溶接部検査装置
【課題】溶接部の溶け分かれの有無を適切に検査可能な溶接部検査装置を提供する。
【解決手段】バスバー21と端子22とを溶接にて接合した検査対象物2における溶接部23に対して、バー照明32によってバスバー21側から光を照射した状態、カラーカメラ4により溶接部23を撮像する。そして、画像処理装置5にて、撮像画像(カラー画像)に対して溶接部(23)に対応する検査領域を指定すると共に、指定した検査領域から周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出し、さらに、抽出した高輝度領域に基づいて溶接部23に溶け分かれが生じているか否かを判定する。この際、高輝度領域が検査領域におけるバスバー21に対応する領域よりも端子22に対応する領域側に存在する場合に、溶接部23に溶け分かれが生じていると判定する。
【解決手段】バスバー21と端子22とを溶接にて接合した検査対象物2における溶接部23に対して、バー照明32によってバスバー21側から光を照射した状態、カラーカメラ4により溶接部23を撮像する。そして、画像処理装置5にて、撮像画像(カラー画像)に対して溶接部(23)に対応する検査領域を指定すると共に、指定した検査領域から周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出し、さらに、抽出した高輝度領域に基づいて溶接部23に溶け分かれが生じているか否かを判定する。この際、高輝度領域が検査領域におけるバスバー21に対応する領域よりも端子22に対応する領域側に存在する場合に、溶接部23に溶け分かれが生じていると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接部の溶け分かれの有無を検査する溶接部検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1部材と第2部材とを溶接にて接合した接合体における溶接部(溶接箇所)を検査する装置として、所定方向から光を照射した溶接部を撮像した画像を画像処理することで、溶接部の良否を検査するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、溶接部を撮像した画像から溶接部の脚長や溶接幅を算出し、算出した溶接部の脚長や溶接幅を予め記憶された基準値と比較することで、溶接部の良否を検査するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−89923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、溶接する第1、第2部材間に隙間等が生じていると、溶接時に各部材が別々に溶融し、各部材それぞれに溶融物が形成されて両部材が充分に接合されない「溶け分かれ」と呼ばれる溶接不良が生ずることがある。
【0005】
この「溶け分かれ」による溶接不良は、良品と不良品とで溶接部の脚長や溶接幅が同様となることがあり、溶接部の脚長や溶接幅に基づいて検査しようとしても、良品と不良品とを区別することができないといった問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、溶接部の溶け分かれの有無を適切に検査可能な溶接部検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、接合体(2)における溶接部(23)に対して所定の方向から照明を照射したときに、溶け分かれの有無によって溶接部(23)における高輝度となる領域が異なる位置となることに着眼し、溶接部(23)における高輝度となる領域に基づいて溶接部(23)の溶け分かれの有無を検査する構成を案出した。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明では、第1部材(21)と第2部材(22)とを溶接にて接合した接合体(2)における溶接部(23)に対して第1部材(21)側から光を照射する光照射手段(32)と、光照射手段(32)にて光が照射された溶接部(23)を撮像する撮像手段(4)と、撮像手段(4)にて撮像された撮像画像を読み込むと共に、撮像画像を処理することで溶接部(23)を検査する画像処理手段(5)と、を備え、画像処理手段(5)は、撮像画像に対して溶接部(23)に対応する検査領域を指定する検査領域指定手段(S2)と、検査領域指定手段(S2)にて指定した検査領域から、光照射手段(32)から照射された光が溶接部(23)の表面で反射した反射光によって周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出手段(S3)と、高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出された高輝度領域に基づいて、溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定する溶け分かれ判定手段(S4)と、を有し、溶け分かれ判定手段(S4)は、高輝度領域が検査領域における第1部材(21)に対応する領域よりも第2部材(22)に対応する領域側に存在する場合に、溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする。
【0009】
これによると、従来のように溶接部(23)の脚長や溶接幅でなく、溶接部(23)における高輝度となる高輝度領域に基づいて溶け分かれの有無を判定する構成としているので、溶接部(23)の溶け分かれの有無を適切に検査することが可能となる。
【0010】
なお、「溶け分れ」とは、接合体(2)における溶接部(23)が第1部材(21)側と第2部材(22)側の双方に形成されてしまう溶接不良である。
【0011】
ここで、溶接部(23)に溶け分かれが生じていない場合であっても、溶接部(23)の形状によって、高輝度領域の一部が検査領域における第2部材(22)に対応する領域に延在してしまうことがある。
【0012】
そこで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の溶接部検査装置において、溶け分かれ判定手段(S4)は、高輝度領域の重心位置を算出し、高輝度領域の重心位置が検査領域における第1部材(21)に対応する領域よりも第2部材(22)に対応する領域側となる場合に、溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする。
【0013】
これによると、高輝度領域の重心位置に基づいて溶け分かれの有無を判定する構成としているので、溶接部(23)の溶け分かれの有無をより適切に検査することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の溶接部検査装置において、溶け分かれ判定手段(S4)は、高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出した高輝度領域が複数存在する場合、複数の高輝度領域のうち所定面積以上となる高輝度領域に基づいて、溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
これによれば、検査領域内に生ずる高輝度のノイズ等による溶け分かれ判定への影響を抑制することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の溶接部検査装置において、撮像手段(4)が撮像画像としてカラー画像を撮像するように構成されている場合、高輝度領域抽出手段(S3)にて、撮像画像における検査領域を色成分毎の画像データに分割すると共に、分割した画像データを用いて高輝度領域を抽出するようにしてもよい。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の溶接部検査装置において、高輝度領域抽出手段(S3)は、分割した画像データから、溶接部(23)の色に対応する色成分を強調した強調画像データを生成し、生成した強調画像データを用いて高輝度領域を抽出することを特徴とする。
【0018】
