℃程度になるように駆動し、湿度エレメント115の感湿層がセラミックの場合、ヒータエレメント116の温度が、例えば700℃〜1200℃程度になるように駆動する。
【0043】
ヒータエレメント駆動回路139は、第2センサユニット120のヒータエレメント126に接続されており、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号に基づいて、ヒータエレメント126に電流を流して駆動する。具体的には、ヒータエレメント駆動回路139は、湿度エレメント125の感湿層が高分子化合物の場合、ヒータエレメント126の温度が、例えば70℃〜180℃程度になるように駆動し、湿度エレメント125の感湿層がセラミックの場合、ヒータエレメント126の温度が、例えば700℃〜1200℃程度になるように駆動する。
【0044】
本実施形態では、湿度信号変換回路134,135、温度信号変換回路136,137、及びヒータエレメント駆動回路138,139を、それぞれ第1センサユニット110用と第2センサユニット120用とにそれぞれ設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、湿度信号変換回路、温度信号変換回路、及びヒータエレメント駆動回路のうちの少なくとも1つについて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の兼用になるように構成することができる。
【0045】
アナログ出力部150は、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号、データを電圧信号又は電流信号に変換して本体部130の外部に出力するためのものである。アナログ出力部150は、出力端子を含み、当該出力端子に接続された外部機器、例えば温湿度制御用のコントローラにアナログ信号を出力する。
【0046】
デジタル通信部160は、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号、データを本体部130の外部に出力するためのものである。デジタル通信部160は、出力端子を含み、当該出力端子に接続された外部機器、例えば中央監視装置にデジタル信号を出力する。なお、デジタル通信部160は、単にオン/オフを出力する接点(ピン)を含む出力端子であってもよい。
【0047】
電源部170は、温湿度測定装置100の各部に電力を供給するためのものである。なお、電源部170は、本体部130の内部に設けられる場合に限定されず、本体部130の外部に設けるようにしてもよい。
【0048】
マイクロプロセッサ140は、A/D変換器141と、CPU142と、ROM143と、RAM144と、不揮発性のメモリ145と、を備える。また、マイクロプロセッサ140は、前述の表示部131、発光部132、入力部133、アナログ出力部150、及びデジタル通信部160に接続されている。
【0049】
A/D変換器141は、マイクロプロセッサ140に入力された電圧信号、すなわち、アナログ信号をデジタル信号に変換してCPU142に出力する。本実施形態では、A/D変換器141は、湿度信号変換回路134から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第1センサユニット110の湿度検出値HUM1とし、湿度信号変換回路135から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第2センサユニット120の湿度検出値HUM2とし、温度信号変換回路136から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第1センサユニット110の温度検出値TEM1とし、温度信号変換回路137から入力された電圧信号をデジタル信号に変換したものを第2センサユニット120の温度検出値TEM2として、CPU142に出力する。
【0050】
CPU142は、RAM143及びメモリ144に対してデータの読み出しや書き込みを行いながら、ROM142に記憶されたプログラムに基づいて各種の演算を行う。また、CPU142は、表示部131、発光部132、及びヒータエレメント駆動回路138,139に制御信号、データを出力しながら、温湿度測定装置100の動作を制御する。具体的には、CPU142は、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を、第1センサユニット110及び第2センサユニット110のうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替える。また、CPU142は、ヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が交互に駆動されるように、ヒータエレメント駆動回路138,139を制御する。
【0051】
次に、温湿度測定装置100が湿度及び温度を測定する動作について説明する。
【0052】
図7は、図1に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。例えば、電源スイッチが投入されて温湿度測定装置100が起動したとき、或いは入力部133からリセット信号が入力されたときに、CPU142は、図7に示す温湿度測定処理S100を実行する。すなわち、まず、CPU142は、初期処理を行う(S101)。
【0053】
初期処理S101では、CPU142は、A/D変換器141から入力される温度検出値TEM2を温度出力値TEMとし、A/D変換器141から入力される湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、CPU142は、ヒータエレメント116の駆動までの時間を示す待ち時間TW1の計測を開始する。さらに、CPU142は、メモリ145に予め記憶されたデータを読み出して、待ち時間TW1等の各種の値を設定する。
【0054】
なお、CPU142は、例えば、マイクロプロセッサ140に内蔵された水晶振動子等のクロック信号に基づいて、時間を計測することができる。
【0055】
次に、CPU142は、初期処理S101又は後述の切替処理S114において計測を開始した待ち時間TW1について、時間を経過したか否かを判定し(S102)、待ち時間TW1を経過するまでS102のステップを繰り返す。
【0056】
S102の判定の結果、待ち時間TW1を経過した場合、CPU142は、待ち時間TW1の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2を用いて、以下の式(1)から湿度差Hdef1を算出する(S103)。
Hdef1=HUM1−HUM2 …(1)
これにより、ヒータエレメント116が駆動される前における、湿度差Hdef1が算出される。
【0057】
本実施形態では、式(1)において、1回分の検出値HUM1及び検出値HUM2を用いて湿度差Hdef1を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、k(kは2以上の整数)回分の湿度検出値HUM1の平均値HUM1midとk回分の湿度検出値HUM2の平均値HUM2midとを算出した上で、以下の式(1)’から湿度Hdef1を算出するようにしてもよい。
Hdef1=HUM1mid−HUM2mid …(1)’
【0058】
次に、CPU142は、S103において算出した湿度差Hdef1が所定のしきい値未満であるか否かを判定する(S104)。所定のしきい値は、初期処理S101で設定され、例えば±5%である。
【0059】
