説明

滑水性物品及び製法

【課題】短鎖フルオロアルキルシランを用いる処理剤を用いて得られる滑水性物品の耐アルカリ性を向上させること
【解決手段】少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(-Si(CH)O-)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が4〜6であるフルオロアルキルシラン、有機溶媒、酸、水を有する処理剤であり、該処理剤の総量に対し、加水分解反応前においてPDMSが0.2〜3.0質量%、フルオロアルキルシランが0.4〜2.5質量%、PDMSとフルオロアルキルシランの総量が0.7〜4.5質量%、PDMSとフルオロアルキルシランの質量比が7.5:1〜1:12.5である処理剤を物品表面に塗布する工程と該物品を50〜250℃で加熱する工程を経て、ジメチルシロキサンユニットとフルオロカーボンユニットを基材表面に露出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な水滴の滑落性を有する滑水性物品とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1や非特許文献1で開示してきたようにガラス等の基材に良好な滑水性を呈することができる処理剤を提供してきた。また、この処理剤で得られた滑水性物品は、滑水性が良好なだけでなく、水垢や油膜などが付着し難く汚れ除去に優れたものであった。
【特許文献1】特開2006-144019号公報
【非特許文献1】製品カタログ 「ナノハイブリッド 美滑水コート」 <www.yof-linda.co.jp/semi/car/glass/07.pdf>2009年5月15日検索
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、下記一般式[1]で表されるフルオロアルキルシランにおいて、[m]の数が大きなものは入手が難しくなってきており、これら物質を使用してなる処理剤はコストが上昇することが予想されている。そのため、[m]の数の少ないフルオロアルキルシランを用いて滑水性を呈することができる処理剤を提供する必要性が生じている。
【0004】

【0005】
特許文献1や非特許文献1で開示された滑水性物品は、耐候性や耐久性が良好なものであったが、[m]の数が少ない、例えば[m]が4〜6のフルオロアルキルシランを用いて処理剤とし、これを用いて滑水性物品をアルカリ性洗浄剤で洗浄すると滑水性が低下することがある。自動車用、住環境用の洗剤にはアルカリ性のものがあり、このため、滑水性物品の長期使用のために耐アルカリ性も向上されることが好ましい。また、滑水性物品の使用にあたっては、清掃時に布や雑巾で払拭される場合が多く、布や雑巾に対する耐摩耗性も向上されることが好ましい。本発明は、[m]の数が少ないフルオロアルキルシランを用いる処理剤を用いて得られる滑水性物品の耐アルカリ性、耐摩耗性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及びフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が4〜6であるフルオロアルキルシランのそれぞれを、基材表面に化学的に結合せしめて滑水層を形成する本発明の滑水性物品の製法は、処理剤を物品表面に塗布する工程と前記処理剤が塗布された物品を50〜250℃で加熱する工程を有し、前記処理剤は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び一般式[1]で表されるフルオロアルキルシラン
【0007】

【0008】
(ここで、Yは1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜6の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。)、有機溶媒、酸、及び水を有する処理剤であり、該処理剤の総量に対し、加水分解反応前における質量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0質量%、前記フルオロアルキルシランが0.4〜2.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.7〜4.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランの質量比が7.5:1〜1:12.5である処理剤であることを特徴とする。(以降、本明細書において、直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシランの双方を示す場合、「機能成分」と表記する。また、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとの総量を示す場合、「機能成分の総量」と表記する。)
【0009】
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、滑水性に優れるジメチルシロキサン鎖を有するので、得られる滑水層の滑水性を向上させる。一方、前記フルオロアルキルシランは、耐久性に優れたフルオロアルキル鎖を有するので、得られる滑水層の耐久性を向上させる。
【0010】
前記フルオロアルキルシランのフルオロカーボン鎖の長さ、すなわち[m]の数も耐アルカリ性、耐摩耗性に影響する。[m]が小さいと耐アルカリ性、耐摩耗性が低下する傾向にあり、[m]の数が大きなものは入手が難しくなってきていることから、係る[m]の数は4〜6とすることが重要である。
