説明

溝掘機

【課題】圃場の畦際に溝を適切に形成できる溝掘機を提供する。
【解決手段】溝掘機1は、固定機枠2と、この固定機枠2に対して移動可能な可動機枠3とを備える。溝掘機1は、回転により圃場の土を掘削して溝Aを掘る溝掘体と、溝掘体の進行方向後方で溝Aを整形する溝整形体42とを備える。可動機枠3は、第1伝動ケース31と、この第1伝動ケース31から斜め下外側方に向かって突出する第3伝動フレーム32と、この第3伝動フレーム32の下端部に設けた第2伝動ケース33とを有する。溝掘体は、第2伝動ケース33から斜め下内側方に向かって突出する回転軸と、この回転軸とともに回転する複数の溝掘爪とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の畦際に溝を適切に形成できる溝掘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された溝掘機が知られている。
【0003】
この従来の溝掘機は、走行車であるトラクタに連結される固定機枠と、この固定機枠のギヤボックスから斜め下外側方に向かって突出するパイプフレームと、このパイプフレームの下端部に設けられたケースとを備えている。
【0004】
また、この従来の溝掘機は、ケースから斜め上外側方に向かって突出する回転軸と、この回転軸に設けられた複数の溝掘爪と、パイプフレームから外側方に向かって突出して案内カバーおよび溝仕上板を支持する補助フレームとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−209742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の溝掘機では、パイプフレームから外側方に向かって突出して案内カバーおよび溝仕上板を支持する補助フレームを備える構成であるため、その補助フレームが邪魔となり、圃場の畦際に溝を形成できない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、圃場の畦際に溝を適切に形成できる溝掘機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の溝掘機は、走行車に連結される固定機枠と、この固定機枠に対して移動可能な可動機枠と、この可動機枠に回転可能に設けられ、回転により圃場の土を掘削して溝を掘る溝掘体と、前記可動機枠に設けられ、前記溝掘体にて掘られた溝を整形する溝整形体とを備え、前記可動機枠は、第1伝動ケースと、この第1伝動ケースから斜め下外側方に向かって突出する伝動フレームと、この伝動フレームの下端部に設けられた第2伝動ケースとを有し、前記溝掘体は、前記第2伝動ケースから斜め下内側方に向かって突出する回転軸と、この回転軸に設けられた複数の溝掘爪とを有するものである。
【0009】
請求項2記載の溝掘機は、請求項1記載の溝掘機において、可動機枠の第2伝動ケースの外側面が溝掘機の外側端位置に位置するものである。
【0010】
請求項3記載の溝掘機は、請求項1または2記載の溝掘機において、可動機枠の第2伝動ケースの外側端位置と溝掘体の溝掘爪の外側端位置とが上下方向に沿った一直線上に略位置するものである。
【0011】
請求項4記載の溝掘機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の溝掘機において、第2伝動ケースは、伝動ケース本体部と、この伝動ケース本体部の外側面を覆う保護カバー部とを有するものである。
【0012】
請求項5記載の溝掘機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の溝掘機において、第1伝動ケース内および第2伝動ケース内には、それぞれベベルギヤが配設されているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、可動機枠は第1伝動ケースとこの第1伝動ケースから斜め下外側方に向かって突出する伝動フレームとこの伝動フレームの下端部に設けられた第2伝動ケースとを有し、溝掘体は第2伝動ケースから斜め下内側方に向かって突出する回転軸とこの回転軸に設けられた複数の溝掘爪とを有する構成であるため、可動機枠の第2伝動ケースを畦に接近させた状態で溝掘作業ができ、よって、圃場の畦際に溝を適切に形成できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、可動機枠の第2伝動ケースの外側面が溝掘機の外側端位置に位置するため、第2伝動ケース以外の構成部材が畦に接触するのを適切に防止できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、可動機枠の第2伝動ケースの外側端位置と溝掘体の溝掘爪の外側端位置とが上下方向に沿った一直線上に略位置するため、圃場の畦際に溝をより一層適切に形成できる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、第2伝動ケースの伝動ケース本体部の外側面が保護カバー部にて覆われているため、伝動ケース本体部が畦に接触して破損するのを適切に防止できる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、第1伝動ケース内のベベルギヤおよび第2伝動ケース内のベベルギヤを利用して動力を溝掘体側へ適切に伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る溝掘機の背面図である。
【図2】同上溝掘機の一部を省略した背面図である。
【図3】同上溝掘機の一部を省略した背面図である。
【図4】同上溝掘機の斜視図である。
【図5】同上溝掘機の前進作業状態を示す平面図である。
【図6】同上溝掘機の後進作業状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1ないし図6において、1は溝掘機で、この溝掘機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結して使用する牽引式の溝形成作業機(農作業機)である。
【0021】
そして、溝掘機1は、トラクタの後部に連結された状態で、圃場においてトラクタの走行(前進走行・後進走行)により進行方向に向かって移動しながら溝掘作業を行い、圃場に断面略逆台形状をなす凹状の溝Aを形成する。
【0022】
つまり、図5に示すように、前進作業状態時には、溝掘機1はトラクタの前進走行により進行方向である前方に向かって移動しながら溝掘作業を行い、また、図6に示すように、後進作業状態時には、溝掘機1はトラクタの後進走行(バック走行)により進行方向である後方に向かって移動しながら溝掘作業を行う。
【0023】
溝掘機1は、トラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に連結される固定機枠2と、この固定機枠2に対して移動可能な可動機枠3とを備えている。
【0024】
固定機枠2は、トップマスト6および左右のロワアーム7等にて構成された3点連結部8を有し、この3点連結部8がトラクタの3点リンク部に連結されている。
【0025】
また、固定機枠2は、フレームである主フレーム9と、この主フレーム9に固定的に設けられ入力軸10を回転可能に支持する中空状の入力軸ケース11とを有し、この入力軸10がトラクタのPTO軸に動力伝達手段(図示せず)を介して接続されている。
【0026】
さらに、固定機枠2は、入力軸ケース11の上面から上方に向かって突出する上下方向に略円筒状の伝動フレームである第1伝動フレーム12と、この第1伝動フレーム12の上端部に水平方向に回動可能に設けられ出力軸13を回転可能に支持する中空状の出力軸ケース14とを有している。出力軸13は、例えばギヤおよびシャフト等にて構成された動力伝達手段(図示せず)を介して入力軸10に接続されている。
【0027】
可動機枠3は、固定機枠2の主フレーム9に対して水平方向に平行移動可能なサブフレームである第1支持フレーム21と、この第1支持フレーム21に水平方向に略180度の範囲内で回動可能に設けられた第2支持フレーム22とを有している。
【0028】
第1支持フレーム21は、互いに離間対向して平行に位置する左右1対の回動アーム(平行リンク)23を介して固定機枠2の主フレーム9に連結されている。つまり、回動アーム23の前端部が主フレーム9に回動可能に連結され、回動アーム23の後端部が第1支持フレーム21に回動可能に連結されている。
【0029】
また、可動機枠3は、第2支持フレーム22に固定的に設けられた上下方向に略円筒状の伝動フレームである第2伝動フレーム25と、この第2伝動フレーム25の上端部に水平方向に回動可能に設けられ中間入力軸26を回転可能に支持する中空状の中間入力軸ケース27とを有している。中間入力軸26は、例えばジョイント等にて構成された動力伝達手段28を介して出力軸13に接続されている。
【0030】
さらに、可動機枠3は、第2伝動フレーム25の下端部に固定的に設けられた中空状の第1伝動ケース31と、溝掘機1の作業状態時(前進作業状態時および後進作業状態時)には第1伝動ケース31から斜め下外側方に向かって突出する上下方向に対して傾斜する方向の略円筒状の伝動フレームである第3伝動フレーム32と、この第3伝動フレーム32の下端部に固定的に設けられた中空状の第2伝動ケース33とを有している。
