説明

溶解性が増加した非晶質タクロリムス固体分散体及びこれを含む医薬組成物

高い熱力学的安定性と溶解性を有する。タクロリムス、置換シクロデキストリン誘導体、及び有機酸を含む、非晶性のタクロリムス固体分散体は高い放出性と生適合性を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクロリムス、置換されたシクロデキストリン誘導体、及び有機酸を含み、タクロリムスの優れた生体利用率を示す、非晶質タクロリムス固体分散体及びこれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(I)のタクロリムス(またはFK−506;(−)−(1R,9S,13R,14S,17R,18E,21S,23S,24R,25S,27R)−17-アリル−1,14−ジヒドロキシ−12−[(E)−2−[(1R,3R,4R)−4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル1−11,28−ジオキサ−4−アザトリシクロ[22.3.1.04.9]オクタコス−18−エン−2,3,10,16−テトロン水和物[104987−11−3])は田中及び黒田らによって発見されたマイクロライド系免疫抑制剤である(J.Am.Chem.Soc.,109:5031(1987)及び米国特許第4,894,366号参照):
【化1】

【0003】
現在、タクロリムスは、臓器移植拒絶反応の抑制を目的として米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)からプログラフカプセル(Prograf(登録商標) capsule, 藤沢薬品工業(株)製, 日本国)として承認され、その他にもアトピー性皮膚炎の治療のための軟膏剤としてプロトピック(Protopic(登録商標))としても承認された。また、タクロリムスと関連する化合物は、アレルギー性脳脊髄炎、膠原性関節炎、喘息のような閉塞性気管支炎、男性型脱毛症、糖尿疾患、後部ブドウ膜炎のような眼疾患、肝臓の損傷による局所的貧血、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、多剤耐性、粘膜及び血管の炎症、サイトメガロウイルス感染、特発性血小板減少性紫斑病、及び甲状腺機能亢進症などの治療にも有用であると知られている。
【0004】
タクロリムスは、白色結晶または結晶性粉末であり、無水エタノールのような有機溶媒に溶けやすいが、水に対しては不溶性である。従って、水不溶性のタクロリムスは、経口投与の際、生体利用率が低いという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、韓国特許公開第1987−10073号は、有機溶媒に溶解させた水不溶性のタクロリムスに水溶性高分子を加えた後、必要に応じて賦形剤及び崩壊剤などのような添加剤を懸濁させて均質な懸濁液を得、通常の方法により有機溶媒を除去してタクロリムス及び水溶性高分子を含む固体分散組成物を製造する段階を含む、市販のプログラフカプセルの製造方法を開示した。
【0006】
そこで、本発明者らは置換されたシクロデキストリン誘導体及び有機酸と共にタクロリムスを噴霧乾燥して製造されたタクロリムスの固体分散体がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む既存のタクロリムス製剤より活性成分の安定性及び溶解度に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,894,366号
【特許文献2】韓国特許公開第1987−10073号
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,109:5031(1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、既存のタクロリムス製剤より高い水溶性及び生体利用率が有するタクロリムス固体分散体及びその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、前記タクロリムス固体分散体を含む経口投与用の医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、タクロリムス、式(II)の置換されたα−、β−またはγ−シクロデキストリン誘導体、及び有機酸を含む非晶質タクロリムス固体分散体を提供する。
【化2】

(式中、
nは6〜8の整数であり、
Rはヒドロキシ、カルボキシまたはカルボキシC1−4アルコキシで置換または非置換されたC1−6アルキル、またはスルホC1−4アルコキシである。)
前記他の目的を達成するために、本発明は、界面活性剤、水溶性重合体または薬剤学的に許容される添加剤をさらに含む前記固体分散体を提供する。
【0010】
次に、本発明によるタクロリムスを含む固体分散体の各構成成分を説明する。
(1)置換されたシクロデキストリン誘導体
本発明で用いられる式(II)の置換されたシクロデキストリン誘導体は、高い水溶性及び生体利用率を有する非晶質固体分散体の形成に用いられる必須成分である。前記置換されたシクロデキストリン誘導体の代表的な例としては2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン 、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2,6−ジメチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリン、(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン及び2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンなどが挙げられ、特に2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2,6−ジメチル−β−シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリンがより好ましい。前記置換されたシクロデキストリン誘導体は単独でまたはこれらの混合物の形態で用いられ得る。
【化3】

