説明

測距点選択システム、オートフォーカスシステム、およびカメラ

【課題】検出した顔の位置に適した測距点を選択する。
【解決手段】デジタル一眼レフカメラ10は撮像素子14、DSP16、およびCPU17を有する。撮像素子14は受光した光学像に相当する画像信号を生成する。DSP16は画像信号に基づいて撮像した光学像の中から顔を主要な被写体として検出する。全撮影範囲の中に複数の測距点が予め定められている。CPU17は検出した顔の位置との距離が最小となる測距点を複数の測距点の中から選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に対して迅速に合焦させるために、複数の測距点の中から合焦に用いる測距点を選択する測距点選択システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を撮像面において自動的に合焦させるオートフォーカス(AF)機能として、位相差AF機能およびコントラストAF機能が知られている。
【0003】
従来のデジタル一眼レフカメラでは、合焦動作が短時間で完了する位相差AF機能が実行されることが一般的であった。位相差AF機能の実行においては、撮影範囲内の定められた測距点に位置する光学像を撮像面に合焦させるように、フォーカスレンズが変位させられる(特許文献1参照)。
【0004】
最近のデジタル一眼レフカメラでは、撮影待機状態において被写体の光学像をモニタに表示させるライブビュー機能が設けられている。ライブビュー機能を実行するために被写体の光学像は撮像素子に受光される。
【0005】
撮像素子により生成される画像信号はモニタの表示だけでなく、画像の解析に用いることも可能である。例えば、受光した画像を解析することにより、人物の顔等の特定の種類の撮影対象を自動的に検出可能である。検出された撮影対象に対して露出調整や合焦調整を行うことも提案されている。
【0006】
検出された撮影対象の位置は前述のような所定の位置の測距点と一致するわけでないことが一般的である。それゆえ、撮影対象を自動検出する場合には、位相差AF機能でなく、撮影範囲内におけるいずれの位置の被写体に対しても合焦させることが可能なコントラストAF機能が実行されていた。
【0007】
しかし、コントラストAF機能の実行時には、フォーカスレンズを動かしながら合焦しているか否かを判別するため、合焦動作を完了させるまでに時間がかかることが問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−281530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明では、撮影対象を自動で検出可能なカメラに位相差AF機能を実行させるために最適な測距点を選択する測距点選択システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の測距点選択システムは、撮影範囲内における位置が予め定められた複数の測距点の中から位相差AFにより合焦させる被写体である主要被写体の撮影範囲内における位置に対応する一部の測距点を選択する測距点選択システムであって、撮影範囲の光学像を受光し受光した光学像に相当する画像信号を生成する撮像素子と、画像信号に基づいて主要被写体を検出する画像検出部と、画像検出部により検出された主要被写体の撮影範囲内における位置である被写体位置を検出する位置検出部と、被写体位置からの距離が最小となる測距点を選択する選択部とを備えることを特徴としている。
【0011】
さらに、画像検出部は、画像信号に基づいて所定の種類に属するすべての撮影対象を撮影範囲内から検出する対象検出部と、対象検出部に検出された撮影対象の中から単一の撮影対象を主要被写体に決定する決定部とを備えることが好ましい。
【0012】
また、決定部は、対象検出部により検出された複数の撮影対象の中から、所定の基準に基づいて主要被写体を決定することが好ましい。
【0013】
また、画像検出部は任意の撮影対象を選択対象として登録する登録部を有し、対象検出部が複数の撮影対象を検出する場合に選択対象を所定の基準として主要被写体を決定することが好ましい。
【0014】
また、所定の種類に属する撮影対象は顔であることが好ましい。
【0015】
また、すべての複数の測距点の中から選択部により選択される候補となる測距点を指定可能であることが好ましい。
【0016】
本発明のオートフォーカスシステムは、撮影範囲内における位置が予め定められた複数の測距点の位置を記憶するメモリと、撮影範囲の光学像を受光し受光した光学像に相当する画像信号を生成する撮像素子と、画像信号に基づいて合焦させる被写体である主要被写体を検出する画像検出部と、画像検出部により検出された主要被写体の撮影範囲内における位置である被写体位置を検出する第1の位置検出部と、被写体位置からの距離が最小となる測距点を選択する選択部と、選択部により選択された測距点に位置する被写体を合焦状態にするフォーカスレンズの位置を位相差方式で検出する第2の位置検出部と、第2の位置検出部に検出された位置にフォーカスレンズを変位させる駆動部とを備えることを特徴としている。
