説明

湿度検出装置及び湿度検出方法

【課題】高精度な湿度検出装置及び湿度検出方法を提供することを課題とする。また、簡便に湿度を確認できる湿度検出装置及び湿度検出方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基板上に形成されたEL素子を有し、EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極の端部を覆う水分を浸透する有機絶縁層と、第1の電極及び有機絶縁層と、第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びにEL層の側面は、水分を浸透しない保護層によって覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度検出装置及び湿度検出方法に関し、特に有機化合物を用いた湿度検出装置及び湿度検出方法に関するものである。なお、本明細書中において、湿度検出装置は、水分検出装置、HO検出装置、湿度センサ、水分センサ、HOセンサ等を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に広く流通している湿度センサは、湿度検出装置の一種である。湿度センサは、大きく分けて2つの様式があり、水分子の吸脱着反応を利用した抵抗変化式と、容量値変化を利用した容量変化式とが挙げられる。
【0003】
また、従来、湿度センサとして、一対の電極間に、Al系、MgCr−O系等のセラミックス系の感湿材料を挟んだ構造が知られている。このような構造の湿度センサの多くは、電気抵抗の変化量により湿度を検出するものである。
【0004】
例えば、特許文献1には、セラミックス系の感湿材料を用いた湿度センサが開示されている。具体的には、下部電極上に感湿部を形成し、該感湿部上に多孔質の上部電極を形成することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−116172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される湿度センサは、感湿部上に形成された上部電極が多孔質であるため、感湿部が部分的に露出して直接外部の雰囲気に接する構造となっていた。そのため、感湿部が雰囲気中の水分以外の物質により物性が変化する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するものであり、高精度な湿度検出装置及び湿度検出方法を提供することを課題とする。また、簡便に湿度を確認できる湿度検出装置及び湿度検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の湿度検出装置は、基板上に形成されたEL素子を有し、EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極の端部を覆う水分を浸透する有機絶縁層と、第1の電極及び有機絶縁層と、第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びにEL層の側面は、水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする。
【0008】
なお、本明細書において、「EL」と記載した場合、「エレクトロルミネセンス」と同義であることとする。
【0009】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、基板上に形成された水分を浸透する第1の有機絶縁層と、第1の有機絶縁層上に形成されたEL素子と、を有し、EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極の端部を覆う水分を浸透する第2の有機絶縁層と、第1の電極及び第2の有機絶縁層と、第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びにEL層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、基板上に形成された水分を浸透する有機絶縁層と、有機絶縁層上に形成されたEL素子と、を有し、EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と、第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びにEL層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、基板上に形成された有機導電素子と、を有し、有機導電素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極の端部を覆う水分を浸透する有機絶縁層と、第1の電極及び有機絶縁層と、第2の電極と、の間に接して設けられた有機導電層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びに有機導電層の側面は、水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、基板上に形成された水分を浸透する第1の有機絶縁層と、第1の有機絶縁層上に形成された有機導電素子と、を有し、有機導電素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極の端部を覆う水分を浸透する第2の有機絶縁層と、第1の電極及び第2の有機絶縁層と、第2の電極と、の間に接して設けられた有機導電層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びに有機導電層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、基板上に形成された水分を浸透する有機絶縁層と、有機絶縁層上に形成された有機導電素子と、を有し、有機導電素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と、第2の電極と、の間に接して設けられた有機導電層と、を有し、第2の電極の上面及び側面、並びに有機導電層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、有機絶縁層は、ポリイミド、シロキサン又はアクリルからなる層であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の湿度検出装置の他の構成は、保護層は、窒素を含む珪素、酸素を含む珪素、窒素及び酸素を含む珪素等の無機絶縁材料からなる層であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の湿度検出方法は、EL素子の非発光領域の経時変化を測定し、EL素子に浸透した水分量を検出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の湿度検出方法は、複数のEL素子を有する湿度検出装置において、非発光のEL素子の個数及び位置の経時変化を測定し、前記EL素子に浸透した水分量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、高精度な湿度検出装置及び湿度検出方法を提供することができる。特に、本発明は水分浸透経路を特定できるため、湿度以外の他の環境要因に影響されにくい湿度検出装置及び湿度検出方法を提供することができる。また、EL素子又は有機導電素子を用いるため、感度良く湿度を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に実施の形態を示す。なお、以下の実施の形態は適宜に組み合わせて実施することが可能である。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の湿度検出装置の一例について、図1を用いて説明する。本発明の湿度検出装置は、EL素子を有し、当該EL素子を用いて湿度を検出することを特徴とする。
【0021】
図1に示す湿度検出装置は、第1の基板102と、第1の基板上に形成された第1の電極104と、第1の電極104上に形成されたEL層108と、EL層108上に形成された第2の電極110と、を含むEL素子114を有する。
【0022】
また、第1の電極104の端部(周辺部)は、有機絶縁層106で覆われており、第1の電極104上に形成されたEL層108は、有機絶縁層106とも接している。すなわち、EL層108は、第1の電極104及び有機絶縁層106と、第2の電極110と、の間に挟持されている。さらに、第2の電極110の上面及び側面、並びにEL層108の側面を覆うように保護層112が形成されている。
【0023】
なお、図1には図示していないが、第1の電極104には第1の配線が接続され、第2の電極110には第2の配線が接続されている。そして、第1の配線及び第2の配線に外部電源等を接続して電圧を掛ける、或いは電流を測定することが可能となっている。
