溶接用ノズルクリーナ
【課題】単純な装置構成で清掃工具を溶接用ノズルの径方向へ変位させることが可能で、溶接用ノズルの径寸法に合わせて容易に設計変更できるとともに、ノズル内に消耗電極や電極チップ等が存在する場合でも、そのまま溶接用ノズルの付着物を除去できるようにする。
【解決手段】回転台座34を回転軸心Sの軸方向へ移動させることなく、エアシリンダ64によってストッパピン44を下降させるだけで、回動部材40、42に設けられた清掃爪54をノズル14の径方向へ移動させて内周面に押圧することができるため、装置が簡単且つ安価に構成されるとともに、ノズル14の径寸法が異なる場合でも、回動部材40、42の形状等を変更するだけで対応できる。また、清掃工具として清掃爪54が設けられているため、ノズル14内の電極チップ16や電極ワイヤ18と干渉することなく清掃爪54を挿入して付着物22の除去処理を行なうことができる。
【解決手段】回転台座34を回転軸心Sの軸方向へ移動させることなく、エアシリンダ64によってストッパピン44を下降させるだけで、回動部材40、42に設けられた清掃爪54をノズル14の径方向へ移動させて内周面に押圧することができるため、装置が簡単且つ安価に構成されるとともに、ノズル14の径寸法が異なる場合でも、回動部材40、42の形状等を変更するだけで対応できる。また、清掃工具として清掃爪54が設けられているため、ノズル14内の電極チップ16や電極ワイヤ18と干渉することなく清掃爪54を挿入して付着物22の除去処理を行なうことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接用ノズルクリーナに係り、特に、単純な装置構成で清掃工具を溶接用ノズルの径方向へ変位させることが可能で、溶接用ノズルの径寸法に合わせて容易に設計変更できる溶接用ノズルクリーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接用の溶接トーチのノズルの先端部にはスパッタが付着するが、このスパッタはシールドガスの流れを乱すなどして溶接品質を損なうため、定期的に除去する必要がある。このため、略円筒形状の溶接用ノズルの先端開口部内に清掃工具が相対的に挿入され、その溶接用ノズルの中心線まわりに相対回転させられることにより、その溶接用ノズルに付着した付着物を清掃工具によって除去する溶接用ノズルクリーナが提案されている。特許文献1に記載の装置(同文献の図5、図6参照)はその一例で、清掃工具として一対のブラシが用いられており、そのブラシを回転軸心まわりに回転駆動しつつ軸方向へ移動させて溶接用ノズルの先端開口部内に挿入するとともに、その軸方向の移動に伴って機械的に付勢部材(スプリング)により径方向の外側へ変位させ、溶接用ノズルの内周面に押圧するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−60448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の溶接用ノズルクリーナは、清掃工具を回転駆動しつつ軸方向へ移動させて溶接用ノズルの先端開口部内に挿入する際に、その軸方向の移動に連動して付勢部材により径方向の外側へ変位させて溶接用ノズルの内周面に押圧するため、構造が複雑になるだけでなく、溶接用ノズルの径寸法が相違する場合に清掃工具が適切に溶接用ノズルの内周面に押圧されるようにするための設計変更が面倒で大掛かりになり、全体として装置コストが高くなる。また、清掃工具としてブラシを用いているため、比較的大きなスペースが必要で、ノズル内に消耗電極やその消耗電極を支持している電極チップ等が存在する場合、それ等と干渉する恐れがあるため、溶接トーチからノズル部分を取り外して清掃を行なう必要があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、単純な装置構成で清掃工具を溶接用ノズルの径方向へ変位させることが可能で、溶接用ノズルの径寸法に合わせて容易に設計変更できるとともに、ノズル内に消耗電極や電極チップ等が存在する場合でも、そのまま溶接用ノズルの付着物を除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、第1発明は、略円筒形状の溶接用ノズルの先端開口部内に清掃工具が相対的に挿入され、その溶接用ノズルの中心線まわりに相対回転させられることにより、その溶接用ノズルに付着した付着物をその清掃工具によって除去する溶接用ノズルクリーナにおいて、(a) 所定の回転軸心Sと前記溶接用ノズルの中心線とが略一致する位置関係でその回転軸心Sまわりに回転駆動される回転台座と、(b) それぞれ先端部に前記清掃工具として清掃爪を有するとともに、所定の支持軸まわりに回動可能に前記回転台座に配設された複数の回動部材と、(c) その複数の回動部材を、前記清掃爪がそれぞれ前記回転軸心Sから離間する方向へ移動して前記溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧される作動位置へ回動させるように、前記支持軸まわりに付勢する付勢部材と、(d) 前記複数の回動部材と係合させられることにより、その回動部材を、それぞれ前記付勢部材の付勢力に抗して前記作動位置に比較して前記清掃爪が前記回転軸心Sに接近する予め定められた初期位置に保持する一方、その複数の回動部材との係合が解除されることにより、その回動部材がそれぞれ前記付勢部材の付勢力に従って前記作動位置へ回動することを許容する切替部材と、(e) その切替部材を、前記回動部材と係合させられる係合位置と、その回動部材との係合が解除される係合解除位置とへ移動させる切替駆動装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の溶接用ノズルクリーナにおいて、前記切替部材は、前記回転台座とは別に前記回転軸心Sまわりに回転不能に配設されており、前記切替駆動装置により前記係合位置へ移動させられて前記複数の回動部材と係合させられることにより、その回動部材がそれぞれ前記初期位置に保持されるとともに、前記付勢部材の付勢力に応じてその回動部材との間に生じる摩擦で前記回転台座の回転が制動されることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の溶接用ノズルクリーナにおいて、(a) 前記清掃爪は、前記回動部材が前記初期位置に保持された状態において、その回動部材から前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように設けられ、前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入されるとともに、(b) その清掃爪が前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入された状態において、その溶接用ノズルの先端開口部よりも外側に位置する清掃爪の基端側部分には、前記付着物の除去に関与する前記回転軸心Sから離間する外側の側縁部が、その基端側へ向かうに従ってその外側へ湾曲している湾曲部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの溶接用ノズルクリーナにおいて、(a) 前記複数の回動部材は、前記回転軸心Sまわりの複数箇所に、その回転軸心Sに対して垂直な平面内においてその回転軸心Sに対して直交する直線と直角に配設された複数の支持軸に、それぞれ回動可能に配設されており、(b) その回動部材には、前記初期位置に保持された状態において前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように前記清掃爪が設けられているとともに、前記支持軸を挟んでその清掃爪と反対側に係止部が設けられており、その係止部に前記付勢部材が係止されて前記回転軸心Sに接近する方向の付勢力が作用させられることにより、その回動部材が前記作動位置へ回動するように付勢される一方、(c) 前記切替部材は、前記回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の部材で、前記複数の回動部材の前記係止部側からその回動部材に接近させられ、その係止部の前記回転軸心Sに近接する内側の側縁部に係合させられることにより、その係止部を前記付勢部材の付勢力に抗してその回転軸心Sから離間する方向へ移動させ、その複数の回動部材をそれぞれ前記初期位置に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような溶接用ノズルクリーナにおいては、切替駆動装置によって切替部材が係合位置から係合解除位置へ移動させられると、複数の回動部材がそれぞれ初期位置から付勢部材の付勢力に従って作動位置へ回動させられ、その回動部材に設けられた清掃爪が溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧される一方、回転台座が回転軸心Sまわりに回転駆動されることにより、その清掃爪によって溶接用ノズルの先端開口部の内周面に付着したスパッタ等の付着物が除去される。すなわち、回動部材が配設された回転台座を回転軸心Sの軸方向へ移動させることなく、切替駆動装置によって切替部材を係合解除位置へ移動させるだけで、回動部材に設けられた清掃爪を溶接用ノズルの径方向へ移動させて内周面に押圧することができるため、装置が簡単且つ安価に構成されるとともに、溶接用ノズルの径寸法が異なる場合でも、支持軸の位置や回動部材の形状等を変更するだけで容易に対応できる。また、回動部材に設けられた清掃爪は、付勢部材の付勢力に従って溶接用ノズルの径方向へ移動させられるため、溶接用ノズルの径寸法の相違が比較的小さい場合には、設計変更を行なうことなく、その径寸法の相違に拘らず清掃爪を適切に溶接用ノズルの内周面に押圧して付着物を除去することができる。
【0011】
一方、清掃工具として清掃爪が設けられているため、ノズル内に消耗電極や電極チップ等が存在する場合でも、それ等と干渉することなく、溶接用ノズルとの間の環状の隙間に清掃爪を挿入して付着物を除去することができる。これにより、必ずしも溶接トーチからノズルを取り外す必要がなく、例えば所定の移動経路に従って溶接トーチを移動させて溶接を行なう溶接ロボットを用いて、溶接用ノズルクリーナの真上の清掃位置へ溶接トーチを移動させ、そのままの状態で溶接用ノズルクリーナにより溶接用ノズルの清掃が行なわれるようにすることが可能で、溶接用ノズルの清掃を自動溶接に組み込んで自動化を図ることができる。また、清掃爪はブラシに比較して剛性が高く、高い押圧力(付勢力)で溶接用ノズルに押圧することができるため、付着物を効率的に除去することができる。
【0012】
第2発明では、溶接用ノズルの清掃終了後に切替部材が切替駆動装置によって係合位置へ移動させられると、回動部材がそれぞれ初期位置へ回動させられるとともに、付勢部材の付勢力に応じてその回動部材と切替部材との間に生じる摩擦で回転台座の回転が制動されるため、ブレーキ装置を必要とすることなく回転台座の回転が速やかに停止させられるようになり、一連の清掃に関するサイクルタイムが短縮される。
【0013】
第3発明では、回動部材が初期位置に保持された状態において、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪が設けられているため、その清掃爪を溶接用ノズルの先端開口部内に適切に挿入できるとともに、その挿入状態で溶接用ノズルの先端開口部よりも外側に位置する清掃爪の基端側部分には、回転軸心Sから離間する外側へ湾曲している湾曲部が設けられているため、回動部材が配設された回転台座と溶接用ノズルとを相対的に回転軸心Sの軸方向へ変位させ、その湾曲部を溶接用ノズルの先端開口部の開口端縁に押圧することにより、その開口端縁に付着した付着物についても適切に除去することができる。
【0014】
