説明

溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法及び凝集沈澱処理システム

【課題】水に溶存している重金属類をスラリーから分離・除去することを可能にした、溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法及び凝集沈澱処理システムを提供する。
【解決手段】懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリーS1中に、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、第1凝集フロックを形成して沈降させる第1反応槽2と、第1凝集フロックの沈降分離処理を行う第1沈澱槽3と、沈降分離後の上澄み液S2中に溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加して微細フロックを生成する第2反応槽4と、上澄み液S3中に無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することによって第2凝集フロックを形成し、第2凝集フロックを上澄み液S3中に沈降させる第3反応槽5と、上澄み液S3における第2凝集フロックの沈降分離処理を行う第2沈澱槽6と、を備える溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法及び凝集沈澱処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚染土壌の浄化・修復には、汚染物質の種類によって様々な浄化技術が用いられている。そのなかでも土壌洗浄法は、揮発性有機化合物(VOCs)、PCB、農薬、重金属、シアン等の多くの物質に幅広く適用可能であるとされている。
このような土壌洗浄法を採用した技術として、土砂表面に強固に付着している汚染物質を剥離・分離し、洗浄処理土の品質を向上した洗浄方法及び洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−116397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術では、土壌洗浄システムへ環境基準を満足する清澄な水を常時供給する水処理システムの役割は極めて重要である。しかしながら、水処理システムの設置面積は大きくなりがちで、省面積化することができなかった。また、従来では、水に溶存している重金属類を、スラリーからより良好に分離・除去することが可能な技術の提供が望まれている。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、水に溶存している重金属類をスラリーから分離・除去することを可能にした、溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法及び凝集沈澱処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法は、懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリー中に、該重金属含有スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記懸濁粒子を凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に沈降させ、一次沈降分離を行う工程と、
前記一次沈降分離を行った後の上澄み液中に、前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加し、前記溶存態重金属をフロック化して微細フロックを生成する工程と、
前記微細フロックを生成した後の前記上澄み液中に、該スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記微細フロックを凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記上澄み液中に沈降させ、二次沈降分離を行う工程と、を備えることを特徴としている。
【0007】
この溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法によれば、まず、懸濁粒子を第1凝集フロックにして重金属含有スラリー中に沈降させ、一次沈降分離を行った後、その上澄み液中の溶存態重金属を固定化剤で固定化するので、この固定化の際には、懸濁粒子がその周囲(近傍)に存在しないようになる。したがって、重金属含有スラリー中の溶存態重金属は、懸濁粒子に反応が阻害されることなく、固定化が良好に進むようになる。そして、このような固定化を行った後に、溶存態重金属に由来する微細フロックを凝集して第2凝集フロックとし、二次沈降分離を行うようにしているので、懸濁粒子及び溶存態重金属が沈降分離によって処理水から良好に除去されるようになる。
【0008】