【0017】
本発明のカメラは、撮影範囲内における位置が予め定められた複数の測距点の位置を記憶するメモリと、撮影範囲の光学像を受光し受光した光学像に相当する画像信号を生成する撮像素子と、画像信号に基づいて合焦させる被写体である主要被写体を検出する画像検出部と、画像検出部により検出された主要被写体の撮影範囲内における位置である被写体位置を検出する第1の位置検出部と、被写体位置からの距離が最小となる測距点を選択する選択部と、選択部により選択された測距点に位置する被写体を合焦状態にするフォーカスレンズの位置を位相差方式で検出する第2の位置検出部と、第2の位置検出部に検出された位置にフォーカスレンズを変位させる駆動部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、主要被写体からの距離が最小となる測距点が最適な測距点として選択されるので、位相差AFにより主要被写体を合焦させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を適用した測距点選択システムを有するデジタル一眼レフカメラの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】撮影範囲内に配置される測距点を示す配置図である。
【図3】顔が検出されたときにLCDに表示される画像である。
【図4】撮影モードにおいてCPUにより実行される各部位の動作の制御を説明するための第1のフローチャートである。
【図5】撮影モードにおいてCPUにより実行される各部位の動作の制御を説明するための第2のフローチャートである。
【図6】CPUにより実行される測距点決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】測距点に付与された番号を説明するための図である。
【図8】CPUにより実行される撮像処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用した測距点選択システムを有するデジタル一眼レフカメラの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0021】
デジタル一眼レフカメラ10は、撮影光学系11、メインミラー12、シャッタ13、撮像素子14、AFE15、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)16、CPU17、およびレンズ駆動機構18などによって構成される。
【0022】
撮影光学系11はフォーカスレンズ11fや変倍レンズ(図示せず)を含む複数のレンズによって形成される。フォーカスレンズ11fおよび変倍レンズはレンズ駆動機構18に駆動されることによって、撮影光学系11の光軸に沿って変位する。
【0023】
撮影光学系11の光軸に垂直となるように、かつ光軸上に撮像素子14が配置される。撮影光学系11により、被写体の光学像が撮像素子14の受光面に結像する。撮影光学系11と撮像素子14との間に、メインミラー12およびシャッタ13が配置される。
【0024】
メインミラー12により撮影光学系11を透過した光学像の伝達先が切替えられる。メインミラー12を閉じた状態では、光学像はペンタプリズム19に向けて反射され、ビューファインダ(図示せず)に伝達される。メインミラー12を上方に開いた状態では、光学像がシャッタ13に到達する。メインミラー12の開閉はミラー駆動機構(図示せず)により実行される。
【0025】
シャッタ13により、光学像の撮像素子14への遮光と到達とが切替えられる。シャッタ13が閉じられるときには、光学像は撮像素子14に到達しない。一方、シャッタ13が開かれるときには、光学像が撮像素子14に到達する。
【0026】
シャッタ13が開かれ、撮像素子14に光学像が到達するときに、光学像に応じた画像信号が生成される。生成された画像信号はAFE15においてCDS処理およびAGC処理が施される。また、A/D変換処理が施され、画像データに変換される。画像データはDSP16に送信される。
【0027】
DSP16において、画像データに所定のデータ処理が施される。所定のデータ処理が施された画像データは画像メモリ20に格納される。または、画像データはLCD21に送信され、画像データに相当する画像がLCD21に表示される。
【0028】
DSP16は、CPU17に接続される。DSP16はCPU17から受信するデータに基づいて、画像データに対するデータ処理、画像データの格納、画像データに対応する画像の表示などの処理を制御する。
