説明

湾曲した光学デバイス及びその製造方法

湾曲した光学デバイスを構成する方法は、少なくともひとつのセルを組み立てることを含み、少なくともひとつのセルは、流体を受け入れるように構成されたギャップを形成するように、間の距離が制御された対向する柔軟な基板を有する。その処理は、固定装置の中にセルの一部分のみを保持することと、セルの近位に湾曲型面を位置決めすることと、湾曲型面とセルとのうちの少なくともひとつを加熱することとによって持続する。次いで、セルは、熱と型面とが除去されるとき、セルが実質的に湾曲形状を維持しているように、型面に合致される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2006年7月14日に出願された先行の出願第11/486、804号の一部継続出願であり、同出願は、2001年9月18日に出願された先行の出願第09/956,507号(現在は米国特許第7,102,602号)の継続出願であり、これら先行出願の両方が参照により援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は概して光学デバイスの分野に関する。特に、本発明は湾曲した光学デバイス及びその製造方法に関する。特定的に、本発明は液状媒体が内部に取り込まれた二重または複合的に湾曲した光学デバイスに関する。そして本発明は、単一の堅い形成面を用いて湾曲した光学デバイスを形成することに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの光学要素のひとつの典型的な態様は該要素表面の曲率である。屈折レンズは、その表面及び裏面の曲率の違いから光線を収束または発散させる能力を引き出す。同様に、湾曲した鏡の焦点面は鏡の曲率によって決定される。ほとんどのレンズ及び鏡に対して、問題の表面は球面形状を有する。この例外のひとつは、球面及び円筒面の組合せである曲率を有する乱視矯正用レンズである。これらの要素の特徴は、それらが2次元面を有し、それらが2つの主曲率を有するということである。例えば、平面は両方ともゼロの曲率を有する。円筒面は、片方の曲率はゼロであるが、他方の曲率はゼロではない。球面は互いに等しいゼロ以外の曲率を有すると定義される。したがって、ほとんど例外なく、光学要素はゼロ以外でかつ異なる曲率を有する面を使用して構成されていることがわかる。よって当業者はこの種の光学要素を二重湾曲(doubly curved)と呼ぶ。
【0004】
最も普通の光学要素は眼鏡で使用される視力矯正レンズである。最も重症な場合を除き、これらのレンズはメニスクスレンズであり、その両面は二重に湾曲している。矯正レンズは一方が二重湾曲で他方が平坦な面で組み立てられているが、人間の顔も二重湾曲しているため、この構成は美感の面で不所望である。視力矯正に加え、二重湾曲レンズを有する眼鏡は、太陽光線、まぶしさ及び外の物から目を保護するために掛けられており、もちろんファッションアクセサリーとしても使用される。二重湾曲面を有する他の種類の装眼具は、ゴーグル、バイザー及びヘルメットのフェースプレートである。光が通過するかまたは反射する二重湾曲面の他の例は、風防ガラス、ガラスブロック窓、自動車ヘッドランプ、天窓及び関連する光学デバイスである。
【0005】
これら及び他の多くの応用に対して、光学要素の表面上に固体層を貼り付けるのが通常である。当該層はしばしば、透過光制御、または反射防止特性のような付加的な光学機能を与えるために貼り付けられる。したがって、付加的層の各々はそれ自身光学要素として働き、他の要素へ付加されると、複合要素となる。光学要素を製造しかつこれらの層のひとつを二重湾曲面に取付けようとすると、さまざまな困難が生じる。特に、二重湾曲面へ貼り付けるべき層は最初は平坦である。例えば、通常の一対のガラスレンズ上にアルミ処理されたMylar(商標)を貼り付けることにより一対の鏡面サングラスを作ることができる。最初に平坦なMylarを展ばすかまたは切断しなければ、二重湾曲レンズ面へ合致させて取り付けることは不可能であることがすぐわかる。または、最初に平坦な層は貼り付け処理中に層材料の状態を変化させることによって貼り付けても良い。層が軟化されまたは溶かされ、かつその状態に固定されれば、合致させて取り付けることが可能である。明らかに、生成された複合光学要素は、層が貼り付けられた温度以下の温度で動作しなければならない。
【0006】
上記方法で固体層を貼り付けることはできたが、光学要素へ複数の層を貼り付けたい場合、特に2つの層が制御された距離だけ互いに離されている場合に、多くの困難が生じる。言い換えれば、この制御された距離は2つの光学層の間にギャップを与え、このギャップが光学要素全体に渡って広がり、囲まれた体積を作る。この囲まれた体積は、所望の光学、保護または他の機能を実行する流体物質によって占められる。そのようなデバイスのひとつがここに参考文献として組み込む特許文献1に開示されている。生成された複合光学素子は電気的に制御可能な透光性を有する。当業者は、正確な動作を保証するためにはデバイス内でギャップを維持することが重要であることを知っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,239,778号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2つの二重湾曲面の間の制御されたギャップに流体材料を与える試みは問題が多いことがわかった。この問題を解決するひとつの試みは、所望のギャップ間隔のスペーサによって分離された二重湾曲ハーフレンズを使用することである。しかし、そのようなデバイに要求される小さいセルギャップ(ミクロンのオーダー)のせいで、レンズの全面にわたって要求されたギャップ間隔を維持しながら両方のレンズを適正に位置合わせすることは困難である。もし適当なギャップ間隔が維持されないと、所望の光学特性は得がたい。隣接する光学要素の形状に一致するようにそのようなデバイスの外面を適当に成形するのは非常に困難であることがわかった。
【0009】
他に眼鏡レンズを得るための方法は変更され、生成された複合レンズが正しい特性を有するように、2つのハーフレンズを一緒に接合することによって個人の視力を矯正するよう変えられる。ラミネートされたレンズを製造するこの方法は米国特許第4,883,548号及び6,180,033号に説明されている。しかし、これらの開示は、流体材料が光の透過または反射特性を制御するために使用されるには、レンズ間の制御されたギャップ距離を維持する必要がある点を言っていない。したがって、湾曲面の間でギャップが維持されるところの湾曲面を与えるデバイス及びその製造方法が必要である。
【0010】
対向する基板の間にギャップを有する湾曲した光学デバイスを形成するために開発された方法が有効であることはわかったが、光学デバイスに対するさまざまな最終使用用途がさまざまな熱成形技術を必要とすることが認識される。言い換えれば、最良の熱成形技術は、光学デバイスの基板材料または面積または曲率を選ぶことを含む多くの要因に依存している。したがって、最終使用用途に必要なさまざまなタイプの基板または光学セルの他の特徴に適応可能な光学デバイスを形成する方法に対する必要性がある。特に、湾曲した光学デバイスの基板材料のサイズ、曲率、光学的透明性及び他の要件は、湾曲した光学デバイスの形成に必要な技術の進歩を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
