説明

湿式画像形成装置

【課題】クリーニング液のクリーニング力を高めてクリーニング性を向上させることが可能な湿式画像現像装置を提供する。
【解決手段】クリーニング液給液部400は、クリーニング液貯蔵槽408と、クリーニング液中に気泡を混入させる気泡生成装置402と、気泡生成装置に空気を送出すポンプ404と、気泡生成装置402にクリーニング液貯蔵槽408に貯蔵されたクリーニング液を供給するポンプ406とを含む。気泡生成装置402は、ポンプ404および406により空気およびクリーニング液がそれぞれ供給されることにより、空気の気泡をクリーニング液中に混入する。そして、気泡生成装置402は、気泡を混入したクリーニング液を給液する。クリーニング液中の気泡は、感光体あるいは中間転写体上に付着したトナー粒子に強い撹拌力を与え、クリーニング部材でのトナー粒子の剥離が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、キャリア液中にトナーを分散させてなる液体現像剤を用いて画像形成を行なう湿式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像がトナーにより現像されてそのトナー像が記録用紙に転写されて、画像が形成される。また、中間転写体を備えている場合は、トナー像が、一旦感光体から中間転写体へ一次転写されて、さらに中間転写体から記録用紙へ二次転写されて、画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
たとえば、感光体上のトナー像を被転写体である中間転写体へ一次転写する場合は、感光体と対向するように配置された中間転写体に電圧を印加し、感光体と中間転写体との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を中間転写体に静電吸着させている。
【0004】
また、中間転写体のトナー像を被転写体である用紙へ転写する場合は、中間転写体と対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、中間転写体と用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を用紙に静電吸着させている。
【0005】
このような転写プロセスにおいて、電界に乱れが生じたり、トナーの感光体あるいは中間転写体への付着力が強過ぎたりすると一部のトナーが転写されずに感光体あるいは中間転写体上に残留し、転写効率が低下することになる。
【0006】
したがって、残留したトナーを転写の都度充分にクリーニングする必要がある。
このためのクリーニング手段としては、従来から種々のものが提案されており、特開2007−206381号公報においては、クリーニング液であるキャリア液を含んだキャリア塗布ローラを用いて中間転写体と接触させ、中間転写体に残留したトナーをブレードを用いて中間転写体から掻き取る一般的な構成が開示されている。
【特許文献1】特開2007−206381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、残留したトナーを充分に剥離するためには、クリーニング液を多量に撒布する必要があり、クリーニング液の消費が激しいという問題がある。また、クリーニング液によるトナーの剥離効果が小さいと、ブレード等のクリーニング部材を感光体や中間転写体に強い外力で圧接させる必要があり、クリーニング部材の長寿命化が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであって、クリーニング液のクリーニング力を高めてクリーニング性を向上させることが可能な湿式画像現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いて像担持体上にトナー像を形成し、像担持体上のトナー像を被転写体に転写する湿式画像形成装置であって、被転写体へのトナー像の転写後に像担持体に残留したトナーをクリーニングするためのクリーニング装置を備える。クリーニング装置は、クリーニング液を供給する給液部と、像担持体に圧接され、クリーニング液と混合された像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング部材とを含む。給液部は、供給するクリーニング液中に気泡を混入させる気泡発生装置を有する。
【0010】
好ましくは、クリーニング装置は、回転により像担持体と圧接されて、像担持体に残留したトナーとクリーニング液とを撹拌するためのクリーニングローラをさらに含む。
【0011】
好ましくは、クリーニング部材により除去された、残留したトナーと混合されたクリーニング液を回収するクリーニング液回収部をさらに備える。クリーニング液回収部は、回収した回収液中に含まれている気泡を脱泡する脱泡装置を有する。
【0012】
特に、脱泡装置により回収液中に含まれている気泡を脱泡した後、トナーをクリーニング液と分離するためのトナー分離装置をさらに備える。
【0013】
特に、トナー分離装置は、分離したクリーニング液を給液部に供給する。
好ましくは、気泡発生装置は、供給された空気とクリーニング液とを混合して、クリーニング液中に気泡を混入させる静止型混合器に相当する。
【0014】