S104の判定の結果、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の両方に異常がないと考えられる。一方、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満でない、すなわち、所定のしきい値以上である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に、異常があると考えられる。よって、CPU142は、エラー処理を行う(S105)。
【0060】
エラー処理S105では、CPU142は、発光部132に制御信号を出力して、発光部132を点灯又は点滅させる。このように、湿度差Hdef1と所定のしきい値とに基づいて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定されるので、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、発光部132を点灯又は点滅させる等して、異常がある旨を報知することが可能となる。
【0061】
本実施形態では、エラー処理S105において、CPU142は、発光部132を点灯又は点滅させるようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、異常がある旨を表示部131に表示(報知)するようにしてもよいし、温湿度測定装置100が、スピーカ等の音声出力手段を備え、音声出力手段により異常がある旨を報知するようにしてもよいし、又は表示部131、発光部132、及び音声出力手段のうちの少なくとも二つを組み合わせて使用してもよい。
【0062】
S104の判定の結果、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満である場合、又はエラー処理S105の後、CPU142は、第1センサユニット110の加熱処理を行う(S106)。加熱処理S106では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路138に制御信号を出力して、第1センサユニット110のヒータエレメント116を所定時間駆動し、ヒータエレメント116は湿度エレメント115を加熱する。これにより、第2センサユニット120の湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用しているときに、第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動することで、湿度出力値HUMとして使用していない第1センサユニット110の湿度エレメント115が加熱され、湿度エレメント115の性能を回復させることができる。
【0063】
また、CPU142は、ヒータエレメント116の駆動を停止した後、湿度エレメント115の湿度検出信号が安定するまでの時間を示す安定時間TS1の計測を開始する。
【0064】
ヒータエレメント116の駆動を停止した後、CPU142は、第1センサユニット110への切替処理を行う(S107)。切替処理S107では、CPU142は、安定時間TS1を経過した後に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を第2センサユニット120の検出値から第1センサユニット110の検出値に切り替える。すなわち、CPU142は、温度検出値TEM1を温度出力値TEMとして使用し、湿度検出値HUM1を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動までの時間を示す待ち時間TW2の計測を開始する。
【0065】
本実施形態では、切替処理S107において、安定時間TS1を経過した後に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を第2センサユニット120の検出値から第1センサユニット120の検出値に切り替えるようにしたが、これに限定されない。CPU142は、ヒータエレメント116の駆動を停止した後に、A/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、後述の式(2)から温度差Tdefを算出する。そして、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなるまで温度差Tdefの算出を繰り返し、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなったときに、CPU142は、第2センサユニット120の検出値から第1センサユニット120の検出値に切り替えるようにしてもよい。
【0066】
次に、CPU142は、切替処理S107において計測を開始した待ち時間TW2について、時間を経過したか否かを判定し(S108)、待ち時間TW2を経過するまでS108のステップを繰り返す。
【0067】
S108の判定の結果、待ち時間TW2を経過した場合、CPU142は、補正値算出処理を行う(S109)。補正値算出処理S109では、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、以下の式(2)及び式(3)から温度補正値Tcorを算出する。
Tdef=TEM1−TEM2 …(2)
Tcor=Tcor’+Tdef …(3)
但し、Tcor’は前回の温度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。
【0068】
本実施形態では、式(2)において、1回分の温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて温度差Tdefを算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、m(mは2以上の整数)回分の温度検出値TEM1の平均値TEM1midとm回分の温度検出値TEM2の平均値TEM2midとを算出した上で、以下の式(2)’から温度差Tdefを算出するようにしてもよい。
Tdef=TEM1mid−TEM2mid …(2)’
【0069】
また、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2を用いて、以下の式(4)乃至式(6)から湿度補正値Hcorを算出する。
Hdef2=HUM1−HUM2 …(4)
Hdef=(Hdef1+Hdef2)/2 …(5)
Hcor=Hcor’+Hdef …(6)
但し、Hcor’は前回の湿度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。また、湿度差Hdef1は前述のS103において算出された値である。
【0070】
本実施形態では、式(4)において、1回分の湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2を用いて湿度差Hdef2を算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、k回分の湿度検出値HUM1の平均値HUM1midとk回分の湿度検出値HUM2の平均値HUM2midとを算出した上で、以下の式(4)’から湿度Hdef2を算出するようにしてもよい。
Hdef2=HUM1mid−HUM2mid …(4)’
【0071】
本実施形態では、式(6)において、1回分の湿度差Hdef1及び湿度差Hdef2を用いて湿度差平均値Hdefを算出するようにしたが、これに限定されない。例えば、CPU142は、算出したn(nは湿度差算出の回数を示す添字であって、正の整数である)回分の湿度差Hdef1n及び湿度差Hdef2nをメモリ145に記憶しておき、以下の式(6)’から湿度差平均値Hdefを算出するようにしてもよい。