これによれば、溶接部(23)の色に対応する色成分を強調した強調画像データを用いて高輝度領域を抽出するので、高輝度領域の抽出精度の向上を図ることができる。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る溶接部検査装置の全体構成図である。
【図2】実施形態に係る検査対象物を説明するための説明図である。
【図3】実施形態に係る溶接部検査装置におけるカメラ等の配置構成を示す図である。
【図4】溶け分かれが生じていない溶接部の特徴を説明するための説明図である。
【図5】溶け分かれが生じている溶接部の特徴を説明するための説明図である。
【図6】実施形態に係る画像処理装置が実行する画像処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る画像処理装置が実行する高輝度領域抽出処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】溶け分かれが生じていない溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図である。
【図9】溶け分かれが生じている溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図である。
【図10】実施形態に係る画像処理装置が実行する溶け分かれ判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】溶け分かれが生じていない溶接部を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図である。
【図12】溶け分かれが生じている溶接部を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図である。
【図13】溶け分かれが生じていない溶接部の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を説明するための説明図である。
【図14】溶け分かれが生じている溶接部の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る溶接部検査装置1の全体構成図である。
【0022】
本実施形態の溶接部検査装置1は、溶接により接合された検査対象物(接合体)2における溶接部23を撮像すると共に、撮像画像を用いて溶接部23の溶け分かれの有無を検査する装置である。
【0023】
溶接部検査装置1は、図1に示すように、検査対象物2における溶接部23に対して光を照射する照明3、照明3にて光が照射された溶接部23を含むように検査対象物2を撮像するカラーカメラ(撮像手段)4、カラーカメラ4で撮像したカラー画像(撮像画像)を取り込むと共に、取り込んだ撮像画像に基づいて所定の画像処理を行う画像処理装置(画像処理手段)5、画像処理装置5の処理結果等を表示するディスプレイ6等で構成されている。なお、画像処理装置5には、画像処理装置5の処理結果に応じて制御される制御機器(例えば、ロボットコントローラやプログラマブルコントローラ(PLC))7等が接続されている。
【0024】
ここで、図2は、本実施形態に係る検査対象物2を説明するための説明図である。図2(a)が溶接前後の検査対象物2の斜視図を示し、図2(b)が溶接前後の検査対象物2の上面図を示している。
【0025】
図2に示すように、本実施形態では、車載インバータ(図示略)に用いられるバスバー(第1部材)21および板状の端子(第2部材)22を溶接にて接合した接合体を検査対象物2としている。端子22は、その一部がバスバー21の上面から突き出るようにバスバー21に隣接配置されている。
【0026】
そして、端子22の先端部分(バスバー21の上面から突き出た部分)が溶接時に溶融され、検査対象物2の上面にバスバー21と端子22とを接合する溶接部23が形成される。本実施形態の溶接部23は、溶融材料の特徴から赤みを帯びた色となっており、溶接部23以外の背景が青みを帯びた色となっている。なお、溶接時に溶け残った端子22の上面には、照明3から照射される光を反射する反射面22aが形成されている。
【0027】
図3は、本実施形態に係る溶接部検査装置1におけるカメラ4等の配置構成を示す図である。図3に示すように、溶接部検査装置1は、検査対象物2の上方に照明3およびカラーカメラ4が配置されている。
【0028】
カラーカメラ4は、撮像素子等が内蔵された本体部41と、接写レンズ42等で構成されている。本実施形態のカラーカメラ4は、バスバー21および端子22のうちバスバー21側(第1部材側)から検査対象物2を撮像するように、その撮像方向が上下方向に対して所定角度θ(例えば、θ=15°)傾斜するように配置されている。
【0029】
照明3は、白色のLEDが検査対象物2の上面における長手方向と並行に配列されたバー照明32で構成されている。このバー照明32は、バスバー21上面の溶接部23に対して光を照射するように配置されている。つまり、バー照明32は、第1部材であるバスバー21側から溶接部23に対して光を照射する光照射手段を構成している。なお、バー照明32は、その照射方向が上下方向に対して所定角度(例えば、45°±10°程度)傾斜するように配置されている。
【0030】
図1に戻り、画像処理装置5は、カラーカメラ4で撮像した撮像画像(画像データ:本例では720×480画素)を入力するための画像入力部、画像入力部に入力された撮像画像を一時的に保持する画像メモリ部、画像メモリ部から撮像画像を読み出して処理する画像処理部、画像処理部の処理結果等をディスプレイ6や制御機器7へ出力する入出力部等を有して構成されている。
【0031】
画像処理部は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータで構成されており、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、撮像画像の読み出し、各種画像処理を実行する。
【0032】
次に、溶接部23の溶け分かれの有無によって撮像画像中に表れる特徴の変化について図4、図5に基づいて説明する。図4は、溶け分かれが生じていない溶接部23の特徴を説明するための説明図であり、図5は、溶け分かれが生じている溶接部23の特徴を説明するための説明図である。
【0033】
バー照明32にて第1部材であるバスバー21側から溶接部23に対して光を照射した状態で、カラーカメラ4にて溶接部23を撮像すると、バー照明32から照射された光が溶接部23の表面で反射した反射光の影響によって、撮像画像における溶接部23に対応する検査領域中に、周囲よりも高輝度となる高輝度領域(高輝度画素が集合した領域)が表れる。
【0034】
図4(a)の溶け分かれが生じていない溶接部23を撮像した撮像画像(OK)で示すように、撮像画像の溶接部23に対応する検査領域中の高輝度領域は、撮像画像におけるバスバー21に対応する領域側に表れる。
【0035】
これは、溶け分かれが生じていない溶接部23は、その形状がドーム状に形成されるため、バー照明32から光が照射された溶接部23のバスバー21側で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光するものの、図4(b)の矢印で示すように、溶接部23の端子22側で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光し難いからである。
【0036】
一方、図5(a)の溶け分かれが生じている溶接部23を撮像した撮像画像(NG)で示すように、撮像画像の溶接部23に対応する検査領域中の高輝度領域は、撮像画像におけるバスバー21に対応する領域側に加えて、端子22に対応する領域側にも表れる。つまり、撮像画像の検査領域中に高輝度領域が複数存在していることとなる。
【0037】
これは、溶け分かれが生じている溶接部23は、ドーム状の凸部がバスバー21の上方および端子22の上方それぞれに形成されるため、溶接部23のバスバー21側で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光すると共に、図5(b)に示すように、溶接部23の端子22側(溶け分かれ発生箇所)で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光するからである。