上記を考慮して、本発明の第1の態様は装眼具用の湾曲した光学デバイス及びその製造方法を与えることである。
【0012】
本発明の他の態様は、制御された間隔を有する対向基板を組み込む湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、スペーサを使用することで基板間の制御された間隔を維持するための湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、基板間に取り込まれた流体材料の特性を制御するべく基板にコーティングを与えることであり、該コーティングは電極、アライメント層などである。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、基板が少なくともひとつの次元で10ジオプトリーまでの曲率で湾曲されるところの湾曲光学デバイスを与えることである。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、所望の湾曲形状に一致するように基板に制御された圧力を与える前、間または後に、制御された間隔を有する一対の最初は平坦な対向基板の温度を所定の温度まで加熱する処理によって形成されるところの湾曲光学デバイスを与えることである。
【0017】
本発明の付加的な態様は、基板間で所望の制御された間隔を維持しながら湾曲形状が残るような方法で圧力及び熱が除去されると同時に所望の湾曲形状が形成されるように、対向する基板を一致させるための対向する型面を与える、湾曲光学デバイス及びその製造方法を与えることである。
【0018】
本発明のさらに他の態様は、流体材料が基板間に取り込まれるところの、湾曲光学デバイス及びその製造方法を与えることである。本発明のこの態様に関して、流体材料は形成処理の前または後に充満される。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、制御された間隔を有する基板を含む最初に湾曲している光学デバイスが、当該デバイスに付加的な曲率を与えるために上記した熱及び圧力を与えられるところの、湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0020】
本発明のさらに他の態様は、湾曲したデバイスの一方の面に実質的に合致するハーフレンズへ基板が取り付けられるところの、湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0021】
本発明のさらに他の態様は、湾曲したデバイスの他方の面に実質的に合致する第2のハーフレンズが取り付けられるところの、湾曲した光学デバイスを与えることである。
【0022】
本発明のさらに他の態様は、それらの間の距離が制御された一対の対向する基板から形成されるセルの少なくとも外周部分を固定する保持固定装置を提供することを含む。基板が加熱され、セルが形成面と接触するように力が加えられる。力は型をセルの中に、またはセルを型の中に動かす機械的な力であり得る。力はまた、流体が気体または液体である流体による補助(fluid assist)であり得る。形成処理はまた、デバイスを搬送機構に固定する任意の数の方法で用いられ得る。
【0023】
本発明の上記及び他の態様は、詳細な説明が進行するにつれ明らかとなり、湾曲した光学デバイス及び湾曲した光学デバイスを製作する方法によって達成される。
【0024】
本発明の他の態様は、湾曲した光学デバイスを構成する方法によって達成され、その方法は、それらの間の距離が制御された対向する柔軟な基板を有する少なくともひとつのセルを組み立て、固定装置の中の少なくともひとつのセルの一部分のみを保持する流体を受け入れるように構成されたギャップを形成することと、少なくともひとつのセルに近位な湾曲型面を位置決めすることとを包含する。他の態様はまた、少なくともひとつの湾曲型面及び少なくともひとつのセルを加熱することと、熱が除去されるときに少なくともひとつの湾曲型面が実質的に湾曲形状を維持するように、少なくともひとつのセルを型面に合致させることとを含む。
【0025】
本発明のこれら及び他の態様並びに以下の詳細な説明で明らかとなる従来技術に対する利点は、以下に説明される改良によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の目的、技術及び構造の完全な理解のために、以下の詳細な説明及び添付の図面への参照が行われるべきである。
【図1】図1は、湾曲した光学デバイスの形成に使用される分離層スタックの概略図である。
【図2】図2は、デバイスを形成する装置を示す概略図である。
【図3】図3は、形成処理の後のデバイスの断面概略図である。
【図4】図4は、2つのハーフレンズの間に位置決めされた光学デバイスの断面図である。
【図5】図5は、湾曲した光学デバイスを形成する装置を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の概念に従った熱成形機の概略透視図である。
【図7】図7は、部分断面図に示される、セルまたは薄膜としてもまた参照される、分離層スタックを有する代替の保持固定装置の透視図であり、保持固定装置は、示される熱成形機のうちの任意のものにおいて用いられ得る。
【図8】図8は、図6に示される熱成形機の部分断面図であり、熱成形機の選択されたコンポーネント、すなわち熱成形処理の間の保持固定装置、加熱ユニット及び型を概略的に示している。
【図9A】図9Aは、本発明の概念に従った第1の代替の熱成形機の概略透視図である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示される第1の代替の熱成形機の部分断面図であり、熱成形機の選択されたコンポーネント、すなわち熱成形処理の間の保持固定装置、加熱ユニットを有する圧縮空気源、及び型を概略的に示している。
【図10A】図10Aは、本発明の概念に従った第2の代替の熱成形機の概略透視図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示される第2の代替の熱成形機の部分断面図であり、熱成形機の選択されたコンポーネント、すなわち熱成形処理の間の保持固定装置、加熱ユニットを有する真空源、及び型を概略的に示している。
【図11A】図11Aは、本発明の概念に従った第3の代替の熱成形機の概略透視図である。
【図11B】図11Bは、図11Aに示される第3の代替の熱成形機の部分断面図であり、熱成形機の選択されたコンポーネント、すなわち熱成形処理の間の保持固定装置、加熱ユニットを有する真空源及び型を概略的に示している。
【図12A】図12Aは、本発明の概念に従った第4の代替の熱成形機の概略透視図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示される第4の代替の熱成形機の部分断面図であり、熱成形機の選択されたコンポーネント、すなわち熱成形処理の間の保持固定装置、加熱ユニットを有する圧縮空気源及び型を概略的に示している。
