説明

溶接部欠陥検出方法及び装置

【課題】溶接部に前処理を施すこと無く、溶接部の表面のみならずその内部若しくは深部を、また、溶接部近傍母材の欠陥をも検出することができる溶接部欠陥検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】欠陥検出すべき溶接部に励磁コイルから交流磁界を印加し、この溶接部を通る交流磁界によって誘導コイルに誘導起電力を発生させ、誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求めることにより溶接部の欠陥を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導センサを用いて溶接部の欠陥の有無を簡便かつ正確に検出することができる溶接部欠陥検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属を接合する場合、溶接が最も一般的に用いられる。溶接は、運輸、航空、車輌、船舶、道路、建築、構造物、及び産業機械等の技術分野で広く使用されている。近年、溶接対象に合った溶接方法も数多く開発されており、溶接現場では無人化も進んでいる。
【0003】
溶接方法を大きく分けると、電気接合法、機械接合法、化学反応接合法、及び結晶接合法等がある。電気接合法としては、アーク溶接法、プラズマ溶接法、高周波溶接法、レーザ溶接法等がある。機械接合法としては、摩擦溶接法、超音波溶接法等がある。化学接合法としては、テルミット溶接法、ガス溶接法、爆発溶接法等がある。結晶接合法としては、拡散溶接法、ろう付け法等がある。
【0004】
以上列挙した溶接方法は、目的に適した接合を可能とするものである。しかしながら、各溶接方法にも、入熱状態の安定維持と溶接進行という基本的な課題があり、従って、溶接工程において、問題は常に存在する。特に、自動車関連の分野で溶接を行う場合、その溶接工程での不良が大きな問題となっている。
【0005】
また、構造物、道路、橋梁等の分野においては、永い年月の間、溶接部に対して大きな重量が加わると共に大きな振動が印加されることから、その部分にクラックが発生する可能性がある。例えば、首都高速道路において、溶接部にクラックが発生したことが、最近報道されている。橋梁における溶接部にも、加重と振動によるクラック発生が起こり得る。この場合、溶接ビードと共に溶接部近傍の母材にもクラックが発生することがあり、このようなクラック発生の有無は、現場検査にて確認している。
【0006】
船舶の分野においては、巨大船体、巨大重量物を波浪中に浮べることから、溶接部に歪みが蓄積され、クラックの発生する恐れがある。このため、貨物船等においては、航海中に、担当者が主要部分を目視検査することが義務付けられている。タンカー等においては、バランスタンクの溶接部検査をドック入りした際に行っている。即ち、バランスタンクには、海水が入るため、並びに、貝殻、フジツボ及びサビ等が発生するため、まず、溶接部を清掃し、その後、磁粉探傷によりクラック検出を行っている。
【0007】
このように、溶接部の検査は大変重要である。しかしながら、現況では、全ての溶接部を検査することは不可能である。即ち、非破壊検査の方法は確立しているが、検査に対する前処理及び後処理等の労力と人件費及び検査費等の費用とが膨大であり、しかも、検査に多大の時間を要するためである。
【0008】
例えば、超音波を用いた検査法では、最初に溶接ビード及び溶接ビード附近の清掃から行う必要がある。その部分に塗装があれば、その塗装を剥離することが必要となる。次いで、検査部に超音波を通し易くするための媒体を塗布する必要がある。その後、検査を始めるが、検査速度が一般的に遅く、また、検査する人間の技量による差が大きな問題となる。しかも、溶接箇所が複雑であれば、誤動作を発生し易く、検出精度の落ちる可能性がある。検査終了後、媒体を除去し、塗装を施す必要がある。従って、時間及び労力を考慮すると、溶接部全てを検査することは不可能である。また、前処理及び後処理に使用した材料及び残材の処理が環境問題を起こしかねないという問題もある。
【0009】
X線を用いた検査法は、現場での使用が大幅に限定されてしまう。また、X線照射側と受光側とが対となっている必要があるが、溶接部は、通常、袋状態になっている場合が多く、X線を受光するための乾板を設置する方法が無いのが実情である。しかも、X線は費用が高いため特別な部分の検査のみに採用されている。さらに、写真を撮ることため、検査時間が長大化するという問題もある。
【0010】
浸透探傷を用いた検査法は、超音波探傷を用いた検査法と同様に、溶接部の清掃から始める必要があり、その後、溶剤を使って溶接部開口欠陥を清掃する。その際、浸透液が開口欠陥内部に浸透できるように処理する。次いで、カラー液を浸透させ、表面を清掃して白色媒体を吹き付け、数分後 白色媒体部に赤色が浮いている部分をクラックとして目視で判断する。検査終了後、清掃及び後処理を施す。問題はクラックの深さが分からないことである。
【0011】
磁粉探傷を用いた検査法も、同様に清掃から始まる。ただし、この検査法は、溶接部の開口欠陥を検出するものであって、溶接部内部については 全く、検査及び検出を行うことが出来ない。超音波探傷や、浸透探傷を用いた検査法より、検査時間が短縮される利点はある。
【0012】
