湿式画像形成装置
【課題】トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節してオフセットと定着性との両立を図ることが可能な湿式画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録用紙10へのキャリア液の浸透量を測定する浸透量測定部1が設けられる。浸透量測定部1の出力信号は、制御装置8に取り込まれ、仮定着部4の熱源(ヒータ)に供給する電圧の算出に使用される。紙温度測定部2の信号は、制御装置8に取り込まれ、目標とする温度に到達しているかどうかが判断される。制御装置8は、浸透量測定部1からの情報に基づきトナー層中のキャリア液量を推定する。そして、当該キャリア液量の推定結果に基づいて、トナー層中のキャリア液量が適切な範囲内となるように仮定着部4を制御する。
【解決手段】記録用紙10へのキャリア液の浸透量を測定する浸透量測定部1が設けられる。浸透量測定部1の出力信号は、制御装置8に取り込まれ、仮定着部4の熱源(ヒータ)に供給する電圧の算出に使用される。紙温度測定部2の信号は、制御装置8に取り込まれ、目標とする温度に到達しているかどうかが判断される。制御装置8は、浸透量測定部1からの情報に基づきトナー層中のキャリア液量を推定する。そして、当該キャリア液量の推定結果に基づいて、トナー層中のキャリア液量が適切な範囲内となるように仮定着部4を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。当該液体現像剤は、パラフィン系溶媒等をキャリア液にトナーを分散させたものが用いられており、現像や転写工程においては、キャリア液とトナーとで構成されるトナー層中において電界による泳動でトナーを移動させ記録用紙に画像を転写させている。
【0006】
このように、キャリア液はトナーの移動に重要な役目を果たしているが、定着においては、トナー単体の時よりも溶融性が悪くなるため定着温度を高い温度に設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、定着温度を高くした場合にトナー層中のキャリア液量が少ないと定着ローラと接触するトナーがローラ表面に付着するオフセットという現象が生じ易いことが知られている。逆に、トナー層中のキャリア液量が多すぎるとトナーが十分に溶融できずに定着不良が発生するため、オフセットの発生の抑制と定着性とを両立させるためには、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節することが重要である。
【0008】
この点で、特開平9−244517号公報においては、本定着の前に仮定着部を設け、紙種によって、仮定着部の設定温度等を調節して定着性の維持を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−244517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記公報は、単に紙種に応じて設定温度等を調節するものであるが、記録用紙への転写後にトナー層から記録用紙へキャリア液が浸透するため、定着に至るまでにトナー層中のキャリア液量は大きく変化する。したがって、定着前にトナー層中のキャリア液量を把握しなければキャリア液量を適切な範囲に制御することは難しい。
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節してオフセットと定着性との両立を図ることが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、液体現像剤により現像された記録媒体について、熱定着する定着手段と、定着手段の前に前記記録媒体に含まれるキャリア液の浸透量を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づいて前記記録媒体のトナー層に含まれるキャリア液量を推定し、前記記録媒体のトナー層のキャリア液量を調節する調節手段とを備える。
【0013】
好ましくは、調節手段は、定着手段よりも前および後の少なくとも一方において前記記録媒体を加熱する加熱手段と、測定手段の測定結果に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する加熱制御手段とを含む。
【0014】
特に、加熱手段は、非接触で温風あるいは輻射熱により前記記録媒体を加熱する。
特に、加熱制御手段は、前記測定手段の測定結果および前記記録媒体の紙種に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する。
【0015】
好ましくは、測定手段は、前記トナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体のキャリア液の浸透量を測定する。
【0016】
特に、液体現像剤により現像して前記記録媒体にトナー層を形成する作像手段をさらに備え、作像手段は、テストパターンのトナー層を形成し、測定手段は、前記作像手段により前記テストパターンのトナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体の浸透量を測定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、定着手段の前に前記記録媒体に含まれるキャリア液の浸透量を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づいて前記記録媒体のトナー層に含まれるキャリア液量を推定し、前記記録媒体のトナー層のキャリア液量を調節する調節手段とを設けることにより、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節してオフセットと定着性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の構成について説明する概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う定着装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う仮定着部4の構成を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う別の仮定着部4の構成を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に従うさらに別の仮定着部4の構成を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1の構成を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う記録用紙のキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う別の浸透量測定部1の構成を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う制御装置8の構成を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う紙温度とトナー層のキャリア液量との関係を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う紙温度変化ΔTと電圧指令値との関係を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。
【図13】本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源をフィードバック制御するフロー図である。
【図14】本発明の実施の形態に従う乾燥装置9の構成を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態に従う乾燥後の浸透量とヒータ電源25に供給する電圧との関係を説明する図である。
【図16】本発明の実施の形態に従う乾燥装置9のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の構成について説明する概略図である。
【0021】
図1を参照して、湿式画像形成装置は、ユーザからの操作を受け付ける操作部50と、操作部50からの指示に従って湿式画像形成装置全体を制御するメイン制御部52と、メイン制御部52からの指示に従って画像を形成する画像形成部とを含む。
【0022】
画像形成部は、現像装置44と、感光体41と、中間転写体45と、転写ローラ47と、露光装置43と、帯電装置42と、クリーニング装置46,48とを含む。そして、画像形成後の記録用紙10は定着装置に搬送される。
【0023】
感光体41および中間転写体45は、像担持体として機能する。
この感光体41を中心に、周囲に配設される感光体41の表面を均一に帯電させる帯電装置42と、帯電した感光体41上にLED光またはレーザビームを照射して、静電潜像を形成する露光装置43とが設けられ、そして、その静電潜像を液体現像剤を用いて現像する現像装置44と、現像されたトナー像を転写する中間転写体45とがさらに設けられる。
【0024】
中間転写体45に転写されたトナー像は、転写ローラ47との間の転写位置に移動し、記録用紙10に転写される。具体的には、中間転写体45の周速と同速度で搬送される記録用紙10に帯電を施し、あるいは電圧を印加することで、中間転写体45上の現像されたトナー像が記録用紙10に転写される。なお、本例においては、中間転写体45を用いて、一旦中間転写体45に転写したトナー像を記録用紙に転写する方式について示しているが、感光体41から直接、記録用紙に転写する方式を採用するようにしても良い。なお、感光体41上の残留したトナー像は、クリーニング装置48により除去される。また、中間転写体45上の残留したトナー像は、クリーニング装置46により除去される。
【0025】
なお、図1においては、現像装置44が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置される構成としても良い。また、カラー現像の方式、中間転写の有無等は任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることが可能である。
【0026】
転写ローラ47でトナー像が転写された記録用紙10は、搬送方向の下流側の定着装置に搬送され、加熱定着の上、排出される。定着側の構成については後述する。
【0027】
次に、現像に用いる液体現像剤について説明する。液体現像剤は、溶媒であるキャリア液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また、液体現像剤には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0028】