(式中、
nは6〜8の整数であり、
Rはヒドロキシ、カルボキシまたはカルボキシC1−4アルコキシで置換または非置換されたC1−6アルキル、またはスルホC1−4アルコキシである。)
【0011】
(2)有機酸
本発明で用いられる有機酸は、本発明の固体分散体の製剤に、タクロリムスを安定化するために用いられる通常の薬剤学的に許容される有機酸のいずれかであってよい。前記有機酸の代表的な例としては、エリソルビン酸 、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジメチルトリアミンペンタ酢酸、ピルビン酸、マロン酸、ミリスチン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸 、エタンスルホン酸、p−アミノ安息香酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、エデト酸 、ソルビン酸、アジピン酸、グルコン酸、アミノカプロン酸、グリシルリジン酸、イソステアリン酸 、ドデシルベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、酪酸、パルミチン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ギ酸、プロピオン酸、タンニン酸、パントテン酸、アスパラギン酸、アミノ酢酸、DL−a−アミノプロピオン酸及びこれらの混合物などが挙げられ、特にエリソルビン酸及びクエン酸が好ましい。
【0012】
(3)添加剤
本発明では、固体分散体の流動性及び物性を向上させるために、薬剤学的に許容される界面活性剤、水溶性高分子、賦形剤、滑沢剤などのような添加剤が用いられ得、これらの例は次の通りである。
【0013】
i)界面活性剤
(イ) ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル類:
モノラウリン酸またはトリラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸またはオレイン酸エステル(Tween(登録商標)、Uniquema社製)、
(ロ) ソルビタン脂肪酸エステル類:
ソルビタンモノラウリル酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、またはソルビタンモノステアリン酸エステル(Span(登録商標)、Uniquema社製)、
(ハ) ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(ポロキサマー類)、
(ニ) 天然または水素化植物油とエチレングリコールとの反応生成物:
ポリオキシエチレングリコール化された天然または水素化されたヒマシ油(Cremophor(登録商標)、BASF社製)、
(ホ) ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類:
ポリオキシエチレンステアリン酸エステル(Myrj(登録商標)、Uniquema社製)
(ヘ) ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、及び
(ト) グリセロールモノエステル、ジエステル及びトリエステルの混合物、ポリエチレングリコールのモノエステル及びジエステルまたはポリエチレングリコール(Gelucire(登録商標)、Gattefosse)
上述した界面活性剤のうち、特にポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセロールのモノエステル、ジエステル及びトリエステルの混合物、ポリエチレングリコールのモノエステル及びジエステル、ポリエチレングリコール、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウムが好ましく、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体がより好ましい。
【0014】
ii)水溶性高分子
本発明では、固体分散体の流動性及びその他の物性を向上させるために、少なくとも一つの水溶性高分子を任意に添加でき、その代表的な例としては、メチルセルロースのようなアルキルセルロース;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースのようなカルボキシアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩;カルボキシメチルエチルセルロースのようなカルボキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;でんぷん;カルボキシメチルアミロペクチンナトリウムのようなペクチン;キトサンのようなキチン誘導体;アルギン酸、そのアルカリ金属及びアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアゴム、グアーガム及びキサンタンガムのような多糖類;ポリアクリル酸及びその塩;ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリレート共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体;ポリビニルアセタール、及びジエチルアミノアセテート;ジステアリン酸スクロース、モノ/ジステアリン酸スクロース及びモノペルミチン酸スクロースのような糖質系界面活性剤;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体;ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのようなポリアルキレンオキシド;及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれることができる。