第4発明では、回転軸心Sまわりの複数箇所に所定の姿勢で設けられた複数の支持軸にそれぞれ回動部材が配設されており、その回動部材には、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪が設けられているとともに、支持軸を挟んで清掃爪と反対側に係止部が設けられて付勢部材が係止されているため、回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の切替部材によって複数の回動部材をそれぞれ初期位置に保持することができ、装置が簡単且つ安価に構成される。また、その初期位置では、切替部材との係合で作動位置側への回動が阻止されるだけであるため、清掃爪が溶接用ノズルの先端開口部内に相対的に挿入される際に、その先端開口部、或いはその先端開口部に付着した付着物と干渉した場合には、回動部材は付勢部材の付勢力に抗して清掃爪が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが可能で、清掃爪を溶接用ノズルの先端開口部内に相対的に挿入するための装置(溶接ロボットなど)や清掃爪に過大な負荷が作用することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例である溶接用ノズルクリーナを示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の左側から見た左側面図である。
【図2】図1の溶接用ノズルクリーナの要部を制御系統と共に示す断面図である。
【図3】図1の溶接用ノズルクリーナによってノズルに付着した付着物が適切に除去される溶接トーチの一例を示す図である。
【図4】図2のPLCによって実行されるノズルの清掃手順を具体的に説明するフローチャートである。
【図5】図4のステップS1で溶接トーチが溶接用ノズルクリーナの真上の清掃位置へ移動させられた状態を示す断面図である。
【図6】図4のステップS2で溶接トーチが下降させられ、清掃爪が相対的にノズルの先端開口部内に挿入された状態を示す断面図である。
【図7】図4のステップS3でストッパピンが下降させられ、付勢部材の付勢力に従って一対の回動部材が作動位置へ回動させられた状態を示す断面図である。
【図8】図4のステップS4で溶接用ノズルクリーナの回転台座が回転駆動されるとともに溶接トーチが上下動させられて、ノズルの先端開口部の付着物が除去された状態を示す断面図である。
【図9】図1の溶接用ノズルクリーナによってノズルに付着した付着物が除去される溶接トーチの別の例を示す図で、溶接トーチが溶接用ノズルクリーナの真上の清掃位置へ移動させられた状態を示す図5に対応する断面図である。
【図10】図9の実施例において、溶接用ノズルクリーナの回転台座が回転駆動されるとともに溶接トーチが上下動させられ、ノズルの先端開口部の付着物が除去された状態を示す図8に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の溶接用ノズルクリーナは、例えば電極チップを内部に収容しているとともにその周囲からシールドガスを噴出する消耗電極式或いは非消耗電極式のガスシールド型アーク溶接用の溶接トーチのノズルを清掃する際に好適に用いられるが、円筒形状の溶接用ノズルを備えている他の溶接装置のノズルの清掃にも使用できる。溶接用ノズルは、径寸法が一定の円筒形状の場合だけでなく、先端へ向かうに従って径寸法が徐々に小さくなるテーパ部を有するノズルであっても良い。溶接用ノズルに付着する付着物は、例えば溶接の際に飛散した溶融金属が付着して固まったスパッタなどである。
【0017】
上記溶接トーチ等から溶接用ノズルを取り外して本発明の溶接用ノズルクリーナにより付着物を除去するようにしても良いが、ノズルが溶接トーチ等に装着されたままの状態で付着物の除去処理を行なうこともできる。溶接ロボットによって実行される自動溶接の中に、例えば一定の溶接回数毎に溶接用ノズルクリーナによって付着物の除去処理を行なう清掃工程を組み入れ、ノズルが溶接トーチ等に装着されたまま自動的に付着物の除去処理が行なわれるようにすることもできる。
【0018】
清掃爪を有する回動部材が配設された回転台座が回転軸心Sまわりに回転駆動されることにより、清掃爪によって溶接用ノズルの付着物が除去されるが、その際に溶接用ノズルを例えば回転台座の回転方向と反対方向へ回転駆動するようにしても良い。溶接用ノズルを回転させることなく、溶接用ノズルクリーナの回転台座のみを回転させて清掃処理を行なうこともできる。回転台座は、例えば圧力エアによって回転するエアモータや電力で回転する電動モータ等の回転駆動装置によって回転軸心Sまわりに回転させられる。
【0019】
清掃爪を有する回動部材は、平板状のものでも良いし、立体的な3次元形状のものでも良く、種々の態様が可能である。清掃爪は高い剛性を有し、付勢部材の付勢力でスパッタ等の付着物に押圧された状態で相対回転させられることにより、その付着物を掻き落したり割ったりして除去するもので、単純な直線状であっても良いが、1または複数の三角突起等を有するものでも良い。この清掃爪は、回動部材と一体に設けることもできるが、別体に構成してボルト等の固定手段や溶接、接着剤等により回動部材に一体的に取り付けられても良い。
【0020】
複数の回動部材は、例えば回転軸心Sに対して対称的に一対配設されるが、回転軸心Sのまわりに等角度間隔で3つ以上設けることもできるなど、その数や配設形態は種々の態様が可能である。支持軸は、例えば回動部材と同じ数だけ設けられるが、回動部材を回転軸心Sに対して対称的に一対配設する場合、回転軸心Sと直交する単一の支持軸によって一対の回動部材を支持することも可能である。
【0021】
回動部材を付勢する付勢部材は、例えば回動部材毎に回動部材と回転台座との間に配設されるが、複数の回動部材に跨がって1または複数の付勢部材を配設し、複数の回動部材をそれぞれ作動位置へ回動するように付勢することもできる。付勢部材としては、例えば圧縮コイルスプリングや引張コイルスプリング、ねじりコイルスプリング等のばね部材が好適に用いられるが、ゴム等の弾性体を採用することもできる。
【0022】
溶接用ノズルの先端開口部内に清掃爪を相対的に挿入するため、例えば回転台座等を回転軸心Sの軸方向へ直線的に移動させる挿入装置が設けられるが、溶接用ノズルを回転軸心Sの軸方向へ直線的に移動させるようにしても良い。溶接ロボットを利用して、溶接用ノズルが溶接トーチ等に装着されたままの状態で、回転軸心Sの軸方向へ直線的に移動させて溶接用ノズルの先端開口部内に清掃爪が挿入されるようにしても良い。
【0023】
切替部材は、例えば直線往復移動させられることにより係合位置および係合解除位置へ移動させられ、流体圧(エアや油圧)シリンダや送りねじ機構等の直動型の切替駆動装置によって駆動されるが、電動モータやエアモータ等によって回転させられることにより係合位置および係合解除位置へ移動させられるものでも良いなど、種々の態様が可能である。
【0024】
第2発明では、切替部材が回転台座とは別に回転軸心Sまわりに回転不能に配設されているが、第1発明の実施に際しては、切替部材および切替駆動装置を回転台座に配設し、回転台座と共に回転軸心Sまわりに回転させられるようになっていても良い。また、切替部材が係合位置へ移動させられて複数の回動部材と係合させられることにより、付勢部材の付勢力に応じてその回動部材と切替部材との間に生じる摩擦で回転台座の回転が制動されるが、回転台座の回転を停止させるブレーキ装置を別途設けることもできるし、回転台座を電動モータによって回転駆動する場合は、その電動モータの回生ブレーキ制御などで制動することも可能である。
【0025】
第3発明では、清掃爪の基端側部分に外側へ湾曲している湾曲部が設けられているため、溶接用ノズルの先端開口部の径寸法の多少の相違や、スパッタ等の付着物の付着量の多少の相違に拘らず、その湾曲部により溶接用ノズルの開口端縁の付着物を適切に除去できるが、他の発明の実施に際しては湾曲部の代わりに所定の角度で外側へ曲げられたL字形等の屈曲部が設けられても良い。それ等の湾曲部や屈曲部を備えておらず、単に溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧されて付着物を除去するものでも良い。上記湾曲部は、滑らかな円弧形状であっても良いが、全体として湾曲した形状であれば良く、複数の直線部によって構成することもできる。
【0026】
第4発明では、回転軸心Sに対して垂直な平面内においてその回転軸心Sに対して直交する直線と直角に複数の支持軸が設けられて回動部材を回動可能に支持しているが、回転軸心Sに対して垂直な平面から傾斜する姿勢、或いは回転軸心Sと平行となる姿勢等で支持軸を配設することもできるなど、支持軸の配設形態は適宜定められる。この支持軸の配設形態に応じて、回動部材に対する清掃爪の配設形態や付勢部材の係止形態、切替部材の形状や移動形態等が適宜設定される。
【0027】
第4発明ではまた、切替部材が、回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の部材にて構成されているが、他の発明の実施に際しては、複数の回動部材毎に別々の切替部材が設けられても良いし、回動部材の回動形態に応じて切替部材を回転軸心Sに対して接近離間する方向(ノズルの径方向)へ移動させたり、回転軸心Sを中心として回転させたりするようになっていても良い。
【0028】
第4発明において、切替部材が回動部材の係止部側からその回動部材に接近させられ、その係止部の内側の側縁部に係合させられる先端部分には、回動部材を初期位置へ円滑に回動させるために、例えば先端側程小径となるテーパ部や角錐部を設けることが望ましい。回転軸心Sに対して対称的に一対の回動部材が設けられる場合は、先端側程板厚が薄くなる楔形状部が設けられても良い。切替部材が係合させられる回動部材の係止部の内側の側縁部に、傾斜や湾曲等を設けることも可能である。
【0029】
他の発明の実施に際しても、切替部材と回動部材との係合部分の形状や位置関係などは、回動部材を初期位置へ円滑に回動させることができるとともに、その初期位置に保持された状態で溶接用ノズルの先端開口部内に清掃爪が挿入される際に、清掃爪が付着物等と干渉した場合には、付勢手段の付勢力に抗して清掃爪が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが許容されるように設定することが望ましい。初期位置において回動部材と切替部材との間に生じる摩擦により、回転台座の回転を制動する場合には、所定の制動力が得られるように上記係合部分の形状を設定することもできる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である溶接用ノズルクリーナ10(以下、単にノズルクリーナ10という)を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の左側から見た左側面図である。また、図2は、ノズルクリーナ10の要部を制御系統と共に示す断面図で、図3は、ノズルクリーナ10によってノズルに付着した付着物が適切に除去される溶接トーチの一例を示す図である。図3の溶接トーチ12は、消耗電極式のガスシールド型アーク溶接に用いられるもので、溶接用ノズル14(以下、単にノズル14という)の中心に溶接チップ16が設けられ、その電極チップ16とノズル14との間の環状通路を通ってシールドガスが噴射されるとともに、電極チップ16の中心部分を電極ワイヤ(消耗電極)18が挿通させられてノズル14の先端から突き出している。ノズル14は、全体として略円筒形状を成しているとともに、先端部分には先端側程小径となるテーパ部14tが設けられている。また、この溶接トーチ12は、多関節型ロボット等の溶接ロボット20のアーム等に取り付けられて3次元的に移動させられ、所定の溶接位置でアーク溶接に用いられる。その際、飛散した溶融金属がノズル14の先端開口部に付着して固まると、シールドガスの流れを乱すなどして溶接品質が損なわれるため、その付着した付着物(スパッタなど)22(図5参照)を本実施例のノズルクリーナ10によって定期的に除去する必要がある。
【0031】
ノズルクリーナ10は、略水平な装置基台30にベアリング32を介して略垂直な回転軸心Sまわりに回転可能に配設された回転台座34と、その回転台座34上に配設された一対の支持ブラケット36、38によってそれぞれ回動可能に支持されている一対の回動部材40、42と、回転台座34に対して相対回転可能で回転軸心Sと同心に軸方向すなわち上下方向の移動可能に配設されたストッパピン44とを備えている。回転台座34の外周部には噛合歯が設けられ、エアモータ46の回転軸に取り付けられたドライブピニオン48と噛み合わされており、エアモータ46によってドライブピニオン48が回転駆動されると、回転台座34が回転軸心Sまわりに回転させられる。回転台座34はドライブピニオン48よりも十分に大径で、その歯数比(径寸法比)に応じて減速回転させられる。エアモータ46は回転駆動装置に相当する。
