説明

測定流体の吸引および分注のためのピペット装置

【課題】特有のピペット装置を提供すること。
【解決手段】測定流体の吸引および分注のための、測定流体とは異なる作動流体を有するピペット装置は、半径方向においてシリンダーセクションに沿って作動領域を区分するシリンダーと、第1の軸方向において作動領域を区切るピストンとを有し、作動流体は、チャネル軸線に沿って延在しかつ作動流体に関連してチャネル軸線の軸方向セクションに沿ってピストン−シリンダーシステムによって形成される可変空間を備えた作動領域に収容され、シリンダーとピストンとは、互いに対して動作可能に配置され、測定のための軸線方向の長手方向端部領域は、吸引および分注のために開放されかつ作動のための軸線方向の長手方向端部領域は、ピストンによって閉鎖され、ピストンは、外部ピストンとして構成されかつピストン−シリンダーシステムの作動のために長手方向端部領域で外側でシリンダーを取り囲むようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定流体とは異なる作動流体が用いられている測定流体の吸引および分注(dispensation)のためのピペット装置に関するものであり、これは半径方向においてシリンダーセクションに沿って作動領域を区分するシリンダーと、第1の軸方向において作動領域を区切るピストンとを有しており、このものにおいて、作動流体は、チャネル軸線に沿って延在しかつ作動流体に関連してチャネル軸線の軸方向セクションに少なくとも沿って、ピストン−シリンダーシステムによって形成されている可変空間を備えた作動領域に収容されるようになっており、シリンダーとピストンとは、ピストン−シリンダーシステムが測定のための軸線方向の長手方向端部領域を有するように、シリンダーとピストンとが互いに対して動作可能となるように配置されており、測定のための軸線方向の長手方向端部領域は、吸引および分注のために開放されており、かつ、作動のための軸線方向の長手方向端部領域は、ピストンによって閉鎖されている。
【背景技術】
【0002】
一例として挙げると、特許文献1または特許文献2にはそうしたピペット装置が開示されている。また、これらの特許文献には、実施される吸引または/および分注の適切なワークフローに関する結論を導くために、作動流体を圧縮する測定法が開示されている。
【0003】
上記タイプのピペット装置は、流体、特に液体を非常に正確に測定するために、研究室または工場で用いられている。
【0004】
収容(すなわち吸引)可能な測定された流体の量は、この場合、ピペット装置における作動空間の最も大きく変更できる空間によって制限される。
【0005】
そのため、一般的に、いわゆる「ピペットチャネル」をいくつか有するピペット装置が使用されており、そのそれぞれが作動領域を有しかつマトリックス状に行と列をなすように配置されており、ピペットチャネルを形成する構成要素は小型化されており、結果的に、作動領域は、絶対的にだけでなく、さらに作動空間における小さな変更を可能にするピストン−シリンダーシステムのピストンおよびシリンダーの相対運動においても小さな空間を有するようになり、かつこれによって、吸引および分注される計測流体の容量における上限が定められる。
【0006】
上記特許文献では、従来型の圧力センサが、各ピペットチャネルに、一般的にはその側方に設けられており、場合によっては、ピストン−シリンダーシステムから得られる設置空間が必要とされ、さらに作動空間の最も大きく変更できる空間が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 745 851号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 412 759号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本願発明の目的は、従来技術で可能であったものに比べ、さらに測定流体を収容可能となっており、かつピストンとシリンダーとの相対運動範囲が実質的に同一となっている、冒頭で述べたタイプのピペット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、特有のピペット装置によって達成されるものであり、このものにおいて、ピストンは、外側ピストンとして構成されており、かつピストン−シリンダーシステムの作動のための長手方向端部領域において、その外側でシリンダーを取り囲むようになっている。
【0010】
