説明

温風暖房機

【課題】暖房負荷等の状況に拘わらず確実に省燃費運転を行うことが可能な温風暖房機を提供する。
【解決手段】設定温度スイッチ29から入力された温度を当初の目標温度として設定する目標温度設定部40と、温度センサ13が検出した室温と目標温度が一致するよう目標燃焼量を決定する目標燃焼量決定部46と、室温が目標温度に到達してから所定時間経過後、目標温度設定部40に目標温度を第1所定温度低下させて設定させるセーブ運転機能と、室温が目標温度よりも第2所定温度以上高くなったとき、室温が運転再開温度に下がるまで目標燃焼量を制限するおさえめ運転機能とを設定するエコロジー運転設定部41,47と、エコロジー運転運転設定部41,47のオン・オフを設定することが可能なエコ運転スイッチ30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風暖房機に関し、特に、省燃費運転が可能な温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、温風暖房機であるガスファンヒータにおいては、本体ケース内に、ガスバーナと、送風ファンとを備え、送風ファンの回転動作により室内空気を吸引すると共に、ガスバーナにより加熱された空気を室内に送風することで、室温を上昇させ暖房運転を行っている。温風暖房機は、通常、温調機能を有しており、温度設定スイッチにより使用者が設定した目標温度と、室内空気の吸引口の近傍に設けられた室温センサで検出される実際の室温とが略一致するように、ガスバーナの燃焼量と送風ファンの送風量が調節されている。
【0003】
温風暖房機には、使用者の環境意識の高まりと暖房費用の削減のため、省燃費で暖房運転することが求められている。このような温風暖房機として、例えば特許文献1を参照するように、セーブ運転機能(省燃費運転機能ともいう。)を備えたものが知られている。これは、室温が目標温度に到達した後、時間の経過に伴って、目標温度を若干低下させるようにしたものである。具体的には、室温が目標温度に到達してから30分経過したときに目標温度を1度下げ、その後30分経過したとき、さらに1度下げるようにしたものがある。このように、目標温度を若干低下させても、使用者の体感温度はさほど変わらない。そのため、セーブ運転を行うことで、ガスバーナの燃焼量を減らし、使用者に不快感を生じさせることなく、燃費を向上させることができる。
【0004】
また、目標温度を一定温度ずつ下げるようにしたものの他に、暖房負荷の大きさに応じて目標温度の低下度合いを変化させるもの、例えば暖房運転開始時の室温と暖房運転開始後の室温の上昇度合いとに応じて、セーブ運転における目標温度の低下度合いを変化させるようにしたものもある。
【0005】
一方、おさえめ運転機能(オン・オフ運転機能ともいう。)を備えた温風暖房機も知られている。これは、ガスバーナの燃焼量を最小にしても温度センサの検出温度が上昇し続けた場合、ガスバーナの燃焼運転を中断することにより、過剰な暖房を防止して、室温を目標温度に略一致させるよう温調機能を補助するものである。具体的には、室温が目標温度よりも所定温度以上高くなったとき、ガスバーナの燃焼運転を停止し、停止後、室温が目標温度付近に設定された加熱再開温度まで下がったときにガスバーナの燃焼運転を再開するようにしている。
【0006】
さらに、特許文献2を参照するように、セーブ運転とおさえめ運転を併用することが可能な温風暖房機も知られている。この温風暖房機においては、セーブ運転機能とおさえめ運転機能のオン・オフを、それぞれ独立して設定することが可能な2つのスイッチを備えており、使用者が各機能のオン・オフの選択を自由に設定することができる。
【特許文献1】特開平8−189708号公報