【0029】
なお、CPU17はレンズ駆動機構18やAFセンサモジュール22のように、デジタル一眼レフカメラ10の各部位の動作の制御をおこなう。CPU17はROM23に接続される。ROM23には、CPU17による各部位の制御のために必要なデータが格納される。
【0030】
デジタル一眼レフカメラ10は、位相差AF機能またはコントラストAF機能を実行可能である。以下に説明するように、位相差AF機能はメインミラー12を閉じた状態で実行される。また、コントラストAF機能はメインミラー12およびシャッタ13を開いた状態で実行される。
【0031】
メインミラー12とシャッタ13との間に、サブミラー24が設けられる。メインミラー12はハーフミラーであり、撮影光学系11を透過した光の一部はメインミラー12により反射され、上述のようにペンタプリズム19に到達する。また、撮影光学系11を透過した光の一部はメインミラー12を透過して、サブミラー24によりAFセンサモジュール22に向かって反射される。
【0032】
AFセンサモジュール22により合焦ズレ量、すなわちフォーカスレンズ11fの現在位置と被写体を合焦させる位置とのズレが検出される。なお、図2に示すように、AFセンサモジュール22では11個の測距点Pが定められている。撮影範囲CAにおけるいずれかの測距点Pに位置する光学像に対する合焦ズレ量が、AFセンサモジュール22により検出される。
【0033】
AFセンサセンサモジュール22はCPU17に接続される。AFセンサモジュール22はCPU17により制御され、特定の測距点Pにおける合焦ズレ量を検出する。なお、測距点Pは入力ボタン(図示せず)への使用者による入力により特定されてもよいし、後述するようにCPU17により自動的に決定されてもよい。
【0034】
検出された合焦ズレ量はCPU17に伝達される。CPU17は合焦ズレ量に基づいてレンズ駆動機構18を制御し、特定の測距点Pにおける被写体を合焦させる位置にフォーカスレンズ11fを変位させる。このように、位相差AF機能は、検出した合焦ズレ量に基づいてフォーカスレンズ11fを変位させることにより、合焦動作が実行される。
【0035】
一方、コントラストAF機能を実行する場合には、上述のようにメインミラー12およびシャッタ13を開き、被写体の光学像が撮像素子14に導光される。撮像素子14では、連続的に画像信号が生成される。
【0036】
上述のように、生成された画像信号がAFE15を介して、DSP16に伝達される。DSP16では、撮影範囲CAにおける特定の位置のコントラスト値が算出される。なお、特定の位置は、入力ボタンへの使用者による入力により特定されてもよいし、DSP16により自動的に特定されてもよい。
【0037】
1フレームの画像信号の生成を終えると、CPU17の制御に基づいてフォーカスレンズ11fが変位させられる。変位後に、再度1フレームの画像信号が生成される。フォーカスレンズ11fを徐々に変位させながら、それぞれの変位位置において生成される画像信号におけるコントラスト値が算出される。
【0038】
算出されたコントラスト値が最大になるときが、被写体の合焦状態と判別される。コントラスト値が最大となる位置にフォーカスレンズ11fを変位させることにより、コントラストAF機能が実行される。
【0039】
なお、位相差AF機能およびコントラストAF機能ともに、デジタル一眼レフカメラ10の動作モードが撮影モードであるときに実行される。デジタル一眼レフカメラ10は、撮影待機状態において被写体の光学像をビューファインダにより観察可能な第1の撮影モードと撮影待機状態において被写体の光学像をLCD21により観察可能な第2の撮影モードとを有する。なお、第1、第2の撮影モードは入力ボタンへの使用者による入力によりいずれかのモードが選択される。
【0040】
第1の撮影モードでは、撮影待機状態においてメインミラー12が閉じられる。前述のように、被写体の光学像はビューファインダに導光される。したがって、使用者はビューファインダにより被写体を観察可能である。
【0041】
撮影待機状態おいてレリーズボタン(図示せず)の半押しにより測距スイッチ(図示せず)のON状態がCPU17により検出されると、前述の位相差AF機能が実行される。また、レリーズボタンの半押しにより測光スイッチ(図示せず)のON状態が検出されると被写体が測光され、絞り、シャッタースピード、および/または感度(ゲイン)などの露出条件が定められる。
【0042】
さらに、撮影待機状態においてレリーズボタンの全押しにより撮影スイッチ(図示せず)のON状態がCPU17により検出されると、撮像動作が実行される。撮像動作では、メインミラー12が上方に開かれ、シャッタ13が定められたシャッタースピードの間だけ開かれる。メインミラー12およびシャッタ13が開いている間に、撮像素子14により光学像が受光される。
【0043】
