説明

測定装置及び測定方法

【課題】安定した抗菌性の測定を行うことができる測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置は、試料及び試薬を収容する第1容器41に対し第1波長の光を照射する第1照射部44と、第1容器41に対し第2波長の光を照射する第2照射部45と、第1照射部44から照射され第1容器41を透過した光を受光する第1受光部43と、第2照射部45から照射され第1容器41を透過した光を受光する第2受光部42と、試料を収容する第2容器31に対し第1波長の光を照射する第3照射部34と、第2容器31に対し第2波長の光を照射する第4照射部35と、第3照射部34から照射され第2容器31を透過した光を受光する第3受光部33と、第4照射部35から照射され第2容器31を透過した光を受光する第4受光部32と、各受光部にて受光された光の光量に基づいて、試料の試薬の添加による吸光度の変化を算出する演算部80とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュースや食用油等の抗酸化性などを測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質等の定性や定量は、発色処理された被測定試料について基準色に対する相対吸収光度を測定することによって行うことができる。このような相対吸光度測定装置は、例えば、被測定試料が配置される測定用セルと、被測定試料に単色光を照射させる発光部と、発光部から照射され被測定試料を透過する透過光を受光する受光部とを備える。このような測定装置においては、基準液と試薬を添加した被測定試料それぞれの透過光量を測定して、相対吸光度が算出される。あるいは、測定装置に2つの異なる波長の発光部を設け、1つの被測定試料に対して2つの波長をそれぞれ照射した際の透過光量を測定し、一方の波長で測定した光量を基準光として相対吸光度が算出される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271437号公報(段落[0024]、[0028]、[0030]、[0031]、図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述のような測定装置における測定では、例えば試薬量によって測定結果がかわってきてしまう場合がある。特に、研究室等のように試薬や試料の計量を正確に行えるような状況でない場所で測定する場合、同じ測定対象物であっても測定毎に結果が異なる場合もあり、安定して正確な測定を行うことができない。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、安定した測定を行うことができる測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る測定装置は、第1照射部と、第2照射部と、第1受光部と、第2受光部と、第3照射部と、第4照射部と、第3受光部と、第4受光部と、演算部とを具備する。上記第1照射部は、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に対し第1波長を有する光を照射する。上記第2照射部は、上記第1容器に対し第2波長を有する光を照射する。上記第1受光部は、上記第1容器を介して上記第1照射部と対向配置され、上記第1照射部から照射され上記第1容器を透過した光を受光する。上記第2受光部は、上記第1容器を介して上記第2照射部と対向配置され、上記第2照射部から照射され上記第1容器を透過した光を受光する。上記第3照射部は、上記試料と同種類の試料を収容する第2容器に対し上記第1波長を有する光を照射する。上記第4照射部は、上記第2容器に対し上記第2波長を有する光を照射する。上記第3受光部は、上記第2容器を介して上記第3照射部と対向配置され、上記第3照射部から照射され上記第2容器を透過した光を受光する。上記第4受光部は、上記第2容器を介して上記第4照射部と対向配置され、上記第4照射部から照射され上記第2容器を透過した光を受光する。上記演算部は、上記第1受光部、上記第2受光部、上記第3受光部及び上記第4受光部にて受光された光の光量に基づいて、上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化を算出する。
【0007】
本発明の別の形態に係る測定装置は、第1照射部と、第2照射部と、第1受光部と、第3照射部と、第4照射部と、第2受光部と、演算部とを具備する。上記第1照射部は、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に対し第1波長を有する光を照射する。上記第2照射部は、上記第1容器に対し第2波長を有する光を照射する。上記第1受光部は、上記第1容器を介して上記第1照射部及び第2照射部と対向配置され、上記第1照射部から照射され上記第1容器を透過した光及び上記第2照射部から照射され上記第1容器を透過した光を受光する。第3照射部は、上記試料と同種類の試料を収容する第2容器に対し上記第1波長を有する光を照射する。第4照射部は、上記第2容器に対し上記第2波長を有する光を照射する。第2受光部は、上記第2容器を介して上前記第3照射部及び第4照射部と対向配置され、上記第3照射部から照射され上記第2容器を透過した光及び上記第4照射部から照射され上記第2容器を透過した光を受光する。演算部は、上記第1受光部及び上記第2受光部にて受光された光の光量に基づいて、上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化を算出する。
【0008】
