説明

溶融紡糸マルチフィラメントポリオレフィン糸形成方法及びこの方法により形成された糸

ポリオレフィンマルチフィランメント糸(30)の製造方法(10)が、ポリオレフィン及び核剤を、混合マニホルド(11)を備えた押出機(12)の入口(13)に供給するステップと、フィラメント(9)を紡糸口金(14)中に通して冷却浴(16)内に押出すステップと、フィラメントを巻取りロール(18,20)で集めて繊維束(28)を形成するステップと、繊維束(28)をニップロール(23,24,25,26)中へ通して仕上げ剤アプリケータ(22)に移送するステップと、繊維束(28)をオーブン(43)中へ通すと共に延伸ロール(32,34)で延伸してマルチフィラメント糸(30)を形成するステップと、マルチフィラメント糸を巻取りロール(40)上に巻き取るステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリオレフィンで作られた糸及び繊維は、多くの望ましい特徴を提供することができる。例えば、糸及び繊維は、良好な触覚品質、例えば手触りを備えることができ、又、減成(degrade)及び侵食(エロージョン)に耐性があり、原料は、かなりと言っていいほど申し分なく安価に得るのが容易である。したがって、モノフィラメント繊維及びマルチフィラメント糸は、種々のポリオレフィン、例えばポリプロピレンから作られている。高いモジュラス及び高いテナシティ(tenacity)を備えたモノフィラメントポリオレフィン繊維の開発は達成されたが、類似材料のモジュラスが高く且つテナシティが高いモノフィラメント糸を製造することは、可能ではあったが、成功と言えるほどではなかった。したがって、当該技術分野において改良及び改変の余地が残っている。
【発明の開示】
【0002】
一実施形態では、本発明は、ポリオレフィンマルチフィラメント糸を形成する方法に関する。例えば、この方法は、ポリオレフィンを含む溶融ポリマー配合物を形成するステップと、この配合物を押し出して多数のフィラメントを形成するステップと、フィラメントを液浴中で急冷するステップと、フィラメントを集めて繊維束を形成するステップと、繊維束を延伸比が約6以上、一実施形態では、約10以上の加熱延伸手段で延伸するステップとを有するのがよい。
【0003】
ポリオレフィンは、糸を形成するのに適したポリオレフィンであればどのようなものであってもよい。例えば、ポリオレフィンは、コポリマーであるのがよい。一実施形態では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンであるのがよい。糸を2種類又は3種類以上のポリオレフィンの混合物で形成するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。一実施形態では、ポリオレフィンは、約0.2〜約50のメルトフローインデックスを有するのがよい。
【0004】
一実施形態では、ポリプロピレンは、核剤を含むのがよい。例えば、核剤は、当該技術分野において一般的に知られているジベンジリデンソルビトールであるのがよい。一般に、核剤は、押出し配合物の重量を基準として約1%未満の量でメルト(溶融液)中に存在するのがよい。
【0005】
押出し機は、一般に、任意の標準型マルチオリフィス形押出し機であってよい。例えば、押出し機は、多数のオリフィスを備えるのがよく、各オリフィスは、約0.001〜約0.050インチ(0.025mm〜1.27mm)の最大断面寸法を有するのがよい。
【0006】
メルトをかなりゆっくりと、例えば、約1m/分〜約25m/分で液体急冷浴中に押し出すのがよい。浴は、例えば約50℃〜約130℃の温度まで加熱されているのがよいが、このようにするかどうかは任意である。一実施形態では、急冷浴の表面は、押出し機オリフィスの極めて近くに、例えば、フィラメントのダイスエルの距離内に位置しているのがよい。別の実施形態では、オリフィスのすぐ下流側の領域は、加熱又は非加熱ガス状シュラウドによって保護されるのがよい。
【0007】
加熱延伸ステップを加熱延伸ロールを利用するオーブン内で又は任意他の適当な加熱方法により実施するのがよい。一般に、加熱延伸ステップを約80℃〜約170℃の温度で実施するのがよい。例えば、オーブン又は延伸ロールを所望の温度まで加熱するのがよい。加熱延伸ステップは又、例えば糸が非常に短期間熱に曝される場合、これよりも更に高い温度で実施してもよい。
【0008】
また、開示するマルチフィラメント糸を成形する際、他の方法、例えば、次のもの、即ち、滑剤の塗布、糸の2度目の延伸又はヒートセットのうちの1つ又は2つ以上を実施することができる。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、開示した方法に従って形成できる糸に関する。例えば、糸は、各々が約300以下のデニールを示すのがよい多数のフィラメントを含むのがよく、一実施形態では、各フィラメントは、約0.5〜約100のデニールを有するのがよい。糸は、例えば40g/dよりも大きな高いモジュラスを有するのがよい。別の実施形態では、糸は、100g/d以上のモジュラス、幾つかの実施形態では150g/d以上のモジュラスを有するのがよい。糸は又、例えば幾つかの実施形態では約5g/d以上、他の実施形態では約7g/d以上の高いテナシティを有するのがよい。開示する糸は又、かなり高い耐引き伸ばし性を有するのがよく、例えば、糸は、約10%以下の伸び率を示すのがよい。
【0010】
開示する糸は又、マルチフィラメントポリオレフィン糸に特有の結晶構造を備えると考えられる。例えば、糸中のフィラメントのうちの少なくとも1本は、公知の広角X線散乱(WAXS)測定法によれば80%よりも高い結晶度を備えるのがよい。一実施形態では、糸中のフィラメントのうちの少なくとも1本は、約1.0以上の赤道強度と子午線強度の比を有するのがよく、これは、公知の小角X線散乱(SAXS)測定法から得ることができる。別の実施形態では、赤道強度と子午線強度の比は、約3.0以上であってよい。
【0011】
一実施形態では、本発明は、形成できると共に開示した糸を含むのがよい2次製品に関する。例えば、開示した糸をロープ、織布、及び不織布を形成する際に有利に利用できる。
【0012】
一実施形態では、開示した糸を強化材、例えば、水和可能な(水和性)セメント系配合物を強化するのに使用される強化材の状態で利用できる。例えば、開示した方法に従って形成された糸を一般に約5インチ(12.7cm)以下の小さな断片の状態に細断して強化材を形成することができる。一実施形態では、糸を長さ約3インチ(7.62cm)以下の小片に細断することができる。別の実施形態では、糸を長さが約1インチ(2.54cm)以下の小片に細断することができる。強化材を小片に切断することに加えて、減成させると共に(或いは)変形させるのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0013】
当業者に対する最適実施態様を含む本発明の完全且つ実施可能な開示が、添付の図面の参照を含む本明細書の残部に具体的に記載されている。
【0014】
本明細書及び図面中の参照符号の使用の繰り返しは、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表わすことを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の種々の実施形態を詳細に参照するが、これら実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が以下に記載されている。各実施形態は、本発明の限定のためでなく本発明の説明のために提供されている。事実、当業者には明らかなように、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の種々の改造例及び変形例を想到できる。例えば、一実施形態の一部として図示され又は説明される特徴を別の実施形態に用いて更に別の実施形態を生み出すことができる。かくして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲に属するものとしてかかる改造例及び変形例を含むものである。
