説明

湯水混合装置及びそれを備えた湯水混合水栓

【課題】主弁体から流出した湯及び水が感温ばねのガイド部材を押圧して感温ばねの付勢力に及ぼす影響を抑制し、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる湯水混合装置を提供する。
【解決手段】本発明の湯水混合装置は、湯及び水の流量を変化させる主弁体30を所定方向に摺動させる付勢力を発生するバイアスばね32と、湯水の温度に応じてバイアスばねとは逆方向に主弁体を摺動させる付勢力を発生する感温ばね34と、感温ばねを収容してガイドすると共に感温ばねの付勢力により移動して主弁体を摺動させる感温ばねガイド部50と、を有し、感温ばねガイド部材の湯水進入部50aは、その外側に進入口50bを形成する進入側端部50cと、感温ばねガイド部材の内側に進出口50dを形成して感温ばねに当接する進出側端部50eと、を備え、進入側端部の進入口の大きさは進出側端部の進出口の大きさよりも大きいことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水混合装置及びそれを備えた湯水混合水栓に関し、特に、湯及び水を混合し適温に調整された湯を吐出させる湯水混合装置及びそれを備えた湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の湯水混合装置の一例として、円筒状の湯水混合装置本体内部に摺動可能に配置された円筒状の主弁体の両側に感温ばねとバイアスばねが配置され、これらのばねによる付勢力が釣り合う位置に主弁体が移動されるようになっているものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このような湯水混合装置においては、混合された湯の温度が上昇すると、感温ばねの付勢力が増加して湯水混合装置本体に形成された湯側シート面と主弁体との間の隙間が狭くなり、水側シート面と主弁体との間の隙間が広くなるように主弁体が移動され、湯水混合装置から吐出される湯の温度が操作ハンドルにより設定された所定の温度に調整されるようになっている。
特に、特許文献1に記載されている湯水混合装置においては、感温ばねをガイドする感温ばねガイド部材の内径と感温ばねの内径を等しく設定し、感温ばねガイド部材の湯水進入口を感温ばねに向かって末広がりのテーパ形状にすることによって、湯水の混合室の空間を十分に確保して、良好な温調性能を実現している。
また、特許文献2に記載されている湯水混合装置においては、湯水の混合室に水が攪拌されて流入するように、弁体の軸に対して傾斜したフィンを設け、混合室に向かってテーパ形状となった攪拌流発生部を形成して、温調性能を向上させると同時に、水の流れの流動圧が湯側弁部に作用しない構造としている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−270878号公報
【特許文献2】特開2008−144961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の湯水混合装置においては、正確な温度調節性能を得るのに感温ばねの付勢力がバイアスばねによる付勢力とつり合うことが前提となるが、実際には、主弁体から流出した湯及び水が感温ばねのガイド部材を押圧してしまうため、このガイド部材が感温ばねを付勢してしまう。このため、感温ばねの付勢力は、バイアスばねによる付勢力と湯及び水自体が押圧したガイド部材の荷重による付勢力との総和とつり合うことになり、操作ハンドルによって設定された温度と異なる温度の湯水が吐水されてしまうという問題がある。この問題に対して、ガイド部材の湯水浸入口を出来る限り広くして、湯及び水が押圧する面積を減らすことが考えられるが、湯水進入口を広くすると、カイド部材の内部に位置する感温バネと当節する面積も少なくなるため、感温バネを保持できなくなるといった恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、主弁体から流出した湯及び水が感温ばねのガイド部材を押圧して感温ばねの付勢力に及ぼす影響を抑制し、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる湯水混合装置及びそれを備えた湯水混合水栓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、湯及び水を混合し適温に調整された湯水を吐出させる湯水混合装置であって、湯水混合装置本体と、吐出される湯水の温度を設定する操作ハンドルと、上記湯水混合装置本体の内部に移動可能に配置され、移動することにより、上記湯水混合装置本体内に流入する湯及び水の流量を変化させる主弁体と、上記湯水混合装置本体の内部に配置され、上記操作ハンドルの操作に応じて、上記主弁体を所定方向に摺動させる付勢力を発生する付勢手段と、上記湯水混合装置本体の内部に配置され、上記湯水混合装置本体内に流入して混合された湯水の温度に応じて、上記付勢手段とは逆方向に上記主弁体を摺動させる付勢力を発生する感温ばねと、この感温ばねと上記主弁体との間に移動可能に配置され、上記感温ばねを収容してガイドすると共に上記感温ばねの