説明

漏洩検査装置

【課題】簡素な構造で、格別の制御装置を設ける必要がなく、押圧時に容器に痕跡が残ることがなく、容器の変形を防止することができる漏洩検査装置を提供する。
【解決手段】チャンバ1の上壁の中央部には、支持棒22がその長手方向を垂直にして挿通しており、支持棒22は上下動可能にかつ固定可能に、チャンバ上壁に支持されている。支持棒22の下端には、水平の棒状の連結部材21が固定されており、この連結部材21の両端部に平面視でリング状をなす天板縁部押さえ部材20が固定されている。この天板縁部押さえ部材20は、厚さが薄い円筒状の形状を有し、平面視での幅が小さく、チャンバの真空排気時に容器10の天板13の縁部のみをこの縁部の全周にわたって受ける。即ち、天板縁部押さえ部材20は、真空排気時に、容器10の天板13に設けられた口金15の外側のリング状の領域で天板13を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体を密閉されたチャンバ内に装入してチャンバ内を真空排気し、被検査体からチャンバ内に空気等の容器内封入ガスが漏れ出てきたときにこれを検出し、被検査体の漏れ箇所の有無を検査する漏洩検査装置に関し、特に、薄肉の被検査体を検査するのに好適の漏洩検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された漏洩検査装置(リークテスタ)においては、容器状の被検査体を密閉されたチャンバ内に装入し、被検査体内及びチャンバ内を真空排気した後、トレーサガスを被検査体内に導入すると、被検査体に漏れ箇所がある場合に、差圧によりトレーサガスが被検査体からチャンバ内に漏れ出てくるので、チャンバ内にトレーサガスが存在するか否かを検出することにより、被検査体の漏れ箇所の有無を検査することができる。
【0003】
この場合に、トレーサガスの漏れ量を高精度で測定するためには、その検出器は、一般的に真空に近い圧力下でないと動作させることができない。従って、チャンバと被検査体との間の空間は、上記真空に近い圧力にあり、被検査体内はトレーサガスで高圧となるので、その圧力差で被検査体が膨らみ、変形してしまうという問題点がある。
【0004】
そこで、特許文献1においては、被検査体及びチャンバ内を排気するときに、被検査体内の圧力と、チャンバ内(チャンバと被検査体との間)の圧力との差圧を所定の範囲内に維持し、被検査体内にトレーサガスを導入するときには、被検査体内の圧力とチャンバ内の圧力との差圧を同様に所定の範囲内に維持し、被試験体及びチャンバ内に空気を導入する場合も、同様に差圧を所定の範囲内に維持するように圧力を制御している。このような差圧の制御により、容器(被試験体)の膨らみ変形を防止している。
【0005】
一方、特許文献2には、被検体内にトレーサガスを充填し、被検体をチャンバ内に収納し、チャンバ内を真空排気し、被検体内とチャンバ内との差圧によりチャンバ内に漏洩したトレーサガスを検出することにより、漏洩を試験する装置が開示されている。この場合に、被検体を押圧する押圧部材を、被検体の外形寸法に応じて移動させることにより、押圧部材が被検体の上面にて被検体を押圧する。
【0006】
しかしながら、特許文献2には言及されていないが、通常、容器の天板には、容器内に液体又は気体を封入するための口金が設けられており、また、容器の天板の中央には、取手が設けられている。このため、押圧部材は、容器の天板の全域を受けることはできず、現実には、図5に示すように、これらの口金及び取手を避けて押圧部材が容器の天板を押さえている。
【0007】
図5(a)は従来の漏洩検査装置におけるチャンバ内の容器を示す平面図、図5(b)は同じくその容器中心を通る縦断面図である。チャンバ1は上壁及び円筒状の側板を有し、更に側板の下端縁に外方に広がるフランジ2が形成されたものであり、このフランジ2にチャンバ蓋3を重ねることにより、チャンバ1内が密閉されるようになっている。チャンバ1には、真空ポンプ(図示せず)に接続された排気口及び空気を導入するための吸気口又は排気及び吸気を兼用する接続口(いずれも図示せず)が設けられている。
【0008】
このチャンバ1内に容器10が装入される。容器10は、円板状の底板11と、円筒状の側板12と、円板状の天板13とから構成されている。そして、天板13には、その中央に容器10を持ち運びするための取手14が設けられており、天板13の中央と縁部との中間に、容器内部に収容物を出し入れするための口金15が設けられている。この容器10内の収容物は、気体又は液体である。そして、漏洩検査のために、この容器10内には空気が大気圧で封入されている。