上述した水溶性高分子のうち、特にアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース及びポリビニルピロリドンなどが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンなどがより好ましい。
【0015】
iii)賦形剤及び滑沢剤
本発明では、固体分散体を含む経口投与用組成物の製造の際に、固体分散体の流動性及びその他の物性を向上させるために、少なくとも一つの薬剤学的に許容可能な賦形剤を任意に添加することができる。前記薬剤学的に許容可能な賦形剤としては、乳糖、でんぷん、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム、重炭酸カルシウム及び結晶セルロースからなる群から選ばれることができ、また、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム及びタルクのような滑沢剤も用いられ得る。
【0016】
本発明の非晶質タクロリムス固体分散体の製造の際に、薬理学的活性成分であるタクロリムス、置換されたシクロデキストリン誘導体及び有機酸は1:0.1〜20:0.1〜10の重量比、もしくは、1:0.1〜10:0.1〜5の重量比で用いられる。界面活性剤、賦形剤、滑沢剤などの添加剤は、タクロリムス1重量部に対して20重量部以下の量で用いることができる。また、下記実施例で記述する本発明の組成物をその好ましい例として挙げることができる。
【0017】
本発明の非晶質タクロリムス固体分散体は、DSC(differential scanning calorim
eter)上で吸熱ピークを殆ど示さないだけでなく、粉末X線回折スペクトルにおいて結晶性回折ピークを示さないため、本発明の固体分散体に含まれたタクロリムスは安定した非晶質であることが分かる。
【0018】
本発明の固体分散体は(1)置換されたシクロデキストリン誘導体及び有機酸を有機溶媒に溶解または分散させる段階、(2)タクロリムスを有機溶媒に溶解させる段階、及び(3)前記段階で得られた分散液及び溶液を混合した後、これから溶媒を除去する段階を含む方法によって製造され得る。
前記製法において、必要に応じて前記段階(1)の溶液に一つ以上の薬剤学的に許容される界面活性剤などの添加剤をさらに溶解または分散させることができる。また、前記段階(2)の有機溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルムまたは適切な有機溶媒のいずれかを用いることができる。前記段階(3)では、噴霧乾燥法、ローラー乾燥法、溶媒沈殿法または凍結乾燥法などを用いて溶媒を除去することにより、非晶質タクロリムス固体分散体を得る。
また、本発明では、薬剤学的に許容される担体、賦形剤及び添加剤などと共に前記固体分散体を含むタクロリムスの経口投与用医薬組成物を提供する。この組成物は、通常の方法によって粉末、顆粒、錠剤、軟カプセル剤または硬カプセル剤、丸薬、及びコーティング製剤などに剤形化することができる。例えば、固体分散体に滑沢剤または他の医薬品添加物などを加え、粉末または顆粒の形態で軟カプセルに充填するか、打錠に必要な医薬品添加物を加えて錠剤に打錠し、必要に応じて通常的なコーティング方法によってコーティング製剤を製造することもできる。
本発明の製剤は通常の投与量で1日1回または数回経口投与することができる。
【発明の効果】
【0019】
タクロリムス、置換されたシクロデキストリン誘導体、及び有機酸を含む本発明の非晶質タクロリムス固体分散体は熱や水分などの影響を殆ど受けないため、高い熱力学的安定性、及び溶解度を有することにより溶出率及び生体利用率に優れているという長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するだけであり、本発明を制限しない。
【実施例】
【0021】
実施例:タクロリムス固体分散体の製造
実施例1
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン (Aldrich社製,米国)400mg、クエン酸20mg及びポロキサマー188(Lutrol F68(登録商標), BASF社製)20mgをジクロロメタンとエタノールとの混合液に加え、溶液が透明になるまで攪拌した後、乳糖400mgを加えて均質に分散させた。エタノールに溶解されたタクロリムス100mgを前記分散液と混合した後、これを入口温度及び出口温度をそれぞれ60℃及び45〜50℃に保たれた噴霧乾燥器(Mini Spray Dryer B−191, Buchi社製,スイス)を用いて、噴霧乾燥させて下記表1の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0022】
実施例2
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン200mgを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表1の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0023】
実施例3
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン800mgを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表1の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【表1】

