説明

測位装置、測位方法及び測位装置を有する時計

【課題】本発明は全衛星概略軌道情報を、日を跨いで分割取得することなく、連続的に取得しつつ、電力消費を低減することができる測位装置、測位方法及び測位装置を有する時計を提供することを目的とする。
【解決手段】位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位装置10であって、全衛星概略軌道情報を含む送信情報区画の受信開始時と受信終了時を識別する信号識別部28を有しており、信号識別部28が識別した全衛星概略軌道情報を含む送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を間欠受信する受信部11を有する測位装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己の測位を行う測位装置、測位方法及び測位装置を有する時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工衛星を利用して位置を測位する測位システムとしてGPS(Global Positioning System)装置が用いられている。
GPS測位装置は、4個以上のGPS衛星からの信号を受信することで自己位置を測位する構成となっている。具体的には、GPS装置は、天空に配置されている多数のGPS衛星から4個以上のGPS衛星を選択し、その信号を受信することで測位している。
【0003】
上記、GPS衛星からの信号には、その信号を送信しているGPS衛星自体の状態を表す情報と詳細な軌道を表す軌道情報と、全GPS衛星の軌道に関係する全衛星概略軌道情報等が含まれており、これら全体で航法メッセージ情報を構成している。
【0004】
そして、上記全衛星概略軌道情報は、どのGPS衛星も同じ情報を放送しており、また、情報量が多いため、分割して送信されている。具体的には、図12に示すように、航法メッセージ情報は、その信号を送信しているGPS衛星自体の状態を表す情報と詳細な軌道を表す軌道情報である例えばエフェメリス情報と、全GPS衛星の軌道に関係する全衛星概略軌道情報等である例えばアルマナック情報を1〜5のサブフレームからなる1つのフレームで構成し、そして、上記アルマナック情報等の全衛星概略軌道情報は1〜25のページに分割されている。そして、フレームごとに異なるページの内容が順番に送信され航法メッセージ情報全体の情報が発信されている。また、このGPS衛星からは、1574.2Hzの搬送波に1023個(1023チップ)の1か0からなるC/Aコードを1ミリ秒ごとに繰り返し送信しており、上述した航法メッセージ情報と重畳して、送信されている。そして、このC/Aコードは個々のGPS衛星に割り当てられており、このC/Aコードで個々のGPS衛星からの送信データを区別することができるようになっている。そして、GPS測位装置は個々のGPS衛星に割り当てられた、C/Aコードと同じ内容の信号を発生して、GPS衛星からの信号と同期し、各々のGPS衛星からの伝搬時間を計測する一方、各々のGPS衛星からの航法メッセージ情報を復調して、GPS衛星からの情報を得ることができるようになっている。
【0005】
ところで、この航法メッセージ情報の1つのフレームは、30秒かかって送信されている。従って、25ページにもなる上記全衛星概略軌道情報を取得するには、12.5分もの時間が必要となる。そのため、常時信号を受信していると、GPS測位装置の電力消費が大きくなり、電力が持たないという問題がある。そこで、この改善策として、特許文献1では、一日ごとに、30秒間だけ遅らせて、全衛星概略軌道情報のページを読む時間を設定し、GPS衛星から発信される情報を何回も動作する中でデータを書き換える方法により電力消費を少なくしているGPS測位装置が提案されている。
【特許文献1】特許第3744180号公報(段落0011等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のGPS測位装置では、例えば図13のように、GPS測位装置の所持者が、翌日、旅行する場合など、全衛星概略軌道情報を分割取得中に時間単位で長距離移動をする場合などが考えられ、このような場合には、前回の取得した全衛星概略軌道情報が無効となってしまう場合があるという問題がある。従って、長距離移動などの可能性のある機器、例えば時計などには搭載され難い。
【0007】
そこで、本発明はアルマナック情報等の全衛星概略軌道情報を、日を跨いで分割取得することなく、連続的に取得しつつ、電力消費を低減することができる測位装置、測位方法及び測位装置を有する時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明によれば、地球を周回する位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報を受信するための受信部を有し、この受信部で受信した前記航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位装置であって、前記航法メッセージ情報は、複数の送信情報区画毎に、順番に送信され、前記複数の送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画には、前記位置情報衛星を含む全ての位置情報衛星の全衛星概略軌道情報が含まれており、この全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画は非連続的に送信される構成となっており、非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信することで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成となっていることを特徴とする測位装置により達成される。
【0009】
前記構成によれば、位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報には、複数の送信情報区画毎に順番に送信されており、送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画に含まれる全衛星概略軌道情報が非連続的に送信される構成であり、非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信して、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成である。