【0016】
一般に、本発明は、マルチフィラメントポリオレフィン糸及び開示するマルチフィラメントポリオレフィン糸を形成するのに適した方法に関する。有利には、開示する方法を利用すると、従来公知のマルチフィラメントポリオレフィン糸と比較して高いモジュラス又は高いテナシティのうちの少なくとも一方を示すことができるマルチフィラメントポリオレフィン糸を形成することができる。
【0017】
本発明の方法は、一般に、溶融紡糸形成法に関する。具体的に言えば、本発明の糸を形成する際に利用される方法は、ポリオレフィンを含む溶融配合物を形成するステップと、配合物のうちの多数本の(即ち、少なくとも3本の)個々のフィラメントを比較的低い紡糸速度で押し出すステップと、フィラメントを液中で急冷するステップと、多数本の個々のフィラメントから成る糸構造体を形成するステップと、糸構造体を加熱しながら糸構造体を機械的に延伸するステップとを有するのがよい。
【0018】
特定の一実施形態では、本発明の糸を形成する際に利用されるポリオレフィンは、ポリプロピレンであるのがよい。しかしながら、これは、本発明の必須要件ではなく、以下の説明は一般にポリプロピレンに関するが、オプションとして他のポリオレフィンを本発明に利用できることは理解されるべきである。例えば、一実施形態では、本発明は、ポリエチレン又はポリブチレンのマルチフィラメント糸の形成に関するものであってよい。
【0019】
加うるに、本発明の開示の目的上、ポリプロピレンという用語は、プロピレンモノマーを単独で(即ち、ホモポリマー)又は他のポリオレフィン、ジエン、又は他のモノマー(例えばエチレン、ブチレン等)との混合物又はコポリマーとして含む任意のポリマー配合物を含むものである。この用語は又、成分としてのモノマー(例えば、シンジオタクチック、アイソタクチック等)の様々な構成及び配置を含むものである。かくして、繊維に適用されるこの用語は、延伸ポリマーの実際の長いストランド、テープ、加工糸等を含むものである。
【0020】
本発明の開示の目的上、繊維及び糸という用語は、最も長い断面寸法(例えば、丸形繊維に関しては直径)よりも遙かに大きい長さを呈する構造を含むものである。かくして、本明細書で利用される繊維という用語は、吹込成形又は射出成形されたプラーク、容器、シート等の構造とは異なっている。さらに、マルチフィラメント糸という用語は、単一の糸構造体を形成するのに互いに近接させる前に、例えば紡糸口金による押出しによって個々に形成された少なくとも3本のフィラメントを有する構造を含むものである。
【0021】
全体を符号10で示した本明細書により開示される方法の一実施形態が、図1に概略的に示されている。図示の実施形態によれば、ポリマー配合物を押出し装置12に提供するのがよい。例えば、一実施形態では、ポリマー配合物は、ポリプロピレンを含むのがよい。
【0022】
一般に、延伸糸を形成するのに適した任意のポリプロピレンを本発明の方法で利用できる。例えば、本発明に適したポリプロピレンは、一般に、任意標準型のメルトフローのものであってよい。例えば、一実施形態では、メルトフローインデックス(MFI)の範囲が約0.2〜約50の標準の押出し等級のポリプロピレン樹脂を開示するマルチフィラメント糸の形成に利用できる。一実施形態では、約0.5〜約25のMFIを示すポリプロピレンを利用するのがよい。一実施形態では、マルチフィラメント糸を形成する際に利用されるポリプロピレンは、約1〜約15のMFIを有するのがよい。
【0023】
一実施形態では、押出し装置12に提供されるポリマー配合物は、ポリプロピレン及び核剤として核剤(生核剤ともいう)を含むのがよい。この実施形態によれば、核剤は、溶融状態から固体構造へのポリプロピレンの移行中に生じることができるポリプロピレンの結晶のための核形成部位を提供できる任意の材料であってよい。一実施形態では、核剤は、ポリプロピレン中に高い溶解度を示すのがよいが、これは本発明の必須要件ではない。例示の核剤の非限定的なリストとしては、例えば、当該技術分野において一般的に知られているジベンジリデンソルビトール核剤、例えばジベンジリデンソルビトール(DBS)、モノメチルジベンジリデンソルビトール、例えば1,3:2,4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(p−MDBS)、ジメチルジベンジリデンソルビトール、例えば1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4−DMDBS)等が挙げられる。他の適当な核剤としては、安息香酸ナトリウム、リン酸エステル塩、例えば日本国アサヒ・デンカ(Asahi Denka)社により開発されたNA−11及びNA−21、又はサウスカロライナ州所在のミリケン・ケミカル(Milliken Chemical)社により開発されたハイパー核剤、例えばHyperform(登録商標)HPN-68Lが挙げられる。
【0024】
本方法によれば、一実施形態では、核剤と組み合わせたポリプロピレンを含むのがよいポリマー配合物を押出し装置12に提供するのがよい。この特定の実施形態では、ポリプロピレン成分と核剤を別々に又は一緒に例えば入口13のところで押出し装置12に提供するのがよい。例えば、ポリプロピレン及び核剤を別々に又は一緒に液体、粉末又はペレットの形態で押出し機12に提供するのがよい。例えば、一実施形態では、ポリプロピレンと核剤の両方をペレットの形態で押出し機12の入口13のところに提供するのがよい。別の実施形態では、核剤を押出し装置12に液体の形態で提供してもよい。例えば、核剤を液体の形態で、例えば、コブ・サード等(Cobb, III, et al.,)に付与された米国特許第6,102,999号明細書に開示されている核剤を本方法に利用することができ、かかる米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0025】
核剤を含む場合、核剤は、一般に、配合物の重量を基準として約1%以下の量で押し出されるべき混合物中に存在するのがよい。例えば、核剤は、混合物中に約0.5重量%以下の量で存在するのがよい。一実施形態では、核剤は、混合物中に、約0.01重量%〜約0.3重量%の量で存在するのがよい。別の実施形態では、核剤は、混合物中に、約0.05重量%〜約0.25重量%の量で存在するのがよい。
【0026】
ポリプロピレンを含み、更にオプションとして、核剤を含む混合物は、当該技術分野において一般的に知られている種々の他の添加剤を更に含んでもよい。例えば、一実施形態では、本マルチフィラメント糸は、着色糸であってもよく、混合物は、適当な着色剤、例えば染料又は他の顔料を含むのがよい。この実施形態によれば、多成分糸の最終の色に影響を及ぼさない核剤を利用することが好ましい場合があるが、これは、本発明の必須要件ではなく、他の実施形態では、成形糸の色具合を高め又は違ったやり方でこれに影響を及ぼす核剤を利用してもよい。混合物と組み合わせることができる他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、抗微生物剤、粘着剤、安定剤、可塑剤、光沢剤、透明剤、紫外線安定剤、界面活性剤、付臭剤又は防臭剤、光散乱剤、ハロゲン掃去剤等のうち1つ又は2つ以上が挙げられる。加うるに、添加物をメルト中に含ませてもよく、又は、幾つかの実施形態では、表面処理剤として当該技術分野において知られているように未延伸繊維束又は任意的に延伸済み糸に塗布してもよい。