特に、脱泡装置は、超音波を発生させて回収液に含まれている気泡を脱泡させる超音波振動子に相当する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る湿式画像形成装置は、クリーニング液中に気泡を混入させる気泡発生装置を設け、気泡を混入したクリーニング液を供給する。クリーニング液中の気泡は、像担持体上に付着したトナー粒子に強い撹拌力を与え、クリーニング部材でのトナー粒子の剥離が容易となる。すなわち、クリーニング液中に気泡を混入することによりクリーニング液のクリーニング力を高めてクリーニング性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の一例を説明する概略構成図である。
【0018】
図1を参照して、ドラム状の像担持体である感光体110の周囲には矢印で示す回転方向の順に現像装置107、感光体110から一次転写される像担持体である中間転写体103、クリーニング液を供給するクリーニング液給液部400、感光体110のクリーニングローラ108、クリーニングブレード104、帯電装置116および露光装置118がそれぞれ配設される。
【0019】
さらに、感光体110に設けられたクリーニングブレード104により除去された、感光体110に残留したトナーと混合されたクリーニング液を回収するためのクリーニング液回収部410と、クリーニング液回収部410により回収された回収液中に含まれているトナーをクリーニング液と分離するためのトナー分離部420とをさらに設ける。
【0020】
また、中間転写体103の周囲には矢印で示す回転方向の順に二次転写ローラ102、クリーニング液を供給するクリーニング液給液部435、中間転写体103のクリーニングローラ201、中間転写体103のクリーニングブレード202がそれぞれ配設される。
【0021】
さらに、中間転写体103についても感光体110と同様に、中間転写体103のクリーニングブレード202により除去された、中間転写体103に残留したトナーと混合されたクリーニング液を回収するためのクリーニング液回収部430と、クリーニング液回収部430により回収された回収液中に含まれているトナーをクリーニング液と分離するためのトナー分離部425とをさらに設ける。
【0022】
現像装置107は、トナーおよびキャリア液を含む液体現像剤(現像液とも称する)を貯蔵した現像槽105と、現像ローラ106と、現像ローラ106のクリーニングブレード112と、現像液を供給する供給ローラ114と、現像前チャージャ117とを含む。
【0023】
供給ローラ105は、現像液を貯蔵した現像槽105から規制ブレード113を介して一定量の現像液を汲上げ、現像ローラ106に一定量の現像液を供給する。なお、本例においては、規制ブレード113を用いて現像液を一定量にする方式としているが、供給ローラとしてアニロックスローラを用いることも可能である。この場合には、ローラの掘り込みにより現像液の液量が一定量に調整されるため規制ブレード113を設けることなく、現像ローラに一定量の現像液を供給することが可能である。
【0024】
そして、現像前チャージャ117により供給された現像ローラ106上の現像液中に含まれるトナーに電荷が与えられる。その後、現像ローラ106により感光体110に搬送された荷電トナーは感光体110上において画像部を現像する。
【0025】
感光体110の表面は、帯電装置116により所定の表面電位に一様に帯電される。そして、その後、露光装置118により画像情報の露光を行ない、感光体110の表面に静電潜像を形成する。次いで、感光体110上の静電潜像は、上述したように現像装置107によりトナーおよびキャリア液を含む現像液により現像され、感光体110の表面にトナー像が形成される。このときトナーだけでなくキャリア液も感光体110の表面に付着する。
【0026】
次に、感光体110上に形成されたトナー像は、所定の電圧が印加された中間転写体103に一次転写される。そして、中間転写体103から記録用紙300へ二次転写ローラ102により二次転写されて記録用紙300上にトナー像が形成される。
【0027】
なお、二次転写ローラ102は、内部にヒータを内蔵した転写同時定着用のローラとすることも可能である。また、転写後の記録用紙300を図示しない定着ローラで定着するようにすることも可能である。
【0028】
一方、一次転写後の感光体110に残留したトナーについては、クリーニング装置によりクリーニングされる。クリーニング装置は、クリーニング液給液部400と、クリーニング部材であるクリーニングブレード104と、クリーニングローラ108とを含む。
【0029】
具体的には、クリーニング液給液部400から供給されるクリーニング液は、感光体110上の残留したトナーと混合され、トナーがクリーニング液中に再分散される。そして、クリーニングローラ108は、回転して感光体110と圧接され、感光体110に残留したトナー像を乱すことでトナー粒子とキャリアとを攪拌させる。
【0030】
これにより、感光体110に圧接されたクリーニングブレード104において残留したトナーを感光体110から掻き取るクリーニング力を向上させることが可能である。
【0031】