【図13A】図13Aは、分離層スタックのための保持固定装置を示す部分断面図であり、分離層スタックは、スタックと型との間に位置決めされるレンズへの取り付けより前に、分離層スタックの上に感圧性接着剤を配置される。
【図13B】図13Bは、保持固定装置から型を除去する際に互いに対して取り付けられる分離層スタック及びキャリアーを示し、図13A及び図13Bに示される保持固定装置及び型は、キャリアーを分離層スタックに取り付けるために、上記実施形態のうちの任意のひとつにおいて用いられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、本発明の製造に利用される分離層スタック10が示されている。スタック10はまた、薄膜またはセルとして参照され得る。概して、スタック10は一対の対向基板12を含む。好適実施例において、基板12は熱成形ポリマーの実質的に平坦なシートである。各基板には完成した光学デバイスの適当な光学動作に必要な任意の数のコーティングが適用される。これらのコーティングは、光電力素子用にパターン化されたインジウム・スズ酸化物のような導体または電極層14を含む。アライメント層16が基板間に配置されたあらゆる液晶材料の方向を制御するために電極層14上に与えられる。他のコーティングとして、装眼具デバイス用の反射防止コーティング、太陽光線保護用の紫外線ブロック層等を含んでもよい。そのようなコーティングは完成したデバイスの組み立て中に影響を受けないことがわかる。コーティングが適用される基板は、包囲された体積を与える面である内側面17を有し、一方基板の外側面は包囲された体積を与えない面である。シール材料18は基板12の内側面17の外周またはエッジの周りに与えられ、基板12の間から液体が漏れるのを防止するべく最後にシールされる。
【0028】
同一サイズのスペーサ材20が一方または両方の基板12の内側面17上に導入される。スペーサ20は2つの内側基板表面17が互いにスペーサのサイズより近づくことを防止する。該スペーサは製造工程の各ステージでの基板材料より堅い材料からできている。使用されるスペーサは、所望の光学デバイスが得られるように選択される。2つの平坦な基板12は、内側面17と内側面17とが互いに対面するように配置され、その間にスペーサを有しサンドイッチ構造を形成する。スペーサは約3μmから約2mmの間のあらゆるサイズである。所望により、流体材料26がギャップまたは制御された間隔24内に毛管作用または真空充填によって導入される。他に、所望の流体材料26はスペーサが適用されかつ他の基板が配置される前または後に一方の内側面に適用されてもよい。また、スペーサは合体され所望の流体内に組み込まれても良く、この組合せは他の基板が配置される前に一方の内側面に適用される。流体材料26はしばしば液晶材料であるが、フォトクロミック染料のような染料、エレクトロクロミック電解液、または樹脂を含む溶液であってもよい。シール材18は流体材料26を保持するためにスタック10全体を包囲する。シール材18は基板の熱成形ポリマー材料と相容れる接着剤であり、製造処理の他の工程と両立する温度を有する。以下に説明されるように、流体材料は、スタックに対し曲率が付加された後基板間に満たされる。
【0029】
図2を参照して、湾曲した光学デバイスを製造するための形成装置30が示されている。装置30は、製造処理中に必要なように温度を上下することができる加熱チャンバ32を含む。加熱チャンバ32内に含まれるのは、従来の方法でプラテン34の開閉を許すよう圧力35を受けるべく適応可能な一対の対向するプラテン34である。圧力の適用は以下で説明する方法で加熱することにより制御されかつ調整される。加熱要素37はプラテン34または型36、40によって保持される。他に、スタックは他のチャンバ内で加熱され、その後ただちに形成用の型へ転送されてもよい。上部プラテンに取り付けられているのは、型面38を与える半型36である。同様に、下部プラテンに取り付けられているのは、型面42を有する第2の半型40である。
【0030】
最初は平坦な分離層スタック10は2つの型面38及び42の間に挿入される。それぞれの型面は光学デバイスの一方側の所望の最終形状を有する。型面は、一方が他方とぴったりフィットするように、互いにつがいを為す。または、デバイスの使用目的に応じて一方の型面が他方の型面とわずかに異なる曲率を有しても良い。型面38、42は製造処理中は堅くかつ変形不能である。層スタック10はチャンバ32によって温度が上昇され、プラテン34によってスタック10へ圧縮力35が与えられる。該圧縮力は平坦な層に対し本質的に垂直である。温度及び圧縮力は最終製品を形成する際に大きく関連していると思われる。温度及び圧力の組合せは、基板12が型面38、42と一致し、温度が下げられかつ圧力が除去された後にそれが型面形状を永久に保持するように、十分に大きくなければならない。言い換えれば、光学デバイスの湾曲形状を維持するのに他の拘束力は必要ない。しかし、温度及び圧力は、基板の内側面がスペーサのサイズよりも互いに近づくほどに大きくてはならない。温度及び圧力が大きすぎると、基板同士が近づきすぎて、基板は個々のスペーサの直近で軟らかくなりへこんでしまうことがわかった。したがって、温度及び圧力の組合せ並びに適用の割合は、最初に平坦な層スタック10に所望の湾曲形状を与えるために十分に大きくなければならないが、基板の内側面17間の分離間隔を変えるほど大きくてはならない。処理温度が高くなるほど、必要な圧縮力は小さい。逆に、処理温度が低いほど、必要な圧縮力は大きい。処理温度は基板の融解温度を超えてはならないことがわかる。本方法で製造された光学デバイスの動作温度は熱形成温度より下である。力が除去されかつ温度が下げられた後でもスタック10が型によって与えられた形状を維持するように、圧縮力及び上昇温度は十分な時間でスタック10へ加えられる。また、形状は他の力が加えられなければ維持される。
【0031】
図3に示されるように、スタック10が形成装置30から除去された後、二重湾曲光学デバイス50が与えられる。形成装置30は単純湾曲デバイスのみを形成してもよいが、二重湾曲デバイスはほとんどの機能を与えると思われる。上記処理は、0から10ジオプトリーに対応する第1曲率52及び0から10ジオプトリーに対応する第2曲率54を有するデバイス50を生成することができる。この処理を使った上限ジオプトリーはまだ分かっていない。上記処理は、光の透過及び/または反射を制御するのに使用する所望の光学特性が均一かつ許容できるものであるように、デバイスの全面を通じて内側面の間隔を制御維持することがわかった。
【0032】
好適実施例で説明された要素内の包囲された体積は、温度及び圧縮力を形成する装置において流体である物質を含む。この物質はデバイスの動作温度において流体であってもなくてもよい。ある場合には、包囲された体積中に何も含まれないことが所望される。シール材料18は熱成形処理の前ではなく熱成形処理中にシールされる。したがって、サンドイッチまたはスタック10が形成される際、接着剤のパターンは所望の包囲された体積の周囲の内側基板のひとつにプリントされる。湾曲形状を形成する前に基板間に流体材料が満たされなかった場合、形成処理後にシール材の開口部を通じて与えられる。
【0033】