付勢力により移動して上記主弁体を摺動させる感温ばねガイド部材と、を有し、上記感温ばねガイド部材は、上記主弁体から流出した湯及び水を上記感温ばねガイド部の内部へ進入させる湯水進入部を備え、この湯水進入部は、上記主弁体から流出した湯及び水が進入可能となるように上記感温ばねガイド部材の外側に進入口を形成する進入側端部と、この進入側端部の進入口から進入した湯及び水が上記感温ばねガイド部材の内部へ進出可能となるように上記感温ばねガイド部材の内側に進出口を形成して上記感温ばねに当接する進出側端部と、を含み、上記進入側端部の進入口の大きさは上記進出側端部の進出口の大きさよりも大きくなるように構成されていることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、感温ばねガイド部材の湯水進入部における進入側端部の進入口の大きさが、湯水進入部における進出側端部の進出口の大きさよりも大きくなるように構成されているため、主弁体から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材の内部に進入しやすくなる。それゆえ、湯及び水が感温ばねガイド部材の湯水進入部を押圧して感温ばねガイド部材を摺動させる荷重の発生を低減し、感温ばねの付勢力に及ぼす影響を抑制することができる。その結果、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる。また、感温ばねが当接する感温ばねガイド部材の湯水進入部における進出側端部の進出口の大きさが、進入側端部の進入口の大きさよりも小さいため、感温ばねガイド部材の湯水進入部の進出側端部が感温ばねの当接する面を十分に確保することができ、感温ばねを作動状態にかかわらず十分に保持することできる。
【0008】
本発明において、好ましくは、感温ばねガイド部材の湯水進入部は、進入側端部の進入口から上記進出側端部の進出口にかけてテーパ形状を形成している。
このように構成された本発明においては、感温ばねガイド部材の湯水進入部は、進入側端部の進入口から進出側端部の進出口にかけてテーパ形状を形成しているため、主弁体から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材の内部に進入しやすくなる。それゆえ、湯及び水自体が感温ばねガイド部材の湯水進入部を押圧して感温ばねガイド部材を摺動させる荷重の発生を低減し、感温ばねの付勢力に及ぼす影響を抑制することができ、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、進出側端部の進出口の直径は、感温ばねの内径以上の大きさである。
このように構成された本発明においては、進出側端部の進出口の直径が感温ばねの内径以上の大きさであるため、主弁体から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材の内部に進入しやすくなる。それゆえ、湯及び水自体が感温ばねガイド部材の湯水進入部を押圧して感温ばねガイド部材を摺動させる荷重の発生を低減し、感温ばねの付勢力に及ぼす影響を抑制することができ、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、さらに、感温ばねと感温ばねガイド部材に当接するように感温ばねと感温ばねガイド部材との間に設けられ且つ貫通穴が形成されたワッシャー部材を有し、ワッシャー部材が進出側端部として機能すると共にワッシャー部材の貫通穴が進出口として機能するように構成されている。
このように構成された本発明においては、感温ばねの大きさが、感温ばねガイド部材の湯水進入部における進出側端部の進出口の大きさより小さくても、ワッシャー部材を感温ばねと感温ばねガイド部材に当接するように介することで、ワッシャー部材が湯水進出部と機能し、且つワッシャー部材に形成されている貫通穴が進出口として機能するので、感温ばねによって発生する付勢力を感温ばねガイド部材の湯水進入部の進出側端部に確実に伝達することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、感温ばねガイド部材の湯水進入部は、その進入側端部の進入口から軸方向外側に突出するように形成され湯及び水の混合を促進させるフィン部材を備えている。
このように構成された本発明においては、感温ばねガイド部材の湯水進入部における進入側端部の進入口に湯及び水の混合を促進させるフィン部材を備えているため、感温ばねがより正確な湯水の温度を感知できるため、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0012】