本例においては、一例として感光体110の表面移動方向下流側において、クリーニングブレード104を感光体110に対してカウンタ当接した構成としており、クリーニングブレード104の先端部(エッジ)により感光体110の表面に残留したトナーをクリーニング液とともに掻き取る構成としている。
【0032】
そして、除去された感光体110に残留したトナーと混合されたクリーニング液は、クリーニング液回収部410で回収される。
【0033】
クリーニング液回収部410における構成については後述する。
また、二次転写後の中間転写体103に残留したトナーについても、感光体110と同様にクリーニング装置によりクリーニングされる。クリーニング装置は、クリーニング液給液部435と、クリーニング部材であるクリーニングブレード202と、クリーニングローラ201とを含む。
【0034】
具体的には、クリーニング液給液部435から供給されるクリーニング液は、中間転写体103上の残留したトナーと混合され、トナーがクリーニング液中に再分散される。そして、クリーニングローラ201は、回転して中間転写体103と圧接され、中間転写体103に残留したトナー像を乱すことでトナー粒子とキャリアとを撹拌させる。これにより、中間転写体103に圧接されたクリーニングブレード202において残留したトナーを中間転写体103から掻き取るクリーニング力を向上させることが可能である。
【0035】
本例においては、一例として、中間転写体103の表面移動方向下流側において、クリーニングブレード202を中間転写体103に対してカウンタ当接した構成としており、クリーニングブレード202の先端部(エッジ)により中間転写体103の表面に残留したトナーをクリーニング液とともに掻き取る構成としている。
【0036】
そして、除去された中間転写体103に残留したトナーと混合されたクリーニング液は、クリーニング液回収部430で回収される。
【0037】
なお、クリーニング液回収部430における構成については後述する。
液体現像剤(現像液)は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーを分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0038】
キャリア液としては、一般に電子写真用現像液に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、中でも不揮発性の液体が好ましい。不揮発性の液体としては、たとえば、シリコンオイル、ミネラルオイル、パラフィンオイル、鉱物油等を挙げることができる。
【0039】
トナーとしては、一般に電子写真用現像液に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0040】
現像液の調製方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調製することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ロールミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナーをキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、現像液を得ることができる。
【0041】
クリーニング液は、キャリア液と同等のオイルを用いることができる。たとえば、シリコンオイル、ミネラルオイル、アイソパー、モレスコホワイト等の流動パラフィン等を挙げることができる。なお、感光体110に対するクリーニング液の給液は、例えば、クリーニングローラ108に直接付与することも可能であるし、クリーニングローラ108よりも上流部の感光体110に直接付与することも可能である。なお、中間転写体103に対するクリーニング液の給液についても同様である。
【0042】
また、クリーニングローラ108よりも上流部において液溜まり部材を設けることも可能である。液溜まり部材を設けて、クリーニング液の液溜まりができることにより、クリーニング液の液量を少量にしつつ均一な散布が可能となる。
【0043】
図2は、本発明の実施の形態に従うクリーニング液給液部400の構成を説明する図である。
【0044】
図2を参照して、クリーニング液給液部400は、クリーニング液貯蔵槽408と、クリーニング液中に気泡を混入させる気泡生成装置402と、気泡生成装置に空気を送出すポンプ404と、気泡生成装置402にクリーニング液貯蔵槽408に貯蔵されたクリーニング液を供給するポンプ406とを含む。
【0045】
気泡生成装置402は、ポンプ404および406により空気およびクリーニング液がそれぞれ供給されることにより、空気の気泡をクリーニング液中に混入する。そして、気泡生成装置402は、気泡を混入したクリーニング液を給液する。
【0046】
本実施の形態においては、クリーニング液に気泡を混入させるためにスタティックミキサ(静止型混合器)あるいはバブリング装置等を用いることとする。
【0047】
スタティックミキサを用いると、攪拌なしに均一な気泡を液中に混入することが可能である。
【0048】
なお、ここでは、クリーニング液給液部400の構成について説明したが、クリーニング液給液部435についても同様の構成でありその詳細な説明は省略する。
【0049】