【0032】
一対の回動部材40、42は、回転軸心Sを挟んで対称的な2箇所に設けられた一対の支持軸50、52の軸心まわりに回動可能に配設されている。一対の支持軸50、52は、回転軸心Sに対して垂直な平面内、すなわち略水平な平面内において、回転軸心Sに対して直交する直線と直角(図2の紙面に対して垂直)となる姿勢で、それぞれ前記一対の支持ブラケット36、38に跨がって配設されている。回動部材40、42は、平板形状で対称的に構成されており、前記ストッパピン44によって規定される図2に示す初期位置に保持された状態において、それぞれ回転軸心Sと略平行に上方へ突き出すように清掃爪54が一体に設けられており、溶接トーチ12の中心線と回転軸心Sとが略一致させられた位置関係で図6に矢印Aで示すように溶接トーチ12が下降させられることにより、清掃爪54がノズル14の先端開口部内に適切に挿入される。
【0033】
上記回動部材40、42にはまた、支持軸50、52を挟んで清掃爪54と反対側すなわち下方側に係止部56が設けられている。両回動部材40、42の係止部56には、それぞれ平板状の回動部材40、42の板厚方向の両側へ略水平に突き出すように係止ピン58が設けられており、その係止ピン58の両側の先端部には、それぞれ回動部材40の係止ピン58と回動部材42の係止ピン58とに跨がって一対の引張コイルスプリング60が掛け止められている(図1(a) 参照)。この引張コイルスプリング60は付勢部材に相当し、両係止部56が互いに接近する方向すなわち回転軸心Sに接近する方向へ付勢されることにより、一対の回動部材40、42はそれぞれストッパピン44との係合によって規定される初期位置に保持される。
【0034】
また、図7に示すようにストッパピン44との係合が解除されると、両回動部材40、42は、引張コイルスプリング60の付勢力に従って、それぞれ矢印Cで示すように清掃爪54が回転軸心Sから離間する方向へ移動して前記ノズル14の内周面或いは付着物22に押圧される作動位置へ回動させられる。清掃爪54は、付着物22を除去するための比較的剛性の高い清掃工具であり、引張コイルスプリング60の付勢力により付着物22に押圧された状態で、前記エアモータ46によって回転台座34が回転軸心Sまわりに回転駆動されると、清掃爪54により付着物22が掻き落とされたり割られたりして除去される。
【0035】
図6に示すように清掃爪54がノズル14の先端開口部内に挿入された状態において、そのノズル14の先端開口部よりも外側すなわち下方に位置する清掃爪54の基端側部分には、付着物22の除去に関与する回転軸心Sから離間する外側の側縁部が、基端側、すなわち支持軸50、52に接近する側で図6における下方、へ向かうに従って外側へ湾曲している湾曲部62が設けられている。したがって、清掃爪54が付着物22に押圧される作動位置に付勢された状態で、エアモータ46によって回転台座34が回転軸心Sまわりに回転駆動されるとともに、溶接トーチ12が前記溶接ロボット20により回転軸心Sの軸方向へ相対的に移動させられると、その湾曲部62がノズル14の開口端縁に押圧され、その開口端縁に付着した付着物22についても適切に除去される。
【0036】
前記ストッパピン44は円柱形状を成していて、上記回動部材40、42の下方に配設されているとともに、エアシリンダ64のピストンに一体的に連結されて上下駆動されるようになっている。このストッパピン44は回転軸心Sまわりの回転不能とされており、回転台座34との間に介在させられた軸受66により、回転軸心Sまわりの相対回転および軸方向の相対移動が許容されるとともに、回転軸心Sと同心に位置決めされている。そして、このストッパピン44がエアシリンダ64によって上昇させられると、回動部材40、42の下方すなわち前記係止部56側から回動部材40、42に接近させられ、その係止部56の回転軸心Sに近接する内側側縁部68に係合させられる。これにより、その係止部56が引張コイルスプリング60の付勢力に抗して回転軸心Sから離間する外側へ移動させられ、一対の回動部材40、42がそれぞれ前記図2に示す初期位置に保持されるとともに、引張コイルスプリング60の付勢力に応じて回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦で回転台座34の回転が制動される。ストッパピン44の上昇端位置すなわち係合位置は、ピストンに連結される下端の大径部70が装置基台30の下面に当接することによって規定される。また、エアシリンダ64によってストッパピン44が図7に示す係合解除位置まで下降させられ、回動部材40、42との係合が解除されると、それ等の回動部材40、42はそれぞれ引張コイルスプリング60の付勢力に従って作動位置へ回動させられる。ストッパピン44は切替部材に相当し、エアシリンダ64は切替駆動装置に相当する。
【0037】
上記ストッパピン44の先端部、すなわち係止部56の内側側縁部68に係合させられる部分には、先端側程小径となるテーパ部72が設けられているとともに、ストッパピン44が係合させられる回動部材40、42の係止部56の内側側縁部68は、滑らかな凸湾曲形状乃至は折れ曲がり形状とされており、それ等のストッパピン44と回動部材40、42とが点接触させられるようになっている。これ等の係合部分の形状や位置関係は、ストッパピン44が上昇端位置(係合位置)へ上昇させられることにより、回動部材40、42を初期位置へ円滑に回動させることができるとともに、その初期位置に保持された状態で、図6に示すようにノズル14の先端開口部内に清掃爪54が相対的に挿入される際に、清掃爪54が付着物22と干渉した場合には、引張コイルスプリング60の付勢力に抗して清掃爪54が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが許容されるように適宜定められる。また、その初期位置において回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦により、回転台座34の回転を制動する所定の制動力が得られる。
【0038】
以上のように構成されたノズルクリーナ10は、図2に示すように前記エアモータ46およびエアシリンダ64の作動を制御するためのエア回路80を備えている。エア回路80は、ポンプその他の圧力エア源から所定の圧力エアが供給されるようになっているとともに、前記エアモータ46を回転駆動して回転台座34を回転させるようにエア回路を切り換えるエアモータ制御用バルブ82、および前記エアシリンダ64のピストンを往復移動させてストッパピン44を上下動させるようにエア回路を切り換えるストッパピン昇降用バルブ84を備えている。エアモータ制御用バルブ82は、エアモータ46を一方向へ回転駆動するだけでも良いが、回転台座34を正逆両方向へ回転させるためにエアモータ46の回転方向を正逆両方向へ切り換えることができるものでも良い。
【0039】
上記エアモータ制御用バルブ82およびストッパピン昇降用バルブ84は、何れもソレノイド式の切換バルブで、PLC86によってその作動状態すなわちエアの連通状態が切り換えられるようになっている。PLC86は、前記溶接ロボット20を制御する溶接ロボット制御装置88に接続されており、その溶接ロボット制御装置88には溶接プログラムおよびノズル清掃プログラムが予め記憶されている。PLC86および溶接ロボット制御装置88は、何れもCPU、RAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを備えているコントローラ(制御装置)で、溶接ロボット制御装置88は、溶接プログラムに従って溶接ロボット20を制御することにより、ロボットアーム等に取り付けられた前記溶接トーチ12を予め定められた複数の溶接位置へ予め定められた経路に従って順次移動させる。ノズル清掃プログラムは、溶接トーチ12による溶接作業が予め定められた回数に達した時、或いは作業者の指令等による所定のタイミングで前記PLC86に出力され、そのPLC86および溶接ロボット制御装置88によって、前記ノズルクリーナ10および溶接ロボット20がノズル清掃プログラムに従って制御されることにより、溶接トーチ12のノズル14が自動的に清掃される。図4は、このノズル清掃プログラムの内容(信号処理)を具体的に説明するフローチャートである。
【0040】
図4において、ステップS1は、溶接トーチ12による溶接回数が規定回数に達するなどして清掃開始条件を満たすと実行され、溶接ロボット制御装置88によって溶接ロボット20が制御されることにより、溶接トーチ12が予め定められた清掃位置へ移動させられる。この清掃位置は、ノズルクリーナ10の回転軸心Sの真上であって、溶接トーチ12の中心線と回転軸心Sとが略一致する位置である。図5は、溶接トーチ12が清掃位置へ移動させられた状態である。この時、ノズルクリーナ10の一対の回動部材40、42は初期位置に保持され、それ等に設けられた清掃爪54は回転軸心Sと略平行に上方へ向かって突き出している。
【0041】
ステップS2では、同じく溶接ロボット制御装置88によって溶接ロボット20が制御されることにより、溶接トーチ12が図6に矢印Aで示すように下降させられ、ノズルクリーナ10の一対の清掃爪54が相対的に溶接トーチ12のノズル14の内側、すなわち電極ワイヤ18とノズル14との間の環状の空間内に挿入される。清掃爪54は、前記特許文献1に記載のようなブラシと異なり、比較的薄肉で幅狭でも所定の清掃性能(付着物除去性能)が得られるため、ノズル14内に電極ワイヤ18や電極チップ16が存在したままでも、ノズル14の内側の比較的小さなスペースへ清掃爪54を挿入することができる。また、清掃爪54が設けられた回動部材40、42は、ストッパピン44との係合で初期位置に保持されており、作動位置側への回動が阻止されているだけであるため、清掃爪54がノズル14の先端開口部に付着した付着物22と干渉した場合には、回動部材40、42は引張コイルスプリング60の付勢力に抗して清掃爪54が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが可能で、溶接ロボット20や清掃爪54に過大な負荷が作用することが防止される。
【0042】
図6に示すように溶接トーチ12が所定の下降位置まで下降させられ、そのノズル14の内側に清掃爪54が適切に挿入されると、溶接ロボット制御装置88からPLC86へ清掃開始指令が出力され、そのPLC86によりステップS3以下が実行されることにより、溶接トーチ12のノズル14から付着物22を除去するための清掃処理が行なわれる。ステップS3では、ストッパピン昇降用バルブ84が切り換えられることによりエアシリンダ64のピストンが引き込まれ、ストッパピン44が図7に矢印Bで示すように回動部材40、42との係合が解除される係合解除位置まで下降させられる。これにより、回動部材40、42は、引張コイルスプリング60の付勢力に従って係止部56側が互いに接近させられ、清掃爪54側が矢印Cで示すように互いに離間させられて付着物22に係合する作動位置へ回動させられる。
【0043】
ストッパピン44が所定の係合解除位置まで下降させられると、次にステップS4を実行する。ステップS4では、エアモータ制御用バルブ82が切り換えられることによりエアモータ46が回転駆動され、回動部材40、42が回転台座34と共に図8に矢印Dで示すように回転軸心Sまわりに回転させられる。この時、清掃爪54は引張コイルスプリング60の付勢力に従ってノズル14の先端開口部に付着した付着物22に押圧されているため、回転軸心Sまわりの回転に伴って付着物22が清掃爪54により掻き落とされ、或いは割られたりして除去される。ステップS4ではまた、溶接ロボット制御装置88により溶接トーチ12が図8に矢印Eで示すように回転軸心Sと平行な上下方向へ予め定められた寸法だけ上下移動させられる。これにより、ノズル14の先端開口部の内周面に付着した付着物22は、清掃爪54により回転軸心Sまわりの周方向だけでなく回転軸心Sと平行な軸方向にも引っ掻かれることになり、一層適切に効率良く除去されるとともに、清掃爪54の基端側に設けられた湾曲部62がノズル14の開口端縁(先端縁)に押圧されることにより、その開口端縁に付着した付着物22についても適切に除去される。図8は、付着物22が完全に除去された状態である。本実施例の清掃爪54は、この状態でノズル14のテーパ部14tの内壁面に略密着するように設けられている。