また、本発明の湯水混合水栓は、本発明による湯水混合装置と、この湯水混合装置を収納する水栓本体と、湯水混合装置によって混合された湯の吐水状態と止水状態を切替える開閉弁と、混合された湯を吐出させる吐出部と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の湯水混合装置及びそれを備えた湯水混合水栓によれば、湯水混合装置本体内部を流れる湯及び水自体が作用する荷重が感温ばねの付勢力に及ぼす影響を抑制し、操作ハンドルの設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による湯水混合水栓を添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態による湯水混合水栓全体を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による湯水混合水栓1は、水栓本体2と、この水栓本体2に給湯器(図示せず)からの湯を供給する湯供給脚4と、水栓本体2に水道水を供給する水供給脚6と、を有する。さらに、湯水混合水栓1は、水栓本体2左端部に取り付けられた湯温調節用操作ハンドル8と、右端部に取り付けられた吐止水切替ハンドル10と、を有する。また、湯水混合水栓1は、温度調節された湯を吐出させる吐出部であるカラン12及びシャワーヘッド14を有する。さらに、水栓本体2には、開閉弁である切替バルブ16が内蔵されている。本実施形態の湯水混合水栓1は、湯供給脚4及び水供給脚6から夫々供給された湯及び水を、湯温調節用操作ハンドル8によって設定された温度になるように混合し、吐止水切替ハンドル10を操作して、カラン12又はシャワーヘッド14から吐出させるように構成されている。
【0015】
湯供給脚4は、壁面に設けられた給湯管(図示せず)と水栓本体2とを連結し、水栓本体2に湯を供給するように構成されている。
水供給脚6は、壁面に設けられた水道管(図示せず)と水栓本体2とを連結し、水栓本体2に水を供給するように構成されている。
【0016】
水栓本体2には、湯供給脚4及び水供給脚6を介して導入された湯及び水を、適宜混合して所望の温度に調節する湯水混合装置20が内蔵されている。また、水栓本体2に取り付けられた吐止水切替ハンドル10は、これを回転操作することによって、水栓本体2に内蔵された切替バルブ16を切替え、止水状態、カラン12からの吐水状態、シャワーヘッド14からの吐水状態が切替えられるようになっている。吐止水切替ハンドル10をカランの側に回転させると、湯水混合装置20によって適温に混合された湯がカラン12から吐水され、吐止水切替ハンドル10をシャワーの側に回転させると、適温に混合された湯が、シャワーヘッド14から吐水される。
【0017】
また、湯温調節用操作ハンドル8は、これを廻すことによって水栓本体2に内蔵された湯水混合装置20を操作し、湯水混合装置20によって調節される湯の温度を変化させることができるように構成されている。
【0018】
つぎに、図2を参照して、本実施形態の湯水混合水栓1に内蔵された湯水混合装置20を説明する。図2は湯水混合装置20の断面図である。
【0019】
図2に示すように、湯水混合装置20は、第1本体部材22と、この第1本体部材22に取り付けられている第2本体部材24と、湯温調節用操作ハンドル8に連結される送りねじ26と、この送りねじ26に螺合され、送りねじ26が回転されると第1本体部材22内で摺動する摺動部材28と、を有する。
また、湯水混合装置20は、第1本体部材22の内部に移動可能に配置された主弁体30と、主弁体30を図2における右方向に付勢する付勢手段であるバイアスばね32と、バイアスばね32とは反対方向の図2における左方向に主弁体30を付勢する感温付勢手段である感温ばね34と、を有する。本実施形態においては、感温ばね34として、形状記憶合金製のコイルばねを使用している。
【0020】
第1本体部材22は、概ね円筒状の形態であり、図2において右側に位置する第2本体部材24と螺合されることにより湯水混合装置本体20aを構成している。また、第1本体部材22には、湯を流入させるための湯導入口22a及び水を流入させるための水導入口22bがそれぞれ円周方向に設けられている。また、湯導入口22aの図2における左側の端面は、主弁体30と当接する湯側シート面22cとして形成されている。
【0021】
第2本体部材24は、概ね円筒状の形態であり、その外周端部に形成された雄ねじ部24aを、第1本体部材22の端部に形成された雌ねじ部22dと螺合させることによって、第1本体部材22に取り付けられている。また、第2本体部材24の先端部は、主弁体30と当接する水側シート面24bとして形成されている。このため、第2本体部材24を第1本体部材22に螺合させるねじ込み量を変化させることにより、湯側シート面22cと水側シート面24bの間隔を調整することができる。さらに、第2本体部材24の水側シート面24bとは反対側の端部には、湯水混合装置本体20a内で混合された湯を流出させる吐出口24cが形成されている。
【0022】
送りねじ26は、第1本体部材22の内部に回転可能に配置されている。送りねじ26の一方の端部には、湯温調節用操作ハンドル8が取り付けられるスプライン部26aが形成され、他方の端部には、摺動部材28と螺合される送り雄ねじ部26bが形成されている。
【0023】
摺動部材28は、概ね円筒形の形態であり、第1本体部材22の内部に摺動可能に配置されている。また、摺動部材28の外側には、軸線方向の溝(図示せず)が形成されており、この溝(図示せず)が、第1本体部材22の内部に形成された軸線方向に延びる突起(図示せず)を受け入れることによって、摺動部材28の第1本体部材22に対する回転が拘束されている。さらに、摺動部材28の内側には、送りねじ26の送り雄ねじ部26bと螺合される送り雌ねじ部28aが形成されている。これにより、送りねじ26を回転させると、摺動部材28は第1本体部材22の軸線方向に摺動される。