すなわち、前記構成では、受信部が全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信するので、受信部は航法メッセージ情報受信中に常に受信状態となる必要がなく、測位装置の電力消費を低減させることができる。また、位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報の複数の送信情報区画毎に順番に取得させることができる測位装置である。
【0010】
好ましくは、前記信号識別部は、前記位置情報衛星に固有のC/Aコードを同期して生成する符号信号に基いて、前記送信情報区画の送信時間を検出し、前記送信時間のタイミングで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時と前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を前記符号信号に合わせて識別することを特徴とする測位装置により達成される。
【0011】
前記構成によれば、位置情報衛星に固有のC/Aコードを同期して生成する符号信号に基いて、送信情報区画の送信時間を検出し、送信時間のタイミングで、全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時と全衛星概略軌道情報を含む送信情報区画の受信終了時を符号信号に合わせて識別している。
すなわち、前記構成では、全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時と全衛星概略軌道情報を含む送信情報区画の受信終了時が位置情報衛星に固有のC/Aコードを同期して生成する符号信号によって、正確に識別することができ、精度の高い情報を取得することができる。
【0012】
好ましくは、前記信号識別部は、複数の前記送信情報区画を5つのサブフレームとし、前記サブフレームに含まれるプリアンブル情報データとTOW情報データを同期して得られる同期信号を、前記符号信号に基づいて前記全衛星概略軌道情報を含む2つのサブフレームを非同期して得られる制御信号を出力する制御信号部を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0013】
前記構成によれば、前記信号識別部は、5つのサブフレームに含まれるプリアンブル情報データとTOW情報データを同期して得られた同期信号を、前記符号信号に基づいて前記全衛星概略軌道情報を含む2つのサブフレームについては非同期して得られる制御信号を出力する制御信号部を有している。
すなわち、前記構成では、位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報に含まれる全衛星概略軌道情報を含む2つのサブフレームが効率よく取得できるようになる。
【0014】
好ましくは、前記信号識別部は、前記5つのサブフレームを1つのフレームとし、前記符号信号と前記同期信号とに基づいて、前記フレームの前記全衛星概略軌道情報を含む前記サブフレームの5番目の終わりを検出し、前記符号信号で3つの前記サブフレームと2つの前記サブフレームのタイミングを検出して、このタイミングでカウンタ信号を出力するカウンタと、前記制御信号部から出力する前記制御信号を反転して反転制御信号を出力し、前記反転制御信号と前記カウンタ信号とを比較して得られる信号を生成する信号生成部と、を有することを特徴とする測位装置により達成される。
【0015】
前記構成によれば、信号識別部は、フレームの全衛星概略軌道情報を含むサブフレームの5番目の終わりを検出し、符号信号と同期信号とに基づいて3つのサブフレームと2つのサブフレームのタイミングを検出して、このタイミングでカウンタ信号を出力するカウンタと、制御信号部から出力する制御信号を反転して反転制御信号を出力し、この反転制御信号と前記カウンタ信号とを比較して得られる信号を生成する信号生成部と、を有する。
すなわち、前記構成では、前記反転制御信号と前記カウンタ信号とを比較して得られる信号を生成する信号生成部により、受信部の間欠受信のタイミングを更に正確に得ることができ、電力消費の低減を効率よく行うことができる。
【0016】
前記課題は、本発明によれば、地球を周回する位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報を受信するための受信部を有し、この受信部で受信した前記航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位装置であって、前記航法メッセージ情報は、複数の送信情報区画毎に、順番に送信され、前記複数の送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画には、前記位置情報衛星を含む全ての位置情報衛星の全衛星概略軌道情報が含まれており、この全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画は非連続的に送信される構成となっており、非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信することで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成となっていることを特徴とする測位方法により達成される。
【0017】
前記課題は、本発明によれば、地球を周回する位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報を受信するための受信部を有し、この受信部で受信した前記航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位装置であって、前記航法メッセージ情報は、複数の送信情報区画毎に、順番に送信され、前記複数の送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画には、前記位置情報衛星を含む全ての位置情報衛星の全衛星概略軌道情報が含まれており、この全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画は非連続的に送信される構成となっており、非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信することで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成となっていることを特徴とする測位装置を有する時計により達成される。