撮像素子14が受光した光学像に相当する画像信号が生成される。生成された画像信号は、前述のようにAFE15を介してDSP16に送信される。DSP16において静止画用の画像処理が施され、画像メモリ20に格納される。
【0044】
第2の撮影モードでは、撮影待機状態においてメインミラー12が上方に開かれる。また、シャッタ13も開かれ、被写体の光学像は撮像素子14に導光される。撮像素子14では、所定の時間間隔、例えば1/60秒毎に1フレームの画像信号が生成される。
【0045】
生成された画像信号は、前述のようにAFE15を介してDSP16に送信される。DSP16において動画用の画像処理が施され、LCD21に送信される。LCD21には、受信した画像データに相当する画像が表示される。なお、LCD21に表示される画像は、画像信号の生成間隔と同じ間隔、すなわち1/60秒毎に切替えられる。表示画像を切替えることにより、LCD21にはリアルタイムの動画像が表示される。
【0046】
撮影待機状態においてレリーズボタン(図示せず)の半押しにより測距スイッチ(図示せず)のON状態がCPU17により検出されると、コントラストAF機能および位相差AF機能のいずれか一方が実行される。なお、第2の撮影モードにおいて実行させるAF機能は、使用者による入力ボタンへの入力によりいずれかに定められる。
【0047】
コントラストAF機能が選択されている場合には、メインミラー12が開いたまま上述した動作が実行されることにより、コントラストAF機能が完了する。
【0048】
一方、位相差AF機能が選択されている場合には、測距スイッチのON状態の検出後に一旦メインミラー12が閉じられ、被写体の光学像がAFセンサモジュール22に導光される。前述のように、AFセンサモジュール22により合焦ズレ量が検出され、検出された合焦ズレ量に基づいてフォーカスレンズ11fが変位させられる。合焦ズレ量がAFセンサモジュール22により検出されると、再びメインミラー12が上方に開かれる。
【0049】
撮影待機状態においてレリーズボタンの半押しにより測光スイッチのON状態が検出されると、第1の撮影モードと同様に被写体が測光され、絞り、シャッタースピード、および/または感度などの露出条件が定められる。
【0050】
撮影待機状態においてレリーズボタンの全押しにより撮像スイッチのON状態がCPU17により検出されると、撮像動作が実行される。第1の撮影モードと異なり、シャッタ13が撮影待機状態において開かれているので、一旦シャッタ13を閉じてから、定められたシャッタースピードの間だけ開かれ、シャッタ13が開いている間に、撮像素子14により光学像が受光される。
【0051】
受光した光学像に相当する画像信号が撮像素子14により生成される。第1の撮影モードと同様に、画像信号はDSP16において静止画用の画像処理が施された後に、画像メモリ20に格納される。
【0052】
デジタル一眼レフカメラ10には、顔検出機能が設けられる。顔検出機能は、デジタル一眼レフカメラ10の動作モードが第2の撮影モードであるときに、実行可能である。顔検出機能実行のONまたはOFFは使用者による入力ボタンへの操作入力により切替えられる。
【0053】
顔検出機能がONにすると、撮像した画像の中の顔を検出可能である。顔が検出されると、検出した顔に対して露出調整およびAFが実行される。顔検出機能がONになった状態で、測距スイッチおよび測光スイッチがONに切替えられると、顔の検出が開始される。
【0054】
前述のように、第2の撮影モードにおいては、撮影待機中には画像信号が生成される。DSP16では、受信する画像データに対して特徴抽出や色判別などの画像解析が実行され、画像データに対応する画像の撮影範囲CA内の顔が検出される。
【0055】
DSP16が顔を検出すると、検出した顔の周囲を囲う枠線を画像に重畳するように画像データに対してスーパーインポーズが施される。スーパーインポーズが施された画像データに基づいて、LCD21では、図3に示すように、検出されたすべての顔の周囲に枠線27が表示される。
【0056】
画像から顔が検出されると、検出された顔を主要な被写体として露出調整およびAFが実行される。なお、複数の顔が検出された場合には、所定の基準により単一の顔が露出調整やAFの対象となる主要な被写体に定められ、露出調整やAFが実行される。例えば、撮影範囲CAにおける位置や顔の大きさなどを基準にして定められる。
【0057】
また、登録された顔を基準にして単一の顔が主要な被写体に定められる。すなわち、検出された複数の顔の中において登録された顔が含まれる場合には、登録された顔と同じ顔が主要な被写体に定められる。
【0058】
なお、顔の登録は、画像メモリ20に格納された画像データまたはコネクタ(図示せず)を介して接続された外部のコンピュータなどから受信した画像データに相当する画像に含まれる顔の中から選択することにより実行される。