【0024】
EL層108は、少なくとも発光性の物質を含む発光層を有する。発光層は、特に限定されることはないが、例えば、低分子系有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DPA)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、その他、高分子系有機発光材料を用いることもできる。
【0025】
また、EL層108は、発光層の他、発光層に接する正孔輸送層又は電子輸送層を有していてもよい。さらに、正孔輸送層に接する正孔注入層又は電子輸送層に接する電子注入層を有していてもよい。すなわち、EL層108は少なくとも発光層を有し、その他、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のうち、いずれか1つ又は複数の層を有することができる。例えば、EL層108は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次積層した構造を有することができる。
【0026】
正孔注入層は、例えば、モリブデン酸化物(MoO)やバナジウム酸化物(VO)、ルテニウム酸化物(RuO)、タングステン酸化物(WO)、マンガン酸化物(MnO)等の金属酸化物、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物等を用いることができる。
【0027】
正孔輸送層は、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物等を用いることができる。
【0028】
電子輸送層は、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。
【0029】
電子注入層は、例えば、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、Alqのような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物を用いることもできる。
【0030】
EL層108が有する上記の層は、蒸着法又はインクジェット法等の薄膜形成法により形成される。
【0031】
基板102としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルニウムホウケイ酸ガラスなどのガラスでなるものや、石英や、シリコンウエハ等を用いることができる。
【0032】
第1の電極104及び第2の電極110としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性の化合物及びこれらの混合物等を用いることができる。例えば、酸化インジウムスズ(以下「ITO」という)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(以下「IZO」という)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(以下「GZO」と言う)等の透明電極を用いることができる。その他、金、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、コバルト、鉛、クロム、モリブデン、タングステン等を用いることもできる。また、リチウムやセシウム等のアルカリ金属、およびマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(フッ化カルシウム、窒化カルシウム)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることもできる。
【0033】
なお、第1の電極104及び第2の電極110は、いずれか一方が陽極となり、他方が陰極となる。陽極となる場合は、仕事関数の高い物質を用いることが好ましい。これに対し、陰極となる場合には、仕事関数の小さい物質を用いることが好ましい。また、陽極側から光を取り出す場合は陽極として透明電極が用いられる。これに対し、陽極を反射電極として用いる場合は、光を反射することのできる材料が適宜選択される。同様に、陰極側から光を取り出す場合は陰極として透明電極が用いられ、反射する場合には、光を反射することのできる材料が適宜選択される。
【0034】
第1の電極104及び第2の電極110は、スパッタリング法又は蒸着法等の薄膜形成法により、形成される。なお、第1の電極104及び第2の電極110は、陽極の場合の膜厚は、使用する材料にもよるが、一般に5nm〜1μm程度、好ましくは10nm〜500nm程度の範囲で形成する。また、陰極の場合の膜厚は、使用する材料にもよるが、一般に5nm〜1μm程度、好ましくは10nm〜500nm程度の範囲で形成する。
【0035】
有機絶縁層106は、水分を浸透することのできる有機絶縁材料で形成する。例えば、ポリイミド、シロキサン、アクリル等の有機絶縁材料を用いることができる。また、その作製方法は、使用する材料にもよるが、SOG(Spin On Glass)法又はスピンコート法等の薄膜形成法が用いられる。
【0036】
保護層112は、水分を浸透しない絶縁材料で形成する。例えば、窒素を含む珪素、酸素を含む珪素、窒素及び酸素を含む珪素等の無機絶縁材料を用いることができる。また、保護層112はこれらの材料を用いた単層構造としてもよいし、複数の材料を用いた積層構造としてもよい。その他、珪素を含む絶縁材料や、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の材料を用いることもできる。また、その作製方法は、使用する材料にもよるが、プラズマCVD法又はスパッタリング法等の薄膜形成法が用いられる。
【0037】
本発明の湿度検出装置は、水分を浸透することができる有機絶縁層106と、水分を浸透しない保護層112と、第2の電極110と、第1の電極104と、に接したEL層108を有する。したがって、EL層108は、水分を含む雰囲気に直接的に接しないように構成されている。
【0038】
本発明の湿度検出装置を、水分を含む雰囲気下においた場合について説明する。図2に示すように、水分200は、水分を浸透することができる有機絶縁層106を浸透してEL層108へと達する。水分200が、有機絶縁層106を浸透してEL層108へと達する経路を矢印202で示す。
【0039】
本発明の湿度検出装置は、上記で説明したように、EL層108は、有機絶縁層106と接する部分以外は、第1の電極104、第2の電極110及び保護層112と接しており、直接水分を含む雰囲気には接していない。また、第1の電極104は第1の基板102と接するため、水分を浸透しない。さらに、保護層112は水分を浸透しない層であり、第2の電極110は、保護層112に覆われているため、水分を浸透しない。したがって、本実施の形態に係る湿度検出装置は、上記矢印202に示す経路以外では、水分がEL層108に浸透しない構成となっている。
【0040】
すなわち、本実施の形態に係る湿度検出装置は、EL層への水分浸透経路が特定されている。したがって、EL層に接する有機絶縁層106を浸透する水分のみ検出するため、有機絶縁層の性質に依存したセンシングが可能になる。
【0041】
次に、上記湿度検出装置を用いた湿度検出方法について説明する。
【0042】
通常、物質内の水分浸透速度は、水分を含む雰囲気の温度(以下、環境温度とする)、湿度および該物質の組成により一定の法則を有する。すなわち、EL層内の水分浸透速度も、環境温度、湿度及び該EL層の組成により、一定の法則を有する。
【0043】
また、EL素子は、EL層内に水分が浸透することによって発光しなくなっていく。上述したように、EL層内の水分浸透速度は一定の法則に従うため、EL素子の非発光領域が広がっていく面積の増加量の時間変化も、一定の法則に従う。
【0044】
本実施の形態では、有機絶縁層106に接しているEL層108の周辺部からEL素子114の中心に向かって、一定の速度で非発光領域が拡大していくことになる。したがって、非発光領域の面積の増加量の時間変化及び環境温度から、雰囲気中に含まれる水分の濃度、つまり湿度を検出することができる。
【0045】
また、EL層108までの水分浸透経路の距離を調整した湿度検出装置の場合は、任意の環境温度において、EL素子の周辺部が劣化しはじめる時間を計測することによって、湿度を検出することができる。なお、図2の矢印202に示すように、本実施の形態の水分浸透経路は有機絶縁層106を浸透する経路のみである。したがって、有機絶縁層106の膜厚及びサイズを調整することで、簡便に湿度を検出することが可能となる。
【0046】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層に接して水分を浸透する層と、水分を浸透しない層と、を設けることで、水分浸透経路を特定している。したがって、センシングの感度が調節でき、より高精度な湿度検出も可能とできる。
