説明

測定値の詳細情報を取得可能な検針装置

【課題】
いわゆる検針装置において、従来は、計測データに変化が生じた場合に計測周期を短くし、詳細なデータを取得することが可能であるが、変化が発生している最中の詳細なデータを取得することが出来ない。また、測定データに変化が確認され、サンプリング周期を小さく設定したとしても、計測データの変化に対しては後手後手の対応となってしまうため、測定中のサンプリング周期の制約から逃れることが出来ない。
【解決手段】
発明では、1以上のセンサを有する検針メータにおいて、サンプリング周期は詳細なデータとして欲しているサンプリング周期(極めて短い周期)に設定し、測定を実施する。この際、一定時間毎の測定データと、測定対象に変化が生じた期間の詳細な測定データを取捨選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はいわゆる検針メータ(装置)での検針(測定)に関する技術。その中でも特に、特に測定値の変化にも対応可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、検針装置での検針を自動行ういわゆるスマートメータが一般的に有する検針機能を用いて電力使用状況を監視することで、一般家庭の家電製品等の使用状況を把握することが可能である。
【0003】
この機能を用い、サンプリング周期を極めて小さく設定する(20KHz程度)ことで、起動時の電力使用量の変化の仕方から、使用されている各種機器の種類や使用状況、機器の状態等を把握すること可能であるといわれている。
【0004】
しかしながら、上記の通り機器の特定が可能なレベルまでサンプリングレートを小さくして検針回数を増やすと、検針回数の増加に伴いメータの保持する情報量の増加や、伝送量の大幅な増加に伴うネットワークの負荷などの問題もあり、長期間での電力使用量の監視が困難である。特許文献1においては、測定値の変化に伴い、測定するサンプリング周期を変化させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−052415
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1で述べた技術では、以下の問題点があった。
【0007】
1)計測データに変化が生じた場合に計測周期を短くし、詳細なデータを取得することが可能であるが、変化が発生している最中の詳細なデータを取得することが出来ない。
【0008】
2)測定データに変化が確認され、サンプリング周期を小さく設定したとしても、計測データの変化に対しては後手後手の対応となってしまうため、測定中のサンプリング周期の制約から逃れることが出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、1以上のセンサを有する検針メータにおいて、サンプリング周期は詳細なデータとして欲しているサンプリング周期(例えば、極めて短い周期)に設定し、測定を実施する。
【0010】
測定したデータを一定の期間ごとに区切って管理し、測定期間Aにおける期間開始時点の測定値A1を、区間Aの代表値として保持する。また、この測定値A1と測定期間終了時の測定値A2の測定値を比較し、変化量が閾値を超えていた場合測定データA1〜A2を記憶領域に格納し、閾値を超えていない場合は測定データA1〜A2を破棄する処理を行う。これは、閾値を超えている場合に測定データを有効化して実現してもよい。また、A1やA2は、これら期間を代表する値であればよく、最初と最後に限定されない。
【0011】
上記処理を行うことで、計測データの変化が起こっている瞬間の詳細なデータの取得が可能であり、かつ、記憶領域の使用量を抑えることが可能な検針メータを実現する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一定時間毎の測定値に変化が生じていない(ないし変化の範囲がある範囲内)場合は、詳細データを保持せず、一定時間毎の測定値に閾値以上の変化が生じていた場合はその期間の詳細データを保持する。したがって、計測データに一定値以上の変化が生じている最中のみ、極めて小さいサンプリング周期での詳細な計測データを取得することが可能である。また、測定データに変化が生じていない期間の詳細なデータは破棄するので、サンプリング周期を極めて小さくしてもメモリを大幅に増設する必要が無いため、検針メータの製造コストを抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における検針メータの構成のブロック図
【図2】演算ユニットにおけるデータ格納判別処理のフローチャート
【図3】測定値とデータ格納判別の具体例
【図4】実施例2におけるデータ格納判別処理のフローチャート
【図5】実施例3における検針メータ構成のブロック図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