磁粉探傷を用いた検査法は、磁粉の素材に蛍光物質が入っているので、後処理に手間がかかる。即ち、磁粉探傷の蛍光物質を水で洗い流し、その排水を集めて特殊な方法で水と蛍光物質とを分離する必要がある。この処理を行わなければ 自然界に大量の蛍光物質が流出されてしまうので、環境問題となる。
【0013】
以上述べたように、溶接方法自体は一応確立されているが、溶接した部分の非破壊検査を簡便化することが要求される。
【0014】
一方、インライン上での検査は、良否の判定情報を素早くフィードバックして、溶接条件をコントロールすることが重要となる。これが行われないと、ロット管理において、良否不明のまま次工程に流したり、良品を欠陥品として破棄したりと無駄が多くなり、これは、エネルギー問題、環境問題に直結する。
【0015】
船舶、構造物、プラント等の分野においては、溶接部の全てを検査する必要があるが、物理的理由で、重要部のみ検査を行っているのが現状である。今日、溶接部検査を、前処理及び後処理無しに、しかも、検査時間が短く、溶接部表面はもちろんのこと内部欠陥も検出でき、溶接部近傍母材欠陥等も検出できる欠陥検出方法は存在しておらず、その開発は急務となっている。
【0016】
近年、磁気を利用した溶接部の非破壊検査方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この非破壊検査方法は、探傷に要する時間を短縮すると共に探傷結果の傷判定の容易化を図るために、探傷用プローブを、その探傷面が溶接部の傍の表面に対向しかつ探傷用プローブの検出コイルの感磁面が溶接部の溶接方向と平行になるように配置し、探傷面が溶接部の溶接方向に沿って変位するように探傷用プローブを移動するものである。励磁コイルは周囲外方に伸びる磁束を生成して渦電流を発生させる。これにより溶接部に傷が存在すると渦電流による漏洩磁束の状態が変化し、検出コイルが漏洩磁束の溶接部の表面に平行な成分の変化を検出し、探傷面に対向しない範囲の探傷を行うものである。
【0017】
【特許文献1】特開2005−164442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
この特許文献1に記載されている非破壊検査方法は、一般的に、渦電流法と呼ばれている方法である。この渦電流法は、交流電流を印加したコイルを導電性の被検査体に近付けた際に、誘導起電力により被検査体に生じる渦電流を利用する。
【0019】
しかしながら、このような渦電流法は、被検査体の深い部分を検出するには適していない。しかも、渦電流法では、被検査体の表面状態が検出感度に大きく影響するので、例えば アーク溶接のビード凹凸を有する溶接部や、塗装された溶接部、酸化物の付着している溶接部等の欠陥を検出したい場合には、表面を滑らかにしたり、酸化膜や塗膜を除去したりといった前処理が必ず必要となる。さらに、溶接部表面が開口した欠陥でなければ検出することができない。このため、渦電流法は、溶接部欠陥検出に実際には殆んど使用されていない。
【0020】
従って本発明は、従来技術の上述した問題点を解消するものであり、その目的は、溶接部に前処理を施すこと無く、溶接部の表面のみならずその内部若しくは深部を、また、溶接部近傍母材の欠陥をも検出することができる溶接部欠陥検出方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、欠陥検出すべき溶接部に励磁コイルから交流磁界を印加し、この溶接部を通る交流磁界によって誘導コイルに誘導起電力を発生させ、誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求めることにより溶接部の欠陥を検出する溶接部欠陥検出方法が提供される。
【0022】
溶接部の欠陥を検出するために、その溶接部に励磁コイルから交流磁界を印加し、この溶接部を通る交流磁界によって誘導コイルに誘導起電力を発生させる。発生した誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求める。なお、本発明において、溶接部の欠陥とは、溶接部自体の表面欠陥、内部欠陥及び裏面欠陥のみならず、溶接部近傍母材の表面欠陥、内部欠陥及び裏面欠陥をも含んでいる。このように、交流磁界による磁力線を溶接部に印加し、磁力線の微小変化を誘導起電力として取り出す方式であるため、溶接部に前処理を施すこと無く、溶接部の表面のみならずその内部若しくは深部を、また、溶接部近傍母材の欠陥をも検出することができる。
【0023】
基準誘導起電力を、欠陥の存在しない基準溶接部に励磁コイルから交流磁界を印加し、基準溶接部を通る交流磁界によって誘導コイルに誘導起電力を発生させて求めることが好ましい。
【0024】
誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相の両方の基準誘導起電力の振幅及び位相に対する変化量をそれぞれ求めることも好ましい。
【0025】
変化量が零であるか否かを判別することにより溶接部に欠陥が存在するか否かを判定することも好ましい。
【0026】
振幅の変化量と位相の変化量とを比較し、両者の大きさが逆転したか否かを判別することにより溶接部に欠陥が存在するか否かを判定することも好ましい。
【0027】
励磁コイルと誘導コイルとが一体的に設けられた電磁誘導センサを用いて交流磁界の印加及び誘導起電力の発生を行うことも好ましい。
【0028】
励磁コイルと誘導コイルとが同軸に巻回された電磁誘導センサを用いて交流磁界の印加及び誘導起電力の発生を行うことも好ましい。