そして、当該気泡が混入されたクリーニング液がクリーニング液給液部400,435から感光体110および中間転写体103に残留したトナーを除去するために供給される。
【0050】
気泡が混入されたクリーニング液は、上述したように例えば感光体110上に付着したトナーと混合され、トナーがクリーニング液中に再分散されることになるが、その際、トナー粒子に強い撹拌力を与えることになる。したがって、本実施の形態に従う気泡が混入されているクリーニング液は、気泡が混入されていないクリーニング液よりも再分散効果が大きいため感光体110上に付着したトナー粒子の剥離が容易となる。
【0051】
したがって、感光体110に圧接されたクリーニングブレード202において残留したトナーを感光体120から掻き取るクリーニング力をさらに向上させることが可能である。
【0052】
また、気泡界面にトナー粒子を捕捉するため、トナー粒子をより多くクリーニング液中に捕捉することが可能となり、クリーニング液の長寿命化が可能となる。
【0053】
また、クリーニング液のクリーニング力の向上により、例えば、クリーニング部材であるクリーニングブレードを感光体110に圧接する圧接力を強くする必要がなく、クリーニング部材の長寿命化を図ることが可能である。
【0054】
また、クリーニング液に気泡を混入することにより、クリーニング液の体積に対して実質の液体量を少量にすることができる。したがって、従来よりも少ないクリーニング液量で広範囲に均一にクリーニング液を散布することが可能であり、クリーニング液を回収する回収機構を小型化することが可能となる。
【0055】
クリーニング液中に混入させる気泡の混入量については特に制限はないが、体積濃度で示すと10〜70vol%程度混入させるのが望ましい。本例においては、ポンプ404,406を介してクリーニング液と空気とが単位時間当たりにそれぞれ供給される全体の体積中に含まれる空気の体積の割合として計算している。
【0056】
より好ましくは20〜50vol%程度とすることが好ましい。これは、気泡が多いほどトナー粒子との接触確率が増加することにより強い撹拌力を得ることが可能であり、さらに、気泡が多いほど実質のクリーニング液の液体量を少量にすることが可能となるが、気泡があまりに多すぎる場合には、気泡が不安定となり、気泡同士が合一し、粗大な気泡が生成されて逆に撹拌力が低下するためである。一方、逆にあまりにも気泡が少なすぎる場合には、気泡界面が少なくなるためトナー粒子の再分散効果が小さくなるからである。
【0057】
また、クリーニング液中に混入させる気泡の直径としては特に制限はないが、1〜1000μm程度とするのが望ましい。
【0058】
より好ましくは、5〜100μm程度がより好ましい。これは、気泡の直径が小さいほど気泡界面の面積が大きくなるため、これに伴い気泡の寿命が長くなるが、気泡の直径がトナー粒子よりも小さくなるとトナー粒子に気泡が付着するだけで再分散効果が小さくなるからである。一方、逆にあまりにも気泡の直径が大きくなるとクリーニング液の供給が不均一となる場合が生じるからである。
【0059】
図3は、本発明の実施の形態に従うクリーニング液回収部410を説明する概略ブロック図である。
【0060】
図3を参照して、クリーニング液回収部410は、クリーニング回収液貯蔵槽414と超音波振動子416と、貯蔵槽418とを含む。
【0061】
クリーニングブレード104を用いて感光体110に残留したトナーとともに掻き取られたクリーニング液は、クリーニング回収液貯蔵層414に排出される。
【0062】
クリーニング回収液貯蔵層414内には、超音波振動子416が設けられ、超音波振動子416により発生される超音波により回収されたクリーニング液(クリーニング回収液とも称する)は攪拌されて、クリーニング回収液中に混入されている気泡が脱泡されることになる。
【0063】
そして、脱泡後、脱泡されたクリーニング回収液は、貯蔵槽418に排出される。そして貯蔵槽418に排出された回収液は、トナー分離部420に排出される。
【0064】
トナー分離部420は、クリーニング回収液に含まれるトナーとクリーニング液の一部を分離し、分離されたクリーニング液をクリーニング液給液部400に供給する。一方、クリーニング液が分離されてトナー濃度が高くなった回収液については現像槽への補給用に再利用される。なお、このようにクリーニング回収液を再利用する場合にはクリーニング液としてはキャリア液と同じものを使用することが望ましい。
【0065】
なお、ここでは、感光体110に対して設けられたクリーニング液回収部410およびトナー分離部420について説明したが、中間転写体103に対して設けられたクリーニング液回収部430およびトナー分離部425についても同様の構成でありその詳細な説明は省略する。なお、図1においては、トナー分離部425から分離されたクリーニング液はクリーニング液給液部435に供給される場合が示されているが、トナー分離部425から分離されたトナーについても、現像層105に供給する構成とすることも当然に可能である。また、本例においては、感光体110および中間転写体103にそれぞれ対応してクリーニング液回収部およびトナー分離部を設けた構成について説明しているが、これらを共通にすることも当然に可能である。
【0066】