Hdef={(Hdef1n+Hdef12+…+Hdef1n)−(Hdef2n+Hdef22+…+Hdef2n)}/2n …(6)’
【0072】
次に、CPU142は、補正値算出処理S109において算出した温度差Tdef及び湿度差Hdef2の両方が、所定のしきい値未満であるか否かを判定する(S110)。所定のしきい値は、初期処理S101において設定され、温度差Tdefの場合には例えば±1℃であり、湿度差Hdef1の場合には例えば±5%である。
【0073】
S110の判定の結果、温度差Tdef及び湿度差Hdef1の両方が所定のしきい値未満である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の両方に異常がないと考えられる。よって、CPU142は、補正処理を行う(S111)。補正処理S105では、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された温度検出値TEM2と、補正値算出処理S109において算出された温度補正値Tcorと、を用いて、以下の式(6)から補正後温度検出値TEM2’を算出する。
TEM2’=TEM2+Tcor …(7)
【0074】
また、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM2と、補正値算出処理S109において算出された温度補正値Hcorと、を用いて、以下の式(8)から補正後湿度検出値HUM2’を算出する。
HUM2’=HUM2+Hcor …(8)
【0075】
一方、S110の判定の結果、温度差Tdef及び湿度差Hdef1のうちの少なくとも一方が所定のしきい値未満でない、すなわち、所定のしきい値以上である場合、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に、異常があると考えられる。よって、CPU142は、補正処理S111を行わずに、エラー処理を行う(S112)。
【0076】
エラー処理S112では、CPU142は、発光部132に制御信号を出力して、発光部132を点灯又は点滅させる。このように、温度差Tdef及び湿度差Hdef1と所定のしきい値とに基づいて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定されるので、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、発光部132を点灯又は点滅させる等して、異常がある旨を報知することが可能となる。また、第1センサユニット110及び第2センサユニット120の両方に異常がないと判定されたときに、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2に基づく補正処理S111を行うことが可能となる。
【0077】
なお、エラー処理S112において、前述のエラー処理S105と同様に、CPU142は、異常がある旨を表示部131に表示(報知)するようにしてもよいし、温湿度測定装置100が、スピーカ等の音声出力手段を備え、音声出力手段により異常がある旨を報知するようにしてもよいし、又は表示部131、発光部132、及び音声出力手段のうちの少なくとも二つを組み合わせて使用してもよい。
【0078】
補正処理S111又はエラー処理S112の後、CPU142は、第2センサユニット120の加熱処理を行う(S113)。加熱処理S113では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路139に制御信号を出力して第2センサユニット120のヒータエレメント126を所定時間駆動し、ヒータエレメント126は湿度エレメント125を加熱する。これにより、第1センサユニット110の湿度検出値HUM1を湿度出力値HUMとして使用しているときに、第2センサユニット120のヒータエレメント126を駆動することで、湿度出力値HUMとして使用していない第2センサユニット120の湿度エレメント125が加熱され、湿度エレメント125の性能を回復させることができる。
【0079】
また、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動を停止した後、湿度エレメント125の湿度検出信号が安定するまでの時間を示す安定時間TS2の計測を開始する。
【0080】
ヒータエレメント126の駆動を停止した後、CPU142は、第2センサユニット120への切替処理を行う(S114)。切替処理S114では、CPU142は、安定時間TS2を経過した後に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMとして使用する検出値を第1センサユニット110の検出値から第2センサユニット120の検出値に切り替える。すなわち、S110の判定の結果、補正処理S111が行われた場合に、CPU142は、補正後温度検出値TEM2’を温度出力値TEMとして使用し、補正後温度検出値HUM2’を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。このように、温度差Tdef及び湿度差Hdef1、Hdef2に基づいて温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorを算出し、当該温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorに基づいて第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2を補正することにより、第2センサユニット120における器差を第1センサユニット110における器差に合わせることができるので、第1センサユニット110の温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1から第2センサユニット120の補正後温度検出値TEM2’及び補正後湿度検出値HUM2’に切り替えるときに、器差による温度出力値TEM及び湿度出力値HUMの変化を減少させることが可能となる。
【0081】
一方、エラー処理S112が行われた場合に、CPU142は、温度検出値TEM2を温度出力値TEMとして使用し、湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、補正処理S111が行われた場合とエラー処理S112が行われた場合のどちらの場合も、CPU142は、待ち時間TW1の計測を開始する。
【0082】
なお、切替処理S114において、前述の切替処理S107と同様に、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動を停止した後に、A/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、前述の式(2)から温度差Tdefを算出する。そして、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなるまで温度差Tdefの算出を繰り返し、算出した温度差Tdefが所定のしきい値より小さくなったときに、CPU142は、第1センサユニット110の検出値から第2センサユニット120の検出値に切り替えるようにしてもよい。
【0083】
なお、S110〜S112は、補正値算出処理S109の後から切替処理S114の前の間であればよく、加熱処理S113の後に行うようにしてもよい。