【0027】
一実施形態では、押出し装置12は、当該技術分野において一般的に知られているようなメルト防止装置であるのがよい。例えば、押出し装置12は、混合マニホルド11を有するのがよく、1種類又は2種類以上のポリオレフィン及び任意他の所望の添加剤を含む配合物をこのマニホルド内で混合して加熱し、それにより、溶融配合物を形成するのがよい。溶融混合物の形成は、一般に、本質的にポリプロピレン全ての溶融を保証するような温度で実施されるのがよい。例えば、一実施形態では、混合物を約175℃〜約325℃の温度まで加熱されたマニホルド11内で混合すると共に溶融するのがよい。
【0028】
任意的に、溶融混合物の流体状態を保証するのを助けるため、一実施形態では、溶融混合物を押出しに先立って濾過するのがよい。例えば、溶融混合物を、約180〜約360ゲージのフィルタで濾過して混合物から微粒子を除くのがよい。
【0029】
溶融混合物の形成に続き、混合物を圧力下で押出し装置12の紡糸口金14まで運搬するのがよく、ここで、混合物を多数の紡糸口金オリフィス中に通して押し出すと、多数本のフィラメント9を形成することができる。例えば、紡糸口金は、少なくとも3つの紡糸口金オリフィスを備えるのがよい。一実施形態では、紡糸口金は、4〜約10万個の個々の紡糸口金オリフィスを備えるのがよい。本発明の開示の目的上、押出しダイ及び紡糸口金という用語は、本明細書においては区別無く用いられ、同じ物にするようになっており、同じことは、紡糸口金オリフィス、紡糸口金孔、押出し機オリフィス、押出し機孔という用語についても当てはまる。紡糸口金14は、一般に、溶融ポリマーの押出しを可能にする一方で、成形中、フィラメント9の破断を防止することができる温度まで加熱されるのがよい。例えば、一実施形態では、紡糸口金14を約175℃〜約325℃の温度まで加熱するのがよい。一実施形態では、紡糸口金14を混合マニホルド11と同一の温度まで加熱するのがよい。しかしながら、これは、この方法の必須要件ではなく、他の実施形態では、紡糸口金14は、混合マニホルド11とは異なる温度状態であってもよい。
【0030】
ポリマーを押し出すことができる紡糸口金オリフィスは、一般に、最大断面距離(例えば、円形オリフィスの特定の場合には直径)が約0.1インチ(2.54mm)以下であるのがよい。例えば、一実施形態では、紡糸口金オリフィスは、最大断面距離が約0.002インチ(0.05mm)〜約0.050インチ(1.27mm)であるのがよい。
【0031】
本発明によれば、ポリマーを比較的高いスループットで紡糸口金に通して押し出すのがよい。例えば、ポリマーを、メルトフラクチャー(溶融破壊)を与えるのに必要なスループットの約50%以上のスループットで紡糸口金に通して押し出すのがよい。換言すると、スループットは、溶融押出し物が過度に変形状態になる場合のあるスループットの少なくとも50%であるのがよい。比メルトフラクチャースループットは、一般に、押出し物の材質、紡糸口金の孔の総数、紡糸口金の孔サイズ及び押出し物温度のうちの1つ又は2つ以上に応じて様々な場合がある。例えば、溶融ポリプロピレンを直径が各々0.012インチ(0.3048mm)の8つの丸い孔の紡糸口金に通して押し出す場合を考えると、メルトフラクチャーは、0.160cm3/回転メルトポンプの約22〜約24回転数/分のポンプ速度で又は約230℃の紡糸口金温度で4メルトフローホモポリマーポリプロピレンを押し出す場合、約5.5〜6.0g/分のスループットで生じる場合がある。任意特定のシステム及び材料並びにこれらを得る方法に関する特定のメルトフラクチャースループット値は、一般に、当業者には知られており、かくして、この現象についての詳細な説明は本明細書には含めていない。
【0032】
比較的高いスループットに加えて、フィラメントは又、比較的低いスピンライン張力で形成できる。高いスループットと低いスピンライン張力の組合せにより、フィラメントを他の従来公知のマルチフィラメント形成方法と比較して、オリフィスサイズと最終延伸フィラメントサイズの比較的低い比率で形成できる。例えば、一実施形態では、オリフィスの最大断面幅とオリフィスを通して押し出された単一の完全延伸フィラメントの最大断面距離の比は、約2〜約10であるのがよい。一実施形態では、この比は、約3〜約8であるのがよい。したがって、各フィラメントを形成する材料は、これが冷えて結晶化し始めるときにかなり弛緩した非組織化状態であるのがよい。
【0033】
再び図1を参照すると、ポリマーの押出しに続き、未延伸フィラメント9を液浴16中で急冷し、巻取りロール18によって集めてマルチフィラメント繊維構造体又は繊維束28を形成するのがよい。特定の理論により束縛することを願うものではないが、フィラメントを液浴中でのポリマーフィラメントの急冷と組み合わせて比較的低いスピンライン張力及び高いスループットで押し出すことにより、本方法は、ポリマー中での高い無秩序状態による折りたたみ鎖結晶の生成を促進し、それにより、高い延伸比をこの方法に利用することができ、それにより高いテナシティ及び高いモジュラスを備えたマルチフィラメントヤーンの形成を可能にすることができると考えられる。
【0034】
当該技術分野において一般に知られているように、動的温度及び応力条件下でメルトから結晶化されるポリマーは、核形成部位の数とポリマーの成長速度の両方に依存する結晶化速度で結晶化する。さらに、これら要因の両方は、ポリマーを急冷しているときにポリマーの受ける条件に関連している。加うるに、高い配向状態にあるときに結晶化するポリマーは、かかる配向度の高いポリマーについて可能な制限された延伸比によって証拠付けられるように制限されたテナシティ及びモジュラスを備える傾向がある。かくして、高いテナシティ及びモジュラスを備え、即ち、高い延伸比で形成されたマルチフィラメント糸を得るためには、高い無秩序状態にある間にポリマーの結晶化を行なうことが示唆される。したがって、本発明は、ポリマーを比較的高いスループットで且つ低いスピンライン張力で形成することによりフィラメントが結晶化中、その弛緩度を最大にして所望の無秩序状態にするのを助けることにより高い無秩序状態でのポリマーの結晶化を促進するマルチフィラメント糸形成方法を開示する。また、或る特定の実施形態では、高い結晶加速度をメルトへの核剤の添加により促進するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。加うるに、形成されたポリマーフィラメントを液浴中で急冷することにより、折りたたみ鎖結晶の生成を促進することができ、このことは又、テナシティが高く且つモジュラスの高い材料の高い延伸比と関連している。
【0035】
上述したように、個々のフィラメント9を本発明の方法に従って比較的低いスピンライン張力で押し出すことができる。したがって、巻取りロール18は、比較的低い速度で動作することができる。例えば、巻取りロール18を一般に毎分約25メートル(m/分)以下の速度に設定することができる。一実施形態では、巻取りロール18を約1m/分〜約20m/分の速度に設定するのがよい。
【0036】
フィラメント9を急冷できる液浴16は、ポリマーが溶けない液体であるのがよい。例えば、液体は、水、エチレングリコール、又は一般に当該技術分野において知られている任意他の適当な液体であるのがよい。一実施形態では、フィラメント9中の折りたたみ鎖結晶の生成を一段と促進するため、浴16を加熱するのがよい。例えば、浴をポリマーの最高結晶化温度(Tc)の近くの温度まで加熱するのがよい。例えば、浴を約50℃〜約130℃の温度まで加熱するのがよい。
【0037】