【0009】
そして、容器10の天板13上には、円板の中心部をくり抜いた形状の円周方向に延びる平板であってその円周方向の一部を欠落させた形状をなす容器変形受け部16が載置される。この容器変形受け部16は、取手14及び口金15を除く部分の天板13上に載置される。即ち、容器変形受け部16は、円板のくり抜かれた中心部は、取手14を収める部分であり、円周方向の欠落部は口金15を収める部分である。
【0010】
容器10の側板12は、天板13及び底板11から夫々上方及び下方に突出しており、底板11の下方の空間はチャンバ蓋3の台部4が占めている。この台部4が、容器10の底板11が差圧により膨らまないように、この底板11を受けるようになっている。
【0011】
一方、天板13から上方に突出する側板12の部分は、容器変形受け部16の厚さよりも高さが低いものであり、容器10が膨らんだ場合には、容器変形受け部16はチャンバ1の天板に接触するが、側板12はチャンバ1の天板に接触しない。
【0012】
この従来の漏洩検査装置においては、容器10内に口金15を介してトレーサガス(空気)を充填し、容器10内を大気圧にする。そして、この容器10をチャンバ1のチャンバ蓋3上に載置し、チャンバ蓋3をチャンバ1のフランジ2に重ねて、チャンバ蓋3をチャンバ1に固定する。これにより、容器10はチャンバ1及びチャンバ蓋3により囲まれた密閉空間内に保持される。その後、チャンバ1内を真空排気し、トレーサガスがチャンバ1内に漏れ出てくるか否かを検査する。このとき、容器10内は大気圧であり、チャンバ1内は真空状態にあるので、薄肉の容器10は膨らんでくる。そして、容器10の天板13が上昇しようとすると、この容器天板13とチャンバ天板との間に、容器変形受け部16が介在しているので、容器天板13の上昇が容器変形受け部16により阻止され、容器10の変形が阻止される。
【0013】
【特許文献1】特許第3348484号公報
【特許文献2】特開2001−27574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述の従来技術は、以下のような問題点を有する。特許文献1の場合は、差圧を制御することにより被試験体の変形を防止しているが、この差圧の制御のために、複雑な制御装置が必要である。
【0015】
また、特許文献2に記載の漏洩試験装置は、図5に示す従来の漏洩試験装置のように、その押圧部材(図5では容器変形受け部16)は、容器10の天板13に設けられている口金15及び取手14が邪魔になり、天板13の全面で容器10を押圧しているわけではない。このため、図5に示す従来の漏洩検査装置は、容器変形受け部16の形状が、中央部分と共に、円周方向の一部が切りかかれたものとなっており、特にこの円周方向の一部の切欠部で、容器変形受け部16の形状が容器天板13に転写されてしまう。即ち、特に、容器変形受け部16の円周方向の切欠部の角部において、容器変形を防止するために容器変形受け部16が容器天板13を押圧した跡が残ってしまう。この容器変形受け部16は、その材質として、金属製、樹脂製、スポンジ製、又はゴム製等があるが、いずれの材質でも、同様に容器天板13には押圧痕が残る。
【0016】
また、容器変形受け部16は、口金15の位置を避けて設置する必要があり、このため、口金15を検出する機構と、口金15と容器変形受け部16との位置合わせをする機構とが必要であり、構成が複雑である。更に、容器の機種毎に、容器変形受け部16の形状を調整する必要があり、容器変形受け部16の制作コストが高くなる。
【0017】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、簡素な構造で、格別の制御装置を設ける必要がなく、検査工程において容器に痕跡が残ることがなく、容器の変形を防止することができる漏洩検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る漏洩検査装置は、漏洩検査対象の容器が装入されるチャンバと、このチャンバに保持された支持部材と、この支持部材に支持され前記チャンバ内の前記容器の天板の周縁部をその全周で押さえる無端のリング状の天板縁部押さえ部材と、前記チャンバ内を排気する排気装置と、を有することを特徴とする。