【0084】
切替処理S114の後、CPU142は、例えば、電源スイッチが切断されて温湿度測定装置100が停止するか、或いは入力部133からリセット信号が入力されるまで、S102〜S114のステップを繰り返す。
【0085】
なお、繰り返しにおけるS104では、CPU142は、湿度検出値HUM2に代えて補正後湿度検出値HUM2’を用いて式(1)から湿度差Hdef1を算出する。同様に、繰り返しにおける補正値算出処理S109では、CPU142は、温度検出値TEM2に代えて補正後温度検出値TEM2’を用いて式(2)から温度差Tdefを算出し、湿度検出値HUM2に代えて補正後湿度検出値HUM2’を用いて式(4)から湿度差Hdef2を算出する。
【0086】
本実施形態では、初期処理S101、切替処理S107、及び切替処理S114において、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMを表示部131に出力して表示させるようにしたが、これに限定されない。表示部131に代えて、CPU142は、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMを出力するようにしてもよい。また、CPU142は、表示部131とともに、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMするようにしてもよい。これにより、温湿度測定装置100に接続する外部機器に温度出力値TEM及び湿度出力値HUMを出力することが可能となる。
【0087】
本実施形態では、エラー処理S105及びエラー処理S112において、発光部132に制御信号を出力して、発光部132を点灯又は点滅させるようにしたが、これに限定されない。発光部132に代えて、CPU142は、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、制御信号を出力するようにしてもよい。また、CPU142は、発光部132とともに、アナログ出力部150及びデジタル通信部160のうちの少なくとも一方に、制御信号を出力するようにしてもよい。これにより、温湿度測定装置100に接続する外部機器に異常がある旨を報知することが可能となる。
【0088】
次に、温湿度測定装置100が測定する湿度の時間変化について、具体例を用いて説明する。
【0089】
図8は、図1に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートであり、図9は、CPUが使用する値の履歴を説明する表である。なお、説明の簡略化のため、以下において測定環境の雰囲気の湿度は一定のままであるとする。また、図8において、湿度検出値HUM1を一点鎖線で示し、湿度検出値HUM2を破線で示し、補正後湿度検出値HUM2’を実線で示し、湿度出力値HUMを太線で示すものとする。
【0090】
図8に示すように、時刻t1の直前、すなわち、ヒータエレメント115を駆動して湿度エレメント116を加熱する直前に、CPU142は、湿度エレメント115の検出値である湿度検出値HUM1と湿度エレメント125の検出値である湿度検出値HUM2との湿度差Hdef1を算出し、メモリ145に書き込む(図7のS103参照)。図9に示すように、時刻t1の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「53」[%]、湿度検出値HUM2が「50」[%]である場合、湿度差Hdef1は「3」[%]となる。
【0091】
時刻t1において湿度エレメント115が加熱されると(図7の加熱処理S106参照)、湿度検出値HUM1は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t2において、すなわち、時刻t1から安定時間TS1が経過したときに、湿度出力値HUMが湿度検出値HUM2から湿度検出値HUM1に切り替えられる(図7の切替処理S107参照)。
【0092】
湿度エレメント115,125は、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や、例えば相対湿度90%以上の高湿度の影響を受けて劣化する。そのため、図8に示すように、実際には雰囲気の湿度が変化していないにもかかわらず、湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2は、時間の経過とともに上昇する。
【0093】
時刻t3の直前、すなわち、時刻t2から待ち時間TW2が経過したときに、ヒータエレメント125を駆動して湿度エレメント126を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef2、湿度差平均値Hdef、湿度補正値Hcorを算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S109参照)。図9に示すように、時刻t3の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「52」[%]、湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、湿度差Hdef2は「1」[%]となり、湿度差Hdef2は時刻t1で算出された「3」[%]のままであり、湿度差平均値Hdefは「2」[%]となり、前回湿度補正値Hcor’は初期処理S101で設定された「0」[%]であり、湿度補正値Hcorは「2」[%]となる。
【0094】
また、CPU142は、時刻t3の直前に、補正後湿度検出値HUM2’を算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S111参照)。図9に示すように、時刻t3の直前に、例えば、湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、補正後湿度検出値HUM2’は「53」[%]となる。
【0095】
時刻t3において湿度エレメント125が加熱されると(図7の加熱処理S113参照)、湿度検出値HUM2は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t4において、すなわち、時刻t3から安定時間TS2が経過したときに、湿度出力値HUMが湿度検出値HUM1から補正後湿度検出値HUM2’に切り替えられる(図7の切替処理S114参照)。これにより、補正前の切替変化量val1から補正後の切替変化量val1’に減少する。
【0096】
ここで、湿度エレメント115及び湿度エレメント125は、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や高湿度の影響を受けて劣化するので、本来の湿度よりも高い湿度を示す傾向があり、時間の経過とともに湿度差は更に大きくなる(拡がる)傾向にある。そして、ヒータエレメント116,126の駆動直後(図8において時刻t1,t3の直後)は湿度エレメント115,125の検出値が安定していない一方、ヒータエレメント116,126の駆動直前(図8において時刻t1,t3の直前)は湿度エレメント115及び湿度エレメント125ともに、検出値が安定しているとともに、ヒータエレメント116,126の駆動からある程度の時間が経過しているので、劣化していると考えられる。よって、ヒータエレメント駆動回路138,139によりヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が駆動される前における湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115及び湿度エレメント125の両方の劣化を考慮した湿度補正値Hcorを算出することが可能となる。