【0011】
上記滑水性物品の製法は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと、前記フルオロアルキルシランと有機溶媒、酸、及び水を有する溶液を混合してなる処理剤を物品表面に塗布する工程と前記処理剤が塗布された物品を50〜250℃で加熱する工程を有し、熱処理では前記直鎖状ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランの重縮合反応を進行させるとともに、物品の表面と化学的に結合させる。熱処理温度が低いと前記重縮合反応が不十分となりやすく、滑水層の耐アルカリ性、耐摩耗性が低下する傾向がある。一方、熱処理温度が高いと、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンや前記フルオロアルキルシランが熱分解するため、滑水層の撥水性、滑水性および水垢や汚染物の除去性が低下する。滑水層の耐アルカリ性、耐摩耗性、撥水性、滑水性および水垢や汚染物の除去性を考慮すると塗布後の加熱温度は、50〜250℃とすることが重要であり、80〜200℃とすることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の滑水性物品は、基材表面に滑水層を形成せしめる処理剤を物品表面に塗布する工程、及び、該処理剤が塗布された物品を50〜250℃で加熱する工程によって、前記特許文献1や非特許文献1と同様に優れた滑水性を得つつ、さらに耐アルカリ性、耐摩耗性の向上が見られたので、水やアルカリ性洗浄剤等が存在する環境や布や雑巾で払拭される環境での使用が好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及びフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が4〜6であるフルオロアルキルシランのそれぞれを、基材表面に化学的に結合せしめて滑水層を形成する本発明の滑水性物品の製法は、処理剤を物品表面に塗布する工程と前記処理剤が塗布された物品を50〜250℃で加熱する工程を有し、前記処理剤は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び一般式[1]で表されるフルオロアルキルシラン
【0014】

(ここで、Yは1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜6の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。)、有機溶媒、酸、及び水を有する処理剤であり、該処理剤の総量に対し、加水分解反応前における質量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0質量%、前記フルオロアルキルシランが0.4〜2.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.7〜4.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランの質量比が7.5:1〜1:12.5である処理剤であることを特徴とする。
【0015】
本発明の処理剤に使用される直鎖状ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数を30〜400とすることが重要である。前記直鎖状ポリジメチルシロキサンのジメチルシロキサンユニット数が400を超えると、直鎖状ポリジメチルシロキサンの加水分解可能な官能基の数がジメチルシロキサンユニットに対して相対的に減少することになり、ポリジメチルシロキサンの反応性が低下する。この結果、得られる滑水層は、基材との結合が弱くなり、滑水層の耐摩耗性が低下する。
【0016】
本発明の処理剤を用いて作製した滑水層は、払拭による清掃時に雑巾などで表面を摩擦される場合もある。従って、滑水性はもちろんのこと耐摩耗性に優れる被膜の形成は、実用の観点から重要である。
【0017】
一方、本発明の処理剤を基材に処理すると、処理剤中の機能成分の加水分解可能な官能基と基材表面に存在するシラノール基に代表される水酸基等の反応性基が反応して結合することにより機能成分が基材に固定される。従って、該ユニット数が少なくなると、基材上に固定されるジメチルシロキサンユニット数が減少することになる。本発明での検討の結果、形成される滑水層の耐摩耗性は、該ユニット数に影響されることが判明した。そして、該ユニット数を30以上とするとこれら特性が顕著に向上する。
【0018】
また、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有することが重要である。両末端の加水分解可能な官能基の数が1個以下である場合、該ポリジメチルシロキサンの反応性が大幅に低下し、基材との結合が弱くなる。これにより得られる滑水層の耐久性が低下するので好ましくない。
【0019】
さらに、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、処理剤の総量に対し0.2〜3.0質量%混入されることが重要である。一般的に撥水剤としては、パーフルオロアルキルシランが機能成分に用いられているが、これは滑水性が低く、50μlの水滴が滑落できる最小傾斜角度(以降、転落角と表記する)も25〜27°と大きい。
【0020】