完成したデバイス50は平坦ではなく最初から湾曲した基板を使って製造することもできる。最初から湾曲した基板を使うことによって、最初に平坦な基板を使うよりも大きな終曲率または大きな要素面積を得ることができる。したがって、トータルの曲率が改善される。したがって、この実施例はヘルメットのフェースプレートに応用されるような大きい曲率を要するデバイスを製造するのに有用である。さらに、ゴーグル製造の際の鼻周辺のブリッジ部分のような複雑な曲線が得られる。
【0034】
例1
電極14を有する直径約2インチの2つの被覆された熱可塑性ポリエステル基板12(例えば、CPFilmsインコーポレイテッド製のOC−100)がアライメント層材料溶液(例えば、日本合成ゴム株式会社製のJALS204−R40)でコーティングされ、そのコーティングが乾燥した後0.1μmの好適厚さを有するアライメント層16が形成される。直径5μmのスペーサ20(例えば、EM Industries,Inc.のLicristar 50)がスタック10を通じてギャップ24を均一に制御するために提供される。好適には、スペーサ20は、熱成形処理中に外圧35の存在下で、スペーサ20が移動し互いに集まるのを防止するために、少なくともひとつのアライメント層16内に埋め込まれる。少なくともひとつのアライメント層16は、液晶材料26の方向を一致させるためにベルベット布を使ってこすられる。接着剤(例えば、Loctite Corp.製のLoctite349)のようなシール材18が少なくともひとつの開口部を残してセルの端に沿った少なくともひとつの面17に分配された後、アライメント層が互いに対向するように2つの基板を組み合わせることによってスタック10が構成される。接着材は基板間隔を維持するために硬化される。セルは開口部を通じて液晶材料26(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)で満たされる。開口部はエッジシール接着剤でシールされ、接着剤は液晶材料26を包むよう硬化される。セル面全体が熱成形処理中に面38、42との接触を通じて圧力35にさらされるように、スタック10は型36、40として使用されるガラスレンズ(例えば、OptoSigma,Inc.のPlano CVX BK7及びPlano CNCV BK7)の間に配置される。2インチの平凸及び平凹ガラスレンズは6.8ジオプトリーに対応する±150mmの焦点距離を有する。型36の頂面には、セル10を押し続けるよう0.5から2kgの負荷を有する圧力が加えられる。スタック全体が115℃のチャンバ32内に転送され、熱成形により所望の曲率を達成するべく1から20時間の間保持される。スタック全体はチャンバ32から除去され50℃以下の温度まで冷却され、二重湾曲液晶セル50が形成される。
【0035】
生成された曲率は、熱成形温度、圧力、及び使用されるガラスレンズの頂面及び底面のジオプトリーに依存する。8ジオプトリーまでの曲率はこの技術によってすでに製造された。キラル材のゲスト−ホスト剤(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)、染料(例えば、Mitsui Toatsu Chemicals,Inc.のS−428)及び液晶材料(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)でセルが満たされると、セルは熱成形の前後で同じ電気光学特性(52〜12%の光透過性及び3%以下のヘーズ)を示した。
【0036】
例2
電極14を有する直径約2インチの2つのコーティングされた熱可塑性ポリカーボネート基板12(例えば、N.I.Teijin Shoji Co.,Ltd.のHA120−B60)がアライメント層材料溶液(例えば、Japan Synthetic Rubber Co.のJALS204−R40)でコーティングされ、乾燥後0.1μmの好適厚さを有するアライメント層16が形成される。直径5μmのスペーサ20(例えば、EM Industries, Inc.のLicristar50)がスタック10全体でギャップ24を均一に制御するよう分配される。好適には、スペーサ20は、熱成形処理中に外圧35下でスペーサが移動し互いに近づかないように少なくともひとつのアライメント層16内に埋め込まれている。少なくともひとつのアライメント層16は液晶材料の方向を一致させるようベルベット布を使ってこすられる。少なくともひとつの開口部を残してセルのエッジに沿った少なくともひとつの面17上に接着材料(例えば、Loctite Corp.のLoctite349)のようなシール剤18が分配された後、アライメント層が互いに対向するように2つの基板を組み立てることによってスタック10が構成される。接着剤は基板間隔24を維持するよう硬化される。セルは開口部を通じて液晶材料26(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)で満たされる。開口部は接着剤でシールされ、液晶材料26を包むべく硬化される。熱成形処理中に面38、42との接触を通じてセル全面が圧力35にさらされるように、セル10はプラテン36、40として使用されるガラスレンズ(例えば、OptoSigma,INCのCVX BK7及びPlano CNCV BK7)の間に配置される。2インチの平凹及び平凸ガラスレンズは6.8ジオプトリーに対応する±150mmの焦点距離を有する。スタックは115℃のチャンバ32内に転送され、軟らかくなるよう1〜2時間の間維持される。型36の頂部において、0.5〜2kgの負荷を有する圧力35がスタック10を熱成形するのに加えられる。スタック全体はチャンバ32から除去されて50℃以下の温度まで冷却され、二重湾曲液晶セル50が形成される。
【0037】
生成された曲率は熱形成温度、圧力及び使用されるガラスレンズの頂面及び底面のジオプトリーに依存する。8ジオプトリーまでの曲率はこの技術を使ってすでに製造された。キラル材のゲスト−ホスト剤(例えば、EM Industries,Inc.のS−811)、染料(例えばMitsui Toatsu Chemicals,Inc.のS−428)及び液晶材料(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)でセルが満たされると、セルは熱成形の前後で同じ電気光学特性(60〜13%の光透過性及び3%以下のヘーズ)を示した。
【0038】
例3