本発明の別の形態に係わる測定方法は、第1波長を有する光を、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に照射し、該第1容器を透過した前記第1波長を有する光を受光した第1受光部における第1光量信号を測定することを含む。第2波長を有する光を、上記混合物を収容する上記第1容器に照射し、該第1容器を透過した前記第2波長を有する光を受光した第2受光部における第2光量信号を測定する。第1波長を有する光を、上記試料と同種類の試料を収容する第2容器に照射し、該第2容器を透過した上記第1波長を有する光を受光した第3受光部における第3光量信号を測定する。第2波長を有する光を、上記試料と同種類の試料を収容する上記第2容器に照射し、該第2容器を透過した上記第2波長を有する光を受光した第4受光部における第4光量信号を測定する。上記第1光量信号と上記第2光量信号とはその比が対数変換されて上記混合物の吸光度が算出される。上記第3光量信号と上記第4光量信号とはその比が対数変換されて上記試料の吸光度が算出される。上記混合物の吸光度と上記試料の吸光度との差分から上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化が算出される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態の抗酸化測定装置の平面図である。
【図2】図1の抗酸化値測定装置の部分拡大平面図である。
【図3】図1の抗酸化値測定装置の部分概略断面図である。
【図4】図1の抗酸化値測定装置における測定時の光路を示す図である。
【図5】図1の抗酸化値測定装置の制御部の回路図である。
【図6】別の実施形態における照射部と容器と受光部との位置関係を示す概略断面図である。
【図7】更に別の実施形態における照射部と容器と受光部との位置関係を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
測定装置は、第1照射部と、第2照射部と、第1受光部と、第2受光部と、第3照射部と、第4照射部と、第3受光部と、第4受光部と、演算部とを具備する。上記第1照射部は、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に対し第1波長を有する光を照射する。上記第2照射部は、上記第1容器に対し第2波長を有する光を照射する。上記第1受光部は、上記第1容器を介して上記第1照射部と対向配置され、上記第1照射部から照射され上記第1容器を透過した光を受光する。上記第2受光部は、上記第1容器を介して上記第2照射部と対向配置され、上記第2照射部から照射され上記第1容器を透過した光を受光する。上記第3照射部は、上記試料と同種類の試料を収容する第2容器に対し上記第1波長を有する光を照射する。上記第4照射部は、上記第2容器に対し上記第2波長を有する光を照射する。上記第3受光部は、上記第2容器を介して上記第3照射部と対向配置され、上記第3照射部から照射され上記第2容器を透過した光を受光する。上記第4受光部は、上記第2容器を介して上記第4照射部と対向配置され、上記第4照射部から照射され上記第2容器を透過した光を受光する。上記演算部は、上記第1受光部、上記第2受光部、上記第3受光部及び上記第4受光部にて受光された光の光量に基づいて、上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化を算出する。
【0011】
この測定装置によれば、第1受光部と第2受光部それぞれで受光した光の光量信号の比から、試料と試薬の混合物の吸光度が算出される。ここで、例えば第2照射部から照射される第1波長を有する光を、試薬による試料の色の変化があっても透過率が変化しない領域の波長の光(基準光)とすると、算出される混合物の吸光度は、試料自体の着色がキャンセルされるように補正された値となる。そして、第3受光部と第4受光部それぞれでの受光した光の光量信号の比から算出された試料における吸光度分を、混合物の吸光度から差し引くように補正することにより、更に試料自体の着色がキャンセルされるように補正される。したがって、試料自体の着色をキャンセルする補正を2回行うこととなり、精度良い測定を行うことができる。例えば試料の量などによって着色の度合が異なっても安定した測定を行うことができる。また、1つの測定装置で、試料と試薬の混合物の吸光度と、試料の吸光度を同時に測定することができる。
【0012】
上記測定装置は、上記第1照射部から照射された光は、上記第1容器によって集光されて上記第1受光部に受光され、上記第2照射部から照射された光は、上記第1容器によって集光されて上記第2受光部に受光され、上記第3照射部から照射された光は、上記第2容器によって集光されて上記第3受光部に受光され、上記第4照射部から照射された光は、上記第2容器によって集光されて上記第4受光部に受光される。
【0013】
この装置によれば、透過する光を集光させるよう第1容器及び第2容器にレンズ効果を持たせることができる。したがって、光を集光する為のレンズを別に設ける必要がなく、測定装置全体の小型化が可能である。
【0014】
上記測定装置は、上記第1容器及び上記第2容器は、水平面における断面形状が5〜12mmの内径dの円の円筒形または球形を有し、上記各照射部は発光面が2.6mm以下の有効直径を有し、上記各受光部は5.8mm以下の有効幅を有し、互いに対向して配置される上記発光面と上記受光部の受光面との距離はdの5倍以下であり、上記円の中心と上記円それぞれに対応する上記発光面との距離をaとし、上記中心と上記円それぞれに対応する上記受光面との距離をbとした時、a=d×1.1〜4.5、b=d×0.5〜3.9である。
【0015】
この装置によれば、第1容器及び上記第2容器を断面形状が5〜12mmの外径dの円の円筒形または球形とし、各照射部の発光面の有効直径を2.6mm以下とし、各受光部の有効幅を5.8mm以下とし、互いに対向して配置される発光面と受光部の受光面との距離をdの5倍以下とした設計範囲とした場合、容器の断面の円形の中心と発光面との距離をaとし、断面円形の中心と受光部との距離をbとした時、aがdの1.1〜4.5倍、bがdの0.5〜3.9倍とすることにより、容器の厚さや材質が異なったり、試料の物性が異なったり、光源の波長などによる屈折率の違いがあっても、第1容器及び第2容器によって受光面上に光を適切に集光することが可能である。