作動空間をより大きく変更することは、ピストンが、従来のようにシリンダーの内壁においてシリンダーの内部に案内される内側ピストンとして構成された場合に比べて、同じリフト状態下で、ピストンが外側ピストンとして構成されている場合、さらに、ピストンの関与によっても制限される。この場合において従来技術と比べると、本発明のピペット装置と同じリフト状態下にある作動空間に関する差異は、リフトによって多層化されたシリンダーウォールの断面積の空間に対応する。
【0011】
本発明でなされる作動領域の軸方向セクションに少なくとも沿ってピストン−シリンダーシステムによって形成される作動領域について述べるが、これは、ピストン−シリンダーシステムが作動領域の形成に寄与することを示すことを意図しているだけである。従来技術によって、ピペットチップなどをピストン−シリンダーシステムに連結することは可能である;また、これらのチップは、連結される場合に、作動領域の空間に関与する。
【0012】
ピストン−シリンダーシステムの内部を始点とすると、ピストン−シリンダーシステムは、ピストンによって第1の軸線方向に区分されており、かつ第1の方向とは反対を向く第2の軸線方向に開放状態となっており、これによって、第2の方向において、作動領域の効果的な増大または低減によって、作動流体の圧力の変更は、測定領域に影響を及ぼすことが可能となり、これにより、測定流体は、作動領域へもしくはそれから案内されるようになる。
【0013】
上記チャネル軸線は、一般的に、直線的なチャネル軸線である。ただし、曲線特性を有するチャネル軸線であってもよく、これは、特定の目的に対して要求されるものであるが、除外されるべきではない。
【0014】
「シリンダーセクション」は、延在するシリンダーに沿うピペットチャネルの軸方向セクションを示す。
【0015】
ピストンの半径方向の内面が、ピストン−シリンダーシステムの作動のための長手方向端部領域の近傍の作動のためのシリンダー端部領域におけるシリンダーの半径方向の外面に対向するように位置させられているため、動作する作動領域に要求されるシールを、ピストンとシリンダーとの間に設けることができ、二つの面の少なくとも一方にシールが設けられており、それは、ピストンとシリンダーとが互いに密閉状態となるようにするために、それぞれが他の一方に対して接しており、それゆえ、外部環境から作動領域が封止される。
【0016】
チャネル軸線に関連しかつ組み立てられた状態から見た場合に、外側ピストンにシリンダーを収容するために、ピストンは中空部を有することができ、それは、チャネル軸線の周囲に延在するピストンスカートによって半径方向に、かつピストンヘッドによって第1の軸線方向に区分されており、かつそれは、第1の軸線方向とは反対を向く第2の軸線方向においては開口している。
【0017】
これは、ポット形状の中空部と、特に製造が簡単となるように円筒形状となるよう有利に設計されたピストンスカートとを備えたピストンへと通じている。ただし、これは、ピストンスカートが、テーパー形状となるかまたはその開口長手方向端部からピストンヘッドまで増大していくような形状となるように、ピストンが射出成型工程によって形成される場合に離型ベベリング(面取り部)を備え得るという可能性は除かれるべきではない。
【0018】
ピストンをリフトする最も大きな可能性を実現できるようにするためには、ピストンヘッドから離間したピストンスカートにおける長手方向端部領域において、または/およびシリンダーの作動のためのシリンダー端部領域において、ピストンとシリンダーとを互いに密閉するために、上述したシールが配置されていることが有利となる。
【0019】
続いて、作動のためのシリンダー端部領域が、ピストンおよびシリンダーが互いに対して相対運動するようにピストンの中空部内に収容される場合に、ピストン−シリンダーシステムが外側ピストンを有するように容易に構成できる。
【0020】
ここで、たとえ、ピストンとシリンダーとの両方がピペット装置の固定フレームに動作可能に取り付けられていても、本発明のピペット装置の機能が、ピストンがフレームに固定された状態で設けられておりかつシリンダーが、ピペット装置に動作可能に設けられているか、あるいはそうではないかは重要ではないことが明確であることに留意されたい。
【0021】
従来技術に関連してすでに述べたように、測定工程の特性に関する結論を導くための作動領域における作動流体の圧力の測定は公知となっている。
【0022】
従来において、このタイプの圧力センサは、一般的に、シリンダーウォールにおける側方開口部を介して作動領域に結合されている。