【0019】
この漏洩検査装置において、更に、前記支持部材に支持され前記チャンバ内の前記容器の天板の中央部を押さえる天板中央押さえ部材を有することが好ましい。
【0020】
また、前記天板中央押さえ部材は、前記支持部材に弾性部材を介して支持されており、前記容器の天板の中央部を弾性的に押さえるように構成することができる。
【0021】
更に、前記支持部材は、前記チャンバの上壁を垂直に挿通し上下動可能に前記上壁に支持された支持棒と、この支持棒の下端に固定された連結部材と、を有し、この連結部材が、前記天板縁部押さえ部材及び/又は前記天板中央押さえ部材を支持するように構成することができる。
【0022】
又は、前記支持部材は、前記チャンバの上壁の下面に固定された固定部と、この固定部に対し上下動可能に支持された支持棒と、この支持棒の下端に固定された連結部材と、を有し、この連結部材が、前記天板縁部押さえ部材及び/又は前記天板中央押さえ部材を支持するように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、容器をチャンバ内に装入したときに、容器の周縁部を、天板縁部押さえ部材が押さえるので、チャンバ内を真空排気して、差圧から容器が膨らもうとしても、天板縁部押さえ部材により容器の天板が膨らみ、変形することが抑制される。しかも、天板縁部押さえ部材は、無端のリング状をなし、容器の周縁部の全周を押圧しており、容器天板に取手及び口金等の天板縁部押さえ部材による押圧を邪魔する部材が存在しても、その外側の部分で容器を受けることができ、容器天板の取手及び口金の位置に影響を受けることがない。よって、天板縁部押さえ部材は、容器の種類によらず使用でき、汎用性が高いと共に、容器天板の口金を検出する必要がない。更に、容器内部とチャンバ内部との差圧を検出する必要がなく、この差圧を制御する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して、具体的に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る漏洩検査装置を示す図であり、(a)は容器の平面図、(b)は漏洩検査装置の縦断面図である。チャンバ1は上壁及び円筒状の側板を有し、側板の下端には外側に広がるフランジ2が設けられている。チャンバ蓋3は、Oリング等のシール材を介してチャンバ1のフランジ2に重ねられ、フランジ2に着脱自在に固定される。チャンバ1には、チャンバ1内を真空排気するための排気口及びチャンバ1内に空気を導入するための導入口が設けられており、又はこの排気口及び導入口を兼ねるパイプの接続口が設けられている(いずれも図示せず)。容器10は、底板11、側板12及び天板13からなる円筒状のものであり、気体又は液体を封入して、保管又は運搬するためのものである。この側板12は底板11及び天板13から夫々下方及び上方に若干突出しており、底板11から下方に突出した部分は、この部分とチャンバ蓋3との間に形成される空間に、チャンバ蓋3上に設けられた台部4が位置するように、容器10がチャンバ蓋3上に載置される。この側板12が底板11及び天板13から夫々下方及び上方に若干突出する部分は、側板12と底板11及び天板13とを接続固定するための部分であり、容器製造上の都合に基づく形状である。容器10の天板13には、例えば、その中央部に取手14が設けられ、中央部と縁部との中間部に口金15が設けられている。口金15は容器内に、気体又は液体を封入するために必要であり、全ての容器に設けられているが、取手14は設けられない場合もある。なお、容器10は本実施形態のように円筒状に限らず、角筒状の場合もある。
【0025】
チャンバ1の上壁の中央部には、支持部材を構成する支持棒22(角棒)がその長手方向を垂直にして挿通しており、支持棒22は上下動可能にチャンバの上壁に支持されている。この支持棒22は、適宜の固定部材(図示せず)により、チャンバ1の上壁に固定できるようになっており、支持棒22を上下動させてその上下位置を調節した後、前記固定部材により調節後の上下位置でチャンバ1の上壁に固定される。
【0026】