【0024】
主弁体30は、概ね円筒状の円筒部30aを有し、この円筒状の円筒部30aの両端には、湯側シート面22cと当接する湯側シート部30bと、水側シート面24bと当接する水側シート部30cがそれぞれ形成されている。
【0025】
また、湯水隔離手段であって、位置規制部材であるスペーサーリング38は、主弁体30の円筒部30aの外周に当接するように配置し、脚付スペーサーリング40は主弁体30と第1本体部材22の間に配置されている。スペーサーリング38は、Oリングであり、第1本体部材22の内壁に形成された段部22eに係合するように配置されている。これらのスペーサーリング38及び脚付スペーサーリング40は、主弁体30の円筒部30aと第1本体部材22の内壁面との間に位置し、湯水混合装置本体20a内に流入した湯及び水が主弁体30の外側で混合されるのを抑制している。
【0026】
また、主弁体30の左側には、脚付環状部材42、バイアスばね32、ばね押え部材46、及び、クリップ48が配置されている。
一方、主弁体30の右側には、詳細は後述する感温ばねガイド部材50及び感温ばね34が配置されている。感温ばねガイド部材50は、概ね円筒状の部材であり、第2本体部材24の内部で摺動可能に配置されている。
【0027】
主弁体30の左側に配置されている脚付環状部材42は、その脚部42aが主弁体30に当接すると共に、環状部42bがバイアスばね32の右側端部の内周部に挿入されてバイアスばね32を保持している。
【0028】
ばね押え部材46は、中央部が隆起したドーナツ板状の金具であり、摺動部材28とバイアスばね32との間に介在して設けられており、バイアスばね32の左側端部を押えて保持している。また、ばね押え部材46は、クリップ48を介して脚付環状部材42に連結されている。さらに、バイアスばね32は、予め圧縮された状態で脚付環状部材42の環状部42bとばね押え部材46との間に挟まれて配置されている。これらの構成により、湯温調節用操作ハンドル8の操作によって摺動部材28が図2における右方向に摺動してばね押え部材46に当接すると、ばね押え部材46が図2の右方向に移動し、バイアスばね32が圧縮されて脚付環状部材42を介して主弁体30を図2における右方向に付勢するようになっている。
【0029】
また、第1本体部材22の外側には、湯導入口22a及び水導入口22bを覆うように、円筒状のフィルター52、54がそれぞれ配置されており、湯又は水に混入したゴミ等が、湯水混合装置20内に流入するのを防止している。
【0030】
つぎに、図2〜図4を参照して、上述した感温ばねガイド部材50の詳細について説明する。
ここで、図3は図2における感温ばねガイド部材及び感温ばねの部分を拡大した拡大断面図であり、図4は感温ばねガイド部材及び感温ばねの平面図である。
【0031】
図2〜図4に示すように、感温ばねガイド部材50は、感温ばね34と主弁体30との間に移動可能に配置され、感温ばね34を収容してガイドすると共に感温ばね34の付勢力により移動して主弁体30を摺動させるようになっている。
また、感温ばねガイド部材50は、主弁体30から流出した湯及び水を感温ばねガイド部材50の内部に配置された感温ばね34の内部へ進入させる湯水進入部50aを備えている。
【0032】
感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aは、主弁体30から流出した湯及び水が進入可能となるように感温ばねガイド部材50の外側に進入口50bを形成する進入側端部50cと、この進入側端部50cの進入口50bから進入した湯及び水が感温ばねガイド部材50の内部へ進出可能となるように感温ばねガイド部材50の内側に進出口50dを形成して感温ばね34の左側端部に当接する進出側端部50eを備えている。
また、湯水進入部50aは、その進入側端部50cの進入口50bの大きさ(直径D1)が進出側端部50eの進出口50dの大きさ(直径D2)よりも大きくなっており、進入側端部50cの進入口50bから進出側端部50eの進出口50dにかけて軸方向にテーパ状に窄まるテーパ形状の流路50iを形成している。
【0033】
さらに、湯水進入部50aにおける進出側端部50eの進出口50dは、その中心軸が感温ばね34のコイル中心軸34a(図3参照)とほぼ同軸となっており、進出口50dの直径D2は、感温ばね34の内径D3と等しく設定されているか、或いは内径D3よりも大きく設定されている。
【0034】
また、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aは、図3から見て進入側端部50cの進入口50bから軸方向外側に突出するように形成された複数のフィン部材50fを備えている。これらの複数のフィン部材50fのそれぞれは、図4から見て感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aの進入側端部50cの全周に沿って互いに所定間隔で放射状に配置されており、各フィン部材50fの内側端部50gは、進入側端部50cの進入口50bの内側に向かって突出している。
