説明

溶岩から起因した材料を使用した多用途体及び多用途体を使用した入浴システム

【課題】多用途体は、浴剤、飲料等に使用して、溶岩の遠赤効果、バナジウムの生理・薬理機能、殺菌効果に加えて、多量の鉄や各種ミネラルを、直接又は毛穴から体内に吸収させ、日々の健康に貢献できる。
【解決手段】伊豆天城山系から採取し、赤色を帯びた溶岩(通常の溶岩は黒色)を破砕し、分別して多用途基材1とする。粒径D(=約10〜50mm)の多用途基材1、1を、柔軟性を有する網袋6に詰めて、浴剤としての多用途体10とする(a)。網袋6は下部6aを、水分を通さないフィルム状の材質として、上部を、水を通し網径L<D、で形成する。網袋6に入れた多用途体10を浴槽に入れ、また、網袋6を、深皿状で透孔36、36を形成した外容器35に収容して、多用途体を構成する(b)。多用途基材1、1から欠けたあるいは溶け出した色素のある成分は下部6aに溜まり、浴槽内に流出を制限できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特殊成分の溶岩を使用して、入浴剤、砂風呂、浄水ポット、加熱調理プレート、殺菌剤、化粧品等を構成できる多用途体、入浴剤としての多用途体を使用した入浴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
溶岩一般の遠赤外線効果や多孔質による吸着効果を利用した発明は多数提案されている。例えば、亜鉛を豊富に含む溶岩を利用した水の改質材を浴剤に使用するものが提案されている(特許文献1)。また、粒径0.1〜5mmの溶岩の粒状体をティーバック容器に入れて飲料の改善材としたものが提案されている(特許文献1)。また、加熱調理用プレートでは複数の透孔を空けた円盤状の石板から構成したもの(特許文献3)、上蓋と下蓋との間に溶岩を入れたもの(特許文献4)等が提案されている。
【特許文献1】特開2004−105934
【特許文献2】特開2005−111396
【特許文献3】特開2004−243073
【特許文献4】特開平11−164781
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1では、一般的な遠赤外線効果のみを利用して浴剤に使用できるという提案をしているだけであり、浴剤として効果を十分発揮できる構成は提案されていない。また、浄水においては、特許文献2では、個々のカップに入れて使用する提案であり、テーブルに置くポットのような大量な水を処理できる溶岩の性質を有効に発揮できていない。
【0004】
また、調理プレートでは、特許文献3では直接石板を火にかけるもので、石板の加工を要し、汚れた石板を清掃することが困難であった。また、特許文献4では、上下蓋を必須の条件としており、火力を溶岩に伝えにくく、また電磁プレートなどには適用できなかった。
【0005】
更に、いずれの提案も一般的な溶岩の多孔性を利用したもので、様々な性質を有する各種溶岩の検討が一切なされていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
然るに、この発明は、特殊な産地の特殊な性質を有する溶岩材料を使用して処理して構成したので、前記問題点を解決した。
【0007】
即ちこの発明は、以下のような構成で浴剤を構成したことを特徴とする多用途体である。
(1)溶岩から起因した材料を、粒径30mm以上の粒を揃えて、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を前記粒径より細かい網目を有する容器に収容する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。ここで、容器に、収容した多用途基材を水中又は水上に浮かせることができる浮力を有する浮き材を内装又は連結することもできる。
【0008】
また、他の発明は、以下のような構成で浴剤を構成したことを特徴とする多用途体である。
(1)溶岩から起因した材料を、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を、柔軟容器に収容する。前記柔軟容器は下部が液体を透過せず、上部が液体を透過する材質で形成する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。また、ここで、他の発明は、多用途基材を収容した柔軟容器を、保型性を有する外容器に収容してなり、該外容器は、浴槽内に設置又は載置でき、かつ上面を開口すると共に側面に透孔を形成することもできる。
【0009】
また、他の発明は、以下のような構成で浴剤を構成したことを特徴とする多用途体である。
