説明

温風発生装置

【課題】木質チップや木質ペレット等の塊状燃料の均一でムラのない安定的な燃焼を行うことができる、より高効率の温風発生装置を提供する。
【解決手段】温風発生装置は、燃焼炉(1)と、燃焼炉内に塊状燃料を供給する燃料供給装置(2)と、燃焼室(10)内に設けられた火格子装置(3)と、塊状燃料に着火させるバーナー(4)と、燃焼ガスと送風機(105)から送られる空気との熱交換を行う熱交換装置(5)と、燃焼ガスを外部へ排出する排気装置(6)と、熱交換装置で得られた温風を外部へ排出する温風排出部(103)とを備えている。火格子装置(3)は、燃料支持床(30)と、燃料支持床(30)に立設されており筒壁(321)に空気供給孔(322)が設けられている空気供給筒(32)とを備えている。燃料供給装置(2)から供給される空気と塊状燃料が燃焼室(10)内の燃焼ガスを旋回させるようにしてあり、燃焼室(10)の内壁部には燃焼ガスが上方の排気側へ上昇するのを阻害する阻害板(15)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風発生装置に関するものである。更に詳しくは、例えば農業用ハウスの内部で暖房用として使用されるものであって、木質の破砕チップ(以下、「木質チップ」という)や木質ペレット等の塊状燃料を燃料として使用し、火格子上での均一な燃焼を可能とし、これにより温風を安定して発生させることができるようにした温風発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷が大きい化石燃料を使用せず、木質チップや木質ペレット等の塊状燃料を燃料とし、燃料を自燃させる燃焼装置やボイラ装置等はすでに広く使用されている。
このような装置で、特に木質チップを燃料とする場合、原木の種類が様々であることや、チッパーにより裁断されたサイズの違い等によって、木質チップ中に含有される水分量のバラツキが大きく、火格子上での着火温度や燃焼完結温度が異なる。
【0003】
また、木質チップや木質ペレット中の水分が多すぎると、これら塊状燃料の乾燥のために多くの時間とエネルギーを要するため、着火が遅れ、火格子上に塊状燃料が局所的に多く堆積する。このように、塊状燃料が厚く堆積した部分では、塊状燃料に十分な空気が供給されず、一方、塊状燃料の堆積量が少なく層が薄い部分は多量の空気が流入するため、全体として燃焼にムラがあり不安定である。
【0004】
このような理由から、火格子上に塊状燃料の供給を行いながら、火格子上の塊状燃料を均一に燃焼させることは困難であった。この結果、燃焼効率が低下すると共に、火格子面の温度分布が不均一となり、火格子の歪や焼損が発生することが多いため、火格子を頻繁に交換する必要があった。
【0005】
そこで、火格子上の木質チップ等の塊状燃料の燃焼が均一化しやすいように、火格子上の木質チップ等の塊状燃料の層の厚さを平均化するようにした燃焼装置としては、例えば特許文献1に記載の「塊状燃料燃焼装置」がある。
【0006】
この装置は、塊状燃料を燃焼する燃焼室を有する燃焼炉と、塊状燃料を一方向に移動可能に載置する火格子台と、火格子台の下流側に至った塊状燃料に対して着火を行なう着火バーナと、火格子台の上流側に塊状燃料を供給するスクリューと、火格子台の上流側に供給された塊状燃料を下流側へ向けて移動させる移動機構と、燃焼室内に燃焼空気を供給する燃焼空気供給部と、火格子台の上方に設けられ燃焼ガスと流体との熱交換を行なうボイラとを備え、燃焼室内に、火格子台とボイラとの間を仕切るとともに上流側に燃焼ガスの通過口を形成する仕切壁を設けた構造を有し、塊状燃料の水分含有率が高くても、燃焼が円滑に行なわれるようにし、性能の向上を図るというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−207865
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に記載の「塊状燃料燃焼装置」には、次のような課題があった。すなわち、この装置が有している、火格子台の上流側に供給された木質チップ等の塊状燃料を下流側へ向けて移動させる移動機構は、具体的には、傾斜面を有する傾斜台下部のプッシャを火格子台上で前後に移動させる構造であり、プッシャの移動によって塊状燃料を下流側へ順次押し出すことにより、火格子上の塊状燃料の層の厚さを平均化するようにしている。