一般に、フィラメント長さに沿って実質的に一定の断面寸法を備えたフィラメントの形成を促進するため、浴16の過度の撹拌をプロセス中回避するのがよい。
【0038】
一実施形態では、ポリマーの急冷は、紡糸口金から出た後可能な限りすぐに開始するのがよい。その目的は、押出し直後の無秩序度が高い弛緩状態にある状態でポリマーの結晶化を促進することにある。例えば、一実施形態では、浴16の表面を紡糸口金14から最小距離のところに配置するのがよい。例えば、図2に示す実施形態では、浴16の表面を、押し出されたフィラメント9がフィラメント9のダイスエル31の距離の範囲内で浴16に入ることができるように紡糸口金14から距離を置いたところに位置するのがよい。個々のフィラメント9は、浴16に入る前に加熱状態又は非加熱状態のシュラウドを通るのがよいが、このようにするかどうかは任意である。例えば、加熱状態のシュラウドをオリフィスと浴表面との間の距離がダイスエルよりも大きい実施形態に利用するのがよい。一実施形態では、紡糸口金と浴との間の距離は、2インチ(5.08cm)未満であるのがよい。別の実施形態では、この距離は、1インチ(2.54cm)未満であるのがよい。
【0039】
巻取りロール18及びロール20は、浴16内に位置しているのがよく、これらは、個々のフィラメント9及び繊維束18を浴16に通して運搬することができる。浴16中における材料の滞留時間は、ポリマー材料に含まれる特定の材料、特定のライン速度等に応じて様々であってよい。一般に、フィラメント9及びその結果形成された繊維束28を、ポリマー材料の完全な急冷、即ち、結晶化を保証する程長い滞留時間で浴16に通して運搬するのがよい。例えば、一実施形態では、浴16中における材料の滞留時間は、約6秒〜約1分であるのがよい。
【0040】
繊維束28が浴16を出る場所のところ又はその近くで、過剰な液体を繊維束28から除去するのがよい。このステップは、一般に、当該技術分野において知られている任意の方法に従って達成できる。例えば、図1に示す実施形態では、繊維束28は、一連のニップロール23,24,25,26を通って過剰な液体を繊維束から除去することができる。しかしながら、変形例として、他の方法を利用することができる。例えば、他の実施形態では、過剰な液体を真空、スキージーを利用したプレス法、1つ又は2つ以上のエアナイフ等の利用により繊維束28から除去するのがよい。
【0041】
一実施形態では、滑剤を繊維束28に塗布するのがよい。例えば、スピン仕上げ剤を当該技術分野において一般に知られているようにスピン仕上げ剤アプリケータ又は塗布箱22のところで塗布するのがよい。一般に、滑剤を低い含水量で繊維束28に塗布するのがよい。例えば、滑剤を、繊維束が約75重量%以下の含水量にあるときに繊維束28に塗布するのがよい。任意適当な滑剤を繊維束28に塗布することができる。例えば、適当な油を基剤とした仕上げ剤、例えばグールストン・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Ghoulston Technologies, Inc)から入手できるLurol PP-912を繊維束28に塗布するのがよい。本発明の幾つかの実施形態においては、糸への仕上げ膜又は滑剤被膜の追加により、次の処理の際の繊維束の取り扱いが向上すると共に糸上における摩擦及び静電気堆積を減少させることができる。加うるに、糸に施された仕上げ膜は、次の延伸プロセスの際の糸の個々のフィラメント相互間の滑りをよくすることができると共に達成可能な延伸比を増大させることができ、かくして、本方法に従って形成される延伸マルチフィラメント糸のモジュラス及びテナシティを高めることができる。
【0042】
繊維束28の急冷及びオプションとしての何らかのプロセスステップ、例えば、滑剤の追加後、熱を加えながら繊維束を延伸するのがよい。例えば、図1に示す実施形態では、繊維束28を約80℃〜約170℃の温度まで加熱されたオーブン43内で延伸するのがよい。加うるに、この実施形態は、延伸ロール32,34は、当該技術分野において一般に知られているように、オーブン43の内部に位置してもよく、又は、外部に位置してもよい。別の実施形態では、オーブンを熱源として利用しないで、延伸ロール32,34を加熱して、糸を加熱しながら糸を延伸してもよい。例えば、延伸ロールを約80℃〜約170℃の温度まで加熱するのがよい。別の実施形態では、糸をほぼ同じ温度(即ち、約80℃〜約170℃)まで加熱されたホットプレート上でこれに沿って延伸してもよい。一実施形態では、オーブン、延伸ロール、ホットプレート又は任意他の適当な熱源を約120℃〜約150℃の温度まで加熱するのがよい。
【0043】
本方法によれば、マルチフィラメント繊維束を従来公知のポリオレフィン溶融紡糸マルチフィラメント糸形成方法で達成可能な延伸比よりも高い延伸比で1回目の延伸(又は1回だけの延伸)で延伸するのがよい。例えば、繊維束28を約6以上の延伸比(第2の又は最終の延伸ロール34の速度と第1の延伸ロール32の速度の比として定義される)で延伸するのがよい。例えば、一実施形態では、最初の延伸(又は1回だけの延伸)の延伸比は、約6〜約25であるのがよい。別の実施形態では、延伸比は、約10以上であり、例えば、約15以上であるのがよい。加うるに、糸を当該技術分野において一般に知られているようにロール32,34に巻き付けるのがよい。例えば、一実施形態では、糸を約5回〜約15回、延伸ロールに巻き付けるのがよい。
【0044】
図示の実施形態は、糸を延伸する目的で一連の延伸ロールを利用しているが、理解されるべきこととして、急冷ステップに続き糸を細長くするよう力を糸に加えることができる任意他の方法を利用するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。例えば、糸を延伸するのにニップロール、ゴデットロール、スチーム缶、空気、スチーム又は他の気体ジェットを含む機械的装置を利用するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0045】
図1に示す実施形態によれば、糸延伸ステップに続き、マルチフィラメント糸30を冷却して巻き取りロール40に巻き付けるのがよい。しかしながら、他の実施形態では、糸30の追加の処理を実施するのがよい。例えば、一実施形態では、マルチフィラメント糸に2回目の延伸として(第2の延伸)を施すのがよい。一般に、第2の延伸ステップを最初の延伸(第1の延伸)よりも高い温度で実施するのがよい。例えば、第2の延伸ステップの発熱体を第1の延伸ステップの発熱体よりも約10℃〜約50℃高い温度まで加熱するのがよい。加うるに、第2の延伸は、一般に、第1の延伸よりも低い延伸比であるのがよい。例えば、第2の延伸を5未満の延伸比で実施するのがよい。一実施形態では、第2の延伸を3未満の延伸比で実施するのがよい。多数回の延伸の場合、全体の延伸比は、個々の延伸の各々の積であり、かくして、まず最初に、糸を延伸比3で延伸し、次に、延伸比2で延伸すると、全体で6の延伸比が与えられることになる。
【0046】
延伸したマルチフィラメント糸をヒートセットするのがよいが、このようにするかどうかは任意である。例えば、マルチフィラメント糸を弛緩させ又はこれに非常に低い延伸比(例えば、約0.7〜約1.3の延伸比)を与え、次に短時間、一般に3分未満の間、約130℃〜約150℃の温度を与えるのがよい。幾つかの実施形態では、ヒートセットステップは、1分未満、例えば約0.5秒間であるのがよい。この温度は、一般に、延伸温度よりも高いのがよい。このオプションとしてのヒートセットステップは、延伸後の糸の結晶構造を「ロック」するのに役立つ場合がある。加うるに、ヒートセットステップは、熱収縮を減少させることができ、このことは、幾つかの実施形態において望ましい場合がある。