【0038】
このように、バー照明32からの光をバスバー21側に照射する構成では、溶接部23の溶け分かれが生じている場合にだけ、撮像画像における端子22に対応する領域側に高輝度領域が表れるといった傾向がある。本実施形態では、このような特徴的な傾向を利用することで、画像処理装置5にて撮像画像の検査領域内において高輝度となる高輝度領域に基づいて溶接部23の溶け分かれの有無を検査する。
【0039】
次に、本実施形態の画像処理装置5(画像処理部)が実行する画像処理について図6〜図12に基づいて説明する。本処理は、画像処理装置5の電源がオンされて起動すると開始される。なお、図6は、本実施形態に係る画像処理装置5が実行する画像処理全体の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、カラーカメラ4にて撮像した撮像画像を入力する処理(画像入力)を行う(S1)。具体的には、カラーカメラ4にて撮像した撮像画像を画像メモリ部から読み出して、RAMの所定領域に記憶する。
【0041】
そして、RAMに記憶された撮像画像に表れる端子22の反射面22aを撮像画像における特徴として抽出することで、撮像画像に対して溶接部23に対応すると推定される領域を検査領域として指定する(S2)。例えば、予め検査対象物2の端子22に形成された反射面22aをモデル化したテンプレートを用意し、撮像画像における当該テンプレートと一致する領域をテンプレートマッチングによって算出し、算出した位置を端子22の基準位置(溶接部23の基準位置)として上述の検査領域を推定する。
【0042】
次に、ステップS2の処理にて指定した検査領域から、バー照明32から照射された光が溶接部23の表面で反射した反射光によって周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出処理を行う(S3)。
【0043】
この高輝度領域抽出処理について図7〜図9に基づいて説明する。図7は、本実施形態に係る画像処理装置5が実行する高輝度領域抽出処理の流れを示すフローチャートである。また、図8は、溶け分かれが生じていない溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図であり、図9は、溶け分かれが生じている溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図である。
【0044】
図7に示すように、高輝度抽出処理(S3)では、まず、撮像画像における検査領域をR成分(赤成分)、G成分(緑成分)、およびB成分(青成分)といた3つの色成分毎の画像データに分割する(S31)。
【0045】
このステップS31の処理によって、図8(a)および図9(a)に示す撮像画像(カラー画像)から、図8(b)および図9(b)で示すように、R成分、G成分、およびB成分の3つ画像(グレースケール)を生成することができる。本実施形態の溶接部23が赤みを帯び、溶接部23以外の背景が青みを帯びているので、R成分に対応する画像にて溶接部23付近が高輝度に強調され、B成分に対応する画像にて溶接部23以外の背景が高輝度に強調される。
【0046】
そして、分割した画像データから溶接部23の色に対応する色成分を強調した強調画像データを生成する(S32)。本実施形態では、溶接部23が赤みを帯び、溶接部23以外の背景が青みを帯びているので、R成分の画像データ、およびR成分の画像データからB成分の画像データを除去した画像データを合成すること(R成分+(R成分−B成分))で、R成分を強調(R成分を顕在化)した強調画像データを生成する。なお、ステップS32の処理では、実際の溶接部23の色に応じて、強調する色成分を変更すればよく、例えば、溶接部23の色が、例えば、青みを帯び、溶接部23以外の背景が赤みを帯びている場合には、B成分の画像データ、およびB成分の画像データからR成分の画像データを除去した画像データを合成するようにすればよい。
【0047】
次に、ステップS32の処理にてR成分を強調した強調画像データに基づく画像(図8(c)および図9(c)参照)を、所定の閾値で2値化する(S33)。このステップS33の処理によって、撮像画像における検査領域中から高輝度領域(白画素領域)を抽出することが可能となる(図8(d)および図9(d)参照)。
【0048】
図6に戻り、ステップS3の処理にて抽出した高輝度領域に基づいて、溶接部23に溶け分かれが生じているか否かを判定する溶け分かれ判定処理を行う(S4)。溶け分かれ判定処理では、高輝度領域が検査領域におけるバスバー21に対応する領域よりも端子22に対応する領域側に存在する場合に、溶接部23に溶け分かれが生じていると判定する。
【0049】
この溶け分かれ判定処理の詳細について図10〜図12に基づいて説明する。図10は、本実施形態に係る画像処理装置5が実行する溶け分かれ判定処理の流れを示すフローチャートである。また、図11は、溶け分かれが生じていない溶接部23を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図であり、図12は、溶け分かれが生じている溶接部23を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図である。
【0050】
図10に示すように、溶け分かれ判定処理(S4)では、ステップS33にて生成した2値画像(図11(a)および図12(a)参照)の検査領域内のノイズを除去する(S41)。具体的には、ステップS41の処理では、検査領域内の各高輝度領域の面積を算出し、当該面積が予め定めた所定面積よりも小さい高輝度領域をノイズとして除去(白画素を黒画素に変換)する(図11(b)および図12(b)参照)。換言すれば、ステップS41の処理では、検査領域内の各高輝度領域の面積が予め定めた所定面積以上である高輝度領域を抽出することとなる。
【0051】
次に、ステップ33にてノイズを除去した2値画像における各高輝度領域の重心位置を算出し(S42)、算出した各高輝度領域の重心位置が、2値画像における端子22に対応する領域側に存在するか否かを判定する(S43)。
【0052】
具体的には、2値画像における端子22に対応する領域側に存在するか否かの判定は、2値画像に対してバスバー21と端子22との境に定めた基準ラインと、高輝度領域の重心位置との関係を利用する(図11(c)および図12(c)参照)。なお、基準ラインは、例えば、撮像画像に表れる端子22の反射面22aの位置を基準に指定すればよい。
【0053】
そして、ステップS43の判定処理の結果、高輝度領域が端子22に対応する領域(基準ラインの下方側)に存在しないと判定された場合(S43:NO)には、溶接部23がドーム状に形成されていると考えられるので、「溶け分かれ無し」と判定する。
【0054】
具体的には、図11(d)に示すように、高輝度領域を示すラベルA〜Cの重心位置(図中「+」で示す位置)が、全て基準ラインよりも上方側(バスバー21に対応する領域側)に位置していることから、「溶け分かれ無し」と判定する。なお、説明の便宜のため、図11(d)では、図11(c)の2値画像を反転した画像を用いている。
【0055】
一方、ステップS43の判定処理の結果、高輝度領域が端子22に対応する領域(基準ラインの下方側)に存在すると判定された場合(S43:YES)には、ドーム状の凸部がバスバー21の上方および端子22の上方それぞれに形成されていると考えられるので、「溶け分かれ無し」と判定する。
【0056】
具体的には、図12(d)に示すように、高輝度領域を示すラベルA〜Eの重心位置(図中「+」で示す位置)のうち、ラベルEの重心位置が基準ラインよりも下方側(端子22に対応する領域側)に位置していることから、「溶け分かれ有り」と判定する。なお、説明の便宜のため、図12(d)では、図12(c)の2値画像を反転した画像を用いている。
【0057】
