説明

漂白性組成物

【課題】褪変色及び異臭発生を防止でき、漂白効果に優れた漂白性組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:たとえば、下記式(I)等、で表されるアミノカルボン酸より選ばれるキレート化合物と、銅化合物及びマンガン化合物の少なくとも一種との混合物及び/又は反応物を含む触媒体を水不溶性無機粉体で被覆した被覆触媒体と、(B)成分:界面活性剤と、(C)成分:過酸化物と、を含むことよりなる。前記水不溶性無機粉体は、A型ゼオライトであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漂白性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料等には、洗剤組成物と漂白剤組成物を用いた洗浄が一般的に行われている。これらの用途に使用される組成物の殺菌・除菌効果や漂白効果には、酸化反応によって発揮されるものがある。このような酸化反応を担う酸化反応成分としては、過酸化水素、水溶液中で過酸化水素を遊離する無機の過酸化物等、過酸化水素系の化合物や、用途によっては次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物等が用いられている。最近では、簡便に使用できる点等から過酸化水素等の過酸化水素系の化合物が注目されている。
【0003】
このような組成物においては、酸化反応成分だけでは、例えば低温条件下における性能が不十分なことがある。そこで、例えば酸化反応成分と、その酸化反応を促進する特性を有する有機過酸前駆体を併用した漂白性組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。また例えば、漂白性組成物の洗浄力及び漂白力のさらなる向上を目的とし、銅等の遷移金属とジピコリン酸とが結合した錯体、及び、酸化反応成分を併用した粉末漂白剤組成物(例えば、特許文献2)や、銅等の遷移金属とアミノカルボン酸と酸化反応成分とを併用した粉末漂白剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−331295号公報
【特許文献2】特開2008−1736号公報
【特許文献3】特開2008−104920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、上述した技術のように、アミノカルボン酸等のN原子を有するキレート物質と、遷移金属とを漂白性組成物中に配合すると、保存中にアミン様の異臭が発生するという問題があった。加えて、遷移金属を独立して漂白性組成物に添加すると、衣料等の被洗浄物が褪変色する等の不都合を生じやすい。
そこで、本発明は、被洗浄物の褪変色及び保存中の異臭発生を防止でき、漂白効果に優れた漂白性組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の漂白性組成物は、(A)成分:下記一般式(I)、(II)で表されるアミノカルボン酸より選ばれるキレート化合物と、銅化合物及びマンガン化合物の少なくとも一種との混合物及び/又は反応物を含む触媒体を水不溶性無機粉体で被覆した被覆触媒体と、(B)成分:界面活性剤と、(C)成分:過酸化物と、を含むことを特徴とする。
【0007】
【化1】

【0008】
(式(I)中、Z〜Zはそれぞれ独立し、COOX、炭素数1〜30のアルキル基、スルホ基又はアミノ基をあらわし、Z〜Zの内少なくとも1つがCOOXである。Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を表す。Rは、水素原子又は水酸基を表す。Qは、水素原子又はアルキル基を表す。nは、0又は1の整数を表す。)
【0009】
【化2】

【0010】
(式(II)中、Yはアルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、水酸基、又は水素原子を表す。Z〜Zはそれぞれ独立し、COOX、炭素数1〜30でその水素原子の一部が置換されてもよいアルキル基、スルホ基、又はアミノ基をあらわし、Z〜Zの内少なくとも1つがCOOXである。Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、カチオン性アンモニウム基を表す。nは、0から5の整数を表す。)
【0011】
前記水不溶性無機粉体は、A型ゼオライトであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の漂白性組成物によれば、被洗浄物の褪変色及び保存中の異臭発生を防止でき、漂白効果に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(漂白性組成物)
本発明の漂白性組成物は、(A)成分:前記一般式(I)、(II)で表されるアミノカルボン酸より選ばれるキレート化合物(以下、(a)成分ということがある)と、銅化合物ならびに/もしくはマンガン化合物(以下、(b)成分ということがある)との混合物及び/又は反応物を含む触媒体を水不溶性無機粉体(以下、(c)成分ということがある)で被覆した被覆触媒体と、(B)成分:界面活性剤と、(C)成分:過酸化物とを含むものである。
なお、漂白性組成物とは洗剤組成物と漂白剤組成物を包含するものである。漂白剤組成物とは、主に被洗浄物の漂白を目的とし、漂白力を重視した組成物であり、洗剤組成物とは主に被洗浄物の洗浄を目的とし、漂白剤組成物よりは漂白力は劣るが、洗浄力を重視した組成物である。
【0014】
<(A)成分:被覆触媒体>
被覆触媒体である(A)成分は、(a)成分と(b)成分との混合物及び/又は反応物を含む触媒体(以下、単に触媒体ということがある)を(c)成分で被覆したものである。本発明において「被覆」とは、触媒体の表面全体が完全に覆われた状態のみならず、触媒体の表面の60%以上が覆われた状態を含む。
【0015】
漂白性組成物中の(A)成分の含有量は特に限定されないが、例えば、漂白剤組成物であれば0.1〜3質量%が好ましい。洗剤組成物であれば、(A)成分の含有量は0.1〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。上記上限値を超えても漂白効果が高まらない場合があると同時に、衣類に対するダメージが生じたり、他の成分とのバランスが取れずに洗浄効果が不十分となったり、漂白性組成物の保存安定性及び外観維持が不十分となる場合がある。上記下限値未満では、漂白効果を向上できない場合があるためである。
【0016】
≪(a)成分:一般式(I)、(II)で表されるアミノカルボン酸より選ばれたキレート化合物≫
(a)成分は、下記一般式(I)で表されるアミノカルボン酸(以下、化合物(I)ということがある)と、下記一般式(II)で表されるアミノカルボン酸(以下、化合物(II)ということがある)より選ばれたキレート化合物である。
【0017】
【化3】

【0018】
(式(I)中、Z〜Zはそれぞれ独立し、COOX、炭素数1〜30のアルキル基、スルホ基又はアミノ基をあらわし、Z〜Zの内少なくとも1つがCOOXである。Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を表す。Rは、水素原子又は水酸基を表す。Qは、水素原子又はアルキル基を表す。nは、0又は1の整数を表す。)
【0019】
【化4】

【0020】
(式(II)中、Yはアルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、水酸基、又は水素原子を表す。Z〜Zはそれぞれ独立し、COOX、炭素数1〜30でその水素原子の一部が置換されてもよいアルキル基、スルホ基、又はアミノ基をあらわし、Z〜Zの内少なくとも1つがCOOXである。Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、カチオン性アンモニウム基を表す。nは、0から5の整数を表す。)
【0021】
化合物(I)としては、イミノジコハク酸や3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸又はこれらの塩等が挙げられる。化合物(II)としては、ニトリロトリ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン二酢酸又はそれらの塩等が挙げられる。中でも、特に3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸が好ましく、最も好ましい化合物はメチルグリシンジ酢酸である。
【0022】
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられ、ナトリウム塩又はカリウム塩が特に好ましい。
【0023】
上記一般式(I)中のZ〜Zが、COOXである場合、Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を表す。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
なお、Z〜Zが、COOXでありXのいずれかがアルカリ土類金属原子である場合、例えば、ZがCOOXでありXがカルシウム(Ca)の場合、式(I)中のZは「−COOCa1/2」となる。上記の中でも、Z〜ZがCOOXである場合、Xは、いずれもナトリウム又はカリウムであることが好ましい。Z〜Zが、COOXである場合Xは、互いに、同一のものであっても、異なっていてもよい。
【0024】
〜Zの内、少なくとも1つは、COOXである。Z〜ZのいずれかがCOOXであれば、本発明の触媒体を洗濯時に水に溶解することで、この化合物(I)は、−COOXがそれぞれ電離して−COO−となり、陰イオンを生成する。そして、この陰イオンの−COO−の部分が、(b)成分から放出される銅イオン又はマンガンイオンと錯体を形成できる。
【0025】
Rは、水素原子又は水酸基を表し、水酸基であることが好ましい。
Qは、水素原子又はアルキル基を表す。Qは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
は、0又は1の整数を表し、1であることが好ましい。
【0026】
化合物(I)の具体例としては、下記化学式(1)〜(4)で表される化合物が挙げられる。なお、これら化学式(1)〜(4)においては、代表的な例として、Xがいずれも水素(H)である場合を示しているが、化合物(I)はこれらの構造に限定されるものではなく、目的に応じて適宣選択することができる。
【0027】
【化5】