【0047】
また、本実施の形態の湿度検出装置は、非発光領域の経時変化により湿度を検出することができる。したがって、非発光領域を視覚で確認でき、簡便に湿度を確認することができる。
【0048】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の湿度検出装置について、図3を用いて説明する。なお、第2の電極310及び保護層312以外の構成は、上記実施の形態1に準ずるので、説明は省略する。
【0049】
本実施の形態では、ピンホールが発生しにくい製造プロセスにより、第2の電極310を形成する。そして、EL層108の少なくとも側面のみを覆うように、保護層312を形成する。本実施の形態では、第2の電極310の側面及びEL層108の側面を覆うように、保護層312を形成する。なお、保護層312の材料及び作製方法は、上記実施の形態1に示した保護層112と同様である。
【0050】
本実施の形態では、第2の電極310を、ピンホールが発生しにくい製造プロセスにより形成している。その結果、第2の電極310によって水分の浸透を防ぐことができ、第2の電極310上面を保護層で覆う必要がなくなる。すなわち、第2の電極310が保護層として機能することができる。
【0051】
したがって、本実施の形態に係る湿度検出装置は、水分を含む雰囲気下に置いた場合、水分300は有機絶縁層106を浸透してEL層108へと達する。このとき、水分300が、有機絶縁層106を浸透してEL層108へと達する経路を矢印302で示している。
【0052】
本発明の湿度検出装置は、上記で説明したように、EL層108は、有機絶縁層106と接する部分以外は、第1の電極104、第2の電極110及び保護層312と接しており、直接水分を含む雰囲気には接していない。また、第1の電極104は第1の基板102と接するため、水分を浸透しない。さらに、保護層112は水分を浸透しない層であり、第2の電極110は、ピンホールが発生しにくい製造プロセスにより形成されているため、水分を浸透しない。したがって、本実施の形態に係る湿度検出装置は、上記矢印302に示す経路以外では、水分がEL層108に浸透しない構成となっている。
【0053】
すなわち、本実施の形態に係る湿度検出装置は、EL層への水分浸透経路が特定されている。したがって、本発明の湿度検出装置は、有機絶縁層106を浸透する水分のみ検出するため、有機絶縁層の性質に依存したセンシングが可能になる。
【0054】
なお、本実施の形態の湿度検出方法は、上記実施の形態1と同じ方法を用いる。
【0055】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層に接して水分を浸透する層と、水分を浸透しない層と、を設けることで、水分浸透経路を特定している。したがって、センシングの感度が調節でき、より高精度な湿度検出も可能とできる。
【0056】
また、本実施の形態の湿度検出装置は、非発光領域の経時変化により湿度を検出することができる。したがって、非発光領域を視覚で確認でき、簡便に湿度を確認することができる。
【0057】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の湿度検出装置について、図4〜図6を用いて説明する。
【0058】
図4に示すように、本実施の形態に係る湿度検出装置は、上記実施の形態1と同様に、第1の電極104と、第1の電極104上に形成されたEL層108と、EL層108上に形成された第2の電極110と、を含むEL素子114を有する。
【0059】
また、本実施の形態は、第1の基板102上に形成された第1の有機絶縁層400と、第1の電極104の端部(周辺部)を覆うように形成された第2の有機絶縁層406とを有する。第2の有機絶縁層406の一部は、第1の有機絶縁層400と接している。
【0060】
第2の有機絶縁層406は、第1の電極104上に形成されたEL層108とも接する。すなわち、EL層108は、第1の電極104及び第2の有機絶縁層406と、第2の電極110と、の間に挟持されている。
【0061】
また、本実施の形態の湿度検出装置は、第2の電極110の上面及び側面、EL層108の側面、並びに第2の有機絶縁層406の側面を覆うように保護層412が形成されている。すなわち、EL素子114は、第1の有機絶縁層400、第2の有機絶縁層406及び保護層412により、完全に覆われた構成となっている。
【0062】
なお、図4には図示していないが、第1の電極104には第1の配線が接続され、第2の電極110には第2の配線が接続されている。そして、第1の配線及び第2の配線に外部電源等を接続して電圧を掛ける、或いは電流を測定することが可能となっている。
【0063】
第1の基板102、第1の電極104、EL層108、第2の電極110の構成については、上記実施の形態1に準ずる。また、保護層412の材料及び作製方法は、上記実施の形態1に示した保護層112と同様であり、水分を浸透しない絶縁材料で形成する。
【0064】
第1の有機絶縁層400、第2の有機絶縁層406は、水分を浸透することのできる有機絶縁材料で形成する。例えば、ポリイミド、シロキサン、アクリル等の有機絶縁材料を用いることができる。また、その作製方法は、使用する材料にもよるが、SOG法又はスピンコート法等の薄膜形成法が用いられる。
【0065】
上記で説明したように、本発明の湿度検出装置は、水分を浸透することができる第2の有機絶縁層406と、水分を浸透しない保護層412と、第2の電極110と、第1の電極104と、に接したEL層108を有する。したがって、EL層108は、水分を含む雰囲気に直接的に接しないように構成されている。
【0066】
また、第2の有機絶縁層406は、側面を水分を浸透しない保護層412に覆われ、底面で水分を浸透することができる第1の有機絶縁層400に接している。
【0067】
本実施の形態の湿度検出装置を、水分を含む雰囲気下においた場合について、図5を用いて説明する。水分500は、水分を浸透することができる第1の有機絶縁層400を介して第2の有機絶縁層406に浸透してEL層108へと達する。水分500が、第1の有機絶縁層400を介し、第2の有機絶縁層406を浸透してEL層108へと達する経路を矢印502で示す。
【0068】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層108は、第2の有機絶縁層406と接する部分以外は、第1の電極104、第2の電極110及び保護層412と接しており、直接水分を含む雰囲気には接していない。さらに、保護層412は水分を浸透しない層であり、第2の電極110は保護層412に覆われているため、水分を浸透しない。また、第2の有機絶縁層406の側面も保護層412に覆われているため、水分を浸透しない。したがって、上記矢印502に示す第1の有機絶縁層400を介して第2の有機絶縁層406を浸透する経路以外では、水分がEL層108に浸透しない構成となっている。
【0069】
すなわち、本実施の形態に係る湿度検出装置は、EL層への水分浸透経路が特定されている。したがって、本発明の湿度検出装置は、第1の有機絶縁層400を介して第2の有機絶縁層406を浸透する水分のみ検出するため、有機絶縁層の性質に依存したセンシングが可能になる。
【0070】
なお、本実施の形態の湿度検出装置は、EL素子114の下方に設けられた第1の有機絶縁層400及び第2の有機絶縁層406を経て、EL層108まで水分を浸透させ、湿度を検出している。したがって、図6に示すように、EL素子114自体を、封止層600及び第2の基板602によって封止することもできる。
【0071】
図6に示すように、保護層412で覆われたEL素子114を封止することで、EL素子114の上方又は側方からの水分を遮断でき、水分浸透経路の特定が効果的に向上する。したがって、第1の有機絶縁層400及び第2の有機絶縁層406の性質のみに依存したセンシングが可能となり、湿度検出装置のセンシング精度をより向上させることができる。
【0072】
なお、EL素子を封止した湿度検出装置とする場合、封止されたEL素子114上方の空間に乾燥剤を配置することも可能である。乾燥剤を配置することで、EL素子114の上方又は側方からの水分を、さらに遮断することができる。
【0073】
ここで用いる封止層600としては、エポキシ樹脂等の有機層が挙げられる。また、第2の基板602としては、基板102と同様なものを用いることができる。具体的には、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルニウムホウケイ酸ガラスなどのガラスでなるものや、石英や、シリコンウエハ等が挙げられる。
【0074】
次に、上記湿度検出装置を用いた湿度検出方法について説明する。
【0075】