【0044】
上記ステップS4の清掃処理が予め定められた所定時間だけ行なわれると、ステップS5を実行し、エアモータ制御用バルブ82を切り換えてエアモータ46による回転台座34の回転駆動を停止するとともに、溶接ロボット20による溶接トーチ12の上下移動を停止する。また、次のステップS6では、ストッパピン昇降用バルブ84を切り換えてエアシリンダ64のピストンを突き出させ、ストッパピン44を上昇端位置まで上昇させる。このストッパピン44の上昇で、回動部材40、42の内側側縁部68がストッパピン44のテーパ部72と係合させられるようになると、回動部材40、42は、引張コイルスプリング60の付勢力に抗して係止部56側が互いに離間させられるとともに清掃爪54が互いに接近させられ、図2に示す初期位置へ戻される。このようにストッパピン44が回動部材40、42に係合させられると、引張コイルスプリング60の付勢力に応じて回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦により回転台座34の回転が制動される。すなわち、前記エアモータ46による回転駆動の停止後も、回転台座34は惰性により回転しているが、ストッパピン44が上昇させられ、引張コイルスプリング60の付勢力に従って回動部材40、42がストッパピン44に押圧されることにより、回転台座34の回転が速やかに停止させられるのである。
【0045】
図2に示すようにストッパピン44が上昇端位置に達すると、PLC86から溶接ロボット制御装置88にノズル清掃完了の信号が出力され、その溶接ロボット制御装置88によりステップS7が実行される。ステップS7では、溶接ロボット20により溶接トーチ12を回転軸心Sの軸方向へ上昇させ、清掃爪54を相対的にノズル14から抜き出した後、その溶接トーチ12を予め定められた原位置へ移動させる。これにより、通常の溶接プログラムに従う制御へ戻る。
【0046】
図9および図10に示す溶接トーチ90は、前記溶接トーチ12と同様に電極チップ16および電極ワイヤ18を有する消耗電極式のガスシールド型アーク溶接に用いられるものであるが、径寸法が一定のストレート形状のノズル92を備えている点が相違する。本実施例のノズルクリーナ10は、このようなストレート形状のノズル92に対しても、前記ノズル14と同様に前記図4のフローチャートに従って付着物22を適切に除去することができる。図9および図10はそれぞれ前記図5、図8に相当する断面図で、図10に示すようにストッパピン44が下降させられて一対の回動部材40、42が作動位置へ回動させられた際に、清掃爪54がノズル92に対して傾斜する姿勢で係合させられ、清掃爪54の先端がノズル92に係合させられるが、溶接ロボット20により溶接トーチ90が矢印Eで示すように回転軸心Sと平行な上下方向へ往復移動させられることにより、ノズル92の先端開口部の内周面に付着した付着物22が適切に除去される。清掃爪54の基端側に設けられた湾曲部62によって、ノズル92の開口端縁(先端縁)に付着した付着物22が適切に除去されることは、前記ノズル14の場合と同様である。図10は、ノズル92の先端開口部の付着物22が完全に除去された状態である。
【0047】
このように、本実施例のノズルクリーナ10においては、ストッパピン44が上昇端位置(係合位置)から係合解除位置まで下降させられると、図7に示すように一対の回動部材40、42がそれぞれ引張コイルスプリング60の付勢力に従って作動位置へ回動させられ、その回動部材40、42に設けられた清掃爪54がノズル14の先端開口部内の付着物22に押圧される。そして、その状態で回転台座34が回転軸心Sまわりに回転駆動されると、清掃爪54によってスパッタ等の付着物22が除去される。すなわち、回動部材40、42が配設された回転台座34を回転軸心Sの軸方向へ移動させることなく、エアシリンダ64によってストッパピン44を係合解除位置まで下降させるだけで、回動部材40、42に設けられた清掃爪54をノズル14の径方向へ移動させて内周面に押圧することができるため、装置が簡単且つ安価に構成されるとともに、ノズル14の径寸法が異なる場合でも、支持軸50、52の位置や回動部材40、42の形状等を変更するだけで容易に対応できる。また、回動部材40、42に設けられた清掃爪54は、引張コイルスプリング60の付勢力に従ってノズル14の径方向へ移動させられるため、ノズル14の径寸法の相違が比較的小さい場合には、設計変更を行なうことなく、その径寸法の相違に拘らず清掃爪54を適切にノズル14の内周面に押圧して付着物22を除去することができる。
【0048】
一方、清掃工具として清掃爪54が設けられているため、ノズル14内に電極チップ16や電極ワイヤ18が存在する場合でも、それ等と干渉することなく、ノズル14との間の環状の隙間内に清掃爪54を挿入して付着物22の除去処理を行なうことができる。これにより、溶接トーチ12からノズル14を取り外す必要がなく、所定の移動経路に従って溶接トーチ12を移動させて溶接を行なう溶接ロボット20を用いて、ノズルクリーナ10の真上の清掃位置へ溶接トーチ12を移動させ、そのままの状態で下降させてノズルクリーナ10によりノズル14の清掃を行なうことが可能で、ノズル14の清掃を自動溶接に組み込んで自動化を図ることができる。また、清掃爪54はブラシに比較して剛性が高く、高い押圧力(付勢力)でノズル14に押圧することができるため、付着物22を効率的に除去することができる。
【0049】
また、本実施例では、ノズル14の清掃終了後にストッパピン44がエアシリンダ64によって上昇端位置(係合位置)へ移動させられると、回動部材40、42がそれぞれ初期位置へ回動させられるとともに、引張コイルスプリング60の付勢力に応じてその回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦で回転台座34の回転が制動されるため、ブレーキ装置を必要とすることなく回転台座34の回転が速やかに停止させられるようになり、一連の清掃処理に関するサイクルタイムが短縮される。
【0050】
また、本実施例では、回動部材40、42が初期位置に保持された状態において、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪54が設けられているため、その清掃爪54をノズル14の先端開口部内に適切に挿入できるとともに、その挿入状態でノズル14の先端開口部よりも外側に位置する清掃爪54の基端側部分には、回転軸心Sから離間する外側へ湾曲している湾曲部62が設けられているため、溶接ロボット20によりノズル14を回転軸心Sの軸方向へ移動させ、その湾曲部62をノズル14の先端開口部の開口端縁に押圧することにより、その開口端縁に付着した付着物22についても適切に除去することができる。
【0051】
また、本実施例では、回転軸心Sを挟んで対称的な2箇所に、それぞれ回転軸心Sに対して垂直な平面内において回転軸心Sに対して直交する直線と直角となる姿勢で一対の支持軸50、52が配設され、その支持軸50、52の軸心まわりに回動可能に一対の回動部材40、42が配設されている。そして、その回動部材40、42には、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪54が設けられているとともに、支持軸50、52を挟んで清掃爪54と反対側に係止部56が設けられ、その係止部56に跨がって引張コイルスプリング60が配設されているため、回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一のストッパピン44によって一対の回動部材40、42をそれぞれ初期位置に保持することができ、装置が簡単且つ安価に構成される。
【0052】
また、上記初期位置では、ストッパピン44との係合で回動部材40、42が作動位置側へ回動することが阻止されているだけであるため、清掃爪54がノズル14の先端開口部内に相対的に挿入される際に、その先端開口部、或いはその先端開口部に付着した付着物22と干渉した場合には、回動部材40、42は引張コイルスプリング60の付勢力に抗して清掃爪54が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが可能で、清掃爪54をノズル14の先端開口部内に相対的に挿入する溶接ロボット20や清掃爪54に過大な負荷が作用することが防止される。
【0053】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
10:溶接用ノズルクリーナ 14、92:溶接用ノズル 22:付着物 34:回転台座 40、42:回動部材 44:ストッパピン(切替部材) 50、52:支持軸 54:清掃爪(清掃工具) 56:係止部 60:引張コイルスプリング(付勢部材) 62:湾曲部 64:エアシリンダ(切替駆動装置) 68:内側側縁部 S:回転軸心
【技術分野】
【0001】
本発明は溶接用ノズルクリーナに係り、特に、単純な装置構成で清掃工具を溶接用ノズルの径方向へ変位させることが可能で、溶接用ノズルの径寸法に合わせて容易に設計変更できる溶接用ノズルクリーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接用の溶接トーチのノズルの先端部にはスパッタが付着するが、このスパッタはシールドガスの流れを乱すなどして溶接品質を損なうため、定期的に除去する必要がある。このため、略円筒形状の溶接用ノズルの先端開口部内に清掃工具が相対的に挿入され、その溶接用ノズルの中心線まわりに相対回転させられることにより、その溶接用ノズルに付着した付着物を清掃工具によって除去する溶接用ノズルクリーナが提案されている。特許文献1に記載の装置(同文献の図5、図6参照)はその一例で、清掃工具として一対のブラシが用いられており、そのブラシを回転軸心まわりに回転駆動しつつ軸方向へ移動させて溶接用ノズルの先端開口部内に挿入するとともに、その軸方向の移動に伴って機械的に付勢部材(スプリング)により径方向の外側へ変位させ、溶接用ノズルの内周面に押圧するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−60448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の溶接用ノズルクリーナは、清掃工具を回転駆動しつつ軸方向へ移動させて溶接用ノズルの先端開口部内に挿入する際に、その軸方向の移動に連動して付勢部材により径方向の外側へ変位させて溶接用ノズルの内周面に押圧するため、構造が複雑になるだけでなく、溶接用ノズルの径寸法が相違する場合に清掃工具が適切に溶接用ノズルの内周面に押圧されるようにするための設計変更が面倒で大掛かりになり、全体として装置コストが高くなる。