滑水層を実際に使用するにあたり、滑水性の指標となるこの転落角が20°前後で、水滴の滑水層からの滑落性、又は飛散性に違いがあることが体感される。例えば、滑水層を車両の窓に使用した場合には、このことは顕著に体感される。
【0021】
そして、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが、処理剤の総量に対し0.2質量%未満の場合、得られる滑水層の転落角が22°を超えるので、滑水層の滑水性が低いものとなる。
【0022】
また、処理剤を基材に塗布、そして加熱後には、余剰分が乾固物となって基材上に残留する。処理剤の総量に対する前記直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度が3.0質量%を超えると、滑水層形成の際、乾固物の量が増加し、この除去工程に負荷がかかり、時間を要するようになる。この長時間の払拭は、物理的に摩耗する可能性を高め、滑水性、耐久性等に悪影響を与える危険性を高める。
【0023】
さらには、この除去工程の時間(負荷)が大きい場合には、結果として、乾固物を除去しきれず、滑水層上に残留する場合が多くなる。余剰分が残留すると、水滴が余剰分に引っかかりスムーズに移動できなくなるため、滑水性が低下する。さらに、余剰分は白くまだらに滑水層表面に残留するため、滑水層の透光性の低下をもたらす。
【0024】
検討の結果、処理剤の総量に対する前記直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度を3.0質量%以下とすれば、上記点についても考慮した処理剤とすることができることがわかった。前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、処理剤の総量に対し2.5質量%以下にすることがより好ましい。
【0025】
前記直鎖状ポリジメチルシロキサンとしては、下記一般式[2]で示されるポリジメチルシロキサンが好適に用いられる。
【0026】

ここで、X及びXは、それぞれ、1価の加水分解可能な官能基であり、A及びAは、それぞれ、2価の炭化水素基、-(CH)-NH-CO-O-基([i]は0〜9の整数)、若しくは、酸素である。また、[n]は30〜400の整数でジメチルシロキサンユニットの数を表す。さらに、[a]及び[b]は、それぞれ、0〜3の整数であり、[a]又は[b]の少なくとも一方は2又は3でなければならない。
【0027】
また、前記一般式[2]で示されるポリジメチルシロキサンのA及びAは、加水分解可能な官能基と撥水性や滑水性を発現するジメチルシロキサン鎖を繋ぐ部位である。従って、この部位の耐久性が低下すると、滑水層からジメチルシロキサン鎖が容易に脱落するようになり、滑水層の耐久性が低下する。このことから、前記一般式[2]で示されるポリジメチルシロキサンのA及びAは耐久性に優れる2価の炭化水素基や酸素が好ましい。
【0028】
また、本発明の処理剤に使用される前記フルオロアルキルシランは、下記一般式[1]で示されるフルオロアルキルシランが好適に用いられる。
【0029】

ここで、Yは1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜6の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。
【0030】
フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が増加すると、得られる滑水層の耐アルカリ性、耐摩耗性が増加する。しかしながら、 [m]の数が大きなフルオロアルキルシランは入手が難しくなってきており、これら物質を使用してなる処理剤はコストが上昇することが予想されている。
【0031】
従って、得られる滑水層の耐アルカリ性、耐摩耗性を向上させ、且つ処理剤の塗布を容易にせしめ、さらに乾燥後の余剰分の除去を容易にせしめるためには、フルオロカーボンユニットの数は4〜6とすることが重要である。
【0032】
さらにまた、前記フルオロアルキルシランは、その混入量を、処理剤の総量に対し、質量濃度で0.4〜2.5質量%とすることが重要である。0.4質量%未満では耐アルカリ性や耐摩耗性が著しく低下する。また、2.5質量%を超えると滑水性が大幅に低下し、転落角が22°を超える。そして、より高い滑水性(転落角;20°以下)と耐アルカリ性を得るためには、その混入量を、質量濃度で0.6〜2.0質量%とすることが好ましい。
【0033】
前記フルオロアルキルシランとしては、CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32OCH3、CF3(CF25CH2CH2SiCl3、CF3(CF25CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF25CH2CH2Si(CH32Cl、CF3(CF23CH2CH2SiCl3、CF3(CF23CH2CH2SiCH3Cl2、CF3(CF23CH2CH2Si(CH32Cl等のものが使用できる。
【0034】
また、機能成分での加水分解可能な官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基又はイソシアネート基等を用いることができる。ただし、加水分解可能な官能基の反応性が高すぎると、処理剤を調合する時の取扱いが難しくなるだけでなく、処理剤のポットライフが短くなる。一方、反応性が低すぎると、加水分解反応が十分進行しなくなり、生成するシラノール基の量が十分でなくなるため、基材と得られる滑水層の結合が十分でなくなり、滑水層の耐久性が低くなる。取扱いの容易さ、処理剤のポットライフ、得られる滑水層の耐久性を考慮すると、加水分解可能な官能基としてはアルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