ここで、図13は、溶け分かれが生じていない溶接部23の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を示し、図14は、溶け分かれが生じている溶接部23の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を示している。
【0058】
図13(a)〜(c)に示すように、溶け分かれが生じていない溶接部23を撮像した撮像画像(OK)では、何れも高輝度領域の重心位置が基準ラインよりも上方側(バスバー21に対応する領域側)に位置しており、ステップS43の処理にて「溶け分かれ無し」と判定された。
【0059】
図14(a)〜(c)に示すように、溶け分かれが生じている溶接部23を撮像した撮像画像(NG)では、何れも高輝度領域の重心位置が基準ラインよりも下方側(端子22に対応する領域側)に位置するものが存在しており、ステップS43の処理にて「溶け分かれ有り」と判定された。
【0060】
以上のように、ステップS1〜S4の処理によって、溶接部23の溶け分かれを適切に検査することができる。なお、本実施形態では、ステップS2の検査領域指定処理が、検査領域指定手段を構成し、ステップS3の高輝度領域抽出処理が高輝度領域抽出手段を構成し、ステップS4の溶け分かれ判定処理が溶け分かれ判定手段を構成している。
【0061】
以上説明した本実施形態では、バスバー21と端子22とを接合した接合体を検査対象物2として、当該検査対象物2における溶接部23に対して、バスバー21側から照明を照射したときに、溶接部(23)における高輝度となる領域の位置に基づいて溶接部23の溶け分かれの有無を検査する構成としている。すなわち、従来のように溶接部23の脚長や溶接幅でなく、溶け分かれの有無によって変化する溶接部23における高輝度となる高輝度領域の位置に基づいて、溶け分かれの有無を判定する構成としているので、溶接部23の溶け分かれの有無を適切に検査することができる。
【0062】
また、高輝度領域の重心位置に基づいて溶け分かれの有無を判定する構成としているので、高輝度領域の一部が検査領域における端子22に対応する領域に延在していたとしても、溶接部(23)の溶け分かれの有無を適切に検査することができる。
【0063】
また、本実施形態では、カラーカメラ4で撮像した撮像画像(カラー画像)における検査領域を色成分毎の画像データに分割し、さらに、溶接部23の色に対応する色成分を強調した強調画像データを用いて高輝度領域を抽出するので、高輝度領域の抽出精度の向上を図ることができる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0065】
(1)上述の実施形態では、撮像手段としてカラーカメラ4を採用する例について説明したがこれに限定されず、モノクロカメラを撮像手段として採用してもよい。この場合、画像処理装置5にて実行する高輝度領域抽出処理(S3)では、撮像画像を色成分毎に分割する処理(S31)やR成分を強調する処理(S32)を省略すればよい。
【0066】
(2)上述の実施形態では、バー照明32にてバスバー21側から溶接部23に対して光を照射する例について説明したが、これに限定されず、バー照明32にて端子22側から溶接部23に対して光を照射するようにしてもよい。この場合、溶接部23に溶け分かれが生じていると、バスバー21側に高輝度となる領域が生じ難くなるため、溶け分かれ判定処理では、検査領域においてバスバー21に対応する領域に高輝度領域が存在する場合に、溶け分かれが生じていると判定すればよい。なお、この場合には、端子22が第1部材を構成し、バスバー21が第2部材を構成することとなる。
【0067】
(3)上述の実施形態では、端子位置をテンプレートマッチングによって算出し、算出した位置を溶接部23の基準位置として検査領域を推定する例について説明したが、これに限定されず、テンプレートマッチング以外の他の手法によって端子位置を算出してもよい。また、撮像画像における端子22の反射面22a以外の特徴を用いて、当該特徴の位置を溶接部23の基準位置として検査領域を推定してもよい。
【0068】
(4)上述の実施形態の如く、撮像手段としてカラーカメラ4を採用する場合には、高輝度領域抽出処理(S3)において、撮像画像を色成分毎に分割する処理(S31)やR成分を強調する処理(S32)を行うことが好ましいが、当該処理を省略してもよい。
【0069】
(5)上述の実施形態では、溶け分かれ判定処理(S4)において検査領域内の各高輝度領域の面積が予め定めた所定値以下である高輝度領域をノイズとして除去する例を説明したが、これに限定されない。ノイズ除去としては、膨張・収縮等の他の手法を用いてもよい。
【0070】
(6)上述の実施形態では、検査領域内の各高輝度領域の重心位置に基づいて、溶け分かれ判定を行っているが、これに限定されず、例えば、各高輝度領域の中心位置や上端位置(最もバスバー21の領域側の画素の位置)等により溶け分かれ判定を行ってもよい。
【0071】
(7)上述の実施形態では、検査対象物2として車載インバータに用いられるバスバー21および端子22の接合体を採用した例を説明したが、これに限定されず、溶接にて接合された他の接合体を検査対象物2として採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
2 検査対象物(接合体)
21 バスバー(第1部材)
22 端子(第2部材)
23 溶接部
32 バー照明(光照射手段)
4 カラーカメラ(撮像手段)
5 画像処理装置(画像処理手段)
S2 検査領域指定手段
S3 高輝度領域抽出手段
S4 溶け分かれ判定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接部の溶け分かれの有無を検査する溶接部検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1部材と第2部材とを溶接にて接合した接合体における溶接部(溶接箇所)を検査する装置として、所定方向から光を照射した溶接部を撮像した画像を画像処理することで、溶接部の良否を検査するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、溶接部を撮像した画像から溶接部の脚長や溶接幅を算出し、算出した溶接部の脚長や溶接幅を予め記憶された基準値と比較することで、溶接部の良否を検査するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−89923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、溶接する第1、第2部材間に隙間等が生じていると、溶接時に各部材が別々に溶融し、各部材それぞれに溶融物が形成されて両部材が充分に接合されない「溶け分かれ」と呼ばれる溶接不良が生ずることがある。
【0005】
この「溶け分かれ」による溶接不良は、良品と不良品とで溶接部の脚長や溶接幅が同様となることがあり、溶接部の脚長や溶接幅に基づいて検査しようとしても、良品と不良品とを区別することができないといった問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、溶接部の溶け分かれの有無を適切に検査可能な溶接部検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、接合体(2)における溶接部(23)に対して所定の方向から照明を照射したときに、溶け分かれの有無によって溶接部(23)における高輝度となる領域が異なる位置となることに着眼し、溶接部(23)における高輝度となる領域に基づいて溶接部(23)の溶け分かれの有無を検査する構成を案出した。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明では、第1部材(21)と第2部材(22)とを溶接にて接合した接合体(2)における溶接部(23)に対して第1部材(21)側から光を照射する光照射手段(32)と、光照射手段(32)にて光が照射された溶接部(23)を撮像する撮像手段(4)と、撮像手段(4)にて撮像された撮像画像を読み込むと共に、撮像画像を処理することで溶接部(23)を検査する画像処理手段(5)と、を備え、画像処理手段(5)は、撮像画像に対して溶接部(23)に対応する検査領域を指定する検査領域指定手段(S2)と、検査領域指定手段(S2)にて指定した検査領域から、光照射手段(32)から照射された光が溶接部(23)の表面で反射した反射光によって周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出手段(S3)と、高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出された高輝度領域に基づいて、溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定する溶け分かれ判定手段(S4)と、を有し、溶け分かれ判定手段(S4)は、高輝度領域が検査領域における第1部材(21)に対応する領域よりも第2部材(22)に対応する領域側に存在する場合に、溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする。