液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーを分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0029】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0030】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0031】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0032】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0033】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0034】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0035】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0036】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0037】
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態に従う定着装置の構成を説明する図である。
図2を参照して、定着装置は、仮定着部4と、本定着部5と、乾燥装置9と、浸透量測定部1と、機内温度測定部3と、紙温度測定部2と、定着装置全体を制御する制御装置8とを含む。
【0039】
ここで、本定着部5の上流に仮定着部4が設けられ、本定着部5に先立ち記録用紙10上のトナーを仮定着する構成をとる。
【0040】
仮定着部4の上流側の入口近傍において、記録用紙10へのキャリア液の浸透量を測定する浸透量測定部1が設けられる。浸透量測定部1の出力信号は、制御装置8に取り込まれ、仮定着部4の熱源(ヒータ)に供給する電圧の算出に使用される。
【0041】
仮定着部4の出口近傍には、記録用紙10の温度を測定するための紙温度測定部2を設ける。記録用紙10に与えられた熱エネルギーを把握する上で重要なセンシングであり、仮定着部4の通過後の記録用紙を直ちに測定できる位置に設ける。また、記録用紙10の熱容量は、小さいので、非測定物の温度に影響を与えないように非接触型のセンサであることが望ましい。一例として、サーモパイル素子を用いた非接触型の温度センサを用いることとする。
【0042】
紙温度測定部2の信号は、制御装置8に取り込まれ、目標とする温度に到達しているかどうかが判断される。
【0043】
なお、上記のように、仮定着部4の出口近傍で、記録用紙10の温度を測定してもよいが、仮定着部がローラ形態であって、紙と接触する手段の場合はローラと記録用紙とが分離した直後のローラ表面温度を測定するようにしてもよい。この場合は、非接触型のセンサーで測定してもよいし、接触型のセンサーで測定してもよい。
【0044】
制御装置8は、浸透量測定部1からの情報に基づきトナー層中のキャリア液量を推定する。
【0045】
そして、当該キャリア液量の推定結果に基づいて、トナー層中のキャリア液量が適切な範囲内となるように仮定着部4を制御する。具体的には、キャリア液を揮発させてトナー層中のキャリア液量が適切な範囲となるように調節するために、仮定着後の記録用紙の温度が目的の温度となるように加熱条件を決める。本例においては、一例としてヒータを駆動するヒータ電源に対して、制御装置8からヒータを駆動する際の電圧指令値が与えられる。
【0046】
なお、加熱条件を決めるためには、仮定着部4で加熱する前の記録用紙の温度を把握することも必要であり、このために仮定着部4に入る前の記録用紙10の温度を把握するために機内温度測定部3が設けられている。
【0047】
機内温度測定部3は、温度センサと、温度センサアンプとで構成され、具体的には、仮定着部4通過前の紙温度を把握するために温度センサは、機内の仮定着部4の上流の紙搬送部付近に設けることとした。また、温度センサは普通のサーミスタ等を使用することが可能である。温度センサの出力は専用の温度センサアンプでリニアライズ処理及び増幅され、温度の信号として制御装置8に取り込まれ、加熱条件の決定に利用される。
【0048】
また、本定着部5の下流には、記録用紙10へ浸透したキャリア液を乾燥する乾燥装置9が設けられている。制御装置8は、記録用紙に浸透したキャリア液量に基づき乾燥装置9への熱源に供給(赤外線ヒータ)に供給する電圧を設定する。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態に従う仮定着部4の構成を説明する図である。
図3を参照して、ここでは、ローラ形態の仮定着部が示されている。
【0050】
具体的には、トナーが付着している側の記録用紙10に接触する加熱ローラ11の内部にはヒータ12が設けられており、記録用紙10の裏面から加圧ローラ13が圧接することで効率的に熱を伝達させている。ヒータ12にはヒータ電源14が接続されており、ヒータ電源14は、制御装置8と接続されており、制御装置8からの電圧指令値に従ってヒータ12に供給する電圧が制御される。なお、本例においては、制御装置8からヒータ電源14に対して電圧指令値が与えられる方式について説明するが、特に当該方式に限られず電力値であっても良いし、あるいは電流値であっても良いし、ヒータ12の加熱条件(状態)を切り換えるための切り替え信号でもよい。
【0051】
また、紙温度センサ201と温度センサアンプ202とで紙温度測定部2を構成しており、加熱ローラ11と加圧ローラ13とのローラニップ出口近傍の紙温度が測定できるように設置されている。紙温度センサ201の出力は、温度センサアンプ202でリニアライズ処理及び増幅され、温度の信号として制御装置8に入力される。
【0052】
なお、仮定着部4は、記録用紙10が本定着部5に入る前にトナー層中のキャリア液量を揮発あるいは除去させることで、適切なキャリア液量に調節するためのものであり、特に当該目的を達成するためであれば、記録用紙に接触して加熱するローラ形態に限られず、他の形態を採用することも可能である。例えば、非接触で記録用紙を加熱させるようにしても良い。
【0053】
図4は、本発明の実施の形態に従う別の仮定着部4の構成を説明する図である。
図4を参照して、ここでは、温風を吹き付ける形態の仮定着部が示されている。
【0054】
具体的には、温風の熱源として、ヒータ16を備えており、ヒータ16には、ヒータ電源14が接続されている。ヒータ電源14は、制御装置8と接続されており、制御装置8からの電圧指令値に従ってヒータ16に供給する電圧が制御される。
【0055】
また、紙温度センサ201と温度センサアンプ202とで紙温度測定部2を構成しており、温風を吹き付ける有効区間を紙が通過し、その有効区間の出口近傍において紙温度が測定できるように紙温度センサ201が設けられている。
【0056】
図5は、本発明の実施の形態に従うさらに別の仮定着部4の構成を説明する図である。
図5を参照して、ここでは、輻射熱を利用する形態の仮定着部が示されている。
【0057】
具体的には、熱源として、赤外線ヒータ17を備えており、赤外線ヒータ17には、ヒータ電源14が接続されている。ヒータ電源14は、制御装置8と接続されており、制御装置8からの電圧指令値に従って赤外線ヒータ17に供給する電圧が制御される。
【0058】
また、紙温度センサ201と温度センサアンプ202とで紙温度測定部2を構成しており、赤外線を照射する有効長があって、その区間を紙が通過し、その有効区間の出口近傍において紙温度が測定できるように紙温度センサ201が設けられている。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1の構成を説明する図である。
図6を参照して、浸透量測定部1は、光源20と、受光素子21と、アンプ22と、光源駆動電源23とを含む。
【0060】
本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1は、記録用紙にキャリア液が浸透した場合に、不透明度が変化することを利用して記録用紙へのキャリア液の浸透量を測定する。
【0061】
本例においては、記録用紙10の裏面に光源20と、反射光を検知する受光素子21とを配置した。
【0062】
記録用紙10へのキャリア液の浸透量が多いと光源20から出た光は記録用紙を透過するため、受光素子21において受光する反射光量が減る。本例においては、キャリア液が浸透していない記録用紙10の反射光をリファレンスとして、それぞれの反射光を電圧信号に変換してその差分ΔE(V)を浸透量の信号として利用した。
【0063】
予め実験により差分ΔEと浸透量の関係とを把握しておき、これをテーブル化して制御装置8の図示しない記憶部に予め格納しておくこととする。
【0064】
図7は、本発明の実施の形態に従う記録用紙のキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係を説明する図である。
【0065】
図7に示されるように差分ΔEを検出することにより記録用紙のキャリア液の浸透量を測定することが可能である。
【0066】
ここで、本例においては、記録用紙の種類として普通紙、厚さも中である場合のキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係が示されている。
【0067】
なお、キャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係は、記録用紙に転写したトナー量によっても影響を受けるので、トナー量を一定とするために付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を作成して、当該テストパッチを作成した記録用紙に基づいてキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係を測定した。なお、以下においても同様にテストパッチを作成した記録用紙を用いた処理について説明する。具体的には、テストパッチとして、トナー付着量は、3g/m2となるように設定した。また、搬送方向に対して10cm、搬送方向に対して垂直な方向が5cmのベタ画像となるように作成した。なお、普通紙として、本例においては、OKトップコート(王子製紙製)米坪127.9g/m2を用いた。
【0068】