(1)溶岩から起因した材料を、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)所定高さに座板を要する椅子の該座版の下面側に収容部を形成し、該収容部内に前記多用途基材を収容する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【0010】
また、他の発明は、以下のような構成で敷物を構成したことを特徴とする多用途体である。
(1)溶岩から起因した材料を、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)所定広さの敷物基材に、1つ又は複数の収容部を形成し、該収容部内に前記多用途基材を収容する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【0011】
また、他の発明は、以下のような構成で浄水ポットを構成したことを特徴とする多用途体である。
(1)溶岩から起因した材料を、粒径20〜40mmに粒を揃えて、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を前記粒径より細かい網目又は透孔を形成した容器内に収容して、その容器を水を入れるポットに入れて、浄水ポットを構成したことを特徴とする多用途体。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【0012】
また、他の発明は、以下のような構成で加熱調理プレートを構成したことを特徴とする多用途体である。
(1)溶岩から起因した材料を、粒径10〜20mmに粒を揃えて、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を耐熱容器の凹部に敷き詰める。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【0013】
また、他の発明は、前記のような浴剤として使用する各多用途体を、1000p.p.m.以上の炭酸ガス濃度を有する炭酸水内に配置したことを特徴とする入浴システムである。
【0014】
前記において、多用途基材を構成する「前記溶岩から起因した材料」の「粒子の色が赤味を有し」は、通常の黒色の溶岩とは異なり、鉄分が多く含まれることによる。即ち、通常の溶岩は黒色であり、この発明のこのデータを元に赤と黒の違いは、黒では、微量ミネラルの鉄分が本件は290μg/L、従来の黒い溶岩は34.4μg/Lで、大きな違いがある。これは、産出する「伊豆天城山系」が海底から隆起して形成されたと考えられ、その溶岩が海から上がってきて形成されたので海塩の影響を受け、多量に含まれるFe鉄が酸化して赤色になったものである。
【0015】
また、前記において、耐熱容器とは、金属やセラミックなどからなり、底面に炎や電気的あるいは磁気的に加熱して、凹部内に調理物を入れて加熱調理できる耐熱性の容器を指す。
【発明の効果】
【0016】
この発明の多用途基材は、溶岩からなることによる遠赤外線効果、多孔性であることによる塩素などの吸着効果、各種ミネラル成分を溶出させる効果、殺菌効果がある。とりわけ、(1)伊豆天城山系から採取し、(2)粒子の色が赤味を有し、(3)バナジウムを侵出できる ことにより、これらの効果を増強できる。即ち、バナジウムの持つ生理・薬理機能(例えば、高い血糖値の降下作用・細胞質のアルカリ化作用・遊離脂肪酸の生産阻止機能 等)に加えて、赤色の原因である多量の鉄ミネラルを初めとする各種ミネラルを、直接又は毛穴から吸収させることができ、日々の健康に貢献できる。
【0017】
とりわけ、遠赤外線の効果は、常のセラミックスが黒体の50〜60%であるのに対して、この多用途基材では、黒体の90%程度の遠赤外線効果がある。
【0018】
また、とりわけ、殺菌効果については多用途基材を浸けた水と減菌精製水とを比較対照として、寒天培地でサルモネラ菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、腸管出血性大腸菌(O157)を培養した結果、いずれの細菌も減少させ、殺菌効果が認められた。また、多用途基材を浸けた水からサルモネラ菌、大腸菌、O−157、レジオネラ属菌も不検出であった。
【0019】
従って、多用途基材を入浴剤に使用した場合には、体が芯まで温まり湯冷めしにくい効果がある。また、残留塩素を除去し、ミネラル成分を溶出するので、温泉効果がある。また、殺菌効果があるので、浴槽のぬめりが無くなり、汚れが付着しにくくなる。
【0020】