【0024】
実施例4
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの代わりに2,6−ジメチル−β−シクロデキストリン(CAVASOL(登録商標) W7 M Pharma,WACKER社製)を用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表2の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0025】
実施例5
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの代わりにスルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標),WACKER社製)を用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表2の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0026】
実施例6
有機酸としてクエン酸の代わりにエリソルビン酸を用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表2の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【表2】

【0027】
実施例7
界面活性剤としてポロキサマー188の代わりにMyrj52S(登録商標)(Uniqema社製)を用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表3の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0028】
実施例8
界面活性剤としてポロキサマー188の代わりにラウリル硫酸ナトリウムを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表3の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0029】
実施例9
界面活性剤としてポロキサマー188の代わりにソルトールを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表3の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【表3】

【0030】
実施例10
医薬品添加物として乳糖の代わりにでんぷんを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表4の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0031】
実施例11
医薬品添加物として乳糖の代わりにマルトデキストリンを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表4の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0032】
実施例12
医薬品添加物として乳糖の代わりに微結晶性セルロースを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表4の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【表4】

【0033】
実施例13
ポロキサマー188を用いないことを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表5の組成を有する固体分散体を製造した。
【0034】
実施例14
乳糖を用いないことを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表5の組成を有する固体分散体を製造した。
【0035】
実施例15
ポロキサマー188及び乳糖を用いないことを除いては、実施例1と同様な方法によって表5の組成を有する固体分散体を製造した。
【表5】

【0036】
実施例16
クエン酸10mgを用いることを除いては、実施例8と同様な方法によって下記表6の組成を有する固体分散体を製造した。
【0037】
実施例17
クエン酸50mgを用いることを除いては、実施例8と同様な方法によって下記表6の組成を有する固体分散体を製造した。
【0038】
実施例18
クエン酸100mgを用いることを除いては、実施例8と同様な方法によって下記表6の組成を有する固体分散体を製造した。
【表6】

【0039】
実施例19
乳糖800mgを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表7の組成を有する固体分散体を製造した。
【0040】
実施例20
乳糖1,500mgを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表7の組成を有する固体分散体を製造した。
【0041】
実施例21
乳糖2,000mgを用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表7の組成を有する固体分散体を製造した。
【表7】

【0042】
実施例22
有機酸としてクエン酸及びエリソルビン酸をそれぞれ10mgずつ用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表8の組成を有する固体分散体を製造した。
【0043】
実施例23
医薬品添加物として乳糖及び微結晶性セルロースをそれぞれ200mgずつ用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表8の組成を有する固体分散体を製造した。
【0044】
実施例24
界面活性剤としてポロキサマー188及びラウリル硫酸ナトリウムをそれぞれ10mgずつ用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表8の組成を有する固体分散体を製造した。
【表8】

【0045】
実施例25
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びスルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリンをそれぞれ200mgずつ用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表9の組成を有する固体分散体を製造した。
【0046】
実施例26
乳糖及び水溶性高分子としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース2910をそれぞれ200mgずつ用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表9の組成を有する固体分散体を製造した。
【0047】
実施例27
乳糖及び水溶性高分子としてのポリビニルピロリドンをそれぞれ200mgずつ用いることを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表9の組成を有する固体分散体を製造した。
【表9】

【0048】
比較例1
前記実施例1と同一な組成(表10)を噴霧乾燥せず、単純に混合して混合物を製造した。
【0049】
比較例2
2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを用いないことを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表10の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【0050】
比較例3
クエン酸を用いないことを除いては、実施例1と同様な方法によって下記表10の組成を有するタクロリムス固体分散体を製造した。
【表10】

【0051】
製剤例
カプセル剤の製造
製剤例1
実施例1の固体分散体940mg(タクロリムス含量:100mg)、乳糖5,495mg及びステアリン酸マグネシウム65mgを均質に混合した後、タクロリムス1mgに当たる量を5号サイズのゼラチンカプセルに充填して下記表11の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0052】
製剤例2
実施例3の固体分散体1,340mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖5,095mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表11の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0053】
製剤例3
実施例5の固体分散体940mg(タクロリムス含量:100mg)を用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表11の組成を有するカプセル剤を製造した。
【表11】