【0023】
また、その圧力は、特に容易に得ることができかつ測定工程の特性に関して重要な、作動流体の好ましい状態変数である。
【0024】
さらに、それは、ピペット装置に関して、できる限りセンサと測定流体との相互干渉、特に相互汚染およびセンサの機能故障を避けるために、センサが、作動領域における作動流体の取り込みの実際の位置から最も長くすることができる距離に設けられている場合に有利となる。そのため、本発明によって提供されるピペット装置を用いる測定工程のしっかりとしたモニタリングをするために、ピストンにセンサ(作動流体の少なくとも一つの状態変数(好ましくはその圧力)を取得するよう構成されたセンサ)が収容されていることに留意されたい。
【0025】
例えば、作動流体の温度または/および密度を、異なる、または付加的な状態変数として取得することができる。
【0026】
上述したように、本発明のピペット装置の外側ピストンは、中空部を備えるよう構成されており、それによって、ピストンにセンサを取り付けるために、状態変数を取得するためのセンサが設けられる場所における開口部を有するよう、中空部を区分するピストンウォールが設けることができる。
【0027】
センサを使用するピストンウォールにおける開口部を閉鎖することは、ピストンにセンサを取り付けるために、特に機能的に信頼できかつ空間を節約するという付加機能も含む。これによって、かなりの量の空間が節約できるため、センサが、ピストンの中空部を区切るピストンウォールの一部を形成することが特に好ましい。これは、支持体などを用いる必要があるのならば、センサがピストンウォールの一部を形成する場合だけでなく、センサが開口部を閉鎖するようピストン−シリンダーシステムに対して少なくとも直接取り付けられる場合を包含すべきではない。
【0028】
センサは、特に簡単化されかつ空間を節約する様式で、ピストンヘッドの領域に配置されており、さらにそれは、ピストンヘッドの一部を形成することもできる。これを実現するために、ピストンを、少なくとも一つの貫通ホールを有するケーシング部材および片側にある少なくとも一つの貫通ホールを閉鎖する様式でケーシング部材に連結されるカバー部材となる、少なくとも二つの部材に形成するよう設計できる。チャネル軸線に対して、カバー部材が、軸線方向を向くピストンの境界面を形成する一方で、ケーシング部材は、ピストンを用いて形成されたピストン−シリンダーシステムの半径方向の壁を形成する。
【0029】
ごく一般的に言うと、センサは、実際のチャネル軸線をそれが通過するように、空間節約様式で配置することができる。
【0030】
この場合、作動流体の状態変数を得るための少なくとも一つのセンサを、カバー部材に設けることができる。好ましくは、センサは、ピペット装置が組み立てられた状態において、ケーシング部材における貫通ホールと軸線方向に一列に位置させられるポイントに配置可能となっており、つまり、カバー部材の近傍の端部領域における貫通ホールを区切るためのケーシング部材の境界壁内に放射状に配置できるようになっている。ケーシング部材とカバー部材とのそうした組み合わせによって、多数の外側ピストンが、一つのケーシング部材および一つのカバー部材から形成可能となるように、複合ピペットヘッドに適した外側ピストンを形成することもできるようになる。
【0031】
上記ピペット装置の効率を高めるために、ピペット装置は、好ましくはマトリックス状に配置された複数の作動領域を備えたピペットヘッドを有することができる。そうしたマトリックスは、列および行が互いに直交する状態となるよう設計されたマトリックスであることが好ましい。個々の作動領域は、一般的に、互いに独立しているように設計されている。
【0032】
この場合、測定工程の精度管理は、作動流体の状態変数を取得するセンサが、それぞれの作動領域に設けられている場合には、特に、容易にかつ十分になすことができる。
【0033】
上述したように、複数の外側ピストンを形成するケーシング部材は、有孔プレートとして設計可能である。その過程において、衝突を防ぐためかつシールのための安全距離を加えることが必要であれば、有孔プレートの厚さは、ケーシング部材の厚さが外側ピストンの要求リフトに対応するように、外側ピストンの要求リフトに適合するよう調整可能である。
【0034】
さらに、複数の状態変数センサをカバー部材に配置することも可能であるが、これらのセンサは、マトリックス状に配置されることも好ましい;その構成が正確になされることによって、外側ピストンの形成された構成と対応するようなる。カバー部材の端面の表面における状態変数センサを著しく簡単に配置することができ、カバー部材が、状態変数センサが内部に収容される中空部に加えさらに貫通ホールを有する可能性は除かれるべきではない。