ここで示されるように、キャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係は線形関係である場合が示されている。一例として、当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶部に予め格納する。
【0069】
また、記録用紙の種類や厚さによっても影響を受けるので、紙種毎のテーブルを設けるようにすることも可能である。具体的には、紙種毎のそれぞれの測定結果に基づく近似した一次関数を記憶部に予め記憶しておくことも可能であるし、あるいは、紙種毎に図7に示される当該一次関数の傾きを変化させる係数テーブルを持たせておいて、図7に示される記憶部に格納された一次関数と、係数テーブルに従う係数とに従って紙種に応じた一次関数を算出するようにしても良い。
【0070】
図8は、本発明の実施の形態に従う別の浸透量測定部1の構成を説明する図である。
図8を参照して、浸透量測定部1は、光源20と、受光素子21と、アンプ22と、光源駆動電源23とを含む。
【0071】
本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1は、記録用紙にキャリア液が浸透した場合に、不透明度が変化することを利用して記録用紙へのキャリア液の浸透量を測定する。
【0072】
本例においては、記録用紙10の表面に光源20を配置し、裏面に反射光を検知する受光素子21を配置した。
【0073】
記録用紙10へのキャリア液の浸透量が多いと光源20から出た光は記録用紙を透過して、受光素子21での透過光の受光量が増加する。それで、キャリア液が浸透していない記録用紙10の透過光をリファレンスとして、それぞれの透過光を電圧信号に変換してその差分ΔE(V)を浸透量の信号として利用することも可能である。
【0074】
なお、キャリア液の浸透量を測定するには、これ以外にも超音波を照射した時の減衰量を捉えることで浸透量を解析したり、あるいは、キャリア液の分光吸収特性を利用することで浸透量を測定する方式を採用することも可能である。
【0075】
図9は、本発明の実施の形態に従う制御装置8の構成を説明する図である。
図9を参照して、本発明の実施の形態に従う制御装置8は、演算装置27と、AD変換器28と、記憶装置29と、PWM発生回路30と、デジタルの入出力を行うPIO31とを含む。
【0076】
演算装置27は、PIO31と接続され、図1で説明した操作部50からユーザの操作に従う紙種の情報の入力を受ける。紙種の情報としては、記録用紙の種類および記録用紙の厚さ等の情報を含む。
【0077】
AD変換器28は、浸透量センサアンプ102や仮定着部4下流の温度センサアンプ202、仮定着部4上流の機内温度測定部3の温度センサアンプに接続されており、これらの信号をデジタル変換して演算装置27に渡す。
【0078】
記録用紙へのキャリア液の浸透量は、演算装置27がデジタル変換された浸透量センサアンプからの信号を得て、差分ΔEを求めるとともに、記憶装置29に格納されている図7に示される一次関数に基づいて浸透量を取得する。なお、紙種毎の係数テーブルを参照して、紙種に応じた浸透量を取得するようにしても良い。そして浸透量からトナー層中に残存するキャリア液量を推測する。
【0079】
仮定着部4における最適な紙温度設定は、紙種の情報とトナー層中に残存するキャリア液量とに基づき予めテーブル化されて記憶装置29に格納しておいた紙温度テーブルを用いて、最適な紙温度を決定する。
【0080】
図10は、本発明の実施の形態に従う紙温度とトナー層のキャリア液量との関係を説明する図である。
【0081】
図10に示されるようにトナー層中のキャリア液量に応じて、目的とするキャリア液量とする際の紙温度は異なる。ここで、本例においては、記録用紙の種類として普通紙、厚さも中である場合のトナー層中のキャリア液量と紙温度との関係が示されている。
【0082】
なお、トナー層中のキャリア液量と紙温度との関係は、テストパッチ(ベタ画像)を作成して、ベタ画像をナイフエッジ等で削ぎ取り、紙温度を変化させた場合の乾燥前後の重量変化から測定することにより得られる。
【0083】
当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶装置29に予め格納し、推定したトナー層中のキャリア液量から目的とするキャリア液量とするための最適な紙温度を決定することが可能である。
【0084】
また、記録用紙の種類や厚さによっても影響を受けるので、紙種毎のテーブルを設けるようにすることも可能である。具体的には、紙種毎のそれぞれの測定結果に基づく近似した一次関数を記憶部に予め記憶しておくことも可能であるし、あるいは、紙種毎に図10に示される一次関数の傾きを変化させる係数テーブルを持たせておいて、図10に示される記憶部に格納された一次関数と、係数テーブルに従う係数とに従って紙種に応じた一次関数を算出するようにしても良い。
【0085】
演算装置27は、紙温度を決定した後、ヒータ電源に出力する電圧指令値を演算する。具体的には、演算装置27は、紙種の情報と仮定着部4の通過前の紙温度と決定した紙温度とに基づいて、電圧指令値をPWM発生回路30に対して出力する。PWM発生回路30は、電圧指令値に従うPWM信号を出力し、当該PWM信号を受けてヒータ電源14はPWM制御される。
【0086】
図11は、本発明の実施の形態に従う紙温度変化ΔTと電圧指令値との関係を説明する図である。
【0087】
図11を参照して、ここでは、縦軸として、紙温度変化ΔT(決定した紙温度−仮定着部4の通過前の紙温度)、横軸として電圧指令値とした場合の関係が示されている。また、紙種毎の関係も示されている。なお、当該関係は、テストパッチ(ベタ画像)を作成して、紙種に応じて、電圧値を変化させることにより紙温度の変化を測定することにより得られる。
【0088】
紙温度変化ΔTは、演算装置27により決定された紙温度から機内温度測定部3により測定された紙温度とに基づいて算出することが可能である。具体的には、演算装置27により決定された紙温度から仮定着部4の通過前の紙温度である機内温度測定部3により測定された紙温度を減算することにより算出することが可能である。
【0089】
そして、紙種に応じて熱容量が異なるため当該紙種に応じて当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶装置29に予め格納し、紙温度変化ΔTに従って電圧指令値を設定する。
【0090】
当該設定された電圧指令値に従って、PWM発生回路30からPWM信号が出力されて、ヒータ電源14が駆動される。
【0091】
なお、連続して印刷する場合には、仮定着部4の通過後の記録用紙の紙温度を常時監視して、AD変換器28を介して演算装置27に渡し、目的とする紙温度となるようにフィードバック制御を実行するようにしても良い。
【0092】
なお、本例においては、紙温度変化ΔTを算出して、必要な電圧指令値を算出する方式を採用したが、紙温度変化ΔTを計算することなく、図10で決定された紙温度となるようにフィードバック制御を行うようにしても良いが、エネルギー効率の観点から紙温度変化ΔTを計算して電圧指令値を印加し、その後にフィードバック制御で微調整するほうが望ましい。
【0093】
図12は、本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。当該フローは、制御装置8で実行するものである。
【0094】
図12を参照して、まず、紙種の情報である使用する記録用紙の種類と厚みを取得する(ステップS2)。具体的には、操作部50からユーザの操作に従う記録用紙の種類および記録用紙の厚さの情報を取得する。
【0095】
そして、次に、浸透量センサの出力信号を取得する(ステップS6)。具体的には、浸透量測定部1から入力される記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。当該信号により図7で示した一次関数により記録用紙に浸透したキャリア液の浸透量を測定することが可能である。本例においては、メイン制御部52からの指示に従ってトナー付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を記録用紙10に作成して、当該テストパッチが作成された記録用紙に対して記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。
【0096】
そして、次に、トナー層中のキャリア液量を推定する(ステップS8)。ここで、トナー層中のキャリア液量を推定するためには、まず、トナー付着量を知る必要がある。
【0097】
本例において、テストパッチ(ベタ画像)は所定の大きさとして作成されるため当該面積と当該テストパッチを作成する際の単位面積当たりのトナー量とに基づいてトナー付着量を算出することが可能である。そして、現像装置44内において所定の値に設定されているT/C比に基づいて、トナー層として付着したキャリア液量を算出することが可能である。
【0098】
そして、トナー層として付着したキャリア液量から浸透量センサの出力信号として取得した記録用紙に浸透した浸透量を減算することによりトナー層中のキャリア液量を推定することが可能となる。
【0099】
次に、トナー層中のキャリア液量に対する最適な設定温度を決定する(ステップS10)。
【0100】
具体的には、図10で示したトナー層中のキャリア液と紙温度との関係に基づいて最適な紙温度を決定する。例えば、目的とするキャリア液量がある所定の範囲内である場合、その中間値となるように紙温度を決定するようにしても良い。
【0101】
そして、次に、機内温度情報を取得する(ステップS12)。機内温度は、機内温度測定部3により測定される。
【0102】
次に、仮定着部のヒータ電源に供給する電圧を計算する(ステップS16)。具体的には、図11で示した紙温度変化と電圧値との関係に基づいて、最適な紙温度と機内温度測定部3により測定された機内温度との差分である紙温度変化に基づいて電圧指令値を決定する。
【0103】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、仮定着部4において、記録用紙のトナー層中のキャリア液に関して、記録用紙を最適な紙温度に設定することが可能であり、当該処理によりキャリア液を目標とする量に調節することが可能となる。
【0104】
これにより、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節することが可能となり、オフセットと定着性の両立を図ることが可能である。
【0105】
図13は、本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源をフィードバック制御するフロー図である。
【0106】