なお、本例においては、超音波振動子を用いて、超音波により回収されたクリーニング回収液中に混入されている気泡を脱泡する構成について説明しているが、脱泡が可能な方式であれば特にこの構成に限られない。例えば撹拌することにより、脱泡する撹拌装置を用いることも可能であるし、あるいは脱泡可能なフィルタ装置を用いることも可能である。
【0067】
上記の実施の形態に基づき本発明を実施した例を以下に説明する。
(実施例1)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0068】
感光体110は、幅方向(長手方向)が300mmのドラムを用い、回転周速を400mm/secに設定した。帯電装置116はスコロトロンチャージャーを用い、感光体110の表面電位が+500Vになるようにした。露光装置118は半導体レーザで画像部分を露光した時に感光体110の表面電位が+20Vとなるように設定した。現像前チャージャ117は、スコロトロンチャージャーを用い、現像ローラ106を+250Vになるようにした。
【0069】
クリーニングローラ108,201は、発泡体ローラであるスポンジローラを用いた。また、感光体110および中間転写体103に対して圧接して設けられたスポンジローラの食い込み量を2mmとした。
【0070】
気泡生成装置としては、スタティックミキサー((株)ノリタケ社製T3−21 2PT)を用いた。
【0071】
また、クリーニング液の給液に関して、クリーニング液に混入する気泡の混入量について、体積濃度を50vol%とした。具体的には、単位時間当たりのポンプ404の空気の送り量として、2ml/minとした。また、単位時間当たりのポンプ406のクリーニング原液の送り量として、2ml/minとした。
【0072】
この条件で、500枚印字後の記録用紙の画質を確認した。中間転写体103の残留したトナーによる縦筋などの画像ノイズであるいわゆる背景かぶりがなければ良好なクリーニング性であると判断した。
【0073】
その評価結果は背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。また、中間転写体103の表面全体に対するクリーニング液の供給は充分であり、均一な散布を確認した。すなわち散布均一性は良好であった。
【0074】
(実施例2)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0075】
実施例1の設定条件と比較して、クリーニング液および空気の供給量を減少させて同様の測定を行った。具体的には、ポンプ404,406の空気の送り量およびクリーニング原液の送り量として、0.5ml/min、1.5ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を25vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。したがって、実施例2のクリーニング液の供給量は、実施例1のクリーニング液の供給量よりも減少するとともに、気泡の混入量として体積濃度についても実施例1の体積濃度よりも減少しているが、背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。また、散布均一性も良好であった。
【0076】
(実施例3)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0077】
実施例2の設定条件と比較して、クリーニング液の供給量を減少させて、空気の供給量を少し増加させて同様の測定を行った。具体的には、ポンプ404,406の空気の送り量およびクリーニング原液の送り量として、0.8ml/min、1.2ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を40vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。したがって、実施例3のクリーニング液の供給量は、実施例2のクリーニング液の供給量よりも減少するが、気泡の混入量として体積濃度については、実施例2の体積濃度よりも増加している。その結果、背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。また、散布均一性も良好であった。
【0078】
(実施例4)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0079】
実施例2の設定条件と比較して、クリーニング液の供給量を減少させて、空気の供給量を少し増加させて同様の測定を行った。具体的には、ポンプ404,406の空気の送り量およびクリーニング原液の送り量として、1ml/min、1ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を50vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。したがって、実施例4のクリーニング液の供給量は、実施例3のクリーニング液の供給量よりも減少するが、気泡の混入量として体積濃度については、実施例3の体積濃度よりも増加している。その結果、背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。また、散布均一性も良好であった。
【0080】