また、本発明の別の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法は、懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリー中に、該重金属含有スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記懸濁粒子を小さなフロックに凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に浮遊させる工程と、
前記第1凝集フロックを浮遊させた後の前記重金属含有スラリー中に、前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加し、前記溶存態重金属をフロック化して微細フロックを生成する工程と、
前記微細フロックを生成した後の前記スラリー中に、該スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記第1凝集フロック及び前記微細フロックをこれらフロックより大きなフロックに凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記スラリー中に沈降させ、沈降分離を行う工程と、を備えることを特徴としている。
【0009】
この溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法によれば、まず、懸濁粒子を小さな第1凝集フロックにして重金属含有スラリー中に浮遊させ、その後、この重金属含有スラリー中の溶存態重金属を固定化剤で固定化するので、この固定化の際には、懸濁粒子がその周囲(近傍)に存在しないようになる。したがって、重金属含有スラリー中の溶存態重金属は、懸濁粒子に反応が阻害されることなく、固定化が良好に進むようになる。そして、このような固定化を行った後に、懸濁粒子に由来する第1凝集フロック及び溶存態重金属に由来する微細フロックを大きくして第2凝集フロックとし、沈降分離を行うようにしているので、懸濁粒子及び溶存態重金属が1度(1段階)の沈降分離によって処理水から除去されるようになる。
【0010】
なお、前記凝集沈澱処理方法においては、前記懸濁粒子が、懸濁態重金属を含んでいてもよい。その場合には、他の懸濁粒子とともに懸濁態重金属についても、沈降分離によって処理水から除去されるようになる。
【0011】
本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムは、懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリー中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記懸濁粒子を凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に沈降させる第1反応槽と、
前記第1反応槽から移送された前記重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリーにおける前記第1凝集フロックの沈降分離処理を行う第1沈澱槽と、
前記第1沈澱槽から移送された前記沈降分離後の上澄み液を貯留するとともに、該上澄み液中に前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加することにより、前記溶存態重金属を微細フロック化して微細フロックを生成する第2反応槽と、
前記第2沈澱槽から移送された前記微細フロックを含有する前記上澄み液を貯留するとともに、該上澄み液中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記微細フロックを凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記上澄み液中に沈降させる第3反応槽と、
前記第3反応槽から移送された前記上澄み液を貯留するとともに、該上澄み液における前記第2凝集フロックの沈降分離処理を行う第2沈澱槽と、を備えることを特徴としている。
【0012】
この溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムによれば、まず、第1反応槽において懸濁粒子を第1凝集フロックにして重金属含有スラリー中に沈降させ、続いて第1沈澱槽において一次沈降分離を行った後、第2反応槽においてその上澄み液中の溶存態重金属を固定化剤で固定化するので、この固定化の際には、懸濁粒子がその周囲(近傍)に存在しないようになる。したがって、重金属含有スラリー中の溶存態重金属は、懸濁粒子に反応が阻害されることなく、固定化が良好に進むようになる。そして、このような固定化を行った後に、第3反応槽において溶存態重金属に由来する微細フロックを凝集して第2凝集フロックとし、さらに第2沈澱槽において二次沈降分離を行うようにしたので、懸濁粒子及び溶存態重金属が沈降分離によって処理水から良好に除去されるようになる。
【0013】
また、本発明の別の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムは、懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリー中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記懸濁粒子を小さなフロックに凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に浮遊させる第1反応槽と、