【0009】
前記構造では、火格子台の上流側から下流側方向において、それぞれの箇所で燃焼温度の違いが生じるので、前記「全体として燃焼にムラがあり不安定である」という旧来の問題点については、十分に解消されていない。また、新しい塊状燃料を供給するために、プッシャを火格子台上で下流側に向け移動させるときに、斜面を滑り落ちた塊状燃料が火格子台上で燃焼している燃料の上に落ち、塊状燃料がほとんど燃焼しないまま灰と共に灰収容部(ピット)に落ちてしまうことがあり、この場合は十分に燃焼せず燃え残るという課題があった。
【0010】
(本発明の目的)
本発明は、木質チップや木質ペレット等の塊状燃料の均一でムラのない安定的な燃焼を行うことができる、より高効率の温風発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、
燃焼炉と、
該燃焼炉の燃焼室内に塊状燃料を空気によって吹き入れて供給する燃料供給装置と、
前記燃焼室内に設けられた火格子装置と、
前記燃焼室内に供給された前記火格子装置上の塊状燃料に着火させるバーナーと、
前記燃焼室から送られる燃焼ガスと送風機から送られる空気との熱交換を行う熱交換装置と、
該熱交換装置に送られて熱交換を行った燃焼ガスを集塵機を介し外部へ排出する排気装置と、
前記熱交換装置で熱交換によって得られた温風を外部へ排出する温風排出部と、
を備えており、
前記火格子装置は、
燃料支持床と、
該燃料支持床に立設されており、周壁に適宜数の空気供給孔が設けられている空気供給筒と、
を備えており、
前記燃料供給装置の供給部が前記燃焼室内の一方側へ偏って設けられ、供給部から供給される空気と塊状燃料が前記燃焼室内の燃焼ガスを旋回させるようにしてあり、
前記燃焼室の内壁部には、燃焼ガスが上方の排気側へ上昇するのを阻害する阻害部材が設けられている、
温風発生装置である。
【0012】
(2)本発明は、
燃焼室内に燃料供給装置から供給される空気と塊状燃料の一部を空気供給筒の方向へ誘導する誘導体を備えている、
前記(1)の温風発生装置である。
【0013】
(3)本発明は、
燃焼炉と熱交換装置を囲繞する送気空間部を有し、送気空間部は燃焼炉に沿って燃焼室とは区画されて設けられており、送風機から送られる空気は、燃焼炉に触れて熱交換を行った後で熱交換装置で熱交換が行われるようにしてある、
前記(1)又は(2)の温風発生装置である。
【0014】
温風発生装置は、熱交換器にジャケットを設けて水等の液体を加温するボイラー構造としてもよい。
【0015】
本発明に係る温風発生装置の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするために付与するのであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0016】
温風発生装置においては、燃料供給装置(2)から燃焼炉(1)の燃焼室(10)内に塊状燃料が空気によって吹き入れられて供給される。供給された塊状燃料は、火格子装置(3)の上に堆積する。
そして、バーナー(4)によって塊状燃料に着火され、塊状燃料は自燃し、ある程度自燃が進み、燃焼炉(1)内の温度が十分に上昇したところで、燃料供給装置(2)から塊状燃料が空気と共に追加供給される。
【0017】
燃焼ガスは、燃料供給装置(2)から空気が供給されることにより火格子装置(3)の燃料支持床(30)の上方で空気供給筒(32)を中心に旋回し、空気供給筒(32)の空気供給孔(322)から空気が供給される。更に、燃焼ガスは阻害部材(15)により上方の排気側へ上昇するのが阻害される。これにより、燃焼室(10)内において阻害部材(15)よりも下方での滞留時間が比較的長くなり、未燃焼物の少ない完全燃焼に近い高効率での燃焼が行われ、未燃焼物が熱交換装置(5)に送られることを防止できる。また、燃焼ガスは燃焼炉(1)から熱交換装置(5)へ送られ、送気空間部(101)と熱交換をして加温した後、排気装置(6)によって外部へ排出される。
【0018】