【0035】
さらに、感温ばねガイド部材50のフィン部材50fの図2及び図3における左側端部50hは主弁体30に当接するように配置され、主弁体30から流出した湯及び水は、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aに進入する前にフィン部材50fを通過することによって混合が促進されるようになっている。
【0036】
また、感温ばね34の図2及び図3における右側端部は第2本体部材24の内壁面の端部に当接するように配置されている。この構成により、感温ばね34は、感温ばねガイド部材50を介して、主弁体30を図2及び図3における左方向に付勢するようになっている。
【0037】
つぎに、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による湯水混合水栓1の作用について説明する。
まず、湯水混合水栓1の使用者は、湯温調節用操作ハンドル8を所望の温度に設定する。ここで、湯温調節用操作ハンドル8を最低温度に設定した場合には、摺動部材28は図2における左端に位置される。この状態では、図2に示すように、摺動部材28がばね押え部材46から離間するのでバイアスばね32による付勢力は作用せず、主弁体30の湯側シート部30bは、感温ばね34の付勢力により湯側シート面22cに当接される。すなわち、湯水混合装置本体20a内には、水のみが流入できる状態となる。
【0038】
つぎに、使用者が設定温度を上昇させるために、湯温調節用操作ハンドル8を操作して送りねじ26を回転させると、摺動部材28は図2における右方向に移動され、摺動部材28はばね押え部材46と当接する。これにより、バイアスばね32による付勢力も主弁体30に作用するようになり、主弁体30は、バイアスばね32の付勢力と感温ばね34の付勢力が釣り合う位置に移動される。
【0039】
湯温調節用操作ハンドル8を設定した後、使用者が吐止水切替ハンドル10を操作して、切替バルブ16を止水位置からカラン12又はシャワーヘッド14からの吐水位置に切替えると、カラン又はシャワーからの吐水が開始される。吐水が開始されると、湯供給脚4から導入された湯は、フィルター52を介して湯導入口22aに流入し、水供給脚6から導入された水は、フィルター54を介して水導入口22bに流入する。湯導入口22aから流入した湯は主弁体30の湯側シート部30bと湯側シート面22cの間を通って湯水混合装置本体20a内部に流入し、水導入口22bから流入した水は主弁体30の水側シート部30cと水側シート面24bの間を通って湯水混合装置本体20a内部に流入する。
【0040】
湯水混合装置本体20aに流入した湯は、主弁体30の円筒部30aの中を通って、図2における右方向に流れる。また、湯水混合装置本体20aに流入した水は、主弁体30の円筒部30bの中を流れた湯と共に主弁体30から流出し、感温ばねガイド部材50のフィン部材50fによってほぼ均一な温度に混合され、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aに進入する。
【0041】
感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aに進入した湯水は、進入側端部50cの進入口50bから進出側端部50eの進出口50dにかけて軸方向にテーパ状に窄まるテーパ形状の流路を通過し、感温ばね34の内部へ進出する。そして、感温ばね34の内部を通過した湯水は、吐出口24cから流出する。吐出口24cから流出した湯は、切替バルブ16(図1)を通って、カラン12又はシャワーヘッド14から吐出される。
【0042】
感温ばね34の内部を流れる湯の温度が設定温度よりも高い場合には、感温ばね34は伸びるように作用するので、感温ばね34による付勢力が増大する。これにより、感温ばね34による付勢力とバイアスばね32による付勢力が釣り合う位置が図2における左側に移動し、主弁体30は左方向に移動される。その結果、湯側シート部30bと湯側シート面22cの間の距離は短くなり、水側シート部30cと水側シート面24bの間の距離は長くなるので、湯水混合装置本体20aに流入する水の割合が増大し、吐出される湯の温度が低下する。逆に、感温ばね34の内部を流れる湯の温度が設定温度よりも低い場合には、感温ばね34による付勢力は減少し、主弁体30は図3における右方向に移動されて、吐出される湯の温度が上昇する。これらの作用により、カラン12又はシャワーヘッド14から吐出される湯の温度が、設定温度に調節される。
【0043】