【0035】
ラインは、少なくとも一つの状態変数センサを状態変数センサによって供給される信号を処理する制御または/およびコンピュータユニットへ接続する。
【0036】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のピペット装置の主要部の縦断面図である。
【図2】図1におけるピペット装置の領域IIの拡大断面図である。
【図3】図1におけるピペット装置の領域IIIの拡大断面図である。
【図4】図1におけるピペット装置の領域IVの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1には、本発明のピペット装置の主要部が、概略的に10で示されている。これは、ピペットチャネル12が10×24の直交マトリックスの状態となるように構成されている384ものピペットチャネル12を備えた複数のピペットヘッドである。
【0039】
各ピペットチャネル12は、ピペット装置10の測定側の長手方向端部14から、当該装置の作動側の長手方向端部16へと向かって、チャネル軸線Kに沿って延在している。
【0040】
本発明のピペット装置10の詳細として、中央キャリアプレート18から説明するが、これはフレームに固定されており、このものにおいて、金属製シリンダー20が絶縁性エラストマーからなる遮断要素22に収容されている。シリンダー20は中空シリンダーとして構成されており、そのためシリンダー20は、静止状態(すなわちフレームに固定された状態)でキャリアプレート18に収容されている。絶縁性遮断要素22は、導電性シリンダー20を導電性キャリアプレート18から絶縁するために使用されており、ゆえに、各ピペットチャネル12に関して独立的に静電空間式液面検出(cLLD)をすることが可能となる。
【0041】
静電空間式液面検出のために、ピペットチャネル12は、単一のライン連結部材23に連結されているが、簡潔にするために、そのうちの一つのみを示す。
【0042】
図1では、ピペットチップ(図1から図4には図示せず)を公知の方法でピペット装置10の連結端部26へ連結することを可能にする圧縮プレート24が、フレームに固定されたキャリアプレート18の下方に配置されており、かつそれは、チャネル軸線Kに沿って、キャリアプレート18に対して動作可能となっている。
【0043】
キャリアプレート18に対して、チャネル軸線Kに沿って動作可能な除去プレート(stripping-off plate)30は、ピペットチャネル12の連結端部26からのピペットチップの引き抜きの安全性を確実なものとし、かつゆえに、図1に示す複数のピペットヘッドからのピペットチップの分離を確実なものとする。
【0044】
シリンダー20は、キャリアプレート18と同様に、圧縮プレート24からの絶縁のために、圧縮プレート24における絶縁性要素32によって取り囲まれている。ただし、キャリアプレート18と対象的に、圧縮プレート24における絶縁性要素32は、シリンダー20に対する圧縮プレート24の相対運動を妨げるように、シリンダー20から半径方向に間隔をおいて配置されている。
【0045】
ピペットチャネル12は、それぞれ、連結端部26の近傍に圧縮リング34を有しており、このリングは、圧縮ケーシング28を分離すると同時に、圧縮プレート24の軸方向の運動によって軸方向(図1および図2における下方向)に圧縮されるものであり、したがって、それは、その横方向の収縮特性によって半径方向に伸張し、それによって、ピペットチップは、ピペットチップが連結しにくくなる幾何学的形状(negative bonding geometry)に構成されているため、ピペットチャネル12の連結端部26における摩擦および/または応力によって保持されるようになっており、当該幾何学的形状は、連結された状態での外側において半径方向に圧縮リング34を取り囲むようになっている。
【0046】
図1には、図1におけるキャリアプレート18の上側に測定プレート36が設けられている状態を示すが、測定プレート36は、チャネル軸線Kに沿ってキャリアプレート18に対して動作可能である。この測定プレート36は、一部だけが図示された運動作動機構38を用いてチャネル軸線Kの方向にキャリアプレート18に対して相対動作するように駆動可能であり、外側において半径方向および軸線方向に、シリンダー20の作動のためのシリンダー長手方向端部20aを取り囲む複数の外側ピストンを形成する。