また、清掃工具としてブラシを用いているため、比較的大きなスペースが必要で、ノズル内に消耗電極やその消耗電極を支持している電極チップ等が存在する場合、それ等と干渉する恐れがあるため、溶接トーチからノズル部分を取り外して清掃を行なう必要があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、単純な装置構成で清掃工具を溶接用ノズルの径方向へ変位させることが可能で、溶接用ノズルの径寸法に合わせて容易に設計変更できるとともに、ノズル内に消耗電極や電極チップ等が存在する場合でも、そのまま溶接用ノズルの付着物を除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、第1発明は、略円筒形状の溶接用ノズルの先端開口部内に清掃工具が相対的に挿入され、その溶接用ノズルの中心線まわりに相対回転させられることにより、その溶接用ノズルに付着した付着物をその清掃工具によって除去する溶接用ノズルクリーナにおいて、(a) 所定の回転軸心Sと前記溶接用ノズルの中心線とが略一致する位置関係でその回転軸心Sまわりに回転駆動される回転台座と、(b) それぞれ先端部に前記清掃工具として清掃爪を有するとともに、所定の支持軸まわりに回動可能に前記回転台座に配設された複数の回動部材と、(c) その複数の回動部材を、前記清掃爪がそれぞれ前記回転軸心Sから離間する方向へ移動して前記溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧される作動位置へ回動させるように、前記支持軸まわりに付勢する付勢部材と、(d) 前記複数の回動部材と係合させられることにより、その回動部材を、それぞれ前記付勢部材の付勢力に抗して前記作動位置に比較して前記清掃爪が前記回転軸心Sに接近する予め定められた初期位置に保持する一方、その複数の回動部材との係合が解除されることにより、その回動部材がそれぞれ前記付勢部材の付勢力に従って前記作動位置へ回動することを許容する切替部材と、(e) その切替部材を、前記回動部材と係合させられる係合位置と、その回動部材との係合が解除される係合解除位置とへ移動させる切替駆動装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の溶接用ノズルクリーナにおいて、前記切替部材は、前記回転台座とは別に前記回転軸心Sまわりに回転不能に配設されており、前記切替駆動装置により前記係合位置へ移動させられて前記複数の回動部材と係合させられることにより、その回動部材がそれぞれ前記初期位置に保持されるとともに、前記付勢部材の付勢力に応じてその回動部材との間に生じる摩擦で前記回転台座の回転が制動されることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の溶接用ノズルクリーナにおいて、(a) 前記清掃爪は、前記回動部材が前記初期位置に保持された状態において、その回動部材から前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように設けられ、前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入されるとともに、(b) その清掃爪が前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入された状態において、その溶接用ノズルの先端開口部よりも外側に位置する清掃爪の基端側部分には、前記付着物の除去に関与する前記回転軸心Sから離間する外側の側縁部が、その基端側へ向かうに従ってその外側へ湾曲している湾曲部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの溶接用ノズルクリーナにおいて、(a) 前記複数の回動部材は、前記回転軸心Sまわりの複数箇所に、その回転軸心Sに対して垂直な平面内においてその回転軸心Sに対して直交する直線と直角に配設された複数の支持軸に、それぞれ回動可能に配設されており、(b) その回動部材には、前記初期位置に保持された状態において前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように前記清掃爪が設けられているとともに、前記支持軸を挟んでその清掃爪と反対側に係止部が設けられており、その係止部に前記付勢部材が係止されて前記回転軸心Sに接近する方向の付勢力が作用させられることにより、その回動部材が前記作動位置へ回動するように付勢される一方、(c) 前記切替部材は、前記回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の部材で、前記複数の回動部材の前記係止部側からその回動部材に接近させられ、その係止部の前記回転軸心Sに近接する内側の側縁部に係合させられることにより、その係止部を前記付勢部材の付勢力に抗してその回転軸心Sから離間する方向へ移動させ、その複数の回動部材をそれぞれ前記初期位置に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような溶接用ノズルクリーナにおいては、切替駆動装置によって切替部材が係合位置から係合解除位置へ移動させられると、複数の回動部材がそれぞれ初期位置から付勢部材の付勢力に従って作動位置へ回動させられ、その回動部材に設けられた清掃爪が溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧される一方、回転台座が回転軸心Sまわりに回転駆動されることにより、その清掃爪によって溶接用ノズルの先端開口部の内周面に付着したスパッタ等の付着物が除去される。すなわち、回動部材が配設された回転台座を回転軸心Sの軸方向へ移動させることなく、切替駆動装置によって切替部材を係合解除位置へ移動させるだけで、回動部材に設けられた清掃爪を溶接用ノズルの径方向へ移動させて内周面に押圧することができるため、装置が簡単且つ安価に構成されるとともに、溶接用ノズルの径寸法が異なる場合でも、支持軸の位置や回動部材の形状等を変更するだけで容易に対応できる。また、回動部材に設けられた清掃爪は、付勢部材の付勢力に従って溶接用ノズルの径方向へ移動させられるため、溶接用ノズルの径寸法の相違が比較的小さい場合には、設計変更を行なうことなく、その径寸法の相違に拘らず清掃爪を適切に溶接用ノズルの内周面に押圧して付着物を除去することができる。
【0011】
一方、清掃工具として清掃爪が設けられているため、ノズル内に消耗電極や電極チップ等が存在する場合でも、それ等と干渉することなく、溶接用ノズルとの間の環状の隙間に清掃爪を挿入して付着物を除去することができる。これにより、必ずしも溶接トーチからノズルを取り外す必要がなく、例えば所定の移動経路に従って溶接トーチを移動させて溶接を行なう溶接ロボットを用いて、溶接用ノズルクリーナの真上の清掃位置へ溶接トーチを移動させ、そのままの状態で溶接用ノズルクリーナにより溶接用ノズルの清掃が行なわれるようにすることが可能で、溶接用ノズルの清掃を自動溶接に組み込んで自動化を図ることができる。また、清掃爪はブラシに比較して剛性が高く、高い押圧力(付勢力)で溶接用ノズルに押圧することができるため、付着物を効率的に除去することができる。
【0012】
第2発明では、溶接用ノズルの清掃終了後に切替部材が切替駆動装置によって係合位置へ移動させられると、回動部材がそれぞれ初期位置へ回動させられるとともに、付勢部材の付勢力に応じてその回動部材と切替部材との間に生じる摩擦で回転台座の回転が制動されるため、ブレーキ装置を必要とすることなく回転台座の回転が速やかに停止させられるようになり、一連の清掃に関するサイクルタイムが短縮される。
【0013】
第3発明では、回動部材が初期位置に保持された状態において、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪が設けられているため、その清掃爪を溶接用ノズルの先端開口部内に適切に挿入できるとともに、その挿入状態で溶接用ノズルの先端開口部よりも外側に位置する清掃爪の基端側部分には、回転軸心Sから離間する外側へ湾曲している湾曲部が設けられているため、回動部材が配設された回転台座と溶接用ノズルとを相対的に回転軸心Sの軸方向へ変位させ、その湾曲部を溶接用ノズルの先端開口部の開口端縁に押圧することにより、その開口端縁に付着した付着物についても適切に除去することができる。
【0014】
第4発明では、回転軸心Sまわりの複数箇所に所定の姿勢で設けられた複数の支持軸にそれぞれ回動部材が配設されており、その回動部材には、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪が設けられているとともに、支持軸を挟んで清掃爪と反対側に係止部が設けられて付勢部材が係止されているため、回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の切替部材によって複数の回動部材をそれぞれ初期位置に保持することができ、装置が簡単且つ安価に構成される。また、その初期位置では、切替部材との係合で作動位置側への回動が阻止されるだけであるため、清掃爪が溶接用ノズルの先端開口部内に相対的に挿入される際に、その先端開口部、或いはその先端開口部に付着した付着物と干渉した場合には、回動部材は付勢部材の付勢力に抗して清掃爪が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが可能で、清掃爪を溶接用ノズルの先端開口部内に相対的に挿入するための装置(溶接ロボットなど)や清掃爪に過大な負荷が作用することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例である溶接用ノズルクリーナを示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の左側から見た左側面図である。
【図2】図1の溶接用ノズルクリーナの要部を制御系統と共に示す断面図である。
【図3】図1の溶接用ノズルクリーナによってノズルに付着した付着物が適切に除去される溶接トーチの一例を示す図である。
【図4】図2のPLCによって実行されるノズルの清掃手順を具体的に説明するフローチャートである。
【図5】図4のステップS1で溶接トーチが溶接用ノズルクリーナの真上の清掃位置へ移動させられた状態を示す断面図である。
【図6】図4のステップS2で溶接トーチが下降させられ、清掃爪が相対的にノズルの先端開口部内に挿入された状態を示す断面図である。
【図7】図4のステップS3でストッパピンが下降させられ、付勢部材の付勢力に従って一対の回動部材が作動位置へ回動させられた状態を示す断面図である。
【図8】図4のステップS4で溶接用ノズルクリーナの回転台座が回転駆動されるとともに溶接トーチが上下動させられて、ノズルの先端開口部の付着物が除去された状態を示す断面図である。
【図9】図1の溶接用ノズルクリーナによってノズルに付着した付着物が除去される溶接トーチの別の例を示す図で、溶接トーチが溶接用ノズルクリーナの真上の清掃位置へ移動させられた状態を示す図5に対応する断面図である。
【図10】図9の実施例において、溶接用ノズルクリーナの回転台座が回転駆動されるとともに溶接トーチが上下動させられ、ノズルの先端開口部の付着物が除去された状態を示す図8に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の溶接用ノズルクリーナは、例えば電極チップを内部に収容しているとともにその周囲からシールドガスを噴出する消耗電極式或いは非消耗電極式のガスシールド型アーク溶接用の溶接トーチのノズルを清掃する際に好適に用いられるが、円筒形状の溶接用ノズルを備えている他の溶接装置のノズルの清掃にも使用できる。溶接用ノズルは、径寸法が一定の円筒形状の場合だけでなく、先端へ向かうに従って径寸法が徐々に小さくなるテーパ部を有するノズルであっても良い。溶接用ノズルに付着する付着物は、例えば溶接の際に飛散した溶融金属が付着して固まったスパッタなどである。
【0017】
上記溶接トーチ等から溶接用ノズルを取り外して本発明の溶接用ノズルクリーナにより付着物を除去するようにしても良いが、ノズルが溶接トーチ等に装着されたままの状態で付着物の除去処理を行なうこともできる。溶接ロボットによって実行される自動溶接の中に、例えば一定の溶接回数毎に溶接用ノズルクリーナによって付着物の除去処理を行なう清掃工程を組み入れ、ノズルが溶接トーチ等に装着されたまま自動的に付着物の除去処理が行なわれるようにすることもできる。
【0018】
清掃爪を有する回動部材が配設された回転台座が回転軸心Sまわりに回転駆動されることにより、清掃爪によって溶接用ノズルの付着物が除去されるが、その際に溶接用ノズルを例えば回転台座の回転方向と反対方向へ回転駆動するようにしても良い。溶接用ノズルを回転させることなく、溶接用ノズルクリーナの回転台座のみを回転させて清掃処理を行なうこともできる。回転台座は、例えば圧力エアによって回転するエアモータや電力で回転する電動モータ等の回転駆動装置によって回転軸心Sまわりに回転させられる。
【0019】
清掃爪を有する回動部材は、平板状のものでも良いし、立体的な3次元形状のものでも良く、種々の態様が可能である。清掃爪は高い剛性を有し、付勢部材の付勢力でスパッタ等の付着物に押圧された状態で相対回転させられることにより、その付着物を掻き落したり割ったりして除去するもので、単純な直線状であっても良いが、1または複数の三角突起等を有するものでも良い。この清掃爪は、回動部材と一体に設けることもできるが、別体に構成してボルト等の固定手段や溶接、接着剤等により回動部材に一体的に取り付けられても良い。
【0020】
複数の回動部材は、例えば回転軸心Sに対して対称的に一対配設されるが、回転軸心Sのまわりに等角度間隔で3つ以上設けることもできるなど、その数や配設形態は種々の態様が可能である。支持軸は、例えば回動部材と同じ数だけ設けられるが、回動部材を回転軸心Sに対して対称的に一対配設する場合、回転軸心Sと直交する単一の支持軸によって一対の回動部材を支持することも可能である。