燃料供給装置(2)から供給される空気と塊状燃料の一部を空気供給筒(32)の方向へ誘導する誘導体(14)を備えているものは、空気供給筒(32)の周りを旋回する燃焼ガスに乱れをつくり、燃焼ガスは効果的に撹拌され、未燃焼物への着火性が向上し、燃焼継続性の向上が図られる。また、塊状燃料も燃焼室(10)内でランダムに飛散して燃料支持床(30)上に落下し、内壁部の近くに偏って堆積することが防止される。したがって、燃焼室(10)内において、均一でムラのない安定的な燃焼が可能になる。
【0019】
また、燃焼炉(1)と熱交換装置(5)を囲繞する送気空間部(101)を有し、送気空間部(101)は燃焼炉(1)に沿って燃焼室(10)とは区画されて設けられており、送風機から送られる空気は、燃焼炉(1)に触れて熱交換を行った後で熱交換装置(5)で熱交換が行われるようにしてあるものは、送風機(105)から送られた空気は、燃焼炉(1)に沿うように送気空間部(101)を移動しながら燃焼炉(1)内の燃焼ガスとの熱交換が行われ、更に熱交換装置(5)で燃焼ガスとの熱交換が行われ、温風となって温風排出部(103)から排出される。このように、一旦燃焼炉(1)で加温するようになっているので、熱をより無駄なく利用した高効率での熱交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、燃焼ガスが、燃料供給装置から空気が供給されることにより火格子装置の燃料支持床の上方で空気供給筒を中心に旋回し、空気供給筒の空気供給孔から空気が供給される。更に、燃焼ガスは、阻害部材により上方の排気側へ上昇するのが阻害される。これにより、燃焼室内において阻害部材より下方での滞留時間が比較的長くなり、未燃焼物の少ない完全燃焼に近い高効率での燃焼が行われる。したがって、木質チップや木質ペレット等の塊状燃料の均一でムラのない安定的な燃焼を行うことができる温風発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る温風発生装置の一実施の形態を示し、外面板を省略した正面図。
【図2】温風発生装置の外面板を省略した側面図。
【図3】温風発生装置の断面説明図。
【図4】外面板と排気ブロワ及び給気ブロワを省略した斜視説明図。
【図5】燃焼室の構造を示す一部横断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施の形態〕
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1ないし図5を参照する。
【0023】
温風発生装置Aは、燃焼炉1と、燃焼炉1の燃焼室10内に塊状燃料を空気によって吹き入れて供給する燃料供給装置2と、燃焼室10内に設けられた火格子装置3と、燃焼室10内に供給された火格子装置3上の塊状燃料に着火させるバーナー4と、燃焼室10から送られる燃焼ガスと送風機105から送られる空気との熱交換を行う熱交換装置5を備えている。
【0024】
また、熱交換装置5につながり、燃焼炉1に沿って燃焼室10とは区画されて設けられている送気空間部101と、熱交換装置5に送られて熱交換を行った燃焼ガスをサイクロン(集塵機)60を介し外部へ排出する排気装置6と、熱交換装置5で熱交換によって得られた温風を外部へ排出する温風排出口103とを備えている。以下、各部について詳細に説明する。
【0025】
(燃焼炉1)
燃焼炉1は、アングル部材で組み立てられたフレーム(符号省略)の前後(図1で右側が前、左側が後)、左右、上下の六面を鋼板製の外面板(側面側は図示省略)で囲んだ中空構造の筺体100内部の前側に設置されている。
燃焼炉1は、八面の側板11と八角形の天板12及び底板13によって構成され、各側板11でつくられた八角筒体の上端を天板12で、下端を底板13で閉塞した構造である。各側板11には、それぞれ多数の通気孔110が形成されている。燃焼炉1の底板13よりやや上方には、火格子装置3が設けられている。
【0026】
(火格子装置3)
燃焼炉1の燃焼室10内には火格子装置3が設置されている。火格子装置3は、八角形の燃料支持床30を有している。燃料支持床30は鋼板で形成され、片側(後述する燃料供給装置2の供給管22側)の約1/2の広さの分だけ、塊状燃料の落下を防止し燃焼ガスを下側から取り入れる通孔31が多数形成されている。