【0028】
また、化合物(I)におけるZ〜Zが、アルキル基、スルホ基(SOH)又はアミノ基(NH)等に置換された構造であってもよい。アルキル基は、さらに置換基を有しているアルキル基であってもよく、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18である。アルキル基は、その水素原子の一部が置換基にて置換されていてもよい。この置換基としては、スルホ基、アミノ基、水酸基(OH)、ニトロ基(NO)等が挙げられる。
配位が安定し漂白・洗浄効果が向上する点から、Z〜ZがCOOXである場合、Z〜Zはカルボキシル基(COOH)であることが最も好ましい。
【0029】
上記一般式(II)中、Yはアルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、水酸基、又は水素原子を表し、水素原子が好ましい。
上記一般式(II)中のZ〜ZがCOOXである場合、Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、カチオン性アンモニウム基からなる群より選ばれる1種を表す。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
なお、Z〜Zが、COOXでありXのいずれかがアルカリ土類金属原子である場合、例えば、ZがCOOXでありXがカルシウム(Ca)の場合、式(II)中のZは「−COOCa1/2」となる。上記の中でも、Z〜ZがCOOXである場合、Xは、いずれもナトリウム又はカリウムであることが好ましい。Z〜Zが、COOXである場合Xは、互いに、同一のものであっても、異なっていてもよい。
【0030】
〜Zの内、少なくとも1つはCOOXである。Z〜ZのいずれかがCOOXであれば、本発明の触媒体を洗濯時に水に溶解することで、この化合物(II)は、−COOXがそれぞれ電離して−COO−となり、陰イオンを生成する。そして、この陰イオンの−COO−の部分が、(b)成分から放出される銅イオン又はマンガンイオンとの錯体の形成が可能となる。
【0031】
は、0〜5の整数を示し、好ましくは0〜2であり、より好ましくは1である。
【0032】
化合物(II)の具体例としては、下記化学式(5)〜(17)で表される化合物が挙げられる。なお、これら化学式(5)〜(17)においては、代表的な例として、Z〜ZがCOOXである場合、Xがいずれも水素(H)である場合を示しているが、化合物(II)はこれらの構造に限定されるものではなく、目的に応じて適宣選択することができる。
【0033】
【化6】

【0034】
また、化合物(II)におけるZ〜Zがアルキル基、スルホ基、又はアミノ基等に置換された構造であってもよい。
アルキル基はさらに置換基を有しているアルキル基であってもよく、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜30、より好ましくは1〜18である。アルキル基は、その水素原子の一部が置換基にて置換されていてもよい。この置換基としては、スルホ基、アミノ基、水酸基、ニトロ基等が挙げられる。配位が安定し漂白・洗浄効果が向上する点から、Z〜Zはカルボキシル基(COOH)であることが最も好ましい。
【0035】
上記の化合物の他に、本発明を構成する(a)成分としては、下記化学式(18)で表される化合物を用いることができる。
【0036】
【化7】

【0037】
(a)成分は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(a)成分の漂白性組成物中の含有量は特に限定されないが、0.001〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。上記上限値を超えても衣類についたシミ汚れ、長期間着用後に生じた衣類の黄ばみ汚れに対して漂白・洗浄効果が高まらない場合があり、上記下限値未満では十分な漂白・洗浄効果が得られない場合があると共に、褪色等の衣類ダメージを抑制できない場合がある。
【0038】
このように(a)成分を配合することで、例えば洗濯時又は漂白処理時において後述の(b)成分と錯体を形成し、(C)成分と共に使用されることによって、被洗浄物である衣料等に対し漂白・洗浄効果を発揮することができる。
【0039】
≪(b)成分:銅化合物及び/又はマンガン化合物≫
(b)成分は、銅化合物、マンガン化合物の少なくとも一種、即ち、銅化合物及び/又はマンガン化合物である。(b)成分としては、水に溶解するものであり、その際に銅又はマンガンイオンを放出するものであれば特に種類は限定されない。水溶性の銅又はマンガン化合物の例としては、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、過塩素酸塩、塩化アンモニウム塩、シアン化物等の無機塩化合物や、酢酸塩、アセチルアセトナート塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩等の有機化合物が挙げられる。中でも、価格や使用性の点で硫酸銅又は塩化マンガンが好ましい。製品の性能維持及び漂白・洗浄性能の点からは、銅化合物が好ましく、中でも硫酸銅がより好ましい。
これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0040】
(b)成分に対する(a)成分の配合量は1モル当量以上であり、1〜20モル当量とすることが好ましく、5〜20モル当量がより好ましい。(a)成分が(b)成分に対して過剰である方が(A)成分の安定性の点で好ましいが、漂白効果の点から20モル当量以下が好適である。
(b)成分は、(a)成分と錯体を形成させてから(A)成分の触媒体の成形に用いてもよいし、錯体化せずに(A)成分に配合してもよい。
【0041】
≪(c)成分:水不溶性無機粉体≫
(c)成分は、水不溶性無機粉体である。(c)成分としては、水不溶性の無機粉体であれば特に限定されないが、アルミノケイ酸塩(A型ゼオライト、P型ゼオライト、X型ゼオライト、非晶質ゼオライト)、ケイ酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、タルク(含水珪酸マグネシウム)、ベントナイト、アルミナ(多孔質アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、アパタイト(リン酸塩鉱物)、珪藻土、ガラス(多孔質ガラス)、酸化物材料:ナノポラース結晶、ランタンストロンチウムマンガナイト、多孔質デゥオプサイド、カーボン、炭化ケイ素、炭化チタン、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、酸化チタン、タルク、アルミノケイ酸塩(A型ゼオライト、P型ゼオライト、X型ゼオライト、非晶質ゼオライト)が好ましく、特にA型ゼオライトが好ましい。これらは1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0042】
(c)成分の粒子径は、ファンデルワールス力等の粒子間力による被覆効率を考えると、(c)成分の平均粒子径が10μm以下であることが好ましく、5μm以下がより好ましい。(c)成分は、上述のような粒子径であれば、ファンデルワールス力等の粒子間力により、触媒体の表面を十分に被覆することができるためである。ここで、平均粒子径及び粒度分布は、レーザー光散乱法(例えば、粒度分布測定装置(LDSA−3400A(17ch)、東日コンピューターアプリケーションズ株式会社製を使用)によって測定した値であり、平均粒子径は体積基準のメジアン径である。
【0043】
上述の(c)成分の内、例えばゼオライトとしては、株式会社トクヤマ製のトクシール ファインシール(商品名)、山西楡次昶力高科有限公司(Shanxi Yuchi ChangliHigh−Tech Co.,Ltd.)製のZeolite(商品名)、中国リュイ業股フェン有限公司(ALUMINUM CORPORATION OF CHINA.,LTD.)製の4A ZEOLITE(商品名)、氾盈化学(Huiying Chemical Products Co.,Ltd)製の4A Zeolite(商品名)、タイシリケートケミカル(Thai Silicate Chemicals Co.,Ltd.)製のZeolite 4A Type(商品名)、コスモ社(COSMO FINE CHEMICALS CO.,LTD.)製のCOLITE−P(商品名)、PQケミカル(PQ Chemicals Limited)製のVALFOR 100 Zeolite NaA等が挙げられる。
【0044】
(c)成分の(A)成分中の含有量は、触媒体/(c)成分(質量比)=70/2〜70/30が好ましく、70/9〜70/30がより好ましい。上述の範囲内であれば、異臭発生の防止と共に褪色等の衣類ダメージを抑制することができ、(c)成分を上記上限値を超えて配合しても効果が高まらない場合があるためである。
【0045】
≪触媒体中の任意成分≫
触媒体中には必要に応じてバインダー化合物や、界面活性剤、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムの無機物、クエン酸ナトリウム等の有機酸塩、フィルム形成性重合体等を添加してもよい。
【0046】
[バインダー化合物]
バインダー化合物は、触媒体を造粒又は成形する際に、必要に応じて添加することができる。バインダー化合物は、バインダー化合物であれば特に限定されず、例えば、各種ノニオン界面活性剤や炭素数12〜20の飽和脂肪酸、平均分子量500〜25000のポリエチレングリコール、平均分子量1000〜1000000のポリカルボン酸系高分子やその塩(ポリアクリル酸、ポリアクリル酸とマレイン酸の共重合体等)等が挙げられる。中でも、平均分子量2500〜10000であるポリエチレングリコール及びエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマー(以下、バインダー化合物−1という)、HLB値が16以上であるノニオン界面活性剤(以下、バインダー化合物−2という)から選ばれる1以上のバインダー化合物が好ましい。バインダー化合物−2としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0047】
さらに、バインダー化合物−1としては、平均分子量7300〜9300のポリエチレングリコールやエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマーが好ましく、バインダー化合物−2としては、炭素数18以上のアルキル基を含有するエチレンオキサイド付加モル数が40〜80であり、HLB値が16以上であるノニオン界面活性剤がより好ましい。かかるバインダー化合物を用いることで、漂白性組成物の溶解時に洗浄液中で速やかに錯体を形成することで高い洗浄力を発揮できる。また、被洗浄物に対するダメージを抑制する効果が期待できる上、保存安定性の向上が図れるためである。
【0048】
なお、本発明におけるバインダー化合物の平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示す。またHLB値とは、Griffinの方法(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)により求められるHLBの値である。
【0049】
触媒体中におけるバインダー化合物の含有量は、16〜98質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましい。上記上限値を超えても漂白性組成物の過酸化物の安定性や外観維持、被洗浄物に対するダメージ抑制効果が高まらないおそれがある。上記下限値未満であると、漂白性組成物の外観維持効果が不十分となったり、触媒体の成形が困難になるおそれがあるためである。漂白性組成物におけるバインダー化合物の含有量は、0.016〜2.94質量%が好ましく、0.25〜2.7質量%がより好ましい。上記上限値を超えても漂白性組成物の過酸化物の安定性や外観維持、被洗浄物に対するダメージ抑制効果が高まらない場合があることに加え、他の成分とのバランスが取れずに十分な洗浄効果が得られないおそれがある。上記下限値未満であると、漂白性組成物の過酸化物の安定性や外観維持効果が不十分となったり、触媒体の成形が困難になるおそれがあるためである。
なお、バインダー化合物は、水や溶剤に分散又は溶解したものを使用してもよい。かかる溶液として用いることで、(b)成分の洗浄液中での溶解性を向上させ、効率的に高い漂白・洗浄効果を発揮できるためである。
【0050】
触媒体に界面活性剤を配合する場合には、バインダー化合物の配合量から該界面活性剤の配合量を減量して調整してもよい。
【0051】
[界面活性剤]
触媒体には、洗濯浴(洗浄水)中での溶解性を改善する等のために、後述する(B)成分とは別に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又は脂肪酸メチルエステルスルホン酸塩、あるいはこれらの混合物等の界面活性剤を配合してもよい。
【0052】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数は10〜14が好ましく、より好ましくはエチレンオキサイド(以下、EOという)及び/又はプロピレンオキサイド(以下、POという)の付加体である。平均付加モル数はEOもしくはPOのみの付加、又は、EOとPOとの混合のいずれの場合も、EO及びPO合計で、好ましくは4〜20、より好ましくは5〜15である。EO/POのモル比は、好ましくは5/0〜1/5、より好ましくは5/0〜1/2である。
【0053】
オレフィンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が14〜18であるα−オレフィンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩が好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜14である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩が好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が10〜18であり、かつ、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましく、特にラウリル硫酸エステルナトリウム又はミリスチル硫酸エステルナトリウムが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜14のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩である。ここでオキシエチレン基の平均重合度(以下、平均重合度をPOEで示す)は1〜10が好ましく、より好ましくは1〜5である。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、さらに好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム(POE=2〜5)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸エステルナトリウム(POE=2〜5)である。
【0054】
該界面活性剤の触媒体中の含有量としては、0〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。
【0055】
触媒体を造粒する際の製造性を向上させるために、硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウムの無機物や、クエン酸ナトリウム等の有機酸塩を添加してもよい。
【0056】
≪(A)成分の製造方法≫
(A)成分の製造方法としては、(a)成分と(b)成分との混合物、又は、(a)成分と(b)成分との化合物を含む触媒体を得る工程(成形工程)、該触媒体を(c)成分で被覆する工程(被覆工程)とを有するものであれば特に限定されない。
【0057】
[成形工程]
前記成形工程としては、例えば、(a)成分、(b)成分及びバインダー化合物を含む任意成分を混合機や混練機等で混合した後、押出成型機を用いて、多孔ダイスやスクリーンを通して直系1mm程度のヌードル状に押し出し、破砕する方法が挙げられる。あるいは、融解したバインダー化合物に、(a)成分、(b)成分及びバインダー化合物を除く任意成分を溶解、分散し、ミキサー中で塊状物質を成形後、粉砕機で粉砕する方法が挙げられる。またあるいは、撹拌造粒機、容器回転型造粒機又は流動床造粒機等を用いて、(a)成分、(b)成分及びバインダー化合物を除く任意成分を混合し、さらに攪拌又は流動させながら液状のバインダー化合物を添加して造粒する方法が挙げられる。また例えば、(a)成分、(b)成分、バインダー化合物を含む任意成分を混合後、打錠機やブリスケッティング機で圧縮成形し、成形物として得てもよい。さらに、必要に応じて、前記成形物を粉砕機で粉砕して粒子状の触媒体を得る方法が挙げられる。かかる成形工程により触媒体とすることで、衣類に接触した状態のまま溶解する際に、銅化合物及び/又はマンガン化合物が単独で過酸化物や染料と反応することを防止でき、この結果、活性酸素発生による褪色や染料の電子状態変化による変化を防止できる。
【0058】
成形工程で使用するバインダー化合物は、予め融解して用いることが好ましく、例えば、50〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。
【0059】
前記成形工程で得られる触媒体の大きさは特に限定されないが、例えば、触媒体を粒子状とする場合には、触媒体の平均粒子径(質量50%)は、100〜1400μmが好ましく、300〜1000μmがより好ましい。上述の範囲内であれば、良好な異臭抑制効果及び溶解性が得られるためである。
【0060】
なお、本明細書において、平均粒子径(質量50%)は、次のように篩を用いて粒度分布を求め、その粒度分布から算出する方法により求められる値である。
まず、測定対象物(サンプル)について、目開き1,680μm、1,410μm、1,190μm、1,000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行う。分級操作は、まず受け皿の上方に該9段の篩を、上に向かって目開きが次第に大きくなるように積み重ね、最上部の目開き1,680μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れる。次いで、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機(飯田製作所社製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩および受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記(i)式より平均粒子径(質量50%)を求める。
【0061】
【数1】