【特許文献2】特開平11−23064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、セーブ運転やおさえめ運転を行っても、暖房負荷等の状況によって、省燃費効果がない場合がある。すなわち、セーブ運転を行った場合、ガスバーナの最小燃焼量による暖房能力よりも暖房負荷が小さい場合には、それ以上、暖房能力を下げることができないので、省燃費効果が十分でない。一方、おさえめ運転を行った場合、設定温度より室温が高くなると、ガスバーナの最小燃焼量による暖房能力よりも暖房負荷が大きい場合には、ガスバーナの燃焼運転が中断されないので、省燃費効果が十分でない。さらに、暖房負荷等の状況に応じた適切な運転設定を選択することは、一般の使用者によって困難である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、暖房負荷等の状況に拘わらず確実に省燃費運転を行うことが可能な温風暖房機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の温風暖房機は、加熱源と、該加熱源により加熱された空気を室内に送出する送風ファンと、室温を検出する温度センサと、設定温度を入力する設定温度入力手段と、該設定温度入力手段に入力された設定温度を当初の目標温度として設定する目標温度設定手段と、前記温度センサの検出温度と前記目標温度とが一致するように、前記加熱源の加熱量を決定する加熱量決定手段と、前記検出温度が前記目標温度に到達してから所定時間経過後、前記目標温度設定手段に前記目標温度を第1所定温度低下させて設定させるセーブ運転機能と、前記検出温度が前記目標温度よりも第2所定温度以上高くなったとき、前記検出温度が前記目標温度に所定の対応をした加熱再開温度に下がるまで、前記加熱源の加熱量を制限するおさえめ運転機能とを設定するエコロジー運転設定手段と、該エコロジー運転設定手段のオン・オフを設定することが可能なエコロジー運転設定入力手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の温風暖房機によれば、エコロジー運転設定入力手段によってエコロジー運転設定手段がオン設定されているとき、セーブ運転機能とおさえめ運転機能(以下、これらを合わせてエコロジー運転機能という。)が設定される。そのため、暖房負荷等の状況に拘わらず確実に省燃費運転を行うことが可能となり、使用者が暖房負荷等の状況に応じて運転設定を選択する必要がなくなる。例えば、加熱源の最小の加熱量による暖房能力よりも暖房負荷が小さい場合には、室温が目標温度よりも第2所定温度以上高くなったとき、加熱源の加熱量を制限することによって省燃費運転が行われる。また、設定温度より室温が高くなり、加熱源の最小の加熱量による暖房能力よりも暖房負荷が大きい場合には、目標温度を第1所定温度低下させることによって省燃費運転が行われる。
【0011】
なお、「前記検出温度が前記目標温度に到達してから所定時間経過後、前記目標温度設定手段に前記目標温度を第1所定温度低下させて設定させる」とは、検出温度が前記目標温度に到達してから予め定められた所定時間が経過した後、当該所定時間に一意的に対応して予め定められた第1所定温度だけ目標温度を低下させる設定を目標温度設定手段に行わせることを意味する。また、これらの所定時間と第1所定温度の組み合わせは1つでも、複数であってもよい。また、当初の目標温度からの低下温度幅に制限を設けてもよい。また、所定時間は、検出温度が目標温度に到達してからの累計時間であるが、この場合の目標温度は、目標温度設定手段で設定された当初の目標温度であっても、当該当初の目標温度からエコロジー運転設定手段により所定温度低下された目標温度であってもよい。
【0012】
さらに、「目標温度に所定の対応をした加熱再開温度」とは、加熱再開温度が目標温度に対応して一意的に定まることを意味する。加熱再開温度は、目標温度と同一、又は目標温度に微小な所定温度、例えば0.5度を増減させるなど、予め定められた方法により、目標温度付近に設定される。また、加熱再開温度は、外気温度や室温の室温上昇速度等を加味して設定されるものであってもよい。
【0013】