【0097】
また、このように、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前(図8において時刻t1の直前)における湿度差Hdef1と、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前(図8において時刻t3の直前)における湿度差Hdef2と、の平均値である湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val1’と湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val2’とを同一にすることが可能となる。
【0098】
時刻t5の直前、すなわち、時刻t4から待ち時間TW1が経過したときに、ヒータエレメント115を駆動して湿度エレメント116を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef1を算出し、メモリ145に書き込む(図7のS103参照)。図9に示すように、時刻t5の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「53」[%]、補正後湿度検出値HUM2’が「52」[%]である場合、湿度差Hdef1は「1」[%]となる。
【0099】
時刻t5において湿度エレメント115が加熱されると(図7の加熱処理S106参照)、湿度検出値HUM1は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t6において、すなわち、時刻t5から安定時間TS1が経過したときに、湿度出力値HUMが補正後湿度検出値HUM2’から湿度検出値HUM1に切り替えられる(図7の切替処理S107参照)。これにより、補正前の切替変化量val2から補正後の切替変化量val2’に減少する。
【0100】
時刻t7の直前、すなわち、時刻t6から待ち時間TW2が経過したときに、ヒータエレメント125を駆動して湿度エレメント126を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef2、湿度差平均値Hdef、湿度補正値Hcorを算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S109参照)。図9に示すように、時刻t7の直前に、例えば、湿度検出値HUM1が「52」[%]、補正後湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、湿度差Hdef2は「−1」[%]となり、湿度差Hdef2は時刻t5の直前で算出された「1」[%]のままであり、湿度差平均値Hdefは「0」[%]となり、前回湿度補正値Hcor’は時刻t3の直前で算出された「2」[%]であり、湿度補正値Hcorは「2」[%]となる。
【0101】
また、CPU142は、時刻t7の直前に、補正後湿度検出値HUM2’を算出し、メモリ145に書き込む(図7の補正値算出処理S111参照)。図9に示すように、時刻t7の直前に、例えば、湿度検出値HUM2が「51」[%]である場合、補正後湿度検出値HUM2’は「53」[%]となる。
【0102】
時刻t7において湿度エレメント125が加熱されると(図7の加熱処理S113参照)、補正後湿度検出値HUM2’は、一時的に低下した後、時間の経過とともに徐々に安定する。時刻t8において、すなわち、時刻t7から安定時間TS2が経過したときに、湿度出力値HUMが湿度検出値HUM1から補正後湿度検出値HUM2’に切り替えられる(図7の切替処理S114参照)。
【0103】
本実施形態では、第1センサユニット110をメイン(マスタ)とし、第2センサユニット120をサブ(スレーブ)として、第2のセンサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2を補正するようにしたが、これに限定されず、第2センサユニット120をメイン(マスタ)とし、第1センサユニット110をサブ(スレーブ)として、第1のセンサユニット120の温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1を補正するようにしてもよい。
【0104】
また、第1センサユニット110及び第2センサユニット120は、温度及び湿度の両方を測定するようにしたが、温度及び湿度のうちの少なくとも一方を測定するようにしてもよい。特に、第1センサユニット110及び第2センサユニット120が湿度のみを測定する場合は、本発明は湿度測定装置である。
【0105】
このように、本実施形態における温湿度測定装置100及び温湿度測定方法によれば、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorが算出され、当該温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorに基づいて第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2が補正され、第1センサユニット110の温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1から第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2に切り替えるときに、補正後温度検出値TEM2’ が温度出力値TEMとして、補正後湿度検出値HUM2’が湿度出力値HUMとして使用される。このように、温度差Tdef及び湿度差Hdef1、Hdef2に基づいて温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorを算出し、当該温度補正値Tcor及び湿度補正値Hcorに基づいて第2センサユニット120の温度検出値TEM2及び湿度検出値HUM2を補正することにより、第2センサユニット120における器差を第1センサユニット110における器差に合わせることができるので、温度検出値TEM1及び湿度検出値HUM1から第2センサユニット120の補正後温度検出値TEM2’及び補正後湿度検出値HUM2’に切り替えるときに、器差による温度出力値TEM及び湿度出力値HUMの変化を減少させることが可能となる。これにより、従来のように、実際には測定環境が変化していないにもかかわらず、測定環境が変化したと誤認されたり、装置自体の故障や測定異常を疑われたり、測定結果に基づく制御に悪影響を及ぼしたりするおそれを低減することができ、温度出力値TEM及び湿度出力値HUMの信頼性を高めることができる。
【0106】
また、本実施形態における温湿度測定装置100によれば、ヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が交互に駆動され、ヒータエレメント駆動回路138,139によりヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が駆動される前における湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて、湿度補正値Hcorが算出される。これにより、一方のセンサユニットの検出値を出力値として使用しているときに他方のセンサユニットのヒータエレメントを駆動することで、湿度出力値HUMとして使用していない他方のセンサユニットの湿度エレメントが加熱され、当該湿度エレメントの性能を回復させることが可能となる。これにより、湿度の測定を中断することなく連続して湿度を測定することができるとともに、湿度出力値HUMの精度を維持することができる。