前記第1反応槽から移送された前記重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリー中に前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加することにより、前記溶存態重金属を微細フロック化して微細フロックを生成する第2反応槽と、
前記第2反応槽から移送された前記スラリーを貯留するとともに、該スラリー中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記第1凝集フロック及び前記微細フロックをこれらフロックより大きなフロックに凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記スラリー中に沈降させる第3反応槽と、
前記第3反応槽から移送された前記スラリーを貯留するとともに、該スラリーにおける前記第2凝集フロックの沈降分離処理を行う沈澱槽と、を備えることを特徴としている。
【0014】
この溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムによれば、まず、第1反応槽において懸濁粒子を小さな第1凝集フロックにして重金属含有スラリー中に浮遊させ、その後、第2反応槽においてこの重金属含有スラリー中の溶存態重金属を固定化剤で固定化するので、この固定化の際には、懸濁粒子がその周囲(近傍)に存在しないようになる。したがって、重金属含有スラリー中の溶存態重金属は、懸濁粒子に反応が阻害されることなく、固定化が良好に進むようになる。そして、このような固定化を行った後に、第3反応槽において懸濁粒子に由来する第1凝集フロック及び溶存態重金属に由来する微細フロックを大きくして第2凝集フロックとし、さらに沈澱槽において沈降分離を行うようにしたので、懸濁粒子及び溶存態重金属が1度(1段階)の沈降分離によって処理水から除去されるようになる。
【0015】
なお、前記凝集沈澱処理システムにおいては、前記懸濁粒子が、懸濁態重金属を含んでいてもよい。その場合には、他の懸濁粒子とともに懸濁態重金属についても、沈降分離によって処理水から除去されるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法及び凝集沈澱処理システムによれば、懸濁粒子及び溶存態重金属を沈降分離によって処理水から除去できるようにしたので、例えばオンサイト型洗浄プラントへの適用が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムの第1実施形態を示す模式図である。
【図2】溶存態重金属と重金属捕集剤(固定化剤)との反応(結合)機構を説明するための模式図である。
【図3】本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムの第2実施形態を示す模式図である。
【図4】第2実施形態での、溶存態重金属と重金属捕集剤(固定化剤)との反応(結合)機構を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムの第1実施形態を示す図であり、図1中符号1は溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム(以下、処理システムと記す)である。この処理システム1は、鉛や水銀などの重金属で汚染された土壌を洗浄処理する際の、ハイドロサイクロンによる分級プロセスによって発生したスラリー(オーバーフロー)を処理するためのもので、特に浄化の対象となる現地に設置された、オンサイト型土壌プラントシステムに適用されるものである。
【0019】
オンサイト型土壌プラントシステムは、重金属や油による汚染土壌を確実、安全、低コストに浄化処理することができ、しかも洗浄後の土壌を埋戻し土として再利用することもできるため、近年では注目されている。特に、処理土量が多い場合には、搬出入土量を大幅に削減できるためコストメリットが大きく、また環境に与える影響も最小限に抑えることができるといった利点がある。このようなオンサイト型土壌プラントシステムにおいて、洗浄に用いた水を再利用し、又は循環利用するためには、環境基準を満足する清澄な水となるまで洗浄水を処理する必要上、水処理のためのシステムの役割は極めて重要である。循環水の質が悪いと、土壌洗浄の処理性能が低下してしまうからである。
【0020】
従来、鉛や水銀などの重金属で汚染された土壌を洗浄処理する場合には、ハイドロサイクロンによる分級プロセスを行うが、その際、大量のスラリー(オーバーフロー)が発生する。このスラリーは、細粒子分が2〜5重量%、水分が95〜98重量%程度である。また、重金属汚染土壌から発生しているため、このスラリー中には懸濁態の重金属と溶存態の重金属とが共に含まれ、さらに微細な土壌粒子を主体とする懸濁粒子も含まれている。
【0021】
このような、重金属汚染土壌に対するハイドロサイクロンプロセスで発生したスラリーを、本発明における第1実施形態の処理システム1、及びこの処理システム1を用いた第1実施形態の処理方法(凝集沈澱処理方法)では、以下のような2段階の凝集沈澱によって処理するようにしている。