また、多用途基材を飲料水に使用した場合には、残留塩素を除去して、ミネラル成分を溶出するので、水道水を手軽にミネラルウォータに変えることができる。また、殺菌作用を有するので常温も長持ちさせることができる。
【0021】
また、多用途基材を調理用プレートに適用した場合には、多用途基材に直接に調理対象をのせることができ、かつ優れた遠赤外線効果により、調理対象(肉類、野菜類、魚類など)を調理でき、かつ殺菌し、ミネラル成分を付加させることができる。また、比較的小さな粒を敷き詰めたので、調理後は表面の多用途基材のみを洗浄し、あるいは交換するだけで、新しい調理面を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(1) 伊豆天城山系の東側から採取した溶岩であって、赤色を帯びた溶岩(通常の溶岩は黒色)を破砕し、ふるいにかけて、粒子の大きさごとに分別する。分別した粒子は洗浄して、乾燥し、必要であれば、加熱して殺菌する。
【0023】
(2)使用目的に応じて、粒径を揃えて、多用途基材を構成する。これらの多用途基材を使用目的に応じた容器に収容して、浴剤等、この発明の多機能体を構成する。
【0024】
この発明の実施に使用する多用途基材を各種の手段で分析した結果を以下に示す。
【0025】
(3)成分分析 その1
多用途基材について、エネルギー分散形X線分析(EDS)による元素分析を行った。
【0026】
(a)資料は、アルミナ乳鉢中で微粉砕し、メッシュ径38μmのふるいを通過させ、粒径を均一に下したものを分析用試料とした。
【0027】
(b)分析方法
錠剤成型器によりディスク状にした分析用試料をポリエチレン製の資料台上にカーボンテープで固定し、以下の条件で元素分析をした。また、分析は無作為に選んだ5地点について行い、その平均値を算出した。尚、EDSによる元素分析は、試料に電子線を照射し、そこから発生する特性X線をエネルギーごとに分光し、元素の同定を行う。分析値は、全体を100wt.%としたときの、各元素の割合である。
【0028】
(c)分析条件
・分析装置:日本電子 JED−2100
・加速電圧:20kV
・試料室内圧:25Pa
・分析元素:B(ホウ素)〜92U(ウラン)
【0029】
(d)分析結果
下記表1のようになった。
【表1】

【0030】
(4)成分分析 その2
溶出試験を行った。
【0031】
(a)試験方法
・4種類(4ヶ所から採取)の溶岩を同量ずつ混ぜ合わせたものを使用とした。
・溶出方法:環境庁告示13号による。
・溶出液:超純水に塩酸を加えて、pH=6に調整した。
・測定方法
Ca、Mg、Na、K、Fe、Mn:誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)法
Zn、Cu:誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)法
【0032】
(b)試験結果
溶出物の定量は以下の表2の通りである。尚、代表的な黒色の溶岩である富士山系の溶岩の溶出物データを併記する。
【表2】

【0033】
(5)成分分析 その3
25日間(20℃)の水中に放置し、侵出させた水中Ge濃度、V濃度を、ICP分析法で測定した。測定結果は、以下の表3の通りである。
【表3】

【実施例1】
【0034】
図1〜図7に基づきこの発明の実施例を説明する。この実施例は、多用途体として、浴剤に使用した実施例である。
【0035】
[1] 多用途基材1、1として、浴剤に使用する場合には、前記の多用途基材1、1を粒径D(=約40mm)に揃えて、必要量を用意する。必要量は、お湯1000Lあたり、6〜8kg程度である。多用途基材1の粒径は、Dは、40mm程度が望ましいが、30〜50mmに形成してあれば良い。
【0036】
[2] 立方体又は直方体で、上面(天面)を開放し、下面(底面)にタイル・樹脂などの浴槽が傷つかないような材料からなる板材3を配置し、四側面に網目L、L<D、の網板4、4を配置し、容器2を構成する。
【0037】
この場合、容器2は上面も網板4で蓋をした構造とすることもできる(図示していない)。また、底面に板材3を配置したが、底面も網板4とすることもできる(図示していない)。また、網板4に代わり、たくさんの孔(孔径<D)を空けた板材を使用することもできる(図示していない)。
【0038】
また、上面が開口して5面に板材3、3を配置し、上縁に低い網板5、5を柵状に周囲に突設することもできる(図2(a)(b))。この場合も網板5の網目L、L<D、で形成し、少なくとも底板は浴槽を傷つけない材質とする(5面の板材の全部を浴槽が傷つかない材料とすることが望ましい)。
【0039】
