説明

溶接材料管理システム

【課題】
本発明の目的は、溶接材料のトレーサビリティと溶接作業者による溶接材料の誤使用防止によって信頼性向上を図ると共に、溶接材料の管理を適切に行うことができる溶接材料管理システムを提供することにある。
【解決手段】
識別番号と所定の情報が記録された電子タグが貼付けられた溶接材料を管理室に入庫し入庫された溶接材料についてデータ照合するステップと、生産管理票に使用する溶接材料を登録するステップと、生産管理票に使用する溶接材料に対して管理室に入庫した溶接材料と照合しデータベースに記録するステップと、照合された溶接材料を溶接作業者に払出すステップと、溶接作業後の溶接記録をデータベースに入力するステップと、溶接作業後の溶接材料の残量及び残った溶接材料の管理室への返却についてデータベースに入力するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接材料のトレーサビリティ、溶接作業者による溶接材料の誤使用を防止する新規な溶接材料管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は従来の溶接材料管理システムを示すフロー図である。図3に示すように購入者が発注201し、溶接材料メーカで製作202され、購入者に納入203される。
【0003】
溶接材料200には、購入者側の購入仕様書206に指示された要求に応じて、又は製造メーカ側の管理のために溶接材料端面に溶接材料銘柄に応じて色分けしたペイントを施したり、銘柄等を記載したタグを貼り付けて識別している。また、製造メーカ側で梱包してくる溶接材料200の容器には、製造メーカ名、銘柄、材料証明書(CMTR又はミルシート)のNo.、サイズ、ヒート(ロット)No.、重量等を記載したシールを貼る等して識別している。
【0004】
納入203の際には、購入者は、発注201した溶接材料200であるかどうかを確認する受入検査205を実施する。受入検査205では、材料証明書207と購入者が発注201の際に溶接材料メーカに渡す購入仕様書206との照合を行い、合否判定を行う。合格すれば合格したことを示す材料出庫ラベルを貼り、溶接材料管理室209に入庫される。溶接材料管理室209に入庫する際には、溶接材料200の銘柄、材料証明書207のNo.、サイズ、ヒート(ロット)No.、入庫量等を溶接材料管理台帳210に記録する。
【0005】
溶接材料管理室209に入庫され、保管されている溶接材料200を溶接作業者が使用するためには、溶接作業者はまず図面、生産管理票、溶接施工方法を記した溶接施工法データシート等に記載されている溶接材料名及び作業番号等、作業内容を識別する番号等を記載した溶接材料出庫カード211を作成する。作成した溶接材料出庫カード211は、現場組長又は作業主任等作業管理者の承認を得た後、溶接材料管理室209の管理者に提示し、必要な溶接材料200を払出してもらう。溶接材料管理室209の管理者は、溶接作業者から使用の要求のあった溶接材料200を払出す際には、その銘柄、払出し量、払出し時間等を記入する証明カード213を作成し、払出す溶接材料200を入れる容器等に取り付けて識別管理した上で溶接作業者に渡す。
【0006】
溶接材料200を受け取った溶接作業者は、溶接施工データシートに基づき作業を実施すると共に、使用した溶接材料200の材料証明書207のNo.等を溶接作業記録214に記入し、当該製品又は当該溶接継手に使用した溶接材料200を特定できるように管理している。
【0007】
溶接作業終了後、残った溶接材料200は、証明カード213と共に、溶接材料管理室209に返却する。溶接材料管理室209の管理者は、残った溶接材料200及び証明カード213を溶接作業者より受け取り、溶接材料管理台帳212に返却された溶接材料200と証明カード213に記載した払出し量の差より実際に使用された溶接材料200の量を算出し、在庫量を管理する。
【0008】
溶接材料200の中で被覆アーク溶接棒等製造メーカからの梱包を開封し、気中に晒した場合、空気中の水蒸気から吸収した水分(水素)を放出するために、指定された温度と時間で再乾燥を行い、再乾燥後ある一定の温度で保管が必要な溶接材料200は、溶接作業者からの返却後、溶接材料管理室209の管理者により再乾燥及び一定温度での保管が行われる。
【0009】
