説明

湯水散出ノズル、湯水散出装置、湯水散出室及び建物

【課題】構成が簡単で、個々のノズルで霧状温水の温度調整を行えるようにする。
【解決手段】湯水散出ノズル1は、浴室外の空気を取り込む空気室形成部材2と、温水を霧状にして噴き出す噴出ユニット3と、噴出ユニット3から噴き出す霧状温水に取り込む空気の量を調整して、湯水散出ノズル1からの噴出温度を調整する温度調整ダイヤル4を備える。温度調整ダイヤル4は、噴出ユニット3からの霧状温水の高速噴射による圧力低下によって、空気室形成部材2で取り込んだ空気を霧状温水に巻き込む空気混合部27aが形成されると共に、空気混合部27aに空気を取り込む空気取込口29が形成され、温度調整ダイヤル4を回すことで空気取込口29の開度を可変として、取り込む空気の量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧状の温水を噴き出す湯水散出ノズル、湯水散出ノズルを備えた湯水散出装置、湯水散出装置を備えた浴室や専用のミストサウナ室等の湯水散出室及び建物に関する。詳しくは、湯水散出ノズルにおいて霧状温水に取り込む空気の量を調整することで、噴き出す霧状温水の温度を調整できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、霧状の温水を浴室内に噴出して、浴室の暖房を行うミストサウナ装置等と称される装置が提案されている。ミストサウナ装置は、浴室等の温水を散出する室内にノズルを備え、給湯器から供給される温水をノズルで霧状にして噴出している。
【0003】
ミストサウナ装置で浴室等の湯水散出室の温度調整を行う場合は、ノズルから噴出する霧状温水の温度を調整する。従来、霧状温水の温度調整は、温水の供給の有無を切り換える電磁弁による給湯のオン/オフ間隔を変えることで行っていた。
【0004】
また、温水と水を混合する温度調整弁を設け、温水と水の混合比を変えることで霧状温水の温度調整を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−101859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のミストサウナ装置では、霧状温水の温度調整を行うと、ノズルに供給される温水の量が変化するので、霧状温水の噴出量が一定にならないという問題がある。
【0007】
また、ノズルを複数備える場合、個々のノズルに対応して電磁弁や温度調整弁を設けると、コストが高くなるので、分岐前の配管に電磁弁等を設けることになる。このため、個々のノズルでは温度調整ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、低コストで温度調整が容易な湯水散出ノズル、湯水散出ノズルを備えた湯水散出装置、湯水散出装置を備えた浴室等の湯水散出室及び建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、請求項1に係る発明の湯水散出ノズルは、温水が散出される湯水散出室の外部と連通し、湯水散出室外の空気を取り込む空気取込手段と、温水を噴き出す噴出手段と、噴出手段からの温水の高速噴射による圧力低下によって、空気取込手段で取り込んだ空気を温水に巻き込む空気混合部が形成されると共に、空気混合部に空気を取り込む空気取込口が形成され、空気取込口の開度を可変とした温度調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明の湯水散出ノズルは、請求項1に記載された発明の湯水散出ノズルにおいて、温度調整手段は、回転操作されるダイヤル部と、ダイヤル部の回転操作に伴い空気取込口の開度を可変とするネジ機構部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明の湯水散出ノズルは、請求項1または2に記載された発明の湯水散出ノズルにおいて、噴出手段は、温水を螺旋状に噴出する旋流手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決するため、請求項4に係る発明の湯水散出装置は、温