[3] 容器2内に多用途基材1、1を充填して、この発明の多用途体(浴剤)10を構成する。多用途体10を浴槽12のお湯及び/又は水の吐出口(蛇口)13の下方に配置する。浴槽12にお湯が入っていない場合には、直接に多用途体1、1に水又はお湯が当たるように使用することが望ましい。また、入浴の数時間前に浴槽12のお湯又は水の中に浸ければ、前記表のようなミネラル成分が浴槽12内のお湯に抽出する。また、多用途基材1、1の多孔質により、水の濾過、残留塩素を浄化することができる。また、お湯で暖められた多用途基材1、1の遠赤外線効果により、浴槽使用者は、湯冷めをせずに、体を温めることができる。
【0040】
また、前記構造の各容器2で、耐熱性を付加した容器(例えば、ステンレス製の板材と網板を組み合わせて構成する)に多用途基材1、1を入れた状態で、サウナルームに設置して使用することもできる(図示していない)。この場合には、多用途基材1、1に熱した水をかけ、あるいは多用途基材1、1を熱して、熱した多用途基材1、1に水をかけて、スチームサウナとして使用する。
【0041】
[4]他の実施例
【0042】
(1) 前記実施例において、容器2として、ひのき材などの木材を使用して、格子状又は桟材を組み合わせて、隙間を有する容器を構成することもできる。また、竹材や各種間伐材を使用すれば、環境にやさしい構成とすることもできる。この場合、容器2内に直接に多用途基材1、1を入れる場合には、隙間は水が流通するが、多用途材1、1が外に出ない程度の大きさとする。
【0043】
(2)また、前記実施例において、容器2として箱形を使用したが、柔軟性を有する網袋6を使用することもできる。この場合にも網袋6の網径L<D、で形成する。このような網袋6に同様の量の多用途基材1、1を収容して、多用途体10を構成する(図3(a))。網袋6は、少量の多用途基材1、1を収容する家庭用の浴槽(容量が少ない180〜300L程度)に適するが、他の容量、例えば業務用(銭湯、旅館、健康ランドなど)の浴槽(容量2000L以上)に使用することもできる。この場合も多用途体10を紐7で浴槽12の吐出口13の周辺に取り付けて使用することが望ましいが、浴槽12内の他の位置に取り付けることもできる。
【0044】
また、網袋6を使用した場合に更に外側に、網袋6を保護する為に、上方に開口し底板を有し、側面及び/又は底面に透孔9、9を有する外筒8を被せることもでき(図3(b)(c))、この場合、網袋6と外筒9とで容器2を構成する。
【0045】
(3) また、前記実施例では多用途基材1、1を収容した網袋6を浴槽12の底に沈め、あるいは吐出口13付近に紐7で固定したが、浮き15を使用してお湯の表面又はお湯の中に多用途基材1、1を収容した網袋6を位置させることもできる(図5)。この場合、浮き15は、所望の浮力を発揮するように使用する多用途基材1、1の重量に応じて選択して使用する。
【0046】
例えば、前記網袋6に多用途基材1、1を入れた状態で、浮き(例えば。発泡スチロール製)15に固定して、多用途体10を構成する(図5(a))。この場合、網袋6の底部を浮きの底面に固定する。また、浮き15と、多用途基材1、1を収容した網袋6とを紐7で連結することもできる(図5(b))。
【0047】
また、ドーナツ状の浮き15の中央部16に、多用途基材1、1を収容した網袋6を固定することもできる(図5(c))。
【0048】
また、網袋6の中央部に浮き15を配置し、浮き15の周囲で、網袋6の中に多用途基材1、1を収容することもできる(図5(d))。
【0049】
(4) また、前記実施例において、多用途基材1を入れる容器2の一側の上端部に逆L字状の係止部2、2を形成して多用途体10を構成することもできる(図6(a)(b))。この場合には、係止部2、2を浴槽12の側板14の上縁14aに係止して、容器2を設置する。
【0050】
また、係止部に代えて、容器2の一側に吸盤17、17を取り付けて、浴槽2の側板14の内面14bに容器2を取り付けて、多用途体10を構成することもできる(図6(c)(d))。
【0051】
また、この場合、容器2にディスプレイ33(液晶、ブラウン管など)を取り付けて多用途体10を構成することもできる(図7)。この実施例では、浴槽12の側板14の上縁14にディスプレイ33が載置され、入力中にTVやVTR等の画像を楽しむことができる。また、この場合、スピーカ等の音響装置も同時に内蔵ずる。同様に、ディスプレイ33に代えて又はディスプレイ33と共にCD、カセットテープ、ラジオなどの音響装置を組み込むこともできる(図示していない)。
【実施例2】
【0052】
図8、図9に基づきこの発明の他の実施例について説明する。多用途体を他の構成の浴剤に使用した実施例である。