【0027】
燃料支持床30の略中央部には、空気供給筒32が立設されている。空気供給筒32は下端が開口され、上端は天板320で閉塞されている。空気供給筒32の筒壁321には、全周面に亘って適宜数の空気供給孔322が設けられている。空気供給筒32の大きさ(高さ、直径)は、燃焼室10の空間部の大きさ等を加味して適宜設定される。燃料支持床30の下方は、底板13を底とする燃焼灰を溜める内部ピット33を構成する空間となっている。
【0028】
(バーナー4)
また、燃焼炉1の図2において右側の側板11には、バーナー4が火炎口40を前記燃料支持床30のやや上側の燃焼室10内に導入して設置されている。バーナー4は、運転初期(温風発生装置起動時)において、燃焼炉1内の温度を上昇させると共に火格子装置3の燃料支持床30上に堆積した塊状燃料に早期に着火するためのオイルバーナーである。
【0029】
燃焼炉1の燃焼室10内において、バーナー4と後述する燃料供給装置2の供給管22の間の幅狭の側板11内面には、誘導板14が内方へ突出して取り付けられている。誘導板14は、燃焼室10内に燃料供給装置2から供給されて燃焼室10内で旋回する空気と塊状燃料の一部を火格子装置3の空気供給筒32の方向に、かつ斜め下方向に誘導するように傾斜させてある。
【0030】
また、燃焼室10において、各側板11の内面側には、燃焼ガスや燃え滓が後述する上方の排気側へ上昇するのを阻害又は邪魔をする阻害板15が取り付けられている。阻害板15は、八角環状のフランジ形状であり、前記燃料支持床30と平行に所要の同幅で内方向へ突出させて、全内周にわたり設けられている。
なお、燃焼炉1の後部側(熱交換装置5側)の側板11の上部は開口され、この開口部(符号省略)には、燃焼ガスを誘導する導出排気路16が後方の熱交換装置5側へ延長して設けてある。
【0031】
燃焼炉1の前部には、前記燃料支持床30より上側に、前記筺体100の前部外面板106に通じる四角形の覗き窓17が形成されている。覗き窓17は、耐火ガラス(符号省略)を有し、燃焼室10内を視認することができる。また、前記内部ピット33の前部には、蓋(符号省略)を有する灰掻き出し口18が形成されている。なお、燃焼炉1内に塊状燃料を供給する燃料供給装置については、後述する。
【0032】
(熱交換装置5)
筺体100内において、燃焼炉1の後方には熱交換装置5が設置されている。筺体100内には、燃焼炉1と熱交換装置5を囲繞するように送気空間部101が設けられている。
熱交換装置5は、上部に導入排気路50を有している。導入排気路50には、前記燃焼炉1から延長された導出排気路16が接続されている。
【0033】
導入排気路50の後方には、燃焼ガスを熱交換装置5内に導入する導入排気路50と、導入排気路50とは区画板59で区画され、燃焼ガスを熱交換装置5内から排出する導出排気路51が設けられている。導出排気路51には、後述するサイクロン60に繋がる吸引排気路52が接続されている。また、熱交換装置5は、下部に中継排気路53を有している。
【0034】
熱交換装置5は、所要の間隔を設けて送気空間部101に接して垂直に配され、外面に多数のフィンを設けた多数の通風管54を備えている。各通風管54の上端の開口部(符号省略)は、前記導入排気路50と導出排気路51の内部に導入されている。また、各通風管54の下端の開口部(符号省略)は、前記中継排気路53の内部に導入されている。
【0035】
前記筺体100の後部外面板102には、その口縁部分に円管が取り付けられた温風排出口103が形成されている。筺体100の天部には、前側の一部(燃焼炉1の上方)が円形に開口された天部外面板104が取り付けてある。天部外面板104には、送気空間部101に外部空気を送風できるようにして送風機105が取り付けられている。送風機105から送気空間部101内に送られる外部空気は、後で説明するように燃焼炉1や熱交換装置5で加温されて温風排出口103から装置外部へ温風として排出される。
【0036】
(排気装置6)