図13を参照して、仮定着部4のヒータ電源に電圧指令値を出力する(ステップS20)。具体的には、最適な設定温度とするための決定された電圧指令値を出力する。これにより、ヒータ電源14は、当該電圧指令値に従ってヒータ12を駆動し、記録用紙が決定した設定温度となるように加熱する。
【0107】
そして、次に、仮定着部4通過後の記録用紙の紙温度を測定する(ステップS24)。
次に、測定した記録用紙の紙温度は決定した紙温度になっているかどうかを判断する(ステップS26)。なお、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度となつているかどうかに関しては、同一の温度か否かに限られず、例えば、所定のマージンを持たせて温度差が所定の範囲内であるか否かを判断するようにしても良い。
【0108】
ステップS26において、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度になっていると判断した場合(ステップS26においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0109】
一方、ステップS26において、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度になっていないと判断した場合(ステップS26においてNO)には、電圧値を増減する(ステップS27)。具体的には、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度よりも低いと判断された場合には、電圧指令値を所定値増加させる。一方、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度よりも高いと判断された場合には、電圧指令値を所定値減少させる。なお、温度差に応じて増減させる値のレベルを変化させるようにしても良い。
【0110】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、測定した記録用紙の紙温度の結果を反映させてヒータ電源に供給する電圧指令値の微調整を行うことにより記録用紙の紙温度を安定的に最適な紙温度に設定することが可能である。
【0111】
図14は、本発明の実施の形態に従う乾燥装置9の構成を説明する図である。
図14を参照して、乾燥装置は、ヒータ電源25と、赤外線ヒータ24と、断熱カバー26とを含む。
【0112】
紙の搬送方向に複数の赤外線ヒータ24を設置し、これを覆う断熱カバー26が設けられる。制御装置8は、ヒータ電源25を制御し、赤外線ヒータ24に供給する電圧を変更したり、複数の赤外線ヒータの駆動本数を変えることで、乾燥の条件を可変することができる。
【0113】
本例においては、赤外線ヒータ24に供給する電圧あるいは赤外線ヒータの駆動本数は、浸透量センサから得た情報および紙種情報に基づいて決定する。
【0114】
図15は、本発明の実施の形態に従う乾燥後の浸透量とヒータ電源25に供給する電圧との関係を説明する図である。
【0115】
図15に示されるように記録用紙に含まれるキャリア液量に応じて、設定する電圧値は異なる。ここで、本例においては、記録用紙の種類として普通紙、厚さも中である場合の乾燥後のキャリア液の浸透量と電圧との関係が示されている。なお、当該関係は、メイン制御部52からの指示に従ってトナー付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を記録用紙10に作成して、当該テストパッチが作成された記録用紙に対して電圧を変化させた場合の乾燥前後の重量変化を測定することにより得られる。
【0116】
当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶装置29に予め格納し、乾燥後の記録用紙に浸透しているキャリア液量を適切な量とするために最適な電圧に設定することが可能である。
【0117】
また、記録用紙の種類や厚さによっても影響を受けるので、紙種毎のテーブルを設けるようにすることも可能である。具体的には、紙種毎のそれぞれの測定結果に基づく近似した一次関数を記憶部に予め記憶しておくことも可能であるし、あるいは、紙種毎に図15に示される一次関数の傾きを変化させる係数テーブルを持たせておいて、図15に示される記憶部に格納された一次関数と、係数テーブルに従う係数とに従って紙種に応じた一次関数を算出するようにしても良い。
【0118】
図16は、本発明の実施の形態に従う乾燥装置9のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。当該フローは、制御装置8で実行するものである。
【0119】
図16を参照して、まず、紙種の情報である使用する記録用紙の種類と厚みを取得する(ステップS30)。具体的には、操作部50からユーザの操作に従う記録用紙の種類および記録用紙の厚さの情報を取得する。
【0120】
そして、次に、浸透量センサの出力信号を取得する(ステップS32)。具体的には、浸透量測定部1から入力される記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。本例においては、メイン制御部52からの指示に従ってトナー付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を記録用紙10に作成して、当該テストパッチが作成された記録用紙に対して記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。当該信号により記憶装置29に格納されている図7で示した一次関数により記録用紙に浸透したキャリア液の浸透量を測定することが可能である。
【0121】
そして、次に、乾燥装置9のヒータ電源に供給する電圧を計算する(ステップS36)。具体的には、図16で示した乾燥後の浸透量と電圧値との関係に基づいて、乾燥後の浸透量が浸透量の上限値を下回るように電圧値を決定する。
【0122】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、制御装置8から電圧指令値がヒータ電源25に出力されて、当該ヒータ電源25が赤外線ヒータ24を駆動することにより、記録用紙に浸透しているキャリア液を適切な量、乾燥させることができる。これによりキャリア液が多量に記録用紙に残っていることに起因する裏抜け等の問題を回避することが可能である。
【0123】
なお、図16のフロー図においては、ステップS30,ステップS32の処理を設けているが、仮定着部4におけるヒータ電源を制御する際に、図12のフロー図のステップS2,S6において使用する記録用紙の種類と厚み、および浸透量センサの出力信号を取得しているため、ステップS30,S32の処理を省略して、当該情報に基づいて乾燥装置9のヒータ電源に供給する電圧を計算するようにしても良い。
【0124】
また、乾燥装置9に関して、赤外線ヒータ24を用いる構成について説明したが、温風により乾燥させる方式を採用することも可能である。
【0125】
また、本例においては、記録用紙に浸透したキャリア液を浸透量センサで測定した測定結果に基づいて、記録用紙に仮定着部4のヒータ電源に供給する電圧を設定および乾燥装置9のヒータ電源に供給する電圧を設定して記録用紙のキャリア液を適切な量に調節する方式について説明したが、いずれか一方のみを実行するようにしても良い。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1 浸透量測定部、2 紙温度測定部、3 機内温度測定部、4 仮定着部、5 本定着部、8 制御装置、9 乾燥装置、10 記録用紙、11 加熱ローラ、12,16 ヒータ、13 加圧ローラ、14,25 ヒータ電源、17,24 赤外線ヒータ、20 光源、21 受光素子、22 アンプ、23 光源駆動電源、26 断熱カバー、27 演算装置、28 AD変換器、29 記憶装置、30 PWM発生回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を用いて感光体上に静電潜像がトナーにより現像される。そして、例えば、感光体上に現像された静電潜像が記録用紙に転写されて画像が形成されることになる。このような画像形成装置の転写プロセスでは、一般に静電転写方式が採用されている。
【0003】
トナー像を被転写体である用紙に転写する場合は、感光体に対向するように配置された用紙の裏面から転写ローラ等により電圧を印加し、感光体と記録用紙との間に電界を形成してこの電界によりトナー像を記録用紙に静電吸着させている。
【0004】
そして、その後、定着装置により加圧定着することにより転写されたトナー像を記録用紙に定着させている。
【0005】
一方で、近年、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー像の乱れが生じにくい液体現像剤を用いた湿式現像装置が知られている。当該液体現像剤は、パラフィン系溶媒等をキャリア液にトナーを分散させたものが用いられており、現像や転写工程においては、キャリア液とトナーとで構成されるトナー層中において電界による泳動でトナーを移動させ記録用紙に画像を転写させている。
【0006】
このように、キャリア液はトナーの移動に重要な役目を果たしているが、定着においては、トナー単体の時よりも溶融性が悪くなるため定着温度を高い温度に設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、定着温度を高くした場合にトナー層中のキャリア液量が少ないと定着ローラと接触するトナーがローラ表面に付着するオフセットという現象が生じ易いことが知られている。逆に、トナー層中のキャリア液量が多すぎるとトナーが十分に溶融できずに定着不良が発生するため、オフセットの発生の抑制と定着性とを両立させるためには、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節することが重要である。
【0008】
この点で、特開平9−244517号公報においては、本定着の前に仮定着部を設け、紙種によって、仮定着部の設定温度等を調節して定着性の維持を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−244517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記公報は、単に紙種に応じて設定温度等を調節するものであるが、記録用紙への転写後にトナー層から記録用紙へキャリア液が浸透するため、定着に至るまでにトナー層中のキャリア液量は大きく変化する。したがって、定着前にトナー層中のキャリア液量を把握しなければキャリア液量を適切な範囲に制御することは難しい。