【0047】
別の実施形態では、仕上がり状態の糸に表面処理を施して糸の或る特定の特性、例えば、湿潤性又は付着性(粘着性)を向上させるのがよい。例えば、糸の物理的特性を向上させるため、糸をフィブリル化し、プラズマ又はコロナ処理又は加工を施すのがよく、又は、糸は、追加された表面糸サイズ剤を有するのがよく、これら全て、当該技術分野において一般に知られている。有利には、本発明のマルチフィラメント糸は、表面処理に利用できる広い表面積を有するのがよく、かくして、例えば類似材料で作られたモノフィラメント繊維と比較して、大幅に向上した特性、例えば付着性を示すことができる。
【0048】
一般に、仕上がり状態のマルチフィラメント糸30を図示のようにスプール又は巻取りリール40に巻き付けて2次製品の形成のために第2の場所に運搬するのがよい。しかしながら、変形実施形態では、マルチフィラメント糸を第2の処理又は加工ラインに送ってもよく、ここで、糸を更に処理して2次製品、例えば織布を形成してもよい。
【0049】
本発明のポリオレフィンマルチフィラメント糸は、一般に、フィラメント1本当たり約0.5デニール〜フィラメント1本当たり約100デニールの延伸サイズを有することができる。有利には、開示したマルチフィラメント糸は、ASTM D2256-02で測定して、他の従来公知のマルチフィラメントポリオレフィン糸と比較して、高いテナシティ及び高いモジュラスを有することができ、かかるASTM D2256-02を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。例えば、本マルチフィラメント糸は、約5グラム/デニール以上のテナシティを有するのがよい。一実施形態では、マルチフィラメント糸は、約7グラム/デニール以上のテナシティを有するのがよい。加うるに、本発明のマルチフィラメント糸は、例えば、約100グラム/デニール以上の高いモジュラスを有するのがよい。一実施形態では、開示した糸は、約125グラム/デニール以上、例えば、約150グラム/デニール以上、又は約200グラム/デニール以上のモジュラスを有するのがよい。
【0050】
加うるに、開示した糸は、比較的低い伸び率特性を示すのがよい。例えば、本発明のマルチフィラメント糸は、ASTM D2256-02で測定して約15%以下の伸び率を示すのがよい。別の実施形態では、糸は、約10%以下の伸び率、例えば約8%以下の伸び率を示すのがよい。
【0051】
また、本発明のマルチフィラメント糸は、他の従来公知のポリオレフィンマルチフィラメント糸と比較して独特な結晶構造を備えていると考えられる。配向ポリマー系中の分子配向を測定する広く受け入れられた幾つかの手段が存在し、これらの中でも、光又はX線の散乱吸光度測定、機械的性質分析等が挙げられる。定量的方法としては、広角X線散乱(WAXS)及び小角X線散乱(SAXS)が挙げられる。
【0052】
WAXS及びSAXS法の利用により、本発明のマルチフィラメント糸は、結晶度が高く且つ配向度が高く、ラメラ構造が殆ど無く又は全く無いことが分かる。特に、糸のフィラメントは、以下に説明するWAXS測定法に従って約80%以上の結晶度を備えることができる。例えば、図3は、本発明の方法に従って形成されたマルチフィラメント糸から引き出された単一のフィラメントのWAXS散乱パターンを示している。具体的に言えば、糸(以下実施例の項目でサンプルQとして挙げられている)を、直径が各々0.012インチの8つのオリフィスを備えた紡糸口金に通して押し出し、70℃の水浴中で急冷し、そして16.2の延伸比で延伸した。延伸した糸の最終デニールは、406グラム/9000mであった。この図を参照して理解できるように、0φが糸に平行な場合、本発明の糸の非晶質領域は、10〜30の2θであり、60〜90のφであるのがよく(図3の底に近い暗い領域)、結晶質領域は、10〜30の2θであり、−15〜15のφであるのがよい(図3の側部の明るいスポットを含む)。かくして、結晶質領域及び非晶質領域中のX線散乱強度を積算することにより、フィラメントの結晶度は、次のようにして得ることができる。
【0053】
(IX-IA)
(IX)
上式において、IXは、結晶質領域中の強度であり、IAは、非晶質領域の強度である。
【0054】
加うるに、本発明のポリオレフィン糸は、図3のWAXSピークの狭い幅によって示されているように配向度が非常に高い。
【0055】
図4は、図3に示すフィラメントのSAXSパターンを示す図である。驚くべきことに、この図に見える結晶質形態、配向及び非晶質領域に関連して期待された構造は全く無く、糸は、全く真の意味での非晶質領域を有してはいないように見え、全体が結晶質領域及び配向度の高い非晶質領域で構成されているように見える。
【0056】
従来公知の方法に従って形成されたマルチフィラメント糸のSAXSパターンは、一般に、糸の軸線中の散乱強度の明るいスポットにより示されているように、結晶質領域と非晶質領域が交互に並んだ状態になっている(これについては、例えば、エム・アーメド(M. Ahmed)著,「ポリプロピレン・ファイバーズ−サイエンス・アンド・テクノロジー(Polypropylene Fibers ? Science and Technology)」,エルセビエール・サイエンティフィック・パブリッシング・カンパニー(Elsevier Scientific Publishing Company),1982年,p.192〜203を参照されたい。なお、この非特許文献を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。)これらスポットの位置は、繰り返し状態の結晶質領域相互間の長周期間隔を得るために利用できる。図4にこれらスポットが存在しないことにより、図4の本発明の糸中の非晶質領域は、結晶質領域とほぼ同じ電子密度を有し、かくして、密な配向度の高い非晶質鎖で構成され又は全く存在していないことが分かる。非晶質強度が少なくとも15%であることを指示する図3のWAXSパターンと組み合わせると、例示のフィラメントの非晶質領域は、配向度の高い鎖から成る可能性が多分にあるということが仮定できる。
【0057】
長い赤道ストリーク(たてすじ又は縞)は、糸中に高い集中度の円筒形シシ型構造に起因し、ラメラが「カバブ」としてシシの中に又はこれらの周りに組織化されている。これらストリークは、一般に、延伸度が高い状況、例えば本発明の状況で見える。
【0058】
また、図4で理解できるように、高い延伸状況下で本発明の糸を形成するフィラメントは、ほぼゼロの子午線反射を示すと共に赤道散乱強度と子午線散乱強度の散乱比が高いが、全体的な強度により指示されるように強い密度のコントラストが残るように強い赤道散乱を示すことができる。
【0059】
一般に、本発明のマルチフィラメント糸を形成するフィラメントは、約1.0以上の赤道強度と子午線強度の比を含むSAXS特性を有するのがよい。一実施形態では、この比は、約3以上であるのがよい。開示した糸を形成するフィラメントは、一般に、約0.4〜約1.0の2θ及び約60〜約120及び約240〜約300のφから積算した赤道強度を示すことができる(ゼロのφは、糸に平行であり、又は図4に関して垂直である)。加うるに、糸は、約0.4〜1.0の2θ及び約−60〜約60及び約120〜約240のφから積算した子午線強度を示すことができる。
【0060】