【0031】
第2伝動ケース33は、中空状の伝動ケース本体部34と、この伝動ケース本体部34に脱着可能に設けられ伝動ケース本体部34の外側面全体および前後面の一部を覆う略板状で平面視略コ字状の保護カバー部35とを有している。
【0032】
保護カバー部35は、例えばボルト等の取付具38によって伝動ケース本体部34に取り付けられ、その伝動ケース本体部34に対して脱着可能つまり交換可能となっている。
【0033】
また、保護カバー部35は、伝動ケース本体部34の外側面全体に接触してこの外側面全体を覆う外側方に向かって凸の略湾曲状の本体板である湾曲板36と、この湾曲板36の前後方向両端部から突出し伝動ケース本体部34の前後面の一部のみを覆う突出板37とにて構成されている。
【0034】
そして、このように第2伝動ケース33の外側面が2重構造となっており、溝掘機1の作業状態時(前進作業状態時および後進作業状態時)には、この第2伝動ケース33の外側面が溝掘機1の外側端位置に位置する(図5、図6等参照)。つまり、第2伝動ケース33の保護カバー部35の湾曲板36の幅方向中央部36aが、溝掘機1の外側端位置に位置する。言い換えると、第2伝動ケース33の保護カバー部35の湾曲板36の幅方向中央部36aは、後述する溝整形体42の溝整形板61の外側端面よりも外側方に位置する。
【0035】
また一方、溝掘機1は、可動機枠3の第2伝動ケース33に回転可能に設けられ水平方向に対して傾斜した傾斜状の回転中心軸線Xを中心とする回転により圃場の土を掘削して溝Aを掘る回転式の溝掘体41と、可動機枠3の第2支持フレーム22に連結手段43を介して上下動可能に設けられ溝掘体にて掘られた溝Aを所定形状、すなわち例えば断面略逆台形状に整形する略板状の溝整形体(成形体)42とを備えている。
【0036】
溝掘体41は、可動機枠3の第2伝動ケース33によって回転可能に支持され溝掘機1の作業状態時(前進作業状態時および後進作業状態時)には第2伝動ケース33の内側面から斜め下内側方に向かって突出する回転軸45を有している。なお、回転軸45の軸芯を通る線が回転中心軸線Xである。
【0037】
回転軸45は、図2および図3に示されるように、進行方向後方から見た場合に左下がりの傾斜状であり、基端側が第2伝動ケース33内に位置し、先端側が第2伝動ケース33外に露出している。
【0038】
そして、回転軸45の先端側には、回転中心軸線Xを中心として回転軸45と一体となって駆動回転しながら圃場の土を掘削して溝Aを掘る複数の溝掘爪46が回転軸45を中心として放射状に脱着可能に設けられている。
【0039】
なお、溝掘爪46は、この溝掘爪46からの掘削土を案内するカバー体47にて覆われている。カバー体47は、例えば第1カバー48および第2カバー49等にて構成されている。第2カバー49は、第1カバー48に対して角度調整可能に取り付けられている。
【0040】
また、図3から明らかなように、傾斜状の回転軸45の基端部にはベベルギヤ51が固着され、このベベルギヤ51には第3伝動フレーム32内に上下端部以外の部分が回転可能に配設された傾斜状のシャフト53の下端部に固着されたベベルギヤ52が噛み合っている。これら2つのベベルギヤ51,52は、第2伝動ケース33内に回転可能に配設されている。
【0041】
さらに、シャフト53の上端部にはベベルギヤ54が固着され、このベベルギヤ54には第2伝動フレーム25内に上下端部以外の部分が回転可能に配設された鉛直状のシャフト56の下端部に固着されたベベルギヤ55が噛み合っている。これら2つのベベルギヤ54,55は、第1伝動ケース31内に回転可能に配設されている。
【0042】
また、シャフト56の上端部にはベベルギヤ57が固着され、このベベルギヤ57には中間入力軸ケース27内に先端部以外の部分が回転可能に配設された水平状の中間入力軸26の基端部に固着されたベベルギヤ58が噛み合っている。これら2つのベベルギヤ57,58は、中間入力軸ケース27内に回転可能に配設されている。
【0043】
そして、出力軸13側からの動力が中間入力軸26に入力されると、この動力はベベルギヤ58、ベベルギヤ57、シャフト56、ベベルギヤ55、ベベルギヤ54、シャフト53、ベベルギヤ52およびベベルギヤ51を経て回転軸45へ伝達され、その結果、回転軸45が溝掘爪46とともに所定方向に駆動回転する。
【0044】
なお、中間入力軸ケース27内のベベルギヤ57,58、第2伝動フレーム25内のシャフト56、第1伝動ケース31内のベベルギヤ54,55、第3伝動フレーム32内のシャフト53および第2伝動ケース33内のベベルギヤ51,52にて、中間入力軸26からの動力を溝掘体41の回転軸45まで伝達する動力伝達手段60が構成されている。