【0018】
前記構成によれば、低電力が要求され、かつ、時間単位で長距離移動の可能性がある小型の装置である時計の場合に、電力消費を低減でき、そして航法メッセージ情報の初期の取得時に連続して、アルマナック情報等の全衛星概略軌道情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明に好適な実施の形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る測位装置を有する時計である。例えば、GPS測位装置を有する腕時計10(以下、「GPS付き腕時計」という)を示す概略図であり、図2は、図1のGPS付き腕時計10の内部のハードウエア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、GPS付き腕時計10は、その表面に文字盤12、長針、短針等の針13等が配置されると共に、各種メッセージが表示されるLCD等からなるディスプレイ14と、ユーザーがマニュアル操作をする場合に使用する操作部27が形成されている。
【0021】
また、図1に示すように、GPS付き腕時計10は、アンテナ11を有しており、このアンテナ11は、地球の上空を所定の軌道で周回しているGPS衛星15a乃至15dからの信号を受信する構成となっている。
なお、GPS衛星15a乃至15dは、位置情報衛星の一例となっている。
【0022】
また、図2に示すように、GPS付き腕時計10は、その内部に時計機構、GPS機構を備え、コンピュータとしての機能も発揮する構成となっている。
つまり、本実施の形態における時計機構は、いわゆる電子時計となっている。
以下、図2に示す各構成について説明する。
図2に示すように、GPS付き腕時計10は、バス16を備え、バス16には、CPU(Central Processing Unit)17、RAM(Random Access Memory)18、ROM(Read Only Memory)19
等が接続されている。
また、バス16には、測位部である例えば、GPS機構も接続されている。すなわち、アンテナ11,フィルタ(SAW)20、RF21、ベースバンド22等が接続されている。
すなわち、図1のGPS衛星15a等から受信した信号は、アンテナ11からフィルタ20やRF21を介してベースバンド22で信号として取り出される構成となっている。
GPS衛星15a等から受信する信号についての詳細は、後述する。
【0023】
また、バス16には、時計機構も接続されている。すなわち、リアルタイムクロック(RTC)23や温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)24等が接続されている。
さらに、バス16には、図1に示すディスプレイ14等も接続されている。
このように、バス16は、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスやデータパスを有する内部バスである。RAM18は、所定のプログラムの処理を行う他、バス16に接続されたROM19等を制御している。ROM19は、各種プログラムや各種情報等を格納している。
【0024】
また、GPS機構は、位置情報衛星(GPS衛星15a等)から送信される航法メッセージを受信する受信部の一例となっている。また、バス16は、操作部27も接続されており、ユーザーからの指示を受けられるようになっている。
【0025】
図3乃至図6は、GPS付き腕時計10の主なソフトウエア構成等を示す概略説明図であり、図3は全体図である。
図3に示すように、GPS付き腕時計10は、全体を制御するための制御部26を有している。制御部26には、電源部25、アンテナ11、ディスプレイ14、操作部27、RTC23等、その他図2の各装置等も接続されている。また、図2では図示していないが、電源部25の出力電源を制御するための信号を生成する信号識別部28も制御部26に接続されている。この信号識別部28は、図2で示すベースバンド22の上に実装されており、例えばPLL回路やカウンタ等である。また、制御部26は、第1収納部30、第2収納部40、第3収納部50内の各種プログラム、各種データを処理する構成となっている。
図3乃至図6は、各種プログラム、予め記憶された情報格納部、各種プログラムで処理した後の各種データ収納部等が、それぞれ第1収納部30、第2収納部40、第3収納部50に分かれて収納されているように示しているが、実際にこのように分かれて収納されているわけではなく、また、各種プログラム、予め記憶された情報格納部、各種プログラムで処理した後の各種データ収納部等も実際にこのように分かれて収納されているわけではなく、説明の便宜上分けて記載したものである。
【0026】
なお、図4は図3の第1収納部30の内部を示す概略図であり、図3に示す初期モードプログラム収納部31と初期モード測位データ収納部32には、それぞれ初期モード選択プログラム311と初期モード実行プログラム312、間欠受信プログラム313が収納されており、初期モード測位データ収納部32には、初期モード実行プログラム312および間欠受信プログラム313によって得られる最初の1フレームデータ322と全衛星概略軌道情報データ323が収容される。最初の1フレームデータ322は各サブフレームデータを区画a乃至eに収容する。
また、図4の全衛星概略軌道情報データ323は航法メッセージ情報の最初の1フレームデータ322の全衛星概略軌道情報データである例えばアルマナックデータを除き、航法メッセージ情報の全ての全衛星概略軌道情報データを収容している。この初期モード測位データ収納部32に収容される各データ322、323は、次に初期モードプログラム収納部31のプログラムが実行される場合に、初期モード測位データが取得されると書換られる。従って、初期モード測位データ収納部32の各データ322、323は次の初期モードプログラム収納部31のプログラムが実行され、初期モード測位データが取得されるまで保存される。ここで、初期モードプログラム収納部31のプログラムが実行される場合とは、例えばGPS付き腕時計10の購入後、最初に電源を入れたときや、最初に取得してから数ヶ月経過した場合、電源をOFF状態として数ヶ月間放置された場合などである。
【0027】