【0016】
上記測定装置は、上記第1波長は、その照射により上記試薬による上記混合物の透過率が変化する波長領域に設定され、上記第2波長は、その照射により上記試薬による上記混合物の透過率が変化しない波長領域に設定される。
【0017】
この装置によれば、第2波長が、試薬による試料の色の変化があっても透過率が変化しない領域の波長の光(基準光)となるので、第1受光部と第2受光部での受光量から算出された吸光度は、試料自体の着色がキャンセルされた値となる。
【0018】
上記測定装置は、上記演算部では、上記第1受光部及び上記第2受光部によりそれぞれ検出された光量信号の比を対数変換することにより上記混合物の吸光度と、上記第3受光部及び上記第4受光部によりそれぞれ検出された光量信号の比を対数変換することにより上記試料の吸光度とが算出され、上記混合物の吸光度と上記試料の吸光度の差分から上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化が算出される。
【0019】
この装置によれば、第1受光部及び第2受光部によりそれぞれ検出された光量信号の比を対数変換することにより試料の着色自体がキャンセルされるように補正された混合物の吸光度が算出される。そして、混合物の吸光度と試料の吸光度の差分を求めることにより、更に試料の着色自体がキャンセルされるように補正された、試料の試薬の添加による吸光度の変化が算出される。
【0020】
上記測定装置は、上記第1照射部から照射され上記第1受光部に受光されるまでの上記第1波長を有する光の第1光路と、上記第2照射部から照射され上記第2受光部に受光されるまでの上記第2波長を有する光の第2光路とは、直交し、上記第3照射部から照射され上記第3受光部に受光されるまでの上記第1波長を有する光の第1光路と、上記第4照射部から照射され上記第4受光部に受光されるまでの上記第2波長を有する光の第4光路とは、直交する。
【0021】
この装置によれば、それぞれ互いに直交する第1光路と第2光路、第3光路と第4光路とを例えば同一水平面上に配置することができ、水平面と垂直な方向における測定装置の大きさを小さくすることができる。
【0022】
上記測定装置は、上記第1照射部から照射され上記第1受光部に受光されるまでの上記第1波長を有する光の第1光路と、上記第2照射部から照射され上記第2受光部に受光されるまでの上記第2波長を有する光の第2光路とは、互いに異なる水平面上に配置され、上記第3照射部から照射され上記第3受光部に受光されるまでの上記第1波長を有する光の第1光路と、上記第4照射部から照射された上記第4受光部に受光されるまでの上記第2波長を有する光の第4光路とは、互いに異なる水平面上に配置される。
【0023】
この装置によれば、第1光路と第2光路とは互いに異なる水平面上に配置されるので、第1照射部及び第2照射部の照射のタイミングを同時にしても、第1容器41に照射される箇所が異なるため、互いの光に影響されることなく、第1受光部及び第2受光部それぞれで受光が可能となる。従って、照射のタイミングをずらすことなく同時に行うことができるため、測定時間を短縮することができる。同様に、第3光路と第4光路とは互いに異なる水平面上に配置されるので、第3照射部及び第4照射部の照射のタイミングを同時にしても、第2容器31に照射される箇所が異なるため、互いの光に影響されることなく、第3受光部及び第4受光部それぞれで受光が可能となる。従って、照射のタイミングをずらすことなく同時に行うことができるため、測定時間を短縮することができる。
【0024】
他の測定装置は、第1照射部と、第2照射部と、第1受光部と、第3照射部と、第4照射部と、第2受光部と、演算部とを具備する。上記第1照射部は、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に対し第1波長を有する光を照射する。上記第2照射部は、上記第1容器に対し第2波長を有する光を照射する。上記第1受光部は、上記第1容器を介して上記第1照射部及び第2照射部と対向配置され、上記第1照射部から照射され上記第1容器を透過した光及び上記第2照射部から照射され上記第1容器を透過した光を受光する。第3照射部は、上記試料と同種類の試料を収容する第2容器に対し上記第1波長を有する光を照射する。第4照射部は、上記第2容器に対し上記第2波長を有する光を照射する。第2受光部は、上記第2容器を介して上前記第3照射部及び第4照射部と対向配置され、上記第3照射部から照射され上記第2容器を透過した光及び上記第4照射部から照射され上記第2容器を透過した光を受光する。演算部は、上記第1受光部及び上記第2受光部にて受光された光の光量に基づいて、上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化を算出する。
【0025】
この測定装置によれば、第1照射部及び第2照射部からそれぞれ照射され第1受光部で受光した光の光量信号の比から、試料と試薬の混合物の吸光度が算出される。ここで、例えば第2照射部から照射される第1波長を有する光を、試薬による試料の色の変化があっても透過率が変化しない領域の波長の光(基準光)とすると、算出される混合物の吸光度は、試料自体の着色がキャンセルされるように補正された値となる。そして、第3照射部及び第4照射部からそれぞれ照射され第3受光部で受光した光の光量信号の比から算出された試料における吸光度分を、混合物の吸光度から差し引くように補正することにより、更に試料自体の着色がキャンセルされるように補正される。したがって、試料自体の着色をキャンセルする補正を2回行うこととなり、精度良い測定を行うことができる。また、各照射部毎に受光部を設ける場合と比較し、受光部の素子個体差が測定に影響しない。
【0026】