【0054】
製剤例4
実施例6の固体分散体940mg(タクロリムス含量:100mg)を用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表12の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0055】
製剤例5
実施例8の固体分散体940mg(タクロリムス含量:100mg)を用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表12の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0056】
製剤例6
実施例11の固体分散体940mg(タクロリムス含量:100mg)を用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表12の組成を有するカプセル剤を製造した。
【表12】

【0057】
製剤例7
実施例13の固体分散体920mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖5,515mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表13の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0058】
製剤例8
実施例14の固体分散体540mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖5,895mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表13の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0059】
製剤例9
実施例15の固体分散体520mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖5,915mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表13の組成を有するカプセル剤を製造した。
【表13】

【0060】
製剤例10
実施例15の固体分散体320mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖6,115mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表14の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0061】
製剤例11
医薬品添加物として乳糖の代りに微結晶性セルロースを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表14の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0062】
製剤例12
医薬品添加物として乳糖5,195mg及びクロスカルメロースナトリウム300mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表14の組成を有するカプセル剤を製造した。
【表14】

【0063】
製剤例13
乳糖4,845mg及び水溶性高分子としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース650mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表15の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0064】
製剤例14
医薬品添加物として乳糖4,845mg及びクロスポビドン650mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表15の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0065】
製剤例15
乳糖の代わりにリン酸カルシウム4,845mg及びクロスポビドン650mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表15の組成を有するカプセル剤を製造した。
【表15】

【0066】
比較製剤例
比較製剤例1
比較例1の混合物940mg(タクロリムス含量:100mg)を用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表16の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0067】
比較製剤例2
比較例2の固体分散体540mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖5,895mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表16の組成を有するカプセル剤を製造した。
【0068】
比較製剤例3
比較例3の固体分散体920mg(タクロリムス含量:100mg)及び乳糖5,515mgを用いることを除いては、製剤例1と同様な方法によって下記表16の組成を有するカプセル剤を製造した。
【表16】

【0069】
試験例
試験例1
熱力学的安定性試験
製剤の熱力学的安定性を測定するために、比較例1の混合物、実施例1の固体分散体、及び結晶性タクロリムスを用いて、DSC上で吸熱ピークの変化を観察した。吸熱ピークを示す温度を下記表17に、DSCの結果は図1に示す。
【表17】