【0035】
また、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量を0.7〜4.5質量%とすることが重要である。0.7質量%未満では耐アルカリ性や耐摩耗性が著しく低下する。また、4.5質量%を超えると、余剰分が乾固物となって基材上に残留する量が多くなり、紙タオルなどで透明に拭き上げることが難しくなる。これにより、目視観察で余剰成分が白くまだらに残留しており、外観上の問題が発生する。従って、その混入量を、質量濃度で0.9〜4.5質量%とすることが好ましい。
【0036】
また、加水分解反応前において、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの質量比を7.5:1〜1:12.5とすることが重要である。上記範囲内とすることで優れた滑水性(転落角;20°以下)と耐アルカリ性が得られ、4.2:1〜1:10とすることがより好ましい。
【0037】
処理剤に用いる溶媒には、他の成分(直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシラン、水、酸)を溶解させる有機溶媒を用いることができ、これらにはエチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素溶媒類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類やそれらの混合物を用いることが好ましい。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ヘキサン、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエーテルの中から選ばれる一種以上の溶媒とエチルアルコールやイソプロピルアルコール等の低級アルコールの混合溶媒は、直鎖状ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシラン、水及び酸の溶解性が高く、さらに、処理剤の塗布性(塗り伸ばしやすさ)や処理剤の乾燥時間(作業時間)が適度になるので特に好ましい。
【0038】
また、本発明の処理剤に使用される水は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランが有する加水分解可能な官能基の数に対して、分子数で1倍〜100倍とするのが好ましい。1倍未満では、加水分解反応が十分に進行せず、シラノール基が十分に生成しにくく、得られる滑水層の耐久性が低下し、好ましくない。また、100倍を超えると、前記直鎖状ポリジメチルシロキサン、前記フルオロアルキルシラン及び水が処理剤内で均一に溶解することが難しくなり好ましくない。また、水の量が増えると、反応速度が大きくなり、結果として処理剤のポットライフが短くなる。従って、ポットライフを考慮すると50倍以下であることがより好ましい。
【0039】
さらに処理剤に使用される酸は、機能成分の加水分解反応を促進させる触媒的な役割をし、硝酸、塩酸、硫酸、その他有機酸等を使用することができる。そして、前記水と混合した状態でpH値が0〜5、好ましくは、0〜3となるように混合される。
【0040】
次に本発明の滑水性物品の滑水層を形成せしめるための処理剤の好ましい調製方法について説明する。
【0041】
滑水層を形成せしめるための処理剤は、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランと溶媒の混合物に、加水分解反応を起こさせるための水と酸を添加、混合し、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとを加水分解させることにより得られる。ここで、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランとを先に混合するのは、両成分を処理剤中に均質に混合させるためである。しかしながら、酸、水、直鎖状ポリジメチルシロキサン及びフルオロアルキルシランを同時に混合しても良い。
【0042】
次に、得られた処理剤を使用して、滑水層を得る方法について説明する。
【0043】
上記で得られた処理剤を基材表面に塗布する塗布方法としては、刷毛塗り、手塗り、ロボット塗り、ノズルフローコート法、ディッピング法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法、フローコート法、スピンコート法、ロールコート法、それらの併用等各種被膜の形成方法が適宜採用し得る。
【0044】
本発明の処理剤は塗布後に50〜250℃で加熱を行うが、その加熱温度よりも高い耐熱温度を有するものであれば、処理剤が塗布される基材は特に限定されるものではない。例えば、建築物用窓ガラスや鏡に通常使用されているフロ−ト板ガラス、又はロ−ルアウト法で製造されたソーダ石灰ガラス等無機質の透明性がある板ガラスを使用できる。これら板ガラスを用いて形成される鏡等の反射性基材、擦りガラス、模様が刻まれたガラス等の半透明から不透明のガラス基材を使用することができる。
【0045】