【0009】
これによると、従来のように溶接部(23)の脚長や溶接幅でなく、溶接部(23)における高輝度となる高輝度領域に基づいて溶け分かれの有無を判定する構成としているので、溶接部(23)の溶け分かれの有無を適切に検査することが可能となる。
【0010】
なお、「溶け分れ」とは、接合体(2)における溶接部(23)が第1部材(21)側と第2部材(22)側の双方に形成されてしまう溶接不良である。
【0011】
ここで、溶接部(23)に溶け分かれが生じていない場合であっても、溶接部(23)の形状によって、高輝度領域の一部が検査領域における第2部材(22)に対応する領域に延在してしまうことがある。
【0012】
そこで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の溶接部検査装置において、溶け分かれ判定手段(S4)は、高輝度領域の重心位置を算出し、高輝度領域の重心位置が検査領域における第1部材(21)に対応する領域よりも第2部材(22)に対応する領域側となる場合に、溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする。
【0013】
これによると、高輝度領域の重心位置に基づいて溶け分かれの有無を判定する構成としているので、溶接部(23)の溶け分かれの有無をより適切に検査することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の溶接部検査装置において、溶け分かれ判定手段(S4)は、高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出した高輝度領域が複数存在する場合、複数の高輝度領域のうち所定面積以上となる高輝度領域に基づいて、溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
これによれば、検査領域内に生ずる高輝度のノイズ等による溶け分かれ判定への影響を抑制することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の溶接部検査装置において、撮像手段(4)が撮像画像としてカラー画像を撮像するように構成されている場合、高輝度領域抽出手段(S3)にて、撮像画像における検査領域を色成分毎の画像データに分割すると共に、分割した画像データを用いて高輝度領域を抽出するようにしてもよい。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の溶接部検査装置において、高輝度領域抽出手段(S3)は、分割した画像データから、溶接部(23)の色に対応する色成分を強調した強調画像データを生成し、生成した強調画像データを用いて高輝度領域を抽出することを特徴とする。
【0018】
これによれば、溶接部(23)の色に対応する色成分を強調した強調画像データを用いて高輝度領域を抽出するので、高輝度領域の抽出精度の向上を図ることができる。
【0019】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る溶接部検査装置の全体構成図である。
【図2】実施形態に係る検査対象物を説明するための説明図である。
【図3】実施形態に係る溶接部検査装置におけるカメラ等の配置構成を示す図である。
【図4】溶け分かれが生じていない溶接部の特徴を説明するための説明図である。
【図5】溶け分かれが生じている溶接部の特徴を説明するための説明図である。
【図6】実施形態に係る画像処理装置が実行する画像処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る画像処理装置が実行する高輝度領域抽出処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】溶け分かれが生じていない溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図である。
【図9】溶け分かれが生じている溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図である。
【図10】実施形態に係る画像処理装置が実行する溶け分かれ判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】溶け分かれが生じていない溶接部を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図である。
【図12】溶け分かれが生じている溶接部を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図である。
【図13】溶け分かれが生じていない溶接部の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を説明するための説明図である。
【図14】溶け分かれが生じている溶接部の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る溶接部検査装置1の全体構成図である。
【0022】
本実施形態の溶接部検査装置1は、溶接により接合された検査対象物(接合体)2における溶接部23を撮像すると共に、撮像画像を用いて溶接部23の溶け分かれの有無を検査する装置である。
【0023】
溶接部検査装置1は、図1に示すように、検査対象物2における溶接部23に対して光を照射する照明3、照明3にて光が照射された溶接部23を含むように検査対象物2を撮像するカラーカメラ(撮像手段)4、カラーカメラ4で撮像したカラー画像(撮像画像)を取り込むと共に、取り込んだ撮像画像に基づいて所定の画像処理を行う画像処理装置(画像処理手段)5、画像処理装置5の処理結果等を表示するディスプレイ6等で構成されている。なお、画像処理装置5には、画像処理装置5の処理結果に応じて制御される制御機器(例えば、ロボットコントローラやプログラマブルコントローラ(PLC))7等が接続されている。
【0024】
ここで、図2は、本実施形態に係る検査対象物2を説明するための説明図である。図2(a)が溶接前後の検査対象物2の斜視図を示し、図2(b)が溶接前後の検査対象物2の上面図を示している。
【0025】
図2に示すように、本実施形態では、車載インバータ(図示略)に用いられるバスバー(第1部材)21および板状の端子(第2部材)22を溶接にて接合した接合体を検査対象物2としている。端子22は、その一部がバスバー21の上面から突き出るようにバスバー21に隣接配置されている。
【0026】
そして、端子22の先端部分(バスバー21の上面から突き出た部分)が溶接時に溶融され、検査対象物2の上面にバスバー21と端子22とを接合する溶接部23が形成される。本実施形態の溶接部23は、溶融材料の特徴から赤みを帯びた色となっており、溶接部23以外の背景が青みを帯びた色となっている。なお、溶接時に溶け残った端子22の上面には、照明3から照射される光を反射する反射面22aが形成されている。
【0027】