前記表17及び図1に示すように、本発明のタクロリムス固体分散体はDSC上で吸熱ピークを示さないので、観察した温度範囲において安定した非晶質形態であることが分かる。
【0070】
試験例2
粉末X線回折分析
結晶性タクロリムス、比較例1の混合物及び実施例1の固体分散体の粉末X線回折パターンをM18XHF−SRA(Macscience社製, 日本国)を用いて、Cu X線、40kV、300mAの条件下で測定し、その結果を図2に示す。
図2に示すように、本発明の固体分散体のタクロリムスは噴霧乾燥過程を通じて非晶質及び熱力学的に安定した形態であることが分かる。
【0071】
試験例3
溶解度試験
対照製剤としてのプログラフカプセル、製剤例1、9及び11の製剤、及び比較製剤1及び2の製剤を用いて溶解度試験を行ったが、ここでタクロリムス量が約5mgに相当する量の製剤を採取して蒸留水10mlに溶かした後、25℃水槽に放置した。それぞれ1、3、6、15及び24時間後に検液を採取し、各検液におけるタクロリムスの量を下記条件によって測定した。
[分析法:液体クロマトグラフィー]
カラム−TSK gel ODS 80 TM カラム(150mm×4.6mm、5μm)、
移動相−水:イソプロパノール:テトラヒドロフラン=5:2:2(v/v/v)、
注入量−20μl、
流速−タクロリムスの保持時間が約10分になるように調節、
カラム温度:50℃、及び
検出器−220nm。
【0072】
その結果を図3に示す。図3に示すように、本発明のタクロリムス固体分散体は、比較製剤例1の単純混合物より顕著に優れた溶解度を示した。また、シクロデキストリン誘導体を用いた固体分散体を含む製剤が25℃水槽に24時間放置された場合、比較製剤例2または対照製剤に比べて15時間に亘って高い溶解度を維持した。従って、置換されたシクロデキストリン誘導体の使用が水溶液中で薬物の結晶化を抑制し、非晶質及び生体利用可能な形態が長期間維持されることが分かる。
【0073】
試験例4
生体外(in vitro)溶出試験
対照製剤であるプログラフカプセル(1mg、フジサワアイルランド(Fujisawa island)社製)と、製剤例1及び比較製剤例1の製剤を用いて大韓薬典の溶出試験法(パドル式)によって溶出試験を行い、下記の条件下で溶解度パターンを分析した。
【0074】
[溶出試験法]
溶出試験装置:Erweka DT 80、
溶出液:減圧下で10分間脱気した蒸留水、900ml、
溶出液の温度:37±0.5℃、
回転速度:100rpm、及び
試料量:各シンカー当り1カプセル。
【0075】
[分析法:液体クロマトグラフィー]
カラム−Inertsil CN−3(150mm×4.6mm、5μm)、
移動相−水:アセトニトリル:イソプロパノール=7:2:1(v/v/v)
注入量−300μl、
流速−0.5ml/分、
カラム温度−50℃、及び、
検出器−210nm。
【0076】
その結果を図4に示す。その結果、図4に示すように、本発明の非晶質タクロリムス固体分散体を含む製剤(製剤例1)は、対照製剤と同等な溶出率を示したが、タクロリムスをその他の組成と単純に混合した製剤(比較製剤例1)より顕著に高い溶出率を示した。
【0077】
試験例5
安定性試験
対照製剤としてプログラフカプセル(フジサワアイルランド社製(Fujisawa island))1mgと製剤例1及び比較製剤例3で製造された製剤を60℃で促進老化試験条件下で保存した後、生成された不純物及び互変異性体の経時的な量を下記条件を用いるHPLCによって分析した。
【0078】
カラム−Supelcosil LC−Diol(250mm×4mm、5μm)、
2つを縦方向に連結、
移動相−n−ヘキサン:n−塩化ブチル:アセトニトリル=
7:2:1(v/v/v)、
注入量−20μl、
流速−タクロリムスの保持時間が約15分になるように調節、
カラム温度−25℃、及び
検出器−225nm。
【0079】
その結果を下記表18に示す。
【表18】

【0080】
前記表18に示すように、置換されたシクロデキストリン誘導体及び有機酸を含む本発明の製剤(製剤例1)のタクロリムスは対照製剤または比較製剤例3の製剤に比べて過酷な促進老化条件下で非常に安定しており、互変異性体または不純物の生成に対する抵抗性を有することが分かる。
【0081】
試験例6
生体内(in vivo)吸収試験
経口投与された本発明の化合物の生体利用率を調べるために、製剤例1及び比較製剤例1の製剤と、対照製剤とを用いて生体内吸収試験を行った。
雄性Sprague−Dawleyラット(体重250g、14〜15週齢)を検体当りにそれぞれ5匹ずつ用い、ラットに飲食を自由に摂取させながら、4日以上飼育した。その後、ラットに水を自由に摂取させながら、48時間絶食させた。
ラットにラット体重1kg当り10mgタクロリムスに該当する量の試験製剤または対照製剤を水と共に経口投与した。投与前、投与後、0.5、1、1.5、2、3、4、5、7及び24時間が経過した時に、それぞれ採血した。
【0082】
各血液200μlに0.2M ZnSOとMeOHとの混合液(2:8(v/v))400μlを加えて混合した後、振盪した。この混合液を12,000rpmで30秒間遠心分離し、上澄液を取って0.22μmフィルタでろ過した後、次の条件下でLC−MSを用いて分析した。
【0083】
カラム:Waters MS C18(150mm×2.1mm、ガードカラム付き)、
移動相:濃度勾配(65%MeOH→95%MeOH)、
注入容量:30μl、
流速:0.3ml/分、及び
検出:SIR mode m/z:826.7(Na adduct)。
【0084】
その結果を下記表19及び図5に示す。
【表19】