電極14を有する直径約2インチの2つのコーティングされた熱可塑性ポリエステル基板12(例えば、CPFilms,Inc.のOC−100)がアライメント層材料溶液(例えば、Japan Synthetic Rubber Co.のJALS204−R40)でコーティングされ、乾燥後0.1μmの好適厚さを有するアライメント層16が形成される。直径5μmのスペーサ20(例えば、EM Industries,Inc.のLicristar50)がスタック10全体でギャップ24を均一に制御するよう分配される。好適には、スペーサ20は、熱成形処理中に外圧35下でスペーサが移動し互いに近づかないように少なくともひとつのアライメント層16内に埋め込まれている。少なくともひとつのアライメント層16は液晶材料の方向を一致させるようベルベット布を使ってこすられる。少なくともひとつの開口部を残してセルのエッジに沿った少なくともひとつの面17上に接着剤(例えば、Loctite Corp.のLoctite349)のようなシール剤18が分配された後、アライメント層が互いに対向するように2つの基板を組み立てることによってスタック10が構成される。接着剤は基板間隔24を維持するよう硬化される。熱成形処理中に型面38、42との接触を通じてセル全面が圧力35にさらされるように、空のセル10はガラスレンズ形式(例えば、OptoSigma,INCのCVX BK7及びPlano CNCV BK7)の型36、40の間に配置される。2インチの平凹及び平凸ガラスレンズは6.8ジオプトリーに対応する±150mmの焦点距離を有する。型36の頂部において、0.5〜2kgの負荷を有する圧力35が空のスタック10をプレスするよう加えられる。スタックは115℃のチャンバ32内に転送され、熱成形により所望の曲率を達成するよう1〜15時間の間維持される。スタック全体はチャンバ32から除去されて50℃以下の温度まで冷却され、二重湾曲セル50が形成される。生成された曲率は熱形成温度、時間、圧力及び使用されるガラスレンズの頂面及び底面のジオプトリーに依存する。8ジオプトリーまでの曲率はこの技術を使ってすでに製造された。
【0039】
二重湾曲セル50は開口部を通じて液晶材料26(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)で満たされる。開口部はエッジシール接着剤でシールされ、該接着剤は液晶材料26を包むべく硬化される。キラル材のゲスト−ホスト剤(例えば、EM Industries,Inc.のS−81)、染料(例えば、Mitsui Toatsu Chemicals,Inc.のS−428)及び液晶材料(例えば、EM Industries,Inc.のZLI2806)でセルが満たされると、セルは硬化の前後で同じ電気光学特性(52〜12%の光透過性及び3%以下のヘーズ)を示した。
【0040】
上記デバイス及び方法の利点は明白である。この方法により、図4に示されるように既存のハーフレンズ56及び58に固定できる光学要素50を大量生産することが可能になる。任意の数の光学要素50が互いにスタック可能であり、ひとつのレンズの横またはハーフレンズの間に配置される。これにより、単一のデバイスにより与えられるべき光学的性質を複数組み合わせることができるようになる。例えば、第1のスタックは液晶材料を含み、その隣りの第2のスタックは染料を有することもできる。そのようなデバイスは、液晶材料のような流体媒体によってのみ与えられる機能をもたらす。また、既存形状と一致するそのようなデバイスは、軽量のままで機能的である装眼具ファッションと相容れるよう与えられる。上記方法及びデバイスは、所望の光学特性を与える一方、デバイスの有効動作を保証することが要求される、湾曲しかつ基板間で制御されたギャップ間隔を維持するデバイスを与える。
【0041】
ここで図5を参照すると、概して100によって指定される熱成形装置が見られ得る。装置100は、熱成形される二重湾曲光学デバイスの反復可能な製造を提供し、さらなるコンポーネントの熱成形処理への組み込みを可能にする。装置の特定のコンポーネントは、以下の実施形態の議論において認識されるように、用いられ得ることがあるか、または用いられ得ないことがある。
【0042】
熱成形装置100は、コントローラー104にリンクされた熱成形機102(A−E)を含む。熱成形機102に関連したアルファベットの添え字A−Eは、さまざまな実施形態を表示している。コントローラーと熱成形機と、またユーザーインターフェースとの間のリンクは、概して大文字A−Jによって指定されることが認識される。コントローラー104は、熱成形機102に関連し得るユーザーインターフェース106及び他のセンサーによって提供される入力に基づいて、熱成形機102を動作させる必要なハードウェア、ソフトウェア及び記憶デバイスを提供する。コントローラー104は、熱成形機に関連したすべての処理が必要に応じてモニター及び調整され得るように、必要なフィードバックをユーザーインターフェースに通信し、ユーザーインターフェースからの入力を信号ラインAを介して受信する。ユーザーインターフェース106は、ディスプレイスクリーン、キーボード、及びマウスを備えている。もちろん、任意の数またはタイプの入力デバイスが用いられ得る。
【0043】
熱成形機102は、複数の主要なコンポーネントを有する。第1の主要なコンポーネントは、ぴんと張った状態で、薄膜またはセルとしても参照される、分離層スタック10を保持するように機能する保持固定装置108である。言い換えれば、保持固定装置108は、例えばセルの周辺のエッジの選択された領域のような、セルの一部分のみが保持されるように構成される。保持固定装置108は、開口部を有し、開口部を通して論じられるべき図面の中に見られ得る。保持固定装置108は、一対の対向するフレーム110A及びフレーム110Bを備えている。フレームは、互いに対して可動であり得るか、または一方のフレームが、固定された位置にある一方で、他方のフレームは、その保持されたフレームに対して動かされる。フレームの運動及び制御は、信号ラインBを介して指定される。加熱ユニット112は、フレーム108に対して位置決め可能であり、加熱ユニットによって発生される温度は、信号ラインCを介して制御され得、他のコンポーネントに対する加熱ユニットの動きは、信号ラインDによって制御され得る。明らかになるように、加熱ユニットまたは同様な温度制御要素は、熱成形機の他のコンポーネントとともに組み込まれ得る。加熱ユニット112は、分離層スタックの基板が「可塑性状態」になるように、セルの周りの領域の周囲温度を上昇させる。本明細書で用いられるとき、可塑性状態は、「破裂することなく任意の方向に継続的かつ永久的に変形される能力がある」ことを意味する。Webster’s New Collegiate Dictionary第8版を参照されたい。
【0044】
型114は、熱成形機102の中に収容される他のコンポーネントに対して可動であり得る。型の温度は、信号ラインFを介して制御され、型の他のコンポーネントに対する運動は、信号ラインEを介して制御される。セルを型に合致させるのを補助するように用いられ得る圧力/真空源116はまた、熱成形機102の中において提供され得る。圧力及び/または真空の適用は、信号ラインGを介して制御され、圧力/真空源116の位置決めは、信号ラインHを介して制御される。さまざまなタイプのセンサーが熱成形機に関連づけられ得、最小限で、温度センサー118は、信号ラインIを介してコントローラー104に入力を提供し、圧力センサー120は、信号ラインJを介してコントローラー104に入力を提供する。
【0045】
特定の実施形態を論じるより前に、熱成形デバイス100とともに利用される熱成形機102のいくつかの基本的特徴が論じられる。型114は、十分に特色づけられた輪郭を有する加工された固体表面である。この輪郭は、分離層スタック10の湾曲、二重湾曲または複合湾曲の構成を形成する所望の形状を与えるように利用される。型114は、液晶セルを熱成形するために使用される温度及び/または圧力のうちのいずれ対しても変形しないように固体であり、十分な硬度を有する。
【0046】