本発明における実施例1のブロック図を図1に示す。図1では、測定ユニット10は、詳細なデータとして欲している測定周期で(例えば20000回/sec)で測定を実施する。この測定値は、一定の区間(例えば1sec)ごとに区切って管理を行う。測定データは演算ユニット20にて編集され、変化が生じている期間の詳細な測定データと、一定期間毎の代表値を記憶領域30に格納する。
【0015】
この演算ユニット20の動作を、図2のフローチャートに示す。以下その詳細を説明する。
【0016】
演算ユニットは、システムクロック40からのトリガで起動し(S001)、測定ユニット10から期間Aの測定値A(1)〜A(20000)を受け取る(S002)。このとき、代表値算出部201により、開始値AstはA(1)、終了値AenはA(20000)とする(S003)。このとき、開始値Astは一定期間毎の測定値として記憶領域30に格納する(S004)。
差分算出部202では、期間Aの開始値と終了値の差分|Ast−Aen|を算出し、測定値の差分Adifとする(S005)。
【0017】
判別部203では、この差分Adifが任意に設定してある閾値Thを超えているか否かを判断し(S006)、測定値を記憶領域30に格納するか否かを判断する。差分Adifが任意に設定してある閾値Thを超えている場合、期間Aの測定値A(1)〜A(20000)を記憶領域30に格納する(S007)。差分Adifが任意に設定してある閾値Thを超えていなかった場合、期間Aの測定値A(1)〜A(20000)は記憶領域30に格納せず、破棄する。また、別の記憶領域に格納したり、記憶領域30に無効であることを区別して格納してもよい。また、閾値を超えていた場合、記憶領域30に有効であることを区別して格納してもよい。
【0018】
例えば、図3にのような測定値が得られた場合、区間1,区間3では、開始値と終了値に変化が無いため、区間1の測定値A1群と、区間3の測定値A3群は記憶領域30に格納されず、破棄される。区間2では、開始値と終了値の変化量が閾値を超えているため、区間2の測定値A2郡は記憶領域30に格納される。区間4では、開始値と終了値に変化があるものの、その変化量は閾値未満であるため、A4郡は記憶領域30には格納せず、破棄される。
【0019】
記憶領域30に格納された測定値および代表値は、それぞれ外部からの要求にしたがって外部に送信される。このときの通信手段に関しては、無線通信,PLCなど、種類は問わない。当実施例によれば、一定周期の測定値に併せ、変化が生じているタイミングの詳細な計測データを取得することが可能になる。
【実施例2】
【0020】
本発明における実施例2の内容を、図4に示す。
本実施例は、実施例1に記すデータの取捨選択機能を有する検針メータ1において、記憶領域30に格納する対象となったデータに関して、計測データの中間値を取得し、測定値を編集することで変化の生じているタイミングの絞込みを行う。
このときの演算ユニット20の動作を図4に示す。
【0021】
差分Adifが任意に設定してある閾値Thを超えている場合、期間Aの測定値A(1)〜A(20000)を記憶領域30に格納する。演算ユニット20は、タイマからのトリガで起動し、測定ユニットから期間Aの測定値A(1)〜A(20000)を受け取る。このとき、代表値算出部201により、開始値AstはA(1)、終了値AenはA(20000)とする。
差分算出部202では、期間Aの開始値と終了値の差分|Ast−Aen|を算出し、測定値の差分Adifとする。
【0022】
判別部203では、この差分Adifが任意に設定してある閾値Thを超えているか否かを判断し、測定値を記憶領域30に格納するか否かを判断する。差分Adifが任意に設定してある閾値Th1を超えていなかった場合、期間Aの測定値A(1)〜A(20000)は記憶領域30に格納せず、破棄する。差分Adifが任意に設定してある閾値Th1を超えている場合、期間Aにおいて測定値に変化があったとし、変化の生じている箇所の絞込みを行う。これは、閾値を超えていた場合に有効であることを区別して記録し、超えていなかった場合無効であることを区別して記録してもよい。また、閾値を超えていない場合、別の記憶領域に格納してもよい。
【0023】
次に、期間Aにおいて、測定値に変化が生じていた場合、代表値算出部201において、AstとAenの中間の値Aceを算出する(S201)。差分算出部202では、期間Aの開始値Astと中間値Aceの差分|Ast−Ace|及び、期間Aの中間値Aceと終了値Aenの差分|Ace−Aen|を算出し、それぞれを算出し、測定値の前半部分の差分Adif1,後半部分の差分Adif2とする(S202)。
【0024】
判別部203では、前半部分の差分Adif1及び後半部分の差分Adif2それぞれが任意に設定してある閾値Th2を超えているか否かを判断する。判別処理では、まずAdif1の判別処理を行う(S203)。Adif1が閾値Th2を超えていた場合、Adif2の判別を行う(S205)。Adif1が閾値Th2を超えていなかった場合、期間Aの前半部分は、測定値に変化が生じていなかったものとし、中間値Acnを開始値Astとして(S204)、再度、代表値算出部201にてAcnの算出を行い(S201)、前半・後半に分けて絞込み処理を行う。