図3は、本実施形態に係る溶接部検査装置1におけるカメラ4等の配置構成を示す図である。図3に示すように、溶接部検査装置1は、検査対象物2の上方に照明3およびカラーカメラ4が配置されている。
【0028】
カラーカメラ4は、撮像素子等が内蔵された本体部41と、接写レンズ42等で構成されている。本実施形態のカラーカメラ4は、バスバー21および端子22のうちバスバー21側(第1部材側)から検査対象物2を撮像するように、その撮像方向が上下方向に対して所定角度θ(例えば、θ=15°)傾斜するように配置されている。
【0029】
照明3は、白色のLEDが検査対象物2の上面における長手方向と並行に配列されたバー照明32で構成されている。このバー照明32は、バスバー21上面の溶接部23に対して光を照射するように配置されている。つまり、バー照明32は、第1部材であるバスバー21側から溶接部23に対して光を照射する光照射手段を構成している。なお、バー照明32は、その照射方向が上下方向に対して所定角度(例えば、45°±10°程度)傾斜するように配置されている。
【0030】
図1に戻り、画像処理装置5は、カラーカメラ4で撮像した撮像画像(画像データ:本例では720×480画素)を入力するための画像入力部、画像入力部に入力された撮像画像を一時的に保持する画像メモリ部、画像メモリ部から撮像画像を読み出して処理する画像処理部、画像処理部の処理結果等をディスプレイ6や制御機器7へ出力する入出力部等を有して構成されている。
【0031】
画像処理部は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータで構成されており、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、撮像画像の読み出し、各種画像処理を実行する。
【0032】
次に、溶接部23の溶け分かれの有無によって撮像画像中に表れる特徴の変化について図4、図5に基づいて説明する。図4は、溶け分かれが生じていない溶接部23の特徴を説明するための説明図であり、図5は、溶け分かれが生じている溶接部23の特徴を説明するための説明図である。
【0033】
バー照明32にて第1部材であるバスバー21側から溶接部23に対して光を照射した状態で、カラーカメラ4にて溶接部23を撮像すると、バー照明32から照射された光が溶接部23の表面で反射した反射光の影響によって、撮像画像における溶接部23に対応する検査領域中に、周囲よりも高輝度となる高輝度領域(高輝度画素が集合した領域)が表れる。
【0034】
図4(a)の溶け分かれが生じていない溶接部23を撮像した撮像画像(OK)で示すように、撮像画像の溶接部23に対応する検査領域中の高輝度領域は、撮像画像におけるバスバー21に対応する領域側に表れる。
【0035】
これは、溶け分かれが生じていない溶接部23は、その形状がドーム状に形成されるため、バー照明32から光が照射された溶接部23のバスバー21側で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光するものの、図4(b)の矢印で示すように、溶接部23の端子22側で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光し難いからである。
【0036】
一方、図5(a)の溶け分かれが生じている溶接部23を撮像した撮像画像(NG)で示すように、撮像画像の溶接部23に対応する検査領域中の高輝度領域は、撮像画像におけるバスバー21に対応する領域側に加えて、端子22に対応する領域側にも表れる。つまり、撮像画像の検査領域中に高輝度領域が複数存在していることとなる。
【0037】
これは、溶け分かれが生じている溶接部23は、ドーム状の凸部がバスバー21の上方および端子22の上方それぞれに形成されるため、溶接部23のバスバー21側で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光すると共に、図5(b)に示すように、溶接部23の端子22側(溶け分かれ発生箇所)で反射した反射光をカラーカメラ4の撮像素子が受光するからである。
【0038】
このように、バー照明32からの光をバスバー21側に照射する構成では、溶接部23の溶け分かれが生じている場合にだけ、撮像画像における端子22に対応する領域側に高輝度領域が表れるといった傾向がある。本実施形態では、このような特徴的な傾向を利用することで、画像処理装置5にて撮像画像の検査領域内において高輝度となる高輝度領域に基づいて溶接部23の溶け分かれの有無を検査する。
【0039】
次に、本実施形態の画像処理装置5(画像処理部)が実行する画像処理について図6〜図12に基づいて説明する。本処理は、画像処理装置5の電源がオンされて起動すると開始される。なお、図6は、本実施形態に係る画像処理装置5が実行する画像処理全体の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、カラーカメラ4にて撮像した撮像画像を入力する処理(画像入力)を行う(S1)。具体的には、カラーカメラ4にて撮像した撮像画像を画像メモリ部から読み出して、RAMの所定領域に記憶する。
【0041】
そして、RAMに記憶された撮像画像に表れる端子22の反射面22aを撮像画像における特徴として抽出することで、撮像画像に対して溶接部23に対応すると推定される領域を検査領域として指定する(S2)。例えば、予め検査対象物2の端子22に形成された反射面22aをモデル化したテンプレートを用意し、撮像画像における当該テンプレートと一致する領域をテンプレートマッチングによって算出し、算出した位置を端子22の基準位置(溶接部23の基準位置)として上述の検査領域を推定する。
【0042】
次に、ステップS2の処理にて指定した検査領域から、バー照明32から照射された光が溶接部23の表面で反射した反射光によって周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出処理を行う(S3)。
【0043】
この高輝度領域抽出処理について図7〜図9に基づいて説明する。図7は、本実施形態に係る画像処理装置5が実行する高輝度領域抽出処理の流れを示すフローチャートである。また、図8は、溶け分かれが生じていない溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図であり、図9は、溶け分かれが生じている溶接部を検査する際の高輝度領域抽出処理の一例を説明するための説明図である。
【0044】
図7に示すように、高輝度抽出処理(S3)では、まず、撮像画像における検査領域をR成分(赤成分)、G成分(緑成分)、およびB成分(青成分)といた3つの色成分毎の画像データに分割する(S31)。
【0045】
このステップS31の処理によって、図8(a)および図9(a)に示す撮像画像(カラー画像)から、図8(b)および図9(b)で示すように、R成分、G成分、およびB成分の3つ画像(グレースケール)を生成することができる。本実施形態の溶接部23が赤みを帯び、溶接部23以外の背景が青みを帯びているので、R成分に対応する画像にて溶接部23付近が高輝度に強調され、B成分に対応する画像にて溶接部23以外の背景が高輝度に強調される。
【0046】
そして、分割した画像データから溶接部23の色に対応する色成分を強調した強調画像データを生成する(S32)。本実施形態では、溶接部23が赤みを帯び、溶接部23以外の背景が青みを帯びているので、R成分の画像データ、およびR成分の画像データからB成分の画像データを除去した画像データを合成すること(R成分+(R成分−B成分))で、R成分を強調(R成分を顕在化)した強調画像データを生成する。なお、ステップS32の処理では、実際の溶接部23の色に応じて、強調する色成分を変更すればよく、例えば、溶接部23の色が、例えば、青みを帯び、溶接部23以外の背景が赤みを帯びている場合には、B成分の画像データ、およびB成分の画像データからR成分の画像データを除去した画像データを合成するようにすればよい。
【0047】
次に、ステップS32の処理にてR成分を強調した強調画像データに基づく画像(図8(c)および図9(c)参照)を、所定の閾値で2値化する(S33)。このステップS33の処理によって、撮像画像における検査領域中から高輝度領域(白画素領域)を抽出することが可能となる(図8(d)および図9(d)参照)。