水を噴き出す湯水散出ノズルを少なくとも1つ備え、湯水散出ノズルは、温水が散出される湯水散出室の外部と連通し、湯水散出室外の空気を取り込む空気取込手段と、温水を噴き出す噴出手段と、噴出手段からの温水の高速噴射による圧力低下によって、空気取込手段で取り込んだ空気を温水に巻き込む空気混合部が形成されると共に、空気混合部に空気を取り込む空気取込口が形成され、空気取込口の開度を可変とした温度調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明の湯水散出装置は、請求項4に記載された発明の湯水散出装置において、複数の湯水散出ノズルを備えると共に、温度調整手段をそれぞれの湯水散出ノズルに独立して備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明の湯水散出装置は、請求項4または5に記載された発明の湯水散出装置において、温度調整手段は、回転操作されるダイヤル部と、ダイヤル部の回転操作に伴い空気取込口の開度を可変とするネジ機構部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明の湯水散出装置は、請求項4,5または6に記載された発明の湯水散出装置において、噴出手段は、温水を螺旋状に噴出する旋流手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、上述した課題を解決するため、請求項8に係る発明の湯水散出室は、請求項4乃至請求項7に何れか記載の湯水散出装置を備えたことを特徴とする。
【0017】
更に、上述した課題を解決するため、請求項9に係る発明の建物は、請求項4乃至請求項7に何れか記載の湯水散出装置を有する湯水散出室を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の湯水散出ノズルによれば、霧状の温水に取り込む空気の量を可変とすることで、温水の噴出温度が調整できるので、温水の温度は一定のままで、温水の噴出温度を調整できる。
【0019】
そして、温度調整手段をねじ込む動作によって温度調整を行うこととすれば、温度調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0020】
本発明の湯水散出装置によれば、上述した湯水散出ノズルを備えることで、温水の温度を調整することなく、霧状温水の噴出温度が調整できるので、温水の温度調整のための水の混合等が不要であり、構成が簡単で、低コストな装置を実現できる。また、水の混合が不要であることから、霧状温水の噴出量を一定に保つことができる。
【0021】
また、複数の湯水散出ノズルを備えた場合、個々のノズルで噴出温度を独立して調整できる。
【0022】
本発明の浴室等の湯水散出室及び建物によれば、上述した湯水散出装置を備えることで、温水の温度調整のための水配管が不要となり、低コストで設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の湯水散出ノズル、湯水散出装置、湯水散出室及び建物の実施の形態について説明する。
【0024】
<湯水散出ノズルの構成例>
図1〜図3は本実施の形態の湯水散出ノズル1の構成の一例を示し、図1(a)は外観斜視図、図1(b)は一部破断斜視図である。また、図2は湯水散出ノズル1を組み立てた状態の断面図、図3は湯水散出ノズル1を分解した状態の断面図である。
【0025】
本実施の形態の湯水散出ノズル1は、外気を取り込む空気室形成部材2と、温水を霧状にして噴き出す噴出ユニット3と、噴出ユニット3から噴き出す霧状温水(ミスト)に取り込む空気の量を調整して、湯水散出ノズル1からの噴出温度を調整する温度調整ダイヤル4を備える。
【0026】
空気室形成部材2は空気取込手段の一例で、内部に空気室5が形成された中空の部材で、先端が開口していると共に、後端面を貫通して雌ネジ部6が形成される。また、空気室形成部材2は、先端側の外周面に形成された溝にOリング7が嵌められ、更に、後端側の外周面に、空気室5と連通した吸気口8が形成される。
【0027】