【0062】
触媒体の製造に(a)成分、(b)成分、バインダー化合物を用いる場合、各々の含有量は、(a)成分/(b)成分/バインダー化合物=1〜80質量%/1〜4質量%/16〜98質量%が好ましく、5〜80質量%/1〜4質量%/16〜94質量%がより好ましい。(a)成分は、製品の保存安定性、外観、漂白効果、衣類に対する損傷や褪色の点から上記範囲が好ましく、(b)成分は製品の保存安定性、衣類に対する損傷や褪色の点から上記範囲が好ましく、バインダー化合物は製品の保存安定性、製造性や形状保持、溶解性の点から上記範囲が好ましい。
【0063】
上述の成形工程における(a)成分と(b)成分との全部又は一部は、(a)成分と(b)成分との反応物である錯体に換えることができる。(a)成分と(b)成分との錯体を用いた成形工程は、製造時間・錯体収率・簡便性等のバランスが優れ、工業的な製造において有利なためである。また、後述の回収処理で得られた混合物は、副生塩を分離することなく、そのままの状態で酸化触媒として使用でき、煩雑な処理を伴わない。ただし、より高純度の錯体として酸化触媒を得る必要がある場合等には、反応処理で得られた反応液を1時間〜1週間冷暗所に静置し、生成した沈殿、即ち固体状錯体をろ別によって得る回収方法を採用してもよい。
【0064】
(a)成分と(b)成分との錯体の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法により錯体を製造することができる。
まず、溶媒中に、(b)成分と配位子となる(a)成分とを加えて溶解し、さらに必要に応じてアルカリ剤を添加し、好ましくは室温〜100℃、さらに好ましくは25℃程度の室温下にて攪拌して、これらを反応させる(反応処理)。反応処理の時間は、好ましくは1分間以上、さらには好ましくは1分〜5時間、より好ましくは10分間程度である。反応処理終了後、ただちに反応液から溶媒を減圧留去して、反応処理で生成した固体状錯体と副生塩とを混合物の形態で回収する(回収処理)。
【0065】
得られる錯体の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が5〜200μmの範囲内であり、かつ、粒子径1〜100μmの粒子が錯体全体の10質量%以上である粒度分布であることが好ましい。
ここで、平均粒子径及び粒度分布は、レーザー光散乱法(例えば、粒度分布測定装置(LDSA−3400A(17ch)、東日コンピューターアプリケーションズ株式会社製を使用)によって測定した値であり、平均粒子径は体積基準のメジアン径である。
【0066】
なお、(b)成分と(a)成分からなる配位子とを反応させた後に、未反応の配位子が残存する場合は、必ずしもこれを取り除く必要はない。
【0067】
錯体を製造する際に使用する溶媒としては極性溶媒が好ましく、室温において(a)成分を溶解させることができ、さらには、200℃以下で減圧留去可能なものが好ましい。具体例としては、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できるが、価格、安全性、留去のし易さ等からは、水、エタノール、メタノールのうちの1種以上が好ましく、特に水が好ましい。
【0068】
アルカリ剤としては、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等が使用できる。また、錯体を製造する際に使用する(b)成分としては、溶媒に溶解して銅又はマンガンイオンを発生するものが好ましく、先に例示した各種水溶性金属塩の他、使用する溶媒に可溶な他の塩(例えば、有機溶媒可溶性塩等)を用いることもできる。溶媒としては、上述したように、好ましくは水が使用されることから、(b)成分としては水溶性金属塩を使用することが好ましい。
【0069】
ここで形成される錯体構造としては、特に制限はなく、銅又はマンガン原子1つあたりの配位子の数は1個でも複数個でもよく、1つの錯体を構成する銅及び/又はマンガン原子も1個でも複数個でもよい。即ち、錯体は単核、複核、又はクラスターでもよい。また、多核の錯体である際には、これに含まれる遷移金属は銅元素1種のみでもよいし、例えば銅とマンガンとが混在する場合等のように、複数種であってもよい。さらに、多核の錯体の場合には、酸素、硫黄、ハロゲン原子等の架橋種によって架橋されていてもよい。さらに、このような錯体としては、銅又はマンガン原子に対して(a)成分から生じた陰イオンが少なくとも1つ配位していれば、触媒体の実際の使用時において他の配位子がさらに配位していてもよい。このような他の配位子としては、触媒体を製造する際に使用される後述の任意成分中の各種官能基や原子(例えば、水酸基、フェノール性水酸基、アミノ基、カルボン酸基、チオール基、ハロゲン原子等。)、溶媒の水等が挙げられる。
【0070】
触媒体において、(a)成分と(b)成分との錯体をバインダー化合物と共に用いる場合、各々の含有量は、錯体/バインダー化合物=2〜84質量%/16〜98質量%が好ましく、6〜84質量%/16〜94質量%がさらに好ましい。漂白性組成物の保存安定性、衣類に対する損傷や褪色の点から上記範囲が好ましい。
【0071】
[被覆工程]
被覆工程は、成形工程で得られた触媒体を(c)成分で被覆できるものであれば特に限定されず、例えば、(c)成分と触媒体とを水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間転動混合する乾式コーティングを採用できる。
被覆工程における混合時間は、1分〜90分が好ましく、より好ましくは1分〜60分である。下記(ii)式で定義されるフルード数(Fr)は、水平円筒型転動混合機内における粉体の混合性を示すものである。フルード数は、0.011以上1未満となる条件を選択することが好ましく、より好ましくは0.05〜0.7、さらに好ましくは0.1〜0.65となる条件を選択する。フルード数が0.011未満では、触媒体と(c)成分の巻上げが十分でなく、均一な被覆触媒体が得られない場合がある。フルード数が1以上であると、触媒体や(c)成分に遠心力が強くかかり、混合機内で落下しにくく混合が不十分となったり、混合機の反転時に触媒体や(c)成分が飛散し、被覆触媒体の製造効率が低下する等の場合がある。
【0072】
Fr=V/(R×g) ・・・(ii)
[V:攪拌羽根の先端の周速(m/s)、R:攪拌羽根の回転半径(m)、g重力加速度(m/g)]
【0073】
水平円筒型転動混合機の容積充填率は10〜70容積%が好ましく、15〜60容積%がより好ましく、20〜45容積%がさらに好ましい。
被覆工程における相対湿度は50〜90%RHが好ましい。被覆工程における温度条件は、成形工程で用いるバインダー化合物の融点に応じて決定でき、例えば、10℃〜バインダーの融点+10℃の温度が好ましく、より好ましくは20℃〜バインダーの融点、さらに好ましくは25℃〜バインダーの融点−5℃の温度である。
ここで、本発明における融点とは、JIS K8001「試薬試験法通則」に記載されている凝固点測定法によって測定された値である(以降において同じ)。
【0074】
(c)成分での触媒体の被覆の程度(被覆率)は、触媒体の表面積の60%以上であり、90%以上であることが好ましい。触媒体が(c)成分で被覆されていることで、異臭発生を抑制することができる。異臭発生抑制のメカニズムは明らかではないが、触媒体と他の洗剤成分との接触面積を低減することで異臭発生を抑制する共に、抑制しきれずに発生した異臭をも吸着するためと推測できる。
【0075】
前記被覆率は、例えば、(A)成分をマイクロスコープ(株式会社朝日光学機器製作所製、Handi Scope TM)や、走査電子顕微鏡(例えば、株式会社島津製作所製、SUPERSCAN SS−550)を用い、確認できる。例えば、マイクロスコープやSEMにより(A)成分の表面観察を行い、画像処理等で画像中の触媒体の画像面積に対する(c)成分により被覆されている画像面積の割合を算出することで、触媒体の被覆率の確認ができる。
【0076】
≪(B)成分:界面活性剤≫
(B)成分は界面活性剤である。(B)成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0077】
アニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(10)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(11)炭素数14〜18の脂肪酸メチルエステルスルホン酸塩(MES)
【0078】
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。また、これらのアニオン界面活性剤は混合物として使用してもよい。
【0079】
ノニオン界面活性剤としては、従来から洗剤に使用されているものであれば、特に限定されることなく、各種のノニオン界面活性剤を使用することができる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
【0080】
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル、さらに好ましくは3〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(III)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
【0081】
CO(OA)OR10 ・・・(III)
[式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、qはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。OR10は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4の)アルキル基である。]
【0082】
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0083】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、その中でも炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが特に好ましい。
【0084】
また、融点が50℃以下でHLB値が9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。
これらのノニオン界面活性剤は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0085】
カチオン界面活性剤としては、従来から洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、各種のカチオン界面活性剤を使用することができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。中でも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0086】
両性界面活性剤としては、従来から洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、例えばイミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0087】
なお、(B)成分は、上記界面活性剤に限定されるものではなく、これらを1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0088】
本発明の漂白性組成物においては、安定性の面から、(B)成分は、界面活性剤含有粒子として、(A)成分及び(C)成分とは別粒子として調製されるのが好ましく、特に、(C)の造粒用基剤、及び、触媒体のバインダー化合物として用いられる界面活性剤を除く界面活性剤を(B)成分を含む界面活性剤粒子として調製することが好ましい。
【0089】
漂白性組成物に使用するのに好適な界面活性剤含有粒子の製造方法は、アニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子と、ノニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子の2種に大きく分けることができる。
【0090】
[アニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子]
アニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子(以下、含アニオン界面活性剤粒子という)とは、アニオン界面活性剤を必須成分とし、含アニオン界面活性剤粒子中に配合されている界面活性剤の中でアニオン界面活性剤の含有量が最も多くなっている粒子を意味する。よって、アニオン界面活性剤以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等他の界面活性剤も含有量は制限されるものの、好適に配合可能である。
【0091】
含アニオン界面活性剤粒子で用いられるアニオン界面活性剤としては、前述の(B)成分として挙げたように、従来から洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、各種のアニオン界面活性剤を使用することができる。含アニオン界面活性剤粒子において、界面活性剤は、アニオン界面活性剤を主界面活性剤として、アニオン界面活性剤の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
含アニオン界面活性剤粒子中の全界面活性剤の含有量としては、漂白性組成物に所望する洗浄性能を勘案して決定することができ、例えば、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは15〜50質量%である。上述の範囲であれば、十分な洗浄効果を発揮できるためである。また、アニオン界面活性剤/その他界面活性剤の質量比率としては、100/0〜50/50であり、好ましくは100/0〜55/45、さらに好ましくは95/5〜70/30である。
【0093】
アニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子には、前記各種添加剤及び補助成分を特に限定されることなく、使用することができる。
この内、無機ビルダーとして、溶解性向上の効果を併せ持つ炭酸カリウム、硫酸カリウム等のカリウム塩や、塩化カリウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩化物が挙げられる。中でも、炭酸カリウムや、塩化カリウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩化物が溶解性向上効果とコストのバランスから好ましい。
【0094】
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は溶解性向上効果の点から、界面活性剤含有粒子中に好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜10質量%である。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は溶解性向上効果の点から、界面活性剤含有粒子中に好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
【0095】
含アニオン界面活性剤粒子の物性値は、特に制限されるものではないが、嵩密度は、通常0.3g/mL以上、好ましくは0.5〜1.2g/mL、より好ましくは0.6〜1.1g/mLである。嵩密度は、JIS−K3362により測定される値である(以降において同じ)。
【0096】
また、平均粒子径(質量50%)は、好ましくは200〜1500μm、より好ましくは300〜1000μmである。平均粒子径(質量50%)が200μm未満であると粉塵が発生し易くなる場合があり、一方、1500μmを超えると、溶解性が不十分になる場合がある。さらに、界面活性剤含有粒子の流動性は、安息角として60°以下、特に50°以下が好適である。安息角が60°を超えると粒子の取扱性が悪化する場合がある。
なお、安息角は、容器に満たした粒子が流出するときに形成されるすべり面の水平面となす角を測定する、いわゆる排出法による安息角測定法により測定することができる。
【0097】
アニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子は大きく以下の2種の方法によって得ることができる。