すなわち、この処理システム1は、懸濁態の重金属と溶存態の重金属とが共に含まれ、さらに微細な土壌粒子を主体とする懸濁粒子も含まれているスラリー(オーバーフロー)を処理するためのもので、第1反応槽2と、第1沈澱槽3と、第2反応槽4と、第3反応槽5と、第2沈澱槽6とを備えて構成されている。
【0022】
第1反応槽2は、前記のスラリー(重金属含有スラリー)S1がポンプ等によって最初に供給され、これを貯留する槽であって、撹拌機31を備えたものである。この第1反応槽2には、NaOH(水酸化ナトリウム)等のアルカリ剤と、無機凝集剤としてのPAC(ポリ塩化アルミニウム)とを供給するための配管等からなる第1供給手段21が設けられ、さらに、高分子凝集剤を供給するための配管等からなる第2供給手段22が設けられている。
【0023】
そして、この第1反応槽2では、まず、貯留したスラリーS1中に第1供給手段21からアルカリ剤を添加・供給する。ここで、アルカリ剤を添加・供給する際には、最終的な処理水である排水が中性である必要があるので、後工程でのpH調整がなるべく不要になるよう、適量の無機凝集剤添加後にほぼ中性域(概ねpH6〜pH8)になる程度にアルカリ性にする。例えば微細な土壌粒子を主体とする懸濁粒子を含むスラリーの場合では、pH9程度(pH8〜pH10)のアルカリ側が凝集に適したpHといえる。そして、このように凝集に適したpHに維持した状態のもとで、第1供給手段21からスラリーS1中にPAC(無機凝集剤)を所定量添加・供給する。なお、その間、撹拌機31を適宜な力で駆動させておき、スラリーS1を均一に混合しておく。また、添加する無機凝集剤については、PACに代えて硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0024】
このようにして無機凝集剤を添加すると、スラリーS1中の懸濁態の重金属及び他の懸濁粒子は結合して集合体となり、凝集フロック(flock)を形成する。
さらに、無機凝集剤の添加後、第2供給手段22からスラリーS1中に高分子凝集剤を所定量添加・供給する。すると、凝集フロックはその径が増大し、大きな凝集フロックに成長して第1凝集フロックとなる。これにより、第1凝集フロックはスラリーS1中を沈降するようになる。したがって、この第1凝集フロックを含有するスラリーS1を、ポンプ等の移送手段によって第1沈澱槽3に移送する。そして、ここで所定時間沈降分離を行うことにより、第1沈澱槽3の底部に第1凝集フロックを沈降させる。すなわち、第1凝集フロックを第1沈澱槽3の底部に沈降させることにより、その上澄み液S2から懸濁態重金属及び他の懸濁粒子を分離除去する。
【0025】
このようにして一次沈降分離処理を行った後、その上澄み液S2をポンプ等の移送手段によって第2反応槽4に移送する。
第2反応槽4には、撹拌機32が設けられ、さらにキレート剤やその他の薬剤を供給するための配管等からなる第1供給手段41と、金属塩やアルカリ剤(例えばNaOH)を供給するための配管等からなる第2供給手段42とが設けられている。
【0026】
そして、この第2反応槽3では、撹拌機32を適宜な力で駆動させつつ、第1供給手段41から固定化剤としてのキレート剤(重金属捕集剤)を添加・供給するとともに、第2供給手段42から固定化剤としての金属塩を添加・供給する。必要に応じ、第1供給手段41からその他の薬剤として例えば酸を供給してもよく、あるいは、第2供給手段42からアルカリ剤を供給してもよい。
【0027】
このようにして上澄み液S2中に固定化剤を添加すると、上澄み液S2中からは懸濁態重金属及び他の懸濁粒子が第1凝集フロックとなって第1沈澱槽2で分離除去されているので、上澄み液S2中の溶存態重金属(Me2+;一般的にはMen+であるが、重金属汚染ではMe2+が多い。)の周囲(近傍)には懸濁態重金属や他の懸濁粒子が存在しなくなっている。したがって、溶存態重金属(Me2+;同上)と重金属捕集剤(キレート剤など)等の固定化剤との反応(結合)が、懸濁態重金属や他の懸濁粒子に阻害されることがなく良好に進み、これによって上澄み液S2中の溶存態重金属はこれらキレート剤や金属塩と反応して固定化され、微細なフロックを形成する。
【0028】
すなわち、溶存態重金属(Me2+;同上)を重金属捕集剤(キレート剤)等で固定化する際に、図2に示すように懸濁粒子(懸濁態重金属を含む)Pが溶存態重金属(Me2+)の周囲に存在すると、固定化するための反応が阻害されてうまく進まなくなる。これに対して本実施形態では、第1沈澱槽2で懸濁態重金属及び他の懸濁粒子を分離除去しているので、第2反応槽3では溶存態重金属を容易に固定化できるようになっている。なお、このようにして形成された微細フロックは、沈降速度が小さいため上澄み液S2中に浮遊するようになり、したがってこの上澄み液S2は溶存態重金属が固定化され微細フロックとして浮遊する新たな上澄み液S3となる。すなわち、微細フロックはその密度(比重)が水より大きいものの、フロック径が小さいため沈降速度が小さくなり、したがって液中をゆっくり沈降する。そのため、撹拌している第2反応槽3内では沈降しにくくなり、見掛け状浮遊しているようになる。