(実施例5)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0081】
実施例4の設定条件と比較して、クリーニング液の供給量は同じ供給量として、空気の供給量をさらに減少させて同様の測定を行った。具体的には、ポンプ404,406の空気の送り量およびクリーニング原液の送り量として、0.5ml/min、1.0ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を33vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。したがって、実施例5のクリーニング液の供給量は、実施例4のクリーニング液の供給量よりも減少するとともに、気泡の混入量として体積濃度についても実施例4の体積濃度よりも減少しているが、背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。また、散布均一性も良好であった。
【0082】
(実施例6)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0083】
実施例4の設定条件と比較して、空気の供給量は同じ供給量として、クリーニング液の供給量をさらに減少させて同様の測定を行なった。具体的には、ポンプ404の空気の送り量を1ml/minに設定した。また、ポンプ406のクリーニング原液の送り量を0.5ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を約67vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。したがって、実施例6のクリーニング液の供給量は、実施例5のクリーニング液の供給量よりも減少するが、気泡の混入量として体積濃度については、実施例5の体積濃度よりも増加している。その結果、背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。また、散布均一性も良好であった。
【0084】
(比較例1)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0085】
実施例1の設定条件と比較して、気泡をクリーニング液に混入せずに、クリーニング原液のみを供給して同様の測定を行った。具体的には、ポンプ404の空気の送り量を0ml/minに設定した。一方、クリーニング原液の送り量として、2ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を0vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。その結果、中間転写体103の表面全体に対するクリーニング液の供給量としては充分であり、散布均一性は良好であったが、背景かぶりが生じた。
【0086】
(比較例2)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0087】
実施例1の設定条件と比較して、気泡をクリーニング液に混入せずに、クリーニング原液のみを供給して同様の測定を行った。そして、比較例1の設定条件と比較して、クリーニング液の供給量を減少させて同様の測定を行った。具体的には、ポンプ404の空気の送り量を0ml/minに設定した。また、クリーニング原液の送り量として、1ml/minに設定した。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を0vol%に設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。その結果、背景かぶりが生じた。また、クリーニング液の供給量が少なくなったため液が不足し、均一な散布もできなかった。すなわち、散布均一性は不良であった。
【0088】
下記の表は、上記の実施例1〜6および比較例1,2の設定条件および評価結果をまとめた表である。
【0089】
【表1】

【0090】
したがって、この実施例1〜6および比較例1,2を比較した場合、本実施の形態に従う方式の如く、気泡を混入させたクリーニング液を用いることにより、クリーニング液の液量が同一であればより高いクリーニング性を示すことを確認した。また、クリーニング液の液量を少なくした場合であっても気泡を混入させたクリーニング液を用いることにより、均一な散布が可能であり、良好なクリーニング特性を得ることができた。したがってクリーニング液の液量の低減が可能であり、回収機構を小型化することが可能であり、回収液からトナー粒子とキャリア液とを分離する処理も容易となる。
【0091】
(実施例7)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0092】
上記の実施例および比較例においてはクリーニングローラ108,201であるスポンジローラの食い込み量を2mmに設定してクリーニング性の測定を行なったが、次に、クリーニングローラの食い込み量を1mmとして同様の測定を行なった。その他の設定条件については、気泡生成装置としてバブリング装置を用いた以外は実施例1と同様の条件で測定を行なった。
【0093】
その評価結果は、背景かぶりはなく、良好なクリーニング性を確認した。
(比較例3)