前記ガラス製基材の他にタイル、瓦、衛生陶器、食器等に使用されるセラミックス材料よりなる基材、ガラス窓等の枠体、調理器、メス、注射針等の医療器具、流し、自動車のボディ等に使用されるステンレス鋼、アルミニウム、鉄鋼等の金属材料、プラスチック製の基材、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、その他のプラスチック基材を使用することがある。
【0046】
次に処理剤を基材に塗布後の処理について述べる。基材に処理剤を塗布後、50〜250℃で加熱させることで、前記ポリジメチルシロキサン及び前記フルオロアルキルシランを基材と結合させる。加熱は、常圧下、加圧下、減圧下、不活性雰囲気下で行っても良い。また、マイクロ波加熱も有効である。
【0047】
最後に、余剰分が乾固物となって滑水層上に残留するので、この余剰分を有機溶剤で湿らした紙タオルや布および/または乾いた紙タオルや布で払拭することにより滑水層が形成された基材が得られる。
【0048】
本発明における滑水性とは、実施例の評価方法で述べるような方法で評価されるもので、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、該サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を測定することで評価するものである。尚、該傾斜角度を転落角(°)とし、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。
【実施例】
【0049】
以下に本発明の実施例について説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。滑水層の評価方法を以下に示す。
【0050】
〔滑水層の評価方法〕
(1)接触角
滑水層を有するサンプル表面に、純水約2μlを置いたときの水滴とサンプル表面とのなす角を接触角計で測定した。尚、接触角計には協和界面科学製CA−X型を用い、大気中(約25℃)で測定した。接触角の初期性能が、100°以上のものを撥水性の指標に関して合格(表2中で○と表記)とした。
【0051】
(2)転落角
サンプルを水平に保持した状態で、サンプル表面上に50μlの純水を滴下した後、サンプルを徐々に傾けていき、水滴が動き始める時点の傾斜角度を転落角(°)とした。尚、転落角は協和界面科学製CA−A型を用いて大気中(約25℃)で測定した。転落角の初期性能が、22°以下のものを滑水性の指標に関し合格(表2中で○と表記)とした。
【0052】
(3)耐アルカリ性
サンプルを0.1質量%のNaOH水溶液に室温で2h接触させた。その後、サンプルを水洗して乾燥させた後、目視観察を行うとともに、前記「(1)接触角」に記載した手順で接触角を測定し、接触角が90°以上のものを合格(表2中で○と表記)とした。
【0053】
(4)耐水性
サンプル表面に工業用水を噴霧し、50℃×3h乾燥させ、その後サンプル表面を綿100%の雑巾を用いて300g/cmの荷重で5往復払拭した。払拭後、目視観察を行うとともに、前記「(1)接触角」に記載した手順で接触角を測定し、接触角が90°以上のものを合格(表2中で○と表記)とした。
【0054】
(5)耐摩耗性
ガラス用研摩剤ミレークE40T(三井金属鉱業製)を水道水に分散させたセリア懸濁液(10質量%)を染み込ませた綿布で、サンプルに約1.5kg/cmの荷重をかけて、被膜の周縁部から被膜の中心部を経て反対側の被膜周縁部まで摺動することで研摩をした。この摺動作業にて、綿布が元の場所に戻ったときを1回研摩回数とし、研摩領域の全領域が親水化(セリア懸濁液を弾かなくなる状態)するまでの研摩回数を評価した。40回以上を合格(表2中で○と表記)とした。
【0055】
(実施例1)
(1)処理剤の調製
サンプルの作製条件を表1に示す。先ず、ジメチルシロキサンユニットの数が250の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}250Si(CHCHCHSi(OCH〕;0.40g、メチルエチルケトン;48.85g、フルオロカーボンユニットの数が6のフルオロアルキルシラン〔CF(CFCHCHSi(OCH〕;0.60gとイソプロピルアルコール;48.85gを混合し、約5分間攪拌した。次いで、0.5N硝酸水溶液;1.0gを添加し、室温で2時間攪拌して、直鎖状ポリジメチルシロキサンとフルオロアルキルシランを加水分解した。以上の方法により、処理剤の総量に対し、混入された直鎖状ポリジメチルシロキサンの質量濃度(「ポリジメチルシロキサン濃度」と記載する)が0.4質量%、処理剤の総量に対し、混入されたフルオロアルキルシランの質量濃度(「フルオロアルキルシラン濃度」と記載する)が0.6質量%の処理剤を得た。
【0056】
(2)ガラス基板の洗浄
300mm×300mm×2mm厚サイズのフロートガラスの表面を研摩液を用いて研摩し、水洗及び乾燥した。なお、ここで用いた研摩液は、ガラス用研摩剤ミレークA(T)(三井金属鉱業製)を水に混合した2wt%のセリア懸濁液を用いた。
【0057】
(3)滑水層の形成
上記(1)で調製した処理剤;1.0mlをガラス基板上に滴下し、綿布(商品名;ベンコット)でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分程度風乾した。その後、ガラスを電気炉に入れ10分間熱処理した。このとき、ガラスの最高温度(熱処理温度)は150℃であった。最後に、目視で白くまだらに残留している余剰な撥水成分をイソプロピルアルコールで湿らした紙タオルで拭き上げて、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。