この支持棒22の下端には、水平の棒状の連結部材21が固定されており、この連結部材21の両端部に平面視でリング状をなす天板縁部押さえ部材20が固定されている。この天板縁部押さえ部材20は、厚さが薄い円筒状の形状を有し、平面視での幅が小さく、容器10の天板13の縁部のみに接触する。なお、この連結部材21は、棒状のものではなく、円板状に成形し、この円板に多数の孔を形成したものであってもよい。この孔により、チャンバ内の真空排気時に、容器天板13と連結部材との間の空間も効率的に排気することができる。
【0027】
次に、上述のごとく構成された漏洩検査装置の動作について説明する。容器10内に、口金15を介して、ヘリウムガス等のトレーサガスを封入する。その後、この容器10の側板12の下部が台部4を取り囲むようにして、容器10をチャンバ蓋3の上に載置する。次いで、この容器10をチャンバ1内に装入し、チャンバ蓋3をチャンバ1のフランジ2に重ねて、フランジ2とチャンバ蓋3とを気密的に固定し、容器10をチャンバ1内に封入する。その後、支持棒22を下降させ、リング状の天板縁部押さえ部材20を容器10の天板13の縁部に接触させる。又は、支持棒22を下降させ、リング状の天板縁部押さえ部材20を、その下端と容器10の天板13の縁部との間に数mm(例えば、1〜2mm)の間隔があいた状態に位置させる。このとき、天板縁部押さえ部材20は平面視でリング状をなしているので、口金15の外側にて容器10の天板13に接触し、口金15及び取手14が天板縁部押さえ部材20を天板13に接触させる際に、邪魔になることはない。この状態で、支持棒22をチャンバ1の天板に固定する。なお、容器10の大きさ(高さ)が予め判明している場合は、その高さを考慮して、天板縁部押させ部材20と容器10とが上記関係になるよう位置に、チャンバ1の上壁に対する支持棒22の位置を予め調整しておいてもよい。また、検査対象の容器10が一定の高さを有している場合は、支持棒22はチャンバ1の上壁に対して、上下動可能に支持されている必要はなく、所定の位置に固定しておくこともできる。
【0028】
次に、チャンバ1内を真空排気する。そうすると、容器10に欠陥が存在する場合は、容器内部の大気圧のトレーサガスが真空のチャンバ1内に漏れ出てくるので、このトレーサガスを検出することにより、容器10の欠陥を検出することができる。
【0029】
而して、容器10内はトレーサガスが大気圧の圧力で封入されており、チャンバ1内、即ち、容器10の外部は真空排気されているので、圧力差により、容器10は膨張変形しようとする。しかし、容器10の天板13はその縁部が天板縁部押さえ部材20により押圧されているので、この天板13が膨らむことが抑制される。一方、容器10の側板12は、円筒状をなしているので、容器の内外で圧力差が生じても、膨らむことはない。また、底板11は、その全面が、チャンバ蓋3の台部4に受けられるので、実質的に膨らむような変形はしない。このように、本実施形態においては、容器10は、実質的に変形しない。
【0030】
また、天板縁部押さえ部材20は、容器10の縁部をその全周にわたって受けているので、容器10の天板13の上面に押圧痕がつくことはない。即ち、図5に示す従来の漏洩検査装置の場合は、容器変形受け部16の角部の形状が容器天板に転写されやすく、この部分に押圧痕が残る。しかし、本実施形態においては、天板縁部押さえ部材20が無端のリング状をなしており、天板13の縁部の周方向の全域で天板13を受けているので、天板縁部押さえ部材20は均一に天板13を受けており、このような押圧痕が天板13に形成されることはない。容器10をチャンバ1内に設置する際に、上述のごとく、天板縁部押さえ部材20の下端が天板13に接触するようにしても良いし、天板縁部押さえ部材20の下端を天板13から若干(数mm)離隔させてもよい。天板縁部押さえ部材20の下端が天板13から若干(数mm)離隔した位置にセットされた場合は、チャンバ1内を真空排気したときに、容器10の天板が若干膨らみ、やがて天板縁部押さえ部材20の下端に接触する。
【0031】