型114は、単一のピースの金属のような、単一のコンポーネントの固体材料、または型によって提供される支持物の上にあるレンズまたは他の光学コンポーネントのような、複数のコンポーネントの固体材料から成り得る。液晶薄膜または液晶セルは、セルが加熱され型114に合致される間、保持固定装置108によってぴんと張った状態に保持される。保持固定装置108は、液晶薄膜が加熱されるとき、液晶薄膜のエッジの少なくとも一部分を保持するように構成される。熱成形処理は、「流体による補助」によってさらに促進され得る。言い換えれば、気体または液体であり得る流体が、加熱された液晶薄膜を型の中または上に押すように、加圧された形態で利用され得る。他に、加熱された液晶薄膜を型面の上に引くように、適切な真空が利用され得る。あるいは、加圧された気体及び真空の組み合わせが、加熱されたセルを型面に合致するように「促す」または処理するように用いられ得る。流体が液体である場合には、適切に加圧された液体が加熱された液晶セルを型面に押すように用いられ得ることが認識される。
【0047】
後で詳細に論じられる熱成形処理に対する補足として、液晶セルが、例えば前もって作られていたレンズまたはバイザーのような光学要素に対して熱成形される場合には、熱成形される液晶は、熱成形される間に光学要素に機械的に取り付けられ得ることが認識される。実際に、さまざまな取り付け処理が、液晶セルを光学要素に固定するために利用され得る。例えば、材料を適切に選ぶことによって、熱成形のみの熱及び圧力で、液晶セルの光学要素への取り付けを促進するのに十分であり得る。他に、熱成形の間に取り付けを促進する、ひとつまたは複数の材料を有する光学要素及び/または液晶セルの型面のうちのひとつの上にコーティングを提供することが可能である。取り付けの別の手段は、熱成形の前に、液晶セルと光学要素との間に感圧性接着剤(PSA)のような分離したコーティングまたは薄膜を配置することからなり得る。熱及び圧力は、PSA及び液晶セルが両方ともに光学要素に合致することをもたらす。
【0048】
ここで図6を参照すると、例示的な熱成形装置が概して数字102Aによって指定されていることが見られ得る。装置102Aは、先に説明されたように、組み立てられたスタック10を熱成形するように利用される。留意されたように、分離層スタック10はまた、液晶セルまたは液晶薄膜として参照され得、用語セルの使用は、特定的に分離層スタックを意味する。液晶セル10は示されている他のコンポーネントよりも典型的には薄いので、図6に示される装置及び本明細書において説明される他の熱成形装置が縮尺どおりに描かれていないことが、さらに認識される。
【0049】
装置102Aは、本明細書で概して数字108によって指定される保持固定装置を有し、受け入れたトラックシステム130を含む。保持固定装置108は、加熱ユニット112及び型114に対して位置決め可能である。全体として、トラックシステム130、保持固定装置108、加熱ユニット112及び型114は、互いに接触し、液晶セル10を熱成形する。
【0050】
トラックシステム130は、垂直な構成に示されているが、トラックシステム130が水平に構成され得るか、または熱成形される光学デバイスの製造を促進するような態様に構成され得ることが認識される。いずれにしても、トラックシステム130は、複数のトラック132を提供し、複数のトラック132において4つのトラックが示されている。もちろん、任意の数のトラックが用いられ得ることが認識される。各トラック132は、互いに向かってトラックを形成する一対の対向するレール134を備えている。各レール134は、対向するレールの溝に向かう溝136を提供する。ひとまとめにして、トラック132は、関連づけられた支持された構造と組み立てられるとき、トラック開口部138を提供し、トラック開口部138は、装置の他のコンポーネント、すなわち保持固定装置108、型114及び加熱ユニット112を受け入れる。
【0051】
保持固定装置108は、その熱成形を可能にするように、液晶セルをぴんと張った状態で有する。保持固定装置108は、単一のフレームが利用され得ることが認識されるが、対向するフレーム110Aとフレーム110Bとを含む。各フレーム110は、フレーム側部140を提供し、示されるように額縁の構成に構成され得るか、または任意の適切な形状の構造に構成され得る。最小限で、フレーム側部140は、フレーム開口部142を提供する。各フレーム110は、フレーム側部140から少なくともひとつのローラー144を延ばすことを有し、ローラー144は対向するレール134によって形成される開口部において受け入れ可能である。保持固定装置108は、本明細書でローラーの使用によってトラックに対して可動であると説明されているが、他のスライド機構または動力化機構がフレームを互いに対して位置決めするために用いられ得ることが認識される。フレームのひとつ、特定的にフレーム110Bは、少なくともひとつのフレーム側部140から延びる掛金ピン146を提供される。他のフレーム110Aは、フレーム側部から延びてフレーム側部に回転可能に据え付けられる、掛金レバー148を提供する。掛金レバーは、遠位端においてフック150を提供する。掛金ハンドル152は、レバー148から延びて、つかむことを可能にする。したがって、液晶セル10は、複数のフレームのうちの少なくともひとつの上に配置され、少なくともセルの一部分をつかむことによってぴんと張ったセルを配置するように、2つのフレームが一緒にされる。フレームが一緒にされた後で、フレームを一緒に保持するために、フック150が掛金ピン146と係合するように、掛金レバー148が回転され、動かされるか、あるいは位置決めされる。ピン及び掛金レバーは、本明細書において説明されているが、フレームを互いに対して固定するために任意のタイプの型締め機構が利用され得ることが認識される。
【0052】
型114は、プラテン160を含み、プラテン160はまた、トラックの中に受け入れ可能な任意の数のプラテンローラー162を延ばし得る。ローラーは、熱成形機の他のコンポーネントとの型の位置合わせを促進し得るか、または代替の位置合わせ機構が利用され得る。型114は、所望の最終製品のために加工された形状である型面164を提供する。型114は、トラック開口部に受け入れられ、特定的に、型面164は、フレーム開口部142において受け入れられる。こうして、型114はフレームに対して可動であり、フレームと型ユニットとは一緒にされ得るか、またはフレームと型ユニットとのうちのひとつは、他方のコンポーネントが所定の位置に動かして入れられる間、静止した位置に保持され得ることが認識される。
【0053】
加熱ユニット112はまた、トラックにおいてスライド可能に受け入れられ、保持固定装置108に対して可動であり得る。加熱ユニットはまた、液晶セルの基板を熱成形を可能にする可塑性状態にするのに十分な温度にまで高められるように、型の下または液晶セルのすぐ近くの任意の場所に位置決めされ得ることもまた認識される。加熱ユニットは、加熱ユニット112の中に収容された加熱要素に適切な電力を提供する電力コード166を含む。
【0054】