また、再乾燥の回数にも制限があるもの、又は、一定温度での保管においても製造メーカからの梱包を開封した後の有効期限が設定されている溶接材料がある。再乾燥回数は、個々の溶接材料(溶接棒)に再乾燥回数に応じたペイントを施す等乾燥回数識別マーキング215により管理される。例えば、乾燥1回目は1本の赤色の線、2回目は1本の赤色の線を追加して合計2本の赤い線を溶接材料(溶接棒)の一部にペイントする。有効期限管理216については、溶接材料管理台帳又は溶接材料200の収納容器に記載した開封日又は製造年月日から溶接管理室の管理者が算出し、有効期限を超えた溶接材料を廃棄処理217している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の溶接材料管理システムでは、溶接材料のトレーサビリティ管理は、現状紙ベースで人が管理しており、溶接材料200の銘柄、材料証明書207を紙に記載して溶接材料200の識別管理を行っているので、転記ミス等が発生する可能性は否定できない。また、実際に溶接作業を実施する前に溶接作業者が溶接される製品に使用して良い溶接材料であるかの最終確認は、溶接作業者が行うが、同様にヒューマンエラーによる誤認の可能性も否定できない。
【0011】
更に、従来技術においては、個々の溶接材料に識別マーキング等が実施しているものの、記載できる情報は銘柄等限られると共に、各々の溶接材料200自体に詳細且つ信頼性の高いトレーサビリティ性を持たせることは、例えばバーコードのようなものでは使用できる(記憶できる)容量が電子タグに比べて小さいため、同一バーコード番号の再使用等が発生する可能性が高い。
【0012】
本発明の目的は、溶接材料のトレーサビリティと溶接作業者による溶接材料の誤使用防止によって信頼性向上を図ると共に、溶接材料の管理を適切に行うことができる溶接材料管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、溶接材料の識別管理に電子タグを使用することにより、そのトレーサビリティ、溶接作業者による溶接材料の誤使用を防止する等の信頼性向上を図れると共に、溶接材料の管理を適切に行うことができる溶接材料管理システムにある。電子タグは集積回路を有し、識別番号と所定の情報を記憶させることができ、外部からの電波による指示によってリードライタが行われるアンテナを有し、又、溶接材料に接着剤によって貼付けができるようにする。
【0014】
具体的には、本発明は、識別番号と所定の情報が記録された電子タグが貼り付けられた溶接材料を管理室に入庫し、」該入庫された前記溶接材料についてデータ照合するステップと、生産管理票に使用する溶接材料を登録するステップと、該生産管理票に示された使用する前記溶接材料に対して前記管理室に入庫した前記溶接材料とを照合しデータベースに記録するステップと、前記照合された前記溶接材料を溶接作業者に払出すステップと、溶接作業後の溶接記録を前記データベースに入力するステップと、前記溶接作業後の前記溶接材料の残量及び残った前記溶接材料の前記管理室への返却について前記データベースに入力するステップとを有することを特徴とする溶接材料管理システムにある。
【0015】
前記溶接材料を購入後に、前記識別番号と所定の情報を前記電子タグに登録し、前記識別番号と所定の情報が記録された前記電子タグを前記溶接材料に貼付けるステップを有し、前記識別番号と所定の情報が記録された電子タグが貼付けられた前記溶接材料を前記管理室に入庫する前記ステップを有すること、又は、前記識別番号と所定の情報とがデータベース化された電子タグが貼り付けられた前記溶接材料を購入し、それを前記管理室に入庫する前記ステップを有することが好ましい。
【0016】
溶接材料への電子タグの取付けは、同一の材料証明書である溶接材料で複数本まとめて管理することが可能な溶接材料の場合には、溶接材料を複数本納める容器に取付ける。この電子タグに個別の識別番号を記録し、この識別番号とコンピュータ等でデータベース化された溶接材料に関する情報である材料証明書No.、サイズ、ヒート番号、ロット番号、購入量等の情報をリンクさせ、一貫した溶接材料管理を行う。
【0017】
この電子タグを溶接材料の溶接材料製造メーカ発送段階もしくは購入者の受入時に取付け、溶接材料管理室での保管、溶接作業のいための払出し、溶接作業記録作成、返却、再乾燥及び有効期限管理を電子タグの識別番号とリンクした溶接材料情報及び使用履歴データベースにより一貫して管理する。
【0018】