さらに、「加熱源の加熱量を制限する」とは、加熱量決定手段が通常決定する加熱源の加熱量よりも加熱量を抑制すること意味する。例えば、加熱源の加熱量を0として加熱を中断する、加熱源の加熱量を断続的に0として間欠加熱する、加熱量決定手段が決定した加熱源の加熱量を半減することなどが含まれる。
【0014】
また、本発明の温風暖房機において、前記エコロジー運転設定手段が前記加熱源の加熱量を制限した場合、前記検出温度が下降して前記加熱再開温度以下になるまで、前記目標温度設定手段が前記目標温度を維持することが好ましい。
【0015】
この場合、前記特許文献2を参照するように、セーブ運転とおさえめ運転を併用した場合、春先の外気温度と室温の差が小さいときなど暖房負荷が小さい場合に生じていた以下の不都合を解消することができる。すなわち、おさえめ運転により、室温が目標温度よりも第2所定温度以上高くなって加熱源(ガスバーナ)の加熱が停止した後、室温は徐々に下がるが、その温度下降がセーブ運転による目標温度の低下よりも遅いことがある。このとき、室温が加熱再開温度に達することなく、加熱源の加熱が長時間に渡って停止し、使用者が温風暖房機に不具合が発生したと考え得るという不都合が生じていた。そこで、エコロジー運転設定手段が加熱源の加熱量を制限した場合、室温が下降して加熱再開温度以下になるまで、目標温度設定手段が目標温度を維持し、目標温度が低下しない。そのため、加熱源の加熱量が制限されてからの室温の温度下降が遅いと、室温が目標温度に到達してから所定時間経過しても、室温が加熱再開温度以下になったことがない限り目標温度が低下しない。よって、室温が加熱再開温度に達することなく、加熱源の加熱が長時間に渡って制限され、使用者が温風暖房機に不具合が発生したと考え得るという不都合を確実に解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る温風暖房機Aを、図1〜図4を参照して説明する。
【0017】
図1を参照して、温風暖房機Aは、室内に設置される本体ケース1内に、ダクト2、送風ファン3、ガスバーナ(加熱源)4、給気ダクト5、ガス供給管6、及び制御ユニット7を備えている。
【0018】
ダクト2は、温風の送風路を構成するものであり、室内空気sを取り込むための吸気口8を本体ケース1の背面に開口し、本体ケース1の前面下部において温風の吹出口9を開口している。吸気口8には、塵や埃等がダクト2内に流入するのを防ぐためにエアフィルタ10が着脱自在に取付けられている。吹出口9には、その開口度合いを調節する可動式ルーバ11が取付けられ、この可動式ルーバ11を駆動するためのギヤドモータ12が設けられている。
【0019】
送風ファン3は、通電電流に比例して回転数が変化するファンモータ14と、ダクト2内に吹出口9に臨んで配置され、ファンモータ14により回転駆動される回転羽根15とを有し、回転羽根15の回転により吸気口8からダクト2内に室内空気sを吸引する。そして、吸引した室内空気sをダクト2内に組み込まれたガスバーナ4の燃焼排気hと混合し、それを温風mとして吹出口9から室内に送出する。この送風ファン3には、ファンモータ14の回転数を検出するホール素子等により構成される回転数センサ16が設けられ、回転数センサ16は、ファンモータ14の回転数に応じた信号を制御ユニット7に出力する。
【0020】
ダクト2内に組み込まれたガスバーナ4は、その燃焼胴17内に燃焼プレート18を配し、燃焼用空気と燃料ガスとの混合気に点火するための点火電極19を燃焼プレート18の近傍に配している。ガスバーナ4の燃焼排気hは燃焼胴17からダクト2内に排出される。また、燃焼プレート18の下流側には燃焼炎の有無を検知するための熱電対20が配置される。熱電対20は、ガスバーナ4の燃焼炎に晒されたときに、燃焼炎の温度に応じた熱起電力を発生し、その熱起電力を制御ユニット7に出力する。
【0021】