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節してオフセットと定着性との両立を図ることが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、液体現像剤により現像された記録媒体について、熱定着する定着手段と、定着手段の前に前記記録媒体に含まれるキャリア液の浸透量を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づいて前記記録媒体のトナー層に含まれるキャリア液量を推定し、前記記録媒体のトナー層のキャリア液量を調節する調節手段とを備える。
【0013】
好ましくは、調節手段は、定着手段よりも前および後の少なくとも一方において前記記録媒体を加熱する加熱手段と、測定手段の測定結果に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する加熱制御手段とを含む。
【0014】
特に、加熱手段は、非接触で温風あるいは輻射熱により前記記録媒体を加熱する。
特に、加熱制御手段は、前記測定手段の測定結果および前記記録媒体の紙種に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する。
【0015】
好ましくは、測定手段は、前記トナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体のキャリア液の浸透量を測定する。
【0016】
特に、液体現像剤により現像して前記記録媒体にトナー層を形成する作像手段をさらに備え、作像手段は、テストパターンのトナー層を形成し、測定手段は、前記作像手段により前記テストパターンのトナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体の浸透量を測定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のある局面に従う湿式画像形成装置は、定着手段の前に前記記録媒体に含まれるキャリア液の浸透量を測定する測定手段と、測定手段の測定結果に基づいて前記記録媒体のトナー層に含まれるキャリア液量を推定し、前記記録媒体のトナー層のキャリア液量を調節する調節手段とを設けることにより、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節してオフセットと定着性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の構成について説明する概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う定着装置の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う仮定着部4の構成を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う別の仮定着部4の構成を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に従うさらに別の仮定着部4の構成を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1の構成を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う記録用紙のキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う別の浸透量測定部1の構成を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う制御装置8の構成を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う紙温度とトナー層のキャリア液量との関係を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う紙温度変化ΔTと電圧指令値との関係を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。
【図13】本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源をフィードバック制御するフロー図である。
【図14】本発明の実施の形態に従う乾燥装置9の構成を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態に従う乾燥後の浸透量とヒータ電源25に供給する電圧との関係を説明する図である。
【図16】本発明の実施の形態に従う乾燥装置9のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に従う湿式画像形成装置の構成について説明する概略図である。
【0021】
図1を参照して、湿式画像形成装置は、ユーザからの操作を受け付ける操作部50と、操作部50からの指示に従って湿式画像形成装置全体を制御するメイン制御部52と、メイン制御部52からの指示に従って画像を形成する画像形成部とを含む。
【0022】
画像形成部は、現像装置44と、感光体41と、中間転写体45と、転写ローラ47と、露光装置43と、帯電装置42と、クリーニング装置46,48とを含む。そして、画像形成後の記録用紙10は定着装置に搬送される。
【0023】
感光体41および中間転写体45は、像担持体として機能する。
この感光体41を中心に、周囲に配設される感光体41の表面を均一に帯電させる帯電装置42と、帯電した感光体41上にLED光またはレーザビームを照射して、静電潜像を形成する露光装置43とが設けられ、そして、その静電潜像を液体現像剤を用いて現像する現像装置44と、現像されたトナー像を転写する中間転写体45とがさらに設けられる。
【0024】
中間転写体45に転写されたトナー像は、転写ローラ47との間の転写位置に移動し、記録用紙10に転写される。具体的には、中間転写体45の周速と同速度で搬送される記録用紙10に帯電を施し、あるいは電圧を印加することで、中間転写体45上の現像されたトナー像が記録用紙10に転写される。なお、本例においては、中間転写体45を用いて、一旦中間転写体45に転写したトナー像を記録用紙に転写する方式について示しているが、感光体41から直接、記録用紙に転写する方式を採用するようにしても良い。なお、感光体41上の残留したトナー像は、クリーニング装置48により除去される。また、中間転写体45上の残留したトナー像は、クリーニング装置46により除去される。
【0025】
なお、図1においては、現像装置44が1台のみ配置されているが、カラー画像形成のために複数台配置される構成としても良い。また、カラー現像の方式、中間転写の有無等は任意に設定すればよく、それに合わせた任意の構成配置をとることが可能である。
【0026】
転写ローラ47でトナー像が転写された記録用紙10は、搬送方向の下流側の定着装置に搬送され、加熱定着の上、排出される。定着側の構成については後述する。
【0027】
次に、現像に用いる液体現像剤について説明する。液体現像剤は、溶媒であるキャリア液体中に着色されたトナー粒子を高濃度で分散している。また、液体現像剤には、分散剤、荷電制御剤などの添加剤を適宜、選んで添加してもよい。
【0028】
液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体と、静電潜像を現像するトナーと、トナーを分散させる分散剤とを主要成分としている。
【0029】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば特に制限することなく使用することができるが、例えば、キャリア液として、イソパラフィン系のアイソパー(G、H、L、Mなど)(エクソンモビール)、IPソルベント(1620、2028、2835など)(出光興産)や、パラフィン系のモレスコホワイト(P−40,P−70,P−120)(松村石油研究所)を挙げることができる。また、シリコンオイル、ミネラルオイルを用いることも可能である。
【0030】
トナー粒子は、主として、樹脂と着色のための顔料や染料からなる。樹脂には、顔料や染料を樹脂中に均一に分散させる機能と、記録用紙に定着させる際のバインダとしての機能がある。
【0031】
トナー粒子としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー用結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。またこれらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
【0032】
また、トナーの着色に用いられる顔料および染料も一般に市販されているものを用いることができる。たとえば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としてはソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0033】
液体現像剤の調整方法としては、一般に用いられる技法に基づいて調整することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で、加圧ニーダ、ローラミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させ、得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径の着色トナーを得ることができる。そして、得られたトナー粒子をキャリア液としての絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させ、液体現像剤を得ることができる。
【0034】
トナーの平均粒径は、湿式画像形成方式を採用しているため、0.1μm〜5μmとすることが可能である。0.1μm未満では現像性が大きく低下し、5μmより大きい粒径では画像品位が低下するため、0.1〜5μmに設定することが望ましい。
【0035】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10〜50%程度が適当である。
【0036】
10%未満の場合、トナー粒子に沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性に問題があり、また、必要な画像濃度を得るため、多量の液体現像剤を供給する必要があり、記録用紙に付着するキャリア液が増加し、定着時に乾燥させた際の蒸気の処理が問題となる可能性がある。一方で、50%を超える場合には、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上も取り扱いが困難になる可能性がある。
【0037】