【0029】
次いで、この微細フロックを含有する上澄み液S3を、ポンプ等の移送手段によって第3反応槽5に移送する。第3反応槽5に移送された上澄み液S3においても、微細フロックは小さい(微細な)状態にあるので、この微細フロックは上澄み液S3中に浮遊した状態となる。
第3反応槽5には、撹拌機33が設けられ、さらに無機凝集剤としてのPACを供給するための配管等からなる第1供給手段51と、高分子凝集剤を供給するための配管等からなる第2供給手段52とが設けられている。なお、第1供給手段51は、NaOH(水酸化ナトリウム)等のアルカリ剤も供給できるようになっている。
【0030】
そして、この第3反応槽5では、撹拌機33を適宜な力で駆動させつつ、第1供給手段51から上澄み液S3中にPAC(無機凝集剤)を添加・供給するとともに、第2供給手段52から上澄み液S3中に高分子凝集剤を添加・供給する。なお、第2反応槽3にて酸を添加し、上澄み液S3を酸性又は中性にした場合には、PACの添加に先立ってNaOH(アルカリ剤)を添加・供給し、上澄み液S3のpH調整を行う。NaOH(アルカリ剤)を添加・供給する際には、最終的な処理水である排水が中性である必要があるので、後工程でのpH調整がなるべく不要になるよう、適量の無機凝集剤添加後にほぼ中性域(概ねpH6〜pH8)になる程度にアルカリ性にする。例えば、前記したように微細な土壌粒子を主体とする懸濁粒子を含むスラリーの場合では、pH9程度(pH8〜pH10)のアルカリ側が凝集に適したpHとなる。また、添加する無機凝集剤については、PACに代えて硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0031】
このようにして無機凝集剤及び高分子凝集剤を添加すると、スラリーS3の液中に浮遊している前記微細フロックや、一部上澄み液S3中に存在する第1凝集フロック及び微細フロックが互いに凝集し合い、成長して微細フロックより大きくなり、第2凝集フロックを形成する。すると、この第2凝集フロックは重くなり、上澄み液S3中に沈降するようになる。
その後、第2凝集フロックを沈降させた上澄み液S3を、第2凝集フロックとともにポンプ等の移送手段によって第2沈澱槽6に移送する。そして、ここで所定時間沈降分離を行うことにより、第2沈澱槽6の底部に第2凝集フロックを沈降させる。
【0032】
これにより、この処理システム1による凝集沈澱処理方法では、ハイドロサイクロンによる分級プロセスによって発生した重金属含有スラリーS1中の懸濁粒子(懸濁態重金属を含む)及び溶存態重金属を、2度(2段階)の沈降分離処理によって処理水から容易に、かつ確実に除去することができる。
したがって、本実施形態の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム1、及びこれを用いた凝集沈澱処理方法によれば、2段階の沈降分離を行うことで懸濁粒子(懸濁態重金属を含む)及び溶存態重金属を処理水から容易に除去することができ、これにより、オンサイト型洗浄プラントへの適用が容易になる。
【0033】
次に、本発明の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムの第2実施形態について説明する。
図3は、溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システムの第2実施形態を示す図であり、図1中符号20は溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム(以下、処理システムと記す)である。この処理システム20は、第1実施形態の処理システム1と同様に、鉛や水銀などの重金属で汚染された土壌を洗浄処理する際の、ハイドロサイクロンによる分級プロセスによって発生したスラリーを処理するためのもので、特に浄化の対象となる現地に設置された、オンサイト型土壌プラントシステムである。
【0034】
この処理システム20は、懸濁態の重金属と溶存態の重金属とが共に含まれ、さらに他の懸濁粒子も含まれているスラリー(オーバーフロー)を処理するためのもので、第1反応槽7と、第2反応槽8と、第3反応槽9と、沈澱槽10とを備えて構成されている。
【0035】
第1反応槽7は、前記のスラリー(重金属含有スラリー)S4がポンプ等によって最初に供給され、これを貯留する槽であって、撹拌機34を備えたものである。この第1反応槽7には、NaOH(水酸化ナトリウム)等のアルカリ剤と、無機凝集剤としてのPAC(ポリ塩化アルミニウム)とを供給するための配管等からなる第1供給手段71が設けられ、さらに、高分子凝集剤を供給するための配管等からなる第2供給手段72が設けられている。
【0036】
そして、この第1反応槽7では、まず、第1供給手段71からスラリーS1中にアルカリ剤を添加・供給する。ここで、アルカリ剤を添加・供給する際には、最終的な処理水である排水が中性である必要があるので、後工程でのpH調整がなるべく不要になるよう、適量の無機凝集剤添加後にほぼ中性域(概ねpH6〜pH8)になる程度にアルカリ性にする。例えば微細な土壌粒子を主体とする懸濁粒子を含むスラリーの場合では、pH9程度(pH8〜pH10)のアルカリ側が凝集に適したpHといえる。そして、このように凝集に適したpHに維持した状態のもとで、第1供給手段71からスラリーS1中にPAC(無機凝集剤)を所定量添加・供給する。なお、その間、撹拌機34を適宜な力で駆動させておき、スラリーS1を均一に混合しておく。また、添加する無機凝集剤については、PACに代えて硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0037】