【0048】
図6に戻り、ステップS3の処理にて抽出した高輝度領域に基づいて、溶接部23に溶け分かれが生じているか否かを判定する溶け分かれ判定処理を行う(S4)。溶け分かれ判定処理では、高輝度領域が検査領域におけるバスバー21に対応する領域よりも端子22に対応する領域側に存在する場合に、溶接部23に溶け分かれが生じていると判定する。
【0049】
この溶け分かれ判定処理の詳細について図10〜図12に基づいて説明する。図10は、本実施形態に係る画像処理装置5が実行する溶け分かれ判定処理の流れを示すフローチャートである。また、図11は、溶け分かれが生じていない溶接部23を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図であり、図12は、溶け分かれが生じている溶接部23を検査する際の溶け分かれ判定処理の一例を説明するための説明図である。
【0050】
図10に示すように、溶け分かれ判定処理(S4)では、ステップS33にて生成した2値画像(図11(a)および図12(a)参照)の検査領域内のノイズを除去する(S41)。具体的には、ステップS41の処理では、検査領域内の各高輝度領域の面積を算出し、当該面積が予め定めた所定面積よりも小さい高輝度領域をノイズとして除去(白画素を黒画素に変換)する(図11(b)および図12(b)参照)。換言すれば、ステップS41の処理では、検査領域内の各高輝度領域の面積が予め定めた所定面積以上である高輝度領域を抽出することとなる。
【0051】
次に、ステップ33にてノイズを除去した2値画像における各高輝度領域の重心位置を算出し(S42)、算出した各高輝度領域の重心位置が、2値画像における端子22に対応する領域側に存在するか否かを判定する(S43)。
【0052】
具体的には、2値画像における端子22に対応する領域側に存在するか否かの判定は、2値画像に対してバスバー21と端子22との境に定めた基準ラインと、高輝度領域の重心位置との関係を利用する(図11(c)および図12(c)参照)。なお、基準ラインは、例えば、撮像画像に表れる端子22の反射面22aの位置を基準に指定すればよい。
【0053】
そして、ステップS43の判定処理の結果、高輝度領域が端子22に対応する領域(基準ラインの下方側)に存在しないと判定された場合(S43:NO)には、溶接部23がドーム状に形成されていると考えられるので、「溶け分かれ無し」と判定する。
【0054】
具体的には、図11(d)に示すように、高輝度領域を示すラベルA〜Cの重心位置(図中「+」で示す位置)が、全て基準ラインよりも上方側(バスバー21に対応する領域側)に位置していることから、「溶け分かれ無し」と判定する。なお、説明の便宜のため、図11(d)では、図11(c)の2値画像を反転した画像を用いている。
【0055】
一方、ステップS43の判定処理の結果、高輝度領域が端子22に対応する領域(基準ラインの下方側)に存在すると判定された場合(S43:YES)には、ドーム状の凸部がバスバー21の上方および端子22の上方それぞれに形成されていると考えられるので、「溶け分かれ無し」と判定する。
【0056】
具体的には、図12(d)に示すように、高輝度領域を示すラベルA〜Eの重心位置(図中「+」で示す位置)のうち、ラベルEの重心位置が基準ラインよりも下方側(端子22に対応する領域側)に位置していることから、「溶け分かれ有り」と判定する。なお、説明の便宜のため、図12(d)では、図12(c)の2値画像を反転した画像を用いている。
【0057】
ここで、図13は、溶け分かれが生じていない溶接部23の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を示し、図14は、溶け分かれが生じている溶接部23の撮像画像を用いて溶け分かれ検査を行った際の検証結果を示している。
【0058】
図13(a)〜(c)に示すように、溶け分かれが生じていない溶接部23を撮像した撮像画像(OK)では、何れも高輝度領域の重心位置が基準ラインよりも上方側(バスバー21に対応する領域側)に位置しており、ステップS43の処理にて「溶け分かれ無し」と判定された。
【0059】
図14(a)〜(c)に示すように、溶け分かれが生じている溶接部23を撮像した撮像画像(NG)では、何れも高輝度領域の重心位置が基準ラインよりも下方側(端子22に対応する領域側)に位置するものが存在しており、ステップS43の処理にて「溶け分かれ有り」と判定された。
【0060】
以上のように、ステップS1〜S4の処理によって、溶接部23の溶け分かれを適切に検査することができる。なお、本実施形態では、ステップS2の検査領域指定処理が、検査領域指定手段を構成し、ステップS3の高輝度領域抽出処理が高輝度領域抽出手段を構成し、ステップS4の溶け分かれ判定処理が溶け分かれ判定手段を構成している。
【0061】
以上説明した本実施形態では、バスバー21と端子22とを接合した接合体を検査対象物2として、当該検査対象物2における溶接部23に対して、バスバー21側から照明を照射したときに、溶接部(23)における高輝度となる領域の位置に基づいて溶接部23の溶け分かれの有無を検査する構成としている。すなわち、従来のように溶接部23の脚長や溶接幅でなく、溶け分かれの有無によって変化する溶接部23における高輝度となる高輝度領域の位置に基づいて、溶け分かれの有無を判定する構成としているので、溶接部23の溶け分かれの有無を適切に検査することができる。
【0062】
また、高輝度領域の重心位置に基づいて溶け分かれの有無を判定する構成としているので、高輝度領域の一部が検査領域における端子22に対応する領域に延在していたとしても、溶接部(23)の溶け分かれの有無を適切に検査することができる。
【0063】
また、本実施形態では、カラーカメラ4で撮像した撮像画像(カラー画像)における検査領域を色成分毎の画像データに分割し、さらに、溶接部23の色に対応する色成分を強調した強調画像データを用いて高輝度領域を抽出するので、高輝度領域の抽出精度の向上を図ることができる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0065】
(1)上述の実施形態では、撮像手段としてカラーカメラ4を採用する例について説明したがこれに限定されず、モノクロカメラを撮像手段として採用してもよい。この場合、画像処理装置5にて実行する高輝度領域抽出処理(S3)では、撮像画像を色成分毎に分割する処理(S31)やR成分を強調する処理(S32)を省略すればよい。
【0066】
(2)上述の実施形態では、バー照明32にてバスバー21側から溶接部23に対して光を照射する例について説明したが、これに限定されず、バー照明32にて端子22側から溶接部23に対して光を照射するようにしてもよい。この場合、溶接部23に溶け分かれが生じていると、バスバー21側に高輝度となる領域が生じ難くなるため、溶け分かれ判定処理では、検査領域においてバスバー21に対応する領域に高輝度領域が存在する場合に、溶け分かれが生じていると判定すればよい。なお、この場合には、端子22が第1部材を構成し、バスバー21が第2部材を構成することとなる。
【0067】
(3)上述の実施形態では、端子位置をテンプレートマッチングによって算出し、算出した位置を溶接部23の基準位置として検査領域を推定する例について説明したが、これに限定されず、テンプレートマッチング以外の他の手法によって端子位置を算出してもよい。また、撮像画像における端子22の反射面22a以外の特徴を用いて、当該特徴の位置を溶接部23の基準位置として検査領域を推定してもよい。
【0068】
(4)上述の実施形態の如く、撮像手段としてカラーカメラ4を採用する場合には、高輝度領域抽出処理(S3)において、撮像画像を色成分毎に分割する処理(S31)やR成分を強調する処理(S32)を行うことが好ましいが、当該処理を省略してもよい。
【0069】