噴出ユニット3は噴出手段の一例で、霧状温水が例えば螺旋状に噴き出すように流れを制御する旋流器9と、旋流器9が取り付けられる本体10と、本体10に取り付けられ、温水を霧状にするノズル板11を備える。
【0028】
図4は旋流器9の一例を示す構成図で、図4(a)は側面図、図4(b)は正面図である。旋流器9は旋流手段の一例で、金属等で形成された円筒状の部材であり、後端側の外周面に雄ネジ部12が形成されると共に、先端側に雄ネジ部12より径が細い旋流部13が形成される。
【0029】
旋流部13は、先端に複数本の螺旋溝14が形成される。螺旋溝14は、図4(a)に示すように、旋流部13の軸方向に対して螺旋を描き、旋流部13の先端まで到達した溝で、図4(b)に示すように、旋流器9の先端面に螺旋溝14による溝状の開口が形成される。なお、本例では、2本の螺旋溝14が旋流部13の外周面の対向する位置に形成される。
【0030】
旋流部13は、螺旋溝14の形成部位の後側の外周面に溝15が形成されると共に、溝15と雄ネジ部12の間に形成された溝にOリング16が嵌められる。溝15は、旋流部13の円周方向に亘って形成され、螺旋溝14の後端側と連通する。
【0031】
Oリング16は、旋流部13の外周面から突出する状態で嵌められ、後述するように、旋流器9を本体10に取り付けたときに、溝15側から雄ネジ部12側への水漏れを防ぐ。
【0032】
旋流器9は、図2及び図3に示すように、内部に水路17が形成される。水路17は、旋流器9の後端面から旋流部13の溝15の形成部位まで到達した穴部で、旋流部13の先端は閉塞している。旋流部13は、水路17の先端の内周面から溝15まで貫通した貫通穴18が形成され、これにより、螺旋溝14と水路17は、貫通穴18と溝15を介して連通している。
【0033】
本体10は、金属等で形成された円筒状の部材で、図2及び図3に示すように、先端から後端まで貫通して穴部が形成され、穴部の後端側に雌ネジ部19が形成されると共に、穴部の先端側に雌ネジ部19と連通した挿入穴20が形成される。雌ネジ部19は、旋流器9の雄ネジ部12がねじ込まれる。挿入穴20は、旋流器9の旋流部13が嵌る径を有する。
【0034】
また、本体10は、先端面にノズル取付部21が形成される。ノズル取付部21は挿入穴20と連通し、ノズル板11が取り付けられる。
【0035】
更に、本体10は、後端側の外周面に第1の雄ネジ部22aが形成されると共に、先端側の外周面に第2の雄ネジ部22bが形成される。第1の雄ネジ部22aは、空気室形成部材2の雌ネジ部6にねじ込まれる。また、第2の雄ネジ部22bは、後述するように、温度調整ダイヤル4がねじ込まれる。
【0036】
噴出ユニット3は、本体10のノズル取付部21にノズル板11が図示しないネジ等で取り付けられる。ノズル板11は、中央部に噴出ノズル23が形成される。噴出ノズル23は、ノズル板11を貫通する小径の穴により構成される。
【0037】
また、噴出ユニット3は、本体10に旋流器9が挿入され、旋流器9の雄ネジ部12が本体10の雌ネジ部19にねじ込まれて、本体10に旋流器9が取り付けられる。
【0038】
ここで、本体10の雌ネジ部19に旋流器9の雄ネジ部12をねじ込んで旋流器9が取り付けられると、本体10の挿入穴20に旋流器9の旋流部13が挿入され、かつ、ノズル板11と旋流器9の先端の間には所定の隙間が形成されるように構成される。また、旋流部13のOリング16が押しつぶされて挿入穴20の内周面に密着し、水密性が得られるように構成される。
【0039】
上述した構成の噴出ユニット3は、本体10の第1の雄ネジ部22aが空気室形成部材2の雌ネジ部6にねじ込まれることで、空気室形成部材2に取り付けられる。なお、噴出ユニット3の第1の雄ネジ部22aと空気室形成部材2の雌ネジ部6の間には、シーリングを施すと良い。
【0040】
図5は温度調整ダイヤル4の一例を示す外観斜視図で、温度調整ダイヤル4の裏面の構成を示す。温度調整ダイヤル4は温度調整手段の一例で、利用者が操作するダイヤル部24の裏面に、図1等に示す空気室形成部材2に嵌る外カバー25と、噴出ユニット3の本体10に取り付けられる内カバー26を備える。また、ダイヤル部24を貫通した噴出口27を備える。