通常、物質内の水分浸透速度は、水分を含む雰囲気の温度(環境温度)、湿度および該物質の組成により一定の法則を有する。すなわち、EL層内の水分浸透速度も、環境温度、湿度及び該EL層の組成により、一定の法則を有する。
【0076】
また、EL素子は、EL層内に水分が浸透することによって発光しなくなっていく。上述したように、EL層内の水分浸透速度は一定の法則に従うため、EL素子の非発光領域が広がっていく面積の増加量の時間変化も、一定の法則に従う。
【0077】
本実施の形態では、第2の有機絶縁層406に接しているEL層108の周辺部からEL素子114の中心に向かって、一定の速度で非発光領域が拡大していくことになる。したがって、非発光領域の面積の増加量の時間変化及び環境温度から、雰囲気中に含まれる水分の濃度、つまり湿度を検出することができる。
【0078】
また、EL層108までの水分浸透経路の距離を調整した湿度検出装置の場合は、任意の環境温度において、EL素子の周辺部が劣化しはじめる時間を計測することによって、湿度を計測することができる。なお、図5の矢印502に示すように、本実施の形態の水分浸透経路は第1の有機絶縁層400を介して第2の有機絶縁層406を浸透する経路のみである。したがって、第1の有機絶縁層400及び第2の有機絶縁層の膜厚及びサイズを調整することで、簡便に湿度を検出することが可能である。
【0079】
また、本実施の形態の湿度検出装置において、第1の電極104に、一定の間隔で複数のコンタクトホールを設けてもよい。このとき、湿度検出装置は、第1の電極104に設けられたコンタクトホールを介して、EL層108と第1の有機絶縁層400とが接する構成となる。
【0080】
上記構成の場合、第1の電極104に設けられた複数のコンタクトホールも、水分の浸透経路となる。したがって、第1の電極104において、水分浸透経路の近傍から遠方に向かって一定の間隔でコンタクトホールを設けることにより、EL素子が劣化しはじめた付近のコンタクトホール数、又はEL素子が劣化しはじめる時間を計測することで、湿度の検出が可能となる。つまり、発光しなくなったEL素子付近のコンタクトホール数、又はEL素子が発光しなくなる時間を計測することで、湿度を検出することができる。
【0081】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層に接して水分を浸透する層と、水分を浸透しない層と、を設けることで、水分浸透経路を特定している。したがって、センシングの感度が調節でき、より高精度な湿度検出も可能とできる。
【0082】
また、本実施の形態の湿度検出装置は、非発光領域の経時変化により湿度を検出することができる。したがって、非発光領域を視覚で確認できる、簡便に湿度を確認することができる。
【0083】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態3と異なる構成の湿度検出装置について、図7、図8を用いて説明する。
【0084】
図7に示すように、本実施の形態に係る湿度検出装置は、第1の電極704と、第1の電極704上に形成されたEL層708と、EL層708上に形成された第2の電極710と、を含むEL素子714を有する。
【0085】
また、EL素子714は、基板702上に設けられた有機絶縁層700上に形成されている。このとき、EL層708の端部は、有機絶縁層700に接している。さらに、第2の電極710の上面及び側面、並びにEL層708の側面を覆うように、保護層712が形成されている。すなわち、EL素子714は、保護層712及び有機絶縁層700によって覆われており、水分を含む雰囲気とは直接接しない構造となっている。
【0086】
なお、図7に図示していないが、第1の電極704には第1の配線が接続されており、第2の電極710には第2の配線が接続されており、第1の配線と第2の配線に外部電源等を接続して電圧をかけたり、電流を測定することができるようになっている。
【0087】
基板702、第1の電極704、EL層708、第2の電極710の材料及び作製方法については、上記実施の形態に準ずる。保護層712の材料及び作製方法についても、上記実施の形態に準じ、水分を浸透しない絶縁材料で形成する。
【0088】
有機絶縁層700は、水分の浸透することのできる有機絶縁材料で形成する。例えば、ポリイミド、シロキサン、アクリル等の有機絶縁材料を用いることができる。また、その作製方法は、使用する材料にもよるが、SOG法又はスピンコート法等の薄膜形成法が用いられる。
【0089】
上述したような湿度検出装置を、水分を含む雰囲気下においた場合について、図8を用いて説明する。水分800は、水分を浸透することができる有機絶縁層700を浸透してEL層708へと達する。水分800が有機絶縁層700を浸透してEL層708へと達する経路を矢印802で示す。
【0090】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層708は、有機絶縁層700と接する部分以外は、第1の電極704、第2の電極710及び保護層712と接しており、直接水分を含む雰囲気には接していない。さらに、保護層712は水分を浸透しない層であり、第2の電極710は保護層712に覆われているため、水分を浸透しない。したがって、本実施の形態に係る湿度検出装置は、上記矢印802に示す有機絶縁層700を浸透する経路以外では、水分がEL層708に浸透しない構成となっている。
【0091】
すなわち、本実施の形態に係る湿度検出装置は、保護層712により、EL層708への水分浸透経路が特定されている。したがって、本発明の湿度検出装置は、有機絶縁層700を浸透する水分のみ検出するため、有機絶縁層の性質に依存したセンシングが可能になる。
【0092】
なお、本実施の形態における湿度検出装置では、EL素子714の下方に設けられた有機絶縁層700を経て、EL層708まで水分を浸透させ、湿度を検出している。したがって、図9に示すように、EL素子714自体を、封止層900及び第2の基板902によって封止することもできる。
【0093】
図9に示すように、保護層712で覆われたEL素子714を封止することで、EL素子714の上方又は側方からの水分を遮断でき、水分浸透経路の特定が効果的に向上する。したがって、有機絶縁層700の性質のみに依存したセンシングが可能となり、湿度検出装置のセンシング精度をより向上させることができる。
【0094】
なお、EL素子を封止した湿度検出装置とする場合、封止されたEL素子714上方の空間に乾燥剤を配置することも可能である。乾燥剤を配置することで、EL素子714の上方又は側方からの水分を、さらに遮断することができる。
【0095】
ここで用いる封止層900としては、エポキシ樹脂等の有機層が挙げられる。また、第2の基板902としては、基板702と同様なものを用いることができる。具体的には、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルニウムホウケイ酸ガラスなどのガラスでなるものや、石英や、シリコンウエハ等が挙げられる。
【0096】
次に、上記湿度検出装置を用いた湿度検出方法について説明する。
【0097】
通常、物質内の水分浸透速度は、水分を含む雰囲気の温度(環境温度)、湿度および該物質の組成により一定の法則を有する。すなわち、EL層内の水分浸透速度も、環境温度、湿度及び該EL層の組成により、一定の法則を有する。
【0098】
また、EL素子は、EL層内に水分が浸透することによって発光しなくなっていく。上述したように、EL層内の水分浸透速度は一定の法則に従うため、EL素子の非発光領域広がっていく面積の増加量の時間変化は、一定の法則に従う。
【0099】
本実施の形態では、有機絶縁層700に接しているEL層708の周辺部から中心に向かって、一定の速度で水分が浸透していく。すなわち、EL素子714の周辺部から中心に向かって、一定の速度で非発光領域が拡大していく。したがって、非発光領域の面積の単位時間当たりの増加量及び環境温度から、雰囲気中に含まれる水分の濃度、つまり湿度を検出することできる。
【0100】
また、EL層708までの水分浸透経路の距離を調整した湿度検出装置の場合は、任意の環境温度において、EL素子の周辺部が劣化しはじめる時間を計測することによって、湿度を計測することができる。なお、上述したように、本実施の形態の湿度検出装置の水分浸透経路は、図8の矢印802の経路のみである。したがって、有機絶縁層700の膜厚及びサイズを調整することで、簡便に湿度を検出することが可能である。
【0101】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層に接して水分を浸透する層と、水分を浸透しない層と、を設けることで、水分浸透経路を特定している。したがって、センシングの感度が調節でき、より高精度な湿度検出も可能とできる。
【0102】