【0045】
溝整形体42は、溝掘体41の進行方向後方で溝整形を行う溝整形板61と、この溝整形板61から上方に向かって突出する取付用アーム62とを有している。
【0046】
連結手段43は、互いに離間対向して平行に位置する上下1対の連結アーム63を有している。連結アーム63の前端部が可動機枠3の第2支持フレーム22に回動可能に連結され、連結アーム63の後端部が溝整形体42の取付用アーム62に回動可能に連結されている。そして、上側の連結アーム63と第2支持フレーム22との間には、溝整形体42を下方に付勢する付勢手段であるガススプリング64が設けられている。
【0047】
なお、溝掘体41、カバー体47および溝整形体42等にて、圃場での作業時に溝掘作業を行うオフセット作業手段である作業部70が構成されている。
【0048】
また、図5および図6等に示されるように、左側の回動アーム23と第1支持フレーム21の右端部との間には、第1支持フレーム21を固定機枠2の主フレーム9に対して水平方向に平行移動させる第1伸縮駆動手段である移動用シリンダ71が設けられている。さらに、第1支持フレーム21と第2支持フレーム22との間には、第2支持フレーム22を第1支持フレーム21に対して水平方向に回動させる第2伸縮駆動手段である回動用シリンダ72が設けられている。
【0049】
つまり、これら2つのシリンダ71,72の伸縮動作によって、作業部70が所定の前進作業位置に位置する前進作業状態(図5の状態)、作業部70が所定の後進作業位置に位置する後進作業状態(図6の状態)および作業部70がトラクタの後方に位置する非作業状態(図示せず)に選択的に切換可能となっている。
【0050】
なお、図2から明らかなように、溝掘機1では、可動機枠3および溝掘体41を進行方向後方から見た場合に、可動機枠3の第1伝動ケース31、第3伝動フレーム32および第2伝動ケース33が、溝掘体41の上方位置に位置する構成となっている。
【0051】
次に、溝掘機1の作用等を説明する。
【0052】
溝掘機1を前進作業状態に設定した状態でトラクタの前進走行により前方へ移動させると、溝掘体41の溝掘爪46が回転中心軸線Xを中心として回転しながら圃場の土を掘削して溝Aを掘り、溝整形体42の溝整形板61がその溝Aを所定形状に整形する。
【0053】
このとき、溝掘体41の溝掘爪46にて掘削された泥等の掘削土は、カバー体47の開口部から斜め上内側方に向かって排出され、図2および図4に示す2点鎖線の放物線を描くように、放てきされる。このため、掘削土が固定機枠2、可動機枠3および回動アーム23等にはかからず、固定機枠2、可動機枠3および回動アーム23等が掘削土で汚れることがない。
【0054】
また、図1および図2に示すように、例えば圃場を仕切るコンクリート製の畦があったとしても、可動機枠3の第2伝動ケース33の外側面をその畦に接近させた状態で溝掘作業を行うことが可能であり、所定形状の溝Aが圃場の畦際に畦の長手方向に沿って形成される。
【0055】
なお、圃場の隅部では、溝掘機1を前進作業状態から後進作業状態に切り換えた後、溝掘機1をトラクタの後進走行により後方へ移動させると、前進作業の場合と同様、溝掘体41の溝掘爪46が回転中心軸線Xを中心として回転しながら圃場の土を掘削して溝Aを掘り、溝整形体42の溝整形板61がその溝Aを所定形状に整形し、所定形状の溝Aが圃場の畦際に畦の長手方向に沿って形成される。
【0056】
そして、このような溝掘機1によれば、可動機枠3は第1伝動ケース31とこの第1伝動ケース31から斜め下外側方に向かって突出する第3伝動フレーム32とこの第3伝動フレーム32の下端部に設けられた第2伝動ケース33とを有し、溝掘体41は第2伝動ケース33から斜め下内側方に向かって突出する回転軸45とこの回転軸45に設けられた複数の溝掘爪46とを有する構成であるため、前進作業状態時および後進作業状態時のいずれの時においても、溝掘機1の外側端位置に位置する第2伝動ケース33の外側面を畦に接近させた状態で溝掘作業ができ、よって、圃場の畦際に所定形状の溝Aを適切に形成できる。
【0057】
また、溝掘体41から放てきされる掘削土が固定機枠2、可動機枠3および回動アーム23等にはかからないので、固定機枠2、可動機枠3および回動アーム23等が掘削土で汚れることを防止でき、清掃等のメンテナンス作業が容易である。
【0058】