図5は、図3の第2収納部40の内部を示す概略図である。この概略図は図3に示す通常モードプログラム収納部41と通常モード測位データ収納部42には、それぞれ通常モード選択プログラム411と通常モード実行プログラム412、非全衛星概略軌道情報データ422が収容されている。ここで、非全衛星概略軌道情報データ422に収容されるデータは、GPS衛星から送信される航法メッセージ情報のうち、全衛星概略軌道情報(アルマナック情報)を含むサブフレームを除いたサブフレームのデータである。つまり、航法メッセージ情報には、その情報を送信しているGPS衛星自体の状態を表す情報(以下「衛星補正データ等」という)と詳細な軌道を表す軌道情報等(以下「エフェメリス」という)も含まれており、非全衛星概略軌道情報データ422に収容されるデータは、これらの情報を含むサブフレーム(サブフレーム1からサブフレーム3 以下「サブフレーム1乃至3」という)のデータである。(図12(a)参照)
非全衛星概略軌道情報データ422に収容されるサブフレームのデータは、GPS衛星により異なる。従って、例えば一定時間ごとに、通常モードプログラム収納部41の各プログラムを実行させて、衛星補正データ等やエフェメリスを含むサブフレームのデータを取得し、通常モード測位データ収納部42の非全衛星概略軌道情報データ422が書換えられる。
【0028】
図6は、図3の第3収納部50の内部を示す概略図であり、この概略図は図3に示す、その他プログラム収容部51、その他データ格納部52、その他データ収容部53には、それぞれ次のようなデータが収容されている。
その他プログラム収容部51には、初期モードプログラム収納部31や通常モードプログラム収納部41を実行する際の捕捉プログラムや、GPS付き腕時計10の時間をGPS衛星からの航法メッセージ情報の時間情報を使って、時刻を修正するためのプログラム等が収納されている。
そして、その他データ格納部52には、初期モードプログラム収納部31や通常モードプログラム収納部41を実行する際に必要なデータが格納されており、このその他データ格納部52に格納されているデータは、予め格納されているデータ(C/Aコード情報データ格納部521、初期化モード選択条件データ格納部522)やユーザによって書換可能なデータ(閾値時間設定情報データ記憶部523)である。
また、その他データ収容部53には、初期モードプログラム収納部31や通常モードプログラム収納部41やその他プログラム収容部51を実行した際のデータ等が収容されている。
【0029】
図7乃至図10は、本実施形態にかかるGPS付き腕時計10の主な動作等を示す概略フローチャートである。
以下、図7乃至図10のフローチャートに従って、本実施形態に係るGPS付き腕時計10の動作を説明しつつ、その関連で図3乃至図6の各種プログラムや各種データを説明する。
GPS付き腕時計10の購入者等が、時計機構、すなわちリアルタイムクロック23の時刻修正を行いたい場合、最初にGPS付き腕時計10の電源をONさせる。すると、まず、GPS付き腕時計10は図7のST1の初期化動作を行わせると、図4の初期モードプログラム収納部31内の初期モード選択プログラム311が動作して、図6のその他データ格納部52内の初期化モード選択条件データ格納部522内の初期化モード選択条件522aを選択する。
ここで、初期化モード選択条件522aは、GPS付き腕時計10の初期モード測位データ収納部32にデータがまだ収納されていない状態である場合、例えばGPS付き腕時計の購入後、最初に電源を入れた時や、初期モード測位データ収納部32にデータが収容されていても、例えば最初に初期化モード測位データを取得してから数ヶ月経過したり、電源をOFF状態として数ヶ月間放置させた場合などで、ST7の通常処理モードが終了せず、時刻修正ができなかった場合や、または、ST9のユーザーによって初期化を支持された場合などである。
【0030】
次に、図7のST2に進む。図8は、図7のST2の「初期化モード実行」の内容を示す概略フローチャートである。また、図10は、図8のST15の間欠受信プログラムの内容を示す概略フローチャートである。また、図11は図10のフローチャートの一連の動作を示す概略説明図である。図11(a)はC/Aコード、(b)はGPS衛星からの航法メッセージ情報の概念図、(c)はPLL回路からの出力信号であるTLM、HOWワードデータ(プリアンブル、TOWの同期パルス)を位相比較器で制御し1〜3のサブフレーム分をロック(同期)させた後の出力信号であり、(d)はカウンタの出力パルス、(e)は(c)の出力信号を反転させた信号、(f)は図3の電源部25と連動する信号識別部から発生させる電源波形を示し、これらを同じ時間軸で比較したものである。
以下、図8、図10及び図11を使って主に「初期化モード実行」で行われる、全衛星概略軌道情報の間欠受信について説明する。
先ず、図8のST11に示すようにGPS衛星15a等をスキャンする。具体的には、図2のGPS機構が動作し、アンテナ11からGPS衛星15a等を受信し、捕捉可能なGPS衛星15a等をサーチする。
次にST12で、4個以上のGPS衛星15a等を捕捉することができたときは、ST15に進み、捕捉できないときは、ST13に進み、屋内であるなど受信できない環境であると判断して、ST14でマニュアル操作によるべき旨の表示を図1及び図2のディスプレイ14に表示して、ユーザーに通知して、GPS衛星15a等を受信モードをOFFとするように指示する。
【0031】
ST15では、捕捉したGPS衛星15a等のから信号を受信して、図4の間欠受信プログラム313を実行する。図4の間欠受信プログラム313の一連の動作は、図10の概略フローチャートに示すように進む。そして、この間欠受信プログラム313は図3の制御部26を介して信号識別部28と関係し、動作させている。
先ず、各GPS衛星15a等から送信される信号について、図12のGPS衛星信号をあらわす概略模式図を使って説明する。
【0032】
各GPS衛星15a等からは、図12(a)に示すように、1フレーム(30秒)単位で信号が送信されて来る。この1フレームは、5個のサブフレーム(1つのサブフレームは6秒)を有している。各サブフレームは、10ワード(1ワードは0.6秒)を有している。
また、各サブフレームの先頭のワードには、TLM(Telemetry word)データが格納されたTLMワードとなり、このTLMワード内には、図12(b)に示すように、その先頭にプリアンブルデータが格納されている。
また、TLMに続くワードは、HOW(Hand Over word)データが格納されたHOWワードとなり、その先頭には、TOW(Time of week)というGPS衛星のGPS時刻情報が格納されている。