(5)上述の実施形態では、溶け分かれ判定処理(S4)において検査領域内の各高輝度領域の面積が予め定めた所定値以下である高輝度領域をノイズとして除去する例を説明したが、これに限定されない。ノイズ除去としては、膨張・収縮等の他の手法を用いてもよい。
【0070】
(6)上述の実施形態では、検査領域内の各高輝度領域の重心位置に基づいて、溶け分かれ判定を行っているが、これに限定されず、例えば、各高輝度領域の中心位置や上端位置(最もバスバー21の領域側の画素の位置)等により溶け分かれ判定を行ってもよい。
【0071】
(7)上述の実施形態では、検査対象物2として車載インバータに用いられるバスバー21および端子22の接合体を採用した例を説明したが、これに限定されず、溶接にて接合された他の接合体を検査対象物2として採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
2 検査対象物(接合体)
21 バスバー(第1部材)
22 端子(第2部材)
23 溶接部
32 バー照明(光照射手段)
4 カラーカメラ(撮像手段)
5 画像処理装置(画像処理手段)
S2 検査領域指定手段
S3 高輝度領域抽出手段
S4 溶け分かれ判定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材(21)と第2部材(22)とを溶接にて接合した接合体(2)における溶接部(23)に対して前記第1部材(21)側から光を照射する光照射手段(32)と、
前記光照射手段(32)にて光が照射された前記溶接部(23)を撮像する撮像手段(4)と、
前記撮像手段(4)にて撮像された撮像画像を読み込むと共に、前記撮像画像を処理することで前記溶接部(23)を検査する画像処理手段(5)と、を備え、
前記画像処理手段(5)は、
前記撮像画像に対して前記溶接部(23)に対応する検査領域を指定する検査領域指定手段(S2)と、
前記検査領域指定手段(S2)にて指定した前記検査領域から、前記光照射手段(32)から照射された光が前記溶接部(23)の表面で反射した反射光によって周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出手段(S3)と、
前記高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出された前記高輝度領域に基づいて、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定する溶け分かれ判定手段(S4)と、を有し、
前記溶け分かれ判定手段(S4)は、前記高輝度領域が前記検査領域における前記第1部材(21)に対応する領域よりも前記第2部材(22)に対応する領域側に存在する場合に、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする溶接部検査装置。
【請求項2】
前記溶け分かれ判定手段(S4)は、前記高輝度領域の重心位置を算出し、前記高輝度領域の重心位置が前記検査領域における前記第1部材(21)に対応する領域よりも前記第2部材(22)に対応する領域側となる場合に、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする請求項1に記載の溶接部検査装置。
【請求項3】
前記溶け分かれ判定手段(S4)は、前記高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出した前記高輝度領域が複数存在する場合、複数の前記高輝度領域のうち所定面積以上となる高輝度領域に基づいて、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段(4)は、前記撮像画像としてカラー画像を撮像するように構成され、
前記高輝度領域抽出手段(S3)は、前記撮像画像における前記検査領域を色成分毎の画像データに分割すると共に、分割した前記画像データを用いて前記高輝度領域を抽出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の溶接部検査装置。
【請求項5】
前記高輝度領域抽出手段(S3)は、前記分割した画像データから、前記溶接部(23)の色に対応する色成分を強調した強調画像データを生成し、生成した前記強調画像データを用いて高輝度領域を抽出することを特徴とする請求項4に記載の溶接部検査装置。
【請求項1】
第1部材(21)と第2部材(22)とを溶接にて接合した接合体(2)における溶接部(23)に対して前記第1部材(21)側から光を照射する光照射手段(32)と、
前記光照射手段(32)にて光が照射された前記溶接部(23)を撮像する撮像手段(4)と、
前記撮像手段(4)にて撮像された撮像画像を読み込むと共に、前記撮像画像を処理することで前記溶接部(23)を検査する画像処理手段(5)と、を備え、
前記画像処理手段(5)は、
前記撮像画像に対して前記溶接部(23)に対応する検査領域を指定する検査領域指定手段(S2)と、
前記検査領域指定手段(S2)にて指定した前記検査領域から、前記光照射手段(32)から照射された光が前記溶接部(23)の表面で反射した反射光によって周囲よりも高輝度となる高輝度領域を抽出する高輝度領域抽出手段(S3)と、
前記高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出された前記高輝度領域に基づいて、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定する溶け分かれ判定手段(S4)と、を有し、
前記溶け分かれ判定手段(S4)は、前記高輝度領域が前記検査領域における前記第1部材(21)に対応する領域よりも前記第2部材(22)に対応する領域側に存在する場合に、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする溶接部検査装置。
【請求項2】
前記溶け分かれ判定手段(S4)は、前記高輝度領域の重心位置を算出し、前記高輝度領域の重心位置が前記検査領域における前記第1部材(21)に対応する領域よりも前記第2部材(22)に対応する領域側となる場合に、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じていると判定することを特徴とする請求項1に記載の溶接部検査装置。
【請求項3】
前記溶け分かれ判定手段(S4)は、前記高輝度領域抽出手段(S3)にて抽出した前記高輝度領域が複数存在する場合、複数の前記高輝度領域のうち所定面積以上となる高輝度領域に基づいて、前記溶接部(23)に溶け分かれが生じているか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部検査装置。
【請求項4】
前記撮像手段(4)は、前記撮像画像としてカラー画像を撮像するように構成され、
前記高輝度領域抽出手段(S3)は、前記撮像画像における前記検査領域を色成分毎の画像データに分割すると共に、分割した前記画像データを用いて前記高輝度領域を抽出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の溶接部検査装置。
【請求項5】
前記高輝度領域抽出手段(S3)は、前記分割した画像データから、前記溶接部(23)の色に対応する色成分を強調した強調画像データを生成し、生成した前記強調画像データを用いて高輝度領域を抽出することを特徴とする請求項4に記載の溶接部検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図10】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図10】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−2985(P2013−2985A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134957(P2011−134957)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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