また、溶接材料に関する情報である材料証明書No.、サイズ、ヒート番号、ロット番号、購入量等の情報をコンピュータ等でデータベース化し、この情報に電子タグに記録した識別番号をリンクさせることにより溶接材料の管理を行うこと、溶接材料を溶接作業者が溶接材料管理室から払出した時期、払出した回数、払出し期間、乾燥回数等の使用履歴の情報をコンピュータ等でデータベース化し、この情報に電子タグに記録した識別番号をリンクさせることにより溶接材料の管理を行うことのいずれか、又は組み合わせが好ましい。
【0019】
また、生産管理票又は作業指示書等で指示された当該溶接作業の欄に使用する溶接材料の情報(これは、識別No、バーコード、電子タグ等いずれの方法でも構わない)を溶接作業前に記録させておき、溶接作業者が溶接作業実施前に払出してきた溶接材料に取付けられた電子タグの情報と照合し、指定された溶接材料であるかどうかを判定し、コンピュータ画面、携帯端末に表示する、又はアラーム等の音声で確認できること、前述の照合結果、当該製品の生産管理票又は作業指示書等で指示された正しい溶接材料を溶接作業者が払出した場合には、照合された溶接材料の識別管理に必要な、電子タグに記録されている識別番号とリンクした情報、例えば材料証明書No.を溶接記録に自動的に入力されること、溶接材料の識別管理のため電子タグを購入者が、その製造メーカから納入され、受入検査に合格した時点で取付けることにより他社の意向に関係なく溶接材料の管理に電子タグを適用できることのいずれか、又は組み合わせが好ましい。
【0020】
前記電子タグには、前記溶接材料を使用して溶接された製品の識別番号及びその溶接継手番号とが記録され、該記録に基づいて前記製品に使用した溶接材料を特定すること、前記電子タグは購入者側が貼り付けるか、又は、溶接材料メーカ側が貼り付けることのいずれかが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、溶接材料のトレーサビリティと溶接作業者による溶接材料の誤使用防止によって信頼性向上を図ると共に、溶接材料管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、溶接材料を購入後に電子タグを貼付ける場合の本発明に係る溶接材料管理システムを示すフロー図である。図1に示すようにまず購入者が発注002し、溶接材料メーカで溶接材料001を製造003し、購入者に納入004される。製造メーカ側で梱包してくる溶接材料001の容器には、製造メーカ名、当該溶接材料001の銘柄、材料証明書007のNo.、サイズ、ヒート(ロット)No.、重量等を記載したシールが貼られている。
【0024】
溶接材料納入004の際には、購入者は、購入者が発注002した溶接材料001であるかどうかを確認する受入検査005を実施する。受入検査005では、CMTR(ミルシート)と呼ばれる材料証明書007と購入者が発注002の際に溶接材料メーカに渡す購入仕様書006との照合を行い、合否判定を行う。判定の結果、合格となった溶接材料001には、溶接材料の銘柄、材料証明書007のNo.、サイズ、ヒート(ロット)No.、入庫量等の入力情報009をデータベース化010する。
【0025】
次に、電子タグ008に入力された識別番号をリードライタ又はリーダ(以下、両者ともリーダーと呼ぶ)により読み込み、溶接材料001の入力情報009とリンク付けする。これにより、電子タグ008の識別番号から溶接材料001の入力情報009がデータ-ベース010より得られるようになる。電子タグ008は両面テープにて溶接材料001の収納容器又は溶接材料001自体に貼付けて011、溶接材料管理室に入庫し、溶接材料管理室入庫データ照合012する。
【0026】
電子タグ008は可撓性樹脂フィルム上に形成されたアルミニウム箔からなるアンテナが形成され、そのアンテナに電気的に接続された集積回路(IC)を有し、可撓性樹脂フィルムの裏側に形成された接着剤によって溶接材料001に貼付けられている。集積回路は、2.5GHzの高周波アナログ回路とアンテナを通して無線周波によって読出できる128ビットの読出専用記憶装置を有し、電子タグ008は長さ約60mm、幅4.5mmを有する。
【0027】
溶接材料の管理室012では、溶接材料001に取付けられた電子タグ008の入力情報009を電子タグ008のリーダーにて読取り、情報データベース化010されている入力情報009の項目である銘柄、材料証明書007のNo.、サイズ、ヒート(ロット)No.、入庫量等の情報と照合する。一致していれば、情報データベース化010に溶接材料管理室012に入庫されたことが記録され、溶接材料001が使用可能な状態になる。