【0029】
電磁誘導センサと溶接部とが非接触の状態で交流磁界の印加及び誘導起電力の発生を行うこと、又は電磁誘導センサと溶接部とが接触した状態で交流磁界の印加及び誘導起電力の発生を行うことも好ましい。
【0030】
本発明によれば、さらに、欠陥検出すべき溶接部に交流磁界を印加するための励磁コイルと、この溶接部を通る交流磁界によって誘導起電力を発生する誘導コイルと、誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求めることにより溶接部の欠陥を検出する検出部とを備えた溶接部欠陥検出装置が提供される。
【0031】
溶接部の欠陥を検出するために、その溶接部に励磁コイルから交流磁界を印加し、この溶接部を通る交流磁界によって誘導コイルに誘導起電力を発生させる。検出部により、誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求める。なお、本発明において、溶接部の欠陥とは、溶接部自体の表面欠陥、内部欠陥及び裏面欠陥のみならず、溶接部近傍母材の表面欠陥、内部欠陥及び裏面欠陥をも含んでいる。このように、交流磁界による磁力線を溶接部に印加し、磁力線の微小変化を誘導起電力として取り出す方式であるため、溶接部に前処理を施すこと無く、溶接部の表面のみならずその内部若しくは深部を、また、溶接部近傍母材の欠陥をも検出することができる。
【0032】
励磁コイルに交流電流を供給する交流電源をさらに備えたことが好ましい。
【0033】
検出部が、誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相の両方の基準誘導起電力の振幅及び位相に対する変化量をそれぞれ求めるように構成されていることも好ましい。
【0034】
検出部が、変化量が零であるか否かを判別することにより溶接部に欠陥が存在するか否かを判定する回路を含んでいることも好ましい。
【0035】
検出部が、振幅の変化量と位相の変化量とを比較し、両者の大きさが逆転したか否かを判別することにより溶接部に欠陥が存在するか否かを判定する回路を含んでいることも好ましい。
【0036】
励磁コイルと誘導コイルとが一体的に設けられた電磁誘導センサを備えていることも好ましい。
【0037】
励磁コイルと誘導コイルとが同軸に巻回された電磁誘導センサを備えていることも好ましい。
【0038】
電磁誘導センサと溶接部とが非接触の状態となるように電磁誘導センサを保持するセンサ支持部、又は電磁誘導センサと溶接部とが接触した状態となるように電磁誘導センサを保持するセンサ支持部をさらに備えていることも好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、交流磁界による磁力線を溶接部に印加し、磁力線の微小変化を誘導起電力として取り出す方式であるため、溶接部に前処理を施すこと無く、溶接部の表面のみならずその内部若しくは深部を、また、溶接部近傍母材の欠陥をも検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は本発明における溶接部欠陥検出装置の一実施形態の全体構成及びその使用形態例を概略的に示す図であり、図2は図1の実施形態における電磁誘導センサの構成を示す図である。
【0041】
図1において、10は溶接部欠陥検出装置、11は溶接部欠陥検出装置10の電磁誘導センサ、12はこの電磁誘導センサ11を保持するセンサ支持部、13は母材14に形成された欠陥検査すべき溶接部をそれぞれ示している。
【0042】
センサ支持部12は、電磁誘導センサ11を測定対象物としての溶接部13の表面から所定距離だけ離れた位置まで接近させた状態で保持するものである。なお、センサ支持部12の形状及び形態は、同図に示したものに限定されるものではなく、例えば、電磁誘導センサ11を溶接部13の表面から所定距離だけ離れた位置に保持しながらこの溶接部13に沿って所定速度で移動できる機構を付加した構成であってもよい。
【0043】
図2に示すように、電磁誘導センサ11は励磁コイル11aと誘導コイル11bとを備えており、この励磁コイル11aは交流電源15に電気的に接続されており、誘導コイル11bは検出部16に電気的に接続されている。
【0044】
具体的には、電磁誘導センサ11は、交流電流の印加により励磁されて磁場を形成する一次側の励磁コイル11aと、励磁コイル11aが励磁され電磁誘導されることにより起電力Vを発生する二次側の誘導コイル11bとを備えている。励磁コイル11aと誘導コイル11bとは同軸であり、その全長に渡って重ね巻まわしされて一体的に構成されている。この場合、励磁コイル11a上に誘導コイル11bを巻き付けて構成されている。これらのコイルは、長筒状の物体に絶縁被膜線を巻き付けることにより実現することができる。
【0045】
励磁コイル11aの巻き数は、溶接される母材14の材料や被検査試料である溶接部13の測定範囲等により定められる。また、励磁コイル11aに印加される交流電流の周波数fも、溶接される母材14の材料や溶接部13の測定範囲等により定められる。この交流電流の周波数fは、溶接部13への磁束の浸透深さδに影響すると共に、この溶接部13によって誘導コイル11bに生じる起電力Vにも影響する。本実施形態では、電磁誘導センサ11の周辺に位置する溶接部13を検査するために周波数fが定められ、これにより溶接部13の内部欠陥の微妙な変化等を検出することが可能となる。