また、本実施の形態の湿度検出装置は、非発光領域の経時変化により湿度を検出することができる。したがって、非発光領域を視覚で確認できる、簡便に湿度を確認することができる。
【0103】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態4と異なる構成の湿度検出装置について説明する。図10に、本実施の形態の湿度検出装置の上面図を示し、図11には、図10の線分A−A’における断面図を示す。
【0104】
本実施の形態に係る湿度検出装置は、第1の電極724と、第1の電極724上に形成されたEL層728と、EL層728上に形成された第2の電極730と、を含むEL素子734を有する。
【0105】
また、EL素子734は、基板722上に設けられた有機絶縁層720上に形成されている。さらに、第2の電極730の上面及び側面、EL層728の側面、並びに第1の電極724の側面を覆うように、保護層732が形成されている。
【0106】
また、第1の電極724は開口部を有し、開口部においてEL層728及び有機絶縁層720が接している。このとき、EL層728及び有機絶縁層720が接する箇所をコンタクト部740とする。本実施の形態では、コンタクト部740がEL素子734の中心部になるように形成する。
【0107】
なお、基板722、有機絶縁層720、第1の電極724、EL層728、第2の電極730、保護層732の材料及び作製方法については、上記実施の形態に準ずる。
【0108】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層728はEL素子734の中心部、すなわちコンタクト部740で有機絶縁層720と接している。なお、EL層728のその他の部分は、第1の電極724、第2の電極730及び保護層732と接しており、直接水分を含む雰囲気には接していない。さらに、保護層732は水分を浸透しない層であり、第2の電極730は保護層732に覆われているため、水分を浸透しない。したがって、本実施の形態に係る湿度検出装置を、水分を含む雰囲気下においた場合、水分750は、水分を浸透することができる有機絶縁層720を浸透してEL層728へと達する。すなわち、水分はコンタクト部740からEL層728へ浸透していき、EL素子734は中心部から劣化していくことになる。なお、水分750が有機絶縁層720を浸透し、コンタクト部740においてEL層728へと達する経路を矢印752で示す。
【0109】
本実施の形態に係る湿度検出装置は、EL素子734の中心部から一定の速度で拡大していく非発光領域の面積の単位時間当たりの増加量及び環境温度から、湿度を検出することができる。
【0110】
本実施の形態のように、EL素子734の中心部にコンタクト部740を設けた場合、湿度検出装置がEL素子の中心部からの劣化を感知して湿度を検出するように設定しておけば、保護層の不良によるEL素子の周辺部からの劣化は感知しにくくなる。したがって、湿度検出装置のセンシング精度を、より向上させることができる。
【0111】
なお、本実施の形態において、第2の電極をピンホールが発生しにくい製造プロセスで形成する場合は、第2の電極上面の保護層は形成しなくともよい。
【0112】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態3〜5に示したEL素子を、マトリクス状に複数配置した構成の湿度検出装置について説明する。なお、EL素子は、基板上に設けられた有機絶縁層上に設けられる。
【0113】
ここでは、上記実施の形態3に示したEL素子を配置した湿度検出装置について、図12を用いて説明する。本実施の形態の湿度検出装置は、第1の有機絶縁層400が形成された基板102上に複数のEL素子114が設けられた構成となっている。
【0114】
EL素子114は、第1の電極104、EL層108及び第2の電極110を有する。また、第1の電極104の端部は第2の有機絶縁層406によって覆われており、EL層108は、第1の電極104及び第2の有機絶縁層406と第2の電極110との間に挟持されている。
【0115】
さらに、EL素子114を覆うように保護層412が形成されている。保護層412は、少なくとも第2の電極110の上面及び側面、EL層108の側面、並びに第2の有機絶縁層406の側面を覆うように形成する。また、保護層412は、第1の有機絶縁層400の周辺部(端部)は覆わないものとする。
【0116】
上記のような構成とすることで、本実施の形態の湿度検出装置は、実施の形態3のような水分浸透経路に特定される。つまり、水分が浸透する経路は、第1の有機絶縁層400及び第2の有機絶縁層406を浸透する経路のみとなる。水分は、保護層412に覆われていない第1の有機絶縁層400の周辺部から浸透するため、本実施の形態の湿度検出装置は、水分が浸透しはじめる第1の有機絶縁層400の周辺部近傍にあるEL素子から順次劣化が生じ、発光しなくなる。したがって、発光しなくなったEL素子の個数を経時的に測定することによって、湿度の検出が可能となる。
【0117】
本実施の形態の湿度検出装置は、EL層に接して水分を浸透する層と、水分を浸透しない層と、を設けることで、水分浸透経路を特定している。したがって、センシングの感度が調節でき、より高精度な湿度検出も可能とできる。
【0118】
また、本実施の形態の湿度検出装置は、基板の周辺部から順次発光しなくなるため、視覚で確認しやすく、より簡便に湿度を確認することができる。
【0119】
(実施の形態7)
上記実施の形態1〜6の湿度検出装置において、EL素子の上方に対向基板を設け、EL素子の側方で且つEL素子を封止する封止層を設ける構成とすることもできる。この場合、水分浸透経路となる部分を、封止領域内の雰囲気にのみ接するように配置することで、封止層自体の透湿性を調べることのできる湿度検出装置とすることが可能である。
【0120】
なお、対向基板としては、特に限定されないが、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルニウムホウケイ酸ガラスなどのガラスでなるものや、石英等を用いることができる。また、封止層としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂等の有機層を用いることができる。
【0121】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態1〜7の湿度検出装置の構成要素について、詳細に説明する。なお、上記実施の形態と重複する説明もある。
【0122】
EL層108、EL層708、EL層728は、少なくとも発光性の物質を含む発光層を有する。発光層は、特に限定されることはないが、例えば、低分子系有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DPA)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、その他、高分子系有機発光材料を用いることもできる。
【0123】
また、EL層108、EL層708、EL層728は、発光層の他、発光層に接する正孔輸送層又は電子輸送層を有していてもよい。さらに、正孔輸送層に接する正孔注入層又は電子輸送層に接する電子注入層を有していてもよい。すなわち、EL層108、EL層708、EL層728は少なくとも発光層を有し、その他、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のうち、いずれか1つ又は複数の層を有することができる。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次積層した構造を有することができる。
【0124】
正孔注入層は、例えば、モリブデン酸化物(MoO)やバナジウム酸化物(VO)、ルテニウム酸化物(RuO)、タングステン酸化物(WO)、マンガン酸化物(MnO)等の金属酸化物、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物等を用いることができる。
【0125】
正孔輸送層は、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物等を用いることができる。
【0126】
電子輸送層は、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。
【0127】
電子注入層は、例えば、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、Alqのような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物を用いることもできる。
【0128】