ただし、この第1反応槽2においては、PAC(無機凝集剤)及び高分子凝集剤の添加量を、図1に示した従来の場合に比べ、すなわち図1の第1反応槽2において所定量のスラリーに対して添加・供給するPAC及び高分子凝集剤の量に比べ、それぞれ半分程度とする。このように凝集剤の添加量を半分程度に少なくすると、スラリーS1中の懸濁態の重金属及び他の懸濁粒子は、凝集してフロックとなるものの、図1に示した場合に比べて形成されるフロックが小さくなり、したがって小さな第1凝集フロックとなってスラリーS4中に浮遊する。すなわち、この第1反応槽7における工程では、凝集剤の添加量を調整して形成する第1凝集フロックを、スラリーS1中に浮遊する程度に小さくする。なお、スラリーS1は、その液中から懸濁態の重金属及び他の懸濁粒子が除去されることで、主に溶存態の重金属を含有するスラリー(重金属含有スラリー)S5となる。
【0038】
次に、第1凝集フロックを浮遊させたスラリーS5を、ポンプ等の移送手段によって第2反応槽8に移送する。第2反応槽8に移送されたスラリー(重金属含有スラリー)S5は、第1凝集フロックが小さい状態にあるので、第2反応槽8内においてもスラリーS5中に浮遊した状態となる。
第2反応槽8には、撹拌機34が設けられ、さらにキレート剤やその他の薬剤を供給するための配管等からなる第1供給手段81と、金属塩やアルカリ剤(例えばNaOH)を供給するための配管等からなる第2供給手段82とが設けられている。
【0039】
そして、この第2反応槽8では、撹拌機35を適宜な力で駆動させつつ、第1供給手段81から固定化剤としてのキレート剤(重金属捕集剤)を添加・供給するとともに、第2供給手段82から固定化剤としての金属塩を添加・供給する。必要に応じ、第1供給手段81からその他の薬剤として例えば酸を供給してもよく、あるいは、第2供給手段82からアルカリ剤を供給してもよい。
【0040】
このようにしてスラリーS5中に固定化剤を添加すると、懸濁態重金属及び他の懸濁粒子は第1凝集フロックとなってスラリーS5中に浮遊しているため、スラリーS5中の溶存態重金属(Me2+)の周囲には、懸濁態重金属や他の懸濁粒子存在しなくなっている。なお、図4に示すように一部の第1凝集フロックF1が浮遊せずにスラリーS5中に存在していても、懸濁態重金属及び他の懸濁粒子Pは第1凝集フロックF1中に閉じこめられているため、溶存態重金属(Me2+)と重金属捕集剤(キレート剤)等の固定化剤との反応(結合)は阻害されることがなく、したがって固定化が良好に進むようになる。
【0041】
そして、このように溶存態重金属と重金属捕集剤(キレート剤)等の固定化剤との反応が進むことにより、溶存態重金属は固定化剤と結合して微細フロックとなる。また、この微細フロックは、前記の第1凝集フロックF1よりもさらに径が小さい(微細な)ものとなり、したがってこの微細フロックもスラリーS5中に浮遊する。なお、添加する固定化剤については、除去対象となる重金属の種類によっては、キレート剤のみを添加するようにしてもよく、あるいは、金属塩のみを添加するようにしてもよい。また、スラリーS5は、その液中から溶存態の重金属も除去されることで、液中に重金属を含有せずに単に液中に浮遊させた、スラリーS6となる。
【0042】
次いで、第1凝集フロック及び微細フロックを浮遊させたスラリーS6を、ポンプ等の移送手段によって第3反応槽9に移送する。第3反応槽9に移送されたスラリーS6は、第1凝集フロック及び微細フロックが小さい(微細な)状態にあるので、第3反応槽9内においてもスラリーS6中に浮遊した状態となる。
第3反応槽9には、撹拌機36が設けられ、さらに無機凝集剤としてのPACを供給するための配管等からなる第1供給手段91と、高分子凝集剤を供給するための配管等からなる第2供給手段92とが設けられている。なお、第1供給手段91は、NaOH(水酸化ナトリウム)等のアルカリ剤も供給できるようになっている。
【0043】
そして、この第3反応槽9では、撹拌機36を適宜な力で駆動させつつ、第1供給手段91からスラリーS6中にPAC(無機凝集剤)を添加・供給するとともに、第2供給手段92からスラリーS6中に高分子凝集剤を添加・供給する。なお、第2反応槽8にて酸を添加し、スラリーS6を酸性又は中性にした場合には、PACの添加に先立ってNaOH(アルカリ剤)を添加・供給し、スラリーS6のpH調整を行う。NaOH(アルカリ剤)を添加・供給する際には、最終的な処理水である排水が中性である必要があるので、後工程でのpH調整がなるべく不要になるよう、適量の無機凝集剤添加後にほぼ中性域(概ねpH6〜pH8)になる程度にアルカリ性にする。例えば、前記したように微細な土壌粒子を主体とする懸濁粒子を含むスラリーの場合では、pH9程度(pH8〜pH10)のアルカリ側が凝集に適したpHとなる。また、添加する無機凝集剤については、PACに代えて硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0044】