【0046】
交流電源15は、図示されていないが、正弦波発振器と定電流増幅器とを備えており、正弦波発振器から出力された角周波数ω(=2πf)の交流電圧は定電流増幅器で定電流となり、電磁誘導センサ11の励磁コイル11aに供給されるように構成されている。
【0047】
検出部16は、電磁誘導センサ11の誘導コイル11bの起電力Vを電気信号として受け取り、起電力の測定値Voutと参照値Vrefとを比較することにより、磁場の変化を比較検出する比較回路16aと、この比較回路16aの出力によって溶接部13の欠陥状態を判定する判定回路16bとから構成されている。
【0048】
即ち、検出部16の比較回路16aにおいては、電磁誘導センサ11を基準試料である基準溶接部に当てた際の誘導コイル11bの出力(参照値Vref)と、電磁誘導センサ11を被検査試料である溶接部13に当てた際の誘導コイル11bの出力(測定値Vout)とが比較される。この場合、参照値Vrefに対する測定値Voutの位相変化量Δθ及び振幅変化量ΔHがそれぞれ別個に比較される。
【0049】
図3は、図1の実施形態における電磁誘導センサから出力される電気信号のモデル図である。
【0050】
同図に示すように、参照値Vrefに対する測定値Voutの変化量は、位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとに分けてそれぞれ別個に検出される。この位相変化量Δθは被検査試料である溶接部13の磁気的特性、即ち透磁率に依存する量であり、また振幅変化量ΔHはこの溶接部13の電気的特性、即ち電気伝導率に依存する量である。このように溶接部13の磁気的特性と電気的特性とを区別して検出することで、溶接部13の微妙な欠陥状態の変化をも検出することができる。即ち、溶接部13の内部欠陥の微妙な違い等をも検出することが可能となる。
【0051】
検出部16の判定回路16bは、比較回路16aの出力により、溶接部13が正常な状態にあるかどうか判定する。位相変化量Δθと振幅変化量ΔHがいずれも零であれば、溶接部13は正常な状態であると判別される。なお、判定回路16bに、上述の位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとを、溶接部13の状態と関連づけてあらかじめデータ化しておくと、溶接部13の異常がどのような状態なのか、即ちブローホールや異物あるいはクラック等の状態を具体的に識別して把握することができる。
【0052】
図1に示すように、検出部16には、記録部17と、表示部18と、記憶部19とが接続されている。記録部16は、測定状態及び測定結果等を記録用紙等の記録媒体に記録するものである。また、表示部18は、測定状態及び測定結果等を表示するものであり、例えば、電磁誘導センサ11の設置位置を表示したり、測定結果を表示したりする。この表示部18において、測定状態及び測定結果等を図形または数字で表示することができる。記憶部19は、電磁誘導センサ110の出力、測定状態及び測定結果等を記憶するものであり、必要なときにこれら記憶データを読み出すことができる。
【0053】
図4は本実施形態における溶接部欠陥検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、同図を参照して溶接部欠陥検出動作について説明する。
【0054】
溶接部に欠陥があるか否かを検査する場合、まず、欠陥の存在しない基準試料である溶接部(図示なし)を用意し、この溶接部に電磁誘導センサ11を近付けて測定を実施し、これを参照値Vrefとする(ステップS1)。即ち、基準試料である溶接部による誘導コイル11bの出力を参照値Vrefとして判断用閾値とする。
【0055】
次いで、被検査試料である溶接部13の表面に電磁誘導センサ11を近付け、センサ支持部12により溶接部13の表面から所定距離の位置まで接近させ、この状態を維持する。この状態で電磁誘導センサ11の励磁コイル11aに所定周波数fの交流電流を供給して溶接部13に交流磁界を付与し、電磁誘導センサ11の誘導コイル11bに誘導起電力Vを発生させ、この値を測定値Voutとする(ステップS2)。この場合に、誘導コイル11bに発生する誘導起電力Vは溶接部13に付与された交流磁界の磁束密度に応じて変化し、この交流磁界の磁束密度は溶接部13の内部に存在する欠陥の程度に応じて変化する。
【0056】
次いで、溶接部13について誘導コイル11bに発生した誘導起電力である測定値Voutと、基準試料である欠陥のない溶接部について誘導コイル11bに発生した誘導起電力である参照値Vrefとを比較して、位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとを検出する(ステップS3)。位相変化量Δθ及び振幅変化量ΔHの両方を検出しても良いし、どちらか一方を検出するようにしても良い。
【0057】
次いで、比較結果から溶接部13が正常な状態であるかどうか判定する(ステップS4)。この判定は、位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとが零であるかどうか判別することによって行われる。両者が共に零であれば、溶接部13は正常な状態(欠陥なしの状態)であると判定される(ステップS5)。逆に、どちらか一方が零でなければ、溶接部13は異常な状態(欠陥のある状態)であると判定される(ステップS6)。この判定により、欠陥が溶接部13の内部に存在するか否かを精度よく検査することができる。