上述した本発明の第1実施形態の湯水混合水栓1によれば、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aにおける進入側端部50cの進入口50bの大きさ(直径D1)が進出側端部50eの進出口50dの大きさ(直径D2)よりも大きくなっており、進入側端部50cの進入口50bから進出側端部50eの進出口50dにかけて軸方向にテーパ状に窄まるテーパ形状の流路を形成しているため、主弁体30から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材50の内部に進入しやすくなる。それゆえ、湯及び水が感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aを押圧して感温ばねガイド部材50を摺動させる荷重の発生を低減し、感温ばね34の付勢力に及ぼす影響を抑制することができる。その結果、湯温調節用操作ハンドル8の設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態の湯水混合水栓1によれば、感温ばね34が当接する感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aにおける進出側端部50eの進出口50dの大きさ(直径D2)が、進入側端部50cの進入口50bの大きさ(直径D1)よりも小さいため、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aの進出側端部50eが感温ばね34の図2及び図3における左側端部に当接する面を十分に確保することができ、感温ばね34を作動状態にかかわらず十分に保持することできる。
【0045】
さらに、本実施形態の湯水混合水栓1によれば、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aにおける進出側端部50eの進出口50dの直径D2が感温ばね34の内径D3と等しく設定されているか、或いは内径D3よりも大きく設定されているため、主弁体30から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材50の内部に進入しやすくなる。それゆえ、湯及び水が感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aを押圧して感温ばねガイド部材50を摺動させる荷重の発生を低減し、感温ばね34の付勢力に及ぼす影響を抑制することができる。その結果、湯温調節用操作ハンドル8の設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態の湯水混合水栓1によれば、感温ばねガイド部材50の湯水進入部50aは、図3から見て進入側端部50cの進入口50bから軸方向外側に突出するように形成された複数のフィン部材50fを備えているため、感温ばね34がより正確な湯水の温度を感知できるため、湯温調節用操作ハンドル8の設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0047】
つぎに、図5を参照して、本発明の第2実施形態による湯水混合水栓について説明する。本実施形態の湯水混合水栓は、内蔵されている湯水混合装置の感温ばねガイド部材の構造が本発明の第1実施形態とは異なっている。したがって、ここでは、本発明の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。図5は、本実施形態の湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置の感温ばねガイド部材及び感温ばねの部分を拡大した図3と同様な拡大断面図である。
【0048】
図5に示すように、本発明の第2実施形態の湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置の感温ばねガイド部材60においては、湯水進入部60aの進入側端部60cの進入口60bの大きさ(直径D1)と進出側端部60eの進出口60dの大きさ(直径D1)が等しくなっており、進入側端部60cの進入口60bから進出側端部60eの進出口60dにかけて軸方向に真っ直ぐ延びた流路60iを形成している。
【0049】
また、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの進出側端部60eと感温ばね34の図5における左側端部との間には、感温ばねガイド部材60と感温ばね34と当接するようにワッシャー部材62が設けられており、感温ばね34がワッシャー部材62を介して感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの進出側端部60eに当接するようになっている。このワッシャー部材62の中央部に形成された貫通穴62aは、その中心軸が感温ばね34のコイル中心軸34aや感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの流路60iの中心軸とほぼ同軸となっている。
【0050】
ここで、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aにおける進出側端部60eの進出口60dは、その全周にわたってワッシャー部材62の内周部によって窄められている。それゆえ、進出口60dの大きさ(直径D1)は、実質的には、ワッシャー部材62の貫通穴62aの大きさ(直径D2)と等しい大きさとなっており、進入口60bの大きさよりも小さくなっている。つまり、実質的に、ワッシャー部材62が進出側端部として機能しており、且つワッシャー部材62に形成された貫通穴62aが、実質的に進出口として機能していることになる。したがって、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの流路60iからワッシャー部材62の貫通穴62aの図5における右側端部にかけて流路の断面積が段階的に縮小して窄まるようになっている。