測定方法は、第1波長を有する光を、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に照射し、該第1容器を透過した前記第1波長を有する光を受光した第1受光部における第1光量信号を測定することを含む。第2波長を有する光を、上記混合物を収容する上記第1容器に照射し、該第1容器を透過した前記第2波長を有する光を受光した第2受光部における第2光量信号を測定する。第1波長を有する光を、上記試料と同種類の試料を収容する第2容器に照射し、該第2容器を透過した上記第1波長を有する光を受光した第3受光部における第3光量信号を測定する。第2波長を有する光を、上記試料と同種類の試料を収容する上記第2容器に照射し、該第2容器を透過した上記第2波長を有する光を受光した第4受光部における第4光量信号を測定する。上記第1光量信号と上記第2光量信号とはその比が対数変換されて上記混合物の吸光度が算出される。上記第3光量信号と上記第4光量信号とはその比が対数変換されて上記試料の吸光度が算出される。上記混合物の吸光度と上記試料の吸光度との差分から上記試料の上記試薬の添加による吸光度の変化が算出される。
【0027】
この測定方法によれば、第1光量信号と第2光量信号の比を対数変換することにより試料の着色自体がキャンセルされるように補正された混合物の吸光度が算出される。そして、混合物の吸光度と試料の吸光度の差分を求めることにより、更に試料の着色自体がキャンセルされるように補正された、試料の試薬の添加による吸光度の変化が算出される。
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0029】
[抗酸化値測定装置の構成]
図1は、一実施形態に係る抗酸化値測定装置の平面図である。図2は、図1の抗酸化値測定装置の一部を構成する測定部の部分拡大平面図である。図3は、図2に示す測定部の部分概略断面図であり、フォトダイオードと容器と発光ダイオードとの位置関係を示す図である。本実施形態に係わる抗酸化値測定装置は、例えばオレンジジュース等の飲料の抗酸化値を測定するものであり、例えばA5サイズ程度の携帯可能な大きさとなっており、所望の場所で測定可能である。
【0030】
図1に示すように、抗酸化値測定装置1は、本体20と、本体20に電気的に接続されたACアダプタ10とを備える。
【0031】
本体20は、測定部21と、測定開始を指示するためのスイッチボタン22と、測定結果を表示する液晶ディスプレイ23と、後述する制御部(図示せず)と、を有する。
【0032】
図1及び図2に示すように、測定部21は、第1測定部40と測定第2測定部30とを有する。第1測定部40と第2測定部30は、測定対象物が異なるのみで、構成は同じである。第1測定部40では試薬が加えられた試料の吸光度が測定され、第2測定部30では試薬が加えられていない試料の吸光度が測定される。抗酸化値測定装置1では、試薬の添加により試料の色が変化、言い換えれば、ある波長における吸光度が変化することを利用して、試料の抗酸化値が測定される。本実施形態では、第1測定部40及び第2測定部30それぞれで測定された吸光度の差分から試料の抗酸化値が測定される。測定対象物である試料としては、例えばオレンジジュースやお茶など飲料等を用いることができるが、これらに限定はされない。
【0033】
本実施形態において、試薬として、PAO(商品名、日研ザイル(株)日本老化制御研究所製)を用いた。PAOにはCu2+と、Cuと第1波長である450nm〜490nmにおいて吸光を示す発色試薬が含まれている。本試薬では、Cu2+が試料の添加により還元反応が生じてCuになって、発色試薬によって色が変化することを利用して、試料の抗酸化性を測定することができる。このように銅の還元反応を利用した試薬の他に、鉄の還元反応を利用した試薬を用いることもできる。
【0034】
第1測定部40は、第1保持部48と、第1照射部としての発光ダイオードa(LEDa)44と、第2照射部としての発光ダイオードb(LEDb)45と、第1受光部としてのフォトダイオードa(PDa)43と、第2受光部としてのフォトダイオードb(PDb)42とを備える。
【0035】
第1保持部48は、測定対象物である試料と試薬との混合物が収容される第1容器41を保持する。第1保持部48では、発光ダイオードa44から照射された光が第1容器41に照射され、更に第1容器41を透過してフォトダイオードa43に受光されるまでの第1光路46に相当する箇所は貫通孔になっている。同様に、発光ダイオードb45から照射された光が第1容器41に照射され、更に第1容器41を透過してフォトダイオードb42に受光されるまでの第2光路47に相当する箇所も貫通孔となっている。第1光路46と第2光路47とが直交するように、発光ダイオードa44と、発光ダイオードb45と、フォトダイオードa43と、フォトダイオードb42とは、配置される。
【0036】
発光ダイオードa44は、第1波長である490nmの波長を有する光を照射するものである。第1波長としては、試薬の付加による色の変化が検出可能な波長、すなわち試薬の付加により測定される透過率に変化が生じる領域の波長が使用され、450nm〜490nmの波長を使用することができる。本実施形態では490nmの波長を採用した。
【0037】
発光ダイオードb45は、第2波長である625nmの波長を有する光を照射するものである。第2波長としては、試薬の付加による色の変化が検出されない領域の波長、すなわち試薬の付加により測定される透過率に変化が生じない領域の波長が使用される。
【0038】
図2及び図3に示すように、フォトダイオードa43は、第1保持部48に保持される第1容器41を介して発光ダイオードa44と対向配置され、発光ダイオードa44から照射され第1容器41を透過して第1容器41によって集光される490nmの波長を有する光を受光する。フォトダイオードb42は、第1保持部48に保持される第1容器41を介して発光ダイオードb45と対向配置され、発光ダイオードb45から照射され第1容器41を透過して第1容器41によって集光される625nmの波長を有する光を受光する。
【0039】
図2に示すように、第2測定部30は、第2保持部38と、第3照射部としての発光ダイオードc(LEDc)34と、第4照射部としての発光ダイオードd(LEDd)35と、第3受光部としてのフォトダイオードc(PDc)33と、第4受光部としてのフォトダイオードd(PDd)32とを備える。