本発明のマルチフィラメントポリオレフィン糸は、有利には、多くの用途に利用できる。例えば、本発明は強度が高く且つテナシティが高いので、かかる糸は、従来公知のマルチフィラメントポリオレフィン糸に適した任意の用途で利用可能な優れた品質を備えることができる。例えば、或る特定の実施形態では、本発明の糸は、有利には、マトリックス中の強化材として利用できる。例えば、一実施形態では、本発明の方法によるマルチフィラメント延伸糸の形成後、この糸を更に処理してマトリックス中の強化材として使用するのに適するようにすることができる。例えば、本発明のマルチフィラメント糸を当該技術分野において一般に知られているように細断し、フィブリル化し、平らにし又は違ったやり方で変形させるのがよい。開示した強化材を形成するためにマルチフィラメント糸を処理すると、マルチフィラメント糸を短縮、変形、研磨等をすることができるだけでなく、これに加えて、マルチフィラメント糸は、寸断又はずたずたに刻まれた状態になることができる。即ち、処理中、糸の個々のフィラメントは、開示した強化材の形成の際に互いに分離状態になることができる。
【0061】
したがって、一実施形態では、本発明は、開示した糸で形成された強化材に関する。特に、本発明の強化材は、本明細書において説明したような細断され、寸断されると共に(或いは)減成させた糸を含むのがよい。一般に、強化材は、比較的短い長さのマルチフィラメント糸及び(又は)形成されたマルチフィラメント糸をずたずたに切って得られた個々のフィラメントを含むのがよい。例えば、本発明の強化材は、一般に、長さが約5インチ(12.7cm)以下であるのがよい。一実施形態では、長さが約3インチ(7.62cm)以下、例えば、長さが約1インチ(2.54cm)以下であるのがよい。
【0062】
使用の際、本発明の強化材をマトリックス材料、例えば接着剤、アスファルト、プラスチック、ゴム又は水和可能な(水和性の)セメント系配合物と組み合わせるのがよく、かかる水和可能なセメント系配合物としては、レディーミックスコンクリート、プレキャストコンクリート、マソンリーコンクリート(masonry concrete)、ショットクリート、歴青コンクリート、石膏配合物、セメントを主成分とする耐火材料配合物等が挙げられる。
【0063】
本発明の一実施形態では、本発明の糸を必要ならば更に処理すると、2次製品を形成する際に利用でき、かかる2次製品としては、過去において従来公知のマルチフィラメントポリオレフィン糸で形成される製品が挙げられる。例えば、本発明の糸をロープや織布又は不織布を形成する際に利用でき、例えば、機械用ベルト又はホース、屋根葺きファブリック、ジオテキスタイル(地盤用シート)等に見出すことができる。特に、本発明のマルチフィラメント糸は、過去において従来公知のポリオレフィンマルチフィラメント糸に使用された任意公知の方法に従って2次製品を形成する際に使用するのに適している場合がある。しかしながら、本発明の糸の物理的特性の向上により、特に、本発明の糸のモジュラス及びテナシティが高いので、本発明の糸を利用して形成された2次製品は、従来公知のマルチフィラメントポリオレフィン糸で作られた類似の製品と比較して、向上した特性、例えば強度及びテナシティを発揮することができる。
【0064】
本発明は、以下の実施例を参照すると一層よく理解できる。(なお、以下において、1インチは、2.54cmとする。)
【0065】
実施例
糸のサンプルを図1に示したシステムと類似したシステムで形成した。具体的に言うと、このシステムは、3つの温度ゾーンを備えた3/4インチで24:1の単一スクリュ押出し機、メルトポンプ及び溶融口金を備えたヘッド、2つのローダを収納した液体急冷タンク(長さ40インチ)、真空水除去システム、スピン仕上げ剤アプリケータ、3つの加熱ゴデットロール、通風式オーブン(長さ120インチ)、及びLeesona(登録商標)巻上げ機を有していた。
【0066】
糸を形成する際に利用された材料は、Atofina(登録商標)3462、メルトフローインデックスが3.7のポリプロピレンホモポリマー、及びAtofina(登録商標)3281、メルトフローインデックスが1.3のポリプロピレンホモポリマー(両方とも、テキサス州ヒューストン所在のアトフィナ・テトロケミカルズ・インコーポレイテッド(ATOFINA Petrochemicals, Inc.)から入手できる)、濃度10%の核剤配合物、具体的には、12MFIポリプロピレンホモポリマー中に溶かしたMillad(登録商標)3988(3,4−ジメチルジベンジリジエンソルビトール)(米国ジョージア州ソーシャル・サークル所在のスタンドリッジ・カラー・コーポレイション(Standridge Color Corporation)から入手できる)、及びメルトフローインデックスが12のポリエチレンホモポリマー(テキサス州ヒューストン所在のティーディーエル・プラスチックス(TDL Plastics)社から入手できる)を含んでいた。
【0067】
以下の表1は、材料の組成(用いられたポリマー及びメルト中の滑剤の全重量%を含む)、インチで表わした溶融口金穴寸法、押し出されたフィラメントの総本数、急冷水浴の温度、延伸ロールのロール速度、全延伸比(ロール3/ロール1)、延伸オーブンの温度を含む37個の種々のサンプルの形成条件を一覧表示している。加うるに、滑剤が12MFIポリプロピレンホモポリマー中に濃度10%の滑剤を含んだ配合物の状態で提供される場合、滑剤の量を含むサンプルの材料組成も又、濃縮物からの12MFIポリプロピレンホモポリマーの量を含む。例えば、FINA3462/0.2%Milladを含むものとして挙げられたサンプルは、0.2重量%の滑剤、10%滑剤配合物を形成するのに用いられる1.8重量%の12MFIポリプロピレンホモポリマー、及び98重量%のFINA3462 3.7MFIポリプロピレンホモポリマーを含む。
【0068】
【表1】

【0069】
形成に続き、サンプルを先に本明細書に組み込んだASTM D2256-02に従って多くの物理的性質について全て試験したが、かかる物理的性質としては、デニール、フィラメント1本当たりのデニール、伸び率、テナシティ、モジュラス及び靱性が挙げられる。結果は、以下の表2に示されている。
【0070】
【表2】

【0071】
X線散乱分析
サンプルを小角X線散乱(SAXS)法により検討した。SAXSデータをアントン−パール(Anton-Paar)真空中でサンプルから105.45cmの距離のところに配置されたブルカー・エーエックスエス(Bruker AXS)(ウィスコンシン州メディソン所在)社のHi-Starマルチワイヤ検出器で収集した。X線(λ=0.154178nm)をマックサイエンス(MacScience)社の回転アノード(40kV、40mA)で発生させ、3つのピンホールに通して0.2mmのサイズに合焦させた。システム全体(発電機、検出器、ビーム経路、サンプルホルダ及びソフトウェア)は、ブルカー・エーエックスエス社から単一ユニットとして市販されている。検出器をベヘン酸銀(silver behenate)のサンプルを用いて製造業者の推奨に従って較正した。
【0072】
代表的なSAXSデータ収集は、次のようにして行なった。ポリプロピレンフィラメント束を、X線撮像機器上のアントン−パール社の真空サンプルチャンバ内でX線ビーム中に配置したホルダに巻付けた。サンプルチャンバ及びビーム経路を100ミリトル未満に排気し、サンプルを約45分間〜1時間の間、X線ビームに曝した。2次元データフレームを検出器により収集し、システムソフトウェアにより自動的に歪を除いた。
【0073】
赤道方向又は子午線方向への散乱強度分布(2θ=0.2°〜2.5°)の分析を散乱を2つの領域、即ち、約0.4〜約1.0の2θ及び約60〜約120及び約240〜約300のφから積算した赤道散乱領域と約0.4〜1.0の2θ及び約−60〜約60及び約120〜約240のφから積算した子午線散乱領域に分割することにより生データフレームから計算した。2つの領域の各々について総計を合計し、比を計算して以下の表3に各サンプルについて一覧表示した。
【0074】
【表3】

【0075】