ここで図7を参照すると、代替の保持固定装置108’が図6に示される保持固定装置108の代わりに利用され得ることが見られ得る。この実施形態において、保持固定装置108’は、単一のフレーム110’を含み、単一のフレーム110’は、フレーム側部140から軸方向に延びる複数の維持ピンを提供する。液晶セルの外のエッジは、熱成形処理の間にセルをぴんと張った状態で保持するために、ピン168が基板12にしっかり入るように、ピン168に対して位置決めされる。維持ピンに対してひとつのフレームのみが必要とされ得るが、熱成形処理の間に液晶セルを固定し、ぴんと張った状態で保持するために、両方のフレームは維持ピンを提供され得ることが認識される。へこみ170は、対向するフレーム上のピンが、提供される場合には、いかに液晶セルの表面上のへこみを作り得るかを示す。
【0055】
ここで図8を参照すると、熱成形機102Aのコンポーネントが、液晶セル10に湾曲、二重湾曲または複合的湾曲を与えるように、互いにすぐ近くに持ってこられ得ることが見られ得る。コンポーネントの運動は、液晶セル薄膜を熱成形するために、任意の順序で実行され得ることが認識される。例えば、加熱ユニットは、基板が可塑性状態にされ、いく分かは加熱ユニットと同時に、所望の湾曲を与えるために型114が液晶セルと接触されるように、液晶セルを最初に加熱するように用いられ得る。加熱ユニット112は、ハウジング172を含み、ハウジング172は、熱を液晶セルの周りに適切に分散する任意の構成で提供され得る、複数の加熱コイルを収容する。型114はそこを通って延びるプラテンコンジット176を提供されることがさらに認識される。このことは、熱成形処理を促進するために、型そのものが加熱源及び/または冷却源を提供されることを可能にする。所望の形状を与えるために、ある期間の間、コンポーネントが一緒にされた後で、型114の除去より前に基板がセット構造を冷却して取ることを可能にするように、加熱要素、または加熱ユニットが液晶セルから動かして離され得ることが認識される。言い換えれば、セルは、基板がもはや可塑性状態にないように冷却することを可能にされ得る。液晶セルの適切な冷却の後で、フレームに対する掛金機構または型締め機構が除去され、セルがさらなる処理のために除去される。デバイスに最初に湾曲を与えるために型が位置決めされ得るようにセル基板が十分に柔軟であり得、加熱源の除去がセル基板を堅い状態に戻すと同時にその後の熱の適用が基板を可塑性状態にするために用いられ得、次いで型が液晶セルとの接触から外され得ることもまた認識される。いずれにせよ、単一の加工された型面のみが、基板を所望の方法で変形するために利用される。この処理は、ゴーグル、装眼具または他の関連した光学デバイスにおけるセルの最終使用のために必要な所望の透明性及び光学特性を有する十分に機能的な光学デバイスを可能にするために、セル基板間に所望のギャップ空間を維持する。
【0056】
ここで図9A及び図9Bを参照すると、代替の熱成形機が概して数字102Bによって指定されていることが見られ得る。この実施形態において、圧力源116は、熱成形処理を補助するように利用される。圧力源116は、圧縮空気源182によって発生される圧力の均等な分散を可能にするために、液晶セル及び/またはフレームの周りにフィットするハウジング180を含む。ハウジング180は、コンジット184によって圧縮空気182源に接続され、ハウジングはまた、フレームの上または中に位置決めされ得るシールエッジ186を提供する。熱がセルに加えられることを可能にするために、加熱要素またはコイル174がハウジング180に含まれ得ることがさらに認識される。代替案において、熱がプラテンコンジット176を介して提供され得るか、または熱成形処理の間に基板が可塑性状態になることをもたらすために圧縮空気が所望の温度まで加熱され得る。
【0057】
熱成形機102Bは、熱成形機102Aとほとんど同じ方法で動作するが、源182からの圧縮空気は、熱成形処理の間に液晶薄膜セルが型面に合致するのを補助するために、加熱処理の間または後に基板に加えられ得ることが認識される。そのようなものとして、圧縮空気の使用は、光学デバイスを熱成形するのに必要な時間の量を減らし得る。さらに、圧縮空気の使用は、仕上げられた製品の均一性を保証する。
【0058】
ここで図10A及び図10Bを参照すると、別の代替の熱成形機が概して数字102Cによって指定されていることが認識される。この構成は、真空190が圧縮空気源の代わりに利用されることを除いて、熱成形機102Bと同様である。真空の使用は、液晶セルの基板材料のタイプに依存して必要とされ得、湾曲の量もまた、仕上げられた光学デバイス製品によって必要とされ得る。言い換えれば、鋭角などを有する錯綜した湾曲が必要な場合には、型の運動と関連して所望の形状の中に基板を動かすために、真空が利用され得る。さもなければ、基板を所望でなく展ばすことが生じ得、それゆえ基板間の所望のギャップ距離がゆがめられることをもたらし得、有効でない光学デバイスを供給し得る。
【0059】
ここで図11A及び図11Bを参照すると、別の代替の熱成形機が概して数字102Dによって指定されている。この実施形態において、保持固定装置に対する型114の位置決めは、再構成されている。特定的に、型114は、保持固定装置と真空源との間に位置決めされる。そして、この実施形態において、型114は、凹型面164’を提供される。
【0060】
この実施形態において、保持固定装置108は、フレーム110Aから軸方向に延びている複数のプラテンピン200を提供する。型114は、側部から延びる少なくともひとつのボス202を提供し、各ボスは、対応するプラテンピン200をスライド可能に受け入れる穴204を提供する。したがって、型114は、複数のフレームのうちの少なくともひとつに対して位置決めされた構成において可動である。型114が保持固定装置と真空源との間に位置決めされるので、真空の適用及び型の運動は、基板が加熱されるとき真空が基板を真空源のほうに引くように、いく分かは同時の出来事の連続において行われる。いく分かは同時に、型に面する基板が加工された型面164’と接触するように、型が所定の位置に動かされる。したがって、空気が排気され、熱がセルに加えられるとき、型はセルのほうに動かされる。セルは、セルの基板を型面に対して引く真空圧から熱成形される。そのような構成の使用は、光学デバイスに必要なプラスチック及び所望の最終湾曲形状に依存する。
【0061】
ここで図12A及び図12Bを参照すると、本発明に従った別の代替の熱成形機装置が、概して数字102Eによって指定されている。この構成は、空気圧源がセル基板及び保持固定装置の下部に位置決めされ、型が保持固定装置の上部に位置決めされることを除いて、図9A及び図9Bに示される構成と同様である。したがって、基板が加熱されるとき、空気圧源は、加工された型面164’の中に基板を押し込み、その中で型は必要なときに保持固定装置に対して可動である。
【0062】