【0053】
[1] 多用途基材1、1として、浴剤に使用する場合には、前記の多用途基材1、1を粒径D(=約10〜50mm)で必要量を用意する。必要量は、お湯1000Lあたり、6〜8kg程度である。
【0054】
柔軟性を有する網袋6を使用することもできる。網袋6は下部6aを、水分を通さないフィルム状の材質とし、上部を、水を通す網径L<D、で形成する。このような網袋6に多用途基材1、1を収容して、紐7で口を閉じて、多用途体10を構成する(図8(a))。
【0055】
このまま、網袋6に入れた多用途体10を浴槽に入れても良いが、多用途基材1、1を入れた網袋6を、深皿状で側面に透孔36、36を形成して柔軟材料からなる外容器35に収容して、多用途体を構成することもできる(図8(b))。この場合、外容器35は木製とすることが好ましいが、各種樹脂や各種金属など他の材料から構成することもできる。
【0056】
[2] このようにして構成した多用途体10を浴槽の底に載置して、前記実施例1と同様に浴剤として使用する。この実施例1の網袋6は下部6aを水分を通さない材質としてあるので、多用途基材1、1から欠けたあるいは溶け出した色素のある成分は下部6aに溜まり、浴槽内に流出することを軽減できる。尚、多用途基材1、1の有効ミネラル成分は網袋6の上部6bから浴槽内に溶出するので、前記多用途基材1、1の諸機能発揮には支障がない。
【0057】
[3] 前記実施例において、外容器35として、深皿状の容器を使用したが、壷状で側面に透孔36、36を形成し、かつ側面に吸盤17を取り付けた外容器35を使用することもできる(図9(a))。この場合も多用途基材1、1を詰めた網袋6を外容器35に収容して多用途体10を構成する(図9(b))。網袋6は、下部6aを水分を通さないフィルム状の材質とし、上部6bを網径L<D、で形成してあり、口を紐7で閉じてある。多用途体10は、吸盤17で、浴槽12の側板14の内面14bに取り付けて使用する(図9(b))。
【0058】
また、前記実施例において、多用途基材1の粒径Dは、前記実施例1と同様に揃えて構成することもできる。
【実施例3】
【0059】
[1] 図10に基づいて、この発明の他の実施例について説明する。この実施例は、浴室用の椅子に多用途基材1、1を収容して、浴剤としての多用途体10を構成した実施例である。
【0060】
座板39と側板41とからなる椅子基材38の座板39に開口40を形成し、座板39の下面に、外壁に透孔44、44を形成した収容箱(収容部)42を一体に形成する。収容箱42の上縁開口43は、座板39の開口40に一致させてあり、座板39の開口40に蓋45を取り付け、多用途体10(椅子兼用の浴剤)を構成する(図10(a))。ここで、椅子基材38は、木製とすることが好ましいが、各種樹脂や金属など他の材料から構成することもできる。
【0061】
多用途基材1、1として、粒径D(=約10〜50mm)で、前記同様の必要量を用意する。網径L<D、で、柔軟性を有する網袋6内に、多用途基材1、1を詰める。多用途基材1、1を詰めた網袋6を収容箱42に入れて、この発明の多用途体(浴剤)を構成する(図10(a))。尚、蓋45に透孔46を形成してある。
【0062】
[2] このようにして構成した多用途体10を浴槽12の底12aに載置して、前記実施例1と同様に浴剤として使用する(図10(c))。この場合、入浴者は、多用途基材1、1から有効成分が溶出したお湯内で、椅子に座って有効に半身浴をすることができる。
【0063】
この場合、蓋45を取り外して、網袋6を取り出して、多用途基材1を乾かし、あるいは取り換えることができる。また、この場合、ジェット気流装置47を併用すると、多用途基材1の効果を更に高めることができる(図10(c)鎖線図示47)。
【0064】
[3] 前記実施例において、椅子基材38と収容箱42を一体に形成したが、椅子基材の下面に別体の収容箱を固定することもできる(図10(b))。即ち、座板39と側板41とからなる椅子基材38の座板39の下面に、外壁に透孔44、44を形成した収容箱(収容部)42を固定する。この場合、座板39の透孔46から、網袋6を取り出すことができる。
【0065】
また、前記実施例において、網袋6は、前記実施例のように、下部6aを水分を通さないフィルム状の材質とし、上部を網径L<D、で形成することもできる(図示していない)。
【実施例4】
【0066】
図11に基づきこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は、敷物に多用途基材1、1を詰めて、布団のようなマットを構成した実施例である。