このようにして無機凝集剤及び高分子凝集剤を添加すると、スラリーS6の液中に浮遊している前記第1凝集フロック及び前記微細フロックや、一部スラリーS6中に存在する第1凝集フロック及び微細フロックが互いに凝集し合い、成長して元の第1凝集フロックや微細フロックより大きくなり、第2凝集フロックを形成する。すると、この第2凝集フロックは重くなり、スラリーS6中に沈降するようになる。
その後、第2凝集フロックを沈降させたスラリーS6を、第2凝集フロックとともにポンプ等の移送手段によって沈澱槽10に移送する。そして、ここで所定時間沈降分離を行うことにより、沈澱槽10の底部に第2凝集フロックを沈降させる。
【0045】
これにより、この処理システム20による凝集沈澱処理方法では、ハイドロサイクロンによる分級プロセスによって発生した重金属含有スラリーS1中の懸濁粒子(懸濁態重金属を含む)及び溶存態重金属を、1度(1段階)の沈降分離によって処理水から容易に、かつ確実に除去することができる。
なお、前記の処理システム20による凝集沈澱処理方法については、その有効性について研究所で実験的に確認した後、現場でも適用した。約半年間の現場運転を行ったところ、研究所での実験とほぼ同等の水処理性能が得られ、その有効性が確認された。
【0046】
したがって、本実施形態の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム20、及びこれを用いた凝集沈澱処理方法によれば、1段階の沈降分離を行うことで懸濁粒子(懸濁態重金属を含む)及び溶存態重金属を処理水から容易に除去することができ、これにより、オンサイト型洗浄プラントへの適用が容易になる。
また、特に沈降分離を行うために必要な沈澱槽10を1槽にしたので、2槽必要である第1実施形態に比べてオンサイト型洗浄プラントの省面積化を可能にし、敷地面積が狭い場合や制約が大きい現場においても、オンサイト型洗浄プラントを適用し易くすることができる。
【0047】
また、PAC(無機凝集剤)や高分子凝集剤の添加量については、第1反応槽7において第1実施形態の半分程度とし、第3反応槽9においても、第1反応槽7における添加量とほぼ同じ量で第2凝集フロックを形成することができる。したがって、総量としては、第1実施形態と同程度に抑えることができ、コストの増加を抑えることができる。さらに、使用する薬剤の種類も、第1実施形態と同じに抑えることができる。
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第2実施形態では、第1反応槽7や第2反応槽8では、第1凝集フロックや凝集フロックが液中に浮遊することでスラリーの状態が視認しにくく、添加した薬剤の量が適正か否かが確認し難くなる。そこで、例えば濁度計をこれら反応槽7、8内に配置し、添加した薬剤の量の適否を判定するようにしてもよい。すなわち、反応槽内のスラリー中に懸濁粒子がフロックとなってほぼ全てが液面上に浮遊し、スラルー中から無くなることでその濁度が所定の濁度(清澄度)になったら、薬剤が適正量添加されたと判定し、添加を停止するようにする。これにより、薬剤の過剰な添加を防止することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム、2…第1反応槽、3…第1沈澱層、4…第2反応槽、5…第3反応槽、6…第2沈澱槽、7…第1反応槽、8…第2反応層、9…第3反応槽、10…沈澱槽、20…溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム、S1…スラリー(重金属含有スラリー)、S2…上澄み液、S3…上澄み液、S4…スラリー(重金属含有スラリー)、S5…スラリー(重金属含有スラリー)、S6…スラリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリー中に、該重金属含有スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記懸濁粒子を凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に沈降させ、一次沈降分離を行う工程と、
前記一次沈降分離を行った後の上澄み液中に、前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加し、前記溶存態重金属をフロック化して微細フロックを生成する工程と、
前記微細フロックを生成した後の前記上澄み液中に、該スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記微細フロックを凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記上澄み液中に沈降させ、二次沈降分離を行う工程と、を備えることを特徴とする溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法。
【請求項2】
懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリー中に、該重金属含有スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記懸濁粒子を小さなフロックに凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に浮遊させる工程と、
前記第1凝集フロックを浮遊させた後の前記重金属含有スラリー中に、前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加し、前記溶存態重金属をフロック化して微細フロックを生成する工程と、
前記微細フロックを生成した後の前記スラリー中に、該スラリーのpHをアルカリ側に維持しつつ、無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加して前記第1凝集フロック及び前記微細フロックをこれらフロックより大きなフロックに凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記スラリー中に沈降させ、沈降分離を行う工程と、を備えることを特徴とする溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法。
【請求項3】
前記懸濁粒子は、懸濁態重金属を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理方法。
【請求項4】
懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリー中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記懸濁粒子を凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に沈降させる第1反応槽と、
前記第1反応槽から移送された前記重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリーにおける前記第1凝集フロックの沈降分離処理を行う第1沈澱槽と、
前記第1沈澱槽から移送された前記沈降分離後の上澄み液を貯留するとともに、該上澄み液中に前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加することにより、前記溶存態重金属を微細フロック化して微細フロックを生成する第2反応槽と、
前記第2沈澱槽から移送された前記微細フロックを含有する前記上澄み液を貯留するとともに、該上澄み液中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記微細フロックを凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記上澄み液中に沈降させる第3反応槽と、
前記第3反応槽から移送された前記上澄み液を貯留するとともに、該上澄み液における前記第2凝集フロックの沈降分離処理を行う第2沈澱槽と、を備えることを特徴とする溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム。
【請求項5】
懸濁粒子と溶存態重金属とを含有する重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリー中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記懸濁粒子を小さなフロックに凝集し、第1凝集フロックを形成して該第1凝集フロックを前記重金属含有スラリー中に浮遊させる第1反応槽と、
前記第1反応槽から移送された前記重金属含有スラリーを貯留するとともに、該重金属含有スラリー中に前記溶存態重金属を固定化する固定化剤を添加することにより、前記溶存態重金属を微細フロック化して微細フロックを生成する第2反応槽と、
前記第2反応槽から移送された前記スラリーを貯留するとともに、該スラリー中に、そのpHをアルカリ側に維持するアルカリ剤と、無機凝集剤及び高分子凝集剤とを添加することにより、前記第1凝集フロック及び前記微細フロックをこれらフロックより大きなフロックに凝集し、第2凝集フロックを形成して該第2凝集フロックを前記スラリー中に沈降させる第3反応槽と、
前記第3反応槽から移送された前記スラリーを貯留するとともに、該スラリーにおける前記第2凝集フロックの沈降分離処理を行う沈澱槽と、を備えることを特徴とする溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム。
【請求項6】
前記懸濁粒子は、懸濁態重金属を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の溶存態重金属含有スラリーの凝集沈澱処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245431(P2011−245431A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121801(P2010−121801)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】