また、EL層108、EL層708、EL層728が有する正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層は、蒸着法、インクジェット法等の薄膜形成法により形成される。なお、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層は、素子構造に応じて適宜パターンを形成する必要がある。この場合、インクジェット法を用いるのであれば、直接パターンを形成することができる。また、蒸着法を用いるのであれば、メタルマスクを用いてパターンを形成することができる。
【0129】
なお、上記のような材料で形成したEL層108、EL層708、EL層728は、一対の電極に挟んだ場合に、順方向にバイアスすることで発光する。
【0130】
基板102、第2の基板602及び第2の基板902は、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、またはアルニウムホウケイ酸ガラスなどのガラスでなるものや、石英や、シリコンウエハ等を用いることができる。
【0131】
第1の電極104、第1の電極704及び第1の電極724、並びに第2の電極110、第2の電極710及び第2の電極730は、さまざまな金属、合金、電気伝導性の化合物及びこれらの混合物等を用いることができる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)等の透明電極を用いることができる。その他、金、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、コバルト、鉛、クロム、モリブデン、タングステン等を用いることもできる。また、リチウムやセシウム等のアルカリ金属、およびマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(フッ化カルシウム、窒化カルシウム)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることもできる。
【0132】
なお、第1の電極及び第2の電極は、いずれか一方が陽極となり、他方が陰極となる。陽極となる場合は、仕事関数の高い物質を用いることが好ましい。これに対し、陰極となる場合には、仕事関数の小さい物質を用いることが好ましい。また、陽極側から光を取り出す場合は陽極として透明電極が用いられる。これに対し、陽極を反射電極として用いる場合は、光を反射することのできる材料が適宜選択される。同様に、陰極側から光を取り出す場合は陰極として透明電極が用いられ、反射する場合には、光を反射することのできる材料が適宜選択される。
【0133】
第1の電極104、第1の電極704及び第1の電極724、並びに第2の電極110、第2の電極710及び第2の電極730は、スパッタリング法又は蒸着法等の薄膜形成法により、形成される。なお、第1の電極及び第2の電極の膜厚は、陽極の場合は、使用する材料にもよるが、一般に5nm〜1μm程度、好ましくは10nm〜500nm程度の範囲で形成する。また、陰極の場合は、使用する材料にもよるが、一般に5nm〜1μm程度、好ましくは10nm〜500nm程度の範囲で形成する。なお、第1の電極及び第2の電極は、素子構造に応じて適宜パターンを形成する必要がある。この場合、インクジェット法を用いるのであれば直接パターンを形成することができる。また、スパッタリング法や蒸着法を用いるのであれば、メタルマスクを用いてパターンを形成することができる。
【0134】
さらに、スパッタリング法や蒸着法で基板全面に電極層を形成した後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて、パターンを形成することもできる。
【0135】
第1の電極に接続する第1の配線、第2の電極に接続する第2の配線は、上記第1の電極及び第2の電極として挙げられた材料を用いることができる。この場合も、第1の配線及び第2の配線は、回路構成に応じて適宜パターンを形成する必要があり、上述した第1の電極及び第2の電極のパターン形成と同じ方法を適用できる。
【0136】
有機絶縁層106、有機絶縁層700、有機絶縁層720、第1の有機絶縁層400、第2の有機絶縁層406は、水分を浸透することのできる有機絶縁材料で形成する。具体的には、、ポリイミド、シロキサン、アクリル等の有機絶縁材料を用いることができる。また、その作製方法は、使用する材料にもよるが、SOG(Spin On Glass)法、スピンコート法、又はオーバーコート法等の薄膜形成法が用いられる。
【0137】
水分の浸透することのできる有機絶縁材料は、空気中あるいは純水中に放置すると、吸湿して重量を増加させる。例えば、ポリイミドの場合は、吸湿量は空気中では約1〜2%、純水中では、2〜3%程度である。
【0138】
なお、吸湿した有機絶縁材料は、加熱することにより吸湿した水分をなくすことが可能である。例えば、吸湿したポリイミドの場合、300℃、30minで加熱することにより、吸湿した水分を完全になくすことができる。
【0139】
有機絶縁層の膜厚は、目的に応じ適宜選択可能である。例えば、1μm〜10μmの範囲で形成することができる。もちろん、この範囲を超えてもよい。また、この場合も、素子構造に応じて適宜パターンを形成する必要がある。例えば、スピンコート法、オーバーコート法で基板全面に絶縁層を形成した後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法を用いて、パターンを形成することができる。また、感光性のポリイミド、アクリル等を用いる場合は、フォトリソグラフィ法により、直接的にパターンを形成することが可能である。
【0140】
保護層112、保護層312、保護層412、保護層712、保護層732は、水分を浸透しない絶縁材料で形成する。例えば、窒素を含む珪素、酸素を含む珪素、窒素及び酸素を含む珪素等の無機絶縁材料を用いることができる。また、これらの材料を用いた単層構造としてもよいし、複数の材料を用いた積層構造としてもよい。その他、珪素を含む絶縁材料や、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の材料を用いることもできる。また、その作製方法は、使用する材料にもよるが、プラズマCVD法又はスパッタリング法等の薄膜形成法が用いられる。
【0141】
(実施の形態9)
上記実施の形態1〜8までの湿度検出装置は、少なくとも発光層を有するEL層を用いて、EL素子の発光量等を検出することにより、湿度を検出する湿度検出装置について説明した。本実施の形態では、EL層の代わりに有機導電層を用いた素子(以下「有機導電素子」という)を有する湿度検出装置について説明する。なお、本実施の形態の湿度検出装置は、有機導電素子に電圧をかけたときに流れる電流の特性(I−V特性)から、有機導電素子の抵抗値を算出し、該抵抗値の変化量によって湿度を検出することを特徴とする。
【0142】
本実施の形態の湿度検出装置の構成には、実施の形態1〜7に記載した構成の湿度検出装置において、EL層を有機導電層に置き換えたものが適用できる。ここでは、実施の形態3に示した湿度検出装置のEL層に有機導電層を適用したものについて、図15を用いて説明する。
【0143】
本実施の形態の湿度検出装置は、第1の有機絶縁層400が設けられた基板102上に、有機導電素子1714が設けられている。有機導電素子1714は、第1の電極104と、第1の電極104上に形成された有機導電層1708と、有機導電層1708上に形成された第2の電極110と、を有する。また、第1の電極104の端部は第2の有機絶縁層406によって覆われており、有機導電層1708は、第1の電極104及び第2の有機絶縁層406と第2の電極110との間に挟持されている。さらに、有機導電素子1714及び第2の有機絶縁層406を覆うように、保護層412が形成されている。
【0144】
有機導電層1708としては、正孔輸送性の有機化合物又は電子輸送性の有機化合物を用いることができる。例えば、実施の形態8に記載した正孔輸送層又は電子輸送層を用いることができる。なお、その他の構成は、上記実施の形態に準じる。
【0145】
ここで、上述した湿度検出装置を、水分を含む雰囲気下においた場合は、実施の形態3と同様に、水分が第1の有機絶縁層を介して第2の有機絶縁層に浸透し、有機導電層1708へと達する。そして、水分により、有機導電素子1714の電流−電圧特性(I−V特性とも呼ぶ)、すなわち抵抗値が変化する。このとき、有機導電素子1714の電流−電圧特性は、有機導電層1708に達した水分により、一定の法則に従って経時的に変化する。したがって、有機導電素子1714の電流−電圧特性、又は抵抗値の変化を検出することにより、湿度を検出することができる。
【0146】
なお、上記実施の形態1〜8に記載の湿度検出装置においても、EL素子の電流−電圧特性、又は抵抗値の変化を検出することによっても、湿度を検出することは可能である。
【0147】
本実施の形態の湿度検出装置は、有機導電素子の特性変化を検出することで、湿度を検出することが可能である。また、電流−電圧特性の変化は精度良く測定することが可能であるため、湿度検出装置の精度を向上させることができる。