【0025】
Adif1が閾値Th2を超えていた場合、Adif2の判別処理を行う(S205)。Adif2が閾値Th2を超えていた場合、判別中のAst〜Aenは、前半・後半に渡って変化が生じているものとし、絞込み後の詳細データとして記憶領域30に格納する(S207)。Adif2が閾値Th2を超えていなかった場合、期間Aの後半部分は、測定値に変化が生じていなかったものとし、中間値Acnを終了値Aenとして(S206)、再度、代表値算出部201にてAcnの算出を行い(S201)、前半・後半に分けて絞込み処理を行う。
【0026】
本絞込み処理は、データの前半部分・後半部分両方が閾値を超えるまで繰り返して行われる。当実施例によれば、変化の生じている期間の更なる絞込みが可能であり、詳細な計測データの保持量をさらに削減することが可能になる。
【実施例3】
【0027】
本発明における実施例3の内容、を図5に示す。
本実施例は、測定ユニット10と、測定データを一時的に保存する一時記憶領域70と、接続された機器と通信を行う通信ユニット60と、を有する検針メータ1と、実施例1、あるいは実施例2に記すデータの取捨選択機能を有する演算ユニット20と、記憶領域30と、外部との通信を行う送受信ユニット50と、接続された機器と通信を行う通信ユニット60と、検針メータに接続されたユーザが閲覧可能なインタフェースである外部出力ユニット80を有するホームサーバ等の外部装置3と、からなるシステムである。
【0028】
当実施例によれば、集合住宅やオフィス等の測定データを外部機器上で管理が可能になり、管理者はインタフェースを通じて測定値及び、詳細な計測データを基にした分析結果等の閲覧が可能になり、複数件の状態監視を鳥瞰的に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0029】
1 検針メータ
2 通信回線
3 外部装置
10 測定ユニット
20 演算ユニット
30 記憶領域システムクロック
40 システムクロック
50 送受信ユニット
60 通信ユニット
70 一時記憶領域
80 外部出力装置
201 代表値抽出部
202 差分算出部
203 判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサにより測定される測定値の詳細情報を取得可能な検針装置において、
前記測定値の利用目的に応じたサンプリング周期を記憶する手段と、
指定された利用目的に対応するサンプリング周期を特定し、特定された前記サンプリング周期で、前記複数のセンサでの測定を実行させる手段と、
前記センサでの測定される測定値の変化の有無を検知する手段と、
前記測定値の変化を検知した場合、当該変化を検知した期間の測定値を詳細情報として抽出する手段とを有することを特徴とする測定値の詳細情報を取得可能な検針装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定値の詳細情報を取得可能な検針装置において、
前記抽出する手段は、抽出する前記詳細情報として前記変化が生じた時点であるタイミングの測定値を抽出することを特徴とする測定値の詳細情報を取得可能な検針装置。
【請求項3】
請求項または2のいずれかに記載の測定値の詳細情報を取得可能な検針装置において、
抽出された前記詳細情報を記憶する手段をさらに有することを特徴とする測定値の詳細情報を取得可能な検診装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の測定値の詳細情報を取得可能な検針装置において、
前記測定値のうち一定期間毎の第1の代表値および第2の代表値を特定する手段をさらに有し、
前記変化を検知する手段は、前記第1の代表値と前記第2の代表値の差分が予め定められた閾値より大きい場合に、前記変化が有ると判定することを特徴とする測定値の詳細情報を取得可能な検針装置。
【請求項5】
請求項4に記載の測定値の詳細情報を取得可能な検針装置において、
前記第1の代表値は、前記一定期間の最初に測定された測定値であり、前記第2の代表値は前記一定期間の最後に測定された測定値であることを特徴とする測定値の詳細情報を取得可能な検針装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の測定値の詳細情報を取得可能な検針装置において、
表示装置を有する外部装置と接続し、前記詳細情報を前記外部装置に出力する手段をさらに有することで、前記外部装置を介して前記詳細情報を確認可能とすることを特徴とす測定値の詳細情報を取得可能な検針装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−190202(P2012−190202A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52338(P2011−52338)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(506294945)株式会社日立システム九州 (3)
【Fターム(参考)】