【0041】
外カバー25は円筒形状で、空気室形成部材2のOリング7に嵌る径を有し、空気室形成部材2の外周面と温度調整ダイヤル4との間の気密性及び水密性を保つ構成となっている。
【0042】
内カバー26は、図5に示すように例えば3分割された円筒形状で、内周面に雌ネジ部28が形成される。雌ネジ部28は、本体10の第2の雄ネジ部22bにねじ込まれる。
【0043】
また、内カバー26の雌ネジ部28を本体10の第2の雄ネジ部22bにねじ込むことで、隣接する内カバー26の隙間により空気取込口29が形成される。空気取込口29は、内カバー26の本体10に対するネジ込み量に応じて、開口面積が変化する。このように、温度調整ダイヤル4の内カバー26の雌ネジ部28と、噴出ユニット3の本体10の第2の雄ネジ部22bの組み合わせにより、ネジ機構部が構成される。
【0044】
噴出口27は、ダイヤル部24の中央部に形成され、噴出方向に沿って徐々に径が大きくなるテーパ形状を有する。
【0045】
温度調整ダイヤル4は、内カバー26の雌ネジ部28を本体10の第2の雄ネジ部22bにねじ込むことで、外カバー25が空気室形成部材2に嵌り、噴出ユニット3に取り付けられる。外カバー25が空気室形成部材2に嵌ると、空気室形成部材2のOリング7が押しつぶされて外カバー25の内周面に密着し、気密性及び水密性が得られるように構成される。
【0046】
また、温度調整ダイヤル4が噴出ユニット3に取り付けられると、噴出ユニット3の噴出ノズル23が、温度調整ダイヤル24の噴出口27と対向する。そして、噴出口27の裏面側に空気混合部27aが形成され、空気混合部27aの側方に空気取込口29が形成される。
【0047】
空気取込口29は、空気室形成部材2の空気室5と連通し、吸気口8を介して吸気した空気(外気)が、空気取込口29から空気混合部27aに取り込まれる。
【0048】
温度調整ダイヤル4は、ダイヤル部24を回すことで、内カバー26の本体10に対するネジ込み量が変化し、空気取込口29の開口面積を調整することができる。これにより、温度調整ダイヤル4の開度に応じて空気取込口29からの空気の取込量を調整することができる。
【0049】
<湯水散出装置の構成例>
図6は上述した湯水散出ノズル1を備えた本実施の形態の湯水散出装置の一例を示す構成図である。
【0050】
湯水散出装置31は、上述した湯水散出ノズル1と、湯水散出ノズル1が取り付けられるカバー32と、湯水散出ノズル1に温水を供給する温水配管33と、湯水散出ノズル1に空気を供給する空気配管34を備える。
【0051】
カバー32は、単数あるいは複数の湯水散出ノズル1が取り付けられる。湯水散出ノズル1は、温度調整ダイヤル4のダイヤル部24を露出させてカバー32に取り付けられ、温度調整ダイヤル4を回転させることが可能な構成となっている。
【0052】
温水配管33は、湯水散出ノズル1の噴出ユニット3を構成する本体10の第1の雄ネジ部22aに接続され、旋流器9の水路17と連通する。また、空気配管34は、空気室形成部材2の吸気口8と接続される。
【0053】
ここで、複数の湯水散出ノズル1を備える場合は、1本の温水配管33を途中で分岐して、それぞれの湯水散出ノズル1に接続する。また、空気配管34は1つの湯水散出ノズル1に接続し、隣接する湯水散出ノズル1の吸気口8の間を連結空気配管35で接続して、1つの湯水散出ノズル1を介して、各湯水散出ノズル1に空気を供給する構成とすることができる。なお、空気配管34を分岐して、各湯水散出ノズル1に接続する構成でも良い。
【0054】
<浴室の構成例>
図7は上述した湯水散出装置31を備えた湯水散出室である浴室の一例を示す構成図である。浴室41は、浴槽42及び洗い場43等を備え、湯水散出装置31は、浴室41の壁面44等に設置される。湯水散出装置31は、湯水散出ノズル1から噴き出す霧状温水が直接入浴者に掛からないように、例えば、浴槽42と洗い場43の間に設置される。
【0055】
なお、図7における湯水散出装置31の設置場所及び湯水散出ノズル1の設置数は一例であり、これに限るものではない。例えば、湯水散出装置31を床面付近に設置すれば、床面を暖めることが可能となる。また、湯水散出装置31を天井付近に設置しても良い。更に、多数の湯水散出ノズル1を設置する構成としても良い。