【0028】
管理室012に入庫され、保管されている溶接材料001を溶接作業者が使用するまでの手順を以下に示す。
【0029】
製品製作における製品製造管理の番号、作業の工程及び検査工程等の順番及び作業し使用する作業手順書等が記載された生産管理票に使用する溶接材料登録013の溶接工程の識別番号(これは製品識別番号及び溶接継手番号等で識別されるもの)に対応つけて使用する溶接材料001の入力情報009を溶接作業者が溶接する前に溶接を指示する溶接作業管理者等が登録しておく。使用できる溶接材料001は、当該製品に使用することが可能であれば、複数登録することができる。溶接作業者は、当該溶接作業の生産管理票013を溶接材料001の払出しの依頼を行うために溶接材料管理室に持っていく014。
【0030】
管理室にて溶接材料管理室入庫データ照合012における管理者は、溶接材料001の入力情報009の情報データベース化010にアクセスし、当該溶接工程の識別番号を入力する。入力された当該溶接工程に使用できる溶接材料001が情報データベース化010より抽出され、表示される。管理室012にて溶接材料管理室入庫データ照合012の管理者は、入庫されている溶接材料001の中から使用可能な溶接材料001を取り出し、溶接材料001に貼り付けられた電子タグ008をリーダーにて読取り、情報データベース化010より抽出された使用可能な溶接材料001と相違ないか照合し、合致していれば溶接作業者に払出すことを情報データベース化010に溶接材料データベースへの払出し情報入力し(015)、払出し状況、在庫量の管理を行う。
【0031】
使用する溶接材料001を受け取った溶接作業者は、溶接作業前に溶接作業現場に配置されたパソコンから溶接材料データベース010にアクセスし、生産管理票に使用する溶接材料登録013の当該溶接作業工程識別番号を入力すると共に、払出された溶接材料の電子タグ008の情報を当該パソコンに接続されたリーダーにより読み込むことにより、当該溶接材料が当該製品の溶接に使用できるかどうかを再確認することができる。使用できる場合には使用可の表示を、使用できない溶接材料である場合には使用不可の表示をすると共に、アラームにて警告する。
【0032】
また、溶接を行う製品に溶接作業前に溶接管理者が当該溶接に使用可能な溶接材料001の入力情報009にリンクさせた識別番号をもつ製品用電子タグの情報入力019を製品に取付けておき021、溶接前に溶接材料001の電子タグの入力情報009と製品用電子タグの情報入力019の入力情報009をリーダーで読取り、情報データベース化010のデータを照合し、使用できる場合には使用可の表示を、使用できない溶接材料である場合には使用不可の表示をすると共に、アラームにて警告する。
【0033】
溶接作業完了後、溶接作業者は溶接作業記録を作成するが溶接作業記録データベース022にアクセスし、使用した溶接材料001の電子タグ008をリーダーで読み込み、データベース010にある溶接材料001を入力情報009から自動入力する。
【0034】
溶接作業者は、残った溶接材料001及び使用限界まで使用した溶接材料001の電子タグ008を管理室012に返却する。管理室012の管理者は、返却された溶接材料001の重量を測定し、実際に使用された溶接材料001の重量を算出し、溶接材料001の電子タグ008の入力情報009を当該パソコンに接続されたリーダーにより読み込むことにより情報データベース化010に入力する。この際、溶接材料返却によるデータベース入力023され、返却された日時も記録する。
【0035】
溶接材料001の中で被覆アーク溶接棒等は、製造メーカからの梱包を開封し、気中に晒した場合、空気中の水蒸気から吸収した水分(水素)を放出するために、指定された温度と時間で乾燥を行い、乾燥後ある一定の温度で保管が必要な溶接材料については、溶接作業者からの返却後、管理室012の管理者により再乾燥及び一定温度での保管が行われる。また、再乾燥の回数にも制限があるもの、又は、一定温度での保管においても製造メーカからの梱包を開封したの後の有効期限が設定されている溶接材料がある。電子タグ008は、乾燥及びその後の保温に十分耐えうるものが必要であるが、乾燥及びその後の保温に十分耐えうるものがない場合は、従来技術と合わせた方法で実施することができる。
【0036】