図1に示す構成を備えた湿式画像形成装置を使用した。
【0094】
実施例4の設定条件と比較して、気泡をクリーニング液に混入せずに、クリーニング原液のみを供給して同様の測定を行った。したがって、クリーニング液に混入する気泡の混入量として、体積濃度を0vol%に設定した。
【0095】
また、クリーニングローラの食い込み量を1mmに設定した。その他の設定条件については実施例1と同様の条件で測定を行なった。
【0096】
その結果は、背景かぶりが生じた。
下記の表は、上記の実施例7および比較例3のクリーニングローラの食い込み量および評価結果をまとめた表である。
【0097】
【表2】

【0098】
したがって、この実施例7および比較例3を比較した場合、本実施の形態に従う方式の如く、気泡を混入させたクリーニング液を用いることにより、クリーニング液の液量が同一であればより高いクリーニング性を示すことを確認した。また、本実施の形態に従う方式の如く、気泡を混入させたクリーニング液を供給することにより、クリーニングローラの食い込み量として同じ圧接力であれば、より高いクリーニング性を得ることができることを確認した。つまり、気泡を混入させたクリーニング液を供給することにより、クリーニングローラを感光体あるいは中間転写体に圧接する際の圧接力としては、低圧接力でのクリーニングが可能であり、クリーニング部材の低トルク化が可能となる。したがって、クリーニング部材の長寿命化を図ることが可能である。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の一例を説明する概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に従うクリーニング液給液部400の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従うクリーニング液回収部410を説明する概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0101】
102 二次転写ローラ、103 中間転写体、104,112,202 クリーニングブレード、105 現像層、106 現像ローラ、107 現像装置、108,201 クリーニングローラ、110 感光体、116 帯電装置、117 現像前チャージャ、118 露光装置、400,435 クリーニング液給液部、410,430 クリーニング液回収部、420,425 トナー分離部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いて像担持体上にトナー像を形成し、前記像担持体上のトナー像を被転写体に転写する湿式画像形成装置であって、
前記被転写体へのトナー像の転写後に前記像担持体に残留したトナーをクリーニングするためのクリーニング装置を備え、
前記クリーニング装置は、
クリーニング液を供給する給液部と、
前記像担持体に圧接され、前記クリーニング液と混合された前記像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング部材とを含み、
前記給液部は、供給する前記クリーニング液中に気泡を混入させる気泡発生装置を有する、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング装置は、回転により前記像担持体と圧接されて、前記像担持体に残留したトナーと前記クリーニング液とを撹拌するためのクリーニングローラをさらに含む、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング部材により除去された、残留したトナーと混合されたクリーニング液を回収するクリーニング液回収部をさらに備え、
前記クリーニング液回収部は、回収した回収液中に含まれている気泡を脱泡する脱泡装置を有する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記脱泡装置により前記回収液中に含まれている気泡を脱泡した後、前記トナーを前記クリーニング液と分離するためのトナー分離装置をさらに備える、請求項3記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー分離装置は、分離した前記クリーニング液を前記給液部に供給する、請求項4記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記気泡発生装置は、供給された空気と前記クリーニング液とを混合して、前記クリーニング液中に気泡を混入させる静止型混合器に相当する、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項7】
前記脱泡装置は、超音波を発生させて回収液に含まれている気泡を脱泡させる超音波振動子に相当する、請求項3記載の湿式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−145761(P2009−145761A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324889(P2007−324889)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】