【0059】
単一の顔が主要な被写体に定められると、DSP16により主要な被写体と定めた顔の輝度が検出される。検出された輝度に基づいて、前述のように露出条件が定められる。
【0060】
また、単一の顔が主要な被写体に定められると、前述のようにコントラストAF機能または位相差AF機能のいずれかが実行される。
【0061】
コントラストAF機能が選択されている場合には、主要な被写体と定めた顔の光学像を受光する位置におけるコントラスト値が算出される。前述のように、顔の光学像を受光する位置におけるコントラスト値が最大となるように、フォーカスレンズ11fが変位される。
【0062】
位相差AF機能が選択されている場合には、主要な被写体と定めた顔の光学像を受光する位置がデータとしてCPU17に送信される。なお、枠線の中心や、両眼の間の位置が顔の光学像の受光位置に定められる。
【0063】
前述のように、位相差AF機能においては、撮影範囲CA内の特定の測距点Pに光学像が集光される被写体に対して合焦動作が実行される。CPU17では、受信した受光位置とすべての測距点Pとの距離が算出される。
【0064】
算出された距離の中で最短となる測距点Pが、合焦動作を行うための測距点Pとして定められる。測距点Pが定められると、上述のように、AFセンサモジュール22による合焦ズレ量の検出、および合焦ズレ量に基づくフォーカスレンズ11fの変位が実行される。
【0065】
なお、顔検出を行う場合であっても、測光位置および/または測距点Pが使用者の操作入力によって特定の測光位置および/または特定の測距点Pに固定することも可能である。
【0066】
次に、撮影モードにおいてCPU17により実行される各部位の動作の制御を図4および図5のフローチャートを用いて説明する。撮影モードにおける制御はデジタル一眼レフカメラ10の動作モードを撮影モードに切替えられたときに開始される。また、撮影モードにおける制御は、主電源がOFFになるかデジタル一眼レフカメラ10の動作モードが他の動作モードに切替えられるときに終了する。
【0067】
ステップS100において、第1、第2の撮影モードのいずれのモードが選択されているかを判別する。第1の撮影モードが選択されている場合には、ステップS101に進む。第2の撮影モードが選択されている場合には、ステップS105に進む。
【0068】
ステップS101では、メインミラー12およびシャッタ13を閉じるように制御する。メインミラー12およびシャッタ13を閉じた後に、ステップS102に進む。ステップS102では、測光スイッチおよび測距スイッチがON状態であるか否かを判別する。
【0069】
測光スイッチおよび測距スイッチがOFFである場合には、ONになるまでステップS101の処理を繰り返す。測光スイッチおよび測距スイッチがONである場合に、ステップS103に進む。
【0070】
ステップS103では、被写体像を測光させる。測光値に基づいて、絞り、シャッタースピード、および/または感度の調整などの露出調整を行う。露出調整後、ステップS104に進む。
【0071】
ステップS104では、設定された測距点Pの被写体像に対する合焦ズレ量を、AFセンサモジュール22に検出させる。検出させた合焦ズレ量に基づいて、フォーカスレンズ11fを変位させるようにレンズ駆動機構18を制御する。このような位相差AF機能の実行後、ステップS300に進む。
【0072】
前述のように、ステップS100において第2の撮影モードが選択されている場合には、ステップS105に進む。ステップS105では、メインミラー12およびシャッタ13を開くように制御する。メインミラー12およびシャッタ13を開いた後に、ステップS106に進む。
【0073】
ステップS106では、撮像素子14に到達する被写体の光学像を受光させ1/60秒毎に1フレームの画像信号の生成を開始させる。また、画像信号の生成後、DSP16に動画用の画像処理を施させ、画像データをLCD21に送信させる。画像データに相当する画像のLCD21への表示を開始させる。1フレームの画像信号の生成およびLCD21への表示を開始すると、ステップS107に進む。
【0074】
ステップS107では、測光スイッチおよび測距スイッチがON状態であるか否かを判別する。測光スイッチおよび測距スイッチがOFFである場合には、測光スイッチおよび測距スイッチがONになるまでステップS107の処理を繰り返す。測光スイッチおよび測距スイッチがONである場合に、ステップS108に進む。
【0075】
ステップS108では、ステップS103と同じ制御を実行する。すなわち、被写体像の測光、絞り、シャッタースピード、および/または感度の調整などの露出調整を行う。露出調整後、ステップS109に進む。
【0076】
ステップS109では、顔検出機能がONになっているか否かを判別する。顔検出機能がONになっている場合には、ステップS110に進む。顔検出機能がOFFになっている場合には、ステップS110をスキップしてステップS111に進む。