【0058】
この測定結果及び判定結果は、必要に応じて記録部17に記録され、表示部18に表示され、及び/又は記憶部19に記憶される(ステップS7)。
【0059】
以上述べたように、本実施形態によれば、溶接部13の内部に欠陥が存在するか否かを検出するセンサとして、励磁コイル11aと誘導コイル11bとを同軸に一体形成した電磁誘導センサ11を用い、励磁コイル11aに交流電流を印加して磁場を形成させ、誘導コイル11bで溶接部13による磁場の変化を検出し、例えば、誘導コイル11bに発生した誘導起電力の振幅及び/又は位相の変化量を測定して、欠陥の有無を検出するようになされているので、溶接部欠陥の存在確立を推定することができる。即ち、従来は不能とされてきた溶接部欠陥の有無を非破壊検査により正確にかつ容易に得ることができる。換言すれば、溶接部、溶接部近傍母材などに発生する微妙なクラック、ブローホール、異物巻込み、溶着状態等を分解能よく、高感度、高精度で検査、検出することができる。
【0060】
また、電磁誘導センサ11と溶接部13とが非接触であるため、従来のように検査のために溶接部の表面を滑らかにしたり、あるいは酸化膜や塗膜を除去したり、船舶では貝殻やフジツボ等を剥離するといった前処理の必要がなく、費用と労力を節約することができると共に、溶接部の全数検査が可能となり、さらに溶接部欠陥検査が容易に把握できるので、検査結果を設計に容易に反映させることができる。またさらに、検査のために溶剤、蛍光塗料等の化学薬品を使用しないため、環境問題をクリアできる。しかも、検査時間が速いので、希望する範囲の溶接部検査を短時間で終了させることが可能である。
【0061】
さらに、検査対象である溶接部とセンサ間の距離を十分とれるので検査が容易になる。また、検査対象である溶接部にセンサを垂直に向ける必要はなく、検査の行い易い角度で検査することができる。さらにまた、取扱いが簡単で誰でもが操作できる。溶接部、特にアーク溶接ビードの波形凹凸があっても、欠陥検査検出に影響を受けない。
【0062】
図5は以上説明した溶接部欠陥検査装置10により実際に測定したデータの一例を示す図である。
【0063】
この測定は、図1に示すごとき平板の母材14を接合する突合せ溶接による溶接部13に対して行われた。ただし、電磁誘導センサ11の移動速度は一定とした。母材14の材質は鋼材であり、溶接部13の内部欠陥である内部ブローホールを検出する目的で行われた。母材の厚さは20mmであるので、使用周波数を18.01KHzとした。励磁コイル11bは巻数を300ターン、導線太さをφ0.3mm、誘導コイル11bは巻数が450ターン、導線太さをφ0.2mmとした。なお、この測定の用いた溶接部欠陥検査装置の構成は単なる一例であり、本発明の構成はこれに限定されるものではない。例えば励磁コイル及び誘導コイルの形状は図2に示すように筒状でなくとも、また、同心でなくとも良い。また、使用した周波数やコイル巻数もこれに限定されるものではない。
【0064】
図5(A)は信号処理を行っていない位相変化量Δθに関する生データを示しており、図5(B)はこの生データを電気回路でフィルタリング処理した信号出力である。出力信号イの部分において、lはブローホール幅に比例しており、hは空洞の大きさに比例している。従って、出力信号ロの部分においては、ブローホール幅が長く、空洞も大きい。出力信号ハの部分においては、小さな空洞である。出力信号ニの部分においては、lに相当するブローホール幅がイと同じ程度であるが、hが大きいため、縦長の欠陥であることを意味している。溶接部欠陥検査装置10を用いて溶接部13の磁気的特性又は電気的特性を測定し、さらに信号処理を行うことにより、このような良好な検出結果を得ることができる。
【0065】
図6は以上説明した溶接部欠陥検査装置10により溶接部の裏面にあるクラックを検出する場合を説明する図である。
【0066】
同図(A)に示すように、SUS321からなる厚さ40mmの母材64に突合せ溶接がなされており、その溶接部63の裏面部分に深さ11mmのクラック63aが存在しているとする。同図(B)に示すように、この溶接部63の表面に1.5mm厚のプラスチックプレート60を介して車付センサ支持部62に取り付けた電磁誘導センサ61を近付け、励磁コイル61a(同図(C))に交流電流を印加して磁場を形成させ、誘導コイル61b(同図(C))で溶接部63における磁場の変化を検出し、誘導コイル61bに発生した誘導起電力の振幅及び位相の変化量を測定する。なお、同図(C)に示すように、励磁コイル61aと誘導コイル61bとは同軸に一体化されており、使用周波数を10.01KHz、励磁コイル61aの巻数を210ターン、導線太さをφ0.1mm、誘導コイル61bの巻数を400ターン、導線太さをφ0.1mmとした。ただし、このように溶接部の裏面にあるクラックを検出する場合、使用周波数、コイルの巻数及び導線の太さは以上の数値に限定されるものではない。
【0067】
同図(D)には、電磁誘導センサ61を一定速度で往復移動させ、誘導起電力の位相変化量Δθをフィルタリング処理した信号出力が示されている。クラック63aの部分で波形変化(往復のため2箇所)が生じていることが分かる。
【0068】