【0148】
(実施の形態10)
本実施の形態では、上記実施の形態9と異なる構成の湿度検出装置について説明する。
【0149】
例えば、図15に示す湿度検出装置において、第1の電極104の抵抗をR、有機導電層1708の抵抗をR、第2の電極110の抵抗をR、有機導電層1708と第1の電極104の接触抵抗をR、有機導電層1708と第2の電極110の接触抵抗をRとする。この場合、有機導電素子1714の抵抗Rとすると、以下の数式(1)が成り立つ。
【0150】
【数1】

【0151】
上記数式(1)からもわかるように、有機導電素子1714の抵抗値Rには、有機導電層1708の抵抗値以外も影響を与えている。なお、上記数式(1)において、第1の電極104の抵抗Rと第2の電極110の抵抗Rは、水分によって極端に抵抗値が変化することはないので、ほぼ一定と見なせる。したがって、特に、水分による有機導電素子1714の特性変化を検出する際に強く影響を与えるものとして、有機導電層1708の抵抗R、有機導電層1708と第1の電極104との接触抵抗R、及び有機導電層1708と第2の電極110との接触抵抗Rが挙げられる。
【0152】
ここで、有機導電層1708の特性、すなわち有機導電層1708の抵抗Rは、一定の法則に従って経時的に変化する。しかし、有機導電層1708と第1の電極104の接触抵抗R、及び有機導電層1708と第2の電極110との接触抵抗Rは、水分による経時的変化が一定の法則によって定まらない。
【0153】
したがって、本実施の形態では、有機導電素子1714の電流−電圧特性を測定すると同時に、有機導電層1708と第1の電極104との接触抵抗、及び有機導電層1708と第2の電極110との接触抵抗の経時的変化を測定し、有機導電層1708の特性変化を検出する構成とする。具体的には、上記実施の形態9で説明した湿度検出装置に接触抵抗測定素子を設け、有機導電素子1714の抵抗と、接触抵抗測定素子の抵抗を測定することで、有機導電層1708の特性変化を検出する。以下、図13、図14を用いて、具体的に説明する。
【0154】
図13(A)に、本実施の形態の湿度検出装置の上面の模式図を示す。湿度検出装置は、同一基板1702上に設けられた有機導電素子1714と、第1の接触抵抗測定素子1720と、第2の接触抵抗測定素子1722と、を有する。なお、有機導電素子1714は、上記実施の形態9で示したものとし、有機導電素子1714の有する第1の電極の端部は、第2の有機絶縁層406に覆われているものとする。
【0155】
また、第1の接触抵抗測定素子1720は、有機導電層1708と第1の電極104との接触抵抗を測定するための素子とする。第2の接触抵抗測定素子1722は、有機導電層1708と第2の電極110との接触抵抗を測定するための素子とする。なお、ここでは図示しないが、基板1702上には第1の有機絶縁層400が設けられているものとする。また、第1の接触抵抗測定素子1720及び第2の接触抵抗測定素子1722は、有機導電素子1714と同様に、保護層412で覆われている者とする。
【0156】
また、図13(B1)、(B2)に、第1の接触抵抗測定素子1720の具体的な構成を示す。第1の接触抵抗測定素子1720は、第1の電極104と同一材料で形成される第1の導電層1730と、有機導電層1708と同一材料で形成される第2の導電層1740と、から構成される。また、第1の導電層1730と第2の導電層1740は、中央付近で交差しており、交差部分は接している。
【0157】
図13(B1)、(B2)において、第1の導電層1730は、第1の領域1732、第2の領域1734、第3の領域1736の3つの領域を含む。このとき、第2の領域1734は、第1の領域1732と第3の領域1736との間に位置し、第2の導電層1740と接して重なっている。同様に、第2の導電層1740も、第1の領域1742、第2の領域1744、第3の領域1746の3つの領域を含む。このとき、第2の領域1744は、第1の領域1742と第3の領域1746との間に位置し、第1の導電層1730と接して重なっている。すなわち、第1の導電層1730と第2の導電層1740は、それぞれ第2の領域1734及び第2の領域1744で接して重なっており、その他の領域では重ならない構成となっている。ここで、第2の領域1734及び第2の領域1744で接して重なっている領域が、有機導電層1708と第1の電極104との接触部分に相当する。
【0158】
さらに、図13(C1)、(C2)に、第2の接触抵抗測定素子1722の具体的な構成を示す。第2の接触抵抗測定素子1722は、有機導電層1708と同一材料で形成される第3の導電層1750と、第2の電極110と同一材料で形成される第4の導電層1760と、から構成される。また、第3の導電層1750と第4の導電層1760は、中央付近で交差しており、交差部分は接している。
【0159】
図13(C1)、(C2)において、第3の導電層1750は、第1の領域1752、第2の領域1754、第3の領域1756の3つの領域を含む。このとき、第2の領域1754は、第1の領域1752と第3の領域1756との間に位置し、第4の導電層1760と接して重なっている。同様に、第4の導電層1760も、第1の領域1762、第2の領域1764、第3の領域1766の3つの領域を含む。このとき、第2の領域1764は、第1の領域1762と第3の領域1766との間に位置し、第3の導電層1750と接して重なっている。すなわち、第3の導電層1750と第4の導電層1760は、それぞれ第2の領域1754及び第2の領域1764で接して重なっており、その他の領域では重ならない構成となっている。ここで、第2の領域1754及び第2の領域1764で接して重なっている領域が、有機導電層1708と第2の電極110との接触部分に相当する。
【0160】
上記第1の接触抵抗測定素子1720及び第2の接触抵抗測定素子1722は、ケルビン抵抗の原理を用いることで、接触抵抗を測定することが可能である。ここで、ケルビン抵抗について説明する。
【0161】
図14に示される回路は、第1の端子1300と、第2の端子1302と、第3の端子1304と、第4の端子1306と、を有する。また、第1の端子1300と第2の端子1302との間には第1の抵抗RA1及び第2の抵抗RA2が直列に接続され、第3の端子1304と第4の端子1306との間には第3の抵抗RA3及び第4の抵抗RA4が直列に接続されている。
【0162】
なお、本実施の形態では、第1の端子1300側に第1の抵抗RA1が配置され、第2の端子1302側に第2の抵抗RA2が配置されている。このとき、第1の抵抗と第2の抵抗との接続箇所を、接続点a12とする。また、第3の端子1304側に第3の抵抗RA3が配置され、第4の端子1306側に第4の抵抗RA4が配置されている。このとき、第3の抵抗と第4の抵抗との接続箇所を、接続点a34とする。第1の抵抗RA1と第2の抵抗RA2の接続点a12と第3の抵抗RA3と第4の抵抗RA4の接続点a34は、第5の抵抗RA5を介して接続されている。
【0163】
つまり、図14に示す回路は、第1の端子1300と第3の端子1304との間に、第1の抵抗RA1、第5の抵抗RA5、及び第3の抵抗RA3が、直列に接続されている。また、第2の端子1302と第4の端子1306との間に、第2の抵抗RA2、第5の抵抗RA5、及び第4の抵抗RA4が、直列に接続されている。
【0164】
図14に示す回路において、第1の端子1300と第3の端子1304の間には、電流が0となるように電圧Vをかける。同時に、第2の端子1302と第4の端子1306の間に、電流が0となるように電圧Vをかける。この場合、キルヒホッフの法則から、以下の数式(2)が算出できる。
【0165】
【数2】

【0166】
上記数式(2)から第5の抵抗RA5を算出すると、以下の数式(3)のようになる。
【0167】
【数3】

【0168】
したがって、上記数式(3)より、第1の端子1300、第2の端子1302、第3の端子1304及び第4の端子1306の4つの端子にかけた電圧と電流の値から、第5の抵抗RA5が測定できる。このようにして、第5の抵抗RA5を測定する回路をケルビン抵抗という。
【0169】
上述したケルビン抵抗を、第1の接触抵抗測定素子1720に適用すると、第1の導電層1730の第1の領域1732及び第3の領域1736、並びに第2の導電層1740の第1の領域1742及び第3の領域1746は、4つの端子(第1の端子1300、第2の端子1302、第3の端子1304、第4の端子1306)に相当する。そして、第1の導電層1730の第2の領域1734と第2の導電層1740の第2の領域1744との接触抵抗が、第5の抵抗RA5に相当する。したがって、有機導電層1708と第1の電極104の接触抵抗が求められる。
【0170】