【0077】
ステップS110では、画像データに基づいてDSP16に顔を検出させ、検出した顔に基づいて主要な被写体を決定させる。主要な被写体を決定させると、ステップS111に進む。
【0078】
ステップS111では、実行させるAFとしてコントラストAF機能と位相差AF機能とのいずれが選択されているかを判別する。コントラストAF機能が選択されている場合には、ステップS112に進む。位相差AF機能が選択されている場合には、ステップS113に進む。
【0079】
ステップS112では、コントラストAF機能を実行させる。すなわち、前述のようにフォーカスレンズ11fを変位しながら各位置において生成した画像データに基づいてコントラスト値を算出し、コントラクト値が最大となる位置にフォーカスレンズ11fを変位させる。コントラストAF機能の完了後にステップS300に進む。
【0080】
前述のように、ステップS111において位相差AF機能が選択されている場合にはステップS113に進む。ステップS113では、測距点Pが固定されていないか、すなわち測距点Pの自動選択機能がONであるか否かを判別する。
【0081】
測距点Pの自動選択機能がONである場合にはステップS114に進む。測距点Pの自動選択機能がOFFである場合にはステップS114、S200をスキップして、ステップS115に進む。
【0082】
ステップS114では、ステップS111において顔が検出されたか否かを判別する。顔が検出された場合には、ステップS200に進む。顔が検出されなかった場合には、ステップS115に進む。
【0083】
ステップS200では、合焦ズレ量を検出する測距点Pを決定する。測距点Pの決定後、ステップS115に進む。
【0084】
ステップS115では、メインミラー12を閉じるように制御する。また、撮像素子14による画像信号の生成を一時的に停止させる。メインミラー12を閉じた後、ステップS116に進む。
【0085】
ステップS116では、位相差AF機能を実行させる。すなわち、前述のように、ステップS200において決定した測距点Pにおける合焦ズレ量を検出し、合焦ズレ量に基づいてフォーカスレンズ11fを変位させる。位相差AF機能の完了後にステップS117に進む。
【0086】
ステップS117では、メインミラー12を開くように制御する。また、撮像素子14による画像信号の生成を再開させる。メインミラー12を開いた後、ステップS300に進む。
【0087】
前述のように、ステップS104、ステップS112、またはステップS117の処理の終了後に、ステップS300に進む。ステップS300では、撮像処理を実行する。撮像のための処理の終了後、ステップS100に戻る。
【0088】
次に、ステップS200において実行される測距点決定処理のサブルーチンを図6のフローチャートを用いて説明する。
【0089】
ステップS201では、ステップS110で主要な被写体として決定した顔の位置をデータとしてDSP16から受信する。位置データの受信後、ステップS202に進む。
【0090】
ステップS202では、測距点決定処理により決定される測距点Pの番号である最終選択番号Tを1にリセットする。また、一時的に選択される測距点Pの番号である一時選択番号xを1にリセットする。最終選択番号および一時選択番号をリセット後に、ステップS203に進む。
【0091】
なお、測距点Pには場所ごとに番号が予め付与されている。図7に示すように、撮影範囲CA内の上段の左側から右側まで並ぶ測距点Pが、測距点1、測距点2、および測距点3に定められる。また、中段の左側から右側まで並ぶ測距点が、測距点4、測距点5、測距点6、測距点7、および測距点8に定められる。さらに、下段の左側から右側まで並ぶ測距点が、測距点9、測距点10、および測距点11に定められる。
【0092】
ステップS203では、最終選択番号Tの測距点Pの位置に相当するデータをROMから読出す。位置データの読出し後、ステップS204に進む。ステップS204では、ステップS201で読出した顔の位置とステップS203で読出した最終選択番号Tの測距点Pとの間の距離を算出する。距離の算出後、ステップS205に進む。
【0093】
ステップS205では、一時選択番号xが全測距点Pの数未満であるか否かを判別する。一時選択番号xが全測距点Pの数未満である場合には、ステップS206に進む。一時選択番号xが全測距点Pの数以上である場合には、ステップS211に進む。
【0094】
ステップS206では、一時選択番号xに+1を加算する。加算後にステップS207に進む。ステップS207では、一時選択番号xの測距点Pの位置に相当するデータをROMから読出す。位置データの読出し後、ステップS208に進む。ステップS208では、ステップS201で読出した顔の位置とステップS207で読出した一時選択番号xの測距点Pとの距離を算出する。距離の算出後、ステップS209に進む。