同図(E)は、電磁誘導センサ61をこのように一定速度で移動せずに、所望の位置で停止させた状態で定点測定を行い、誘導起電力の位相変化量Δθ及び振幅変化量ΔHを検出し、両者を比較し、両者の大きさが逆転したか否かを判別することにより溶接部にクラックが存在するか否かを検出した結果を示している。クラックの存在しない位置では位相変化量Δθが振幅変化量ΔHより大きく、クラックの存在する位置ではこれが逆転して振幅変化量ΔHが位相変化量Δθより大きくなっている。クラックがある位置において、位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとの間隔Sがクラックの深さに比例した信号として出力される。
【0069】
図7は図6(E)に示した定点測定法における溶接部欠陥検出装置の動作を説明するフローチャートである。以下、同図を参照してこの場合の溶接部欠陥検出動作を説明する。
【0070】
まず、欠陥の存在しない基準試料である溶接部(図示なし)を用意し、この溶接部に電磁誘導センサ61を近付けて測定を実施し、これを参照値Vrefとする(ステップS11)。即ち、基準試料である溶接部による誘導コイル61bの出力を参照値Vrefとして判断用閾値とする。
【0071】
次いで、被検査試料である溶接部63の所望の位置においてその表面に電磁誘導センサ61を近付け、センサ支持部62により溶接部63の表面から所定距離の位置まで接近させ、この状態を維持する。この状態で電磁誘導センサ61の励磁コイル61aに所定周波数fの交流電流を供給して溶接部63に交流磁界を付与し、電磁誘導センサ61の誘導コイル61bに誘導起電力Vを発生させ、この値を測定値Voutとする(ステップS12)。この場合に、誘導コイル61bに発生する誘導起電力Vは溶接部63に付与された交流磁界の磁束密度に応じて変化し、この交流磁界の磁束密度は溶接部63の内部に存在する欠陥の程度に応じて変化する。
【0072】
次いで、溶接部63について誘導コイル61bに発生した誘導起電力である測定値Voutと、基準試料である欠陥のない溶接部について誘導コイル61bに発生した誘導起電力である参照値Vrefとを比較して、位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとを検出する(ステップS13)。
【0073】
次いで、位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとを比較し、両者の大きさが逆転したか否かから溶接部63が正常な状態であるかどうか判定する(ステップS14)。即ち、溶接部63が正常な状態である場合に位相変化量Δθが振幅変化量ΔHより大きくなるように設定されていた場合(振幅変化量ΔHが位相変化量Δθより大きくなるように設定される場合もある)、逆転がなく、位相変化量Δθが振幅変化量ΔHより大きいままであれば、溶接部63のその位置は正常な状態(欠陥なしの状態)であると判定される(ステップS15)。逆に、逆転があって、位相変化量Δθが振幅変化量ΔHより小さくなった場合は、溶接部63のその位置は異常な状態(欠陥のある状態)であると判定される(ステップS16)。
【0074】
電磁誘導センサ61の位置を変えて以上の検出を行うことにより、欠陥が溶接部63の内部に存在するか否かを精度よく検査することができる。
【0075】
この測定結果及び判定結果は、必要に応じて記録部17に記録され、表示部18に表示され、及び/又は記憶部19に記憶される(ステップS17)。
【0076】
図8は溶接部欠陥検査装置10により隅肉溶接部の母材に対する溶接溶け込み状態を検出する場合を説明する図である。
【0077】
同図(A)及び(B)に示すように、鋼材からなる厚さ25mmの母材84に対して隅肉溶接がなされており、その溶接部83において、同図(A)に示すように母材84内に溶接溶け込みがなされていないか、又は同図(B)に示すように母材84内に溶接溶け込みがなされており溶け込み箇所83aが存在するかを検出するものである。
【0078】
この検出では、図1に示したものと同様の構造の電磁誘導センサ81を所望の位置で停止させた状態で定点測定を行い、誘導起電力の位相変化量Δθ及び振幅変化量ΔHを検出し、両者を比較し、両者の大きさが逆転したか否かを判別することにより溶接部83に溶け込み箇所83aが存在するか否かを判定している。同図(C)はその結果を示している。溶接溶け込みが存在する位置では位相変化量Δθが振幅変化量ΔHより大きくOKであり、溶接溶け込みが存在する位置ではこれが逆転して振幅変化量ΔHが位相変化量Δθより大きくなっておりNGである。溶け込みがなされている位置(OK部)において位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとの間隔Sは溶接溶込み深さに比例した信号として出力され、溶け込みがなされていない位置(NG部)において位相変化量Δθと振幅変化量ΔHとの間隔Sは溶接溶込み不良の大きさに比例した信号として出力される。
【0079】
なお、この溶接溶け込み状態の検出においては、使用周波数を18.01KHz、電磁誘導センサ81の励磁コイルの巻数を300ターン、導線太さをφ0.3mm、誘導コイルの巻数を450ターン、導線太さをφ0.2mmとした。ただし、このように溶接溶け込み状態を検出する場合、使用周波数、コイルの巻数及び導線の太さは以上の数値に限定されるものではない。
【0080】
図9は溶接部欠陥検査装置10により隅肉溶接部の欠陥を検出する場合を説明する図である。