容器10の機種が変更になって、その高さが異なっても、支持棒22の上下位置を調節すれば、天板縁部押させ部材20は容器10の天板13の縁部を受けることができるので、本実施形態の漏洩検査装置は、被検査対象の容器に関し、汎用性がある。更に、天板縁部押させ部材20は、リング状をなし、天板13の周方向の全域で天板13に接触している。このため、口金15の位置に無関係に天板縁部押さえ部材20を天板13上に配置することができる。このため、天板縁部押さえ部材20を天板13上に配置するに際し、口金15の位置を検出する必要がなく、また、口金15の位置に応じて、天板縁部押さえ部材の位置又は向きを変更する必要もない。更に、本実施形態は、差圧の制御等は不要であり、単に、チャンバ1の天板に容器10の天板縁部押さえ部材20を設けるだけでよいので、装置が簡素で、製造コストが低いという利点がある。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。図2において、図1と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。本実施形態においては、連結部材21の中央の下面に、天板中央押さえ部材23を設けた点が、図1に示す実施形態と異なる。図2(b)に示すように、この天板中央押さえ部材23は、例えば、有底筒状をなす。そして、連結部材21に設けられた天板縁部押さえ部材20が、容器10の天板13の縁部を受けるために、この天板13の縁部に接触したときに、同時に、天板中央押さえ部材23が容器10の天板13の中央の取手14に接触するようにして、天板中央押さえ部材23が連結部材21に取り付けられている。即ち、天板中央押さえ部材23の高さは、天板縁部押さえ部材20よりも、取手14の高さ(例えば、4mm)分だけ、低いものとなっている。
【0033】
このように構成された本実施形態の漏洩検査装置においては、トレーサガスを封入した容器10をチャンバ1内に装入し、支持棒22を下降させて、天板縁部押さえ部材20を容器10の天板13の縁部に接触させ、又は、天板縁部押さえ部材20の下端が天板13の縁部から若干上方の位置にくるようにして、支持棒22をチャンバ1の上壁に固定する。そうすると、同時に、天板中央押さえ部材23も天板13の中央の取手14に接触し、又は若干上方に位置する。これにより、容器10がチャンバ1内に設置される。そこで、チャンバ1内を真空排気すると、容器内部にトレーサガスが封入されているので、差圧により容器10が膨張しようとするが、天板縁部押さえ部材20及び天板中央押さえ部材により、容器10の天板13が受けられているので、容器10の天板13が膨らんで変形することが防止される。本実施形態は、天板13の中央も拘束するので、図1の実施形態に比して、天板13の変形をより確実に防止できる。
【0034】
次に、本発明の第3実施形態について、図3を参照して説明する。図3において、図1又は図2と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。本実施形態においては、連結部材21の中央に天板中央押さえ部材25を弾性部材24を介して設けた点が、図2に示す実施形態と異なる。この天板中央押さえ部材25は、有底筒状をなす部材であり、天板縁部押さえ部材20が容器10の天板13の縁部に接触したときに、天板13の中央の取手14に接触する位置に配置されている。また、弾性部材24は、天板縁部押さえ部材20が天板13の縁部に接触したときに、連結部材21と取手14との間で圧縮バネとなるバネ部材であり、天板縁部押さえ部材20が天板13の縁部に接触したときに弾性部材21は天板中央押さえ部材25を取手14に向けて弾性的に付勢する。
【0035】
このように構成された本実施形態の漏洩検査装置においては、図2の実施形態と同様に天板中央押さえ部材25が天板13の中央に配置された取手14を受けるが、連結部材21と天板中央押さえ部材25との間に弾性部材24が設けられているので、容器毎に取手14の高さが種々異なっても、その高さの相違を吸収して、確実に天板中央押さえ部材25が取手14を受けることができる。その他の点では、本実施形態も図1及び図2に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0036】
図4は本発明の第4実施形態を示す縦断面図である。本実施形態においては、チャンバ1の上壁の下面に固定部30が固定されており、従って、この固定部30はチャンバ1内に配置されている。支持棒22aがこの固定部30に上下動可能に支持されており、必要に応じて、適宜の固定手段により、支持棒22aが固定部30に固定されるようになっている。支持棒22aが螺棒であり、固定部30に螺孔が形成されていて、この螺孔に螺棒をねじ込むことにより、支持棒22aが固定部30に対して上下動する場合は、支持棒22aが回転しない限りその上下位置は変動しないので、固定手段は不要である。そして、支持棒22aの下端に連結部材21が固定されている。また、この連結部材21に天板縁部押さえ部材20が固定されている。