【0067】
[1] 多用途基材1、1として、マットに使用する場合には、前記の多用途基材1、1を粒径D(=約1〜20mm)で必要量を用意する。
【0068】
敷物基材49の内部を複数の収容部49a、49aに区分けし、区分けした収容部内に多用途基材1、1を詰めて、この発明の多用途体(マット)50を構成する(図11(a))。前記における敷物基材49は、織物の場合には、多用途基材1の粒径Dより織り目が小さく形成され、多用途基材1が漏れないようになっている。また、人がさわっても痛さを感じないように、少なくとも一面を厚く形成し、あるいは柔らかい材質で形成し、又は表面処理を施してある。
【0069】
[2] このようにして構成した多用途体50を、ベッド51上に載置して使用する(図11(b))。この場合、必要ならばシーツ類52で上面を覆い、使用者53はこの上に横たわる。使用者53は多用途基材1、1の遠赤外線効果により新陳代謝が高められ、ドライサウナ同様の効果が得られる。また、空気中の水分が多用途基材1のミネラルを溶出して、使用者53はこのミネラル分を毛穴又は口腔から吸収することができる。従って、いわゆるエステ効果も得られる。
【0070】
また、この場合、室内の壁54の表面、さらには床55の表面に、多用途基材1、1を取り付けて表面に露出させれば、更に遠赤外線効果及びミネラル吸収効果などの多用途基材1、1の効果を高めることができる。
【0071】
[3] 前記実施例において、敷物基材49の収容部49a、49aに多用途基材1、1を詰めたが、収容部49aの大きさに見合った個袋に多用途基材1、1を詰めて、この個袋を収容部49aに収容することもできる(図示していない)。
【実施例5】
【0072】
図12に基づきこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は、シャワー等に使用した実施例である。
【0073】
シャワー供給用のホース58の途中に密閉容器59を中継して、密閉容器内に粒を揃えた多用途基材1、1を詰めて、多用途体(シャワー)57を構成する。このシャワーでは、水道水の塩素など髪や体に良くない成分を除去して、ミネラル成分をした水を供給できる。
【0074】
同様に、水冷式の空調機の室外機(クーリングタワー)内に多用途基材1、1を入れて冷却水を循環させれば、水道水の塩素の影響を除去して、ミネラルが溶出され、問題となっている白い固着汚れ(シリカ)の低減を可能にし、冷却水を浄化して水の流れを良くすることにより冷却効率を上げ、省エネに貢献することができる。
【実施例6】
【0075】
この実施例は、多用途体として、砂風呂に使用した実施例である。
【0076】
多用途基材1として、砂風呂に使用する場合には、前記の多用途基材1を粒径Dを10mm以下に揃える。地面に人が横になり、あるいは座って入れる凹部を掘り、掘った凹部内に多用途基材を入れて、砂風呂(多用途体)を構成する(図示していない)。
【実施例7】
【0077】
図13に基づきこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は、多用途体20として、浄水ポットに適用した実施例である。
【0078】
多用途基材20として、浄水に使用する場合には、前記の多用途基材1、1を粒径D=20〜40mmに揃えて、必要量を用意する。必要量は、水1Lあたり、100〜300g程度である。この多用途基材1、1を、網目L<D の網袋6に入れて、これをポット18に入れて浄水ポット(多用途体)20を構成する(図13(a))。
【0079】
また、ポット18の蓋19の下面に、径Lの透孔22、22を多数空けた筒21に前記の多用途基材1、1を収容して、浄水ポット20を構成することもできる(図13(b))。
【0080】
また、同様に受水槽およびポリタンクに多用途基材1、1を入れれば、水をミネラル水化でき、ミネラル成分による殺菌効果と遠赤外線の効果を発揮できる。
【実施例8】
【0081】
図14に基づきこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は、多用途体30として、加熱調理用プレート30に適用した実施例である。
【0082】
(1) 耐熱容器24は、鉄製で凹部25を有し、凹部25の底に多数の突起26、26を備えている。この耐熱容器24の凹部25内に、前記の多用途基材1、1を粒径D=20〜40mm程度に揃えて、敷き詰めて、この発明の加熱調理プレート(多用途体)30を構成する(図14(a))。凹部25内で多用途基材1、1は上下方向で複数段に重なっており、上面27は平面に近くなるように均してある。このように構成した加熱調理プレート30をガスコンロ31に載せて、肉などの調理対象物を多用途基材1、1の上面27に直接に載せて調理する(図14(b))。