液体現像剤の粘度は、25℃において、0.1mPa・s以上、10000mPa・s以下が望ましい。10000mPa・sより大きくなると液体現像剤の攪拌や送液等の取り扱いが困難となり、均一な液体現像剤を供給する装置の負担が大きくなる可能性がある。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態に従う定着装置の構成を説明する図である。
図2を参照して、定着装置は、仮定着部4と、本定着部5と、乾燥装置9と、浸透量測定部1と、機内温度測定部3と、紙温度測定部2と、定着装置全体を制御する制御装置8とを含む。
【0039】
ここで、本定着部5の上流に仮定着部4が設けられ、本定着部5に先立ち記録用紙10上のトナーを仮定着する構成をとる。
【0040】
仮定着部4の上流側の入口近傍において、記録用紙10へのキャリア液の浸透量を測定する浸透量測定部1が設けられる。浸透量測定部1の出力信号は、制御装置8に取り込まれ、仮定着部4の熱源(ヒータ)に供給する電圧の算出に使用される。
【0041】
仮定着部4の出口近傍には、記録用紙10の温度を測定するための紙温度測定部2を設ける。記録用紙10に与えられた熱エネルギーを把握する上で重要なセンシングであり、仮定着部4の通過後の記録用紙を直ちに測定できる位置に設ける。また、記録用紙10の熱容量は、小さいので、非測定物の温度に影響を与えないように非接触型のセンサであることが望ましい。一例として、サーモパイル素子を用いた非接触型の温度センサを用いることとする。
【0042】
紙温度測定部2の信号は、制御装置8に取り込まれ、目標とする温度に到達しているかどうかが判断される。
【0043】
なお、上記のように、仮定着部4の出口近傍で、記録用紙10の温度を測定してもよいが、仮定着部がローラ形態であって、紙と接触する手段の場合はローラと記録用紙とが分離した直後のローラ表面温度を測定するようにしてもよい。この場合は、非接触型のセンサーで測定してもよいし、接触型のセンサーで測定してもよい。
【0044】
制御装置8は、浸透量測定部1からの情報に基づきトナー層中のキャリア液量を推定する。
【0045】
そして、当該キャリア液量の推定結果に基づいて、トナー層中のキャリア液量が適切な範囲内となるように仮定着部4を制御する。具体的には、キャリア液を揮発させてトナー層中のキャリア液量が適切な範囲となるように調節するために、仮定着後の記録用紙の温度が目的の温度となるように加熱条件を決める。本例においては、一例としてヒータを駆動するヒータ電源に対して、制御装置8からヒータを駆動する際の電圧指令値が与えられる。
【0046】
なお、加熱条件を決めるためには、仮定着部4で加熱する前の記録用紙の温度を把握することも必要であり、このために仮定着部4に入る前の記録用紙10の温度を把握するために機内温度測定部3が設けられている。
【0047】
機内温度測定部3は、温度センサと、温度センサアンプとで構成され、具体的には、仮定着部4通過前の紙温度を把握するために温度センサは、機内の仮定着部4の上流の紙搬送部付近に設けることとした。また、温度センサは普通のサーミスタ等を使用することが可能である。温度センサの出力は専用の温度センサアンプでリニアライズ処理及び増幅され、温度の信号として制御装置8に取り込まれ、加熱条件の決定に利用される。
【0048】
また、本定着部5の下流には、記録用紙10へ浸透したキャリア液を乾燥する乾燥装置9が設けられている。制御装置8は、記録用紙に浸透したキャリア液量に基づき乾燥装置9への熱源に供給(赤外線ヒータ)に供給する電圧を設定する。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態に従う仮定着部4の構成を説明する図である。
図3を参照して、ここでは、ローラ形態の仮定着部が示されている。
【0050】
具体的には、トナーが付着している側の記録用紙10に接触する加熱ローラ11の内部にはヒータ12が設けられており、記録用紙10の裏面から加圧ローラ13が圧接することで効率的に熱を伝達させている。ヒータ12にはヒータ電源14が接続されており、ヒータ電源14は、制御装置8と接続されており、制御装置8からの電圧指令値に従ってヒータ12に供給する電圧が制御される。なお、本例においては、制御装置8からヒータ電源14に対して電圧指令値が与えられる方式について説明するが、特に当該方式に限られず電力値であっても良いし、あるいは電流値であっても良いし、ヒータ12の加熱条件(状態)を切り換えるための切り替え信号でもよい。
【0051】
また、紙温度センサ201と温度センサアンプ202とで紙温度測定部2を構成しており、加熱ローラ11と加圧ローラ13とのローラニップ出口近傍の紙温度が測定できるように設置されている。紙温度センサ201の出力は、温度センサアンプ202でリニアライズ処理及び増幅され、温度の信号として制御装置8に入力される。
【0052】
なお、仮定着部4は、記録用紙10が本定着部5に入る前にトナー層中のキャリア液量を揮発あるいは除去させることで、適切なキャリア液量に調節するためのものであり、特に当該目的を達成するためであれば、記録用紙に接触して加熱するローラ形態に限られず、他の形態を採用することも可能である。例えば、非接触で記録用紙を加熱させるようにしても良い。
【0053】
図4は、本発明の実施の形態に従う別の仮定着部4の構成を説明する図である。
図4を参照して、ここでは、温風を吹き付ける形態の仮定着部が示されている。
【0054】
具体的には、温風の熱源として、ヒータ16を備えており、ヒータ16には、ヒータ電源14が接続されている。ヒータ電源14は、制御装置8と接続されており、制御装置8からの電圧指令値に従ってヒータ16に供給する電圧が制御される。
【0055】
また、紙温度センサ201と温度センサアンプ202とで紙温度測定部2を構成しており、温風を吹き付ける有効区間を紙が通過し、その有効区間の出口近傍において紙温度が測定できるように紙温度センサ201が設けられている。
【0056】
図5は、本発明の実施の形態に従うさらに別の仮定着部4の構成を説明する図である。
図5を参照して、ここでは、輻射熱を利用する形態の仮定着部が示されている。
【0057】
具体的には、熱源として、赤外線ヒータ17を備えており、赤外線ヒータ17には、ヒータ電源14が接続されている。ヒータ電源14は、制御装置8と接続されており、制御装置8からの電圧指令値に従って赤外線ヒータ17に供給する電圧が制御される。
【0058】
また、紙温度センサ201と温度センサアンプ202とで紙温度測定部2を構成しており、赤外線を照射する有効長があって、その区間を紙が通過し、その有効区間の出口近傍において紙温度が測定できるように紙温度センサ201が設けられている。
【0059】
図6は、本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1の構成を説明する図である。
図6を参照して、浸透量測定部1は、光源20と、受光素子21と、アンプ22と、光源駆動電源23とを含む。
【0060】
本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1は、記録用紙にキャリア液が浸透した場合に、不透明度が変化することを利用して記録用紙へのキャリア液の浸透量を測定する。
【0061】
本例においては、記録用紙10の裏面に光源20と、反射光を検知する受光素子21とを配置した。
【0062】
記録用紙10へのキャリア液の浸透量が多いと光源20から出た光は記録用紙を透過するため、受光素子21において受光する反射光量が減る。本例においては、キャリア液が浸透していない記録用紙10の反射光をリファレンスとして、それぞれの反射光を電圧信号に変換してその差分ΔE(V)を浸透量の信号として利用した。
【0063】
予め実験により差分ΔEと浸透量の関係とを把握しておき、これをテーブル化して制御装置8の図示しない記憶部に予め格納しておくこととする。
【0064】
図7は、本発明の実施の形態に従う記録用紙のキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係を説明する図である。
【0065】
図7に示されるように差分ΔEを検出することにより記録用紙のキャリア液の浸透量を測定することが可能である。
【0066】
ここで、本例においては、記録用紙の種類として普通紙、厚さも中である場合のキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係が示されている。
【0067】
なお、キャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係は、記録用紙に転写したトナー量によっても影響を受けるので、トナー量を一定とするために付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を作成して、当該テストパッチを作成した記録用紙に基づいてキャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係を測定した。なお、以下においても同様にテストパッチを作成した記録用紙を用いた処理について説明する。具体的には、テストパッチとして、トナー付着量は、3g/m2となるように設定した。また、搬送方向に対して10cm、搬送方向に対して垂直な方向が5cmのベタ画像となるように作成した。なお、普通紙として、本例においては、OKトップコート(王子製紙製)米坪127.9g/m2を用いた。
【0068】
ここで示されるように、キャリア液の浸透量と差分ΔEとの関係は線形関係である場合が示されている。一例として、当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶部に予め格納する。
【0069】
また、記録用紙の種類や厚さによっても影響を受けるので、紙種毎のテーブルを設けるようにすることも可能である。具体的には、紙種毎のそれぞれの測定結果に基づく近似した一次関数を記憶部に予め記憶しておくことも可能であるし、あるいは、紙種毎に図7に示される当該一次関数の傾きを変化させる係数テーブルを持たせておいて、図7に示される記憶部に格納された一次関数と、係数テーブルに従う係数とに従って紙種に応じた一次関数を算出するようにしても良い。
【0070】
図8は、本発明の実施の形態に従う別の浸透量測定部1の構成を説明する図である。
図8を参照して、浸透量測定部1は、光源20と、受光素子21と、アンプ22と、光源駆動電源23とを含む。
【0071】
本発明の実施の形態に従う浸透量測定部1は、記録用紙にキャリア液が浸透した場合に、不透明度が変化することを利用して記録用紙へのキャリア液の浸透量を測定する。
【0072】
本例においては、記録用紙10の表面に光源20を配置し、裏面に反射光を検知する受光素子21を配置した。
【0073】