給気ダクト5は、室内空気(燃焼用空気)sと燃料ガスとをガスバーナ4に供給するための通路であり、ガスバーナ4と燃焼胴17内と連通し且つダクト2と画成して本体ケース1内に組み込まれ、本体ケース1の背面で開口した室内空気sの吸気口21を有している。そして、給気ダクト5のガスバーナ4側の箇所には、ガス供給管6の先端に取付けられたノズル22が設けられている。給気ダクト5には、送風ファン3の回転作動により吸気口21から室内空気sが吸引され、吸引された室内空気sがガス供給管6のノズル22から噴出される燃料ガスと混合されて、その混合気がガスバーナ4に供給される。なお、吸気口21は、ダクト2の吸気口8と共にエアフィルタ10により覆われている。
【0022】
また、給気ダクト5の内部の吸気口21付近の箇所には、この吸気口21に臨んでサーミスタにより構成された温度センサ13が取付けられている。この温度センサ13は、温風暖房機Aの暖房運転中、常時定期的に検出した室温(検出温度)Trを示す信号を制御ユニット7に出力する。
【0023】
ガス供給管6には、その上流側より、電磁弁24,25及び電磁比例弁26が順に配設されている。電磁弁24,25は制御ユニット7からの通電により開弁するものであり、通電が停止されると閉弁状態となって燃料ガスの通過を遮断する。電磁比例弁26は、制御ユニット7からの通電電流の大きさに伴って開度が増大する弁であり、ガスバーナ4への燃料ガスの供給量を調整する。
【0024】
図2及び図3を参照して、本体ケース1の外面部には操作パネル27が設けられている。操作パネル27には、運転スイッチ28、温度設定スイッチ(設定温度入力手段)29、エコロジー運転(以下、エコ運転という。)スイッチ(設定入力手段)30等の各種スイッチ、及び表示部31が配設されている。なお、運転スイッチ28及びエコ運転スイッチ30の各周囲には発光部が設けられており、これらのスイッチのオン操作に応じて発光部が発光し、使用者がオン・オフの設定状態を確認することができる。
【0025】
運転スイッチ28は、使用者のオン・オフ操作により温風暖房機Aの図示しない主電源のオン・オフを示す信号を制御ユニット7に出力する。温度設定スイッチ29は、希望室温を設定するスイッチであり、使用者の所定の操作により、設定温度Taが例えば1度単位で増減され設定される。温度設定スイッチ29は、設定された設定温度Taを示す信号を制御ユニット7に出力する。
【0026】
エコ運転スイッチ30は、セーブ運転機能とおさえめ運転機能を統一したエコロジー運転機能を設定するスイッチであり、使用者のオン・オフ操作により、エコ運転機能設定の有無を示す信号を制御ユニット7に出力する。ここで、セーブ運転機能は、室温Trが設定温度Taに到達した後、自動的に目標温度Ttを所定温度(第1所定温度)ΔT1だけ低下させる機能である。そして、おさえめ運転機能は、目標温度Ttで暖房運転のオン・オフを自動的にコントロールする機能である。
【0027】
表示部31は、液晶パネルやデジタル表示器等からなり、温度センサ13が検出した現在の室温Trや、温度設定スイッチ29から設定された設定室温Taなどを表示する。
【0028】
図4を参照して、制御ユニット7は、マイクロコンピュータ等を用いて構成されたものであり、目標温度設定部(目標温度設定手段)40、セーブ運転設定部41、温調制御部42、燃焼制御部43、及び送風制御部44を備える。また、制御ユニット7には、タイマ45が接続されている。
【0029】
目標温度設定部40は、温度設定スイッチ29により設定された当初の設定温度Taと、セーブ運転設定部41による設定とから、暖房運転の目標温度Ttを設定する。
【0030】
セーブ運転設定部41は、エコ運転スイッチ30がオン操作されているとき、省燃費運転を行うために、室温Trが目標温度Ttに到達してから、所定時間Δt後、目標温度Ttを所定温度ΔT1低下させるセーブ運転機能の設定を目標温度設定部40に対して行う。セーブ運転設定部41は、ここでは、室温Trが目標温度Ttに到達してから、30分、1時間経過後、すなわち所定時間Δt(30分)経過毎に、目標温度Ttをそれぞれ1度低下させる設定指示を目標温度設定部40に対して出力する。なお、セーブ運転設定部41は、目標温度Ttを所定回数、例えば2回だけ、ここでは、最大累計2度まで低下させるようになっている。