【0083】
(2) 前記実施例において、耐熱容器24は、使用する加熱装置(ガスコンロ、電気コンロ、電磁クッキングヒーターなど)により適した材料で構成する。例えば、ステンレス、アルミニウム、陶磁器、他のセラミック等を選択して使用することもできる(図示していない)。
【0084】
また、前記実施例において、敷き詰めた多用途材料の上面に各種網目の網をおいて、加熱調理プレート30を構成することもできる(図示していない)。
【実施例9】
【0085】
次ぎに、この発明の入浴システムについて説明する。
【0086】
実施例1〜3に記載した各種網袋6や各種容器2に多用途基材1、1を収容して構成した多用途体10を、炭酸水を入れた浴槽内に配置して、この発明の入浴システムを構成する(図示していない)。
【0087】
この場合、炭酸水は水に人工の炭酸ガスを注入して、あるいは天然の炭酸水に更に人工の炭酸ガスを注入して、濃度1000p.p.m.以上の炭酸水とする。好ましくは濃度1200p.p.m.以上とする。また、炭酸ガスを注入する水は、実施例5の方法や他の方法により予め多用途基材1、1のミネラル成分を付加し、多用途基材1、1で不要物を除去した水を使用することもできる。
【0088】
このような入浴システムでは、前記にような多用途基材1、1の効果(各種ミネラル成分の付加、塩素の除去、遠赤外線効果など)に加え炭酸水により、血流量が増加し、酸素と栄養素が体の隅々まで運ばれ、細胞の活性化が図られ、老廃物(尿酸、中性脂肪、コレステロールなど)の排出が促進される。更に、弱酸性による美肌効果(いわゆるアストリンゼン効果)を得ることができる。よって、炭酸水と多用途基材1、1の効果により、高血圧、心疾患、糖尿病、冷え性、肩こり、筋肉痛、ストレスの解消や治療の促進に役立つ。
【0089】
また、前記実施例において、多用途基材1、1を浴槽内の炭酸水に配置したが、更に、「多用途材1、1の効果と炭酸水を併せた水」をミストとして浴室内に充填すれば、更に上記効果を高めることができる。この場合、「多用途材1、1の効果を有する水」または「炭酸水」をミストとすることもできる。
【0090】
また、浴槽に蓋をして首のみを出し、半身浴として、浴槽内の「炭酸水と多用途体10を入れた炭酸水」で下半身を浸し、蓋内で首から下の上半身に前記「多用途材1、1の効果と炭酸水を併せた水」のミストを当てて、サウナのようにして、この発明の入浴システムとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】(a)はこの発明に使用する容器で、(b)は(a)の容器に多用途基材を収容して浴剤(多用途体)を構成した状態の縦断面図である。
【図2】(a)はこの発明に使用する他の容器で、(b)は(a)の容器に多用途基材を収容して浴剤(多用途体)を構成した状態の縦断面図である。
【図3】(a)はこの発明に使用する他の容器に多用途基材を収容して浴剤(多用途体)を構成した状態ので、(b)は(a)の浴剤を更に外筒に収容する構成を示す図で、(c)は(b)の構成で浴剤(多用途体)とした状態の縦断面図である。
【図4】浴剤を浴槽に設置した状態の斜視図である。
【図5】この発明の浮きを使用した浴剤(多用途体)で、(a)〜(c)は異なる構成の正面図、(d)は異なる構成で一部を破折した正面図である。
【図6】(a)は他の容器を使用した実施例の正面図、(b)は縦断面図、(c)は同じく他の容器を使用した実施例の正面図、(d)は縦断面図である。
【図7】同じくディスプレイ付きの容器を使用した実施例で(a)は正面図、(b)は縦断面図である。
【図8】同じく他の浴剤の実施例で(a)は縦断面図、(b)は正面図である。
【図9】同じく他の浴剤の実施例で(a)は縦断面図、(b)は正面図である。
【図10】(a)(b)は椅子兼用の浴剤に使用した実施例で、(c)はその使用状態である。
【図11】(a)はマットに使用した実施例で、(b)は使用状態である。
【図12】シャワーに使用した実施例の一部を破折した正面図である。
【図13】(a)(b)は、飲用ポット(多用途体)を構成した一部を破折した正面図である。
【図14】この発明の調理プレート(多用途体)で、(a)は縦断面図、(b)は調理プレートをコンロに載せて使用している状態の図である。
【符号の説明】
【0092】
1 多用途基材
2 容器
3 板材
4 網板
5 低い網板
6 網袋
7 紐
8 外筒
9 透孔(外筒)
10 浴剤(多用途体)
12 浴槽
13 吐出口
15 浮き
16 浮きの中央部
18 ポット