【0085】
前記表19及び図5に示したように、本発明によって製造された製剤が対照製剤であるプログラフカプセルに比べて高い生体利用率を示した。従って、本発明では置換されたシクロデキストリン誘導体及び有機酸の混合使用によって従来の技術では達成できなかった優れた効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】結晶性タクロリムス(1)、実施例1の固体分散体(2)及び比較例2の混合物(3)のDSC(differential scanning calorimeter)のサーモグラム(thermogram)である。
【図2】実施例1の固体分散体(1)、結晶性タクロリムス(2)及び比較例2の混合物(3)の粉末X線回折分析結果を示す図である。
【図3】プログラフカプセル(対照製剤)、及び製剤例1、9及び11、並びに比較製剤例1及び2で製造されたカプセル剤の飽和溶解度の試験結果を示す図である。
【図4】プログラフカプセル(対照製剤)、製剤例1、及び比較製剤例1で製造されたカプセル剤の試験管内の溶出試験結果を示す図である。
【図5】プログラフカプセル(対照製剤)、製剤例1及び比較製剤例1で製造されたカプセルの経口投与時における生体内利用率を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクロリムス、下記式(II)の置換されたα−、β−またはγ−シクロデキストリン誘導体、及び有機酸を含む非晶質タクロリムス固体分散体:
【化1】

(式中、
nは6〜8の整数であり、
Rはヒドロキシ、カルボキシまたはカルボキシC1−4アルコキシで置換または非置換されたC1−6アルキル、またはスルホC1−4アルコキシである。)
【請求項2】
前記タクロリムス、置換されたシクロデキストリン誘導体、及び有機酸が1:0.1〜20:0.1〜10の重量比で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項3】
界面活性剤、水溶性高分子または薬剤学的に許容される添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項4】
前記置換されたシクロデキストリン誘導体が、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2,6−ジメチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリン、(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、及び2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項5】
前記置換されたシクロデキストリン誘導体が、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2,6−ジメチル−β−シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリンからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項6】
前記有機酸が、エリソルビン酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ジメチルトリアミンペンタ酢酸、ピルビン酸、マロン酸、ミリスチン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−アミノ安息香酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、エデト酸、ソルビン酸、アジピン酸、グルコン酸、アミノカプロン酸、グリシルリジン酸、イソステアリン酸 、ドデシルベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、酪酸、パルミチン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ギ酸、プロピオン酸、タンニン酸、パントテン酸、アスパラギン酸、アミノ酢酸、DL−a−アミノプロピオン酸及びこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項7】
前記有機酸が、エリソルビン酸またはクエン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体;天然または水素化植物油とエチレングリコールとの反応生成物;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;グリセロールのモノエステル、ジエステル及びトリエステルの混合物;ポリエチレングリコールのモノエステル及びジエステル;及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項9】
前記水溶性高分子が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース及びそのアルカリ金属塩、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、でんぷん、ペクチン、キチン誘導体、多糖類、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリレート共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリビニルアセタール、ジエチルアミノアセテート、糖質系界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、ポリアルキレンオキシド、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の非晶質タクロリムス固体分散体。
【請求項10】
請求項1記載の非晶質タクロリムス固体分散体、界面活性剤、水溶性高分子及び薬剤学
的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項11】
(1)置換されたシクロデキストリン誘導体及び有機酸を有機溶媒に溶解または分散させる段階;
(2)タクロリムスを有機溶媒に溶解させる段階;及び
(3)前記段階で得られた分散液及び溶液を混合した後、これを噴霧乾燥して溶媒を除去する段階を含む、請求項1記載の非晶質タクロリムス固体分散体の製造方法。
【請求項12】
前記段階(2)の有機溶媒がエタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム及びこれらの混合溶媒からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項11記載の非晶質タクロリムス固体分散体の製造方法。
【請求項13】
前記段階(1)の溶液に界面活性剤、水溶性高分子または薬剤学的に許容される添加剤をさらに添加することを特徴とする、請求項11記載の非晶質タクロリムス固体分散体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−529999(P2008−529999A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554013(P2007−554013)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000397
【国際公開番号】WO2006/083130
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(599139534)ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー. (56)
【Fターム(参考)】