【0056】
<建物の構成例>
図8は上述した浴室41を備えた建物の一例を示す構成図である。建物51は、上述したように湯水散出装置31が設置された浴室41と、浴室41に隣接した脱衣所(洗面所)52と、図示しない各居室等を備える。また、建物51は、給湯器53を備える。
【0057】
湯水散出装置31は、温水配管33が給湯器53に接続される。温水配管33には電磁弁54を備え、給湯器53から湯水散出装置31への温水の供給の有無を切り換えられるように構成される。なお、給湯器53は、建物全体に温水を供給するもので良い。
【0058】
また、湯水散出装置31は、空気配管34が吸気グリル55に接続される。吸気グリル55は、例えば建物51の外壁56に設置され、浴室41外の空気、ここでは外気を湯水散出装置31の湯水散出ノズル1に取り込む。空気配管34には逆止弁57を備え、湯水散出ノズル1側からの空気の逆流を防ぐ。なお、吸気グリル55は、浴室41外の空気を吸気できれば良いので、洗面所52や図示しない居室に設置しても良い。
【0059】
<湯水散出装置の制御系の構成例>
図9は湯水散出装置31の機能ブロック図である。湯水散出装置31は、操作スイッチ61と、温度センサ62と、コントローラ63を備える。操作スイッチ61は、例えば図7に示す浴室41に設置され、霧状温水の噴き出しの有無を切り換える。温度センサ62は、浴室41の温度を検出する。
【0060】
コントローラ63は、操作スイッチ61の操作を受けて電磁弁54の開閉を切り換えることで、図8に示す給湯器53から湯水散出装置31への温水の供給の有無を切り換えて、霧状温水の噴き出しの有無を切り換える。
【0061】
また、コントローラ63は、温度センサ62で検出した浴室41の温度が所定の温度以上であると判断すると、電磁弁54を閉じて給湯器53から湯水散出装置31への温水の供給の停止し、霧状温水の噴き出しを停止する。
【0062】
<湯水散出ノズルによる温度調整動作例>
次に、上述した構成の湯水散出ノズル1による温度調整の動作について、各図を参照して説明する。
【0063】
図9に示す操作スイッチ61が操作され、霧状温水の噴き出しが指示されると、コントローラ63は電磁弁54を開く。電磁弁54を開くと、図8に示す給湯器53から温水配管33を介して湯水散出装置31の各湯水散出ノズル1へ温水が圧送される。
【0064】
湯水散出ノズル1は、噴出ユニット3を構成する旋流器9の水路17に温水が供給される。旋流器9の水路17に供給された温水は、貫通穴18を通って溝15に送り込まれる。旋流器9は、溝15が形成された旋流部13が本体10の挿入穴20に挿入され、旋流部13の外周面と挿入穴20の内周面の間にはほとんど隙間が形成されないことから、溝15に送り込まれた温水は螺旋溝14を通過し、ノズル板11の噴出ノズル23から螺旋を描いて高速噴射される。
【0065】
また、湯水散出ノズル1は、空気室形成部材2の吸気口8が図6に示すように空気配管34に接続され、空気配管34が図8に示すように建物51の外壁56等に設置した吸気グリル55と接続されているので、空気室形成部材2内に形成された空気室5に、浴室41外の空気、本例では外気が吸気されている。
【0066】
湯水散出ノズル1では、噴出ユニット3の噴出ノズル23からの高速噴射によって、噴出口27の裏面側の空気混合部27aにおいて圧力低下が発生する。そして、空気混合部27aでの圧力低下によって、空気取込口29から空気室5の空気が取り込まれ、空気混合部27aで空気を巻き込みながら、霧状温水が噴出口27から円錐螺旋状に噴射される。
【0067】
さて、一般的に浴室41内の温度に比較して、吸気グリル55を設置した屋外、あるいは洗面所等の温度は低い。このため、浴室41外の空気を湯水散出ノズル1で取り込んで、霧状温水に空気を巻き込んで噴射することで、湯水散出ノズル1に供給される温水の温度に比較して、湯水散出ノズル1からの噴出温度を下げることができる。
【0068】
そして、空気取込口29の開口面積を変更することで、霧状温水に巻き込む空気の量が変化して、湯水散出ノズル1からの噴出温度を調整することができる。