【0047】
測定プレート36によって形成された外側ピストン40は、中空部42を有しており、この中に、シリンダー20の作動のためのシリンダー長手方向端部20aの領域が収容されている。
【0048】
したがって、すべてのピペットチャネル12は、作動流体で満たされたピストン40の中空部42の空間と、シリンダー20の中空領域における内部空間(図1ないし図4には図示せず)とによって形成された作動領域44を備えており、したがって、これは、シリンダー20の測定のためのシリンダー長手方向端部20bまで少なくとも延在している。実際には、作動領域は、ピペットチャネル12の軸線方向の長手方向端部まで、つまり連結端部26の開口部まで延在しており、ピペットチップに連結している場合には、そこからピペットチップへ向かって延在している。
【0049】
ただし、ピストン40とシリンダー20とによって囲まれた作動領域44のその部分は、特に本発明に関係するものである。
【0050】
ピストン40の円筒形の内壁は、ピストンとシリンダーとが互いに絶縁されるように円筒形絶縁性要素46によって形成されている。
【0051】
図1から図4に示す実施例ではシール52が設けられており、これは、シリンダー20の周囲に延在しており、かつピストンヘッド48から離れたピストン40の長手方向端部50におけるピストン40のそれぞれにおいて、シリンダー20の外壁に対して密閉状態をもたらすように固定されており、そしてこのシールは、外部環境からピストン40とシリンダー20との間の作動領域を密閉する。
【0052】
実施例において、測定プレート36は、いくつかの部材から、主に複数の貫通ホール56を備えたケーシング部材54によって形成されており、ゆえに、測定プレート36は、所定の厚さを備えた有孔プレートとなるように構成されている。
【0053】
開始ポイントとして作動領域44を使用すると、ケーシング部材54は、第1の方向Eにおいてカバー部材58によって閉鎖されており、カバー部材58とケーシング部材56との間の接触ポイントにおいて、作動領域44を密閉するために、貫通ホール62を備えたシールマット60が設けられている。
【0054】
ケーシング部材54の貫通孔56に対応するように、圧力センサ64が、それぞれのピペットチャネル12のためにカバー部材58内に配置される。図4にのみ図示したこの圧力センサ64は、シールマット60の貫通ホール62を閉鎖し、それゆえ、ピストンヘッド66の一部を形成する。
【0055】
圧力センサ64は、信号線(図示せず)を介して圧力センサ64によってもたらされた信号を評価するためのコンピュータユニットに接続されている。
【符号の説明】
【0056】
10 ピペット装置
12 ピペットチャネル
14 測定側長手方向端部
16 作動側長手方向端部
18 中央キャリアプレート
20 金属製シリンダー
20a,20b シリンダー長手方向端部
22 絶縁要素
23 連結部材
24 圧縮プレート
26 連結端部
28 圧縮ケーシング
30 除去プレート
32 絶縁性要素
34 圧縮リング
36 測定プレート
38 運動作動機構
40 ピストン
42 中空部
44 作動領域
46 円筒形絶縁性要素
48 ピストンヘッド
50 長手方向端部
52 シール
54 ケーシング部材
56 貫通孔
58 カバー部材
60 シールマット
62 貫通ホール
64 圧力センサ
66 ピストンヘッド
E 第1の方向
K チャネル軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定流体とは異なるものである作動流体を用いた測定流体の吸引および分注のためのピペット装置であって、前記作動流体が、チャネル軸線に沿って延在しかつ作動流体に関連して前記チャネル軸線の軸方向セクションに少なくとも沿って、ピストン−シリンダーシステムによって形成されている可変空間を備えた作動領域に収容されるようになっているピペット装置は、半径方向においてシリンダーセクションに沿って前記作動領域を区分するシリンダーと、第1の軸方向において前記作動領域を区切るピストンとを有しており、前記シリンダーと前記ピストンとは、前記ピストン−シリンダーシステムが測定のための軸線方向の長手方向端部領域を有するように、前記シリンダーと前記ピストンとが互いに対して動作可能となるように配置されており、測定のための軸線方向の長手方向端部領域は、吸引および分注のために開放されており、かつ、作動のための軸線方向の長手方向端部領域は、前記ピストンによって閉鎖されており、前記ピストンは、外部ピストンとして構成され、かつ前記ピストン−シリンダーシステムの作動のために前記長手方向端部領域において外側で前記シリンダーを取り囲むようになっており、かつ前記ピストンは、前記作動流体の少なくとも一つの状態変数、好ましくは前記作動流体の圧力を取得するよう構成されたセンサを収容していることを特徴とするピペット装置。