【0031】
温調制御部42は、目標温度設定部40により設定された目標温度Ttが、温度センサ13が検出した室温Trと略一致するように、制御を行う。温調制御部42は、目標燃焼量決定部(加熱量決定手段)46及びおさえめ運転設定部47を備える。
【0032】
目標燃焼量決定部46は、目標温度Ttが室温Trと略一致するように、ガスバーナ4の目標燃焼量(加熱量)を決定する。
【0033】
おさえめ運転設定部47は、セーブ運転スイッチ30がオン操作されているとき、過剰な暖房を防止するために、ガスバーナ4の燃焼を自動的に中断するおさえめ運転機能の設定を目標燃料決定部41に対して行う。目標燃焼量決定部46にて決定された目標燃焼量により、通常、室温Trは目標温度Ttから0.5度程度の範囲内で安定する。しかし、目標温度Ttが低い場合等、ガスバーナ4の燃焼量を最小にしても室温Trが上昇し続け、目標温度Ttより所定温度(第2所定温度)ΔT2、例えば2度高い運転中断温度(加熱中断温度)Tcに到達したときには、ガスバーナ4の目標燃焼量を0としてガスバーナ4の燃焼運転を中断させ、室温Trが目標温度Ttに対応した運転再開温度(加熱再開温度)Tsまで下がったときにガスバーナ4の燃焼運転を再開させる、いわゆるオン・オフ制御の設定を行う。運転再開温度Tsは、目標温度Ttに対応して目標温度Tt付近に設定され、ここでは、目標温度Ttと同一に設定される。なお、ガスバーナ4の燃焼運転が中断された場合、室温Trが下降して運転再開温度Ts以下になるまで、セーブ運転設定部41は、目標温度設定部40に対して目標温度Ttを低下させる設定を出力せず、目標温度設定部40は目標温度Ttを維持する。
【0034】
エコ運転設定部は、セーブ運転設定部41とおさえめ運転設定部47とから構成されている。
【0035】
燃焼制御部43は、目標燃焼量決定部46が決定した目標燃焼量で、ガスバーナ4が燃焼するように、ガス供給管6に設けられた電磁弁24,25や比例制御弁26、並びに点火器19を通電制御することで、ガスバーナ4の点火・消火、燃焼量の調節(燃料ガスの供給量の調節)等を行う。また、熱電対20の熱起電力の出力から、ガスバーナ4の点火・消火の確認、及び燃焼中の失火検出を行う。
【0036】
送風制御部44は、燃焼制御部43により設定された、ガスバーナ4の燃焼量に応じた目標回転速度(ガスバーナ4への燃焼用空気の供給量に対応)でファンモータ14が回転するように、ファンモータ14への供給電流量を調節する。すなわち、目標回転速度と、回転速度センサ16により検出される実際のファンモータ14の回転速度とが一致するように、ファンモータ14への供給電流量を調節する。
【0037】
次に、図5及び図6のフローチャートを参照して、制御ユニット7による温風暖房機Aの制御動作について説明する。
【0038】
図5を参照して、使用者が運転スイッチ28をオン操作すると、制御ユニット7による温風暖房機Aの制御動作が開始される(STEP1)。そして、温度設定スイッチ29にて設定された設定温度Taが目標温度設定部40に入力され、目標温度設定部40は、当該設定温度Taを暖房運転の当初の目標温度Ttとして設定する(STEP2)。
【0039】
次に、制御ユニット7によるガスバーナ4の点火が行われる(STEP3)。具体的には、まず、ガスバーナ4を燃焼させる前に、送風制御部44がファンモータ14を所定時間回転動作させて、プリパージを行う。その後、燃焼制御部43が電磁弁24,25を開弁し比例制御弁26の開度を最大とし、送風制御部44がファンモータ14の回転速度を最大とした上で、点火器19に通電して、ガスバーナ4の点火を行う。燃焼制御部43は、点火器19に通電開始してから所定時間、例えば30秒経過するまでに、ガスバーナ4の着火を熱電対20の熱起電力レベルから検出したときは、最大燃焼量での暖房運転を1分間継続する。一方、ガスバーナ4の着火を検出する前に、所定時間経過したときには、着火失敗と判断して、暖房運転を中止する。