同様に、第2の接触抵抗測定素子1722にケルビン抵抗を適用すると、第3の導電層1750の第1の領域1752及び第3の領域1756、並びに第4の導電層1760の第1の領域1762及び第3の領域1766は、4つの端子(第1の端子1300、第2の端子1302、第3の端子1304、第4の端子1306)に相当する。そして、第3の導電層1750の第2の領域1754と第4の導電層1760の第2の領域1764との接触抵抗が、第5の抵抗RA5に相当する。したがって、有機導電層1708と第2の電極110の接触抵抗が求められる。
【0171】
以上により、有機導電層1708と第1の電極104との接触抵抗、及び有機導電層1708と第2の電極110との接触抵抗が求められる。そして、実施の形態9のように有機導電素子1714の抵抗を求めることで、有機導電層1708の抵抗を検出することができる。
【0172】
なお、正確に有機導電素子1714の有機導電層1708と第1の電極104との接触抵抗を測定するため、第1の接触抵抗測定素子1720の構成を有機導電素子1714の構成に合わせることが好ましい。具体的には、第2の導電層1740の第2の領域1744の面積は、有機導電素子1714における有機導電層1708の面積と等しくするのが好ましい。さらに、第1の導電層1730の第2の領域1734の端部は、第2の有機絶縁層406で覆われており、第2の導電層1740の第2の領域1744が第2の有機絶縁層406及び第1の電極104と接する構造とすることが好ましい。
【0173】
同様に、第2の接触抵抗測定素子1722において、第3の導電層1750の第2の領域1754の面積は、有機導電素子1714における有機導電層1708の面積と等しくするのが好ましい。
【0174】
第1の接触抵抗測定素子1720及び第2の接触抵抗測定素子1722は、有機導電素子1714と同時に形成できる。具体的には、第1の接触抵抗測定素子1720の第1の導電層1730は、第1の電極104と同一の材料及び作製方法で形成する。また、第1の接触抵抗測定素子1720の第2の導電層1740及び第2の接触抵抗測定素子1722の第3の導電層1750は、有機導電層1708と同一の材料及び作製方法で形成する。さらに、第2の接触抵抗測定素子1722の第4の導電層1760は、第2の電極110と同一の材料及び作製方法で形成する。なお、第1の電極104と第2の電極110が同一材料でなる場合には、1つの接触抵抗測定素子を形成すればよい。
【0175】
本実施の形態の湿度検出装置は、有機導電素子の特性変化、及び接触抵抗測定素子の特性変化を検出することで、精度良く湿度を検出することが可能となる。したがって、湿度検出装置の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図2】本発明の湿度検出装置の水分浸透経路の一例を示す図。
【図3】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図4】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図5】本発明の湿度検出装置の水分浸透経路の一例を示す図。
【図6】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図7】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図8】本発明の湿度検出装置の水分浸透経路の一例を示す図。
【図9】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図10】本発明の湿度検出装置の一例を示す上面図。
【図11】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図12】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図13】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【図14】ケルビン抵抗回路図。
【図15】本発明の湿度検出装置の一例を示す図。
【符号の説明】
【0177】
102 基板
104 第1の電極
106 有機絶縁層
108 EL層
110 第2の電極
112 保護層
114 EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたEL素子を有し、
前記EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極の端部を覆う水分を浸透する有機絶縁層と、前記第1の電極及び前記有機絶縁層と、前記第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、
前記第2の電極の上面及び側面、並びに前記EL層の側面は、水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項2】
基板上に形成された水分を浸透する第1の有機絶縁層と、前記第1の有機絶縁層上に形成されたEL素子と、を有し、
前記EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極の端部を覆う水分を浸透する第2の有機絶縁層と、前記第1の電極及び前記第2の有機絶縁層と、前記第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、
前記第2の電極の上面及び側面、並びに前記EL層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項3】
基板上に形成された水分を浸透する有機絶縁層と、前記有機絶縁層上に形成されたEL素子と、を有し、
前記EL素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と、前記第2の電極と、の間に接して設けられたEL層と、を有し、
前記第2の電極の上面及び側面、並びに前記EL層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項4】
基板上に形成された有機導電素子と、を有し、
前記有機導電素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極の端部を覆う水分を浸透する有機絶縁層と、前記第1の電極及び前記有機絶縁層と、前記第2の電極と、の間に接して設けられた有機導電層と、を有し、
前記第2の電極の上面及び側面、並びに前記有機導電層の側面は、水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項5】
基板上に形成された水分を浸透する第1の有機絶縁層と、前記第1の有機絶縁層上に形成された有機導電素子と、を有し、
前記有機導電素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極の端部を覆う水分を浸透する第2の有機絶縁層と、前記第1の電極及び前記第2の有機絶縁層と、前記第2の電極と、の間に接して設けられた有機導電層と、を有し、
前記第2の電極の上面及び側面、並びに前記有機導電層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項6】
基板上に形成された水分を浸透する有機絶縁層と、前記有機絶縁層上に形成された有機導電素子と、を有し、
前記有機導電素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と、前記第2の電極と、の間に接して設けられた有機導電層と、を有し、
前記第2の電極の上面及び側面、並びに前記有機導電層の側面は水分を浸透しない保護層によって覆われていることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記有機絶縁層は、ポリイミド、シロキサン又はアクリルからなる層であることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記保護層は、窒素を含む珪素、酸素を含む珪素、窒素及び酸素を含む珪素等の無機絶縁材料からなる層であることを特徴とする湿度検出装置。
【請求項9】
EL素子の非発光領域の経時変化を測定し、前記EL素子に浸透した水分量を検出することを特徴とする湿度検出方法。
【請求項10】
複数のEL素子を有する湿度検出装置において、
非発光のEL素子の個数及び位置の経時変化を測定し、前記EL素子に浸透した水分量を検出することを特徴とする湿度検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−278775(P2007−278775A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103710(P2006−103710)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】