GPS時刻は毎週日曜日の0時から経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。そして、この1週間についてはGPSの週番号が付されているので、週番号と経過時間(秒)のデータを取得することで、受信側はGPS時刻を取得できる構成となっている。このGPS時刻の起点となるのが、UTC(世界協定時)となっている。
【0033】
また、このようなGPS衛星15a等のフレームデータ等を取得するには、受信側がGPS衛星15a等の信号と同期させる必要があるが、特に1ms単位の同期のためにC/Aコード(1023chip(1ms))が用いられる。
【0034】
GPS衛星15a等からの信号は以上のように送信されてくる。従って、本実施の形態では、図10のST71に示すように、各GPS衛星15a等からのC/Aコードと位相同期させ、クロック信号(符号信号)作成する。この際、受信機を各GPS衛星15a等からのC/Aコードと位相同期させるために、図6のC/Aコード情報データ格納部521のデータを使用して、GPS衛星15a等の信号と同期させる。
そして、ST72に進み、図12(b)に示す、TLMワードのプリアンブル及びHOWワードのTOWと同期させる。そして、図12(a)に示すように、各サブフレームのデータ、例えば、エフェメリス(各GPS衛星15a等毎の詳細な軌道情報)、アルマナック(全GPS衛星15a等の全衛星概略軌道情報)、UTCデータ(世界協定時)の最初の1フレーム情報を取得する。この時間は、最大で30秒ほどである。
【0035】
ここで、図12のフレーム及びサブフレームは、特定単位毎の衛星信号の一例であり、TOWは、位置情報衛星(GPS衛星15a等)の時刻関連情報の一例であり、TLM及びHOWは、時刻関連情報区画の一例である。また、エフェメリスやアルマナック等のデータが格納されている部分名は、時刻関連他、他の送信情報区画の一例である。
【0036】
次に、ST73に進み、ST72で取得したデータをサブフレームの情報毎に順番に図4の初期モード測位データ収納部32の最初の1フレームデータ322の区画a乃至eに収容される。次に、ST74に進む。ここで、サブフレームのデータには、図12(b)で示したように、TLMワードのプリアンブル及びHOWワードのTOWとがある。これらの各サブフレームに共通するデータより、各サブフレームのデータの比較を行えば、ST73で得られた、最初の1フレームデータ322の区画a乃至eに収容されたサブフレームのデータから、フレームデータのアルマナックを含むサブフレーム5の終わりを検出することができる。この一連の取得は、N=0回として記憶され、N=N+1のカウントを行い、N≧25となると、後述するように、ST83に進む。
【0037】
次に、ST75に進み、18秒と12秒の間隔で図2のベースバンド22に設置されたカウンタ(図示せず)から、カウンタパルスを出力させる。この18秒と12秒は、GPS衛星15a等から送信される航法メッセージのサブフレーム1乃至3とサブフレーム4とサブフレーム5の送信時間分に相当するものである。カウンタパルスは、図11(d)に示すように、例えば、カウンタパルスのベース部分を0として図面の上側を1とすると、サブフレーム5の終わりから18秒分は0であり、12秒分を1として、それを繰り返す矩形波として出力される。
【0038】
また、ST76では、ST72で取得されたサブフレームのデータ情報より、各プリアンブルを同期後、TOWを同期し、これらの同期パルスを発生させる。図11(c)の実線で示すように、例えば、各サブフレームのデータの送信時間である6秒の間に、プリアンブルとTOWのデータを含むTLMとHOWワードの送信時間に相当するサブフレームの初めからの時間(1.2秒間)を1として、残りのサブフレームのデータの送信時間に相当する時間(4.8秒間)を0とする矩形波として出力される。次にST77で、ST76で出力された信号を図2のベースバンド22に実装されたPLL回路の位相比較器に入力する。そして、この位相比較器でロック(同期させること)とアンロック(非同期させること)の制御を行い、ロック/アンロック制御後の信号をPLL回路から出力する。この一連の波形を示したのが図11(c)であり、実線部分はアンロック部分で、サブフレーム4とサブフレーム5の送信時間と一致しており、破線部分がロック部分で、サブフレーム1乃至3の送信時間と一致している。このロック/アンロック制御時間は、先のC/Aコードを同期した際に得られたクロック信号(符号信号)によって得られる。
【0039】
次に、ST78に進み、ST77で得られたPLL回路からの出力信号の符号を反転させる。ここで符号を反転させるとは、図11(e)で模式的に示したように、上述した図11(c)の説明の際に使用した1、0を−1と0とすることであり、図11(c)で示された信号(矩形波)のレプリカのような信号を得ることである。
【0040】
そして、ST79に進み、先に説明したST75のカウンタパルスの信号と上述のST78のPLL回路からの出力信号の反転させた信号を比較して、図11(f)に示すような、受信モード/休止モードの電源波形を取得して、間欠受信タイミングを得る。この図11(f)はサブフレーム4とサブフレーム5のTLMとHOWワード分以外のデータの送信時間のタイミングで、受信モードとなり、サブフレーム1乃至3の送信時間と、サブフレーム4とサブフレーム5のTLMとHOWワード分の送信時間を休止モードとするような電源波形となっている。この波形で図2および図3で示される電源部25を制御して、アンテナ11でGPS衛星15a等からの航法メッセージ情報の必要な部分のみを受信することができる。よって、航法メッセージ情報の全てのアルマナックを取得するには、25ページにも及ぶデータを受信しつづけなければならないが、本発明によれば、サブフレーム4とサブフレーム5のTLMとHOWワード部分を除く、アルマナックを精度よく受信することができ、受信モード/休止モードを制御するので、電力消費を抑えることができる。
また、航法メッセージ情報のC/Aコードを同期してクロック信号(符号信号)を作成し、この信号のタイミングで図11(b)乃至(f)の信号を制御するので、より、精度よくアルマナックを取得することができる。
そして、日を跨いで受信させなくても消費電力の低減が図れるので、特に腕時計などの小型の機器にもこの測位装置を搭載することが可能となる。
【0041】