【0040】
第2保持部38は、測定対象物である試料が収容される第2容器31を保持する。第2容器31に収容される試料は、第1容器41に収容される混合物に含まれる試料と同じものである。第2保持部38では、発光ダイオードc34から照射された光が第2容器31に照射され、更に第2容器31を透過してフォトダイオードc33に受光されるまでの第3光路36に相当する箇所は貫通孔となっている。同様に、発光ダイオードd35から照射された光が第2容器31に照射され、更に第2容器31を透過してフォトダイオードd32に受光されるまでの第4光路37に相当する箇所も貫通孔となっている。第3光路36と第4光路37とが直交するように、発光ダイオードc34と、発光ダイオードd35と、フォトダイオードc33と、フォトダイオードd32とは、配置される。
【0041】
第1測定部40での測定結果と第2測定部30での測定結果の比較から抗酸化値を求めるため、第2測定部30では第1測定部40と同等の方法で試料の吸光度を算出するため、発光ダイオードc34は、第1波長である490nmの波長を有する光を照射するものとし、発光ダイオードd35は、第2波長である625nmの波長を有する光を照射するものとした。
【0042】
図2及び図3に示すように、フォトダイオードc33は、第2保持部38に保持される第2容器31を介して発光ダイオードc34と対向配置され、発光ダイオードc34から照射され第2容器31を透過して第2容器31によって集光される490nmの波長を有する光を受光する。フォトダイオードd32は、第2保持部38に保持される第2容器31を介して発光ダイオードd35と対向配置され、発光ダイオードd35から照射され第2容器31を透過して第2容器31によって集光される625nmの波長を有する光を受光する。
【0043】
第1容器41及び第2容器31は、例えばガラスやプラスチックなどの透明の材質からなる。
【0044】
図4は、発光ダイオード35(34、45、44)から照射され第1容器31(第2容器41)を透過してフォトダイオード32(33、42、43)に受光されるまでの光の経路を示す平面図である。図4に示すように、第1容器41及び第2容器31は、ともに水平方向における断面が内径dの円形の断面を有する円筒形または球形をなしており、本実施形態では円筒形を有している。図4に示すように、発光ダイオード35(34、45、44)から照射された光は、第1容器31(第2容器41)によって集光された状態でフォトダイオード32(33、42、43)で受光される。このように、第1容器31及び第2容器41にレンズ効果を持たせ、透過する光を集光させることにより、フォトダイオード32(33、42、43)で検出される出力が高くなり、精度良く測定を行うことができる。このように試料を収容する容器にレンズ効果を持たせることにより、光を集光する為のレンズを別に設ける必要がなく、測定装置全体の小型化が可能である。
【0045】
本実施形態において、第1容器41及び第2容器31の断面の円形の直径dは5〜12mm、光源である発光ダイオード35(34、45、44)の光源面35a(34a、45a、44a)の有効直径は2.6mm以下、受光素子であるフォトダイオード32(33、34、45、44)の有効幅は5.8mm以下、発光面32a(33a、34a、45a、44a)からフォトダイオードの受光面までの距離は直径dの5倍とした。この設計範囲内において、図4に示すように、第1容器41及び第2容器31の断面の円形の中心と発光ダイオード35(34、45、44)との距離をaとし、断面円形の中心とフォトダイオード32(33、42、43)との距離をbとした時、aがdの1.1〜4.5倍、bがdの0.5〜3.9倍であることが望ましい。これにより、上述の設計範囲内において、試料を収容する容器(第1容器41及び第2容器31)の厚さや材質が異なったり、試料の物性が異なったり、光源の波長などによる屈折率の違いがあっても、フォトダイオード32(33、34、45、44)上に光を適切に集光することが可能である。
【0046】
次に、図5を用いて抗酸化値測定装置1に組み込まれている制御部60について説明する。図5は制御部を示す図である。
【0047】
図5に示すように、制御部60は、ACアダプタ10を介して電源が供給されるLED用電源回路65と、アナログ用電源回路76と、デジタル用電源回路85と、発光ダイオード(LED)ドライブ回路a61、発光ダイオード(LED)ドライブ回路b62、発光ダイオード(LED)ドライブ回路c63、発光ダイオード(LED)ドライブ回路d64と、電流−電圧変換・増幅回路a71と、電流−電圧変換・増幅回路b72と、電流−電圧変換・増幅回路c73と、電流−電圧変換・増幅回路d74と、マルチプレクサ・AD変換回路75と、演算部としてのCPU(Central Processing Unit)80と、EEPROM81と、LCDドライブ回路82と、コマンドボタンI/F回路83と、USB−232CI/F回路84とを備える。
【0048】
LED用電源回路65は、各発光ダイオードa〜d(符号44、45、34、35)の点灯を制御する発光ダイオード(LED)ドライブ回路a61、発光ダイオード(LED)ドライブ回路b62、発光ダイオード(LED)ドライブ回路c63、発光ダイオード(LED)ドライブ回路d64に接続される。
【0049】
アナログ用電源回路76は、電流−電圧変換・増幅回路a71、電流−電圧変換・増幅回路b72、電流−電圧変換・増幅回路c73、電流−電圧変換・増幅回路d74、及びマルチプレクサ・AD変換回路75に接続されている。各電流−電圧変換・増幅回路a〜d(71〜74)は、それぞれ各フォトダイオードa〜d(符号43,42、33、32)に接続される
【0050】
デジタル用電源回路85は、マルチプレクサ・AD変換回路75、CPU80、LCDドライブ回路82、USB−RS232CI/F回路84に接続される。
【0051】