筺体100の天部外面板104の後側には、排気装置6が設置されている。排気装置6は、天部外面板104に固定されている排気ブロワ61を備えている。排気ブロワ61の吸引管62は、サイクロン60に接続されており、更にサイクロン60には前記したように熱交換装置5からの吸引排気路52が接続されている。また、排気ブロワ61の排気管63は、例えば農業用ハウス内での使用において、燃焼ガスをハウス外に排気するように配管することができる。
【0037】
なお、筺体100内に送気空間部101が設けられることにより、燃焼炉1と熱交換装置5の周りは、鋼板で形成された二重構造となっており、燃焼炉1の壁面は送気空間部101を通る空気により常時冷却されて各外面板102、104、106(図示していない側面側の外面板を含む)の壁面温度が鋼板の許容温度以上に上昇しないようにしてあり、安全を図っている。
【0038】
(燃料供給装置2)
燃焼炉1の覗き窓17側には、塊状燃料を燃焼炉1内に供給する燃料供給装置2が設けられている。燃料供給装置2は、塊状燃料を貯留するホッパ20を有し、その下部の排出部(符号省略)には、燃焼炉1方向へ向けてスクリューコンベヤ21が設けられている。
【0039】
スクリューコンベヤ21の排出部(符号省略)は、覗き窓17の横の側板11を貫通して燃焼室10内に導入されている供給管22の中間部に接続されている。また、供給管22の前端には、給気ブロワ23が接続されている。これにより、給気ブロワ23から送られた空気は、スクリューコンベヤ21を通り供給される塊状燃料と共に燃焼室10内に吹き入れられるようになっている。
【0040】
(作用)
図3を主に参照する。
温風発生装置Aは、例えば農業用ハウス内に設置してハウス内を温めるために使用される。温風発生装置Aの運転においては、まず、燃料供給装置2から燃焼炉1の燃焼室10内に木質チップや木質ペレット等の塊状燃料9が空気によって吹き入れられて供給される。供給された塊状燃料9は、火格子装置3の燃料支持床30上に堆積する。なお、あらかじめ手作業で、燃焼炉1内の燃料支持床30上に塊状燃料9を適量堆積させておいてもよい。
【0041】
そして、バーナー4によって塊状燃料9に着火され、給気ブロワ23と排気ブロワ61が作動し、燃焼炉1内に空気が送られることにより塊状燃料9は自燃する。そして、ある程度自燃が進んで燃焼炉1内の温度が十分に上昇したところで、燃料供給装置2から塊状燃料9が空気と共に追加供給される。
【0042】
燃焼ガスは、燃料供給装置2の給気ブロワ23から供給管22を通り空気が供給されることにより火格子装置3の燃料支持床30の上方で空気供給筒32を中心に旋回し、旋回する空気を含む燃焼ガスと塊状燃料9の一部は、誘導板14によって火格子装置3の空気供給筒32の方向、かつ斜め下方向へ誘導される。
【0043】
これにより、空気供給筒32の周囲には塊状燃料9が集積され、塊状燃料9の中にある空気供給筒32の空気供給孔322からは、塊状燃料9に対して放射状に空気が送られると共に、誘導板14により炎を含む燃焼ガスが空気供給筒32方向へ誘導される。更に、燃焼ガスは、上方の排気側である導出排気路16へ直ちに上昇するのではなく、阻害板15があることにより上昇するのが阻害又は邪魔される。
【0044】
これにより、燃焼ガスは、燃焼室10内において誘導板14と阻害板15により、阻害板15よりも下方での滞留時間が比較的長くなり、未燃焼物の少ない完全燃焼に近い高効率での燃焼が行われ、未燃焼物が熱交換装置5に送られて各排気路50、51、52や各通風管54に溜まり、熱交換の効率が低下したり部材の腐蝕の原因になること等を防止できる。
【0045】
なお、前記誘導板14によれば、空気供給筒32の周りを旋回する燃焼ガスに乱れをつくり、燃焼ガスは効果的に撹拌されるので、未燃焼物への着火性が向上し、燃焼継続性の向上が図られるようである。また、塊状燃料9も燃焼室10内でランダムに飛散して燃料支持床30上に落下し、各側板11の近くに偏って堆積することが防止される。したがって、燃焼室10内において、均一でムラのない安定的な燃焼が可能になる。
【0046】