ここで図13Aを参照すると、上記熱成形機及び説明された関連した処理のうちの任意のものは、レンズまたは二次的光学デバイスのようなキャリアー(carrier)に液晶セルを取り付けるような方法において利用され得ることが認識される。図13Aに見られるように、保持固定装置108は、接着コーティングを有し得る液晶セル10’または基板面のうちの少なくともひとつに塗布された感圧性接着剤210を保持する。型114は、少なくともいく分かは所望の最終形状に合致する、予め形状を作られたレンズ212のようなキャリアーをその上に配置している。代替案において、レンズ材料は、実質的に平坦な構成において提供され得、セル10’と同時に熱成形され得る。いずれにせよ、型114は、上記実施形態のうちの任意のものにおいて説明された保持固定装置に対して、そして接着剤210がレンズ212と接触するようにされる方法で、動かされる。ここで図13Bを参照すると、適切な期間の後に、レンズ212がセル10’に固定されるようになり、型は動かして外され、レンズ/セルアセンブリー220が形成される。この方法で、レンズは積層されるか、あるいは今形成されたセルに固定される。そのような構成は、光学デバイスの形成を促進し、光学デバイスを形成する処理時間を低減する。上記処理に接着材料が用いられるが、セルとレンズとの向かい合う面のうちのひとつまたは両方に、適切なポリマーまたは処理済みの層が配置され得ることもまた認識される。そのようなものとして、上記熱成形処理のうちの任意のものの熱及び圧力の適用の間に、セルはレンズに結びつけられるか、あるいはレンズに固定される。実際、レンズ212材料及び向かい合う基板が互いに化学的に適合性がある場合には、熱及び圧力のみの適用が、セルとレンズとが互いに結びつけられることをもたらし得る。
【0063】
説明された実施形態のすべてにおいて、分離層スタックまたは液晶セルは、シールエッジ18を提供され、エッジ18は、エッジ18が湾曲形状の中に延び得るような寸法であるか、または少なくとも湾曲形状の曲がり部分に対して位置決めされることが認識される。言い換えれば、シールエッジ18は、セル10の外の周辺エッジから内向きに、少なくとも熱成形された光学デバイスの湾曲がセルの平坦な部分から熱成形されたセルの湾曲した部分に移行する所まで延びる。このことは、保持固定装置の中に保持されているエッジが、仕上げられた液晶セル構成を保持するキャリアーデバイスまたは光学フレームの中にフィットするように切り離され得るので、デバイスの最終的な製造を促進する。
【0064】
上記に基づいて、本明細書で説明された熱成形機は、多くの利点を提供する。第1に、湾曲した光学デバイスに所望の形状を与えるために、単一の合成の型のみが利用される。単一の堅い型だけを用いることと関連して、このことは、半分になった2つの型が一緒にされる必要があるのと対照的に、工具コストに関する限り節約を提供し、分離層スタックを可塑性状態にするために真空または圧力源が加熱源と関連づけて用いられ得る。そのような処理はまた、周知の当該分野のいずれにおいても提示されない方法で、分離層スタックが他の基板または光学デバイスコンポーネントに取り付けられることを可能にする。
【0065】
こうして、本発明の目的は、構造と上記に提示されたその使用方法とによって満たされていることが見られ得る。特許法に従って、最良の形態及び好適実施形態のみが提示され、詳細に説明されているが、本発明はそれらに、またはそれらによって制限されないことが理解されるべきである。したがって、本発明の真の範囲を認識するためには、参照は以下の特許請求の範囲に対して行われるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した光学デバイスを構成する方法であって、該方法は、
対向する柔軟な基板を有する少なくともひとつのセルを組み立てることであって、該対向する柔軟な基板は、流体を受け入れるように構成されたギャップを形成するために、それらの間に制御された距離を有する、ことと、
固定装置の中に該少なくともひとつのセルの一部分のみを保持することと、
該少なくともひとつのセルの近位に湾曲型面を位置決めすることと、
該湾曲型面と該少なくともひとつのセルとのうちの少なくともひとつを加熱することと、
該少なくともひとつのセルが、熱が除去されるとき、実質的に湾曲形状を維持しているように、該少なくともひとつのセルを該型面に合致させることと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記固定装置にフレームを提供することであって、該フレームは、該フレームから延びる複数のピンを有する、ことと、前記少なくともひとつのセルを該複数のピンに固定することとをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくともひとつのセルの運動を前記型面の運動以外の力によって補助することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記補助するステップは、前記少なくともひとつのセルに圧力源を適用することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記補助するステップは、前記少なくともひとつのセルの周りの空気を排出することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記湾曲型面を実質的に凹形状として提供することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記湾曲型面を実質的に凸形状として提供することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
合致させる前に前記湾曲型面と前記少なくともひとつのセルとの間にキャリアーを位置決めすることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記セルと前記キャリアーとの間の結びつきを促進する材料によって、合致させる前に該セルと該キャリアーとのうちの少なくともひとつを処理することをさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記材料として高感度接着剤に圧力を適用することをさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対向する柔軟な基板の間にある前記セルの外周の周りにシール材料を提供することと、
該シール材料が少なくとも前記光学デバイスの平坦な部分から湾曲した部分への移行領域まで広がるように、該セルを前記湾曲型面上に位置決めすることと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シール材料が前記湾曲した部分の中に広がるように、前記セルを位置決めすることをさらに包含する、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2010−524726(P2010−524726A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504039(P2010−504039)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/004152
【国際公開番号】WO2008/130480
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509070614)アルファマイクロン インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】