(1)中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する方法。
(2)アニオン界面活性剤の酸前駆体をドライ中和して造粒する方法。
【0098】
(1)中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する方法では、以下の造粒方法によって得ることができる。
(1−1)洗剤成分の原料粉末及びバインダー化合物(界面活性剤、水、液体高分子成分等)を捏和・混練した後、押出して造粒する押出造粒法、
(1−2)捏和・混練した後、得られた固形洗剤を破砕して造粒する捏和・破砕造粒法、
(1−3)原料粉末にバインダー化合物を添加し撹拌羽根で撹拌して造粒する撹拌造粒法、
(1−4)原料粉末を転動させつつバインダー化合物を噴霧して造粒する転動造粒法、
(1−5)原料粉末を流動化させつつ、液体バインダーを噴霧し造粒する流動層造粒法、等が挙げられる。
【0099】
(2)アニオン界面活性剤の酸前駆体をドライ中和して造粒する方法では、アニオン界面活性剤の酸前駆体とアルカリ性無機粉体を接触・混合させつつ中和し、造粒する必要があるが、基本的には(1)中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する方法で用いられる造粒方法が同様に好適に利用される。具体的方法、装置、条件等は前述した通りである。
【0100】
好適なアニオン界面活性剤の酸前駆体は前述した好適に利用できるアニオン界面活性剤の酸前駆体であればいずれの酸前駆体も好適に利用可能である。また、中和剤としてのアルカリ性粉体としては特に限定されるものではないが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属燐酸塩等が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム・カリウム等が挙げられ、アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、層状珪酸ナトリウム等が挙げられ、アルカリ金属燐酸塩としては、トリポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中で、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、その中でも特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム・カリウムが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上述した方法により造粒された含アニオン界面活性剤粒子は、必要に応じて分級して所望の粒度の界面活性剤含有粒子のみ製品に利用することもできる。
【0101】
(ノニオン界面活性剤が主界面活性剤である界面活性剤含有粒子)
ノニオン界面活性剤が主界面活性剤である界面活性剤含有粒子(以下、含ノニオン界面活性剤粒子という)とは、ノニオン界面活性剤を必須成分として含有し、含ノニオン界面活性剤粒子中に配合されている界面活性剤成分の中でノニオン界面活性剤の含有量が最も多くなっている粒子を意味する。従って、ノニオン界面活性剤以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等他の界面活性剤も含有量は制限されるものの、配合することができる。
【0102】
ノニオン界面活性剤としては、従来から洗剤に使用されているものであれば、特に限定されることなく、各種のノニオン界面活性剤を使用することができる。ノニオン界面活性剤としては、前述の(B)成分に挙げたものと同様のものが利用可能である。
含ノニオン界面活性剤粒子中のノニオン界面活性剤としては、融点が40℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレートが好ましい。その他、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等他の界面活性剤も、前述の触媒体に用いるバインダー化合物の界面活性剤に挙げたものと同様のものが好適に利用可能である。上記界面活性剤は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、含ノニオン界面活性剤粒子においてノニオン界面活性剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
含ノニオン界面活性剤粒子中の全界面活性剤の含有量は、十分な洗浄性能を付与する点から、界面活性剤含有粒子中に好ましくは5〜85質量%、より好ましくは10〜60質量%である。また、ノニオン界面活性剤/その他界面活性剤の質量比率としては、100/0〜50/50であり、好ましくは100/0〜60/40、さらに好ましくは95/5〜70/30である。
【0104】
含ノニオン界面活性剤粒子中に含まれる他の成分として、無機及び有機の洗浄ビルダーが挙げられる。洗浄ビルダーとしては前述の含アニオン界面活性剤粒子に配合可能な洗浄ビルダーが同様に利用可能である。好適な洗浄ビルダー、洗浄ビルダーの含有量についても同様である。
【0105】
また、含ノニオン界面活性剤粒子中には、ノニオン界面活性剤を担持するための吸油性担体や造粒助剤としての粘土鉱物等を配合することが好ましい。
【0106】
吸油性担体としては、JIS−K5101試験方法で表される吸油量が好ましくは80mL/100g以上、より好ましくは150〜600mL/100gの吸油性である物質が好適に用いられる。このような吸油性担体としては、例えば特開平5−125400号公報や特開平5−209200号公報記載の成分が挙げられる。これらの吸油性担体は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。吸油性担体は、含ノニオン界面活性剤粒子中に、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%含有される。
【0107】
粘土鉱物としては、特に、スメクタイト群に属し、その結晶構造がジオクタヘドラル型3層構造又はトリオクタヘドラル型3層構造をとるものが好ましい。本発明の洗剤成分として使用できる粘土鉱物は、好ましくは吸油量が80mL/100g未満、さらに好ましくは30〜70mL/100gで、嵩密度が好ましくは0.1g/mL以上、さらに好ましくは0.2〜1.5g/mLのものである。
このような粘土鉱物の具体例としては、特開平9−87691号公報記載の成分が挙げられる。
【0108】
粘土鉱物は、ノニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子中に、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%含有される。
【0109】
本発明に用いられる含ノニオン界面活性剤粒子には、前記各種添加剤及び補助成分として含アニオン界面活性剤粒子に好適に配合可能なものを同様に用いることができる。
【0110】
含ノニオン界面活性剤粒子の物性値は、特に制限されるものではないが、嵩密度は、通常0.3g/mL以上、好ましくは0.5〜1.2g/mL、より好ましくは0.6〜1.1g/mLである。また、平均粒径は、好ましくは200〜1500μm、より好ましくは300〜1000μmである。平均粒径が200μm未満になると粉塵が発生し易くなる場合があり、一方、1500μmを超えると溶解性が不十分になる場合がある。さらに、界面活性剤含有粒子の流動性は、安息角として60°以下、特に50°以下が好適である。60°を超えると粒子の取扱性が悪化する場合がある。
【0111】
含ノニオン界面活性剤粒子は、含アニオン界面活性剤粒子と同様の造粒方法によって得ることができる。
【0112】
このような界面活性剤含有粒子を用いる場合、本発明の漂白性組成物は、含アニオン界面活性剤粒子及び/又は含ノニオン界面活性剤粒子と、それ以外の成分とを混合して調製することができる。
【0113】
漂白性組成物中の(B)成分の含有量は、漂白性組成物の用途等を考慮して決定できる。
例えば、漂白性組成物が洗剤組成物である場合、十分な洗浄性能を付与する点から、洗剤組成物中の(B)成分の含有量は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%がさらに好ましい。加えて、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の合計量は、全界面活性剤の50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
また、漂白性組成物が漂白剤組成物である場合、疎水性成分(香料等)の洗浄液への溶解性及び疎水性成分衣類への浸透性の向上を図る観点から、界面活性剤含有粒子に加え、さらに(B)成分を配合してもよい。漂白剤組成物中の(B)成分の含有量は、例えば、0.1〜15質量%が好ましく、0.2〜10質量%がより好ましい。上記上限値を超えても衣類についたシミ汚れ、長期間着用後に生じた衣類の黄ばみ汚れに対して漂白効果が高まらない場合があると共に、下限値未満では十分な界面活性剤の含有量が確保できずに洗浄効果が不十分となる場合がある。
【0114】
<(C)成分:過酸化物>
(C)成分は、水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物である。(C)成分としては、例えば、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム・3水和物等が挙げられ、使用時の溶解性や貯蔵時の安定性の点から、過炭酸ナトリウムを用いるのが好ましい。過炭酸ナトリウムは、さらに貯蔵時の安定性を改善するために、被覆過炭酸ナトリウムがより好ましい。特にケイ酸及び/又はケイ酸塩とホウ酸及び/又はホウ酸塩とで被覆されたものやLAS等の界面活性剤と無機化合物とを組み合わせて被覆されたものが好ましい。具体的には、特許第2918991号公報等に記載されているように、ケイ酸及び/又はケイ酸アルカリ金属塩水溶液とホウ酸及び/又はホウ酸アルカリ金属塩水溶液等を噴霧して被覆したものや、特許第2871298号公報等の芳香族炭化水素スルホン酸及び/又は平均粒子径(質量50%)が10〜500μmである珪酸アルカリ塩、炭酸塩、重炭酸塩及び硫酸塩で被覆したもの、パラフィンやワックス等の水不溶性有機化合物で被覆したもの等を用いたり、非危険物化のために炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等種々の無機物等と粉体ブレンドして用いるのが好ましい。さらに界面活性剤の配合等により漂白性組成物中の水分が多い場合には、過炭酸ナトリウムにケイ酸及びホウ酸ナトリウムで被覆した被覆過酸化物、芳香族炭化水素スルホン酸及び珪酸アルカリ塩、炭酸塩、重炭酸塩及び硫酸塩で被覆したものを用いるのがより好ましい。これら過酸化物は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0115】
被覆過炭酸ナトリウムの製法は、特開昭59−196399号公報、USP4526698号(いずれも過炭酸ナトリウムをホウ酸塩で被覆)の他に特開平4−31498号公報、特開平6−40709号公報、特開平7−118003号公報、特許第2871298号公報に掲載されている方法も挙げることができる。無機過酸化物の平均粒径は200〜1000μmが好ましく、より好ましくは500〜1000μmであり、溶解性及び安定性の両方を満たすために粒径125μm未満の粒子及び1400μmを超える粒子は(C)成分中に10質量%以下であることが好ましい。なお、漂白性組成物においては過酸化物の安定性を考慮すると、水分が2質量%以下であることが好ましい。
【0116】
漂白性組成物中の(C)成分の含有量は特に限定されないが、例えば、洗剤組成物であれば1〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましく2〜18質量%である。また例えば、漂白剤組成物であれば30〜90質量%が好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。上記上限値を超えても衣類についたシミ汚れ、長期間着用後に生じた衣類の黄ばみ汚れに対して漂白効果が高まらない場合があると共に、十分な界面活性剤の含有量が確保できずに洗浄効果が不十分となる場合がある。上記下限値未満では頑固なしみ汚れに対して十分な漂白効果が得られない場合がある。
【0117】
<漂白性組成物の任意成分>
漂白性組成物中には、上記、(A)〜(C)成分に加えて、必要に応じて本発明の効果に悪影響を与えない範囲で各種添加剤等を配合することができる。具体的には、下記に示すものである。
【0118】
≪洗浄性ビルダー≫
漂白性組成物中に含まれる他の成分として、無機及び有機の洗浄性ビルダーが挙げられる。
[無機ビルダー]
無機ビルダーとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、結晶性層状珪酸ナトリウム(例えばクラリアントジャパン社製の商品名[Na−SKS−6](δ−Na2O・2SiO2))等の結晶性アルカリ金属珪酸塩、非晶質アルカリ金属珪酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物、結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。無機ビルダーの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩が好ましい。
【0119】
アルミノ珪酸塩としては、結晶質、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができるが、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、漂白性組成物の1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%が洗浄力及び流動性等の粉体物性の点で特に好ましい。
【0120】
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、漂白性組成物中に、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である。
【0121】
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、漂白性組成物中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
【0122】
結晶性アルカリ金属珪酸塩を漂白性組成物中に配合する場合は、0.5〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%含有することが洗浄力の点から好ましい。
【0123】
[有機ビルダー]
有機ビルダーとしては、例えばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物等の多糖類誘導体等が挙げられる。
【0124】
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(例えば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好適である。
有機ビルダーの含有量は、漂白性組成物中、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0125】
洗浄性ビルダーは、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。洗浄力、洗浄液中での汚れ分散性を改善する目的から、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩等の有機ビルダーとゼオライト等の無機ビルダーとを併用するのが好ましい。洗浄性ビルダーの含有量は、十分な洗浄性を付与するために、漂白性組成物中10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜75質量%である。
【0126】
≪漂白活性化剤≫
漂白活性化剤は、有機過酸前駆体であり、過酸化水素等の過酸化物によって有機過酸を発生する化合物である。漂白活性化剤の具体的な例としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等が挙げられる。また、下記一般式(IV)、(V)で表される化合物が挙げられる。
【0127】
【化8】