【0040】
次に、温調制御部42が温調制御する暖房運転が開始される(STEP4)。具体的には、まず、目標燃焼量決定部46が、目標温度設定部40にて設定された目標温度Ttと、温度センサ13にて検出された室温Trとの差に基づいて、ガスバーナ4の目標燃焼量を決定する。そして、燃焼制御部43は、決定された目標燃焼量に応じて、比例制御弁26の開度を可変する。また、送風制御部44は、決定された目標燃焼量に応じて、ファンモータ14の目標回転速度を可変し、目標回転速度と、回転速度センサ16により検出される実際の回転速度とが一致するように、ファンモータ14への通電量を調節する。これにより、室温Trが目標温度Ttに近づくよう温調制御された暖房運転が行われる。その後、室温Trは徐々に上昇するが、室温Trが目標温度Ttを超えたと判断されるまで(STEP5:NO)、温調制御部42が温調制御する暖房運転が続行される(STEP4)。
【0041】
室温Trが目標温度Ttを超えたと判断した場合(STEP5:YES)、目標燃焼量決定部46がガスバーナ4の目標燃焼量が最小量となるように決定すると共に、エコ運転機能が設定されているか否かを判断する(STEP6)。具体的には、エコ運転スイッチ30がオン操作されているか否かに基づいて判断する。
【0042】
エコ運転機能が設定されていないと判断した場合(STEP6:NO)、目標温度Ttが変わることなく、温調制御部42が温調制御する暖房運転が続行される。
【0043】
一方、エコ運転機能が設定されていると判断した場合(STEP6:YES)、図6を参照するように、タイマ45をリセットしてから計時を開始させる(STEP7)。温度センサ13により検出された室温Trが、おさえめ運転設定部47にて設定された運転中断温度Tcを超えたと判断されるまでに(STEP8:NO)、タイマ45の計時が開始から所定時間Δt経過すると(STEP9:YES)、セーブ運転設定部41が目標温度Ttを所定温度ΔT1低下させる設定を行う(STEP10)。これに伴い、運転中断温度Tc及び運転再開温度Tsがそれぞれ所定温度ΔT1ずつ低下する。その後、この低下させた新たな目標温度Ttに室温Trが近づくように温調制御部42が温調制御する暖房運転が行われる。このように、エコ運転している場合、室温Trが運転中断温度Tcを超えないときは、セーブ運転と同様な制御が行われる。そのため、設定温度Taより室温Trが高くなり、ガスバーナ4の最小目標燃焼量による暖房能力よりも暖房負荷が大きい場合には、目標温度Ttを低下させるセーブ運転によって省燃費運転が行われる。
【0044】
一方、室温Trが運転中断温度Tcを超えたと判断した場合(STEP8:YES)、目標燃焼量決定部46はガスバーナ4の目標燃焼量を0に決定し、ガスバーナ4が消灯され、暖房運転が停止され(STEP11)、タイマ45の計時が停止される(STEP12)。そのため、ガスバーナ4の最小目標燃焼量による暖房能力よりも暖房負荷が小さい場合には、室温Trが運転中断温度Tcを超えたとき、ガスバーナ4を消灯するセーブ運転によって省燃費運転が行われる。
【0045】
そして、室温Trが運転再開温度Ts以下であると判断されるまで(STEP13:NO)、暖房運転は中断され、タイマ45の計時は保持される。室温Trが運転再開温度Ts以下になったと判断した場合(STEP13:YES)、STEP3と同様にガスバーナ4の点火が行われ(STEP14)、STEP4と同様に暖房運転が再開され(STEP15)、タイマ45の計時も保持が解除され、計時が再開される(STEP16)。そして、タイマ45の計時が所定時間Δt経過したとき(STEP17:YES)、セーブ運転設定部41が目標温度Ttを所定温度ΔT1低下させる設定を行う(STEP10)。これに伴い、運転中断温度Tc及び運転再開温度Tsがそれぞれ所定温度ΔT1ずつ低下する。その後、この低下させた新たな目標温度Ttに室温Trが近づくように温調制御部42が温調制御する暖房運転が行われる。このように、エコ運転している場合、室温Trが運転再開温度Ts以下になるまで、目標温度Tt、運転中断温度Tc及び運転再開温度Tsは低下しない。