【0081】
同図(A)及び(B)に示すように、鋼材からなる厚さ25mm、奥行き200mm、幅300mmの母材94について擬似的に欠陥を作った隅肉溶接がなされている。具体的には、その溶接部93に、(a)スラブ巻き込み、(b)割れ、(c)ブローホール、(d)ブローホールがそれぞれ所定間隔(60mm)で擬似的に形成されている。ただし、欠陥の大きさは不明である。
【0082】
このような溶接部93に対して、図1に示したものと同様の構造の電磁誘導センサ91を適当な角度で溶接部93に接触させた状態で溶接ビード上を一定速度で往復移動させた。即ち、電磁誘導センサ91の励磁コイルに交流電流を印加して磁場を形成させ、誘導コイルで溶接部93における磁場の変化を検出し、誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相の変化量を測定した。なお、使用周波数を18.01KHz、励磁コイルの巻数を300ターン、導線太さをφ0.3mm、誘導コイルの巻数を450ターン、導線太さをφ0.2mmとした。ただし、このように溶接部93の欠陥を検出する場合、使用周波数、コイルの巻数及び導線の太さは以上の数値に限定されるものではない。
【0083】
同図(C)には、電磁誘導センサ91の誘導起電力の位相変化量Δθをフィルタリング処理した信号出力が示されている。擬似的欠陥(a)〜(d)に対応して波形変化が認められる。往復移動しているため、対称的に反転された信号が現れており、再現性が非常に良い。
【0084】
図10は溶接部欠陥検査装置10によりアルミ板の突合せ溶接部の欠陥を検出する場合を説明する図である。
【0085】
同図(A)に示すように、アルミ板からなる厚さ5.0mm、奥行き60mmの母材104に突合せ溶接(ビード幅10mm)がなされており、その溶接部103の裏面部分にクラック103aが存在している。同図(B)に示すように、この溶接部103の表面に電磁誘導センサ101を近付け、接触しない状態(3mmの離隔距離)で励磁コイル101a(同図(C))に交流電流を印加して磁場を形成させ、誘導コイル101b(同図(C))で溶接部103における磁場の変化を検出し、誘導コイル101bに発生した誘導起電力の振幅及び位相の変化量を測定する。なお、同図(C)に示すように、励磁コイル101aと誘導コイル101bとは同軸に一体化されており、使用周波数を12.05KHz、励磁コイル101aの巻数を300ターン、導線太さをφ0.1mm、誘導コイル101bの巻数を500ターン、導線太さをφ0.1mmとした。ただし、このように溶接部の裏面にあるクラックを検出する場合、使用周波数、コイルの巻数及び導線の太さは以上の数値に限定されるものではない。
【0086】
同図(D)には、電磁誘導センサ101を母材104に対して一定速度で相対的に往復移動させ(この例では電磁誘導センサ101を固定して母材104を移動させた)、誘導起電力の位相変化量Δθをフィルタリング処理した信号出力が示されている。クラック103aの部分で波形変化(往復のため2箇所)が生じていることが分かる。hはクラック103aの深さに比例しており、lはクラック103aの長さに比例している。
【0087】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明における溶接部欠陥検出装置の一実施形態の全体構成及びその使用形態例を概略的に示す図である。
【図2】図1の実施形態における電磁誘導センサの構成を示す図である。
【図3】図1の実施形態における電磁誘導センサから出力される電気信号のモデル図である。
【図4】図1の実施形態における溶接部欠陥検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図1の実施形態における溶接部欠陥検査装置によって実際に測定したデータの一例を示す図である。
【図6】図1の実施形態における溶接部欠陥検査装置により溶接部の裏面にあるクラックを検出する場合を説明する図である。
【図7】図6(E)の定点測定法における溶接部欠陥検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】図1の実施形態における溶接部欠陥検査装置により隅肉溶接部の母材に対する溶接溶け込み状態を検出する場合を説明する図である。
【図9】図1の実施形態における溶接部欠陥検査装置により隅肉溶接部の欠陥を検出する場合を説明する図である。
【図10】図1の実施形態における溶接部欠陥検査装置によりアルミ板の突合せ溶接部の欠陥を検出する場合を説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
10 溶接部欠陥検出装置
11、61、81、91、101 電磁誘導センサ
11a、61a、101a 励磁コイル
11b、61b、101b 誘導コイル
12 センサ支持部
13、63、83、93、103 溶接部
14、64、84、94、104 母材
15 交流電源
16 検出部
16a 比較回路
16b 判定回路
17 記録部
18 表示部
19 記憶部
60 プラスチックプレート
62 車付センサ支持部
63a、103a クラック
83a 溶け込み箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥検出すべき溶接部に励磁コイルから交流磁界を印加し、該溶接部を通る交流磁界によって誘導コイルに誘導起電力を発生させ、該誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求めることにより前記溶接部の欠陥を検出することを特徴とする溶接部欠陥検出方法。