記録用紙10へのキャリア液の浸透量が多いと光源20から出た光は記録用紙を透過して、受光素子21での透過光の受光量が増加する。それで、キャリア液が浸透していない記録用紙10の透過光をリファレンスとして、それぞれの透過光を電圧信号に変換してその差分ΔE(V)を浸透量の信号として利用することも可能である。
【0074】
なお、キャリア液の浸透量を測定するには、これ以外にも超音波を照射した時の減衰量を捉えることで浸透量を解析したり、あるいは、キャリア液の分光吸収特性を利用することで浸透量を測定する方式を採用することも可能である。
【0075】
図9は、本発明の実施の形態に従う制御装置8の構成を説明する図である。
図9を参照して、本発明の実施の形態に従う制御装置8は、演算装置27と、AD変換器28と、記憶装置29と、PWM発生回路30と、デジタルの入出力を行うPIO31とを含む。
【0076】
演算装置27は、PIO31と接続され、図1で説明した操作部50からユーザの操作に従う紙種の情報の入力を受ける。紙種の情報としては、記録用紙の種類および記録用紙の厚さ等の情報を含む。
【0077】
AD変換器28は、浸透量センサアンプ102や仮定着部4下流の温度センサアンプ202、仮定着部4上流の機内温度測定部3の温度センサアンプに接続されており、これらの信号をデジタル変換して演算装置27に渡す。
【0078】
記録用紙へのキャリア液の浸透量は、演算装置27がデジタル変換された浸透量センサアンプからの信号を得て、差分ΔEを求めるとともに、記憶装置29に格納されている図7に示される一次関数に基づいて浸透量を取得する。なお、紙種毎の係数テーブルを参照して、紙種に応じた浸透量を取得するようにしても良い。そして浸透量からトナー層中に残存するキャリア液量を推測する。
【0079】
仮定着部4における最適な紙温度設定は、紙種の情報とトナー層中に残存するキャリア液量とに基づき予めテーブル化されて記憶装置29に格納しておいた紙温度テーブルを用いて、最適な紙温度を決定する。
【0080】
図10は、本発明の実施の形態に従う紙温度とトナー層のキャリア液量との関係を説明する図である。
【0081】
図10に示されるようにトナー層中のキャリア液量に応じて、目的とするキャリア液量とする際の紙温度は異なる。ここで、本例においては、記録用紙の種類として普通紙、厚さも中である場合のトナー層中のキャリア液量と紙温度との関係が示されている。
【0082】
なお、トナー層中のキャリア液量と紙温度との関係は、テストパッチ(ベタ画像)を作成して、ベタ画像をナイフエッジ等で削ぎ取り、紙温度を変化させた場合の乾燥前後の重量変化から測定することにより得られる。
【0083】
当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶装置29に予め格納し、推定したトナー層中のキャリア液量から目的とするキャリア液量とするための最適な紙温度を決定することが可能である。
【0084】
また、記録用紙の種類や厚さによっても影響を受けるので、紙種毎のテーブルを設けるようにすることも可能である。具体的には、紙種毎のそれぞれの測定結果に基づく近似した一次関数を記憶部に予め記憶しておくことも可能であるし、あるいは、紙種毎に図10に示される一次関数の傾きを変化させる係数テーブルを持たせておいて、図10に示される記憶部に格納された一次関数と、係数テーブルに従う係数とに従って紙種に応じた一次関数を算出するようにしても良い。
【0085】
演算装置27は、紙温度を決定した後、ヒータ電源に出力する電圧指令値を演算する。具体的には、演算装置27は、紙種の情報と仮定着部4の通過前の紙温度と決定した紙温度とに基づいて、電圧指令値をPWM発生回路30に対して出力する。PWM発生回路30は、電圧指令値に従うPWM信号を出力し、当該PWM信号を受けてヒータ電源14はPWM制御される。
【0086】
図11は、本発明の実施の形態に従う紙温度変化ΔTと電圧指令値との関係を説明する図である。
【0087】
図11を参照して、ここでは、縦軸として、紙温度変化ΔT(決定した紙温度−仮定着部4の通過前の紙温度)、横軸として電圧指令値とした場合の関係が示されている。また、紙種毎の関係も示されている。なお、当該関係は、テストパッチ(ベタ画像)を作成して、紙種に応じて、電圧値を変化させることにより紙温度の変化を測定することにより得られる。
【0088】
紙温度変化ΔTは、演算装置27により決定された紙温度から機内温度測定部3により測定された紙温度とに基づいて算出することが可能である。具体的には、演算装置27により決定された紙温度から仮定着部4の通過前の紙温度である機内温度測定部3により測定された紙温度を減算することにより算出することが可能である。
【0089】
そして、紙種に応じて熱容量が異なるため当該紙種に応じて当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶装置29に予め格納し、紙温度変化ΔTに従って電圧指令値を設定する。
【0090】
当該設定された電圧指令値に従って、PWM発生回路30からPWM信号が出力されて、ヒータ電源14が駆動される。
【0091】
なお、連続して印刷する場合には、仮定着部4の通過後の記録用紙の紙温度を常時監視して、AD変換器28を介して演算装置27に渡し、目的とする紙温度となるようにフィードバック制御を実行するようにしても良い。
【0092】
なお、本例においては、紙温度変化ΔTを算出して、必要な電圧指令値を算出する方式を採用したが、紙温度変化ΔTを計算することなく、図10で決定された紙温度となるようにフィードバック制御を行うようにしても良いが、エネルギー効率の観点から紙温度変化ΔTを計算して電圧指令値を印加し、その後にフィードバック制御で微調整するほうが望ましい。
【0093】
図12は、本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。当該フローは、制御装置8で実行するものである。
【0094】
図12を参照して、まず、紙種の情報である使用する記録用紙の種類と厚みを取得する(ステップS2)。具体的には、操作部50からユーザの操作に従う記録用紙の種類および記録用紙の厚さの情報を取得する。
【0095】
そして、次に、浸透量センサの出力信号を取得する(ステップS6)。具体的には、浸透量測定部1から入力される記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。当該信号により図7で示した一次関数により記録用紙に浸透したキャリア液の浸透量を測定することが可能である。本例においては、メイン制御部52からの指示に従ってトナー付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を記録用紙10に作成して、当該テストパッチが作成された記録用紙に対して記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。
【0096】
そして、次に、トナー層中のキャリア液量を推定する(ステップS8)。ここで、トナー層中のキャリア液量を推定するためには、まず、トナー付着量を知る必要がある。
【0097】
本例において、テストパッチ(ベタ画像)は所定の大きさとして作成されるため当該面積と当該テストパッチを作成する際の単位面積当たりのトナー量とに基づいてトナー付着量を算出することが可能である。そして、現像装置44内において所定の値に設定されているT/C比に基づいて、トナー層として付着したキャリア液量を算出することが可能である。
【0098】
そして、トナー層として付着したキャリア液量から浸透量センサの出力信号として取得した記録用紙に浸透した浸透量を減算することによりトナー層中のキャリア液量を推定することが可能となる。
【0099】
次に、トナー層中のキャリア液量に対する最適な設定温度を決定する(ステップS10)。
【0100】
具体的には、図10で示したトナー層中のキャリア液と紙温度との関係に基づいて最適な紙温度を決定する。例えば、目的とするキャリア液量がある所定の範囲内である場合、その中間値となるように紙温度を決定するようにしても良い。
【0101】
そして、次に、機内温度情報を取得する(ステップS12)。機内温度は、機内温度測定部3により測定される。
【0102】
次に、仮定着部のヒータ電源に供給する電圧を計算する(ステップS16)。具体的には、図11で示した紙温度変化と電圧値との関係に基づいて、最適な紙温度と機内温度測定部3により測定された機内温度との差分である紙温度変化に基づいて電圧指令値を決定する。
【0103】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、仮定着部4において、記録用紙のトナー層中のキャリア液に関して、記録用紙を最適な紙温度に設定することが可能であり、当該処理によりキャリア液を目標とする量に調節することが可能となる。
【0104】
これにより、トナー層中のキャリア液量を適切な範囲に調節することが可能となり、オフセットと定着性の両立を図ることが可能である。
【0105】
図13は、本発明の実施の形態に従う仮定着部4のヒータ電源をフィードバック制御するフロー図である。
【0106】
図13を参照して、仮定着部4のヒータ電源に電圧指令値を出力する(ステップS20)。具体的には、最適な設定温度とするための決定された電圧指令値を出力する。これにより、ヒータ電源14は、当該電圧指令値に従ってヒータ12を駆動し、記録用紙が決定した設定温度となるように加熱する。
【0107】
そして、次に、仮定着部4通過後の記録用紙の紙温度を測定する(ステップS24)。
次に、測定した記録用紙の紙温度は決定した紙温度になっているかどうかを判断する(ステップS26)。なお、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度となつているかどうかに関しては、同一の温度か否かに限られず、例えば、所定のマージンを持たせて温度差が所定の範囲内であるか否かを判断するようにしても良い。
【0108】
ステップS26において、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度になっていると判断した場合(ステップS26においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0109】
一方、ステップS26において、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度になっていないと判断した場合(ステップS26においてNO)には、電圧値を増減する(ステップS27)。具体的には、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度よりも低いと判断された場合には、電圧指令値を所定値増加させる。一方、測定した記録用紙の紙温度が決定した紙温度よりも高いと判断された場合には、電圧指令値を所定値減少させる。なお、温度差に応じて増減させる値のレベルを変化させるようにしても良い。