さらに、可動機枠3の第2伝動ケース33の外側面が溝掘機1の外側端位置に位置するため、第2伝動ケース33以外の構成部材が例えばコンクリート製の畦に接触するのを適切に防止できる。すなわち例えば溝掘作業時に振動等に基づいて溝掘機1が若干外側方へずれたとしても、コンクリート製の畦に接触するのは第2伝動ケース33の保護カバー部35であり、この保護カバー部35以外の構成部材が例えばコンクリート製の畦に接触して破損するのを適切に防止できる。
【0059】
また、可動機枠3の第2伝動ケース33の外側端位置と溝掘体41の溝掘爪46の外側端位置とが進行方向後方側からみて上下方向に沿った一直線上に略位置するため、圃場の畦際に溝Aをより一層適切に形成できる。
【0060】
また、可動機枠3の第2伝動ケース33の伝動ケース本体部34の外側面が略板状の保護カバー部35にて覆われているため、中空状である箱状の伝動ケース本体部34の外側面が例えばコンクリート製の畦に接触して破損するのを適切に防止できる。
【0061】
さらに、第1伝動ケース31内のベベルギヤ54,55、第3伝動フレーム32内のシャフト53および第2伝動ケース33内のベベルギヤ51,52等からなる動力伝達手段60によって回転動力を溝掘体41側へ適切に伝達できるため、溝掘体41を適切に回転させることができ、この溝掘体41で圃場に溝Aを掘ることができる。
【0062】
なお、上記一実施の形態では、前進作業状態および後進作業状態に選択的に切換可能なリターン式の溝掘機1について説明したが、例えば前進作業のみ可能な構成とすることも可能である。
【0063】
また、溝整形体42の形状は任意であり、溝整形体42の外側面が第2伝動ケース33の外側面よりも内側方に位置するような形状であればよい。
【0064】
さらに、可動機枠3の第2伝動ケース33の外側端位置と溝掘体41の溝掘爪46の外側端位置とが進行方向後方側からみて上下方向に沿った一直線上に略位置する構成として、例えば溝掘爪46の外側端位置が第2伝動ケース33の外側端位置よりも少し内側方に位置する構成について説明したが(図2参照)、例えば図示しないが、溝掘爪46の外側端位置が第2伝動ケース33の外側端位置よりも少し外側方に位置する構成や、溝掘爪46の外側端位置を第2伝動ケース33の外側端位置に合わせた構成等でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 溝掘機
2 固定機枠
3 可動機枠
31 第1伝動ケース
32 伝動フレームである第3伝動フレーム
33 第2伝動ケース
34 伝動ケース本体部
35 保護カバー部
41 溝掘体
42 溝整形体
45 回転軸
46 溝掘爪
51,52,54,55 ベベルギヤ
A 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される固定機枠と、
この固定機枠に対して移動可能な可動機枠と、
この可動機枠に回転可能に設けられ、回転により圃場の土を掘削して溝を掘る溝掘体と、
前記可動機枠に設けられ、前記溝掘体にて掘られた溝を整形する溝整形体とを備え、
前記可動機枠は、
第1伝動ケースと、
この第1伝動ケースから斜め下外側方に向かって突出する伝動フレームと、
この伝動フレームの下端部に設けられた第2伝動ケースとを有し、
前記溝掘体は、
前記第2伝動ケースから斜め下内側方に向かって突出する回転軸と、
この回転軸に設けられた複数の溝掘爪とを有する
ことを特徴とする溝掘機。
【請求項2】
可動機枠の第2伝動ケースの外側面が溝掘機の外側端位置に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の溝掘機。
【請求項3】
可動機枠の第2伝動ケースの外側端位置と溝掘体の溝掘爪の外側端位置とが上下方向に沿った一直線上に略位置する
ことを特徴とする請求項1または2記載の溝掘機。
【請求項4】
第2伝動ケースは、
伝動ケース本体部と、
この伝動ケース本体部の外側面を覆う保護カバー部とを有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の溝掘機。
【請求項5】
第1伝動ケース内および第2伝動ケース内には、それぞれベベルギヤが配設されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の溝掘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−219950(P2011−219950A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88319(P2010−88319)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】