【請求項2】
前記基準誘導起電力を、欠陥の存在しない基準溶接部に前記励磁コイルから交流磁界を印加し、該基準溶接部を通る交流磁界によって前記誘導コイルに誘導起電力を発生させて求めることを特徴とする請求項1に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項3】
前記誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相の両方の前記基準誘導起電力の振幅及び位相に対する変化量をそれぞれ求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項4】
前記変化量が零であるか否かを判別することにより前記溶接部に欠陥が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項5】
前記振幅の変化量と前記位相の変化量とを比較し、両者の大きさが逆転したか否かを判別することにより前記溶接部に欠陥が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項6】
前記励磁コイルと前記誘導コイルとが一体的に設けられた電磁誘導センサを用いて前記交流磁界の印加及び前記誘導起電力の発生を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項7】
前記励磁コイルと前記誘導コイルとが同軸に巻回された電磁誘導センサを用いて前記交流磁界の印加及び前記誘導起電力の発生を行うことを特徴とする請求項6に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項8】
前記電磁誘導センサと前記溶接部とが非接触の状態で前記交流磁界の印加及び前記誘導起電力の発生を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項9】
前記電磁誘導センサと前記溶接部とが接触した状態で前記交流磁界の印加及び前記誘導起電力の発生を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の溶接部欠陥検出方法。
【請求項10】
欠陥検出すべき溶接部に交流磁界を印加するための励磁コイルと、該溶接部を通る交流磁界によって誘導起電力を発生する誘導コイルと、該誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方の、基準誘導起電力の振幅及び位相のうちの少なくとも一方に対する変化量を求めることにより前記溶接部の欠陥を検出する検出部とを備えたことを特徴とする溶接部欠陥検出装置。
【請求項11】
前記励磁コイルに交流電流を供給する交流電源をさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項12】
前記検出部が、前記誘導コイルに発生した誘導起電力の振幅及び位相の両方の前記基準誘導起電力の振幅及び位相に対する変化量をそれぞれ求めるように構成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項13】
前記検出部が、前記変化量が零であるか否かを判別することにより前記溶接部に欠陥が存在するか否かを判定する回路を含んでいることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項14】
前記検出部が、前記振幅の変化量と前記位相の変化量とを比較し、両者の大きさが逆転したか否かを判別することにより前記溶接部に欠陥が存在するか否かを判定する回路を含んでいることを特徴とする請求項12に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項15】
前記励磁コイルと前記誘導コイルとが一体的に設けられた電磁誘導センサを備えていることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項16】
前記励磁コイルと前記誘導コイルとが同軸に巻回された電磁誘導センサを備えていることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項17】
前記電磁誘導センサと前記溶接部とが非接触の状態となるように該電磁誘導センサを保持するセンサ支持部をさらに備えていることを特徴とする請求項15又は16に記載の溶接部欠陥検出装置。
【請求項18】
前記電磁誘導センサと前記溶接部とが接触した状態となるように該電磁誘導センサを保持するセンサ支持部をさらに備えていることを特徴とする請求項15又は16に記載の溶接部欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−85894(P2009−85894A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259284(P2007−259284)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(391013656)偕成エンジニア株式会社 (5)
【Fターム(参考)】