【0051】
また、感温ばね34の内径D3が、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aにおける進出側端部60eの進出口60dの直径D1よりも小さく、ほぼワッシャー部材62の貫通穴62aの大きさ(直径D2)と等しい大きさとなっている。
【0052】
上述した本発明の第2実施形態の湯水混合水栓によれば、感温ばね34がワッシャー部材62を介して感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの進出側端部60eに当接するようになっている。それゆえ、感温ばね34の内径D3が、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aにおける進出側端部60eの進出口60dの直径D1より小さくても、ワッシャー部材62を介することで、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの進出側端部60eが感温ばね34の当接する面を十分に確保することができ、感温ばね34によって発生する付勢力を感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの進出側端部60eに確実に伝達することができる。
【0053】
また、本実施形態の湯水混合水栓によれば、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aにおける進出側端部60eの進出口60dが、その全周にわたってワッシャー部材62の内周部によって窄められており、進出口60dの大きさが、実質的には、ワッシャー部材62の貫通穴62aの大きさ(直径D2)と等しい大きさとなって、進入口60bの大きさよりも小さく機能している。それゆえ、感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aの流路60iからワッシャー部材62の貫通穴62aの図5における右側端部にかけて流路の断面積が段階的に縮小して窄まるようになっているため、主弁体30から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材60の内部に進入しやすくなる。この結果、湯及び水が感温ばねガイド部材60の湯水進入部60a及びワッシャー部材62を押圧して感温ばねガイド部材60を摺動させる荷重の発生を低減し、感温ばね34の付勢力に及ぼす影響を抑制することができる。その結果、湯温調節用操作ハンドル8の設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【0054】
なお、上述した本発明の第2実施形態の湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置の感温ばねガイド部材60においては、一例として、湯水進入部60aの進入側端部60cの進入口60bの大きさ(直径D1)と進出側端部60eの進出口60dの大きさ(直径D1)が等しくなっており、進入側端部60cの進入口60bから進出側端部60eの進出口60dにかけて軸方向に真っ直ぐ延びた流路60iを形成している形態について説明しているが、このような形態に限定されず、他の形態についても適用可能である。例えば、上述した第1実施形態の湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置20の感温ばねガイド部材50と同様に、湯水進入部60aの進入側端部60cの進入口60bの大きさ(直径D1)を進出側端部60eの進出口60dの大きさ(直径D2)よりも大きくなるように設定して進入側端部60cの進入口60bから進出側端部60eの進出口60dにかけて軸方向にテーパ状に窄まるテーパ形状の流路60iを形成することによって、主弁体30から流出した湯及び水が感温ばねガイド部材60の内部にさらにより進入しやすくさせることができる。その結果、湯及び水が感温ばねガイド部材60の湯水進入部60aを押圧して感温ばねガイド部材60を摺動させる荷重の発生をより効果的に低減し、感温ばね34の付勢力に及ぼす影響を抑制することができ、湯温調節用操作ハンドル8の設定温度とずれのない吐水を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態による湯水混合水栓全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置の断面図である。