送風機105から送られる空気(外気)は、燃焼炉1に触れて熱交換を行った後で熱交換装置5で熱交換が行われ、温風排出口103から農業用ハウス内に排出され、ハウス内の空気を温める。なお、ハウス内に排出される温風は、一旦燃焼炉1に触れて熱交換が行われ加温されることにより、熱をより無駄なく利用した高効率での熱交換を行うことができる。
【0047】
また、燃焼炉1から排出された高温の燃焼ガスは、導出排気路16から導入排気路50に導入され、所要の通風管54を通り、中継排気路53を通り、所要の通風管54を通って、前記送気空間部101を通る空気との熱交換を行い、導出排気路51から吸引排気路52を通ってサイクロン60に導入される。
【0048】
燃焼ガスはサイクロン60によって集塵が行われ、燃え滓が回収される。また、集塵が行われた燃焼ガスは、冷却されながら排気ブロワ61から排気管63を通って、農業用ハウス外部へ排出される。
【0049】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
A 温風発生装置
1 燃焼炉
10 燃焼室
11 側板
110 通気孔
12 天板
13 底板
14 誘導板
15 阻害板
16 導出排気路
17 覗き窓
18 灰掻き出し口
2 燃料供給装置
20 ホッパ
21 スクリューコンベヤ
22 供給管
23 給気ブロワ
3 火格子装置
30 燃料支持床
31 通孔
32 空気供給筒
320 天板
321 筒壁
322 空気供給孔
33 内部ピット
4 バーナー
40 火炎口
5 熱交換装置
50 導入排気路
51 導出排気路
52 吸引排気路
53 中継排気路
54 通風管
59 区画板
6 排気装置
60 サイクロン
61 排気ブロワ
62 吸引管
63 排気管
100 筺体
101 送気空間部
102 後部外面板
103 温風排出口
104 天部外面板
105 送風機
106 前部外面板
9 塊状燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼炉(1)と、
該燃焼炉(1)の燃焼室(10)内に塊状燃料を空気によって吹き入れて供給する燃料供給装置(2)と、
前記燃焼室(10)内に設けられた火格子装置(3)と、
前記燃焼室(10)内に供給された前記火格子装置(3)上の塊状燃料に着火させるバーナー(4)と、
前記燃焼室(10)から送られる燃焼ガスと送風機(105)から送られる空気との熱交換を行う熱交換装置(5)と、
該熱交換装置(5)に送られて熱交換を行った燃焼ガスを集塵機(60)を介し外部へ排出する排気装置(6)と、
前記熱交換装置(5)で熱交換によって得られた温風を外部へ排出する温風排出部(103)と、
を備えており、
前記火格子装置(3)は、
燃料支持床(30)と、
該燃料支持床(30)に立設されており、周壁(321)に適宜数の空気供給孔(322)が設けられている空気供給筒(32)と、
を備えており、
前記燃料供給装置(2)の供給部(22)が前記燃焼室内の一方側へ偏って設けられ、供給部(22)から供給される空気と塊状燃料が前記燃焼室(10)内の燃焼ガスを旋回させるようにしてあり、
前記燃焼室(10)の内壁部には、燃焼ガスが上方の排気側へ上昇するのを阻害する阻害部材(15)が設けられている、
温風発生装置。
【請求項2】
燃焼室(10)内に燃料供給装置(2)から供給される空気と塊状燃料の一部を空気供給筒(32)の方向へ誘導する誘導体(14)を備えている、
請求項1記載の温風発生装置。
【請求項3】
燃焼炉(1)と熱交換装置(5)を囲繞する送気空間部(101)を有し、送気空間部(101)は燃焼炉(1)に沿って燃焼室(10)とは区画されて設けられており、送風機(105)から送られる空気は、燃焼炉(1)に触れて熱交換を行った後で熱交換装置(5)で熱交換が行われるようにしてある、
請求項1又は2記載の温風発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−242018(P2012−242018A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113923(P2011−113923)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(591065561)株式会社大橋 (5)
【Fターム(参考)】