【0107】
また、湿度エレメント115及び湿度エレメント125は、測定環境の雰囲気中に含まれる薬品、溶剤等のガス(気体)や高湿度の影響を受けて劣化するので、本来の湿度よりも高い湿度を示す傾向があり、時間の経過とともに湿度差は更に大きくなる(拡がる)傾向にある。そして、ヒータエレメント116,126の駆動直後(図8において時刻t1,t3の直後)は湿度エレメント115,125の検出値が安定していない一方、ヒータエレメント116,126の駆動直前(図8において時刻t1,t3の直前)は湿度エレメント115及び湿度エレメント125ともに、検出値が安定しているとともに、ヒータエレメント116,126の駆動からある程度の時間が経過しているので、劣化していると考えられる。よって、ヒータエレメント駆動回路138,139によりヒータエレメント116及びヒータエレメント126のうちの一方が駆動される前における湿度差Hdef1,Hdef2に基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115及び湿度エレメント125の両方の劣化を考慮した湿度補正値Hcorを算出することが可能となる。これにより、湿度検出値HUM1から補正後湿度検出値HUM2’に切り替えるときに、湿度エレメント115及び湿度エレメント125の劣化による湿度出力値HUMの変化を減少させることができ、湿度出力値HUMの信頼性を更に高めることができる。
【0108】
また、本実施形態における温湿度測定装置100によれば、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef2とヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef1との平均値である湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorが算出される。これにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val1’と湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMの切替変化量val2’とを同一にすることが可能となる。
【0109】
また、本実施形態における温湿度測定装置100によれば、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2と所定のしきい値とに基づいて、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があるか否かが判定される。これにより、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの少なくとも一方に異常があると判定されたときに、例えば、異常がある旨を報知することが可能となる。これにより、第1のセンサユニット及び第2のセンサユニットの点検、修理、交換等を促すことができる。また、第1センサユニット110及び第2センサユニット120のうちの両方に異常がないと判定されたときに、温度差Tdef及び湿度差Hdef1,Hdef2に基づく補正を行うことが可能となる。
【0110】
[第2実施形態]
図10乃至図13は、本発明の第2実施形態を示すためのものである。なお、特に記載がない限り、前述した実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。また、図示しない構成部分は、前述した実施形態と同様とする。
【0111】
図10は本発明の第2実施形態における温湿度測定装置の機能的構成を説明するブロック図である。図10に示すように、本実施形態の温湿度測定装置100Aは、本体部130の筐体の内部に、タイマー146を備える。タイマー146は、ヒータエレメント116,126の駆動間隔時間を計測するためのものである。タイマー146は、マイクロプロセッサ140から入力される制御信号により時間の計測を開始又は終了し、その経過時間をマイクロプロセッサ140に出力する。
【0112】
次に、温湿度測定装置100Aが湿度及び温度を測定する動作について説明する。
【0113】
図11は、図10に示した温湿度測定装置が温度及び湿度を測定する動作を説明するフローチャートである。例えば、電源スイッチが投入されて温湿度測定装置100Aが起動したとき、或いは入力部133からリセット信号が入力されたときに、CPU142は、図10に示す温湿度測定処理S200を実行する。すなわち、まず、CPU142は、初期処理を行う(S201)。
【0114】
初期処理S201では、CPU142は、A/D変換器141から入力される温度検出値TEM2を温度出力値TEMとし、A/D変換器141から入力される湿度検出値HUM2を湿度出力値HUMとして使用し、表示部131に出力して表示させる。また、CPU142は、待ち時間TW1の計測を開始する。さらに、CPU142は、メモリ145に予め記憶されたデータを読み出して、待ち時間TW1等の各種の値を設定する。さらにまた、CPU142は、タイマー146に駆動信号を出力し、第2センサユニット120のヒータエレメント126を駆動してから第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動するまでの時間を示す第2時間T2の計測を開始する。
【0115】
なお、初期処理S201において、ヒータエレメント126を駆動していないため、第2時間T2は、厳密には、第2センサユニット120のヒータエレメント126を駆動してから第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動するまでの時間に該当しないが、便宜上、かかる差異を無視する。
【0116】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S102〜S105の各ステップを行う。
【0117】
S104の判定の結果、湿度差Hdef1が所定のしきい値未満である場合、又はエラー処理S105の後、CPU142は、第1センサユニット110の加熱処理を行う(S206)。加熱処理S206では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路138に制御信号を出力して、第1センサユニット110のヒータエレメント116を所定時間駆動し、ヒータエレメント116は湿度エレメント115を加熱する。これとともに、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第2時間T2の計測を終了する。また、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第1センサユニット110のヒータエレメント116を駆動してから第2センサユニットのヒータエレメント126を駆動するまでの時間を示す第1時間T1の計測を開始する。さらに、CPU142は、ヒータエレメント116の駆動を停止した後、安定時間TS1の計測を開始する。
【0118】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S107〜S108の各ステップを行う。
【0119】
S108の判定の結果、待ち時間TW2を経過した場合、CPU142は、補正値算出処理を行う(S209)。補正値算出処理S209では、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された温度検出値TEM1及び温度検出値TEM2を用いて、以下の式(2)及び式(3)から温度補正値Tcorを算出する。