19 ポットの蓋
20 浄水ポット(多用途体)
21 筒
22 筒の透孔
24 耐熱容器
25 耐熱容器の凹部
26 耐熱容器の突起
27 多用途基材の上面
30 加熱調理用プレート
31 コンロ
35 外容器
36 外容器の透孔
38 椅子基材
39 椅子基材の座板
41 椅子基材の側板
42 収容箱(収容部)
45 蓋
49 敷物基材
49a 収容部
50 マット(多用途体)
51 ベッド
57 シャワー(多用途体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のような構成で浴剤を構成したことを特徴とする多用途体。
(1)溶岩から起因した材料を、粒径30mm以上の粒を揃えて、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を前記粒径より細かい網目を有する容器に収容する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【請求項2】
容器に、収容した多用途基材を水中又は水上に浮かせることができる浮力を有する浮き材を内装又は連結したことを特徴とする請求項1記載の多用途体。
【請求項3】
以下のような構成で浴剤を構成したことを特徴とする多用途体。
(1)溶岩から起因した材料を、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を、柔軟容器に収容する。前記柔軟容器は下部が液体を透過せず、上部が液体を透過する材質で形成する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【請求項4】
多用途基材を収容した柔軟容器を、保型性を有する外容器に収容してなり、該外容器は、浴槽内に設置又は載置でき、かつ上面を開口すると共に側面に透孔を形成したことを特徴とする請求項3記載の多用途体。
【請求項5】
以下のような構成で浴剤を構成したことを特徴とする多用途体。
(1)溶岩から起因した材料を、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)所定高さに座板を要する椅子の該座版の下面側に収容部を形成し、該収容部内に前記多用途基材を収容する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【請求項6】
以下のような構成で敷物を構成したことを特徴とする多用途体。
(1)溶岩から起因した材料を、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)所定広さの敷物基材に、1つ又は複数の収容部を形成し、該収容部内に前記多用途基材を収容する。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【請求項7】
以下のような構成で浄水ポットを構成したことを特徴とする多用途体。
(1)溶岩から起因した材料を、粒径20〜40mmに粒を揃えて、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を前記粒径より細かい網目又は透孔を形成した容器内に収容して、その容器を水を入れるポットに入れて、浄水ポットを構成したことを特徴とする多用途体。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【請求項8】
以下のような構成で加熱調理プレートを構成したことを特徴とする多用途体。
(1)溶岩から起因した材料を、粒径10〜20mmに粒を揃えて、洗浄、乾燥して、多用途基材を形成する。
(2)前記多用途基材を耐熱容器の凹部に敷き詰める。
(3)前記溶岩から起因した材料は、
(a)伊豆天城山系から採取し、かつ
(b)粒子の色が赤味を有し、かつ
(c)バナジウムを侵出できる
材料とする。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5記載の多用途体を浴剤として、1000p.p.m.以上の炭酸ガス濃度を有する炭酸水内に配置したことを特徴とする入浴システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−126445(P2007−126445A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270372(P2006−270372)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(305045265)有限会社イーワン・テクノ (1)
【Fターム(参考)】