【0058】
上記[滑水層の評価方法]に記載した要領で評価したところ、表2に示すとおり、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示した。さらに、耐アルカリ性試験後の目視観察においてサンプルの透明性に変化が無く、接触角も90°以上であった。また、耐水性試験後の目視観察においてサンプルの透明性に変化が無く、接触角も90°以上であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性の評価においては研摩領域の全領域を親水化させるのに50往復を要し、耐摩耗性に優れていた。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
(実施例2)
フルオロアルキルシラン濃度を1.5質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0062】
(実施例3)
直鎖状ポリジメチルシロキサンとして、ジメチルシロキサンユニットの数が50の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}50Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0063】
(実施例4)
直鎖状ポリジメチルシロキサンとして、ジメチルシロキサンユニットの数が400の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}400Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は21°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0064】
(実施例5)
直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度を2.5質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は20°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0065】
(実施例6)
フルオロアルキルシラン濃度を2.0質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は22°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0066】
(実施例7)
処理剤をガラス基板の全面に十分引き伸ばした後、80℃で熱処理した以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は21°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0067】
(実施例8)
処理剤をガラス基板の全面に十分引き伸ばした後、220℃で熱処理した以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は22°と良好な水滴転落性を示し、さらに、耐アルカリ性、耐水性も良好であり、耐久性に優れていた。また、耐摩耗性に優れていた。
【0068】
(比較例1)
処理剤をガラス基板の全面に十分引き伸ばした後、熱処理しなかった以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角と耐水性は良好であったが、耐アルカリ性及び耐摩耗性は不十分であった。
【0069】
(比較例2)
処理剤をガラス基板の全面に十分引き伸ばした後、320℃で熱処理した以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角と初期接触角が不十分であった。
【0070】
(比較例3)
直鎖状ポリジメチルシロキサンとして、ジメチルシロキサンユニットの数が22の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}22Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、耐摩耗性が不十分であった。
【0071】
(比較例4)
直鎖状ポリジメチルシロキサンとして、ジメチルシロキサンユニットの数が1000の両末端トリアルコキシタイプ直鎖状ポリジメチルシロキサン〔(CHO)SiCHCH{Si(CHO}1000Si(CHCHCHSi(OCH〕を用いた以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、耐摩耗性が不十分であった。
【0072】
(比較例5)
フルオロアルキルシランとして、フルオロカーボンユニットの数が1のフルオロアルキルシラン〔CFCHCHSi(OCH〕を用いた以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、耐アルカリ性及び耐摩耗性が不十分であった。
【0073】
(比較例6)
直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度を0.1質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は24°となり滑水性が不十分であった。
【0074】
(比較例7)