【0021】
回動部材を付勢する付勢部材は、例えば回動部材毎に回動部材と回転台座との間に配設されるが、複数の回動部材に跨がって1または複数の付勢部材を配設し、複数の回動部材をそれぞれ作動位置へ回動するように付勢することもできる。付勢部材としては、例えば圧縮コイルスプリングや引張コイルスプリング、ねじりコイルスプリング等のばね部材が好適に用いられるが、ゴム等の弾性体を採用することもできる。
【0022】
溶接用ノズルの先端開口部内に清掃爪を相対的に挿入するため、例えば回転台座等を回転軸心Sの軸方向へ直線的に移動させる挿入装置が設けられるが、溶接用ノズルを回転軸心Sの軸方向へ直線的に移動させるようにしても良い。溶接ロボットを利用して、溶接用ノズルが溶接トーチ等に装着されたままの状態で、回転軸心Sの軸方向へ直線的に移動させて溶接用ノズルの先端開口部内に清掃爪が挿入されるようにしても良い。
【0023】
切替部材は、例えば直線往復移動させられることにより係合位置および係合解除位置へ移動させられ、流体圧(エアや油圧)シリンダや送りねじ機構等の直動型の切替駆動装置によって駆動されるが、電動モータやエアモータ等によって回転させられることにより係合位置および係合解除位置へ移動させられるものでも良いなど、種々の態様が可能である。
【0024】
第2発明では、切替部材が回転台座とは別に回転軸心Sまわりに回転不能に配設されているが、第1発明の実施に際しては、切替部材および切替駆動装置を回転台座に配設し、回転台座と共に回転軸心Sまわりに回転させられるようになっていても良い。また、切替部材が係合位置へ移動させられて複数の回動部材と係合させられることにより、付勢部材の付勢力に応じてその回動部材と切替部材との間に生じる摩擦で回転台座の回転が制動されるが、回転台座の回転を停止させるブレーキ装置を別途設けることもできるし、回転台座を電動モータによって回転駆動する場合は、その電動モータの回生ブレーキ制御などで制動することも可能である。
【0025】
第3発明では、清掃爪の基端側部分に外側へ湾曲している湾曲部が設けられているため、溶接用ノズルの先端開口部の径寸法の多少の相違や、スパッタ等の付着物の付着量の多少の相違に拘らず、その湾曲部により溶接用ノズルの開口端縁の付着物を適切に除去できるが、他の発明の実施に際しては湾曲部の代わりに所定の角度で外側へ曲げられたL字形等の屈曲部が設けられても良い。それ等の湾曲部や屈曲部を備えておらず、単に溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧されて付着物を除去するものでも良い。上記湾曲部は、滑らかな円弧形状であっても良いが、全体として湾曲した形状であれば良く、複数の直線部によって構成することもできる。
【0026】
第4発明では、回転軸心Sに対して垂直な平面内においてその回転軸心Sに対して直交する直線と直角に複数の支持軸が設けられて回動部材を回動可能に支持しているが、回転軸心Sに対して垂直な平面から傾斜する姿勢、或いは回転軸心Sと平行となる姿勢等で支持軸を配設することもできるなど、支持軸の配設形態は適宜定められる。この支持軸の配設形態に応じて、回動部材に対する清掃爪の配設形態や付勢部材の係止形態、切替部材の形状や移動形態等が適宜設定される。
【0027】
第4発明ではまた、切替部材が、回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の部材にて構成されているが、他の発明の実施に際しては、複数の回動部材毎に別々の切替部材が設けられても良いし、回動部材の回動形態に応じて切替部材を回転軸心Sに対して接近離間する方向(ノズルの径方向)へ移動させたり、回転軸心Sを中心として回転させたりするようになっていても良い。
【0028】
第4発明において、切替部材が回動部材の係止部側からその回動部材に接近させられ、その係止部の内側の側縁部に係合させられる先端部分には、回動部材を初期位置へ円滑に回動させるために、例えば先端側程小径となるテーパ部や角錐部を設けることが望ましい。回転軸心Sに対して対称的に一対の回動部材が設けられる場合は、先端側程板厚が薄くなる楔形状部が設けられても良い。切替部材が係合させられる回動部材の係止部の内側の側縁部に、傾斜や湾曲等を設けることも可能である。
【0029】
他の発明の実施に際しても、切替部材と回動部材との係合部分の形状や位置関係などは、回動部材を初期位置へ円滑に回動させることができるとともに、その初期位置に保持された状態で溶接用ノズルの先端開口部内に清掃爪が挿入される際に、清掃爪が付着物等と干渉した場合には、付勢手段の付勢力に抗して清掃爪が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが許容されるように設定することが望ましい。初期位置において回動部材と切替部材との間に生じる摩擦により、回転台座の回転を制動する場合には、所定の制動力が得られるように上記係合部分の形状を設定することもできる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である溶接用ノズルクリーナ10(以下、単にノズルクリーナ10という)を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) の左側から見た左側面図である。また、図2は、ノズルクリーナ10の要部を制御系統と共に示す断面図で、図3は、ノズルクリーナ10によってノズルに付着した付着物が適切に除去される溶接トーチの一例を示す図である。図3の溶接トーチ12は、消耗電極式のガスシールド型アーク溶接に用いられるもので、溶接用ノズル14(以下、単にノズル14という)の中心に溶接チップ16が設けられ、その電極チップ16とノズル14との間の環状通路を通ってシールドガスが噴射されるとともに、電極チップ16の中心部分を電極ワイヤ(消耗電極)18が挿通させられてノズル14の先端から突き出している。ノズル14は、全体として略円筒形状を成しているとともに、先端部分には先端側程小径となるテーパ部14tが設けられている。また、この溶接トーチ12は、多関節型ロボット等の溶接ロボット20のアーム等に取り付けられて3次元的に移動させられ、所定の溶接位置でアーク溶接に用いられる。その際、飛散した溶融金属がノズル14の先端開口部に付着して固まると、シールドガスの流れを乱すなどして溶接品質が損なわれるため、その付着した付着物(スパッタなど)22(図5参照)を本実施例のノズルクリーナ10によって定期的に除去する必要がある。
【0031】
ノズルクリーナ10は、略水平な装置基台30にベアリング32を介して略垂直な回転軸心Sまわりに回転可能に配設された回転台座34と、その回転台座34上に配設された一対の支持ブラケット36、38によってそれぞれ回動可能に支持されている一対の回動部材40、42と、回転台座34に対して相対回転可能で回転軸心Sと同心に軸方向すなわち上下方向の移動可能に配設されたストッパピン44とを備えている。回転台座34の外周部には噛合歯が設けられ、エアモータ46の回転軸に取り付けられたドライブピニオン48と噛み合わされており、エアモータ46によってドライブピニオン48が回転駆動されると、回転台座34が回転軸心Sまわりに回転させられる。回転台座34はドライブピニオン48よりも十分に大径で、その歯数比(径寸法比)に応じて減速回転させられる。エアモータ46は回転駆動装置に相当する。
【0032】
一対の回動部材40、42は、回転軸心Sを挟んで対称的な2箇所に設けられた一対の支持軸50、52の軸心まわりに回動可能に配設されている。一対の支持軸50、52は、回転軸心Sに対して垂直な平面内、すなわち略水平な平面内において、回転軸心Sに対して直交する直線と直角(図2の紙面に対して垂直)となる姿勢で、それぞれ前記一対の支持ブラケット36、38に跨がって配設されている。回動部材40、42は、平板形状で対称的に構成されており、前記ストッパピン44によって規定される図2に示す初期位置に保持された状態において、それぞれ回転軸心Sと略平行に上方へ突き出すように清掃爪54が一体に設けられており、溶接トーチ12の中心線と回転軸心Sとが略一致させられた位置関係で図6に矢印Aで示すように溶接トーチ12が下降させられることにより、清掃爪54がノズル14の先端開口部内に適切に挿入される。
【0033】
上記回動部材40、42にはまた、支持軸50、52を挟んで清掃爪54と反対側すなわち下方側に係止部56が設けられている。両回動部材40、42の係止部56には、それぞれ平板状の回動部材40、42の板厚方向の両側へ略水平に突き出すように係止ピン58が設けられており、その係止ピン58の両側の先端部には、それぞれ回動部材40の係止ピン58と回動部材42の係止ピン58とに跨がって一対の引張コイルスプリング60が掛け止められている(図1(a) 参照)。この引張コイルスプリング60は付勢部材に相当し、両係止部56が互いに接近する方向すなわち回転軸心Sに接近する方向へ付勢されることにより、一対の回動部材40、42はそれぞれストッパピン44との係合によって規定される初期位置に保持される。
【0034】
また、図7に示すようにストッパピン44との係合が解除されると、両回動部材40、42は、引張コイルスプリング60の付勢力に従って、それぞれ矢印Cで示すように清掃爪54が回転軸心Sから離間する方向へ移動して前記ノズル14の内周面或いは付着物22に押圧される作動位置へ回動させられる。清掃爪54は、付着物22を除去するための比較的剛性の高い清掃工具であり、引張コイルスプリング60の付勢力により付着物22に押圧された状態で、前記エアモータ46によって回転台座34が回転軸心Sまわりに回転駆動されると、清掃爪54により付着物22が掻き落とされたり割られたりして除去される。
【0035】
図6に示すように清掃爪54がノズル14の先端開口部内に挿入された状態において、そのノズル14の先端開口部よりも外側すなわち下方に位置する清掃爪54の基端側部分には、付着物22の除去に関与する回転軸心Sから離間する外側の側縁部が、基端側、すなわち支持軸50、52に接近する側で図6における下方、へ向かうに従って外側へ湾曲している湾曲部62が設けられている。したがって、清掃爪54が付着物22に押圧される作動位置に付勢された状態で、エアモータ46によって回転台座34が回転軸心Sまわりに回転駆動されるとともに、溶接トーチ12が前記溶接ロボット20により回転軸心Sの軸方向へ相対的に移動させられると、その湾曲部62がノズル14の開口端縁に押圧され、その開口端縁に付着した付着物22についても適切に除去される。
【0036】
前記ストッパピン44は円柱形状を成していて、上記回動部材40、42の下方に配設されているとともに、エアシリンダ64のピストンに一体的に連結されて上下駆動されるようになっている。このストッパピン44は回転軸心Sまわりの回転不能とされており、回転台座34との間に介在させられた軸受66により、回転軸心Sまわりの相対回転および軸方向の相対移動が許容されるとともに、回転軸心Sと同心に位置決めされている。そして、このストッパピン44がエアシリンダ64によって上昇させられると、回動部材40、42の下方すなわち前記係止部56側から回動部材40、42に接近させられ、その係止部56の回転軸心Sに近接する内側側縁部68に係合させられる。これにより、その係止部56が引張コイルスプリング60の付勢力に抗して回転軸心Sから離間する外側へ移動させられ、一対の回動部材40、42がそれぞれ前記図2に示す初期位置に保持されるとともに、引張コイルスプリング60の付勢力に応じて回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦で回転台座34の回転が制動される。ストッパピン44の上昇端位置すなわち係合位置は、ピストンに連結される下端の大径部70が装置基台30の下面に当接することによって規定される。また、エアシリンダ64によってストッパピン44が図7に示す係合解除位置まで下降させられ、回動部材40、42との係合が解除されると、それ等の回動部材40、42はそれぞれ引張コイルスプリング60の付勢力に従って作動位置へ回動させられる。ストッパピン44は切替部材に相当し、エアシリンダ64は切替駆動装置に相当する。
【0037】