【図3】図2における感温ばねガイド部材及び感温ばねの部分を拡大した拡大断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置の感温ばねガイド部材及び感温ばねの平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の湯水混合水栓に内蔵されている湯水混合装置の感温ばねガイド部材及び感温ばねの部分を拡大した図3と同様な拡大断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 湯水混合水栓
2 水栓本体
4 湯供給脚
6 水供給脚
8 湯温調節用操作ハンドル
10 吐止水切替ハンドル
12 カラン
14 シャワーヘッド
16 切替バルブ
20 湯水混合装置
20a 湯水混合装置本体
22 第1本体部材
22a 湯導入口
22b 水導入口
22c 湯側シート面
22d 雌ねじ部
22e 段部
22f スプライン部
24 第2本体部材
24a 雄ねじ部
24b 水側シート面
24c 吐出口
26 送りねじ
26a スプライン部
26b 送り雄ねじ部
28 摺動部材
28a 溝
28b 送り雌ねじ部
30 主弁体
30a 円筒部
30b 湯側シート部
30c 水側シート部
32 バイアスばね
34 感温ばね
38 スペーサーリング
40 脚付スペーサーリング
42 脚付環状部材
42a 脚部
42b 環状部
42c 中央穴
46 ばね押え部材
46a 挿入孔
48 クリップ
48a 脚部
48b 突起部
50,60 感温ばねガイド部材
50a, 60a 湯水進入部
50b, 60b 進入口
50c, 60c 湯水進入部の進入側端部
50d, 60d 進出口
50e, 60e 湯水進入部の進出側端部
50f, 60f フィン部材
50g フィン部材の内側端部
50h,60h フィン部材の左側端部
50i, 60i 流路
52,54 フィルター
62 ワッシャー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯及び水を混合し適温に調整された湯水を吐出させる湯水混合装置であって、
湯水混合装置本体と、
吐出される湯水の温度を設定する操作ハンドルと、
上記湯水混合装置本体の内部に移動可能に配置され、移動することにより、上記湯水混合装置本体内に流入する湯及び水の流量を変化させる主弁体と、
上記湯水混合装置本体の内部に配置され、上記操作ハンドルの操作に応じて、上記主弁体を所定方向に摺動させる付勢力を発生する付勢手段と、
上記湯水混合装置本体の内部に配置され、上記湯水混合装置本体内に流入して混合された湯水の温度に応じて、上記付勢手段とは逆方向に上記主弁体を摺動させる付勢力を発生する感温ばねと、
この感温ばねと上記主弁体との間に移動可能に配置され、上記感温ばねを収容してガイドすると共に上記感温ばねの付勢力により移動して上記主弁体を摺動させる感温ばねガイド部材と、を有し、
上記感温ばねガイド部材は、上記主弁体から流出した湯及び水を上記感温ばねガイド部の内部へ進入させる湯水進入部を備え、この湯水進入部は、上記主弁体から流出した湯及び水が進入可能となるように上記感温ばねガイド部材の外側に進入口を形成する進入側端部と、この進入側端部の進入口から進入した湯及び水が上記感温ばねガイド部材の内部へ進出可能となるように上記感温ばねガイド部材の内側に進出口を形成して上記感温ばねに当接する進出側端部と、を含み、上記進入側端部の進入口の大きさは上記進出側端部の進出口の大きさよりも大きくなるように構成されていることを特徴とする湯水混合装置。
【請求項2】
上記感温ばねガイド部材の湯水進入部は、上記進入側端部の進入口から上記進出側端部の進出口にかけてテーパ形状を形成している請求項1記載の湯水混合装置。
【請求項3】
上記進出側端部の進出口の直径は、上記感温ばねの内径以上の大きさである請求項1又は2に記載の湯水混合装置。
【請求項4】
さらに、上記感温ばねと上記感温ばねガイド部材に当接するように上記感温ばねと上記感温ばねガイド部材との間に設けられ且つ貫通穴が形成されたワッシャー部材を有し、このワッシャー部材が上記進出側端部として機能すると共に上記ワッシャー部材の貫通穴が上記進出口として機能するように構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の湯水混合装置。
【請求項5】
上記感温ばねガイド部材の湯水進入部は、その進入側端部の進入口から軸方向外側に突出するように形成され湯及び水の混合を促進させるフィン部材を備えている請求項1乃至4の何れか1項に記載の湯水混合装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の湯水混合装置と、
この湯水混合装置を収納する水栓本体と、
上記湯水混合装置によって混合された湯の吐水状態と止水状態を切替える開閉弁と、
混合された湯を吐出させる吐出部と、
を有することを特徴とする湯水混合水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−84865(P2010−84865A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255437(P2008−255437)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】