【0037】
本実施形態においては、チャンバ1の内部に支持部材(固定部30,支持棒22a、連結部材21)が配置されている。本実施形態も、図1に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。図4に示した実施形態に対し、図2及び図3と同様の天板中央押さえ部材を設置してもよいことは勿論である。
【0038】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されないことは勿論である。例えば、図1に示す実施形態において、支持棒は、チャンバの上壁に上下動可能に支持されているが、支持棒はチャンバの上壁に固定とし、支持棒の下端に設けられた連結部材を、支持棒に固定とせずに、支持棒に対して上下動可能としてもよい。また、検査対象の容器の大きさが一定であれば、支持棒又は連結部材は、上下動可能でなくてもよい。図4に示す実施形態においても同様である。即ち、支持棒は固定部に対し固定とし、支持棒の下端の連結部材を支持棒に対して上下動可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係る漏洩検査装置を示す図であり、(a)は容器の平面図、(b)は装置の縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る漏洩検査装置を示す図であり、(a)は容器の平面図、(b)は装置の縦断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る漏洩検査装置を示す図であり、(a)は容器の平面図、(b)は装置の縦断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る漏洩検査装置を示す縦断面図である。
【図5】従来の漏洩検査装置を示す図であり、(a)は容器の平面図、(b)は装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1:チャンバ、2:フランジ、3:チャンバ蓋、4:台部、10:容器、11:底板、12:側板、13:天板、14:取手、15:口金、16:容器変形受け部、20:天板縁部押さえ部材、21:連結部材、22:支持棒、23、25:天板中央押さえ部材、24:弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏洩検査対象の容器が装入されるチャンバと、このチャンバに保持された支持部材と、この支持部材に支持され前記チャンバ内の前記容器の天板の周縁部をその全周で押さえる無端のリング状の天板縁部押さえ部材と、前記チャンバ内を排気する排気装置と、を有することを特徴とする漏洩検査装置。
【請求項2】
前記支持部材に支持され前記チャンバ内の前記容器の天板の中央部を押さえる天板中央押さえ部材を有することを特徴とする請求項1に記載の漏洩検査装置。
【請求項3】
前記天板中央押さえ部材は、前記支持部材に弾性部材を介して支持されており、前記容器の天板の中央部を弾性的に押さえることを特徴とする請求項2に記載の漏洩検査装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記チャンバの上壁を垂直に挿通し上下動可能に前記上壁に支持された支持棒と、この支持棒の下端に固定された連結部材と、を有し、この連結部材が、前記天板縁部押さえ部材及び/又は前記天板中央押さえ部材を支持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の漏洩検査装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記チャンバの上壁の下面に固定された固定部と、この固定部に対し上下動可能に支持された支持棒と、この支持棒の下端に固定された連結部材と、を有し、この連結部材が、前記天板縁部押さえ部材及び/又は前記天板中央押さえ部材を支持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の漏洩検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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