【0069】
図10は湯水散出ノズル1における温度調整時の状態を示す構成図である。湯水散出ノズル1の温度調整ダイヤル4は、ダイヤル部24を回すことで、内カバー26の本体10に対するネジ込み量が変化し、空気取込口29の開口面積を調整することができる。これにより、空気取込口29からの空気の取込量を調整することができる。
【0070】
例えば、温度調整ダイヤル4を閉めて行くと、図10(a)に示すように、内カバー26の本体10に対するネジ込み量が増加して、空気取込口29の開口面積が減少する。これにより、空気混合部27aでの空気の取込量が減少し、湯水散出ノズル1からの噴出温度を上げることができる。
【0071】
これに対して、温度調整ダイヤル4を開けて行くと、図10(b)に示すように、内カバー26の本体10に対するネジ込み量が減少して、空気取込口29の開口面積が増加する。これにより、空気混合部27aでの空気の取込量が増加し、湯水散出ノズル1からの噴出温度を下げることができる。
【0072】
よって、入浴者が暑いと感じた場合は、温度調整ダイヤル4を開けることで空気の取込量を増加させ、湯水噴出ノズル1からの霧状温水の噴出温度を下げて、浴室41の温度を下げることができる。また、入浴者が寒いと感じた場合は、温度調整ダイヤル4を閉じることで空気の取込量を減少させ、湯水噴出ノズル1からの霧状温水の噴出温度を上げて、浴室41の温度を上げることができる。
【0073】
これにより、湯水散出ノズル1に供給される温水の温度が一定であっても、湯水散出ノズル1からの噴出温度を調整することができる。よって、温水の温度を調整するための水の混合が不要となり、噴出量を変化させずに噴出温度を調整することができる。
【0074】
そして、噴出口27の裏面で空気の取込量が調整されるので、噴出口27に近い部分で温度調整が行われることから、温度調整ダイヤル4の操作に対して、実際に温度が変化するまでのディレイタイムを実質的にゼロにすることができる。
【0075】
また、温度調整ダイヤル4をねじ込む動作で空気取込口29の開口面積を調整することで、温度調整ダイヤル4の操作に対して空気取込口29の開度を緩やかに変化させることができ、温度調整ダイヤル4の操作に対する追従性は確保しつつ、温度の急激な変化を防ぐことができる。
【0076】
ここで、湯水散出ノズル1を複数備えている場合は、それぞれの湯水散出ノズル1の温度調整ダイヤル4の開度を調整することで、個別に噴出温度を調整することが可能である。
【0077】
これにより、図7に示す浴室41で、例えば床面付近と中央付近にそれぞれ湯水散出ノズル1を備えれば、必要に応じて床面付近の温度は上昇させ、入浴者の頭の高さ付近の温度は低下させるような個別の温度制御を容易に行うことができる。
【0078】
なお、以上の例では、湯水散出ノズル1の温度調整ダイヤル4の開度の調整は人手で行うこととしたが、モータ等の駆動手段を利用することで、自動的に行うことも容易である。
【0079】
また、湯水散出室は浴室として記載したが、専用のミストサウナ室のような他の空間であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、浴室の暖房を行うミストサウナ装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施の形態の湯水散出ノズルの一例を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態の湯水散出ノズルを組み立てた状態の断面図である。
【図3】本実施の形態の湯水散出ノズルを分解した状態の断面図である。
【図4】本実施の形態の湯水散出ノズルを構成する旋流器の構成図である。
【図5】本実施の形態の湯水散出ノズルを構成する温度調整ダイヤルの斜視図である。
【図6】湯水散出ノズルを備えた本実施の形態の湯水散出装置の一例を示す構成図である。
【図7】湯水散出装置を備えた本実施の形態の浴室の一例を示す構成図である。
【図8】浴室を備えた建物の一例を示す構成図である。
【図9】湯水散出装置の機能ブロック図である。