【0046】
図7は、温風暖房機Aの制御ユニット7の制御による温度変化を示すグラフである。図中、Ttoは、温度設定スイッチ29にて設定された設定温度Taでもあり、当初の目標温度Ttである。Tcoは、おさえめ運転設定部47が当初の目標温度Ttoに所定温度ΔT2を加えて設定した当初の運転中断温度Tcである。なお、運転再開温度Tsは、目標温度Ttと同一に設定されているので、目標温度Ttと等しくなっている。
【0047】
エコ運転した場合の温度変化を、図7のグラフと図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。暖房運転が開始されると(STEP4)、温度センサ13により検出される室温Trが徐々に上昇する。室温Trが当初の目標温度Ttoを超えたとき(STEP5:YES)、タイマ45が計時を開始する(STEP7)。そして、室温Trが運転中断温度Tc(=Tto+ΔT2)を超えると(STEP8:YES)、暖房運転が中断され(STEP11)、タイマ45の計時がΔt1で停止する(STEP12)。その後、室温Trが徐々に低下し、運転再開温度Tso(=Tto)以下になると(STEP13:YES)、暖房運転が再開される(STEP15)、タイマ45の計時もΔt1から再開する(STEP16)。そして、タイマ45の計時が再開してからΔt2経過して所定時間Δt(=Δt1+Δt2)経過した後に(STEP17)、目標温度Ttが所定温度ΔT1低下する(STEP10)。これに伴い運転中断温度Tc及び運転再開温度Tsがそれぞれ所定温度ΔT1ずつ低下する。よって、春先の外気温度と室温Trの差が小さいときなど、暖房負荷が小さい場合、暖房運転が中断されてからの室温Trの温度下降が遅いときであっても、暖房運転が長時間に渡って停止することがない。
【0048】
一方、従来の温風暖房機は、セーブ運転とおさえめ運転を併用した場合、図8を参照するように、室温Trが運転再開温度Tso以下に低下しない場合であっても、タイマが所定時間Δt経過後に目標温度Tt、運転中断温度Tc及び運転再開温度Tsを所定温度ΔT1ずつ低下させていた。そのため、室温Trが運転再開温度Tsに達することなく、暖房運転が長時間に渡って停止し、使用者が温風暖房機に不具合が発生したと考え得るという不都合が生じていた。
【0049】
なお、上述した温風暖房機Aにおいては、セーブ運転機能及びおさえめ運転機能のオン・オフを統一したエコ運転機能を設定可能なエコ運転スイッチ30を備えている場合について説明した。しかしながら、エコ運転機能を設定可能なのであれば、スイッチに限定されることはない。例えば、キー、ボタン、ダイヤル、タッチパネル、リモートコントローラ等を使用者が操作して、エコ運転機能のオン・オフを設定するものであってもよい。
【0050】
また、目標温度Ttを所定温度ΔT1低下させたとき、運転再開温度Tsも所定温度ΔT1低下させる場合について説明した。しかしながら、運転再開温度Tsは、目標温度Ttに所定の対応をして定まるものであり、必ずしも目標温度Ttと同じ所定温度ΔT1低下させなくともよい。
【0051】
また、セーブ運転設定部41が目標温度Ttを所定時間Δt経過毎に、所定温度ΔT1ずつ低下させる場合について説明した。しかしながら、各回毎に、所定時間Δtや所定温度ΔT1が異なるものであってもよい。
【0052】
また、エコ運転機能が設定されている場合、室温Trが目標温度Ttより所定温度ΔT2だけ高い運転中断温度Tcに到達したとき、暖房運転を中断させる場合について説明した。しかしながら、室温Trが運転中断温度Tcに到達したとき、暖房運転を間欠運転させるものや、室温Trの目標温度Ttからの温度差に応じて、暖房運転の中断や間欠運転等を選択するものであってもよい。