試料の試薬の添加による吸光度の変化を算出する演算部としてのCPU80は、各LEDドライブ回路a〜d(符号61〜64)、マルチプレクサ・AD変換回路75、EEPROM81、LCDドライブ回路82、コマンドボタンI/F回路83、USB−232CI/F回路84に接続される。
【0052】
CPU80では、各発光ダイオードa〜d(符号44、45、34、35)の点灯の開始時間及び終了時間の制御、フォトダイオードa〜d(符号43,42、33、32)の出力結果に基づいて第1測定部40及び第2測定部30それぞれにおける吸光度の算出、及び第1測定部40及び第2測定部30それぞれにおける吸光度の差分からの抗酸化値の算出が行われる。
【0053】
電流−電圧変換・増幅回路a〜d(71〜74)は、フォトダイオードa〜d(43、42、33、32)から検出される電流を電圧値に変換し増幅し、光量信号とするものである。
【0054】
マルチプレクサ・AD変換回路75は、各電流−電圧変換・増幅回路a〜d(71〜74)から入力された光量信号をデジタル信号しCPU80に出力するものである。
【0055】
EEPROM81は、検量線データ、各フォトダイオードa〜d(符号43,42、33、32)で測定された光量信号や第1測定部40及び第2測定部30それぞれにおける吸光度などが書きこまれるものである。
【0056】
LCDドライブ回路82は、算出された抗酸化値を液晶表示部(LCD)23に表示させるものである。
【0057】
コマンドボタンI/F回路83は、操作者によるスイッチボタン22の押圧により、測定開始を指示するものである。
【0058】
USB−232CI/F回路84は、必要に応じ抗酸化値測定装置1の本体20に設けられているUSB端子86(USB CN)を介して、本体20とパソコンなどの外部機器とを接続するものである。
【0059】
[抗酸化値測定装置の操作方法及び操作時における制御部の動作]
次に、上述した本発明の一実施形態における、抗酸化値測定装置1の操作方法及び操作時における制御部の動作について説明する。
【0060】
まず、第1容器41と第2容器31を用意する。第1容器41のみに予め試薬が収容されている。次に、第1容器41、第2容器31それぞれに測定対象物である、例えばオレンジジュースなどを試料として入れる。また、抗酸化値測定装置1の電源をいれる。
【0061】
次に、第1容器41を第1保持部48に、第2容器31を第2保持部38に保持し、スイッチボタン22を押すことにより測定が開始される。
【0062】
制御部60では、コマンドボタンI/F回路84により測定開始の指示がCPU80になされ、CPU80により、各発光ダイオードの点灯の開始時間及び終了時間のタイミングが制御される。まず、第1測定部40、第2測定部30それぞれにおいて、発光ダイオードa44、発光ダイオードc34の点灯が開始される。発光ダイオードa44、発光ダイオードc34それぞれから出射された490nmの波長を有する光は、それぞれ第1容器41、第2容器31に照射され、各容器を透過し、各容器によって集光され、フォトダイオードa43、フォトダイオードc33に受光される。受光によってフォトダイオードa43、フォトダイオードc33から検出される電流は、電流−電圧変換・増幅回路a71、電流−電圧変換・増幅回路c73でそれぞれ電圧値に変換、増幅され、マルチプレクサ・AD変換回路75に第1光量信号、第2光量信号として入力される。マルチプレクサ・AD変換回路75に入力された各光量信号はデジタル信号に変換されてCPU80に出力される。デジタル化された各光量信号はCPU80内のRAMに書き込まれる。その後、発光ダイオードa44、発光ダイオードc34の点灯が終了される。
【0063】
次に、第1測定部40、第2測定部30それぞれにおいて、発光ダイオードb45、発光ダイオードd35の点灯が開始される。発光ダイオードb45、発光ダイオードd35それぞれから出射された625nmの波長を有する光は、それぞれ第1容器41、第2容器31に照射され、容器を透過し、容器によって集光され、フォトダイオードb42、フォトダイオードd32に受光される。受光によってフォトダイオードb42、フォトダイオードd32から検出される電流は、電流−電圧変換・増幅回路b72、電流−電圧変換・増幅回路d74でそれぞれ電圧値に変換、増幅され、マルチプレクサ・AD変換回路75に第3光量信号、第4光量信号として入力される。マルチプレクサ・AD変換回路75に入力された各光量信号はデジタル信号に変換されてCPU80に出力される。デジタル化された各光量信号はCPU80によって内のRAMに書き込まれる。その後、発光ダイオードb45、発光ダイオードc35の点灯が終了される。
【0064】
次に、CPU80にて、フォトダイオードa43及びフォトダイオードb42それぞれで検出された第1光量信号、第3光量信号の比を対数変換することにより第1容器41内の混合物の吸光度が算出される。これにより、試料自体の着色をキャンセルする補正がなされた吸光度を得ることができる。また、フォトダイオードc33及びフォトダイオードd32それぞれで検出された第2光量信号、第4光量信号の比を対数変換することにより第2容器31内の試料の吸光度が算出される。
【0065】
次に、CPU80によって、混合物の吸光度と試料の吸光度の差分およびEEPROM81にあらかじめ書き込まれている検量線から試料の抗酸化値が算出される。このように、混合物の吸光度と試料の吸光度の差分から算出することにより、更に試料自体の着色をキャンセルするように補正される。算出された抗酸化値は、LCDドライブ回路82により、液晶表示部(LCD)23に表示される。
【0066】
以上のように、本実施形態における測定装置は、試料自体の着色を2回キャンセルする補正がなされているため、精度のよい測定を行うことができる。また、測定装置自体が携帯可能に小型化されており、かつ、精度良い測定を行うことができるため、研究所などに試料を持ち帰ることなく、例えば測定対象物であるジュースが販売されている自動販売機の直近で、ジュースの抗酸化値等を、容易に、かつ安定して正確な測定を行うことができる。また、受光部として安価なフォトダイオードを用いることができ、安価な測定装置を得ることができる。また、照射部として、発熱量が少ない発光ダイオードを用いることにより、電力の削減、長期間交換の必要がない。