【0095】
ステップS209では、ステップS204で算出した距離とステップS208で算出した距離とが比較される。顔の位置から最終選択番号Tの測距点Pの位置までの距離が、顔の位置から一時選択番号xの測距点Pの位置までの距離を超える場合には、ステップS210に進む。顔の位置から最終選択番号Tの測距点Pまでの距離が、顔の位置から一時選択番号xの測距点Pの位置までの距離以下である場合には、ステップS205に戻る。
【0096】
ステップS210では、最終選択番号Tが一時選択番号xに置換される。したがって、顔の位置から最終選択番号Tの測距点Pまでの距離も、置換される。最終選択番号Tの置換後、ステップS205に戻る。
【0097】
このように、顔の位置から測距点Pまでの距離が、すべての測距点Pに対して算出され、比較され、距離が最小となる測距点Pの番号が最終選択番号Tとして選択される。
【0098】
前述のように、ステップS205において一時選択番号xが全測距点Pの数以上である場合には、ステップS211に進む。ステップS211では、最終選択番号Tである測距点Pを露出調整および位相差AF機能の実行のために用いる測距点Pとして選択する。測距点Pの選択後、測距点決定処理のサブルーチンを終了し、ステップS115に進む。
【0099】
次に、ステップS300において実行される撮像処理のサブルーチンを図8のフローチャートを用いて説明する。
【0100】
ステップS301では、撮影スイッチがON状態であるか否かを判別する。撮影スイッチがOFF状態である場合には、ステップS302に進む。撮影スイッチがON状態である場合には、ステップ304に進む。
【0101】
ステップS302では、測光スイッチおよび測距スイッチがON状態であるか否かを判別する。測光スイッチおよび測距スイッチがOFF状態である場合にはステップS301に戻る。測光スイッチおよび測距スイッチがON状態である場合には、ステップS303に進む。
【0102】
ステップS303では、第1、第2の撮影モードのいずれのモードが選択されているかを判別する。第1の撮影モードが選択されている場合には、ステップS103に戻る。第2の撮影モードが選択されている場合には、ステップS105に進む。
【0103】
前述のように、ステップS301で撮影スイッチがON状態である場合には、ステップS304に進む。ステップS304では、第1、第2の撮影モードのいずれのモードが選択されているかを判別する。
【0104】
第2の撮影モードが選択されている場合には、ステップS305に進み、メインミラー12およびシャッタ13を閉じるように制御する。メインミラー12とシャッタ13とを閉じた後にステップS306に進む。第1の撮影モードが選択されている場合には、ステップS305をスキップして、ステップS306に進む。
【0105】
ステップS306では、メインミラー12を開けるように制御する。また、露出制御において調整されたシャッタースピードでシャッタ13を開閉するように制御する。シャッタ13の開閉制御を終えると、ステップS307に進む。
【0106】
ステップS307では、ステップS306においてシャッタ13を開いている間に受光した被写体の光学像に相当する画像信号を撮像素子14に生成させる。画像信号を生成すると、ステップS308に進む。
【0107】
ステップS308では、DSP16に静止画用の画像処理を施させて、画像データを画像メモリ20に格納させる。画像データを格納すると、撮像処理のサブルーチンを終了してステップS100に戻る。
【0108】
以上のような本実施形態を適用した測距点選択システムによれば、検出された主要な被写体の位置と一致する測距点Pが無い場合でも、最適な測距点Pを選択することが可能である。測距点Pを選択することが可能なので、顔などの主要な被写体を検出する場合であっても、位相差AF機能を実行することが出来る。したがって、合焦動作を迅速に完了することが可能になる。
【0109】
なお、本実施形態では、画像データに基づいて顔が検出される構成であるが、顔以外の種類に属する撮影対象が検出される構成であってもよい。例えば、猫や犬などのような動物や、花などの植物などの撮影対象が検出される構成であってもよい。
【0110】
また、本実施形態では、検出した顔に最適な測距点Pは、11個すべての測距点Pの中から決定される構成であるが、一部の測距点Pの中から選択され、決定される構成であってもよい。たとえば、11個の測距点Pの中の測距点2、測距点5〜測距点7、および測距点10の5個の測距点Pの中から選択される構成であってもよい。
【0111】
また、本実施形態では、AFセンサモジュール22では11個の測距点Pが11個に限られない。複数の測距点Pが定められていれば、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0112】