【0128】
[式中、Rはエステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていてもよい炭素数1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3のアルキル基であり、Rはエステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていてもよく、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキレン基である。R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。Zは陰イオンであり、好ましくはハロゲンイオン、硫酸イオン、脂肪酸イオン又は炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。]
【0129】
また、漂白活性化剤から生成される有機過酸は、洗濯系で殺菌力を示し、衣類に残留する微生物の生菌数を減少させる効果も併せ持つ(宮前喜隆、松永聡、戸部聖一、高橋健治、吉村晴夫、皐月輝久、第28回洗浄に関するシンポジウム要旨集、p.157〜p.165(1996))。殺菌力の点からみると、特にC8〜C12の有機過酸を生成する漂白活性化剤が好ましい。これらの漂白活性化剤の具体例としては、デカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、中でも漂白効果の点から4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。褪色抑制効果の点からは、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
本発明において、漂白活性化剤は、貯蔵時の保存安定性の点から、造粒物又は成形物として配合されることが好ましい。
【0130】
≪香料≫
香料としては、特開2002−146399号公報や特開2003−89800号公報記載の成分が用いることができる。
なお、香料組成物とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。本発明の漂白性組成物に上記香料組成物を配合する場合、その含有量は漂白性組成物中、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%である。
本発明の粉末漂白性組成物に上記香料成分を配合する場合、上記の界面活性剤含有粒子の調製時に界面活性剤含有粒子あるいは最終的に得られた漂白性組成物に対して、混合機内で香料成分を噴霧あるいは滴下して用いられるのがよく、噴霧して用いられるのがより好ましい。
【0131】
≪色素≫
漂白性組成物の外観を良好にするために、各種色素を用いることができる。漂白性組成物に用いられる色素としては、染料や顔料が挙げられるが、中でも保存安定性の点から顔料が好ましく酸化物等耐酸化性を有するものが特に好ましい。好ましい化合物としては、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。また、これら色素は、触媒体と一緒に造粒するのが好ましく、この場合、ポリエチレングリコール(PEG)等のバインダー化合物に色素を溶解又は分散したものを用いるのが好ましい。
【0132】
≪蛍光増白剤≫
本発明の漂白性組成物には、蛍光染料として、例えば、4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。市販の蛍光染料としてはホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名;住友化学株式会社製)、チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Lemonite CBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals社製)等を含有することができる。これらの中ではチノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましく、含有量としては、0.001〜1質量%が好ましい。これらは1種で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0133】
≪酵素≫
漂白性組成物に配合することができる酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、及びイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。中でも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
プロテアーゼとしては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA又はB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA又はB等が挙げられる。プロテアーゼの市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名;昭和電工株式会社製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK−14又はK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
【0134】
エステラーゼとしては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼとしては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名;昭和電工株式会社製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、セルザイム(商品名;ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、及びアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては、市販のステインザイム、ターマミル、デュラミル(以上、商品名;ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
上記酵素は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0135】
≪酵素安定剤≫
本発明の漂白性組成物は、酵素安定剤として、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。これらの中では、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等がより好ましく、含有量としては組成物中に0.05〜2質量%が好ましい。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0136】
≪その他のポリマー類≫
活性剤含有粒子を高密度化する場合におけるバインダーや粉末物製剤として、さらには疎水性微粒子に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200,000のポリエチレングリコールや重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸のポリマー、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等を配合することができる。また、汚れ放出剤としてテレフタル酸とエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール単位とのコポリマー又はターポリマー等を配合することや、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。これらの中では、平均分子量1500〜7000のポリエチレングリコールが好ましく、含有量としては0.05〜5質量%が好ましい。これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0137】
≪ケーキング防止剤≫
ケーキング防止剤として、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0138】
≪消泡剤≫
消泡剤としては、従来から知られている例えばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができ、この消泡剤は、次に説明する特開平3−186307号公報4頁左下欄に記載の方法を用いて製造した消泡剤造粒物としてもよい。まず、日澱化学株式会社製マルトデキストリン(酵素変性デキストリン)100gに消泡成分としてダウコーニング社製シリコーン(コンパウンド型、PSアンチフォーム)を20g添加し混合し、均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%及び中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合後、不二パウダル株式会社製押出し造粒機(型式EXKS−1)により造粒し、消泡剤の造粒物を得ることができる。
【0139】
≪還元剤≫
還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0140】
≪金属イオン捕捉剤≫
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗浄物)への吸着を抑制する効果を有する。
漂白性組成物に配合することができる金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はその塩;ジグリコール酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類又はその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
漂白性組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、触媒体の性能を損なわない範囲で用いるよう配慮が必要となる。
【0141】
≪pH調整剤≫
漂白性組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、漂白性組成物の1質量%水溶液におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
漂白性組成物のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤のほか、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
具体的には、例えば、水への溶解性及びアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、漂白性組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、又はそれらのポリカルボン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0142】
(漂白性組成物の製造方法)
漂白性組成物の製造方法は特に限定されず、所望する漂白性組成物の形態に応じて決定することができる。本発明の漂白性組成物の形態は、例えば、粉末、顆粒、タブレット、ブリケット、シート又はバー等の固体が挙げられ、中でも粉末漂白性組成物に本発明を適用することが好ましい。漂白性組成物の製造方法としては、上述した(A)成分、界面活性剤含有粒子、(C)成分を粉体混合機を用いて混合し、粉体の漂白性組成物とする製造方法が挙げられる。あるいは、(A)成分、界面活性剤含有粒子、(C)成分を打錠機を用いてタブレットとする製造方法が挙げられる。
【0143】
最終的に得られた漂白性組成物の物性値は、特に制限されるものではないが、嵩密度は、通常0.3g/mL以上、好ましくは0.4〜1.2g/mL、より好ましくは0.5〜1.0g/mLである。また、平均粒径は、好ましくは200〜1500μm、より好ましくは300〜1000μmである。200μm未満になると粉塵が発生し易くなる場合があり、一方、1500μmを超えると溶解性が不十分になる場合がある。さらに、界面活性剤含有粒子の流動性は、安息角として60°以下、特に50°以下が好適である。60°を超えると粒子の取扱性が悪化する場合がある
【0144】
(漂白性組成物の使用方法)
本発明の漂白性組成物の使用方法は、特に制限されないが、例えば、漂白剤組成物であれば、洗浄液に漂白剤組成物が0.02〜0.5質量%となるように投入し、洗濯機で被洗浄物を洗濯したり、漂白剤組成物の濃度を0.02〜2質量%とした洗浄液に被洗浄物を浸け置く等の方法が好適であり、特に浸け置き時間が15分〜12時間程度、好ましくは15〜60分程度の浸け置きに好適に使用できる。また例えば、洗剤組成物であれば、洗浄液に洗剤組成物が0.02〜2質量%となるように投入し、洗濯機で被洗浄物を洗濯したり、洗剤組成物の濃度を0.02〜2質量%とした洗浄液に被洗浄物を浸け置く等の方法が好適であり、特に洗濯機に投入して5〜20分間洗濯を行うのに好適に使用することができる。
【0145】
上述の通り、本発明の漂白性組成物は、(a)成分と(b)成分との混合物及び/又は反応物を触媒体とし、該触媒体を(c)成分で被覆した(A)成分:被覆触媒体と、(B)成分:界面活性剤、(C)成分:過酸化物とを含むことで、被洗浄物の褪変色及び保存中の異臭発生を防止でき、優れた漂白効果を発揮することができる。
近年では、ドラム式洗濯機が普及し、従来の縦型式洗濯機に比べると洗浄時間が1.5〜2倍程度となっている。このため、洗浄液中の界面活性剤と過酸化水素との相互作用を考えると、良好な漂白効果(機能)を得るには、長時間にわたって洗浄液中の過酸化水素濃度を高く保つ必要がある。本発明においては、洗浄液中で(b)成分と錯体を形成する化合物として配位定数が比較的高い(a)成分を選択することで、洗浄液中でより安定して錯体を維持できる。そして、ドラム式洗濯機での長時間の洗濯でも、洗浄液中の過酸化水素濃度を高く保ち、良好な漂白効果を発揮できる。
【実施例】
【0146】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示し、「部」は「質量部」を示す。
【0147】
(評価方法)
<触媒体被覆率の評価>
≪試験方法≫
触媒体被覆率の評価は以下の方法で試験を行った。下記の実施例1〜16、比較例1、8、9の触媒造粒物に関して、走査電子顕微鏡(株式会社島津製作所製、SUPERSCAN SS−550)を用いて、(A)成分の表面観察を行った。静止画像の解析ソフトを用いて、画像処理によりで画像中の(c)成分の付着した面積を算出し、画像中の触媒体の面積に対する(c)成分の面積比の算出によって、触媒体の被覆率を算出した。
【0148】
≪評価方法≫
A:触媒体被覆率90%以上
B:触媒体被覆率80%以上90%未満
C:触媒体被覆率60%以上80%未満
D:触媒体被覆率40%以上60%未満
E:触媒体被覆率40%未満
【0149】
<残存過酸化水素量の評価>
≪試験方法≫
残存過酸化水素量の評価は以下の方法で行った。各例の各漂白性組成物が667mg/L濃度になるように、水温15℃の水道水900mLに溶解し洗浄液の試料を調製した。続いて使用環境を想定し、Terg−O−Tometer(U.S.Testing社製)を用いて、回転数120rpm、15℃下で10分間攪拌処理を行い、攪拌処理前後の試料の有効酸素濃度(以下、AVO)(%)を測定した。測定はヨードメトリー法にてAVOを求めることで、残存過酸化水素を測定した。
測定は、まず、攪拌処理前又は後の試料900mLを2Lビーカーに入れ、33%酢酸水溶液を10mL加えた後、10%よう化カリウム溶液(1級、純正化学株式会社製)を5mL添加した。マグネチックスターラーで攪拌しながら1%モリブデン酸アンモニウム4水和物水溶液(1級、純正化学株式会社製)を数滴加えた後、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(純正化学株式会社製)で滴定した。溶液の色が茶色から黄色を経て無色になったところを終点とした。下式(iii)によりAVOを求め、攪拌開始前の有効酸素濃度を100%として、下式(iv)より10分後の試料中の残存過酸化水素(%)を求めた。
【0150】
AVO(%)={0.1×f×滴定量(mL)×(1/2)×(1/1000)×16}÷試料量(g)×100 ・・・(iii)
【0151】
[f:0.1mоl/Lチオ硫酸ナトリウムの力価]
【0152】
残存過酸化水素(%)=攪拌処理後の試料のAVO(%)÷攪拌処理前の試料のAVO(%)× 100 ・・・(iv)
【0153】
≪評価方法≫
上記式(iii)、(iv)より、算出した残存過酸化水素から下記評価基準に従い判定した。
A:70%以上
B:40%超、70%未満
C:40%以下
【0154】
<異臭抑制効果の評価>
≪試験方法≫
異臭抑制効果は以下の方法で試験を行った。プラスチック製の密閉容器(S−22、寸法:167mm×117mm×58mm、本体材質:ポリプロピレン、蓋材質:EVA樹脂、株式会社エンテック製)に各々下記の実施例・比較例の組成の漂白性組成物0.5kgを封入し、45℃、湿度85%、16時間→25℃、湿度65%、8時間のリサイクル条件にて、異臭発生の加速試験を3週間行い、漂白性組成物の臭気の官能評価を行った。
【0155】
≪評価方法≫
異臭抑制効果の評価は、専門家が下記の6段階臭気強度表示法に従い、保存後の漂白性組成物の臭いを官能で評価した。
0:無臭
1:やっと感知できる臭い
2:何の臭いであるかわかる臭い
3:容易に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
【0156】
<褪変色抑制効果の評価>
≪試験方法≫
褪変色抑制効果は、以下の方法で試験を行った。プラスチック製シャーレに青色ポロシャツ布(6cm×6cm、株式会社ユニクロ製ヘビーウェイトTシャツ(半袖)65Blue)を置き、その上に実施例・比較例の組成の漂白性組成物2.5gを均一に振り掛け、もう1枚同じ青色ポロシャツ布を覆い被せた。40℃の水道水4mLを青色ポロシャツ布全体に滴下し、シャーレの蓋を閉じ、120分間静置した。120分間静置後、青色ポロシャツ布に付着した漂白性組成物を洗い流し、洗濯機(JW−Z23A型、ハイアール社製)の通常コース(すすぎ2回水道水)を行い、アイロンで乾燥した。
【0157】
≪評価方法≫
アイロンで乾燥した後の褪変色を下記評価基準に従い、目視で比較、判定した。
○:未処理品と比較して褪変色なし
×:未処理品と比較して褪変色あり
【0158】
(使用原料)
実施例及び比較例に使用した原料は次のとおりである。
<成分(A):被覆触媒体>
≪(a)成分:キレート化合物≫
・HIDS:3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム塩(株式会社日本触媒製)
・IDS:2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム塩(ランクセス製)
・MGDA:メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム塩(BASF社製)
【0159】
≪(a’)成分:(a)成分の比較品≫
・DPA:2−6−ピリジンカルボン酸(ACROS ORGANICS製)
【0160】
≪(b)成分:銅化合物及び/又はマンガン化合物≫
・硫酸銅(II)5水和物(関東化学株式会社製)
・塩化マンガン(MnCl)・4水和物(試薬、関東化学株式会社製)
【0161】
≪(c)成分:水不溶性無機粉体≫
・アルミノケイ酸塩A型ゼオライトa:SP#2300(平均粒子径:1.25μm、日東粉化工業株式会社製)
・アルミノケイ酸塩A型ゼオライトb:VALFOR 100 ゼオライトNaA(平均粒子径:4μm、PQケミカル社製)
・アルミノケイ酸塩A型ゼオライトc:ゼオライト4A(平均粒子径:7μm、SHANDONG ALMINIUM社製)
・アルミノケイ酸塩A型ゼオライトd:日東ゼオライト#150(平均粒子径:100μm、日東粉化学工業株式会社製)
・ベントナイト N型モンモリロナイト(クニピアF、平均粒子径:100μm、クニピア工業株式会社)
・酸化チタン(ST01、平均粒子径:7nm、石原産業株式会社製)
【0162】
≪(c’)成分:(c)成分に属しない粉体≫
・水溶性無機粉体:硫酸ナトリウム 中性無水芒硝(中性無水芒硝A0B、平均粒子径:150μm、四国化成株式会社製)
・水溶性有機粉体:粉末セルロース(KCフロック、W−400G、平均粒子径:24μm、日本製紙ケミカル株式会社製)
【0163】
≪バインダー化合物≫
・PEG6000:ポリエチレングリコール#6000M(平均分子量8300、凝固点58度、ライオン株式会社製)
【0164】
<(B)成分:界面活性剤及び任意成分>
実施例及び比較例には、表1に記載の配合に従い(B)成分を含む界面活性剤含有粒子として調製したものを用いた。表1中の略称成分は、以下のものを使用した。
≪界面活性剤≫
・MES:炭素数16:炭素数18=80:20の脂肪酸メチルエステルスルフォネートのナトリウム塩(ライオン株式会社製、AI=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)
・LAS塩:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製ライポンLH−200(LAS−H 純分96%))を調製時に48%水酸化ナトリウム水溶液で中和した化合物(LAS−Na)と、水酸化ナトリウムの代わりに48%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物(LAS−K)を質量比2:1で混合したもの。表中の配合量は、これらの混合物としての値(質量%)を示す
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン株式会社製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)
・ノニオン界面活性剤:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体
≪任意成分≫
・炭酸ナトリウム:重質炭酸ナトリウム(ソーダ灰、旭硝子株式会社製)
・蛍光増白剤:チノパールCBS−X(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・酵素:エバラーゼ8T(ノボザイムズ社製)/LIPEX50T(ノボザイムズ社製)/ターマミル60T(ノボザイムズ社製)/セルザイム0.7T(ノボザイムズ社製)=5/2/1/2(質量比)の混合物
・ポリマーA:アクリル酸/マレイン酸共重合体のナトリウム塩(商品名:ソカランCP7、BASF社製)
・香料:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物B
・CMC:カルボキシメチルセルロース(商品名:CMCダイセル1190、分子量:82万、エーテル化度:0.7、ダイセル化学工業株式会社製)
【0165】
【表1】