表3を参照して理解できるように、本発明の材料は、幾つかの場合において、子午線散乱と赤道散乱の両方に関しSAXS散乱プロフィールを生じさせることができるが、子午線散乱は、非常に特徴的な強い赤道散乱と比較して低く、それにより、赤道散乱と子午線散乱の高い比が生じる。この場合、少なくとも、赤道方向に強い散乱ウイングが存在することにより、マルチフィラメント糸に見られる高いテナシティ及び高いモジュラスの特性を与える所望の結晶構造が得られる。
【0076】
例示目的で与えられた上記実施例は、本発明の範囲を限定するものと理解されるべきでないことは理解されよう。本発明のほんの僅かな例示の実施形態を上記において詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の新規な教示及び利点からそれほど逸脱しないで、例示の実施形態に関して多くの改造例を想到できることは容易に理解されよう。したがって、かかる全ての改造例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲全体に含まれる物である。さらに、幾つかの実施形態の利点の全てを達成することはない多くの実施形態を想到できるが、特定の実施形態が得られないことによって、かかる実施形態が本発明の範囲から外れていることを必然的に意味するものとして解釈されるべきでないことは認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の方法の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に従って形成された単一フィラメントのダイスエルを示す図である。
【図3】本明細書により開示された方法の一実施形態に従って形成されたマルチフィラメント糸から引き出されたポリプロピレンフィラメントのWAXS散乱パターンを示す図である。
【図4】図3のポリプロピレンフィラメントのSAXS散乱パターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリオレフィンを含む溶融ポリマー配合物を形成するステップと、
前記溶融ポリマー配合物を多数のオリフィスに通して押し出して前記ポリマー配合物の多数本のフィラメントを形成するステップと、
前記フィラメントを液浴中で急冷するステップと、
前記フィラメントを集めてマルチフィラメント繊維束を形成するステップと、
前記マルチフィラメント繊維束を約6よりも大きな延伸比で延伸して延伸マルチフィラメント糸を形成するステップとを有し、前記マルチフィラメント繊維束は、加熱されながら延伸され、熱源は、約80℃〜約170℃の温度状態にある、方法。
【請求項2】
前記ポリオレフィンは、コポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー配合物は、少なくとも2種類のポリオレフィンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ポリプロピレンは、約0.2〜約50のメルトフローインデックスを有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー配合物は、核剤を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記核剤は、ジベンジリデンソルビトール核剤である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記核剤は、前記ポリマー配合物の重量を基準として約1%以下の量で前記ポリマー配合物中に存在している、請求項6記載の方法。
【請求項9】
各オリフィスは、約0.002インチ(0.05mm)〜約0.050インチ(1.27mm)の最大断面寸法を備えている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記フィラメントは、毎分約1m〜毎分約25mの速度で押し出される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記液浴は、加熱されている、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記液浴は、約50℃〜約130℃の温度まで加熱されている、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記押出しフィラメントは各々、前記オリフィスに隣接してダイスエルを生じ、前記液浴の表面は、前記ダイスエルの距離の範囲内に位置する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記フィラメントを前記液浴中で急冷する前に、前記フィラメントをガスシュラウド中に通すステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
滑剤を前記繊維束に塗布するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記繊維束は、約80℃〜約170℃の温度まで加熱されたオーブン内で延伸される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記繊維束は、約80℃〜約170℃の温度まで加熱された加熱状態の延伸ロールを用いて延伸される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記延伸比は、約6〜約25である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記延伸比は、約10よりも大きい、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記延伸されたマルチフィラメント糸をもう1度延伸するステップを更に有し、2度目の延伸比は、1度目の延伸比よりも小さい、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記延伸されたマルチフィラメント糸をヒートセットするステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
単一のオリフィスの前記最大断面寸法と前記オリフィスから押し出された単一の延伸フィラメントの最大断面寸法の比は、約1〜約10である、請求項1記載の方法。
【請求項23】
単一のオリフィスの前記最大断面寸法と前記オリフィスから押し出された単一の延伸フィラメントの最大断面寸法の比は、約3〜約8である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記延伸されたマルチフィラメント糸を約5インチ(12.7cm)以下の長さに細断してマトリックス材料の強化材を形成するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記延伸されたマルチフィラメントヤーンを変形させ、研磨し、又は寸断するステップを更に有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記マトリックス材料は、接着剤と、アスファルトと、プラスチックと、ゴムと、水和可能なセメント系配合物とから成る群から選択される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記延伸されたマルチフィラメント糸から成る2次製品を形成するステップを更に有し、前記2次製品は、ロープと、織布と、不織布とから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項28】
マルチフィラメント糸を形成する方法であって、
約2〜約50のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンを含む溶融ポリマー配合物を形成するステップと、