【請求項2】
前記ピストンの半径方向の内側の面は、前記ピストン−シリンダーシステムの作動のための前記長手方向端部領域に隣接する、作動のためのシリンダー端部領域における前記シリンダーの前記シリンダーの半径方向の外側の面に対向するように位置させられており、前記ピストンと前記シリンダーとを互いに密閉するために、前記面のそれぞれが他方に対して接している二つの前記面のうちの少なくとも一つに設けられたシールを備えていることを特徴とする請求項1に記載のピペット装置。
【請求項3】
前記ピストンは、中空部を有しており、これは、前記チャネル軸線に関連して、組み立てられた状態で、前記チャネル軸線の周囲に延在しているピストンスカートによって半径方向においてかつピストンヘッドによって前記第1の軸線方向において区分されており、かつそれは、前記第1の軸線方向とは反対の方向である第2の軸線方向において開放状態となっていることを特徴とする請求項2に記載のピペット装置。
【請求項4】
作動のための前記シリンダー端部領域は、相対運動可能となるように前記ピストンの前記中空部に収容されていることを特徴とする請求項3に記載のピペット装置。
【請求項5】
前記中空部を区分するピストンウォールが、前記状態変数を取得するためのセンサが設けられている場所において、開口部を有していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のピペット装置。
【請求項6】
前記センサは、前記開口部を閉鎖するようになっていることを特徴とする請求項5に記載のピペット装置。
【請求項7】
前記センサは、前記ピストンの前記中空部を区分するピストンウォールの一部を形成するようになっていることを特徴とする請求項3に記載のピペット装置。
【請求項8】
前記センサは、前記ピストンヘッドの前記領域に配置されているか、または前記ピストンヘッドの一部を形成するようになっていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項9】
前記ピストンは、少なくとも一つの貫通ホールを備えたケーシング部材を備え、かつ前記ケーシング部に連結されるカバー部材を備えた少なくとも二つの部材からなっており、前記カバー部材が、片側において少なくとも一つの貫通ホールを閉鎖するようになっていることを特徴とする請求項3を引用する、請求項8に記載のピペット装置。
【請求項10】
前記作動流体の状態変数を取得するための少なくとも一つのセンサは、前記カバー部に、好ましくは前記装置の組み立てられた状態において前記貫通ホールと軸線方向に整列された状態となるポイントに設けられていることを特徴とする請求項9に記載のピペット装置。
【請求項11】
好ましくマトリックス状に配置された複数の作動領域を備えたピペットヘッドを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のピペット装置。
【請求項12】
作動流体の状態変数を取得するためのセンサが、各作動領域に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のピペット装置。
【請求項13】
前記ケーシング部は、有孔プレートであることを特徴とする請求項9を引用する、請求項11または請求項12に記載のピペット装置。
【請求項14】
複数の状態変数センサが、前記カバー部において、好ましくは前記カバー部の端面において、好ましくマトリックス状に配置されていることを特徴とする請求項9を引用する、請求項11ないし請求項13に記載のピペット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−271068(P2009−271068A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−109567(P2009−109567)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(501401397)ハミルトン・ボナドゥーツ・アーゲー (8)
【Fターム(参考)】