【0166】
<(C)成分:過酸化物>
・過炭酸塩1:ケイ酸とホウ酸ナトリウムでコーティングした被覆過炭酸ナトリウム(商品名:SPC−D、有効酸素量13.2%、平均粒子径:760μm、三菱ガス化学株式会社製)
・過炭酸塩2:過炭酸ナトリウム(商品名:SPCC、有効酸素量:13.8%、平均粒子径(質量50%):870μm、Zhejiang JINKE CHEMICALS社製)
・過炭酸塩3:過炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム=77/3/20のブレンド品(商品名:SPC−Z、有効酸素量:10.9%、平均粒子径:500μm、三菱ガス化学株式会社製)
【0167】
(製造例1)界面活性剤含有粒子組成物の製造
表1に示す組成に従って、下記に示す調製方法により、界面活性剤含有粒子組成物を製造した。
工程(A):撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにMESとノニオン界面活性剤を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA剤(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)を添加した。さらに10分間撹拌した後、A型ゼオライトaの一部(表1に記載する添加量より1.0%の捏和時添加用、5.0%の粉砕助剤用、1.5%の表面改質用のA型ゼオライトaを除いた量)、炭酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径(質量50%);320μm、嵩密度;0.30g/cm、水分;5%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0168】
工程(B):工程(A)で得た噴霧乾燥粒子、MES、1.0%のA型ゼオライトa、噴霧添加用のノニオン界面活性剤0.5%を除く残りのノニオン界面活性剤、蛍光増白剤、ポリマーA及び水を連続ニーダー(KRC−S4型、株式会社栗本鐵工所製)に投入し、捏和能力;120kg/hr、温度;60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分6%の混合物を得た。
【0169】
工程(C):工程(B)で得た混合物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(EXDFJS−100型、不二パウダル株式会社製)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速;5m/s)長さ5〜30mm程度のペレットを得た。次いで、得られたペレットに粉砕助剤としてのA型ゼオライトaを5.0%添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(DKA−3、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて粉砕(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)し、界面活性剤含有粒子を得た。
【0170】
工程(D):工程(C)で得られた界面活性剤含有粒子と、CMCとを水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、1.5%の表面改質用のA型ゼオライトaを加え、0.5%のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質した粒子を得た。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、上記で得られた粒子と酵素を添加し、5分間混合し界面活性剤含有粒子組成物を得た。
【0171】
(製造例2)触媒造粒物1〜3、5〜13の製造
表2の配合に従い、以下の方法により被覆触媒体である触媒造粒物1〜3、5〜13を製造した。
<成形工程>
(a)成分、(b)成分及びバインダー成分の混合粉体を連続ニーダー(KRS−S1型、株式会社クリモト鉄工所製)に投入し、60℃で混練後、1mmの多孔性スクリーンを通して押し出し、ヌードル状の混合物を得た。得られた混合物を粉砕機(NEW SPEED MILL、岡田精工株式会社製)を用いて粉砕し粉砕物を得た。該粉砕物を篩分けし、粒子径300〜700μmの触媒体とした。
【0172】
【表2】