【0067】
本発明における測定装置は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、抗酸化値を求めたが、試薬を変え、試薬による色の変化を測定することによってある特定の化学物質を定量的に測定することも可能である。また、上述の実施形態においては、第1光路と第2光路、第3光路と第4光路とは、それぞれ同一水平面上に直交して配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば図6に示すように、第1発光ダイオード135(第3発光ダイオード235)から照射された第1波長を有する光が第1フォトダイオード132(第3フォトダイオード232)に受光されるまでの第1光路137(第3光路237)と、第2発光ダイオード134(第4発光ダイオード234)から照射された第2波長を有する光が第3フォトダイオード133(第4フォトダイオード233)に受光されるまでの第2光路136(第4光路236)とが、異なる水平面に位置する、言い換えると水平面と垂直な方向に沿って上下に位置するように配置してもよい。これにより、第1容器41(又は第2容器31)内の混合物(又は試料)が均一な濃度の場合には、1つの容器に対し、位置の異なる2箇所で各波長における測定を同時に行うことができる。したがって、測定時間を短縮することが可能となる。尚、図6においては、第1光路137(第3光路237)と第2光路136(第4光路236)とが平行に配置されているが、直交するように配置してもよい。
【0068】
また、図6では、異なる波長を有する発光ダイオードそれぞれに対応してフォトダイオードを1つずつ設けたが、図7に示すように、発光ダイオード135(235)及び134(234)から照射される光を共通のフォトダイオード332(333)で受光する構成としてもよい。この場合、発光ダイオード135(235)を用いた測定と発光ダイオード134(234)を用いた測定とを同時には行わず、別のタイミングで測定を行う。このような構成を測定装置に採用する場合、第1測定部に、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器41に対し第1波長を有する光を照射する第1照射部135と、第1容器41に対し第2波長を有する光を照射する第2照射部134と、第1容器41を介して第1照射部135及び第2照射部134と対向配置され、第1照射部135から照射され第1容器41を透過した光及び第2照射部134から照射され第1容器41を透過した光を受光する第1受光部332を設ける。第2測定部に、試料と同種類の試料を収容する第2容器31に対し第1波長を有する光を照射する第3照射部235と、第2容器31に対し第2波長を有する光を照射する第4照射部234と、第2容器31を介して第3照射部235及び第4照射部234と対向配置され、第3照射部235から照射され第2容器31を透過した光及び第4照射部234から照射され第2容器31を透過した光を受光する第2受光部333とを設ける。そして、第1受光部332及び第2受光部333にて受光された光の光量に基づいて、試料の試薬の添加による吸光度の変化を算出する構成とすればよい。このように各測定部において、受光部を一つにすることにより部品点数を削減することができ、コストを下げることができる。更に、各照射部毎に受光部を設ける場合と比較し、受光部の素子個体差が測定に影響しない。
【0069】
なお、上述の実施形態においては、試薬としてPAOを用いたが、他の試薬を用いる場合、第1波長として、340nm〜950nm、より好ましくは400nm〜600nm、更に好ましくは、450nm〜490nmの波長を用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1…抗酸化測定装置
31…第2容器
32…フォトダイオードd
32a、33a、34a、45a、44a・・・発光面
33…フォトダイオードc
34…発光ダイオードc
34a、35a、45a、44a・・・光源面
35…発光ダイオードd
36…第4光路
37…第3光路
38…第2保持部
41…第1容器
42…フォトダイオードb
43…フォトダイオードa
44…発光ダイオードa
45…発光ダイオードb
46…第2光路
47…第1光路
48…第1保持部
80…CPU
132…第1フォトダイオード
133…第2フォトダイオード
134…第2発光ダイオード
135…第1発光ダイオード
136…第2光路
137…第1光路
232…第3フォトダイオード
233…第4フォトダイオード
234…第4発光ダイオード
235…第3発光ダイオード
236…第2光路
237…第1光路
332…第1フォトダイオード
333…第2フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に対し第1波長を有する光を照射する第1照射部と、
前記第1容器に対し第2波長を有する光を照射する第2照射部と、
前記第1容器を介して前記第1照射部と対向配置され、前記第1照射部から照射され前記第1容器を透過した光を受光する第1受光部と、
前記第1容器を介して前記第2照射部と対向配置され、前記第2照射部から照射され前記第1容器を透過した光を受光する第2受光部と、
前記試料と同種類の試料を収容する第2容器に対し前記第1波長を有する光を照射する第3照射部と、
前記第2容器に対し前記第2波長を有する光を照射する第4照射部と、
前記第2容器を介して前記第3照射部と対向配置され、前記第3照射部から照射され前記第2容器を透過した光を受光する第3受光部と、
前記第2容器を介して前記第4照射部と対向配置され、前記第4照射部から照射され前記第2容器を透過した光を受光する第4受光部と、