【0110】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、測定した記録用紙の紙温度の結果を反映させてヒータ電源に供給する電圧指令値の微調整を行うことにより記録用紙の紙温度を安定的に最適な紙温度に設定することが可能である。
【0111】
図14は、本発明の実施の形態に従う乾燥装置9の構成を説明する図である。
図14を参照して、乾燥装置は、ヒータ電源25と、赤外線ヒータ24と、断熱カバー26とを含む。
【0112】
紙の搬送方向に複数の赤外線ヒータ24を設置し、これを覆う断熱カバー26が設けられる。制御装置8は、ヒータ電源25を制御し、赤外線ヒータ24に供給する電圧を変更したり、複数の赤外線ヒータの駆動本数を変えることで、乾燥の条件を可変することができる。
【0113】
本例においては、赤外線ヒータ24に供給する電圧あるいは赤外線ヒータの駆動本数は、浸透量センサから得た情報および紙種情報に基づいて決定する。
【0114】
図15は、本発明の実施の形態に従う乾燥後の浸透量とヒータ電源25に供給する電圧との関係を説明する図である。
【0115】
図15に示されるように記録用紙に含まれるキャリア液量に応じて、設定する電圧値は異なる。ここで、本例においては、記録用紙の種類として普通紙、厚さも中である場合の乾燥後のキャリア液の浸透量と電圧との関係が示されている。なお、当該関係は、メイン制御部52からの指示に従ってトナー付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を記録用紙10に作成して、当該テストパッチが作成された記録用紙に対して電圧を変化させた場合の乾燥前後の重量変化を測定することにより得られる。
【0116】
当該測定結果に基づいて近似した一次関数を記憶装置29に予め格納し、乾燥後の記録用紙に浸透しているキャリア液量を適切な量とするために最適な電圧に設定することが可能である。
【0117】
また、記録用紙の種類や厚さによっても影響を受けるので、紙種毎のテーブルを設けるようにすることも可能である。具体的には、紙種毎のそれぞれの測定結果に基づく近似した一次関数を記憶部に予め記憶しておくことも可能であるし、あるいは、紙種毎に図15に示される一次関数の傾きを変化させる係数テーブルを持たせておいて、図15に示される記憶部に格納された一次関数と、係数テーブルに従う係数とに従って紙種に応じた一次関数を算出するようにしても良い。
【0118】
図16は、本発明の実施の形態に従う乾燥装置9のヒータ電源の電力を計算する方式について説明するフロー図である。当該フローは、制御装置8で実行するものである。
【0119】
図16を参照して、まず、紙種の情報である使用する記録用紙の種類と厚みを取得する(ステップS30)。具体的には、操作部50からユーザの操作に従う記録用紙の種類および記録用紙の厚さの情報を取得する。
【0120】
そして、次に、浸透量センサの出力信号を取得する(ステップS32)。具体的には、浸透量測定部1から入力される記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。本例においては、メイン制御部52からの指示に従ってトナー付着量を一定としたテストパッチ(ベタ画像)を記録用紙10に作成して、当該テストパッチが作成された記録用紙に対して記録用紙のキャリア液の浸透量を示す信号を取得する。当該信号により記憶装置29に格納されている図7で示した一次関数により記録用紙に浸透したキャリア液の浸透量を測定することが可能である。
【0121】
そして、次に、乾燥装置9のヒータ電源に供給する電圧を計算する(ステップS36)。具体的には、図16で示した乾燥後の浸透量と電圧値との関係に基づいて、乾燥後の浸透量が浸透量の上限値を下回るように電圧値を決定する。
【0122】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該処理により、制御装置8から電圧指令値がヒータ電源25に出力されて、当該ヒータ電源25が赤外線ヒータ24を駆動することにより、記録用紙に浸透しているキャリア液を適切な量、乾燥させることができる。これによりキャリア液が多量に記録用紙に残っていることに起因する裏抜け等の問題を回避することが可能である。
【0123】
なお、図16のフロー図においては、ステップS30,ステップS32の処理を設けているが、仮定着部4におけるヒータ電源を制御する際に、図12のフロー図のステップS2,S6において使用する記録用紙の種類と厚み、および浸透量センサの出力信号を取得しているため、ステップS30,S32の処理を省略して、当該情報に基づいて乾燥装置9のヒータ電源に供給する電圧を計算するようにしても良い。
【0124】
また、乾燥装置9に関して、赤外線ヒータ24を用いる構成について説明したが、温風により乾燥させる方式を採用することも可能である。
【0125】
また、本例においては、記録用紙に浸透したキャリア液を浸透量センサで測定した測定結果に基づいて、記録用紙に仮定着部4のヒータ電源に供給する電圧を設定および乾燥装置9のヒータ電源に供給する電圧を設定して記録用紙のキャリア液を適切な量に調節する方式について説明したが、いずれか一方のみを実行するようにしても良い。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1 浸透量測定部、2 紙温度測定部、3 機内温度測定部、4 仮定着部、5 本定着部、8 制御装置、9 乾燥装置、10 記録用紙、11 加熱ローラ、12,16 ヒータ、13 加圧ローラ、14,25 ヒータ電源、17,24 赤外線ヒータ、20 光源、21 受光素子、22 アンプ、23 光源駆動電源、26 断熱カバー、27 演算装置、28 AD変換器、29 記憶装置、30 PWM発生回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、
前記液体現像剤により現像された記録媒体について、熱定着する定着手段と、
前記定着手段の前に前記記録媒体に含まれるキャリア液の浸透量を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記記録媒体のトナー層に含まれるキャリア液量を推定し、前記記録媒体のトナー層のキャリア液量を調節する調節手段とを備える、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記調節手段は、
前記定着手段よりも前および後の少なくとも一方において前記記録媒体を加熱する加熱手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する加熱制御手段とを含む、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、非接触で温風あるいは輻射熱により前記記録媒体を加熱する、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱制御手段は、前記測定手段の測定結果および前記記録媒体の紙種に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記測定手段は、前記トナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体のキャリア液の浸透量を測定する、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記液体現像剤により現像して前記記録媒体にトナー層を形成する作像手段をさらに備え、
前記作像手段は、テストパターンのトナー層を形成し、
前記測定手段は、前記作像手段により前記テストパターンのトナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体の浸透量を測定する、請求項5記載の湿式画像形成装置。
【請求項1】
キャリア液にトナーが分散された液体現像剤を用いる湿式画像形成装置であって、
前記液体現像剤により現像された記録媒体について、熱定着する定着手段と、
前記定着手段の前に前記記録媒体に含まれるキャリア液の浸透量を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記記録媒体のトナー層に含まれるキャリア液量を推定し、前記記録媒体のトナー層のキャリア液量を調節する調節手段とを備える、湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記調節手段は、
前記定着手段よりも前および後の少なくとも一方において前記記録媒体を加熱する加熱手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する加熱制御手段とを含む、請求項1記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、非接触で温風あるいは輻射熱により前記記録媒体を加熱する、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱制御手段は、前記測定手段の測定結果および前記記録媒体の紙種に基づいて前記加熱手段の加熱条件を設定する、請求項2記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記測定手段は、前記トナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体のキャリア液の浸透量を測定する、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記液体現像剤により現像して前記記録媒体にトナー層を形成する作像手段をさらに備え、
前記作像手段は、テストパターンのトナー層を形成し、
前記測定手段は、前記作像手段により前記テストパターンのトナー層が形成された前記記録媒体の表面と反対方向の裏面に対して光を照射し、その反射光を測定することにより前記記録媒体の浸透量を測定する、請求項5記載の湿式画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−194339(P2012−194339A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57900(P2011−57900)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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