上記ストッパピン44の先端部、すなわち係止部56の内側側縁部68に係合させられる部分には、先端側程小径となるテーパ部72が設けられているとともに、ストッパピン44が係合させられる回動部材40、42の係止部56の内側側縁部68は、滑らかな凸湾曲形状乃至は折れ曲がり形状とされており、それ等のストッパピン44と回動部材40、42とが点接触させられるようになっている。これ等の係合部分の形状や位置関係は、ストッパピン44が上昇端位置(係合位置)へ上昇させられることにより、回動部材40、42を初期位置へ円滑に回動させることができるとともに、その初期位置に保持された状態で、図6に示すようにノズル14の先端開口部内に清掃爪54が相対的に挿入される際に、清掃爪54が付着物22と干渉した場合には、引張コイルスプリング60の付勢力に抗して清掃爪54が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが許容されるように適宜定められる。また、その初期位置において回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦により、回転台座34の回転を制動する所定の制動力が得られる。
【0038】
以上のように構成されたノズルクリーナ10は、図2に示すように前記エアモータ46およびエアシリンダ64の作動を制御するためのエア回路80を備えている。エア回路80は、ポンプその他の圧力エア源から所定の圧力エアが供給されるようになっているとともに、前記エアモータ46を回転駆動して回転台座34を回転させるようにエア回路を切り換えるエアモータ制御用バルブ82、および前記エアシリンダ64のピストンを往復移動させてストッパピン44を上下動させるようにエア回路を切り換えるストッパピン昇降用バルブ84を備えている。エアモータ制御用バルブ82は、エアモータ46を一方向へ回転駆動するだけでも良いが、回転台座34を正逆両方向へ回転させるためにエアモータ46の回転方向を正逆両方向へ切り換えることができるものでも良い。
【0039】
上記エアモータ制御用バルブ82およびストッパピン昇降用バルブ84は、何れもソレノイド式の切換バルブで、PLC86によってその作動状態すなわちエアの連通状態が切り換えられるようになっている。PLC86は、前記溶接ロボット20を制御する溶接ロボット制御装置88に接続されており、その溶接ロボット制御装置88には溶接プログラムおよびノズル清掃プログラムが予め記憶されている。PLC86および溶接ロボット制御装置88は、何れもCPU、RAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを備えているコントローラ(制御装置)で、溶接ロボット制御装置88は、溶接プログラムに従って溶接ロボット20を制御することにより、ロボットアーム等に取り付けられた前記溶接トーチ12を予め定められた複数の溶接位置へ予め定められた経路に従って順次移動させる。ノズル清掃プログラムは、溶接トーチ12による溶接作業が予め定められた回数に達した時、或いは作業者の指令等による所定のタイミングで前記PLC86に出力され、そのPLC86および溶接ロボット制御装置88によって、前記ノズルクリーナ10および溶接ロボット20がノズル清掃プログラムに従って制御されることにより、溶接トーチ12のノズル14が自動的に清掃される。図4は、このノズル清掃プログラムの内容(信号処理)を具体的に説明するフローチャートである。
【0040】
図4において、ステップS1は、溶接トーチ12による溶接回数が規定回数に達するなどして清掃開始条件を満たすと実行され、溶接ロボット制御装置88によって溶接ロボット20が制御されることにより、溶接トーチ12が予め定められた清掃位置へ移動させられる。この清掃位置は、ノズルクリーナ10の回転軸心Sの真上であって、溶接トーチ12の中心線と回転軸心Sとが略一致する位置である。図5は、溶接トーチ12が清掃位置へ移動させられた状態である。この時、ノズルクリーナ10の一対の回動部材40、42は初期位置に保持され、それ等に設けられた清掃爪54は回転軸心Sと略平行に上方へ向かって突き出している。
【0041】
ステップS2では、同じく溶接ロボット制御装置88によって溶接ロボット20が制御されることにより、溶接トーチ12が図6に矢印Aで示すように下降させられ、ノズルクリーナ10の一対の清掃爪54が相対的に溶接トーチ12のノズル14の内側、すなわち電極ワイヤ18とノズル14との間の環状の空間内に挿入される。清掃爪54は、前記特許文献1に記載のようなブラシと異なり、比較的薄肉で幅狭でも所定の清掃性能(付着物除去性能)が得られるため、ノズル14内に電極ワイヤ18や電極チップ16が存在したままでも、ノズル14の内側の比較的小さなスペースへ清掃爪54を挿入することができる。また、清掃爪54が設けられた回動部材40、42は、ストッパピン44との係合で初期位置に保持されており、作動位置側への回動が阻止されているだけであるため、清掃爪54がノズル14の先端開口部に付着した付着物22と干渉した場合には、回動部材40、42は引張コイルスプリング60の付勢力に抗して清掃爪54が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが可能で、溶接ロボット20や清掃爪54に過大な負荷が作用することが防止される。
【0042】
図6に示すように溶接トーチ12が所定の下降位置まで下降させられ、そのノズル14の内側に清掃爪54が適切に挿入されると、溶接ロボット制御装置88からPLC86へ清掃開始指令が出力され、そのPLC86によりステップS3以下が実行されることにより、溶接トーチ12のノズル14から付着物22を除去するための清掃処理が行なわれる。ステップS3では、ストッパピン昇降用バルブ84が切り換えられることによりエアシリンダ64のピストンが引き込まれ、ストッパピン44が図7に矢印Bで示すように回動部材40、42との係合が解除される係合解除位置まで下降させられる。これにより、回動部材40、42は、引張コイルスプリング60の付勢力に従って係止部56側が互いに接近させられ、清掃爪54側が矢印Cで示すように互いに離間させられて付着物22に係合する作動位置へ回動させられる。
【0043】
ストッパピン44が所定の係合解除位置まで下降させられると、次にステップS4を実行する。ステップS4では、エアモータ制御用バルブ82が切り換えられることによりエアモータ46が回転駆動され、回動部材40、42が回転台座34と共に図8に矢印Dで示すように回転軸心Sまわりに回転させられる。この時、清掃爪54は引張コイルスプリング60の付勢力に従ってノズル14の先端開口部に付着した付着物22に押圧されているため、回転軸心Sまわりの回転に伴って付着物22が清掃爪54により掻き落とされ、或いは割られたりして除去される。ステップS4ではまた、溶接ロボット制御装置88により溶接トーチ12が図8に矢印Eで示すように回転軸心Sと平行な上下方向へ予め定められた寸法だけ上下移動させられる。これにより、ノズル14の先端開口部の内周面に付着した付着物22は、清掃爪54により回転軸心Sまわりの周方向だけでなく回転軸心Sと平行な軸方向にも引っ掻かれることになり、一層適切に効率良く除去されるとともに、清掃爪54の基端側に設けられた湾曲部62がノズル14の開口端縁(先端縁)に押圧されることにより、その開口端縁に付着した付着物22についても適切に除去される。図8は、付着物22が完全に除去された状態である。本実施例の清掃爪54は、この状態でノズル14のテーパ部14tの内壁面に略密着するように設けられている。
【0044】
上記ステップS4の清掃処理が予め定められた所定時間だけ行なわれると、ステップS5を実行し、エアモータ制御用バルブ82を切り換えてエアモータ46による回転台座34の回転駆動を停止するとともに、溶接ロボット20による溶接トーチ12の上下移動を停止する。また、次のステップS6では、ストッパピン昇降用バルブ84を切り換えてエアシリンダ64のピストンを突き出させ、ストッパピン44を上昇端位置まで上昇させる。このストッパピン44の上昇で、回動部材40、42の内側側縁部68がストッパピン44のテーパ部72と係合させられるようになると、回動部材40、42は、引張コイルスプリング60の付勢力に抗して係止部56側が互いに離間させられるとともに清掃爪54が互いに接近させられ、図2に示す初期位置へ戻される。このようにストッパピン44が回動部材40、42に係合させられると、引張コイルスプリング60の付勢力に応じて回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦により回転台座34の回転が制動される。すなわち、前記エアモータ46による回転駆動の停止後も、回転台座34は惰性により回転しているが、ストッパピン44が上昇させられ、引張コイルスプリング60の付勢力に従って回動部材40、42がストッパピン44に押圧されることにより、回転台座34の回転が速やかに停止させられるのである。
【0045】
図2に示すようにストッパピン44が上昇端位置に達すると、PLC86から溶接ロボット制御装置88にノズル清掃完了の信号が出力され、その溶接ロボット制御装置88によりステップS7が実行される。ステップS7では、溶接ロボット20により溶接トーチ12を回転軸心Sの軸方向へ上昇させ、清掃爪54を相対的にノズル14から抜き出した後、その溶接トーチ12を予め定められた原位置へ移動させる。これにより、通常の溶接プログラムに従う制御へ戻る。
【0046】
図9および図10に示す溶接トーチ90は、前記溶接トーチ12と同様に電極チップ16および電極ワイヤ18を有する消耗電極式のガスシールド型アーク溶接に用いられるものであるが、径寸法が一定のストレート形状のノズル92を備えている点が相違する。本実施例のノズルクリーナ10は、このようなストレート形状のノズル92に対しても、前記ノズル14と同様に前記図4のフローチャートに従って付着物22を適切に除去することができる。図9および図10はそれぞれ前記図5、図8に相当する断面図で、図10に示すようにストッパピン44が下降させられて一対の回動部材40、42が作動位置へ回動させられた際に、清掃爪54がノズル92に対して傾斜する姿勢で係合させられ、清掃爪54の先端がノズル92に係合させられるが、溶接ロボット20により溶接トーチ90が矢印Eで示すように回転軸心Sと平行な上下方向へ往復移動させられることにより、ノズル92の先端開口部の内周面に付着した付着物22が適切に除去される。清掃爪54の基端側に設けられた湾曲部62によって、ノズル92の開口端縁(先端縁)に付着した付着物22が適切に除去されることは、前記ノズル14の場合と同様である。図10は、ノズル92の先端開口部の付着物22が完全に除去された状態である。
【0047】
このように、本実施例のノズルクリーナ10においては、ストッパピン44が上昇端位置(係合位置)から係合解除位置まで下降させられると、図7に示すように一対の回動部材40、42がそれぞれ引張コイルスプリング60の付勢力に従って作動位置へ回動させられ、その回動部材40、42に設けられた清掃爪54がノズル14の先端開口部内の付着物22に押圧される。そして、その状態で回転台座34が回転軸心Sまわりに回転駆動されると、清掃爪54によってスパッタ等の付着物22が除去される。すなわち、回動部材40、42が配設された回転台座34を回転軸心Sの軸方向へ移動させることなく、エアシリンダ64によってストッパピン44を係合解除位置まで下降させるだけで、回動部材40、42に設けられた清掃爪54をノズル14の径方向へ移動させて内周面に押圧することができるため、装置が簡単且つ安価に構成されるとともに、ノズル14の径寸法が異なる場合でも、支持軸50、52の位置や回動部材40、42の形状等を変更するだけで容易に対応できる。また、回動部材40、42に設けられた清掃爪54は、引張コイルスプリング60の付勢力に従ってノズル14の径方向へ移動させられるため、ノズル14の径寸法の相違が比較的小さい場合には、設計変更を行なうことなく、その径寸法の相違に拘らず清掃爪54を適切にノズル14の内周面に押圧して付着物22を除去することができる。
【0048】
一方、清掃工具として清掃爪54が設けられているため、ノズル14内に電極チップ16や電極ワイヤ18が存在する場合でも、それ等と干渉することなく、ノズル14との間の環状の隙間内に清掃爪54を挿入して付着物22の除去処理を行なうことができる。これにより、溶接トーチ12からノズル14を取り外す必要がなく、所定の移動経路に従って溶接トーチ12を移動させて溶接を行なう溶接ロボット20を用いて、ノズルクリーナ10の真上の清掃位置へ溶接トーチ12を移動させ、そのままの状態で下降させてノズルクリーナ10によりノズル14の清掃を行なうことが可能で、ノズル14の清掃を自動溶接に組み込んで自動化を図ることができる。また、清掃爪54はブラシに比較して剛性が高く、高い押圧力(付勢力)でノズル14に押圧することができるため、付着物22を効率的に除去することができる。