前記第1受光部、前記第2受光部、前記第3受光部及び前記第4受光部にて受光された光の光量に基づいて、前記試料の前記試薬の添加による吸光度の変化を算出する演算部と
を具備する測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の測定装置であって、
前記第1照射部から照射された光は、前記第1容器によって集光されて前記第1受光部に受光され、
前記第2照射部から照射された光は、前記第1容器によって集光されて前記第2受光部に受光され、
前記第3照射部から照射された光は、前記第2容器によって集光されて前記第3受光部に受光され、
前記第4照射部から照射された光は、前記第2容器によって集光されて前記第4受光部に受光される
測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の測定装置であって、
前記第1容器及び前記第2容器は、水平面における断面形状が5〜12mmの外径dの円の円筒形または球形を有し、
前記各照射部は発光面が2.6mm以下の有効直径を有し、
前記各受光部は5.8mm以下の有効幅を有し、
互いに対向して配置される前記発光面と前記受光部の受光面との距離はdの5倍以下であり、
前記円の中心と前記円それぞれに対応する前記発光面との距離をaとし、前記中心と前記円それぞれに対応する前記受光面との距離をbとした時、
a=d×1.1〜4.5、b=d×0.5〜3.9である
測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の測定装置であって、
前記第1波長は、その照射により前記試薬による前記混合物の透過率が変化する波長領域に設定され、
前記第2波長は、その照射により前記試薬による前記混合物の透過率が変化しない波長領域に設定される
測定装置。
【請求項5】
請求項4記載の測定装置であって、
前記演算部では、前記第1受光部及び前記第2受光部によりそれぞれ検出された光量信号の比を対数変換することにより前記混合物の吸光度と、前記第3受光部及び前記第4受光部によりそれぞれ検出された光量信号の比を対数変換することにより前記試料の吸光度とが算出され、前記混合物の吸光度と前記試料の吸光度の差分から前記試料の前記試薬の添加による吸光度の変化が算出される
測定装置。
【請求項6】
請求項5記載の測定装置であって、
前記第1照射部から照射され前記第1受光部に受光されるまでの前記第1波長を有する光の第1光路と、前記第2照射部から照射され前記第2受光部に受光されるまでの前記第2波長を有する光の第2光路とは、直交し、
前記第3照射部から照射され前記第3受光部に受光されるまでの前記第1波長を有する光の第1光路と、前記第4照射部から照射され前記第4受光部に受光されるまでの前記第2波長を有する光の第4光路とは、直交する
測定装置。
【請求項7】
請求項5記載の測定装置であって、
前記第1照射部から照射され前記第1受光部に受光されるまでの前記第1波長を有する光の第1光路と、前記第2照射部から照射され前記第2受光部に受光されるまでの前記第2波長を有する光の第2光路とは、互いに異なる水平面上に配置され、
前記第3照射部から照射され前記第3受光部に受光されるまでの前記第1波長を有する光の第1光路と、前記第4照射部から照射された前記第4受光部に受光されるまでの前記第2波長を有する光の第4光路とは、互いに異なる水平面上に配置される
測定装置。
【請求項8】
試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に対し第1波長を有する光を照射する第1照射部と、
前記第1容器に対し第2波長を有する光を照射する第2照射部と、
前記第1容器を介して前記第1照射部及び第2照射部と対向配置され、前記第1照射部から照射され前記第1容器を透過した光及び前記第2照射部から照射され前記第1容器を透過した光を受光する第1受光部と、
前記試料と同種類の試料を収容する第2容器に対し前記第1波長を有する光を照射する第3照射部と、
前記第2容器に対し前記第2波長を有する光を照射する第4照射部と、
前記第2容器を介して前記第3照射部及び第4照射部と対向配置され、前記第3照射部から照射され前記第2容器を透過した光及び前記第4照射部から照射され前記第2容器を透過した光を受光する第2受光部と、
前記第1受光部及び前記第2受光部にて受光された光の光量に基づいて、前記試料の前記試薬の添加による吸光度の変化を算出する演算部と
を具備する測定装置。
【請求項9】
第1波長を有する光を、試料及び試薬の混合物を収容する第1容器に照射し、該第1容器を透過した前記第1波長を有する光を受光した第1受光部における第1光量信号を測定し、
第2波長を有する光を、前記混合物を収容する前記第1容器に照射し、該第1容器を透過した前記第2波長を有する光を受光した第2受光部における第2光量信号を測定し、
第1波長を有する光を、前記試料と同種類の試料を収容する第2容器に照射し、該第2容器を透過した前記第1波長を有する光を受光した第3受光部における第3光量信号を測定し、
第2波長を有する光を、前記試料と同種類の試料を収容する前記第2容器に照射し、該第2容器を透過した前記第2波長を有する光を受光した第4受光部における第4光量信号を測定し、
前記第1光量信号と前記第2光量信号との比を対数変換して前記混合物の吸光度を算出し、
前記第3光量信号と前記第4光量信号との比を対数変換して前記試料の吸光度を算出し、
前記混合物の吸光度と前記試料の吸光度との差分から前記試料の前記試薬の添加による吸光度の変化を算出する
測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−17662(P2011−17662A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163641(P2009−163641)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(503172758)株式会社テクノサイエンス (2)
【Fターム(参考)】