次に、ST80、ST81及びST82でST79で得られた図11(f)に示す電源波形の間欠受信タイミングで、サブフレーム4とサブフレーム5のTLMとHOWワード部分を除く部分のデータを取得し、得られたデータを図4の全衛星概略軌道情報データ323に収納する。こうしてST80乃至ST82のサイクルを繰り返して、GPS衛星15a等から送信される航法メッセージ情報の全てのアルマナックデータを取得することができる。そして、全て取得すると、ST83により間欠受信プログラムを終了する。
【0042】
次に、図8のST16に進み、UTCデータを間欠受信して取得する。そして、ST17に進み、上述で得られた各衛星データの情報をもとに、GPS付き腕時計10は、各衛星からの擬似衛星距離を測位する。図6の擬似衛星距離計算プログラム513で4個のGPS衛星15a等のエフェメリスを取得した、これらのGPS衛星15a等からの信号の伝搬遅延時間(GPS衛星からGPS付き腕時計10に到達するまでの時間)を、自己のRTC23等を用いて計測し、光速データ(電磁波の伝達速度:c)に基づき、GPS衛星15a等とGPS付き腕時計10との擬似衛星距離を算出する。算出されたデータは図6の擬似衛星距離計算値データ収納部531に収容される。このデータは、書換可能で、後述する、通常処理モードの実行時に擬似衛星距離を算出するがこのときに算出されたデータも図6の擬似衛星距離計算値データ収納部531に収容されるので、一定時間経過後に書換られるようになっている。
次に、ST18に進み、図6の受信機情報計測プログラム514を実行して、4個のGPS衛星15a等から擬似衛星距離に基づき、GPS付き腕時計10の位置、高度、真の伝搬遅延時間を4連立方程式で算出し、GPS付き腕時計10の位置及び高度情報と真の伝搬遅延時間を算出する。これにより、真の伝搬遅延時間と実際にRTC23等で計測した伝搬遅延時間を取得することができる。そして、これらの計測データは図6の受信機情報計測データ収納部532に収容される。この受信機情報計測データ収納部532に収容されたデータは、後述する通常処理モードの実行時にも計測され、一定時間経過後に書換れるようになっている。
【0043】
そして、図6の受信機情報計測プログラム514は、4個のGPS衛星15a等から発信された信号が受信されるまでの時間を、実際に測定した伝搬遅延時間を基準として、計算により求めたGPS付き腕時計10の位置情報及び真の伝搬遅延時間と、RTC23が計測した測定値である伝搬遅延時間と、を生成して、受信機情報計測データ収納部532に収容する。
そして、測位位置は、測位データとして、図6の受信機情報計測データ収納部532に収容される。また、ST18で計算により求めた真の伝搬遅延時間とRTC23が実際に計測した伝搬遅延時間との差分データ(以下「オフセット時間」という)も受信機情報計測データ収納部532に収容される。
【0044】
次に、ST19で、図6に示す、時刻修正プログラム515が動作し、受信機情報計測データ収納部532に収容されているオフセット時間に基づき、RTC時刻データ収納部533に収容されているRTC時刻データをオフセット(修正)する。オフセット時間は、上述のように真の伝搬遅延時間とRTC23の測定値である伝搬遅延時間との差分情報となっている。このように、各GPS衛星15aからの航法メッセージ情報により、各擬似衛星距離を使って、現在のGPS付き腕時計の受信測位位置やオフセット時間に基づき、RTCの時刻修正プログラム515は、上述のオフセット時間に基づいてRTC時刻データを修正する。図6のRTC時刻データ収納部533には、上述のRTC時刻データほか、UTCデータ等も含まれている。
【0045】
次に、ST20に示すように、文字盤12上の表示は、GPS衛星15a等から取得したUTCデータ等が含まれている図6のRTC時刻データ収納部533に基づいて修正される。したがって、文字盤12上の表示は、例えば、時差を考慮した日本時間が表示される。
【0046】
次に、図7の全体概略フローに戻って、ST3で上述の初期化モードが正常に終了したか否かを判断し、正常に終了しなかった場合は、ST4に進み、図6のマニュアル表示プログラム512を実行して、図2及び図3に示すディスプレイ14に、動作モードをマニュアルとすべき旨の表示を行い、ユーザーに報せて、ユーザーにより選択させる。ST9に進んで、ユーザーが初期化モードを選択した場合は、図7のST2に戻る。初期化モードが選択されなかった場合は、後述するST7の通常処理モードに移る。このような初期化モード選択条件は、図6の初期化モード選択条件データ格納部522に格納されている初期化モード選択条件522aの1つである。
【0047】
上述したように、図7のST3で初期化モードが正常に終了した場合は、ST5に移り、通常モード選択条件閾値時間である図6の閾値時間設定情報データ記憶部523の閾値時間設定情報を取り出して(例えば、24時間後)、閾値時間タイマ実行プログラム511でカウントして測定し、ST6で24時間経過したか否かを確認した後、24時間経過した場合は、ST7の通常処理モードの実行に移る。24時間経過していない場合は、上述の閾値時間タイマ実行プログラム511でカウントしていき、24時間経過するまでカウントする。図5の通常モード選択プログラム411が、閾値時間タイマ実行プログラム511のカウント時間が24時間経過すると作動し、通常モード実行プログラム412が実行される。
【0048】
図9は、図7のST7の「通常処理モード実行」の内容を示す概略フローチャートである。図9のST21乃至ST24は、上述の図8のST11乃至ST14の動作説明と同じであるので省略する。つまり、対応関係を示すと、図8のST11に対応する処理は図9のST21、図8のST12に対応する処理は図9のST22、図8のST13に対応する処理は図9のST23、図8のST14に対応する処理は図9のST24である。
ST22で4以上のGPS衛星15a等に捕捉することができた場合は、ST25に進む。ここで、ST25では、先のST2の初期化モードで取得したデータ以外のデータを取得する。この場合、まず、GPS付き腕時計10の内部の図6のC/Aコード情報データ格納部521のデータから、各GPS衛星15a等に固有のC/Aコードと同期信号を得る。続いて、各GPS衛星15a等からの航法メッセージ情報に含まれる、各TLMワードのプリアンブル及び各HOWワードのTOWと同期させる。そして、図12(a)に示すように、各サブフレームのアルマナックを除くデータ、例えば、エフェメリス、UTCデータを取得して、図5の通常モード測位データ収納部42の非全衛星概略軌道情報データ422に収納される。アルマナックのデータは、ST2の初期化モードで予め取得され、初期モード測位データ収納部32に収納されているため、ここでは、取得する必要が無い。従って、ここでは、各GPS衛星15a等からの航法メッセージのうち、図12(a)のサブフレーム1乃至3のデータを受信して取得すればよい。つまり、C/Aコードを同期してから、各TLMワードのプリアンブル及び各HOWワードのTOWと同期させ、サブフレーム1乃至3のデータの取得時間(18秒間)だけ、GPS付き腕時計10を受信モードとすれば良く、電力消費の低減につながる。