直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度を3.5質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとした。熱処理後に目視で白くまだらに残留している余剰な撥水成分をイソプロピルアルコールで湿らした紙タオルで拭き上げることを試みたが、完全に除去することができなかった。目視観察で余剰成分が白くまだらに残留しており、外観上問題があった。
【0075】
(比較例8)
フルオロアルキルシランの濃度を0.2質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、耐アルカリ性及び耐摩耗性が不十分であった。
【0076】
(比較例9)
フルオロアルキルシランの濃度を3.0質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、初期転落角は24°となり滑水性が不十分であった。
【0077】
(比較例10)
直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度を0.3質量%とし、フルオロアルキルシランの濃度を0.3質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとし、目視観察で問題の無い透明なサンプルを得た。結果、物性は表2に示すとおり、耐アルカリ性及び耐摩耗性が不十分であった。
【0078】
(比較例11)
直鎖状ポリジメチルシロキサンの濃度を3.0質量%とし、フルオロアルキルシランの濃度を3.0質量%とした以外は、すべて実施例1と同じとした。熱処理後に目視で白くまだらに残留している余剰な撥水成分をイソプロピルアルコールで湿らした紙タオルで拭き上げることを試みたが、完全に除去することができなかった。目視観察で余剰成分が白くまだらに残留しており、外観上問題があった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及びフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が4〜6であるフルオロアルキルシランのそれぞれを、基材表面に化学的に結合せしめて滑水層を形成する滑水性物品の製法であり、
該製法は、処理剤を物品表面に塗布する工程と、処理剤が塗布された物品を50〜250℃で加熱する工程を有し、
前記処理剤は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び一般式[1]で表されるフルオロアルキルシラン

(ここで、Yは1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜6の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。)、有機溶媒、酸、及び水を有する処理剤であり、該処理剤の総量に対し、加水分解反応前における質量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0質量%、前記フルオロアルキルシランが0.4〜2.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.7〜4.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランの質量比が7.5:1〜1:12.5である処理剤であることを特徴とする滑水性物品の製法。
【請求項2】
ジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及びフルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数が4〜6であるフルオロアルキルシランのそれぞれを、基材表面に化学的に結合せしめて形成された滑水層を有する滑水性物品であり、
前記滑水層は、少なくとも一つの末端に加水分解可能な官能基を2個又は3個有し、且つジメチルシロキサンユニット(−Si(CHO−)の数が30〜400である直鎖状ポリジメチルシロキサン、及び一般式[1]で表されるフルオロアルキルシラン

(ここで、Yは1価の加水分解可能な官能基である。さらに、[m]は4〜6の整数であり、フルオロカーボンユニット(CF又はCF)の数を表す。さらに、[p]は1〜3の整数であり、加水分解可能な官能基の数を表す。)、有機溶媒、酸、及び水を有する処理剤であり、該処理剤の総量に対し、加水分解反応前における質量濃度で前記直鎖状ポリジメチルシロキサンが0.2〜3.0質量%、前記フルオロアルキルシランが0.4〜2.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランとの総量が0.7〜4.5質量%、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンと前記フルオロアルキルシランの質量比が7.5:1〜1:12.5である処理剤を、物品表面に塗布し、50〜250℃での加熱を経て物品の表面と化学的に結合せしめ、前記ジメチルシロキサンユニットと前記フルオロカーボンユニットを基材表面に露出させて形成されたものであることを特徴とする滑水性物品。

【公開番号】特開2011−1541(P2011−1541A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109897(P2010−109897)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】