Tdef=TEM1−TEM2 …(2)
Tcor=Tcor’+Tdef …(3)
但し、Tcor’は前回の温度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。
【0120】
また、CPU142は、待ち時間TW2の経過後にA/D変換器141から入力された湿度検出値HUM1及び湿度検出値HUM2と、タイマー146から入力される第1時間T1とを用いて、以下の式(4)、式(9)、及び式(6)から湿度補正値Hcorを算出する。
Hdef2=HUM1−HUM2 …(4)
Hdef=(T2×Hdef1+T1×Hdef2)/(T1+T2) …(9)
Hcor=Hcor’+Hdef …(6)
但し、Hcor’は前回の湿度補正値であり、初期処理S101において初期値として「0」が設定される。また、湿度差Hdef1は前述のS103において算出された値である。さらに、第2時間T2は前述の加熱処理S206において計測された時間である。
【0121】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S110〜S112の各ステップを行う。
【0122】
補正処理S111又はエラー処理S112の後、CPU142は、第2センサユニット120の加熱処理を行う(S213)。加熱処理S213では、CPU142は、ヒータエレメント駆動回路139に制御信号を出力して第2センサユニット120のヒータエレメント126を所定時間駆動し、ヒータエレメント126は湿度エレメント125を加熱する。これとともに、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第1時間T1の計測を終了する。また、CPU142は、タイマー146に制御信号を出力して、第2時間T2の計測を開始する。さらに、CPU142は、ヒータエレメント126の駆動を停止した後、湿度エレメント125の湿度検出信号が安定するまでの時間を示す安定時間TS2の計測を開始する。
【0123】
次に、CPU142は、図7に示した第1実施形態と同様に、S114のステップを行い、切替処理S114の後、CPU142は、例えば、電源スイッチが切断されて温湿度測定装置100が停止するか、或いは入力部133からリセット信号が入力されるまで、S102〜S114のステップを繰り返す。
【0124】
次に、温湿度測定装置100Aが測定する湿度の時間変化について、具体例を用いて説明する。
【0125】
図12は、図10に示した温湿度測定装置が測定する湿度の時間変化を説明するタイムチャートである。なお、説明の簡略化のため、以下において測定環境の雰囲気の湿度は一定のままであるとする。また、図12において、湿度検出値HUM1を一点鎖線で示し、湿度検出値HUM2を破線で示し、補正後湿度検出値HUM2’を実線で示し、湿度出力値HUMを太線で示すものとする。
【0126】
図12に示すように、時刻t1,t3の直前、すなわち、ヒータエレメント115を駆動して湿度エレメント116を加熱する直前に、CPU142は、湿度エレメント115の検出値である湿度検出値HUM1と湿度エレメント125の検出値である湿度検出値HUM2との湿度差Hdef1を算出する(図11のS103参照)。例えば、時刻t1の直前に、湿度差Hdef1が「0.5」[%]であるとする。
【0127】
時刻t3の直前、すなわち、ヒータエレメント125を駆動して湿度エレメント126を加熱する直前に、CPU142は、湿度差Hdef2、湿度差平均値Hdef、湿度補正値Hcorを算出する(図11の補正値算出処理S209参照)。例えば、時刻t3の直前に、湿度差Hdef2が「−1.5」[%]であり、前回湿度補正値Hcor’は初期処理S201で設定された「0」[%]であり、第1時間T1が「8」[時間]、第2時間T2が「24」[時間]であるとすると、湿度補正値Hcorは「0」[%]となる。これにより、湿度検出値HUM2と補正後湿度検出値HUM2’とが一致する。
【0128】
ここで、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合、図12に示すように、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1及び湿度エレメント125の湿度検出値HUM2は、時間の経過とともに飽和する傾向にある。そのため、ヒータエレメント116,126を駆動してから経過した時間により湿度差Hdef1,Hdef2は変化し、時間が経過するにつれて湿度差Hdef1,Hdef2は小さくなる。よって、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef1を第2時間T2で重み付けし、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef2を第1時間T1で重み付けした湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMと湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMとを同一にすることが可能となる。
【0129】
このように、本実施形態における温湿度測定装置100Aによれば、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef1を第2時間T2で重み付けし、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef2を第1時間T1で重み付けした湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorが算出される。ここで、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合、図12に示すように、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1及び湿度エレメント125の湿度検出値HUM2は、時間の経過とともに飽和する傾向にある。そのため、ヒータエレメント116,126を駆動してから経過した時間により湿度差Hdef1,Hdef2は変化し、時間が経過するにつれて湿度差Hdef1,Hdef2は小さくなる。よって、ヒータエレメント駆動回路138によりヒータエレメント116が駆動される前における湿度差Hdef1を第2時間T2で重み付けし、ヒータエレメント駆動回路139によりヒータエレメント126が駆動される前における湿度差Hdef2を第1時間T1で重み付けした湿度差平均値Hdefに基づいて、湿度補正値Hcorを算出することにより、湿度エレメント115の湿度検出値HUM1から湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’に切り替えたときの湿度出力値HUMと湿度エレメント125の補正後湿度検出値HUM2’から湿度エレメント115の湿度検出値HUM1に切り替えたときの湿度出力値HUMとを同一にすることが可能となる。これにより、測定環境の雰囲気中に薬品が含まれる場合に好適に用いることができる。
【0130】
なお、前述の各実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0131】
100,100A…温湿度測定装置
110…第1センサユニット
115,125…湿度エレメント
116,126…ヒータエレメント
120…第2センサユニット