【0049】
そして、ST26で、上述で得られた非全衛星概略軌道情報データ422に収納されたデータと、先のST2の初期化モードで取得した、初期モード測位データ収納部32の各データとから、各衛星の擬似衛星距離を図6の擬似衛星距離計算プログラム513で算出し、擬似衛星距離計算値データ収納部531のデータを書換えて収容する。ここで、擬似衛星距離計算プログラム513での擬似衛星距離の算出方法としては、図8のST17と同様の方法である。ついで、ST27に進み、図6の受信機情報計測プログラム514を実行して、GPS付き腕時計10の位置及び高度情報と真の伝搬遅延時間を算出する。ここでの算出方法も,上述した図8のST18と同様である。真の伝搬遅延時間と実際にRTC23等で計測した伝搬遅延時間を取得した、これらの計測データは図6の受信機情報計測データ収納部532に収容して、ST2の初期化モードで得られたデータを書換えて更新する。
【0050】
そして、図6の受信機情報計測プログラム514は、4個のGPS衛星15a等から発信された信号が受信されるまでの時間を、実際に測定した伝搬遅延時間を基準として、計算により求めたGPS付き腕時計10の位置情報及び真の伝搬遅延時間と、RTC23が計測した測定値である伝搬遅延時間と、を生成して、受信機情報計測データ収納部532に収容して、ST2の初期化モードで得られたデータを書換えて、更新する。そして、測位位置は、測位データとして、図6の受信機情報計測データ収納部532に収容され、ST2の初期化モードで得られたデータを書換えて、更新される。また、ST18で計算により求めた真の伝搬遅延時間とRTC23が実際に計測した伝搬遅延時間との差分データ(以下「オフセット時間」という)も受信機情報計測データ収納部532に収容され、ST2の初期化モードで得られたデータを書換えて更新する。
【0051】
次に、ST28で、図6に示す、時刻修正プログラム515が動作し、受信機情報計測データ収納部532に収容されているオフセット時間に基づき、RTC時刻データ収納部533に収容されているRTC時刻データをオフセット(修正)する。オフセット時間は、上述のように真の伝搬遅延時間とRTC23の測定値である伝搬遅延時間との差分情報となっている。このように、各GPS衛星15a等からの航法メッセージ情報により、各擬似衛星距離を使って、現在のGPS付き腕時計の受信測位位置やオフセット時間に基づき、RTCの時刻修正プログラム515は、上述のオフセット時間に基づいてRTC時刻データを修正する。図6のRTC時刻データ収納部533には、上述のRTC時刻データほか、UTCデータ等も含まれている。
【0052】
次に、ST29に示すように、文字盤12上の表示は、GPS衛星15a等から取得したUTCリファレンス等が含まれている図6のRTC時刻データ収納部533に基づいて補正される。したがって、文字盤12の表示は、例えば、時差を考慮した日本時間が表示される。
【0053】
そして、通常処理モードが正常に終了した場合は、図7のST8より、ST5の通常モード選択条件閾値時間の測定に移り、閾値時間のカウントを行い、24時間間隔でデータを更新していく。ここで、通常処理モードが正常に終了しない場合は、ST2に戻り、初期化モードを実行し、新たにアルマナックを取得する。
ここで、GPS付き腕時計10を例にして説明しているが、本発明のこの一連の初期化モードにおけるアルマナックデータ取得に関しては、他の小型の機器に搭載することも可能である。
【0054】
本発明は上述の実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る測位装置を有する時計である例えば、GPS測位装置を有する腕時計(GPS付き時計)を示す概略図である。
【図2】図1のGPS付き腕時計の内部の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
【図3】GPS付き腕時計の主なソフトウエア構成等を示す概略全体図である。
【図4】図3の第1収納部の内容を示す概略図である。
【図5】図3の第2収納部の内容を示す概略図である。
【図6】図3の第3収納部の内容を示す概略図である。
【図7】本実施の形態にかかるGPS付き腕時計の主な動作等を示す概略フローチャートである。
【図8】図7のST2の「初期化モード実行」内容を示す概略フローチャートである。
【図9】図7のST7の「通常処理モード実行」内容を示す概略フローチャートである。
【図10】図8の「間欠受信タイミングプログラム実行」の内容を示す概略フローチャートである。
【図11】図10のフローチャートの一連の動作を示す概略説明図である。
【図12】GPS衛星信号を示す概略説明図である。
【図13】GPS付き腕時計の使用状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
10・・・GPS測位装置を有する腕時計、15a乃至15d・・・GPS衛星、15a’乃至15d’ ・・・ GPS衛星、23・・・リアルタイムクロック(RTC)、30・・・第1収納部、31・・・初期モードプログラム収納部、32・・・初期モード測位データ収納部、40・・・第2収納部、41・・・通常モードプログラム収納部、42・・・通常モード測位データ収納部、50・・・第3収納部、51・・・その他プログラム収容部、52・・・その他データ格納部、53・・・その他データ収容部、311・・・初期モード選択プログラム、312・・・初期モード実行プログラム、313・・・間欠受信プログラム、322・・・最初の1フレームデータ、323・・・全衛星概略軌道情報データ、411・・・通常モード選択プログラム、412・・・通常モード実行プログラム、422・・・非全衛星概略軌道情報データ、511・・・閾値時間タイマ実行プログラム、512・・・マニュアル表示プログラム、513・・・擬似衛星距離計算プログラム、514・・・受信機情報計測プログラム、515・・・時刻修正プログラム、521・・・C/Aコード情報データ格納部、522・・・初期化モード選択条件データ格納部、523・・・閾値時間設定情報データ記憶部、531・・・擬似衛星距離計算値データ収納部、532・・・受信機情報計測データ収納部、533・・・RTC時刻データ収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球を周回する位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報を受信するための受信部を有し、この受信部で受信した前記航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位装置であって、