また、本実施形態では、デジタル一眼レフカメラ10に適用しているが、画像データに基づいて主要な被写体を検出する機能、位相差AF機能を有するどのような種類のデジタルカメラにも適用可能である。
【符号の説明】
【0113】
10 デジタル一眼レフカメラ
11 撮影光学系
11f フォーカスレンズ
12 メインミラー
13 シャッタ
14 撮像素子
16 デジタルシグナルプロセッサ(DSP)
17 CPU
18 レンズ駆動機構
21 LCD
22 AFセンサモジュール
23 ROM
24 サブミラー
P 測距点
CA 撮影範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影範囲内における位置が予め定められた複数の測距点の中から、位相差AFにより合焦させる被写体である主要被写体の前記撮影範囲内における位置に対応する一部の測距点を選択する測距点選択システムであって、
前記撮影範囲の光学像を受光し、受光した前記光学像に相当する画像信号を生成する撮像素子と、
前記画像信号に基づいて、前記主要被写体を検出する画像検出部と、
前記画像検出部により検出された前記主要被写体の前記撮影範囲内における位置である被写体位置を検出する位置検出部と、
前記被写体位置からの距離が最小となる前記測距点を選択する選択部とを備える
ことを特徴とする測距点選択システム。
【請求項2】
前記画像検出部は、
前記画像信号に基づいて、所定の種類に属するすべての撮影対象を前記撮影範囲内から検出する対象検出部と、
前記対象検出部に検出された前記撮影対象の中から単一の前記撮影対象を前記主要被写体に決定する決定部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の測距点選択システム。
【請求項3】
前記決定部は、前記対象検出部により検出された複数の前記撮影対象の中から、所定の基準に基づいて前記主要被写体を決定することを特徴とする請求項2に記載の測距点選択システム。
【請求項4】
前記画像検出部は任意の前記撮影対象を選択対象として登録する登録部を有し、前記対象検出部が複数の前記撮影対象を検出する場合に前記選択対象を前記所定の基準として前記主要被写体を決定することを特徴とする請求項3に記載の測距点選択システム。
【請求項5】
前記所定の種類に属する撮影対象は顔であることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の測距点選択システム。
【請求項6】
すべての前記複数の測距点の中から、前記選択部により選択される候補となる前記測距点を指定可能であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の測距点選択システム。
【請求項7】
撮影範囲内における位置が予め定められた複数の測距点の位置を記憶するメモリと、
前記撮影範囲の光学像を受光し、受光した前記光学像に相当する画像信号を生成する撮像素子と、
前記画像信号に基づいて、合焦させる被写体である主要被写体を検出する画像検出部と、
前記画像検出部により検出された前記主要被写体の前記撮影範囲内における位置である被写体位置を検出する第1の位置検出部と、
前記被写体位置からの距離が最小となる前記測距点を選択する選択部と、
前記選択部により選択された前記測距点に位置する被写体を合焦状態にするフォーカスレンズの位置を位相差方式で検出する第2の位置検出部と、
前記第2の位置検出部に検出された位置に前記フォーカスレンズを変位させる駆動部とを備える
ことを特徴とするオートフォーカスシステム。
【請求項8】
撮影範囲内における位置が予め定められた複数の測距点の位置を記憶するメモリと、
前記撮影範囲の光学像を受光し、受光した前記光学像に相当する画像信号を生成する撮像素子と、
前記画像信号に基づいて、合焦させる被写体である主要被写体を検出する画像検出部と、
前記画像検出部により検出された前記主要被写体の前記撮影範囲内における位置である被写体位置を検出する第1の位置検出部と、
前記被写体位置からの距離が最小となる前記測距点を選択する選択部と、
前記選択部により選択された前記測距点に位置する被写体を合焦状態にするフォーカスレンズの位置を位相差方式で検出する第2の位置検出部と、
前記第2の位置検出部に検出された位置に前記フォーカスレンズを変位させる駆動部とを備える
ことを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−164543(P2011−164543A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30347(P2010−30347)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】