【0173】
<被覆工程>
表2に従い、得られた触媒体と(c)成分とを水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間転動混合し、(A)成分:被覆触媒体である触媒造粒物1〜3、5〜13を得た。なお、(c)成分の添加量は、触媒体100部に対する添加量「部」である。
【0174】
(製造例3)触媒造粒物4の製造
表2の配合に従い、イオン交換水300ml中に、硫酸銅(II)5水和物1.0gと、MGDA16gとを添加し、室温で10分間攪拌した。その後、150℃に保持された油浴上で水を減圧留去し、乾燥した固体を回収することにより、メチルグリシンジ酢酸銅錯体とメチルグリシンジ酢酸との錯体(MGDA−Cu)を触媒体として得て、製造例2と同様の成形工程を経た。得られた触媒体を製造例2の被覆工程と同様にして、被覆触媒体である触媒造粒物4を得た。なお、表2中、錯体(MGDA−Cu)は(a)成分の欄に記載した。
【0175】
(製造例4)触媒造粒物14〜17、19の製造
表2の配合に従い、被覆工程を設けなかった以外は、製造例2と同様にして触媒造粒物14〜17、19を製造した。
【0176】
(製造例5)触媒造粒物18の製造
表2の配合に従い、被覆工程を設けなかった以外は、製造例3と同様にして触媒造粒物18を製造した。なお、表2中、錯体(MGDA−Cu)は(a)成分の欄に記載した。
【0177】
(製造例6)触媒造粒物20、21の製造
表2の配合に従い、(c)成分を(c’)成分(硫酸ナトリウム又は粉末セルロース)とした以外は、製造例2と同様にして触媒造粒物20、21を製造した。
【0178】
(製造例7)被覆硫酸銅の製造
硫酸銅2.5部に対し、バインダー化合物97.5部、(c)成分としてA型ゼオライトa14部を水平円筒型転動混合機に投入し、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間転動混合して、被覆硫酸銅を製造した。
【0179】
(製造例8)被覆MGDAの製造
MGDA40部に対し、バインダー化合物60部、(c)成分としてA型ゼオライトa14部を水平円筒型転動混合機に投入し、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1分間転動混合して、被覆MGDAを製造した。
【0180】
(実施例1〜16、比較例1〜9)
表3、4の配合に従い、触媒造粒物、過炭酸塩及び界面活性剤含有粒子組成物を混合し、漂白性組成物を得た。得られた漂白性組成物について、前述の異臭抑制効果、褪変色抑制効果の評価及び残存過酸化水素の評価を行い、その結果を表3、4に示す。
【0181】
(比較例10)
表4の配合に従い、被覆硫酸銅、被覆MGDA、過炭酸塩及び界面活性剤含有粒子を混合し、漂白性組成物を得た。得られた漂白性組成物について、前述の異臭抑制効果、褪変色抑制効果の評価及び残存過酸化水素の評価を行い、その結果を表4に示す。
【0182】
【表3】