前記溶融ポリマー配合物を毎分約1m〜毎分約25mの速度で多数のオリフィス中に通して押し出して前記ポリマー配合物の多数本のフィラメントを形成するステップと、
前記フィラメントを液浴中で急冷するステップと、
前記フィラメントを集めてマルチフィラメント繊維束を形成するステップと、
滑剤を前記繊維束に塗布するステップと、
前記マルチフィラメント繊維束を約6よりも大きな延伸比で延伸して延伸マルチフィラメント糸を形成するステップとを有し、前記マルチフィラメント繊維束は、加熱されながら延伸され、熱源は、約80℃〜約170℃の温度状態にある、方法。
【請求項29】
各オリフィスは、約0.002インチ(0.05mm)〜約0.050インチ(1.27mm)の最大断面寸法を備えている、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記液浴は、加熱されている、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記液浴は、約50℃〜約130℃の温度まで加熱されている、請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記繊維束は、約80℃〜約170℃の温度まで加熱されたオーブン内で延伸される、請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記繊維束は、約80℃〜約170℃の温度まで加熱された加熱状態の延伸ロールを用いて延伸される、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記ポリマー配合物は、核剤を更に含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記核剤は、前記ポリマー配合物の重量を基準として約1%以下の量で前記ポリマー配合物中に存在している、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記核剤は、ジベンジリデンソルビトール核剤である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
単一のオリフィスの前記最大断面寸法と前記オリフィスから押し出された単一の延伸フィラメントの最大断面寸法の比は、約1〜約10である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
単一のオリフィスの前記最大断面寸法と前記オリフィスから押し出された単一の延伸フィラメントの最大断面寸法の比は、約3〜約8である、請求項28記載の方法。
【請求項39】
少なくとも3つのフィラメントから成るマルチフィラメント糸であって、各フィラメントは、ポリオレフィンから成り、各フィラメントは約300グラム/9000メートル未満のデニールを有し、前記マルチフィラメント糸は、約6よりも大きな延伸比で延伸され、約40グラム/デニール以上のモジュラスを有する、マルチフィラメント糸。
【請求項40】
前記糸は、約5グラム/デニール以上のテナシティを有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項41】
各フィラメントは、約0.5グラム/9000メートル〜100グラム/9000メートルのデニールを有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項42】
前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項43】
前記糸は、約100グラム/デニール以上のモジュラスを有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項44】
前記糸は、約150グラム/デニール以上のモジュラスを有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項45】
前記糸は、約7グラム/デニール以上のテナシティを有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項46】
前記糸は、約10%以下の伸び率を示す、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項47】
前記フィラメントのうちの少なくとも1本は、WAXS測定法によれば約80%以上の結晶度を有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項48】
前記フィラメントのうちの少なくとも1本は、SAXS測定法によれば約1.0以上の赤道強度と子午線強度の比を有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項49】
前記フィラメントのうちの少なくとも1本は、SAXS測定法によれば約3.0以上の赤道強度と子午線強度の比を有する、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項50】
前記糸は、核剤を更に含む、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項51】
前記核剤は、ジベンジリデンソルビトール核剤である、請求項50記載のマルチフィラメント糸。
【請求項52】
前記糸は、ロープと、織布と、不織布とから成る群から選択される2次製品中に含まれる、請求項39記載のマルチフィラメント糸。
【請求項53】
約5インチ(12.7cm)以下の長さの糸から成る強化材であって、前記糸は、少なくとも3本のフィラメントから成り、各フィラメントは、ポリオレフィンから成り、各フィラメントは、約300グラム/9000メートル以下のデニールを有し、前記糸は、約6以上の延伸比で延伸され、前記糸は、約40グラム/デニール以上のモジュラスを有し、前記強化材は、マトリックス材料を強化するためのものである、強化材。
【請求項54】
前記糸は、減成させてある、請求項53記載の強化材。
【請求項55】
前記糸は、変形させてある、請求項53記載の強化材。
【請求項56】
前記糸は、長さが約3インチ(7.62cm)以下である、請求項53記載の強化材。
【請求項57】
前記糸は、長さが約1インチ(2.54cm)以下である、請求項53記載の強化材。
【請求項58】
前記強化材は、水和可能なセメント系配合物を強化するためのものである、請求項53記載の強化材。
【請求項59】
前記糸は、約5グラム/デニール以上のテナシティを有する、請求項53記載の強化材。
【請求項60】
前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、請求項53記載の強化材。
【請求項61】
前記糸は、約100グラム/デニール以上のモジュラスを有する、請求項53記載の強化材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−519180(P2008−519180A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540379(P2007−540379)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/039540
【国際公開番号】WO2006/052559
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507146784)インナグリティー リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】