前記航法メッセージ情報は、複数の送信情報区画毎に、順番に送信され、前記複数の送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画には、前記位置情報衛星を含む全ての位置情報衛星の全衛星概略軌道情報が含まれており、この全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画は非連続的に送信される構成となっており、
非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、
前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信することで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成となっていること
を特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記信号識別部は、前記位置情報衛星に固有のC/Aコードを同期して生成する符号信号に基いて、前記送信情報区画の送信時間を検出し、
前記送信時間のタイミングで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時と前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を前記符号信号に合わせて識別することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記信号識別部は、複数の前記送信情報区画を5つのサブフレームとし、前記サブフレームに含まれるプリアンブル情報データとTOW情報データを同期して得られる同期信号を、前記符号信号に基づいて前記全衛星概略軌道情報を含む2つの前記サブフレームを非同期して得られる制御信号を出力する制御信号部を有することを特徴とする請求項2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記信号識別部は、
前記5つのサブフレームを1つのフレームとし、
前記符号信号と前記同期信号とに基づいて、前記フレームの前記全衛星概略軌道情報を含む前記サブフレームの5番目の終わりを検出し、前記符号信号で3つの前記サブフレームと2つの前記サブフレームのタイミングを検出して、このタイミングでカウンタ信号を出力するカウンタと、
前記制御信号部から出力する前記制御信号を反転して反転制御信号を出力し、前記反転制御信号と前記カウンタ信号とを比較して得られる信号を生成する信号生成部と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の測位装置。
【請求項5】
地球を周回する位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報を受信するための受信部を有し、この受信部で受信した前記航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位方法であって、
前記航法メッセージ情報は、複数の送信情報区画毎に、順番に送信され、前記複数の送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画には、前記位置情報衛星を含む全ての位置情報衛星の全衛星概略軌道情報が含まれており、この全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画は非連続的に送信される構成となっており、
非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、
前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信することで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成となっていること
を特徴とする測位方法。
【請求項6】
地球を周回する位置情報衛星から時系列に連続して送信される航法メッセージ情報を受信するための受信部を有し、この受信部で受信した前記航法メッセージ情報に基づき自己の位置を測位する測位装置を有する時計であって、
前記航法メッセージ情報は、複数の送信情報区画毎に、順番に送信され、前記複数の送信情報区画の少なくとも一部の前記送信情報区画には、前記位置情報衛星を含む全ての位置情報衛星の全衛星概略軌道情報が含まれており、この全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画は非連続的に送信される構成となっており、
非連続的に送信される前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信開始時を識別すると共に、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信終了時を識別する信号識別部を有し、
前記受信部は、前記信号識別部が識別した前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の受信時間に前記航法メッセージ情報を受信することで、前記全衛星概略軌道情報を含む前記送信情報区画の信号を間欠受信する構成となっていること
を特徴とする測位装置を有する時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−32638(P2008−32638A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208594(P2006−208594)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】