【0183】
【表4】

【0184】
表3、4のとおり、触媒体を(c)成分:水不溶性無機粉体で被覆した被覆触媒粒子を用いた実施例1〜16は、異臭抑制効果及び褪変色抑制効果が優れていた。加えて、(c)成分の平均粒子径のみが異なる実施例3、14〜16の比較において、平均粒子径10μm未満のA型ゼオライトで触媒体を被覆した実施例3、14、15は、平均粒子径100μmのA型ゼオライトで触媒体を被覆した実施例16よりも、触媒体被覆率が高く異臭抑制効果に優れるものであった。また、実施例3と実施例9との比較において、(c)成分として平均粒子径10μ未満の酸化チタンで触媒体を被覆した実施例9は、優れた異臭抑制効果が見られるものの、平均粒子径10μm未満のA型ゼオライトで触媒体を被覆した実施例3よりも異臭抑制効果が劣るものであった。なお、全ての実施例において、残存過酸化水素量は、70%以上と漂白に十分な残存量であった。
一方、表4のとおり、比較例1は、異臭抑制効果及び褐変抑制効果に優れていた。しかしながら、残存過酸化水素量が40%以下と、低いものであった。触媒体を被覆しなかった比較例2〜7は褪変色抑制効果に優れるものの、異臭抑制効果に劣っていた。加えて、水溶性無機粉体である硫酸ナトリウムで被覆した比較例8、及び、水溶性有機粉体で被覆した比較例9は、褪変色抑制効果に優れるものの、触媒体被覆率が60%未満と低く、異臭抑制効果に劣っていた。さらに、(a)成分及び(b)成分を造粒せずに、個別に(c)成分で被覆して添加した比較例10は、触媒体被覆率が高く、異臭抑制効果に優れていたものの、褪変色抑制効果に劣るものであった。
以上の結果から、本発明の漂白性組成物は、被洗浄物の褪変色及び保存中の異臭発生を防止でき、漂白効果に優れることが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下記一般式(I)、(II)で表されるアミノカルボン酸より選ばれるキレート化合物と、銅化合物及びマンガン化合物の少なくとも一種との混合物及び/又は反応物を含む触媒体を水不溶性無機粉体で被覆した被覆触媒体と、
(B)成分:界面活性剤と、
(C)成分:過酸化物と、を含む漂白性組成物。
【化1】

(式(I)中、Z〜Zはそれぞれ独立し、COOX、炭素数1〜30のアルキル基、スルホ基又はアミノ基をあらわし、Z〜Zの内少なくとも1つがCOOXである。Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子を表す。Rは、水素原子又は水酸基を表す。Qは、水素原子又はアルキル基を表す。nは、0又は1の整数を表す。)
【化2】

(式(II)中、Yはアルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、水酸基、又は水素原子を表す。Z〜Zはそれぞれ独立し、COOX、炭素数1〜30でその水素原子の一部が置換されてもよいアルキル基、スルホ基、又はアミノ基をあらわし、Z〜Zの内少なくとも1つがCOOXである。Xは、それぞれ独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属原子、カチオン性アンモニウム基を表す。nは、0から5の整数を表す。)
【請求項2】
前記水不溶性無機粉体は、A型ゼオライトである、請求項1に記載の漂白性組成物。

【公開番号】特開2010−168534(P2010−168534A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167209(P2009−167209)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】