溶接材料001の収納容器又は溶接材料001自体に両面テープで貼り付けた電子タグ008を乾燥炉及び保温炉に入れる前に電子タグ008に記録されている識別番号と電子タグ008が取付けられていた溶接材料001の乾燥炉及び保温炉内での位置関係を決め、その配置データを作成し、その配置図に従い、リーダーにより各溶接材料001の電子タグ008の識別番号を読取り、配置データに従い、乾燥炉及び保温炉内に挿入直前に電子タグ008を取り外し、配置した。また、各電子タグ008の識別番号とリンクした溶接材料を情報データベース化010にパソコンを通じて、乾燥開始日時、終了日時、及び保温保管開始日時を入力した。また、補助的に従来技術で行っている個々の溶接材料(溶接棒)に再乾燥回数に応じたペイントを施す作業も合わせて実施した。乾燥1回目は1本の赤色の線、2回目は1本の赤色の線を追加して合計2本の赤い線をに溶接材料(溶接棒)の一部にペイントした。また、製造メーカからの梱包開封日も溶接材料返却時に情報データベース化010に入力している。また、製造年月日からの使用有効期限も合わせて入力しており、開封からの使用可能期限及び製造年月日からの使用可能期限のいずれか短い方をその溶接材料の使用期限として、情報データベース化010に入力され、使用期限が過ぎたものは、パソコン画面上に使用期限超過の表示をすると共に、溶接作業者に溶接材料データベースへの払し情報入力015際の照合で使用不可であることを表示できるように有効期限チェック025できる。
【0037】
また、乾燥回数もデータベース010に乾燥開始日時、終了日時を入力することにより、積算回数を表示し、制限回数を超える乾燥を行うと乾燥日時を入力した時点で使用不可の表示が、例えばパソコンの画面上に出力されるように乾燥回数チェック024できる。尚、今後乾燥温度及び保温保管温度に十分対応可能な電子タグが製造されれば、当然電子タグ008は、溶接材料収納容器又は溶接材料001から取り外すことなく、乾燥及び保管を行うことができる。
【0038】
以上、本実施例によれば、溶接材料001の識別管理に電子タグ008を使用することにより、そのトレーサビリティ、溶接作業者による溶接材料001の誤使用防止等の信頼性向上が図れると共に、溶接材料001の管理を適切に行うことができる。
【0039】
又、溶接材料001に電子タグ008を取付ける又は同一の材料証明書である溶接材料で複数本まとめて管理することが可能な溶接材料の場合には、溶接材料001を複数本納める容器に電子タグ008を取付け、この電子タグ008に個別の識別番号を記録し、この識別番号とコンピュータ等でデータベース化された溶接材料001に関する情報である材料証明書No.、サイズ、ヒート番号、ロット番号、購入量等の情報をリンクさせ、一貫した溶接材料管理を行うことができる。
【実施例2】
【0040】
図2は、電子タグが貼付けられた溶接材料を購入した場合の本発明に係る溶接材料管理システムとして、製造メーカ側で電子タグを溶接材料に取付ける場合のフロー図である。実施例1では溶接材料001を購入後、購入者側で電子タグ008を取付けて管理したが、本実施例では、図2に示すように製造メーカ側003で電子タグ008を溶接材料に取付け、電子タグ008に記録された識別番号とリンクした溶接材料001の銘柄、材料証明書007のNo.、サイズ、ヒート(ロット)No.、重量等のデータベースを作成し、購入者に渡され、受入検査005されて、以降を実施例1と同様の流れに沿って溶接材料の管理室012にて入庫データ照会される流れにて実施される。
【0041】
以上、本実施例においても、実施例1と同様に、溶接材料001の識別管理に電子タグ008を使用することにより、そのトレーサビリティ、溶接作業者による溶接材料001の誤使用を防止等の信頼性向上を図れると共に、溶接材料001の管理を適切に行うことができる。
【0042】
又、電子タグ008を溶接材料001の溶接材料製造メーカ発送段階又は購入者の受入時に取付けることにより、溶接材料管理室での保管、溶接作業のための払出し、溶接作業記録作成、返却、再乾燥及び有効期限管理を電子タグ008の識別番号とリンクした溶接材料情報及び使用履歴データベースにより一貫して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る電子タグを使用した溶接材料管理システムを示すフロー図である。
【図2】本発明に係る電子タグを使用した溶接材料管理システムを示すフロー図である。
【図3】従来の溶接材料管理システムを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0044】