【0049】
また、本実施例では、ノズル14の清掃終了後にストッパピン44がエアシリンダ64によって上昇端位置(係合位置)へ移動させられると、回動部材40、42がそれぞれ初期位置へ回動させられるとともに、引張コイルスプリング60の付勢力に応じてその回動部材40、42とストッパピン44との間に生じる摩擦で回転台座34の回転が制動されるため、ブレーキ装置を必要とすることなく回転台座34の回転が速やかに停止させられるようになり、一連の清掃処理に関するサイクルタイムが短縮される。
【0050】
また、本実施例では、回動部材40、42が初期位置に保持された状態において、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪54が設けられているため、その清掃爪54をノズル14の先端開口部内に適切に挿入できるとともに、その挿入状態でノズル14の先端開口部よりも外側に位置する清掃爪54の基端側部分には、回転軸心Sから離間する外側へ湾曲している湾曲部62が設けられているため、溶接ロボット20によりノズル14を回転軸心Sの軸方向へ移動させ、その湾曲部62をノズル14の先端開口部の開口端縁に押圧することにより、その開口端縁に付着した付着物22についても適切に除去することができる。
【0051】
また、本実施例では、回転軸心Sを挟んで対称的な2箇所に、それぞれ回転軸心Sに対して垂直な平面内において回転軸心Sに対して直交する直線と直角となる姿勢で一対の支持軸50、52が配設され、その支持軸50、52の軸心まわりに回動可能に一対の回動部材40、42が配設されている。そして、その回動部材40、42には、回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように清掃爪54が設けられているとともに、支持軸50、52を挟んで清掃爪54と反対側に係止部56が設けられ、その係止部56に跨がって引張コイルスプリング60が配設されているため、回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一のストッパピン44によって一対の回動部材40、42をそれぞれ初期位置に保持することができ、装置が簡単且つ安価に構成される。
【0052】
また、上記初期位置では、ストッパピン44との係合で回動部材40、42が作動位置側へ回動することが阻止されているだけであるため、清掃爪54がノズル14の先端開口部内に相対的に挿入される際に、その先端開口部、或いはその先端開口部に付着した付着物22と干渉した場合には、回動部材40、42は引張コイルスプリング60の付勢力に抗して清掃爪54が回転軸心Sに接近する方向へ更に回動して逃げることが可能で、清掃爪54をノズル14の先端開口部内に相対的に挿入する溶接ロボット20や清掃爪54に過大な負荷が作用することが防止される。
【0053】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
10:溶接用ノズルクリーナ 14、92:溶接用ノズル 22:付着物 34:回転台座 40、42:回動部材 44:ストッパピン(切替部材) 50、52:支持軸 54:清掃爪(清掃工具) 56:係止部 60:引張コイルスプリング(付勢部材) 62:湾曲部 64:エアシリンダ(切替駆動装置) 68:内側側縁部 S:回転軸心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状の溶接用ノズルの先端開口部内に清掃工具が相対的に挿入され、該溶接用ノズルの中心線まわりに相対回転させられることにより、該溶接用ノズルに付着した付着物を該清掃工具によって除去する溶接用ノズルクリーナにおいて、
所定の回転軸心Sと前記溶接用ノズルの中心線とが略一致する位置関係で該回転軸心Sまわりに回転駆動される回転台座と、
それぞれ先端部に前記清掃工具として清掃爪を有するとともに、所定の支持軸まわりに回動可能に前記回転台座に配設された複数の回動部材と、
該複数の回動部材を、前記清掃爪がそれぞれ前記回転軸心Sから離間する方向へ移動して前記溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧される作動位置へ回動させるように、前記支持軸まわりに付勢する付勢部材と、
前記複数の回動部材と係合させられることにより、該回動部材を、それぞれ前記付勢部材の付勢力に抗して前記作動位置に比較して前記清掃爪が前記回転軸心Sに接近する予め定められた初期位置に保持する一方、該複数の回動部材との係合が解除されることにより、該回動部材がそれぞれ前記付勢部材の付勢力に従って前記作動位置へ回動することを許容する切替部材と、
該切替部材を、前記回動部材と係合させられる係合位置と、該回動部材との係合が解除される係合解除位置とへ移動させる切替駆動装置と、
を備えることを特徴とする溶接用ノズルクリーナ。
【請求項2】
前記切替部材は、前記回転台座とは別に前記回転軸心Sまわりに回転不能に配設されており、前記切替駆動装置により前記係合位置へ移動させられて前記複数の回動部材と係合させられることにより、該回動部材がそれぞれ前記初期位置に保持されるとともに、前記付勢部材の付勢力に応じて該回動部材との間に生じる摩擦で前記回転台座の回転が制動される
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接用ノズルクリーナ。
【請求項3】
前記清掃爪は、前記回動部材が前記初期位置に保持された状態において、該回動部材から前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように設けられ、前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入されるとともに、
該清掃爪が前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入された状態において、該溶接用ノズルの先端開口部よりも外側に位置する該清掃爪の基端側部分には、前記付着物の除去に関与する前記回転軸心Sから離間する外側の側縁部が、該基端側へ向かうに従って該外側へ湾曲している湾曲部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶接用ノズルクリーナ。
【請求項4】
前記複数の回動部材は、前記回転軸心Sまわりの複数箇所に、該回転軸心Sに対して垂直な平面内において該回転軸心Sに対して直交する直線と直角に配設された複数の支持軸に、それぞれ回動可能に配設されており、
該回動部材には、前記初期位置に保持された状態において前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように前記清掃爪が設けられているとともに、前記支持軸を挟んで該清掃爪と反対側に係止部が設けられており、該係止部に前記付勢部材が係止されて前記回転軸心Sに接近する方向の付勢力が作用させられることにより、該回動部材が前記作動位置へ回動するように付勢される一方、
前記切替部材は、前記回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の部材で、前記複数の回動部材の前記係止部側から該回動部材に接近させられ、該係止部の前記回転軸心Sに近接する内側の側縁部に係合させられることにより、該係止部を前記付勢部材の付勢力に抗して該回転軸心Sから離間する方向へ移動させ、該複数の回動部材をそれぞれ前記初期位置に保持する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の溶接用ノズルクリーナ。
【請求項1】
略円筒形状の溶接用ノズルの先端開口部内に清掃工具が相対的に挿入され、該溶接用ノズルの中心線まわりに相対回転させられることにより、該溶接用ノズルに付着した付着物を該清掃工具によって除去する溶接用ノズルクリーナにおいて、
所定の回転軸心Sと前記溶接用ノズルの中心線とが略一致する位置関係で該回転軸心Sまわりに回転駆動される回転台座と、
それぞれ先端部に前記清掃工具として清掃爪を有するとともに、所定の支持軸まわりに回動可能に前記回転台座に配設された複数の回動部材と、
該複数の回動部材を、前記清掃爪がそれぞれ前記回転軸心Sから離間する方向へ移動して前記溶接用ノズルの先端開口部内の内周面に押圧される作動位置へ回動させるように、前記支持軸まわりに付勢する付勢部材と、
前記複数の回動部材と係合させられることにより、該回動部材を、それぞれ前記付勢部材の付勢力に抗して前記作動位置に比較して前記清掃爪が前記回転軸心Sに接近する予め定められた初期位置に保持する一方、該複数の回動部材との係合が解除されることにより、該回動部材がそれぞれ前記付勢部材の付勢力に従って前記作動位置へ回動することを許容する切替部材と、
該切替部材を、前記回動部材と係合させられる係合位置と、該回動部材との係合が解除される係合解除位置とへ移動させる切替駆動装置と、
を備えることを特徴とする溶接用ノズルクリーナ。
【請求項2】
前記切替部材は、前記回転台座とは別に前記回転軸心Sまわりに回転不能に配設されており、前記切替駆動装置により前記係合位置へ移動させられて前記複数の回動部材と係合させられることにより、該回動部材がそれぞれ前記初期位置に保持されるとともに、前記付勢部材の付勢力に応じて該回動部材との間に生じる摩擦で前記回転台座の回転が制動される
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接用ノズルクリーナ。
【請求項3】
前記清掃爪は、前記回動部材が前記初期位置に保持された状態において、該回動部材から前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように設けられ、前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入されるとともに、
該清掃爪が前記溶接用ノズルの先端開口部内に挿入された状態において、該溶接用ノズルの先端開口部よりも外側に位置する該清掃爪の基端側部分には、前記付着物の除去に関与する前記回転軸心Sから離間する外側の側縁部が、該基端側へ向かうに従って該外側へ湾曲している湾曲部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶接用ノズルクリーナ。
【請求項4】
前記複数の回動部材は、前記回転軸心Sまわりの複数箇所に、該回転軸心Sに対して垂直な平面内において該回転軸心Sに対して直交する直線と直角に配設された複数の支持軸に、それぞれ回動可能に配設されており、
該回動部材には、前記初期位置に保持された状態において前記回転軸心Sと略平行な方向へ突き出すように前記清掃爪が設けられているとともに、前記支持軸を挟んで該清掃爪と反対側に係止部が設けられており、該係止部に前記付勢部材が係止されて前記回転軸心Sに接近する方向の付勢力が作用させられることにより、該回動部材が前記作動位置へ回動するように付勢される一方、
前記切替部材は、前記回転軸心Sと同心に軸方向の移動可能に配設された単一の部材で、前記複数の回動部材の前記係止部側から該回動部材に接近させられ、該係止部の前記回転軸心Sに近接する内側の側縁部に係合させられることにより、該係止部を前記付勢部材の付勢力に抗して該回転軸心Sから離間する方向へ移動させ、該複数の回動部材をそれぞれ前記初期位置に保持する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の溶接用ノズルクリーナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−596(P2011−596A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143644(P2009−143644)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
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