138,139…ヒータエレメント駆動回路
142…CPU
146…タイマー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定環境の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第1のセンサユニットと、
前記雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第2のセンサユニットと、
出力値として使用する検出値を、前記第1のセンサユニット及び前記第2のセンサユニットのうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替える切替部と、
前記第1のセンサユニットの検出値と前記第2のセンサユニットの検出値との差である検出差に基づいて、補正値を算出する算出部と、
前記補正値に基づいて、前記第2のセンサユニットの検出値を補正する補正部と、を備え、
前記切替部は、前記第1のセンサユニットの検出値から前記第2のセンサユニットの検出値に切り替えるときに、前記補正された第2のセンサユニットの検出値を前記出力値として使用する
ことを特徴とする温湿度測定装置。
【請求項2】
前記第1のセンサユニットは、前記雰囲気の湿度を検出する第1の湿度センサと前記第1の湿度センサを加熱する第1のヒータとを有し、
前記第2のセンサユニットは、前記雰囲気の湿度を検出する第2の湿度センサと前記第2の湿度センサを加熱する第2のヒータとを有し、
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのうちの一方を交互に駆動する駆動部を更に備え、
前記算出部は、前記駆動部により前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのうちの一方が駆動される前における、前記第1の湿度センサの検出値と前記第2の湿度センサの検出値との差である湿度差に基づいて、前記補正値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の温湿度測定装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記駆動部により前記第1のヒータが駆動される前における前記湿度差と前記駆動部により前記第2のヒータが駆動される前における前記湿度差との平均値に基づいて、前記補正値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の温湿度測定装置。
【請求項4】
前記駆動部により前記第1のヒータが駆動されてから前記駆動部により前記第2のヒータが駆動されるまでの第1の時間と前記駆動部により前記第2のヒータが駆動されてから前記駆動部により前記第1のヒータが駆動されるまでの第2の時間とを計測する計時部を更に備え、
前記算出部は、前記駆動部により前記第1のヒータが駆動される前における湿度差を前記第2の時間で重み付けし、前記駆動部により前記第2のヒータが駆動される前における前記湿度差を前記第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、前記補正値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の温湿度測定装置。
【請求項5】
前記検出差と所定のしきい値とに基づいて、前記第1のセンサユニット及び前記第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があるか否かを判定する判定部を更に備える
ことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の温湿度測定装置。
【請求項1】
測定環境の雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第1のセンサユニットと、
前記雰囲気における温度及び湿度のうちの少なくとも一方を検出する第2のセンサユニットと、
出力値として使用する検出値を、前記第1のセンサユニット及び前記第2のセンサユニットのうちの一方の検出値から他方の検出値に切り替える切替部と、
前記第1のセンサユニットの検出値と前記第2のセンサユニットの検出値との差である検出差に基づいて、補正値を算出する算出部と、
前記補正値に基づいて、前記第2のセンサユニットの検出値を補正する補正部と、を備え、
前記切替部は、前記第1のセンサユニットの検出値から前記第2のセンサユニットの検出値に切り替えるときに、前記補正された第2のセンサユニットの検出値を前記出力値として使用する
ことを特徴とする温湿度測定装置。
【請求項2】
前記第1のセンサユニットは、前記雰囲気の湿度を検出する第1の湿度センサと前記第1の湿度センサを加熱する第1のヒータとを有し、
前記第2のセンサユニットは、前記雰囲気の湿度を検出する第2の湿度センサと前記第2の湿度センサを加熱する第2のヒータとを有し、
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのうちの一方を交互に駆動する駆動部を更に備え、
前記算出部は、前記駆動部により前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのうちの一方が駆動される前における、前記第1の湿度センサの検出値と前記第2の湿度センサの検出値との差である湿度差に基づいて、前記補正値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の温湿度測定装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記駆動部により前記第1のヒータが駆動される前における前記湿度差と前記駆動部により前記第2のヒータが駆動される前における前記湿度差との平均値に基づいて、前記補正値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の温湿度測定装置。
【請求項4】
前記駆動部により前記第1のヒータが駆動されてから前記駆動部により前記第2のヒータが駆動されるまでの第1の時間と前記駆動部により前記第2のヒータが駆動されてから前記駆動部により前記第1のヒータが駆動されるまでの第2の時間とを計測する計時部を更に備え、
前記算出部は、前記駆動部により前記第1のヒータが駆動される前における湿度差を前記第2の時間で重み付けし、前記駆動部により前記第2のヒータが駆動される前における前記湿度差を前記第1の時間で重み付けした平均値に基づいて、前記補正値を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の温湿度測定装置。
【請求項5】
前記検出差と所定のしきい値とに基づいて、前記第1のセンサユニット及び前記第2のセンサユニットのうちの少なくとも一方に異常があるか否かを判定する判定部を更に備える
ことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の温湿度測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−154632(P2012−154632A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11045(P2011−11045)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
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