001…溶接材料、002…発注、003…溶接材料製作、004…溶接材料納入、005…受入検査、006…購入仕様書、007…材料証明書、008…電子タグ、009…入力情報、010…情報データベース化、011…電子タグ溶接材料への貼付け、012…溶接材料管理室入庫データ照合、013…生産管理票に使用する溶接材料登録、014…溶接材料管理室持っていく、015…溶接材料データベースへの払出し情報入力、017…溶接材料払出し、018…溶接作業前チェック、019…製品用電子タグの情報入力、020…製品用電子タグの取付け、022…溶接記録データベース入力、023…溶接材料返却によるデータベース入力、024…乾燥回数チェック、025…有効期限チェック。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別番号と所定の情報が記録された電子タグが貼り付けられた溶接材料を管理室に入庫し該入庫された前記溶接材料についてデータ照合するステップと、生産管理票に使用する溶接材料を登録するステップと、該生産管理票に示された使用する前記溶接材料に対して前記管理室に入庫した前記溶接材料とを照合しデータベースに記録するステップと、前記照合された前記溶接材料を溶接作業者に払出すステップと、溶接作業後の溶接記録を前記データベースに入力するステップと、前記溶接作業後の前記溶接材料の残量及び残った前記溶接材料の前記管理室への返却について前記データベースに入力するステップとを有することを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項2】
請求項1において、前記溶接材料を購入後に、前記識別番号と所定の情報を前記電子タグに登録し、前記識別番号と所定の情報が記録された前記電子タグを前記溶接材料に貼付けるステップを有し、前記識別番号と所定の情報が記録された電子タグが貼付けられた前記溶接材料を前記管理室に入庫する前記ステップを有することを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項3】
請求項1において、前記識別番号と所定の情報とがデータベース化された電子タグが貼り付けられた前記溶接材料を購入し、それを前記管理室に入庫する前記ステップを有することを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記溶接材料を溶接作業者に払出すステップに際して、前記溶接材料の使用期限をチェックするステップを有することを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記管理室に返却された前記溶接材料の乾燥の要否及びその乾燥回数をチェックするステップを有することを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記電子タグは、前記溶接材料に係る銘柄、材料証明書番号、サイズ、ヒート番号及びロット番号の少なくとも一つの情報が記録されることを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、前記電子タグは、前記溶接材料の払出し量、払出し時期、払出し回数、払出し期間及び乾燥回数の少なくとも一つの情報が記録されることを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、前記電子タグは、前記溶接材料を一本毎又は複数本が収納された容器に貼付けられていることを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、前記生産管理票に必要な情報と、前記溶接材料に取付けられた前記電子タグに記録された前記情報とを照合判定し、その判定結果を表示することを特徴とする溶接材料管理システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、前記電子タグには、前記溶接材料を使用して溶接された製品の識別番号及びその溶接継手番号とが記録され、該記録に基づいて前記製品に使用した前記溶接材料を特定することを特徴とする溶接材料管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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