【0053】
また、エコ運転機能が設定されている場合、室温Trが運転中断温度Tcに到達したとき、タイマ45の計時を停止して保持し、その後、室温Trが運転再開温度Ts以下になっていたとき、タイマ45の保持を解除し、計時を再開する場合について説明した。しかしながら、室温Trが目標温度Ttに到達してから所定時間Δt経過する毎に、室温Trが運転再開温度Ts以下になっていたときのみ、目標温度Ttを所定温度ΔT1低下させるものであってもよい。また、室温Trが運転再開温度Ts以下になったとき、タイマ45の計時が所定時間Δt経過していた場合、直ちに目標温度Ttを所定温度ΔT1低下させると共に、タイマ45をリセットするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る温風暖房機の全体構成図。
【図2】温風暖房機の概観斜視図。
【図3】温風暖房機の操作部の一部平面図。
【図4】温風暖房機の制御ブロック図。
【図5】温風暖房機の作動フローチャート。
【図6】温風暖房機の作動フローチャート。
【図7】エコ運転した場合の、温風暖房機の温度変化を示すグラフ。
【図8】セーブ運転とおさえめ運転を併用した場合の、従来の温風暖房機の温度変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0055】
A…温風暖房機、1…本体ケース、2…ダクト、3…送風ファン、4…ガスバーナ(加熱源)、5…ダクト、6…ガス供給管、7…制御ユニット、13…温度センサ、14…ファンモータ、27…操作パネル、28…運転スイッチ、29…温度設定スイッチ(設定温度入力手段)、30…エコ運転スイッチ(エコロジー運転設定入力手段)、40…目標温度設定部(目標温度設定手段)、41…セーブ運転設定部(エコロジー運転設定手段)、42…温調制御部、43…燃焼制御部、44…送風制御部、45…タイマ、46…目標燃焼量決定部(加熱量決定手段)、47…おさえめ運転設定部(エコロジー運転設定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源と、
該加熱源により加熱された空気を室内に送出する送風ファンと、
室温を検出する温度センサと、
設定温度を入力する設定温度入力手段と、
該設定温度入力手段に入力された設定温度を当初の目標温度として設定する目標温度設定手段と、
前記温度センサの検出温度と前記目標温度とが一致するように、前記加熱源の加熱量を決定する加熱量決定手段と、
前記検出温度が前記目標温度に到達してから所定時間経過後、前記目標温度設定手段に前記目標温度を第1所定温度低下させて設定させるセーブ運転機能と、前記検出温度が前記目標温度よりも第2所定温度以上高くなったとき、前記検出温度が前記目標温度に所定の対応をした加熱再開温度に下がるまで、前記加熱源の加熱量を制限するおさえめ運転機能とを設定するエコロジー運転設定手段と、
該エコロジー運転設定手段のオン・オフを設定することが可能なエコロジー運転設定入力手段とを備えることを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
前記エコロジー運転設定手段が前記加熱源の加熱量を制限した場合、前記検出温度が下降して前記加熱再開温度以下になるまで、前記目標温度設定手段が前記目標温度を維持することを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−2064(P2010−2064A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158787(P2008−158787)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】