【図10】湯水散出ノズルにおける温度調整時の状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・湯水散出ノズル、2・・・空気室形成部材、3・・・噴出ユニット、4・・・温度調整ダイヤル、5・・・空気室、6・・・雌ネジ部、7・・・Oリング、8・・・吸気口、9・・・旋流器、10・・・本体、11・・・ノズル板、12・・・雄ネジ部、13・・・旋流部、14・・・螺旋溝、15・・・溝、16・・・Oリング、17・・・水路、18・・・貫通穴、19・・・雌ネジ部、20・・・挿入穴、21・・・ノズル取付部、22a・・・第1の雄ネジ部、22b・・・第2の雄ネジ部、23・・・噴出ノズル、24・・・ダイヤル部、25・・・外カバー、26・・・内カバー、27・・・噴出口、27a・・・空気混合部、28・・・ネジ部、29・・・空気取込口、31・・・湯水散出装置、32・・・カバー、33・・・温水配管、34・・・空気配管、35・・・連結空気配管、41・・・浴室、42・・・浴槽、43・・・洗い場、44・・・壁面、51・・・建物、52・・・洗面所、53・・・給湯器、54・・・電磁弁、55・・・吸気グリル、56・・・外壁、57・・・逆止弁、61・・・操作スイッチ、62・・・温度センサ、63・・・コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水が散出される湯水散出室の外部と連通し、前記湯水散出室外の空気を取り込む空気取込手段と、
温水を噴き出す噴出手段と、
前記噴出手段からの温水の高速噴射による圧力低下によって、前記空気取込手段で取り込んだ空気を温水に巻き込む空気混合部が形成されると共に、前記空気混合部に空気を取り込む空気取込口が形成され、前記空気取込口の開度を可変とした温度調整手段と
を備えたことを特徴とする湯水散出ノズル。
【請求項2】
前記温度調整手段は、回転操作されるダイヤル部と、前記ダイヤル部の回転操作に伴い前記空気取込口の開度を可変とするネジ機構部とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の湯水散出ノズル。
【請求項3】
前記噴出手段は、温水を螺旋状に噴出する旋流手段を備えた
ことを特徴とする請求項1または2記載の湯水散出ノズル。
【請求項4】
温水を噴き出す湯水散出ノズルを少なくとも1つ備え、
前記湯水散出ノズルは、
温水が散出される湯水散出室の外部と連通し、前記湯水散出室外の空気を取り込む空気取込手段と、
温水を噴き出す噴出手段と、
前記噴出手段からの温水の高速噴射による圧力低下によって、前記空気取込手段で取り込んだ空気を温水に巻き込む空気混合部が形成されると共に、前記空気混合部に空気を取り込む空気取込口が形成され、前記空気取込口の開度を可変とした温度調整手段とを備えた
ことを特徴とする湯水散出装置。
【請求項5】
複数の前記湯水散出ノズルを備えると共に、前記温度調整手段をそれぞれの前記湯水散出ノズルに独立して備えた
ことを特徴とする請求項4記載の湯水散出装置。
【請求項6】
前記温度調整手段は、回転操作されるダイヤル部と、前記ダイヤル部の回転操作に伴い前記空気取込口の開度を可変とするネジ機構部とを備えた
ことを特徴とする請求項4または5記載の湯水散出装置。
【請求項7】
前記噴出手段は、温水を螺旋状に噴出する旋流手段を備えた
ことを特徴とする請求項4,5または6記載の湯水散出装置。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7に何れか記載の湯水散出装置を備えた
ことを特徴とする湯水散出室。
【請求項9】
請求項4乃至請求項7に何れか記載の湯水散出装置を有する湯水散出室を備えた
ことを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−218452(P2006−218452A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36666(P2005−36666)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】